JP5831616B2 - シリコーン(メタ)アクリルアミドモノマー - Google Patents

シリコーン(メタ)アクリルアミドモノマー Download PDF

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Description

本発明はシリコーンハイドロゲルに関するもので、該シリコーンハイドロゲルは、眼用レンズ、内視鏡、カテーテル、輸液チューブ、気体輸送チューブ、ステント、シース、カフ、チューブコネクター、アクセスポート、排液バック、血液回路、創傷被覆材および各種の薬剤担体などの医療用具、中でもコンタクトレンズ、眼内レンズ、人工角膜などに特に好適に用いられる。
近年、連続装用に用いられるコンタクトレンズの素材として、シリコーンハイドロゲルが知られている。シリコーンハイドロゲルは、シリコーン成分と親水性成分を組み合わせて得られるものであり、その一例として、シリコーンアクリルアミドモノマーと親水性アクリルアミドモノマー、親水性メタクリル酸エステル、および表面に濡れ性を付与するための内部湿潤剤を含む重合原液を重合して得られるシリコーンハイドロゲルが知られている(特許文献1、2)。
しかしながら、特許文献1、2記載の組成ではメタクリル酸エステルを比較的多く含むため、単独重合ではメタクリル酸エステルよりも高い重合速度定数を有するアクリルアミドモノマーが十分な重合速度を発揮できず、結果として系全体の重合速度が低下するという問題があった。
一方、特許文献3、4にはシリコーンアクリルアミドモノマーと親水性アクリルアミドモノマーからなるシリコーンハイドロゲルが開示されている。これらは組成の大半がアクリルアミド系モノマーであり、系全体の重合速度の向上が期待される。しかしながら、アクリルアミド基のアミド結合は高い親水性を有するため、高酸素透過性を付与するための十分な量のシリコーン成分と、レンズに柔軟性を与えるための十分な含水率を両立した上で、透明なレンズを得ることは困難であるという問題があった。特に表面の濡れ性を高めるために内部湿潤剤を加えた場合には透明なレンズを得ることは極めて困難であった。
一方、非特許文献1には分子内に水酸基を2個以上有する親水性アクリルアミドモノマーを用いたポリマーが記載されている。しかしながら、非特許文献1にはシリコーンモノマーとの共重合やそれにより得られるコポリマーの透明性、その他の諸物性についての記載はない。
米国特許7396890号 米国特許7214809号 米国特許4711943号 特開平10−212355号公報
Andre Laschewsky et al., Macromol. Chem. Phys. 2001,202,276-286
本発明は、アクリルアミドモノマー含有率が高く、かつ透明で含水率、濡れ性のバランスに優れたシリコーンハイドロゲルを提供することを目的とする。該シリコーンハイドロゲルは各種医療用具、中でもコンタクトレンズ、眼内レンズ、人工角膜などの眼用レンズに好適に用いられ、コンタクトレンズに特に好適である。
上記の目的を達成するために、本発明は下記の構成を有する。すなわち、
(1)複数種のモノマーを含む重合原液を重合することにより得られるシリコーンハイドロゲルであって、該重合原液が、少なくとも1種類のシリコーンモノマーを、モノマー成分およびポリマー成分の合計量に対して30〜98重量%含み、かつ少なくとも1種類の、分子内に2つ以上の水酸基を有する非シリコーン系(メタ)アクリルアミドモノマーを、モノマー成分およびポリマー成分の合計量に対して1〜50重量%含むことを特徴とするシリコーンハイドロゲル。
(2) 前記重合原液が、さらに分子量1000以上の親水性ポリマーを、モノマー成分およびポリマー成分の合計量に対して、1〜30重量%含むことを特徴とする(1)に記載のシリコーンハイドロゲル。
(3)前記シリコーンモノマーのうち少なくとも一部がシリコーン(メタ)アクリルアミドモノマーであって、前記重合原液中のモノマー成分の合計量に対する(メタ)アクリルアミドモノマーの含有量の合計が90重量%以上であることを特徴とする(1)または(2)に記載のシリコーンハイドロゲル。
(4) 前記シリコーンモノマーが少なくとも1つの水酸基を有することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のシリコーンハイドロゲル。
(5) 前記シリコーン(メタ)アクリルアミドモノマーが下記一般式(a1)または(a2)で表されることを特徴とする(4)記載のシリコーンハイドロゲル。
Figure 0005831616
(式(a1)、(a2)中、Rはそれぞれ独立に水素またはメチル基を表す。Rは少なくとも一つの水酸基を有する炭素数1〜20のアルキル基、Rはそれぞれ独立に置換されていてもいい炭素数1〜20のアルキレン基または炭素数6〜20のアリーレン基を表す。Rは置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基を表す。Aはシロキサニル基を表す。)
(6) 前記シリコーン(メタ)アクリルアミドモノマーが下記式(b1)〜(b4)のいずれかで表されることを特徴とする(3)記載のシリコーンハイドロゲル。
Figure 0005831616
(式(b1)〜(b4)中、Rはそれぞれ独立に水素またはメチル基を表す。R〜R13はそれぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基を表す。nは1〜50の自然数を表す。)
(7) 前記シリコーン(メタ)アクリルアミドモノマーが式(b1)または(b2)で表されることを特徴とする(3)記載のシリコーンハイドロゲル。
(8) 前記分子内に2つ以上の水酸基を有する非シリコーン系(メタ)アクリルアミドモノマーが下記一般式(c1)〜(c3)のいずれかで表されることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載のシリコーンハイドロゲル。
Figure 0005831616
(式(c1)〜(c3)中、Rはそれぞれ独立に水素またはメチル基を表す。)
(9) 前記親水性ポリマーがポリ−N−ビニルピロリドン、ポリ−N−ビニル−2−ピペリドン、ポリ−N−ビニル−2−カプロラクタム、ポリ−N−ビニル−3−メチル−2−カプロラクタム、ポリ−N−ビニル−3−メチル−2−ピペリドン、ポリ−N−ビニル−4−メチル−2−ピペリドン、ポリ−N−ビニル−4−メチル−2−カプロラクタム、ポリ−N−ビニル−3−エチル−2−ピロリドン、ポリ−N−ビニル−4,5−ジメチル−2−ピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリ−N−ビニルホルムアミド、ポリ−N−ビニルアセトアミド、ポリ−N−メチル−N−ビニルアセトアミド、ポリ−N,N−ジメチルアクリルアミド、ポリ−N,N−ジエチルアクリルアミド、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキシド、ポリ−2−エチルオキサゾリン、ヘパリン、ポリサッカリド、ポリアクリロイルモルホリン、およびこれらの混合物およびコポリマーからなる群から選ばれた親水性ポリマーであることを特徴とする(2)記載のシリコーンハイドロゲル。
(10) 前記親水性ポリマーがポリビニルピロリドン、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、およびそれらの共重合体からなる群から選ばれた親水性ポリマーであることを特徴とする(2)記載のシリコーンハイドロゲル。
(11) 前記重合原液中のモノマー成分の合計量に対する(メタ)アクリルアミドモノマーの含有量の合計が99重量%以上であることを特徴とする(3)に記載のシリコーンハイドロゲル。
(12) 前記重合原液が、さらに水酸基を有さない非シリコーン系(メタ)アクリルアミドモノマーを、重合原液中のモノマー成分およびポリマー成分の合計量に対して1〜50重量%含むことを特徴とする(1)〜(11)のいずれかに記載のシリコーンハイドロゲル。
(13) 前記水酸基を有さない非シリコーン系(メタ)アクリルアミドモノマーが、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドからなる群から選ばれたものであることを特徴とする(12)記載のシリコーンハイドロゲル。
(14) (1)〜(13)のいずれかに記載のシリコーンハイドロゲルからなる眼用レンズ。
(15) 請求項1〜13のいずれかに記載のシリコーンハイドロゲルからなるコンタクトレンズ。
本発明は、アクリルアミドモノマー含有率が高く、かつ透明で含水率、濡れ性のバランスに優れたシリコーンハイドロゲルを提供することを可能とする。該シリコーンハイドロゲルは各種医療用具、中でもコンタクトレンズ、眼内レンズ、人工角膜などの眼用レンズに好適に用いられ、コンタクトレンズに特に好適である。
本発明のシリコーンハイドロゲルは、下記(A)、(B)を満たす重合原液を重合して得られる。
(A)少なくとも1種類のシリコーンモノマーを、モノマー成分およびポリマー成分の合計量に対して、30〜98重量%含む
(B)少なくとも1種類の、分子内に2つ以上の水酸基を有する非シリコーン系(メタ)アクリルアミドモノマーを、モノマー成分およびポリマー成分の合計量に対して1〜50重量%含む
本発明においてシリコーンモノマーとは分子内に重合性基とシロキサニル基を有するモノマーを表す。シロキサニル基はSi−O−Si結合を少なくとも1つ有する基である。
本発明のシリコーンハイドロゲルに用いられるシリコーンモノマーの例として、下記一般式(a1)〜(a4)
Figure 0005831616
で表されるシリコーンモノマーが挙げられる。
式(a1)〜(a4)中、Rはそれぞれ独立に水素またはメチル基を表す。これらのうち、より重合速度を高めるために好ましいのは水素である。
は少なくとも一つの水酸基を有する炭素数1〜20のアルキル基を表す。その例として、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシ−1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル基などが挙げられる。
は置換されていてもいい炭素数1〜20のアルキレン基または炭素数6〜20のアリーレン基を表す。その例としてメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、オクチレン基、デシレン基、フェニレン基などが挙げられる。前記アルキレン基、アリーレン基は分岐状であっても直鎖状であってもよい。
は水素、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基またはアリール基を表す。その例として、水素、メチル基、エチル基、プロピル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、s−ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、イコシル基、フェニル基、ナフチル基などが挙げられる。前記アルキル基は分岐状であっても直鎖状であってもよい。Rの炭素数が多すぎると相対的にシリコーン含有量が下がり酸素透過性が低下することから、水素、または炭素数1〜10のアルキル基またはアリール基がより好ましく、水素、または炭素数1〜4のアルキル基が最も好ましい。
Aはシロキサニル基を表す。その好適な例として、下記一般式(f)
Figure 0005831616
で表されるシリコーン基が挙げられる。
一般式(f)中、E〜E11はそれぞれが互いに独立に水素、置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜20のアリール基のいずれかを表す。
一般式(f)中、hは0〜200の整数を表し、i、j、kはそれぞれが互いに独立に0〜20の整数を表す(ただし、h=i=j=k=0の場合を除く)。h+i+j+kの合計は、小さすぎると十分な酸素透過性が得られず、大きすぎると親水性モノマーとの相溶性が低下することから、2〜100が好ましく、2〜10がより好ましく、3〜8が最も好ましい。また、得られるシリコーンプレポリマーを重合して得られるポリマーの形状回復性の点で好ましいのは、i=j=k=0である。
これらのうち、系全体の重合速度向上の点で好ましいのは、一般式(a1)、(a2)で表されるシリコーン(メタ)アクリルアミドモノマーである。
一般式(a1)、(a2)で表されるシリコーン(メタ)アクリルアミドモノマーのより具体的な構造として、下記一般式(b1)〜(b4)
Figure 0005831616
で表されるシリコーン(メタ)アクリルアミドモノマーが挙げられる。
式(b1)〜(b4)中、Rはそれぞれ独立に水素またはメチル基を表す。これらのうち、重合速度を向上させる点でより好ましいのは水素である。
〜R13はそれぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基を表す。R〜Rの炭素数は多すぎると相対的にケイ素原子の含有量が低下し、シリコーンハイドロゲルの酸素透過性の低下を招くことから、炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がさらに好ましく、炭素数1のメチル基が最も好ましい。Rの炭素数は少なすぎるとポリシロキサン鎖が加水分解しやすくなり、多すぎるとシリコーンハイドロゲルの酸素透過性の低下を招くことから、炭素数1〜10のアルキル基、または炭素数6〜10のアリール基がより好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がさらに好ましく、炭素数2〜4のアルキル基が最も好ましい。R〜R13の炭素数は多すぎるとシリコーンハイドロゲルの酸素透過性が低下することから、1〜10のアルキル基、または6〜10のアリール基がより好ましく、1〜4のアルキル基がさらに好ましく、メチル基またはエチル基が最も好ましい。
nは1〜50の自然数を表す。nの値が小さすぎると十分な酸素透過性が得られず、大きすぎると親水性成分との相溶性が低下することから、2〜30がより好ましく、3〜10がさらに好ましく、3〜8が最も好ましい。
mは0〜2の自然数を表す。十分な酸素透過性を得るためにはmの値は0または1がより好ましい。
一般式(b1)〜(b4)で表されるシリコーン(メタ)アクリルアミドモノマーのうち、シロキサニル基が直鎖状であることから得られるシリコーンハイドロゲルの形状回復性が良好である点で好ましいのは一般式(b1)、(b2)で表されるシリコーン(メタ)アクリルアミドモノマーであり、得られるシリコーンハイドロゲルの透明性の点で最も好ましいのは一般式(b2)で表されるシリコーン(メタ)アクリルアミドモノマーである。
本発明のシリコーンハイドロゲルに用いられるシリコーンモノマーの使用量は、少なすぎるとシリコーンハイドロゲルの酸素透過性が十分ではなくなり、多すぎると親水性が十分でなくなることから重合原液中のモノマーおよびポリマー成分のうち、30〜98重量%である必要があり、40〜80重量%が好ましく、50〜70重量%がより好ましい。
本発明のシリコーンハイドロゲルは、分子内に2つ以上の水酸基を有する非シリコーン系(メタ)アクリルアミドモノマーを、重合原液中のモノマーおよびポリマー成分のうち1〜50重量%含む。なお、本発明において非シリコーン系(メタ)アクリルアミドモノマーとは分子内にシロキサニル基を含まない(メタ)アクリルアミドモノマーを表す。分子内に2つ以上の水酸基を有する非シリコーン系(メタ)アクリルアミドモノマーの特に好適な例として、下記一般式(c1)〜(c3)
Figure 0005831616
で表されるモノマーが挙げられる。
式(c1)〜(c3)中、Rはそれぞれ独立に水素またはメチル基を表す。これらのうち、より重合速度を向上させる点から好ましいのは水素である。また、これらのモノマーのうち、得られるシリコーンハイドロゲルの透明性の点で最も好ましいのは式(c1)で表されるモノマーである。
本発明のシリコーンハイドロゲルを得るための重合原液は、さらに下記(C)を満たすことが好ましい。
(C)分子量1000以上の親水性ポリマーを、モノマー成分およびポリマー成分の合計量に対して、1〜30重量%を含む
本発明のシリコーンハイドロゲルに用いられる親水性ポリマーの好適な例として、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリ−N−ビニル−2−ピペリドン、ポリ−N−ビニル−2−カプロラクタム、ポリ−N−ビニル−3−メチル−2−カプロラクタム、ポリ−N−ビニル−3−メチル−2−ピペリドン、ポリ−N−ビニル−4−メチル−2−ピペリドン、ポリ−N−ビニル−4−メチル−2−カプロラクタム、ポリ−N−ビニル−3−エチル−2−ピロリドン、ポリ−N−ビニル−4,5−ジメチル−2−ピロリドン、ポリビニルイミダゾール、ポリ−N−ビニルホルムアミド、ポリ−N−ビニルアセトアミド、ポリ−N−メチル−N−ビニルアセトアミド、ポリ−N,N−ジメチルアクリルアミド、ポリ−N,N−ジエチルアクリルアミド、ポリ−N−イソプロピルアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキシド、ポリ−2−エチルオキサゾリン、ヘパリン、ポリサッカリド、ポリアクリロイルモルホリン、およびこれらの混合物およびコポリマーなどが挙げられる。これらのうち、シリコーンハイドロゲル表面に賦与される濡れ性の点でより好ましいのは、ポリビニルピロリドン、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)、ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、およびそれらの共重合体であり、濡れ性と重合原液への溶解性とのバランスの点でさらに好ましいのはポリビニルピロリドン、ポリ(N,N−ジメチルアクリルアミド)である。
本発明のシリコーンハイドロゲルに用いられる親水性ポリマーの量は、少なすぎると十分な濡れ性が得られず、多すぎると重合原液に溶解しにくくなることから、重合原液中のモノマーおよびポリマー成分のうち、1〜30重量%が好ましく、2〜25重量%がより好ましく、3〜20重量%が最も好ましい。
本発明のシリコーンハイドロゲルに用いられる親水性ポリマーの分子量は、小さすぎると十分な濡れ性を賦与できず、大きすぎると重合原液に対する溶解性が低下したり、重合原液の粘度が高くなりすぎたりすることから、1000〜1000万が好ましく、10万〜100万がより好ましく、20万〜80万が最も好ましい。なお、本発明における親水性ポリマーの分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(カラム:東ソー株式会社製TSKgel GMPWXL、移動相:水/メタノール=50/50、0.1N硝酸リチウム添加、流速:0.5mL/分、検出器:示差屈折率検出器、分子量標準試料:ポリエチレングリコール)により測定された重量平均分子量(Mw)で表す。
本発明のシリコーンハイドロゲルを得るための重合原液は、さらに下記(D)を満たすことが好ましい。
(D)シリコーンモノマーのうち少なくとも一部がシリコーン(メタ)アクリルアミドモノマーであって、重合原液中のモノマー成分の合計量に対する(メタ)アクリルアミドモノマーの含有量の合計が90重量%以上
本発明のシリコーンハイドロゲルの重合に用いられるモノマー成分のうち、非アクリルアミドモノマーは、多すぎると全体の重合速度を低下させることから、重合原液中のモノマー成分の合計量に対する(メタ)アクリルアミドモノマーの含有量の合計は90重量%以上が好ましく、95重量%以上がより好ましく、99重量%以上がさらに好ましい。
本発明のシリコーンハイドロゲルは、分子内に2つ以上の水酸基を有する非シリコーン系アクリルアミドモノマーの他に、第2の非シリコーン系アミドモノマーを用いてもよい。その例として、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。これらのうち、親水性とシリコーンモノマーとの相溶性のバランス、および重合速度の点で好ましいのは、N,N−ジメチルアクリルアミドである。
前記第2の非シリコーン系(メタ)アクリルアミドモノマーの使用量は、多すぎると酸素透過性が低下し、少なすぎるとシリコーンハイドロゲルが固くなりすぎることから、重合原液中のモノマーおよびポリマー成分のうち、1〜50重量%が好ましく、10〜40重量%がより好ましく、15〜35重量%が最も好ましい。
本発明のシリコーンハイドロゲルは、重合性基を2つ以上有するモノマーを共重合成分として含むことができる。その場合、本発明のシリコーンハイドロゲルに耐溶剤性が付与される。重合性基を2つ以上有するモノマーの好適な例は、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリルトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、およびトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの二官能もしくは多官能アクリレート類、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−エチレンビスアクリルアミド、N,N’−プロピレンビスアクリルアミドなどのビスアクリルアミド類が挙げられる。これらの中で重合速度向上の点からはビスアクリルアミド類が好ましく、中でも好ましいのはN,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−エチレンビスアクリルアミドである。重合性基を2つ以上有するモノマーの使用量は、好適なレンズ形状が得られることから、0.1〜10重量%が好ましく、0.5〜8重量%がより好ましく、0.8〜5重量%が最も好ましい。
本発明のシリコーンハイドロゲルを重合により得る際は、重合をしやすくするために過酸化物やアゾ化合物に代表される熱重合開始剤や、光重合開始剤を添加することが好ましい。熱重合を行う場合は、所望の反応温度に対して最適な分解特性を有する熱重合開始剤を選択して使用する。一般的には10時間半減期温度が40℃〜120℃のアゾ系開始剤および過酸化物系開始剤が好適である。光重合開始剤としてはカルボニル化合物、過酸化物、アゾ化合物、硫黄化合物、ハロゲン化合物、および金属塩などを挙げることができる。これらの重合開始剤は単独または混合して用いられ、およそモノマー成分100重量%に対して1重量%くらいまでの量で使用される。
本発明のシリコーンハイドロゲルを重合により得る際は、重合溶媒を使用することができる。溶媒としては有機系、無機系の各種溶媒が適用可能である。例を挙げれば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、tert−ブタノール、tert−アミルアルコール、3,7−ジメチル−3−オクタノール、テトラヒドロリナロールなどの各種アルコール系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの各種芳香族炭化水素系溶剤、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、石油エーテル、ケロシン、リグロイン、パラフィンなどの各種脂肪族炭化水素系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの各種ケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、フタル酸ジオクチル、二酢酸エチレングリコールなどの各種エステル系溶剤、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールブロック共重合体、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコールランダム共重合体などの各種グリコールエーテル系溶剤であり、これらは単独あるいは混合して使用することができる。これらの中でアルコール系溶剤およびグリコールエーテル系溶剤は得られたシリコーンハイドロゲル中から溶剤を水による洗浄で容易に除去できる点で好ましい。
本発明のシリコーンハイドロゲルは、単独で所望の形状に成型して使用することもできるし、他の材料と混合してから成型することもできる。また成型品の表面にコーティングして適用することも好適である。
本発明のシリコーンハイドロゲルの用途としては、眼用レンズ、内視鏡、カテーテル、輸液チューブ、気体輸送チューブ、ステント、シース、カフ、チューブコネクター、アクセスポート、排液バック、血液回路、創傷被覆材および各種の薬剤担体などが挙げられるが、中でもコンタクトレンズ、眼内レンズ、人工角膜、角膜インレー、角膜オンレーなどの眼用レンズに特に好適に用いられ、コンタクトレンズに最も好適である。
本発明のシリコーンハイドロゲルを成型して眼用レンズとして用いる場合、その重合方法、成形方法としては通常次の方法を使用することができる。たとえば一旦、丸棒や板状に成形し、これを切削加工等によって所望の形状に加工する方法、モールド重合法、およびスピンキャスト法などである。
一例として本発明のシリコーンハイドロゲルからなる眼用レンズをモールド重合法により得る場合について、次に説明する。
モノマー組成物をレンズ形状を有する2枚のモールドの空隙に充填する。そして光重合あるいは熱重合を行ってレンズ形状に賦型する。モールドは樹脂、ガラス、セラミックス、金属等で製作されているが、光重合の場合は光学的に透明な素材が用いられ、通常は樹脂またはガラスが使用される。シリコーンハイドロゲルを製造する場合には、多くの場合、2枚の対向するモールドにより空隙が形成されており、その空隙にモノマー組成物が充填される。続いて、空隙にモノマー組成物を充填したモールドは、紫外線のような活性光線を照射されるか、オーブンや液槽に入れて加熱されて、モノマーを重合する。光重合の後に加熱重合したり、逆に加熱重合後に光重合するなど、両者を併用する方法もあり得る。光重合の場合は、例えば水銀ランプや捕虫灯を光源とする紫外線を多く含む光を短時間(通常は1時間以下)照射するのが一般的である。熱重合を行う場合には、室温付近から徐々に昇温し、数時間ないし数十時間かけて60℃〜200℃の温度まで高めていく条件が、ポリマーの光学的な均一性、品位を保持し、かつ再現性を高めるために好まれる。
本発明のシリコーンハイドロゲルは、種々の方法で改質処理を行うことができる。用途が眼用レンズであり、かつ内部に親水性ポリマーを含まない場合は特に表面の水濡れ性を向上させる改質処理を行うことが好ましい。
具体的な改質方法としては、電磁波(光を含む)照射、プラズマ照射、蒸着およびスパッタリングなどのケミカルベーパーデポジション処理、加熱、塩基処理、酸処理、その他適当な表面処理剤の使用、およびこれらの組み合わせを挙げることができる。これらの改質手段の中で、簡便であり好ましいのは塩基処理および酸処理である。
塩基処理または酸処理の一例としては、成型品を塩基性または酸性溶液に接触させる方法、成型品を塩基性または酸性ガスに接触させる方法等が挙げられる。そのより具体的な方法としては、例えば塩基性または酸性溶液に成型品を浸漬する方法、成型品に塩基性または酸性溶液または塩基性または酸性ガスを噴霧する方法、成型品に塩基性または酸性溶液をヘラ、刷毛等で塗布する方法、成型品に塩基性または酸性溶液をスピンコート法やディップコート法などを挙げることができる。最も簡便に大きな改質効果が得られる方法は、成型品を塩基性または酸性溶液に浸漬する方法である。
シリコーンハイドロゲルを塩基性または酸性溶液に浸漬する際の温度は特に限定されないが、通常−50℃〜300℃程度の温度範囲内で行われる。作業性を考えれば−10℃〜150℃の温度範囲がより好ましく、−5℃〜60℃が最も好ましい。
シリコーンハイドロゲルを塩基性または酸性溶液に浸漬する時間については、温度によっても最適時間は変化するが、一般には100時間以内が好ましく、24時間以内がより好ましく、12時間以内が最も好ましい。接触時間が長すぎると、作業性および生産性が悪くなるばかりでなく、酸素透過性の低下や機械物性の低下などの悪影響が出る場合がある。
塩基としてはアルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、各種炭酸塩、各種ホウ酸塩、各種リン酸塩、アンモニア、各種アンモニウム塩、各種アミン類およびポリエチレンイミン、ポリビニルアミン等の高分子量塩基などが使用可能である。これらの中では、低価格であることおよび処理効果が大きいことからアルカリ金属水酸化物が最も好ましい。
酸としては硫酸、リン酸、塩酸、硝酸等の各種無機酸、酢酸、ギ酸、安息香酸、フェノール等の各種有機酸、およびポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸などの各種高分子量酸が使用可能である。これらの中では、処理効果が大きく他の物性への悪影響が少ないことから高分子量酸が最も好ましい。
塩基性または酸性溶液の溶媒としては、無機、有機の各種溶媒が使用できる。例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなどの各種アルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの各種芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、石油エーテル、ケロシン、リグロイン、パラフィンなどの各種脂肪族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの各種ケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、フタル酸ジオクチルなどの各種エステル類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテルなどの各種エーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、ジメチルスルホキシドなどの各種非プロトン性極性溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレンなどのハロゲン系溶媒、およびフロン系溶媒などである。中でも経済性、取り扱いの簡便さ、および化学的安定性などの点で水が最も好ましい。溶媒としては、2種類以上の物質の混合物も使用可能である。
本発明において使用される塩基性または酸性溶液は、塩基性または酸性物質および溶媒以外の成分を含んでいてもよい。
シリコーンハイドロゲルは、塩基処理または酸処理の後、洗浄により塩基性または酸性物質を除くことができる。
洗浄溶媒としては、無機、有機の各種溶媒が使用できる。例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリンなどの各種アルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの各種芳香族炭化水素、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、石油エーテル、ケロシン、リグロイン、パラフィンなどの各種脂肪族炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどの各種ケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチル、フタル酸ジオクチルなどの各種エステル類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテルなどの各種エーテル類、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノン、ヘキサメチルホスホリックトリアミド、ジメチルスルホキシドなどの各種非プロトン性極性溶媒、塩化メチレン、クロロホルム、ジクロロエタン、トリクロロエタン、トリクロロエチレンなどのハロゲン系溶媒、およびフロン系溶媒などである。
洗浄溶媒としては、2種類以上の溶媒の混合物を使用することもできる。洗浄溶媒は、溶媒以外の成分、例えば無機塩類、界面活性剤、および洗浄剤を含有してもよい。
以上のような改質処理は、シリコーンハイドロゲル全体に対して行ってもよく、例えば表面のみに行うなどシリコーンハイドロゲルの一部のみに行ってもよい。表面のみに改質処理を行った場合にはシリコーンハイドロゲル全体の性質を大きく変えることなく表面の水濡れ性のみを向上させることができる。
本発明のシリコーンハイドロゲルの含水率は、少なすぎると固くなり、多すぎるとシリコーンハイドロゲル表面から水分が蒸発し装用時に乾燥感が生じることから、20〜50重量%が好ましく、25〜45重量%がより好ましく、30〜40重量%が最も好ましい。
本発明のシリコーンハイドロゲルの弾性率は、用途が眼用レンズ、特にソフトコンタクトレンズの場合、良好な装用感を得るためには200psi以下が好ましく、150psi以下がより好ましく、100psi以下が最も好ましい。
本発明のシリコーンハイドロゲルの伸度は、高ければシリコーンハイドロゲルが破れにくくなることから、100%以上が好ましく、150%以上がより好ましく、200%以上が最も好ましい。
本発明のシリコーンハイドロゲルの前進接触角は、用途が眼用レンズの場合は70°以下が好ましく、60°以下がより好ましく、50°以下が最も好ましい。
本発明のシリコーンハイドロゲルの酸素透過性は、酸素透過係数70×10−11(cm/sec)mLO/(mL・hPa)以上が好ましい。
本発明のシリコーンハイドロゲルの透明性は、用途が眼用レンズの場合はその品位の点で、該眼用レンズの含水状態での全光線透過率は85%以上が好ましく、88%以上がより好ましく、91%以上が最も好ましい。
本発明のシリコーンハイドロゲルは、眼用レンズ、内視鏡、カテーテル、輸液チューブ、気体輸送チューブ、ステント、シース、カフ、チューブコネクター、アクセスポート、排液バック、血液回路、創傷被覆材および各種の薬剤担体などの医療用具、中でもコンタクトレンズ、眼内レンズ、人工角膜などに特に好適である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。
測定方法
(1)全光線透過率
SMカラーコンピュータ(型式SM−7−CH、スガ試験機株式会社製)を用いて測定した。レンズ状サンプルの水分を軽く拭き取り、光路上にセットして測定を行った。ABCデジマチックインジケータ(ID―C112、株式会社ミツトヨ製)を用いて厚みを測定し、厚みが0.14〜0.15mmであるものを測定に用いた。
(2)弾性率・伸度
レンズ状サンプルから、最も狭い部分の幅5mmのアレイ型サンプルを切り出し、ABCデジマチックインジケータ(ID―C112、株式会社ミツトヨ製)を用いて厚みを測定し、テンシロン(東洋ボールドウィン社製RTM−100、クロスヘッド速度100mm/分)により、弾性率、伸度を測定した。
(3)含水率
シリコーンハイドロゲルの含水状態の重量(W1)、および乾燥状態の重量(W2)を測定し、次式により含水率を算出した。
含水率(%)=(W1−W2)/W1×100
ただし、本発明においてシリコーンハイドロゲルの含水状態とは、シリコーンハイドロゲルを25℃の純水に6時間以上浸漬した状態を意味する。また、シリコーンハイドロゲルの乾燥状態とは真空乾燥機で40℃、16時間以上乾燥させた状態を意味する。
(4)動的接触角
レンズ状サンプルから、幅5mmの短冊状サンプルを切り出し、レスカ社製動的接触角計WET−6000を用いて動的接触角の測定を行った(浸漬速度7mm/分)。
(5)応力ゼロ時間
レンズ中央付近から幅5mm、長さ約1.5cmの短冊状サンプルを切り出し、(株)サン科学製レオメータCR−500DXを用いて測定した。チャック幅を5mmに設定してサンプルを取り付け、速度100mm/分で5mm引っ張った後、同速度で初期長(5mm)まで戻す操作を3回繰り返した。2回目の初期長まで戻す途中の応力がゼロになった時点から、3回目の引っ張りを開始した後の応力がかかり始める(ゼロではなくなる)時点までの時間の長さを求め、応力ゼロ時間とした。応力ゼロ時間は、短いほどシリコーンハイドロゲルの形状回復性が良好であることを示し、2秒以下が好ましく、1.5秒以下がより好ましく、1.2秒以下が最も好ましい。
実施例1
下記式(s1)
Figure 0005831616
で表されるシリコーンモノマー(0.925g、56.06重量%)、N,N−ジメチルアクリルアミド(0.510g、31.27重量%)、下記式(h1)
Figure 0005831616
で表される非シリコーン系アクリルアミドモノマー(0.017g、1重量%)、ポリビニルピロリドン(PVP K90、0.132g、8重量%)、N,N’−メチレンビスアクリルアミド(MBA、0.018g、1.10重量%)、紫外線吸収剤2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロイロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール(0.036g、2.22重量%)、3−メチル−3−ペンタノール(3M3P、1.350g)、光開始剤イルガキュア1850(0.004g、0.25重量%)を混合し撹拌した。得られたモノマー混合物をアルゴン雰囲気下で脱気した。窒素雰囲気下のグローブボックス中で、レンズ形状を有する透明樹脂(フロントカーブ側:ゼオノア、ベースカーブ側:ポリプロピレン)製モールドの空隙にモノマー混合物を充填し、光照射(フィリップスTL03、1.6mW/cm、15分間)して硬化させることによりレンズを得た。得られたレンズを、70%(体積比)2−プロパノール(IPA)水溶液に室温で70分間浸漬することにより、モールドから剥離および残存モノマーなどの不純物の抽出を行った。水中に10分間浸漬後、5mLバイアル瓶中のホウ酸緩衝液(pH7.1〜7.3)に浸漬し、該バイアル瓶をオートクレーブに入れ、120℃で30分間煮沸処理を行った。
得られたレンズ状サンプルの全光線透過率、含水率、弾性率、伸度は表1の通りであり、透明で良好な物性バランスを有するレンズが得られた。
Figure 0005831616
実施例2〜6
組成を表1の通りに変える以外は実施例1と同様の重合を行い、レンズ状サンプルを得た。得られたサンプルの外観、全光線透過率、含水率、弾性率、伸度は表1の通りであった。
実施例7
非シリコーン系アクリルアミドモノマーとして、式(h2)で表されるモノマーの代わりに下記式(h2)
Figure 0005831616
で表されるモノマーを用いる以外は実施例1と同様にしてレンズ状サンプルを作製した。得られたサンプルの外観、全光線透過率、含水率、弾性率、伸度は表1の通りであった。
実施例8〜11
組成を表1の通りに変更する以外は実施例7と同様の重合を行い、レンズ状サンプルを得た。得られたサンプルの外観、全光線透過率、含水率、弾性率、伸度は表1の通りであった。
参考例1〜6
非シリコーン系アクリルアミドモノマーとして、式(h1)で表されるモノマーの代わりに下記式(h0)
Figure 0005831616
で表される2−ヒドロキシエチルアクリルアミド(HEAA)を用い、組成を表1の通りにする以外は実施例1と同様の重合を行い、レンズ状サンプルを得た。得られたサンプルの外観、全光線透過率、含水率、弾性率、伸度は表1の通りであった。
実施例12〜16
シリコーンアクリルアミドモノマーとして、下記式(s2)
Figure 0005831616
で表されるモノマーを用い、非シリコーン系アクリルアミドモノマーとして式(h1)または(h2)で表されるモノマーを用い、表2の組成で実施例1と同様にしてレンズ状サンプルを作製した。得られたサンプルの全光線透過率、含水率、弾性率、伸度は表2の通りであった。
Figure 0005831616
参考例7〜11
シリコーンアクリルアミドモノマーとして、式(s2)で表されるモノマー、非シリコーン系アクリルアミドモノマーとして式(h0)で表されるHEAAを用い、表2の組成で実施例1と同様にしてレンズ状サンプルを作製した。得られたサンプルの全光線透過率、含水率、弾性率、伸度は表2の通りであった。
本発明はシリコーンハイドロゲルに関するもので、該シリコーンハイドロゲルはコンタクトレンズ、眼内レンズ、人工角膜などに特に好適に用いられる。

Claims (1)

  1. 下記式(b1)又は(b2)で表される、シリコーン(メタ)アクリルアミドモノマー。
    Figure 0005831616
    (式(b1)および(b2)中、R はそれぞれ独立に水素またはメチル基を表す。R 〜R 13 はそれぞれ独立に炭素数1〜20のアルキル基、または炭素数6〜20のアリール基を表す。nは1〜50の自然数を表す。)
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