以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る異方性導電材料は、ペースト状である。すなわち、本発明に係る異方性導電材料は、異方性導電ペーストである。本発明に係る異方性導電材料は、少なくとも1種の硬化性化合物と、熱硬化剤と、導電性粒子とを含有する。本発明に係る異方性導電材料は、少なくとも1種の上記硬化性化合物として、エポキシ基又はチイラン基を有しかつ加熱により硬化可能な硬化性化合物を含有する。本発明に係る異方性導電材料は、上記導電性粒子が、樹脂粒子と該樹脂粒子の表面上に配置された導電層とを有する。該導電性粒子における該導電層の少なくとも外側の表面は、融点が450℃以下である低融点金属層である第1の導電性粒子であるか、又は上記導電性粒子が、少なくとも外側の表面の融点が450℃を超える第2の導電性粒子である。
また、本発明では、上記導電性粒子が上記第1の導電性粒子である場合には、異方性導電材料の比重が1.1〜1.8であり、上記導電性粒子の比重が1.3〜6.0であり、異方性導電材料の比重と上記導電性粒子の比重との差の絶対値が4.0以下である。さらに、本発明では、上記導電性粒子が上記第1の導電性粒子である場合には、異方性導電材料の25℃及び2.5rpmでの粘度(Pa・s)をη1とし、かつ異方性導電材料の25℃及び5.0rpmでの粘度(Pa・s)をη2としたときに、上記η1の上記η2に対する比(η1/η2)が1.0〜4.0である。
また、本発明では、上記導電性粒子が上記第2の導電性粒子である場合には、異方性導電材料の比重が1.2〜1.5であり、上記導電性粒子の比重が2.0〜4.0であり、異方性導電材料の比重と上記導電性粒子の比重との差の絶対値が2.8以下である。さらに、本発明では、上記導電性粒子が上記第2の導電性粒子である場合には、異方性導電材料の25℃及び2.5rpmでの粘度(Pa・s)をη1とし、かつ異方性導電材料の25℃及び5.0rpmでの粘度(Pa・s)をη2としたときに、上記η1の上記η2に対する比(η1/η2)が1.0〜2.0である。
上記組成の採用により、異方性導電材料における導電性粒子の沈降を顕著に抑制できる。さらに、上記組成の採用により、異方性導電材料を用いて接続対象部材の電極間を電気的に接続した場合に、導通信頼性を高めることができる。具体的には、例えば、接続対象部材上に異方性導電材料を均一に塗工でき、上下の電極間に導電性粒子をより一層確実に配置できる。さらに、凝集した導電性粒子によって、接続されてはならない横方向に隣り合う電極間が接続され難く、隣り合う電極間の短絡が生じるのを抑制できる。
以下、本発明に係る異方性導電材料に含まれている各成分の詳細を説明する。
〔硬化性化合物〕
本発明に係る異方性導電材料は、少なくとも1種の硬化性化合物(以下、硬化性化合物Aと記載することがある)を含む。本発明に係る異方性導電材料は、少なくとも1種の上記硬化性化合物として、エポキシ基又はチイラン基を有しかつ加熱により硬化可能な硬化性化合物を含有する。上記硬化性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記硬化性化合物としては、光及び熱硬化性化合物、光硬化性化合物、並びに熱硬化性化合物が挙げられる。上記光及び熱硬化性化合物は、光硬化性と熱硬化性とを有し、光の照射及び加熱により硬化可能である。上記光硬化性化合物は、例えば光硬化性を有し、かつ熱硬化性を有さず、光の照射により硬化可能である。上記熱硬化性化合物は、例えば光硬化性を有さず、かつ熱硬化性を有し、加熱により硬化可能である。上記熱硬化性化合物と上記光及び熱硬化性化合物とは、加熱により硬化可能な硬化性化合物である。上記光硬化性化合物と上記光及び熱硬化性化合物とは、光の照射により硬化可能な硬化性化合物である。
上記硬化性化合物は、熱硬化性化合物と光及び熱硬化性化合物との内の少なくとも1種を含む。該熱硬化性化合物と該光及び熱硬化性化合物との内の少なくとも一方が、エポキシ基又はチイラン基を有しかつ加熱により硬化可能な硬化性化合物である。上記硬化性化合物は、光硬化性化合物と熱硬化性化合物との双方を含んでいてもよい。上記硬化性化合物は、光硬化性化合物及び熱硬化性化合物の内の少なくとも一種を含んでいなくてもよい。上記硬化性化合物は、上記光及び熱硬化性化合物と、光硬化性化合物及び熱硬化性化合物の内の少なくとも一種とを含んでいてもよい。上記硬化性化合物が上記光及び熱硬化性化合物を含まない場合には、上記硬化性化合物は、光硬化性化合物と熱硬化性化合物とを含むことが好ましい。
異方性導電材料の硬化を容易に制御する観点からは、上記硬化性化合物は、エポキシ基又はチイラン基と(メタ)アクリロイル基とを有する光及び熱硬化性化合物を含むか、又はエポキシ基又はチイラン基を有する熱硬化性化合物と(メタ)アクリロイル基を有する光硬化性化合物とを含むことが好ましい。
異方性導電材料の硬化を容易に制御する観点からは、上記異方性導電材料が、上記エポキシ基又はチイラン基を有しかつ加熱により硬化可能な硬化性化合物として、エポキシ基又はチイラン基と(メタ)アクリロイル基とを有し、かつ光の照射及び加熱により硬化可能な硬化性化合物を含有するか、又は上記異方性導電材料が、エポキシ基及びチイラン基を有さずかつ(メタ)アクリロイル基を有し、かつ光の照射により硬化可能な硬化性化合物をさらに含有することが好ましい。上記硬化性化合物は、上記エポキシ基又はチイラン基を有しかつ加熱により硬化可能な硬化性化合物と、光硬化性化合物とを含むことがより好ましい。上記エポキシ基又はチイラン基を有しかつ加熱により硬化可能な硬化性化合物は、チイラン基を有しかつ加熱により硬化可能な硬化性化合物を含むことが好ましい。
エポキシ基を有する化合物は、エポキシ化合物である。チイラン基を有する化合物は、エピスルフィド化合物である。(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、(メタ)アクリル化合物である。上記(メタ)アクリル化合物は、メタクリル化合物とアクリル化合物とを示す。上記(メタ)アクリル化合物は、(メタ)アクリロイル基を有する。上記(メタ)アクリロイル基は、メタクリロイル基とアクリロイル基とを示す。
異方性導電材料の硬化を容易に制御したり、接続構造体の導通信頼性をより一層高めたりするために、上記硬化性化合物は、エポキシ化合物及びエピスルフィド化合物の内の少なくとも一種を含み、エピスルフィド化合物を含むことがより好ましい。異方性導電材料の硬化性を高める観点からは、上記硬化性化合物A100重量%中、上記エピスルフィド化合物の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは20重量%以上、好ましく80重量%以下、より好ましくは50重量%以下、更に好ましくは40重量%以下である。
上記エポキシ化合物及び上記エピスルフィド化合物は、芳香族環を有することが好ましい。上記芳香族環としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、テトラセン環、クリセン環、トリフェニレン環、テトラフェン環、ピレン環、ペンタセン環、ピセン環及びペリレン環等が挙げられる。なかでも、上記芳香族環は、ベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環であることが好ましく、ベンゼン環又はナフタレン環であることがより好ましい。また、ナフタレン環は、平面構造を有するためにより一層速やかに硬化させることが可能であるので好ましい。
エピスルフィド化合物は、エポキシ基ではなくチイラン基を有するので、低温で速やかに硬化させることができる。すなわち、チイラン基を有するエピスルフィド化合物は、エポキシ基を有するエポキシ化合物と比較して、チイラン基に由来してより一層低い温度で硬化可能である。
低温でより一層速やかに硬化させる観点からは、エピスルフィド化合物は、下記式(1)又は下記式(2)で表される構造を有するエピスルフィド化合物であることが好ましい。下記式(1)において、ベンゼン環に結合している6つの基の結合部位は特に限定されない。下記式(2)において、ナフタレン環に結合している8つの基の結合部位は特に限定されない。
上記式(1)中、R1及びR2はそれぞれ炭素数1〜5のアルキレン基を表す。R3、R4、R5及びR6の4個の基の内の2〜4個の基は水素を表す。R3、R4、R5及びR6の内の水素ではない基は下記式(4)で表される基を表す。R3、R4、R5及びR6の4個の基の全てが水素であってもよい。R3、R4、R5及びR6の4個の基の内の1個又は2個が下記式(4)で表される基であり、かつR3、R4、R5及びR6の4個の基の内の下記式(4)で表される基ではない基は水素であってもよい。
上記式(4)中、R7は炭素数1〜5のアルキレン基を表す。
上記式(2)中、R51及びR52はそれぞれ炭素数1〜5のアルキレン基を表す。R53、R54、R55、R56、R57及びR58の6個の基の内の4〜6個の基は水素を表す。R53、R54、R55、R56、R57及びR58の内の水素ではない基は、下記式(5)で表される基を表す。R53、R54、R55、R56、R57及びR58の6個の基の全てが水素であってもよい。R53、R54、R55、R56、R57及びR58の6個の基の内の1個又は2個が下記式(5)で表される基であり、かつR53、R54、R55、R56、R57及びR58の内の下記式(5)で表される基ではない基は水素であってもよい。
上記式(5)中、R59は炭素数1〜5のアルキレン基を表す。
本発明に係る異方性導電材料は、エポキシ化合物として、芳香族環を有するエポキシ化合物を含むことが好ましい。芳香族環を有するエポキシ化合物の使用により、異方性導電材料の硬化速度をより一層速くし、異方性導電材料を塗布しやすくすることができる。異方性導電材料の塗布性をより一層高める観点からは、上記芳香族環は、ベンゼン環、ナフタレン環又はアントラセン環であることが好ましい。上記芳香族環を有するエポキシ化合物としては、レゾルシノールジグリシジルエーテル又は1,6−ナフタレンジグリシジルエーテルが挙げられる。なかでも、レゾルシノールジグリシジルエーテルが特に好ましい。レゾルシノールジグリシジルエーテルの使用により、異方性導電材料の硬化速度を速くし、異方性導電材料を塗布しやすくすることができる。
上記エピスルフィド化合物と(メタ)アクリル化合物とを含む組成物では、上記エピスルフィド化合物のチイラン基が開環してラジカルが発生したときに、該ラジカルの作用によって(メタ)アクリル化合物の重合が進行しやすい。上記エピスルフィド化合物に対して、後述のフェノール性化合物と貯蔵安定剤を組み合わせて配合することにより、異方性導電材料の保管時にチイラン基が開環し難くなる。この結果、異方性導電材料の保管時に、(メタ)アクリル化合物の重合が進行し難くなる。
上記(メタ)アクリル化合物として、(メタ)アクリル酸と水酸基を有する化合物とを反応させて得られるエステル化合物、(メタ)アクリル酸とエポキシ化合物とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート、又はイソシアネートに水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート等が好適に用いられる。
上記(メタ)アクリル酸と水酸基を有する化合物とを反応させて得られるエステル化合物は特に限定されない。該エステル化合物として、単官能のエステル化合物、2官能のエステル化合物及び3官能以上のエステル化合物のいずれも用いることができる。
上記硬化性化合物は、エポキシ基と(メタ)アクリロイル基とを有する光及び熱硬化性化合物(以下、部分(メタ)アクリレート化エポキシ樹脂ともいう)を含むことが好ましい。
上記部分(メタ)アクリレート化エポキシ樹脂は、例えば、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って塩基性触媒の存在下で反応することにより得られる。エポキシ基の20%以上が(メタ)アクリロイル基に変換され(転化率)、部分(メタ)アクリル化されていることが好ましい。該転化率は、より好ましくは30%以上、好ましくは80%以下、より好ましくは70%以下である。エポキシ基の40%以上、60%以下が(メタ)アクリロイル基に変換されていることが最も好ましい。
上記エポキシ(メタ)アクリレートとしては、ビスフェノール型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、カルボン酸無水物変性エポキシ(メタ)アクリレート、及びフェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上述した光硬化性化合物以外の光硬化性化合物が含まれる場合には、該光硬化性化合物は、架橋性化合物であってもよく、非架橋性化合物であってもよい。
上記架橋性化合物の具体例としては、例えば、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、グリセリンメタクリレートアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸ビニル、ジビニルベンゼン、ポリエステル(メタ)アクリレート、及びウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記非架橋性化合物の具体例としては、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、及びテトラデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記異方性導電材料の硬化性を高める観点からは、上記硬化性化合物A100重量%中、上記エポキシ基又はチイラン基を有しかつ加熱により硬化可能な硬化性化合物の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上である。硬化性化合物Aの全量が、上記エポキシ基又はチイラン基を有しかつ加熱により硬化可能な硬化性化合物であってもよい。上記硬化性化合物Aを2種以上併用する場合に、上記硬化性化合物A100重量%中、上記エポキシ基又はチイラン基を有しかつ加熱により硬化可能な硬化性化合物の含有量は、80重量%以下であってもよく、50重量%以下であってもよく、20重量%以下であってもよい。
上記硬化性化合物Aを2種以上併用する場合に、上記異方性導電材料の硬化性を高める観点からは、硬化性化合物A100重量%中、光及び熱硬化性化合物の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは50重量%以下、より一層好ましくは20重量%以下、更に好ましくは2重量%以下、特に好ましくは1.5重量%以下である。硬化性化合物Aの全量が、光及び熱硬化性化合物であってもよい。硬化性化合物A100重量%中、光及び熱硬化性化合物の含有量は100重量%であってもよい。
上記硬化性化合物Aを2種以上併用する場合に、上記異方性導電材料を効率的に光硬化させる観点からは、硬化性化合物A100重量%中、上記光硬化性化合物の含有量は、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上、更に好ましくは10重量%以上、好ましくは80重量%以下、より好ましくは50重量%以下である。
〔熱硬化剤〕
本発明に係る異方性導電材料に含まれている熱硬化剤は特に限定されない。該熱硬化剤は、熱硬化性化合物又は光及び熱硬化性化合物を硬化させる。該熱硬化剤として、従来公知の熱硬化剤を用いることができる。該熱硬化剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記熱硬化剤としては、イミダゾール硬化剤、アミン硬化剤、フェノール硬化剤、ポリチオール硬化剤、カチオン硬化剤及び酸無水物等が挙げられる。なかでも、異方性導電材料を低温でより一層速やかに硬化させることができるので、イミダゾール硬化剤、ポリチオール硬化剤又はアミン硬化剤が好ましい。また、加熱により硬化可能な硬化性化合物と上記熱硬化剤とを混合したときに保存安定性を高めることができるので、潜在性の硬化剤が好ましい。潜在性の硬化剤は、潜在性イミダゾール硬化剤、潜在性ポリチオール硬化剤又は潜在性アミン硬化剤であることが好ましい。これらの熱硬化剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なお、上記熱硬化剤は、ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂等の高分子物質で被覆されていてもよい。
上記イミダゾール硬化剤としては、特に限定されないが、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン及び2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
上記ポリチオール硬化剤としては、特に限定されないが、トリメチロールプロパン トリス−3−メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトール テトラキス−3−メルカプトプロピオネート及びジペンタエリスリトール ヘキサ−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
上記アミン硬化剤としては、特に限定されないが、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、3,9−ビス(3−アミノプロピル)−2,4,8,10−テトラスピロ[5.5]ウンデカン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、メタフェニレンジアミン及びジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
上記カチオン硬化剤としては、ヨードニウム系カチオン硬化剤、オキソニウム系カチオン硬化剤及びスルホニウム系カチオン硬化剤等が挙げられる。上記ヨードニウム系カチオン硬化剤としては、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。上記オキソニウム系カチオン硬化剤としては、トリメチルオキソニウムテトラフルオロボラート等が挙げられる。上記スルホニウム系カチオン硬化剤としては、トリ−p−トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート等が挙げられる。
上記熱硬化剤の中でもポリチオール化合物又は酸無水物等が好ましく用いられる。異方性導電材料の硬化速度をより一層速くできるので、ポリチオール化合物がより好ましく用いられる。
上記ポリチオール化合物の中でもペンタエリスリトール テトラキス−3−メルカプトプロピオネートがより好ましい。このポリチオール化合物の使用により、異方性導電材料の硬化速度をより一層速くできる。
上記熱硬化剤の含有量は特に限定されない。熱硬化成分(熱硬化性化合物、又は光及び熱硬化性化合物)100重量部に対して、熱硬化剤の含有量は、好ましくは0.01重量部以上、より好ましくは1重量部以上、好ましくは200重量部以下、より好ましくは100重量部以下、更に好ましくは75重量部以下である。熱硬化剤の含有量が上記下限以上であると、異方性導電材料を充分に硬化させることが容易である。熱硬化剤の含有量が上記上限以下であると、硬化後に硬化に関与しなかった余剰の熱硬化剤が残存し難くなり、かつ硬化物の耐熱性がより一層高くなる。上記熱硬化成分は、加熱により硬化可能な硬化性化合物である。
〔光重合開始剤〕
本発明に係る異方性導電材料に用いられる光重合開始剤は特に限定されない。該光重合開始剤は、光硬化性化合物又は光及び熱硬化性化合物を重合させる。該光重合開始剤として、従来公知の光重合硬化剤を用いることができる。該光重合開始剤は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。上記導電性粒子が上記第2の導電性粒子である場合には、異方性導電材料は、光の照射により硬化可能な硬化性化合物と光重合開始剤とを含むことが好ましい。
上記光重合開始剤の具体例としては、アセトフェノン光重合開始剤、ベンゾフェノン光重合開始剤、チオキサントン、ケタール光重合開始剤、ハロゲン化ケトン、カチオン硬化剤、アシルホスフィノキシド及びアシルホスフォナート等が挙げられる。
上記アセトフェノン光重合開始剤の具体例としては、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、及び2−ヒドロキシ−2−シクロヘキシルアセトフェノン等が挙げられる。上記ケタール光重合開始剤の具体例としては、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
上記カチオン硬化剤の具体例としては、上記熱硬化剤として挙げたカチオン硬化剤が挙げられる。上記熱硬化剤として挙げたカチオン硬化剤は、光カチオン硬化剤としても使用できる。
上記光重合開始剤の含有量は特に限定されない。光硬化成分(光硬化性化合物、又は光及び熱硬化性化合物)100重量部に対して、上記光重合開始剤の含有量は、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.2重量部以上、更に好ましくは2重量部以上、好ましくは10重量部以下、より好ましくは5重量部以下である。光重合開始剤の含有量が上記下限以上であると、光重合開始剤を添加した効果を充分に得ることが容易である。光重合開始剤の含有量が上記上限以下であると、異方性導電材料の硬化物の接着力が充分に高くなる。上記光硬化成分は、光の照射により硬化可能な硬化性化合物である。
〔導電性粒子〕
本発明に係る異方性導電材料に含まれている導電性粒子は、例えば回路基板と半導体チップとの電極間を電気的に接続する。上記導電性粒子は、導電性を有する。上記導電性粒子としては、例えば、有機粒子、無機粒子、有機無機ハイブリッド粒子もしくは金属粒子等の表面を導電層で被覆した導電性粒子、又は実質的に金属のみで構成される金属粒子等が挙げられる。上記導電層は特に限定されない。上記導電層としては、金層、銀層、銅層、ニッケル層、パラジウム層又は錫を含有する金属層等が挙げられる。上記導電層は金属層であることが好ましい。
なかでも、本発明に係る異方性導電材料では、樹脂粒子と該樹脂粒子の表面上に配置された導電層とを有し、該導電層の少なくとも外側の表面が、融点が450℃以下である低融点金属層である第1の導電性粒子が用いられるか、又は少なくとも外側の表面の融点が450℃を超える第2の導電性粒子が用いられる。この導電性粒子の使用により、電極間の導通信頼性がより一層高くなる。電極と導電性粒子との接触面積が大きくなることから、上記導電性粒子が上記第1の導電性粒子であるか、又は上記第2の導電性粒子が、樹脂粒子と該樹脂粒子の表面上に配置された導電層とを有し、該導電層の少なくとも外側の表面が、融点が450℃を超える高融点金属層である第2の導電性粒子であることが好ましい。
上記第1,第2の導電性粒子のうち、上記第1の導電性粒子が好ましい。導電層の外側の表面が低融点金属層であることによって、低融点金属層が溶融して電極に接合し、低融点金属層が電極間を導通させる。例えば、低融点金属層と電極とが点接触ではなく面接触しやすいため、接続抵抗が低くなる。また、少なくとも外側の表面が低融点金属層である導電性粒子の使用により、低融点金属層と電極との接合強度が高くなる結果、低融点金属層と電極との剥離がより一層生じ難くなり、導通信頼性が効果的に高くなる。
図1に、本発明の一実施形態に係る異方性導電材料に含まれている導電性粒子を断面図で示す。
図1に示す導電性粒子11は、樹脂粒子12と、樹脂粒子12の表面12a上に配置された導電層13とを有する。導電層13は、樹脂粒子12の表面12aを被覆している。導電性粒子11は、樹脂粒子12の表面12aが導電層13により被覆された被覆粒子である。従って、導電性粒子11は導電層13を表面11aに有する。
導電層13は、樹脂粒子12の表面12a上に配置された第2の導電層14と、該第2の導電層14の表面14a上に配置された導電層15(第1の導電層)とを有する。導電層13の外側の表面層が、導電層15である。導電層15は、融点が450℃以下である低融点金属層であるか、又は融点が450℃を超える高融点金属層である。従って、導電性粒子11は、導電層13の一部として導電層15を有し、更に樹脂粒子12と導電層15との間に、導電層13の一部として導電層15とは別に第2の導電層14を有する。このように、導電層13は、多層構造を有していてもよく、2層以上の積層構造を有していてもよい。
上記のように、導電層13は2層構造を有する。図2に示す変形例のように、導電性粒子21は、単層の導電層として、導電層22を有していてもよい。導電層22は、融点が450℃以下である低融点金属層であるか、又は融点が450℃を超える高融点金属層である。導電性粒子における導電層の少なくとも外側の表面が、低融点金属層又は高融点金属層であれることが好ましい。ただし、導電性粒子の作製が容易であるので、導電性粒子11と導電性粒子21とのうち、導電性粒子11が好ましい。また、上記導電性粒子が上記第2の導電性粒子である場合に、該第2の導電性粒子は、実質的に金属のみで構成される金属粒子であってもよい。
上記低融点金属層は、低融点金属を含む層である。該低融点金属とは、融点が450℃以下の金属を示す。該低融点金属の融点は好ましくは300℃以下、より好ましくは160℃以下である。上記高融点金属層は、高融点金属を含む層である。該高融点金属とは、融点が450℃を超える金属を示す。また、上記低融点金属層は錫を含むことが好ましい。低融点金属層に含まれる金属100重量%中、錫の含有量は好ましくは30重量%以上、より好ましくは40重量%以上、更に好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。上記低融点金属層の含有量が上記下限以上であると、低融点金属層と電極との接続信頼性がより一層高くなる。なお、上記錫の含有量は、高周波誘導結合プラズマ発光分光分析装置(堀場製作所社製「ICP−AES」)、又は蛍光X線分析装置(島津製作所社製「EDX−800HS」)等を用いて測定可能である。
上記低融点金属層を構成する低融点金属は特に限定されない。該低融点金属は、錫、又は錫を含む合金であることが好ましい。該合金は、錫−銀合金、錫−銅合金、錫−銀−銅合金、錫−ビスマス合金、錫−亜鉛合金及び錫−インジウム合金等が挙げられる。なかでも、電極に対する濡れ性に優れることから、上記低融点金属は、錫、錫−銀合金、錫−銀−銅合金、錫−ビスマス合金、錫−インジウム合金であることが好ましく、錫−ビスマス合金又は錫−インジウム合金であることがより好ましい。
また、上記低融点金属層は、はんだ層であることが好ましい。上記はんだ層を構成する材料は特に限定されないが、JIS Z3001:溶剤用語に基づき、液相線が450℃以下である溶可材であることが好ましい。上記はんだ層の組成としては、例えば亜鉛、金、鉛、銅、錫、ビスマス、インジウムなどを含む金属組成が挙げられる。なかでも低融点で鉛フリーである錫−インジウム系(117℃共晶)、又は錫−ビスマス系(139℃共晶)が好ましい。すなわち、はんだ層は、鉛を含まないことが好ましく、錫とインジウムとを含むはんだ層、又は錫とビスマスとを含むはんだ層であることが好ましい。
上記低融点金属層と電極との接合強度をより一層高めるために、上記低融点金属層は、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム、亜鉛、鉄、金、チタン、リン、ゲルマニウム、テルル、コバルト、ビスマス、マンガン、クロム、モリブデン、パラジウム等の金属を含んでいてもよい。低融点金属と電極との接合強度をさらに一層高める観点からは、上記低融点金属は、ニッケル、銅、アンチモン、アルミニウム又は亜鉛を含むことが好ましい。低融点金属層と電極との接合強度をより一層高める観点からは、接合強度を高めるためのこれらの金属の含有量は、低融点金属層100重量%中、好ましくは0.0001重量%以上、好ましくは1重量%以下である。
上記導電性粒子は、樹脂粒子と、該樹脂粒子の表面上に配置された導電層とを有し、該導電層の外側の表面が低融点金属層又は上記高融点金属層であり、上記樹脂粒子と上記低融点金属層(はんだ層など)との間に、上記低融点金属層又は上記高融点金属層とは別に第2の導電層を有することが好ましい。この場合に、上記低融点金属層又は上記高融点金属層は上記導電層全体の一部であり、上記第2の導電層は上記導電層全体の一部である。
上記低融点金属層又は上記高融点金属層とは別の上記第2の導電層は、金属を含むことが好ましい。上記高融点金属層及び上記第2の導電層を構成する金属は、特に限定されない。該金属としては、例えば、金、銀、銅、白金、パラジウム、亜鉛、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム、並びにこれらの合金等が挙げられる。また、上記金属として、錫ドープ酸化インジウム(ITO)を用いてもよい。上記金属は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記高融点金属層及び上記第2の導電層は、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は金層であることが好ましく、ニッケル層又は金層であることがより好ましく、銅層であることが更に好ましい。導電性粒子は、ニッケル層、パラジウム層、銅層又は金層を有することが好ましく、ニッケル層又は金層を有することがより好ましく、銅層を有することが更に好ましい。これらの好ましい導電層を有する導電性粒子を電極間の接続に用いることにより、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、これらの好ましい導電層の表面には、低融点金属層又は上記高融点金属層をより一層容易に形成できる。なお、上記第2の導電層は、はんだ層などの低融点金属層であったり、高融点金属層であったりしてもよい。導電性粒子は、複数層の低融点金属層又は複数層の高融点金属層を有していてもよい。
上記低融点金属層の厚みは、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、更に好ましくは1μm以上、好ましくは50μm以下、より好ましくは10μm以下、更に好ましくは5μm以下、特に好ましくは3μm以下である。上記低融点金属層又は上記高融点金属層の厚みが上記下限以上であると、導電性が十分に高くなる。上記低融点金属層又は上記高融点金属層の厚みが上記上限以下であると、樹脂粒子と低融点金属層又は上記高融点金属層との熱膨張率の差が小さくなり、低融点金属層又は上記高融点金属層の剥離が生じ難くなる。
上記樹脂粒子を形成するための樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン及びポリエーテルスルホン等が挙げられる。上記樹脂粒子の硬度を好適な範囲に容易に制御できるので、上記樹脂粒子を形成するための樹脂は、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
上記樹脂粒子の表面上に導電層を形成する方法、並びに上記樹脂粒子の表面上又は第2の導電層の表面上に低融点金属層又は上記高融点金属層を形成する方法は特に限定されない。上記導電層及び上記低融点金属層又は上記高融点金属層を形成する方法としては、例えば、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的な衝突による方法、メカノケミカル反応による方法、物理的蒸着又は物理的吸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを樹脂粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。なかでも、無電解めっき、電気めっき又は物理的な衝突による方法が好適である。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。また、上記物理的な衝突による方法では、例えば、シーターコンポーザ(徳寿工作所社製)等が用いられる。
上記樹脂粒子の表面上又は上記第2の導電層の表面上に上記低融点金属層又は上記高融点金属層を形成する方法は、物理的な衝突による方法であることが好ましい。上記低融点金属層又は上記高融点金属層は、物理的な衝撃により、上記樹脂粒子の表面上又は上記第2の導電層の表面上に配置されていることが好ましい。
導電層が多層構造を有する場合には、導電層の全体厚みは、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上、更に好ましくは1μm以上、好ましくは50μm以下、より好ましくは10μm以下、更に好ましくは5μm以下、特に好ましくは3μm以下である。
上記導電性粒子の粒子径は、好ましくは100μm以下、より好ましくは20μm未満、更に好ましくは15μm以下、特に好ましくは10μm以下である。導電性粒子の粒子径は、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上である。
異方性導電材料における導電性粒子に適した大きさであり、かつ電極間の間隔をより一層小さくすることができるので、導電性粒子の平均粒子径は、1μm〜100μmの範囲内であることが特に好ましい。
上記第1の導電性粒子における上記樹脂粒子は、実装する基板の電極サイズ又はランド径によって使い分けることができる。
上下の電極間をより一層確実に接続し、かつ横方向に隣接する電極間の短絡をより一層抑制する観点からは、導電性粒子の平均粒子径Cの樹脂粒子の平均粒子径Aに対する比(C/A)は、1.0を超え、好ましくは3.0以下である。また、上記樹脂粒子と上記低融点金属層との間に上記第2の導電層がある場合に、上記低融点金属層を除く導電性粒子部分の平均粒子径Bに対する樹脂粒子の平均粒子径Aに対する比(B/A)は、1.0を超え、好ましくは2.0以下である。さらに、上記樹脂粒子との間に上記第2の導電層がある場合に、上記低融点金属層を含む導電性粒子の平均粒子径Cの低融点金属層を除く導電性粒子部分の平均粒子径Bに対する比(C/B)は、1.0を超え、好ましくは2.0以下である。上記比(B/A)が上記範囲内であったり、上記比(C/B)が上記範囲内であったりすると、上下の電極間をより一層確実に接続し、かつ横方向に隣接する電極間の短絡をより一層抑制できる。
FOB及びFOF用途向け異方性導電材料:
本発明に係る異方性導電材料は、フレキシブルプリント基板とガラスエポキシ基板との接続(FOB(Film on Board))との接続、又はフレキシブルプリント基板とフレキシブルプリント基板との接続(FOF(Film on Film))に好適に用いられる。
FOB及びFOF用途では、電極がある部分(ライン)と電極がない部分(スペース)との寸法であるL&Sは、一般に100〜500μmである。FOB及びFOF用途で用いる樹脂粒子の平均粒子径は10〜100μmであることが好ましい。樹脂粒子の平均粒子径が10μm以上であると、電極間に配置される異方性導電材料及び接続部の厚みが十分に厚くなり、接着力がより一層高くなる。樹脂粒子の平均粒子径が100μm以下であると、隣接する電極間で短絡がより一層生じ難くなる。
フリップチップ用途向け異方性導電材料:
本発明に係る異方性導電材料は、フリップチップ用途に好適に用いられる。
フリップチップ用途では、一般にランド径が15〜80μmである。フリップチップ用途で用いる樹脂粒子の平均粒子径は1〜15μmであることが好ましい。樹脂粒子の平均粒子径が1μm以上であると、該樹脂粒子の表面上に配置される低融点金属層の厚みを十分に厚くすることができ、電極間をより一層確実に電気的に接続することができる。樹脂粒子の平均粒子径が10μm以下であると、隣接する電極間で短絡がより一層生じ難くなる。
COF向け異方性導電材料:
本発明に係る異方性導電材料は、半導体チップとフレキシブルプリント基板との接続(COF(Chip on Film))に好適に用いられる。
COF用途では、電極がある部分(ライン)と電極がない部分(スペース)との寸法であるL&Sは、一般に10〜50μmである。COF用途で用いる樹脂粒子の平均粒子径は1〜10μmであることが好ましい。樹脂粒子の平均粒子径が1μm以上であると、該樹脂粒子の表面上に配置される低融点金属層の厚みを十分に厚くすることができ、電極間をより一層確実に電気的に接続することができる。樹脂粒子の平均粒子径が10μm以下であると、隣接する電極間で短絡がより一層生じ難くなる。
上記導電性粒子の「平均粒子径」は、数平均粒子径を示す。導電性粒子の平均粒子径は、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、平均値を算出することにより求められる。
導電性粒子の表面は、絶縁性材料、絶縁性粒子、フラックス等により絶縁処理されていてもよい。絶縁性材料、絶縁性粒子、フラックス等は、接続時の熱により軟化、流動することで接続部から排除されることが好ましい。これにより、電極間での短絡を抑制することができる。
上記導電性粒子が樹脂粒子と該樹脂粒子の表面上に配置された導電層とを有する場合には、樹脂粒子の粒子径及び導電層の厚みを変えることで、導電性粒子の比重を容易に調整可能である。
上記導電性粒子の比重は、導電層が、融点が450℃以下である低融点金属層である場合と導電層が、融点が450℃を超える高融点金属層である場合とで特に異なる。
低融点金属層を溶融して電極に接合させるために、高融点金属層と比べて、低融点金属層の厚みは厚いことが好ましい。
例えば、上記導電層が高融点金属層であり、樹脂粒子の粒子径が2μm以上、5μm未満であり、高融点金属層の厚みが50nm以上、150nm以下である場合には、導電性粒子の比重は2.0以上、3.5未満である。上記導電層が高融点金属層であり、樹脂粒子の粒子径5μm以上、10μm未満であり、高融点金属層の厚みが50nm、150nm以下である場合には、導電性粒子の比重は1.7以上、2.7未満である。上記導電層が高融点金属層であり、上記樹脂粒子の粒子径が10μm以上、30μm未満であり、高融点金属層の厚みが50nm以上、150nm以下である場合には、導電性粒子の比重は1.3以上、2.0未満である。
例えば、上記導電層が低融点金属であり、樹脂粒子の粒子径が2μm以上、5μm未満であり、低融点金属層の厚みが0.4μm以上、1.0μm以下である場合には、導電性粒子の比重は3.5以上、6.0未満である。上記導電層が低融点金属であり、樹脂粒子の粒子径が5μm以上、10μm未満であり、低融点金属層の厚みが0.8μm以上、2.0μm以下である場合には、導電性粒子の比重は3.5以上、6.0未満である。上記導電層が低融点金属であり、樹脂粒子の粒子径が10μm以上、30μm未満であり、低融点金属層の厚みが2.0μm以上、4.0μm以下である場合には、導電性粒子の比重は3.5以上、6.0未満である。
上記導電性粒子の含有量は特に限定されない。異方性導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは0.5重量%以上、好ましくは40重量%以下、より好ましくは20重量%以下、更に好ましくは10重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、接続されるべき上下の電極間に導電性粒子を容易に配置できる。さらに、接続されてはならない隣接する電極間が複数の導電性粒子を介して電気的に接続され難くなる。すなわち、隣り合う電極間の短絡をより一層防止できる。
〔他の成分〕
本発明に係る異方性導電材料は、フィラーをさらに含有することが好ましい。フィラーの使用により、異方性導電材料の硬化物の潜熱膨張を抑制できる。上記フィラーの具体例としては、シリカ、タルク、窒化アルミニウム及びアルミナなどの無機フィラー等が挙げられる。上記フィラーは有機フィラーであってもよく、有機−無機複合フィラーであってもよい。上記フィラーは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記フィラーは、シリカ、タルク及びコアの表面がシェルにより被覆されたコアシェル粒子からなる群から選択された少なくとも1種を含むことが好ましい。これらの特定のフィラーの使用により、異方性導電材料の比重及びチキソ性をより一層好適な範囲に制御し、導電性粒子の沈降をより一層抑制し、接続構造体の導通信頼性をより一層高めることができる。
上記フィラーは、無機フィラーを含むことが好ましい。無機フィラーの使用により、異方性導電材料の比重及びチキソ性をより一層好適な範囲に制御し、導電性粒子の沈降をより一層抑制し、接続構造体の導通信頼性をより一層高めることができる。
上記フィラーは、シリカを含むことが好ましい。該シリカはシリカフィラーである。すなわち、本発明に係る異方性導電材料は、シリカを含むことが好ましい。シリカの使用により、異方性導電材料の比重及びチキソ性をより一層好適な範囲に制御し、導電性粒子の沈降をより一層抑制し、接続構造体の導通信頼性をより一層高めることができる。
異方性導電材料の比重及びチキソ性をより一層好適な範囲に制御し、導電性粒子の沈降をより一層抑制し、接続構造体の導通信頼性をより一層高める観点からは、上記シリカは非晶質シリカであることが好ましく、ヒュームドシリカであることがより好ましい。
異方性導電材料の比重及びチキソ性をさらに一層好適な範囲に制御し、導電性粒子の沈降をさらに一層抑制し、接続構造体の導通信頼性をさらに一層高める観点からは、上記フィラーはタルクを含むことが好ましく、球状ではないフィラーを含むことが好ましい。上記タルクは球状ではないので、タルクの使用により導電性粒子の沈降をより一層抑制することができる。上記球状ではないフィラーがタルクであることが好ましい。タルクが球状ではないことが好ましい。上記タルクは球状ではなく、かつタルクのアスペスト比は10〜500であることが好ましい。上記タルクは、板状タルクであることが好ましい。上記球状ではないフィラーのアスペスト比は10〜500であることが好ましい。上記球状ではないフィラーは、板状であることが好ましい。なお、上記「アスペクト比」は、長径の長さを短径の長さで割った値である。
上記フィラーの長径は、0.5〜3μmの範囲内であることが好ましい。フィラーの長径が上記範囲内であると、異方性導電材料の比重及びチキソ性をより一層好適な範囲に制御し、導電性粒子の沈降をより一層抑制し、接続構造体の導通信頼性をより一層高めることができる。
本発明に係る異方性導電材料は、コアがシェルにより被覆されたコアシェル粒子を含むことが好ましい。上記フィラーは、コアがシェルにより被覆されたコアシェル粒子を含むことが好ましい。コアシェル粒子の使用により、異方性導電材料の比重及びチキソ性をより一層好適な範囲に制御し、導電性粒子の沈降をより一層抑制し、接続構造体の導通信頼性をより一層高めることができる。上記コアシェル粒子のコアは、シリカであることが好ましい。上記コアシェル粒子のシェルの材料は、(メタ)アクリル化合物であることが好ましい。
上記フィラー及び上記無機フィラーの含有量は特に限定されない。上記硬化性化合物A100重量部に対して、上記フィラー及び上記無機フィラーの含有量は、好ましくは3重量部以上、より好ましくは10重量部以上、好ましくは50重量部以下、より好ましくは30重量部以下である。フィラー及び上記無機フィラーの含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、異方性導電材料の比重及びチキソ性をより一層好適な範囲に制御し、導電性粒子の沈降をより一層抑制し、接続構造体の導通信頼性をより一層高めることができる。さらに、異方性導電材料におけるフィラー及び上記無機フィラーの分散性を高めることができ、かつ異方性導電材料の硬化物の潜熱膨張を抑制できる。
上記コアシェル粒子の平均粒子径は、50〜500nmの範囲内であることが好ましい。コアシェル粒子の平均粒子径が上記範囲内であると、異方性導電材料の比重及びチキソ性をより一層好適な範囲に制御し、導電性粒子の沈降をより一層抑制し、接続構造体の導通信頼性をより一層高めることができる。上記「平均粒子径」は、動的レーザー散乱法によって測定される体積平均径を示す。
上記コアシェル粒子の含有量は特に限定されない。上記硬化性化合物A100重量部に対して、コアシェル粒子の含有量は、好ましくは3重量部以上、より好ましくは5重量部以上、好ましくは50重量部以下、より好ましくは20重量部以下である。コアシェル粒子の含有量が上記下限以上及び上記上限以下であると、異方性導電材料の比重及びチキソ性をより一層好適な範囲に制御し、導電性粒子の沈降をより一層抑制し、接続構造体の導通信頼性をより一層高めることができる。さらに、異方性導電材料におけるコアシェル粒子の分散性を高めることができ、かつ異方性導電材料の硬化物の潜熱膨張を抑制できる。
異方性導電材料の比重及びチキソ性をさらに一層好適な範囲に制御し、導電性粒子の沈降をさらに一層抑制し、接続構造体の導通信頼性をさらに一層高める観点からは、本発明に係る異方性導電材料は、上記コアシェル粒子以外のフィラーと上記コアシェル粒子とを含むことが好ましく、上記シリカフィラーと上記コアシェル粒子とを含むことが好ましい。上記コアシェル粒子以外のフィラーは、無機フィラーであることが好ましい。
異方性導電材料が上記コアシェル粒子以外のフィラーと上記コアシェル粒子とを含む場合に、異方性導電材料は、上記コアシェル粒子以外のフィラーと上記コアシェル粒子とを重量比で、0.1:99.9〜99.9:0.1で含むことが好ましく、10:90〜90:10で含むことがより好ましく、20:80〜80:20で含むことが更に好ましい。上記コアシェル粒子以外のフィラーとコアシェル粒子との含有量の比が上記範囲内であると、異方性導電材料の比重及びチキソ性をさらに一層好適な範囲に制御し、導電性粒子の沈降をさらに一層抑制し、接続構造体の導通信頼性をさらに一層高めることができる。
本発明に係る異方性導電材料は、硬化促進剤をさらに含むことが好ましい。硬化促進剤の使用により、異方性導電材料の硬化速度をより一層速くすることができる。硬化促進剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記硬化促進剤の具体例としては、イミダゾール硬化促進剤及びアミン硬化促進剤等が挙げられる。なかでも、イミダゾール硬化促進剤が好ましい。なお、イミダゾール硬化促進剤又はアミン硬化促進剤は、イミダゾール硬化剤又はアミン硬化剤としても用いることができる。
上記イミダゾール硬化促進剤としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジン及び2,4−ジアミノ−6−[2’−メチルイミダゾリル−(1’)]−エチル−s−トリアジンイソシアヌル酸付加物等が挙げられる。
熱硬化成分(熱硬化性化合物又は光及び熱硬化性化合物)100重量部に対して、上記硬化促進剤の含有量は、好ましくは0.5重量部以上、より好ましくは1重量部以上、好ましくは6重量部以下、より好ましくは4重量部以下である。硬化促進剤の含有量が上記下限以上であると、異方性導電材料を充分に硬化させることが容易である。硬化促進剤の含有量が上記上限以下であると、硬化後に硬化に関与しなかった余剰の硬化促進剤が残存し難くなる。上記熱硬化成分は、加熱により硬化可能な硬化性化合物である。
本発明に係る異方性導電材料は、エピスルフィド化合物とともに、フェノール性化合物をさらに含むことが好ましい。上記エピスルフィド化合物と熱硬化剤とフェノール性化合物との併用により、異方性導電材料の保管時にチイラン基がより一層開環し難くなる。また、電極間に導電性粒子を含む異方性導電材料を配置して導電性粒子を適度に圧縮したときに、電極に適度な圧痕を形成できる。従って、電極間の接続抵抗を低くすることができる。
上記フェノール性化合物は、ベンゼン環に水酸基が結合したフェノール性水酸基を有する。上記フェノール性化合物としては、ポリフェノール、トリオール、ハイドロキノン、及びトコフェロール(ビタミンE)等が挙げられる。上記フェノール性化合物は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
本発明に係る異方性導電材料は、溶剤を含んでいてもよい。該溶剤の使用により、異方性導電材料の粘度を容易に調整できる。さらに、例えば、上記熱硬化性化合物が固形である場合に、固形の上記熱硬化性化合物に溶剤を添加し、溶解させることにより、上記熱硬化性化合物の分散性を高めることができる。
上記溶剤としては、例えば、酢酸エチル、メチルセロソルブ、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、n−ヘキサン、テトラヒドロフラン及びジエチルエーテル等が挙げられる。
本発明に係る異方性導電材料は、貯蔵安定剤をさらに含むことが好ましい。本発明に係る異方性導電材料は、上記貯蔵安定剤として、リン酸エステル、亜リン酸エステル及びホウ酸エステルからなる群から選択された少なくとも一種を含むことが好ましく、リン酸エステル及び亜リン酸エステルの内の少なくとも一種を含むことがより好ましく、亜リン酸エステルを含むことが更に好ましい。これらの貯蔵安定剤の使用により、特に亜リン酸エステルの使用により、上記エピスルフィド化合物の保存安定性をより一層高めることができる。上記貯蔵安定剤は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記リン酸エステルとしては、ジエチルベンジルホスフェート等が挙げられる。上記亜リン酸エステルとしては、ジフェニルモノ(2−エチルヘキシル)ホスファイト、ジフェニルモノデシルホスファイト又はジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイトが好ましく、ジフェニルモノデシルホスファイト及びジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト等が挙げられる。
本発明に係る異方性導電材料は、アスコルビン酸、アスコルビン酸の誘導体、アスコルビン酸の塩、イソアスコルビン酸、イソアスコルビン酸の誘導体及びイソアスコルビン酸の塩からなる群から選択された少なくとも1種の成分を含んでいてもよい。これらの成分の配合により、異方性導電材料の保存安定性が高くなる。
本発明に係る異方性導電材料は、必要に応じて、イオン捕捉剤又はシランカップリング剤をさらに含んでいてもよい。
本発明に係る異方性導電材料は、フラックスを含むことが好ましい。該フラックスの使用により、接続構造体における導通信頼性がより一層高くなる。なお、上記異方性導電材料は、フラックスを必ずしも含んでいなくてもよい。
上記フラックスは特に限定されない。上記フラックスとしては、例えば、塩化亜鉛、塩化亜鉛と無機ハロゲン化物との混合物、塩化亜鉛と無機酸との混合物、溶融塩、リン酸、リン酸の誘導体、有機ハロゲン化物、ヒドラジン、有機酸及び松脂等が挙げられる。上記フラックスは1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記溶融塩としては、塩化アンモニウム等が挙げられる。上記有機酸としては、乳酸、クエン酸、ステアリン酸、グルタミン酸及びヒドラジン等が挙げられる。上記松脂としては、活性化松脂及び非活性化松脂等が挙げられる。上記フラックスは、松脂であることが好ましい。松脂の使用により、電極間の接続抵抗を低くすることができる。
上記松脂はアビエチン酸を主成分とするロジン類である。上記フラックスは、ロジン類であることが好ましく、アビエチン酸であることがより好ましい。この好ましいフラックスの使用により、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。
(異方性導電材料の詳細及び用途)
上記導電性粒子が上記第1の導電性粒子である場合に、本発明に係る異方性導電材料の比重は1.1〜1.8であり、上記導電性粒子の比重が1.3〜6.0であり、異方性導電材料の比重と上記導電性粒子の比重との差の絶対値が4.0以下である。このような比重の関係を満たすことで、異方性導電材料における導電性粒子の沈降を抑制でき、接続構造体の導通信頼性を高めることができる。上記導電性粒子が上記第1の導電性粒子である場合に、本発明に係る異方性導電材料の比重は1.2〜1.5であり、上記導電性粒子の比重が2.0〜4.0であり、異方性導電材料の比重と上記導電性粒子の比重との差の絶対値が2.8以下であってもよい。
上記導電性粒子が上記第2の導電性粒子である場合に、本発明に係る異方性導電材料の比重は1.2〜1.5であり、上記導電性粒子の比重が2.0〜4.0であり、異方性導電材料の比重と上記導電性粒子の比重との差の絶対値が2.8以下である。このような比重の関係を満たすことで、異方性導電材料における導電性粒子の沈降を抑制でき、接続構造体の導通信頼性を高めることができる。
異方性導電材料における導電性粒子の沈降をより一層抑制し、接続構造体の導通信頼性をさらに一層高める観点からは、異方性導電材料の比重は、好ましくは1.25以上、好ましくは1.6以下、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.45以下である。異方性導電材料における導電性粒子の沈降をより一層抑制し、接続構造体の導通信頼性をさらに一層高める観点からは、導電性粒子の比重は、好ましくは2.0以上、より好ましくは2.5以上、好ましくは5.0以下、より好ましくは4.0以下、更に好ましくは3.5以下である。異方性導電材料における導電性粒子の沈降をより一層抑制し、接続構造体の導通信頼性をさらに一層高める観点からは、異方性導電材料の比重と上記導電性粒子の比重との差の絶対値は、好ましくは3.5以下、より好ましくは3.0以下、更に好ましくは2.8以下、特に好ましくは2.0以下である。
さらに、上記導電性粒子が上記第1の導電性粒子である場合に、異方性導電材料の25℃及び2.5rpmでの粘度(Pa・s)をη1とし、かつ異方性導電材料の25℃及び5.0rpmでの粘度(Pa・s)をη2としたときに、上記η1の上記η2に対する比(η1/η2)が1.0〜4.0である。異方性導電材料の上記比が上記範囲内であって、異方性導電材料が適度なチキソ性を示すことにより、異方性導電材料における導電性粒子の沈降を抑制でき、接続構造体の導通信頼性を高めることができる。上記導電性粒子が上記第1の導電性粒子である場合に、上記η1の上記η2に対する比(η1/η2)は1.0〜2.0であってもよい。
上記導電性粒子が上記第2の導電性粒子である場合に、異方性導電材料の25℃及び2.5rpmでの粘度(Pa・s)をη1とし、かつ異方性導電材料の25℃及び5.0rpmでの粘度(Pa・s)をη2としたときに、上記η1の上記η2に対する比(η1/η2)が1.0〜2.0である。異方性導電材料の上記比が上記範囲内であって、異方性導電材料が適度なチキソ性を示すことにより、異方性導電材料における導電性粒子の沈降を抑制でき、接続構造体の導通信頼性を高めることができる。
異方性導電材料における導電性粒子の沈降をより一層抑制し、接続構造体の導通信頼性をさらに一層高める観点からは、上記比(η1/η2)は、好ましくは1.2以上、好ましくは3.0以下、より好ましくは2.5以下、更に好ましくは1.8以下である。
また、異方性導電材料の比重、導電性粒子の比重、異方性導電材料の比重と導電性粒子の比重との差の絶対値、及び上記比(η1/η2)が全て上記範囲内であることによって、異方性導電材料における導電性粒子の沈降を顕著に抑制でき、接続構造体の導通信頼性をかなり高めることができる。
本発明に係る異方性導電材料は、様々な接続対象部材を接着するために使用できる。上記異方性導電材料は、第1,第2の接続対象部材が電気的に接続されている接続構造体を得るために好適に用いられる。
図3に、本発明の一実施形態に係る異方性導電材料を用いた接続構造体の一例を模式的に断面図で示す。
図3に示す接続構造体1は、第1の接続対象部材2と、第2の接続対象部材4と、第1,第2の接続対象部材2,4を接続している接続部3とを備える。接続部3は、導電性粒子11を含む異方性導電材料、すなわち異方性導電材料を硬化させることにより形成されている。導電性粒子11にかえて導電性粒子21を用いてもよい。なお、図3では、導電性粒子11は略図的に示されている。
第1の接続対象部材2は上面2aに、複数の電極2bを有する。第2の接続対象部材4は下面4aに、複数の電極4bを有する。電極2bと電極4bとが、1つ又は複数の導電性粒子11により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材2,4が導電性粒子11により電気的に接続されている。
電極2b,4b間の接続は、通常、第1の接続対象部材2と第2の接続対象部材4とを異方性導電材料を介して電極2b,4b同士が対向するように重ね合わせた後に、異方性導電材料を硬化させる際に、加圧することにより行われる。加圧により、一般に導電性粒子11は圧縮される。
上記接続構造体としては、具体的には、回路基板上に、半導体チップ、コンデンサチップ又はダイオードチップ等の電子部品チップが搭載されており、該電子部品チップの電極が、回路基板上の電極と電気的に接続されている接続構造体等が挙げられる。回路基板としては、フレキシブルプリント基板等の様々なプリント基板、ガラス基板、又は金属箔が積層された基板等の様々な回路基板が挙げられる。第1,第2の接続対象部材は、電子部品又は回路基板であることが好ましい。上記異方性導電材料は、電子部品又は回路基板の接続に用いられる異方性導電材料であることが好ましい。上記異方性導電材料は、ペースト状の異方性導電材料であり、かつペーストの状態で接続対象部材の上面に塗工される異方性導電材料であることが好ましい。
以下、本発明について、実施例および比較例を挙げて具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(参考例1)
(1)エピスルフィド化合物含有混合物の調製
攪拌機、冷却機及び温度計を備えた2Lの容器内に、エタノール250mLと、純水250mLと、チオシアン酸カリウム20gとを加え、チオシアン酸カリウムを溶解させ、第1の溶液を調製した。その後、容器内の温度を20〜25℃の範囲内に保持した。次に、20〜25℃に保持された容器内の第1の溶液を攪拌しながら、該第1の溶液中に、レゾルシノールジグリシジルエーテル160gを5mL/分の速度で滴下した。滴下後、30分間さらに攪拌し、エポキシ化合物含有混合液を得た。
次に、純水100mLと、エタノール100mLとを含む溶液に、チオシアン酸カリウム20gを溶解させた第2の溶液を用意した。得られたエポキシ基含有混合液に、得られた第2の溶液を5mL/分の速度で添加した後、30分攪拌した。攪拌後、純水100mLとエタノール100mLとを含む溶液に、チオシアン酸カリウム20gを溶解させた第2の溶液をさらに用意し、該第2の溶液を5mL/分の速度で容器内にさらに添加し、30分間攪拌した。その後、容器内の温度を10℃に冷却し、2時間攪拌し、反応させた。
次に、容器内に飽和食塩水100mLを加え、10分間攪拌した。攪拌後、容器内にトルエン300mLをさらに加え、10分間攪拌した。その後、容器内の溶液を分液ロートに移し、2時間静置し、溶液を分離させた。分液ロート内の下方の溶液を排出し、上澄み液を取り出した。取り出された上澄み液にトルエン100mLを加え、攪拌し、2時間静置した。更に、トルエン100mLをさらに加え、攪拌し、2時間静置した。
次に、トルエンが加えられた上澄み液に、硫酸マグネシウム50gを加え、5分間攪拌した。攪拌後、ろ紙により硫酸マグネシウムを取り除いて、溶液を分離した。真空乾燥機を用いて、分離された溶液を80℃で減圧乾燥することにより、残存している溶剤を除去した。このようにして、エピスルフィド化合物含有混合物を得た。
クロロホルムを溶媒として、得られたエピスルフィド化合物含有混合物の1H−NMRの測定を行った。この結果、エポキシ基の存在を示す6.5〜7.5ppmの領域のシグナルが減少し、エピスルフィド基の存在を示す2.0〜3.0ppmの領域にシグナルが現れた。これにより、レゾルシノールジグリシジルエーテルの一部のエポキシ基がエピスルフィド基に変換されていることを確認した。また、1H−NMRの測定結果の積分値より、エピスルフィド化合物含有混合物は、レゾルシノールジグリシジルエーテル70重量%と、下記式(1B)で表される構造を有するエピスルフィド化合物30重量%とを含有することを確認した。
(2)異方性導電ペーストの調製
得られたエピスルフィド化合物含有混合物30重量部に、熱硬化剤であるアミンアダクト(味の素ファインテクノ社製「PN−23J」)5重量部と、光硬化性化合物であるエポキシアクリレート(ダイセル・サイテック社製「EBECRYL3702」)5重量部と、光硬化開始剤であるアシルホスフィンオキサイド系化合物(チバ・ジャパン社製「DAROCUR TPO」)0.1重量部と、硬化促進剤である2−エチル−4−メチルイミダゾール1重量部と、シリカフィラー(MT−10、トクヤマ社製、平均粒子径0.01μm)9重量部と、タルク(日本タルク社製、長径1μm、アスペクト比100)5重量部と、コアシェル粒子(シリカの表面が(メタ)アクリル化合物により被覆されたコアシェル粒子、平均粒子径200nm)6重量部とを配合し、さらに導電性粒子を配合物100重量%中での含有量が10重量%となるように添加した後、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、配合物を得た。
なお、用いた上記導電性粒子は、ジビニルベンゼン樹脂粒子(平均粒子径3μm)の表面にニッケルめっき層が形成されており、かつ該ニッケルめっき層の表面に金めっき層が形成されている金属層を有する導電性粒子であり、比重が3.0である導電性粒子である。
得られた配合物を、ナイロン製ろ紙(孔径10μm)を用いてろ過することにより、導電性粒子の含有量が10重量%である異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストの比重は、1.3であった。
(参考例2)
導電性粒子を、金属層の厚みのみが異なる導電性粒子であって、比重が2.0である導電性粒子に変更したこと以外は参考例1と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストの比重は、1.2であった。
(参考例3)
導電性粒子を、金属層の厚みのみが異なる導電性粒子であって、比重が4.0である導電性粒子に変更したこと以外は参考例1と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストの比重は、1.4であった。
(参考例4)
シリカフィラーの配合量を9重量部から5重量部、タルクの配合量を5重量部から3重量部、コアシェル粒子の配合量を6重量部から3重量部に変更したこと以外は参考例1と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストの比重は、1.2であった。
(参考例5)
シリカフィラーの配合量を9重量部から13重量部、タルクの配合量を5重量部から9重量部、コアシェル粒子の配合量を6重量部から10重量部に変更したこと以外は参考例1と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストの比重は、1.45であった。
(比較例1)
シリカフィラーの配合量を9重量部から3重量部、タルクの配合量を5重量部から2重量部、コアシェル粒子の配合量を6重量部から3重量部に変更したこと以外は参考例1と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストの比重は、1.15であった。
(比較例2)
シリカフィラーの配合量を9重量部から22重量部、タルクの配合量を5重量部から19重量部、コアシェル粒子の配合量を6重量部から20重量部に変更したこと以外は参考例1と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストの比重は、1.8であった。
(参考例6)
光重合開始剤であるアシルホスフィンオキサイド系化合物のかわりに熱開始剤(V−65、和光純薬社製)を用いたこと、並びに異方性導電ペースト中での導電性粒子の含有量が10重量%であるように導電性粒子を用いたこと以外は参考例1と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストの比重は、1.32であった。
(参考例7)
参考例1で得られたエピスルフィド化合物含有混合物30重量部に、熱硬化剤であるアミンアダクト(味の素ファインテクノ社製「PN−23J」)5重量部と、硬化促進剤である2−エチル−4−メチルイミダゾール1重量部と、シリカフィラー(トクヤマ社製「SE−5」、平均粒子径6μm)9重量部と、タルク(日本タルク社製、長径1μm、アスペクト比100)5重量部と、コアシェル粒子(シリカの表面が(メタ)アクリル化合物により被覆されたコアシェル粒子、平均粒子径200nm)6重量部とを配合し、さらに導電性粒子を配合物100重量%中での含有量が10重量%となるように添加した後、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストの比重は、1.18であった。
なお、用いた上記導電性粒子は、ジビニルベンゼン樹脂粒子(平均粒子径20μm)の表面にニッケルめっき層が形成されており、かつ該ニッケルめっき層の表面に金めっき層が形成されている金属層を有する導電性粒子であり、比重が2.4である導電性粒子である。
(実施例8)
導電性粒子を、ジビニルベンゼン樹脂粒子(平均粒子径20μm)の表面に銅めっき層が形成されており、かつ該銅めっき層の表面にスズとビスマスとを含むはんだ層が形成されている金属層を有する導電性粒子であり、比重が3.5である導電性粒子に変更したこと以外は参考例7と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストの比重は、1.18であった。
(参考例9)
熱硬化剤をカチオン硬化剤(三新化学社製「サンエイドSI−60」)に変更したこと以外は参考例7と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストの比重は、1.20であった。
(実施例10)
導電性粒子を、ジビニルベンゼン樹脂粒子(平均粒子径20μm)の表面に銅めっき層
が形成されており、かつ該銅めっき層の表面にスズとビスマスとを含むはんだ層が形成さ
れている金属層を有する導電性粒子であり、比重が5.7である導電性粒子に変更したこ
と、並びに熱硬化剤をカチオン硬化剤(三新化学社製「サンエイドSI−60」)に変更
したこと以外は参考例7と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電
ペーストの比重は、1.70であった。
(実施例11)
シリカフィラー(トクヤマ社製「SE−5」、平均粒子径6μm)を、ヒュームドシリカ(日本アエロジル社製「アエロジル200」、平均粒子径12μm)に変更したこと、並びに導電性粒子を、ジビニルベンゼン樹脂粒子(平均粒子径20μm)の表面に銅めっき層が形成されており、かつ該銅めっき層の表面にスズとビスマスとを含むはんだ層が形成されている金属層を有する導電性粒子であり、比重が5.7である導電性粒子に変更したこと以外は参考例7と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストの比重は、1.75であった。
(比較例3)
導電性粒子を、ジビニルベンゼン樹脂粒子(平均粒子径20μm)の表面に銅めっき層が形成されており、かつ該銅めっき層の表面にスズとビスマスとを含むはんだ層が形成されている金属層を有する導電性粒子であり、比重が1.2である導電性粒子に変更したこと以外は参考例7と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペース
トの比重は、1.1であった。
(比較例4)
導電性粒子を、ジビニルベンゼン樹脂粒子(平均粒子径20μm)の表面に銅めっき層が形成されており、かつ該銅めっき層の表面にスズとビスマスとを含むはんだ層が形成されている金属層を有する導電性粒子であり、比重が6.5である導電性粒子に変更したこと以外は参考例7と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストの比重は、1.8であった。
(実施例12)
導電性粒子を、ジビニルベンゼン樹脂粒子(平均粒子径20μm)の表面に銅めっき層が形成されており、かつ該銅めっき層の表面にスズとビスマスとを含むはんだ層が形成されている金属層を有する導電性粒子であり、比重が2.0である導電性粒子に変更したこと以外は参考例7と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストの比重は、1.15であった。
(実施例13)
導電性粒子を、ジビニルベンゼン樹脂粒子(平均粒子径20μm)の表面にスズとビスマスとを含むはんだ層が形成されている金属層を有する導電性粒子であり、比重が4.0である導電性粒子に変更したこと以外は参考例7と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストの比重は、1.53であった。
(実施例14)
シリカフィラーの配合量を9重量部から2重量部、タルクの配合量を5重量部から1.5重量部、コアシェル粒子の配合量を6重量部から2重量部に変更したこと、並びに導電性粒子を、ジビニルベンゼン樹脂粒子(平均粒子径20μm)の表面に銅めっき層が形成されており、かつ該銅めっき層の表面にスズとビスマスとを含むはんだ層が形成されている金属層を有する導電性粒子であり、比重が3.5である導電性粒子に変更したこと以外は参考例7と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストの比重は、1.12であった。
(実施例15)
シリカフィラーの配合量を9重量部から25重量部、タルクの配合量を5重量部から20重量部、コアシェル粒子の配合量を6重量部から25重量部に変更したこと、および導電性粒子を、ジビニルベンゼン樹脂粒子(平均粒子径20μm)の表面に銅めっき層が形成されており、かつ該銅めっき層の表面にスズとビスマスとを含むはんだ層が形成されている金属層を有する導電性粒子であり、比重が3.5である導電性粒子に変更したこと以外は参考例7と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストの比重は、1.34であった。
(実施例16)
導電性粒子を、ジビニルベンゼン樹脂粒子(平均粒子径10μm)の表面に銅めっき層が形成されており、かつ該銅めっき層の表面にスズとビスマスとを含むはんだ層が形成されている金属層を有する導電性粒子であり、比重が5.5である導電性粒子に変更したこと以外は参考例7と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストの比重は、1.69であった。
(実施例17)
導電性粒子を、ジビニルベンゼン樹脂粒子(平均粒子径30μm)の表面に銅めっき層が形成されており、かつ該銅めっき層の表面にスズとビスマスとを含むはんだ層が形成されている金属層を有する導電性粒子であり、比重が3.2である導電性粒子に変更したこと以外は参考例7と同様にして、異方性導電ペーストを得た。得られた異方性導電ペーストの比重は、1.21であった。
なお、実施例8,10〜12,14,15、参考例9及び比較例3,4の導電性粒子の比重は、金属層の厚みのみを変えてを調整した。
(評価)
(1)粘度
E型粘度計(東機産業社製)を用いて、得られた異方性導電ペーストの25℃及び2.5rpmでの粘度η1と、25℃及び5.0rpmでの粘度η2とを測定した。
(2)貯蔵安定性
異方性導電ペーストを作成した後、25℃で72時間保管した。保管後に、異方性導電ペーストにおいて、導電性粒子が沈降しているか否かを目視で確認した。粒子が沈降していない場合を「○○」、粒子がわずかに沈降しているが使用上問題がない場合を「○」、粒子が多く沈降している場合を「×」と判定した。
(3)リークの有無
参考例1〜6及び比較例1,2の異方性導電ペーストを用いた接続構造体の作製:
L/Sが30μm/30μmのITO電極パターンを上面に有する透明ガラス基板を用意した。また、L/Sが30μm/30μmの銅電極パターンを下面に有する半導体チップを用意した。
上記透明ガラス基板の上面に、ディスペンサーのシリンジから、25℃で72時間保管した後の異方性導電ペーストを撹拌せずに厚さ30μmとなるように塗布し、異方性導電ペースト層を形成した。参考例1〜5及び比較例1,2の異方性導電ペーストを用いた場合には、異方性導電ペースト層に紫外線照射ランプを用いて、420nmの紫外線を光照射強度が50mW/cm2となるように照射し、光重合によって異方性導電ペースト層をBステージ化した。参考例6の異方性導電ペーストを用いた場合には、異方性導電ペースト層が形成された透明ガラス基板を100℃に熱したホットプレート上に1分間置いて、熱硬化によって異方性導電ペースト層をBステージ化した。
次に、Bステージ化された異方性導電ペースト層の上面に上記半導体チップを、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電ペースト層の温度が185℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、1MPaの圧力をかけて、Bステージ化された異方性導電ペースト層を185℃で完全硬化させ、接続構造体を得た。
実施例8,10〜17、参考例7,9及び比較例3,4の異方性導電ペーストを用いた接続構造体の作製:
L/Sが100μm/100μmのITO電極パターンを上面に有する透明ガラス基板
を用意した。また、L/Sが100μm/100μmの銅電極パターンを下面に有するフ
レキシブルプリント基板を用意した。これらの電極パターンは、くし歯状であり、電極同
士が対向するように透明ガラス基板とフレキシブルプリント基板とを積層しても、導通し
ない設計となっている。また、これらの電極パターンは、電極同士が対向するように透明
ガラス基板とフレキシブルプリント基板とを積層した場合に、デイジーチェーンとなり、
電極の始点と終点とで抵抗の測定が可能な設計となっている。
上記透明ガラス基板の上面に、ディスペンサーのシリンジから、25℃で72時間保管した後の異方性導電ペーストを撹拌せずに厚さ30μmとなるように塗布し、異方性導電ペースト層を形成した。次に、異方性導電ペースト層の上面に上記フレキシブルプリント基板を、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電ペースト層の温度が185℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、フレキシブルプリント基板の上面に加圧加熱ヘッドを載せ、1MPaの圧力をかけて、異方性導電ペースト層を185℃で完全硬化させ、接続構造体を得た。
リークの有無の評価:
得られた接続構造体を用いて、隣り合う電極20個においてリークが生じているか否かを、テスターで測定した。リークが生じていない場合を「○」、リークが生じている場合を「×」と判定した。
(4)導通の有無
上記(3)リークの有無の評価で得られた20個の接続構造体の上下の電極間の接続抵抗を、4端子法により測定した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流したときの電圧を測定することにより、接続抵抗を求めることができる。接続抵抗の平均値が10Ω以下である場合を「○」、接続抵抗の平均値が10Ωを超える場合を「×」と判定した。
(5)ボイドの有無
上記の評価で得られた接続構造体において、異方性導電ペースト層により形成された硬化物層にボイドが生じているか否かを、透明ガラス基板の下面側から目視により観察した。ボイドがない場合を「○○」、小さなボイドが1箇所のみにある場合を「○」、小さなボイドが2箇所以上ある場合を「△」、大きなボイドがあり使用上問題がある場合を「×」と判定した。
結果を下記の表1に示す。下記の表1において、「比重差の絶対値」は、異方性導電ペーストの比重と導電性粒子の比重との差の絶対値を示す。なお、参考例1〜7,9で用いた導電性粒子は融点が450℃を超える高融点金属層を有する上記第2の導電性粒子に相当し、実施例8,10〜17で用いた導電性粒子は融点が450℃以下である低融点金属層を有する上記第1の導電性粒子に相当する。