JP5856341B1 - 旋回流混合撹拌装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来のものよりも構造を単純化して、循環効率を約30%上げた旋回流発生装置を連続多段に設け、それぞれの吸引口からエゼクターで離れた部位の流体を旋回状に吸引して全体を混合撹拌する、旋回流混合撹拌装置を提供する。【解決手段】導入管の吐出口の径より大きな径の混合管の一端部に、複数の切り込みを設けラッパ状に形成されるそれぞれの羽根に、一方向に捻りを加え吸引口とし、前記導入管の吐出口外周に複数枚の旋回誘導板を軸方向に対し、前記羽根の捻りと同一方向に傾斜させて設け、前記混合管の内径に接するように挿入可能に形成し、前記混合管のラッパ状に拡開した吸引口に適宜位置まで挿入接合させ、前記混合管の他端部を混合管吐出口とし、次に接続する導入管の吐出口として前記構成と同じように接続し連続多段に設ける。【選択図】図1

Description

本発明は、エゼクターと旋回流を利用して流体を混合撹拌する旋回流混合撹拌装置に関する。
流体の撹拌技術としては、容器内に駆動部を設けたものが多数開発されているが、その多くは、回転軸にスクリュー状の翼や上下に撹拌板を設けた類の撹拌機である。
これらの撹拌機は、構造上回転軸を中心とした部分的な旋回による撹拌効果に過ぎず、またキャビテーションの発生もあり、大規模な装置では流体がある程度均一になるまでには長時間を要するものであった。
上記の課題を解決する発明としては、容器内に駆動部を設けずに容器内に設置した混合管に圧入する流体の運動エネルギーを利用して、上下2カ所のエゼクターで周囲の流体を旋回状に吸引して混合し、その最終吐出圧を以て容器内の全流体を上下対流と旋回流で大きく流動させて混合撹拌する、旋回流を用いた流体の自然循環促進装置がある。(特許文献1)。 なお、特許文献1は本願発明と同一人による発明である。
特許第5185462号公報
前述したように、大量の流体を短時間で完全に混合撹拌するには、圧入された流体の運動エネルギーを利用して、連続多段に設けられた各吸引口から、エゼクターで温度や成分分布が異なる各層域の流体を旋回状に吸引して混合した後、最終吐出圧で容器内の流体全体を更に大きく流動させることが必須の条件である。
しかしながら、特許文献1の螺線板による旋回流の生成方法では確実に旋回流は形成されるものの、軸方向の流れに対して一枚板からなる螺線板はほぼ水平状態に近く、吐出口外周の空隙を塞ぐように層状を成す螺旋構造のために、上下2カ所の吸引口のエゼクターによる吸引時の流れを阻害してエネルギー損失の大きなものとなっていた。
また前記螺旋板は、導入管と混合管(第一混合管に該当)及び、混合管と混合吐出管(第二混合管に該当)とを接続固定する支持部材を兼ねるものであるが、それらの管の狭い空隙に収まる、1枚板からなる螺旋板は製造技術上も難しくコスト高を招いており、各管と螺旋板との固定作業にも難があった。
本発明の課題は、前記特許文献1の単純な基本構造を生かしながら構成部材を増やすことなく、更なる旋回流混合撹拌効果の向上とコストダウンを図るとともに、上記の問題を解決することにある。
本発明は、特許文献1と上記の課題を解決するために下記の構成による。
導入管の吐出口の径より大きな径を有する混合管の一端部に複数の切り込みを設けラッパ状に拡開し、切り込みにより形成されるそれぞれの羽根に一方向に捻りを加え吸引口とし、前記導入管の直径の2倍ほどの長さの板を旋回誘導板とし、該旋回誘導板複数枚が前記導入管の吐出口外周に軸方向に対し前記羽根の捻りと同一方向に傾斜させて接合して設けられ、前記旋回誘導板の板幅は、前記複数枚の旋回誘導板の接合された前記導入管の吐出口部分を前記混合管の内径に接合させる支持部材を、前記旋回誘導板が兼ねるような前記旋回誘導板の板幅とし、前記吐出口部分が前記混合管のラッパ状に拡開した吸引口に適宜位置まで挿入接合されており、またその下流側に該混合管の他端部を混合管吐出口とし、次に接続する導入管の吐出口として前記構成と同じように接続し連続多段に設ける。
特許文献1の、上下2カ所の吐出口外周に設けられた一枚板からなる螺旋板による旋回流発生方法を、前記吐出口外周に独立した複数枚の旋回誘導板を、軸方向に対し傾斜させて設けた旋回流発生方法に替えることで、支持部材を兼ねる旋回誘導板の固定作業空間でもある流体通路を広く確保する。
本発明は、特許文献1の特徴である単純な基本構造を生かしながら、また構成する部材を増加することなく、主要部の旋回流の発生方法を簡素化して連続多段に設けることで、新たな用途に対応できる効率の良い旋回流混合撹拌装置としたものである。
複数枚の旋回誘導板を軸方向に対し傾斜させて接続し、流体通路を広く確保することで流体抵抗も少なくなり、さらに連続多段に設けた複数の吸引口の羽根と旋回誘導板とを、一方向に捻りを加えたことでより効率よく旋回流が形成され、特許文献1のものよりもおおよそ30%の大幅な流量の増加が認められ、混合撹拌効果が著しく改善された。
また、一枚板からなる螺旋板に比較して、独立した平板の旋回誘導板は短時間で製造できるためコストも安くでき、流体通路を広く確保したことで煩雑だった接続固定作業も簡単に行えるようになるなど、主要部である旋回流発生方法の構造を簡素化することで大幅な作業効率の向上とコストダウンが図られた。
本発明を密閉型貯湯槽に装置する場合には、吐出口を真下に向けることで貯湯槽の形状と吐出圧による上下方向への循環対流により効果的に撹拌される。また、開放型容器に装置する場合には最終吐出口の方向や角度を変えることにより、上下方向への循環対流と水平方向への旋回流が容易に形成されるので撹拌効果が増大する。
また、導入管を複数の分岐導入管構造にして、それぞれの導入管を第一混合管に挿入接合するダブル型では、第二混合管のそれぞれの最終吐出口を外側に向けることで、より広範囲な対流作用が可能になるので大型設備にも対応できる。
本発明は、圧入した流体が異なる層域や離れた部位の流体を吸引しながら数倍の循環量となり、更に容器内全体を流動する特性を生かし、流体中にみられる異物や不純物等を定期的に除去する目的で、混合管の最終吐出口にメッシュ状のフィルターや濾過膜を着脱自在に設け、流体中の異物や不純物を効率よく除去することができる。
本発明は、容器内の流体混合攪拌部材で一部品的な要素品であり、液体やその他の各種流体に適合するが、用途に応じて材料構成を金属ダクトや木質系、及び樹脂系やコンクリート躯体構造等を使用することも可能であり、また縦型や横型、分割組立型等、寸法や形状の仕様等の設計変更も自由に行える。
使用目的や設備の大小により、液体の場合は蒸気圧や循環ポンプを用いたり、気体では冷暖房機や送風機等を組み合わせたり、また、複数枚の捻りを加えた羽根を有する旋回流発生装置を連続多段に設けることで、離れた層域の流体を各エゼクターで効率よく吸引して増大しながら混合作用を繰り返し、最終吐出圧で容器内の全流体を大きく流動させ温度や成分を均一化させることができる。
また、それらの装置に付帯機能を増設するために、導入管や混合管に新たに分岐管を適宜に設けることも可能である。
本発明の斜視図 本発明の断面図 本発明のA−A線の吸引口5の断面図 本発明の変形態様の斜視図 本発明に集塵除去フィルターを設けた斜視図 特許文献1の参考断面図
本発明の基本的構造は、中空管の小さな導入管吐出口をより大きな混合管のラッパ状の複数枚の羽根を有する吸引口へ、適宜挿入した旋回流発生装置を連続多段に接続し、各吸引口の挿入部の空隙に設けた複数枚の旋回誘導板を介して、エゼクターによる異なる層域の流体を旋回流で効率よく吸引して混合し、圧入した最終吐出圧で容器内の全流体を大きく流動させて撹拌することにある。
図1において、導入管1より大きな径の第一混合管2と、該第一混合管2より大きな径の第二混合管3の、それぞれのラッパ状の拡開部に、複数枚の羽根7,7aに捻りを加えた一次吸引口4と二次吸引口5とを設ける。前記一次吸引口4に前記導入管1を、前記二次吸引口5には前記第一混合2をそれぞれ適宜に挿入し、それぞれの吐出口10,10aの外周の空隙に前記複数枚の羽根7,7aの捻りと同一方向に、複数枚の旋回誘導板6,6aを軸方向に対し傾斜させて接合し、流体通路9,9aを広く確保する。
図3において、旋回流を形成する二次吸引口5は相似形で同じ構造なので、一次吸引口4を図に即して説明する。
旋回流発生装置である、第一混合管2の吸引口4の、捻りを加えた複数枚の羽根7と、複数枚の旋回流誘導板6及び、流体通路9の関係を表わしたものである。また旋回流発生装置が連続多段に設けられる場合には、各混合管の径の大きさにより形成される羽根7と旋回流誘導板6の枚数は適宜増減される。
請求項1の実施例を図面に即して説明する。
図1は本発明の斜視図であり、図2は断面図である。 本願は、特許文献1との効率を比較する目的から、外観形状や寸法等を特許文献1と同等に設定したものである。
ポンプで導入管1に圧入された流体は、より大きな径の第一混合管2内に吐出される際の流動圧により、吐出口10と接する第一混合管2の空隙部が負圧になるために、一次吸引口4の捻りを加えた8枚の羽根7により、上層域の流体がエゼクターで旋回状に吸引される。この吸引された流体は空隙部の羽根7の捻り方向に合わせて斜設した4枚の旋回誘導板6に沿って流れ、導入管1からの流体を旋回状に巻き込みながら合流して、第一混合管2内で混合される。
第一混合管2内で混合された流体は吐出口10aから、より大きな径の第二混合管3内に吐出されるが上記と同じ構成の作用効果により、今度は下層域の流体を旋回状に吸引して吐出口10aからの流体と混合されながら、第二混合管3の下方に向けた最終吐出口11から吐出される。その最終吐出圧を以て、容器内の流体全体を上下対流と旋回流で更に大きく流動させて混合撹拌する。
上下2段階で吸引混合されるたびに増大した流体の循環量に比例して混合管内の流体速度は遅くなるが、本発明の第一義は効率を上げるために損失エネルギーをいかに小さくして、混合撹拌効果を高めるかが最も重要な課題である。
特許文献1の螺旋板構造(図6参照)では、層状の螺旋板に沿って形成される流体のピッチ(間隔)が短いために流線速度が小さく、エネルギーの損失が大きくなるので実質管内流速が遅くなり、吸引力が下がることになっていた。
実施例では、上下2カ所の吸引口4,5に捻りを加えた8枚の羽根7,7aを設けて、エゼクターの吸引時から旋回流を発生させるとともに、特許文献1の1枚板からなる螺旋板に替えて、4枚の旋回誘導板6,6aを軸方向に対し、8枚の羽根7,7aの捻りと同一方向に斜設して流体通路9,9aを広く確保したことにより、該旋回誘導板6,6aに沿って形成される流体のピッチ(間隔)が長く、流線速度が早いためにエネルギーの損失が少なく実質管内流速が早くなり、吸引力を上げることでおおよそ30%の流量増加が認められた。
また、第一混合管2と第二混合管3の吐出口外周に設けられる旋回流発生部の構造を簡素化することで、大幅な作業効率の向上と製造コストの低減につながった。
図4は変形態様の実施例で、導入管1を複数の分岐導入管構造にして、それぞれの導入管を第一混合管2に挿入して接合したダブル型で、大型設備に適応したものであり、装置する際にそれぞれの最終吐出口11を外側に向けることでより広範囲における混合撹拌効果が得られる。
図5の実施例は、ポンプで圧入した流体が上下の離れた層域の流体を吸引しながら数倍の循環量となり、更に容器内全体を大きく流動する特性を生かして、最終吐出口11にメッシュ状のフィルターや濾過膜8を着脱自在に設けることで、定期的に流体中の異物や不純物を効率よく除去できるようにしたものである。
本発明は、混合撹拌手段として容器内に駆動部を設けずに、容器内に敷設した混合管の旋回流発生装置の構造を簡素化することで、従来のものよりも流体の循環効率をおおよそ30%上げたものであり、本装置を連続多段に設けることで新たな活用法も見込まれる。
構造が単純で製造コストも安く、液体やその他の流体にも適応でき、本装置を容器内や貯水池または建屋内に敷設するだけというシンプルな発明である。
昨今の異常気象や海洋汚染等の環境汚染の影響による食糧供給の生産事情から、今後各国で主流になると想定される魚介類の養殖事業の水質管理や、農産物の工場化に伴う室内の冷暖房温度の均一化にも応用でき、省エネや省資源にもつながることから地球温暖化対策にも少なからず貢献する発明である。
1 導入管
2 第一混合管
3 第二混合管
4 一次吸引口
5 二次吸引口
6, 6a 旋回誘導板
7,7a 羽根
8 フィルターまたは濾過膜
9,9a 流体通路
10 吐出口
10a 吐出口
11 最終吐出口

Claims (1)

  1. 導入管の吐出口の径より大きな径を有する混合管の一端部に複数の切り込みを設けラッパ状に拡開し、切り込みにより形成されるそれぞれの羽根に一方向に捻りを加え吸引口とし、前記導入管の直径の2倍ほどの長さの板を旋回誘導板とし、該旋回誘導板複数枚が前記導入管の吐出口外周に軸方向に対し前記羽根の捻りと同一方向に傾斜させて接合して設けられ、前記旋回誘導板の板幅は、前記複数枚の旋回誘導板の接合された前記導入管の吐出口部分を前記混合管の内径に接合させる支持部材を、前記旋回誘導板が兼ねるような前記旋回誘導板の板幅とし、前記吐出口部分が前記混合管のラッパ状に拡開した吸引口に適宜位置まで挿入接合されており、またその下流側に該混合管の他端部を混合管吐出口とし、次に接続する導入管の吐出口として前記構成と同じように接続し連続多段に設けたことを特徴とする旋回流混合撹拌装置。
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