JP5825955B2 - 窒化硼素/炭化珪素複合焼結体の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、窒化硼素/炭化珪素複合焼結体に関するものである。
しかし、BNとSiCを混合、焼結すると焼結体に色ムラが発生し、強度低下、耐熱性低下等の問題があった。
(1)比表面積11〜28m 2 /gで酸素含有量が13.34×A -0.58 (Aは、混合粉末中のBN質量%)以下の窒化硼素が20.0〜30.0質量%、比表面積8〜15m 2 /gの炭化珪素が68.0〜79.5質量%、炭化硼素又は炭化硼素と炭素が0.5〜2.8質量%の混合粉末であり、混合粉末の酸素量が0.85質量%以下、比表面積が10〜23m 2 /gである混合粉末を非酸化性雰囲気で圧力10〜50MPa、温度2000〜2050℃、保持時間1〜6時間のホットプレス焼結を用いて焼結することを特徴とするSiC−BN複合焼結体の製造方法。
ここでの色ムラとは、焼結体の基準部と比較部(例えば中央部と外周部)との色差であり、JIS Z 8730に準じ、L*a*b*系による色差E*abを測定し、色差E*abが1.0以上のものである。色差E*ab=1.0以上は、色の違いが容易に判別できるものである。
本願発明の焼結助剤に用いる炭素としては、高純度で微粉のカ−ボンであればいずれも使用可能であるが、その中でも炭化水素系原料を不完全燃焼あるいは熱分解し、微粉のカ−ボンが得られるカ−ボンブラックが好ましい。カ−ボンブラックの中でも、金属不純物の少ないアセチレンブラックがより好ましい。
焼結助剤としては、高温で揮発しにくい炭化硼素又は炭化硼素と炭素が0.5〜3質量%未満である。炭化硼素素又は炭化硼素と炭素が0.5質量%未満では、焼結が十分に起こらず、所望の高温(1500℃)強度が得られにくい。又炭化硼素又は炭化硼素と炭素が3質量%以上では、粒界の助剤層が増え十分な高温(1500℃)曲げ強度が得にくくなる。好ましくは、炭化硼素又は炭化硼素と炭素が0.6〜2.8質量%、より好ましくは、炭化硼素又は炭化硼素と炭素が0.7〜2.6質量%である。
好ましくは、混合粉末中の酸素は、1.08質量%以下であり、更に好ましくは、1.05質量%以下である。
混合粉末の比表面積が10m2/g未満であると焼結体の結晶が大きくなり、十分な常温及び高温(1500℃)強度が得られない。比表面積が45m2/gを越えると、使用する原料のBN及びSiCの比表面積も大きいものを使用するか、混合時、微粉砕する必要があり、コストが高くなり、高価なものとなる。好ましくは、比表面積12〜43m2/g、更に好ましくは、比表面積14〜40m2/gである。
上記の様なSiC単身より加工しやすく、色ムラの発生が無く、高温(1500℃)曲げ強度/常温曲げ強度比が1.3以上、高温(1500℃)曲げ強度350MPa以上で耐熱性の良好なSiC−BN複合焼結体を有する素材は、以下の条件を適用することで得られる。
(1) 比表面積は11m2/g以上で酸素含有量が13.34×A−0.58 ( Aは、混合粉末中のBN質量%)以下の窒化硼素2.5〜50質量%、
(2) 比表面積8.0m2/g以上の炭化珪素47〜97質量%
(3) 炭化硼素又は炭化硼素と炭素が0.5質量%以上3質量%未満
(4) 混合粉末中の酸素が1.10質量%以下、比表面積が10〜45m2/g
混合粉末を以下の条件でホットプレス焼結するものである。
(5)圧力10〜50MPa
(6)温度1800〜2150℃
(7)保持時間 1〜6時間
(8)非酸化性雰囲気
炭化珪素の比表面積は、焼結体の強度に関係し、比表面積8m2/g以下の場合、炭化珪素の焼結体の結晶粒子が大きくなり、所望の強度が得にくい。
焼結は、常圧焼結、加圧焼結、ホットプレス焼結等いずれも可能であるが、より緻密化しやすいホットプレス法が望ましい。(5)の圧力は、10MPa未満では、十分な焼結体が得られにくく、所望の強度が得られにくい。圧力50MPa以上では、設備が大きくなり、コスト的に不利となる。好ましくは、12〜45MPaで、更に好ましくは、15〜40MPaある。(6)の焼結温度1800℃未満では、十分緻密な焼結体が得られず、所望の強度が得られにくい。焼結温度2150℃を越えるとカ−ボンダイスに付着し、製品とダイスの分離が困難となる。好ましくは、1850℃〜2100℃である。より好ましくは、1900℃〜2080℃である。(7)の保持時間1時間未満では、十分な焼結体が得られにくく、所望の強度が得られにくい。6時間を超えると結晶粒径が大きくなり、強度低下を起こす。又、コストが高くなる。好ましくは、2〜4時間である。(8)の雰囲気は、非酸化性雰囲気で行う。
本発明と公知技術の違いを下記に示す。
特許文献1は、焼結助剤(好ましい焼結助剤として酸化アルミニウム、酸化マグネシュウム、酸化イットリウム、酸化カルシュウム、及びランタノイド金属の酸化物、スピネル等の複合酸化物、並びに窒化アルミニウムなどの窒化物からなる郡から選ばれる一種又は二種以上)を3〜25質量%と多量に含有している為、色むらの発生、高温強度及び耐熱性低下をまねいていた。更に混合粉末の酸素を低減するため、1450〜1650℃での熱処理のためコストアップを招くものであった。本発明は、特許文献1とは焼結助剤の種類及び添加量が異なっている。又、本発明は、混合粉末を焼結する前に加熱処理を行わなくても、焼結体の特性が優れた窒化硼素/炭化珪素複合焼結体を得ることができる。
特許文献3は、混合粉末の酸素が増加し、色ムラが発生しやすく、本発明より高温(1500℃)曲げ強度が劣るものであった。
特許文献4は、本発明と焼結助剤が事なる。又、色ムラも発生しやすく、本発明より高温(1500℃)曲げ強度が劣るものであった。
実施例1
先ず原料粉末は以下の方法で調整した。市販の炭化珪素粉末(純度98.9質量%、比表面積12.6m2/g、平均粒径0.71μm)、六方晶窒化硼素粉末(純度98.0質量%、平均粒径3.2μm、比表面積28m2/g、酸素1.07質量%)、市販の炭化硼素(平均粒径0.9μm)、及び黒鉛(比表面積72m2/g、純度99.9質量%以上)を表1に示す所定の割合にて混合した。混合は、エタノ−ル溶液、Si3N4ボ−ルを用い、ボ−ルミルにて湿式で20時間混合した後、乾燥、解砕し、混合粉末を得た。原料及び混合粉末の酸素量と比表面積を測定した。酸素量は、堀場製作所製のO/N同時分析機(EMGA−620W/C)を用い測定した。比表面積は、ユアサアイオニクス株式会社製モノソーブ(LOOP) 型式;MS−22を用い、BET法により測定した。
焼結体中央部より、幅4mm×厚さ3mm×長さ40mmに加工して、JIS R 1601に準じ常温曲げ強度を測定、JIS R 1604に順じArガスを流しながら1500℃の曲げ強度を測定した。JIS R 1602に準じ弾性率を測定した。曲げ強度測定試料を用い、Arガス中、2000℃で10時間加熱後の質量減少率を測定した。
これらの結果を表2に示す。
比表面積と酸素含有量の異なる六方晶窒化硼素粉末を用いた以外は、実施例1と同様な条件で行った。
実施例7〜8、参考例2〜4
比表面積と酸素含有量の異なる六方晶窒化硼素粉末と比表面積の異なる炭化珪素粉末を用い、窒化硼素、炭化珪素の配合比率、HP条件を変えた以外は、実施例1と同様な条件で行った。
実施例9〜11、14〜16、参考例5〜6
炭化珪素、窒化硼素、炭化硼素、炭素の配合比、HP条件を変えた以外は、実施例1と同様な条件で行った。
実施例17
混合時の混合液にF系溶剤(日本ゼオン社のゼオロ−ラHTA)を用い、混合したこと以外は、実施例1と同様な条件で行った。
比較のため、本発明の範囲外の条件(表1に示す)でHP焼結体を製作し、実施例1と同様な評価を行い表2にその結果を示す。
比較例15
焼結助剤として、一般的なY2O3とAl2O3の組み合わせにて、焼結体を製作し、実施例と同様に評価した。
比較例16
SiC単味の焼結体を製作し、実施例1と同様に評価した。
混合粉末中の酸素量が、本発明の範囲外の比較例1〜2及び比較例4の場合、HP焼結体の中央部に色ムラが発生し、常温及び高温(1500℃)曲げ強度が低く、2000℃加熱での重量減少が大きく、耐熱性に劣るものであった。組成が本発明の範囲外である比較例3のBN2.5質量%未満の場合、ワイヤ−カットによる切断面に大きな段付きが発生し、加工が困難であった。BN量が50質量%を越えた比較例4の場合、混合粉末の比表面積が小さい比較例5、比較例6の場合、及び焼結助剤の量が本発明の範囲外の比較例7〜9の場合、十分な常温及び高温(1500℃)強度が得られず低強度品であった。
HP焼結時の圧力、保持時間が本発明の範囲外である比較例12〜14の場合、十分な常温及び高温(1500℃)強度が得られず低強度品であった。焼結助剤として一般的なY2O3とAl2O3の組み合わせを用いた比較例15の場合、マダラ状の色ムラが発生し、十分な常温及び高温(1500℃)強度が得られず低強度品で本発明より劣るものであった。
SiC単味の比較例16の場合、ワイヤ−カットによる切断が困難で、加工性に問題があった。また、高温(1500℃)曲げ強度/常温曲げ強度の比が低かった。
Claims (1)
- 比表面積11〜28m 2 /gで酸素含有量が13.34×A -0.58 (Aは、混合粉末中のBN質量%)以下の窒化硼素が20.0〜30.0質量%、比表面積8〜15m 2 /gの炭化珪素が68.0〜79.5質量%、炭化硼素又は炭化硼素と炭素が0.5〜2.8質量%の混合粉末であり、混合粉末の酸素量が0.85質量%以下、比表面積が10〜23m 2 /gである混合粉末を非酸化性雰囲気で圧力10〜50MPa、温度2000〜2050℃、保持時間1〜6時間のホットプレス焼結を用いて焼結することを特徴とするSiC−BN複合焼結体の製造方法。
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