JP5838430B1 - 燃焼装置及びボイラー - Google Patents

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Abstract

【課題】電力を使用せず且つ有害物質を大気中にほとんど排出せずに長時間安全に運転できる燃焼装置及びボイラーを提供する。【解決手段】本発明のボイラーは、有機性燃料を熱分解して炭化物と乾留ガスを発生させるガス化炉と、前記乾留ガスを二次燃焼させるガス燃焼炉と、熱交換器と、排気ダクトとを備える。ガス燃焼炉が、その内部で有機性燃料を燃焼することによる二次燃焼用パイロットバーナーとしての機能と、二次燃焼で発生したガスのドラフトにより乾留ガスを吸引する機能とを有する。また、ガス化炉が二次燃焼の終了後にその内部に生成された前記炭化物を燃焼し続けることで高温ガス供給源としての機能を有する。したがって、従来のように電力を使用してブロワーとバーナーを駆動する必要がなく、また、長時間安定的に温風を供給したりボイラーとして駆動させることができる。【選択図】図1

Description

本発明は、電力を使用せず且つ有害物質を大気中にほとんど排出せずに長時間安全に運転でき、且つ炭を製造する機能も備える燃焼装置及びボイラーに関する。
従来の燃焼装置は焼却室内に空気を大量に送り込みながらバーナーで被焼却物を燃焼していたため、排煙中に塩化水素(HCl)、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)、ダイオキシン等の有害物質が含まれ、大気中に飛散してしまうという問題があった。
そこで、焼却室から煙突に至るガス流路にバーナーと、煙突内に向けて送風するブロワー(ファン)を配置し、焼却室で発生した煙をブロワーの強制送風によって作り出した負圧を利用して移動させながらバーナーで燃焼することで上記有害物質を分解・清浄化して排出する燃焼装置(焼却炉)が知られている(特許文献1参照)。
また、同様の構造の焼却炉に熱交換器を設けることで燃焼時の熱で水を沸騰させるボイラーも知られている(特許文献2参照)。
特許第3790979号公報 特開平11−325451号公報
ところが、上記特許文献に開示された技術では以下のような問題がある。
すなわち、ブロワーとバーナーの駆動に電力を使用するため、運転コストが嵩むという問題や電気を使用できない場所では運転できないという問題がある。
また、停電時にブロワーとバーナーが停止するので燃焼装置及びボイラーを運転できないという問題や、停電時であっても燃焼室内では燃焼が継続するため、煙突から燃焼室に向かって空気が逆流し、燃焼室が異常高温状態に至るいわゆる熱暴走の危険性がある。
本発明はこのような問題に鑑み、電力を使用せず且つ有害物質を大気中にほとんど排出せずに長時間安全に運転でき、且つ炭を製造する機能も備える燃焼装置及びボイラーを提供することを目的とする。
本発明の燃焼装置は、有機性燃料を熱分解して炭化物と乾留ガスを発生させるガス化炉と、前記乾留ガスを二次燃焼させるガス燃焼炉と、排気ダクトとを備えており、前記ガス燃焼炉が、その内部で有機性燃料を燃焼することによる二次燃焼用パイロットバーナーとしての機能と、二次燃焼で発生したガスのドラフトによりその内部を負圧にすることで前記乾留ガスを吸引する機能とを有しており、前記ガス化炉が、前記二次燃焼の終了後にその内部に生成された前記炭化物を燃焼し続けることで高温のガスを供給し続ける高温ガス供給源としての機能と、前記二次燃焼の終了後にその内部への空気の導入を遮断しながら除熱することでその内部に生成された前記炭化物から炭を製造する機能とを備えることを特徴とする。
また、前記有機性燃料が木材、ペレット、チップ、籾殻及びヤシガラのうち少なくとも一つを含む有機性廃棄物であることを特徴とする。
本発明のボイラーは、有機性燃料を熱分解して炭化物と乾留ガスを発生させるガス化炉と、前記乾留ガスを二次燃焼させるガス燃焼炉と、熱交換器と、排気ダクトとを備えており、前記ガス燃焼炉が、その内部で有機性燃料を燃焼することによる二次燃焼用パイロットバーナーとしての機能と、二次燃焼で発生したガスのドラフトによりその内部を負圧にすることで前記乾留ガスを吸引する機能とを有しており、前記ガス化炉が、前記二次燃焼の終了後にその内部に生成された前記炭化物を燃焼し続けることで前記熱交換器に高温のガスを供給し続ける高温ガス供給源としての機能と、前記二次燃焼の終了後にその内部への空気の導入を遮断しながら除熱することでその内部に生成された前記炭化物から炭を製造する機能とを備えることを特徴とする。
また、前記有機性燃料が木材、ペレット、チップ、籾殻及びヤシガラのうち少なくとも一つを含む有機性廃棄物であることを特徴とする。
本発明ではガス燃焼炉が二次燃焼用パイロットバーナーとして機能と乾留ガスを吸引する機能を有するので、従来のように電力を使用してブロワーとバーナーを駆動する必要がない。従って、運転コストを抑制できるという利点や、停電時や電気を使用できない場所でも燃焼装置及びボイラーを運転できるという利点もある。また、停電時の熱暴走の危険性がないので安全性に優れる。
また、ガス化炉が二次燃焼工程の終了後も高温のガスを供給し続ける高温ガス供給源としての機能を有するので、長時間安定的に温風を供給したりボイラーとして駆動させることができる。
また、有機性燃料から熱分解によって発生した炭化物と乾留ガスはそれぞれ完全燃焼され、有害物質をほとんど含まない清浄化された状態で排気ダクトから大気中に排出されるので燃焼効率に優れると共に環境への負荷が少ない。
また、二次燃焼工程の終了後にガス化炉内部への空気の導入を遮断しながら除熱することでその内部に生成された炭化物から炭を製造することもできる。


本発明で使用する有機性燃料としては例えば森林伐採木材、間伐材、街路樹・公園樹木の剪定廃材、建築廃木材などのチップ又はペレット、鋸屑、とうもろこし・サトウキビ・トマトの茎等の食品残渣、籾殻、ヤシガラ(PKS:Palm Kernel Shell)、麦藁、稲藁などの農業廃材、繊維素を含む産業廃材等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、有機性燃料はできるだけ含水率が低いものが好ましく、例えば含水率50%以下、更には15%以下が好ましい。含水率が15%以下であれば有機性燃料を熱分解した際に発生する乾留ガスの燃焼熱量が大きくなり、より高温のガスを得られる。
ボイラーの構造を示す図 燃焼装置の構造を示す図
本発明のボイラーの実施の形態について説明する。
図1に示すように、ボイラー1はガス化炉10、ガス燃焼炉20、熱交換器30及び排気ダクト40から概略構成される。
ガス化炉10は、有機性燃料が投入口11から投入され、内部に貯留された有機性燃料を熱分解することで炭化物と乾留ガスを得るために設けられる。
具体的には、ガス化炉10内に有機性燃料を一種類又は複数種類投入しておき、ダンパ50で吸気口12からの空気流入量を調節しながら加熱し、熱分解することで炭化物を得ると共に、CO、H2、CH4等を含む乾留ガスを発生させる。
有機性燃料はこの熱分解工程の開始前に作業者がある程度まとまった量をガス化炉10内に投入してもよいし、熱分解工程進行中の適当なタイミングで少量ずつ投入してもよい。
そして、所定時間が経過してガス化炉10から乾留ガスがほとんど発生しなくなった時点で熱分解工程が終了する。得られた炭化物は取り出さずにそのままガス化炉10内に貯留しておき、後に完全燃焼させる(詳細は後述する)。
なお、ガス化炉10内でごく僅かに発生したタール等はガス化炉10の下部に設けたドレン(図示略)で回収・廃棄する。
ガス燃焼炉20は、ガス化炉10で発生した乾留ガスを二次燃焼するために設けられるものであり、二次燃焼用パイロットバーナーとしての機能と乾留ガスを吸引する機能とを有している。
具体的には、予め投入口21から有機性燃料をガス燃焼炉20内に投入しておき、熱分解工程の開始に合わせて当該有機性燃料を燃焼させる。有機性燃料の燃焼により生じる炎が乾留ガスに対するパイロットバーナーとして機能し、これによりガス燃焼炉20内で二次燃焼工程が開始される。なお、ガス燃焼炉20には吸気口22及びダンパ51が設けられており、当該吸気口22からダンパ51で空気流入量を調節しながら二次燃焼を行う。
ガス燃焼炉20で使用する有機性燃料はガス化炉10内で使用するものと同一種類でも異なる種類でもよい。
二次燃焼工程により乾留ガスに含まれるCO等の揮発成分は完全燃焼され、清浄化された状態で高温のガスとして熱交換器30に至る。
熱交換器30ではガスの熱の一部が水や空気との熱交換の用に供された後、排気ダクト40から大気中に排出される。なお、ガスの熱で暖めた水(お湯)を貯水槽(図示略)に貯めておいてもよい。
本発明ではこの際に生じるドラフトを利用してガス燃焼炉20内を負圧状態にし、これを利用してガス化炉10で発生した乾留ガスをガス燃焼炉20内に吸引する仕組みになっている。
二次燃焼工程は上記熱分解工程の終了とほぼ同じタイミングで終了し、次に炭化物燃焼工程が開始される。
具体的には、上述した通りガス化炉10内には熱分解工程で得られた炭化物が貯留されている。ここで、ガス化炉10内へは吸気口12を介して僅かに空気が供給されているため、熱分解工程終了後の炭化物はいわゆる熾火の状態で燃焼し続けている。
そこで、炭化物燃焼工程では、必要に応じて吸気口12からの空気の供給流入量をダンパ50で調節しながら炭化物を時間をかけて完全燃焼させて、熱交換器30に高温のガスを供給し続ける。
このように、炭化物燃焼行程の間、ガス化炉10内はその内部で炭化物を燃焼し続けることで、熱交換器30に対して高温のガスを供給し続ける高温ガス供給源としての機能を持つことになる。
炭化物燃焼工程に掛かる時間の調節は、ガス化炉10内の炭化物の量(有機性燃料の投入量)を調節したり、吸気口12又は22の開閉度をダンパ50又は51で調節することで対応できる。例えば炭化物燃焼工程を夜間継続して行うことができるように調節すればボイラー1の夜間無人運転が可能となる。
次に、本発明の燃焼装置2の実施の形態について説明するが、上述したボイラー1と同様の構成となる箇所については同一の符号を付してその説明を省略する。
図2に示すように、燃焼装置2は熱交換器30を備えておらず、高温のガスが排気ダクト40を介して大気に排出される構造を備えている。
そこで、例えば高温のガスに対してダンパ53で吸気口52からの空気流入量を調節して混ぜることで適温に調節した上で粉塵除去用のフィルター(図示略)を介して排気ダクト40から適温のガスを排出すれば、燃焼装置2を一般家庭やハウス栽培(ビニール栽培)用の暖房装置として使用することができる。
また、二次燃焼工程終了後にダンパ50、51及び53を閉じ、ガス化炉10内の炭化物を除熱させれば炭を製造することもできる。
本発明は、電力を使用せず且つ有害物質を大気中にほとんど排出せずに長時間安全に運転できる燃焼装置及びボイラーに関するものであり、産業上の利用可能性を有する。
1 ボイラー
2 燃焼装置
10 ガス化炉
11 投入口
12 吸気口
20 ガス燃焼炉
21 投入口
22 吸気口
30 熱交換器
40 排気ダクト
50 ダンパ
51 ダンパ
52 吸気口
53 ダンパ

Claims (4)

  1. 有機性燃料を熱分解して炭化物と乾留ガスを発生させるガス化炉と、前記乾留ガスを二次燃焼させるガス燃焼炉と、排気ダクトとを備えており、
    前記ガス燃焼炉が、その内部で有機性燃料を燃焼することによる二次燃焼用パイロットバーナーとしての機能と、二次燃焼で発生したガスのドラフトによりその内部を負圧にすることで前記乾留ガスを吸引する機能とを有しており、
    前記ガス化炉が、前記二次燃焼の終了後にその内部に生成された前記炭化物を燃焼し続けることで高温のガスを供給し続ける高温ガス供給源としての機能と、前記二次燃焼の終了後にその内部への空気の導入を遮断しながら除熱することでその内部に生成された前記炭化物から炭を製造する機能とを備えることを特徴とする燃焼装置。
  2. 前記有機性燃料が木材、ペレット、チップ、籾殻及びヤシガラのうち少なくとも一つを含む有機性廃棄物であることを特徴とする請求項1記載の燃焼装置。
  3. 有機性燃料を熱分解して炭化物と乾留ガスを発生させるガス化炉と、前記乾留ガスを二次燃焼させるガス燃焼炉と、熱交換器と、排気ダクトとを備えており、
    前記ガス燃焼炉が、その内部で有機性燃料を燃焼することによる二次燃焼用パイロットバーナーとしての機能と、二次燃焼で発生したガスのドラフトによりその内部を負圧にすることで前記乾留ガスを吸引する機能とを有しており、
    前記ガス化炉が、前記二次燃焼の終了後にその内部に生成された前記炭化物を燃焼し続けることで前記熱交換器に高温のガスを供給し続ける高温ガス供給源としての機能と、前記二次燃焼の終了後にその内部への空気の導入を遮断しながら除熱することでその内部に生成された前記炭化物から炭を製造する機能とを備えることを特徴とするボイラー。
  4. 前記有機性燃料が木材、ペレット、チップ、籾殻及びヤシガラのうち少なくとも一つを含む有機性廃棄物であることを特徴とする請求項3記載のボイラー。
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