JP5825454B1 - 抵抗スポット溶接方法 - Google Patents

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Abstract

溶接条件が特殊な場合であっても、通電時間の増加や散りの発生なしに、適切な径のナゲットを得ることができる抵抗スポット溶接方法を提供することを目的とし、本発明は、通電パターンを2段以上の多段ステップに分割してテスト溶接及び本溶接を行う抵抗スポット溶接方法であって、テスト溶接では、ステップ毎に異なる電流値の定電流で通電を行い、単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化および単位体積当たりの累積発熱量を目標値として記憶させ、本溶接では、いずれかのステップにおいて、単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化量が、テスト溶接の実績から外れた場合に、その差を当該ステップの残りの通電時間内で補償するように通電量を制御すし、テスト溶接では、第1ステップの電流値をIa、第2ステップ以降の電流値をIxとしたとき、0.3?Ix≰Ia<Ixの関係を満足させる構成とした。

Description

本発明は、抵抗スポット溶接方法に関し、特に適応制御溶接を用いて適正なナゲットの形成を可能とするものである。
一般に、重ね合わせた鋼板同士の接合には、重ね抵抗溶接法の一種である抵抗スポット溶接法が用いられている。この溶接法は、重ね合わせた2枚以上の鋼板を、その上下から一対の電極で挟み、加圧しつつ、上下電極間に高い溶接電流を短時間通電して接合する方法である。高い溶接電流を流すことで発生する抵抗発熱を利用して、点状の溶接部が得られる。この点状の溶接部はナゲットと呼ばれ、重ね合わせた鋼板に電流を流した際に鋼板の接触箇所で両鋼板が溶融し、凝固した部分であり、これにより鋼板同士が点状に接合される。
良好な溶接部品質を得るためには、ナゲット径が適正な範囲で形成されることが重要である。ナゲット径は、溶接電流、通電時間、電極形状および加圧力等の溶接条件によって定まる。従って、適切なナゲット径を形成するためには、被溶接材の材質、板厚および重ね枚数等の被溶接材条件に応じて、上記の溶接条件を適正に設定する必要がある。
例えば、自動車の製造に際しては、一台当たり数千点ものスポット溶接が施されており、また次々と流れてくる被処理材(ワーク)を溶接する必要がある。この時、各溶接箇所における、被溶接材の材質、板厚および重ね枚数等の被溶接材条件が同一であれば、溶接電流、通電時間および加圧力等の溶接条件も同一の条件で同一のナゲット径を得ることができる。しかしながら、連続した溶接では、溶接を複数回行うにつれて電極の被溶接材接触面が次第に摩耗して、電極と被溶接材との接触面積が次第に広くなる。このように接触面積が広くなった状態で、初回の溶接時と同じ値の溶接電流を流すと、被溶接材中の電流密度が低下し、溶接部の温度上昇が低くなるために、ナゲット径は小さくなる。このため、数百〜数千点の溶接毎に、電極の研磨または交換を行い、電極の先端径が拡大しすぎないようにしている。
その他、予め定めた回数の溶接を行った後に溶接電流値を増加させて、電極の摩耗に伴う電流密度の低下を補償する機能(ステッパー機能)を備えた抵抗溶接装置が、従来から使用されている。このステッパー機能を使用するには、上述した溶接電流変化パターンを予め適正に設定しておく必要がある。しかしながら、このためには、数多くの被溶接材条件および溶接条件に対応した溶接電流変化パターンを、試験等によって導き出す必要があり、これには多くの時間とコストが必要になる。また、実際の施工においては、電極摩耗の進行状態にはバラツキがあるため、予め定めた溶接電流変化パターンが常に適正であるとはいえない。
さらに、溶接に際して外乱が存在する場合、例えば、溶接する点の近くにすでに溶接した点(既溶接点)がある場合や、被溶接材の表面凹凸が大きく、溶接する点の近くに被溶接材同士の接触点が存在する場合などには、溶接時に既溶接点や接触点に電流が分流する。このような状態では、所定の条件で溶接しても、電極直下の溶接したい位置における電流密度は低下するため、やはり必要な径のナゲットは得られなくなる。この発熱量不足を補償し、必要な径のナゲットを得るには、予め高い溶接電流を設定することが必要となる。
上記の問題を解決するものとして、以下に述べるような技術が提案されている。例えば、特許文献1には、推算した溶接部の温度分布と目標ナゲットを比較して溶接機の出力を制御することによって、設定されたナゲットが得られるようにした抵抗溶接機の制御装置が記載されている。
また、特許文献2には、溶接電流とチップ間電圧を検出し、熱伝導計算により溶接部のシミュレーションを行い、ナゲットの形成状態を推定することによって、良好な溶接を行うようにした抵抗溶接機の溶接条件制御方法が記載されている。
さらに、特許文献3には、被溶接物の板厚と通電時間とから、その被溶接物を良好に溶接できる単位体積当たりの累積発熱量を計算し、計算された単位体積・単位時間当たりの発熱量を発生させる溶接電流または電圧に調整する処理を行う溶接システムが記載されている。これを用いることにより、被溶接物の種類や電極の摩耗状態によらず良好な溶接ができる。
しかしながら、特許文献1および2に記載の抵抗スポット溶接方法では、熱伝導モデル(熱伝導シミュレーション)等に基づいてナゲットの温度を推定するため、複雑な計算処理が必要である。これには溶接制御装置の構成が複雑になるだけでなく、溶接制御装置自体が高価になるという問題があった。
また、特許文献3に記載の抵抗スポット溶接方法では、累積発熱量を目標値にして溶接電流または電圧を制御することで、電極の摩耗具合の如何にかかわらず常に良好な溶接が可能となる。しかし、設定した被溶接材条件と実際の被溶接材条件が大きく異なる場合、例えば、近くに前述した既溶接点などの外乱が存在する場合や、発熱量の時間変化パターンが短時間で大きく変化する場合や、目付量の多い溶融亜鉛めっき鋼板を溶接する場合などには、この溶接方法では適応制御が正確にできない。よって、最終的な累積発熱量を目標値に合わせることができても、発熱の形態、つまり溶接部の熱量パターン(温度の時間変化)が、目標とする良好な溶接部が得られた熱量パターンから外れる場合が生じる。この場合には必要とするナゲット径が得られなかったり、散りが発生したりする。例えは、分流の影響が大きな場合に、累積発熱量を目標値に合わせようとすると、鋼板−鋼板間ではなく電極・鋼板間近傍での発熱が著しくなり、鋼板表面からの散りが発生しやすくなる。
さらに、特許文献1〜3の技術は全て、電極先端が摩耗した場合の変化に対しては有効ではあるが、既溶接点との距離が短い場合など、分流の影響が大きい場合については何ら検討がなされておらず、実際に適応制御が働かない場合があった。
特開平9−216071号公報 特開平10−94883号公報 特開平11−33743号公報 特願2013−047180号明細書
上記の問題を解決するものとして、発明者らは先に、
「複数枚の金属板を重ね合わせた被溶接材を、一対の電極によって挟み、加圧しながら通電して接合する抵抗スポット溶接方法であって、
通電パターンを2段以上の多段ステップに分割して、溶接を実施するテスト溶接工程と本溶接工程とを有し、
前記テスト工程では、ステップ毎に、所定の電流値の定電流で通電を行い、適正なナゲットを形成する場合の電極間の電気特性から算出される、単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化および単位体積当たりの累積発熱量を目標値として記憶させ、
ついで、前記本溶接では、該テスト溶接で得られた単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化曲線を基準として溶接を開始し、
前記本溶接のいずれかのステップにおいて、単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化量が、基準である前記時間変化曲線から外れた場合に、その差を当該ステップの残りの通電時間内で補償するように通電量を制御して、本溶接の単位体積当たりの累積発熱量を、テスト溶接で予め求めた単位体積当たりの累積発熱量と一致させることを特徴とする抵抗スポット溶接方法。」を開発し、特許文献4において特許出願した。
上掲特許文献4に開示した技術により、電極先端が摩耗したり、外乱が存在する場合であっても、良好な径のナゲットを得ることができるようになった。しかしながら、溶接条件が特殊な場合、例えば、特に大きなナゲット径を確保する必要がある場合や、既溶接点が溶接点の直近に存在したり、既溶接点が溶接点の周囲に多数存在する場合には、時として電極近傍での発熱が過大となって散りが発生したり、満足のいく径のナゲットが得られない場合があった。
本発明は、上記の問題を有利に解決するもので、溶接条件が上記したような特殊な場合であっても、通電時間の増加や散りの発生なしに、適切な径のナゲットを得ることができる抵抗スポット溶接方法を提供することを目的とする。
発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた。前述したとおり、電極先端が摩耗した場合や外乱が存在する場合は、累積発熱量を目標値と合わせられたとしても、発熱の形態、つまり溶接部の熱量パターンが、目標とする良好な溶接部が得られた状態のそれと異なることがある。その際は必要とするナゲット径が得られなかったり、散りが発生したりする。
抵抗スポット溶接前および溶接初期は、溶接する点の鋼板間は抵抗が高く、通電径が確保されていない状態である。従って、この状態で、外乱が存在するなど分流の影響が大きな場合に、累積発熱量を目標値と合わせようとすると、鋼板間の通電径が確保されていない状態で電流値が大きく増加するため、鋼板−鋼板間ではなく電極−鋼板間近傍での発熱が著しくなる。その結果、発熱形態がテスト溶接時のそれと大きく異なってしまう。
これらの観点を踏まえてさらに検討を重ねた結果、テスト接時に、電極直下に通電経路を確保するための第1ステップにおける設定電流値を、引き続くナゲットを形成するための第2ステップ以降における設定電流値より小さくすることで、通電初期における電極近傍の発熱が効果的に抑制され、その結果、溶接部の温度分布を目標とするテスト溶接における温度分布(熱量パターン)に沿わせることが可能になるとの知見を得た。本発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
(1)複数枚の金属板を重ね合わせた被溶接材を、一対の電極によって挟み、加圧しながら通電して接合する抵抗スポット溶接方法であって、
通電パターンを2段以上の多段ステップに分割して溶接を実施するテスト溶接工程と本溶接工程とを有し、
前記テスト溶接では、ステップ毎に異なる電流値の定電流で通電を行い、適正なナゲットを形成する場合の電極間の電気特性から算出される、単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化および単位体積当たりの累積発熱量を目標値として記憶させ、
ついで、前記本溶接では、該テスト溶接で得られた単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化曲線を基準として溶接を開始し、
前記本溶接のいずれかのステップにおいて、単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化量が、基準である前記時間変化曲線から外れた場合に、その差を当該ステップの残りの通電時間内で補償するように通電量を制御して、本溶接の単位体積当たりの累積発熱量を、テスト溶接で予め求めた単位体積当たりの累積発熱量と一致させ、
前記テスト溶接では、第1ステップの電流値をI、第2ステップ以降の電流値をIとしたとき、これらI、Iが、次式
0.3×I≦I<I
の関係を満足することを特徴とする抵抗スポット溶接方法。
(2)前記第1ステップでは前記金属板間の通電径を確保するため、また前記第2ステップ以降では所定のナゲット径を得るための通電を行うことを特徴とする前記(1)に記載の抵抗スポット溶接方法。
本発明によれば、特に大きなナゲット径を必要としたり、既溶接点が溶接点の直近に存在したり、既溶接点が溶接点の周囲に多数存在するような特殊な溶接条件下でも、通電時間の増加や散りの発生なしに良好なナゲットを得ることができる。
(A)は、本発明の一実施形態における、2段ステップのテスト溶接を行った後の溶接部断面、(B)は、当該テスト溶接時の溶接電流値、電気抵抗値および累積発熱量の推移を示した図である。 (A)は、本発明の一実施形態における、2段ステップの本溶接(適応制御溶接)を行った後の溶接部断面、(B)は、当該本溶接時の溶接電流値、電気抵抗値および累積発熱量の推移を示した図である。 (A)は、比較例1における、2段ステップの定電流制御溶接を行った後の溶接部断面、(B)は、当該溶接時の溶接電流値、電気抵抗値および累積発熱量の推移を示した図である。 (A)は、比較例2における、1段ステップのテスト溶接を行った後の溶接部断面、(B)は、当該テスト溶接時の溶接電流値、電気抵抗値および累積発熱量の推移を示した図である。 (A)は、比較例2における、1段ステップの本溶接(適応制御溶接)を行った後の溶接部断面、(B)は、当該本溶接時の溶接電流値、電気抵抗値および累積発熱量の推移を示した図である。
本発明の一実施形態による抵抗スポット溶接方法は、通電パターンを2段以上の多段ステップに分割したテスト溶接工程と本溶接工程とを有すること、前記テスト溶接では、ステップ毎に、異なる電流値の定電流で通電を行い、適正なナゲットを形成する場合の電極間の電気特性から算出される、単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化および単位体積当たりの累積発熱量を目標値として記憶させておくこと、前記本溶接では、該テスト溶接で得られた単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化曲線を基準として溶接を開始し、いずれかのステップにおいて、単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化量が、基準である前記時間変化曲線から外れた場合に、その差を当該ステップの残りの通電時間内で補償するように通電量を制御して、本溶接の単位体積当たりの累積発熱量を、テスト溶接で予め求めた単位体積当たりの累積発熱量と一致させること、前記テスト溶接では、第1ステップの電流値Iが、第2ステップ以降の電流値Iに対して、0.3×I≦I<Iの範囲を満足するように制御すること、さらに好ましくは第1ステップでは金属板(例えば鋼板)間の通電径を確保するための通電、第2ステップ以降では所定のナゲット径を得るための通電を行うところに特徴を有している。なお、上記のような本溶接を本明細書では「適応制御溶接」という。
まず、テスト溶接について説明する。なお、この例では、溶接電流の通電を2段ステップで行う場合について説明する。被溶接材と同じ鋼種、厚みの溶接試験体を用いて、ギャップや既溶接点への分流のない状態で、定電流制御にて種々の条件で予備溶接を行い、テスト溶接における最適条件(加圧力、通電時間、及び電流値)を見つける。具体的には以下のようにする。なお、溶接機としてはインバータ直流抵抗スポット溶接機が好適であり、また電極としてはDR形先端のクロム銅電極が有利に適合する。
予備溶接及びテスト溶接において、通電パターンを2段ステップに分割する場合のステップ分けのタイミングは、例えば、被溶接材である鋼板間に溶融部が形成され始めた時点(電極直下に通電経路が形成され始めた時点)とすることができる。この場合には、このタイミングを決定するために、一定の加圧力Fの下で、種々の異なる溶接電流値および通電時間で複数回の溶接を行い、溶融部が形成され始める時点を見つける。なお、溶融部の形成はピール試験により確認することができる。そして、電流値I、通電時間Tで溶融部が形成されたとする。これを、テスト溶接における1段目溶接条件とする。なお、溶接部が形成され始める「電流値I、通電時間T」の組み合わせは複数あり得るが、電流値I及び通電時間Tのそれぞれは、タクトタイムや散り発生の可能性を考慮して適切な値とすればよい。後述の実施例では、電流値I=7.0kA、通電時間T=5cycとした。
次に、必要とするナゲット径が得られる溶接条件を決定するために、上記と同じ加圧力Fおよび電流値I、通電時間Tでの通電後、第2ステップの通電として、種々の通電時間及びおよび電流値で複数回の溶接を行う。なお、ナゲット径は、ピール試験やナゲット中央の断面観察(ピクリン酸飽和水溶液にてエッチング)により求めることができる。そして、電流値I、通電時間Tで所望のナゲット径が形成されたとする。これを、テスト溶接における2段目溶接条件とする。なお、所望のナゲット径が形成される「電流値I、通電時間T」の組み合わせは複数あり得るが、電流値I及び通電時間Tのそれぞれは、タクトタイムや散り発生の可能性を考慮して適切な値とすればよい。後述の実施例では、電流値I=9.0kA、通電時間T=13cycとした。
以上の実験結果から、テスト溶接の条件を次のように決定する。
・1段目溶接条件 加圧力F、通電時間T、溶接電流値I
・2段目溶接条件 加圧力F、通電時間T(=T−T)、溶接電流値I
決定された条件で、予備溶接で用いた溶接試験体と同じ鋼種、厚みの被溶接材に対してテスト溶接を行う。そして、テスト溶接中における、電極間の電気特性から算出される、単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化および単位体積当たりの累積発熱量を目標値としてステップ毎に記憶させる。なお、本明細書において「電極間の電気特性」とは、電極間抵抗または電極間電圧を意味する。
本実施形態では、上記した1段目の溶接と引き続く2段目の溶接とで、電流値の関係を適正に制御することが重要であるが、この点については後で詳述する。
上記のテスト溶接後、本溶接を行う。本溶接は、テスト溶接で用いた被溶接材と鋼種、厚みは同じ別の被溶接材に対して行ってもよいし、テスト溶接で用いた被溶接材の別の部位に対して行ってもよい。本溶接では、上記のテスト溶接で得られた単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化曲線を基準として溶接を開始する。そしていずれのステップにおいても、単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化量が、基準である時間変化曲線に沿っている場合には、そのまま溶接を行って溶接を終了する。
ただし、いずれかのステップにおいて、単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化量が、基準である前記時間変化曲線から外れた場合には適応制御溶接を行う。具体的には、その差を当該ステップの残りの通電時間内で補償するように通電量を制御する。このようにして、本溶接における単位体積当たりの累積発熱量を、テスト溶接で予め求めた単位体積当たりの累積発熱量と一致させるのである。これにより、電極先端が摩耗したり、外乱の存在下においても必要な累積発熱量を確保して、適正な径のナゲットを得ることができる。
単位体積当たりの発熱量の算出方法は特に制限されないが、特許文献3にその一例が開示されており、本実施形態でもこの方法を採用することができる。この方法による単位体積当たりの累積発熱量Qの算出要領は次のとおりである。
2枚の被溶接材の合計厚みをt、被溶接材の電気抵抗率をr、電極間電圧をV、溶接電流をIとし、電極と被溶接材が接触する面積をSとする。この場合、溶接電流は、面積S、厚みtの柱状部分を通過して、抵抗発熱を発生させる。この柱状部分における単位体積・単位時間当たりの発熱量qは次式(1)で求められる。
q=(V・I)/(S・t) −−− (1)
また、この柱状部分の電気抵抗Rは、次式(2)で求められる。
R=(r・t)/S −−− (2)
(2)式をSについて解いてこれを(1)式に代入すると、発熱量qは次式(3)
q=(V・I・R)/(r・t
=(V)/(r・t) −−− (3)
となる。
上掲式(3)から明らかなように、単位体積・単位時間当たりの発熱量qは、電極と被溶接物が接触する面積Sによる影響を受けない。なお、(3)式は電極間電圧Vから発熱量qを計算しているが、電極間電流Iから発熱量qを計算することもでき、このときにも電極と被溶接物が接触する面積Sを用いる必要がない。
そして、単位体積・単位時間当たりの発熱量qを通電期間にわたって累積すれば、溶接に加えられる単位体積当たりの累積発熱量Qが得られる。(3)式から明らかなように、この単位体積当たりの累積発熱量Qもまた、電極と被溶接材が接触する面積Sを用いないで算出することができる。
以上、特許文献3に記載の方法によって、累積発熱量Qを算出する場合について説明したが、その他の算出式を用いても良いのは言うまでもない。
ここで、外乱がとりわけ著しい場合、例えば
(1)特に大きなナゲット径を確保する必要がある場合(例えばナゲット径が4.5√t以上の場合)や、
(2)既溶接点が溶接点の直近に存在したり(例えば溶接点と既溶接点の間の距離が7mm以下の場合)、既溶接点が溶接点の周囲に多数存在する(例えば溶接点の周囲に既溶接点が3個以上存在する)場合
などには、溶接部の熱量パターンが、目標とする、テスト溶接における熱量パターンと異なるものとなり、時として電極近傍での発熱が過大となって散りが発生したり、満足のいく径のナゲットが得られない場合があったことは、前述したとおりである。
そこで、以下、本発明の一実施形態として、溶接部と既溶接点との間隔が狭い場合を例にとって説明する。この場合も、テスト溶接及び本溶接ともに、通電パターンは2段ステップに分割して行うものとする。
第1ステップでは、鋼板間の界面が消失するまで、また第2ステップでは、所定のナゲット径が得られるまで通電することは、既述のとおりである。なお、第1ステップにおいては、適応制御を行った際に散りが発生しない範囲であれば、若干の溶融部が形成されていてもよい。
本実施形態では、テスト溶接における、上記した第1ステップ(電極直下に通電経路を確保するためのステップ)と、引き続く第2ステップ(所定径のナゲットを形成するためのステップ)との電流値の関係を適正化することと、本溶接における電極近傍の温度を効果的に低下して、本溶接における溶接部の熱量パターンを、目標とするテスト溶接における熱量パターンに沿わせることが共に重要である。
これら第1ステップおよび第2ステップのテスト溶接を行い、それぞれのステップにおける単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化および単位体積当たりの累積発熱量を記憶させる。
本溶接では、上記のテスト溶接で得られた単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化曲線を基準として溶接を開始する。そして、いずれかのステップにおいて、単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化量が、基準である時間変化曲線から外れた場合には、その差を当該ステップの残りの通電時間内で補償するように通電量(具体的には溶接電流値)を制御する。このようにして、本溶接の各ステップにおける単位体積当たりの累積発熱量が、テスト溶接で記憶させた単位体積当たりの累積発熱量と一致するようにする。これにより、至近既溶接点に起因した分流の有無にかかわらず、本溶接におけるステップ毎の発熱パターンをテスト溶接のそれに合わせることができる。その結果、特殊な外乱の存在下でも安定したナゲットの形成が達成される。
本実施形態では、テスト溶接において、第1ステップの電流値をI、第2ステップ以降の電流値をIとしたとき、これらI、Iが、次式
0.3×I≦I<I
の関係を満たすように制御する。第1ステップにおける電流値Iが0.3×I未満では、本溶接で発熱量が低く、鋼板間の通電経路を確保することができず、第2ステップ以降で散りが発生する。一方、第1ステップの電流値IがI以上では、本溶接での単位体積当たりの累積発熱量が、テスト溶接で記憶させた単位体積当たりの累積発熱量(目標値)から大きく外れた際に、本溶接の第1ステップで散りが発生しやすくなる。
また、テスト溶接及び本溶接の両方において、第1ステップの通電時間T(サイクル/50Hz)は、3サイクル以上10サイクル以下とすることが好ましい。第1ステップの通電時間Tが3サイクル未満では、発熱量が低く、鋼板間の通電経路を確保することができず、第2ステップ以降で散りが発生する。一方、第1ステップの通電時間Tが10サイクルを超えると、本溶接での単位体積当たりの累積発熱量が目標値から大きく外れた際に、本溶接の第1ステップで散りが発生しやすくなる。なお、この第1ステップにおいては、適応制御を行った際に散りが発生しない範囲であれば、溶融部が形成されてもよいことは、前述したとおりである。
テスト溶接及び本溶接の両方において、各ステップとも加圧力Fは、1.0〜7.0kN程度とすることが好ましい。なお、テスト溶接と本溶接とで加圧力Fは同じでもよいし、異なっていてもよい。また、加圧力Fは必要に応じて通電中に変化させてもよい。
以上、テスト溶接及び本溶接における通電パターンを2段に分割した場合について主に説明したが、本発明では、必要に応じて3段に分割することもできる。なお、本発明においてステップ数はテスト溶接と本溶接とで同じとなる。
すなわち、被溶接材がめっき鋼板の場合には、めっきの溶融を考慮した3段分割とすることが、より好適である。というのは、電極直下は分流の影響が大きく、めっきが存在する場合、そこに安定した通電経路が形成されるまでの現象が大きく異なるためである。めっきの融点は鋼板より低いため、通電を開始するとはじめに鋼板間のめっきが溶融に至り、溶融しためっきの一部は、加圧力により鋼板間から吐き出される。このとき吐き出されためっきが通電面積を広げることとなるため、溶接中の電極間抵抗が大きく減少する。一方で、被溶接材の固有抵抗は温度上昇とともに増加するため、通電時間とともに固有抵抗値も上昇する。すなわち、通電面積拡大による電極間抵抗の減少に引き続き、被溶接材の温度の上昇による電極間抵抗の上昇が生じるようになり、その後、溶融部が形成されることになる。よって、めっきが溶融して急激に通電面積が拡大する段階、その後の通電により電極間に安定した通電経路(溶融部)が形成されるまでの段階、および、その後のナゲット成長過程の3段に溶接プロセスを分解して、それぞれの段階で、単位体積当たりの累積発熱量を補償するように適応制御溶接を行う。これにより、めっき鋼板の抵抗スポット溶接で溶接点の近くに既溶接点が存在しても、安定して通電経路が形成され、その後の第3ステップで安定したナゲットの成長が可能になる。
(実施例1)
被溶接材として、厚みが1.6mmの鋼材(270MPa)を準備した。また、テスト溶接及び本溶接ともに、通電パターンを2段に分割して行うこととした。
既述の方法で、この被溶接材を2枚重ねにし、ギャップや既溶接点への分流のない状態にて定電流制御にて予備溶接を行い、適切なナゲット径が得られる溶接条件を求めた。溶接機にはインバータ直流抵抗スポット溶接機を用い、電極にはDR形先端径6mmのクロム銅電極を用いた。その結果、テスト溶接の溶接条件は、1段目を加圧力:3.5kN、溶接電流:7.0kA、通電時間:5cyc、2段目を加圧力:3.5kN、溶接電流:9.0kA、通電時間:13cycとした。なお、本明細書において、通電時間は50Hzにおけるcycle数で表示する。
予備溶接で用いた鋼材と同じ鋼種、厚みの別の被溶接材に対して、この溶接条件にてテスト溶接を行い、単位体積当たりの瞬間発熱量の時間変化および単位体積当たりの累積発熱量を目標値としてステップ毎に記憶させた。
このテスト溶接を行った後の溶接部断面を図1(A)に、当該テスト溶接時の溶接電流値、電気抵抗値および累積発熱量の推移を図1(B)に示す。図1(A)に示したとおり、このテスト溶接では、6.2mm(≒5√t)のナゲット径が得られている。また、1段目での累積発熱量は88J、2段目での目標累積発熱量は163Jであった。これらが目標値となる。
ついで、テスト溶接で用いた鋼材と同じ鋼種、厚みの別の被溶接材に対して、以下の条件で本溶接を実施した。すなわち、溶接点の近傍(溶接点中央間隔:10mm)に予め既溶接点が存在し、分流の影響が大きい条件で、上記したテスト溶接を基準として、本発明に従う適応制御溶接を行った。すなわち、テスト溶接で得られた単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化曲線を基準として抵抗スポット溶接を開始した。また、1段目、2段目ともに、単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化量が、基準である前記時間変化曲線から外れた場合には、その差を当該ステップの残りの通電時間内で補償するように通電量、すなわち溶接電流値を制御した。
この本溶接を行った後の溶接部断面を図2(A)に、当該本溶接時の溶接電流値、電気抵抗値および累積発熱量の推移を図2(B)に示す。図2(B)に示したとおり、本実施例1の場合は、ステップ毎の累積発熱量がテスト溶接の場合と同様になるように、溶接電流値が大きく変化しており、その結果、ナゲット径も6.2mmとほぼ目標どおりのナゲット径を得ることができた。また、散りなどの溶接欠陥は発生しなかった。1段目での累積発熱量は85J、2段目での累積発熱量は165Jであり、テスト溶接とほぼ同様な累積発熱量が得られていた。
(比較例1)
被溶接材として厚みが1.6mmの鋼材(270MPa)に対して、溶接点の近傍(溶接点中央間隔:10mm)に予め既溶接点が存在する同じ条件で、定電流制御による抵抗スポット溶接を行った。溶接条件は、上記テスト溶接と同じ(1段目を加圧力:3.5kN、溶接電流:7.0kA、通電時間:5cyc、2段目を加圧力:3.5kN、溶接電流:9.0kA、通電時間:13cyc)とした。
この溶接後の溶接部断面を図3(A)に、当該溶接時の溶接電流値、電気抵抗値および累積発熱量の推移を図3(B)に示す。1段目での累積発熱量は42J、2段目での累積発熱量は122Jであり、分流による熱量の低下が見られた。また、4.3mmという小径のナゲットしか得られなかった。
(比較例2)
以下の方法で、従来の1段適応制御溶接を行った。
まずは、ギャップや既溶接点への分流のない状態にて、被溶接材として厚みが1.6mmの鋼材(270MPa)に対して、加圧力:3.5kN、通電時間:16cyc、溶接電流:9.0kAの条件でテスト溶接を行い、単位体積当たりの瞬間発熱量の時間変化および単位体積当たりの累積発熱量を目標値として記憶させた。
ついで、テスト溶接で用いた鋼材と同じ鋼種、厚みの別の被溶接材に対して、以下の条件で本溶接を実施した。すなわち、溶接点の近傍(溶接点中央間隔:10mm)に予め既溶接点が存在し、分流の影響が大きい条件で、上記したテスト溶接を基準として、適応制御溶接を行った。すなわち、テスト溶接で得られた単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化曲線を基準として抵抗スポット溶接を開始した。また、単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化量が、基準である前記時間変化曲線から外れた場合には、その差を当該ステップの残りの通電時間内で補償するように通電量、すなわち溶接電流値を制御した。
このテスト溶接の後の溶接部断面を図4(A)に、テスト溶接時の溶接電流値、電気抵抗値および累積発熱量の推移を図4(B)に示す。また、本溶接後の溶接部断面を図5(A)に、本溶接時の溶接電流値、電気抵抗値および累積発熱量の推移を図5(B)に示す。図4(A)に示したとおり、テスト溶接では、6.3mmのナゲット径が得られており、また散りの発生もなかった。しかし、図5(A)に示したとおり、本溶接後には鋼板表面から表散りが発生していた。
ここで、本溶接において散りが発生した9.5cyc時点におけるテスト溶接の目標累積発熱量は195Jであったのに対し、本溶接の累積発熱量は190Jであり、両者はほぼ同じであった。この結果から、従来の1段適応制御では、累積発熱量の制御は適正に行えているにも関わらず、鋼板表面付近の発熱が優先的に生じたために、鋼板表面から散りが発生したことが分かる。
(実験例)
次に、表1に示す2枚の薄鋼板を重ね合わせた板組み、溶接条件で抵抗スポット溶接を行い、溶接継手を作製した。なお、テスト溶接は、表1に示す条件で既溶接点のない状態で行った。本溶接は、表1に示す条件で行った。なお、表1中の「本溶接の制御方法」における「2段適応制御」は、上記実施例1に記載の本溶接の方法であり、「定電流制御」は、上記比較例1に記載の方法であり、「1段適応制御」は、上記比較例2に記載の本溶接の方法である。
得られた溶接継手について、溶接部を切断し、断面をエッチング後、光学顕微鏡により観察してナゲット径を測定した。4.5√t(t:板厚(mm))以上のナゲット径が得られ、かつ散りの発生がなかった場合を良好(○)、ナゲット径が4.5√t未満および/または散りが発生した場合を不良(×)とした。得られた結果を表1に併記する。
表1に示したとおり、発明例はいずれも、散りの発生がなく、また4.5√t以上の径を有するナゲットが得られ、良好なスポット溶接継手を得ることができた。これは、既打点の有無に係わらず、必要な径のナゲットを得るための抵抗スポット溶接が可能であることを示している。
これに対し、本発明の適正範囲を外れた比較例では、散りが発生するか、あるいは十分な径のナゲットが形成されていなかった。すなわち、No.19,20の定電流制御では、分流により発熱量が不足して十分な径のナゲットが形成されなかった。また、No.21の1段適応制御溶接では、散りが発生した。さらに、No.22は、特許文献4に示した2段適応制御溶接を行った場合である。この場合、特許文献4に示すように、目標ナゲット径を4√tとした場合には散りの発生なしに良好なナゲットが得られたのであるが、本願の表1に示すように、目標ナゲット径を4.5√t以上と大きくした場合には散りの発生を余儀なくされた。

Claims (2)

  1. 複数枚の金属板を重ね合わせた被溶接材を、一対の電極によって挟み、加圧しながら通電して接合する抵抗スポット溶接方法であって、
    通電パターンを2段以上の多段ステップに分割して溶接を実施するテスト溶接工程と本溶接工程とを有し、
    前記テスト溶接では、ステップ毎に異なる電流値の定電流で通電を行い、適正なナゲットを形成する場合の電極間の電気特性から算出される、単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化および単位体積当たりの累積発熱量を目標値として記憶させ、
    ついで、前記本溶接では、該テスト溶接で得られた単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化曲線を基準として溶接を開始し、
    前記本溶接のいずれかのステップにおいて、単位体積当たりの瞬時発熱量の時間変化量が、基準である前記時間変化曲線から外れた場合に、その差を当該ステップの残りの通電時間内で補償するように通電量を制御して、本溶接の単位体積当たりの累積発熱量を、テスト溶接で予め求めた単位体積当たりの累積発熱量と一致させ、
    前記テスト溶接では、第1ステップの電流値をI、第2ステップ以降の電流値をIとしたとき、これらI、Iが、次式
    0.3×I≦I<I
    の関係を満足することを特徴とする抵抗スポット溶接方法。
  2. 前記第1ステップでは前記金属板間の通電経路を確保するため、また前記第2ステップ以降では所定のナゲット径を得るための通電を行うことを特徴とする請求項1に記載の抵抗スポット溶接方法。
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