JP5842980B2 - スピーカアレイ装置 - Google Patents
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Description
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的の1つは、複数の仮想スピーカを水平方向及び天井方向のそれぞれに形成させる小型のスピーカアレイ装置を実現することである。
他の好ましい態様において、前記オーディオ信号を、当該オーディオ信号が表す音の周波数帯域のうち定められた境界周波数以下の周波数帯域を減衰させる減衰手段を備え、前記第2スピーカは、前記減衰手段により減衰されたオーディオ信号を前記第2音として出力し、前記第1スピーカアレイは、前記オーディオ信号を、当該オーディオ信号が表す音の周波数帯域のうち前記境界周波数以下の周波数帯域を前記減衰手段により減衰させることなく前記第1音として出力する。
他の好ましい態様において、前記第2スピーカは、前記部屋に設置された場合に、前記複数の第2スピーカの振動板がいずれも前記受音点から見えない位置に設けられている。
また、本発明は、第1面内に並んで配置されている複数の第1スピーカユニットを有し、特定の第1指向方向を指向し、かつ、前記複数の第1スピーカユニットの配置された配列方向に対する前記第1指向方向の角度を調整することが可能な第1音を前記複数の第1スピーカユニットから出力する第1スピーカアレイと、前記第1面とは異なる第2面内に配置されている第2スピーカであって、特定の第2指向方向を指向する第2音を出力する第2スピーカと、遮蔽板とを備え、前記遮蔽板は、前記第1面の法線方向にあって前記第1音を聴取する位置として定められている受音点に対して前記第2音が前記第2スピーカから反射又は回折を経て間接的にのみ到達される位置、若しくは、前記受音点に直接到達する前記第2音に対する天井で反射した前記第2音の音圧比が定められた値以上となる音量で当該受音点に到達する位置に設置されることを特徴とするスピーカアレイ装置を提供する。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、スピーカアレイ装置1の構成を示すブロック図である。スピーカアレイ装置1は、バスを介して互いに接続されている制御部2、記憶部3、操作部4、インターフェース5及び音響処理部30と、音響処理部30に接続されている第1スピーカアレイ10及び第2スピーカアレイ20とを備える。スピーカアレイ装置1は、オーディオ信号に対して音響処理部30で処理を施すことにより、第1スピーカアレイ10及び第2スピーカアレイ20から、特定の方向を指向する音を出力する装置である。以下、この指向する音をサウンドビームという。
制御部2は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)等を有する。制御部2は、記憶部3またはROMに記憶されたプログラムを実行することにより、バスを介してスピーカアレイ装置1の各部を制御する。制御部2は、例えば、音響処理部30を制御して、音響処理部30において行われる各処理におけるパラメータの設定などを行う設定手段としても機能する。
操作部4は、音量レベルを調整するボリューム及び設定変更を行う指示を入力するための操作ボタン等の操作手段を有し、操作内容を示す情報を制御部2に出力する。
インターフェース5は、外部からオーディオ信号Sinを取得するための入力端子などである。
第1スピーカアレイ10及び第2スピーカアレイ20は、それぞれ複数のスピーカユニットを有し、音響処理部30から入力されるオーディオ信号をこれらのスピーカユニットからそれぞれ出力させることで、特定の方向を指向する音を出力する。
サブウーファ40は、低音域の音を出力する。
音響処理部30は、インターフェース5を介して取得されたオーディオ信号Sinを処理し、第1スピーカアレイ10、第2スピーカアレイ20及びサブウーファ40がそれぞれ出力するオーディオ信号を生成する。音響処理部30は、生成したオーディオ信号を、第1スピーカアレイ10、第2スピーカアレイ20及びサブウーファ40に対してそれぞれ供給する。
2水平方向X(第2スピーカアレイ20の長手方向)とがなす角度を調整することが可能なサウンドビーム(第2音)を出力する。
図4は、第2水平方向Xに見た筐体6の断面を示す図である。図4では、第2スピーカユニット200が設けられている位置の筐体6の断面を示している。また、図4では、各スピーカユニットについては、説明を簡潔にするため、断面ではなく側面を示している。第1スピーカユニット100は、振動板を有し、この振動板の径が広い方の端部が面61を含む平面と重なるように設けられている。言い換えると、第1スピーカユニット100は、面61が向いている方向に振動板が振動するように設けられている。この方向は、上述した第1主軸方向W1であり、第1スピーカユニット100の正面を示す方向でもある。第1主軸方向W1は、面61の法線に沿った方向、すなわち第1水平方向Zに向いている。
デコーダ310は、インターフェース5から入力された入力信号Sinをデコードする。ここで、本実施形態では、入力信号Sinは、5.1chのオーディオ信号を表すものとする。デコーダ310は、この入力信号Sinをデコードして得られた5.1chのオーディオ信号を、信号処理部320に供給する。
また、信号処理部320は、第1スピーカアレイ10及び第2スピーカアレイ20から共に同一音声信号を再生するような場合は、一方の信号が表す音の音量に応じて、他方の信号が表す音の音量を小さくする。これは、例えば、デコード後のオーディオ信号が表す音の音量に対して、天面用信号が70%の音量の音を表しているのであれば、水平用信号では、30%の音量の音を表し、天面用信号が10%の音量の音を表しているのであれば、水平用信号では、90%の音量の音を表すようにするということである。信号処理部320がこのように音量のバランスを取ることで、元の音声信号の音量感を保ちつつ、両スピーカアレイが形成する定位位置の中間に定位させることができる。
水平ビーム生成部360においても、天井ビーム生成部350と同様の処理が行われ、各チャンネルに係る音のサウンドビームが、それぞれ設定された方向を指向して第1スピーカアレイ10から出力される。
図6は、部屋1000に設置したスピーカアレイ装置1から受音点Q1に到達するサウンドビームの経路の例を示す図である。図6では、説明の便宜上、スピーカアレイ装置1の内部の第1スピーカアレイ10及び第2スピーカアレイ20を実線で示している。部屋1000は、天井1001、4つの壁面1002及び床面1003が直方体を形成する部屋であり、一方の壁面1002側にテレビ2000が設置されている。天井1001は、床面1003からの高さが2.4mであり、また、床面1003は、水平である。図6では、スピーカアレイ装置1は、第1主軸方向W1が床面1003に沿うようにして設置されている。つまり、スピーカアレイ装置1は、図4に示す状態と同様、第1主軸方向W1が水平方向(第1水平方向Z)を向くように設置されている。また、スピーカアレイ装置1は、テレビ2000と共にテレビ台の上に設置されており、その結果、床面1003から0.5mの高さに第1スピーカアレイ10が位置し、0.6mの高さに第2スピーカアレイ20が位置するようになっている。受音点Q1は、第1スピーカアレイ10の正面側で、かつ、第1スピーカアレイ10から出力されるサウンドビームB1が直接到達するところに位置している。ここにおいて、直接到達するとは、第1スピーカアレイ10から出力された音(サウンドビーム)が、反射又は回折を経ずに受音点Q1まで伝播することをいう。図6では、受音点Q1は、第2スピーカアレイ20からサウンドビームB2が出力される位置から第1水平方向Zに2.0mの距離で、かつ、床面1003から0.8mの高さとなるところに位置している。
図7は、スピーカアレイ装置1から出力されるサウンドビームが到達する範囲の例を示す図である。図7では、サウンドビームB1が有意に到達する範囲の境界R1、サウンドビームB2が有意に到達する範囲の境界R2を破線でそれぞれ示している。ここでいう「有意に到達する」とは、他方向からの先行音などに打ち克って、第一の音として「その方向から」聞こえてくるほどの大音量で到達する、ということを示す。図7では、受音点Q1が、R1で示される範囲に含まれており、サウンドビームB1が受音点Q1に有意に到達することが表されている。一方、第2スピーカアレイ20では、図4に示すように、各第2スピーカユニット200の正面に窪み部610が設けられている。この窪み部610によって、受音点Q1から第2スピーカユニット200を見た場合に、図4で述べた振動板が見えない位置に存在するようになっている。窪み部610がなくて図4に示す面62を含む平面と振動板の径が広い方の端部とが重なるように第2スピーカアレイ20が設けられた場合の境界をR2xとすると、サウンドビームB2が放射する角度を窪み部610が狭めている分、境界R2は、境界R2xよりも狭い範囲を示すようになっている。
量が直接音を一定音量レベル上まわることにより、定位を天井方向に感じ易くなる。」)
上述した実施形態は、本発明の実施の一例に過ぎず、次のように種々の応用・変形が可能であり、また、必要に応じて組み合わせることも可能である。
第1スピーカアレイ10と第2スピーカアレイ20とは、上述した実施形態では、同じ筐体6に設けられていたが、異なる筐体にそれぞれ設けられていてもよい。
図11は、本変形例に係るスピーカアレイ装置1aの構成を示す図である。スピーカアレイ装置1aは、筐体6a1及び6a2を有し、第1スピーカアレイ10aは筐体6a1に設けられ、第2スピーカアレイ20aは筐体6a2に設けられている。例えば、筐体6a2をテレビ2000aの上側に設置すると、これよりも低い位置に第2スピーカアレイ20を設置する場合に比べて、第2スピーカアレイ20aからの直接音が到達する範囲が天井1001側にずれることになる。これにより、スピーカアレイ装置1aを用いると、筐体が1つである場合よりも、直接音が受音点Q1に到達しにくくなるようにすることができる。
上述した実施形態では、図4に示すように、第2主軸方向W2が鉛直方向Yに対して受音点Q1側に傾いた角度θ4が、15度であったが、これには限らない。θ4は、30度であってもよいし、0度であってもよい。θ4が0度の場合、第2主軸方向W2が鉛直方向Yと一致して、第2スピーカユニット200が鉛直上向きに真っ直ぐ向くようになる。θ4がどのような角度であっても、要するに、第2スピーカユニット200から受音点Q1に向かう方向から第2主軸方向W2が十分に離れていて、受音点Q1に直接音が(殆んど)到達することがない向き、又は、仮に到達するとしても、直接音よりも反射音が充分大きな音量で受音点Q1に到達する向きに第2スピーカユニット200の正面を向けて(言い換えれば、図4に示す面66(第2面)の法線がこの向きに沿うように)、第2スピーカアレイ20が設置されるようになっていればよい。ここでいう「反射音が直接音よりも充分大きな音量」であるとは、直接音に対する反射音の音圧(エネルギー)比が定められた値以上となる音量であることをいう。反射音が直接音よりも充分大きな音量であれば、反射音によって直接音がマスキングされて、聴取者は、本当は到達している直接音が聞こえないように感じたり、直接音が本来の音量よりも小さい音量となったように感じたりする。
また、第2スピーカユニット200の正面を向ける向きは、受音点Q1側に傾いた向きではなく、それとは反対側に傾いた向きであってもよい。
図12は、本変形例に係るスピーカアレイ装置1bの構成を示す図である。スピーカアレイ装置1bは、鉛直方向Yに対して受音点Q1側とは反対側に傾けた向きに正面が向いている第2スピーカユニット200bを有する。この場合、第2スピーカユニット200bから出力されたサウンドビームB2bは、テレビ2000に反射した後に、天井1001で反射して受音点Q1に到達する。また、スピーカアレイ装置1bでは、受音点Q1から見た場合に、第2スピーカユニット200bは振動板が見えない位置に設置されている。この場合、第2スピーカユニット200bからの有意な直接音は、境界R2bにより示される範囲に到達することとなる。図12では、図7に示した境界R2を二点鎖線で示した。図12に示されるように、第2スピーカユニット200の正面が向く方向が受音点Q1から離れることで、境界がR2からR2bに受音点Q1から遠ざかる方向に移動した。これにより、スピーカアレイ装置1bは、第2スピーカユニット200の正面を受音点Q1側に傾ける場合よりも、直接音が受音点Q1に到達しにくくなるようにすることができる。
上述した実施形態では、面62に窪み部610を設けることにより、サウンドビームB2の受音点Q1側への放射を抑制したが、これ以外の方法で放射を抑制してもよい。例えば、窪み部610を設けずに、面62に単に穴を空け、面62を含む平面よりも筐体の内部に奥まっていて受音点Q1から見えないところに第2スピーカユニット200を設けてもよい。この場合、サウンドビームB2は、一部が面62の裏側の面によって遮断され、放射が抑制される。
また、例えば、筐体に、サウンドビームB2の経路の一部を遮る部材を設けてもよい。
図13は、本変形例に係るスピーカアレイ装置1cの筐体6cの断面を示す図である。図13では、図4同様、各スピーカユニットについては側面を示している。スピーカアレイ装置1cの筐体6cには、筐体6とは異なり、面62cに窪み部610が設けられておらず、第2スピーカユニット200cが有する振動板の径が広い方の端部が面62cを含む平面と重なるように設けられている。言い換えれば、各第2スピーカユニット200は、面62c(第2面の一例)内に並んで配置されている。また、面62cには、スピーカアレイ装置1cが図6に示すように設置された場合に、第2スピーカユニット200cよりも受音点Q1側となる位置に遮蔽板620が設けられている。スピーカアレイ装置1cでは、受音点Q1から見た場合に、第2スピーカユニット200cの振動板が遮蔽板620によって遮られて見えない位置に存在するようになっている。遮蔽板620は、第2スピーカユニット200cから出力されるサウンドビームのうち、第1水平方向Zに放射する部分を遮る。図13では、遮蔽板620により一部が遮られたサウンドビームが有意に到達する範囲の境界R2cと、遮蔽板620がなかった場合の境界R2yとを示している。遮蔽板620は、サウンドビームのうち、第1水平方向Zに放射する部分を遮っているので、図13に示すとおり、第2スピーカユニット200からの直接音が回折を経ずに到達することがない範囲を広くしている。つまり、スピーカアレイ装置1cは、遮蔽板620を設けない場合よりも、直接音が受音点Q1に到達しにくくなるようにすることができる。
スピーカアレイ装置1は、上述した実施形態では、定められた周波数よりも高い周波数を帯域とするサウンドビームB2を出力したが、これに限るものではない。スピーカアレイ装置1では、供給されたオーディオ信号から定められた周波数よりも低い周波数の音を除去せずにそのままの周波数帯域のサウンドビームB2を出力してもよい。要するに、第2スピーカアレイ20は、上記の受音点Q1において、直接音よりも反射音の方が音量が充分大きくなる方向に、第2スピーカユニット200の正面を向けて設置されていればよい。
上述した実施形態においては、各第1スピーカユニット100は、第2水平方向Xに並んで設けられていたが、これとは異なる方向に並んで設けられていてもよい。例えば、各第1スピーカユニット100は、第2水平方向Xに対して斜めに角度をなす方向に並んで設けられていてもよいし、直線状ではなく、弧状又はV字状となるように並んで設けられていてもよい。これらの直線状、弧状又はV字状は、各第1スピーカユニット100の並びにより形成される形状の例である。また、各第1スピーカユニット100は、2列以上並んで設けられていてもよい。各第1スピーカユニット100は、いずれの場合も、面61(第1面)内に並んで配置されていればよい。これにより、第1スピーカアレイ10は、特定の方向(第1指向方向)を指向し、かつ、その方向と各第1スピーカユニット100の並びにより形成される形状の長手方向とがなす角度を調整することが可能なサウンドビームB1(第1音)を出力する。ここでいう長手方向とは、この並びにより形成される形状を含むことができる最小の矩形の長辺に沿った方向である。
上述した実施形態においては、各第2スピーカユニット200は、第2水平方向Xに並んで設けられていたが、上述した変形例5における各第1スピーカユニット100と同様に、これとは異なる方向に並んで設けられていてもよい。例えば、各第2スピーカユニット200は、第2水平方向Xに対して斜めに角度をなす方向に並んで設けられていてもよい。また、各第2スピーカユニットは、途中で並ぶ方向が変化するように設けられていてもよく、言い換えれば、直線状に並んでいなくともよい。例えば、各第2スピーカユニットは、弧状又はV字状となるように並んで設けられていてもよい。各第2スピーカユニット200は、いずれの場合も、面66(第2面)内に並んで1列に配置されていればよい。これにより、第2スピーカアレイ20は、特定の方向(第2指向方向)を指向し、かつ、その方向と各第2スピーカユニット200の並びにより形成される形状の長手方向とがなす角度を調整することが可能なサウンドビームB2(第2音)を出力する。この第2スピーカアレイ20の長手方向は、上記の第1スピーカアレイ10の長手方向に沿っていることが望ましく、これが沿っていない場合であっても、鉛直方向Yから見たときにこれらの長手方向が直交していなければよい。この場合であっても、スピーカアレイ装置は、第2スピーカユニットを第1水平方向Zに並べる場合に比べて、第2スピーカユニットの数を減らすことができ、寸法を小さくすることができる。
なお、第2スピーカアレイは、一列に並んだ複数の第2スピーカユニットを有するものであるが、これらの第2スピーカユニットの一部が複数列に並んでいる、又は、第1水平方向Zに並んでいるものであってもよい。この場合であっても、複数の第2スピーカユニットが一列に並んでいる部分においては、上記と同様に、第2スピーカユニットの数を減らすことができ、寸法を小さくすることができる。
上述した実施形態では、スピーカアレイ装置1が設置される場所は、直方体の部屋1000に設置されたテレビ台の上であったが、これに限らず、部屋1000の他の場所であってもよいし、直方体以外の形状をしている他の部屋の中であってもよい。また、スピーカアレイ装置1を設置する場所は、屋外であってもよく、その場合、スピーカアレイ装置1が出力するサウンドビームを反射する反射面を有し、かつ、受音点よりも高い位置に鉛直方向下向きの反射面を有する空間であればよい。スピーカアレイ装置1は、この反射面でサウンドビームを反射させることにより、聴取者から見て鉛直上向きの方向に、第2水平方向の位置が異なる複数の仮想スピーカを形成することができる。
上述した実施形態では、第2スピーカアレイ20が有する第2スピーカユニット200は、筐体6の外部に露出していたが、筐体の外部に露出しないように設けてもよい。
図15は、本変形例に係るスピーカアレイ装置1dの筐体6dの断面を示す図である。図15では、図4同様、各スピーカユニットについては側面を示している。スピーカアレイ装置1は、筐体6dの内部の面66d(第2面の一例)内に並んで設けられている第2スピーカユニット200dを有する。第2スピーカユニット200dは、筐体6dの内部の反射面64dに正面を向けて設けられている。筐体6dの鉛直上向きの面62dには、外部に開口する開口部65dが設けられている。第2スピーカユニット200が出力したサウンドビームB2dは、反射面64dで反射して開口部65dを通過し、天井1001で反射した後に受音点Q1に到達する。スピーカアレイ装置1dにおいても、第2スピーカユニット200dの振動板は、受音点Q1から見えない位置に設けられていることになる。この場合、開口部65dにおいて、サウンドビームB2dが第1水平方向Zに放射する範囲が狭められるため、直接音が受音点Q1に到達しにくくなるようにすることができる。
上述した実施形態では、各チャンネルの音は特定の経路に向けて出力されたが、各チャンネルに含まれる音の内容に応じて動的に経路を変化させてもよい。例えば、スピーカアレイ装置1は、水平用信号に含まれる「L」、「R」チャンネルの音のオーディオ信号を比較し、これらの相関が高い成分を天面用信号の「天面C」チャンネルに含めて出力させるといった具合である。また、この場合に、「L」、「R」チャンネルを出力する経路へのサウンドビームの音量を小さくしてもよい。これにより、本変形例に係るスピーカアレイ装置1を用いると、音源が鉛直方向に移動する映像の音を「L」チャンネルから「R」チャンネル(又はその反対)に移すように表現された映像の音を出力する場合に、より音源の位置に合致した方向に形成された仮想スピーカから音を到達させることができる。
上述した実施形態では、入力信号Sinは、「R」、「L」、「C」、「SR」、「SL」の5チャンネルを含む5.1chのオーディオ信号を表していたが、これには限らず、例えば、これより多い7.1ch又は9.1ch等のオーディオ信号であってもよいし、これより少ない3.1ch等のオーディオ信号であってもよい。また、オーディオ信号には、鉛直方向の音を表すハイトチャンネルが含まれていてもよい。この場合、信号処理部320は、ハイトチャンネルを含めた天面用信号とこれを含めない水平用信号とを、バスマネージメント部330に供給する。これにより、ハイトチャンネルの音が第2スピーカアレイ20から出力され、天井方向にこの音が出力される仮想スピーカが形成される。
上述した実施形態では、虚像スピーカV1が形成される方向が図10に示すとおり決まっていたが、スピーカアレイ装置1では、これを変化させるようにしてもよい。この方向は、サウンドビームB1CのサウンドビームB2Cに対する音量の差を変化させると、鉛直方向Yに変化する。また、この方向は、サウンドビームB2Cの周波数帯域を変化させることによっても変化する。本変形例に係るスピーカアレイ装置1では、まず、利用者が操作部4を操作して虚像スピーカを形成させたい方向を決定し、操作部4がその決定した方向を示す情報を制御部2に出力する。この場合、操作部4は、本発明にかかる「決定手段」として機能する。次に、制御部2は、操作部4から出力される情報に応じて、上記のサウンドビームB1(第1音)及びサウンドビームB2(第2音)のそれぞれの音量、境界周波数といったパラメータを調整する。詳細には、制御部2は、記憶部3から読み出したこれらのパラメータを、操作部4から出力される情報に応じて調整する。そして、制御部2は、調整したパラメータが音量であれば、これを信号処理部320に供給する。また、制御部2は、調整したパラメータが境界周波数であれば、これをバスマネージメント部330に供給する。第1スピーカアレイ10及び第2スピーカアレイ20は、制御部2により調整されたこれらのパラメータに応じて信号処理部320又はバスマネージメント部330から出力されたオーディオ信号に対して図5で示したその後の処理がされたものを、それぞれのサウンドビームとして出力する。これらのサウンドビームは、上記のパラメータが、操作部4から出力される情報に応じた方向に虚像スピーカが形成されるようなものになっている。これにより、受音点Q1から見て虚像スピーカが形成される方向が調整される。この場合、制御部2は、本発明に係る「調整手段」として機能する。
Claims (6)
- 第1面内に並んで配置されている複数の第1スピーカユニットを有し、特定の第1指向方向を指向し、かつ、前記複数の第1スピーカユニットの配置された配列方向に対する前記第1指向方向の角度を調整することが可能な第1音を前記複数の第1スピーカユニットから出力する第1スピーカアレイと、
前記第1面とは異なる第2面内に配置されている第2スピーカであって、特定の第2指向方向を指向する第2音を出力する第2スピーカとを備え、
前記第2スピーカは、天井を音の反射面とする部屋に前記第1スピーカアレイと共に設置される場合に、前記第1面の法線方向にあって前記第1音を聴取する位置として定められている受音点に対して前記第2音が前記第2スピーカから反射又は回折を経て間接的にのみ到達する向き、若しくは、前記受音点に直接到達する前記第2音に対する前記天井で反射した前記第2音の音圧比が定められた値以上となる音量で当該受音点に到達する向きに、前記第2面の法線が沿うように設置される
ことを特徴とするスピーカアレイ装置。 - 前記第2スピーカは、供給されるオーディオ信号を前記第2音として出力し、
前記第2スピーカから前記受音点までの前記第2音の経路の長さと、前記第1スピーカアレイから当該受音点までの前記第1音の経路の長さとの差に応じて前記オーディオ信号を遅延させる遅延手段を備え、
前記第1スピーカアレイは、前記遅延手段により遅延されたオーディオ信号を前記第1音として出力する
ことを特徴とする請求項1に記載のスピーカアレイ装置。 - 前記オーディオ信号を、当該オーディオ信号が表す音の周波数帯域のうち定められた境界周波数以下の周波数帯域を減衰させる減衰手段を備え、
前記第2スピーカは、前記減衰手段により減衰されたオーディオ信号を前記第2音として出力し、
前記第1スピーカアレイは、前記オーディオ信号を、当該オーディオ信号が表す音の周波数帯域のうち前記境界周波数以下の周波数帯域を前記減衰手段により減衰させることなく前記第1音として出力する
ことを特徴とする請求項2に記載のスピーカアレイ装置。 - 前記第1音及び前記第2音により前記受音点で虚像を形成させたい方向を決定する決定手段と、
前記決定手段により決定された方向に応じて、前記第1音及び前記第2音のそれぞれの音量、前記境界周波数又は前記遅延手段が前記オーディオ信号を遅延させる時間を調整する調整手段とを備え、
前記第1スピーカアレイは、前記調整手段により調整された結果を用いて処理されたオーディオ信号を前記第1音として出力し、
前記第2スピーカは、前記調整手段により調整された結果を用いて処理されたオーディオ信号を前記第2音として出力する
ことを特徴とする請求項3に記載のスピーカアレイ装置。 - 前記第2スピーカは、前記部屋に設置された場合に、前記複数の第2スピーカの振動板がいずれも前記受音点から見えない位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のスピーカアレイ装置。 - 第1面内に並んで配置されている複数の第1スピーカユニットを有し、特定の第1指向方向を指向し、かつ、前記複数の第1スピーカユニットの配置された配列方向に対する前記第1指向方向の角度を調整することが可能な第1音を前記複数の第1スピーカユニットから出力する第1スピーカアレイと、
前記第1面とは異なる第2面内に配置されている第2スピーカであって、特定の第2指向方向を指向する第2音を出力する第2スピーカと、
遮蔽板と
を備え、
前記遮蔽板は、
前記第1面の法線方向にあって前記第1音を聴取する位置として定められている受音点に対して前記第2音が前記第2スピーカから反射又は回折を経て間接的にのみ到達される位置、若しくは、前記受音点に直接到達する前記第2音に対する天井で反射した前記第2音の音圧比が定められた値以上となる音量で当該受音点に到達する位置に設置される
ことを特徴とするスピーカアレイ装置。
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