JP5846693B2 - 結腸直腸細胞増殖性疾患を検出するための方法および核酸 - Google Patents

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Description

本発明は、正常状態に比べ、疾患状態で変化した発現パターンを示すゲノムDNA配列に関する。特定の実施形態によって、とりわけ検出に、すなわち前癌性結腸直腸病変の検出に有用な新規な方法、核酸、核酸アレイ、およびキットが提供される。好ましくは、直腸結腸癌を患う危険性がある人々を同定するために、個体をスクリーニングする方法、核酸、核酸アレイ、およびキットが提供される。
癌の発症および診断
癌は、米国第2位の主たる死亡原因である。現在のスクリーニング法が、患者のコンプライアンス、感受性、およびスクリーニングの簡便性の点で改善されれば、死亡率を著しく改善できるであろう。現在推奨される癌診断法は、高価であることが多く、広範な国民スクリーニング検査としての適用には向いていない。
肝細胞癌(HCC)は、世界で第4位の一般的な癌であり、その発生率は、北米の100,000人当たり2.1人から中国の100,000人当たり80人まで様々である。米国では、2005年に17,550件の新規な症例が診断され、そしてこの疾患のために15,420人が死亡すると推定される。HCC(肝細胞癌または原発性肝癌)の診断評価では、肝臓超音波診断、αフェトプロテインレベル、および従来のCTスキャンを通常取るが、それらは多巣性小病変の検出にも、および治療計画にも感受性が低すぎることが多い。
米国では、直腸結腸癌の年間発生率は約150,000件であり、直腸結腸癌により56,600人が死亡している。全人口における直腸結腸癌の生涯リスクは約5〜6%である。大腸癌スクリーニングおよび早期発見での近年の集中的な取り組みにもかかわらず、今日までほとんどの症例は、局所または遠隔転移を伴う、かなり進行した段階で診断されている。治療の選択肢には、手術および補助的化学療法または症状緩和のための化学療法が含まれるが、ほとんどの患者はそれらの癌の進行により数ヵ月以内に死に至る。大腸癌の発生の根底にある分子変化を同定することは、こうした患者の全体的予後不良を改善できる新規なモニタリング、スクリーニング、診断、および治療の選択の開発に役立ちうる。
米国癌学会による、結腸直腸スクリーニングの現在のガイドラインでは、50歳以上の平均的リスクがある個人においては、異なる5種のスクリーニング選択肢のうちの一つが使用される。これらの選択肢には、1)1年ごとの便潜血検査(FOBT)、2)5年ごとの軟性S字結腸鏡検査、3)1年ごとのFPBTに加え5年ごとの軟性S字結腸鏡検査、4)5年ごとのバリウム注腸二重撮像法(DCBE:double contrast barium enema)、または5)10年ごとの大腸内視鏡検査が含まれる。たとえ、これらの検査手順が医療集団によって十分に容認されているとしても、直腸結腸癌の広範なスクリーニングの実施は実現していない。その手順に伴う不快感または不都合のために、検査利用が限定されている主要な要因は患者のコンプライアンスである。FOBT検査は、非侵襲性手順ではあるが、検査前に3〜5日間の食事制限および他の制限を必要とする。この検査の感受性レベルは、結腸直腸腺癌については非常に低く、試行に依存して大きくばらつく。ほとんどの腺腫は出血しないので、腺腫検出用の感受性測定の頻度はさらに少ない。それに反して、S字結腸鏡検査および大腸内視鏡検査など、より侵襲性が高い手順の感受性は、結腸管腔を直接可視化できるので非常に高い。ランダムでの試行によっては、これらの技術の効力を評価されていないが、症例対照研究のデータおよびNational Polyp Study(米国)のデータを使用し、腺腫性ポリープを除去すると、CRC発生率が76〜90%減少することが分っている。S字結腸鏡検査は、結腸左側のみを可視化するという限界があり、右結腸病変は検出されないまま放置される。どちらのスコープ手順も高価であり、瀉下調製物が必要であり、罹患および死亡の危険性が増大する。直腸結腸癌を全般的広範にスクリーニングするのが定型となる前に、感受性、特異性、簡便性が増大し費用が減少するように、検査を改善する必要があることは明らかである。
早期直腸結腸癌検出は、一般的に無症候の個体で毎年実施される便潜血検査(FOBT)に基づく。米国癌学会を含む数箇所の保健医療組織が採択(adapted)した現在の推奨案は、50歳から始め、患者がスクリーニングから、もはや利益を得られなくなる時まで、毎年便潜血検査を繰り返すことが要求される。FOBTが陽性であれば腸の大腸鏡検査を行うが、この検査は、高価であり、かつ5,000検査につき1件という深刻な合併症率を伴う侵襲性手順である。潜血陽性(heme positive)便患者のわずか12%が、大腸内視鏡検査時に癌または大型ポリープと診断される。FOBTスクリーニングでは、癌関連死亡率または全生存期間が改善しないことが、いくつかの研究により示されている。潜血検査のコンプライアンスは低く、推奨されるようにFOBTが提供され、または完了しているのは、人口の20%未満である。FOBTを適切に行うには、患者は、3回の連続する便通から糞便試料を採取する。試料は、患者が食事ガイドラインを守り、胃腸潜血を誘発することが知られている投薬を中止している間に得る。実際、内科医は、患者に適切な指示を出せないことが多く、患者はプロトコルを守りきれないことが多く、糞便試料を採取する作業が困難または不快と感じる患者もおり、従って1年ごとの潜血検査のコンプライアンスが低くなる。検査感受性および特異性によって、現在の方法を改善できるならば、検査頻度を減少させることができ、連続的に試料を採取する必要はなく、食事および投薬スケジュールの修正も不要になり、患者のコンプライアンスも高まるはずである。大腸癌を検出するためのコンプライアンスの問題、FOBの感受性および特異性を組み合わせても不十分である。低い検査特異性は、不要な大腸内視鏡検査につながり、大腸癌スクリーニングをするのに非常に費用がかさむ。
FOBTの特異性は、43%(腺腫)および50%(直腸結腸癌)という感受性で、せいぜい96%であると計算されている。イムノアッセイFOBT、例えば、商品名「InSure(商標)」で製造されたものを用いて、感受性は改善でき、改善した感受性は77%(腺腫)および88.9%(直腸結腸癌)である。
分子疾患マーカー. 分子疾患マーカーは、他の型のマーカーよりもいくつかの利点があり、一つの利点は、たとえサイズが非常に小さい試料であっても、および/またはその組織構造が維持されていない試料であっても、極めて効率よく分析できることである。過去10年以内に、いくつかの遺伝子が、正常と大腸癌の間で差次的に発現することが分かっている。しかし、大腸癌を診断するのに十分な単一マーカーまたはマーカーの組合せは示されていない。近年、高次元mRNAを基にしたアプローチによって、異なる腫瘍型と、良性および悪性病変とを識別するための、より優れた手段が得られることが示された。しかし、mRNAが極度に不安定であること、そしてある種のきっかけ(例えば試料採取)の後に急速に発現に変化が生じること、および最も重要なことは、分析に多量のmRNAが必要であるが(Lipshutz, R. J.ら, Nature Genetics 21:20-24, 1999;Bowtell, D. D. L. Nature genetics suppl. 21:25-32, 1999)、定型の組織診から得られないことが多く、臨床環境での定型診断ツールとしてのその適用は妨げられることになる。
FOBTの感受性および特異性をさらに改善するために、生物学的マーカーの使用が示唆されており、そのような検査の例には、感受性が20%(腺腫)および52%(直腸結腸癌)であり、両症例での特異性が95%である、EXACT Sciences社製PreGen-Plus(商標)便分析アッセイが含まれる。この検査は、結腸新生物の発生に伴う23個のDNA変異の存在についてアッセイする。大腸癌マーカーとしてDNAメチル化の使用が知られている。例えば、Sabbioniら(Molecular Diagnosis 7:201-207, 2003)は、98%の大腸癌患者で末梢血のTPEF、HIC1、DAPK、およびMGMTからなる遺伝子パネルの過剰メチル化を検出した。しかし、そのような検査の特異性も十分に高くなくてはならないので、これは、まさに商業的に市場価値が高い検査に対して好適な根拠を与える。
結腸直腸病因の現在のモデルは、腺腫の段階的進行を支持し、その進行には異形成の発生、そして最後に浸潤癌の徴候が含まれる。この腺腫−癌腫連鎖の根底にある分子変化には、腫瘍サプレッサー遺伝子(APC、p53、DCC)のジェネティックおよびエピジェネティック改変、発癌遺伝子(K−ras)の活性化、およびDNAミスマッチ修復遺伝子の不活化が含まれる。近年、それ以上の分子変化および遺伝的欠陥が明らかにされた。従って、Wntシグナル伝達経路の活性化は、APC遺伝子変異を含むだけでなく、β−カテニン変異からも生じうる。さらに、そのシグナル伝達物質SMAD4およびSMAD2と合わせたTGF−βシグナル伝達経路の変化が、大腸癌の発生と関係している。
結腸の腺腫およびと癌腫の病因、ならびにそれらの遺伝子変化および分子変化の理解が近年の進歩にもかかわらず、転移発生の根底にあるジェネティックおよびエピジェネティック変化は余り理解されていない。しかし、一般的に、細胞外マトリックスの浸潤過程およびタンパク質分解、ならびに血管基底膜の浸潤には、接着タンパク質、例えば、インテグリン受容体ファミリーメンバー、カドヘリン、免疫グロブリンスーパーファミリー、ラミニン結合タンパク質、およびCD44受容体が関与することが広く認められている。接着は別として、転移形成過程には、血管新生(VEGF、bFGF)の誘発および調節、細胞増殖(EGF、HGF、IGF)の誘発、およびタンパク分解酵素(MMP、TIMP、uPAR)の活性化、ならびにアポトーシス(Bcl−2、Bcl−X)の阻害も含まれる。より最近では、他のグループが、転移性病変の遺伝子変化および分子変化と、原発性直腸結腸癌に見出される変化とを比較した。それによって、Kleeffらは、原発性および転移性直腸結腸癌の両方で、候補腫瘍サプレッサー遺伝子であるDOC−2の損失を報告した。さらに、Zauberらは、その一連の42個の直腸結腸癌において、原発癌のKi−ras変異が、42対の原発性および同時多発性転移(synchronous metastatic)病変の全てにおいて同一であったことを報告した。同様に、APC座位で異型接合性を失うことは、39対の癌腫および同時多発性転移について同一であった。著者らは、Ki−ras遺伝子およびAPC遺伝子について、転移での遺伝子変化は、原発性直腸結腸癌と同一であると結論付けた。しかし、他のグループは、転移性大腸癌に、原発癌には存在しない遺伝子変化および分子変化を見つけた。それにより、結腸直腸転移に染色体3pのLOHが発生することが報告されている。さらに、比較ゲノムハイブリダイゼーションを使用し、肝臓転移で、転移性(metastastic)病変に特有の数個の変化が見出された(−9q、−11q、および−17q)。
CpGアイランドのメチル化. 変異は別として、CpGアイランドの異常なメチル化が、様々な癌の病因に以前関連していた、ある種の遺伝子を転写サイレンシングすることが示されている。CpGアイランドは、CpGジヌクレオチドが豊富であり、通常、全ヒト遺伝子の約50%の5'領域に存在することができる短い配列である。これらのアイランドのシトシンのメチル化は、遺伝子発現を消失させ、X染色体の不活化とゲノムインプリンティングにおいて報告されている。
多因子的アプローチ. 従来、癌診断法は、一個の分子マーカーを検出することに頼ってきた(例えば、遺伝子変異、高いPSAレベル)。遺憾ながら、癌は、通常、一個のマーカーで多くの疾患形態を検出できなかった、または区別できなかった疾患状態である。従って、一個のマーカーのみを認識するアッセイには、的中率に限界があることが分かっている。本発明の基礎となる態様は、メチル化に基づく癌診断法、およびそのような疾患のスクリーニング、診断、および治療モニタリングが、色々な複数のマーカーを使用することによって、一個のマーカー分析を利用する最先端技術を著しく改善するものである。癌は単純な疾患ではないので、多重分析的アプローチは癌診断法に特に十分適しており、この多因子的「パネル」アプローチは、細胞学的にも、そして臨床的にも癌の異質な性質に一致している。
メチル化を基にした診断検査に対してパネルアプローチを首尾よく実施する鍵は、疾患状態を特徴付け識別できるマーカーの、最適化したパネルの設計および開発である。本発明は、特に高い感度、特異性、および/または的中率で結腸細胞増殖性疾患を検出できるようにする、複数の特に効率的かつ特有の遺伝子パネル、パネルメンバーの一個または組合せのメチル化分析について記載している。
医学的検査の発達. 任意の医学的スクリーニングまたは診断検査の2つの重要な評価測定項目は、その感受性および特異性であり、それらは、検査が、いかに首尾よく、全ての罹患している個人を一律に、および標的疾患を有しない個体を誤って含めることなく、正確に検出するように実施されているかを測定する(的中率)。歴史的に、多くの診断検査が、不十分な感受性および特異性のために批判されてきた。
真陽性(TP)結果は、検査が陽性であり、その状態が存在する場合である。偽陽性(FP)結果は、検査は陽性であるが、状態は存在しない場合である。真陰性(TN)結果は、検査は陰性であり、かつ状態も存在しない場合である。偽陰性(FN)結果は、検査は陰性であるが、状態は存在しない場合である。この意味において、感受性=TP/(TP+FN)、特異性=TN/(FP+TN)、および的中率=TP/(TP+FP)である。
感受性は、検査を受ける個人において、標的疾患を正確に検出する検査能力の尺度である。感受性が不十分な検査では、偽陰性の割合、すなわち、疾患を有するが、その特定の疾患には罹患していないと誤って同定される個体の割合が高くなる。偽陰性の潜在的危険性は、罹患している個体が、しばらくの間、診断未確定および未治療のまま置かれることであり、その間に疾患は後期まで進行しかねず、その場合、治療法があったとしても効果は低い可能性がある。感受性が低い検査の一例は、HIVについてのタンパク質を基にした血液検である。この種の検査は、疾患が十分に確立され、かなりの数のウイルスが血流に侵入するまでウイルスの存在を検出できないので低感受性を示す。それに反して、高感度検査の一例は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用するウイルス量検出である。この種の検査は、非常に少量のウイルスを検出することができるので、高感度が実現する。誤診断をするという重大性が高いとき、高感度は特に重要である。
他方で、特異性は、疾患状態を有しない患者を正確に同定する検査能力の尺度である。特異性が低い検査では、偽陽性の割合、すなわち、疾患を有するとして誤って同定した個体の割合が高くなる。偽陽性の欠点は、偽陽性によって、危険が付随し、感情的および経済的ストレスを伴う、不要な医療手順の治療を受けるように患者が強制されることであり、それは患者の健康状態に有害作用をもたらす恐れがある。特異性が高い診断検査の開発を困難にする疾患の特徴は、疾患機序、特に癌の疾患機序に、しばしば複数の遺伝子およびタンパク質が関与することである。加えて、ある種のタンパク質は、疾患状態に無関係な理由で上昇しうる。特異性が高い検査の一例は、p53変異を検出できる、遺伝子ベースの検査である。それ以上の診断手順またはそれ以上の医療介入に付随するコストまたはリスクが非常に高い場合、特異性は重要である。
当技術分野での顕著な必要性. 一般的に、当技術分野で、スクリーニングの改善および癌の早期発見が明白に必要とされていることは受け入れられている。一例として、大腸癌スクリーニングの特異性を上昇させることができれば、不要な大腸鏡検査につながる偽陽性検査結果の問題は減少し、コスト削減および安全性の向上につながるであろう。
一般には癌の発生率、より具体的には現在の結腸直腸細胞増殖性疾患のスクリーニング法に伴う短所に照らして、当技術分野では、現在入手できる検査に加えて、またはその代用物として使用するための、癌、特に大腸癌を早期に発見する、改善された方法に対して高い必要性が生じている。
本発明の遺伝子の背景. ヒトセプチン9遺伝子[MLLセプチン様融合タンパク質、MLLセプチン様融合タンパク質MSF−A、Slpa、Eセプチン、Msf、セプチン様タンパク質卵巣/乳房セプチン(Ov/Brセプチン)、およびセプチンD1としても知られている]は、コンティグAC068594.15.1.168501内の染色体17q25に位置し、セプチン遺伝子ファミリーのメンバーである。配列番号1は、セプチン9とQ9HC74転写産物の領域、およびプロモーター領域を含む該遺伝子配列を示す。
セプチン遺伝子ファミリーメンバーは、小胞輸送から細胞質分裂にわたる複数の細胞機能に関連するという仮説が立てられている。セプチン9の作用がかく乱されると、細胞分裂が不完全なものとなる。Surka, M.C., Tsang, C.W., and Trimble, W.S. Mol Biol Cell, 13: 3532-45 (2002)を参照されたい。セプチン9および他のタンパク質は、腫瘍形成での役割を示唆する癌原遺伝子MLLの融合パートナーであることが示された。Osaka, M, Rowley, J.D. and Zeleznik-Le, N.J. PNAS, 96:6428-6433 (1999)を参照されたい。Burrowsらは、卵巣癌における複数のセプチン9遺伝子アイソフォームの発現についての徹底研究を報告し、様々な転写産物の組織特異的発現を示した。Burrows, J. F., Chanduloyら, S.E.H. Journal of Pathology, 201:581-588 (2003)を参照されたい。
7000の正常および腫瘍組織についての近年の研究では、いくつかの腫瘍組織でセプチン9アイソフォームの一貫した過剰発現の存在が示されている。Scott, M., Hyland, P.L.ら, Oncogene, 24: 4688-4700 (2005)を参照されたい。RNA転写産物処理の変化が、異なるタンパク質産生物の調節を制御する場合、その遺伝子はII型癌遺伝子である可能性が高く、悪性度における遺伝子の役割に対して、これらの変化したタンパク質アイソフォームのレベルが答えを得るであろうと著者らは予測する。
ALX4遺伝子は、対になったクラスのホメオタンパク質ファミリーに属する推定上の転写因子である。この遺伝子は、哺乳動物の遺伝子Alx3、Cart−1、MHox、およびS8を含む遺伝子ファミリーの一部であり、ショウジョウバエ(Drosophila)の遺伝子アリスタレス(aristaless)に類似性を示す。それは、ホモ二量体またはヘテロ二量体として、回文構造DNA配列(5'−TAAT−3')を他のファミリーメンバーと結合し、ホメオドメイン結合部位P2を含むプロモーターからの転写を強く活性化する。ALX4は、発生中、頭蓋顔面および肢芽間充織を含む数個の部位で発現する。興味深いことに、ALX4不完全マウスは、体壁欠陥、軸前性多指症、および頭蓋骨の頭頂板の大きさの減少を示すが、ヒトホメオボックス遺伝子ALX4の変異は、遺伝によって受け継がれた頭蓋骨骨形成欠陥に見られる。ALX4は、その発生が上皮−間葉相互作用に依存し、LEF−1の間葉特異的活性を調節する様々な組織においても発現する。
遺伝子ALX4のメチル化は、既に国際公開第2004/035803号に開示している。該文書では、ALX4は、良性、悪性、およびその前悪性クラスの間において何の差異もなく、全ての結腸腺腫クラスおよびポリープクラスにわたってメチル化されたことが開示された。本発明の方法が対象から単離した体液で行われたという点で、本発明の主題は、国際公開第2004/035803号の主題とは異なる。体液試料で本方法を行う技術的効果は、それによって良性病変と前癌性病変の区別が可能になることである。従って、本発明が解決しようとする技術的課題は、いかに無害な(すなわち良性な)結腸直腸病変と潜在的に有害な(すなわち悪性転換しつつある)結腸直腸病変とを区別するかである。国際公開第2004/035803号の教示を考慮すると、当業者であれば、例えば組織学試料とは対照的に、体液中の該マーカーのメチル化を分析しなくても良いであろう。
国際公開第2004/035803号
Surka, M.C., Tsang, C.W., and Trimble, W.S. Mol Biol Cell, 13: 3532-45 (2002) Osaka, M, Rowley, J.D. and Zeleznik-Le, N.J. PNAS, 96:6428-6433 (1999) Burrows, J. F., Chanduloyら, S.E.H. Journal of Pathology, 201:581-588 (2003) Scott, M., Hyland, P.L.ら, Oncogene, 24: 4688-4700 (2005)
本発明は、対象において前癌性結腸直腸病変の存在または非存在の判定方法であって、該対象から単離した体液試料中のセプチン9(その全転写産物変異体を含む)およびALX4からなる群から選択された少なくとも一個の遺伝子またはゲノム配列の発現レベルを決定するステップを含み、その際、低発現および/またはCpGメチル化が該病変の存在を示す判定方法を提供する。また、該発明は、前癌性結腸直腸病変と良性結腸直腸病変とを区別する方法を提供する。本発明の様々な態様は、効率的で特有の遺伝子マーカーを提供し、それにより該マーカーを発現分析することによって、感度、特異性、および/または的中率が特に高い前癌性病変の検出が可能になる。本発明の検査法は、危険な状態にある集団をスクリーニングするのに特に有用である。本発明の方法は、悪性転換しつつあるが、癌発生前である結腸直腸病変の検出が可能になるので(業界標準的FOBTを含む)従来技術の方法よりも有利である。さらに、そのような検査が、感度および特異性が高く、ならびに非侵襲性であることは、患者のコンプライアンスを増加させる可能性がある。
一実施形態では、本発明は、対象において細胞増殖性疾患を検出および/または分類する方法であって、該対象から単離した体液試料中のセプチン9(その全転写産物変異体を含む)およびALX4からなる群から選択された少なくとも一個の遺伝子またはゲノム配列の発現レベルを決定するステップを含み、その際、発現不足および/またはCpGメチル化が、該疾病の存在またはクラスを示す方法を提供する。一実施形態では、該遺伝子から転写されたmRNAの存在、非存在またはレベルを検出することによって該発現レベルを決定する。別の実施形態では、該遺伝子またはその配列によってコードされたポリペプチドの存在、非存在またはレベルを検出することによって該発現レベルを決定する。
さらに好ましい実施形態では、該発現は、該遺伝子内のCpGメチル化の存在または非存在を検出することによって決定され、その際、メチル化の存在によって、悪性転換しつつある、または既に悪性転換した細胞増殖性病変の存在が示される。該方法は、i)対象から得た(好ましくは、血漿、血清、全血、単離血液細胞、血液から単離した細胞からなる群から選択された)体液試料から単離したゲノムDNAと、少なくとも一種の試薬または一連の試薬(この試薬は、該ゲノムDNAの少なくとも一個の標的領域内で、メチル化したCpGジヌクレオチドと、メチル化されていないCpGジヌクレオチドとを識別する)とを接触させるステップであって、その際、該標的領域のヌクレオチド配列が、セプチン9(その全転写産物変異体を含む)およびALX4からなる群から選択された、少なくとも一個の遺伝子またはゲノム配列の、少なくとも一個のCpGジヌクレオチド配列を含むステップ、およびii)少なくとも部分的に細胞増殖性疾患を検出および/または分類するステップを含む。好ましくは、標的領域は、配列番号1〜配列番号2からなる群から選択された少なくとも一配列の、少なくとも16個の近接ヌクレオチド配列を含み、またはストリンジェントな条件下でこの配列とハイブリダイズする。
潜在的に有害な結腸直腸病変の早期発見を可能にする方法は現在存在しないので、本方法は新規なものである。例えば、直腸結腸癌を検出し診断するために使用される現在の方法には、大腸内視鏡検査、S字結腸鏡検査、および便潜血大腸癌が含まれる。こうした方法と比較して、開示した発明は、大腸内視鏡検査よりも侵襲性が極めて低く、そしてS字結腸鏡検査およびFOBTよりも感受性が高くなくても、癌腫期に到達する前の有害な病変が検出できる。少なくとも直腸結腸癌スクリーニングについて、単一の体液に基づく検査に対する患者のコンプライアンスは、FOBTで現在推奨されている三つ組糞便分析よりも高いことが予測されるという点で、体液アッセイの開発は、現在の当技術分野で公知の方法よりも明確な技術的優位性を示している。
本方法の特定の実施形態は、結腸直腸細胞増殖性疾患を検出および/または分類するためのマーカーとして、セプチン9(その全転写産物変異体を含む)およびALX4からなる群から選択された少なくとも一個の遺伝子またはゲノム配列の使用を含む。本発明は、悪性転換しつつある前癌性結腸直腸細胞増殖性疾患の検出に特に適している。その遺伝子の該使用は、その遺伝子の発現の任意の分析によって、mRNA発現分析またはタンパク質の発現分析によって可能になるであろう。しかし、本発明の最も好ましい実施形態では、結腸直腸細胞増殖性疾患の検出、区別、および識別は、セプチン9(その全転写産物変異体を含む)およびALX4からなる群から選択された少なくとも一個の遺伝子もしくはゲノム配列、およびそれらのプロモーターまたは調節エレメントのメチル化状態を分析することによって可能になる。
本発明は、前癌細胞性増殖性疾患の発生に関連する特徴について生物学的試料を分析する方法を提供し、本方法は、配列番号1〜配列番号2からなる群の少なくとも一個の核酸またはそのフラグメントを、ゲノム配列または対象の配列内で、メチル化されたCpGジヌクレオチドとメチル化されていないCpGジヌクレオチドとを識別できる試薬または一連の試薬と接触させることを特徴とする。
本発明は、悪性結腸直腸細胞増殖性疾患の発生に関連するゲノムDNAのエピジェネティックパラメーターを確認する方法を提供し、本方法は、該疾患の診断、治療、およびモニタリングの改善に有用である。
好ましくは、検査試料源は、細胞または細胞系、組織切片、生検試料、パラフィン包埋組織、体液、糞便、尿、血液、およびそれらの組合せからなる群から選択される。より好ましくは、供給源は、糞便、血漿、血清、全血、単離血液細胞、対象から得た血液からの単離細胞からなる群から選択される。
具体的には、本発明は、前癌性結腸直腸細胞増殖性疾患を検出する方法、または前癌性細胞増殖性疾患と良性細胞増殖性疾患とを区別する方法であって、ゲノム核酸を含む体液試料を得るステップ、核酸またはそのフラグメントと、対象核酸の少なくとも一標的配列内で、メチル化されたCpGジヌクレオチド配列とメチル化されていないCpGジヌクレオチド配列とを識別するのに十分な一試薬または複数の試薬とを接触させるステップであって、標的配列が、配列番号1〜配列番号2からなる群から選択された配列の少なくとも16個の近接ヌクレオチドを含む配列を含み、またはストリンジェントな条件下でこの配列とハイブリダイズし、該近接ヌクレオチドが、少なくとも一個のCpGジヌクレオチド配列を含むステップ、および少なくとも部分的に該識別に基づき、少なくとも一個の標的CpGジヌクレオチド配列のメチル化状態、または複数の標的CpGジヌクレオチド配列の平均もしくは平均メチル化状態を反映する値を決定するステップを含む方法を提供する。
好ましくは、標的配列内でメチル化されたCpGジヌクレオチド配列と、メチル化されていないCpGジヌクレオチド配列とを識別することには、配列番号3〜配列番号10からなる群から選択された配列および標的配列に対応するその近接領域内で、少なくとも一個のそのようなCpGジヌクレオチド配列が、その対応する転換または非転換ジヌクレオチド配列に、メチル化状態依存的に転換し、または転換されないことが含まれる。
別の実施形態は、対象のゲノムDNAを有する体液試料を得るステップ、そのゲノムDNAを抽出するステップ、配列番号1〜配列番号2からなる群から選択された一個以上の配列、またはストリンジェントな条件下でこの配列とハイブリダイズする配列を含む、そのゲノムDNAもしくはそのフラグメントを、一種以上のメチル化感受性制限酵素に接触させるステップであって、そのゲノムDNAはそれによって消化されて、消化フラグメントを生成するステップ、またはそれによって消化されないステップ、および少なくとも一個のそのようなフラグメントの存在もしくは非存在または特性に基づき、配列番号1〜配列番号2からなる群から選択された少なくとも一個のゲノム配列の少なくとも一個のCpGジヌクレオチド配列のメチル化状態、または複数のそのCpGジヌクレオチド配列の平均もしくは平均メチル化状態を反映する値を決定するステップを含む代替法を提供する。好ましくは、該決定前に消化または未消化ゲノムDNAを増幅する。
その他の実施形態は、ゲノム核酸配列および化学的に改変された核酸配列、ならびに配列番号1〜配列番号2からなる群の配列中で、シトシンのメチル化パターンを分析するためのオリゴヌクレオチドおよび/またはPNAオリゴマーを提供する。
定義:
「観察/推定割合」(「O/E割合」)という用語は、特定のDNA配列中のCpGジヌクレオチドの頻度をさし、[CpG部位数/(C塩基の数×G塩基の数)]/各フラグメントのバンド長に相当する。
「CpGアイランド」という用語は、(1)「観察/推定割合」>0.6に対応するCpGジヌクレオチドの頻度を有し、(2)「GC含有量」>0.5を有するという判定基準を満たすゲノムDNA近接領域をさす。CpGアイランドは、必ずしもではないが、通常約0.2〜約1KBまたは約2kb長である。
「メチル化状態(state)」または「メチル化状態(status)」という用語は、DNA配列中の一つ以上のCpGジヌクレオチドに5−メチルシトシン(「5−mCyt」)が存在または存在しないことをさす。DNA配列中の一つ以上の特別なCpGメチル化部位(それぞれ、2個のCpGジヌクレオチド配列を有する)におけるメチル化状態には、「非メチル化」、「完全メチル化」、および「半メチル化」が含まれる。
「半メチル化(hemi-methylation)」または「半メチル化(hemimethylation)」という用語は、その唯一の鎖がメチル化されている二本鎖DNAのメチル化状態をさす。
本明細書で使用する「AUC」という用語は、曲線下面積の略語である。特に、受信者動作特性(ROC)曲線下面積をさす。ROC曲線は、診断検査の異なる可能カット点における、偽陽性割合に対する真陽性割合のプロットである。この曲線は、選択されたカット点に依存する、感受性と特異性の間のトレードオフを示す(感受性の任意の上昇には特異性の減少が伴う)。ROC曲線(AUC)下面積は、診断検査の精度の尺度である(その領域が広いほど高く、最適は1であり、ランダムテストのROC曲線は、領域の0.5を有して対角線を描くはずである。J.P. Egan. Signal Detection Theory and ROC Analysis, Academic Press, New York, 1975を参照されたい)。
「過剰メチル化」という用語は、正常な対照DNA試料中の対応するCpGジヌクレオチドで見られる5−mCyt量に比べて、検査DNA試料のDNA配列中の一つ以上のCpGジヌクレオチドで5−mCytの存在が上昇することに対応する平均メチル化状態をさす。
「低メチル化」という用語は、正常な対照DNA試料中の対応するCpGジヌクレオチドで見られる5−mCyt量に比べて、検査DNA試料のDNA配列中の一つ以上のCpGジヌクレオチドで5−mCytの存在が減少することに対応する平均メチル化状態をさす。
「マイクロアレイ」という用語は、当技術分野で認識されているように「DNAマイクロアレイ」および「DNAチップ」をさし、当技術分野で認識されている固相担体全てを包含し、核酸分子をそこに固定する方法全て、またはその上に核酸を合成する方法全てを包含する。
「遺伝子パラメーター」は、その調節にさらに必要な遺伝子および配列の変異および多型である。名付けるために、変異は、特に挿入、欠失、点変異、反転、および多型であり、SNP(一塩基変異多型)が特に好ましい。
「エピジェネティックパラメーター」とは、特にシトシンのメチル化である。さらに、エピジェネティックパラメーターには、例えば、ヒストンのアセチル化が含まれるが、これは、記載の方法を使用し直接分析することができないが、DNAメチル化と順次相関する。
「重亜硫酸塩試薬」という用語は、本明細書に開示したように、メチル化したCpGジヌクレオチド配列と、メチル化されていないCpGジヌクレオチド配列とを識別するのに有用な重亜硫酸塩、二亜硫酸塩、亜硫酸水素またはそれらの組合せを含む試薬をさす。
「メチル化アッセイ」という用語は、DNA配列中の一個以上のCpGジヌクレオチドのメチル化状態の配列を決定する任意のアッセイをさす。
「MS.AP−PCR」(メチル化感受性任意刺激ポリメラーゼ連鎖反応:Methylation-Sensitive Arbitrarily-Primed Polymerase Chain Reaction)という用語は、CpGジヌクレオチドを含む可能性が最も高い領域に集中するために、CGリッチプライマーを使用しゲノムの全体的スキャンを可能にする当技術分野で認識されている技術をさし、Gonzalgoら, Cancer Research 57:594-599, 1997に記載している。
「MethyLight(商標)」という用語は、Eadsら, Cancer Res. 59:2302-2306, 1999に記載している、当技術分野で認識されている蛍光に基づくリアルタイムPCR技術をさす。
本明細書で実施する実施形態では、「HeavyMethyl(商標)」アッセイという用語は、増幅プライマー間のCpG位置を包含し、または増幅プライマーによって包含されている、メチル化特異的ブロッキングプローブ(本明細書ではブロッカーともいう)によって、核酸試料のメチル化特異的選択的増幅が可能になるアッセイをさす。
本明細書で実施するその実施形態では、「HeavyMethyl(商標)MethyLight(商標)」アッセイという用語は、MethyLight(商標)アッセイのバリエーションであるHeavyMethyl(商標)MethyLight(商標)アッセイをさし、その際、MethyLight(商標)アッセイは、増幅プライマー間のCpG位置を包含するメチル化特異的ブロッキングプローブと併用される。
「Ms-SNuPE」(メチル化感受性単一ヌクレオチドプライマー伸長法:Methylation-sensitive Single Nucleotide Primer Extension)という用語は、Gonzalgo and Jones, Nucleic Acids Res. 25:2529-2531, 1997に記載された当技術分野で認識されているアッセイをさす。
「MSP」(メチル化特異的PCR)という用語は、Hermanら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:9821-9826, 1996および米国特許第5,786,146号に記載している当技術分野で認識されているメチル化アッセイをさす。
「COBRA」(混合型重亜硫酸塩制限分析:Combined Bisulfite Restriction Analysis)という用語は、Xiong and Laird, Nucleic Acids Res. 25:2532-2534, 1997に記載している当技術分野で認識されているメチル化アッセイをさす。
「MCA」(メチル化されたCpGアイランド増幅)という用語は、Toyotaら, Cancer Res. 59:2307-12, 1999および国際公開公報第00/26401号A1に記載しているメチル化アッセイをさす。
「ハイブリダイゼーション」という用語は、試料DNA中で、オリゴヌクレオチドが、ワトソンクリック塩基対のラインに沿った相補的配列と結合し、二重鎖構造を形成することと理解されたい。
本明細書で定義した「ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件」は、68℃の5×SSC/5×デンハート液/1.0%SDS中でハイブリダイズし、室温において0.2×SSC/0.1%SDSで洗浄するステップを含み、または当技術分野で認識されているその同等の方法(例えば、60℃で2.5×SSC緩衝液中でハイブリダイゼーションを実施し、続いて37℃の低濃度緩衝液で数回洗浄し、そして安定放置する条件)を含む。本明細書で定義したややストリンジェントな条件は、42℃の3×SSCで洗浄するステップ、または当技術分野で認識されているその同等の方法を含む。塩濃度および温度のパラメーターは、プローブと標的核酸との間の最適同一性レベルを得るために変動できる。そのような条件に関する指針は、当技術分野で入手でき、例えばSambrookら, 1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Press, N.Y.およびAusubelら, (編), 1995, Current Protocols in Molecular Biology, (John Wiley and Sons, N.Y.), Unit 2.10により入手できる。
「メチル化特異的制限酵素」または「メチル化感受性制限酵素」という用語は、その認識部位メチル化状態に基づき選択的に核酸を消化する酵素を意味するものとする。認識部位がメチル化されていないか、または半メチル化されている場合に、特異的に切断を行うような制限酵素のケースでは、認識部位がメチル化されている場合、切断は生じないか、または著しく低い効率で生じる。認識部位がメチル化されている場合に、特異的に切断を行うような制限酵素のケースでは、認識部位がメチル化されていない場合、切断は生じないか、または著しく低い効率で生じる。好ましい制限酵素は、メチル化特異的制限酵素であり、その認識配列はCGジヌクレオチド(例えば、cgcgまたはcccggg)を含む。いくつかの実施形態でさらに好ましい制限酵素は、このジヌクレオチド中のシトシンが炭素原子C5でメチル化されている場合に、切断を行わない制限酵素である。
「非メチル化特異的制限酵素」または「非メチル化感受性制限酵素」は、メチル化状態に関わりなく、ほぼ同一の効率で核酸配列を切断する制限酵素である。それらは、「メチル化非特異的制限酵素」とも呼ばれる。
「遺伝子」という用語は、その全転写産物変異体(例えば、「セプチン9」という用語には、例えばその切断された転写産物Q9HC74が含まれる)、および全プロモーターとその調節エレメントを含むものとする。さらに、該遺伝子中には複数のSNPが知られているので、その用語はその全配列変異体を含むものとする。
悪性になる可能性がない結腸直腸病変は、組織学的に良性として分類され、過形成性ポリープ、過誤腫、および炎症性ポリープを含む。悪性になる可能性がある結腸直腸病変は、組織学的に新生物腺腫として分類され、腺管腺腫(0%〜25%絨毛組織)、腺管絨毛(tubuvillous)腺腫(25%〜75%絨毛組織)および絨毛腺腫(75%〜100%絨毛組織)を含む。
「前癌性」または「前悪性」という用語、およびそれに相当する語は、悪性転換しつつある任意の細胞増殖性疾患、例えば、それだけには限定されないが、上記のものを含む新生物腺腫を意味するものとする。そのような状態の例には、結腸直腸細胞増殖性疾患と関連して、高度の異形成が伴う細胞増殖性疾患(それだけには限定されないが、一般に「ポリープ」と称するものなど)、および以下の腺腫クラスが含まれる。
レベル1:ポリープ頭部内で、筋粘膜を通り粘膜下層に至る悪性の腺の浸透、
レベル2:同じ粘膜下浸潤であるが頭部から茎部の連結部に見られる浸潤、
レベル3:茎部浸潤、および
レベル4:結腸壁に接続する茎基部浸潤(このレベルはDukes A期に対応する)。
概要
本発明は、対象において、前癌性結腸直腸細胞増殖性疾患(例えば、新生物の腺腫)を検出する方法、または良性結腸直腸病変と前悪性結腸直腸病変とを区別する方法であって、該対象から単離した生物学的試料中のセプチン9(その全転写産物変異体を含む)およびALX4からなる群から選択された少なくとも一個の遺伝子またはゲノム配列の発現レベルを決定するステップを含み、その際、低発現および/またはCpGメチル化が該疾病の存在を示す方法を提供する。好ましくは、セプチン9(その任意の転写産物変異体を含む)およびALX4の発現レベルを分析する。該マーカーは、直腸結腸癌の存在を検出し、および/または結腸直腸病変の良性と悪性形態の区別することによって、疾患の前癌性段階の直腸結腸癌を早期発見するために使用しうる。
第一の実施形態では、本発明は、セプチン9(その全転写産物変異体を含む)およびALX4からなる群から選択された少なくとも一個の遺伝子またはゲノム配列のCpGメチル化状態を分析することに基づく。好ましくは、セプチン9(その任意の転写産物変異体を含む)およびALX4のメチル化状態を分析する。さらに、該遺伝子配列が表1の通りであるのが好ましい。
DNAの重亜硫酸塩改変は、CpGメチル化状態を評価するために用いる、当技術分野で認められているツールである。5−メチルシトシンは、真核細胞DNAで最も頻発する共有結合基部修飾である。5−メチルシトシンは、例えば、転写調節、遺伝子刷り込み、および腫瘍形成で役割を担う。従って、遺伝情報成分として5−メチルシトシンを同定することは、非常に重要である。しかし、5−メチルシトシンの位置は、シーケンシングでは同定することができない。なぜなら、5−メチルシトシンは、シトシンと同じ塩基対形成挙動を取るからである。さらに、5−メチルシトシンによって運ばれるエピジェネティック情報は、例えばPCR増幅中に完全に消失する。
5−メチルシトシンの存在を知るためにDNAを分析するのに最も頻繁に使用される方法は、重亜硫酸塩とシトシンの特異的反応に基づいており、その際、それに続くアルカリ加水分解後、シトシンは、その塩基対形成挙動がチミンに対応するウラシルに転換される。しかし、重要なことに、5−メチルシトシンは、こうした条件下では依然として未修飾のままである。従って、本来は、そのハイブリダイゼーション挙動によってシトシンと識別することはできないメチルシトシンが、当技術分野で認識されている標準的分子生物学的技術を用い、例えば、増幅およびハイブリダイゼーション、またはシーケンシングにより、唯一残るシトシンとして検出され得るような方法で、元のDNAは転換される。これらの技術の全ては、次に十分に活用することができる差次的塩基対形成特性に基づいている。
感受性の点で、従来技術は、アガロースマトリックス中に分析すべきDNAを封入するステップ、それによってDNAの拡散と再生を防止するステップ(重亜硫酸塩は一本鎖DNAのみと反応する)、ならびに全沈殿および精製ステップを高速透析に交換するステップ(Olek A,ら, A modified and improved method for bisulfite based cytosine methylation analysis, Nucleic Acids Res. 24:5064-6, 1996)を含む方法によって定義される。従って、本方法の有用性および感受性を例示し、メチル化状態について個々の細胞を分析することができる。5−メチルシトシンを検出する当技術分野で認識されている方法の概要は、Rein, T.ら, Nucleic Acids Res., 26:2255, 1998に提供されている。
いくつかの例外(例えば、Zeschnigk M,ら, Eur J Hum Genet. 5:94-98, 1997)を除いて、重亜硫酸塩技術は、現在研究にのみ使用されている。全ての場合において、既知の遺伝子の特異的短鎖フラグメントは、重亜硫酸塩処理の後に増幅し、完全に配列決定し[Olek and Walter, Nat Genet. 1997 17:275-6, 1997]、一つ以上のプライマー伸長反応にかけて[Gonzalgo and Jones, Nucleic Acids Res., 25:2529-31, 1997;国際公開第95/00669号;米国特許第6,251,594号]個々のシトシンの位置を分析するか、または酵素消化により処理する(Xiong and Laird, Nucleic Acids Res., 25:2532-4, 1997)。ハイブリダイゼーションによる検出は、当技術分野でも記載されている(Olekら、国際公開第99/28498号)。加えて、個々の遺伝子に関してメチル化を検出するために、重亜硫酸塩技術を使用することについては、(Grigg and Clark, Bioessays, 16:431-6, 1994;Zeschnigk M,ら, Hum Mol Genet., 6:387-95, 1997;Feil R,ら, Nucleic Acids Res., 22:695-, 1994;Martin V,ら, Gene, 157:261-4, 1995;国際公開第9746705号および国際公開第9515373号)に記載している。
本発明は、配列番号1〜配列番号2からなる群から選択された少なくとも一配列内の、CpGジヌクレオチド配列のメチル化状態を決定するための、一種以上のメチル化アッセイと組み合せた重亜硫酸塩技術の使用を用意する。配列番号1の塩基42,700〜52,000(または、同等の重亜硫酸塩転換配列内の該位置)内で、遺伝子ALX4のCpG位置を分析するのが特に好ましい。配列番号2の塩基1,000〜4,250または93,850〜96,000(または、同等の重亜硫酸塩転換配列内の該位置)内で、遺伝子セプチン9のCpG位置を分析するのが特に好ましい。ゲノムのCpGジヌクレオチドは、メチル化されても、またはメチル化されなくてもよい(あるいは、それぞれ、上方および下方メチル化として知られる)。しかし、本発明の方法は、異質の自然物の生物学的試料、例えば、血液または糞便背景中の低濃度の結腸直腸細胞の分析に適している。従って、そのような試料中のCpG位置のメチル化状態を分析する場合、当業者は、メチル化状態とは対照的に、特定のCpG位置のメチル化レベル(例えば、%、画分、割合、比率、または程度)を決定するための定量アッセイを使用してよい。従って、メチル化状態(status)またはメチル化状態(state)という用語はまた、CpG位置のメチル化の程度を反映する値を意味するものとすべきである。具体的に述べない限り、「過剰メチル化」または「上方メチル化」という用語は、明記したカットオフ点のメチル化レベルより上のメチル化レベルを意味するものであり、その際、該カットオフは、所与の集団について平均もしくは中央メチル化レベルを表す値であってよく、または最適化したカットオフレベルであることが好ましい。本明細書では「カットオフ」を「閾値」とも呼ぶ。本発明と関連して「メチル化」、「過剰メチル化」、または「上方メチル化」という用語は、セプチン9(その全転写産物変異体を含む)およびALX4からなる群から選択された遺伝子内の、およびこれと関連する(例えば、プロモーターまたは調節領域)全てのCpG位置について、カットオフがゼロ%(またはその同等値)メチル化であることよりも上のメチル化レベルを含むものとする。
本発明による、配列番号1〜配列番号2内のCpGジヌクレオチド配列のメチル化状態の決定は、悪性転換しつつある結腸直腸病変の検出、従って直腸結腸癌の早期発見に有用である。
メチル化アッセイ手順
様々なメチル化アッセイ手順が、当技術分野で公知であり、本発明と組み合わせて使用することができる。これらのアッセイによって、DNA配列中の一つ以上のCpGジヌクレオチド(例えば、CpGアイランド)のメチル化状態を決定できるようになる。そのようなアッセイには、他の技術の中でも、重亜硫酸塩処理したDNAのDNAシーケンシング、(配列特異的増幅用)PCR、サザンブロット分析、およびメチル化感受性制限酵素の使用が含まれる。
例えば、重亜硫酸塩処理を使用することによって、ゲノムシーケンシングは、DNAメチル化パターンおよび5−メチルシトシン分布を分析するために簡略化されている(Frommerら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:1827-1831, 1992)。加えて、重亜硫酸塩で転換したDNAから増幅したPCR生成物の制限酵素消化産物が使用される。例えば、SadriおよびHornsby(Nucl. Acids Res. 24:5058-5059, 1996)、またはCOBRA(Combined Bisulfite Restriction Analysis)(Xiong and Laird, Nucleic Acids Res. 25:2532-2534, 1997)に記載の方法。
COBRA
COBRA(商標)分析は、少量のゲノムDNAで特異的遺伝子座位でのDNAのメチル化レベルを決定するのに有用な定量メチル化アッセイである(Xiong and Laird, Nucleic Acids Res. 25:2532-2534, 1997)。手短に言えば、制限酵素消化産物を使用して、重亜硫酸ナトリウム処理したDNAのPCR生成物で、メチル化に依存する配列の差異を明らかにする。メチル化に依存する配列の差異は、まず、Frommerら(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:1827-1831, 1992)に記載している手順による標準的重亜硫酸塩処理によって、ゲノムDNAに導入される。次いで、対象となるCpGアイランドに特異的なプライマーを使用し、重亜硫酸塩で転換したDNAのPCR増幅を実施し、続いて制限エンドヌクレアーゼ消化、ゲル電気泳動、および特異的な標識したハイブリダイゼーションプローブを使用する検出を実施する。広範囲なDNAのメチル化レベルにわたって直線的定量方法で、元のDNA試料のメチル化レベルは、消化および未消化PCR生成物の相対量によって表す。さらに、この技術は、微細切開パラフィン包埋組織試料から得たDNAに確実に施用できる。
COBRA(商標)分析用の典型的な試薬〔例えば、典型的COBRA(商標)に基づくキットに見られるであろう試薬〕には、それだけには限定されないが、特異的遺伝子(または、重亜硫酸塩処理したDNA配列またはCpGアイランド)用PCRプライマー;制限酵素および好適な緩衝液;遺伝子−ハイブリダイゼーションオリゴヌクレオチド;対照ハイブリダイゼーションオリゴヌクレオチド;オリゴヌクレオチドプローブ用のキナーゼ標識化キット、および標識したヌクレオチドが含まれうる。加えて、重亜硫酸塩転換試薬には、DNA変性緩衝液;スルホン化緩衝液;DNA回収試薬またはキット(例えば、沈殿、限外濾過、アフィニティカラム);脱スルホン化緩衝液、およびDNA回収成分が含まれうる。
好ましくは、「MethyLight(商標)」(蛍光に基づくリアルタイムPCR技術)(Eadsら, Cancer Res. 59:2302-2306, 1999)、Ms-SNuPE(商標)(メチル化感受性単一ヌクレオチドプライマー伸長法)反応(Gonzalgo and Jones, Nucleic Acids Res. 25:2529-2531, 1997)、メチル化特異的PCR(「MSP」;Hermanら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:9821-9826, 1996;米国特許第5,786,146号)、およびメチル化したCpGアイランド増幅(「MCA」;Toyotaら, Cancer Res. 59:2307-12, 1999)などのアッセイが、単独でまたはこれら方法の他のものと組み合わせて使用する。
「HeavyMethyl(商標)」アッセイ技術は、重亜硫酸塩処理したDNAのメチル化特異的増幅に基づいて、メチル化の差異を評価する定量法である。増幅プライマーの間のCpG位置を包含し、またはこれによって包含されているメチル化特異的ブロッキングプローブ(本明細書ではブロッカーともいう)によって、核酸試料のメチル化特異的選択的増幅が可能になる。
本明細書で実施するその実施形態では、「HeavyMethyl(商標)MethyLight(商標)」アッセイという用語は、MethyLight(商標)アッセイのバリエーションであるHeavyMethyl(商標)MethyLight(商標)アッセイをさし、その際、MethyLight(商標)アッセイは、増幅プライマー間のCpG位置を包含するメチル化特異的ブロッキングプローブと組み合わせる。HeavyMethyl(商標)アッセイはまた、メチル化特異的増幅プライマーと組み合せて使用してもよい。
HeavyMethyl(商標)分析に典型的な試薬(例えば、典型的MethyLight(商標)に基づくキットに見られる試薬)には、それだけには限定されないが、特異的遺伝子(または、重亜硫酸塩処理したDNA配列もしくはCpGアイランド)用PCRプライマー;ブロッキングオリゴヌクレオチド;最適化したPCR緩衝液およびデオキシヌクレオチド;ならびにTaqポリメラーゼが含まれうる。
MSP
MSP(メチル化特異的PCR)によって、メチル化感受性制限酵素の使用とは無関係に、CpGアイランド内の実質的に任意の群のCpG部位のメチル化状態も評価できるようになる(Hermanら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:9821-9826, 1996;米国特許第5,786,146号)。手短に言えば、重亜硫酸ナトリウムによってDNAを改変して、全てのメチル化されていないシトシンをウラシルに転換するが、メチル化されているシトシンはウラシルに転換せず、続いてメチル化されていないDNAとは対比して、メチル化されたDNAに特異的なプライマーで増幅する。MSPは、ほんの少量のDNAを必要とし、所与のCpGアイランド座位の0.1%のメチル化した対立遺伝子に対して感受性があり、パラフィン包埋試料から抽出したDNAで実施することができる。MSP分析に典型的な試薬(例えば、典型的MSPに基づくキットに見られる試薬)には、それだけには限定されないが、特異的遺伝子(または、重亜硫酸塩処理したDNA配列もしくはCpGアイランド)用のメチル化されたPCRプライマーおよびメチル化されていないPCRプライマー、最適化したPCR緩衝液およびデオキシヌクレオチド、および特異的プローブが含まれうる。
MethyLight(商標)
MethyLight(商標)アッセイは、PCRステップ後、それ以上の操作を必要としない、蛍光に基づくリアルタイムPCR(TaqMan(登録商))技術を利用するハイスループット定量メチル化アッセイ(Eadsら, Cancer Res. 59:2302-2306, 1999)である。手短に言えば、MethyLight(商標)法は、標準手順(重亜硫酸塩過程は、メチル化されていないシトシン残基をウラシルに転換する)に従って、重亜硫酸ナトリウム反応で、メチル化に依存する配列の差異の混合プールに転換されるゲノムDNAの混合試料から始まる。次いで、「偏った」(既知のCpGジヌクレオチドに重なるPCRプライマー)反応で蛍光に基づくPCRを実施する。配列の判別は、増幅過程レベルおよび蛍光検出過程レベルで行うことができる。
MethyLight(商標)アッセイは、ゲノムDNA試料中のメチル化パターンを求める定量的検査として使用してよく、その際、配列判別は、プローブハイブリダイゼーションレベルで生じる。この定量バージョンでは、PCR反応によって、蛍光プローブの存在下でメチル化特異的増幅の手はずが整えられる。投入されるDNA量の不偏性対照は、プライマーもプローブも任意のCpGジヌクレオチド上にない反応によって得られる。あるいは、ゲノムのメチル化についての定性試験は、既知のメチル化部位〔HeavyMethyl(商標)およびMSP技術の蛍光に基づくバージョン〕を「包含(cover)」しない対照オリゴヌクレオチド、または潜在的メチル化部位を包含するオリゴヌクレオチドによって、偏ったPCRのプールをプローブすることによって実現する。
MethyLight(商標)法は、任意の好適なプローブ、例えば「TaqMan(登録商標)」、Lightcycler(登録商標)などと共に使用することができる。例えば、二本鎖ゲノムDNAを重亜硫酸ナトリウムで処理し、TaqMan(登録商標)プローブを使用し、例えば、MSPプライマーおよび/またはHeavyMethylブロッカーオリゴヌクレオチドおよびTaqMan(登録商標)プローブと共に、2セットのPCR反応の一回目に供する。TaqMan(登録商標)プローブは、二重に標識した蛍光「レポーター」および「クエンチャー」分子であり、比較的高GC含有領域に特異的であるように設計され、その結果、前進または逆進プライマーよりも、PCRサイクルで、約10℃高い温度で融解する。これにより、PCRアニーリング/伸展ステップ中、TaqMan(登録商標)プローブを完全にハイブリダイズするように放置できる。PCR中、Taqポリメラーゼは新規な鎖を酵素合成するので、最終的にはアニールしたTaqMan(登録商標)プローブに到達する。次いで、Taqポリメラーゼ5'〜3'エンドヌクレアーゼ活性は、TaqMan(登録商標)プローブを消化することによってこのプローブを転置し、蛍光レポーター分子を放出して、現在消光するそのシグナルを、リアルタイム蛍光検出装置を使用して定量検出する。
MethyLight(商標)分析用の典型的な試薬(例えば、典型的MethyLight(商標)に基づくキットに見られる試薬)には、それだけには限定されないが、特異的遺伝子(または、重亜硫酸塩処理したDNA配列もしくはCpGアイランド)用PCRプライマー;TaqMan(登録商標)またはLightcycler(登録商標)プローブ;最適化したPCR緩衝液およびデオキシヌクレオチド、およびTaqポリメラーゼが含まれうる。
QM(商標)(定量的メチル化)アッセイは、ゲノムDNA試料中のメチル化パターン用の代替の定量試験であり、配列判別は、プローブハイブリダイゼーションのレベルで生じる。この定量バージョンでは、PCR反応によって、特定の推定上のメチル化部位と重なる蛍光プローブの存在下で、不偏性増幅の手はずが整えられる。投入されるDNA量の不偏性対照は、プライマーもプローブも任意のCpGジヌクレオチド上にない反応によって得られる。あるいは、ゲノムのメチル化についての定性試験は、既知のメチル化部位〔HeavyMethyl(商標)およびMSP技術の蛍光に基づくバージョン〕を「包含」しない対照オリゴヌクレオチド、または潜在的メチル化部位を包含するオリゴヌクレオチドによって、偏ったPCRのプールをプローブすることによって達成する。
QM(商標)法は、増幅過程で、任意の好適なプローブ、例えば「TaqMan(登録商標)」、Lightcycler(登録商標)を用いて使用することができる。例えば、二本鎖ゲノムDNAを重亜硫酸ナトリウムで処理し、不偏性プライマーおよびTaqMan(登録商標)プローブにさらす。TaqMan(登録商標)プローブは、二重に標識した蛍光「レポーター」および「クエンチャー」分子であり、比較的高GC含有領域に特異的であるように設計され、その結果、前進または逆進プライマーよりも、PCRサイクルで、約10℃高い温度で融解する。これによりPCRアニーリング/伸展ステップ中、TaqMan(登録商標)プローブを完全にハイブリダイズするように放置できる。PCR中、Taqポリメラーゼは新規な鎖を酵素合成するので、最終的にはアニールしたTaqMan(登録商標)プローブに到達する。次いで、3'エンドヌクレアーゼ活性に対するTaqポリメラーゼ5'は、TaqMan(登録商標)プローブを消化することによってこのプローブを転置し、蛍光レポーター分子を放出し、リアルタイム蛍光検出装置を使用して現在消光しているそのシグナルを定量検出する。QM(商標)分析に典型的な試薬(例えば、典型的QM(商標)に基づくキットに見られるであろう試薬)には、それだけには限定されないが、特異的遺伝子(または、重亜硫酸塩処理したDNA配列もしくはCpGアイランド)用PCRプライマー;TaqMan(登録商標)またはLightcycler(登録商標)プローブ;最適化したPCR緩衝液およびデオキシヌクレオチド、およびTaqポリメラーゼが含まれうる。
Ms−SNuPE
Ms-SNuPE(商標)技術は、DNAの重亜硫酸塩処理と、続く単一ヌクレオチドプライマー伸長に基づく、特異的CpG部位でのメチル化の差異を評価する定量法である(Gonzalgo and Jones, Nucleic Acids Res. 25:2529-2531, 1997)。手短に言えば、ゲノムDNAを重亜硫酸ナトリウムと反応させて、メチル化されていないシトシンをウラシルに転換するが、5−メチルシトシンは変化しないまま放置される。次いで、重亜硫酸塩で転換したDNAに特異的なPCRプライマーを使用して所望の標的配列増幅を実施し、得られた生成物を単離し、対象となるCpG部位でのメチル化分析の鋳型として使用する。少量のDNAは分析することができ(例えば、微細切開病理学断面)、CpG部位でのメチル化状態を決定するための制限酵素の利用は回避される。
Ms-SNuPE(商標)分析用の典型的な試薬(例えば、典型的Ms-SNuPE(商標)に基づくキットに見られる試薬)には、それだけには限定されないが、特異的遺伝子(または、重亜硫酸塩処理したDNA配列もしくはCpGアイランド)用PCRプライマー;最適化したPCR緩衝液およびデオキシヌクレオチド;ゲル抽出キット;正の対照プライマー;特異的遺伝子用Ms-SNuPE(商標)プライマー;反応緩衝液(Ms-SNuPE反応用)、および標識したヌクレオチドが含まれうる。加えて、重亜硫酸塩転換試薬はDNA変性緩衝液;スルホン化緩衝液;DNA回収試薬(regents)またはキット(例えば、沈殿、限外濾過、アフィニティカラム);脱スルホン化緩衝液、およびDNA回収成分を含みうる。
配列番号1〜配列番号2によるゲノム配列、および配列番号3〜配列番号10に記載のその非天然処理済み変異体は、悪性または前悪性結腸直腸腺腫検出、および良性結腸直腸病変と悪性転換しつつある結腸直腸病変との区別に新規な有用性を有し、従って直腸結腸癌の早期発見に役立つと確定された。
一実施形態では、本方法の発明は、i)対象から得た(好ましくは体液から単離した)ゲノムDNAと、少なくとも一種の試薬または一連の試薬とを接触させるステップであって、この試薬が、セプチン9(その全転写産物変異体を含む)およびALX4(それらのプロモーターおよび調節領域を含む)からなる群から選択された、少なくとも一個の遺伝子またはゲノム配列内で、メチル化された、およびメチル化されていないCpGジヌクレオチドとを識別するステップ、ならびにii)前癌性(すなわち悪性または前悪性)結腸細胞増殖性疾患の存在または非存在を決定するステップ、または良性および前癌性結腸細胞増殖性疾患を識別するステップを含む。好ましくは、セプチン9(その任意の転写産物変異体を含む)およびALX4のメチル化状態を分析する。
市販のキットの使用を含め、当技術分野で標準的な任意の手段によってゲノムDNAは単離してよい。手短に言えば、細胞膜によって対象のDNAをカプセル化する場合、生物学的試料は、酵素的、化学的、または機械的手段によって破壊し溶解しなければならない。次いで、例えば、プロテイナーゼKで消化することにより、DNA溶液からタンパク質および他の混入物質を除去することができる。次いで、ゲノムDNAを溶液から回収する。これは、塩析、有機抽出法またはDNAを固相担体に結合させることを含む様々な方法によって実施しうる。方法の選択は、時間、費用、および必要なDNA量を含むいくつかの要因によって影響される。新生物を含む全ての臨床試料型は、本方法で使用するのに適しており、好ましいものは、細胞系、組織切片、生検試料、パラフィン包埋組織、体液、糞便、結腸流出液、尿、血漿、血清、全血、単離血液細胞、血液から単離した細胞、およびそれらの組合せである。体液は、DNAの好適な供給源であり、特に好ましいものは、血漿、血清、全血、単離血液細胞および血液からの単離細胞である。
次いで、そのゲノムDNAの少なくとも一個の標的領域内で、メチル化されたCpGジヌクレオチドとメチル化されていないCpGジヌクレオチドとを識別する少なくとも一種の試薬または一連の試薬で、そのゲノムDNA試料を処理するが、その際、標的領域は、それぞれ配列番号1〜配列番号2からなる群から選択された少なくとも一配列の、少なくとも16個の近接ヌクレオチド配列(該近接ヌクレオチドは、少なくとも一個のCpGジヌクレオチド配列を含む)を含み、またはストリンジェントな条件下でこの配列とハイブリダイズする。
該試薬は、5'位置のメチル化されていないシトシン塩基を、ウラシル、チミン、またはハイブリダイゼーション挙動の点でシトシンとは異なる別の塩基、に転換するのが特に好ましい。しかし別の実施形態では、該試薬は、メチル化感受性制限酵素であってよい。
5'位置のメチル化されていないシトシン塩基が、ウラシル、チミン、またはハイブリダイゼーション挙動の点でシトシンとは異なる別の塩基に転換されるような方法で、ゲノムDNA試料を処理する場合、この処理は、重亜硫酸塩(亜硫酸水素、二亜硫酸塩)で実施し、続いてアルカリ加水分解するのが好ましい。そのような処理によって、該CpGジヌクレオチドがメチル化されている(それぞれ)配列番号1、配列番号2、配列番号3〜6、あるいは該CpGジヌクレオチドがメチル化されていない配列番号7〜10が転換される。
次いで、標的遺伝子配列(配列番号1〜配列番号2からなる群から選択された少なくとも一個の遺伝子またはゲノム配列)のメチル化状態を決定するために、処理済みDNAを分析する。標的領域は、配列番号1〜配列番号2からなる群から選択された少なくとも一個の遺伝子またはゲノム配列の少なくとも16個の近接ヌクレオチドを含み、またはストリンジェントな条件下でこの近接ヌクレオチドとハイブリダイズするのが特に好ましい。配列番号1〜配列番号2に記載の該遺伝子の配列を分析するのが好ましい。分析方法は、本明細書に記載した方法を含め、当技術分野で公知方法から選択しうる。特に好ましい方法は、MethyLight(商標)、MSP、および本明細書に記載したようにブロッキングオリゴヌクレオチド(HeavyMethyl(商標))の使用である。そのような分析(プライマー、ブロッキングオリゴヌクレオチド、および検出プローブを含む)に使用する任意のオリゴヌクレオチドは、配列番号3〜配列番号10およびその相補配列の一つ以上の塩基配列の少なくとも16塩基対長のセグメントと逆相補的であり、同一であり、またはストリンジェントもしくは非常にストリンジェントな条件下でこのセグメントとハイブリダイズするのがさらに好ましい。
異常なメチル化、より具体的には、セプチン9(その全転写産物変異体を含む)および/またはALX4(それらのプロモーターおよび/または調節領域を含む)からなる群から選択された、表1に記載の遺伝子およびそのゲノム配列の過剰メチル化は、癌の存在に関連している。好ましくは、セプチン9(その任意の転写産物変異体を含む)およびALX4のメチル化状態を分析する。従って、生物学的試料が、任意のメチル化度の範囲内にあるならば、該試料は、悪性化の可能性があると決定すべきである。
また、それから転写されたRNA、または該RNAから翻訳されたポリペプチドもしくはタンパク質、の発現を任意に分析することによって、好ましくはmRNA発現分析またはポリペプチド発現分析によって、本発明の方法は可能になりうる。従って、本発明は、対象において、セプチン9(その全転写産物変異体を含む)および/またはALX4からなる群から選択された少なくとも一個の遺伝子またはゲノム配列の発現を検出し、そこから新生結腸直腸細胞増殖性疾患の存在もしくは非存在を決定し、または悪性もしくは前悪性結腸直腸細胞増殖性疾患、および良性結腸直腸細胞増殖性疾患を区別する、定量的および定性的なアッセイおよび方法も提供する。
セプチン9(その全転写産物変異体を含む)および/またはALX4からなる群から選択された遺伝子またはゲノム配列から転写したmRNAの異常な発現は、結腸直腸病変の悪性転換に関連付けられる。好ましくは、セプチン9(その任意の転写産物変異体を含む)およびALX4の発現を分析する。本発明による、過小発現(および/またはメチル化)は、悪性または前悪性結腸直腸細胞増殖性疾患の存在に関連しており、ならびに過剰発現(および/またはメチル化の非存在)は、良性結腸直腸細胞増殖性疾患に関連している。遺伝子セプチン9およびALX4の転写産物変異体の少なくとも一個の発現を決定するのが特に好ましい。
遺伝子またはゲノム配列をコードするmRNAの存在を検出するために、患者から試料を得る。試料は、病変の細胞物質を含む任意の好適な試料であってよい。適切な試料の種類には、細胞系、組織切片、生検試料、パラフィン包埋組織、体液、糞便、結腸流出液、血漿、血清、全血、単離血液細胞、血液から単離した細胞およびそれらの全ての可能な組合せが含まれる。該試料の種類は、糞便、または結腸流出液、尿、血漿、血清、全血、単離血液細胞、血液から単離した細胞からなる群から選択された体液が好ましい。
試料を処理して、その中に含まれているRNAを抽出してよい。次いで、試料から得られた核酸を分析する。最新技術では、遺伝子発現の絶対的および相対的レベルを決定する多くの技術が知られており、本発明での使用に好適な通常使用されている技術には、in situハイブリダイゼーション(例えば、FISH)、ノーザン分析、RNase保護アッセイ(RPA)、マイクロアレイ、およびPCRに基づく技術、例えば、定量PCRやディファレンシャルディスプレイPCR、または他の任意の核酸検出法が含まれる。
特に好ましい技術は、逆転写/重合鎖反応技術(RT−PCR)の使用である。RT−PCRの方法は、当技術分野で周知である(例えば、上のWatsonおよびFlemingを参照されたい)。
RT−PCR法以下のように実施することができる。全細胞RNAは、例えば標準的イソチオシアン酸グアニジウム法によって単離し、全RNAを逆転写する。逆転写方法は逆転写酵素および3'末端オリゴヌクレオチドdTプライマー、および/またはランダム六量体プライマーを用いる、RNA鋳型でのDNA合成が含まれる。次いで、このように生成されたcDNAをPCRによって増幅する。(Belyavskyら, Nucl Acid Res 17:2919-2932, 1989;Krug and Berger, Methods in Enzymology, Academic Press, N.Y., Vol.152, pp. 316-325, 1987これらを参照により組み込む)。さらに好ましいものは、RT−PCR「リアルタイム」変形型であり、ハイブリダイゼーションプローブ(例えば、TaqMan、Lightcycler、Molecular BeaconsおよびScorpion)またはSYBRグリーンによってPCR生成物を検出する。プローブまたはSYBRグリーンから検出したシグナルを次いで、検量線を参照することによって、またはそのCt値を較正基準線のCt値と比較することによって決定する。ハウスキーピング遺伝子の分析は、結果を規準化するために使用されることが多い。
ノーザンブロット分析では、全またはポリ(A)鎖+mRNAを変性化アガロースゲル上で泳動し、乾燥ゲル自体中で、または膜上で標識したプローブにハイブリダイゼーションさせて検出する。得られたシグナルは、RNA集団中の標的RNAの量に比例する。
2個またはそれ以上の細胞集団または組織からのシグナルを比較することによって、遺伝子発現レベルの相対的差異が明らかになる。絶対的な定量化は、シグナルと、標的RNAに対応する公知のインビトロ転写産物量を使用し生成した検量線とを比較することによって行う。ハウスキーピング遺伝子の分析では、結果を規準化するために、条件に関わらず発現レベルが比較的一定していることが予想される遺伝子が使用されることが多く、膜へのRNAの不等な(unequal)転移、またはゲルへのRNAの不等な(unequal)投入によって生じるいかなる見かけの差異も除外する。
ノーザン分析の第1ステップは、対象の細胞または組織から純粋インタクトなRNAを単離することである。ノーザンブロットは、サイズによってRNAを識別するので、試料の統合性は、シグナルが一個のバンド中に局在する度合いに影響する。部分的に分解したRNA試料は、感受性の全体的消失およびおそらくデータの誤った解釈を伴って、シグナルの(泳動時)なすりつけ、または数個のバンドにわたる分布を招くであろう。ノーザンブロット分析では、DNA、RNA、およびオリゴヌクレオチドプローブを使用することができ、これらのプローブは、標識されていることが好ましい(例えば、放射性標識、質量標識、または蛍光標識)。プローブではなく標的RNAのサイズが、検出されるバンドサイズを決定し、従ってプローブの合成には、様々な長さのプローブを生成するランダムプライムド標識などの方法が適している。プローブの特異的活性は、感受性レベルを決定し、従って特異的活性が高いプローブを使用するのが好ましい。
RNase保護アッセイでは、溶液中で、RNA標的および所定の長さのRNAプローブをハイブリダイズする。ハイブリダイゼーション後、RNAを一本鎖核酸に特異的なRNaseで消化して、任意のハイブリダイズされない、一本鎖標的RNAおよびプローブを除去する。RNaseを不活化し、例えば、変性ポリアクリルアミドゲル電気泳動によりRNAを分離する。インタクトなRNAプローブの量は、RNA集団中の標的RNA量に比例する。RPAは、遺伝子発現の相対的および絶対的定量化、ならびにRNA構造、例えば、イントロン/エクソン境界および転写開始部位のマッピングにも使用することができる。RNase保護アッセイは、一般的に検出限界が低いので、ノーザンブロット分析よりも好ましい。
RPAで使用されるアンチセンスRNAプローブは、終末点が定まっているDNA鋳型のインビトロ転写によって生成され、通常50〜600ヌクレオチドの範囲内にある。標的RNAとは類似しない追加の配列を含むRNAプローブを使用することによって、保護されているフラグメントと、全長プローブとを識別できるようになる。通常、1本鎖RNAプローブの生成の容易さ、再現性、およびRNaseによるRNA:RNA二重鎖の消化の信頼性(Ausubelら、2003)のために、RNAプローブは、DNAプローブの代わりに使用され、特に好ましいRNAプローブは特異的活性が高いプローブである。
マイクロアレイを使用するのが、特に好ましい。マイクロアレイ分析法は、主に2つの部分に分割することができる。第一は、既知の遺伝子配列をガラススライドまたは他の固相担体に固定化すること、続いて蛍光標識したcDNA(調査すべき配列を含む)と、ガラススライド(または他の固相)に固定した既知の遺伝子とをハイブリダイゼーションすることである。ハイブリダイゼーション後、蛍光マイクロアレイスキャナを使用してアレイを走査する。異なる遺伝子の相対的蛍光強度を分析することによって、遺伝子発現の差異の尺度が提供される。
DNAアレイは、予め合成したオリゴヌクレオチドを準備したガラススライドまたは他の固体表面に固定することによって生成できる。この場合は、代表的遺伝子配列は、標準的オリゴヌクレオチド合成法および精製法を使用して製造準備する。これらの合成された遺伝子配列は、対象となる遺伝子[この場合は、セプチン9(その全転写産物変異体を含む)およびALX4からなる群から選択された遺伝子またはゲノム配列]のRNA転写産物に相補的であり、25〜70ヌクレオチドの範囲の短い配列になりやすい。好ましい実施形態では、該オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、少なくともそのmRNA転写産物と相補的であり、またはハイブリダイズする少なくとも9、18または25塩基の配列、およびその相補配列を含む。また、固定されたオリゴは、in situでスライド表面上に化学的に合成することができる。in situのオリゴヌクレオチドの合成には、マイクロアレイのスポットに好適なヌクレオチドを連続的に添加することが含まれ、ヌクレオチドを与えないスポットは、物理的またはバーチャルなマスクを使用して工程の各段階で保護される。好ましくは、該合成した核酸がロックされる核酸である。
発現プロファイリングマイクロアレイ実験では、使用されるRNA鋳型は、研究中の細胞または組織の転写プロフィールの代表である。RNAをまず、比較する細胞集団または組織から単離する。次いで、鋳型として各RNA試料を使用して、逆転写反応により蛍光標識したcDNAを生成する。cDNAの蛍光標識は、直接標識法または間接標識法によって行うことができる。直接標識化の間に、蛍光改変したヌクレオチド(例えば、Cy(登録商標)3−またはCy(登録商標)5−dCTP)を逆転写中に直接cDNAに組み込む。あるいは、間接標識は、cDNA合成中、アミノアリルにより改変したヌクレオチドを組み込み、次いで逆転写反応が完了後、N−ヒドロキシスクシンイミド(NHS)−エステル色素と、アミノアリルにより改変したcDNAとをコンジュゲートすることによって行うことができる。また、プローブは標識しなくてもよいが、直接的にも、または間接的にも標識されていないリガンドとの特異的結合によって検出可能であろう。リガンド(およびプローブ)を標識するのに適切な標識および方法は、当技術分野で公知であり、例えば、公知の方法(例えば、ニックトランスレーションまたはキナーゼ処理)によって組み込むことが可能な放射性標識が含まれる。他の適切な標識は、それだけには限定されないが、ビオチン、蛍光群、化学発光群(例えば、ジオキセタン、特に誘発されたジオキセタン)、酵素、抗体などがある。
差次的遺伝子発現分析を行うためには、異なるRNA試料から生成したcDNAをCy(登録商標)3によって標識する。得られた標識cDNAを精製して、組み込まれなかったヌクレオチド、遊離色素、および残存RNAを除去する。精製後、標識したcDNA試料をマイクロアレイにハイブリダイズする。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、温度、イオン強度、時間長、およびホルムアミドの濃度を含む、ハイブリダイゼーション中および洗浄手順中のいくつかの要因によって決定される。これらの要因については、例えば、Sambrookら, (Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd ed., 1989)に概略を述べている。ハイブリダイゼーション後、蛍光マイクロアレイスキャナを使用しマイクロアレイを走査する。各スポットの蛍光強度は、分析した遺伝子の発現レベルを示し、明るいスポットは強く発現する遺伝子に対応し、暗いスポットは弱い発現を示している。
一度イメージを得たら、その生データを分析する必要がある。第一に、各スポットの蛍光から、バックグラウンド蛍光を差し引かなくてはならない。次いで、制御配列、例えば、外来的に加えた核酸(好ましくは、RNAもしくはDNA)、またはあらゆる非特異的ハイブリダイゼーションの原因になるハウスキーピング遺伝子パネル、アレイの欠陥、またはアレイ設定のばらつき、cDNA標識、ハイブリダイゼーション、または洗浄に対して、データを規準化する。データを規準化することによって、複数のアレイの結果を比較できるようになる。
本発明の別の態様は、本発明の方法に従って、対象において、前癌性結腸直腸細胞増殖性疾患の検出、または悪性/前悪性結腸直腸病変および良性結腸直腸病変との区別に使用されるキットに関し、該キットは、セプチン9(その全転写産物変異体を含む)およびALX4からなる群から選択された遺伝子またはゲノム配列の転写レベルを測定する手段を含む。好ましい実施形態では、転写レベルを測定する手段には、ストリンジェントまたはややストリンジェントな条件下で、セプチン9(その全転写産物変異体を含む)およびALX4からなる群から選択された遺伝子またはゲノム配列のその転写産物とハイブリダイズすることが可能な、オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドが含まれる。好ましくは、該オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、ストリンジェントまたはややストリンジェントな条件下で、セプチン9(その全転写産物変異体を含む)および/またはALX4からなる群から選択された遺伝子またはゲノム配列の転写産物の少なくとも一個とハイブリダイズすることができる。一実施形態では、該オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、該配列またはその相補配列の少なくとも一つと相補的であり、またはハイブリダイズする少なくとも9、18または25塩基の配列を含む。
最も好ましい実施形態では、転写レベルは、ノーザンブロット分析、逆転写酵素PCR、リアルタイムPCR、RNAse保護、およびマイクロアレイの群から選択された技術によって決定する。本発明の別の実施形態では、キットは、さらに患者の生物学的試料を得るための手段を含む。好ましいキットは、最も好ましくは、さらに転写レベルを測定する手段および患者の生物学的試料を入れるのに適切な容器を含み、最も好ましくは、さらに使用説明書および該キット結果の解釈書を含むキットである。
好ましい実施形態では、キットは、(a)ストリンジェントまたはややストリンジェントな条件下で、セプチン9(その全転写産物変異体を含む)およびALX4からなる群から選択された少なくとも一個の遺伝子またはゲノム配列の転写産物と、ハイブリダイズすることが可能な、複数のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド、(b)好ましくはオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドおよびその転写産物を含む患者の生物学的試料を入れるのに適切な容器であって、そのオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドが、ストリンジェントまたはややストリンジェントな条件下でその転写産物とハイブリダイズする容器、(c)(b)のハイブリダイゼーションを検出する手段、そして場合によっては、(d)使用説明書および該キット結果の解釈書を含む。(a)の該オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、いずれの場合にも、その転写産物と相補的であり、またはハイブリダイズする少なくとも9、18または25塩基の配列およびその相補配列を含むのがさらに好ましい。
キットには、ハイブリダイゼーション緩衝液(オリゴヌクレオチドはプローブとして使用される)などの他の成分も、別々の容器に封入して入れてもよい。あるいは、標的領域を増幅するためにオリゴヌクレオチドを使用する場合、キットには、別々の容器に封入して、ポリメラーゼ、およびPCRなどのポリメラーゼが介在するプライマー伸長法用に最適化した反応緩衝液を入れてよい。好ましくは、該ポリメラーゼは逆転写酵素である。該キットに、さらにRnase試薬を入れるのが一層好ましい。
本発明によって、患者から得た試料中の、該遺伝子配列によってコードされるポリペプチドの存在を検出する方法がさらに用意される。
セプチン9(その全転写産物変異体を含む)および/またはALX4からなる群から選択された遺伝子もしくはゲノム配列によってコードされるポリペプチドの異常なポリペプチド発現レベルは、結腸直腸細胞増殖性疾患の存在にも関連する。さらに、該異常な発現レベルは、良性結腸直腸病変と、悪性/前悪性結腸直腸病変との区別に役立つ。本発明よれば、該ポリペプチドの過小発現は、悪性転換しつつある結腸直腸病変の存在に関連している。
ポリペプチドを検出する当技術分野で公知の任意の方法を使用することができる。そのような方法には、それだけには限定されないが、質量−分光測定、免疫拡散法、免疫電気泳動法、免疫化学的方法、結合剤−リガンドアッセイ、免疫組織化学技術、凝集および補体アッセイ[例えば、Basic and Clinical Immunology, Sites and Terr編, Appleton and Lange, Norwalk, Conn. pp 217-262, 1991を参照されたい。これを参照により組み込む]が含まれる。好ましいものは、抗体と一つまたは複数のエピトープを反応させ、標識ポリペプチドまたはその誘導体を競合的に置換するステップを含む結合剤−リガンド免疫アッセイ法である。
本発明のある実施形態には、セプチン9(その全転写産物変異体を含む)およびALX4からなる群から選択された遺伝子またはゲノム配列によってコードされるポリペプチドに特異的な抗体の使用が含まれる。
そのような抗体は、結腸直腸病変の分析に有用である。ある実施形態では、アンチジーンとして、遺伝子のセプチン9(その全転写産物変異体を含む)および/またはALX4のポリペプチドによってコードされたエピトープを使用することによって、モノクローナルまたはポリクローナル抗体の生成を誘発できる。次いで、そのような抗体を直腸結腸癌の早期発見するためのマーカーとして使用し、発現されたポリペプチドを検出しうる。そのようなポリペプチドが存在するレベルは、従来法によって定量されよう。抗体−ポリペプチド結合は、当技術分野で公知の様々な手段、例えば、蛍光性または放射性リガンドによる標識によって検出し定量しうる。本発明は、さらに、上記手順を実施するためのキットを含み、その際、そのようなキットは調査したポリペプチドに特異的な抗体を含む。
多数の競合的および非競合的ポリペプチド結合イムノアッセイが、当技術分野で周知である。そのようなアッセイで使用される抗体は、凝集試験で使用されるものなど、未標識であってもよいし、または多様なアッセイ法で使用するために標識されていてもよい。使用できる標識には、放射性核種、酵素、蛍光剤、化学冷光剤、酵素基質または補助因子、酵素阻害薬、粒子、色素などが含まれる。好ましいアッセイには、それだけには限定されないが、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素イムノアッセイ、例えば、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、蛍光イムノアッセイなどが含まれる。当技術分野で公知のいくつかの方法のどれかによって、イムノアッセイで使用するためのポリクローナルもしくはモノクローナル抗体またはそのエピトープを作製することができる。
本方法の別の実施形態では、ウエスタンブロット分析によってタンパク質を検出しうる。該分析は、当技術分野で標準的であり、手短に言えば、電気泳動手段、例えばSDS−PAGEによってタンパク質を分離する。次いで、電気泳動によって実現した空間的分離を保持しながら、分離したタンパク質を適切な膜(または紙)、例えばニトロセルロースに移転する。次いで、ブロッキング剤を用いて膜をインキュベートし、膜の残りの粘着性箇所に結合させる。通常使用される媒介物には、一般的タンパク質(例えば、乳タンパク質)が含まれる。次いで、対象のタンパク質に特異的な抗体を加え、例えば、色素または酵素的手段(例えば、アルカリホスファターゼまたは西洋ワサビペルオキシダーゼ)によって、該抗体を検出可能に標識する。次いで、膜上の抗体の位置を検出する。
本方法の別の実施形態では、免疫組織化学(試料中の特異的抗原をプローブするために抗体を使用)によってタンパク質を検出することができる。該分析は、当技術分野で標準的であり、組織中の抗原の検出は、免疫組織化学として知られ、培養細胞での検出は一般的に免疫細胞化学と称される。手短に言えば、一次抗体は、その特異的抗原との結合によって検出される。次いで、抗体−抗原複合体は酵素と抱合した二次的抗体に結合させる。必要な基質および色素原の存在下、抗体−抗原結合部位の色素沈着によって結合した酵素を検出する。広い範囲の好適な試料の種類、抗原−抗体親和性、抗体型、および検出増強法がある。従って、免疫組織化学的または免疫細胞化学的検出に最適条件は、それぞれ個々の症例に合わせて当業者が決定しなければならない。
ポリペプチドに対する抗体を調製する一手法は、ポリペプチドの全てまたは一部のアミノ酸配列を選択し調製する、アミノ酸配列を化学的に合成すること、および好適な動物、通常ウサギまたはマウス[Milstein and Kohler Nature 256:495-497, 1975;Gulfre and Milstein, Methods in Enzymology: Immunochemical Techniques 73:1-46, Langone and Banatis 編, Academic Press, 1981、その全体を参照により組み込む]にそれを注射することである。ポリペプチドまたはそのエピトープを調製する方法には、それだけには限定されないが、化学合成、組換えDNA技術、または生物学的試料からの単離が含まれる。
本方法の最終ステップでは、[セプチン9(その全転写産物変異体を含む)およびALX4からなる群から選択された少なくとも一個の遺伝子またはゲノム配列の]発現不足が、悪性転換しつつある結腸直腸病変の存在を示すことによって、患者の診断を決定する。好ましくはセプチン9(その任意の転写産物変異体を含む)およびALX4の発現を分析する。発現不足という用語は、検出されたレベルでの発現が所定のカットオフより低いことを意味するものであり、このカットオフは、平均、中央値、または最適化した閾値からなる群から選択してよい。
本発明の別の態様は、本発明の方法に従って、対象において直腸結腸癌の早期発見、および/または悪性もしくは前悪性結腸直腸病変と良性結腸直腸病変との区別に使用するためのキットであって、ポリペプチド、セプチン9(その全転写産物変異体を含む)およびALX4からなる群から選択された少なくとも一個の遺伝子またはゲノム配列を検出する手段を含むキットを提供する。ポリペプチドを検出する手段は、抗体、抗体誘導体、または抗体フラグメントを含むのが好ましい。ポリペプチドは、標識抗体を利用するウェスタンブロッティングによって検出するのが最も好ましい。本発明の別の実施形態では、キットは、さらに患者の生物学的試料を得るための手段を含む。好ましいキットは、さらに患者の生物学的試料でそのポリペプチドを検出する手段をいれるのに適切な容器を含み、最も好ましくは、さらに使用説明書および該キット結果の解釈書を含むキットである。好ましい実施形態では、キットは、(a)ポリペプチド、セプチン9(その全転写産物変異体を含む)およびALX4からなる群から選択された少なくとも一個の遺伝子またはゲノム配列を検出する手段、(b)該手段および該ポリペプチドを含む患者の生物学的試料を入れるのに適切な容器であって、該手段によって、該ポリペプチドとの複合体を形成できる容器、(c)(b)の複合体を検出する手段、および場合によっては(d)使用説明書および該キット結果の解釈書を含む。キットには、ブロック、洗浄またはコーティングするのに適切な緩衝液または溶液などの他の成分を別々の容器中に封入して入れてもよい。
本発明の特定の実施形態は、該配列内のメチル化レベルおよび/またはパターンを分析する新規適用を提供し、それによって直腸結腸癌を早期発見できるようになる。癌の早期発見は、疾患予後と直接関連しており、こうした開示方法によって、内科医と患者は、より優れ、かつよりインフォームドされた治療を決めることが可能になる。
さらなる改善
本発明は、ゲノム配列の配列番号1〜配列番号2の新規な使用を提供する。別の実施形態は、配列番号1〜配列番号2の改変変異体、ならびに配列番号1〜配列番号2内のシトシンのメチル化パターンを分析するためのオリゴヌクレオチドおよび/またはPNAオリゴマーを提供する。
本発明の目的は、配列番号1〜配列番号2およびその相補配列からなる群から選択された少なくとも一配列内の、一個以上のCpGジヌクレオチドのメチル化状態の分析を含む。
開示する発明は、ゲノム配列番号1〜配列番号2に由来する処理済み核酸を提供し、その際、その処理は、そのゲノムDNA配列の少なくとも一個のメチル化されていないシトシン塩基を、ウラシルまたはハイブリダイゼーションの点でシトシンとは検出可能に異なる別の塩基、に転換するのに適している。問題となっているゲノム配列には、1つ以上の連続的にメチル化したCpG位置が含まれていてよい。該処理は、重亜硫酸塩、亜硫酸水素、二亜硫酸塩、およびそれらの組合せからなる群から選択された試薬の使用を含むのが好ましい。本発明の好ましい実施形態では、本発明は、配列番号3〜配列番号10からなる群から選択された配列の少なくとも16個の近接ヌクレオチド塩基長の配列を含む非天然改変核酸を提供する。本発明のさらに好ましい実施形態では、該核酸は、少なくとも50、100、150、200、250または500塩基対長の、配列番号3〜配列番号10に開示した核酸配列のセグメントである。特に好ましい核酸分子は、配列番号1〜配列番号2の配列または他の天然DNAの全てもしくは一部と、同一でない、あるいは相補的でない核酸分子である。
該配列は、少なくとも一個のCpG、TpA、またはCpAジヌクレオチドおよびその相補配列を含むのが好ましい。配列番号3〜配列番号10の配列は、配列番号1〜配列番号2に記載の核酸の非天然改変バージョンを提供し、その際、各ゲノム配列の改変によって、特有であり、かつ以下の該ゲノム配列とは異なる配列を有する核酸が合成される。各センス鎖ゲノムDNA、例えば、配列番号1については、4個の転換されたバージョンが開示されている。第一のバージョン:「C」は「T」に転換されているが「CpG」は依然として「CpG」のままである(すなわち、ゲノム配列について、CpGジヌクレオチド配列の全ての「C」残基がメチル化されており、従って転換されていない事例に対応する);第2のバージョンは、開示したゲノムDNA配列の相補鎖(すなわちアンチセンス鎖)を開示している:「C」は「T」に転換されているが、「CpG」は依然として「CpG」のままである(すなわち、CpGジヌクレオチド配列の全ての「C」残基がメチル化されており、従って転換されていない事例に対応する)。配列番号1〜配列番号2の「上方メチル化」転換配列は、配列番号3〜6に対応する。各ゲノム配列の第3の化学的転換バージョンを提供する:「CpG」ジヌクレオチド配列の「C」残基を含め、全「C」残基について「C」は「T」に転換されている(すなわち、ゲノム配列について、CpGジヌクレオチド配列の全ての「C」残基はメチル化されていない事例に対応する);各配列の最後の化学的転換バージョン、は、開示したゲノムDNA配列の相補鎖(すなわちアンチセンス鎖)を開示しており、その際、「CpG」ジヌクレオチド配列の「C」残基を含め、全ての「C」残基について「C」は「T」に転換されている(すなわち、各ゲノム配列の相補鎖(アンチセンス鎖)について、CpGジヌクレオチド配列の全ての「C」残基が、メチル化されていない事例に対応する)。配列番号1〜配列番号2の「低メチル化した」転換配列は、配列番号7〜10に対応する。
重要なことに、今までは、配列番号3〜配列番号10に記載の核酸配列および分子は、細胞増殖性疾患の検出、分類、または治療に関与することも、または結び付けられることもなかった。
代替の好ましい実施形態では、本発明はさらに、配列番号1〜配列番号2、配列番号3〜配列番号10に記載の、ゲノムDNAまたは処理済み(化学的に改変された)DNA内のシトシンのメチル化状態を検出するため本発明の方法で使用するのに適した、オリゴヌクレオチドまたはオリゴマーを提供する。該オリゴヌクレオチドまたはオリゴマー核酸によって、新規な診断手段が提供される。該オリゴヌクレオチドまたはオリゴマーは、長さが少なくとも9ヌクレオチドの核酸配列であって、(本明細書上記に定義したように)配列番号3〜配列番号10に記載の処理済み核酸配列および/もしくはその相補配列、または配列番号1〜配列番号2に記載のゲノム配列および/もしくはその相補配列と同一であり、ややストリンジェントまたはストリンジェントな条件下でハイブリダイズする核酸配列を含む。
従って、本発明は、ややストリンジェントおよび/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号1〜配列番号2、配列番号3〜配列番号10からなる群から選択された配列の全てもしくは一部またはその相補配列とハイブリダイズする核酸分子[例えば、オリゴヌクレオチドおよびペプチド核酸(PNA)分子(PNAオリゴマー)]を含む。特に好ましい核酸分子は、ややストリンジェントおよび/またはストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、配列番号3〜配列番号10の配列の全てもしくは一部とハイブリダイズするが、配列番号1〜配列番号2または他のヒトゲノムDNAとはハイブリダイズしない核酸分子である。
ハイブリダイズする核酸と同一である部分またはハイブリダイズする部分は、通常少なくとも9、16、20、25、30または35ヌクレオチド長である。しかし、より長い分子も本発明の有用性を有し、従って本発明の範囲内にある。
好ましくは、本発明のハイブリダイズする核酸のハイブリダイズする部分は、配列番号1〜配列番号2、配列番号3〜配列番号10からなる群から選択された配列、または配列のその部分、またはその相補鎖と少なくとも95%、または少なくとも98%、または100%同一である。
本明細書に記載した型のハイブリダイズする核酸は、例えば、プライマー(例えばPCRプライマー)、あるいは診断および/もしくは予後プローブまたはプライマーとして使用することができる。好ましくは、オリゴヌクレオチドプローブと核酸試料とのハイブリダイゼーションは、ストリンジェントな条件下で実施し、プローブは標的配列と100%同一である。核酸二重鎖またはハイブリッドの安定性は、融解温度すなわちTm(プローブが標的DNAから解離する温度)として表わされる。この融解温度を使用して、必要なストリンジェンシー条件を限定する。
配列番号1〜配列番号2の対応する配列(対立形質変異体およびSNPなど)と関連し実質的と同一である標的配列について、それは、同一というよりはむしろ、まず、特定の塩(例えば、SSCまたはSSPE)の濃度で、相同なハイブリダイゼーションのみが生じる最低温度を確立するのに有用である。次いで、1%のミスマッチングがTmを1℃下げることになると仮定し、ハイブリダイゼーション反応の最終洗浄温度を適宜低下させる(例えば、プローブと95%の同一性を有する配列を求める場合、最終洗浄温度を5℃下げる)。実際には、Tmの変化は、1%のミスマッチにつき、0.5℃〜1.5℃であり得る。
例えば配列番号1に関してポリヌクレオチド位置が示すように、本発明のX(ヌクレオチド)長のオリゴヌクレオチドの例には、連続して重複するX長のオリゴヌクレオチドのセット(センスおよびアンチセンスセット)に対応するものが含まれ、その際、それぞれの(所与のX値に対応する)連続して重複するセット内のオリゴヌクレオチドは、ヌクレオチド位置からのZオリゴヌクレオチドの有限セットとして定義される。
n〜(n+(X−1));
[式中、n=1、2、3、...(Y−(X−1))];
その場合Yは、配列番号1(52626)の長さ(ヌクレオチドまたは塩基対)に等しく、
その場合、Xは、そのセット中の各オリゴヌクレオチドの共通の(ヌクレオチド)長に等しく(例えば、X=20は連続して重複する20-mersのセットである)、
その場合、長さYの所与の配列番号に対して、連続して重複するX長のオリゴマーの数(Z)はY−(X−1)に等しい。例えば、Z=52626−19=52607は配列番号1のセンスまたはアンチセンスセットである(式中、X=20)。
好ましくは、セットは、少なくとも一個のCpG、TpG、またはCpAジヌクレオチドを含むようなオリゴマーに限定される。本発明の20-merオリゴヌクレオチドの例には、配列番号1に関してポリヌクレオチド位置によって表示する以下のオリゴマーセット(およびそれに相補的なアンチセンスセット)が含まれる。
1〜20、2〜21、3〜22、4〜23、5〜24、...および52607〜52626。
好ましくは、セットは、少なくとも一個のCpG、TpG、またはCpAジヌクレオチドを含むようなオリゴマーに限定される。
同様に、本発明の25-merオリゴヌクレオチドの例には、配列番号1に関してポリヌクレオチド位置によって表示する、以下のセットの219885オリゴマー(およびそれに相補的なアンチセンスセット)が含まれる。
1〜25、2〜26、3〜27、4〜28、5〜29、...および52602〜52626。
好ましくは、セットは、少なくとも一個のCpG、TpG、またはCpAジヌクレオチドを含むようなオリゴマーに限定される。
本発明は、配列番号3〜配列番号10、配列番号1〜配列番号2(センスおよびアンチセンス)のそれぞれに対して、X長のオリゴヌクレオチドまたは改変オリゴヌクレオチドの複数の連続して重複するセット(式中、例えば、X=9、10、17、20、22、23、25、27、30、または35ヌクレオチド)を包含する。
本発明によるオリゴヌクレオチドまたはオリゴマーは、配列番号1〜配列番号2からなる群から選択されたゲノム配列の、遺伝子およびエピジェネティックパラメーターを確認するのに有用な効果的なツールを構成する。X長のそのようなオリゴヌクレオチドまたは改変オリゴヌクレオチドの好ましいセットは、配列番号1〜配列番号2、配列番号3〜配列番号10(およびその相補鎖)に対応するオリゴマーのそれらの連続して重複するセットである。好ましくは、該オリゴマーは、少なくとも一個のCpG、TpG、またはCpAジヌクレオチドを含む。
本発明による特に好ましいオリゴヌクレオチドまたはオリゴマーは、CpGジヌクレオチド(または、その対応する転換されたTpGまたはCpAジヌクレオチド)配列のシトシンが、そのオリゴヌクレオチドの中央1/3内にあるものであり、すなわち、オリゴヌクレオチドが、例えば長さ13塩基の場合、CpG、TpG、またはCpAジヌクレオチドは、5'末端から第5〜第9ヌクレオチド内に位置するものである。
本発明のオリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチドの活性、安定性、または検出を増強するために、オリゴヌクレオチドと、一個以上の部分または抱合対を化学的に結合させることによって改変できる。そのような部分または抱合体には、発色団、フルオロフォア、脂質、例えば、コレステロール、コール酸、チオエーテル、脂肪鎖、リン脂質、ポリアミン、ポリエチレングリコール(PEG)、パルミチル部分、および例えば、米国特許第5,514,758号、同第5,565,552号、同第5,567,810号、同第5,574,142号、同第5,585,481号、同第5,587,371号、同第5,597,696号、および同第5,958,773号に開示する他のものが含まれる。プローブも、特に好ましい対形成特性を有するPNA(ペプチド核酸)の形で存在しうる。従って、オリゴヌクレオチドは、ペプチドなど、他の添付の基を含んでよく、ハイブリダイゼーションが誘発する切断媒介物(Krolら, BioTechniques 6:958-976, 1988)または介入媒介物(Zon, Pharm. Res. 5:539-549, 1988)も含んでよい。この目的のために、オリゴヌクレオチドは別の分子、例えば、発色団、フルオロフォア、ペプチド、ハイブリダイゼーションが誘発する架橋剤、輸送媒介物、ハイブリダイゼーションが誘発する切断媒介物などに抱合していてよい。
オリゴヌクレオチドは、少なくとも一個の当技術分野で認識されている修飾糖および/または塩基部分を含んでもよく、または改変主鎖もしくは非天然ヌクレオシド間連鎖を含んでもよい。
通常、本発明の特定の実施形態によるオリゴヌクレオチドまたはオリゴマーは、配列番号1〜配列番号2およびその相補配列からなる群から選択されたゲノム配列のCpGジヌクレオチド、または配列番号3〜配列番号10に記載の処理済み核酸配列およびその相補配列内のその対応するCpG、TpG、もしくはCpAジヌクレオチドのそれぞれを分析するための少なくとも一個のオリゴマーを含む「セット」で使用される。しかし、経済的要因または他の要因で、該配列内のCpGジヌクレオチドを限定し選択して分析し、オリゴヌクレオチドセットの内容をそれに応じて変化させるのが好ましいであろうと予測される。
従って、特定の実施形態では、本発明は、処理済みゲノムDNA(配列番号3〜配列番号10)、またはゲノムDNA(配列番号1〜配列番号2およびその相補配列)中のシトシンのメチル化状態を検出するのに有用な少なくとも2セット(オリゴヌクレオチドおよび/またはPNAオリゴマー)を提供する。これらのプローブによって、前癌性(すなわち悪性または前悪性)結腸直腸病変と良性結腸直腸病変(一般に良性と呼ぶ)とが区別できるようになる。オリゴマーセットは、処理済みゲノムDNA(配列番号3〜配列番号10)またはゲノムDNA(配列番号1〜配列番号2およびその相補配列)の一塩基変異多型(SNP)を検出するためにも使用しうる。
好ましい実施形態では、少なくとも一個の、より好ましくは、オリゴヌクレオチドセットの全メンバーが固相に結合している。
別の実施形態では、本発明は、配列番号1〜配列番号2、配列番号3〜配列番号10およびその相補配列の一つのDNA配列、またはそのセグメントを増幅するための「プライマー」オリゴヌクレオチドとして使用される、少なくとも2個のオリゴヌクレオチドセットを提供する。
オリゴヌクレオチドは、「アレイ」または「DNAチップ」(すなわち、固相に結合させた異なるオリゴヌクレオチドおよび/またはPNAオリゴマーの配列)の全てまたは一部を構成しうると予測される。異なるオリゴヌクレオチドおよび/またはPNAオリゴマー配列のそのようなアレイは、例えば、長方形格子または六方晶格子の形で固相上に配置しているという点で特徴付けることができる。固相表面は、シリコン、ガラス、ポリスチレン、アルミニウム、鋼、鉄、銅、ニッケル、銀、または金からできていてよい。ペレット形で、または樹脂マトリックスとしても存在できる、ニトロセルロース、およびナイロンなどのプラスチックも使用してよい。オリゴマーアレイ製造における従来技術の概要は、Nature Genetics (Nature Genetics Supplement, Volume 21, January 1999の特別版、およびその中で引用された文献から集めることができる。蛍光標識したプローブは、固定されたDNAアレイの走査に使用されることが多い。Cy3およびCy5色素と、特異的プローブへの5'−OHとの簡単な付着は、蛍光標識に特に適している。ハイブリダイズしたプローブの蛍光は、例えば共焦点顕微鏡により検出することができる。他の多くの色素に加え、Cy3およびCy5色素は市販されている。
また、オリゴヌクレオチド、またはその特定の配列、は、「バーチャルアレイ」の全てまたは一部を構成しうると予測され、その際、オリゴヌクレオチドまたはその特定の配列は、複雑な検体混合物を分析するため、例えば、特有の標識したプローブの多様な集団の一部として、またはそれらを組み合せて、「特定化物(specifier)」として使用される。そのような方法は、例えば、米国公開特許第2003/0013091号(2003年1月16日に公開された米国出願番号第09/898,743号)に記載している。そのような方法では、十分な標識が発生するので、特有の標識により、複雑な混合物中の各核酸(すなわち各検体)を一個ずつ(uniquely)結合させ、それによって検出することができる(各標識は直接カウントされ、結果として混合物中の各分子種のデジタル読取り値が得られる)。
本発明によるオリゴマーは、良性結腸直腸病変と悪性転換しつつあるものとを区別することによって、直腸結腸癌の早期発見に使用するのが特に好ましい。
本方法の最も好ましい実施形態では、悪性転換しつつある結腸病変の存在または非存在を決定し、かつ/または悪性/前悪性病変と良性病変とを区別する。これは、少なくとも一個のCpG位置を含む少なくとも一標的配列のメチル化状態を分析することによって実現され、該配列は、配列番号1〜配列番号2およびその相補鎖からなる群から選択された配列の少なくとも16個の近接ヌクレオチドを含み、またはストリンジェントな条件下でその近接ヌクレオチドとハイブリダイズする。本発明は、シトシンのメチル化および一塩基変異多型を分析することによって、対象内で、配列番号1〜配列番号2に記載のゲノム配列のジェネティックおよび/またはエピジェネティックパラメーターを確認する方法をさらに提供する。該方法は、該対象から得た生物学的試料中で、配列番号1〜配列番号2を含む核酸と、少なくとも一種の試薬または一連の試薬とを接触させるステップであって、該試薬または一連の試薬が、標的核酸内でメチル化したCpGジヌクレオチドと、メチル化されていないCpGジヌクレオチドとを識別するステップを含む。
好ましい実施形態では、該方法は、以下のステップを含む。第1ステップでは、分析すべき組織試料を得る。供給源は、任意の好適な供給源、例えば、細胞系、組織切片、生検試料、パラフィン包埋組織、体液、糞便、結腸流出液、尿、血漿、血清、全血、単離血液細胞、血液から単離した細胞、およびそれらの全ての可能な組合せであってよい。該DNA供給源は、糞便、または結腸流出液、血漿、血清、全血、単離血液細胞、血液から単離した細胞からなる群から選択された体液が好ましい。
次いで、試料からゲノムDNAを単離する。市販のキットの使用を含め、当技術分野で標準的な任意の手段によってゲノムDNAは単離してよい。手短に言えば、細胞膜により当該DNAをカプセル化する場合、生物学的試料は、酵素的、化学的、または機械的手段によって破壊し溶解しなければならない。次いで、例えば、プロテイナーゼKで消化することによって、DNA溶液からタンパク質および他の混入物質を除去しうる。次いで、ゲノムDNAを溶液から回収する。これは、塩析、有機抽出法またはDNAを固相担体に結合させることを含む様々な方法によって実施しうる。方法の選択は、時間、費用および必要なDNA量を含むいくつかの要因により影響される。
試料DNAを膜に封入しない場合、DNAの単離および/または精製には、当技術分野で標準的な方法(例えば、血液試料からDNAを循環させること)を用いてよい。そのような方法には、タンパク質を変性させる試薬、例えばカオトロピック塩、例えば塩酸グアニジンまたは尿素;または洗浄剤、例えばドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、臭化シアノゲンの使用が含まれる。それだけには限定されないが、代替法には、エタノール沈殿またはプロパノール沈殿、とりわけ遠心分離機による減圧濃縮が含まれる。当業者は、器具、例えばフィルター器具、例えば限外濾過、シリカ表面または膜、磁性粒子、ポリスチレン粒子、ポリスチレン表面、正電荷表面、および正電荷膜、荷電膜、荷電表面、荷電スイッチ膜、荷電スイッチド表面も利用するであろう。
核酸を抽出したならば、ゲノム二本鎖DNAを分析に使用する。
本方法の第2ステップでは、5'位置のメチル化されていないシトシン塩基が、ウラシル、チミン、またはハイブリダイゼーション挙動の点でシトシンとは異なる別の塩基、に転換されるような方法で、ゲノムDNA試料を処理する。これは、以後「前処理」または「処理」として理解されよう。
これは、重亜硫酸塩試薬での処理によって実現するのが好ましい。「重亜硫酸塩試薬」という用語は、本明細書に開示したように、メチル化したCpGジヌクレオチド配列とメチル化されていないCpGジヌクレオチド配列とを識別する有用な重亜硫酸塩、二亜硫酸塩、亜硫酸水素またはそれらの組合せを含む試薬をさす。該処理の方法は、当技術分野で公知である(例えば、PCT/EP2004/011715、これをその全体を参照により組み込む)。重亜硫酸塩処理は、変性化溶媒、例えば、それだけには限定されないが、n−アルキレングリコール、特にジエチレングリコールジメチルエーテル(DME)の存在下で、またはジオキサンもしくはジオキサン誘導体の存在下で実施するのが好ましい。好ましい実施形態では、変性化溶媒は、1%〜35%(v/v)の濃度で使用される。また、重亜硫酸塩反応は、スカベンジャー例えば、それだけには限定されないが、クロマン誘導体、例えば6−ヒドロキシ−2,5,7,8,−テトラメチルクロマン2−カルボン酸またはトリヒドロキシベンゾエ酸(trihydroxybenzoe acid)およびその誘導体、例えば、没食子酸(PCT/EP2004/011715を参照されたい。これをその全体を参照により組み込む)の存在下で実施するのも好ましい。重亜硫酸塩転換は、30℃〜70℃の反応温度で実施するのが好ましく、それによって反応中、温度は短時間で85℃を超えて上昇する(参照、:PCT/EP2004/011715。これをその全体を参照により組み込む)。重亜硫酸塩処理したDNAは、数量化に先立ち精製するのが好ましい。これは、当技術分野で公知の任意の手段、例えば、それだけには限定されないが、限外濾過によって実施され、好ましくはMicrocon(商標)カラム(Millipore(商標)社製)によって実施する。精製は、手直しした製造業者のプロトコルに従って実施する(PCT/EP2004/011715を参照されたい。これをその全体を参照により組み込む)。
本方法の第3ステップでは、本発明によるプライマーオリゴヌクレオチドセットおよび増幅酵素を使用して、処理済みDNAフラグメントを増幅する。1個の同じ反応槽で、数個のDNAセグメントの増幅を同時に行うことができる。通常、増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用し実施する。好ましくは、該増幅物は、100〜2,000塩基対長である。プライマーオリゴヌクレオチドセットは、その配列が、配列番号3〜配列番号10およびその相補配列の一つの塩基配列の少なくとも16塩基対長のセグメントと、それぞれ逆相補し、同一であり、またはストリンジェントもしくは非常にストリンジェントな条件下でこのセグメントとハイブリダイズする少なくとも2個のオリゴヌクレオチドを含む。
本方法の別の実施形態では、メチル化特異的プライマーオリゴヌクレオチドの使用によって、配列番号1〜配列番号2内の群から選択された少なくとも一個の核酸配列内の予め選択されたCpG位置のメチル化状態を検出することができる。この技術(MSP)は、Hermanへの米国特許第6,265,171号に記載されている。重亜硫酸塩処理したDNAを増幅するためのメチル化状態特異的プライマーを使用して、メチル化された核酸とメチル化されていない核酸とを区別できるようになる。MSPプライマー対は、重亜硫酸塩処理したCpGジヌクレオチドとハイブリダイズする少なくとも一個のプライマーを含む。従って、該プライマー配列は、少なくとも一個のCpGジヌクレオチドを含む。メチル化されていないDNAに特異的なMSPプライマーは、CpG中のC位置の位置に「T」を含む。従って、該プライマーの塩基配列は、配列番号3〜配列番号10およびその相補配列の一つに記載の処理済み核酸配列とハイブリダイズする、少なくとも9ヌクレオチド長の配列を含む必要があり、その際、該オリゴマーの塩基配列は、少なくとも一個のCpGジヌクレオチドを含むのが好ましい。本方法のさらに好ましい実施形態では、ブロッカーオリゴヌクレオチド(HeavyMethyl(商標)アッセイ)の使用が含まれる。そのようなブロッカーオリゴヌクレオチドの使用は、Yuら, BioTechniques 23:714-720, 1997に記載されている。ブロッキングプローブオリゴヌクレオチドは、PCRプライマーと同時に重亜硫酸塩処理済み核酸にハイブリダイズする。核酸のPCR増幅は、核酸の増幅が抑制されるように、ブロッキングプローブの5'位置で停止するが、そこにはブロッキングプローブに相補的配列が存在する。プローブは、メチル化状態特異的方式で、重亜硫酸塩処理済み核酸とハイブリダイズするように設計することができる。例えば、メチル化されていない核酸集団内からメチル化した核酸を検出するには、問題となる位置に「CpA」または「TpA」を含むブロッキングプローブの使用により、問題となる位置でメチル化されていない核酸の増幅が抑制されるであろう。それはメチル化した核酸の増幅抑制を望む場合の「CpG」とは対照的である。
ブロッカーオリゴヌクレオチドを使用するPCR法では、ポリメラーゼ介在増幅の効率的かく乱には、ポリメラーゼによってそのブロッカーオリゴヌクレオチドが伸張されないことが要求される。好ましくは、これは、3'−デオキシオリゴヌクレオチド、または「遊離」ヒドロキシル基以外に3'位置で誘導体化されたオリゴヌクレオチドというブロッカーの使用により実現する。例えば、3'−O−アセチルオリゴヌクレオチドは、好ましいブロッカー分子種を表す。
加えて、ブロッカーオリゴヌクレオチドのポリメラーゼ介在分解を妨害すべきである。好ましくは、そのような妨害には、5'−3'エクソヌクレアーゼ活性を有しないポリメラーゼの使用、または例えばブロッカー分子をヌクレアーゼ耐性にするチオエート橋をその5'末端に有する、改変したブロッカーオリゴヌクレオチドの使用が含まれる。個々の適用では、ブロッカーのそのような5'改変は必要ないであろう。例えば、ブロッカー結合部位とプライマー結合部位が重なる場合、それによってプライマーの結合が(例えば、過剰なブロッカーにより)妨害され、ブロッカーオリゴヌクレオチドの分解も実質的に妨害される。これは、ポリメラーゼが、プライマー方向に伸展しないことが理由であり、および、通常、ハイブリダイズしたブロッカーオリゴヌクレオチドを分解させるブロッカー-a過程(5'−3'方向)によるものである。
本発明において、そして本明細書で実施される特に好ましいブロッカー/PCR実施形態には、ブロッキングオリゴヌクレオチドとしてペプチド核酸(PNA)オリゴマーの使用が含まれる。そのようなPNAブロッカーオリゴマーは、ポリメラーゼによって分解も伸展もしないので理想的に適している。
好ましくは、従って、該ブロッキングオリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列番号3〜配列番号10およびその相補配列の一つに記載の処理済み核酸配列にハイブリダイズする、少なくとも9ヌクレオチド長の配列を含む必要があり、その際、該オリゴヌクレオチドの塩基配列は、少なくとも一個のCpG、TpG、またはCpAジヌクレオチドを含む。
増幅によって得たフラグメントは、直接的または間接的に検出可能な標識を担持することができる。好ましい標識は、蛍光標識、放射性核種、または質量分析計検出できる典型的な質量を有する着脱自在分子フラグメントの形の標識である。該標識が質量標識(mass label)である場合、標識した増幅物は、1個の正または負の正味電荷を有することが好ましく、それにより質量分析計で優れた検出能力(delectability)が得られる。検出は、例えば、マトリックス支援レーザー脱離/イオン化質量分析(MALDI)により、または電子スプレー質量分析(ESI)を使用し実施し可視化しうる。
マトリックス支援レーザー脱離/イオン化質量分析(MALDI-TOF)は、生体分子の分析には非常に効率的な開発である(Karas and Hillenkamp, Anal Chem., 60:2299-301, 1988)。検体を光吸収性マトリックスに包埋する。短いレーザーパルスによってマトリックスを蒸発させ、それによって未断片化(unfragmented)方式で検体分を気相に輸送する。マトリックス分子と衝突させることによって検体をイオン化する。印加電圧により、イオンは無電界飛行管中へ加速される。その質量の違いにより、イオンは異なる速度で加速される。小さいイオンほど、大きいイオンよりも早く検出器に到達する。MALDI-TOF分光測定は、ペプチドおよびタンパク質の分析に非常に適している。核酸の分析は、多少それより困難である(Gut and Beck, Current Innovations and Future Trends, 1:147-57, 1995)。核酸分析に関する感受性は、ペプチドの感受性の約100分の1であり、フラグメントのサイズが増大するにつれ不均衡に低下する。さらに、多重負荷電主鎖を有する核酸では、マトリックスによるイオン化過程はかなり非効率的である。MALDI-TOF分光測定では、マトリックスの選択は極めて重要な役割を担う。ペプチドの脱離には、数個の非常に効率的マトリックス(matrixes)が見つかっており、それらは非常に微細な結晶化を生成する。現在、DNAについて数個の応答性マトリックスがあるが、しかし、ペプチドと核酸間の感受性の差異は減少しなかった。しかし、ペプチドにより類似するようになる方式で、DNAを化学的修飾することにより、感受性のこの差異を減少させることができる。例えば、単純なアルキル化化学反応を使用し、主鎖の通常のリン酸がチオリン酸で置換されているホスホロチオ酸核酸を電荷中性DNAに転換することができる(Gut and Beck, Nucleic Acids Res. 23: 1367-73, 1995)。荷電タグとこの改変DNAとをカップリングすると、ペプチドに見られるのと同程度までMALDI-TOF感受性が上昇する。荷電タギングのそれ以上の利点は、不純物に対する分析安定性が高いことであり、それによって未修飾基質の検出がかなり、もっと困難になる。
本方法の第4ステップでは、処理前にCpGジヌクレオチドのメチル化状態を確認するために、本方法の第3ステップ中に得られた増幅物を分析する。
実施形態では、MSP増幅によって増幅物を得た場合、増幅物の存在または非存在、それ自体が、該プライマーの塩基配列により、プライマーにより包含されているCpG位置のメチル化状態を示している。
標準的およびメチル化特異的PCRによって得られた増幅物は、塩基に基づく方法、例えば、それだけには限定されないが、アレイ技術およびプローブに基づく技術、ならびにシーケンシングおよび鋳型指向性伸展などの技術によってさらに分析しうる。
本方法の一実施形態では、ステップ3で合成された増幅物を続いて、アレイ、またはオリゴヌクレオチドおよび/またはPNAプローブのセットとハイブリダイズする。この意味において、ハイブリダイゼーションは、以下の方式で行われる。ハイブリダイゼーション中に使用されるプローブセットは、少なくとも2個のオリゴヌクレオチドまたはPNAオリゴマーから構成されるのが好ましく;その過程では、増幅物は、予め固相に結合させたオリゴヌクレオチドとハイブリダイズするプローブとして働き;続いてハイブリダイズしなかったフラグメントを除去し;該オリゴヌクレオチドは、本発明の配列表に明記した塩基配列のセグメントと逆相補し、または同一である、少なくとも9ヌクレオチド長の少なくとも一個の塩基配列を含み、かつそのセグメントは、少なくとも一個のCpG、TpGまたはCpAジヌクレオチドを含む。通常、ハイブリダイズする核酸のハイブリダイズする部分は、少なくとも9、15、20、25、30、または35ヌクレオチド長である。しかし、より長い分子も本発明の有用性を有し、従って本発明の範囲内にある。
好ましい実施形態では、該ジヌクレオチドは、オリゴマーの中央1/3に存在する。例えば、オリゴマーが、一CpGジヌクレオチドを含む場合、該ジヌクレオチドは、13-merの5'末端から第5〜第9のヌクレオチドであることが好ましい。一オリゴヌクレオチドは、配列番号1〜配列番号2からなる群から選択された配列内の、および配列番号3〜配列番号10内の同等の位置内の各CpGジヌクレオチドを分析するために存在する。
該オリゴヌクレオチドは、ペプチド核酸の形で存在してもよい。次いで、ハイブリダイズしなかった増幅物を除去する。次いで、ハイブリダイズした増幅物を検出する。これに関連して、増幅物に付着している標識は、オリゴヌクレオチド配列が位置する固相の各位置で同定可能であることが好ましい。
本方法のさらに別の実施形態では、CpG位置のゲノムのメチル化状態は、PCR増幅プライマー(その際、該プライマーはメチル化特異的または標準的であってよい)と同時に、重亜硫酸塩処理したDNAハイブリダイズした(先に詳述したような)オリゴヌクレオチドプローブによって確認しうる。
この方法の特に好ましい実施形態は、二重標識蛍光オリゴヌクレオチドプローブ[TaqMan(商標)PCR:ABI Prism 7700 Sequence Detection System、Perkin Elmer Applied Biosystems、Foster City, Californiaを利用する]を利用する、蛍光ベースの使用であるReal Time Quantitative PCR[Heidら, Genome Res. 6:986-994, 1996;さらに米国特許第6,331,393号も参照されたい]。TaqMan(商標)PCR反応は、TaqMan(商標)プローブと呼ばれる伸長不可能な調査用オリゴヌクレオチドの使用を利用し、好ましい実施形態では、このオリゴヌクレオチドは、前進と逆進増幅プライマー間に位置するCpGリッチ配列とハイブリダイズするように設計されている。TaqMan(商標)プローブは、TaqMan(商標)オリゴヌクレオチドのヌクレオチドに付加しているリンカー部分(例えば、ホスホラミダイト)と共有結合する蛍光「レポーター部分」および「クエンチャー部分」をさらに含む。重亜硫酸塩処理に続く核酸のメチル化の分析には、MethyLightTM(商標)アッセイとしても知られている米国特許第6,331,393号(これによりその全体を参照により組み込む)に記載されているように、プローブがメチル化特異的でなければならない。記載する発明と一緒に使用するのに適しているTaqMan(商標)検出法の変形例には、二重プローブ技術(Lightcycler(商標))または蛍光増幅プライマー(Sunrise(商標) technology)の使用が含まれる。重亜硫酸塩処理したDNAとの使用に適した方法で、およびCpGジヌクレオチド内のメチル化分析にさらに適した方法で、これらの技術は適合しているであろう。
本方法のさらに好ましい実施形態では、本方法の第4ステップは、鋳型指向性オリゴヌクレオチドの伸展、例えばGonzalgo and Jones, Nucleic Acids Res. 25:2529-2531, 1997に記載しているMS-SNuPEの使用を含む。
さらに本方法の別の実施形態では、本方法の第4ステップは、本方法の第3ステップで生成した増幅物のシーケンシングと、続く配列分析を含む(Sanger F.ら, Proc Natl Acad Sci USA 74:5463-5467, 1977)。
ベストモード
本方法の最も好ましい実施形態では、前記本方法の最初の3ステップ、すなわち
a)対象から、対象のゲノムDNAを有する生物学的試料を得るステップ、
b)ゲノムDNAを抽出、または別の方法で単離するステップ、
c) b)のゲノムDNAまたはそのフラグメントを一種以上の試薬で処理し、その5位置のメチル化されていないシトシン塩基を、ウラシル、またはハイブリダイゼーション特性の点で検出可能にシトシンとは異なる別の塩基に転換するステップ
に従ってゲノム核酸を単離し処理するが、その場合
d) c)の処理に続いて増幅するステップをメチル化特異的方法で、すなわち、メチル化特異的プライマーの使用またはオリゴヌクレオチドのブロッキングにより実施し、さらに、その場合
e)上記のように、リアルタイム検出プローブ手段によって増幅物の検出を実施する。
好ましくは、上記のように、メチル化特異的プライマーによって次のd)の増幅を実施する場合、該メチル化特異的プライマーは、配列番号3〜配列番号10およびその相補配列の一つに記載の処理済み核酸配列にハイブリダイズする少なくとも9ヌクレオチド長の配列を含み、その際、該オリゴマーの塩基配列は、少なくとも一個のCpGジヌクレオチドを含む。
本方法のステップe)、すなわち、配列番号1〜配列番号2を含む群の少なくとも一配列の一個以上のCpG位置のメチル化状態を示す特異的増幅物の検出は、上記のように、リアルタイム検出法によって実施する。
本発明の追加の実施形態は、重亜硫酸塩転換を必要とせずに、本発明によるゲノムDNA(配列番号1〜配列番号2およびその相補鎖)のメチル化状態を分析する方法を提供する。メチル化の決定では、それだけには限定されないがDMHなど、標的領域内でメチル化したCpGジヌクレオチドと、メチル化されていないCpGジヌクレオチドとを識別する、メチル化感受性制限酵素試薬、またはメチル化感受性制限酵素試薬を含む一連の制限酵素試薬を使用する方法が当技術分野で公知である。
そのような追加の実施形態の第1ステップでは、組織または細胞源からゲノムDNA試料を単離する。市販のキットの使用を含め、当技術分野で標準的な任意の手段によってゲノムDNAは単離してよい。手短に言えば、細胞膜によって対象のDNAをカプセル化する場合、生物学的試料は、酵素的、化学的、または機械的手段によって破壊し溶解しなければならない。次いで、例えば、プロテイナーゼKで消化することによって、DNA溶液からタンパク質および他の混入物質を除去しうる。次いで、ゲノムDNAを溶液から回収する。これは、塩析、有機抽出法またはDNAを固相担体に結合させることを含む様々な方法によって実施しうる。方法の選択は、時間、費用および必要なDNA量を含め、いくつかの要因により影響される。新生物または潜在的新生物を含む全て臨床試料型は、本方法での使用に適しており、好ましいものは、細胞系、組織切片、生検試料、パラフィン包埋組織、体液、糞便、結腸流出液、尿、血漿、血清、全血、単離血液細胞、血液から単離した細胞、およびそれらの組合せ。体液は、DNAの好適な供給源であり;特に好ましいものは、血漿、血清、全血、単離血液細胞および血液から単離した細胞である。
核酸を抽出したならば、ゲノムの二本鎖DNAを使用して分析する。
好ましい実施形態では、DNAを切断した後、メチル化感受性制限酵素で処理する。そのような方法は当技術分野で公知であり、物理的および酵素的手段を含みうる。メチル化感受性ではなく、かつその認識部位がATリッチでありCGジヌクレオチドを含まない一つ以上の制限酵素の使用が特に好ましい。そのような酵素の使用によって、断片化したDNAでCpGアイランドおよびCpGリッチ領域の保存が可能になる。非メチル化特異的制限酵素は、MseI、BfaI、Csp6I、Tru1I、Tvu1I、Tru9I、Tvu9I、MaeIおよびXspIからなる群から選択するが好ましい。特に好ましいのは、2種または3種のそのような酵素の使用である。特に好ましいのは、MseI、BfaIおよびCsp6Iの組合せの使用である。
次いで、続く酵素による増幅を促進するために、断片化したDNAをアダプタオリゴヌクレオチドにライゲートすることができる。オリゴヌクレオチドと、平滑末端および粘着末端のDNAフラグメントとのライゲーションは、当技術分野で公知であり、末端の脱リン酸化(例えば、子ウシまたはエビのアルカリホスファターゼを使用)、およびその後の、dATPの存在下でのリガーゼ酵素を使用したライゲーション(例えば、T4DNAリガーゼ)によって実施する。アダプタオリゴヌクレオチドは、通常少なくとも18塩基対長である。
第3ステップでは、次いでDNA(または、そのフラグメント)を一種以上のメチル化感受性制限酵素で消化する。制限部位でDNAを加水分解することにより、セプチン9(その全転写産物変異体を含む)およびALX4からなる群から選択された少なくとも一個の遺伝子あるいはゲノム配列の特異的CpGジヌクレオチドのメチル化状態の情報が得られるように消化を実施する。好ましくは、セプチン9(その任意の転写産物変異体を含む)およびALX4のメチル化状態を分析する。
好ましくは、メチル化特異的制限酵素は、Bsi E1、Hga I HinPl、Hpy99I、Ava I、Bce AI、Bsa HI、BisI、BstUI、BshI236I、AccII、BstFNI、McrBC、GlaI、MvnI、HpaII (HapII)、HhaI、AciI、SmaI、HinP1I、HpyCH4IV、EagI 、および上記酵素の2個またはそれ以上の混合物からなる群から選択する。好ましいものは、制限酵素BstUI、HpaII、HpyCH4IV、およびHinP1Iを含む混合物である。
任意選択ではあるが、好ましい実施形態である第4ステップでは、制限フラグメントを増幅する。これは、ポリメラーゼ連鎖反応を使用し実施するのが好ましく、該増幅物は、先に述べたような好適な検出可能標識、すなわちフルオロフォア標識、放射性核種、および質量標識を担持しうる。特に好ましいものは、増幅酵素、およびいずれの場合にも、配列番号1〜配列番号2およびその相補鎖からなる群から選択された配列と、相補的であり、またはややストリンジェントもしくはストリンジェントな条件下でハイブリダイズする少なくとも16ヌクレオチド長の隣接配列を含む、少なくとも2個のプライマーによる増幅である。好ましくは、該隣接配列は、少なくとも16、20または25ヌクレオチド長である。別の実施形態では、該プライマーは、フラグメントに連結された任意のアダプターに相補的であろう。
第5ステップでは、増幅物を検出する。検出は、当技術分野で標準的な任意の手段、例えば、それだけには限定されないが、ゲル電気泳動分析、ハイブリダイゼーション分析、PCR生成物内で検出可能タグの取り込み、DNAアレイ解析、MALDI、またはESI分析によるであろう。好ましくは、該検出は、少なくとも一個の核酸またはペプチド核酸とのハイブリダイゼーションによって実施され、いずれの場合にも、配列番号1〜配列番号2およびその相補鎖からなる群から選択された配列と、相補的であり、またはややストリンジェントもしくはストリンジェントな条件下でこの配列とハイブリダイズする、少なくとも16ヌクレオチド長の隣接配列を含む。好ましくは、該隣接配列は、少なくとも16、20または25ヌクレオチド長である。
ゲノム核酸のメチル化状態またはレベルの決定に続いて、配列番号1〜配列番号2からなる群から選択された少なくとも一配列の少なくとも一個のCpGジヌクレオチド配列のメチル化状態もしくはレベル、または配列番号1〜配列番号2からなる群から選択された少なくとも一配列の複数のCpGジヌクレオチド配列の平均もしくは平均メチル化状態を反映する値に基づいて細胞増殖性疾患クラス(良性なまたは悪性)を推測するが、その際、メチル化は、悪性転換しつつある結腸直腸病変に関連している。定量手段によって該メチル化を決定する場合、該メチル化の存在を決定するカットオフ点は、ゼロであることが好ましい(すなわち、試料が任意のメチル化程度を示すとき、分析したCpG位置でメチル化状態を有すると決定される)。それにもかかわらず、当業者であれば、特に好ましい感受性または特異性のアッセイを提供するために、該カットオフ値を調整したいと望むであろうことが予測される。従って、該カットオフ値は上昇させてよく(それにより特異性が上昇)、該カットオフ値は、0%〜5%、5%〜10%、10%〜15%、15%〜20%、20%〜30%、および30%〜50%からなる群から選択された範囲内であろう。特に好ましいものは、10%、15%、25%、および30%カットオフである。
細胞増殖性疾患の予後アッセイ
本発明によって、患者または個体にとって不利な症例の診断が可能になり、その際、セプチン9(その全転写産物変異体を含む)および/またはALX4からなる群から選択された少なくとも一個の遺伝子もしくはゲノム配列内の、重要な遺伝的パラメーターおよび/またはエピジェネティックパラメーターは、マーカーとして使用しうる。本発明によって得られた該パラメーターは、遺伝的パラメーターおよび/またはエピジェネティックパラメーターの別のセットと比較してよく、その差異は、患者または個体にとって不利な事象の診断および/または予後の基準として役立つ。
より具体的には、本発明によって、癌、最も好ましくは直腸結腸癌を早期発見するために、危険な状態にある集団をスクリーニングすることができる。さらに、本発明によって、悪性または前悪性病変と、良性のまま(すなわち癌ではないまま)でいる可能性が高い病変との区別が可能になる。
具体的には、本発明によって、そのようなCpGジヌクレオチド配列を含む、配列番号1〜配列番号2からなる群から選択された少なくとも一配列の、一個以上のCpGジヌクレオチド配列の差次的発現(好ましくはメチル化)の測定に基づく、結腸直腸新生物を検出するアッセイが用意される。通常、そのようなアッセイには、対象から試料を得るステップ、セプチン9(その全転写産物変異体を含む)およびALX4からなる群から選択された少なくとも一個の遺伝子またはゲノム配列の発現を測定するアッセイを実施するステップであって、好ましくは、対照試料または既知の標準に比べて、試料から得た配列番号1〜配列番号2からなる群から選択された少なくとも一配列のメチル化状態を決定することによるステップ、およびそれに基づき診断を行うステップが含まれる。セプチン9(その任意の転写産物変異体を含む)およびALX4のメチル化状態を分析するのが特に好ましい。
特に好ましい実施形態では、本発明のオリゴマーは、CpGジヌクレオチドのメチル化状態、例えば、配列番号1〜配列番号2、配列番号3〜配列番号10、またはそのアレイに基づく、そのようなメチル化状態を評価するために使用され、ならびにそれに基づき、結腸直腸細胞増殖性疾患の分類に有用な、キットで使用される。
キット
さらに、本発明の追加の態様は、セプチン9(その全転写産物変異体を含む)およびALX4からなる群から選択された少なくとも一個の遺伝子メチル化を決定するための手段を含むキットである。メチル化を決定するための手段は、好ましくは、重亜硫酸塩含有試薬;いずれの場合にも、その配列が、配列番号3〜配列番号10から選択された配列の9塩基長またはより好ましくは18塩基長までのセグメントと、同一であり、相補的であり、またはストリンジェントもしくは非常にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする配列からなる、一つ以上のオリゴヌクレオチド、および任意により記載のメチル化分析法を実施し評価するための使用説明書を含む。一実施形態では、該オリゴヌクレオチドの塩基配列は、少なくとも一個のCpG、CpAまたはTpGジヌクレオチドを含む。
別の実施形態では、該キットはさらに、CpG位置特異的メチル化分析を実施するための標準的試薬を含んでもよく、その際、該分析は、以下の技術:MS-SNuPE、MSP、MethyLight(商標)、HeavyMethyl、COBRA、および核酸シーケンシングの一つ以上を含む。しかし、本発明に従ったキットは、該成分の一部のみを含むこともできる。
好ましい実施形態では、キットは、DNA変性緩衝液、スルホン化緩衝液;DNA回収試薬またはキット(例えば、沈殿、限外濾過、アフィニティカラム);脱スルホン化緩衝液、およびDNA回収成分からなる群から選択された追加の重亜硫酸塩転換試薬を含んでよい。
さらに別の実施形態では、キットには、別々の容器に封入して、ポリメラーゼ、およびPCRなどのポリメラーゼが介在するプライマー伸長法用に最適化した反応緩衝液を入れてよい。本発明の別の実施形態では、キットは、さらに患者の生物学的試料を得るための手段を含む。好ましいキットは、さらに、患者の生物学的試料でセプチン9(その全転写産物変異体を含む)およびALX4からなる群から選択された少なくとも一個の遺伝子またはゲノム配列のメチル化を決定する手段入れるのに適切な容器を含み、最も好ましくは、さらに使用説明書および該キット結果の解釈書を含むキットである。好ましい実施形態では、キットは、(a)重亜硫酸塩試薬、(b)該重亜硫酸塩試薬および患者の生物学的試料を入れるのに適切な容器、(c)いずれの場合にも、その配列が、配列番号3〜配列番号10から選択された配列の9塩基長またはより好ましくは18塩基長までのセグメントと、同一であり、相補的であり、またはストリンジェントもしくは非常にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする2個のオリゴヌクレオチドを含む少なくとも一セットのプライマーオリゴヌクレオチド、および場合によっては(d)使用説明書および該キットの結果の解釈書を含む。代替の好ましい実施形態ではキットは、(a)重亜硫酸塩試薬、(b)該重亜硫酸塩試薬および患者の生物学的試料を入れるのに適切な容器、(c)配列番号3〜配列番号10およびその相補配列の一つに記載の予め処理済み核酸配列と、同一であり、またはハイブリダイズする少なくとも9または16ヌクレオチド長の、少なくとも一個のオリゴヌクレオチドおよび/またはPNAオリゴマー、および場合によっては(d)使用説明書および該キットの結果の解釈書を含む。
別の実施形態では、キットは、(a)重亜硫酸塩試薬、(b)該重亜硫酸塩試薬および患者の生物学的試料を入れるのに適切な容器、(c)いずれの場合にも、その配列が、配列番号3〜配列番号10から選択された配列の9塩基長またはより好ましくは18塩基長のセグメントと、同一であり、相補的であり、またはストリンジェントもしくは非常にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする2個のオリゴヌクレオチドを含む少なくとも一セットのプライマーオリゴヌクレオチド、(d)配列番号3〜配列番号10およびその相補配列の一つに記載の予め処理済み核酸配列と同一であり、またはハイブリダイズする少なくとも9または16ヌクレオチド長の、少なくとも一個のオリゴヌクレオチドおよび/またはPNAオリゴマー、および場合によっては(e)使用説明書および該キットの結果の解釈書を含む。
キットは、ブロッキング、洗浄、またはコーティングに適切な緩衝液または溶液など、他の成分を別々の容器中に封入して含んでもよい。
COBRA(商標)分析に典型的な試薬(例えば、典型的COBRA(商標)に基づくキットに見られる試薬)には、それだけには限定されないが、セプチン9(その全転写産物変異体を含む)およびALX4からなる群から選択された少なくとも一個の遺伝子用PCRプライマー;制限酵素および好適な緩衝液;遺伝子−ハイブリダイゼーションオリゴ;対照ハイブリダイゼーションオリゴ;オリゴプローブをキナーゼ標識するキット、および標識したヌクレオチドが含まれうる。MethyLight(商標)分析に典型的な試薬(例えば、典型的MethyLight(商標)に基づくキットに見られる試薬)には、それだけには限定されないが、セプチン9(その全転写産物変異体を含む)およびALX4からなる群から選択された少なくとも一個の遺伝子またはゲノム配列の重亜硫酸転換配列用PCRプライマー;重亜硫酸塩特異的プローブ(例えば、TaqMan(商標)またはLightcycler(商標));最適化したPCR緩衝液およびデオキシヌクレオチド、およびTaqポリメラーゼが含まれうる。
Ms-SNuPE(商標)分析に典型的な試薬(例えば、典型的Ms-SNuPE(商標)に基づくキットに見られる試薬)には、それだけには限定されないが、特異的遺伝子(または、重亜硫酸塩処理したDNA配列もしくはCpGアイランド)用PCRプライマー;最適化したPCR緩衝液およびデオキシヌクレオチド;ゲル抽出キット;正の対照プライマー;セプチン9(その全転写産物変異体を含む)およびALX4からなる群から選択された少なくとも一個の遺伝子またはゲノム配列の重亜硫酸転換配列用Ms-SNuPE(商標)プライマー;反応緩衝液(Ms-SNuPE反応用)、および標識したヌクレオチドが含まれうる。
MSP分析用の典型的な試薬(例えば、典型的MSPに基づくキットに存在する試薬)は、それだけには限定されないが、セプチン9(その全転写産物変異体を含む)およびALX4の重亜硫酸転換配列、またはセプチン9(その全転写産物変異体を含む)およびALX4からなる群から選択されたゲノム配列のメチル化された、およびメチル化されていないPCRプライマー、最適化したPCR緩衝液およびデオキシヌクレオチド、ならびに特異的プローブを含むこともありうる。
さらに、本発明の追加の態様は、セプチン9(その全転写産物変異体を含む)およびALX4からなる群から選択された少なくとも一個の遺伝子またはゲノム配列のメチル化を決定するための手段を含む代替のキットであって、該手段は、好ましくは少なくとも1種のメチル化特異的制限酵素;配列番号1〜配列番号2から選択された配列の、少なくとも一個のCpGジヌクレオチドを含む配列の増幅に適切な、一つ以上のプライマーオリゴヌクレオチド(好ましくは一つ以上のプライマー対)、場合によっては記載したメチル化分析法を実施し評価するための使用説明書を含むキットである。一実施形態では、該オリゴヌクレオチドの塩基配列は、配列番号1〜配列番号2から選択された配列少なくとも18塩基長のセグメントと、同一であり、相補的であり、またはストリンジェントもしくは非常にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする。
別の実施形態では、該キットは、消化フラグメントを分析するために一つ以上のオリゴヌクレオチドプローブを含んでよく、好ましくは、該オリゴヌクレオチドは、配列番号1〜配列番号2から選択された配列の少なくとも16塩基長のセグメントと、同一であり、相補的であり、またはストリンジェントもしくは非常にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする。
好ましい実施形態では、キットは、緩衝液(例えば、制限酵素、PCR、保存または洗浄緩衝液);DNA回収試薬またはキット(例えば、沈殿、限外濾過、アフィニティカラム)およびDNA回収成分からなる群から選択された追加の試薬を含んでよい。
さらに別の実施形態では、キットには、別々の容器に封入して、ポリメラーゼ、およびPCRなどのポリメラーゼが介在するプライマー伸長法用に最適化させた反応緩衝液を入れてよい。本発明の別の実施形態では、キットは、さらに患者の生物学的試料を得るための手段を含む。好ましい実施形態では、キットは、(a)メチル化感受性制限酵素試薬、(b)該試薬および患者の生物学的試料を入れるのに適切な容器、(c)配列番号1〜配列番号2から選択された配列の少なくとも9塩基長のセグメントと、同一であり、相補的であり、またはストリンジェントもしくは非常にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、少なくとも一セットのオリゴヌクレオチド、一つ以上の核酸またはペプチド核酸、および任意により(d)使用説明書および該キットの結果の解釈書を含む。
代替の好ましい実施形態では、キットは、(a)メチル化感受性制限酵素試薬、(b)該試薬および患者の生物学的試料を入れるのに適切な容器、(c)配列番号1〜配列番号2から選択された配列の、少なくとも一個のCpGジヌクレオチドを含む配列の増幅に適切な、少なくとも一セットのプライマーオリゴヌクレオチド、および場合によっては(d)使用説明書および該キットの結果の解釈書を含む。
別の実施形態では、キットは、(a)メチル化感受性制限酵素試薬、(b)該試薬および患者の生物学的試料を入れるのに適切な容器、(c)配列番号1〜配列番号2から選択された配列の、少なくとも一個のCpGジヌクレオチドを含む配列の増幅に適切な、少なくとも一セットのプライマーオリゴヌクレオチド、(d)配列番号1〜配列番号2から選択された配列の少なくとも9塩基長のセグメントと、同一であり、相補的であり、またはストリンジェントもしくは非常にストリンジェントな条件下でハイブリダイズする、少なくとも一セットのオリゴヌクレオチド、一つ以上の核酸もしくはペプチド核酸、および場合によっては(e)使用説明書および該キットの結果の解釈書を含む。
キットは、ブロッキング、洗浄、またはコーティングに適切な緩衝液または溶液など、他の成分を別々の容器中に封入して含んでもよい。
本発明は、さらに、メチル化感受性制限酵素分析によって、対象において結腸直腸病変の検出および/または分類の提供で使用するためのキットに関する。該キットは、容器およびDNAマイクロアレイ成分を含む。該DNAマイクロアレイ成分は、指定した位置に複数のオリゴヌクレオチドが固定されている表面であり、その際、オリゴヌクレオチドは、少なくとも一個のCpGメチル化部位を含む。該オリゴヌクレオチドの少なくとも一個は、セプチン9(その全転写産物変異体を含む)および/またはALX4からなる群から選択された少なくとも一個の遺伝子もしくはゲノム配列に特異的であり、長さが少なくとも15塩基対であるが、配列番号1〜配列番号2の一つに記載の配列のわずが200bpの配列を含む。好ましくは、該配列は、少なくとも15塩基対長であるが、配列番号1〜配列番号2の一つに記載の配列のわずか80bpである。該配列は、少なくとも20塩基対長さであるが、配列番号1〜配列番号2の一つに記載の配列のわずか30bpであるのがさらに好ましい。
好ましくは、該検査キットは、さらに、一つ以上のメチル化感受性制限酵素を含む制限酵素成分を含む。
別の実施形態では、該検査キットは、さらに、少なくとも一個のメチル化特異的制限酵素を含むことを特徴とし、その際、オリゴヌクレオチドは、該少なくとも一個のメチル化特異的制限酵素の制限部位を含む。
キットには、さらに、DNA濃縮に当技術分野で公知である一種またはいくつかの以下の成分を入れてよい:メチル化したDNAと選択的に結合するタンパク質成分;三重形成核酸成分、一つ以上のリンカー、場合によって適切な溶液;ライゲーションを実施するための物質もしくは溶液、例えば、リガーゼ、緩衝液;カラムクロマトグラフィーを実施するための物質もしくは溶液;免疫学に基づく濃縮(例えば、免疫沈降法)を実施するための物質もしくは溶液;核酸増幅、例えば、PCRを実施するための物質もしくは溶液;カップリング試薬との適用が可能ならば、溶液中での適用が可能ならば、一種または数種の色素;ハイブリダイゼーションを実施するための物質もしくは溶液;および/または洗浄ステップを実施するための物質もしくは溶液。
記載した発明は、さらに結腸直腸病変分類に有用な物質の組成を提供する。該組成は、配列番号3〜配列番号10に開示した核酸配列のセグメントの18塩基対長の少なくとも一個の核酸、および以下を含む群から取得した一種以上の物質:1〜5mM塩化マグネシウム、100〜500μM dNTP、0.5〜5単位のtaqポリメラーゼ、ウシ血清卵白、オリゴマー、特に、オリゴヌクレオチドまたはペプチド核酸(PNA)−オリゴマーを含み、該オリゴマーは、いずれの場合にも、配列番号3〜配列番号10およびその相補配列の一つに記載の予め処理済みゲノムDNAと相補的であり、またはややストリンジェントもしくはストリンジェントな条件下でハイブリダイズする少なくとも9ヌクレオチド長の少なくとも一個の塩基配列を含む。該物質の組成は、水溶液中で該核酸の安定化に好適であり、該溶液中でポリメラーゼを基にした反応を可能にする緩衝液を含むのが好ましい。適切な緩衝液は、当技術分野で公知であり市販されている。
本発明のさらに好ましい実施形態では、該少なくとも一個の核酸は、配列番号3〜配列番号10に開示した核酸配列のセグメントの少なくとも50、100、150、200、250または500塩基対長である。
本発明は、その好ましいある種の実施形態による特異性について記載されているが、以下の実施例は、本発明を例示するためにだけ役立ち、最も広い解釈とその同等の構物の原理および範囲内で本発明を制限するものではない。
以下の研究では、遺伝子セプチン9およびALX4内の病変特異的メチル化を確認するために、結腸直腸病変の様々な型および段階にある患者から得た血漿試料のメチル化状態を分析した。
アッセイは、上記のようなMSPおよびHeavyMethylアッセイであり、重亜硫酸塩転換したDNAの分析にはメチル化特異的リアルタイムアッセイであった。LightCyclerプラットフォーム(Roche Diagnostics)上を泳動させるためにアッセイを設計したが、当技術分野で通常使用されている他のそのような機器も適切である。Lightcyclerスタイル二重プローブによって検出するために、MSPおよびHeavyMethyl増幅物を設計した。各アッセイは、市販業者から入手した血漿試料上を三つ組で泳動させた。
調査対象集団
大部分は50歳以上である40〜80歳の男性および女性患者から試料を採取した。症例報告書式は内科医が再点検し、疾患重症度を決定した。全体では、腺腫性ポリープ患者36名(女性13名、男性23名、中央値年齢63.5歳、範囲24〜75歳)および過形成性ポリープ患者13名(女性5名、男性8名、中央値年齢58歳、範囲20〜73歳)から血清を採取した。結腸および直腸の腫瘍または前癌状態がなく、様々な他の理由で大腸内視鏡検査を受けた22名の個人(負の対照)、ならびに5名の直腸結腸癌患者からも血清を採取した。
ポリープ血清試料のうち、異形成がありポリープが>1cmの患者から7試料、異形成がなくポリープが>1cmの患者から9試料、異形成がなくポリープが<1cmの患者から17試料、異形成がありポリープが<1cmの患者3試料、過形成性ポリープの患者から13試料(そのうち、ポリープが<1cmの患者から11試料およびポリープが>2cmの患者から2試料)を採取した。直腸結腸癌試料は、第1期(4試料)および第3期(1試料)患者から入手した。
血漿メチル化分析
全核酸DNA(Total Nucleic Acid DNA)抽出キット(Roche Applied Science)およびRoche MagNaPure器具を使用し、自由循環(free-Circulating)DNAの抽出によって血漿をまず処理した。各患者から溶出させたDNAをプールし、Microconフィルターで濃縮した。上記のように、重亜硫酸ナトリウムを使用し、メチル化されていないシトシンを脱アミノ化することによって、DNAのメチル化情報を保存した。β−アクチンについては非メチル化特異的アッセイを使用し、各試料の重亜硫酸塩処理した血漿DNAをRoche LC 2.0(商標)器具により数量化した。MSPアッセイによってALX4のメチル化を決定した。本出願人のHMリアルタイムPCR技術(Cottrell SE, Distler J,ら. NAR 2004; 32(1):e10を参照されたい)を基礎とするアッセイを使用し、セプチン9のメチル化を決定した。バックグラウンドが50ng血液DNA(RocheヒトゲノムDNA)である中、メチルされた(SSS1処理済み)DNAの希釈系列によって、21pgとして、セプチン9アッセイの90%検出限界が推定された。Roche LC 2.0も使用して、セプチン9増幅を測定した。各一PCR反応につき、DNAの血漿同等物1.6ml〜1.9mlを加え、各血漿試料を二つ組または三つ組で泳動させた。
アッセイ
当該ゲノムの領域:配列番号1;アッセイ型:MSP
プライマー:cgtcgcaacgcgtacg(配列番号11);cgcggtttcgattttaatgc(配列番号12)
Lightcyclerプローブ:actccgacttaacccgacgatcg−fluo(配列番号13);LC640−acgaaattcctaacgcaaccgct−p(配列番号14)
増幅物配列:
Cgtcgcaacgcgtacgactcaaaacttaataactccgacttaacccgacgatcgcgacgaaattcctaacgcaaccgcttaaaacttcgcattaaaatcgaaaccgcg(配列番号15)
温度サイクリングプログラム:
活性化: 95℃ 10min
55サイクル: 95℃ 15秒 (20℃/s)
60℃ 45秒 (20℃/s)
72℃ 15秒 (20℃/s)
当該ゲノムの領域:配列番号2;アッセイ型:HeavyMethyl
プライマー:GtAGtAGttAGtttAGtAtttAttTT(配列番号16);CCCACCAaCCATCATaT(配列番号17)
Lightcyclerプローブ:Gtt cga aat gat ttt att tag ttg c−FL(配列番号18);LC−Red640−cgt tga tcg cgg ggt tc−PH(配列番号19)
ブロッカー配列:CATCATaTCAaACCCCACAaTCAACACACAaC−Inv3'(配列番号20)
温度サイクリングプログラム:
活性化: 95℃ 10min
55サイクル: 95℃ 10秒
56℃ 30秒
72℃ 10秒
冷却: 10℃ 30秒
結果
4%を超えるメチル化が示された場合、陽性として反復を決定した。メチル化を示した反復回数によって、試料を陽性と断定した。
単一遺伝子分析
Figure 0005846693
パネル分析(セプチン9+ALX4)
Figure 0005846693
ポリープ組織学による
Figure 0005846693
さらに、上皮内病変を有する10腺腫のうち、セプチン9およびALX4の6回の反復の少なくとも3回で80%がメチル化を示した。
結論
1cmより大きいポリープを検出するためのリアルタイムPCRアッセイの感受性は、23%であると決定された。本発明者らの結果は、セプチン9生物マーカーが、50歳を越える無症候個体でも非常に特異的(95%)であることを示している。
マーカーパネルでセプチン9とALX4を組み合わせた結果から、高い特異性を維持しながら、ポリープを検出する感受性を相当に改善できることが示唆される。マーカーパネルは、1cmを超えるポリープを67%の感受性で検出した。大きい腺腫(>1cm)またはIEN(上皮内異常増殖)がある腺腫の感受性は、さらに高く改善された(それぞれ100%、80%)。50歳を越える無症候個体でのパネル特異性は91%であった。患者のコンプライアンスおよび現在のスクリーニング戦略の性能は、今日市販されている試験の有効性を制限する。直腸結腸癌の早期発見のための管理が容易な血液に基づく検査と、続く陽性個体のための大腸内視鏡検査は、この疾患による死亡率を低減するのに非常に有効なツールである可能性がある。
Figure 0005846693

Claims (27)

  1. 対象における結腸直腸細胞増殖性疾患の検出および/または分類を補助する方法であって、前記対象から単離した血漿又は血清に由来する生物学的試料中のALX4の発現レベルを決定するステップを含み、CpGメチル化が前癌性結腸直腸細胞増殖性疾患の存在の指標である、方法。
  2. 対象において結腸直腸細胞増殖性疾患を検出および/または分類するための判断材料を提供する方法であって、
    前記対象から単離した血漿又は血清に由来する生物学的試料を準備するステップ、
    該生物学的試料のALX4の発現レベルを決定するステップを含むものであって、
    ALX4の低発現が前癌性結腸直腸細胞増殖性疾患の存在の指標である、方法。
  3. 悪性または前悪性細胞増殖性疾患と良性細胞増殖性疾患との識別を補助する方法であって、CpGメチル化の存在が悪性または前悪性細胞増殖性疾患の存在を示し、かつそれらが存在しないことが良性細胞増殖性疾患の存在を示すことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
  4. 発現レベルが、遺伝子から転写されたmRNAの存在、非存在またはレベルを検出することによって決定される、請求項2または3に記載の方法。
  5. 発現レベルが、遺伝子またはその配列によってコードされたポリペプチドの存在、非存在またはレベルを検出することによって決定される、請求項2または3に記載の方法。
  6. ポリペプチドが、ウエスタンブロット分析、クロマトグラフィー、イムノアッセイ、ELISAイムノアッセイ、ラジオイムノアッセイ、抗体、およびそれらの組合せを含む群から選択された一つ以上の手段によって検出される、請求項5に記載の方法。
  7. 発現が、遺伝子内のCpGメチル化の存在または非存在を検出することによって決定され、メチル化の存在によって細胞増殖性疾患の存在が示される、請求項1または3に記載の方法。
  8. 対象における細胞増殖性疾患の検出および/または分類を補助する方法であって、
    前記対象から得た血漿又は血清に由来する生物学的試料から単離したゲノムDNAを、少なくとも一種の試薬または一連の試薬であって、前記ゲノムDNAの少なくとも一個の標的領域内で、メチル化されたCpGジヌクレオチドとメチル化されていないCpGジヌクレオチドとを識別する試薬と接触させるステップを含むものであって、
    前記標的領域が、配列番号1の配列またはこれと相補的な配列の少なくとも16個の隣接配列を含み、
    前記隣接配列は、配列番号1に特異的な配列であり、かつ、少なくとも一個のCpGジヌクレオチド配列を含み、
    それによって結腸直腸細胞増殖性疾患の検出および/または分類が少なくとも部分的に可能になる、方法。
  9. 結腸直腸細胞増殖性疾患を検出かつ/または分類するための判断材料を提供する方法であって、
    a)対象から得た血漿又は血清に由来する生物学的試料からゲノムDNAを抽出し、またはそうでなければ単離するステップ、
    b)ゲノムDNAの5’位置のメチル化されていないシトシン塩基を、ウラシル、またはハイブリダイゼーション特性の点でシトシンと区別して検出可能な別の塩基に転換する一種以上の試薬で、a)のゲノムDNAまたはそのフラグメントを処理するステップ、
    c)該処理済みゲノムDNAまたは該処理済みフラグメントを、増幅酵素および配列番号3、4、7および8からなる群から選択された配列に特異的な配列と、同一または相補的な配列である少なくとも16ヌクレオチドの隣接配列を含む少なくとも一個のプライマーと接触させるステップであって、
    該処理済みゲノムDNAまたはそのフラグメントが、増幅されて少なくとも一個の増幅物を生成しているか、または増幅されていないステップ、および
    d)前記増幅物の存在または非存在または特性に基づき、配列番号1に示される配列またはこれと相補的な配列の少なくとも一個のCpGジヌクレオチドのメチル化状態もしくはレベル、または配列番号1に示される配列またはこれと相補的な配列の複数のCpGジヌクレオチドのメチル化状態もしくはレベルの平均もしくは平均を反映する値を決定し、それによって結腸直腸細胞増殖性疾患の検出および分類の少なくとも一つが、少なくとも部分的に可能になるステップ
    を含む、方法。
  10. b)のゲノムDNAまたはそのフラグメントの処理が、重亜硫酸塩、亜硫酸水素、二亜硫酸塩、およびそれらの組合せを含む群から選択された試薬の使用を含む、請求項9に記載の方法。
  11. c)の接触または増幅ステップが、増幅酵素として耐熱性DNAポリメラーゼの使用;5'−3'エクソヌクレアーゼ活性を有しないポリメラーゼの使用;ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の使用;検出可能標識を担持する増幅物核酸分子の作製;を含む群から選択された少なくとも一方法の使用を含む、請求項10に記載の方法。
  12. さらに、ステップd)で、配列番号3、4、7および8からなる群から選択された配列と、同一または相補的な配列である少なくとも16ヌクレオチド長の隣接配列を含む、少なくとも一個の核酸分子もしくはペプチド核酸分子を使用するステップであって、前記核酸分子もしくはペプチド核酸分子が、ハイブリダイズする核酸の増幅を抑制するステップを含む、請求項〜11のいずれかに記載の方法。
  13. d)の決定で、配列番号3、4、7および8からなる群から選択された配列と、同一または相補的である少なくとも16ヌクレオチド長の隣接配列を含む、少なくとも一個の核酸分子もしくはペプチド核酸分子のハイブリダイゼーションが含まれる、請求項11に記載の方法。
  14. 少なくとも一個のハイブリダイズする核酸分子またはペプチド核酸分子が固相に結合している、請求項13に記載の方法。
  15. 少なくとも一個のヌクレオチド塩基によって、少なくとも一個のハイブリダイズする核酸分子を伸展するステップをさらに含む、請求項14に記載の方法。
  16. d)での決定が、増幅物のシーケンシングを含む、請求項11に記載の方法。
  17. c)での接触または増幅ステップが、メチル化特異的プライマーの使用を含む、請求項11に記載の方法。
  18. 結腸直腸細胞増殖性疾患を検出および/または分類するための判断材料を提供する方法であって、
    a)対象から得た血漿又は血清に由来する生物学的試料からゲノムDNAを抽出し、またはそうでなければ単離するステップ、
    b)一種以上のメチル化感受性制限酵素で、a)のゲノムDNAまたはそのフラグメントを消化し、そのDNA制限酵素消化産物を、増幅酵素、および配列番号1に示される配列に特異的な配列と同一または相補的な配列の少なくとも18塩基長の隣接配列であり、少なくとも一個のCpGジヌクレオチドを含む配列を増幅する少なくとも2個のプライマーと接触させるステップ、および
    c)増幅物の存在または非存在に基づき、配列番号1に示される配列と同一または相補的な配列の少なくとも一個のCpGジヌクレオチドのメチル化状態またはレベルを決定し、それによって細胞増殖性疾患の検出および分類の少なくとも一つが、少なくとも部分的に可能になるステップ
    を含む、方法。
  19. 増幅物の存在または非存在が、配列番号1に示される配列と同一またはこれと相補的な配列の少なくとも16塩基長の隣接配列を含む少なくとも一個の核酸またはペプチド核酸とのハイブリダイゼーションによって決定される、請求項18に記載の方法。
  20. 血漿又は血清に由来する生物学的試料から結腸直腸細胞増殖性疾患を検出および/または分類するための、ゲノムDNA配列の少なくとも一個のメチル化されていないシトシン塩基を、ウラシルまたはハイブリダイゼーションの点でシトシンと区別して検出可能な別の塩基に転換処理された、配列番号1に示される配列に由来する核酸の使用。
  21. 血漿又は血清に由来する生物学的試料から結腸直腸細胞増殖性疾患を検出および/または分類するための、ゲノムDNA配列の少なくとも一個のメチル化されていないシトシン塩基を、ウラシルまたはハイブリダイゼーションの点でシトシンと区別して検出可能な別の塩基に転換処理された、配列番号3、4、7および8からなる群から選択されるゲノムDNA配列の少なくとも16個の隣接配列を含むALX4特異的な核酸の使用。
  22. 血漿又は血清に由来する生物学的試料から結腸直腸細胞増殖性疾患を検出および/または分類するための、配列番号3、4、7および8からなる群から選択される配列と、同一または相補的である少なくとも50個の隣接配列を含む核酸の使用。
  23. 隣接配列が、少なくとも一個のCpG、TpG、またはCpAジヌクレオチド配列を含む、請求項22に記載の核酸の使用
  24. 請求項4に記載の方法を実施するためのキットの使用であって、
    該キットは、
    (a)ALX4遺伝子の転写産物に特異的であり、ALX4遺伝子の転写産物と同一または相補的な少なくとも18個の隣接配列を含む、複数のオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド、
    (b)該オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド、および該転写産物を含む患者の生物学的試料を入れるのに適切な容器であって、ストリンジェントまたはややストリンジェントな条件下で、該オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドが、該転写産物とハイブリダイズできる容器、
    (c)(b)のハイブリダイゼーションを検出する手段、および
    任意により、
    (d)使用説明書および該キットの結果の解釈書
    を含む、キットの使用。
  25. キットが
    (a)ALX4ポリペプチドを検出する手段、
    (b)前記手段および該ポリペプチドを含む患者の該生物学的試料を入れるのに適切な容器であって、該手段によって、該ポリペプチドとの複合体が形成できる容器、
    (c) (b)の該複合体を検出する手段、
    を含むものである、請求項5に記載の方法を実施するためのキットの使用。
  26. キットが
    (a)重亜硫酸塩試薬、
    (b)前記重亜硫酸塩試薬および患者から得られた生物学的試料を入れるのに適切な容器、
    (c)配列番号3、4、7および8から選択される1つの配列と同一または相補的な配列の少なくとも18塩基長の隣接配列を含む、2個のALX4に特異的なオリゴヌクレオチドを含む少なくとも一セットのオリゴヌクレオチド
    を含むものである、請求項8に記載の方法を実施するためのキットの使用。
  27. キットが
    (a)メチル化感受性制限酵素試薬、
    (b)前記試薬および患者の生物学的試料を入れるのに適切な容器、
    (c)配列番号1に示される配列と同一または相補的な配列の少なくとも18塩基長の隣接配列を含む、少なくとも一セットのALX4に特異的なオリゴヌクレオチド、一つ以上のALX4に特異的な核酸もしくはペプチド核酸、および任意で
    (d)使用説明書およびキットの結果の解釈書
    を含むものである、請求項8に記載の方法を実施するためのキットの使用。
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