JP5858872B2 - 取鍋に施工した不定形耐火物の乾燥方法 - Google Patents
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Description
特許文献1では、蒸気孔を有しない鉄皮構造の密閉容器にライニングした耐火物を加熱・乾燥するに際して、該密閉容器の底部鉄皮に設けた吸引孔を介して強制吸引しつつ加熱・乾燥している。
その他に、不定形耐火物などを乾燥させる方法として、特許文献3〜5に示すものがある。
敷部の鉄皮の厚みが50〜95mmで且つ前記鉄皮の稼働面に定形の耐火物で構成されたパーマ煉瓦が施工された溶鋼取鍋に不定形耐火物を施工するに際し、前記敷部の不定形耐火物の施工厚みを150〜350mmとし、前記敷部に施工する不定形耐火物の含有水分量を5〜6質量%としておき、敷部に施工した不定形耐火物の乾燥は、式(1)〜式(3)を満たした時点で終了することを特徴とする。
50≦鉄皮温度T(℃)≦100 ・・・(2)
T×t≧−0.0241×(ρ×S)+2345.9 ・・・(3)
ただし、
乾燥時間t(h):加熱乾燥を初めて不定形耐火物の背面温度が100℃に達する時間
ρ:敷部の鉄皮に設けられた蒸気孔占有密度(個/m2)、1<ρ<250
S:単位個数当たりの蒸気孔面積(mm2/個)、50<S<350
製鋼工程では、電気炉や転炉で精錬した溶鋼を取鍋に出鋼して、取鍋を二次精錬設備に搬送し、二次精錬設備にて溶鋼の介在物除去や成分調整などの精錬を行う。また、二次精錬設備にて精錬を終了後、取鍋は連続鋳造装置に搬送され、連続鋳造装置にて取鍋内の溶鋼を鋳片に鋳造される。このように、取鍋は、製鋼工程にて溶鋼を搬送するために使用され、転炉から連続鋳造装置までの取鍋の搬送回数は、1回〜120程度であり、高温の溶鋼を受鋼することから、取鍋内には耐火物が施工されている。
取鍋1は、本体を構成する上部が開放となった円柱状の鉄皮2を備えている。この鉄皮2の稼働面側(溶鋼が入る側)には、定形の耐火物で構成された第1パーマ煉瓦3が施工されている。鉄皮2内において、鉄皮2の胴部4に対応する部分には、第1パーマ煉瓦3に続き、さらに当該第1パーマ煉瓦3の内側に2層目となる第2パーマ煉瓦5が施工されている。また、鉄皮2内において、鉄皮2の敷部6及び鉄皮2の胴部4に対応する部分には、不定形耐火物であるキャスタブル7が施工されている。
本発明では、取鍋1内に施工される耐火物(キャスタブル7、パーマ煉瓦3、5、マグカーボン9)のうち、敷部6に施工する不定形耐火物(キャスタブル7)の施工に関して着目したものである。
図2に示すように、敷部6にキャスタブル7を施工するには、まず、アルミナセメントに水を加えて、アルミナセメントと水とを混練することにより、施工用のキャスタブル7を構成する(混練工程)。その後、施工用のキャスタブル7を取鍋1内に施工し(施工工程)、耐火物の施工の終了後にキャスタブル7を乾燥させ(乾燥工程)、キャスタブル7の乾燥後に加熱工程に進む。
施工工程では、取鍋1の使用状況を考慮して敷部6に施工するキャスタブル7の厚みを決定し、敷部6にキャスタブル7を施工することとしている。即ち、取鍋1の敷部6は、転炉から出鋼された溶鋼が衝突するところであり、溶鋼が衝突する部分のキャスタブル7は傷みやすい。このようなことから、施工工程では、敷部6の中央部(装入された溶鋼が当たる湯当たり部10)の厚みが他の部分よりも大きくなるように、敷部6にキャスタブル7を施工することとしている。敷部6におけるキャスタブル7の最大厚み(湯当部の厚み)は、150〜350mmとしている。
(ii)2CA+11H→C2AH8+AH3
(iii)3CA+12H→C3AH6+2AH3
具体的には、乾燥工程では、施工工程後(キャスタブル7の施工後)、ガスバーナー11を取鍋1の上方から挿入し、ガスバーナー11へCOG(Coke Oven Gas)を供給して燃焼させることによりキャスタブル7を乾燥させる。図3に示すように、例えば、乾燥域(乾燥処理)では、ガスバーナー11のCOG流量を少なく、後述するように、加熱域(加熱処理)では、ガスバーナー11のCOG流量を多くする。
上述したように、ガスバーナー11等によって乾燥処理を行ったとき、キャスタブル7から水蒸気が発生する。キャスタブル7の表面付近の水蒸気は、キャスタブル7の表面から蒸発して抜けていくが、キャスタブル7の内部、特に、鉄皮2に近い部分では、水蒸気が上方へ抜けにくい。そのため、取鍋1の敷部6に対応する鉄皮(敷部鉄皮)2Aには、乾燥処理時における水蒸気を逃がすための蒸気孔(鉄皮2を貫通させた孔)12が設けられている。
25≦乾燥時間t(h)≦50 ・・・(1)
50≦鉄皮温度T(℃)≦100 ・・・(2)
T×t≧−0.0241×(ρ×S)+2345.9 ・・・(3)
上述したように、敷部6に施工したキャスタブル7の厚みが150〜350mmで且つキャスタブル7に含まれる水分含有量が5〜6質量%である場合、キャスタブル7の背面温度が水分の蒸発温度となる100℃に達した時点で、キャスタブル7中の水分が水蒸気となり、脱水開始となる。敷部6に施工したキャスタブル7の最大厚みが150mmの場合、当該キャスタブル7の背面温度が100℃に達するには、乾燥処理を開始してから25時間必要である。また、敷部6に施工したキャスタブル7の最大厚みが350mmの場合、当該キャスタブル7の背面温度が100℃に達するには、乾燥処理を開始してから50時間必要である。このようなことから、式(1)に示すように、乾燥時間は、25時間以上50時間以下としている。
詳しくは、敷部6の鉄皮2の厚みが95mmで最大である場合であって、キャスタブル7の背面温度が100℃となるときの敷部鉄皮2Aの温度(鉄皮温度)は50℃である。また、敷部6の鉄皮2の厚みが95mmで最大である場合であって、キャスタブル7の背面温度が360℃となるときの敷部鉄皮2Aの温度(鉄皮温度)は、100℃である。このようなことから、式(2)に示すように、鉄皮温度(敷部鉄皮2Aの温度)は、50℃以上100℃以下としている。
さて、蒸気孔12の個数が少なかったり、蒸気孔12が非常に小さい場合は、上述したように乾燥時間や鉄皮温度を規定したうえで乾燥処理を行ったとしても、キャスタブル7中の水蒸気が蒸気孔12から外部へ十分に抜けず、キャスタブル7の乾燥状態(脱水状態)を判定することは難しくなる。このようなことから、本発明では、上述したように、乾燥時間と鉄皮温度とを掛け合わせた値を乾燥度とし、この乾燥度と、蒸気孔12を規定した単位個数当たりの蒸気孔12面積S及び蒸気孔12占有密度ρとの関係を検証した。図5は、鉄皮温度と乾燥時間とを掛け合わせた値(乾燥度)と、蒸気孔12面積Sと蒸気孔12占有密度ρとを掛け合わせた値(孔指数)との結果を示したものである。
表2、3は、本発明の取鍋に施工した不定形耐火物の乾燥方法を実施した実施例と、本発明とは異なる方法を実施した比較例とをまとめたものである。
また、実施例及び比較例では、キャスタブル7の背面に水分センサを設置し、図6に示すように、水分センサの抵抗値が10kΩ以上になったときに、キャスタブル7が乾燥しているとした。キャスタブル7を乾燥させている状況下では、キャスタブル7中に含まれる水分は、液体から水蒸気に変化する。この過程では、水分の蒸発によってキャスタブル7の内部に水蒸気圧力が発生し、この水蒸気圧力が高い場合には、キャスタブル7の爆裂が発生する可能性があることから、キャスタブル7の爆裂の有無を目視にて確認した。図7に示すように、例えば、範囲Aは、キャスタブル7の爆裂が発生してキャスタブル7が飛散した状況(キャスタブル7の剥離)を示しており、このような場合は、キャスタブル7の爆裂を有り(飛散[×])とし、範囲Aのような部分が無い場合は、キャスタブル7の爆裂を無し(非飛散[○])とした。
以上、本発明によれば、敷部の鉄皮の厚み、敷部の不定形耐火物の施工厚み、不定形耐火物の含有水分量を5〜6質量%を規定したうえで、上述した式(1)〜式(3)を満たした時点で終了して、さらに取鍋の使用に備えて、加熱を行っているため、取鍋の敷部に施工した不定形耐火物を適正に乾燥することができて不定形耐火物の剥離を防止することができる。
2 鉄皮
3 第1パーマ煉瓦
4 胴部
5 第2パーマ煉瓦
6 敷部
7 キャスタブル(不定形耐火物)
8 排出口
9 スラグライン部
10 湯当たり部
11 ガスバーナー
12 蒸気孔
Claims (1)
- 敷部の鉄皮の厚みが50〜95mmで且つ前記鉄皮の稼働面に定形の耐火物で構成されたパーマ煉瓦が施工された溶鋼取鍋に不定形耐火物を施工するに際し、前記敷部の不定形耐火物の施工厚みを150〜350mmとし、前記敷部に施工する不定形耐火物の含有水分量を5〜6質量%としておき、敷部に施工した不定形耐火物の乾燥は、式(1)〜式(3)を満たした時点で終了することを特徴とする取鍋に施工した不定形耐火物の乾燥方法。
25≦乾燥時間t(h)≦50 ・・・(1)
50≦鉄皮温度T(℃)≦100 ・・・(2)
T×t≧−0.0241×(ρ×S)+2345.9 ・・・(3)
ただし、
乾燥時間t(h):加熱乾燥を初めて不定形耐火物の背面温度が100℃に達する時間
ρ:敷部の鉄皮に設けられた蒸気孔占有密度(個/m2)、1<ρ<250
S:単位個数当たりの蒸気孔面積(mm2/個)、50<S<350
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