以下、本発明の一実施の形態に係る光学式変位計として、光切断方式の光学式変位計について図面を参照しながら説明する。
(1)光学式変位計の構成
図1は、本発明の一実施の形態に係る光学式変位計の構成を示すブロック図である。図1に示すように、光学式変位計1は、複数(本例では2つ)のセンサヘッド100A,100B、本体部200、表示部300および入力部400を備える。各センサヘッド100A,100Bは、本体部200に対して着脱可能に構成され、投光部101および受光部102を含む。図1では、センサヘッド100Bの投光部101および受光部102の図示を省略する。本体部200は、複数のセンサヘッド100A,100Bが接続可能に構成されるが、本体部200に1つのセンサヘッドが接続されてもよい。また、本体部200とセンサヘッドとは一体であってもよい。
本体部200は、投光制御部201、受光制御部202、波形処理部203、プロファイル生成部204、計測処理部205、表示処理部206、入力設定部207および記憶部210を含む。なお、投光制御部201、受光制御部202、波形処理部203、プロファイル生成部204または計測処理部205等は、センサヘッドの内部に設けられてもよい。
投光部101は、一方向に広がる帯状の光を測定対象物(以下、ワークと呼ぶ。)Wに照射可能に構成される。投光部101は、一方向に広がる帯状の光に代えて、一方向に走査される光をワークWに照射可能に構成されてもよい。
受光部102は、受光素子121および受光レンズ122を含む。ワークWからの反射光が、受光レンズ122を通して受光素子121に入射する。受光素子121は例えばCMOS(相補型金属酸化膜半導体)センサを含み、2次元に配置された複数の画素を有する。受光素子121の受光量分布は、デジタルの波形データとして出力される。投光制御部201は、投光部101の光の照射タイミングおよび光の強度等を制御し、受光制御部202は、受光素子121の受光タイミング等を制御する。
波形処理部203は、得られた波形データからピーク位置を検出する。
プロファイル生成部204は、波形処理部203により検出されたピーク位置に基づいて、ワークWのプロファイル形状を示すプロファイルデータを生成する。上記のように、投光部101は測定対象物に一方向に広がる帯状の光または一方向に走査される光を照射し、受光部102の受光素子121は2次元に配列された複数の画素を有するので、プロファイル生成部204はワークWのプロファイル形状を示すプロファイルデータを効率よく生成することができる。
計測処理部205は、プロファイル生成部204により生成されたプロファイルデータに対する計測処理を行う。ここで、計測処理とは、プロファイルデータに基づいてワークWの表面の任意の部分の寸法(変位)を算出する処理である。
表示処理部206は、プロファイルデータに基づくワークWの形状および計測処理により算出された寸法(変位)を示す画像データを生成し、生成された画像データを表示部300に与える。表示部300は、例えば液晶ディスプレイパネルまたは有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルにより構成される。表示部300は、本体部200の表示処理部206により与えられる画像データに基づいてワークWのプロファイル形状および計測処理部205による計測結果を表示する。
入力部400は、キーボードおよびポインティングデバイスを含み、使用者により操作可能に構成される。ポインティングデバイスとしては、マウスまたはジョイスティック等が用いられる。また、入力部400として専用のコンソールを用いてもよい。使用者により入力部400が操作されることにより、入力部400から本体部200の入力設定部207に指令信号が与えられる。
入力設定部207は、入力部400により与えられる指令信号に基づいて、その指令信号を波形処理部203、プロファイル生成部204および計測処理部205に与える。これにより、波形処理部203、プロファイル生成部204および計測処理部205は、それぞれ入力設定部207から与えられる指令信号に基づく処理を実行する。
本体部200の記憶部210には、光学式変位計1の動作に関する種々の情報が記憶される。記憶部210に記憶される種々の情報は、波形処理部203、プロファイル生成部204および計測処理部205によりそれぞれ実行される上記の処理に用いられる。
本体部200において、波形処理部203により得られる波形データは、図示しないインターフェース部を通して外部装置に出力される。
(2)動作の概要
光学式変位計1の動作の概要について説明する。本例では、図1のセンサヘッド100A,100Bのうち一方のセンサヘッド100Aのみを用いる場合の光学式変位計1の動作を説明する。
図2は、センサヘッド100AおよびワークWの外観斜視図である。図3および図4は、ワークWの表面における光の照射位置と受光素子121における光の入射位置との関係を示す図である。図2〜図4においては、水平面内で互いに直交する2方向をX方向およびY方向と定義し、それぞれ矢印X,Yで示す。また、鉛直方向をZ方向と定義し、矢印Zで示す。さらに、図3および図4においては、受光素子121の受光面上で互いに直交する2方向をA1方向およびA2方向と定義し、それぞれ矢印A1,A2で示す。ここで、受光面とは、受光素子121の複数の画素により形成される面である。
図2の例では、ワークWは、部材w1,w2からなり、試料台S上に配置されている。部材w1は、Y方向において断面略L字形状を有し、凸部M1および板状部M2からなる。凸部M1は、板状部M2の上面から上方へ突出するように形成される。部材w2は、略直方体形状を有する。部材w2は、部材w1の板状部M2の上面に載置される。部材w1の凸部M1の一側面と部材w2の一側面とが対向している。センサヘッド100Aは、X方向に沿った帯状の光をワークWの表面に照射する。以下、帯状の光が照射されるワークWの表面の線状の領域を照射領域T1と呼ぶ。
図3に示すように、照射領域T1で反射される光が、受光レンズ122を通して受光素子121に入射する。この場合、照射領域T1における光の反射位置がZ方向に異なると、受光素子121への反射光の入射位置がA2方向に異なる。また、図4に示すように、照射領域T1における光の反射位置がX方向に異なると、受光素子121への反射光の入射位置がA1方向に異なる。
これにより、受光素子121のA2方向における光の入射位置が、照射領域T1のZ方向における位置(高さ)を表し、受光素子121のA1方向における光の入射位置が、照射領域T1におけるX方向の位置を表す。
図5は、受光素子121の受光面における受光量分布を示す図である。図5の受光量分布を示すデータを受光画像データと呼ぶ。表示部300は、受光画像データに基づく受光画像を表示可能に構成される。受光素子121の複数の画素は、A1方向およびA2方向に沿うように2次元に配置される。図2の照射領域T1で反射された光は、図5に点線で示される受光領域R1に入射する。それにより、受光領域R1の受光量が大きくなる。
図5の受光量分布が、A2方向に沿った画素の列(以下、画素列と呼ぶ。)SSごとにデジタルの受光信号として出力される。出力された受光信号に基づいて、画素列SSごとの波形データが生成される。
図6は、図5の1つの画素列SSの波形データを示す図である。図6において、横軸はA2方向の位置を示し、縦軸は受光量を示す。図6に示すように、波形データには、図5の受光領域R1に対応するピークP1が現れる。ピークP1の位置(以下、ピーク位置と呼ぶ。)PPは、照射領域T1におけるワークWの表面(反射面)の高さを示す。
複数の画素列SSに対応する複数の波形データの各々において1つのピーク位置PPが図1の波形処理部203により検出される。複数のピーク位置PPに基づいて、ワークWのプロファイル形状(照射領域T1の形状)を示すプロファイルデータが図1のプロファイル生成部204により生成される。
図7は、プロファイルデータを示す図である。図7の横軸はX方向における位置(以下、X座標の値と呼ぶ。)を示し、図7の縦軸はZ方向における位置(以下、Z座標の値と呼ぶ。)を示す。図7に実線で示すように、プロファイルデータは、複数のピークP1と、複数のピークP1の補間により得られる複数のデータとにより構成される。各プロファイルデータは、X方向における位置(X座標の値)およびZ方向における位置(Z座標の値)を表している。このプロファイルデータは、ワークWのプロファイル形状を表す。
(3)計測部分設定処理
例えば、同一種類の複数のワークWについて、共通部分の寸法(変位)を計測するための設定処理(計測部分設定処理)が実行される。使用者が図1の入力部400を操作することにより、計測部分設定処理を指令する指令信号が入力部400から入力設定部207に与えられる。
図1の入力設定部207は、入力部400から計測部分設定処理の指令信号を受けると、その指令信号をプロファイル生成部204に与える。この場合、センサヘッド100AからワークWに光が照射されることにより生成されるプロファイルデータが、プロファイル生成部204から計測処理部205を通して表示処理部206に与えられる。表示処理部206により、プロファイルデータに基づく画像データが生成され、生成された画像データが表示部300に与えられる。表示部300は、与えられた画像データに基づいてプロファイル形状を表示する。
図8は、プロファイルデータに基づく表示部300の一表示例である。図8の例では、表示部300の中央に図2のワークWのプロファイル形状PRが示される。表示部300の画面上には、上記のX方向およびZ方向にそれぞれ対応するx方向およびz方向が定義されている。
この状態で、使用者は、表示部300の画面上でワークWにおける所望の部分の計測方法を指定することができる。計測方法の指定は、例えば次のように行われる。本体部200の記憶部210には予め複数種類の計測モードに関する情報が記憶されている。複数種類の計測モードとしては、高さ計測モード、位置計測モード、段差計測モード、幅計測モード、断面積計測モードおよび角度計測モード等がある。使用者は、入力部400を操作することにより複数種類の計測モードのうち一の計測モードを指定する。
計測モードが指定されると、計測モードに対応する計測部分設定処理が行われる。例えば、幅計測モードが指定された場合には、使用者による入力部400の操作に基づいて、表示部300に表示されたプロファイル形状PRにワークWの表面の計測部分を設定するための2つの計測枠が表示される。
このように、入力部400は、異なる方向におけるワークWの変位を計測するための複数種類の計測枠を、設定された複数の補正枠のいずれかにそれぞれ対応付けるように設定可能である。これにより、幅または高さ等の異なる方向におけるワークWの変位を容易に計測することができる。
図9は、幅計測モードが指定された場合の表示部300の一表示例である。図9に示すように、幅計測モードが指定された場合には表示部300に2つの計測枠D1,D2が表示される。使用者は、入力部400を操作することにより各計測枠D1,D2の大きさ(幅および高さ)を調整することができる。また、使用者は、入力部400を操作することにより表示部300の画面上で計測枠D1,D2を移動させることができる。
図9の例では、使用者が入力部400を操作することにより、表示部300の画面上で図2の部材w1の凸部M1の一側面を表す線分L1の一部を含むように矩形の計測枠D1が設定される。また、使用者が入力部400を操作することにより、表示部300の画面上で図2の部材w2の一側面を表す線分L2の一部を含むように矩形の計測枠D2が設定される。この場合、ワークWの部材w1,w2の互いに対向する側面間の間隔がワークWの計測部分として設定される。
上記のように計測部分設定処理が行われることにより、例えば計測枠D1をZ方向に分割する線分とプロファイル形状PRとの交点におけるX座標および計測枠D2をZ方向に分割する線分とプロファイル形状PRとの交点におけるX座標がそれぞれ求められ、それらのX座標の差分値が計測処理部205により算出される。算出された差分値に基づいて部材w1,w2の対向する側面間の距離h1(図2参照)が算出される。使用者は、各計測枠D1,D2をZ方向に分割する線分の位置を任意に設定することが可能である。なお、図9の例においては、計測枠D1,D2はX方向およびZ方向に境界を有する矩形形状であるが、計測枠D1,D2はZ方向に境界を有さない棒状の形状であってもよい。
(4)位置補正設定処理
計測部分設定処理の後、同一種類の複数のワークWについて共通部分の寸法(変位)を計測する場合、各ワークWの計測時に部材w1,w2の相対的な位置関係が常に一定であるとは限らない。一のワークWを計測するときの部材w1,w2の位置関係と他のワークWを計測するときの部材w1,w2の位置関係との間にずれが発生する場合がある。
図10は、複数のワークWの計測時に部材w1,w2の相対的な位置関係が変化する場合の課題を説明するための図である。以下の説明では、計測部分設定処理時の部材w1,w2の位置を基準位置と呼ぶ。図10では、図9に示す計測部分設定処理が行われた後、部材w1,w2が基準位置に配置されたときに表示部300に表示されるワークWのプロファイル形状PRが一点鎖線で示される。
この場合、上記のように、計測枠D1内の線分L1に対応するプロファイルデータおよび計測枠D2内の線分L2に対応するプロファイルデータに基づいて図2の部材w1,w2の対向する側面間の距離h1が計測される。
その後、他のワークWの部材w1,w2の位置が基準位置に対してX方向に沿って互いに逆方向に変化した状態で配置されることを考える。この状態で表示部300に表示されるワークWのプロファイル形状PR1,PR2が図10に太い実線で示される。
この場合、計測枠D1内には図2の部材w1の凸部M1の一側面を表す線分L1が含まれない。また、計測枠D2内には図2の部材w2の一側面を表す線分L2が含まれない。そのため、計測枠D1内の線分L1および計測枠D2内の線分L2に対応するプロファイルデータのX座標の値の平均値が計測処理部205により算出されない。したがって、図2の部材w1,w2の対向する側面間の距離h1は計測されない。
そこで、本実施の形態では、複数の部材の相対的な位置関係の変化によらず所望の部分の寸法を正確に計測することができるように、ワークWの計測ごとに計測部分設定処理時に設定された各計測枠の位置を補正するための位置補正設定処理が実行される。
図1の本体部200の記憶部210には、予め複数種類の補正モードに関する情報が記憶されている。複数種類の補正モードとしては、X補正モード、Z補正モード、ZX補正モード、XZ補正モード、θ補正モードおよびXθ補正モード等がある。使用者は、入力部400を操作することにより複数種類の補正モードのうち一の補正モードを指定する。補正モードが指定されると、補正モードに対応する位置補正設定処理が行われる。
X補正モードにおいては、各計測枠のX方向の位置が補正される。Z補正モードにおいては、各計測枠のZ方向の位置が補正される。ZX補正モードにおいては、各計測枠のZ方向の位置が補正された後、各計測枠のX方向の位置が補正される。XZ補正モードにおいては、各計測枠のX方向の位置が補正された後、各計測枠のZ方向の位置が補正される。θ補正モードにおいては、各計測枠の回転角度が補正される。Xθ補正モードにおいては、各計測枠のX方向の位置が補正された後、各計測枠の回転角度が補正される。
図11は、位置補正設定処理を示すフローチャートである。図12〜図14は、位置補正設定処理実行中の表示部300の表示例を示す図である。図1の計測処理部205は、記憶部210に記憶される位置補正設定処理プログラムに従って位置補正設定処理を実行する。以下、図11〜図14を用いて位置補正設定処理を説明する。
使用者は、計測枠の位置を補正するための基準形状となるプロファイル形状をマスタプロファイル形状として設定することを指示することができる。具体的には、使用者は、表示部300に表示されるプロファイル形状を視認しつつ部材w1,w2が基準位置に配置されるようにワークWおよびセンサヘッド100Aの位置決めを行う。この状態で、使用者は、図1の入力部400を操作することにより、マスタプロファイル形状の設定を指示することができる。これにより、使用者は、一の測定対象物のプロファイル形状をマスタプロファイル形状として容易に設定することができる。
この場合、計測処理部205は、生成されたプロファイルデータをマスタプロファイルデータとして図1の記憶部210に記憶させることにより、マスタプロファイル形状を設定する(ステップS1)。設定されたマスタプロファイル形状が表示部300に示される。図12の例では、使用者により選択されたマスタプロファイル形状MPが点線で示されている。
なお、予め複数のワークWのプロファイルデータが記憶部210に記憶されている場合、マスタプロファイル形状は使用者により選択可能であってもよい。この場合、使用者は、入力部400を操作することにより、記憶部210に記憶された複数のワークWのプロファイルデータから所望のプロファイルデータをマスタプロファイルデータとして選択することができる。これにより、使用者は、複数の測定対象物の複数のプロファイル形状のうち一のプロファイル形状をマスタプロファイル形状として容易に選択することができる。
次に、計測処理部205は、使用者により指定された補正モードを設定する(ステップS2)。本例においては、X補正モードが使用者により指定される。続いて、計測処理部205は、図13に示すように、表示部300に表示されたマスタプロファイル形状MPに補正枠Cx1を設定する(ステップS3)。
使用者は、入力部400を操作して矩形状の補正枠Cx1の大きさ(幅および高さ)を調整することができる。また、使用者は、入力部400を操作して表示部300の画面上で補正枠Cx1を移動させることができる。本例においては、補正枠Cx1は、部材w1に対応するマスタプロファイル形状MPのx方向に直交する線分Lx1の一部を含むように設定される。
その後、計測処理部205は、補正枠Cx1内の線分Lx1に対応するマスタプロファイルデータの代表値を設定する(ステップS4)。X補正モードにおけるマスタプロファイルデータの代表値は、例えば補正枠Cx1に含まれるマスタプロファイルデータのX座標の値の平均値を含む。マスタプロファイルデータの代表値の設定は、マスタプロファイルデータの代表値を算出または選択し、算出または選択された代表値を記憶部210に記憶することにより行われる。
次に、計測処理部205は、使用者により補正枠の追加が指示されたか否かを判定する(ステップS5)。補正枠の追加が指示された場合、計測処理部205はステップS2の処理に戻る。ステップS5で補正枠の追加が指示されない場合、計測処理部205は位置補正設定処理を終了する。本例においては、ステップS5で補正枠の追加が指示される。これにより、計測処理部205は、ステップS2〜S4の処理を繰り返す。
計測処理部205は、使用者により指定された補正モードを設定する(ステップS2)。本例においては、X補正モードが使用者により指定される。次に、計測処理部205は、図14に示すように、表示部300に表示されたマスタプロファイル形状MPに補正枠Cx2を表示する(ステップS3)。本例においては、補正枠Cx2は、部材w2に対応するマスタプロファイル形状MPのx方向に直交する線分Lx2の一部を含むように設定される。
続いて、計測処理部205は、補正枠Cx2内の線分Lx2に対応するマスタプロファイル形状MPのマスタプロファイルデータの代表値を設定する(ステップS4)。その後、計測処理部205は、使用者により補正枠の追加が指示されたか否かを判定する(ステップS5)。本例においては、補正枠の追加が指示されない。これにより、計測処理部205は、位置補正設定処理を終了する。
位置補正設定処理が実行された後に、計測部分設定処理が実行される。図15は、計測部分設定処理を示すフローチャートである。図16は、計測部分設定処理実行中の表示部300の表示例を示す図である。
計測処理部205は、使用者により指定された計測モードを設定する(ステップS11)。本例においては、距離h1(図2参照)を計測するために幅計測モードが使用者により指定される。続いて、計測処理部205は、図16に示すように、表示部300に表示されたマスタプロファイル形状MPに2つの計測枠D1,D2を設定する(ステップS12)。使用者は、入力部400を操作して計測枠D1,D2の大きさおよび位置を任意に調整することができる。
本例においては、表示部300のマスタプロファイル形状MPに部材w1の凸部M1の一側面を表す線分L1の一部を含むように矩形の計測枠D1が設定される。また、表示部300のマスタプロファイル形状MPに部材w2の一側面を表す線分L2の一部を含むように矩形の計測枠D2が設定される。これにより、部材w1,w2の対向する側面間の距離h1がワークWの計測部分の寸法として設定される。
その後、計測処理部205は、使用者の指示に基づいて、計測枠D1,D2の各々を補正枠に対応付ける(ステップS13)。本例においては、計測枠D1が図14の補正枠Cx1に対応するように設定され、計測枠D2が図14の補正枠Cx2に対応するように設定される。図17は、補正枠と計測枠との対応関係を示す図である。各計測枠D1,D2と各補正枠Cx1,Cx2との対応関係RELは、図1の記憶部210に記憶される。
次に、計測処理部205は、使用者により計測モードの追加が指示されたか否かを判定する(ステップS14)。計測モードの追加が指示された場合、計測処理部205はステップS11の処理に戻る。ステップS14で計測モードの追加が指示されない場合、計測処理部205は計測部分設定処理を終了する。本例においては、ステップS14で計測モードの追加が指示されない。これにより、計測処理部205は、計測部分設定処理を終了する。
計測部分設定処理が実行された後に、計測処理が実行される。図18は、計測処理を示すフローチャートである。図19は、計測処理実行中の表示部300の表示例を示す図である。
計測処理部205は、i番目(iは自然数)の補正枠内におけるマスタプロファイル形状からのプロファイル形状の部分の位置ずれ量を算出する。変数iの初期値は1である。計測処理部205は、図19の補正枠Cx1内の線分に対応するプロファイルデータの代表値を算出し、プロファイルデータの代表値とマスタプロファイルデータの代表値との差分値を算出する。プロファイルデータの代表値とマスタプロファイルデータとの差分値は、マスタプロファイル形状からのプロファイル形状の部分の位置ずれ量に相当する。
計測処理部205は、i番目の補正枠に対応する計測枠を上記の位置ずれ量だけ移動させることにより計測枠の位置を補正する(ステップS21)。次に、計測処理部205は、変数iの値をi+1に更新する(ステップS22)。続いて、計測処理部205は、i番目の補正枠が設定されているか否かを判定する(ステップS23)。i番目の補正枠が設定されている場合には、計測処理部205はステップS21の処理に戻る。
ステップS23において、i番目の補正枠が設定されていない場合には、計測処理部205は、補正後の計測枠内のプロファイル形状の部分に対応するプロファイルデータを抽出する(ステップS24)。続いて、抽出されたプロファイルデータに基づいて設定された計測モードにおける計測部分の寸法を算出する(ステップS25)。その後、計測処理部205は、計測処理を終了する。
図19の例においては、図2の部材w1,w2の位置が基準位置に対してX方向に沿って互いに逆方向に変化することにより、プロファイル形状PR1,PR2が変化している。すなわち、1番目の補正枠Cx1内のプロファイル形状PR1の部分がマスタプロファイル形状MPの部分から移動している。この場合、補正枠Cx1内で予め設定された代表値が探索されることによりプロファイル形状PR1の部分の移動量が位置ずれ量として算出され、補正枠Cx1に対応する計測枠D1が算出された移動量だけ移動される。
また、2番目の補正枠Cx2が設定されており、2番目の補正枠Cx2内のプロファイル形状PR2の部分もマスタプロファイル形状MPの部分から移動している。この場合、補正枠Cx2内で予め設定された代表値が探索されることによりプロファイル形状PR2の部分の移動量が位置ずれ量として算出され、補正枠Cx2に対応する計測枠D2が算出された移動量だけ移動される。
このようにして、図19に矢印で示すように、マスタプロファイル形状MPに設定された2つの計測枠D1,D2が、点線で示される位置から実線で示される位置にx方向に移動されることにより計測枠D1,D2の位置が補正される。位置補正処理実行後の一方の計測枠D1には、部材w1の凸部M1の一側面を表す線分L1の一部が含まれる。位置補正処理実行後の他方の計測枠D2には、部材w2の一側面を表す線分L2の一部が含まれる。
その後、補正後の計測枠D1,D2内のプロファイル形状PR1,PR2の部分に対応するプロファイルデータが抽出され、抽出されたプロファイルデータに基づいて、設定された計測モードにおける計測部分の寸法が算出される。図19の例では、幅計測モードが設定されているので、移動後の計測枠D1,D2内のプロファイルデータのX座標の値の平均値に基づいて、計測部分の寸法が算出される。その結果、部材w1,w2の対向する側面間の距離h1(図2参照)を算出することができる。
上記のように、図18のステップS21において、計測処理部205は、補正枠内のプロファイル形状の部分を示すプロファイルデータの代表値とその補正枠内のマスタプロファイル形状MPの部分を示すマスタプロファイルデータの代表値とを演算することによりプロファイル形状の位置ずれの量を算出する。この場合、マスタプロファイル形状MPとプロファイル形状との位置ずれの量を効率よく算出することができる。
これに代えて、計測処理部205は、補正枠内でマスタプロファイル形状MPの部分と一致するプロファイル形状の部分を探索すること(パターンマッチング)によりプロファイル形状の位置ずれの量を算出してもよい。この場合、マスタプロファイル形状MPとプロファイル形状との位置ずれの量を精度よく算出することができる。後述する図36のステップS41および図50のステップS65においても同様である。
計測処理部205は、ワークWに複数の計測モードを設定することができる。例えば、上記のステップS11〜S13で幅計測モードにおける計測枠D1,D2が設定された後に、高さ計測モードにおける計測枠を設定することができる。図20は、計測モードが追加された場合の表示部300の一表示例である。図20の例においては、図2の部材w1の凸部M1の上面から図2の部材w2の上面までのZ方向の距離h2をワークWの計測部分として設定する。
上記のステップS11〜S13で幅計測モードにおける計測枠D1,D2が設定された後に、計測処理部205は、計測モードの追加が指示されたか否かを判定する(図15のステップS14)。本例においては、計測モードの追加が指示される。これにより、計測処理部205は、ステップS11〜S13の処理を繰り返す。以下、上記の幅設定モードと異なる部分を説明する。
計測処理部205は、使用者により指定された計測モードを設定する(ステップS11)。本例においては、距離h2(図2参照)を計測するために高さ計測モードが使用者により指定される。続いて、計測処理部205は、図20に示すように、表示部300に表示されたマスタプロファイル形状MPに2つの計測枠D3,D4を設定する(ステップS12)。使用者は、入力部400を操作して計測枠D3,D4の大きさおよび位置を任意に調整することができる。
本例においては、表示部300のマスタプロファイル形状MPに部材w1の凸部M1の上面を表す線分L3の一部を含むように矩形の計測枠D3が設定される。また、表示部300のマスタプロファイル形状MPに部材w2の上面を表す線分L4の一部を含むように矩形の計測枠D4が設定される。これにより、部材w1,w2の上面間の距離h2がワークWの計測部分の寸法として設定される。
その後、計測処理部205は、使用者の指示に基づいて、計測枠D3,D4の各々に対応する補正枠を設定する(ステップS13)。本例においては、計測枠D3が図14の補正枠Cx1に対応するように設定され、計測枠D4が図14の補正枠Cx2に対応するように設定される。これにより、計測枠D1,D3が補正枠Cx1に対応し、計測枠D2,D4が補正枠Cx2に対応する。図21は、補正枠と計測枠との対応関係を示す図である。各計測枠D1〜D4と各補正枠Cx1,Cx2との対応関係RELは、図1の記憶部210に記憶される。
次に、計測処理部205は、使用者により計測モードの追加が指示されたか否かを判定する(ステップS14)。本例においては、ステップS14で計測モードの追加が指示されない。これにより、計測処理部205は、計測部分設定処理を終了する。
上記のように、本実施の形態においては、複数の計測枠が複数の補正枠のいずれかにそれぞれ対応付けるように設定されるが、これに限定されない。複数の計測枠のうち一部の計測枠が複数の補正枠のいずれかに対応付けられかつ他の計測枠が補正枠に対応付けられなくてもよい。この場合、一部の計測枠が対応付けられた補正枠内におけるマスタプロファイル形状MPからのプロファイル形状の位置ずれに基づいて、一部の計測枠の位置が補正される。一方、他の計測枠の位置は補正されない。そのため、ワークWが可動部分と不動部分とを有する場合に、ワークWの可動部分および不動部分の変位を計測することができる。
(5)補正モード
他の補正モードとして、Z補正モード、θ補正モード、ZX補正モード、XZ補正モードおよびXθ補正モードについて説明する。
(5−1)Z補正モード
図22および図23は、表示部300によるZ補正モードの補正枠の一表示例である。Z補正モードが使用者により指定された場合、計測処理部205は、図22に示すように、表示部300に表示されたマスタプロファイル形状MPに補正枠Cz1,Cz2を設定する。本例においては、補正枠Cz1は、部材w1に対応するマスタプロファイル形状MPのz方向に直交する線分Lz1の一部を含むように設定され、補正枠Cz2は、部材w2に対応するマスタプロファイル形状MPのz方向に直交する線分Lz2の一部を含むように設定される。
計測処理部205は、補正枠Cz1内の線分Lz1に対応するマスタプロファイルデータの代表値および補正枠Cz2内の線分Lz2に対応するマスタプロファイルデータの代表値を設定する。Z補正モードにおけるマスタプロファイルデータの代表値は、例えば補正枠Cz1,Cz2に含まれるマスタプロファイルデータのZ座標の値の平均値を含む。
計測部分設定処理においては、図23に示すように、表示部300に表示されたマスタプロファイル形状MPに高さ計測モードの2つの計測枠D3,D4が設定される。本例においては、計測枠D3が補正枠Cz1に対応するように設定され、計測枠D4が補正枠Cz2に対応するように設定されている。
本例では、図2の部材w1と部材w2との間に異物が挟まることにより、部材w2の位置が基準位置に対してZ方向に沿って変化することを考える。この場合、図23に示すように、部材w2に対応するプロファイル形状PR2の位置がz方向に変化する。ここで、補正枠Cz1内で予め設定された代表値が探索されることによりマスタプロファイル形状MPの部分からのプロファイル形状PR1の部分の移動量が位置ずれ量として算出され、補正枠Cz1に対応する計測枠D3が算出された移動量だけ移動される。なお、本例では、部材w1の位置は変化していないので、計測枠D3の移動量は0である。また、補正枠Cz2内で予め設定された代表値が探索されることによりマスタプロファイル形状MPからのプロファイル形状PR2の部分の移動量が位置ずれ量として算出され、補正枠Cz2に対応する計測枠D4が算出された移動量だけ移動される。
このようにして、図23に矢印で示すように、マスタプロファイル形状MPに設定された計測枠D4が、点線で示される位置から実線で示される位置にz方向に移動されることによりワークWの計測部分の位置が補正される。
(5−2)θ補正モード
θ補正モードについて、X補正モードと異なる点を説明する。図24および図25は、表示部300によるθ補正モードの補正枠の一表示例である。θ補正モードが使用者により指定された場合、計測処理部205は、図24に示すように、表示部300に表示されたマスタプロファイル形状MPに補正枠Cθ1,Cθ2を設定する。本例においては、補正枠Cθ1は、部材w1に対応するマスタプロファイル形状MPの線分Lθ1の一部を含むように設定され、補正枠Cθ2は、部材w2に対応するマスタプロファイル形状MPの線分Lθ2の一部を含むように設定される。
計測処理部205は、補正枠Cθ1内の線分Lθ1に対応するマスタプロファイルデータの代表値および補正枠Cθ2内の線分Lθ2に対応するマスタプロファイルデータの代表値を設定する。θ補正モードにおけるマスタプロファイルデータの代表値は、例えば補正枠Cθ1,Cθ2に含まれるマスタプロファイルデータのZ座標の値の平均値および傾きを含む。
計測部分設定処理においては、図25に示すように、表示部300に表示されたマスタプロファイル形状MPに高さ計測モードの2つの計測枠D3,D4が設定される。本例においては、計測枠D3が補正枠Cθ1に対応するように設定され、計測枠D4が補正枠Cθ2に対応するように設定されている。
本例では、図2の部材w1と部材w2との間に異物が挟まることにより、部材w2の位置が基準位置に対して傾くことを考える。この場合、図25に示すように、部材w2に対応するプロファイル形状PR2が傾く。ここで、補正枠Cθ1内で予め設定された代表値が探索されることによりz方向におけるマスタプロファイル形状MPの部分からのプロファイル形状PR1の部分の移動量および補正枠Cθ1内の線分Lθ1の回転角度が位置ずれ量として算出される。補正枠Cθ1に対応する計測枠D3が算出された移動量だけz方向に移動されるとともに、算出された回転角度だけ回転される。なお、本例では、部材w1の位置は変化していないので、計測枠D3の移動量および回転角度は0である。
また、補正枠Cθ2内で予め設定された代表値が探索されることによりz方向におけるマスタプロファイル形状MPの部分からのプロファイル形状PR2の部分の移動量および補正枠Cθ2内の線分Lθ2の回転角度が位置ずれ量として算出される。補正枠Cθ2に対応する計測枠D4が算出された移動量だけz方向に移動されるとともに、算出された回転角度だけ回転される。
このようにして、図25に矢印で示すように、マスタプロファイル形状MPに設定された計測枠D4が、点線で示される位置から実線で示される位置にz方向に移動されるとともに回転されることによりワークWの計測部分の位置が補正される。
(5−3)他の補正モード
ZX補正モードにおいては、表示部300に表示されたマスタプロファイル形状MPにZ補正モード用の補正枠およびX補正モード用の補正枠が設定される。計測部分設定処理においては、Z補正モード用の補正枠およびX補正モード用の補正枠のいずれにも対応する複数の計測枠が設定される。この状態で、複数の計測枠のz方向の補正およびx方向の補正がこの順で行われる。
XZ補正モードにおいては、表示部300に表示されたマスタプロファイル形状MPにX補正モード用の補正枠およびZ補正モード用の補正枠が設定される。計測部分設定処理においては、X補正モード用の補正枠およびZ補正モード用の補正枠のいずれにも対応する複数の計測枠が設定される。この状態で、複数の計測枠のx方向の補正およびz方向の補正がこの順で行われる。
Xθ補正モードにおいては、表示部300に表示されたマスタプロファイル形状MPにX補正モード用の補正枠およびθ補正モード用の補正枠が設定される。計測部分設定処理においては、X補正モード用の補正枠およびθ補正モード用の補正枠のいずれにも対応する複数の計測枠が設定される。この状態で、複数の計測枠のx方向の補正および回転の補正がこの順で行われる。
(6)計測部分の他の設定例
計測枠に斜め方向の線分を含む場合の計測部分の設定例について、上記の位置補正設定処理および計測部分設定処理と異なる点を説明する。
図26は、図2のワークWの拡大斜視図である。図26に示すように、部材w1の凸部M1の一側面側の上部の角部に傾斜面F1が形成される。同様に、部材w2の一側面側の上部の角部に傾斜面F2が形成される。本例においては、部材w1の凸部M1の傾斜面F1のX方向における略中央の位置から部材w2の傾斜面F2のX方向における略中央の位置までのX方向の距離h3を計測する。
図27は、他の実施例における計測部分設定処理実行中の表示部300の表示例を示す図である。図27の例では、図11のステップS3で補正枠Cx1,Cx2が設定され、図15のステップS11において計測モードとして幅設定モードが設定される。また、図15のステップS12において、図27に示すように、マスタプロファイル形状MPに2つの計測枠D1,D2が設定される。
計測枠D1は表示部300の画面上で図26の部材w1の凸部M1の傾斜面F1を表す線分L1の一部を含むように設定され、計測枠D2は表示部300の画面上で部材w2の傾斜面F2を表す線分L2の一部を含むように設定される。この場合、計測枠D1内の線分L1と計測枠D2内の線分L2との間のx方向の距離が計測部分として設定される。
本例では、計測枠D1をz方向に2等分する線分と線分L1との交点から計測枠D2をz方向に2等分する線分と線分L2との交点までのx方向の距離が計測部分として設定される。これにより、距離h3がワークWの計測部分として設定される。
このように、計測枠に斜め方向の線分が含む場合は、一方の計測枠内に含まれる特定の部分から他方の計測枠内に含まれる特定の部分までの距離が計測部分として設定されてもよい。これにより、2つの計測枠内に含まれる特定の部分間の距離を計測部分として設定することができる。
(7)位置補正設定処理の効果
本実施の形態に係る光学式変位計1においては、ワークWの計測時に、計測枠に対応付けられた補正枠内におけるマスタプロファイル形状MPからのプロファイル形状の位置ずれが、マスタプロファイルデータおよびプロファイルデータに基づいて算出される。計測枠の位置が算出された位置ずれに基づいて補正されるとともに、補正された計測枠内のプロファイル形状の部分を示すプロファイルデータを用いて計測処理が行われる。
ワークWの構成によっては、ワークWの複数の部分の位置が独立に変化することによりプロファイル形状の複数の部分の位置がそれぞれ独立に変化する場合がある。この場合でも、ワークWの複数の部分に対応してマスタプロファイル形状MPの複数の部分にそれぞれ補正枠を設定することができる。また、計測枠を補正枠に対応付けてマスタプロファイル形状MPの対応する部分に設定することができる。それにより、ワークWの計測すべき部分に位置ずれが生じた場合でも、位置ずれに応じて計測枠の位置が補正される。したがって、ワークWの複数の部分の位置が独立に変化するか否かに関らず、ワークWの所望の部分の変位を検出することができる。
また、複数の計測枠がそれぞれ対応付けられた複数の補正枠内におけるマスタプロファイル形状MPからのプロファイル形状の位置ずれに基づいて、複数の計測枠の位置が補正される。これにより、補正された複数の計測枠内のプロファイル形状の部分を示すプロファイルデータを用いて計測処理を行うことができる。したがって、ワークWの複数の部分の位置が独立に変化するか否かに関らず、ワークWの複数の部分の変位を計測することができる。
さらに、複数のセンサヘッド100A,100Bを用いてワークWの計測を行う場合において、センサヘッド100Aに対応するマスタプロファイル形状MPに設定された計測枠をセンサヘッド100Aに対応するマスタプロファイル形状MPまたはセンサヘッド100Bに対応するマスタプロファイル形状MPに設定された補正枠に対応付けることができる。それにより、複数のセンサヘッド100A,100Bに対応する複数のプロファイル形状の位置ずれを補正することができる。
(8)マスク設定処理
図28は、ワークWの他の例を示す外観斜視図である。図28の例では、ワークWの部材w2にZ方向に貫通するように貫通孔Hが形成される。図28のワークWの照射領域T1で反射される光が、図1の受光レンズ122を通して図1の受光素子121に入射する。
図29は、図28の照射領域T1で反射された光による受光素子121の受光面における受光量分布を示す図である。図30は、図29の1つの画素列SSの波形データを示す図である。図30において、横軸はA2方向の位置を示し、縦軸は受光量を示す。図30に示すように、波形データには、照射領域T1におけるワークWの表面(反射面)の高さを示すピーク位置PPに受光量のピークP1が現れる。
ここで、図30に示すように、ワークWの貫通孔Hの周囲および内部の照射領域T1で多重反射された光または外乱光等により、ワークWの表面とは異なる位置にピークP1とは異なる受光量のピーク(以下、偽ピークと呼ぶ。)P2が現れることがある。偽ピークP2がピークP1よりも大きい場合、ピーク位置PPではなく偽ピークP2の位置(以下、偽ピーク位置と呼ぶ。)PP2に基づいて、ワークWのプロファイルデータが図1のプロファイル生成部204により生成される。
このような場合において、ワークWの部材w1,w2の上面間の距離h2を計測することを考える。図31は、表示部300による図28のワークWのマスタプロファイル形状MPの一表示例である。図31に示すように、表示部300に表示されたマスタプロファイル形状MPに高さ計測モードにおける2つの計測枠D3,D4が設定される。本例においては、表示部300のマスタプロファイル形状MPに部材w1の凸部M1の上面を表す形状の一部を含むように矩形の計測枠D3が設定される。また、表示部300のマスタプロファイル形状MPに部材w2の上面を表す形状の一部を含むように矩形の計測枠D4が設定される。これにより、部材w1,w2の上面間の距離h2がワークWの計測部分の寸法として設定される。
計測部分設定処理が行われることにより、例えば計測枠D3内の形状に対応するプロファイルデータのZ座標の値の平均値と計測枠D4内の形状に対応するプロファイルデータのZ座標の値の平均値との差分値が計測処理部205により算出される。算出された差分値に基づいてワークWの部材w1,w2の上面間の距離h2が算出される。
しかしながら、図31のマスタプロファイル形状MPにおいては、ワークWの貫通孔H付近の表面を表す形状が正確に生成されず、偽ピーク位置PP2を表す形状が生成されている。そのため、計測枠D4内の形状に対応するプロファイルデータのZ座標の値の平均値は、ワークWの部材w2の上面の高さに正確に一致しない。したがって、ワークWの部材w1,w2の上面間の距離h2を正確に算出することができない。
本例では、使用者による入力部400の操作に基づいて、表示部300に表示されたマスタプロファイル形状MPにマスク枠が設定される。ワークWの計測部分の寸法は、計測枠内でマスク枠内を除くプロファイル形状の部分に対応するプロファイルデータを用いて算出される。
図32は、マスク枠が表示された表示部300の一表示例である。図32に示すように、マスク枠E1は、ワークWの貫通孔Hの周囲および内部を表す形状を含むように設定される。この場合、計測枠D4内でマスク枠E1内の領域を除くプロファイル形状の部分に対応するプロファイルデータのZ座標の値の平均値が算出される。すなわち、Z座標の値の平均値算出において、マスク枠E1内の領域に対応するプロファイルデータは無視される。これにより、ワークWの部材w1,w2の上面間の距離h2を正確に算出することができる。
図11の位置補正設定処理が実行された後、図15の計測部分設定処理の際にマスク枠を設定するマスク設定処理が行われる。図11の位置補正処理においては、図14に示すように、マスタプロファイル形状MPに対して2つの補正枠Cx1,Cx2が設定される。図15の計測部分設定処理においては、図31に示すように、2つの計測枠D3,D4が設定される。本例においては、計測枠D3が図14の補正枠Cx1に対応するように設定され、計測枠D4が図14の補正枠Cx2に対応するように設定される。
図33は、マスク設定処理を示すフローチャートである。図34は、マスク設定処理実行中の表示部300の表示例を示す図である。計測処理部205は、使用者による操作に基づいて、図34に示すように、表示部300に表示されたマスタプロファイル形状MPにマスク枠E1を設定する(ステップS31)。使用者は、入力部400を操作してマスク枠E1の大きさおよび位置を任意に調整することができる。本例においては、表示部300のマスタプロファイル形状MPに部材w2の貫通孔Hの周囲および内部を表す形状を含むように矩形のマスク枠E1が設定される。
次に、計測処理部205は、使用者の指示に基づいて、マスク枠E1を補正枠に対応付ける(ステップS32)。本例においては、マスク枠E1は図14の補正枠Cx2に対応するように設定される。上記のように、計測枠D3は図14の補正枠Cx1に対応するように設定され、計測枠D4は図14の補正枠Cx2に対応するように設定されている。図35は、補正枠、計測枠およびマスク枠の対応関係を示す図である。補正枠Cx1,Cx2、計測枠D3,D4およびマスク枠E1の対応関係RELは、図1の記憶部210に記憶される。
なお、図34および図35に示すように、補正枠Cx1,Cx2のいずれにも対応付けされない計測枠D5をマスタプロファイル形状MPに対して設定することも可能である。
続いて、計測処理部205は、使用者によりマスク枠の追加が指示されたか否かを判定する(ステップS33)。マスク枠の追加が指示された場合、計測処理部205はステップS31の処理に戻る。ステップS33でマスク枠E1の追加が指示されない場合、計測処理部205はマスク設定処理を終了する。使用者は、ステップS33でマスク枠の追加を指示することにより、マスタプロファイル形状MPに複数のマスク枠を設定することができる。この場合、ワークWにおいて、複数の部分が不要な光の影響を受けかつそれらの部分の位置がそれぞれ独立に変化する場合でも、不要な光による計測精度の低下を防止することができる。本例においては、ステップS33で計測モードの追加が指示されない。これにより、計測処理部205は、マスク設定処理を終了する。
マスク設定処理が実行された後に、計測処理が実行される。図36および図37は、マスク設定処理後の計測処理を示すフローチャートである。図38は、計測処理実行中の表示部300の表示例を示す図である。
計測処理部205は、i番目(iは自然数)の補正枠内におけるマスタプロファイル形状からのプロファイル形状の部分の位置ずれ量を算出する。変数iの初期値は1である。計測処理部205は、図38の補正枠Cx1内の形状に対応するプロファイルデータの代表値を算出し、プロファイルデータの代表値とマスタプロファイルデータの代表値との差分値を算出する。
計測処理部205は、i番目の補正枠に対応する計測枠を上記の位置ずれ量だけ移動させることにより計測枠の位置を補正する(ステップS41)。また、計測処理部205は、i番目の補正枠に対応するマスク枠を上記の位置ずれ量だけ移動させることによりマスク枠の位置を補正する(ステップS42)。次に、計測処理部205は、変数iの値をi+1に更新する(ステップS43)。続いて、計測処理部205は、i番目の補正枠が設定されているか否かを判定する(ステップS44)。i番目の補正枠が設定されている場合には、計測処理部205はステップS41の処理に戻る。
ステップS44において、i番目の補正枠が設定されていない場合には、計測処理部205は、補正後の計測枠内のプロファイル形状の部分に対応するプロファイルデータを抽出する(ステップS45)。続いて、抽出されたプロファイルデータに基づいて設定された計測モードにおける計測部分の寸法を算出する(ステップS46)。その後、計測処理部205は、計測処理を終了する。
図38の例においては、図28の部材w1,w2の位置が基準位置に対してX方向に沿って互いに逆方向に変化することにより、プロファイル形状PR1,PR2が変化している。すなわち、1番目の補正枠Cx1内のプロファイル形状PR1の部分がマスタプロファイル形状MPの部分から移動している。この場合、補正枠Cx1内で予め設定された代表値が探索されることによりプロファイル形状PR1の部分の移動量が位置ずれ量として算出され、補正枠Cx1に対応する計測枠D3が算出された移動量だけ移動される。ここで、補正枠Cx1に対応するマスク枠は存在しないので、図36のステップS42の処理は省略される。
また、2番目の補正枠Cx2が設定されており、2番目の補正枠Cx2内のプロファイル形状PR2の部分もマスタプロファイル形状MPの部分から移動している。この場合、補正枠Cx2内で予め設定された代表値が探索されることによりプロファイル形状PR2の部分の移動量が位置ずれ量として算出され、補正枠Cx2に対応する計測枠D4およびマスク枠E1が算出された移動量だけ移動される。
このようにして、図38に矢印で示すように、マスタプロファイル形状MPに設定された2つの計測枠D3,D4が、点線で示される位置から実線で示される位置にx方向に移動されることにより計測枠D3,D4の位置が補正される。また、マスタプロファイル形状MPに設定されたマスク枠E1が、点線で示される位置から実線で示される位置にx方向に移動されることによりマスク枠E1の位置が補正される。
位置補正処理実行後の一方の計測枠D3には、部材w1の凸部M1の上面を表す形状が含まれる。位置補正処理実行後の他方の計測枠D4には、部材w2の上面を表す形状が含まれる。また、位置補正処理実行後のマスク枠E1には、部材w2の貫通孔Hの周囲および内部を表す形状が含まれる。
その後、補正後の計測枠D3,D4内のプロファイル形状PR1,PR2の部分に対応するプロファイルデータが抽出され、抽出されたプロファイルデータに基づいて、設定された計測モードにおける計測部分の寸法が算出される。図38の例では、高さ計測モードが設定されているので、移動後の計測枠D3,D4内のプロファイルデータのZ座標の値の平均値に基づいて、計測部分の寸法が算出される。その結果、部材w1,w2の上面間の距離h2(図28参照)を算出することができる。
(9)遮蔽枠の設定
計測処理部205は、使用者による入力部400の操作に基づいて、表示部300に表示された受光画像に遮蔽枠を設定することができる。プロファイルデータの生成は、遮蔽枠内の受光画像の部分を除いたピーク位置に基づいて行われる。これにより、図1の受光部102に不要な光が入射する場合でも、プロファイル形状が不正確になることを低減することができる。
図39は、遮蔽枠が表示された表示部300の一表示例である。図40は、図39の受光画像に遮蔽枠G1が設定された場合の1つの画素列SSの波形データを示す図である。図39に示すように、遮蔽枠G1は、受光画像において偽ピーク位置PP2を含みかつピーク位置PPを含まないように設定される。この場合、図40に示すように、受光量分布の波形データのうち偽ピーク位置PP2付近の波形データが無視される。
図41は、遮蔽枠G1が設定された場合のプロファイルデータに基づくプロファイル形状PRの一表示例である。図1のプロファイル生成部204は、遮蔽枠G1内の受光画像の部分を除いたピーク位置に基づいてプロファイルデータを生成する。すなわち、プロファイルデータの生成において、遮蔽枠G1内の部分に対応する受光量分布は無視される。これにより、図28のワークWの表面(反射面)の高さを示す真のピークP1に基づいてプロファイルデータが生成される。その結果、図41に示すように、ワークWの表面を表すプロファイル形状を正確に計測することができる。
受光画像に対して設定された遮蔽枠G1は、正確なプロファイル形状の計測を可能にする一方で、ワークWに位置ずれが発生した際にその位置ずれに追従して移動することはできない。ワークWの位置ずれに追従して移動するためには、計測されたプロファイルの位置からワークWの位置ずれ量を算出する必要がある一方で、遮蔽枠G1はプロファイル計測の基準となる受光画像に対して設定されるためである。
したがって、図39に示すように、ワークW上での多重反射により正しいプロファイル位置から離間した位置に偽ピークP2が計測される場合など、偽ピークP2の波形データを無視したい場合に遮蔽枠G1が設定される。
これに対し、マスタプロファイル形状MPに設定されたマスク枠E1は、ワークWの位置ずれに追従して移動できる一方で、ワークWのプロファイル形状を必ずしも正確に計測させることはできない。設定されたマスク枠E1内に波形データの正確なピーク位置PPに対応するプロファイルデータが含まれ得るためである。
したがって、図32に示すように、ワークWの部分が変位し得る状況において、ワークWの表面を表す形状が正確に生成されず、ワークWの表面に偽ピーク位置PP2を表す形状が生成される場合など、偽ピークP2の波形データを無視したい場合にマスク枠E1が設定される。
このように、受光画像に対して設定される遮蔽枠G1とマスタプロファイル形状MPに対して設定されるマスク枠E1とは、機能が異なる。使用者は、遮蔽枠G1とマスク枠E1とを併用して設定することも可能である。遮蔽枠G1とマスク枠E1とを適切に設定することにより、多重反射等の不要な光による計測精度への影響を防止しつつ、ワークWに追従可能なマスク枠E1により不必要なプロファイル形状の部分を無視して計測を行うことができる。
(10)マスク設定処理の効果
本実施の形態に係る光学式変位計1においては、ワークWの計測時に、補正枠内におけるマスタプロファイル形状MPからのプロファイル形状の位置ずれが、マスタプロファイルデータおよびプロファイルデータに基づいて算出される。計測枠およびマスク枠の位置が算出された位置ずれに基づいて補正されるとともに、補正された計測枠内でマスク枠を除くプロファイル形状の部分を示すプロファイルデータを用いて計測処理が行われる。
使用者は、プロファイル形状の一部が受光部102に入射する不要な光により不正確になる場合には、その部分に対応するマスタプロファイル形状MPの部分を含むようにマスク枠を設定することができる。ワークWに位置ずれが生じた場合には、位置ずれに応じて計測枠およびマスク枠の位置が補正される。その結果、ワークWの位置が変化する場合でも、不要な光による計測精度の低下を防止することができる。
また、マスク枠を複数の補正枠のいずれかに対応付けるように設定可能である。これにより、ワークWにおいて、不要な光の影響を受ける部分の位置と計測すべき部分の位置とがそれぞれ独立に変化する場合でも、不要な光による計測精度の低下を防止することができる。
さらに、複数のマスク枠を複数の補正枠のいずれかにそれぞれ対応付けるように設定可能である。これにより、ワークWにおいて、複数の部分が不要な光の影響を受けかつそれらの部分の位置がそれぞれ独立に変化する場合でも、不要な光による計測精度の低下を防止することができる。
(11)複数ヘッド設定処理
図1の2つのセンサヘッド100A,100Bが本体部200に接続される場合には、2つのセンサヘッド100A,100Bにより2つのプロファイルデータを生成することができる。それにより、2つのセンサヘッド100A,100Bにそれぞれ対応する2つのマスタプロファイル形状を設定することができる。また、各マスタプロファイル形状について、位置補正設定処理、計測部分設定処理およびマスク設定処理を実行することにより、各マスタプロファイル形状に補正枠、計測枠およびマスク枠を設定することができる。
さらに、本実施の形態では、複数ヘッド設定処理により、一方のセンサヘッド100A(または他方のセンサヘッド100B)に対応するマスタプロファイル形状に設定される計測枠およびマスク枠を他方のセンサヘッド100B(または一方のセンサヘッド100A)に対応するマスタプロファイル形状に設定される補正枠に対応付けることが可能である。この場合、例えば他方のセンサヘッド100Bに対応するマスタプロファイル形状に適切な補正枠を設定することができない場合でも、一方のセンサヘッド100Aに対応するマスタプロファイル形状に設定された補正枠によりワークWの位置ずれの有無を判定することができる。位置ずれがある場合には、算出された位置ずれ量に基づいて、他方のセンサヘッド100Bに対応するマスタプロファイル形状に設定された計測枠およびマスク枠の位置を補正することができる。以下、複数ヘッド設定処理について説明する。
本実施の形態においては、センサヘッド100A,100Bは、ワークWに照射される光がそれぞれX方向(図2)に広がるようにかつセンサヘッド100A,100Bから投光される光がZ方向(図2)に沿ってワークWに向かうように配置される。
この場合、各センサヘッド100A,100Bにより生成されるプロファイルデータは、X方向における各センサヘッド100A,100Bの一側面sx1(後述する図42)から他側面sx2(後述する図42)に向かう第1の座標軸、Z方向における各センサヘッド100A,100Bの投光面sz2(後述する図42)から非投光面sz1(後述する図42)に向かう第2の座標軸とを有する座標系で表される。
そのため、2つのセンサヘッド100A,100Bの配置状態により、センサヘッド100Aに対応する第1の座標軸の方向とセンサヘッド100Bに対応する第1の座標軸の方向とが異なる場合がある。また、センサヘッド100Aに対応する第2の座標軸の方向とセンサヘッド100Bに対応する第2の座標軸の方向とが異なる場合がある。さらに、センサヘッド100Aに対応する座標系の原点位置、およびセンサヘッド100Bに対応する座標系の原点位置は互いに異なる位置に定義される。
そこで、複数ヘッド設定処理においては、一方のセンサヘッド100Aにより生成されるプロファイルデータと、他方のセンサヘッド100Bにより生成されるプロファイルデータとが共通の座標系で表されるように、少なくとも一方のプロファイルデータについて座標変換が実行される。本例では、共通の座標系としてセンサヘッド100Aに対応する座標系を用いる。この場合、他方のセンサヘッド100Bにより生成されるプロファイルデータが一方のセンサヘッド100Aに対応する座標系で表されるように座標変換される。
まず、センサヘッド100Bにより生成されるプロファイルデータについて、第1の座標軸の向きを反転する座標変換が必要であるか否か、および第2の座標軸の向きを反転する座標変換が必要であるか否かを示す配置モードが設定される。図1の本体部200の記憶部210には、予め複数種類の配置モードに関する情報が記憶されている。
本実施の形態においては、複数種類の配置モードとしては、第1の配置モード、第2の配置モード、第3の配置モードおよび第4の配置モードがある。使用者は、入力部400を操作することにより複数種類の配置モードのうち一の配置モードを指定する。あるいは、使用者は、各センサヘッド100A,100B間の配置関係を定義せずに使用することもできる。
図42および図43は、第1〜第4の配置モードを説明するためのセンサヘッド100A,100Bおよびワークの外観斜視図である。
図42および図43ならびに後述する図45(a)、図46(a)、図47(a)、図48(a)および図49(a)においても、図2の例と同様に、水平面内で互いに直交する2方向をX方向およびY方向と定義し、それぞれ矢印X,Yで示す。また、鉛直方向をZ方向と定義し、矢印Zで示す。
各センサヘッド100A,100Bは、Y方向において対向する一端面sy1および他端面sy2と、X方向において対向する一側面sx1および他側面sx2と、Z方向において対向する非投光面sz1および投光面sz2とを有する。各センサヘッド100A,100の一端面sy1に本体部200に接続可能に構成されたケーブルCA,CBが取り付けられている。各センサヘッド100A,100Bの投光面sz2からワークWP,WQに向かって光が照射される。
図42(a)に第1の配置モードに対応するセンサヘッド100A,100Bの位置関係が示される。第1の配置モードでは、Y方向においてセンサヘッド100A,100BからケーブルCA,CBが延びる方向が同じでありかつZ方向においてワークWPからセンサヘッド100A,100Bの投光面sz2に向かう方向が同じである。この場合、センサヘッド100Aに対応する第1の座標軸の向き(一側面sx1から他側面sx2に向かう方向)とセンサヘッド100Bに対応する第1の座標軸の向き(一側面sx1から他側面sx2に向かう方向)とが一致する。また、センサヘッド100Aに対応する第2の座標軸の向き(投光面sz2から非投光面sz1に向かう方向)とセンサヘッド100Bに対応する第2の座標軸の向き(投光面sz2から非投光面sz1に向かう方向)とが一致する。これにより、複数ヘッド設定処理において第1の配置モードが設定される場合には、ワークWPの計測時にセンサヘッド100Bにより生成されるプロファイルデータについて、第1の座標軸の向きを反転させる座標変換および第2の座標軸の向きを反転させる座標変換は行われない。
図42(b)に第2の配置モードに対応するセンサヘッド100A,100Bの位置関係が示される。第2の配置モードでは、Y方向においてセンサヘッド100A,100BからケーブルCA,CBが延びる方向が逆でありかつZ方向においてワークWPからセンサヘッド100A,100Bの投光面sz2に向かう方向が同じである。この場合、センサヘッド100Aに対応する第1の座標軸の向き(一側面sx1から他側面sx2に向かう方向)とセンサヘッド100Bに対応する第1の座標軸の向き(一側面sx1から他側面sx2に向かう方向)とが逆になる。一方、センサヘッド100Aに対応する第2の座標軸の向き(投光面sz2から非投光面sz1に向かう方向)とセンサヘッド100Bに対応する第2の座標軸の向き(投光面sz2から非投光面sz1に向かう方向)とが一致する。これにより、複数ヘッド設定処理において第2の配置モードが設定される場合には、ワークWPの計測時にセンサヘッド100Bにより生成されるプロファイルデータについて、第1の座標軸の向きを反転させる座標変換が行われる。一方、センサヘッド100Bにより生成されるプロファイルデータについて、第2の座標軸の向きを反転させる座標変換は行われない。
図43(a)に第3の配置モードに対応するセンサヘッド100A,100Bの位置関係が示される。第3の配置モードでは、Y方向においてセンサヘッド100A,100BからケーブルCA,CBが延びる方向が同じでありかつZ方向においてワークWQからセンサヘッド100A,100Bの投光面sz2に向かう方向が逆である。この場合、センサヘッド100Aに対応する第1の座標軸の向き(一側面sx1から他側面sx2に向かう方向)とセンサヘッド100Bに対応する第1の座標軸の向き(一側面sx1から他側面sx2に向かう方向)とが逆になる。また、センサヘッド100Aに対応する第2の座標軸の向き(投光面sz2から非投光面sz1に向かう方向)とセンサヘッド100Bに対応する第2の座標軸の向き(投光面sz2から非投光面sz1に向かう方向)とが逆になる。これにより、複数ヘッド設定処理において第3の配置モードが設定される場合には、ワークWQの計測時にセンサヘッド100Bにより生成されるプロファイルデータについて、第1の座標軸の向きを反転させる座標変換が行われる。また、センサヘッド100Bにより生成されるプロファイルデータについて、第2の座標軸の向きを反転させる座標変換が行われる。
図43(b)に第4の配置モードに対応するセンサヘッド100A,100Bの位置関係が示される。第4の配置モードでは、Y方向においてセンサヘッド100A,100BからケーブルCA,CBが延びる方向が逆でありかつZ方向においてワークWQからセンサヘッド100A,100Bの投光面sz2に向かう方向が逆である。この場合、センサヘッド100Aに対応する第1の座標軸の向き(一側面sx1から他側面sx2に向かう方向)とセンサヘッド100Bに対応する第1の座標軸の向き(一側面sx1から他側面sx2に向かう方向)とが一致する。一方、センサヘッド100Aに対応する第2の座標軸の向き(投光面sz2から非投光面sz1に向かう方向)とセンサヘッド100Bに対応する第2の座標軸の向き(投光面sz2から非投光面sz1に向かう方向)とが逆になる。これにより、複数ヘッド設定処理において第4の配置モードが設定される場合には、ワークWQの計測時にセンサヘッド100Bにより生成されるプロファイルデータについて、第1の座標軸の向きを反転させる座標変換は行われない。一方、センサヘッド100Bにより生成されるプロファイルデータについて、第2の座標軸の向きを反転させる座標変換が行われる。
複数ヘッド設定処理では、上記のように使用者により配置モードが指定されるとともに、使用者が入力部400を操作することによりX方向における2つのセンサヘッド100A,100B間の距離(例えば2つのセンサヘッド100A,100Bの2つの受光素子121の中心位置間の距離)が入力される。この場合、入力されたX方向における2つのセンサヘッド100A,100B間の距離に基づいて、センサヘッド100Aに対応する座標系の第1の座標軸において、センサヘッド100Aに対応する原点位置とセンサヘッド100Bに対応する原点位置との間の距離が第1の距離として設定される。同様に、使用者が入力部400を操作することによりZ方向における2つのセンサヘッド100A,100B間の距離(例えば2つのセンサヘッド100A,100Bの2つの受光素子121の中心位置間の距離)が入力される。この場合、入力されたZ方向における2つのセンサヘッド100A,100B間の距離に基づいて、センサヘッド100Aに対応する座標系の第2の座標軸において、センサヘッド100Aに対応する原点位置とセンサヘッド100Bに対応する原点位置との間の距離が第2の距離として設定される。
それにより、ワークWP,WQの計測時に、センサヘッド100Bにより生成されるプロファイルデータが、設定された第1の距離および第2の距離に基づいてセンサヘッド100Aに対応する座標系で表されるように座標変換される。
図44は、複数ヘッド設定処理を示すフローチャートである。使用者は、図1の入力部400を操作することにより、2つのセンサヘッド100A,100Bの配置状態に応じて上記の第1〜第4の配置モードのいずれかを指定することができる。この場合、計測処理部205は、使用者により指定された配置モードを設定する(ステップS51)。
使用者は、さらに図1の入力部400を操作することにより、X方向における2つのセンサヘッド100A,100B間の距離およびZ方向における2つのセンサヘッド100A,100B間の距離を入力することができる。この場合、計測処理部205は、入力されたX方向およびZ方向における2つのセンサヘッド100A,100B間の距離に基づいて上記の第1の距離および第2の距離を設定する(ステップS52)。このようにして、複数ヘッド設定処理が終了する。
(12)複数ヘッド設定処理後の補正枠および計測枠の設定例
(12−1)第1の配置モード
図45および図46は、複数ヘッド設定処理後の補正枠および計測枠の一設定例を説明するための図である。本例では、2つのセンサヘッド100A,100Bが上記の第1の配置モードに対応する位置関係で配置される。
図45(a)に第1の配置モードに対応する2つのセンサヘッド100A,100Bの配置例が示される。本例のワークWPは板状部材ws1を有する。板状部材ws1の上面に矩形突条部wp1および三角形突条部wp2が形成されている。
図45(a)に示すように、2つのセンサヘッド100A,100BはワークWPの上方に配置される。Y方向において、センサヘッド100A,100BからケーブルCA,CBが延びる方向は同じである。X方向における2つのセンサヘッド100A,100B間の距離(本例では2つのセンサヘッド100A,100Bの中心位置間の距離)はd1である。Z方向における2つのセンサヘッド100A,100B間の距離はd2である。Z方向において、センサヘッド100Bの中心位置はセンサヘッド100Aの中心位置に比べて距離d2分ワークWPに近い。距離d1,d2に基づいて上記の第1および第2の距離がそれぞれ設定される。センサヘッド100Aから矩形突条部wp1を含む領域に向かってX方向に沿う帯状の光が照射される。センサヘッド100Bから三角形突条部wp2を含む領域に向かってX方向に沿う帯状の光が照射される。
図45(b)に図45(a)のセンサヘッド100Aにより生成されるプロファイルデータが示される。図45(b)において、横軸はセンサヘッド100Aに対応する座標系の第1の座標軸x’を示し、縦軸はセンサヘッド100Aに対応する座標系の第2の座標軸z’を示す。図45(b)に示すように、センサヘッド100Aにより生成されるプロファイルデータは、矩形突条部wp1の表面に対応するプロファイルデータpd11および板状部材ws1の上面に対応するプロファイルデータpd21を含む。
図45(c)に図45(a)のセンサヘッド100Bにより生成されるプロファイルデータが示される。図45(c)において、横軸はセンサヘッド100Bに対応する座標系の第1の座標軸x’’を示し、縦軸はセンサヘッド100Bに対応する座標系の第2の座標軸z’’を示す。図45(c)に示すように、センサヘッド100Bにより生成されるプロファイルデータは、三角形突条部wp2の表面に対応するプロファイルデータpd12および板状部材ws1の上面に対応するプロファイルデータpd22を含む。
本例では、第1の配置モードが設定される。そのため、センサヘッド100Bにより生成されるプロファイルデータについて、第1の座標軸x’’の向きを反転させる座標変換および第2の座標軸z’’の向きを反転させる座標変換は行われない。
センサヘッド100Bにより生成されるプロファイルデータが、複数ヘッド設定処理により設定された第1および第2の距離に基づいて、センサヘッド100Aに対応する座標系で表されるように座標変換される。その後、センサヘッド100Aに対応するプロファイルデータが示すプロファイル形状と、座標変換後のセンサヘッド100Bに対応するプロファイルデータが示すプロファイル形状とが表示部300の画面上に表示される。
このように、複数のセンサヘッド100A,100Bにそれぞれ定義される座標系が互いに異なる場合でも、座標変換後のプロファイルデータにより示されるプロファイル形状が表示部300に表示される。これにより、使用者は複数のセンサヘッド100A,100Bにそれぞれ対応するプロファイル形状PA,PBの位置関係を容易に認識することができる。
図45(d)に、図45(b)のプロファイルデータに基づくプロファイル形状PAおよび図45(c)のプロファイルデータに基づくプロファイル形状PBの表示例が示される。図45(d)では、座標変換後のセンサヘッド100Bに対応するプロファイルデータがセンサヘッド100Aに対応する座標系で表されるように座標変換されていることを示すために、表示部300上で定義されかつ図45(b)の第1の座標軸x’および第2の座標軸z’にそれぞれ対応する第1の座標軸xa’および第2の座標軸za’を点線で表す。また、表示部300上で定義されかつ図45(c)の第1の座標軸x’’および第2の座標軸z’’にそれぞれ対応する第1の座標軸xa’’および第2の座標軸za’’を点線で表す。
上記のように、センサヘッド100Aに対応するプロファイル形状PAおよびセンサヘッド100Bに対応するプロファイル形状PBが表示部300に表示される状態で、それらのプロファイル形状PA,PBをマスタプロファイル形状PA,PBとして、位置補正設定処理、計測部分設定処理およびマスク設定処理を実行することが可能である。
図45(d)に示すように、表示部300の画面上で、θ補正モードの補正枠Cθ11がセンサヘッド100Aに対応するマスタプロファイル形状PAに設定される。その後、補正枠Cθ11に対応するように、矩形突条部wp1の上端部の対応部分に計測枠D11が設定される。
さらに、上記のように、複数ヘッド設定処理が実行された場合には、一方のセンサヘッド100Aに対応するマスタプロファイル形状PAに設定される補正枠に対して、他方のセンサヘッド100Bに対応するマスタプロファイル形状PBに設定される計測枠を対応付けることができる。本例では、補正枠Cθ11に対応するように、センサヘッド100Bに対応するマスタプロファイル形状PBに計測枠D12が設定される。
図45(d)の補正枠Cθ11は、板状部材ws1の上面に対応するマスタプロファイル形状PAの線分Lθ11の一部を含むように設定される。この場合、補正枠Cθ11に含まれる線分Lθ11に対応するマスタプロファイルデータ、およびその第2の座標軸z’成分の平均値が代表値として設定される。また、補正枠Cθ11内の線分Lθ11の中心位置Rθが計測枠D11,D12の位置を補正する時の回転中心として設定される。
図45(e)は、図45(d)の補正枠Cθ11と計測枠D11,D12との対応関係を示す図である。上記のように、補正枠Cθ11および計測枠D11,D12の設定が行われることにより、図45(e)に示すように、補正枠Cθ11と各計測枠D11,D12との対応関係RELが図1の記憶部210に記憶される。
図46(a)に、図45(d)で示される位置補正設定処理および計測部分設定処理後のワークWPの計測例が示される。図46(a)に示すように、本例では、位置補正設定処理および計測部分設定処理の後、傾斜したワークWPを計測する場合について説明する。図46(b)に、図46(a)に示される状態でワークWPが計測される場合のプロファイル形状PA,PBの表示例が示される。
図46(b)においても図45(d)の例と同様に、表示部300上で定義されかつ図45(b)の第1の座標軸x’および第2の座標軸z’にそれぞれ対応する第1の座標軸xa’および第2の座標軸za’を点線で表す。また、表示部300上で定義されかつ図45(c)の第1の座標軸x’’および第2の座標軸z’’にそれぞれ対応する第1の座標軸xa’’および第2の座標軸za’’を点線で表す。
図46(b)の例では、センサヘッド100Aにより生成されるプロファイル形状PAが図45(d)のマスタプロファイル形状PAに比べて第2の座標軸za’に沿って移動するとともに傾斜している。同様に、センサヘッド100Bにより生成されるプロファイル形状PBが図45(d)のマスタプロファイル形状PBに比べて第2の座標軸za’に沿って移動するとともに傾斜している。
この場合、計測処理時には、補正枠Cθ11内で予め設定された代表値が探索されることにより、第2の座標軸za’におけるプロファイル形状PAの部分の移動量と補正枠Cθ11内の線分Lθ11の回転角度とが位置ずれ量として算出される。
上記のように、プロファイル形状PAが第2の座標軸za’に沿って移動している場合には、ワークWPの計測処理時に、補正枠Cθ11に対応する計測枠D11,D12および線分Lθ11の中心位置Rθが、算出された移動量だけ第2の座標軸za’に沿って移動される。また、計測枠D11,D12が移動された中心位置Rθを基準として算出された回転角度分回転される。
このようにして、図46(b)に矢印で示すように、補正枠Cθ11に対応するように設定された計測枠D11,D12が、点線で示される位置から実線で示される位置に移動されることによりワークWPの計測部分の位置が補正される。
計測枠D11,D12の位置が補正された後、計測枠D11,D12にそれぞれ対応する計測モードに応じてワークWPが計測される。
例えば、計測枠D11,D12に対応する計測モードが高さ計測モードである場合、位置補正後の計測枠D11内のプロファイル形状PAの部分に対応するプロファイルデータの第2の座標軸z’成分の平均値が計測処理部205により算出される。また、位置補正後の計測枠D12内のプロファイル形状PBの部分に対応するプロファイルデータの第2の座標軸z’成分の平均値が計測処理部205により算出される。算出された2つの平均値に基づいて、計測枠D11内のプロファイル形状PAの部分と計測枠D12内のプロファイル形状PBの部分との間の高さが算出される。
(12−2)第2の配置モード
図47は、複数ヘッド設定処理後の補正枠および計測枠の他の設定例を説明するための図である。本例では、2つのセンサヘッド100A,100Bが上記の第2の配置モードに対応する位置関係で配置される。
図47(a)に第2の配置モードに対応する2つのセンサヘッド100A,100Bの配置例が示される。本例においては、図45(a)のワークWPと同じワークが用いられる。図47(a)に示すように、Y方向においてセンサヘッド100A,100BからケーブルCA,CBが延びる方向が逆である点を除いて、図45(a)の例と同様にセンサヘッド100A,100Bが配置される。
図47(b)に図47(a)のセンサヘッド100Aにより生成されるプロファイルデータが示される。図47(b)において、横軸はセンサヘッド100Aに対応する座標系の第1の座標軸x’を示し、縦軸はセンサヘッド100Aに対応する座標系の第2の座標軸z’を示す。図47(b)に示すように、本例のセンサヘッド100Aにより生成されるプロファイルデータは、図45(b)のプロファイルデータと同じである。
図47(c)に図47(a)のセンサヘッド100Bにより生成されるプロファイルデータが示される。図47(c)において、横軸はセンサヘッド100Bに対応する座標系の第1の座標軸x’’を示し、縦軸はセンサヘッド100Bに対応する座標系の第2の座標軸z’’を示す。図47(c)に示すように、本例のセンサヘッド100Bにより生成されるプロファイルデータは、図47(b)のプロファイルデータに対して第1の座標軸x’’のみが反転された座標系で表される。
本例では、第2の配置モードが設定される。そのため、センサヘッド100Bにより生成されるプロファイルデータについて、第1の座標軸x’’の向きを反転させる座標変換が行われる。一方、センサヘッド100Bにより生成されるプロファイルデータについて、第2の座標軸z’’の向きを反転させる座標変換は行われない。
さらに、センサヘッド100Bにより生成されるプロファイルデータが、設定された第1および第2の距離に基づいて、センサヘッド100Aに対応する座標系で表されるように座標変換される。その後、センサヘッド100Aに対応するプロファイルデータが示すプロファイル形状PAと、座標変換後のセンサヘッド100Bに対応するプロファイルデータが示すプロファイル形状PBとが表示部300の画面上に表示される。
図47(d)に、図47(b)のプロファイルデータに基づくプロファイル形状PAおよび図47(c)のプロファイルデータに基づくプロファイル形状PBの表示例が示される。図47(d)では、座標変換後のセンサヘッド100Bに対応するプロファイルデータがセンサヘッド100Aに対応する座標系で表されるように座標変換されていることを示すために、表示部300上で定義されかつ図47(b)の第1の座標軸x’および第2の座標軸z’にそれぞれ対応する第1の座標軸xa’および第2の座標軸za’を点線で表す。また、表示部300上で定義されかつ図47(c)の第1の座標軸x’’および第2の座標軸z’’にそれぞれ対応する第1の座標軸xa’’および第2の座標軸za’’を点線で表す。
本例においても、図45(d)の例と同様に、センサヘッド100Aに対応するプロファイル形状PAおよびセンサヘッド100Bに対応するプロファイル形状PBが表示部300に表示される状態で、それらのプロファイル形状PA,PBをマスタプロファイル形状PA,PBとして、位置補正設定処理、計測部分設定処理およびマスク設定処理を実行することが可能である。
図47(d)に示すように、表示部300の画面上で、θ補正モードの補正枠Cθ11がセンサヘッド100Aに対応するマスタプロファイル形状PAに設定される。その後、補正枠Cθ11に対応するように、計測枠D11,D12が2つのマスタプロファイル形状PA,PBにそれぞれ設定される。
(12−3)第3の配置モード
図48は、複数ヘッド設定処理後の補正枠および計測枠のさらに他の設定例を説明するための図である。本例では、2つのセンサヘッド100A,100Bが上記の第3の配置モードに対応する位置関係で配置される。
図48(a)に第3の配置モードに対応する2つのセンサヘッド100A,100Bの配置例が示される。本例のワークWQは本体部分ws2を有する。本体部分ws2は、平坦な上面およびX方向に湾曲する下面を有する。X方向における本体部分ws2の上面中央に矩形突条部wq1が形成されている。
図48(a)に示すように、センサヘッド100AはワークWQの上方に配置され、センサヘッド100BはワークWQの下方に配置される。Y方向において、センサヘッド100A,100BからケーブルCA,CBが延びる方向は同じである。X方向における2つのセンサヘッド100A,100B間の距離はd3である。Z方向における2つのセンサヘッド100A,100B間の距離はd4である。距離d3,d4に基づいて上記の第1および第2の距離がそれぞれ設定される。センサヘッド100Aから矩形突条部wq1を含む領域に向かってX方向に沿う帯状の光が照射される。センサヘッド100Bから本体部分ws2の下面の一部領域に向かってX方向に沿う帯状の光が照射される。
図48(b)に図48(a)のセンサヘッド100Aにより生成されるプロファイルデータが示される。図48(b)において、横軸はセンサヘッド100Aに対応する座標系の第1の座標軸x’を示し、縦軸はセンサヘッド100Aに対応する座標系の第2の座標軸z’を示す。図48(b)に示すように、センサヘッド100Aにより生成されるプロファイルデータは、矩形突条部wq1の表面に対応するプロファイルデータpd31および本体部分ws2の上面に対応するプロファイルデータpd41を含む。
図48(c)に図48(a)のセンサヘッド100Bにより生成されるプロファイルデータが示される。図48(c)において、横軸はセンサヘッド100Bに対応する座標系の第1の座標軸x’’を示し、縦軸はセンサヘッド100Bに対応する座標系の第2の座標軸z’’を示す。図48(c)に示すように、本例のセンサヘッド100Bにより生成されるプロファイルデータは、図48(b)のプロファイルデータに対して第1の座標軸x’’および第2の座標軸z’’が反転された座標系で表される。センサヘッド100Bにより生成されるプロファイルデータは、本体部分ws2の下面に対応するプロファイルデータpd51を含む。
本例では、第3の配置モードが設定される。そのため、センサヘッド100Bにより生成されるプロファイルデータについて、第1の座標軸x’’の向きを反転させる座標変換が行われる。また、センサヘッド100Bにより生成されるプロファイルデータについて、第2の座標軸z’’の向きを反転させる座標変換が行われる。
さらに、センサヘッド100Bにより生成されるプロファイルデータが、設定された第1および第2の距離に基づいて、センサヘッド100Aに対応する座標系で表されるように座標変換される。その後、センサヘッド100Aに対応するプロファイルデータが示すプロファイル形状PAと、座標変換後のセンサヘッド100Bに対応するプロファイルデータが示すプロファイル形状PBとが表示部300の画面上に表示される。
図48(d)に、図48(b)のプロファイルデータに基づくプロファイル形状PAおよび図48(c)のプロファイルデータに基づくプロファイル形状PBの表示例が示される。図48(d)では、座標変換後のセンサヘッド100Bに対応するプロファイルデータがセンサヘッド100Aに対応する座標系で表されるように座標変換されていることを示すために、表示部300上で定義されかつ図48(b)の第1の座標軸x’および第2の座標軸z’にそれぞれ対応する第1の座標軸xa’および第2の座標軸za’を点線で表す。また、表示部300上で定義されかつ図48(c)の第1の座標軸x’’および第2の座標軸z’’にそれぞれ対応する第1の座標軸xa’’および第2の座標軸za’’を点線で表す。
本例においても、図45(d)の例と同様に、センサヘッド100Aに対応するプロファイル形状PAおよびセンサヘッド100Bに対応するプロファイル形状PBが表示部300に表示される状態で、それらのプロファイル形状PA,PBをマスタプロファイル形状PA,PBとして、位置補正設定処理、計測部分設定処理およびマスク設定処理を実行することが可能である。
図48(d)に示すように、表示部300の画面上で、X補正モードの補正枠Cx12がセンサヘッド100Aに対応するマスタプロファイル形状PAに設定される。補正枠Cx12は第1の座標軸xa’’に直交するマスタプロファイル形状PAの線分Lx12の一部を含むように設定される。その後、補正枠Cx12に対応するように、矩形突条部wq1の上端部の対応部分に計測枠D13が設定される。さらに、補正枠Cx12に対応するように、センサヘッド100Bに対応するマスタプロファイル形状PBに計測枠D14が設定される。
この場合、補正枠Cx12に含まれる線分Lx12に対応するマスタプロファイルデータの第1の座標軸x’成分の平均値が代表値として設定される。また、補正枠Cx12と各計測枠D13,D14との対応関係が図1の記憶部210に記憶される。
上記のように、X補正モードの補正枠Cx12に計測枠D13,D14が設定されることにより、図48(a)のワークWQがX方向にずれた場合でも、補正枠Cx12内で予め設定された代表値が探索されることにより、第1の座標軸xa’におけるプロファイル形状PAの部分の移動量が位置ずれ量として算出される。算出された位置ずれ量に基づいて、計測枠D13,D14が第1の座標軸xa’に沿って移動される。このようにして、ワークWQの計測部分の位置が補正される。
計測枠D13,D14の位置が補正された後、計測枠D13,D14にそれぞれ対応する計測モードに応じてワークWPが計測される。
(12−4)第4の配置モード
図49は、複数ヘッド設定処理後の補正枠および計測枠のさらに他の設定例を説明するための図である。本例では、2つのセンサヘッド100A,100Bが上記の第4の配置モードに対応する位置関係で配置される。
図49(a)に第4の配置モードに対応する2つのセンサヘッド100A,100Bの配置例が示される。本例においては、図48(a)のワークWQと同じワークが用いられる。図49(a)に示すように、Y方向においてセンサヘッド100A,100BからケーブルCA,CBが延びる方向が逆である点を除いて、図48(a)の例と同様にセンサヘッド100A,100Bが配置される。
図49(b)に図49(a)のセンサヘッド100Aにより生成されるプロファイルデータが示される。図49(b)において、横軸はセンサヘッド100Aに対応する座標系の第1の座標軸x’を示し、縦軸はセンサヘッド100Aに対応する座標系の第2の座標軸z’を示す。図49(b)に示すように、本例のセンサヘッド100Aにより生成されるプロファイルデータは、図48(b)のプロファイルデータと同じである。
図49(c)に図49(a)のセンサヘッド100Bにより生成されるプロファイルデータが示される。図49(c)において、横軸はセンサヘッド100Bに対応する座標系の第1の座標軸x’’を示し、縦軸はセンサヘッド100Bに対応する座標系の第2の座標軸z’’を示す。図49(c)に示すように、本例のセンサヘッド100Bにより生成されるプロファイルデータは、図49(b)のプロファイルデータに対して第2の座標軸z’’のみが反転された座標系で表される。
本例では、第4の配置モードが設定される。そのため、センサヘッド100Bにより生成されるプロファイルデータについて、第2の座標軸z’’の向きを反転させる座標変換が行われる。一方、センサヘッド100Bにより生成されるプロファイルデータについて、第1の座標軸x’’の向きを反転させる座標変換は行われない。
さらに、センサヘッド100Bにより生成されるプロファイルデータが、設定された第1および第2の距離に基づいて、センサヘッド100Aに対応する座標系で表されるように座標変換される。その後、センサヘッド100Aに対応するプロファイルデータが示すプロファイル形状PAと、座標変換後のセンサヘッド100Bに対応するプロファイルデータが示すプロファイル形状PBとが表示部300の画面上に表示される。
図49(d)に、図49(b)のプロファイルデータに基づくプロファイル形状PAおよび図49(c)のプロファイルデータに基づくプロファイル形状PBの表示例が示される。図49(d)では、座標変換後のセンサヘッド100Bに対応するプロファイルデータがセンサヘッド100Aに対応する座標系で表されるように座標変換されていることを示すために、表示部300上で定義されかつ図49(b)の第1の座標軸x’および第2の座標軸z’にそれぞれ対応する第1の座標軸xa’および第2の座標軸za’を点線で表す。また、表示部300上で定義されかつ図49(c)の第1の座標軸x’’および第2の座標軸z’’にそれぞれ対応する第1の座標軸xa’’および第2の座標軸za’’を点線で表す。
本例においても、図48(d)の例と同様に、センサヘッド100Aに対応するプロファイル形状PAおよびセンサヘッド100Bに対応するプロファイル形状PBが表示部300に表示される状態で、それらのプロファイル形状PA,PBをマスタプロファイル形状PA,PBとして、位置補正設定処理、計測部分設定処理およびマスク設定処理を実行することが可能である。
図49(d)に示すように、表示部300の画面上で、X補正モードの補正枠Cx12がセンサヘッド100Aに対応するマスタプロファイル形状PAに設定される。その後、補正枠Cx12に対応するように、計測枠D13,D14が2つのマスタプロファイル形状PA,PBにそれぞれ設定される。
(12−5)マスク枠
図45〜図48の例では、センサヘッド100Aに対応するマスタプロファイル形状PAに補正枠が設定され、設定された補正枠に対応するように2つの計測枠が2つのマスタプロファイル形状PA,PBにそれぞれ設定される。これに限らず、センサヘッド100Aに対応するマスタプロファイル形状PAに補正枠が設定され、マスク設定処理により設定された補正枠に対応するように2つのマスク枠が2つのマスタプロファイル形状PA,PBにそれぞれ設定されてもよい。
(12−6)補正枠に関して
図45〜図48の例では、1つのワークに対して、1つの補正枠が設定され、設定された1つの補正枠に対応するように2つの計測枠が2つのマスタプロファイル形状PA,PBにそれぞれ設定される。これに限らず、複数ヘッド設定処理が行われる場合にも、上記の位置補正設定処理により1つのワークに対して複数の補正枠が設定されてもよい。
例えば、センサヘッド100Aに対応するマスタプロファイル形状PAに2つの補正枠が設定され、一方の補正枠に対応するように1つの計測枠がマスタプロファイル形状PBに設定されるとともに、他方の補正枠に対応するように1つの計測枠がマスタプロファイル形状PBに設定されてもよい。
これにより、ワークの複数の部分の位置が独立に変化するか否かに関らず、ワークの複数の部分の変位を計測することができる。
(13)複数ヘッド設定処理の効果
(13−1)本実施の形態に係る光学式変位計1においては、他のマスタプロファイル形状PBに設定された計測枠D12,D14を一のマスタプロファイル形状PAに設定された補正枠Cθ11,Cx12に対応付けることができる。この場合、ワークWP,WQの計測時に、一のマスタプロファイル形状PAに設定された補正枠Cθ11,Cx12内のプロファイル形状の位置ずれが算出される。また、計測枠D12,D14の位置が算出された位置ずれに基づいて補正されるとともに、補正された計測枠D12,D14内のプロファイル形状の部分を示すプロファイルデータを用いて計測処理が行われる。
このように、他のマスタプロファイル形状PBが当該他のマスタプロファイル形状PBからのプロファイル形状の位置ずれを検出するために適切な形状を含まない場合でも、他のマスタプロファイル形状PBに設定された計測枠D12,D14の位置が、一のマスタプロファイル形状PAに基づいて算出された位置ずれに基づいて補正される。その結果、ワークWP,WQの所望の部分の変位を正確に計測することが可能となる。
(13−2)センサヘッド100A,100Bの位置または向きが異なることによりセンサヘッド100A,100Bにそれぞれ定義される2つの座標系がそれぞれ異なる場合でも、センサヘッド100A,100Bにより生成されるプロファイルデータが、共通の座標系としてセンサヘッド100Aに対応する座標系で表されるように座標変換される。それにより、センサヘッド100A,100Bにそれぞれ対応するプロファイルデータが共通の座標系により表されるので、センサヘッド100Aに対応するマスタプロファイル形状からのプロファイル形状の位置ずれに基づいて、センサヘッド100Bに対応するマスタプロファイル形状に設定された計測枠の位置を容易に補正することができる。したがって、座標変換後のプロファイルデータを用いた計測処理が複雑化しない。
(13−3)複数ヘッド設定処理時には、X方向における2つのセンサヘッド100A,100B間の距離d1およびZ方向における2つのセンサヘッド100A,100B間の距離d2に基づいて第1の距離および第2の距離が設定される。これにより、センサヘッド100A,100Bの位置が異なることによりセンサヘッド100A,100Bにそれぞれ定義される2つの座標系がそれぞれ異なる場合でも、センサヘッド100A,100Bに対応するプロファイルデータを、設定された第1および第2の距離に基づいて共通の座標系でそれぞれ正確に表すことができる。
また、センサヘッド100Aに対応するマスタプロファイル形状PAからのプロファイル形状の位置ずれと第1の距離および第2の距離とに基づいて、センサヘッド100Bに対応するマスタプロファイル形状PBからのプロファイル形状の位置ずれを容易に算出することができる。その結果、マスタプロファイル形状PBに設定された計測枠の位置の補正量を容易に決定することができるので、処理時間が短縮される。
(13−4)図45〜図48の例において、センサヘッド100Aに対応する第1の座標軸x’の方向と共通の座標系の第1の座標軸(上記の例では、第1の座標軸x’)の方向との関係を第1の関係とし、センサヘッド100Bに対応する第1の座標軸x’’の方向と共通の座標系の第1の座標軸(上記の例では、第1の座標軸x’)の方向との関係を第2の関係とする。同様に、センサヘッド100Aに対応する第2の座標軸z’の方向と共通の座標系の第2の座標軸(上記の例では、第2の座標軸z’)の方向との関係を第3の関係とし、センサヘッド100Bに対応する第2の座標軸z’’の方向と共通の座標系の第2の座標軸(上記の例では、第2の座標軸z’)の方向との関係を第4の関係とする。
この場合、第1〜第4の関係は、使用者により第1〜第4の配置モードのいずれかが指定されることにより設定される。第1〜第4の関係が設定されることにより、センサヘッド100A,100Bの向きが異なることによりセンサヘッド100A,100Bにそれぞれ定義される2つの座標系がそれぞれ異なる場合でも、センサヘッド100A,100Bに対応するプロファイルデータを、指定された第1〜第4の配置モードに基づいて共通の座標系でそれぞれ正確に表すことができる。
(14)各種設定処理後の計測処理
複数ヘッド設定処理、位置補正設定処理、計測部分設定処理およびマスク設定処理が実行された後に計測処理が実行される。図50および図51は、計測処理を示すフローチャートである。以下の説明では、図1の本体部200にN個(本例では、N=2)のセンサヘッドが接続されているものとする。また、N個のセンサヘッドにそれぞれ対応するマスタプロファイル形状には、それぞれ1または複数の補正枠、計測枠およびマスク枠が設定されているものとする。
計測処理部205は、k番目(kは自然数)のセンサヘッドによりプロファイルデータが生成されたか否かを判定する(ステップS61)。変数kの初期値は1である。
k番目のセンサヘッドによりプロファイルデータが生成された場合、計測処理部205は、複数ヘッド設定処理による設定内容(上記の例では、配置モードならびに第1および第2の距離)に基づいて、k番目のセンサヘッドにより生成されたプロファイルデータについて座標変換を行うか否かを判定する(ステップS62)。
座標変換を行う場合、計測処理部205は、N個のセンサヘッドによりそれぞれ生成される複数のプロファイルデータが共通の座標系で表されるように、当該k番目のセンサヘッドにより生成されたプロファイルデータについて座標変換を行う(ステップS63)。その後、計測処理部205は、座標変換されたプロファイルデータを表示処理部206に与えることによりk番目のセンサヘッドに対応するk番目のプロファイル形状を表示部300の画面上に表示させる(ステップS64)。ステップS62において、座標変換が行われない場合、計測処理部205は、座標変換されていないプロファイルデータに基づいてk番目のセンサヘッドに対応するk番目のプロファイル形状を表示部300の画面上に表示させる。
続いて、計測処理部205は、i番目(iは自然数)の補正枠内におけるk番目のセンサヘッドに対応するマスタプロファイル形状からのプロファイル形状の部分の位置ずれ量を算出する(ステップS65)。変数iの初期値は1である。
計測処理部205は、算出された位置ずれ量をk番目の位置ずれ量として記憶部210に保持する(ステップS66)。その後、計測処理部205は変数iの値をi+1に更新する(ステップS67)。
次に、計測処理部205は、k番目のセンサヘッドに対応するマスタプロファイル形状にi番目の補正枠が設定されているか否かを判定する(ステップS68)。i番目の補正枠が設定されている場合には、計測処理部205はステップS65の処理に戻る。
ステップS68において、i番目の補正枠が設定されていない場合には、計測処理部205は、変数kがNであるか否かを判定する(ステップS69)。変数kがNでない場合には、計測処理部205は、変数kの値をk+1に更新し(ステップS70)、ステップS61の処理に戻る。
ステップS69において変数kがNである場合、計測処理部205は、N個のセンサヘッドにそれぞれ対応する複数のマスタプロファイル形状に設定された複数の計測枠およびマスク枠のうち少なくとも1つが他のマスタプロファイル形状に設定された補正枠に対応付けられているか否かを判定する(ステップS71)。以下、他のマスタプロファイル形状に設定された補正枠に対応付けられている複数の計測枠およびマスク枠のうち少なくとも1つを、他のマスタプロファイル形状対応枠と呼ぶ。他のマスタプロファイル形状対応枠がない場合、計測処理部205は後述するステップS74の処理に進む。
他のマスタプロファイル形状対応枠がある場合、計測処理部205は、ステップS66の処理により保持された1〜N番目の位置ずれ量および複数ヘッド設定処理による設定内容(上記の例では、第1および第2の距離)に基づいて他のマスタプロファイル形状対応枠の位置の補正量を算出する(ステップS72)。
例えば、上記の図45〜図47の例で説明したように、他のマスタプロファイル形状対応枠がθ補正モードの補正枠に対応付けられている場合には、まずその補正枠内の他のマスタプロファイル形状のずれ量に基づいて回転中心を設定するとともに回転角度を補正量として算出する。その後、第1および第2の距離に基づいて他のマスタプロファイル形状対応枠を設定された回転中心を基準として回転させる。
続いて、計測処理部205は、他のマスタプロファイル形状対応枠の位置を算出された補正量で補正する(ステップS73)。
その後、計測処理部205は、他のマスタプロファイル形状対応枠以外の計測枠およびマスク枠を1〜N番目の位置ずれ量に基づいて補正する(ステップS74)。例えば、1番目のセンサヘッドに対応する1番目のマスタプロファイル形状に設定された計測枠(またはマスク枠)については、その計測枠(またはマスク枠)の位置がステップS66で保持された1番目の位置ずれ量分移動される。
次に、計測処理部205は、補正後の全てのマスク枠内を除く補正後の全ての計測枠内のプロファイル形状の部分に対応するプロファイルデータを抽出する(ステップS75)。続いて、抽出されたプロファイルデータに基づいて設定された計測モードにおける計測部分の寸法を算出する(ステップS76)。その後、計測処理部205は、計測処理を終了する。
(15)請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
上記実施の形態においては、ワークWが測定対象物の例であり、投光部101が投光部の例であり、受光部102が受光部の例であり、プロファイル生成部204が生成部の例であり、マスタプロファイル形状MPが基準形状の例である。記憶部210が記憶部の例であり、表示部300が表示部の例であり、補正枠Cx1,Cx2,Cz1,Cz2,Cθ1,Cθ2が検出領域の例であり、計測枠D1〜D4が計測領域の例であり、マスク枠E1が除外領域の例であり、遮蔽枠G1が遮蔽領域の例である。入力部400が検出領域設定部、計測領域設定部、除外領域設定部または基準データ設定部の例であり、計測処理部205が処理部の例である。
請求項の各構成要素として、上記実施の形態に記載された構成要素の他、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の構成要素を用いることもできる。