JP5841150B2 - 脊椎の動的安定化用の脊椎インプラント・セット - Google Patents

Description

本発明は、請求項１のプリアンブルに記載の脊椎の動的安定化用の脊椎インプラント・セットに関するものである。

本発明により、長手方向軸に沿って様々な剛性度合いを有し、椎体を動的に安定化させるために有用な、弾性連結ロッドを実現することが可能になる。典型的には、弾性連結ロッドは、脊椎の動的安定化用の骨ねじ（椎弓根ねじ）と組み合わせて使用される。かかるロッドが、より高い剛性のセクションを備える場合には、可能な適応症を実質的に広げることができる。したがって、剛性のより高いセクションは、例えば椎体の固定のために使用されてもよく、剛性のより低いセクションは、隣接セグメントの弾性連結のために使用されてもよい。

現行の脊椎手術における「至適基準」は、依然として病的椎体の固定（硬直化）にある。しかし、硬直化によって、固定部に隣接するセグメントの早発変性が生じることが多い。したがって、様々な剛性度合いを有するロッドを提供し、外科処置に隣接するセグメントを含める試みが、なされている。

以下において示すように、当技術分野において公知であるいくつかの手法は、一方においては金属ロッドとプラスチック・ロッドの組合せに関し、他方においては多様な断面を有するプラスチック・ロッドに関するものである。

欧州特許出願公開第１７１９４６８号明細書による発明は、外方プラスチック・クッション内の内方牽引構造体として作動するように意図された布帛バンドに、金属バーを連結することにより、連結された動的安定化体を形成する。

欧州特許出願公開第１８１５８１２号明細書による発明は、金属ロッドの端部に、連結可能なプラスチック・ロッドを受けるための部分を形成する。

米国特許出願公開第２００９／０１１８７６７号明細書による発明は、長手方向軸に沿って変化のある可撓性を有する連結要素を示す。この場合の変化のある可撓性は、２つの固定要素間の区域に限定され、連結要素の外方本体のみにおいて、剛性が変化する。

米国特許出願公開第２００９／０２４８０８３号明細書による発明は、様々な剛性の区域を長手方向軸に沿って有する連結ロッドを示すが、これらの区域は１つの運動セグメントにわたり延在する、すなわち２つの連続する固定ねじ間において作動するにすぎない。

国際公開第９７／３２５３３号による発明は、長手方向軸に沿って直径が変化するが、その変化が２つの固定ねじ間の区域のみに限定される、（剛性）連結ロッドを示す。

国際公開第２００７／０３８４２９号による発明は、長手方向においては剛性であり、横軸方向においては弾性であるべき、耐荷重要素の積層体を示す。しかし、意図される剛性の差異は、２つのそれぞれの固定ねじ間のみにおいて実現される。

米国特許出願公開第２００５／０２０３５１３号明細書による発明は、各運動セグメント間又は対の固定ねじ間において異なる剛性度合いを実現することを目的とする。しかし、提案されている解決策は、各固定ねじにわたる連続的変化をもたらすものではなく、そのため、連結要素は、固定箇所の所定の補整を必須とし、これにより、マルチセグメント用途においては外科医にとって多大な困難をもたらすものとなり得る。

米国特許出願公開第２００７／０１９１８３２号明細書による発明は、最大で２つの固定ねじ間において異なる弾性度合いを有する複数の本体を提案するが、したがってこれは、せいぜい単一セグメント処置に限定される。

国際公開第２００７／０８７４７６号による発明は、連結ロッドが、長手方向空洞部及び異なる外形輪郭を有することにより、２つの固定ねじ間において異なる剛性度合いを実現する。しかし、この多様な断面は、単一セグメント処置に限定され、空洞部の存在により、例えば骨ねじ内の弾性ロッドなどの固定には殆ど適さない。

米国特許第７，３２６，２１０号明細書による発明は、単一セグメント用途のみに対して適するか、又は所定の補整の問題を必ず被ることとなる、固定ねじ間に弾性区域を有する連結要素を提案する。

また、国際公開第２００７／０８９９５７号による発明は、ロッド軸に沿って変化する断面について記載しているが、これは所定のセグメントにおけるものであり、患者ごとに対応するセグメント長さを有する個別に適合されたロッドを必要とする。ロッドの平坦化された側部は、想定される骨ねじの軸に対して直角である。骨に対するロッドの連結は示されていない。

国際公開第２００９／０２１１１６号による発明は、やはりロッド軸に沿って変化する断面について記載しているが、これは固定ねじ間のみにおけるものであり、したがってやはり患者ごとに対応するセグメント長さを有する特定のロッドを必要とする。提案されている動的ロッド・システムは、固定には、すなわち主に圧縮力には適さないように思われる。さらに、成形芯を覆う繊維の組合せが、劣化を伴うことなく数百万回の荷重サイクルに耐えることが可能であるかどうかが疑わしい。

欧州特許出願公開第２０４７８１２号明細書による発明は、ロッド軸に沿って変化する断面について記載しているが、これは固定ねじ間のみにおけるものであり、やはり所定のセグメント長さの問題に至る。さらに、ロッドは、金属から作製され、単独でも又は移行セグメントにおいても、動的固定システムとして見なすことはできない。

米国特許出願公開第２０１０／０１１４１６５号明細書による発明は、半径が頭蓋方向に小さくなることによりロッド軸に沿って多様な断面を有する円形ロッドを示す。しかし、頭蓋方向端部において、このロッドは、椎体に対してしっかりとは固定されず、特にさらに仙骨方向において使用されるものと同一の骨ねじを使用することによっては連結されない。

また、米国特許第５，２１７，４６１号明細書による発明は、ロッド軸に沿った連結ロッドの２つの異なる直径について記載しているが、これらの多様なロッドが脊椎に対してどのように連結されるかについては明記しておらず、したがって１つの単一のタイプの骨ねじが使用可能であることを明記していないことは言うまでもない。
米国特許出願公開第２００８／０１７７３２０号明細書に係る発明はまた、必要に応じて異なる特性を有する材料によって充填されるローカル開口部を有することによって達成されるロッド軸に沿った可変剛性を示唆している。そのようなロッドが以前に製造されているかどうかは（未知の患者に依存する次元）または外科医がそのような異なる材料を入れて一緒に結合しなければならないかどうか明確ではなく、強度、生体適合性及び無菌性要件に関してほとんど実現可能でないかもしれない。この特許出願は、最も重要である方法である骨にロッドを固定する任意の方法を開示していない。
米国特許出願公開第２０１０／００１０５４２号明細書は、剛性を変更するために、ロッドの外筒を省略することを開示している。開示されているように残りのコアは、座屈に対する十分な抵抗を提供していない。コアは変化しない長方形の断面で示されている。

欧州特許出願公開第１７１９４６８号明細書 欧州特許出願公開第１８１５８１２号明細書 米国特許出願公開第２００９／０１１８７６７号明細書 米国特許出願公開第２００９／０２４８０８３号明細書 国際公開第９７／３２５３３号 国際公開第２００７／０３８４２９号 米国特許出願公開第２００５／０２０３５１３号明細書 米国特許出願公開第２００７／０１９１８３２号明細書 国際公開第２００７／０８７４７６号 米国特許第７，３２６，２１０号明細書 国際公開第２００７／０８９９５７号 国際公開第２００９／０２１１１６号 欧州特許出願公開第２０４７８１２号明細書 米国特許出願公開第２０１０／０１１４１６５号明細書 米国特許第５，２１７，４６１号明細書 米国特許出願公開第２００８／０１７７３２０号明細書 米国特許出願公開第２０１０／００１０５４２号明細書

したがって、本発明の１つの目的は、より広範な整形外科状況において有用な様々な剛性のロッドを備える脊椎インプラント・セットを提供することである。

かかる脊椎インプラント・セットは、請求項１において規定される。他の請求項は、インプラント・セットの好ましい実施例及び使用を規定する。

本発明によるインプラント・セットは、連結要素すなわちロッドを備える。この連結要素すなわちロッドの剛性は、長手方向軸に沿って少なくとも２つの隣接する区域にわたって変化する。また、連結要素すなわちロッドは、所定の補整による欠点を被らない。

これは、好ましくは同一の座部を有する同一の骨ねじが連結要素全体に対して使用し得るように、断面が、連続的に、又は少なくとも１つの段状部、好ましくは１つのみの段状部において、変化することによって実現される。

好ましくは、本発明による脊椎インプラント・セットは、少なくとも３つの骨ねじにわたって延在する断面の変化を伴う連結要素を備える。

以下、ロッド軸に沿って変化する断面の全ての可能な形態を示すわけではない図面を参照して、好ましい実施例を用いて、本発明をさらに詳細に説明する。

図面は、以下のものを概略的に示す。

ロッドの長手方向軸に沿って多様な断面を有する事前屈曲された矩形ロッドを示す図である。 ロッドの直線状長手方向軸及び２つの事前屈曲された長手方向軸を示す図である。 ロッドの断面の種々のノーズ形状部の上面図である。 様々な断面のロッドを受けるための様々なねじ頭及び様々なクランプ要素の部分長手方向断面図である。 クランプ要素が骨ねじの座部内に位置する状態の、ロッドの２つの変形例の部分断面図である。 同一タイプの複数の骨ねじ内で受けられる、ロッド軸に沿って様々な断面を有する事前屈曲されたロッドの概略図である。

脊椎の動的固定用のインプラント・セットが、本出願人の先願の国際公開第２０１１／６２６７号に記載されている。この特許出願の開示は、参照により組み込まれ、特に骨ねじに対して脊椎インプラント・セットの連結要素を固定するための好ましい固定システムを説明している。

さらに詳細には、脊椎インプラントは、骨ねじの座部内への挿入方向に延在する１つの寸法を有する２つの対向する面平行の面を有する、連結ロッドを備える。国際公開第２０１１／６２６７号において説明されるように、この特徴により、流体静力学的に面内においてロッドを円周方向にクランプ固定することが可能となり、すなわちクランプ圧力が、クランプ輪郭全体に対して加えられる。これにより、クランプ平面内でロッド材料が流れることが回避され、すなわちポリマー材料のロッドが、長期安定的に保持される。

図１には、事前屈曲された連結要素すなわちロッド１、１２が図示される。これらのロッドの矩形断面２は、ロッド軸に沿って、１つの寸法（ｈ１、ｈ２）において、好ましくは曲率半径（Ｒ）の方向に変化する。図１ａは、ロッド１を示す。この多様性は、段状のものである。好ましくは、１つの段状部３２のみが存在する。図１ｂは、連続的に変化する断面を有するロッド１２を示す。

図２には、直線状長手方向ロッド軸、半径（Ｒ）にしたがって事前屈曲されたロッド軸、及び２つの異なる半径（Ｒ１、Ｒ２）にしたがって屈曲されたロッド軸を図示する。

図３ａには、ロッド１は、特定のノーズ形状部を有さない。

図３ｂには、ロッド１は、丸い頂部３１を有する三角形ノーズ形状部３を有する。

図３ｃには、ロッド１は、半円形ノーズ形状部４を有する。

図３ｄには、ロッド１は、半楕円形ノーズ形状部５を有する。

図３ｂ〜図３ｄによるノーズ形状部は、国際公開第２０１１／６２６７号において説明されるように、骨ねじ６の座部７内へのロッド１の挿入を容易にする。

図４ａには、大きなロッド断面ｈ１用の大きな座部７を有する骨ねじ６及び短いクランプ要素９が図示される。

図４ｂには、小さなロッド断面ｈ２用の大きな座部７を有する骨ねじ６及び長いクランプ要素１０が図示される。

図４ｃには、小さなロッド断面ｈ２用の小さな座部８を有する骨ねじ６及び短いクランプ要素９が図示される。

図５ａは、骨ねじ６の座部７、８内に無頭ねじの形態のクランプ要素９、１０が位置する状態の、ロッド１の上面図を示す。

図５ｂは、骨ねじ（６）の座部７、８内に追加の外部ナット１１を有するスペーサの形態のクランプ要素９、１０が位置する状態の、ロッド１の上面図を示す。このナットは、骨ねじ６の頭部の外側ねじ山に係合する。

図６には、ロッド軸に沿って変化する断面を有する事前屈曲されたロッド１が図示される。このロッド１は、２つの短いクランプ要素９及び１つの長いクランプ要素１０を伴う３つの同一の座部７を有する同一タイプの３つの骨ねじ内に固定される。これらの骨ねじは、例えば、国際公開第２０１１／６２６７号の骨ねじなどであってもよく、さらに様々な寸法のクランプ要素を伴うものであってもよい。

本発明を実現するために、実施例の無数の組合せを考えることができる。本明細書においては、少数の実施例が、非包括的に説明される。ロッドの断面は、例えば国際公開第２０１１／６２６７号による面平行の側部を有する矩形のものであってもよい。この断面は、ロッドの長手方向軸に沿って変化してもよく、その高さ（ｈ）、幅（ｂ）、又はそれらの両方が変化してもよい。ロッドは、直線状ロッド（Ｒ＝∞（無限））として、又は１つ若しくは複数の異なる曲率半径（Ｒ１、Ｒ２）を有する事前屈曲されたロッドとして、供給されてもよい。矩形ロッド断面の場合には、１つ又は複数の側部が、好ましくは骨ねじ６の方向において見た場合の前方側において、ある特定のノーズ形状部を有してもよい。このノーズ形状部は、例えば（図３を参照）丸い先端部３１を有する三角形３、半円形４、又は半楕円形５のものであってもよい。ノーズ形状部は、装着されても、又は（ワンピースで）一体化されてもよい。

断面がねじ軸の方向において変化する場合には、同一の骨ねじが、ロッド軸に沿って使用でき、単に異なる長さのクランプ要素が、適用される。骨ねじが同一タイプのものである利点は、修正手術（例えば伸展手術）の際に、骨中に十分に一体化されたねじを保存することができ、単に異なるロッド剛性のセクションを挿入することが可能となる点である。

かかる連結要素用の好ましい材料は、ＰＣＵ（ポリカーボネートウレタン）である。なぜならば、これは、多様な度合いの剛性又は弾性のものが入手可能であり、優れた生体適合性及び傑出した機械的長期挙動を有するからである。しかし、例えばＰＥＥＫ（ポリエーテルエーテルケトン）族のものなどの他のポリマーを考えることができる。

好ましくは（図６を参照）、連結ロッドの第１の側部すなわち前方側部が、線形を成し、対向側の側部すなわち後方側部が、第１の側部に比べて段状であってもよい。第１の側部は、初めに骨ねじの座部内に押し込まれる。前方側部の連続形状は、解剖学的状況に準拠する。連結ロッドの後方側部に対して押圧されるスペーサ又は他のクランプ手段のみが、連結ロッドの多様な高さ、又はより一般的には寸法を補償するために選択される必要がある。しかし、第１の側部が、例えば段状など、非均一に形状設定されてもよく、スペーサが、必要に応じて、骨ねじ中の座部の底部と連結ロッドとの間に挿入されてもよい。

Claims (11)

1. ２つ以上の骨ねじ（６）と、長手方向軸に沿って変化する断面（２）を有する少なくとも１つの細長連結要素（１）とを備える脊椎の動的安定化用の脊椎インプラント・セットであって、
   前記断面は、骨ねじで挿入方向に延びる２つの面平行な側面と前記挿入方向において対向する後方側部及び前方側部を有し、前記断面の変化が、前記後方側部と前記前方側部との間の距離の変化により実質的に実現され、クランプ・インサート（９、１０）が、前記連結要素の多様な高さを補償することが可能となるように、前記骨ねじは前記細長連結要素のための実質的に同一の座部（７）を有し、前記骨ねじ（６）の前記座部内への挿入が可能な様々な長さのクランプ・インサートを備える、脊椎インプラント・セット。
2. 前記長手方向軸に沿った前記細長連結要素の前記断面の変化は、連続的であるか、又は１つ若しくは複数の段状部を伴うものである、請求項１に記載の脊椎インプラント・セット。
3. 前記細長連結（１）要素は、直線状であるか、又は少なくとも１つの半径（Ｒ；Ｒ１、Ｒ２）を有する事前屈曲されたものである、請求項１又は請求項２に記載の脊椎インプラント・セット。
4. 前記細長連結要素（１）の前記変化する断面は、植え込み時に少なくとも２つの骨ねじ（６）内に挿入可能となるような長さの一定断面（ｈ１）の部分を備える、請求項１から請求項３までのいずれか一項に記載の脊椎インプラント・セット。
5. 前記細長連結要素の前記前方側部は、丸いノーズ部分を備える、請求項１から請求項４までのいずれか一項に記載の脊椎インプラント・セット。
6. 前記細長連結要素の前記丸いノーズ部分（３、４、５）の断面が、実質的に丸い頂部（３１）を有する三角形（３）、半円形（４）、又は半楕円形（５）からなる、請求項５に記載の脊椎インプラント・セット。
7. 骨ねじのねじ山の方向へと前記骨ねじ（６）の前記座部内に配置されることとなる前記前方側部は、直線又は曲線に沿って延在し、前記断面の変化は、１つ又は複数の段状部、好ましくは１つの段状部（３２）により前記後方側部に沿ってのみもたらされる、請求項１から請求項６までのいずれか一項に記載の脊椎インプラント・セット。
8. 面積が小さいほうの断面が、前記細長連結要素（１）の一方の端部に位置する、請求項１から請求項７までのいずれか一項に記載の脊椎インプラント・セット。
9. 前記細長連結要素（１）は、プラスチック材料から作製される、請求項１から請求項８までのいずれか一項に記載の脊椎インプラント・セット。
10. 前記プラスチック材料は、ポリカーボネートウレタン（ＰＣＵ）である、請求項９に記載の脊椎インプラント・セット。
11. 前記プラスチック材料は、ポリエーテルエーテルケトン（ＰＥＥＫ）族のものである、請求項９に記載の脊椎インプラント・セット。

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