JP5852358B2 - 発泡樹脂ブロックの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、発泡樹脂ブロックとその製造技術に関する。
建築物或いは構築物の壁面等を作るにあたり、発泡樹脂で形成された略直方体形状のブロックである発泡樹脂ブロックが用いられている。発泡樹脂ブロックは、予め略直方体形状に成形された状態で持ち込まれた発泡樹脂ブロックを現場で積上げて互いに固定するものなので、盛土やコンクリートの打設、養生等を行う場合などに比較して現場での人力での作業や作業時間の短縮が可能であり、手間、コストの面で有利である等の利点がある。
このような利点があるため、発泡樹脂ブロックの需要は増えている。
ところで発泡樹脂ブロックは一般的に、その表面は発泡樹脂がむき出しになっている。したがって、発泡樹脂ブロックを積み上げて壁面等を構築した場合には壁面等の表面に発泡樹脂がむき出しになる。
そのままの壁面等では美観の点から問題があるから、発泡樹脂ブロックで構成した壁面等の露出している面には、例えば、セメント板や合板、スレート板等の化粧板が取付けられる。化粧板の発泡樹脂ブロックへの取付けは、積み上げた発泡樹脂ブロックの壁際にH鋼を立設し、H鋼の間に化粧板のパネルを嵌め込んで設置するのが一般的である。
また、上記H鋼の立設を不要にするために、ボルトやビスなどの金具を用いて化粧板を固定する事も考えられるが、発泡樹脂にて形成された発泡樹脂ブロックは一般的に硬さが不足しているため、金具を打込んだとしてもしっかりとした固定をなすのは難しい。
このような点を考慮して、従来では、発泡樹脂ブロックの化粧板を固定する表面にテーパー面を持った溝を形成しておき、この溝に嵌合可能な硬質樹脂や金属、木材などで構成されたある程度の硬さを持つ支持材を嵌合させ、接着などにより固定し、その支持材に対して化粧板を固定するために金具の打込みを行うということが行われているが、発泡樹脂ブロックの表面に支持材を後付で嵌合するのは手間であるし、コスト面でも不利になりがちである。(特許文献1:特開平04−1322号公報、特許文献2:特開平11−140877号公報)
本願発明は、支持材を後付することなく、その表面に化粧板等を固定するための金具を固定できる発泡樹脂ブロックを提供することを目的とする。
上述の課題を解決するため、本願発明者は以下の発明を提案する。
本願発明は、略直方体形状の発泡樹脂ブロックの製造方法であって、略直方体形状の内部空間を有する型枠の少なくとも一面に、所定の予備発泡倍率の発泡樹脂である少なくとも一つの平面を有する第1発泡樹脂で形成の支持材を、前記平面を沿わせた状態で配する過程、前記型枠内に、前記第1発泡樹脂の予備発泡倍率よりも予備発泡倍率の大きい発泡樹脂である第2発泡樹脂の予備発泡物を供給し、更に前記型枠内に蒸気を供給することにより、前記第1発泡樹脂及び前記第2発泡樹脂の予備発泡物を加熱させる過程、前記第1発泡樹脂及び前記第2発泡樹脂が硬化した後、前記型枠から前記第1発泡樹脂と前記第2発泡樹脂とが一体となったものを取出して発泡樹脂ブロックを得る過程、を含んでいる。
この方法では、発泡樹脂ブロックの大部分を占めることになる第2発泡樹脂の予備発泡物を略直方体形状の型枠内に供給する前に、型枠の少なくとも一面に、所定の予備発泡倍率の発泡樹脂である第1発泡樹脂で形成の支持材を、その平面を沿わせた状態で配することとしている。したがって、第2発泡樹脂の予備発泡物が固化した場合、上述の支持材の平面は、理想的には発泡樹脂ブロックの一面に露出するか、或いは少なくともその一部が僅かに第2発泡樹脂で覆われて当該一面の直ぐ近くに存在する状態となる。しかも、支持材を構成する第1発泡樹脂の予備発泡倍率は第2発泡樹脂の予備発泡倍率よりも小さいから、支持材は硬化後の第2発泡樹脂よりも硬い。したがって、この方法により得た発泡樹脂ブロックは、新たに支持材をその表面に固定するまでもなく、その一面の支持材が存在する部分に対して、ビスなどの金具を固定できる。なお、第2発泡樹脂の予備発泡物を型枠内に供給した後、第1発泡樹脂と第2発泡樹脂の予備発泡物を加熱し、第2発泡樹脂を更に発泡させるために型枠内に蒸気を供給する際に、既に硬化していた第1発泡樹脂製の支持材も若干溶融するので、第1発泡樹脂と第2発泡樹脂が硬化した後、第2発泡樹脂と支持材はその境界付近で互いに馴染んだ状態となり融着される。したがって、この発泡樹脂ブロックは、支持材が脱落するおそれが小さい。
支持材の形状、大きさは適宜決定できるが、金具が固定されることが予定されている部分をその平面に含むような形状、大きさであれば足りると言える。支持材は、例えば、板材とすることができる。
また、支持材は型枠内のどこに配されても構わない。
支持材は、また、適当な補助材で位置決めすることができる。補助材で位置決めすることにより、完成後の発泡樹脂ブロックにおける支持材の平面が、金具が固定されることが予定されている部分に確実に位置させられるようになる。なお、後述する第1補助材、第2補助材、第3補助材が、補助材の例となる。
補助材と支持材は、当接する部分で互いに係止し合うように構成されていてもよい。
補助材を用いる場合、本願の発泡樹脂ブロックの製造方法では、前記支持材を位置決めする、前記第2発泡樹脂の予備発泡倍率よりも予備発泡倍率の小さな発泡樹脂である第3発泡樹脂で形成の補助材を配してから、前記型枠内に前記第2発泡樹脂の予備発泡物を供給する、こととなる。
補助材は、第2発泡樹脂よりも予備発泡倍率の低い発泡樹脂により構成することができる。発泡樹脂にて補助材を形成することにより、完成後の発泡樹脂ブロック内で、補助材が、支持材と同様、第2発泡樹脂と馴染むように融着される。また、補助材を第2発泡樹脂よりも予備発泡率の低い発泡樹脂で形成することで、補助材の強度を高められる。
なお、前記補助材は、第2発泡樹脂よりも予備発泡倍率の低い発泡樹脂、かつ前記支持材よりも予備発泡倍率の高い発泡樹脂で形成されたものを用いることが好ましい。このようにすることにより、前記第2発泡樹脂を二次発泡させる際に、一度蒸気が当てられることにより成型されている前記補助材に、さらに蒸気が当てられることになり、前記補助材の硬さを前記第2発泡樹脂の硬さと近くすると共に第2発泡樹脂との密着性を高くすることができる。
支持材は、例えば、前記型枠が略水平な底面を備えている場合においては、前記型枠の底面に前記平面を沿わせた状態で配することができる。この場合には、支持材をそのように配置してから、前記第2発泡樹脂の予備発泡物を型枠内に供給することになる。この方法によれば、支持材を、型枠内の底面の適当な位置にその平面を沿わせて置くだけで、完成した発泡樹脂ブロックの面のうち型枠の底面に対応する面の少なくとも一部に硬い支持材が位置する発泡樹脂ブロックを得ることができるようになる。
型枠の底面に支持材を配する場合、前記支持材を、前記底面の対向する一組の一方の辺から他方の辺に略亘るように配される底支持材としてもよい。そして、この場合には、前記底面の前記一方の辺と前記他方の辺のそれぞれに沿うようにして、前記底支持材の両端とそれぞれ当接して前記底支持材を位置決めする、前記第2発泡樹脂よりも予備発泡倍率の小さい発泡樹脂である第4発泡樹脂にて形成の第1補助材を配してから、前記型枠内に前記第2発泡樹脂の予備発泡物を供給するようにすることができる。こうすることによって、完成した発泡樹脂ブロックの面のうち型枠の底面に対応する面に、その面の対向する2辺を結ぶような硬い部分を形成することができる。また、底支持材は、楔のように機能する第1補助材により、突っ張った状態となるので、型枠の底面においてしっかり位置決めされることになる。この場合の底支持材は好ましくは矩形である。また、底支持材は、複数枚であってもよい。
第1補助材の形状、大きさは、例えば、以下のようにすることができる。即ち、前記第1補助材として、それが沿わせられる前記底面の前記辺の長さ方向の全長に亘る長さを持つものを用いることができる。こうすることで、第1補助材の両端を、底支持材がその一方の辺から他方の辺に亘る一組の対向する辺ではない方の対向する辺に当接させることにより第1補助材の位置決めを正確に行えるようになるから、結果として底支持材の位置決めも正確に行えるようになる。第1補助材は例えば、角材のような形状とすることができる。
支持材は、前記型枠が略水平な底面を備えている場合、前記型枠の側面に前記平面を沿わせた状態で配される側面支持材とすることができる。この場合側面支持材を型枠内に配してから、前記型枠内に前記第2発泡樹脂の予備発泡物を供給することができる。この場合には、完成した発泡樹脂ブロックの面のうち側面支持材が配された型枠の側面に対応する面の少なくとも一部に硬い支持材が位置する発泡樹脂ブロックを得ることができるようになる。
なお、側面支持材は矩形とすることができ、複数枚とすることもできる。
側面支持材を用いる場合、前記側面支持材として、前記側面支持材が配される前記型枠の前記側面の上下方向に略亘る長さのものを用いるとともに、前記側面支持材の下端に対応する前記底面の辺に沿うようにして、当該辺にその下端が対応する前記側面支持材の下端と当接して当該側面支持材を位置決めする、前記第2発泡樹脂よりも予備発泡倍率の小さい発泡樹脂である第5発泡樹脂にて形成の第2補助材を配することができる。この場合には、側面支持材に加え第2補助材を配してから、前記型枠内に前記第2発泡樹脂の予備発泡物を供給する、ことになる。また、側面支持材は、楔のように機能する第2補助材により、突っ張った状態となるので、型枠の底面においてしっかり位置決めされることになる。
第2補助材を用いる場合、前記第2補助材として、それが沿わせられる前記底面の前記辺の長さ方向の全長に亘る長さを持つものを用いる、ことができる。第2補助材の位置決めを正確に行えるようになるから、結果として側面支持材の位置決めも正確に行えるようになる。第2補助材は例えば、角材のような形状、或いは板のような形状とすることができる。
側面支持材は、対向する2つの側面にそれぞれ配することができる。
例えば、前記型枠が略水平な底面を備えている場合に、前記支持材を、前記型枠の対向する側面のそれぞれに前記平面を沿わせた状態で配される2枚の側面支持材とすることができる。この場合には、2枚の前記側面支持材の間に、2枚の前記側面支持材の中程が互いに近づくことを防止するために2枚の前記側面支持材をその両端で互いに外向きに押す、前記第2発泡樹脂よりも予備発泡倍率の小さい発泡樹脂である第6発泡樹脂にて形成の第3補助材を配することができる。この場合には、側面支持材と第3補助材を配してから、前記型枠内に前記第2発泡樹脂の予備発泡物を供給することになる。この場合には、完成した発泡樹脂ブロックの面のうち側面支持材が配された型枠の2つの側面に対応する面の少なくとも一部に硬い支持材が位置する発泡樹脂ブロックを得ることができるようになる。
なお、この場合の側面支持材は矩形とすることができ、複数枚とすることもできる。
上述の第3補助材は、対向する面に配された2枚の側面支持材を互いに突っ張って、それら側面支持材をそれらが配される側面に近づけるに有用である。側面支持材が完成した発泡樹脂ブロックの内部に入り過ぎると、金具の固定の用をなさないことも考えられるが、第3補助材はそのような事態の発生を防ぐものである。
このように、型枠が略水平な底面を備えている場合に、支持材を、型枠の対向する2つの側面にそれぞれ配される側面支持材とすることができ、しかもその場合には、2枚の前記側面支持材の中程が互いに近づくことを防止する第3補助材を用いることができる。
ところで、既に述べたように、型枠が略水平な底面を備えている場合に、支持材を、上述のような底支持材にすることができ、しかもその場合には底支持材を位置決めする第1補助材を用いることができること、及び第1補助材を、それが沿わせられる底面の辺の長さ方向の全長に亘る長さを持つものとできる。
2枚の側面支持材と第3補助材とを用いる場合、後者の例における第1補助材で、2枚の側面支持材を位置決めすることができる。これは、第1補助材と第2補助材とを共用することを意味する。
つまり、型枠が略水平な底面を備えている場合であり、支持材が、上述のような底支持材とされ、しかもその場合に底支持材を位置決めする第1補助材が用いられ、その第1補助材が、それが沿わせられる底面の辺の長さ方向の全長に亘る長さを持つものである場合、本発明は、前記支持材を、前記底支持材と、前記型枠の対向する側面のそれぞれに前記平面を沿わせた状態で配される2枚の側面支持材とするとともに、2枚の前記側面支持材の間に、2枚の前記側面支持材の中程が互いに近づくことを防止するために2枚の前記側面支持材をその両端で互いに外向きに押す、前記第2発泡樹脂よりも予備発泡倍率の小さい発泡樹脂である第5発泡樹脂にて形成の第2補助材を配し、且つ2つの前記第1補助材を2枚の前記側面支持材の下端とそれぞれ当接させることにより当該2枚の側面支持材を位置決めしてから、前記型枠内に前記第2発泡樹脂の予備発泡物を供給するものとすることができる。
上述したように、発泡樹脂ブロックの大半を占める第2発泡樹脂の予備発泡倍率は、底支持材、及び側面支持材を含む支持材を形成する第1発泡樹脂の予備発泡倍率よりも高い。同様に、第2発泡樹脂の予備発泡倍率は、第1補助材、第2補助材、及び第3補助材を含む補助材を形成する第4発泡樹脂、第5発泡樹脂、及び第6発泡樹脂を含む発泡樹脂(これらはいずれも、第3発泡樹脂の一例となる。)の予備発泡倍率よりも高い。
例えば、前記第2発泡樹脂の予備発泡倍率は、40〜70倍とすることができる。こうすることで、構築物の壁面や軽量盛土材等に用いる場合に適した適度な硬さになるという効果が得られる。
また、前記第1発泡樹脂の予備発泡倍率は、1.5〜15倍とすることができる。こうすることで、化粧板等の金具による固定が可能になるという効果が得られる。
また、第4発泡樹脂、第5発泡樹脂、及び第6発泡樹脂を含む前記第3発泡樹脂の予備発泡倍率は、20〜40倍とすることができる。こうすることで、第2発泡樹脂を二次発泡させる際に、一度蒸気が当てられることにより成型されている第3発泡樹脂に、さらに蒸気が当てられることになり、第3発泡樹脂の硬さを第2発泡樹脂の硬さと近くすると共に融着後の第2発泡樹脂との密着性を高くすることができるようになるという効果が得られる。
本願発明者はまた、略直方体形状であり、所定の発泡倍率の発泡樹脂である第1発泡樹脂と、前記第1発泡樹脂の予備発泡倍率よりも予備発泡倍率の大きい発泡樹脂である第2発泡樹脂とを含んでなる発泡樹脂ブロックであり、前記第1発泡樹脂は、少なくとも一つの平面を有し、且つ前記発泡樹脂ブロックの一面に前記平面を沿わせた状態とされているとともに、前記第2発泡樹脂は、前記第1発泡樹脂の残部を占め、且つ前記第1発泡樹脂との境界付近では前記第1発泡樹脂と互いに融着されているものをも、本願発明の一例として提案する。
この発泡樹脂ブロックは、本願発明の発泡樹脂ブロックの製造方法で製造される発泡樹脂ブロックの一例であり、新たに支持材をその表面に固定するまでもなく、予め支持材が露出している部分、或いは支持材がその表面近くに存在している部分に対して、ビスなどの金具を固定できるものとなる。
本願発明の実施形態で用いられる型枠の構成を説明するための斜視図。 図1に示した型枠の内部空間に底板、側面板、第1補助材、及び第2補助材を配した状態を示す斜視図。 図2に示した側面板と第2補助材の当接する部分を拡大して示した斜視図。 本実施形態により得られる発泡樹脂ブロックの構成を概略で示す斜視図。
以下、図面を参照しつつ、本願発明の好ましい一実施形態について説明する。
図1に、この実施形態の発泡樹脂ブロックの製造に用いられる型枠の内面及び内部空間を図示する。なお、この空間を囲む型枠自体は極一般的なものであるから、図示を省略する。
型枠の内部空間1は、図1に示したように、直方体形状とされている。内部空間1に隣接する6面のうちの一面である底面11は水平となっている。型枠の図1において左右に位置する2つの側面12A、Bと、図1において前後に位置する2つの側面13A、Bはともに垂直であり、また、図1において上に位置する上面14は水平である。
型枠の内面には、図示を省略の小さな孔が多数穿たれている。孔は、図外の蒸気発生器から供給される水蒸気を型枠の内部空間1に供給するためのものであり、図外の蒸気発生器と接続されている。
また、型枠の内部空間1には、その内部に、後述する主発泡樹脂の予備発泡物を供給するための管が連通されているが、これも一般的なものであるので、その図示は省略する。
側面13Aは、図示を省略のヒンジにより側面12Aに接続されている。つまり、内部空間1は、扉様の側面13Aを開閉することにより、開閉自在となっている。側面13Aを開放できるようになっているのは、型枠の内部空間1内で成形された発泡樹脂ブロックを型枠の内部空間1から取出せるようにするためである。なお、発泡樹脂ブロックが成形されている間は側面13Aが閉じられているのはもちろんのことである。
この実施形態では、側面13Aが開放できることとしたが、発泡樹脂ブロックが取出せるのであれば、側面13A以外の部分が開放できれば足り、またヒンジ以外の他の手段によりその開放が実現できても良いのは当然である。
側面13Bの略中央には、押出板15が設けられている。押出板15は、型枠の内部空間1で成形された発泡樹脂ブロックを内部空間1から押し出すためのものである。押出板15は、側面13Aが開放されたときに、自動的に、或いは操作者の操作により、それまで面一となっていた側面13Bから、図1における前側にせり出してきて、型枠の内部空間1内にあった発泡樹脂ブロックを、内部空間1から押し出すようになっている。
押出板15は、上述のように前進し、また発泡樹脂ブロックを内部空間1から押し出した後は元の位置まで後進する。押出板15がそのような運動を行うための機構はどのようなものを採用しても構わず、またそのための機構は周知慣用のものであるので、図示、説明を省略する。
この実施形態では、以上で説明した型枠の内部空間1に、図2に示したように、種々の部材を配置する。種々の部材を配置する順番はどのようにしても良い。
型枠の内部空間1内に配置される部材は、型枠の底面11にその一面を沿わせて配される2枚の底板20、型枠の側面12A、Bにそれぞれその一面を沿わせて配される、計4枚の側面板30、型枠の底面11と側面12A又は12Bとの双方に含まれる辺に沿って配される2つの第1補助材40、及び4枚の側面板30のうち、対向するもの同士の間に挿し込まれた状態となっている2つの第2補助材50である。
底板20、側面板30、第1補助材40、第2補助材50はすべて、発泡樹脂にて形成されている。底板20、側面板30、第1補助材40、第2補助材50は、以下に説明するようなものとして製造しても構わないし、また、市販品を購入し、必要に応じて成型したものでも構わない。
底板20、側面板30、第1補助材40、第2補助材50を構成する発泡樹脂として使用可能なものの例として、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリウレタン(PU)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、等を挙げることができる。この実施形態では、これには限られないが、底板20と、側面板30とを、再生PS(リサイクルされたポリスチレン)で、第1補助材40と、第2補助材50とを、PS(ポリスチレン)で、それぞれ形成することとしている。
また、底板20、側面板30、第1補助材40、第2補助材50を構成する発泡樹脂の予備発泡倍率はいずれも、後述する主発泡樹脂の予備発泡倍率よりも小さくなっている。
具体的には、底板20と、側面板30を形成する発泡樹脂の予備発泡倍率は、1.5〜15倍の間で選択するのが良い。この範囲の予備発泡倍率とする事によって、化粧板をビス等で固定する際に強固に固定可能となる。
この実施形態では、底板20と、側面板30を形成する発泡樹脂の予備発泡倍率はともに、2倍とした。もっとも、底板20と、側面板30を形成する発泡樹脂の予備発泡倍率は必ずしも同じである必要はない。
また、第1補助材40と、第2補助材50を形成する発泡樹脂の予備発泡倍率は、20〜40倍の間で選択するのが良い。この発泡倍率より低いと第1補助材40と、第2補助材50は、最終的に成型した際に二次発泡後の後述する主発泡樹脂よりもかなり硬くなってしまい、この発泡倍率より高いと最終的に二次発泡後の後述する主発泡樹脂よりもかなり柔らかくなってしまうため、最終的な発泡樹脂ブロックとして使用し辛くなってしまうからである。上記範囲の予備発泡倍率で一度成型したものを用いることによって、第1補助材40と、第2補助材50の最終的な硬さを主発泡樹脂の最終的な硬さとを近くすることが可能となり、両者の密着性を高められる。
この実施形態では、第1補助材40と、第2補助材50を形成する発泡樹脂の予備発泡倍率はともに、30倍とした。もっとも、第1補助材40と、第2補助材50を形成する予備発泡樹脂の発泡倍率は必ずしも同じである必要はない。
底支持材20は、板材である。底支持材20が板材であるのは、その一面を底面11に沿わせることが容易であるからである。底支持材20は、ビスなどの金具が後に打ち込まれることが予定された範囲に少なくとも対応しているのであれば、その形状については不問である。この実施形態では、必ずしもこの限りではないが、底支持材20は細長い矩形とされている。この実施形態の底板20は2枚であるが、底板20は1枚でも、3枚以上でも良い。
底板20の長手方向の長さは、この実施形態では、図2に示したように、底面11の一の辺(この実施形態では、図2における左右方向に延びる辺)の長さと略等しくされている。
側面支持材30は、板材である。側面支持材30が板材であるのは、その一面を側面12A又は側面12Bに沿わせることが容易であるからである。側面支持材30は、ビスなどの金具が後に打ち込まれることが予定された範囲に少なくとも対応しているのであれば、その形状については不問である。この実施形態では、必ずしもこの限りではないが、側面支持材30は細長い矩形とされている。この実施形態の側面支持材30は、側面12A、側面12Bのそれぞれに対して2枚ずつであるが、側面12A、側面12Bのそれぞれに対して1枚ずつでも、3枚以上ずつでも良いし、また側面12A、側面12B毎に枚数が異なってもよい。
側面支持材30の長手方向の長さは、この実施形態では、図2に示したように、側面12A、12Bの高さと略等しくされている。
第1補助材40は、底支持材20と、側面支持材30と、を位置決めする機能を有している。
第1補助材40は、その機能を満たせる限りその形状には特に制限はないが、この実施形態では、角材様の形状をしている。第1補助材40は、その長手方向が、底面11の辺のうち、底板20の長手方向と直交する辺に沿って配される。また、第1補助材40の長手方向の長さは、必ずしもこの限りではないが、この実施形態では、それが沿わせられる上記辺の長さと略等しくなっている。したがって、上記辺に沿わせて配された第1補助材40は、その両端を側面13Aと側面13Bに当接させて、型枠の内部空間1の中である程度の固定がなされる。なお、この固定をより強固にするのであれば、第1補助材40の長手方向の長さを、それが沿わせられる上記辺の長さよりも若干長くすればよい。予備発泡倍率の比較的大きな樹脂でできている第1補助材40はある程度の弾性を持つので、若干圧縮された状態で側面13Aと側面13Bの間に第1補助材40を配することで、第1補助材40の固定がより強固なものとなる。
上述の底支持材20は、2つの第1補助材40の対向する面の間に挟持される。上述したように、底板20の長手方向の長さは、底面11の図2における左右方向に延びる辺の長さと略等しいが、より正確にいうと、底板20の長手方向の長さは、2つの第1補助材40の対向する面間の距離よりも若干長くなっている。底支持材20は、その両端を第1補助材40に当接させ、弾性を有する第1補助材40の間に挟持されて位置決めされる。
なお、底支持材20の第1補助材40による位置決めをより強固なものとするのであれば、底支持材20と第1補助材40の一方にほぞを、他方に、そのほぞが挿入されるに相応しい穴であるほぞ穴を設けるなど、両者が当接する部分において互いに係止し合うような工夫を行えば良い。
上述の側面支持材30は、第1補助材40の上側の面と、上面14との間に挟持される。上述したように、側面支持材30の長手方向の長さは、側面12A、12Bの高さと略等しいが、より正確にいうと、側面支持材30の長手方向の長さは、第1補助材40の上側の面から上面14までの間の距離よりも若干長くなっている。側面支持材30は、その両端を第1補助材40と、上面14に当接させ、幾らかの弾性を有する第1補助材40と、上面14の間に挟持されて位置決めされる。
なお、側面支持材30の第1補助材40と上面14による位置決めをより強固なものとするのであれば、底支持材20の場合と同様に、側面支持材30の第1補助材40が当接する部分において互いに係止し合うような工夫を行えば良い。
第2補助材50は、側面支持材30を、側面12A又は側面12Bに密着させるように位置決めする機能を有している。
第2補助材50は、その機能を満たせる限りその形状には特に制限はないが、この実施形態では、細長い矩形の板様の形状をしている。第2補助材50は、その長手方向の長さが、側面12Aから側面12Bまでの距離に略一致している。この実施形態では、第2補助材50の長手方向の長さは、両側面支持材30の対向する面間の距離よりも若干長くなっている。したがって、幾らかの弾性を有する第2補助材50を2枚の側面支持材30の間に入れ、第2補助材50の両端を側面支持材30の中程にそれぞれ当接させた場合には、側面支持材30はその中程が、側面12A又は側面12Bに密着させられることになり、側面支持材30に対して密着した状態で位置決めされる。
なお、側面支持材30と第2補助材50には、例えば、図3に示したような互いに対応する凹部31と凸部51を設け、凹部31に凸部51を挿入するようにすることで、両者の位置関係を固定することができる。第2補助材50と側面支持材30の位置関係はずれ易いので、両者を係止し合うような適当な工夫を行うことが好ましい。
底板20、側面支持材30、第1補助材40、第2補助材50を以上のように型枠の内部空間1に配した後、上述の管から、内部空間1の大半を占めることになる発泡樹脂である主発泡樹脂の予備発泡物を内部空間1の中に供給する。
主発泡樹脂としては、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリウレタン(PU)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、等を用いることができるが、この実施形態ではPSを用いることとした。この実施形態では、主発泡樹脂の予備発泡物は、これには限られないが、予め50倍程度に発泡させられた状態で内部空間1に供給される。
その後、型枠の内面の穴から、蒸気発生器から供給された水蒸気を供給して、主発泡樹脂の予備発泡物を加熱し、更に発泡させ(二次発泡)、粒子同士を融着して硬化させ成型品とする。
なお、主発泡樹脂の供給を行う場合、また、予備発泡物の二次発泡を行う場合であっても、底支持材20、側面支持材30、第1補助材40、第2補助材50は上述したようにある程度互いに固定されているので、相互の位置がずれる可能性は小さい。
また、主発泡樹脂に囲まれた底支持材20、側面支持材30、第1補助材40、第2補助材50は、二次発泡の際に供給された水蒸気が高温であることもあり、それらの境界は主発泡樹脂と馴染むことにより融着する。
その後、主発泡樹脂が硬化したら、側面13Aを開放し、押出板15にて内部空間1に存在していた発泡樹脂を型枠から取り出し、発泡樹脂ブロックを得る。
この方法により、得た発泡樹脂ブロックを概略で図示したのが、図4である。
図4の斜線部分Xには、底支持材20又は側面支持材30が露出し、或いはその表層のすぐ近くに底支持材20又は側面支持材30が存在するので、ビス等の金具を打ち込むことができる。
なお、この実施形態では、底支持材20と、側面支持材30を共に用いることとしたが、底支持材20と側面支持材30は、その一方のみを用いることが可能である。
例えば、底支持材20のみを用いること、底支持材20と、第1補助材40とを用いること、側面支持材30のみを用いること、側面支持材30と、第1補助材40とを用いること、側面支持材30と、第2補助材50とを用いることも可能である。
1 内部空間
11 底面
12 側面
13 側面
14 上面
15 押出板
20 底面支持材
30 側面支持材
40 第1補助材
50 第2補助材

Claims (10)

  1. 略直方体形状の発泡樹脂ブロックの製造方法であって、
    略直方体形状の内部空間を有する型枠の少なくとも一面に、所定の予備発泡倍率の発泡樹脂である第1発泡樹脂で形成の少なくとも一つの平面を有する支持材を、前記平面を沿わせた状態で配する過程、
    前記型枠内に、前記第1発泡樹脂の予備発泡倍率よりも予備発泡倍率の大きい発泡樹脂である第2発泡樹脂の予備発泡物を供給し、更に前記型枠内に蒸気を供給することにより、前記第1発泡樹脂及び前記第2発泡樹脂の予備発泡物を加熱させる過程、
    前記第1発泡樹脂及び前記第2発泡樹脂が硬化した後、前記型枠から前記第1発泡樹脂と前記第2発泡樹脂とが一体となったものを取出して発泡樹脂ブロックを得る過程、
    を含
    前記型枠を略水平な底面を備えているものとし、
    前記支持材を、前記底面の対向する一組の一方の辺から他方の辺に略亘るように配される底支持材とし、且つ前記型枠の底面に前記平面を沿わせた状態で配するとともに、前記底面の前記一方の辺と前記他方の辺のそれぞれに沿うようにして、前記底支持材の両端とそれぞれ当接して前記底支持材を位置決めする、前記第2発泡樹脂よりも予備発泡倍率の小さい発泡樹脂である第4発泡樹脂にて形成の第1補助材を配してから、前記型枠内に前記第2発泡樹脂の予備発泡物を供給する、
    発泡樹脂ブロックの製造方法。
  2. 前記第1補助材として、それが沿わせられる前記底面の前記辺の長さ方向の全長に亘る長さを持つものを用いる、
    請求項記載の発泡樹脂ブロックの製造方法。
  3. 前記型枠略水平な側面を備えているものとし
    前記支持材として、前記底支持材に加えて、前記型枠の側面に前記平面を沿わせた状態で配される側面支持材をも配してから、前記型枠内に前記第2発泡樹脂の予備発泡物を供給する、
    請求項1記載の発泡樹脂ブロックの製造方法。
  4. 前記側面支持材として、前記側面支持材が配される前記型枠の前記側面の上下方向に略亘る長さのものを用いるとともに、
    前記側面支持材の下端に対応する前記底面の辺に沿うようにして、当該辺にその下端が対応する前記側面支持材の下端と当接して当該側面支持材を位置決めする、前記第2発泡樹脂よりも予備発泡倍率の小さい発泡樹脂である第5発泡樹脂にて形成の第2補助材を配してから、前記型枠内に前記第2発泡樹脂の予備発泡物を供給する、
    請求項記載の発泡樹脂ブロックの製造方法。
  5. 前記第2補助材として、それが沿わせられる前記底面の前記辺の長さ方向の全長に亘る長さを持つものを用いる、
    請求項記載の発泡樹脂ブロックの製造方法。
  6. 前記型枠が略水平な底面を備えているとともに、前記側面支持材を、前記型枠の対向する側面のそれぞれに前記平面を沿わせた状態で配される2枚の側面支持材とするとともに、2枚の前記側面支持材の間に、2枚の前記側面支持材の中程が互いに近づくことを防止するために2枚の前記側面支持材をその両端で互いに外向きに押す、前記第2発泡樹脂よりも予備発泡倍率の小さい発泡樹脂である第6発泡樹脂にて形成の第3補助材を配してから、前記型枠内に前記第2発泡樹脂の予備発泡物を供給する、
    請求項記載の発泡樹脂ブロックの製造方法。
  7. 前記支持材を、前記底支持材と、前記型枠の対向する側面のそれぞれに前記平面を沿わせた状態で配される2枚の側面支持材とするとともに、2枚の前記側面支持材の間に、2枚の前記側面支持材の中程が互いに近づくことを防止するために2枚の前記側面支持材をその両端で互いに外向きに押す、前記第2発泡樹脂よりも予備発泡倍率の小さい発泡樹脂である第5発泡樹脂にて形成の第2補助材を配し、且つ2つの前記第1補助材を2枚の前記側面支持材の下端とそれぞれ当接させることにより当該2枚の側面支持材を位置決めしてから、前記型枠内に前記第2発泡樹脂の予備発泡物を供給する、
    請求項記載の発泡樹脂ブロックの製造方法。
  8. 前記第1発泡樹脂の予備発泡倍率は、1.5〜15倍である、
    請求項1〜記載の発泡樹脂ブロックの製造方法。
  9. 前記第2発泡樹脂の予備発泡倍率は、40〜70倍である、
    請求項1〜記載の発泡樹脂ブロックの製造方法。
  10. 前記第発泡樹脂の予備発泡倍率は、20〜40倍である、
    請求項記載の発泡樹脂ブロックの製造方法。
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