JP5859375B2 - 燃料供給装置 - Google Patents

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Description

本発明は、主として自動車等の車両に搭載される燃料タンク内の燃料を燃料タンク外へ供給する燃料供給装置に関する。
従来例の燃料供給装置としては、燃料タンク内に設けられた燃料ポンプと、燃料ポンプに吸入される燃料を濾過する袋状の濾過部材を有する燃料フィルタと、燃料ポンプから吐出された燃料の圧力を調整し、余剰燃料を排出する圧力制御弁と、圧力制御弁から排出された余剰燃料を燃料フィルタの濾過部材に誘導するリターン配管を設けたものがある(例えば特許文献1参照)。したがって、圧力制御弁から排出された余剰燃料をリターン配管を介して燃料フィルタの濾過部材に誘導することにより、燃料タンク内の燃料残量が少なくなったときの燃料ポンプに吸入される燃料の不足いわゆる燃欠を防止している。
特開2003−148267号公報 特開2004−218777号公報
前記従来例(特許文献1参照)によると、リターン配管が圧力制御弁側に備えた上流側の管部材(特許文献1における「余剰燃料排出管」が相当する)と、燃料フィルタ側に備えた下流側の管部材(同、「ハウジング」と、上流側の管部材と下流側の管部材とを接続するゴムホースとの計3部品により構成されている。したがって、リターン配管の構成部品点数が多く、また、ゴムホースを上流側の管部材及び下流側の管部材に接続しなければならず、組付性も悪いという問題があった。
なお、2つの管部材を相互に非接合状態で組付け、管部材の相互間の隙間によって両管部材の伸縮を吸収するようにした配管構造がある(例えば特許文献2参照)。しかしながら、その配管構造は、2つの管部材が共通の固定側部材(特許文献2における「外壁」が相当する)に支持されており、気温の変化による管部材の伸縮を吸収するものに過ぎない。これに対して、本発明は、2つの管部材が異なる固定側部材に支持される配管構造(リターン配管)を対象とするものである。
本発明が解決しようとする課題は、圧力制御弁から排出された余剰燃料を燃料フィルタの濾過部材に誘導するリターン配管の構成部品点数を削減し、組付性を向上することのできる燃料供給装置を提供することにある。
第1の発明は、燃料タンク内に設けられた燃料ポンプと、燃料ポンプに吸入される燃料を濾過する袋状の濾過部材を有する燃料フィルタと、燃料ポンプから吐出された燃料の圧力を調整し、余剰燃料を排出する圧力制御弁と、圧力制御弁から排出された余剰燃料を燃料フィルタの濾過部材に誘導するリターン配管とを備える燃料供給装置であって、リターン配管は、上流側の管部材と下流側の管部材とにより構成し、上流側の管部材は、圧力制御弁側の固定側部材に支持し、下流側の管部材は、燃料フィルタ側の固定側部材に支持し、下流側の管部材の出口端は、燃料フィルタの濾過部材に対して非接触位置に配置し、上流側の管部材と下流側の管部材とを隙間を介して相対移動可能に接続したものである。
この構成によると、圧力制御弁から排出された余剰燃料を燃料フィルタの濾過部材に誘導するリターン配管を上流側の管部材と下流側の管部材とにより構成し、上流側の管部材を圧力制御弁側の固定側部材に支持し、下流側の管部材を燃料フィルタ側の固定側部材に支持し、上流側の管部材と下流側の管部材とを隙間を介して相対移動可能に接続したものである。したがって、リターン配管が上流側の管部材と下流側の管部材との計2部品により構成されているため、従来例(特許文献1参照)に比べて、リターン配管の構成部品点数を削減し、また、ゴムホースを省略することによって、組付性を向上することができる。
また、上流側の管部材と下流側の管部材とを隙間を介して相対移動可能に接続したことによって、車両振動等による上流側の管部材と下流側の管部材との間に生じる軸方向及び径方向の相対移動を吸収することができる。このため、圧力制御弁側の固定側部材に対する上流側の管部材の支持部、及び、燃料フィルタ側の固定側部材に対する下流側の管部材の支持部に加わる応力集中を緩和することができる。
また、下流側の管部材を燃料フィルタ側の固定側部材に支持し、下流側の管部材の出口端を燃料フィルタの濾過部材に対して非接触位置に配置したことにより、車両振動等に影響されることなく、下流側の管部材の出口端と燃料フィルタの濾過部材との位置関係を一定に維持することができる。このため、燃料フィルタの濾過部材に対する余剰燃料の供給を安定化することができる。また、濾過部材に対する下流側の管部材の出口端の接触を回避し、その接触による濾過部材の破損を防止することができる。
第2の発明は、第1の発明において、上流側の管部材と下流側の管部材との接続部の相互間の隙間による洩れ通路に、少なくとも2つの絞り部を設け、2つの絞り部のうちの下流側の絞り部における通路断面積を、上流側の絞り部における通路断面積よりも小さく設定したものである。したがって、少なくとも2つの絞り部によって、洩れ通路を流れる余剰燃料の圧損が段階的に増加する。このため、洩れ通路から外部への余剰燃料の洩れを防止することができる。
第3の発明は、第2の発明において、上流側の絞り部と下流側の絞り部との間に、両絞り部における通路断面積よりも大きい通路断面積を有する容積室を設けたものである。したがって、洩れ通路における上流側の絞り部と下流側の絞り部との間に設けた容積室に余剰燃料を溜めることによって、洩れ通路を流れる余剰燃料の圧損が増加する。このため、洩れ通路から外部への余剰燃料の洩れを防止することができる。
第4の発明は、第1〜3のいずれかの発明において、上流側の管部材の下流側端部の通路断面積を、該管部材の上流側端部の通路断面積よりも小さく設定したものである。したがって、上流側の管部材の下流側端部から下流側の管部材へ流出する余剰燃料の流速が高まることにより、両管部材の接続部の相互間の隙間による洩れ通路の入口部付近に作用する負圧が高まる。このため、洩れ通路から外部への余剰燃料の洩れを抑制することができる。
実施形態1にかかる燃料供給装置を示す斜視図である。 燃料供給装置を一部破断して示す正面図である。 燃料供給装置を示す平面図である。 燃料供給装置を示す底面図である。 圧力制御弁の周辺部を示す断面図である。 リターン配管の第1管部材と第2管部材とを分解して示す斜視図である。 リターン配管の第1管部材と第2管部材との接続部を示す断面図である。 実施形態2にかかるリターン配管の第1管部材の周辺部を示す断面図である。
以下、本発明を実施するための一実施形態について図面を用いて説明する。
[実施形態1]
実施形態1を説明する。本実施形態では、車両(例えば二輪自動車)における燃料タンク内の燃料をエンジン(内燃機関)へ供給するポンプモジュールとしての燃料供給装置を例示する。説明の都合上、燃料供給装置の概要から説明する。図1は燃料供給装置を示す斜視図、図2は同じく一部破断して示す正面図、図3は同じく平面図、図4は同じく底面図である。なお、図2の正断面図における上下左右を基準として、燃料供給装置の説明を行う。
図2に示すように、燃料供給装置10は、燃料タンク11の底部に装着される底付けタイプの燃料供給装置である。燃料タンク11の底部すなわち底壁11aには、円形の開口孔からなる開口部11bが形成されている。また、燃料供給装置10は、蓋部材12、燃料ポンプ14、ケーシング16、燃料フィルタ18、圧力制御弁20、センダゲージ22(図1参照)等をモジュール化してなる。蓋部材12は、樹脂製で、円板状に形成されている(図3及び図4参照)。蓋部材12は、前記燃料タンク11の底壁11aに対して開口部11bを塞ぐように装着されている(図2参照)。
図1に示すように、前記蓋部材12には、燃料吐出管24、燃料通路形成部26、第1電気コネクタ28、第2電気コネクタ30(図4参照)等が一体形成されている。図2に示すように、燃料吐出管24は、蓋部材12の下面側にL字管状に形成されている。また、燃料通路形成部26は、蓋部材12上に縦管状に形成されている。燃料通路形成部26内の燃料通路32は、燃料吐出管24内の管路と連通されている。また、燃料通路形成部26の右側部には、右方に開口するポンプ接続口34が形成されているとともに、ポンプ接続口34の周りを取り囲む円筒状のケーシング接続筒部36が形成されている。
前記燃料ポンプ14は、円筒状のポンプハウジング38内に、電動式のモータ部とインペラ式のポンプ部とが軸方向に並設する状態で一体的に組込まれたインタンク式のウエスコ型電動ポンプである。ポンプハウジング38は、モータ部を左方に向ける一方、ポンプ部を右方に向けた横置き状態で配置されている。また、ポンプハウジング38のポンプ部側の外端面(右端面)には吸入口39が突出状に形成されている。また、ポンプハウジング38のモータ部側の外端面(左端面)には、吐出口40が突出状に形成されている。燃料ポンプ14は、モータ部の駆動によってポンプ部において吸入口39から吸入した燃料を昇圧した後、吐出口40から吐出する。
前記ケーシング16は、樹脂製で、有底円筒状に形成されている。ケーシング16内には、前記燃料ポンプ14がポンプ部側から挿入されることにより保持されている。ケーシング16の底部には、吸入口39を嵌合により接続するフィルタ接続口42が形成されている。燃料ポンプ14を保持したケーシング16の開口側端部すなわち左端部は、前記蓋部材12のケーシング接続筒部36に対してスナップフィットにより連結されている。これにともない、燃料ポンプ14の吐出口40が前記ポンプ接続口34に嵌合により接続されている。吐出口40とポンプ接続口34との間はOリング41によりシールされている。また、燃料ポンプ14の吸入口39がフィルタ接続口42に嵌合により接続されている。このようにして、燃料ポンプ14が、蓋部材12にモジュール化されているとともに、前記燃料タンク11内の底部に対して横置き状態(水平状態)で配置されている。なお、ケーシング16のフィルタ接続口42に接続される燃料フィルタ18については後で説明する。
図1に示すように、前記ケーシング16の前側面には、センダゲージ22が装着されている。センダゲージ22には、右方へ延びるアーム44を介してフロート45が接続されている。センダゲージ22は、燃料タンク11内の燃料残量に応じて上下するフロート45の位置を燃料残量信号として出力する。また、前記蓋部材12の第1電気コネクタ28には、燃料ポンプ14の電気配線とつながる第1リード線47が電気的に接続されている。また、第2電気コネクタ30には、センダゲージ22の電気配線とつながる第2リード線49が電気的に接続されている(図3参照)。各電気コネクタ28,30の下端部には、電源、ECU等につながる外部コネクタ(図示省略)がそれぞれ電気的に接続可能となっている。また、前記燃料吐出管24の出口側の端部24aには、内燃機関のインジェクタにつながる燃料供給配管(図示省略)が接続可能となっている。また、図2に示すように、前記蓋部材12の燃料通路形成部26の上端開口部内には、前記圧力制御弁20が嵌合されている。燃料通路形成部26には、圧力制御弁20を抜け止めする抜け止め部材を兼用する第1管部材52がスナップフィットにより連結されている。図5は圧力制御弁の周辺部を示す断面図である。なお、第1管部材52については後で説明する。
図5に示すように、前記圧力制御弁20は、例えばリリーフバルブ式のプレッシャレギュレータである。圧力制御弁20は、有底円筒状の弁ハウジング54を有する。弁ハウジング54の底部には燃料導入口55が同心状に形成されている。弁ハウジング54内には、ボール弁57、ボール弁57上に配置されたスプリングシート59と、スプリングシート59に嵌合された圧縮コイルスプリングからなるバルブスプリング61が組込まれた後、ストッパリング63が装着されている。バルブスプリング61は、スプリングシート59とストッパリング63との間に介装され、スプリングシート59及びボール弁57を閉弁方向(下方)へ付勢している。ストッパリング63は、弁ハウジング54の上端開口部に配置されている。ストッパリング63の中空孔が余剰燃料吐出口64になっている。また、スプリングシート59の上端面には、突出ピン60が同心状に突出されている。突出ピン60は、ストッパリング63の余剰燃料吐出口64の中心部を上方へ貫通している。突出ピン60は、余剰燃料吐出口64から排出された余剰燃料の流れを整流する。また、燃料通路形成部26と弁ハウジング54との間はOリング65によりシールされている。圧力制御弁20は、前記燃料通路形成部26内の燃料通路32の燃料の圧力すなわち前記燃料ポンプ14の吐出口40から吐出された燃料の圧力を調整しかつ余剰燃料を余剰燃料吐出口64から吐出すなわち排出する。
次に、前記燃料フィルタ18を説明する。図1に示すように、燃料フィルタ18は、濾過部材67と取付管69とを備えるフィルタ(「吸入フィルタ」とも呼ばれる)からなる。濾過部材67は、例えばメッシュ材により扁平な横長四角形袋状に形成されている。また、濾過部材67は、扁平方向(厚さ方向)を前後方向に向けた状態で配置されている。また、濾過部材67の前側面の中央部に取付管69が設けられている。取付管69は、樹脂製で、L字管状に形成されている。取付管69は、前後方向に延びる基管部69aと、基管部69aの前端部から左方へ延びる先管部69bとを有する。基管部69aの後端部は、濾過部材67の前側面と接続されており、基管部69a内と濾過部材67内とが連通されている。また、濾過部材67内には、濾過部材67を膨大状態(膨らんだ状態)に保持する樹脂製のフレーム部材(図示省略)が設けられている。フレーム部材には、基管部69aが一体化されている。また、取付管69の先管部69bは、前記ケーシング16のフィルタ接続口42に嵌合により接続されている(図2参照)。取付管69とケーシング16とは、スナップフィットにより一体的に連結されている。
続いて、前記燃料供給装置10の作動について説明する(図2参照)。外部電源の電力が蓋部材12の第1電気コネクタ28から第1リード線47を介して燃料ポンプ14のモータ部に供給されることによりポンプ部が駆動される。すると、燃料タンク11内の燃料が燃料フィルタ18の濾過部材67により濾過された後、取付管69、及び、ケーシング16のフィルタ接続口42を介して、燃料ポンプ14の吸入口39からポンプ部に吸入される。燃料ポンプ14のポンプ部に吸入された燃料は、昇圧された後、吐出口40から蓋部材12の燃料通路形成部26の燃料通路32内へ吐出される。燃料通路32内に吐出された燃料は、燃料吐出管24内を通じてタンク外の燃料供給配管を介してエンジンに供給される。
前記燃料通路32の燃料の圧力は、圧力制御弁20(図5参照)により所定の圧力に調整される。すなわち、燃料通路32における燃料の圧力がバルブスプリング61の弾性力よりも低いときには、ボール弁57が閉じられる。また、燃料通路32の燃料の圧力がバルブスプリング61の弾性力よりも高くなったときは、その燃料の圧力でボール弁57が開かれる。したがって、余剰燃料が、弁ハウジング54内の空間部を通って余剰燃料吐出口64から吐出(排出)される。これによって、燃料通路32の燃圧が常に一定になるように調整される。
次に、前記燃料供給装置10に設けられたリターン配管73について説明する(図2参照)。リターン配管73は、前記圧力制御弁20から排出された余剰燃料を前記燃料フィルタ18の濾過部材67に誘導するための配管である。図6はリターン配管の上流側の管部材と下流側の管部材とを分解して示す斜視図、図7はリターン配管の上流側の管部材と下流側の管部材との接続部を示す断面図である。
図2に示すように、リターン配管73は、前記第1管部材52と第2管部材75とにより構成されている。図6に示すように、第1管部材52は、樹脂製で、有天円筒状のカバー部77と、カバー部77の上端部から右方へ直管状に延びる第1管部79とを有する。図5に示すように、カバー部77は、前記蓋部材12の燃料通路形成部26の上端部に対してスナップフィットにより固定的に連結されている。また、第1管部79は所定の剛性を有する。第1管部79の上流側端部すなわち基端部(左端部)の下壁部79aには、入口孔80が形成されている。入口孔80は、前記圧力制御弁20の余剰燃料吐出口64と第1管部79内の管路とを連通している。入口孔80は、余剰燃料吐出口64と同心状に配置されている。また、圧力制御弁20の弁ハウジング54と下壁部79aとの対向面間には、両者間をシールするシールリング82が介装されている。
図2に示すように、前記第1管部79の先端部すなわち下流側端部の開口部は出口孔81となっている。また、第1管部79の先端部(右端部)は、中空円筒状の差口部83とされている(図7参照)。差口部83は、第2管部材75の受口部97(後述する)と接続される。また、図6に示すように、カバー部77の右側部には、前記第1リード線47を掛止するためのフック部85が形成されている。また、第1管部79の基端部上には、前記第2リード線49を掛止するためのフック部86が形成されている。また、第1管部79上には、フック部86の右方近くに位置する突起87が形成されている。突起87は、フック部86に対する他部材の干渉を防止し、その干渉からフック部86を保護する。なお、燃料通路形成部26は本明細書でいう「圧力制御弁側の固定側部材」に相当する。また、第1管部材52は本明細書でいう「上流側の管部材」に相当する。
図6に示すように、前記第2管部材75は、樹脂製で、屈曲管状の第2管部90と、第2管部90の一端部(右端部)に形成された取付部92とを有する。第2管部90は、左右方向に延びる直管状の直管状部94と、直管状部94の一端部(右端部)から右下後方へ傾斜状に延びる直管状の傾斜管状部95とを有する。第2管部90は所定の剛性を有する。また、図2に示すように、第2管部90の他端部(左端部)は、中空円筒状の受口部97とされている。受口部97は、前記第1管部材52の第1管部79の差口部83と接続される。受口部97は、差口部83を所定の隙間を介して接続すなわち受入可能な中空円筒状に形成されている(図7参照)。すなわち、図7に示すように、受口部97は、直管状部94における受口部97を除いた残りの管部分94aに比べて大径化されている。また、直管状部94における受口部97と管部分94aとの間には、テーパ状の徐変筒部94bが形成されている。また、管部分94aは、第1管部材52の第1管部79の差口部83の通路断面積よりも小さく設定されている。
図6に示すように、取付部92は、弾性を有するC字環状に形成されている。取付部92は、前記燃料フィルタ18の取付管69の基管部69aに対してその右方からスナップフィットにより固定的に連結されている。なお、燃料フィルタ18の取付管69は本明細書でいう「燃料フィルタ側の固定側部材」に相当する。
また、燃料フィルタ18の取付管69の基管部69aに対する取付部92の連結に際し、第1管部材52の第1管部79の差口部83が受口部97内に差込まれることにより、差口部83と受口部97とが接続されている(図2参照)。これにより、圧力制御弁20から排出された余剰燃料を燃料フィルタ18の濾過部材67に誘導するリターン配管73が構成されている。リターン配管73内には、余剰燃料が流れる一連の余剰燃料通路98が形成されている。また、差口部83と受口部97とは、所定の隙間を介して接続されることにより、軸方向及び径方向に相対移動可能に接続されている。また、差口部83と受口部97との相互間の隙間により円筒状の洩れ通路100が形成されている(図7参照)。なお、第2管部材75は本明細書でいう「下流側の管部材」に相当する。また、差口部83と受口部97は本明細書でいう「上流側の管部材と下流側の管部材との接続部」に相当する。
図3に示すように、前記第2管部90の傾斜管状部95の出口端99は、前記燃料フィルタ18の濾過部材67の表面すなわち前側面に対して対向する非接触位置に配置されている。すなわち、濾過部材67の前側面と出口端99との間には所定隙間Sが確保されている。また、出口端99は、濾過部材67の前側面に対して平行又は略平行をなすように、傾斜管状部95の軸線に対して斜めに形成されている。また、出口端99は、濾過部材67の前側面における取付管69の基管部69aの近傍部位に対向されている。
図7に示すように、前記洩れ通路100には、2つの絞り部101,102が所定間隔を隔てて形成されている。洩れ通路100の上流側(図7において右側)に位置する絞り部を「第1絞り部101」といい、その下流側(同じく左側)に位置する絞り部を「第2絞り部102」という。第1絞り部101は、前記受口部97の奥端部(図7において右端部)に形成されている。また、第1絞り部101は、受口部97の第1絞り部101を除いた残りの部分の内周面97aよりも小さい内径の内周面101aを有する。
前記第2絞り部102は、前記差口部83の奥端部(図7において左端部)に形成され、差口部83の第2絞り部102を除いた残りの部分の外周面83aよりも大きい外径の外周面102aを有する。また、第2絞り部102における通路断面積は、第1絞り部101における通路断面積よりも小さく設定されている。また、第1絞り部101と第2絞り部102との間には、両絞り部101,102における通路断面積よりも大きい通路断面積を有する容積室104が形成されている。容積室104は、差口部83の外周面83aと受口部97の内周面97aとの間の隙間に形成されている。
前記燃料供給装置10によると、圧力制御弁20から排出された余剰燃料を燃料フィルタ18の濾過部材67に誘導するリターン配管73を第1管部材52と第2管部材75とにより構成し、第1管部材52を蓋部材12の燃料通路形成部26に支持し、第2管部材75を燃料フィルタ18の取付管69に支持し、第1管部材52と第2管部材75とを隙間を介して相対移動可能に接続したものである。したがって、リターン配管73が第1管部材52と第2管部材75との計2部品により構成されているため、従来例(特許文献1参照)に比べて、リターン配管73の構成部品点数を削減し、また、ゴムホースを省略することによって、組付性を向上することができる。
また、第1管部材52と第2管部材75とを隙間(洩れ通路100)を介して相対移動可能に接続したことによって、車両振動等による第1管部材52と第2管部材75との間に生じる相対移動(詳しくは、軸方向及び径方向並びに傾き方向の相対移動)を吸収することができる。このため、燃料通路形成部26に対する第1管部材52の支持部、及び、取付管69に対する第2管部材75の支持部に加わる応力集中を緩和することができる。
また、第2管部材75を燃料フィルタ18の取付管69に支持し、第2管部材75の出口端99を燃料フィルタ18の濾過部材67に対して非接触位置に配置したことにより、車両振動等に影響されることなく、第2管部材75の出口端99と燃料フィルタ18の濾過部材67との位置関係を一定に維持することができる。このため、燃料フィルタ18の濾過部材67に対する余剰燃料の供給を安定化することができる。また、濾過部材67に対する第2管部材75の出口端99の接触を回避し、その接触による濾過部材67の破損を防止することができる。
また、第2管部材75の出口端99が、濾過部材67の前側面における取付管69の基管部69aの近傍部位に対向されている。このため、余剰燃料を濾過部材67の前側面における取付管69の基管部69aの近傍部位にかけることができる。このため、濾過部材67にかけられた余剰燃料を取付管69から燃料ポンプ14に効率良く吸入することができる。これにより、余剰燃料の供給ロス(余剰燃料の供給洩れ、余剰燃料の供給の遅れ等)を防止し、燃欠を良好に防止することができる。
また、第1管部材52の差口部83と第2管部材75の受口部97との相互間の隙間による洩れ通路100に2つの絞り部101,102を設け、第2絞り部102における通路断面積を、第1絞り部101における通路断面積よりも小さく設定したものである。したがって、2つの絞り部101,102によって、洩れ通路100を流れる余剰燃料の圧損が段階的に増加する。このため、洩れ通路100から外部への余剰燃料の洩れを防止することができる。
また、第1絞り部101と第2絞り部102との間に、両絞り部101,102における通路断面積よりも大きい通路断面積を有する容積室104を設けたものである。したがって、洩れ通路100における第1絞り部101と第2絞り部102との間に設けた容積室104に余剰燃料を溜めることによって、洩れ通路100を流れる余剰燃料の圧損が増加する。このため、洩れ通路100から外部への余剰燃料の洩れを防止することができる。
[実施形態2]
本発明の実施形態2を説明する。本実施形態は、前記実施形態1に変更を加えたものであるから、その変更部分について説明し、重複する説明は省略する。図8はリターン配管の第1管部材の周辺部を示す断面図である。
本実施形態は、図8に示すように、第1管部材52の第1管部79の下流側端部内に絞り部106を形成している。絞り部106は、第1管部79の差口部83の絞り部106を除いた残りの部分の内周面83bよりも小さい内径の内周面106aを有する。これにより、第1管部材52の第1管部79の絞り部106内の出口孔(符号、108を付す)の通路断面積が、前記第1管部79の入口孔80の通路断面積よりも小さく設定されている。したがって、第1管部材52の出口孔108から第2管部材75へ流出する余剰燃料の流速が高まることにより、洩れ通路100の入口部付近に作用する負圧が高まる。このため、洩れ通路100から外部への余剰燃料の洩れを抑制することができる。
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更が可能である。例えば、洩れ通路100の絞り部は、3つ以上設けてもよい。また、圧力制御弁20は、リリーフバルブ式に限らず、ダイアフラム式のプレッシャレギュレータを用いてもよい。
10…燃料供給装置
11…燃料タンク
14…燃料ポンプ
18…燃料フィルタ
20…圧力制御弁
26…燃料通路形成部(圧力制御弁側の固定側部材)
52…第1管部材(上流側の管部材)
67…濾過部材
69…取付管(燃料フィルタ側の固定側部材)
73…リターン配管
75…第2管部材(下流側の管部材)
80…入口孔
81…出口孔
83…差口部
97…受口部
99…出口端
100…洩れ通路
101…第1絞り部(上流側の絞り部)
102…第2絞り部(下流側の絞り部)
104…容積室
108…出口孔

Claims (4)

  1. 燃料タンク内に設けられた燃料ポンプと、
    前記燃料ポンプに吸入される燃料を濾過する袋状の濾過部材を有する燃料フィルタと、
    前記燃料ポンプから吐出された燃料の圧力を調整し、余剰燃料を排出する圧力制御弁と、
    前記圧力制御弁から排出された余剰燃料を前記燃料フィルタの濾過部材に誘導するリターン配管と
    を備える燃料供給装置であって、
    前記リターン配管は、上流側の管部材と下流側の管部材とにより構成し、
    前記上流側の管部材は、前記圧力制御弁側の固定側部材に支持し、
    前記下流側の管部材は、前記燃料フィルタ側の固定側部材に支持し、
    前記下流側の管部材の出口端は、前記燃料フィルタの濾過部材の表面に対して隙間を介して対向する非接触位置に配置し、
    前記上流側の管部材と前記下流側の管部材とを隙間を介して軸方向及び径方向に相対移動可能に接続した
    ことを特徴とする燃料供給装置。
  2. 請求項1に記載の燃料供給装置であって、
    前記上流側の管部材と前記下流側の管部材との接続部の相互間の隙間による洩れ通路に、少なくとも2つの絞り部を設け、
    前記2つの絞り部のうちの下流側の絞り部における通路断面積を、上流側の絞り部における通路断面積よりも小さく設定した
    ことを特徴とする燃料供給装置。
  3. 請求項2に記載の燃料供給装置であって、
    前記上流側の絞り部と前記下流側の絞り部との間に、両絞り部における通路断面積よりも大きい通路断面積を有する容積室を設けたことを特徴とする燃料供給装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の燃料供給装置であって、
    前記上流側の管部材の下流側端部の通路断面積を、該管部材の上流側端部の通路断面積よりも小さく設定したことを特徴とする燃料供給装置。
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