JP5857793B2 - 通信端末及びセンサネットワーク - Google Patents
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Description
尚、各種センサと通信に必要な電力を得るための一つの方法として、センサ側に電池を搭載することがあげられる。しかし、電池には寿命があること、交換の手間がかかること、アプリによっては電池搭載や電池交換が難しい場合があることから、電池を使用しないで動作させることが望まれている。
近年、振動や光、熱エネルギーから電力を得るエネルギーハーベスティング技術が注目されているが、得られる電力量が小さい点や、必要な時に必要な電力を得られる保証がない、といった欠点がある。
また、RF−IDでよく用いられる電磁誘導結合によって、リーダ(読み取り機器)からトランスポンダ(カード)に電力供給と同時に通信をおこなう技術が知られている。しかし、電磁誘導結合の有効範囲は、例えば、自動改札機等では10cm程度であり、センサネットワーク用途には距離が短すぎるといった問題がある。
送信装置に関する従来技術として特許文献1には、送信に必要な電力を少なくする目的で、アンテナの反射率を変更することで情報を送信する技術が開示されている。
また、センサネットワークへの応用を考慮した例として、非特許文献1では、子機にて受信信号を元に2倍の周波数を作り出し、これを搬送波として送信信号を重畳させる方式を提案している。また、非特許文献2では、子機から親機への送信時に、別途親機から子機に狭帯域信号を送信し、子機ではその受信信号を搬送波として広帯域送信信号を生成する方式を提案している。
また、技術的な課題として、子機から親機への送信には、搬送波として周波数が正確で高周波のクロックが必要であるが、これを低消費電力で生成する回路の実現が困難である。通常、無線通信では、水晶振動子の発振を利用した正確なクロックを基準として、位相同期ループ回路を利用して搬送波周波数のクロックを生成する手法が一般的である。しかし、センサネットワークを構成する子機では、全回路を数μW程度で動作させることが必要条件となるため、そのような手法を採用することが難しい。
また、特許文献1に開示されている従来技術は、少ない電力で送信信号を生成する点では本発明と類似しているが、送信距離を伸ばすために、電波の反射ではなく、子機から電波を発する方式を採る必要があり、小型化や低コスト化が難しいといった問題がある。
更に、非特許文献1及び2に開示されている従来技術は、親機から子機と、子機から親機への通信は別々のアンテナでおこなっており、小型化や低コスト化が難しい。また、製品化に当たっては電波法等の規制をクリアすることが難しいといった問題がある。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、センサネットワークを構成する親機、子機において、親機から子機への通信と子機から親機への通信を単一のアンテナでおこなうことにより、モジュールのサイズを小型化し、且つ低コストを実現した通信端末を提供することを目的とする。
AC電源1が正の電圧を出力するとき、ダイオード2、負荷6、ダイオード5の順に電流a(点線の電流)が流れ、AC電源1が負の電圧を出力するとき、ダイオード4、負荷6、ダイオード3の順に電流b(一点鎖線の電流)が流れる。このため、負荷6には常に同じ方向に電流a、bが流れ、ACをDCに変換することができる。
アンテナ7で図示しない親機からの電波を受信する。受信信号は、バラン8により不平衡信号から平衡信号に変換される。トランジスタ9、10、11、12は、ゲート端子が容量13、14、15、16によってノード27または28とAC結合しており、同じく抵抗17、18、19、20によってバイアス回路21とDC結合している。これにより、トランジスタ9、10、11、12は、それぞれ図1のダイオード2、3、4、5に相当する動作をする。即ち、ノード27に正の電圧、ノード28に負の電圧がかかっているとき、トランジスタ9、12はオンし、トランジスタ10、11はオフすることによって、トランジスタ9、負荷22、トランジスタ12の順に電流a(点線の電流)が流れる。 またノード28に正の電圧、ノード27に負の電圧がかかっているとき、トランジスタ10、11はオンし、トランジスタ9、12はオフすることによって、トランジスタ10、負荷22、トランジスタ11の順に電流b(一点鎖線の電流)が流れる。また、バイアス回路21によってトランジスタ9、10、11、12は抵抗17、18、19、20を介して適切にバイアスされている。
これを防ぐために、インダクタ23及び可変容量24、25からなる整合回路26によって、定められた受信周波数近辺におけるリアクタンス成分を打ち消す。RF−DC変換回路の入力インピーダンスのリアクタンス成分は、デバイスのプロセスばらつきや動作温度、電源電圧等によって変動するため、可変容量24、25を調節することが必要である。即ち、親機からの電波受信時に、負荷に供給できる電力が最大となるように、可変容量24、25の値を探索して、入力インピーダンスのリアクタンス成分を打ち消す最適な値に調節する。
入力インピーダンス整合回路及びRF−DC変換回路を43で示す。43で示した範囲は、送信搬送波用発振回路としても利用できる。即ち、スイッチ37、41、42がオフで、スイッチ36がオンのとき、後段のDC/DC昇圧回路38を負荷とみなして、入力インピーダンス整合回路及びRF−DC変換回路として動作する。一方、スイッチ37がオンで、スイッチ41、42、36がオフのとき、容量40が十分に充電されていれば、ノード44は電源線とみなせるため、送信搬送波用発振回路として動作する。
この調整結果を送信搬送波用発振回路として動作する場合も保持しているため、発振回路の発振周波数は受信周波数と等しくなる(受信周波数でリアクタンス成分を打ち消す(=受信周波数で共振する)ように調整されているため)。
RF−DC変換回路はDC/DC昇圧回路38に接続し、高い電圧に昇圧することでセンサや他の回路で利用できるようにする。DC/DC昇圧回路38は実際の負荷39(他の回路やセンサを含む)と容量40を駆動する。ノード44は回路の電源電圧として利用される。
また、子機から信号を送信する場合、スイッチ41、37を同時にオンする(このときスイッチ36、42はオフしている)。スイッチ41をオンし、スイッチ42をオフして差動回路に非対称の入力を与えることで、瞬時に発振することが可能になる。
入力インピーダンス整合回路及びRF−DC変換回路兼送信搬送波発振回路50で得られたDC電圧は、DC/DC昇圧回路51によって、昇圧され、負荷であるその他の回路56やセンサ57の駆動に利用され、また容量53に蓄えられる。センサ57の出力はアナログ・デジタル変換回路58によってディジタル信号に変換され、変調回路59によって変調されて送信回路50にて送信される。RF−DC変換回路50のみでは、小さな信号を受信した場合に電力獲得効率が悪いため、別途スタートアップ回路52を有する。受信開始時は、まずスタートアップ回路52が起動して高いDC電圧を得て、スイッチ54をオン、スイッチ55をオフし、RF−DC変換回路50及びDC/DC昇圧回路51のみを動作させる。RF−DC変換回路50及びDC/DC昇圧回路51が起動後、スイッチ54をオフ、スイッチ55をオンすることで、受信電波から継続的に電力を獲得しつつ、その他の回路56やセンサ57を駆動することができる(スタートアップ回路52のみでは、その他の回路56やセンサ57を駆動するだけの出力を得ることはできない)。
まず親機が子機に向かって電力と同時に情報を送信する(S1)。子機は、受け取った電波をもとに、スタートアップ回路52が起動して約1Vに昇圧する(S2)。この電圧をもとにRF−DC変換回路が起動し、受信電波から電力を効率的に変換し、蓄電する(S3)。同時に信号を復調し、自分宛の信号かどうか、返信が必要かどうかを判断する(S4)。受信信号が、自分宛にセンサ値を要求するような信号であった場合(S4でYes)、蓄電した電力でセンサを駆動する(S5)。十分に充電されていれば(S6でYes)、子機はセンサ値等を送信回路から送信する(S7)。子機からのデータ送信のトリガーは、親機からの送信・給電が終了した時点で発生する。あるいは、十分に電力が充電されたかどうかで判断される。尚、ステップS4で子機が自分宛に返信を要求する信号でない場合(S4でNo)と、ステップS6で子機に充分充電されていない場合(S6でNo)は、何の動作も行なわない。
この例は、空調や照明設備をコントロールし、温度・湿度・照度を最適な値に設定するためのセンサネットワークに本発明のデバイスを適用している。
親機60が1台以上部屋に置かれており、温度計、湿度計、照度計といったセンサノード(A〜D)が室内に複数配置されている。親機60には、別途センサノードの位置を把握する機能が備わっており、室内の各ポイントにおけるセンサ値を知ることができる。これを利用して、空調や照明設備の最適制御が可能になる。例えば、センサノードが温度計の場合、各センサノードの値から、温度分布が偏っていた場合に、空調機を制御して部屋全体の温度を均一に制御することができる。各センサノードは、センサの駆動、及び情報の送受信に必要な電力を、本発明で示したように無線で得ることができるため、電力線に接続する必要が無く、自由な配置が許される。
Claims (4)
- 送受信兼用のアンテナと、該アンテナから受信した電波を整流して電力として蓄電する電力蓄電手段と、該電力蓄電手段により蓄電された電力を使ってセンサ回路及び送受信回路の少なくとも一方を動作させる通信端末であって、
電波受信時に負荷に供給できる電力が最大となるように、入力インピーダンスのリアクタンス成分を打ち消すための可変容量を有するリアクタンス調整回路と、回路配線を切り替える配線切換手段と、を備え、
該配線切換手段により回路配線を切り替えることにより、前記リアクタンス調整回路を送信時の搬送波用発振回路として動作させることを特徴とする通信端末。 - 前記可変容量の値を保持する容量値保持手段を備え、
電波受信時に前記リアクタンス調整回路により設定された前記可変容量の値を前記容量値保持手段に保持し、該保持された容量値を適用して前記搬送波用発振回路を動作させることにより、送受信時の発振周波数を略同一としたことを特徴とする請求項1に記載の通信端末。 - 電波受信時に前記リアクタンス調整回路により設定された前記可変容量の値を前記容量値保持手段に保持し、該保持された容量値と異なる容量値に設定して、該保持された容量値と異なる容量値を適用して前記搬送波用発振回路を動作させることにより、送受信時の発振周波数を互いに異なるものとしたことを特徴とする請求項2に記載の通信端末。
- 少なくとも1台の親機と、請求項1乃至3の何れか一項に記載の複数の通信端末を備えたことを特徴とするセンサネットワーク。
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