JP5855690B2 - ベーン型圧縮機の製造方法 - Google Patents

ベーン型圧縮機の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5855690B2
JP5855690B2 JP2014032410A JP2014032410A JP5855690B2 JP 5855690 B2 JP5855690 B2 JP 5855690B2 JP 2014032410 A JP2014032410 A JP 2014032410A JP 2014032410 A JP2014032410 A JP 2014032410A JP 5855690 B2 JP5855690 B2 JP 5855690B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
rotor
cylinder
peripheral surface
inner peripheral
vane
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2014032410A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014098394A (ja
Inventor
高橋 知靖
知靖 高橋
孝則 寺屋
孝則 寺屋
孝明 中村
孝明 中村
功 山田
功 山田
充浩 堀
充浩 堀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Valeo Japan Co Ltd
Original Assignee
Valeo Japan Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Valeo Japan Co Ltd filed Critical Valeo Japan Co Ltd
Priority to JP2014032410A priority Critical patent/JP5855690B2/ja
Publication of JP2014098394A publication Critical patent/JP2014098394A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5855690B2 publication Critical patent/JP5855690B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Rotary Pumps (AREA)
  • Applications Or Details Of Rotary Compressors (AREA)

Description

この発明は、この発明は、例えば車両用空調装置の冷凍サイクル等で用いられるベーン型圧縮機の製造方法に関する。
車両用空調装置の冷凍サイクルで用いられるベーン型圧縮機の製造にあっては、その性能と信頼性との両立を図るため、シリンダの内周面とロータの外周面との間のクリアランスが適切な状態になるように管理すべく、従来から様々な工夫が行われていた。
例えば、特許文献1の図1に示されるような楕円型シリンダに奇数枚のベーンが配されたロータを組み合わせてなるベーン型圧縮機の場合には、シャフトを中心としてその径方向の両側に位置する圧縮部にて交互に圧縮作用が行われるので、シャフトとこのシャフトを支承する軸受とのクリアランスをできるだけ小さくしても、このクリアランスの範囲内でロータアセンブリが楕円型シリンダの楕円短径方向に沿って交互に振動することとなる。具体的には、上死点側のロータ外周面とシリンダ内周面との間が離れてクリアランスが大きくなり、上死点とは反対側のロータ外周面とシリンダ内周面との間が接近してクリアランスが小さくなるように、ロータアセンブリが振動する。
従って、ロータ外周面とシリンダ内周面との間からの作動流体(冷媒ガス)の漏れを減らすためにはロータ外周面とシリンダ内周面とのクリアランスはできる限り小さくすることが好ましいが、上記のようにロータアセンブリの振動があるので、楕円型シリンダの楕円短径方向でのロータ外周面とシリンダ内周面とのクリアランスを小さくしすぎると、かかる楕円型シリンダの楕円短径方向では、ロータ外周面とシリンダ内周面とが接触するおそれがある。
このような、ロータ外周面とシリンダ内周面との接触を許容しつつベーン型圧縮機に対する信頼性を確保するために、楕円型シリンダの内周面とロータの外周面との一方又は双方にポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFE)等の固体潤滑剤を塗布することにより固体潤滑剤皮膜を形成することが考えられる。尚、上記特許文献1に示される気体圧縮機では、その目的は異にするが、楕円型シリンダの内周面とロータの外周面との一方又は双方にフッ素樹脂等から成る固体潤滑剤皮膜が形成された構成が開示されている。
かかる固体潤滑剤皮膜が全周に形成されたロータを用いた場合、各部品の形状精度に加えて固体潤滑材皮膜の厚さも加わり、シリンダ内周面とロータ外周面とのクリアランスのばらつきが相対的に大きくなる。このため、ベーン型圧縮機の製造にあっては、クリアランスが適切な値となるようにシリンダ内周面とロータ外周面の一方の実測寸法に合わせて他方を加工してクリアランスを管理する、いわゆるマッチング加工が一般的に取られる。
特開2004−211651号公報
しかしながら、特許文献1に示されるような楕円型シリンダを採用したベーン型圧縮機の製造で上記のマッチング加工を採る場合には、研摩加工もしくは旋盤加工にて楕円形状を十分な精度で形成するのが困難であるので、通常ではロータアセンブリ側において円筒形状のロータの外周面を研摩加工することによりマッチング加工が行われる。
これに伴い、ロータの外周面に対して初期時に形成される固体潤滑剤皮膜は、シャフト圧入時におけるロータの変形や、仕上げ加工での取りしろを考慮して、例えば約100μmという余剰分を含んだ厚みとすることから、高価なPTFEを固体潤滑剤として塗布する場合には、仕上げ加工で取り除くにもかかわらずPTFEを多量に使用しなければならないという不都合が生ずる。しかも、固体潤滑剤がPTFEの場合には、何度にも分けて塗布してから焼いて固めてという作業を複数回、例えば3回も繰り返さないと、固体潤滑剤皮膜が例えば約100μmという相対的に大きな厚みにはならないという不都合もある。
そこで、本発明は、ロータの外周面に固形潤滑剤皮膜を形成するために使用する固形潤滑剤の塗布量を相対的に低減することが可能なベーン型圧縮機の製造方法を提供することを目的とする。
この発明に係るベーン型圧縮機の製造方法は、吸入口と吐出口とが形成され、外郭をなすハウジングと、真円状の内周面を有するシリンダと、前記シリンダの中心に対して偏った位置に中心が配されるように前記シリンダ内に収納された真円状のロータと、このロータの外周面に開口したベーン溝と、前記シリンダの前記内周面と摺接しつつ前記ベーン溝に出没可能に格納されたベーンと、前記ロータに圧入されて当該ロータと一体化されたロータアセンブリと成って外部からの動力を前記ロータに伝達するシャフトと、前記ハウジングに形成保持されて前記シャフトを回転可能に支持する軸受部と、を有して構成され、前記ハウジングを構成するサイドブロックが、前記シリンダに一体に形成されており、前記ロータは、前記外周面に固体潤滑剤皮膜が形成されているベーン型圧縮機の製造方法であって、前記ロータアセンブリについて、前記ロータの外周面上に位置する第1の点から前記シャフトの側方周面のうち前記ロータの外周面に位置する第1の点側とは反対側に位置する第2の点までの前記ロータアセンブリの径方向の寸法であるロータアセンブリ側寸法を計測する工程と、前記シリンダについて、仕上げ加工前の当該シリンダの内周面のうち、前記シリンダの中心が前記ロータの中心に対して偏心している側とは反対側に位置する第3の点から前記軸受部のうち前記第3の点とは反対側に位置する第4の点までの前記シリンダの径方向の寸法であるシリンダ側寸法を計測する工程と、前記シリンダ側寸法の計測で得られた数値から前記ロータアセンブリ側寸法の計測で得られた数値を引いた数値をマッチング加工前の前記ロータの外周面と前記シリンダの内周面との間の稼働中の実際のクリアランス相当の値として求め、この値と、前記ロータの外周面と前記シリンダの内周面との間の目標クリアランス値との差に基づいて、前記ロータの外周面と前記シリンダの内周面のうち、前記シリンダの内周面のみをマッチング加工する工程と、を有することを特徴としている(請求項1)。そして、前記シリンダとして、真円状の内周面を有するシリンダを用いるので、前記シリンダの内周面のマッチング加工は、旋盤を利用した加工で行うことが可能となっている(請求項2)。ここで、軸受部は、例えばプレーンベアリングである。また、固体潤滑剤としては例えばPTFE等が用いられる。更にまた、固体潤滑剤皮膜は固体潤滑剤の塗布等により形成される。
これにより、ロータの外周面を研磨してマッチング加工する必要がなくなり、仕上げ加工での取りしろを考慮してロータアセンブリに余剰な固体潤滑剤を塗布する必要がなくなるので、固体潤滑剤の塗布量を相対的に減少させることが可能となる。
また、ベーン型圧縮機が真円状の内周面を有するシリンダと、このシリンダの中心に対して偏った位置にその中心が配されるようにシリンダ内に収納された真円状のロータとで構成されているので、シリンダ内の圧力によってロータが常に上死点とは反対側に押されることとなる。このため、シャフトと軸受部とのクリアランスが大きくてもロータアセンブリが振動するおそれがないので、軸受部について、シャフトと軸受部との好適なクリアランスを管理すべくマッチング加工をする必要もなくなる。
この発明に係るベーン型圧縮機の製造方法では、前記ロータの前記シャフトが挿入される貫通孔が開口する側面にも固体潤滑剤皮膜を形成すると共に、前記ロータの側面の固体潤滑剤皮膜には仕上げ加工を施さず、前記シリンダの底面に対し固体潤滑皮膜の形成後の前記ロータの長さに合せてマッチング加工を施す工程を更に有することを特徴としている(請求項3)。
このように、ロータの側面も、ロータの外周面と同様に仕上げ加工を施すことなく固体潤滑剤皮膜が形成されるようにすることにより、ロータの側面に形成される固体潤滑剤皮膜の厚みについて、仕上げ加工での取りしろを考慮して、例えば余剰分を含んだ厚みとする必要がなくなり、固体潤滑剤の塗布量がさらに減少すると共に、ロータの側面において固体潤滑剤皮膜の厚みを好適な寸法とする仕上げ加工も不要となるので、ベーン型圧縮機の製造コストをより一層削減することができる。さらに、シリンダの底面に対し固体潤滑被膜の形成後のロータの長さに合せてマッチング加工を施すことにより、サイドブロックとロータとの間のスラストクリアランスも容易に管理することができる。
この発明に係るベーン型圧縮機の製造方法では、前記ロータの側面には、前記貫通孔の開口周縁に前記貫通孔の軸方向に窪んだ凹部が形成され、この凹部を前記ロータの支持箇所として、前記シャフトを前記ロータの貫通孔に圧入して、前記ロータアセンブリを形成することを特徴としている(請求項4)。
これにより、支持箇所の周辺が圧入荷重のため損傷したり盛り上がったりしても、サイドブロックとの摺動不良や干渉を考慮する必要がない。このため、シャフトの圧入時に生ずるロータ側面の変形や固体潤滑剤被膜の損傷を考慮してロータの側面に余剰な固体潤滑剤を塗布して仕上げ加工により除去する必要もなくなり、固体潤滑剤の塗布量がより一層減少する。
以上のように、この発明によれば、ロータひいてはロータアセンブリ側にてマッチング加工を行う必要がなくなったため、ロータの外周面に形成される固体潤滑剤皮膜の厚みについて、仕上げ加工での取りしろを考慮して、例えば余剰分を含んだ厚みとする必要がなくなり、固体潤滑剤の塗布量が相対的に減少し、且つ固体潤滑剤皮膜の厚みを好適な寸法とする仕上げ加工も不要となるので、ベーン型圧縮機の製造コストを削減することができる。
また、この発明によれば、ベーン型圧縮機が真円状の内周面を有するシリンダと、このシリンダの中心に対して偏った位置にその中心が配されるようにシリンダ内に収納された真円状のロータとで構成されているので、シリンダ内の圧力によってロータが常に上死点とは反対側に押されることとなる。このため、シャフトと軸受部とのクリアランスが大きくてもロータアセンブリが振動するおそれがないので、軸受部について、シャフトと軸受部との好適なクリアランスを管理すべくマッチング加工をする必要もなくすことができる。
特に請求項3に記載のこの発明によれば、ロータの側面も、ロータの外周面と同様に仕上げ加工を施すことなく固体潤滑剤皮膜が形成されるようにすることにより、ロータの側面に形成される固体潤滑剤皮膜の厚みについて、仕上げ加工での取りしろを考慮して、例えば余剰分を含んだ厚みとする必要がなくなり、固体潤滑剤の塗布量がさらに減少すると共に、ロータの側面において固体潤滑剤皮膜の厚みを好適な寸法とする仕上げ加工も不要となるので、ベーン型圧縮機の製造コストをより一層削減することができる。また、サイドブロックがシリンダと一体形成されていることに伴い、シリンダの底面、すなわちロータのスラスト面を固体潤滑皮膜の形成後のロータの長さに合せてマッチング加工を施す工程を有することにより、サイドブロックとロータとの間のスラストクリアランスも容易に管理することが可能となる。
特に請求項4に記載の発明によれば、支持箇所の周辺が圧入荷重のため損傷したり盛り上がったりしても、サイドブロックとの摺動不良や干渉を考慮する必要がなくなるため、シャフトの圧入時に生ずるロータ側面の変形や固体潤滑剤被膜の損傷を考慮してロータの側面に余剰な固体潤滑剤を塗布して仕上げ加工により除去する必要もなくなることから、固体潤滑剤の塗布量をより一層減少することができるので、ベーン型圧縮機の製造コストを更に削減することができる。
図1は、この発明に係るベーン型圧縮機の一例を示す断面図であり、図1(a)は吐出口が見えるように切断した断面図、図1(b)は吸入口が見えるように切断した断面図である。 図2は、図1(b)のA−A線断面図である。 図3は、この発明に係るベーン型圧縮機の内部構成を示すべくその一部を切断した断面図である。 図4は、この発明に係るベーン型圧縮機を構成するロータアセンブリ及び更にこのロータアセンブリの一部のロータの構成を示す説明図であり、図4(a)はロータアセンブリの斜視図、図4(b)はロータの斜視図、図4(c)はロータの外面に形成された固体潤滑剤皮膜の厚みを示す説明図である。 図5は、ロータの外周面とシリンダの内周面とのクリアランスを設定する基準を示す説明図である。
以下、この発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1から図4において、例えば車両用空調装置の冷凍サイクルに用いられるベーン型圧縮機の一例が示されている。このベーン型圧縮機1は、シャフト3と、シャフト3に固定されて当該シャフト3の回転に伴い回転するロータ4と、このロータ4とによって後述する圧縮空間18を画成する第1のハウジング部材8及び第2のハウジング部材9とを有し、これら第1のハウジング部材8と第2のハウジング部材9とでハウジング2が構成されている。シャフト3にロータ4を組み付けた図4(a)に示される部品Aは、ロータアセンブリとも称される。
第1のハウジング部材8は、この実施例では、ロータ4を収納するシリンダ8aと、このシリンダ8aとはシャフト3の軸方向のリア側に位置し、且つシリンダ8aと一体成形され、シリンダ8aのリア側を閉塞するリアサイドブロック8bとで構成されている。尚、図示しないが、シリンダ8aは、リアサイドブロック8bとは別体、すなわち第1のハウジング部材8の一部分となっていない構成としても良いし、フロントサイドブロック9aと一体化されていても良い。すなわち、シリンダ8aは、ハウジングと一体又は別体に形成されている。
シリンダ8aに収納されるロータ4は、断面が真円状である円柱状のもので、その真円の中心P1には、図4(b)に示されるように、シャフト3が圧入可能な貫通孔4aが設けられている。また、ロータ4は、図4(b)に示されるように、外周面に開口した複数(この実施例では2つ)のベーン溝5内に挿入される複数(この実施例では2つ)のベーン6を有している。ベーン溝5は、シリンダ8aのみならず、フロントサイドブロック9a側及びリアサイドブロック8b側にも開口され、また、ベーン6の摺動方向の奥側となるベーン溝5の底部には背圧室5aが画成される。よって、背圧室5aもフロントサイドブロック9a側及びリアサイドブロック8b側に開口したものとなっている。ベーン6は、図2に示されるように、側面がベーン溝5の内側面を摺動すると共に先端がベーン溝5から出没してシリンダ8aの内周面を摺動するものである。尚、ロータ4の側面4cに形成された凹部4dについては後述する。
また、シリンダ8aの内周面は、図2に示されるように、ロータ4の外径寸法よりも大きな内径寸法の真円状となっており、シリンダ8aの中心P2とロータ4の中心P1とについて、ロータ4の外周面とシリンダ8aの内周面とが周方向の一箇所で微小なクリアランス(シリンダ8aとロータ4とが最も接近する部分:上死点P3)を形成すべく偏るように、ロータ4がシリンダ8a内に収納されている。このシリンダ8aの中心P2とロータ4の中心P1との偏りは、例えば、シリンダ8aの内径寸法とロータ4の外径寸法との差の約1/2となっている。このように、シリンダ8a内にロータ4を収納することにより、シリンダ8aの内周面とロータ4の外周面との間には圧縮空間18が画成されている。この圧縮空間18は、ロータ4に形成された複数のベーン溝5に収納されたベーン6によって仕切られて複数の圧縮室19に分けられ、各圧縮室19の容積はロータ4の回転によって変化するようになっている。
第2のハウジング部材9は、シリンダ8aのフロント側端面に当接するフロントサイドブロック9aと、このフロントサイドブロック9aからシャフト3の軸方向に延設されてシリンダ8a及びリアサイドブロック8bの外周面を包囲するように形成されたシェル9bとを一体化して構成されている。また、第2のハウジング部材9は、ボルト等の連結具7を介して第1のハウジング部材8と連結されている。そして、第1のハウジング部材8をシェル9bのリア側開口部9dから挿入してシェル9bと嵌合させることにより、シリンダ8aのフロント側がフロントサイドブロック9aによって閉塞されていると共に、シェル9bのリア側開口部9dがリアサイドブロック8bによって閉塞されている。
また、第2のハウジング部材9は、フロントサイドブロック9aに一体化されたボス部9cに、車両の動力源(図示せず)よりベルト(図示せず)を介して回転動力が伝達されるプーリ20が回転自在に外装され、このプーリ20から電磁クラッチ21を介して回転動力がシャフト3に伝達されるようになっている。また、第2のハウジング部材9には、作動流体(冷媒ガス)の吸入口11及び吐出口12が形成され、吸入口11は第2のハウジング部材9に形成された空間部14a及びシリンダ8aに形成された凹部14bとで成る吸入空間14に連通している。
シャフト3は、第2のハウジング部材9のフロントサイドブロック9aと第1のハウジング部材8のリアサイドブロック8bとに保持形成された軸受部たるプレーンベアリング23、24を介して回転可能に支持されている。そして、シャフト3は、第2のハウジング部材9のボス部9cの基端近傍部位において、第2のハウジング部材9の内周面との間にシール部材13が介在されており、作動流体がボス部9cの開口から外部に漏れるのを防止している。
そして、シリンダ8aの周面には、圧縮空間18に対応して吸入空間14に連通する吸入ポート25と、吐出空間15と連通する吐出ポート26とが設けられている。したがって、シリンダ8aをシェル9bに嵌入させると、吸入空間14は吸入ポート25を介して圧縮室19に連通し、シリンダ8aの外周面とシェル9bの内周面との間には、両端側がフランジ部8c、8dによって仕切られた吐出空間15が形成され、この吐出空間15は吐出ポート26を介して圧縮室19に連通可能となっている。そして、吐出ポート26は、吐出空間15に収納される吐出弁27により開閉されるようになっている。また、吐出空間15はフランジ部8dに形成された通孔28を介してオイル分離器16に連通している。オイル分離器16は更に吐出口12と連通している。
以上の構成によれば、このベーン型圧縮機1においては、図示しない動力源からの回転動力がプーリ20及び電磁クラッチ21を介してシャフト3に伝達され、ロータ4が回転すると、吸入口11から吸入空間14に流入した作動流体が吸入ポート25を介して圧縮空間18に吸入される。圧縮空間18内のベーン6によって仕切られた圧縮室19の容積はロータ4の回転に伴って変化するので、ベーン6間に閉じ込められた作動流体は圧縮され、吐出ポート26から吐出弁27を介して吐出空間15に吐出される。吐出空間15に吐出された作動流体は、シリンダ8aの外周面(シェル9bの内周面)に沿って周方向に移動し、シリンダ8aの周囲をほぼ一周してフランジ部8dに形成された通孔28を介してリアサイドブロック8bに形成されたオイル分離器16のオイル分離室内に導入される。その後、作動流体は、オイル分離器16のオイル分離室内を旋回する過程でオイルが分離されて、吐出口12から外部回路に吐出される。
ところで、図4(b)に示されるロータ4の外周面4bと側面4cとには、図4(c)に示されるように、固体潤滑剤皮膜30が形成されている。この固体潤滑剤皮膜30を形成するための固体潤滑剤としては、例えばPTFEが用いられている。
そして、ロータ4の外周面とシリンダ8aの内周面との間のクリアランス値Wは、図5に示されるように以下の方法により好適に管理されている。
まず、ロータ4の外周面4b上に位置するS1点からシャフト3の側方周面のうちロータ4の外周面4bのS1点側とは反対側に位置するS2点までのロータアセンブリAの径方向の寸法であるロータアセンブリ側寸法Rを計測する。
一方、シリンダ8aについては、仕上げ前のシリンダ8aの内周面のうち、このシリンダ8aの中心P2がロータ4の中心P1に対して偏心している側(図5では下方)とは反対側に位置するS3点からプレーンベアリング24のうちシリンダ8aの内周面上に位置するS3点とは反対側に位置するS4点までのシリンダ8aの径方向の寸法であるシリンダ側寸法Cを計測する。
そして、Cの数値−Rの数値が稼動中のロータ4の外周面とシリンダ8aの内周面との間のクリアランスWの数値となるので、Wの数値が好適な値(例えば20μm)となるように、先に計測したRの数値とCとの数値とに基づき最適な数値C’(図示せず)を決定し、シリンダ8aのS3点からS4点までの寸法についてCの数値がこの最適な数値C’となるようにシリンダ8aをマッチング加工する。
このようなシリンダ8aのマッチング加工によってクリアランスWの管理が可能となったのは、シリンダ8aの内周面が真円状をなしていることに伴い、旋盤を利用してシリンダ8a側を仕上げ加工することができることになったことによるものである。前述の通りシリンダ8aの内周面の中心P1は、シリンダ8aの外周面の中心P2に対して偏芯しているが、偏芯したチャッキングによってシリンダ8aを保持させて回転させることにより、偏芯したシリンダ8aの内周面を旋盤加工することができる。また、上記シリンダ側寸法Cを計測するに際し、軸受部がニードルベアリングであった場合には、軸受部の内周面に複数のニードル(ころ)がむき出しになっているためS4点を直接に計測することができないが、本実施例においては軸受部がプレーンベアリング24であるため、基準となるS4点を直接に計測することができる。
しかも、軸受部にニードルベアリングを用いた場合には、ニードルの信頼性を考慮して軸受部の内径とシャフトとのクリアランスを所定のクリアランスの範囲に管理する必要がある。このため、実際の軸受部の内径寸法を計測後、所定のクリアランスになるようにシャフトの外径寸法の仕上げ加工しろを調整するマッチング加工を施す必要があった。本実施例においては、軸受部をプレーンベアリング23、24としたことにより、ベアリング23、24とシャフト3との間のクリアランスの管理が不要になる。
これによって、従来のように、ロータ4ひいてはロータアセンブリA側にてマッチング加工を行う必要がなくなったため、ロータ4の外周面や側面に形成される固体潤滑剤皮膜30の厚みLについて、仕上げ加工での取りしろを考慮して、例えば約100μmという余剰分を含んだ厚みとする必要がなくなった。
更に、この実施例では、図4(a)及び(b)に示されるように、ロータ4の側面4cの貫通孔4aの開口周縁には貫通孔4aの軸方向に窪んだ凹部4dが形成されている。この凹部4dは、シャフト3を固体潤滑剤皮膜30が形成されたロータ4に圧入してロータアセンブリAとする際に、この圧入荷重を支えるための支持箇所となるものである。シャフト3をロータ4に圧入する際の圧入荷重によって、この支持箇所の周辺が盛り上がったり固体潤滑皮膜30が損傷したりする可能性があるが、これらの損傷をこの凹部4d内にとどめることができるので、サイドブロック8b、9aとの干渉や摺動不良を引き起こすおそれがない。このため、シャフト3をロータ4に圧入する前に固体潤滑剤皮膜30を形成しても固体潤滑剤皮膜30の損傷を考慮しなくて良いので、この点でも固体潤滑剤皮膜30の厚みについて余剰分を含んだ厚みとする必要がなくなった。
しかるに、ロータ4の外周面4b及び側面4cにおいて、固体潤滑剤皮膜30の厚みを最初から好適な寸法、例えば10μmから20μmまでの範囲(例えば最適な寸法の15μm)とすることができるため、固体潤滑剤の塗布量が相対的に減少し、且つ固体潤滑剤皮膜の厚みを好適な寸法とする仕上げ加工も不要となるので、ベーン型圧縮機1の製造コストが削減される。そして、ロータ4の外周面4b及び側面4cにおいて、固体潤滑剤を同時に塗布することも可能である。
そして、図1に示されるように、シリンダ8aとリアサイドブロック8bとが一体形成されて第1のハウジング部材8を構成するものとしても良い。これにより、スラストとラジアル両方のクリアランスを、ロータアセンブリAの現物の寸法に合わせてシリンダ8aからリアサイドブロック8bまで連続して一気に加工できるので、加工時間の短縮化を図ることができると共に、工程を分けると部品を工具に保持させるたびに誤差が生じ得るところ、このような工程分化による誤差が生ずる可能性が小さくなるので精度も向上させることができる。
1 ベーン型圧縮機
2 ハウジング
3 シャフト
3a 圧入部
4 ロータ
4a 貫通孔
4b 外周面
4c 側面
4d 凹部
5 ベーン溝
6 ベーン
8 第1のハウジング部材
8a シリンダ
8b リアサイドブロック
9 第2のハウジング部材
9a フロントサイドブロック
9b シェル
23 プレーンベアリング(軸受部)
24 プレーンベアリング(軸受部)
30 固体潤滑剤皮膜
A ロータアセンブリ
S1 ロータの外周面上に位置する点(第1の点)
S2 シャフトの側方周面のうちロータの外周面に位置する点側とは反対側に位置する点(第2の点)
S3 シリンダの中心がロータの中心に対して偏心している側とは反対側で且つシリンダの内周面上に位置する点(第3の点)
P1 ロータの中心
P2 シリンダの中心
P3 上死点

Claims (4)

  1. 吸入口と吐出口とが形成され、外郭をなすハウジングと、真円状の内周面を有するシリンダと、前記シリンダの中心に対して偏った位置に中心が配されるように前記シリンダ内に収納された真円状のロータと、このロータの外周面に開口したベーン溝と、前記シリンダの前記内周面と摺接しつつ前記ベーン溝に出没可能に格納されたベーンと、前記ロータに圧入されて当該ロータと一体化されたロータアセンブリと成って外部からの動力を前記ロータに伝達するシャフトと、前記ハウジングに形成保持されて前記シャフトを回転可能に支持する軸受部と、を有して構成され、前記ハウジングを構成するサイドブロックが、前記シリンダに一体に形成されており、前記ロータは、前記外周面に固体潤滑剤皮膜が形成されているベーン型圧縮機の製造方法であって、
    前記ロータアセンブリについて、前記ロータの外周面上に位置する第1の点から前記シャフトの側方周面のうち前記ロータの外周面に位置する第1の点側とは反対側に位置する第2の点までの前記ロータアセンブリの径方向の寸法であるロータアセンブリ側寸法を計測する工程と、
    前記シリンダについて、仕上げ加工前の当該シリンダの内周面のうち、前記シリンダの中心が前記ロータの中心に対して偏心している側とは反対側に位置する第3の点から前記軸受部のうち前記第3の点とは反対側に位置する第4の点までの前記シリンダの径方向の寸法であるシリンダ側寸法を計測する工程と、
    前記シリンダ側寸法の計測で得られた数値から前記ロータアセンブリ側寸法の計測で得られた数値を引いた数値をマッチング加工前の前記ロータの外周面と前記シリンダの内周面との間の稼働中の実際のクリアランス相当の値として求め、この値と、前記ロータの外周面と前記シリンダの内周面との間の目標クリアランス値との差に基づいて、前記ロータの外周面と前記シリンダの内周面のうち、前記シリンダの内周面のみをマッチング加工する工程と、
    を有することを特徴とするベーン型圧縮機の製造方法。
  2. 前記シリンダの内周面のマッチング加工は、旋盤を利用した加工で行われることを特徴とする請求項1に記載のベーン型圧縮機の製造方法。
  3. 前記ロータの前記シャフトが挿入される貫通孔が開口する側面にも固体潤滑剤皮膜を形成すると共に、前記ロータの側面の固体潤滑剤皮膜には仕上げ加工を施さず、前記シリンダの底面に対し固体潤滑皮膜の形成後の前記ロータの長さに合せてマッチング加工を施す工程を更に有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のベーン型圧縮機の製造方法。
  4. 前記ロータの側面には、前記貫通孔の開口周縁に前記貫通孔の軸方向に窪んだ凹部が形成され、この凹部を前記ロータの支持箇所として、前記シャフトを前記ロータの貫通孔に圧入して、前記ロータアセンブリを形成することを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載のベーン型圧縮機の製造方法。
JP2014032410A 2014-02-24 2014-02-24 ベーン型圧縮機の製造方法 Expired - Fee Related JP5855690B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014032410A JP5855690B2 (ja) 2014-02-24 2014-02-24 ベーン型圧縮機の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014032410A JP5855690B2 (ja) 2014-02-24 2014-02-24 ベーン型圧縮機の製造方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011187100A Division JP2013050038A (ja) 2011-08-30 2011-08-30 ベーン型圧縮機

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014098394A JP2014098394A (ja) 2014-05-29
JP5855690B2 true JP5855690B2 (ja) 2016-02-09

Family

ID=50940577

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014032410A Expired - Fee Related JP5855690B2 (ja) 2014-02-24 2014-02-24 ベーン型圧縮機の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5855690B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7166227B2 (ja) * 2019-08-08 2022-11-07 株式会社デンソー ベーンポンプ
JP7243528B2 (ja) * 2019-08-29 2023-03-22 株式会社デンソー ベーンポンプ
CN114193148B (zh) * 2020-09-18 2023-04-07 成都秦川物联网科技股份有限公司 一种物联网智能燃气表皮膜装配系统

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6229492U (ja) * 1985-08-08 1987-02-23
JP2007051557A (ja) * 2005-08-16 2007-03-01 Matsushita Electric Ind Co Ltd ベーンロータリ型空気ポンプ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014098394A (ja) 2014-05-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
USRE49937E1 (en) Rotary compressor with vane coupled to rolling piston
US9127675B2 (en) Vane compressor with vane aligners
EP2924292B1 (en) Rotary compressor
JP5855690B2 (ja) ベーン型圧縮機の製造方法
JP5657144B2 (ja) ベーン型圧縮機
EP2410181B1 (en) Vane compressor
US20160305425A1 (en) Fluid pump
WO2017057159A1 (ja) スクロール型圧縮機
WO2015137209A1 (ja) ベーンポンプ及びその製造方法
JP2013050038A (ja) ベーン型圧縮機
JP5786920B2 (ja) 圧縮機および圧縮機の製造方法
JP3985513B2 (ja) 回転式圧縮機
KR102451435B1 (ko) 펌프 밀봉
GB2558954B (en) Pump sealing
US20180010607A1 (en) Fuel pump and manufacturing method thereof
KR102088023B1 (ko) 로터리 압축기
US9399993B2 (en) Vane compressor having a vane supporter that suppresses leakage of refrigerant
JP2018059434A (ja) 圧縮機
CN108026905A (zh) 液压旋转机械
JP2009209702A (ja) コンプレッサ
US20140102247A1 (en) Connecting rod for refrigeration compressors
JPWO2017002785A1 (ja) ベーン型圧縮機
JP5661204B2 (ja) ベーン型圧縮機
JP2020002886A (ja) 駆動軸・ロータ組立体、及びその製造方法、並びに、駆動軸・ロータ組立体を備えたベーン型圧縮機
JP2017040227A (ja) ベーン型圧縮機

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20140826

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20150603

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20150608

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20150615

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20151116

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20151209

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5855690

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees