JP5826552B2 - 乾式二重床が設置される建物の重量床衝撃音レベルの予測方法 - Google Patents
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ところで、集合住宅等の各種建造物を構築する際に床衝撃音レベルを予測することができれば、スラブの厚さや梁せいなどを変更したり補強部材を設けるなどして、床衝撃音レベルを低減することができる。
スラブ素面の床衝撃音レベルの予測方法としては、従来、インピーダンス法による予測方法が知られている。これは、スラブの基本インピーダンスレベルを算出した後、スラブの周辺の拘束条件によるインピーダンスレベルの上昇量とインピーダンスレベルの共振による低下量とを算出してスラブのインピーダンス特性を計算し、スラブの打振点毎の重量床衝撃音レベルを予測する。具体的には、スラブ端部のインピーダンスレベルの上昇量がスラブの厚さと梁せいとの比に依存することから、スラブの厚さと梁せいとの比に応じたインピーダンスレベルの上昇量の予測式を求め、この予測式を用いてスラブ素面の床衝撃音レベルを予測する(例えば、非特許文献1,2参照)。
このように、壁式構造実験室に乾式二重床を設置して測定した重量床衝撃音レベルの低減量と壁式構造実験室のスラブのインピーダンスレベルの上昇量の計算値とを用いて乾式二重床設置後の重量床衝撃音レベルの低減量を予測するための予測式を求めるとともに、この予測式と乾式二重床が設置される前のスラブの打振点毎の重量床衝撃音レベルとを用いて乾式二重床が設置される建物の重量床衝撃音レベルを予測するようにしたので、前記重量床衝撃音レベルを精度良く予測することができる。
なお、壁式構造実験室の音源室に乾式二重床を設置して重量床衝撃音レベルの低減量を測定するステップ以外のステップにおけるインピーダンスレベルの上昇量や予測式の算出は、例えば、コンピュータのソフトウェアを用い、建物及び壁式構造実験室の設計仕様及び壁式構造実験室での測定データ等を入力データとすることで算出することができる。
このように、打振点毎の重量床衝撃音レベルを算出して建物の重量床衝撃音レベルを予測したので、乾式二重床が設置される建物の重量床衝撃音レベルの予測精度を更に向上させることができる。
まず、重量床衝撃音レベルを予測する住戸居室(以下、対象居室)を選定する(ステップS10)。図2は対象居室10の一例を示す平面図で、同図の符号S1〜S5が重量床衝撃音レベルを測定する部屋11の打振点である。本例では、測定対象を集合住宅の一室とした。集合住宅は鉄筋コンクリート造で、対象居室10のスラブ素面は梁12により二辺もしくは三辺拘束されている。
対象居室10の部屋11に設置が予定されている乾式二重床としては、図3(a)に示すような、スラブ20上にクッション性を有する防振材21Gを備えた床支持具21を配置し、その上に、補助パーティクルボード22を介して、パーティクルボード23と下地合板24とフローリング25とで構成された床材26を配置したもの(以下、type Aという)や、図3(b)に示すような、壁27側の床支持具21をクッション材28Gを備えた防振根太28で置き換えたもの(以下、type Bという)などが挙げられる。
type Aの乾式二重床では、床材26と壁27との間に2〜3mm程度の隙間(空気連通路)を設けるとともに、壁27に沿って取付けられている幅木29と床材26の間にも2〜3mm程度の隙間を設けることで、床材26の振動が壁27及びスラブ20を介して階下に伝達されるのを防止するようにしている。一方、type Bの乾式二重床では、防振根太28と壁27との間に緩衝材28Kを配置することで、床材26の振動が壁27及びスラブ20を介して階下に伝達されるのを防止するようにしている。
type Aの乾式二重床は、乾式二重床を先に施工し、その後に室内の間仕切り壁を施工する床先行工法により施工される。一方、type Bの乾式二重床は、間仕切り壁を先に施工し、その後にする乾式二重床を施工する壁先行工法により施工される。
具体的には、拘束がない場合のスラブの基本インピーダンスレベルL0と梁等の周辺拘束があった場合のスラブのインピーダンスレベルLとを算出してスラブのインピーダンスレベルの上昇量ΔLs=L−L0を算定するとともに、共振によるインピーダンスレベルの低下量を算出してスラブの振動速度算出に必要なインピーダンス特性を算出し、この算出されたインピーダンス特性を用いて、タイヤなどの打撃装置によりスラブ素面の各打振点Sk(k=1〜5)をそれぞれ打振した時に発生する重量床衝撃音の大きさである重量床衝撃音レベルVskをそれぞれ算出する。
打振点毎の重量床衝撃音レベルVskは、階下の受音室の吸音力を設定し、受音室に伝搬されたスラブ素面からの衝撃音の大きさを算出することで求めることができる。以下、Vskをスラブ素面の打振点毎の重量床衝撃音レベルの予測値という。
図4に示すように、壁式構造実験室30は、衝撃音発生源としてのバングマシーン(タイヤによる打撃装置)Hが設置された音源室31と、音源室31の階下の部屋で、マイクロフォンDが設置された受音室32とを備えたもので、バングマシーンHにより、図2に示した乾式二重床の床面の打振点Sk(k=1〜5)を打振し、マイクロフォンDにより、受音室32に伝搬される重量床衝撃音Vk(k=1〜5)を測定し、この重量床衝撃音Vkと乾式二重床を設置する前に予め測定しておいたスラブ素面における重量床衝撃音V0k(k=1〜5)とから重量床衝撃音レベルの低減量ΔVkを算出する。
なお、同図の符号PはマイクロフォンDにより検出した音圧信号を処理するコンピュータで、符号Rはレコーダーである。
また、壁式構造実験室30における重量床衝撃音の測定は、JIS−A−1440,1−2による方法で行った。
また、壁式構造実験室30のスラブ素面の打振点毎のインピーダンスレベルの上昇量の計算値ΔL0kは、前記ステップS11と同様の方法で算出する。
図5(a),(b)は、壁式構造実験室について、インピーダンスレベルの上昇量の計算値ΔL0kと重量床衝撃音レベルの低減量ΔVkとの関係を調べた結果を示す図で、各図に示すように、ΔL0kとΔVkとは高い相関を示すので、相関関係を示す一次回帰式を求め、下記に示すような、一次回帰式を予測式とした。
ΔVk=a・ΔL0k+b
なお、図5(a)は図3(a)に示したtype Aの乾式二重床での結果で、図5(b)は図3(b)に示したtype Bの乾式二重床での結果である。
インピーダンスレベルの上昇量の計算値ΔL0kと重量床衝撃音レベルの低減量ΔVkとは、type AではR=0.94、type BでもR=0.91と高い相関を示すことがわかった。したがって、前記の一次回帰式を予測式とすれば、乾式二重床が設置される前のスラブの打振点毎の重量床衝撃音レベルと予測式とから乾式二重床を設置した後の重量床衝撃音レベルを予測することができる。
次に、ステップS16で求めた乾式二重床の重量床衝撃音レベルの低減量の予測値ΔVkと、ステップS11で求めたスラブ素面の打振点毎の重量床衝撃音レベルの予測値Vskとから乾式二重床の打振点毎の重量床衝撃音レベルVDkを算出し(ステップS17)、この打振点毎の重量床衝撃音レベルVDkを算術平均して乾式二重床の重量床衝撃音レベルVDを算出する(ステップS18)。
また、前記例では、乾式二重床を設置する前のスラブ素面の打振点毎の重量床衝撃音レベルを計算によって予測したが、これらをスラブの構築後に測定によって求めてもよい。
また、前記例では、選定された一つの乾式二重床についての重量床衝撃音レベルVDを算出する場合について説明したが、異なる構成の乾式二重床についての重量床衝撃音レベルVDを算出する場合や、床支持具21の防振材21Gを構成するゴムクッションの硬度などの構造の一部を変更する場合には、ステップS12〜ステップS18の各ステップを再度行えばよい。
なお、このときには、ステップS14の壁式構造実験室のスラブ素面の打振点毎のインピーダンスレベルの上昇量の計算値ΔL0k(k=1〜5)については、改めて算出する必要はなく、前の構成の乾式二重床での重量床衝撃音レベルVDを算出したときに算出した値をそのまま用いればよい。
以下、本願の効果を実証した実験結果を述べる。
図6(a)は、スラブ素面の重量床衝撃音レベルの予測値と乾式二重床設置後の実測値の5点平均の分布を示す図で、図6(b)は、実測値と予測値とのレベル差の分布を示す図である。また、図7(a)は、本発明による乾式二重床を含む重量床衝撃音レベルの予測値と乾式二重床設置後の実測値の5点平均の分布を示す図で、図7(b)は、実測値と予測値とのレベル差の分布を示す図である。
図6(a)及び図7(a)において、白抜きの三角形はtype Aの乾式二重床のデータ、塗り潰した菱形はtype Bの乾式二重床のデータである。
また、図6(b)及び図7(b)において、白抜きの棒がtype Aの乾式二重床のデータ、塗り潰した棒がtype Bの乾式二重床のデータである。
また、図8は、重量床衝撃音レベルの予測値と実測値とのレベル差の確率密度分布を示す図で、実線が本発明による乾式二重床を含む重量床衝撃音レベルの予測値と実測値とのレベル差、破線がスラブ素面の予測値と実測値とのレベル差である。
これに対して、本発明による重量床衝撃音レベルの予測値は、図7(a)に示すように、69dB〜76dBに分布している。また、図7(b)に示すように、レベル差の平均値は、全体では1.2dB、type Aでは1.3dB、type Bでは1.0dBであり、乾式二重床設置後の実測値と予測値との差が大幅に小さくなっていることが分かった。また、標準偏差も、全体もtype Aもtype Bも2.8で分布も狭くなっていることが分かった。
また、図8に示すように、本発明による予測では、重量床衝撃音レベルの予測値と実測値との差は+5dB以内に90%程度含まれており、予測値と実測値との差は従来のスラブ素面による予測値に比べて平均値も0に近づいていることから、本発明の予測方法を用いれば、乾式二重床の重量床衝撃音レベルを精度よく予測できることが確認された。
20 スラブ、21 床支持具、21G 防振材、22 補助パーティクルボード、
23 パーティクルボード、24 下地合板、25 フローリング、26 床材、
27 壁、28 防振根太、28G クッション材、28K 緩衝材、29 幅木、
30 壁式構造実験室、31 音源室、32 重音室、
H バングマシーン、D マイクロフォン。
Claims (2)
- スラブ上に配置された複数の床支持具と前記床支持具上に設けられた複数の床板から成る床材とを備えた乾式二重床が設置される建物の重量床衝撃音レベルを予測する方法であって、
前記乾式二重床が設置される前の建物のスラブの基本インピーダンスレベルと前記スラブの周辺拘束によるインピーダンスレベルの上昇量とインピーダンスレベルの共振による低下量とを算出して前記乾式二重床が設置される前のスラブのインピーダンス特性を計算し、前記乾式二重床が設置される前のスラブの打振点毎の重量床衝撃音レベルを算出するステップと、
衝撃音発生源が設置された音源室と前記音源室の階下に位置し重量床衝撃音レベルを測定する測定器が設置された受音室とを備えた壁式構造実験室の前記音源室に乾式二重床を設置して重量床衝撃音レベルの低減量を測定するステップと、
前記壁式構造実験室のスラブの打振点毎のインピーダンスレベルの上昇量の計算値を求めるステップと、
前記インピーダンスレベルの上昇量の計算値と前記重量床衝撃音レベルの低減量との関係から重量床衝撃音レベルの低減量を予測するための予測式を求めるステップと、
前記乾式二重床が設置される前のスラブの打振点毎の重量床衝撃音レベルと前記予測式とを用いて前記乾式二重床が設置される建物の重量床衝撃音レベルを予測するステップと、を備えることを特徴とする乾式二重床が設置される建物の重量床衝撃音レベルの予測方法。 - 前記乾式二重床が設置される建物の重量床衝撃音レベルを予測するステップが、
前記予測式と前記算出された乾式二重床が設置される前のスラブの周辺拘束によるインピーダンスレベルの上昇量とから前記乾式二重床が設置される建物の重量床衝撃音レベルの低減量の予測値を算出するステップと、
前記乾式二重床が設置される前のスラブの打振点毎の重量床衝撃音レベルから前記乾式二重床が設置される建物の重量床衝撃音レベルの低減量の予測値を減じて前記乾式二重床が設置される建物の打振点毎の重量床衝撃音レベルを算出するステップと、
前記打振点毎の重量床衝撃音レベルを算術平均して前記乾式二重床が設置される建物の重量床衝撃音レベルの予測値を算出するステップと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の乾式二重床が設置される建物の重量床衝撃音レベルの予測方法。
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