JP5834318B2 - 繊維補強ゴム部材 - Google Patents
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大型の構造物に対応する場合には、長尺の繊維補強ゴム部材が必要とされ、例えば未加硫の押出ゴム部材にゴムを被覆した一定幅の平織りあるいはスダレ織りの補強繊維層を貼り付けて加硫することが行われている。
また、特許文献1に開示されたタイヤの構成材料となるゴム状弾性シート材料の製造方法では、長尺の繊維補強ゴム部材を製造しようとすると、成形用ドラムを大径かつ長尺にする必要があり、製造設備が大型化するなど簡単に対応することができないという問題がある。
さらに、特許文献2に開示されたゴム製筒体の製造方法では、筒状体への適用は簡単にできるものの、長尺のゴム部材にそのまま適用するとゴム部材の表裏両面を補強することになるなど、簡単に適用することができないという問題がある。
また、この出願での「加硫」とは、通常の加温による加硫、例えば缶加硫のほか、加硫剤と加硫促進剤により常温で加硫する自然加硫を含むものである。
また、前記平板状のゴム基板は、補強用短繊維が配合されているので、ゴム基板自体を短繊維で補強することで、繊維補強ゴム部材の耐圧強度を一層高めることが可能となる。
この発明の繊維補強ゴム部材10は、図1に示すように、平板状のゴム基板11と、このゴム基板11の長手方向と角度をなして単条コード12を複数本両側端部11aで折り返して交差する2方向に埋設された補強コード層13とからなり、ゴム基板11に補強コード層13を埋設して加硫、例えば缶加硫されて構成されるものであり、例えば図1(b)に横断面形状を示すように、平板状のゴム基板11の幅方向に湾曲した伸縮部14を一ないし複数箇所設けた可撓性継手15などの構成材料として利用されるもので、交差する2方向の補強コード層13で強度向上を確保できるとともに、バイアス補強により可撓性の確保もできるものとなる。
また、未加硫や半加硫のゴム基板の加硫は、通常の加温する加硫、例えば缶加硫を行う場合に限らず、加硫剤と加硫促進剤を入れることにより常温で行う自然加硫も含むものである。
なお、加硫方法の選択や温度設定などの加硫条件は、材料組成や製品として必要な強度などで適宜決定すれば良く、特に、管継手、例えば可撓性継手など、強度を必要とされる場合には、缶加硫を用いることが望ましい。
そして、この平板状の未加硫または半加硫のゴム基板11上に補強コード層13が埋設される。この補強コード層13は、1本のコードである単条コード12を一定ピッチで複数配列し、配列された単条コード12を未加硫または半加硫のゴム基板11の長手方向に対して角度をなして未加硫または半加硫のゴム基板11の両側端部11a,11aで折り返すことで交差する2方向に埋設されて構成され、いわゆるバイアス状態で表層に埋設されて補強されている。
補強コード層13を構成する単条コード12としては、例えばナイロンコード、ポリエステルコード、スチールコード、アラミッドコード、ビニロンコード、カーボンコード、その他各種材料の繊維によるコードなどが用いられる。
そして、繊維補強ゴム部材10の製造に際しては、図7に示すように、単条コード12が一定ピッチで複数配列された案内ノズル16を介して、一定速度で長手方向に移動される平板状の未加硫または半加硫のゴム基板11上に繰り出される。
そして、配列された単条コード12を図示しない圧着ロールによって表層近くに押し付けることで埋設(内包)したり、図示しない形状形成ロールによって未加硫または半加硫のゴム基板11への形状形成、例えば可撓性継手15の湾曲した伸縮部14,14などの形成と同時にその表層近くに配列された単条コード12を押し付けるようにして埋設(内包)された状態とする。
これにより、繊維補強ゴム部材10の平板の側方端面では補強コード層13の単条コード12が折り返して連続することで、単条コード12が側方端面に露出しない状態で長尺とすることができる。
また、平板状の未加硫または半加硫のゴム基板に補強コード層13を埋設し、補強コードの埋設後あるいは埋設と同時に形状成形することで、伸縮部14となる湾曲部などがあってもしわなどの発生を防止して補強コード層13を形成することができる。
さらに、交差する2方向の補強コード層13で補強強度を確保できるとともに、バイアス補強により可撓性の確保もでき、この繊維補強ゴム部材10を用いることで、伸縮部14,14を備える可撓性継手15などを効率的に製造することが可能となる。
また、この繊維補強ゴム部材10によれば、図2に示すように、繊維補強ゴム部材10の両側端部11aにボルト穴17を形成した場合に、交差する補強コード層13がバイアス状態で埋設されている部分にボルト穴17が形成されることになり、補強コード層13の単条コード12がボルト穴17部分で切断されても折り返して連続する状態で配向されているので、従来例のように側端部11aで抜け易くなることがなく、ボルト穴17の周囲の補強強度を確保することができる。
繊維補強ゴム部材10の補強コード層13を構成する単条コード12として、未加硫ゴム、接着剤、ゴム糊のいずれかで、もしくは複合したものを用いることが好ましく、その粘着力などで一層確実にゴム基板11の表層に貼り付けるように配列して埋設することができ、補強強度を向上することができる。特に、未加硫ゴムを用いて単条コード11を案内ノズル16を介して供給する場合に、図3に示すように、コードトッピング用ダイス18を用い、ダイス18内に張力を与えた状態で単条コード12を通過させ、その間に押出機19から未加硫ゴム20を押し出して被覆して送り出すようにすることで、未加硫または半加硫のゴム基板11との粘着力によって連続的かつ滑らかに交差する2方向に配向することができ、両側端部11a,11aでの折り返しもスムーズに行うことができる。
また、このような単条コード12を未加硫ゴム20などで被覆した補強コード層13を用いる場合に、未加硫または半加硫のゴム基板11を加温した状態とすることで、一層粘着力を高めることができ、確実に補強コード層13を配列することができる。
未加硫または半加硫のゴム基板11の長手方向に沿うように補強短繊維22を配向する繊維補強ゴム部材10Aの場合には、例えば押出成形の際に押出機にゴム材料とともに混合してダイスから押し出すことなどで対応でき、未加硫または半加硫のゴム基板の幅方向に補強短繊維を配向する繊維補強ゴム部材10Bの場合には、例えばゴム材料とともに混合した短繊維を単純な長方形の小さなダイスから押出してリボン状とし、リボン状のものを押出方向と略直交するように扇形ないし直線状に往復させることで長尺な平板状とすることで対応することができる。
このようなゴム基板11自体を短繊維22で補強することで、繊維補強ゴム部材10A,10Bの耐圧強度を一層高めることが可能となるとともに、強度と可撓性に方向性を付与することもできる。
このような可撓性継手15では、補強コード層13の両側端部11a,11aの折返し部が平板状の未加硫または半加硫のゴム基板11上に交差して重なることで、必然的に補強コード層13自体が厚くなることを利用し、押出成形の成形ダイスにより未加硫または半加硫のゴム基板11の両端部11a、11aをそれぞれ厚肉にすることを組み合わせて構成することで、可撓性継手15の取付固定部23,23として抜け難い構造とすることが容易となり、可撓性継手15の機能を向上することができる。
また、短繊維21を配向した繊維補強ゴム部材10A,10Bを用いた可撓性継手15では、短繊維21を長手方向に配向し、長手直角方向を主眼にして補強コード層13のバイア角度を直交方向に傾けた繊維補強ゴム部材10Aや、逆に短繊維22を長手直交方向に配向し、補強コード層13のバイアス角度を長手方向に傾けた繊維補強ゴム部材10Bを用いることで、効率的に各可撓性継手(止水材)15を補強することができる。すなわち、短繊維22によるゴム基板11の補強と補強コード層13による補強とを組み合わせることで、補強強度に方向性を持たせて補強できるとともに、可撓性についても方向性を付与することができ、可撓性継手(止水材)15の使用状態に対応した性能とすることができることになる。
この繊維補強ゴム部材の製造方法は、連続的に押し出される平板状の未加硫または半加硫のゴム基板11に、単条コード12を複数本押し出し方向と角度をなして往復移動させ、両側端部で折り返しながら交差する2方向に補強コード層を埋設した後、加硫、例えば缶加硫するようにしている。
このような補強用の単条コード12を供給する案内ノズル16は、未加硫または半加硫のゴム基板11の長手方向の移動に対して複数本を長手方向に直交するように配列したり(図7(a)参照)、長手方向と平行に配列する(図7(b)参照)ほか、これらの間の角度に配列した状態(図7(c)参照)で往復移動するようにすれば良く、案内ノズル16の配列方向は設置スペースなどを考慮して適宜決定すれば良い。
こうして圧着ロールや形状成形ロールで補強コード層を平板状の未加硫または半加硫のゴム基板に埋設した状態として形状成形することで、湾曲部に対しても補強コード層をしわなどの発生を防止して埋設することができ、均一な補強コード層を形成することができる。
また、案内ノズルから押し出して供給される単条コードに対して未加硫ゴムや接着剤あるいはゴム糊のいずれかもしくは複合して被覆しておくことで、未加硫または半加硫のゴム基板に確実に配向することができ、均一に補強することが容易となる。このとき、未加硫または半加硫のゴム基板を加温状態とすることで、その表面の粘着性を高めることができ、表面への埋設を一層確実に行うことができる。
さらに、未加硫または半加硫のゴム基板上に補強コード層を交差する2方向に配列して埋設状態とした後、押出成形ダイスから未加硫ゴムを押し出して全面を被覆することで、補強コード層をゴム層内に確実に埋設した状態とすることができ、次工程での加硫、例えば缶加硫により確実に一体化することができる。
さらに、この繊維補強ゴム部材の製造方法によれば、補強コード層の全面を、未加硫ゴムで被覆した後、加硫、例えば缶加硫するようにしたので、確実に補強コード層をゴム層内に埋設して一体化することができ、一層確実に補強強度を確保することができる。
また、この繊維補強ゴム部材の製造方法によれば、平板状の未加硫または半加硫のゴム基板に補強用短繊維を長手方向または長手直交方向に配向させて連続的に押し出すようにしたので、ゴム基板自体を補強することができるとともに、その配向方向によって繊維補強ゴム部材の補強強度に方向性を付与することができる。
さらに、この繊維補強ゴム部材の製造方法によれば、平板状の未加硫または半加硫のゴム基板の押し出し速度に対し、単条のコードを左右に往復移動させる案内ノズルの移動速度を制御することで、補強コード層の配向方向や密度などを簡単に制御することができ、必要な補強強度や可撓性を調整することができる。
また、上記実施の形態では、可撓性継手について加硫、例えば缶加硫を行う場合を例に説明したが、缶加硫に限らず、自然加硫を用いることもでき、加硫条件も材料組成や製品として必要な強度などで適宜決定すれば良い。
10A 繊維補強ゴム部材(長手方向短繊維補強)
10B 繊維補強ゴム部材(長手直交方向短繊維補強)
11 ゴム基板
11a 側端部
12 単条コード
13 補強コード層
14 伸縮部(湾曲部、膨出部)
15 可撓性継手
16 案内ノズル
17 ボルト穴
18 コード用トッピングダイス
19 押出機
20 単条コード用の未加硫ゴム被覆
21 補強コード層用の未加硫ゴム被覆
22 補強短繊維
23 取付固定部
24 成形ダイス
Claims (6)
- 平板状のゴム基板と、このゴム基板の長手方向と角度をなして単条コードが複数本両側端部で折り返されて交差する2方向に埋設された補強コード層と、からなり、
前記平板状のゴム基板は、補強用短繊維が配合され、加硫されて構成されてなることを特徴とする繊維補強ゴム部材。 - 前記単条コードは、未加硫ゴム、接着剤、ゴム糊のいずれかもしくは複合して被覆されて構成されてなることを特徴とする請求項1記載の繊維補強ゴム部材。
- 前記補強コード層は、未加硫ゴムで被覆されて構成されてなることを特徴とする請求項1記載の繊維補強ゴム部材。
- 前記平板状のゴム基板には、幅方向に少なくとも1箇所の膨出部が形成されて構成されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の繊維補強ゴム部材。
- 前記補強コード層の両側端部の折返し部の前記平板状のゴム基板が厚肉に構成されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の繊維補強ゴム部材。
- 前記繊維補強ゴム部材の両側端部にボルト穴が形成されて構成されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の繊維補強ゴム部材。
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