JP5823766B2 - 医薬組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、新規な医薬組成物に関する。
アデノシンは、細胞表面に存在する受容体と結合することによって各種の生理作用を示す物質である。細胞表面に存在するアデノシン受容体は、G蛋白質共役型受容体のファミリーに属し、A1、A2a、A2bおよびA3に分類される。このうちアデノシンA1およびA3受容体は、Gi蛋白質と共役し、その活性化は細胞内c−AMPレベルを低下させる。また、アデノシンA2aおよびA2b受容体はGs蛋白質と共役し、その活性化は細胞内c−AMPレベルを上昇させる。これら4種のアデノシン受容体サブタイプはそれぞれクローニングされている。
上記アデノシン受容体サブタイプのそれぞれに作用する作動薬および阻害薬については、既に種々の研究がなされている。その中で、アデノシンA2a受容体作動薬は、強い血圧降下作用を有し、抗高血圧剤、心臓または脳の虚血性疾患の治療予防剤、抗動脈硬化症剤などとして有効であることが報告されている他にも、眼圧低下作用を持つことも報告されている(非特許文献1参照)。
アデノシンA2a受容体作動薬であるシアノピリミジン化合物が報告されている(特許文献1)。しかしながら、この特許文献には、本発明のシアノピリミジン化合物は、具体的には開示されていない。
WO2005/105778
J. Pharmcol. Exp. Ther. 320−326, 273 (1995)
本発明の目的は、より安全で且つ強力なアデノシンA2a受容体作動作用を有する新規な医薬組成物を提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、下記の本発明化合物が優れたアデノシンA2a受容体作動作用を有すると共に、優れた安全性を有するという事実を見出した。また本発明者らは、下記の化合物が眼の毛様動脈に対して血管拡張作用を示し、網膜神経節細胞に対して保護効果を示すことも見出した。本発明はこの知見を基礎として更に研究を重ねた結果、完成されたものである。
本発明は、下記項1〜13に示す医薬組成物および製剤を提供する。
項1.
一般式(1):
Figure 0005823766
[式中、Rは、水素、ヒドロキシ低級アルキル基、ハロゲン置換低級アルキル基または低級アルコキシカルボニル低級アルキル基を示す。]で表されるシアノピリミジン化合物又はその塩からなる医薬組成物。
項2.
(1)N−(4−(6−アミノ−5−シアノ−2−((6−(3−オキソ−3−(4−(ピペリジン−4−イルメチル)ピペラジン−1−イル)プロピル)ピリジン−2−イル)メチルチオ)ピリミジン−4−イル)フェニル)アセトアミド、
(2)N−(4−(6−アミノ−5−シアノ−2−((6−(3−(4−((1−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン−4−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)−3−オキソプロピル)ピリジン−2−イル)メチルチオ)ピリミジン−4−イル)フェニル)アセトアミド、
(3)N−(4−(6−アミノ−5−シアノ−2−((6−(3−(4−((1−(3−ヒドロキシプロピル)ピペリジン−4−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)−3−オキソプロピル)ピリジン−2−イル)メチルチオ)ピリミジン−4−イル)フェニル)アセトアミド、
(4)N−(4−(6−アミノ−5−シアノ−2−((6−(3−(4−((1−(2−フルオロエチル)ピペリジン−4−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)−3−オキソプロピル)ピリジン−2−イル)メチルチオ)ピリミジン−4−イル)フェニル)アセトアミドおよび
(5)N−(4−(6−アミノ−5−シアノ−2−((6−(3−(4−((1−(2−メトキシカルボニルエチル)ピペリジン−4−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)−3−オキソプロピル)ピリジン−2−イル)メチルチオ)ピリミジン−4−イル)フェニル)アセトアミドからなる群から選ばれた項1に記載のシアノピリミジン化合物又はその塩からなる医薬組成物。
項3.
項1又は2に記載の化合物又はその塩と医薬上許容され得る担体とを含む医薬組成物。
項4.
眼疾患を治療あるいは予防するための項3に記載の医薬組成物。
項5.
緑内障を治療あるいは予防するための項4に記載の医薬組成物。
項6.
アデノシンA2a受容体作動薬としての項1〜5のいずれかに記載の医薬組成物。
項7.
項1〜6のいずれかに記載の医薬組成物を含む水性製剤。
項8.
さらに製薬上許容される緩衝剤、等張化剤、防腐剤、溶解補助剤、pH調整剤から選択される1又はそれ以上の添加剤を含有する項7に記載の水性製剤。
項9.
緩衝剤が、コハク酸、ホウ酸、リン酸及びアミン酸、並びに塩から選択される項8記載の水性製剤。
項10.
緩衝剤がコハク酸である項9記載の水性製剤。
項11.
等張化剤が、ブドウ糖、ソルビトール、マンニトール、塩化ナトリウム、塩化カリウム、プロピレングリコール及びグリセリンから選択される1又は2の等張化剤である項8〜10のいずれかに記載の水性製剤。
項12.
防腐剤が、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、臭化ベンゾドデシニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、クロロブタノール及びベンジルアルコールから選択される項8〜11のいずれかに記載の水性製剤。
項13.
pHが約5.0〜9.0の範囲である項7〜12のいずれかに記載の水性製剤。
前記一般式において示される各基は、具体的には次の通りである。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
低級アルコキシカルボニル基としては、低級アルコキシ部分が炭素数1〜6の直鎖または分岐鎖状のアルコキシ基であるアルコキシカルボニル基を挙げることができる。より具体的には、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、n−プロポキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、n−ブトキシカルボニル、イソブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、sec−ブトキシカルボニル、n−ペンチルオキシカルボニル、ネオペンチルオキシカルボニル、n−ヘキシルオキシカルボニル、イソヘキシルオキシカルボニル、3−メチルペンチルオキシカルボニル基等が含まれる。
ハロゲン置換低級アルキル基としては、ハロゲン原子が1〜7個、より好ましくは1〜3個置換していてもよい低級アルキル基(好ましくは炭素数1〜6の直鎖または分枝鎖状アルキル基)を挙げることができる。より具体的には、例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ブロモメチル、ジブロモメチル、ジクロロフルオロメチル、2,2−ジフルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、2−フルオロエチル、2−クロロエチル、3,3,3−トリフルオロプロピル、ヘプタフルオロプロピル、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル、ヘプタフルオロイソプロピル、3−クロロプロピル、2−クロロプロピル、3−ブロモプロピル、4,4,4−トリフルオロブチル、4,4,4,3,3−ペンタフルオロブチル、4−クロロブチル、4−ブロモブチル、2−クロロブチル、5,5,5−トリフルオロペンチル、5−クロロペンチル、6,6,6−トリフルオロへキシル、6−クロロヘキシル、ペルフルオロヘキシル基等が含まれる。
ヒドロキシ低級アルキル基としては、ヒドロキシ基を1〜5個、好ましくは1〜3個有する前記例示の低級アルキル基(好ましくは炭素数1〜6の直鎖または分枝鎖状アルキル基)を挙げることができる。より具体的には、例えば、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3,4−ジヒドロキシブチル、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、5−ヒドロキシペンチル、6−ヒドロキシヘキシル、3,3−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル、2−メチル−3−ヒドロキシプロピル、2,3,4−トリヒドロキシブチル、ペルヒドロキシヘキシル基等が含まれる。
低級アルコキシカルボニル低級アルキル基としては、前記例示の低級アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数1〜6の直鎖または分枝鎖状アルコキシカルボニル基)を、1〜3個(好ましくは1〜2個)有する、前記例示の低級アルキル基(好ましくは炭素数1〜6の直鎖または分枝鎖状アルキル基)を挙げることができる。より具体的には、例えば、メトキシカルボニルメチル、エトキシカルボニルメチル、1−メトキシカルボニルエチル、2−メトキシカルボニルエチル、2−エトキシカルボニルエチル、1−エトキシカルボニルエチル、2−tert−ブトキシカルボニルエチル、3−メトキシカルボニルプロピル、3−エトキシカルボニルプロピル、4−エトキシカルボニルブチル、5−イソプロポキシカルボニルペンチル、6−n−プロポキシカルボニルヘキシル、1,1−ジメチル−2−n−ブトキシカルボニルエチル、1−メチル−1−メトキシカルボニルエチル、2−メチル−1−メトキシカルボニルプロピル、2−メチル−3−tert−ブトキシカルボニルプロピル、3−メチル−1−メトキシカルボニルブチル、ジエトキシカルボニルメチル、1,2−ジエトキシカルボニルエチル、2−n−ペンチルオキシカルボニルエチル、n−ヘキシルオキシカルボニルメチル基等が含まれる。
上記一般式(1)で表されるピリミジン誘導体は、種々の方法により製造され得るが、その一例を示せば、例えば下記反応式1〜4で示される方法により製造される。
Figure 0005823766
[式中、Raは、ヒドロキシ低級アルキル基、ハロゲン置換低級アルキル基または低級アルコキシカルボニル低級アルキル基を示す。Xは、ハロゲン原子またはハロゲン原子と同様の置換反応を起こす基を示す。]
一般式(2)において、Xで示されるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子である。
Xで示されるハロゲン原子と同様の置換反応を起こす基としては、例えば、低級アルカンスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基等の脱離基が挙げられる。
低級アルカンスルホニルオキシ基としては、具体的には、メタンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシ、イソプロパンスルホニルオキシ、n−プロパンスルホニルオキシ、n−ブタンスルホニルオキシ、tert−ブタンスルホニルオキシ、n−ペンタンスルホニルオキシ、n−ヘキサンスルホニルオキシ基等の炭素数が1〜6の直鎖または分枝鎖状のアルカンスルホニルオキシ基を例示できる。
アリールスルホニルオキシ基としては、例えば、フェニルスルホニルオキシ基、ナフチルスルホニルオキシ基等を挙げることができる。これらのフェニル環上には、例えば、炭素数1〜6の直鎖または分枝鎖状アルキル基、炭素数1〜6の直鎖または分枝鎖状アルコキシ基、ニトロ基及びハロゲン原子なる群より選ばれた置換基を1〜3個有していてもよい。このようなアリールスルホニルオキシ基の具体例としては、フェニルスルホニルオキシ、4−メチルフェニルスルホニルオキシ、2−メチルフェニルスルホニルオキシ、4−ニトロフェニルスルホニルオキシ、4−メトキシフェニルスルホニルオキシ、2−ニトロフェニルスルホニルオキシ、3−クロロフェニルスルホニルオキシ等を例示できる。ナフチルスルホニルオキシ基の具体例としては、α−ナフチルスルホニルオキシ、β−ナフチルスルホニルオキシ基等を例示できる。
化合物(1b)は、化合物(1a)と化合物(2)とを反応させることによって製造される。
本反応は、通常、反応に悪影響を及ぼさない慣用の溶媒、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、トリフルオロエタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジグライム等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒;アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;または他の有機溶媒中で行われる。さらに、本反応は、これらの慣用の溶媒の混合溶媒中で行ってもよい。
上記反応は、通常、塩基性化合物の存在下で行われる。塩基性化合物としては、通常の無機塩基及び有機塩基が用いられる。
無機塩基としては、例えば、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム等)、炭酸水素アルカリ金属(例えば、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等)、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等)、炭酸アルカリ金属(例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等)、アルカリ金属低級アルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等)、アルカリ金属水素化物(例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウム等)等が挙げられる。
有機塩基としては、例えば、トリアルキルアミン(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−エチルジイソプロピルアミン等)、ピリジン、キノリン、ピペリジン、イミダゾール、ピコリン、ジメチルアミノピリジン、ジメチルアニリン、N−メチルモルホリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)等が挙げられる。
これらの塩基性化合物は、1種単独でまたは2種以上混合して使用される。
塩基性化合物の使用量は、化合物(1a)に対して、通常0.5〜10倍モル、好ましくは0.5〜6倍モルである。上記塩基性化合物が液状の場合、溶媒として兼用できる。
上記反応は、必要に応じて、反応促進剤として、ヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム等のヨウ化アルカリ金属を反応系内に存在させておくことができる。
上記反応式1における化合物(1a)と化合物(2)との使用割合は、通常前者に対し後者を少なくとも等モル、好ましくは等モル〜5倍モル程度とすればよい。
反応温度は特に限定されず、通常、冷却下、室温下及び加熱下のいずれでも反応が行われる。上記反応は、好ましくは、室温付近の温度条件下に1〜30時間行うのがよい。
Figure 0005823766
[式中、Rは、前記と同じ。]
化合物(1)は、化合物(3)又はカルボキシ基におけるその反応性誘導体及び化合物(4)又はイミノ基におけるその反応性誘導体を反応させることにより製造される。
化合物(3)のカルボキシ基における好適な反応性誘導体としては、酸ハロゲン化物、酸無水物、活性化アミド、活性化エステル等が挙げられる。反応性誘導体の好適な例としては、酸塩化物;酸アジ化物;例えばジアルキルリン酸、フェニルリン酸、ジフェニルリン酸、ジベンジルリン酸、ハロゲン化リン酸等の置換されたリン酸、ジアルキル亜リン酸、亜硫酸、チオ硫酸、硫酸、例えばメタンスルホン酸等のスルホン酸、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ピバリン酸、ペンタン酸、イソペンタン酸、2−エチル酪酸、トリクロロ酢酸等の脂肪族カルボン酸又は例えば安息香酸等の芳香族カルボン酸のような酸との混合酸無水物;対称酸無水物;イミダゾール、4−置換イミダゾール、ジメチルピラゾール、トリアゾール又はテトラゾールとの活性化アミド;又は例えば、シアノメチルエステル、メトキシメチルエステル、ジメチルイミノメチルエステル、ビニルエステル、プロパルギルエステル、p−ニトロフェニルエステル、2,4−ジニトロフェニルエステル、トリクロロフェニルエステル、ペンタクロロフェニルエステル、メシルフェニルエステル等の活性化エステル、又は例えばN,N−ジメチルヒドロキシルアミン、1−ヒドロキシ−2−(1H)−ピリドン、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシフタルイミド、1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール等のN−ヒドロキシ化合物とのエステル等が挙げられる。これらの反応性誘導体は使用すべき化合物(3)の種類に従ってそれらの中から任意に選択することができる。
上記反応において化合物(3)を遊離酸の形又はその塩の形で使用する場合には、縮合剤の存在下に反応を行うのが望ましい。縮合剤としては、この分野で公知のものを広く使用でき、例えば、N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド;N−シクロヘキシル−N'−モルホリノエチルカルボジイミド;N−シクロヘキシル−N'−(4−ジエチルアミノシクロヘキシル)カルボジイミド;N,N'−ジエチルカルボジイミド;N,N'−ジイソプロピルカルボジイミド;N−エチル−N'−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド又はその塩酸塩;N,N'−カルボニルビス(2−メチルイミダゾール);ペンタメチレンケテン−N−シクロヘキシルイミン;ジフェニルケテン−N−シクロヘキシルイミン;エトキシアセチレン、1−アルコキシ−1−クロロエチレン;亜リン酸トリアルキル;ポリリン酸エチル;ポリリン酸イソプロピル;オキシ塩化リン(塩化ホスホリル);三塩化リン;ホスホリルアジ化ジフェニル;塩化チオニル;塩化オキサリル;例えばクロロギ酸エチル、クロロギ酸イソプロピル等のハロギ酸低級アルキル;トリフェニルホスフィン;2−エチル−7−ヒドロキシベンズイソオキサゾリウム塩;2−エチル−5−(m−スルホフェニル)イソオキサゾリウムヒドロキシド分子内塩;ヘキサフルオロリン酸ベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム;1−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシ)−6−クロロ−1H−ベンゾトリアゾール;N,N−ジメチルホルムアミドと塩化チオニル、ホスゲン、クロロギ酸トリクロロメチル、オキシ塩化リン等との反応によって調製したいわゆるビルスマイヤー試薬等が挙げられる。また、上記縮合剤の存在下、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシフタルイミド、1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール等の活性エステル化剤の共存下に反応を行うのがさらに望ましい。
化合物(4)のイミノ基における好適な反応性誘導体としては、化合物(4)とアルデヒド、ケトン等のようなカルボニル化合物との反応によって生成するシッフ塩基型イミノ又はそのエナミン型互変異性体;化合物(4)とビス(トリメチルシリル)アセトアミド、モノ(トリメチルシリル)アセトアミド、ビス(トリメチルシリル)尿素等のようなシリル化合物との反応によって生成するシリル誘導体;化合物(4)と三塩化リン又はホスゲン等との反応によって生成する誘導体等が挙げられる。
本反応は、通常、反応に悪影響を及ぼさない慣用の溶媒中で行われる。溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、トリフルオロエタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジグライム等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒;アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶媒;塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;又は他の有機溶媒、或いはこれらの混合溶媒等が挙げられる。
この反応は、塩基の存在下で行ってもよい。塩基としては、公知の無機塩基及び有機塩基を広く使用できる。無機塩基としては、例えば、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム等)、炭酸水素アルカリ金属(例えば、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等)、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等)、炭酸アルカリ金属(例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等)、アルカリ金属低級アルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等)、アルカリ金属水素化物(例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウム等)が挙げられる。有機塩基としては、例えば、トリアルキルアミン(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−エチルジイソプロピルアミン等)、ピリジン、キノリン、ピペリジン、イミダゾール、ピコリン、ジメチルアミノピリジン、ジメチルアニリン、N−メチルモルホリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エン(DBN)、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)等が挙げられる。また、これらの塩基が液状の場合、溶媒として兼用することができる。これらの塩基は、1種単独で又は2種以上混合して使用される。塩基の使用量は、化合物(3)1モルに対して、通常0.1〜10モル、好ましくは0.1〜3モルである。
上記反応式2における化合物(3)と化合物(4)との使用割合は、通常後者1モルに対し、前者を少なくとも1モル、好ましくは1〜5モル程度である。
反応温度は特に限定されず、通常、冷却下、室温下及び加熱下のいずれでも反応が行われる。好ましくは、室温〜100℃の温度条件下に30分〜30時間、好ましくは30分〜5時間反応させるのがよい。
上記反応において、出発原料として用いられる化合物(3)は、公知の化合物であり、その製造方法については後述する(反応式4)。
Figure 0005823766
[式中、Wは、N−保護基を示す。]
化合物(6)は、化合物(3)と化合物(5)を、反応式2と同様の方法で反応させることにより製造できる。さらに、N−保護基の脱離反応に付すことにより化合物(1a)を製造できる。
ここで、N−保護基Wとしては、例えば、低級アルコキシカルボニル基、低級アルカノイル基、アリール置換低級アルキル基等を例示できる。
低級アルコキシカルボニル基は、炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルコキシカルボニル基を含み、その具体例としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル基等を挙げることができる。
低級アルカノイル基は、炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルカノイル基を含み、その具体例としては、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ペンタノイル、tert−ブチルカルボニル、ヘキサノイル基等が挙げられる。
アリール置換低級アルキル基としては、例えば、ベンジル、2−フェニルエチル、1−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、4−フェニルブチル、5−フェニルペンチル、6−フェニルヘキシル、ジフェニルメチル、トリチル等、フェニル基が1〜3個置換した炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル基等が挙げられる。フェニル基上の置換基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、ヒドロキシメチル、2−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2,3−ジヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエチル、5,5,4−トリヒドロキシペンチル、5−ヒドロキシペンチル、6−ヒドロキシヘキシル、1−ヒドロキシイソプロピル、2−メチル−3−ヒドロキシプロピル、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、クロロメチル、ブロモメチル、フルオロメチル、ヨードメチル、ジフルオロメチル、ジブロモメチル、2−クロロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、3−クロロプロピル、2,3−ジクロロプロピル、4,4,4−トリクロロブチル、4−フルオロブチル、5−クロロペンチル、3−クロロ−2−メチルプロピル、5−ブロモヘキシル、5,6−ジクロロヘキシル、3−ヒドロキシ−2−クロロプロピル基等の置換基としてハロゲン原子及び水酸基なる群から選ばれた基を1〜3個有することのある炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルキル基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、n−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、ヒドロキシメトキシ、2−ヒドロキシエトキシ、1−ヒドロキシエトキシ、3−ヒドロキシプロポキシ、2,3−ジヒドロキシプロポキシ、4−ヒドロキシブトキシ、1,1−ジメチル−2−ヒドロキシエトキシ、5,5,4−トリヒドロキシペンチルオキシ、5−ヒドロキシペンチルオキシ、6−ヒドロキシヘキシルオキシ、1−ヒドロキシイソプロポキシ、2−メチル−3−ヒドロキシプロポキシ、トリフルオロメトキシ、トリクロロメトキシ、クロロメトキシ、ブロモメトキシ、フルオロメトキシ、ヨードメトキシ、ジフルオロメトキシ、ジブロモメトキシ、2−クロロエトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、2,2,2−トリクロロエトキシ、3−クロロプロポキシ、2,3−ジクロロプロポキシ、4,4,4−トリクロロブトキシ、4−フルオロブトキシ、5−クロロペンチルオキシ、3−クロロ−2−メチルプロポキシ、5−ブロモヘキシルオキシ、5,6−ジクロロヘキシルオキシ、3−ヒドロキシ−2−クロロプロポキシ基等の置換基としてハロゲン原子及び水酸基なる群から選ばれた基を1〜3個有することのある炭素数1〜6の直鎖又は分枝鎖状アルコキシ基;フッ素原子、臭素原子、塩素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子等を例示できる。フェニル基上に置換基が2個以上の場合、これらの置換基は、同種のものであってもよいし、異種のものであってもよい。
N−保護基Wの脱離反応には、加水分解、水素化分解等の慣用の方法を適用できる。
本反応は、通常、反応に悪影響を及ぼさない慣用の溶媒中で行われる。溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、トリフルオロエタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジグライム等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒;アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶媒;塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;又は他の有機溶媒が挙げられる。さらに、本反応は、これらの混合溶媒中で行われてもよい。
(i)加水分解:
加水分解は、塩基もしくは酸(ルイス酸を含む)の存在下で実施するのが好ましい。
塩基としては、公知の無機塩基及び有機塩基を広く使用できる。好適な無機塩基としては、例えばアルカリ金属(例えばナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(例えばマグネシウム、カルシウム等)、これらの水酸化物、炭酸塩又は炭酸水素塩等が挙げられる。好適な有機塩基としては、例えば、トリアルキルアミン(例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン等)、ピコリン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]ノナ−5−エン等が挙げられる。
酸としては、公知の有機酸及び無機酸を広く使用できる。好適な有機酸としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸等の脂肪酸;トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸等のトリハロ酢酸等が挙げられる。好適な無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、塩化水素、臭化水素等が挙げられる。ルイス酸としては、例えば、三フッ化ホウ素エーテル錯体、三臭化ホウ素、塩化アルミニウム、塩化第二鉄等が挙げられる。
酸としてトリハロ酢酸又はルイス酸を用いる場合には、カチオン捕捉剤(例えばアニソール、フェノール等)の存在下で実施するのが好ましい。
塩基又は酸の使用量は、加水分解に必要な量である限り、特に制限されない。
反応温度は、通常0〜120℃、好ましくは室温〜100℃、より好ましくは室温〜80℃である。反応時間は、通常30分〜24時間、好ましくは30分〜12時間、より好ましくは1〜8時間である。
(ii)水素化分解:
水素化分解には、公知の水素化分解方法を広く適用できる。このような水素化分解方法としては、例えば、化学還元、接触還元等が挙げられる。
化学還元に使用される好適な還元剤は、水素化物(例えばヨウ化水素、硫化水素、水素化アルミニウムリチウム、水素化硼素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム等)もしくは金属(例えば錫、亜鉛、鉄等)、または金属化合物(例えば塩化クロム、酢酸クロム等)と有機酸又は無機酸(例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸、塩酸、臭化水素酸等)との組合せである。
接触還元に使用される好適な触媒は、白金触媒(例えば白金板、海綿状白金、白金黒、コロイド状白金、酸化白金、白金線等)、パラジウム触媒(例えば海綿状パラジウム、パラジウム黒、酸化パラジウム、パラジウム炭素、パラジウム/硫酸バリウム、パラジウム/炭酸バリウム等)、ニッケル触媒(例えば還元ニッケル、酸化ニッケル、ラネーニッケル等)、コバルト触媒(例えば還元コバルト、ラネーコバルト等)、鉄触媒(例えば還元鉄等)等である。
なお、化学還元に使用される上記の酸が液状である場合には、それらを溶媒として兼用することもできる。
化学還元に用いられる還元剤及び接触還元に用いられる触媒の使用量は、特に制限がなく、通常の使用量でよい。
反応温度は、通常0〜120℃、好ましくは室温〜100℃、より好ましくは室温〜80℃である。反応時間は、通常30分〜24時間、好ましくは30分〜10時間、より好ましくは30分〜4時間である。
Figure 0005823766
化合物(3)は、化合物(5)と化合物(6)とを反応させることにより製造される。
本反応は、文献(El-Sharabsy, S.A.; Abdel Gawad, S. M.; Hussain, S. M.; J.Prakt. Chem., 1989, 331 (2), 207)記載の方法または該方法に準じて行われる。
本反応は、通常、無溶媒または反応に悪影響を及ぼさない慣用の溶媒中で行われる。溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、トリフルオロエタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジグライム等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒;アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;または他の有機溶媒等が挙げられる。さらに、本反応は、これらの混合溶媒中で行われる。
上記反応は、触媒化合物の非存在下または酸性触媒の存在下で実施できるが、上記反応は、通常、塩基性化合物の存在下で行うのが好ましい。塩基性化合物としては、通常の無機塩基及び有機塩基が用いられる。
無機塩基としては、例えば、アルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウム等)、炭酸水素アルカリ金属(例えば、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等)、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等)、炭酸アルカリ金属(例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等)、アルカリ金属低級アルコキシド(例えば、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等)、水素化物(例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウム等)等が挙げられる。
有機塩基としては、例えば、トリアルキルアミン(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−エチルジイソプロピルアミン等)、ピリジン、キノリン、ピペリジン、イミダゾール、ピコリン、ジメチルアミノピリジン、ジメチルアニリン、N−メチルモルホリン、DBN、DABCO、DBU等が挙げられる。
これら塩基性化合物は、1種単独でまたは2種以上混合して使用される。
塩基性化合物の使用量は、化合物(5)に対して、通常触媒量〜10倍モル、好ましくは、等モル〜3.5倍モルである。これらの塩基が液状の場合、溶媒として兼用できる。
化合物(6)と化合物(5)との使用割合は、通常前者に対し後者を少なくとも等モル、好ましくは等モル〜5倍モル程度とすればよい。
反応温度は特に限定されず、通常、冷却下、室温下及び加熱下のいずれでも反応が行われる。上記反応は、好ましくは、加熱還流下に1〜30時間に行うのがよい。
なお、本反応中、中間体であるジヒドロ体化合物(7)が生成した場合、さらに、化合物(7)を酸化することにより化合物(8)を得ることができる。
化合物(7)の酸化は、この技術分野で慣用されている酸化方法に従って行われる。好適な酸化剤としては、例えば、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン(DDQ)、N−ブロモスクシンイミド(NBS)等が挙げられる。
本酸化反応は、通常、無溶媒または反応に悪影響を及ぼさない慣用の溶媒中で行われる。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、トリフルオロエタノール、エチレングリコール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、ジグライム等のエーテル系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒;アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;塩化メチレン、塩化エチレン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;または他の有機溶媒が挙げられる。さらに、本反応は、これらの混合溶媒中で行われてもよい。
酸化剤の使用量は、化合物(7)に対して、通常、触媒量〜過剰モルである。
反応温度は特に限定されず、通常、冷却下、室温下及び加熱下のいずれでも反応が行われる。上記反応は、好ましくは、加熱還流温度条件下に0.5〜75時間行うのがよい。
上記反応式4において化合物(7)は、環内二重結合の位置が異なる異性体を含む。
上記反応において、出発原料として用いられる化合物(4)は、入手が容易な公知の化合物である。
上記各反応式において用いられる原料化合物は、適当な塩であってもよく、また各反応で得られた目的化合物も適当な塩を形成していてもよい。
上記各反応式で得られた各々の目的化合物は、反応混合物を、例えば、冷却した後、濾過、濃縮、抽出等の単離操作によって粗反応生成物を分離し、カラムクロマトグラフィー、再結晶等の通常の精製操作によって、反応混合物から単離精製することができる。
化合物(1)の好適な塩は、薬理的に許容される塩であって、例えば、アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウム塩、マグネシウム塩等)等の金属塩、アンモニウム塩、炭酸アルカリ金属(例えば、炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸セシウム等)、炭酸水素アルカリ金属(例えば、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等)、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム等)等の無機塩基の塩;例えば、トリ(低級)アルキルアミン(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−エチルジイソプロピルアミン等)、ピリジン、キノリン、ピペリジン、イミダゾール、ピコリン、ジメチルアミノピリジン、ジメチルアニリン、N−(低級)アルキル−モルホリン(例えば、N−メチルモルホリン等)、DBN、DBU、DABCO等の有機塩基の塩;塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の無機酸の塩;ギ酸塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、炭酸塩、ピクリン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、グルタミン酸塩等の有機酸の塩等が挙げられる。
上記各反応式において用いられる原料化合物は、上記化合物(1)と同様の塩であってもよく、また各反応で得られた目的化合物も同様の適当な塩を形成していてもよい。
また、各反応式において示された原料及び目的化合物に溶媒和物(例えば、水和物、エタノレート等)が付加された形態の化合物も、各々の一般式に含まれる。好ましい溶媒和物としては水和物が挙げられる。
本発明の一般式(1)で表される化合物には、幾何異性体、立体異性体、光学異性体等の異性体も当然に包含される。
本発明はまた、本化合物に含まれる1個または複数の原子が、1個または複数の同位体原子によって置き換わっている式Iの化合物も包含する。本発明の化合物に組み込むことができる同位体の例には、各々2H、3H、13C、14C、15N、17O、18O、18F、および36Clなどの水素、炭素、窒素、酸素、硫黄、フッ素、および塩素同位体を包含する。上記の同位体および/または他の原子の他の同位体を含有する、特定の同位体標識された本発明の化合物、例えば3Hおよび14Cなどの放射性同位体が組み込まれている化合物は、薬物組織分布アッセイおよび/または基質組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化(すなわち、3H)、および炭素−14(すなわち、14C)同位体は、調製の容易さおよび検出性によって特に好まれる。さらに、重水素(すなわち、2H)などのより重い同位体による置換によって、代謝安定性の向上、例えばin vivo半減期の増大または投与必要量の減少に起因する特定の治療上の利点をもたらすことが期待できる。本発明の同位体標識化合物は一般に、上記反応式および/または下記の実施例において開示されている方法によって、入手可能な同位体標識試薬を用いて調製することができる。
本発明化合物及びその塩は、アデノシンA2a受容体を作動させる活性を有しており、アデノシンA2a受容体作動薬として、ヒトを含むほ乳類に対して、医薬品分野で有用である。従って、本発明はこのようなアデノシンA2a受容体作動薬などの薬物としての医薬組成物をも提供する。以下、この医薬組成物を「本発明医薬組成物」ということがある。
本発明医薬組成物は、本発明化合物及びその塩からなる群から選ばれる少なくとも1種の有効量を、製剤学的に許容される担体と共に含有する一般的な医薬製剤形態に調製される。本発明医薬組成物に利用される製剤学的に許容される担体としては、賦形剤などの固体でも希釈剤などの液体でもよい。これらの担体の具体例には、例えば乳糖、ステアリン酸マグネシウム、スターチ、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム、オリーブ油、ゴマ油、カカオバター、エチレングリコール、蒸留水などが包含される。
また、本発明医薬組成物は、その投与適用に応じた投与単位製剤形態に調製することができる。その具体例としては、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、液剤などの固形剤及び液剤形態の経口投与形態、並びに、静注、筋注などの注射剤形態、点眼剤形態、眼軟膏剤形態、坐剤形態、経皮剤形態などの非経口投与形態を挙げることができる。特に、本発明医薬組成物は、そのアデノシンA2a受容体作動活性を利用して眼圧降下剤、緑内障治療剤などとして有利に利用できることを考慮すると、その医薬組成物形態としては点眼剤が好ましい。
本願の医薬組成物は水性液剤として調製され、さらに、点眼用医薬組成物として使用される。たとえばこの水性液剤は、次のようにして調製できる。
即ち、本発明化合物(その塩を含む、以下同じ)に、必要に応じて、製薬上許容される緩衝剤、等張化剤、防腐剤、溶解補助剤およびpH調整剤から選択される1又はそれ以上の添加剤を適宜配合して、常法に従い目的の水性製剤を調製する。
水性液剤中の緩衝剤としては、例えば、ホウ酸、リン酸等の無機酸、アミノ酸、コハク酸などの有機酸等、及びその医薬的に許容される塩類等が挙げられるが、好ましくはコハク酸、リン酸およびリン酸二水素ナトリウムである。これらの緩衝剤は、1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
また、緩衝剤として、コハク酸又はその医薬的に許容される塩を用いた場合、有効成分との反応で生成する塩の溶解性が高く、長期間の保存の過程でその有効成分の析出を防ぐことが可能である。
水性液剤中の緩衝剤の濃度は、pHの変動を抑えることができる最小限の濃度が好ましく、例えば、2%(W/V)以下、好ましくは0.6%(W/V)以下、より好ましくは、0.2%(W/V)以下が望ましい。
水性液剤中のpH調整剤としては、例えば、塩酸、硫酸、乳酸、酢酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等、及びその医薬的に許容される塩類等が挙げられる。これらの中でも、塩酸および水酸化ナトリウムが好ましい。これらのpH調整剤は、1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
水性製剤中の等張化剤としては、涙液と等張にするために使用する。等張化剤としては、点眼液剤で通常使用される、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ホウ酸、ホウ砂、マンニトール、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、マルトース、ショ糖、ソルビトール、ブドウ糖等が使用できるが、好ましくはグリセリン、ブドウ糖、マンニトール、プロピレングリコールおよびソルビトールが使用される。より好ましくは、グリセリンが用いられる。これらの等張化剤は、1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
また、等張化剤として、グリセリンを用いた場合、有効成分の溶解性に影響を与えることがなく、長期間の保存で有効成分やその類縁物質が析出しない製剤を調製することが可能である。等張化剤を添加したときの水性液剤の浸透圧は、例えば、170〜460mOsm/kg、好ましくは229〜372mOsm/kg、より好ましくは、256〜316mOsm/kgの範囲である。
防腐剤としては、例えば、ベンザルコニウム、ベンゼトニウム、ベンゾドデシニウム等の第四アンモニウムの塩、クロルヘキシジン等の陽イオン化合物の塩、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル等のパラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール等のアルコール化合物等を使用してもよい。好ましくは、塩化ベンザルコニウムおよび臭化ベンゾドデシニウムが用いられる。より好ましくは、アルキル鎖が12個の炭素原子からなるベンザルコニウム塩酸塩および臭化ベンゾドデシニウムが用いられる。
本発明の医薬組成物には、必要に応じて、溶解補助剤を配合してもよい。かかる溶解補助剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、マクロゴール(ポリエチレングリコール)、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等の高分子;ポリソルベート、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポロオキシエチレンポリオキシプロピレン等の界面活性剤;プロピレングリコール等の多価アルコール;安息香酸、ソルビン酸等の有機酸;アスパラギン酸、ヒスチジン、グリシン、リジン等のアミノ酸;並びに、カフェイン等のキサンチン誘導体等が挙げられる。中でもポリビニルピロリドン、マクロゴール、ポリビニルアルコール、安息香酸、ソルビン酸、アルギン酸、特にポリビニルピロリドンおよびマクロゴールは、好ましい溶解補助剤である。これらの溶解補助剤は、1種単独で使用しても、また2種以上を任意に組み合わせて使用してもよい。
本発明の医薬組成物の水性液剤のpHは、約4〜9、好ましくは約5〜8、特に好ましくは約6〜7、より好ましくは6.3〜6.9である。
本発明医薬組成物のとり得る経口投与のための固形剤、例えば錠剤、散剤、顆粒剤などの調製は、本発明化合物と、少なくとも一つの不活性な担体、例えば乳糖、マンニトール、ブドウ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、微結晶セルロース、デンプン、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸、アルミン酸マグネシウムとを混合し、混合物を常法に従って賦型することにより実施できる。該混合物には、更に適当な添加剤、例えばステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤;繊維素グルコール酸カルシウムのような崩壊剤;ラクトースのような安定化剤;グルタミン酸、アスパラギン酸のような溶解補助剤などを配合することができる。また甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤などを添加配合することもできる。錠剤及び丸剤は、更に必要により、ショ糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートなどの糖衣または胃溶性若しくは腸溶性物質のフィルムで被膜してもよい。
経口投与のための液剤、例えば乳濁剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤などの調製は、本発明化合物を一般的に用いられる不活性な希釈剤、例えば精製水、エタノールなどに溶解乃至分散させることにより実施できる。この液剤には、更に湿潤剤、懸濁化剤などの補助剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、防腐剤などを添加配合することもできる。
非経口投与のための注射剤には、無菌の水性または非水性の溶液剤、懸濁剤、乳濁剤などが含まれる。水性の注射剤は、例えば注射用蒸留水及び生理食塩水を希釈剤として利用して常法に従い調製することができる。非水性の注射剤は、例えばプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブ油のような植物油;エタノールなどのアルコール類;ポリソルベート80などを希釈剤乃至担体として利用して常法に従い調製できる。これらの注射剤には、更に防腐剤、湿潤剤、乳化剤、分散剤、安定化剤(例えばラクトース)、溶解補助剤(例えば、グルタミン酸、アスパラギン酸)のような補助剤を添加配合することができる。調製される注射剤は、常法に従って、例えばバクテリア保留フィルターを通す濾過、殺菌剤の配合またはガンマ線などの放射線照射によって無菌化される。また、注射剤は、無菌の固形剤を製造後、無菌水または無菌の注射用溶媒に溶解して実用される、用時溶解剤形態に調製することもできる。
各種形態の本発明医薬組成物の投与量は、該医薬組成物を適用する患者(投与対象者)の症状の程度、年齢、性別などを考慮して、個々の場合に応じて適宜決定される。一般に、点眼剤形態の本発明医薬組成物の投与量は、有効成分としての本発明化合物の濃度が0.0001〜10%(w/v%)、好ましくは0.001〜1.0%(w/v%)、より好ましくは0.01〜0.3%(w/v%)である点眼剤を、1日1〜数回、点眼または目に塗布する程度の量とすることができる。この1回当たりの点眼量は、一般に成人に対して約0.001〜1mLとされる。
本発明医薬組成物が経口剤または注射剤の場合、それらの投与量は、本発明化合物の量が1日成人1人当たり0.001〜1000mgとなる量とすることができる。この1日当たりの投与量は、これを1日に1回で投与してもよいが、通常1日に数回に分けて投与するのが好ましい。尚、上記投与量は、あくまでも目安であり、更に適宜増減することができる。前記したように、投与量は種々の条件に応じてその都度適宜決定することが望ましい。従って、条件によっては、上記投与量範囲より更に減少された投与量を採用する場合でも、十分な効果を奏し得る場合がある。
本発明の医薬組成物及び化合物は、アデノシンA2a受容体作動薬として、様々な活性、例えば、眼圧降下、視神経乳頭血流増加、視神経保護作用、血管拡張、冠血管拡張、血圧降下、血小板凝集抑制、抗血栓、抗炎症、気管支拡張、免疫抑制等の作用をもたらす。
従って、本発明の医薬組成物及び化合物は、眼疾患(例えば、緑内障(例えば、正常眼圧緑内障、高眼圧緑内障、手術に伴う続発緑内障など)、高眼圧症、糖尿病性網膜症、加齢性黄斑変性(ARDM)、色素性網膜炎(RP)、緑内障による網膜症など)、高血圧、うっ血性心不全、冠状動脈疾患、狭心症、アテローム性動脈硬化症、虚血性心疾患、脳血管虚血、再還流障害、血栓症、癲癇、鼻炎、副鼻腔炎、気腫、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、気管支炎、呼吸器疾患、呼吸不全症候群、感染性ショック、肺繊維症、胃炎、転移胃炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、炎症性大腸疾患、創傷治癒、湿疹、皮膚アレルギー、皮膚炎、乾癬、慢性関節リューマチ、糖尿病、多発性硬化症、自己免疫疾患等の疾患に適用可能である。
また、本発明の医薬組成物及び化合物は、心筋梗塞診断補助剤としても使用可能である。
以下、本発明をさらに詳細に説明するため、本発明化合物の製造のための原料化合物の製造例を参考例として挙げ、次いで本発明化合物および製剤の製造例を実施例として挙げる。また本発明化合物につき行われた薬理試験例を挙げる。これらの例は、本発明を具体化するものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
以下に示す各例中、核磁気共鳴(NMR)スペクトルは下記条件で測定したものであり、その結果を示す略号は次の通りである。
装置:JNM−AL300 (JEOL社製)
内部標準物質:TMS
s:singlet、d:doublet、t:triplet、q:quartet、quint:quintet、sext:sextet
実施例1の化合物を、0.25、0.5および1mMで家兎角膜上皮細胞に添加した際の、細胞生存率を示す。 家兎の毛様体動脈における実施例1の化合物の効果を示す。 ラットの網膜神経節細胞における細胞生存率への実施例1の化合物の効果を示す。
参考例1
(E)−3−(6−ヒドロキシメチルピリジン−2−イル)アクリル酸メチルエステル
2−ブロモピリジン−6−メタノール 50.0gを乾燥N,N−ジメチルホルムアミド250mlに溶解し、溶解液中にアクリル酸メチル 47.9ml、塩化テトラ(n−ブチル)アンモニウム 73.9g、炭酸水素ナトリウム 47.7g及びモレキュラーシーブス(Molecular Sieves 3A (1/16)) 50.0gを加え、アルゴン雰囲気下に、さらに酢酸パラジウム(II) 2.98gを加え、混合物を80℃で5時間撹拌した。冷却後、不溶物を濾却し、水を加えて酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮して(E)−3−(6−ヒドロキシメチルピリジン−2−イル)アクリル酸メチルエステルを50.2g得た。
褐色粉末
1H-NMR (CDCl3) 7.72 (1H, t, J = 7.5 Hz), 7.68 (1H, d, J = 15.6 Hz), 7.32 (1H, d, J = 7.5 Hz), 7.21 (1H, d, J = 7.5 Hz), 6.97 (1H, d, J = 15.6 Hz), 4.78 (2H, d, J = 4.2 Hz), 3.85 (1H, t, J = 4.2 Hz), 3.83 (3H, s).
参考例2
3−(6−ヒドロキシメチルピリジン−2−イル)プロピオン酸メチルエステル
(E)−3−(6−ヒドロキシメチルピリジン−2−イル)アクリル酸メチルエステル50.2gをイソプロピルアルコール 502mlに殆ど溶解し、溶解液中に5%パラジウム−活性炭素 2.51gを加え、常圧の水素雰囲気下に50℃で2.5時間撹拌した。冷却後、触媒を濾去し、濾液を減圧濃縮して3−(6−ヒドロキシメチルピリジン−2−イル)プロピオン酸メチルエステルを50.0g得た。
褐色油状物
1H-NMR (CDCl3) 7.58 (1H, t, J = 7.5 Hz), 7.09 (1H, d, J = 7.5 Hz), 7.03 (1H, d, J = 7.5 Hz), 4.71 (2H, s), 4.01 (1H, br s), 3.69 (3H, s), 3.15 (2H, t, J = 7.2 Hz), 2.81 (2H, t, J = 7.2 Hz).
参考例3
3−(6−メタンスルホニルオキシメチルピリジン−2−イル)プロピオン酸メチルエステル
3−(6−ヒドロキシメチルピリジン−2−イル)プロピオン酸メチルエステル50.0gを酢酸エチル 1000mlに溶解し、溶解液中にトリエチルアミン 53.5mlを加え、混合物を氷冷下に10分間撹拌した。これにメタンスルホン酸クロリド 23.8mlを10分かけて滴下し、氷冷下に30分間撹拌した。反応混合物に水を加えて分液し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し3−(6−メタンスルホニルオキシメチルピリジン−2−イル)プロピオン酸メチルエステルを63.0g得た。
褐色油状物
1H-NMR (CDCl3) 7.63 (1H, t, J = 7.5 Hz), 7.26 (1H, d, J = 7.5 Hz), 7.19 (1H, d, J = 7.5 Hz), 5.28 (2H, s), 3.67 (3H, s), 3.12 (2H, t, J = 7.2 Hz), 3.07 (3H, S), 2.79 (2H, t, J = 7.2 Hz).
参考例4
3−{6−[4−(4−アセチルアミノフェニル)−6−アミノ−5−シアノピリミジン−2−イルチオメチル]ピリジン−2−イル}プロピオン酸メチルエステル
4−アセトアミドベンズアルデヒド 1000gをエタノール 16000mlに溶解し、マロノニトリル 607g、ピペリジン40gを加え、加熱還流下2時間撹拌した。反応液を室温まで冷却して30分間撹拌した。析出晶を濾取し、エタノール 2000mlで洗浄した。これを乾燥させN−[4−(2,2−ジシアノビニル)フェニル]アセトアミドを黄色粉末として、1049g得た。
3−(6−メタンスルホニルオキシメチルピリジン−2−イル)プロピオン酸メチルエステル7.0gをメタノール75mlに溶解し、溶解液にチオ尿素1.85gを加えて1.5時間加熱還流した。反応液を氷冷後、これにトリエチルアミン10.7mlを加えてしばらく撹拌した。続いてメタノール75ml、前述の方法で得られたN−[4−(2,2−ジシアノビニル)フェニル]アセトアミド 4.33gを加え、最後にN−ブロモスクシンイミド 3.67gを加えて1時間撹拌した。析出晶を濾取し、メタノール 40mlで洗浄した。これを乾燥させ3−{6−[4−(4−アセチルアミノフェニル)−6−アミノ−5−シアノピリミジン−2−イルチオメチル]ピリジン−2−イル}プロピオン酸メチルエステル 5.5gを得た。
白色粉末
1H-NMR (DMSO-d6) 10.23 (1H, s), 8.20-7.60 (2H, br s), 7.83 (2H, d, J = 8.7 Hz), 7.72 (2H, d, J = 8.7 Hz), 7.63 (1H, t, J = 7.8 Hz), 7.35 (1H, d, J = 7.8 Hz), 7.15 (1H, d, J = 7.8 Hz), 4.45 (2H, s), 3.57 (3H, s), 2.96 (2H, t, J = 7.2 Hz), 2.74 (2H, t, J = 7.2 Hz), 2.09 (3H, s).
参考例5
3−{6−[4−(4−アセチルアミノフェニル)−6−アミノ−5−シアノピリミジン−2−イルチオメチル]ピリジン−2−イル}プロピオン酸
3−{6−[4−(4−アセチルアミノフェニル)−6−アミノ−5−シアノピリミジン−2−イルチオメチル]ピリジン−2−イル}プロピオン酸メチルエステル 5gを50%含水アセトニトリル 150mlに懸濁し、水酸化リチウム一水和物1.35gを加えて室温にて1時間撹拌した。次にクエン酸 4.11gを水 20mlに溶解して徐々に反応液に加え、室温にて2時間撹拌した。析出晶を濾取して水75mlで洗浄後、得られた結晶を乾燥させ3−{6−[4−(4−アセチルアミノフェニル)−6−アミノ−5−シアノピリミジン−2−イルチオメチル]ピリジン−2−イル}プロピオン酸 5gを得た。
白色粉末
1H-NMR (DMSO-d6) 10.25 (1H, s), 7.84 (2H, d, J = 8.7 Hz), 7.72 (2H, d, J = 8.7 Hz), 7.64 (1H, t, J = 7.8 Hz), 7.36 (1H, d, J = 7.8 Hz), 7.16 (1H, d, J = 7.8 Hz), 4.47 (2H, s), 2.95 (2H, t, J = 7.2 Hz), 2.65 (2H, t, J = 7.2 Hz), 2.09 (3H, s).
参考例6
1−tert−ブトキシカルボニル−4−(ピペラジン−1−イル)メチルピペリジン
1−tert−ブトキシカルボニル−4−ピペリジルメタノール 10gを酢酸エチル150mlに溶解し、トリエチルアミン 12.8mlを加えて、氷冷下しばらく撹拌した。これにメタンスルホニルクロリド 5.4mlをゆっくり滴下し、氷冷下30分間攪拌した。反応液に水 50mlを加え分液した。水層を酢酸エチル50mlで2回抽出し、有機層をまとめ無水硫酸マグネシウム乾燥後、減圧留去した。この残渣をアセト二トリル 200mlに溶解し、ピペラジン 18gを加え加熱還流下3時間攪拌した。反応液を減圧濃縮後、生じたピペラジンを濾去した。この濾液に飽和食塩水 50ml、酢酸エチル 50mlを加え、終夜攪拌した後、分液した。有機層を更に飽和食塩水 50mlで2回洗浄し減圧濃縮した。この残渣に水 50mlを加え、氷冷下1N塩酸を用いて中和した。これに酢酸エチル100mlを加えしばらく攪拌後、分液した。水層に氷冷下5N水酸化ナトリウム水溶液を用いて強塩基性とし、酢酸エチル抽出し無水硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。これにより1−tert−ブトキシカルボニル−4−(ピペラジン−1−イル)メチルピペリジンを9.96g得た。
無色油状物
1H-NMR (CDCl3) 4.11-4.05 (2H, m), 2.87 (4H, t, J = 4.8 Hz), 2.72-2.64 (2H, m), 2.36 (4H, br s), 2.14 (2H, d, J = 6.9 Hz), 1.74-1.65 (3H, m), 1.45 (9H, m), 1.13-0.99 (2H, m).
参考例7
4−((4−(3−(6−((4−(4−アセトアミドフェニル)−6−アミノ−5−シアノピリミジン−2−イルチオ)メチル)ピリジン−2−イル)プロパノイル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1−tert−ブトキシカルボニルピペリジン二塩酸塩
3−{6−[4−(4−アセチルアミノフェニル)−6−アミノ−5−シアノピリミジン−2−イルチオメチル]ピリジン−2−イル}プロピオン酸 2.16gをアセトン 44mlに懸濁し、1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール 781mg、1−エチル-3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩1.1g、1−tert−ブトキシカルボニル−4−(ピペラジン−1−イル)メチルピペリジン 1.5gを順次加え1時間加熱還流した。アセトンを減圧留去後、酢酸エチル 30ml、水 30mlを加え30分間攪拌し、分液した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し減圧濃縮した。この残渣をメタノール25mlに完全溶解した後、氷冷下濃塩酸 0.85mlをゆっくり滴下し、室温下1時間攪拌した。次にエタノール50mlを加え50℃下1時間攪拌した。放冷後、析出晶を濾取し乾燥させ4−((4−(3−(6−((4−(4−アセトアミドフェニル)−6−アミノ−5−シアノピリミジン−2−イルチオ)メチル)ピリジン−2−イル)プロパノイル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1−tert−ブトキシカルボニルピペリジン二塩酸塩を2.95g得た。
白色粉末
1H-NMR (DMSO-d6) 10.30 (1H, s) 10.15 (1H, br-s) 8.00-7.81 (4H, m) 7.72 (2H, d, J = 8.7 Hz) 7.65 (1H, br-s) 7.40 (1H, br-s) 4.57 (2H, s) 4.36-4.31 (1H, m) 4.02-3.89 (3H, m ) 3.70-3.30 (8H, m) 3.17-2.73 (8H, m) 2.09 (3H, s) 1.99 (1H, m) 1.78-1.73 (2H, m) 1.39 (9H, s).
実施例1
N−(4−(6−アミノ−5−シアノ−2−((6−(3−オキソ−3−(4−(ピペリジン−4−イルメチル)ピペラジン−1−イル)プロピル)ピリジン−2−イル)メチルチオ)ピリミジン−4−イル)フェニル)アセトアミド三塩酸塩
4−((4−(3−(6−((4−(4−アセトアミドフェニル)−6−アミノ−5−シアノピリミジン−2−イルチオ)メチル)ピリジン−2−イル)プロパノイル)ピペラジン−1−イル)メチル)−1−tert−ブトキシカルボニルピペリジン二塩酸塩 40gに塩化水素[1mol/L酢酸エチル溶液]400mlを加え、室温下24時間撹拌した。不溶物を濾取し酢酸エチル 80mlで洗浄した。これを乾燥させ白色の粗結晶を得た。次に得られた粗結晶を室温下、水 245mlに溶解し濾過した。濾液にアセトン 875mlをゆっくり加え、種晶を混ぜて6時間撹拌した。析出晶を濾取しアセトン 140mlで洗浄後、乾燥させN−(4−(6−アミノ−5−シアノ−2−((6−(3−オキソ−3−(4−(ピペリジン−4−イルメチル)ピペラジン−1−イル)プロピル)ピリジン−2−イル)メチルチオ)ピリミジン−4−イル)フェニル)アセトアミド三塩酸塩を29.8g得た。
白色粉末
1H-NMR (DMSO-d6) 11.23 (1H, br-s) 10.43 (1H, s) 9.05 (1H, br-s) 8.93 (1H, br-s) 8.30 (1H, t, J = 7.8 Hz) 7.96 (1H, d, J = 7.8 Hz) 7.81 (2H, d, J = 8.7 Hz) 7.78-7.73 (3H, m) 4.77 (2H, s) 4.36-4.31 (1H, m) 4.02-3.74 (3H, m ) 3.53-3.45 (2H, m) 3.26-3.23 (5H, m) 3.02-2.81 (8H, m) 2.10-1.91 (6H, m) 1.50-1.39 (2H, m).
実施例2
N−(4−(6−アミノ−5−シアノ−2−((6−(3−(4−((1−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン−4−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)−3−オキソプロピル)ピリジン−2−イル)メチルチオ)ピリミジン−4−イル)フェニル)アセトアミド マレイン酸塩
N−(4−(6−アミノ−5−シアノ−2−((6−(3−オキソ−3−(4−(ピペリジン−4−イルメチル)ピペラジン−1−イル)プロピル)ピリジン−2−イル)メチルチオ)ピリミジン−4−イル)フェニル)アセトアミド三塩酸塩 1.01gを乾燥N,N−ジメチルホルムアミド 15mlに溶解し、2−クロロエタノール 186μl、トリエチルアミン 0.6ml、炭酸カリウム 386mg、ヨウ化ナトリウム 300mgを加え50℃下3時間撹拌した。反応液を減圧濃縮後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン:メタノール:28%アンモニア水=100:10:1)で精製し、N−(4−(6−アミノ−5−シアノ−2−((6−(3−(4−((1−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン−4−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)−3−オキソプロピル)ピリジン−2−イル)メチルチオ)ピリミジン−4−イル)フェニル)アセトアミドを220mg得た。これをメタノール 5mlに溶解しマレイン酸 38.8mgを加え暫く撹拌した。溶解液を減圧濃縮することによりN−(4−(6−アミノ−5−シアノ−2−((6−(3−(4−((1−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン−4−イル)メチル)ピペラジン−1−イル)−3−オキソプロピル)ピリジン−2−イル)メチルチオ)ピリミジン−4−イル)フェニル)アセトアミド マレイン酸塩を250mg得た。
白色粉末
1H-NMR (DMSO-d6) 10.25 (1H, s) 7.83 (2H, d, J = 8.7 Hz) 7.71 (2H, d, J = 8.7 Hz) 7.63 (1H, t, J = 7.5 Hz) 7.35 (1H, d, J = 7.5 Hz) 7.15 (1H, d, J = 7.5 Hz), 6.04 (2H, s) 5.76 (1H, br-s) 4.47-4.35 (4H, m) 3.71 (2H, br-s) 3.45-3.32 (9H, m ) 3.11 (2H, br-s) 2.97-2.87 (4H, m) 2.73-2.69 (2H, m) 2.36-2.19 (3H, m) 2.09 (3H, s) 1.88-1.83 (3H, m) 1.35-1.31 (2H, m).
実施例2と同様の方法で、下記実施例3−5の化合物を得た。
Figure 0005823766
実施例6
N−(4−(6−アミノ−5−シアノ−2−(6−(3−オキソ−3−(4−(ピペリジン−4−イルメチル)ピペラジン−1−イル)プロピル)ピリジン−2−イル)メチルチオ)ピリミジン−4−イル)フェニル)アセトアミド−2,2,2−D3 三塩酸塩(6−3)
Figure 0005823766

4−(4−(3−(6−(4−(4−アセトアミド−2,2,2−D3−フェニル)−6−アミノ−5−シアノピリミジン−2−イルチオ)メチル)ピリジン−2−イル)プロパノイル)ピペラジン−1−イル)メチル)ピペリジン−1−カルボン酸 t−ブチルエステル 二塩酸塩(6−2)
4−(4−(3−(6−((4−アミノ−6−(4−アミドフェニル)−5−シアノピリミジン−2−イルチオ)メチル)ピリジン−2−イル)プロパノイル)ピペラジン−1−イル)メチル)ピペリジン−1−カルボン酸 t−ブチルエステル(6−1) 3.4gを塩化メチレン 68mLに溶解し、氷冷下トリエチルアミン 1.4mLを加えしばらく撹拌した。これにアセチルクロリド−D3 532μLをゆっくり滴下し、室温下終夜撹拌した。水を加えて分液した後、水層を塩化メチレンで2回抽出し、有機層をまとめて無水硫酸マグネシウム乾燥し減圧濃縮した。この残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン:メタノール=25:1)で精製し、4−(4−(3−(6−(4−(4−(アセトアミド−2,2,2−D3)−フェニル)−6−アミノ−5−シアノピリミジン−2−イルチオ)メチル)ピリジン−2−イル)プロパノイル)ピペラジン−1−イル)メチル)ピペリジン−1−カルボン酸 t−ブチルエステルを3.1g得た。これをメタノール20mLに完全溶解した後、氷冷下濃塩酸1.7mLをゆっくり滴下し、室温下3時間攪拌した。次にエタノール40mLを加え50℃下1時間攪拌した。放冷後、析出晶を濾取し乾燥させ4−((4−(3−(6−((4−(4−(アセトアミド−2,2,2−D3)−フェニル)−6−アミノ−5−シアノピリミジン−2−イルチオ)メチル)ピリジン−2−イル)プロパノイル)ピペラジン−1−イル)メチル)ピペリジン−1−カルボン酸 t−ブチルエステル 二塩酸塩(6−2)を2.06g得た。
白色粉末
1H-NMR (DMSO-d6) 10.29 (1H, s) 10.15 (1H, br-s) 8.00-7.90 (1H, m) 7.82 (2H, d, J = 8.7 Hz) 7.73 (2H, d, J= 8.7 Hz) 7.59 (1H, m) 7.40 (1H, m) 4.57 (2H, s) 4.36-4.31 (1H, m) 4.02-3.89 (3H, m) 3.70-3.30 (8H, m) 3.17-2.73 (8H, m) 1.99 (1H, m) 1.78-1.73 (2H, m) 1.39 (9H, s).
N−(4−(6−アミノ−5−シアノ-2−(6−(3−オキソ−3−(4−(ピペリジン−4−イルメチル)ピペラジン−1−イル)プロピル)ピリジン−2−イル)メチルチオ)ピリミジン−4−イル)フェニル)アセトアミド−2,2,2−D3 三塩酸塩(6−3)
4−(4−(3−(6−(4−(4−(アセトアミド−2,2,2−D3)−フェニル)−6−アミノ−5−シアノピリミジン−2−イルチオ)メチル)ピリジン−2−イル)プロパノイル)ピペラジン−1−イル)メチル)ピペリジン−1−カルボン酸 t−ブチルエステル 二塩酸塩(6−2)2.0gに塩化水素[1mol/L酢酸エチル溶液]20mLを加え、室温下41時間撹拌した。不溶物を濾取し酢酸エチル4.0mLで洗浄した。この粗結晶を室温下、水10mLに溶解し濾過した。濾液にアセトン 40mLをゆっくり加え、種晶を混ぜて2時間撹拌した。析出晶を濾取しアセトン 4mLで洗浄後、乾燥させN−(4−(6−アミノ−5−シアノ−2−(6−(3−オキソ−3−(4−(ピペリジン−4−イルメチル)ピペラジン−1−イル)プロピル)ピリジン−2−イル)メチルチオ)ピリミジン−4−イル)フェニル)アセトアミド−2,2,2−D3 三塩酸塩(6−3)を1.75g得た。
白色粉末
1H-NMR (DMSO-d6) 11.06 (1H, br-s) 10.38 (1H, s) 8.94-8.81 (2H, m) 8.16 (1H, t, J= 7.8 Hz) 7.83-7.80 (3H, m) 7.75 (2H, d, J = 8.7 Hz) 7.64 (1H, d, J = 7.8 Hz) 4.70 (2H, s) 4.36-4.31 (1H, m) 4.02-3.74 (3H, m) 3.53-3.45 (2H, m) 3.26-3.23 (5H, m) 3.02-2.81 (8H, m) 2.10-1.91 (3H, m) 1.50-1.39 (2H, m).
実施例7
Figure 0005823766
4−ニトロ安息香酸−2,3,5,6−D4 メチルエステル(7−2)
4−ニトロ安息香酸−D4(7−1) 5gをメタノール100mlに溶解し、濃塩酸1.0mlを加え、15時間加熱還流した。反応液を減圧濃縮した後、この残渣に水を加え塩化メチレンで抽出した。有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し4−ニトロ安息香酸−2,3,5,6−D4 メチルエステル(7−2)を5.3g得た。
白色粉末
1H-NMR (CDCL3) 3.99 (3H, s).
4−ニトロベンジル−2,3,5,6−D4 アルコール(7−3)
4−ニトロ安息香酸−2,3,5,6−D4 メチルエステル(7−2)5.3gをジオキサン53mlと水53mlの混合溶媒に懸濁させ、水素化ホウ素酸ナトリウム9.4gを加え室温下6時間撹拌した。反応終了後、5N塩酸で反応液を弱酸性にし分液した。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層をまとめて無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去し4−ニトロベンジル−2,3,5,6−D4 アルコール(7−3)を3.75g得た。
黄色粉末
1H-NMR (DMSO-d6) 5.53(1H, t, J = 5.7 Hz) 4.64 (2H, d, J= 5.7 Hz).
4−アミノベンジル−2,3,5,6−D4 アルコール(7−4)
4−ニトロベンジル−2,3,5,6−D4 アルコール(7−3)3.75gを酢酸エチル37mlとジメチルホルムアミド10mlの混合溶媒に溶解させ、5%パラジウム−活性炭素400mgを加え、常圧の水素雰囲気下6時間撹拌した。反応終了後、触媒を濾去し、濾液を減圧濃縮して、4−アミノベンジル−2,3,5,6−D4 アルコール(7−4)を2.65g得た。
黄色油状物
1H-NMR (CDCL3) 4.56 (2H, s).
4−アセトアミドベンジル−2,3,5,6−D4 アセテート(7−5)
4−アミノベンジル−2,3,5,6−D4 アルコール(7−4)2.65gを酢酸エチル53mLに溶解させ、氷冷下トリエチルアミン12.9mlを加え、しばらく撹拌した。次にアセチルクロリド5.5mlをゆっくり滴下し、1時間撹拌した。反応終了後、水を加え分液した。水層を酢酸エチルで抽出し、有機層をまとめて無水硫酸マグネシウムで乾燥させた。溶媒を減圧留去することにより4−アセトアミドベンジル−2,3,5,6−D4 アセテート(7−5)を4.28g得た。
黄色油状物
1H-NMR (DMSO-d6) 4.99 (2H, s) 2.09 (6H, s).
N−(4−(ハイドロキシメチル)フェニル−2,3,5,6−D4)アセトアミド(7−6)
4−アセトアミドベンジル−2,3,5,6−D4 アセテート(7−5)4.28gをメタノール80mLに溶解させ、炭酸カリウム2.9gを加え、1.5時間撹拌した。反応終了後、反応液を濾過し、濾液を減圧濃縮することによりN−(4−(ハイドロキシメチル)フェニル−2,3,5,6−D4)アセトアミド(7−6)を3.4g得た。
黄色油状物
1H-NMR (DMSO-d6) 10.07 (1H, s) 4.42 (2H, s) 2.02 (3H, s).
N−(4−ホルミルフェニル−2,3,5,6−D4)アセトアミド(7−7)
N−(4−(ハイドロキシメチル)フェニル−2,3,5,6−D4)アセトアミド(7−6)3.4gをジメチルホルムアミド68mLに溶解させ、二酸化マンガン17gを加え60℃下6時間撹拌した。反応終了後、反応液を濾過し、得られた濾液に水を加え、酢酸エチル抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧濃縮することにより、N−(4−ホルミルフェニル−2,3,5,6−D4)アセトアミド(7−7)を2.5g得た。
白色粉末
1H-NMR (CDCL3) 9.93 (1H, s) 7.50 (1H, br-s) 2.23 (3H, m).
N−(4−(2,2−ジシアノビニル)フェニル−2,3,5,6−D4)アセトアミド(7−8)
N−(4−ホルミルフェニル−2,3,5,6−D4)アセトアミド(7−7)2.5gをエタノール50mLに溶解し、マロノニトリル 1.1g,ピペリジン2滴を加え室温下8時間撹拌した。析出晶を濾取し、エタノールで洗浄した。これを乾燥させ、N−(4−(2,2−ジシアノビニル)フェニル−2,3,5,6−D4)アセトアミド(7−8)を2.1g得た。
黄色粉末
1H-NMR (DMSO-d6) 10.52 (1H, s) 8.37 (1H, s) 2.12 (3H, s).
N−(4−(6−アミノ−5−シアノ−2−メルカプト−3,4−ジヒドロピリミジン−4−イル)フェニル−2,3,5,6−D4)アセトアミド(7−9)
金属ナトリウム276mgを溶解させたエタノール溶液20mlに、チオウレア 760mgを加え、室温下1時間撹拌した。次にN−(4−(2,2−ジシアノビニル)フェニル−2,3,5,6−D4)アセトアミド(7−8)2.1gを加え、加熱還流下3時間撹拌した。反応終了後、エタノールを減圧留去した。この残渣を温水に溶解し、酢酸で弱酸性にした。生じた不溶物を濾取、乾燥させることにより、N−(4−(6−アミノ−5−シアノ−2−メルカプト−3,4−ジヒドロピリミジン−4−イル)フェニル−2,3,5,6−D4)アセトアミド(7−9)を2.91g得た。
黄色粉末
1H-NMR (DMSO-d6) 9.99 (1H, s) 9.69 (1H, s) 6.13 (2H, m) 4.93 (1H, s) 2.07 (3H, s).
3−(6−(4−(4−アセチルアミノフェニル−2,3,5,6−D4)−6−アミノ−5−シアノピリミジン−2−イルチオメチル)ピリジン−2−イル)プロピオン酸 メチルエステル(7−10)
N−(4−(6−アミノ−5−シアノ−2−メルカプト−3,4−ジヒドロピリミジン−4−イル)フェニル−2,3,5,6−D4)アセトアミド(7−9)2.91gをジメチルホルムアミド 60mlに溶解し、3−(6−メタンスルホニルオキシメチルピリジン−2−イル)プロピオン酸 メチルエステル2.73gおよび炭酸カリウム2.76gを加え、室温下終夜撹拌した。次にN−ブロモスクシンイミド 1.77gを加え、更に1時間撹拌した。反応終了後、水を加え酢酸エチルで抽出した。有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥し減圧濃縮した。この残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン:メタノール=20:1)で精製し、3−(6−(4−(4−アセチルアミノフェニル−2,3,5,6−D4)−6−アミノ−5−シアノピリミジン−2−イルチオメチル)ピリジン−2−イル)プロピオン酸 メチルエステルを3.52g得た。
白色粉末
1H-NMR (DMSO-d6) 10.26 (1H, s) 7.63 (1H, t, J= 7.8 Hz) 7.36 (1H, d, J= 7.8 Hz) 7.16 (1H, d, J = 7.8 Hz) 4.46 (2H, s) 3.57 (3H, s) 2.99 (2H, t, J= 7.2 Hz) 2.73 (2H, t, J= 7.2 Hz) 2.09 (3H, s).
3−(6−(4−(4−アセチルアミノフェニル−2,3,5,6−D4)−6−アミノ−5−シアノピリミジン−2−イルチオメチル)ピリジン−2−イル)プロピオン酸(7−11)
3−(6−(4−(4−アセチルアミノフェニル−2,3,5,6−D4)−6−アミノ−5−シアノピリミジン−2−イルチオメチル)ピリジン−2−イル)プロピオン酸 メチルエステル(7−10)3.52gを50%含水アセトニトリル100mLに懸濁し、水酸化リチウム1水和物 331mgを加えて、加熱還流下2時間撹拌した。次にクエン酸1.59gを水10mlに溶解して徐々に反応液に加え、50℃下1時間撹拌した。放冷後、析出晶を濾取して水で洗浄した。この結晶を乾燥させ3−(6−(4−(4−アセチルアミノフェニル−2,3,5,6−D4)−6−アミノ−5−シアノピリミジン−2−イルチオメチル)ピリジン−2−イル)プロピオン酸(7−11)を2.29g得た。
白色粉末
1H-NMR (DMSO-d6) 10.25 (1H, s), 7.64 (1H, t, J = 7.8 Hz), 7.36 (1H, d, J = 7.8 Hz), 7.16 (1H, d, J = 7.8 Hz) 4.46 (2H, s) 2.92 (2H, t, J = 7.2 Hz) 2.65 (2H, t, J = 7.2 Hz) 2.09 (3H, s).
4−(4−(3−(6−(4−(4−アセトアミドフェニル−2,3,5,6−D4)−6−アミノ−5−シアノピリミジン−2−イルチオ)メチル)ピリジン−2−イル)プロパノイル)ピペラジン−1−イル)メチル)ピペリジン−1−カルボン酸 t−ブチルエステル 二塩酸塩(7−12)
3−(6−(4−(4−アセチルアミノフェニル−2,3,5,6−D4)−6−アミノ−5−シアノピリミジン−2−イルチオメチル)ピリジン−2−イル)プロピオン酸(7−11)2.29gをアセトン46mLに懸濁し、1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール 820mg、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド 塩酸塩 1.16g、4−ピペラジン−1−イルメチル−ピペリジン−1−カルボン酸 t−ブチルエステル 1.43gを順次加え、1時間加熱還流した。アセトンを減圧留去後、酢酸エチル23ml、水23mlを加え、30分間攪拌し、分液した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し減圧濃縮した。この残渣をメタノール22.5mlに完全溶解した後、氷冷下濃塩酸1.43mlをゆっくり滴下し、室温下1時間攪拌した。次にエタノール45mlを加え50℃下1時間攪拌した。放冷後、析出晶を濾取し乾燥させ、4−((4−(3−(6−((4−(4−アセトアミドフェニル−2,3,5,6−D4)−6−アミノ−5−シアノピリミジン−2−イルチオ)メチル)ピリジン−2−イル)プロパノイル)ピペラジン−1−イル)メチル)ピペリジン−1−カルボン酸 t−ブチルエステル 二塩酸塩(7−12)を2.35g得た。
白色粉末
1H-NMR (DMSO-d6) 10.30 (1H, s) 7.95 (1H, m) 7.65 (1H, m) 7.45 (1H, m) 4.59 (2H, s) 4.40-4.31 (1H, m) 4.10-3.85 (3H, m) 3.70-3.30 (8H, m) 3.17-2.73 (8H, m) 2.09 (3H, s) 1.99 (1H, m) 1.78-1.74 (2H, m) 1.39 (9H, s).
N−(4−(6−アミノ−5−シアノ−2−(6−(3−オキソ−3−(4−(ピペリジン−4−イルメチル)ピペラジン−1−イル)プロピル)ピリジン−2−イル)メチルチオ)ピリミジン−4−イル)フェニル−2,3,5,6−D4)アセトアミド 三塩酸塩(7−13)
4−(4−(3−(6−(4−(4−アセトアミドフェニル−2,3,5,6−D4)−6−アミノ−5−シアノピリミジン−2−イルチオ)メチル)ピリジン−2−イル)プロパノイル)ピペラジン−1−イル)メチル)ピペリジン−1−カルボン酸 t−ブチルエステル 二塩酸塩(7−12)2.35gに塩化水素[1mol/L酢酸エチル溶液]23mlを加え、室温下24時間撹拌した。不溶物を濾取し酢酸エチル4.7mlで洗浄した。この粗結晶を室温下、水10mlに溶解し濾過した。濾液にアセトン 40mlをゆっくり加え、種晶を混ぜて2時間撹拌した。析出晶を濾取しアセトン 4.7mlで洗浄後、乾燥させ、N−(4−(6−アミノ−5−シアノ−2−((6−(3−オキソ−3−(4−(ピペリジン−4−イルメチル)ピペラジン−1−イル)プロピル)ピリジン−2−イル)メチルチオ)ピリミジン−4−イル)フェニル−2,3,5,6−D4)アセトアミド 三塩酸塩(7−13)を1.93g得た。
白色粉末
1H-NMR (DMSO-d6) 11.04 (1H, br-s) 10.38 (1H, s) 8.92-8.80 (2H, m) 8.10 (1H, m) 7.79 (1H, m) 7.59 (1H, m) 4.67 (2H, s) 4.37-4.33 (1H, m) 4.07-4.03 (1H, m ) 3.70-2.82 (17H, m) 2.10-1.98 (6H, m) 1.48-1.37 (2H, m).
以下、参考例として下記の化合物の製造方法を示す。
Figure 0005823766
3−(6−(4−アミノ−6−(4−アミノフェニル)−5−シアノピリミジン−2−イルチオメチル)ピリジン−2−イル)プロピオン酸 (8−2)
3−(6−(4−(4−アセチルアミノフェニル)−6−アミノ−5−シアノピリミジン−2−イルチオメチル)ピリジン−2−イル)プロピオン酸(8−1) 230mgをアセトニトリル20mLに懸濁し、5N 塩酸2mLを加えて、60℃下終夜撹拌した。放冷後、クエン酸水溶液を徐々に加え中和した。析出晶を濾取してエタノール洗浄後、得られた結晶を乾燥させ3−(6−(4−アミノ−6−(4−アミノフェニル)−5−シアノピリミジン−2−イルチオメチル)ピリジン−2−イル)プロピオン酸(8−2)150mgを得た。
淡黄色粉末
1H-NMR (DMSO-d6) 7.83 (2H, d, J = 8.7 Hz) 7.74 (1H, t, J = 7.5 Hz) 7.30 (1H, d, J = 7.5 Hz) 7.12 (1H, d, J = 7.5 Hz) 6.61 (2H, d, J = 8.7 Hz) 5.90 (2H, br-s) 4.44 (2H, s) 2.91 (2H, t, J = 7.5 Hz) 2.48 (2H, t, J = 7.5 Hz).
4−(4−(3−(6−((4−アミノ−6−(4−アミドフェニル)−5−シアノピリミジン−2−イルチオ)メチル)ピリジン−2−イル)プロパノイル)ピペラジン−1−イル)メチル)ピペリジン−1−カルボン酸 t−ブチルエステル (8−3)
3−(6−(4−アミノ−6−(4−アミノフェニル)−5−シアノピリミジン−2−イルスルファニルメチル)ピリジン−2−イル)プロピオン酸(8−2)2.58gをアセトン50mLに懸濁し、1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール 1.28g、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩1.8g、4−ピペラジン−1−イルメチル−ピペリジン−1−カルボン酸 t−ブチルエステル 1.8gを順次加え1時間加熱還流した。アセトンを減圧留去後、酢酸エチル30ml、水30mLを加え30分間攪拌し、分液した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し減圧濃縮した。この残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン:メタノール:28%アンモニア水=100:10:1)で精製し、4−(4−(3−(6−(4−アミノ−6−(4−アミドフェニル)−5−シアノピリミジン−2−イルチオ)メチル)ピリジン−2−イル)プロパノイル)ピペラジン−1−イル)メチル)ピペリジン−1−カルボン酸 t−ブチルエステル(8−3)を3.9g得た。
淡黄色粉末
1H-NMR (CDCL3) 7.95 (2H, d, J = 8.7 Hz) 7.50 (1H, t, J = 7.5 Hz) 7.28 (1H, d, J = 7.5 Hz) 7.08 (1H, d, J = 7.5 Hz) 6.71 (2H, d, J = 8.7 Hz) 5.70 (2H,br-s) 4.51 (2H, s) 4.16-4.09 (4H, m ) 3.59 (2H, t, J = 4.8 Hz) 3.45 (2H, t, J = 4.8 Hz) 3.13 (2H, t, J = 7.5 Hz) 2.80 (2H, t, J = 7.5 Hz) 2.75-2.65 (2H, m) 2.34-2.30 (4H, m) 2.13 (2H, d, J = 7.2 Hz) 1.72-1.64 (1H, m) 1.46 (9H, s) 1.07-1.02 (2H, m).
4−アミノ−6−(4−アミノフェニル)−2−(6−(3−オキソ−3−(4−(ピペリジン−4−イルメチル)ピペラジン−1−イル)プロピル)ピリジン−2−イル)メチルチオ)ピリミジン−5−カルボ二トリル 四塩酸塩 (8−4)
4−(4−(3−(6−(4−アミノ−6−(4−アミドフェニル)−5−シアノピリミジン−2−イルチオ)メチル)ピリジン−2−イル)プロパノイル)ピペラジン−1−イル)メチル)ピペリジン−1−カルボン酸 t−ブチルエステル(8−3)3.6gに塩化水素[1mol/L酢酸エチル溶液]54mlを加え、室温下24時間撹拌した。不溶の結晶を濾取し酢酸エチルで洗浄した。これを乾燥させ4−アミノ−6−(4−アミノフェニル)−2−(6−(3−オキソ−3−(4−(ピペリジン−4−イルメチル)ピペラジン−1−イル)プロピル)ピリジン−2−イル)メチルチオ)ピリミジン−5−カルボ二トリル 四塩酸塩(8−4)を4.3g得た。
淡黄色粉末
1H-NMR (DMSO-d6) 11.23 (1H, br-s) 9.05 (1H, br-s) 8.93 (1H, br-s) 8.30 (1H, t, J = 7.5 Hz) 7.79-7.68 (4H, m) 6.92 (2H, d, J = 8.7 Hz) 4.77 (2H, s) 4.40-4.31 (8H, m) 3.36-3.18 (4H, m) 3.02-2.75 (6H, m) 2.21-1.98 (3H, m) 1.52-1.34 (2H, m).
以下、参考例として下記の化合物の製造方法を示す。
Figure 0005823766
3−(6−ハイドロキシメチル−1−オキシ−ピリジン−2−イル)プロピオン酸 メチルエステル (9−2)
3−(6−ヒドロキシメチルピリジン−2−イル)プロピオン酸メチルエステル(9−2) 1.37gを塩化メチレン15mLに溶解し、m−クロロ過安息香酸 1.46gの塩化メチレン溶液をゆっくり加え2時間撹拌した。反応液を10%亜硫酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、水で順次洗浄した。最後に無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、溶媒留去することにより、3−(6−ヒドロキシメチル−1−オキシ−ピリジン−2−イル)プロピオン酸メチルエステル(9−2)を880mg得た。
白色粉末
1H-NMR (CDCL3) 7.48-7.29 (1H, m) 7.25-7.22 (2H, m) 5.01 (1H, m) 4.80 (2H, S) 3.67 (3H, s) 3.23 (2H, t, J= 7.2 Hz) 2.87 (2H, t, J= 7.2 Hz).
N−(4−(6−アミノ−5−シアノ−2−メルカプトピリミジン−4−イル)フェニル)アセトアミド (9−4)
チオウレア1.52gをエタノール15mLに懸濁させた後、炭酸ナトリウム2.12gを加え60℃下30分撹拌した。次にN−(4−(2,2−ジシアノビニル)フェニル)アセトアミド(9−3)4.22gを加え加熱還流下5時間撹拌した。反応終了後、エタノールを減圧留去した。この残渣を温水に溶解し、酢酸で弱酸性にした。生じた不溶物を濾取、乾燥させることにより、N−(4−(6−アミノ−5−シアノ−2−メルカプトピリミジン−4−イル)フェニル)アセトアミド(9−4)を1.87g得た。
黄色粉末
1H-NMR (DMSO-d6) 10.29 (1H, s) 7.73 (2H, d, J= 8.7 Hz) 7.64 (2H, d, J= 8.7 Hz) 2.09 (3H, s).
3−{6−[4−(4−アセチルアミノフェニル)−6−アミノ−5−シアノピリミジン−2−イルスルファニルメチル]−1−オキシ−ピリジン−2−イル}プロピオン酸メチルエステル (9−5)
3−(6−ヒドロキシメチル−1−オキシ−ピリジン−2−イル)プロピオン酸メチルエステル(9−4)880mgを塩化メチレン 18mLに溶解し、溶解液中にトリエチルアミン 1.15mLを加え、混合物を氷冷下に10分間撹拌した。これにメタンスルホン酸クロリド 0.48mLをゆっくり滴下し、氷冷下に30分間撹拌した。反応混合物に水を加えて分液し、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及び飽和食塩水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し3−(6−メタンスルホニルオキシメチル−1−オキシ−ピリジン−2−イル)プロピオン酸 メチルエステルを得た。次に、これをジメチルホルムアミド10mLに溶解し、N−(4−(6−アミノ−5−シアノ−2−メルカプトピリミジン−4−イル)フェニル)アセトアミド1.14gおよび炭酸カリウム1.1gを加え室温下終夜撹拌した。反応終了後、水を加え不溶物を濾取し乾燥させることにより、3−(6−(4−(4−アセチルアミノフェニル)−6−アミノ−5−シアノピリミジン−2−イルスルファニルメチル)−1−オキシ−ピリジン−2−イル)プロピオン酸 メチルエステルを580mg得た。
白色粉末
1H-NMR (DMSO-d6) 10.26 (1H, s) 7.83 (2H, d, J = 8.7 Hz) 7.74-7.69 (3H, m) 7.37 (1H, d, J= 7.8 Hz) 7.23 (1H, t, J= 7.8 Hz) 4.50 (2H, s) 3.59 (3H, s) 3.05 (2H, t, J= 7.2 Hz) 2.76 (2H, t, J= 7.2 Hz) 2.09 (3H, s).
3−{6−[4−(4−アセチルアミノフェニル)−6−アミノ−5−シアノピリミジン−2−イルスルファニルメチル]−1−オキシ−ピリジン−2−イル}プロピオン酸 (9−6)
3−{6−[4−(4−アセチルアミノフェニル)−6−アミノ−5−シアノピリミジン−2−イルスルファニルメチル]−1−オキシ−ピリジン−2−イル}プロピオン酸メチルエステル(9−5)580mgを50%含水アセトニトリル17mLに懸濁し、水酸化リチウム1水和物53mgを加えて80℃下2時間撹拌した。次にクエン酸253mgを加え、50℃下1時間撹拌した。放冷後、析出晶を濾取し水洗した。この得られた結晶を乾燥させ3−{6−[4−(4−アセチルアミノフェニル)−6−アミノ−5−シアノピリミジン−2−イルスルファニルメチル]−1−オキシ−ピリジン−2−イル}プロピオン酸(9−6)540mgを得た。
白色粉末
1H-NMR (DMSO-d6) 10.25 (1H, s) 7.83 (2H, d, J = 8.7 Hz) 7.74-7.68 (3H, m) 7.37 (1H, d, J= 7.8 Hz) 7.23 (1H, t, J= 7.8 Hz) 4.50 (2H, s) 3.02 (2H, t, J= 7.2 Hz) 2.67 (2H, t, J= 7.2 Hz) 2.09 (3H, s).
4−(4−(3−(6−(4−(4−アセトアミドフェニル)−6−アミノ−5−シアノピリミジン−2−イルチオ)メチル)−1−オキシ−ピリジン−2−イル)プロパノイル)ピペラジン−1−イル)メチル)ピペリジン−1−カルボン酸 t−ブチルエステル (9−7)
3−{6−[4−(4−アセチルアミノフェニル)−6−アミノ−5−シアノピリミジン−2−イルスルファニルメチル]−1−オキシ−ピリジン−2−イル}プロピオン酸(9−6)520mgをアセトン10mLとジメチルホルムアミド10mLの混合溶媒に溶解し、1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール 224mg、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド 塩酸塩318mg、4−ピペラジン−1−イルメチル−ピペリジン−1−カルボン酸 t−ブチルエステル315mgを順次加え2時間加熱還流した。アセトンを減圧留去後、酢酸エチルおよび水を加え30分間攪拌し分液した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し減圧濃縮した。この残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン:メタノール=50:1)で精製し、4−(4−(3−(6−(4−(4−アセトアミドフェニル)−6−アミノ−5−シアノピリミジン−2−イルチオ)メチル)−1−オキシ−ピリジン−2−イル)プロパノイル)ピペラジン−1−イル)メチル)ピペリジン−1−カルボン酸 t−ブチルエステル(9−7)を470mg得た。
白色粉末
1H-NMR (CDCL3) 7.98 (2H, d, J= 8.7 Hz) 7.69-7.61 (3H, m) 7.43 (1H, dd, J = 7.8, 1.8 Hz) 7.31 (1H, dd, J= 7.8, 1.8 Hz) 7.09 (1H, t, J= 7.8 Hz) 5.75 (2H, s) 4.65(2H, s) 4.12-4.00 (2H, m) 3.55 (2H, br-s) 3.46 (2H, br-s) 3.24 (2H, t, J= 7.2 Hz) 2.87 (2H, t, J= 7.2 Hz) 2.71-2.63 (2H, m) 2.32-2.29 (4H, m) 2.23 (3H, s) 2.11 (2H, d, J= 6.9 Hz) 1.71-1.67 (3H, m) 1.46 (9H, s) 1.07-0.97 (2H, m).
N−(4−(6−アミノ−5−シアノ−2−((6−(3−オキソ−3−(4−(ピペリジン−4−イルメチル)ピペラジン−1−イル)プロピル)−1−オキシ−ピリジン−2−イル)メチルチオ)ピリミジン−4−イル)フェニル)アセトアミド 三塩酸塩 (9−8)
4−(4−(3−(6−(4−(4−アセトアミドフェニル)−6−アミノ−5−シアノピリミジン−2−イルチオ)メチル)−1−オキシピリジン−2−イル)プロパノイル)ピペラジン−1−イル)メチル)ピペリジン−1−カルボン酸 t−ブチルエステル450mgに塩化水素[1mol/L酢酸エチル溶液]4.5mLを加え、室温下24時間撹拌した。不溶物を濾取し酢酸エチルで洗浄した。これを乾燥させ白色の粗結晶を得た。次に得られた粗結晶を室温下、水2.5mlに溶解し濾過した。濾液にアセトン 10mLをゆっくり加え、6時間撹拌した。析出晶を濾取しアセトンで洗浄後、乾燥させN−(4−(6−アミノ−5−シアノ−2−((6−(3−オキソ−3−(4−(ピペリジン−4−イルメチル)ピペラジン−1−イル)プロピル)−1−オキシ−ピリジン−2−イル)メチルチオ)ピリミジン−4−イル)フェニル)アセトアミド 三塩酸塩を230mg得た。
白色粉末
1H-NMR (DMSO-d6) 10.65 (1H, m) 10.33 (1H, s) 8.80-8.66 (2H, m) 7.82 (2H, d, J = 8.7 Hz) 7.75-7.69 (3H, m) 7.43 (1H, d, J= 7.8 Hz) 7.25 (1H, t, J= 7.8 Hz) 4.50 (2H, s) 4.42-4.38 (1H, m) 4.18-4.09 (1H, m) 3.74-3.25 (8H, m) 3.08-3.01 (4H, m) 2.87-2.70 (4H, m) 2.09 (3H, s) 2.08-1.97 (2H, m) 1.47-1.39 (2H, m)
以下、本発明化合物を含む医薬組成物の実施例を示す。
実施例8
5Lステンレス製ビーカーに、約4.5kgの精製水を加えた。ここに等張化剤として濃グリセリン130g、緩衝剤としてコハク酸3.5gを加え、撹拌し溶解させた。次にN−(4−(6−アミノ−5−シアノ−2−((6−(3−オキソ−3−(4−(ピペリジン−4−イルメチル)ピペラジン−1−イル)プロピル)ピリジン−2−イル)メチルチオ)ピリミジン−4−イル)フェニル)アセトアミド(以降、実施例1の化合物と称する)0.5gを加え、撹拌し溶解させた。さらに保存剤として臭化ベンゾドデシニウム0.3gを加えて緩やかに撹拌し、完全に溶解したことを目視確認した。ここに、別に調製した 4w/w%水酸化ナトリウム水溶液を徐々に加えてpHを6.6に調整した。pH調製後、薬液の総重量が5.0kgになるように精製水を加えて、緩やかに撹拌した。この液を無菌ろ過した後、点眼容器に無菌的に充てんし、密封した。
実施例9
実施例9の医薬組成物は、コハク酸の代わりに緩衝剤としてリン酸一ナトリウム3.00gを用いて、実施例8と同様にして調製した。
実施例10
実施例10の医薬組成物は、濃グリセリンの代わりに等張化剤としてブドウ糖275gを用いて、実施例8と同様にして調製した。
実施例11
実施例11の医薬組成物は、濃グリセリンの代わりに等張化剤としてマンニトール255gを用いて、実施例8と同様にして調製した。
実施例12
実施例12の医薬組成物は、濃グリセリンの代わりに等張化剤として濃グリセリン68gとプロピレングリコール50gを用いて、実施例8と同様にして調製した。
実施例13
実施例13の医薬組成物は、濃グリセリンの代わりに等張化剤として濃グリセリン105gとソルビトール43gを用いて、実施例8と同様にして調製した。
実施例14
実施例14の医薬組成物は、濃グリセリンの代わりに等張化剤としてプロピレングリコール50gとマンニトール100gとソルビトール43gを用いて、実施例8と同様にして調製した。
実施例15
実施例15の医薬組成物は、臭化ベンゾドデシニウムの代わりに防腐剤として塩化ベンザルコニウム0.5gを用いて、実施例8と同様にして調製した。
以下、本発明化合物につき行われた薬理試験例を挙げる。
試験1:アデノシンA2a受容体発現細胞におけるc−AMP産生作用
本実験は、文献(Klotz k.N. et al., Naunyn- Schmiedeberg's Arch. Pharmacol., (1998) 357, 1-9; Shryock J.C. et al., Molecular Pharmacology, (1998) 53, 886-893)に記載された方法を参考に以下の通り行った。
細胞としてはアデノシンA2a受容体(ヒト)を発現させたHEK293細胞(PerkinElmer Life Sciences, Code No. RBHA2AC)を使用した。
培地としては10%FBS(Fetal bovine serum)及び1mM ピルビン酸ナトリウムを含むダルベッコ変法イーグル培地(Dulbecco's modified Eagles medium,DMEM)を使用した。
本細胞を96ウェルプレートに播き(1×105/ウェル)、一晩培養した。上清を除去した後、20mM HEPES、0.1mM IBMX(3-isobutyl-1-methylxanthine)及び2ユニット/mL アデノシンデアミナーゼを含むDMEM(FBSは除く)を0.1mL/ウェル添加し、37℃で30分間インキュベートした。培地中被検薬物濃度が所定濃度となるよう被検薬物のDMSO溶液を添加した培地を各ウェルに0.1mL/ウェル加え、さらに30分間インキュベートした。上清を除去した後、細胞溶解液を添加して反応を停止させた。各ウェルのc−AMP量をc−AMPエンザイムイムノアッセイ(enzyme immunoassay(EIA))システム(Amersham Biosciences, Code No.RPN225)を用いて測定した。
対照薬としてCGS−21680(2-p-carboxyethyl)phenethylamino-5'-N-ethylcarboxamidoadenosine hydrochloride, Sigma, code C141)を用いて同一操作を繰り返した。
対照薬の培地中濃度が1μMの際のc−AMP量測定結果を100(%)として、各被検薬物を所定濃度で使用して求められたc−AMP測定値をそれぞれ換算し、該値が50(%)となる場合の各被験薬物の培地中濃度を求めて、これをEC50値とした。
被検薬物として前記各実施例で製造した以下の本発明化合物を使用して得られた上記試験の結果を、下記表に示す。
試験結果
Figure 0005823766
試験2:角膜上皮細胞に及ぼす実施例1の化合物の影響
[方法]
細胞は、家兎角膜上皮細胞(クラボウ)を使用した。96ウェルプレートに播いた家兎角膜上皮細胞に実施例1の化合物を添加し、60分インキュベートした。次にソーラーシミュレーター(SOL500)を用いてUVA 3.5mW/cm2の光を70分照射した。その後、バッファーで細胞を洗浄し、24時間後にニュートラルレッド取り込み法により細胞生存率を評価した。
[結果]
結果を図1に示す。実施例1の化合物を添加(0.25、0.5および1mM)後のソーラーシミュレーター照射における細胞生存率は、それぞれ106.3%、115.0%および100.7%であり,細胞生存率の低下は全く観察されなかった。
以上のことから、光照射時において、本願化合物を高濃度で使用しても細胞毒性が全く見られないことから、太陽光をあびる屋外でも、高濃度での使用が可能であり、より安全に使用できる薬剤であることが明らかである。
試験3:血管拡張作用
眼の循環障害としては、緑内障、網膜色素変性症、黄斑変性症、虚血性視神経症、網膜動脈閉塞症、網膜静脈閉塞症、糖尿病性網膜症、虹彩毛様体炎等が挙げられる。特に緑内障は、視神経乳頭部における循環障害が原因の一つとして考えられている。
眼循環には主に2つの系が存在し、その1つは毛様動脈を介する循環であり、もう1つは網膜中心動脈を介する循環である。毛様動脈は脈絡膜、視神経乳頭部、虹彩、毛様体等の動脈に通じる。一方、網膜中心動脈は、視神経を通り網膜中心静脈に通じているが、その一部は視神経乳頭部で細動脈に分枝している。
毛様動脈に対して血管拡張作用を示す実施例1の化合物は、眼の血流を改善すると考えられている。したがって、実施例1の化合物は、緑内障、網膜色素変性症、黄斑変性症、虚血性視神経症、網膜動脈閉塞症、網膜静脈閉塞症、糖尿病性網膜症及び虹彩毛様体炎などに代表される網膜疾患の治療に用いる循環改善薬として有用であることが期待される。
<材料および方法>
家兎を過剰量のペントバルビタールナトリウム静脈内投与により安楽死させた後、眼球を摘出した。実体顕微鏡下で毛様動脈を採取した。長さ2mmに切った毛様動脈を微小血管張力測定装置(DANISH MULTI MYOGRAPH SYSTEM 610M, Danish Myo Technology)にセットした。酸素化したkrebs液を用い、37℃、95%O2・5%CO2条件下で静置した。
血管内皮損傷度を確認するため、100μM カルバコールによる血管拡張作用を観察した。カルバコールによる血管拡張が30%以上の血管を内皮が損傷を受けていないと判断し実験に用いた。
その後、高K+ Krebs液で収縮させた血管に対し、実施例1の化合物を0.3μMから300μMまで段階的に投与し、その張力をMyodaq(ver 2.01、Danish myo technology)で測定した。
<結果>
結果を下表および図2に示す。実施例1の化合物は、家兎において濃度依存的な血管拡張作用を示し、そのEC50は17.0μMであった。従って、実施例1の化合物は毛様動脈に対して血管拡張作用を示すことが明らかとなった。
Figure 0005823766
試験4:神経保護作用
失明に至る眼疾患のひとつである緑内障は、網膜神経節細胞(RGC)が選択的に障害を受け、視神経障害を引き起こし視野障害へと進行する病気である。他に眼の神経障害が関わる病気としては、網膜動脈閉塞、網膜静脈閉塞症、糖尿病網膜症、虚血性視神経症がある。さらに黄斑変性症、網膜色素変性症、レーベル遺伝性視神経症も、網膜の神経細胞の障害に関与している視疾患である。
網膜神経節細胞に対して保護効果を示す実施例1の化合物は、網膜動脈閉塞、網膜静脈閉塞症、糖尿病網膜症、虚血性視神経症、黄斑変性症、網膜色素変性症、レーベル遺伝性視神経症などの視疾患の治療に用いる視神経保護剤として期待される。
<材料および方法>
本実験は文献(Otori Y et al. Invest Ophthalmol Vis Sci. 39:972-981, 1998)に記載された方法に従って行った。
生後7日齢のLong Evansラットから眼球を摘出した。網膜を眼球より単離した。網膜を15U/mLパパインを含むNeurobasal Mediumで37℃、30分間インキュベートした。網膜細胞分散溶液を調製した。
網膜細胞分散溶液を抗SIRP抗体(CHEMICON)でコーティングした培養フラスコ中、室温下で30分インキュベートした。上清を採取し、抗thy−1抗体(CHEMICON)でコーティングした培養フラスコに移し、室温下で30分インキュベートした。最後にフラスコ内の粘着細胞をNeurobasal Mediumで洗浄した。800rpmで5分間遠心分離した後、を調製した。得られた細胞を、ポリ−L−リジン/ラミニンでコーティングしたカバーガラスに播種した。精RGCは、培地はB−27 Supplement、1mM L−グルタミン、50ng/mL CNTF、10μMフォルスコリンを含むNeurobasal Medium中培養した。培養は5%CO2および95%空気を含む湿気の雰囲気下37℃で行った。BDNF 50ng/mL、または最終濃度が0nM (対照)、3nM、10nMおよび30nM実施例1の化合物を、細胞播種後直ちに投与した。
細胞生存率を染色されたRGCをカウントして算出した。培養開始5日後に、RGCを1μMカルセインAM(Molecular Probes)で染色した。RGCの数は蛍光顕微鏡を用いてカウントされた。細胞生存率は対照群を0%、BDNF添加群を100%を用いて算出した。
<結果>
Figure 0005823766
データ=平均±SE
細胞生存率は対照群を0%、BDNF添加群を100%を用いて算出した。

Claims (13)

  1. 一般式(1)
    Figure 0005823766
    表されるシアノピリミジン化合物又はその塩からなる医薬組成物。
  2. −(4−(6−アミノ−5−シアノ−2−((6−(3−オキソ−3−(4−(ピペリジン−4−イルメチル)ピペラジン−1−イル)プロピル)ピリジン−2−イル)メチルチオ)ピリミジン−4−イル)フェニル)アセトアミド
    はその塩からなる医薬組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の化合物又はその塩と医薬上許容され得る担体とを含む医薬組成物。
  4. 眼疾患を治療あるいは予防するための請求項3に記載の医薬組成物。
  5. 緑内障を治療あるいは予防するための請求項4に記載の医薬組成物。
  6. アデノシンA2a受容体作動薬としての請求項1〜5のいずれかに記載の医薬組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の医薬組成物を含む水性製剤。
  8. さらに製薬上許容される緩衝剤、等張化剤、防腐剤、溶解補助剤、pH調整剤から選択される1又はそれ以上の添加剤を含有する請求項7に記載の水性製剤。
  9. 緩衝剤が、コハク酸、ホウ酸、リン酸及びアミン酸、並びにその塩から選択される請求項8記載の水性製剤。
  10. 緩衝剤がコハク酸である請求項9記載の水性製剤。
  11. 等張化剤が、ブドウ糖、ソルビトール、マンニトール、塩化ナトリウム、塩化カリウム、プロピレングリコール及びグリセリンから選択される1又は2の等張化剤である請求項8〜10のいずれかに記載の水性製剤。
  12. 防腐剤が、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、臭化ベンゾドデシニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、クロロブタノール及びベンジルアルコールから選択される請求項8〜11のいずれかに記載の水性製剤。
  13. pHが約5.0〜9.0の範囲である請求項7〜12のいずれかに記載の水性製剤。
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