本明細書に組み込まれ、本明細書の一部をなす添付の図面は、本発明の実施形態を例示するものであり、上記の発明の概要と併せて、以下の詳細な説明により本発明を説明する。
一実施形態では、本発明は、燃料ポートおよび空気ポートが1つのモノリシック構造として製作されているSOFCデバイスおよびシステムを実現する。一実施形態では、SOFCデバイスは、細長い構造、本質的には比較的平たい、または矩形のスティック状のものであり(そのため、SOFC Stick(登録商標)デバイスと呼ばれる)、その長さは幅または厚さに比べてかなり大きい。SOFC Stick(登録商標)デバイスは、中心が高温でも低温の端部を有することができる(低温端部は<300℃、高温の中心部は>400℃、たいがい>700℃)。セラミックの熱伝導が遅いため、高温中心部が低温の端部を完全に加熱することができないことがある。それに加えて、端部は、そこに到達する熱を片っ端から放射する。本発明は、接続用の低温端部を備えることにより、アノード、カソード、燃料入口およびH2O CO2出口、空気入口および空気出口に比較的簡単に接続するようにすることが可能である。チューブ状燃料電池構造は、高温の中心部とともに低温端部を持つこともできるが、従来技術では、セラミックチューブのこのような利点を活かさず、その代わりに、チューブ全体を炉、または高温帯内に入れるので、高温の接続部が必要になった。従来技術では、燃料投入用に高温鑞付け接続部を形成する工程の複雑さとコストを認識しているが、本明細書に掲示されている解決方法については認識していない。本発明のSOFC Stick(登録商標)デバイスは、長く薄っぺらであるため、中心部を加熱しつつも端部を低温のままにするという上述の熱特性の利点を有する。これにより、温度に関して構造的堅牢性を持つとともに、燃料、空気、および電極を比較的容易に接続することができる。SOFC Stick(登録商標)デバイスは、本質的にスタンドアロン型システムであり、電力を発生するために熱、燃料、および空気を加えるだけでよい。この構造は、以上のコンポーネントを容易に取り付けられるように設計される。
本発明のSOFC Stick(登録商標)デバイスは、多層構造であり、ほかにいくつかの利点がある多層同時焼成アプローチを使用して製造することができる。第1に、このデバイスは、モノリシックであり、構造的堅牢性を持たせるのに役立つ。第2に、このデバイスは、キャパシタチップのMLCC(多層同時焼成セラミック)生産で使用されるような従来の大量製造技術に適している。(多層キャパシタ生産は、工業用セラミックスの最大規模の利用であり、この技術は、大量製造向きであることが実証されている。)第3に、薄層電解質は、コストまたは複雑さを増すことなく構造内に形成されうる。2μmの厚さの電解質層は、MLCCアプローチを使用することで可能であるが、60μm未満の電解質壁厚さを持つSOFCチューブについて考えにくい。したがって、本発明のSOFC Stick(登録商標)デバイスは、SOFCチューブに比べて30倍ほど効率的であると考えられる。最後に、本発明の多層SOFC Stick(登録商標)デバイスは、それぞれ、数百、あるいは数千もの層を有することも可能であり、その場合最大の面積および最大の密度を得られる。
従来技術のSOFCチューブの表面積と本発明のSOFC Stick(登録商標)デバイスとを比較して考える。例えば、直径0.25’’のチューブと0.25’’×0.25’’のSOFC Stick(登録商標)デバイスを比較して考える。チューブ内では、円周は、3.14×D、つまり0.785’’である。0.25’’のSOFC Stick(登録商標)デバイスでは、1つの層の使用可能な幅は、約0.2インチである。したがって、1つのチューブと同じ面積を得るには、約4つの層を必要とする。これらの数字は、キャパシタ技術のものと比べて劇的に異なる。日本の多層キャパシタの最新技術は、現在、2μmの厚さの層600枚である。日本ではまもなく1000層パーツの生産に着手する可能性が高く、現在は、研究所で作っている。600層を使用するこれらのチップキャパシタは、わずか0.060’’(1500μm)しかない。この製造技術を本発明のSOFC Stick(登録商標)デバイスに応用することで、2μmの電解質厚さを有する0.25’’デバイスおよびそれぞれのカソード/アノードの厚さが10μmである空気/燃料流路において、529の層を持つ単一デバイスを製造することが可能である。これは、132本のチューブに相当する。従来技術の戦略では、さらに多くのチューブを加え、直径を大きくし、および/またはチューブ長を増やして、出力を高めるが、その結果、大電力を出力するために非常に大きな構造となる。その一方で、本発明は、より多くの層を単一のSOFC Stick(登録商標)デバイスに加え、電力を高め、および/またはより薄い層もしくは流路をデバイス内で使用し、それにより、SOFC技術の小型化を図ることができる。さらに、本発明の利点は、キャパシタの場合と全く同様に、2乗効果である。電解質層が厚さを半分にされると、電力は2倍になり、次いで、さらに多くの層をデバイス内に収めることで、再び電力を2倍にできる。
本発明の他の重要な特徴は、SOFC Stick(登録商標)デバイスの出力電圧を内部的に高めるために複数の層をリンクするのが容易である点である。層毎に1ボルトと仮定すると、バイアホールを使用して12のグループをひとまとめにリンクする本発明のSOFC Stick(登録商標)デバイスにより12ボルトの出力が得られる。その後、他の接続により、12のグループを並列にリンクして、より高い電流を得ることができる。これは、キャパシタチップ技術で使用される既存の方法により実行されうる。重要な違いは、本発明は、他の技術では使用しなければならない鑞付けおよび複雑な配線の必要性がなくなっていることである。
本発明では、さらに、従来技術に比べて選択できる電極の種類の多様性が増している。貴金属は、アノードとカソードの両方について機能する。銀は、安価であるが、高温では、Pd、Pt、またはAuとのブレンドが必要になり、Pdはこれら3つの金属のうち最低価格である。多くの研究が、非貴金属導体に集中した。燃料側については、ニッケルを使用する試みがなされたが、酸素に曝されると、金属は高温下で酸化する。導電性セラミックも知られており、本発明で使用することができる。つまり、本発明は、焼結されうるいかなる種類のアノード/カソード/電解質系をも使用できるということである。
本発明の一実施形態では、2μmと広い面積のテープが支えられていない場合、空気/ガスが両側にあると、層は脆くなる可能性がある。間隙間にピラーを残すことが考えられる。これらは、鍾乳石と石筍が接触する洞窟の中の支柱のようなものに見える。これらは、均等な細かい間隔で配置することが可能であり、そうすると、構造に対する強度がかなり高まる。
ガスおよび空気供給源を取り付けるために、端部温度は300℃未満、例えば、150℃未満とすることが考えられ、これにより、例えば、高温柔軟性のあるシリコーンチューブまたは天然ゴムチューブをSOFC Stick(登録商標)デバイスに取り付けるために使用することができる。これらの柔軟なチューブは、デバイスの端部上に簡単に引き伸ばすことができ、これによりシールを形成することができる。これらの材料は、標準のマクマスターカタログで入手可能である。シリコーンは、一般に、150℃またはそれ以上の温度でオーブンガスケットとしてその特性を失わずに使用される。マルチスティックのSOFC Stick(登録商標)システムの多数のシリコーンまたは天然ゴムチューブをバーブ接続で供給源に接続することが可能である。
アノード材料またはカソード材料、または両方の電極材料が、金属または合金であるとしてよい。アノードおよびカソードに適した金属および合金は、当業者に知られている。それとは別に、一方または両方の電極材料を、導電性グリーンセラミックとしてよく、これも当業者に知られている。例えば、アノード材料は、イットリア安定化ジルコニアでコーティングされた部分焼結金属ニッケルとしてよく、またカソード材料は、ペロブスカイト構造を有する、改質ランタンマグネタイトとしてよい。
他の実施形態では、電極材料の一方または両方は、グリーンセラミックと複合材料を導電性にするのに十分な量だけ存在する導電性の高い金属との複合材料としてよい。一般に、セラミックマトリックスは、金属粒子同士が接触し始めると導電性を持つようになる。複合材料マトリックスを導電性にするのに十分な金属の量は、主に金属粒子形態に依存して変化する。例えば、金属の量は、一般的には、金属薄片の場合よりも球形粉末金属の場合に高くする必要がある。例示的な一実施形態では、この複合材料は、約40〜90%の導電性金属粒子が中に分散されているグリーンセラミックのマトリックスを含む。グリーンセラミックマトリックスは、電解質層に使用されるグリーンセラミック材料と同じであっても、異なっていてもよい。
一方または両方の電極材料がセラミック、つまり、導電性のグリーンセラミックまたは複合材料を含む実施形態では、電極材料中のグリーンセラミックおよび電解質用のグリーンセラミック材料は、架橋可能な有機結合剤を含むことができ、このため、積層時に、この圧力は、層内で有機結合剤を架橋するとともに層間のポリマー分子鎖を結合するのに十分なものである。
類似のコンポーネントを指し示すために類似の番号が全体を通して使用されている図面を参照する。図の中で使用されている参照番号は下記のとおりである。
図1および1Aは、それぞれ、デバイスがモノリシックである場合の単一のアノード層24、カソード層26、および電解質層28を有する、本発明の基本的なSOFC Stick(登録商標)デバイス10の一実施形態の側断面図および上断面図である。SOFC Stick(登録商標)デバイス10は、燃料入口12、燃料出口16、およびその間の燃料流路14を備える。デバイス10は、さらに、空気入口18、空気出口22、およびその間の空気流路20を備える。燃料流路14および空気流路20は、対向する平行な関係にあり、燃料流路14を通る燃料供給源34からの燃料の流れは、空気流路20を通る空気供給源36からの空気の流れと反対の方向にある。電解質層28は、燃料流路14と空気流路20との間に配置される。アノード層24は、燃料流路14と電解質層28との間に配置される。同様に、カソード層26は、空気流路20と電解質層28との間に配置される。SOFC Stick(登録商標)デバイス10の残り部分は、セラミック29を含み、これは電解質層28と同じ材料であってもよいし、また異なる、適合性のあるセラミック材料であってもよい。電解質層28は、破線で示されているように、アノード24とカソード26の対向する領域間に置かれたセラミックの部分として考えられる。酸素イオンが空気流路から燃料流路へ移動する際に通るのが電解質層28である。図1に示されているように、空気供給源36から出るO2は、空気流路20を通って移動し、カソード層26によりイオン化されて2Oを形成し、電解質層28を通過し、アノード24を通り、燃料流路14に入り、そこで、燃料供給源34から送られる燃料、例えば、炭化水素と反応して、COとH2を形成し、次いで、H2OとCO2を形成する。図1は燃料として炭化水素を使用する反応を示しているが、本発明はそれに限定されない。本発明では、SOFCで一般に使用されるタイプの燃料を使用することができる。燃料供給源34は、例えば、任意の炭化水素源または水素源としてよい。メタン(CH4)、プロパン(C3H8)、およびブタン(C4H10)は、炭化水素燃料の例である。
反応を生じさせるためには、熱をSOFC Stick(登録商標)デバイス10に加えなければならない。本発明によれば、SOFC Stick(登録商標)デバイス10は、デバイスをデバイスの中心にある高温帯32(または加熱帯)とデバイス10のそれぞれの端部11aおよび11bのところの低温帯30とに分けられるくらいの長さを有する。高温帯32と低温帯30との間に、遷移帯31が存在する。高温帯32は、典型的には400℃よりも高い温度で動作する。例示的な実施形態では、高温帯32は、600℃よりも高い、例えば、700℃よりも高い温度で動作する。低温帯30は、熱源に曝されず、SOFC Stick(登録商標)デバイス10が十分に長いことと、セラミック材料の熱特性の優れていることから、熱は高温帯の外部に放散し、低温帯30の温度は300℃未満である。高温帯からセラミックの長さにそって下り低温帯の端部に達する熱伝達は遅いが、高温帯の外部のセラミック材料から空気への熱伝達は比較的高速であると考えられる。そのため、高温帯で投入される熱の大半は、低温帯の端部に到達する前に空気中に(主に遷移帯で)失われる。本発明の例示的な実施形態では、低温帯30の温度は150℃未満である。他の例示的な実施形態では、低温帯30は室温である。遷移帯31は、高温帯32の動作温度と低温帯30の温度の間の温度を有し、遷移帯31内では、著しい量の熱放散が生じる。
主熱膨張率(CTE)は、SOFC Stick(登録商標)デバイス10の長さにそっており、したがって本質的に一次元であるため、ひび割れを起こすことなく中心の高速加熱が可能になる。例示的な実施形態では、デバイス10の長さは、デバイスの幅および厚さの少なくとも5倍以上である。他の例示的な実施形態では、デバイス10の長さは、デバイスの幅および厚さの少なくとも10倍以上である。さらに他の例示的な実施形態では、デバイス10の長さは、デバイスの幅および厚さの少なくとも15倍以上である。それに加えて、例示的な実施形態では、この幅は、厚さよりも大きく、より広い面積をもたらす。例えば、幅は、厚さの少なくとも2倍とすることができる。例えば、厚さ0.2インチのSOFC Stick(登録商標)デバイス10は、0.5インチの幅を持つことができる。図面は、縮尺通りでなく、相対的な寸法の一般的な考え方を示しているのにすぎないことは理解されるであろう。
本発明によれば、アノードとカソードの電気的接続は、SOFC Stick(登録商標)デバイス10の低温帯30においてなされる。例示的な実施形態では、アノード24およびカソード26は、電気的接続が可能なように低温帯30内のSOFC Stick(登録商標)デバイス10の外面にそれぞれ露出される。負の電圧ノード38は、例えば電線42を介して露出アノード部分25に接続され、正の電圧ノード40は、例えば電線42を介して露出カソード部分27に接続される。SOFC Stick(登録商標)デバイス10は、デバイスのそれぞれの端部11a、11bのところに低温帯30を有しているため、従来技術を著しく勝る利点である、電気的接続を行うために高温鑞付け法を一般的には必要とする、低温の剛性のある電気的接続部を形成することができる。
図2は、供給チューブ50が端部上に取り付けられタイラップ52で固定されているSOFC Stick(登録商標)デバイス10の第1の端部11aの斜視図である。次いで、燃料供給源34から送られる燃料は、供給チューブ50に通され、燃料入口12に送り込まれる。第1の端部11aが低温帯30に置かれる結果として、燃料供給源34を燃料入口12に接続するために柔軟なプラスチック製配管または他の低温タイプの接続材料を使用することができる。本発明により、高温鑞付けで燃料接続部を形成する必要性がなくなる。
図3Aは、第1および第2の端部11a、11bを修正した、図1に示されているのと似たSOFC Stick(登録商標)デバイス10の斜視図である。端部11a、11bは、円筒状端部を形成するように機械加工され、これにより燃料供給源34および空気供給源36を簡単に接続できるようになっている。図3Bは、燃料供給源34から燃料入口12に燃料を供給するために第1の端部11aに接続された供給チューブ50の斜視図である。例えば、供給チューブ50は、第1の端部11aに対する弾性のおかげで確実なシールを形成するシリコーンまたは天然ゴムチューブとすることができる。柔軟性および弾性を有する供給チューブ50は、振動に曝されるモバイルデバイスで使用される場合にSOFC Stick(登録商標)デバイスのショックアブソーバとなりうることは理解されるであろう。従来技術では、チューブまたはプレートは、堅く鑞付けされており、したがって、動的環境において使用される場合に亀裂破損を生じることがある。したがって、振動減衰器としての供給管50の付加的機能は、従来技術に比べて独自の利点をもたらす。
図3Aを再び参照すると、コンタクトパッド44が、SOFC Stick(登録商標)デバイス10の外面に備えられ、露出アノード部分25および露出カソード部分27と接触するようになっている。コンタクトパッド44の材料は、電圧ノード38、40をそれぞれのアノード24およびカソード26に電気的に接続するように導電性を有していなければならない。コンタクトパッド44を形成するのに適している方法を使用できることは理解されうる。例えば、金属パッドは、焼結SOFC Stick(登録商標)デバイス10の外面上にプリントできる。電線42は、例えば、信頼性の高い接続を確立するためにハンダ接続部46によりコンタクトパッド44に固定される。ハンダは、低温材料であり、SOFC Stick(登録商標)デバイス10の低温帯30内に配置されることにより使用できる。例えば、ふつうの10Sn88Pb2Agハンダを使用できる。本発明では、高温電圧接続の必要をなくし、これにより、低温接続材料または手段への可能性を拡大する。
また図3Aには、燃料出口16と空気出口22の斜視図が示されている。燃料は、一方の低温帯30内にある第1の端部11aのところの燃料入口12に入り、SOFC Stick(登録商標)デバイス10の側部から出て、第2の端部11bに隣接する出口16を通る。空気は、低温帯30内にある第2の端部11b内に配置されている空気入口18に入り、第1の端部11aに隣接するSOFC Stick(登録商標)デバイス10の側部内の空気出口22から出る。出口16および22は、SOFC Stick(登録商標)デバイス10の同じ側にあるように示されているが、反対側、例えば、図4Aの下に示されているように配置できることも理解されるであろう。
空気出口22を燃料入口12に近づける(同様に、燃料出口16を空気入口18に近づける)ことにより、また重なり合う層(アノード、カソード、電解質)の近接近を通じて、空気出口22は、熱交換器として機能し、燃料入口12を通ってデバイス10に入る燃料を予熱するのに役立つ(同様に、燃料出口16は、空気入口18を通って入る空気を予熱する)。熱交換器は、システムの効率を改善する。遷移帯は、使用済みの空気と新鮮な燃料(および使用済みの燃料と新鮮な空気)の重なり合う領域を有し、このため、熱は、新鮮な燃料(新鮮な空気)が高温帯に到達する前に伝達される。したがって、本発明のSOFC Stick(登録商標)デバイス10は、内蔵熱交換器を備えるモノリシック構造である。
図4Aを参照すると、露出アノード部分25に接続されたそれぞれのコンタクトパッド44の位置を揃え、負の電圧ノード38に接続された電線42をコンタクトパッド44のそれぞれにハンダ付け(46で)することによる、複数のSOFC Stick(登録商標)デバイス10、この場合は2つのSOFC Stick(登録商標)デバイスの接続が斜視図で示されている。同様に、露出カソード部分27に接続されているコンタクトパッド44の位置が揃えられ、正の電圧ノード40を接続する電線42は、破線で部分的に示されているように、揃えられたコンタクトパッド44のそれぞれにハンダ付けされる(46のところで)。理解されるように、接続部は低温帯30内にあり、比較的単純な接続となっているため、マルチSOFC Stick(登録商標)システムまたはアセンブリ内の1つのSOFC Stick(登録商標)デバイス10が交換を必要とする場合でも、その1つのデバイス10とのハンダ接続を壊して、デバイスを新しいデバイス10と交換し、電線42を新しいSOFC Stick(登録商標)デバイス10のコンタクトパッドにハンダ付けし直すだけでよい。
図4Bは、それぞれのSOFC Stick(登録商標)デバイス10が複数のアノードおよびカソードを備える、複数のSOFC Stick(登録商標)デバイス10の間の接続を示す端面図である。例えば、図4Bに示されている特定の実施形態は、対向するアノード24およびカソード26からなる3つのセットを備え、それぞれのアノード24はSOFC Stick(登録商標)デバイス10の右側に露出され、それぞれのカソードはSOFC Stick(登録商標)デバイス10の左側に露出される。次いで、コンタクトパッドがSOFC Stick(登録商標)デバイス10のそれぞれの側に置かれ、それぞれの露出アノード部分25および露出カソード部分27と接触する。右側では、アノード24が露出されており、負の電圧ノード38が、ハンダ接続部46を介して電線42をコンタクトパッド44に固定することにより露出アノード部分25に接続される。同様に、正の電圧ノード40が、ハンダ接続部46を介して電線42をコンタクトパッド44に固定することによりSOFC Stick(登録商標)デバイス10の左側の露出カソード部分27に電気的に接続される。したがって、図1〜4Aは、単一のカソード26に対向する単一のアノード24を示していたが、図4Bに示されているように、それぞれのSOFC Stick(登録商標)デバイス10は、複数のアノード24およびカソード26を備えることができ、それぞれの電圧ノード38または40に接続するために外面に施されたコンタクトパッド44を使って電気的に接続するためにそれぞれSOFC Stick(登録商標)デバイス10の外面に露出される。構造内の対向するアノードおよびカソードの数は、数十、数百、さらには数千であってもよい。
図5は、電線42とコンタクトパッド44との間に電気接続を形成するための機械的取付けを示す端面図である。この実施形態では、SOFC Stick(登録商標)デバイス10は、一組の電極がそれぞれのSOFC Stick(登録商標)デバイス10の上面のところに露出されるように向き付けられる。コンタクトパッド44は、低温帯30内の一端(例えば、11aまたは11b)のところでそれぞれの上面に施されている。次いで、スプリングクリップ48を使用して、電線42を取り外し可能なようにコンタクトパッド44に固定することができる。したがって、金属結合を使用して、図3A、4A、および4Bに示されているような電気的接続部を形成するか、または図5に示されているように機械的接続手段を使用することができる。本発明のSOFC Stick(登録商標)デバイス内の低温帯30のおかげで、適切な取付手段を柔軟に選択できる。スプリングクリップまたは他の機械的取付手段を使用することで、マルチスティックアセンブリ内の単一のSOFC Stick(登録商標)デバイス10を交換する工程をさらに簡素化する。
図6Aおよび6Bは、第2の端部11bが高温帯32内にあり、SOFC Stick(登録商標)デバイス10の第1の端部11aに単一の低温帯30を有する代替え実施形態の斜視図である。図6Aでは、SOFC Stick(登録商標)デバイス10は、並列配置の3つの燃料電池を備えるが、図6BのSOFC Stick(登録商標)デバイス10は、単一燃料電池を備える。したがって、本発明の実施形態は、単一電池設計または複数電池設計を含むことができる。燃料と空気の両方の単一端部投入を可能にするために、空気入口18は、SOFC Stick(登録商標)デバイス10の側面の第1の端部11aに隣接するように向きを変えられる。ここでもまた、空気流路20(図に示されていない)は、燃料流路14と平行に走るが、この実施形態では、空気の流れは、SOFC Stick(登録商標)デバイス10の長さ方向に通る燃料の流れと同じ方向である。デバイス10の第2の端部11bでは、空気出口22が燃料出口16に隣接して配置される。燃料出口16または空気出口22のいずれか、またはその両方が、両方とも端面から出るのではなくSOFC Stick(登録商標)デバイス10の側面から出ることが可能なのは理解されるであろう。
図6Bに示されているように、空気供給源36の供給チューブ50は、空気供給源36の供給チューブ50が燃料供給源34の供給チューブ50に垂直になるように、供給チューブ50の側面を通る孔を形成し、デバイス10をスライドさせて側孔に通すことにより形成される。ここでもまた、この実施形態ではシリコーンゴムチューブなどを使用できる。結合材料をチューブ50とデバイス10との間のジョイントの周りに施して、シールを形成することができる。さらに電気的接続部は、低温帯30内の第1の端部11aに隣接して形成される。図6Aおよび6Bは、SOFC Stick(登録商標)デバイス10の片側に形成される正の電圧接続部およびSOFC Stick(登録商標)デバイス10の対向側に形成される負の電圧接続部を示している。しかし、本発明はこのように制限されないことは理解されるであろう。単一端部投入SOFC Stick(登録商標)デバイスの利点は、2つの遷移帯31の代わりにただ1つの低温−高温遷移帯があり、SOFC Stick(登録商標)を短くすることが可能である点である。
本発明の一利点は、活性層を非常に薄くすることができ、これによりSOFC Stick(登録商標)は複数の燃料電池を単一デバイス内に組み込むことができることである。活性層が薄ければ薄いほど、SOFC Stick(登録商標)デバイス10の製造時に空気流路20または燃料流路14が陥没する可能性が大きくなり、このため流路を通る流れが阻害される。したがって、本発明の一実施形態では、図7Aおよび7Bに示されているように、複数のセラミックピラー54が流路14および20内に備えられ、電解質層の歪みと流路の閉塞が防止される。図7Aは、側断面図であるが、図7Bは、空気流路20を通る上断面図である。本発明の一方法によれば、テープキャスティング法を使用し、材料のレーザー除去法を用いるなどして犠牲テープ層を、犠牲層内に形成された複数の孔とともに使用できる。次いで、セラミック材料が、セラミックスラリーを犠牲テープ層の上に塗り広げて孔に浸透させることにより孔を埋めるために使用される。さまざまな層がまとめ上げられた後、溶媒を用いるなどして犠牲層の犠牲材料が除去され、セラミックピラー54が後に残る。
セラミックピラー54を形成する他の実施形態では、事前焼結セラミックの大きな粒子を、溶媒に解かしたプラスチックなどの有機バインダに加え、攪拌して完全不規則混合物を形成することができる。例えば、限定はしないが、大きな粒子は、直径0.002インチのボールなどの球体としてよい。次いで、燃料流路14および空気流路20が配置されるべき領域内にプリントするなどの方法で完全不規則混合物がグリーン構造に施される。焼結(ベイク/焼成)工程では、有機バインダが構造から抜けて(例えば、燃え尽きて)、流路を形成し、セラミック粒子が残り、ピラー54を形成し、流路を物理的に開いたまま保持する。その結果が得られる構造が、図7Cおよび7Dの顕微鏡写真に示されている。ピラー54は、無作為に配置され、その平均距離は有機バインダ中のセラミック粒子の保持量によって代わる。
図8Aは、並列の2つの燃料電池を備える本発明の一実施形態の断面図である。それぞれの活性電解質層28は、空気流路20およびカソード層26aまたは26bを一方の側に備え、燃料流路14およびアノード層24aまたは24bを対向側に備える。一方の燃料電池の空気流路20は、セラミック材料29により第2の燃料電池の燃料流路14から隔てられる。露出アノード部分25は、負の電圧ノード38に電線42を介してそれぞれ接続され、露出カソード部分27は、正の電圧ノード40に電線42を介してそれぞれ接続される。次いで、単一の空気供給源36を使用して複数の空気流路20のそれぞれに供給し、単一の燃料供給源34を使用して複数の燃料流路14のそれぞれに供給することができる。活性層のこの配列により確立される電気回路は、図の右側に示されている。
図8Bの断面図において、SOFC Stick(登録商標)デバイス10は、図8Aに示されているものに類似しているが、複数の露出アノード部分25および複数の露出カソード部分27を備える代わりに、1つのアノード層24aだけを25に露出させ、1つのカソード層26aだけを27に露出させる。第1のバイア56は、カソード層26aをカソード層26bに接続し、第2のバイア58は、アノード層24aをアノード層24bに接続する。例えば、グリーン層の形成時にレーザー法を使用して、開いているバイアを作成し、次いでその後導電性材料を埋めてバイア接続を形成することができる。図8Bの右の回路により示されているように、図8BのSOFC Stick(登録商標)デバイス10内に図8AのSOFC Stick(登録商標)デバイス10内と同じ電気経路が形成される。
図9Aおよび9Bはやはり、アノードおよびカソードが共有される、多種燃料電池設計の断面図である。図9Aの実施形態では、SOFC Stick(登録商標)デバイス10は、2つの燃料流路14および2つの空気流路20を備えるが、2つの燃料電池を有する代わりに、この構造は3つの燃料電池を備える。第1の燃料電池は、アノード層24aとカソード層26aとの間に中間電解質層28とともに形成される。アノード層24aは、燃料流路14の片側にあり、燃料流路14の対向側に、第2のアノード層24bがある。第2のアノード層24bは、他の電解質層を間に置いた状態で第2のカソード層26bと対向し、これにより、第2の燃料電池を形成する。第2のカソード層26bは、空気流路20の片側にあり、第3のカソード層26cは、その空気流路20の対向側にある。第3のカソード層26cは、電解質層28を間に置いた状態で第3のアノード層24cと対向し、これにより、第3の燃料電池を形成する。アノード層24aからカソード層26cまでのデバイス10の部分をデバイス内で何回も繰り返し、これにより共有アノードおよびカソードを形成し、これにより単一のSOFC Stick(登録商標)内の燃料電池の数を増やすことも可能である。それぞれのアノード層24a、24b、24cは、例えば電線42を介して負の電圧ノード38に接続するためにSOFC Stick(登録商標)デバイス10の外面に電気的接続部を形成できる露出アノード部分25を備える。同様に、それぞれのカソード層26a、26b、26cは、例えば電線42を介して正の電圧ノード40に接続するための外面への露出カソード部分27を備える。単一の空気供給源36を一方の低温端部のところに備えて空気流路20のそれぞれに供給し、単一の燃料供給源34を対向側の低温端部のところに備えて燃料流路14のそれぞれに供給することができる。この構造により形成される電気的回路は、図9Aの右側に示されている。このSOFC Stick(登録商標)デバイス10は、並列の3つの燃料電池層を備え、利用可能な電力出力が3倍になる。例えば、それぞれの層が1ボルト、1アンペアを発生する場合、それぞれの燃料電池層は、1ワットの電力出力を発生する(ボルト×アンペア=ワット)。したがって、この3層レイアウトは、次いで、合計3ワットの電力出力に対し1ボルト、3アンペアを発生する。
図9Bでは、図9Aの構造は、図9Bの右側の回路により示されているように、電圧ノードのそれぞれへの単一の電気的接続を形成して直列の3つの燃料電池を作成するように修正されている。正の電圧ノード40は、露出カソード部分27のところでカソード層26aに接続される。アノード層24aは、バイア58によりカソード層26bに接続される。アノード層24bは、バイア56によりカソード層26cに接続される。次いで、アノード層24cは露出アノード部分25のところで負の電圧ノード38に接続される。したがって、1つの層で同じ1アンペア/1ボルトという仮定を用いると、この3電池構造は、合計3ワットの電力出力に対し3ボルト、1アンペアを発生する。
本発明の他の実施形態は、図10に側面図で示されている。この実施形態では、SOFC Stick(登録商標)デバイス10は、第1の端部11aのところに単一の低温帯30を有し、第2の端部11bが高温帯32内にある。他の実施形態のように、燃料入口12は、第1の端部11aにあり、供給チューブ50により燃料供給源34に接続されている。この実施形態では、燃料流路14は、燃料出口16が第2の端部11bに置いてSOFC Stick(登録商標)デバイス10の長さを延長する。したがって、燃料供給接続部が、低温帯30内に形成され、燃料反応剤(例えば、CO2およびH2O)の出口は、高温帯32内にある。同様に、アノードは、電線42を介して負の電圧ノード38に接続するために低温帯30内に露出アノード部分25を有する。
図10の実施形態では、SOFC Stick(登録商標)デバイス10は、少なくとも片側で開いており、潜在的には両方の対向側で開いており、高温帯32内に空気入口18と空気流路20の両方を形成する。支持用セラミックピラー54の使用は、空気流路20内ではこの実施形態で特に有用と思われる。空気出口は、図に示されているように、第2の端部11bにあるものとしてよい。それとは別に、図に示されてはいないけれども、空気出口は、流路20が幅部分を貫通し、空気供給が投入側にのみ向けられているか、または流路20が幅部分を貫通しない場合に、空気入口側から対向側にあるものとしてよい。熱だけを高温帯32に伝える代わりに、この実施形態では、空気も供給される。言い換えると、空気を強制空気チューブに通す代わりに高温帯32内のデバイス10の両側を開放して加熱された空気が通るようにされる。
図10Aは、図10に示されている実施形態の変更形態の側面図である。図10Aでは、SOFC Stick(登録商標)デバイス10は、遷移帯31により低温帯30から隔てられている中心加熱帯32を持つ対向する低温帯30を備える。空気入口18は、加熱された空気を受け入れるように、中心加熱帯32内、少なくともその一部に備えられている。しかし、この実施形態では、空気流路は、図10のように適切な長さについてSOFC Stick(登録商標)デバイス10の側部に対し完全には開かれていない。むしろ、図10Bにより明確に示されているように、空気流路20は、高温帯32の一部において開いており、次いで、長さ方向の残り部分について両側に近く、次いで、SOFC Stick(登録商標)デバイス10の第2の端部11bのところの空気出口22から出る。この実施形態では、加熱された空気を、強制空気供給チューブではなく高温帯32内に送ることができるが、燃料と空気が低温帯30内のデバイス10の一方の端部11bのところから出るようにすることも可能である。
特定の実施形態が図に示され、詳細に説明されているが、本発明の範囲はそのように制限されるべきではない。本発明のより一般的な実施形態は、以下で説明されており、図11〜24に示されている略図を参照するとより完全に理解されうる。図11は、図12〜24に概略的に示されているコンポーネントの記号表となっている。燃料(F)または空気(A)が、SOFC Stick(登録商標)デバイス内に入る矢印により示される場合、これは、投入アクセスポイントに接続されたチューブなどを通る強制流を示す。空気投入が示されていない場合、これは、強制流接続以外の手段により加熱された空気高温帯が供給されること、またSOFC Stick(登録商標)が、高温帯内のアクセスポイントのところで空気流路に対し開かれていることを示す。
本発明の一実施形態は、少なくとも1つの燃料流路および関連するアノード、少なくとも1つの酸化剤経路および関連するカソード、ならびにそれらの間の電解質を含むSOFC Stick(登録商標)デバイスであるが、ただし、電池は、1本の主軸にそってCTEを有し、約400℃を超える温度を有する加熱帯内におけるその電池の部分で動作するように幅または厚さに比べて実質的に長い。この実施形態では、SOFC Stick(登録商標)デバイスは、空気と燃料の両方の投入に対するアクセスポイントを主CTE方向に従ってデバイスの1つの端部にまとめているか、または主CTE方向に従って空気投入を一方の端部に、燃料投入を他方の端部にまとめ、空気および燃料の投入は加熱帯の外側に配置されている。例えば、図20および24を参照。
本発明の他の実施形態では、燃料電池は、第1の温度帯と第2の温度帯を有し、第1の温度帯は高温帯であり、燃料電池反応を実行するのに十分な温度で動作し、第2の温度帯は加熱帯の外にあり、第1の温度帯よりも低い温度で動作する。第2の温度帯の温度は、低温接続を電極に対し行うことができ、また少なくとも燃料供給のために低温接続を行える十分な低さである。燃料電池構造は、部分的に第1の温度帯内に延び、部分的に第2の温度帯内に延びる。例えば、図12、13、および17を参照。
本発明の一実施形態では、燃料電池は、加熱帯である第1の温度帯および300℃未満の温度で動作する第2の温度帯を備える。空気および燃料接続部は、低温接続部としてゴム管などを使用して第2の温度帯内に形成される。低温ハンダ接続部またはスプリングクリップは、それぞれの負および正の電圧ノードに接続するためにアノードおよびカソードへの電気的接続部を形成するために使用される。さらに、二酸化炭素および水用の燃料出口と減損酸素の空気出口は、第1の温度帯、つまり、加熱帯に配置される。例えば、図17を参照。
本発明の他の実施形態では、燃料電池構造は、加熱帯である中心の第1の温度帯を備え、燃料電池のそれぞれの端部は、300℃未満で動作する第2の温度帯における第1の温度帯の外部に配置される。燃料および空気投入部は、アノードおよびカソードに電気的に接続するためのハンダ接続部またはスプリングクリップのように、第2の温度帯内に配置される。最後に、二酸化炭素、水、および減損酸素の排出部は、第2の温度帯内に配置される。例えば、図19、20、および24を参照。
本発明の他の実施形態では、燃料投入部は、第1の温度帯が対向する第2の温度帯の間の中心に用意された加熱帯である、300℃未満で動作する第2の温度帯内の主CTE方向に応じてそれぞれの端部に備えることができる。二酸化炭素、水、および減損酸素の排出部は、中心の加熱帯内に配置されうる。例えば、図15および18を参照。それとは別に、二酸化炭素、水、および減損酸素の排出部は、第2の温度帯、つまり、加熱帯の外部に配置されうる。例えば、図16および19を参照。
他の実施形態では、燃料投入アクセスポイントと空気投入アクセスポイントは両方とも、加熱帯である、第1の温度帯の外に配置され、300℃未満で動作する第2の温度帯内にあり、これにより空気および燃料供給のためゴム管などの低温接続部を使用できる。それに加えて、ハンダ接続部分またはスプリングクリップは、電圧ノードをアノードおよびカソードに接続するため第2の温度帯内で使用される。一実施形態では、燃料および空気投入部は両方とも主CTE方向に従って一方の端部にあり、SOFC Stick(登録商標)の他方の端部は、第1の加熱された温度帯内にあり、二酸化炭素、水、および減損酸素の排出部は加熱帯にある。例えば、図17を参照。したがって、SOFC Stick(登録商標)は、1つの加熱端と1つの非加熱端を有する。
他の実施形態では、燃料および空気は、加熱帯の外部で主CTE方向に従って一方の端部内に投入され、これも加熱帯の外の対向端部から出るが、そのため加熱帯は、2つの対向する第2の温度帯の間にある。例えば、図20を参照。さらに他の代替え実施形態では、燃料および空気は、第2の温度帯内に配置されている対向端部の両方の中に投入され、燃料および空気の排出部は、中心の加熱帯に置かれる。例えば、図18を参照。
さらに他の代替え実施形態では、燃料および空気は、第2の温度帯内に配置されている対向端部の両方の中に投入され、それぞれの排出部は、投入部と反対の側の端部のところで第2の温度帯に置かれる。例えば、図19を参照。そのため、燃料電池は、中心の加熱帯と加熱帯の外部の対向端部を有し、燃料および空気は両方とも第1の端部内に投入され、それぞれの反応排出物は第2の端部に隣接するところから排出され、燃料と空気は両方とも、第2の端部内に投入され、反応排出物は第1の端部に隣接するところから排出される。
さらに他の実施形態では、燃料投入部は、加熱帯の外の一方の端部にあり、空気投入部は、加熱帯の外の対向端部にあるとしてよい。例えば、図21〜24を参照。この実施形態では、空気と燃料の両方からの反応排出部は、加熱帯内にあるか(図21を参照)、または両方とも、それぞれの投入部と反対の端部に隣接する加熱帯の外部にあってよい(図24を参照)。それとは別に、二酸化炭素および水の排出部は、高温帯内にあってよく、減損酸素の排出部は、高温帯の外にあり(図22を参照)、またはその逆に、減損酸素の排出部は、加熱帯内にあってよく、二酸化炭素および水の排出部は、加熱帯の外にある(図23を参照)。図22および23に示されている燃料および空気排出部に関する変更形態も、例えば、図18〜20に示されている実施形態に応用することが可能である。
図25Aおよび27Aには平面図が、図27Bには側面図が示されている、本発明の他の実施形態では、パンハンドル設計と呼ばれるものを有するSOFC Stick(登録商標)デバイス100が実現される。SOFC Stick(登録商標)デバイス100は、1つの主軸においてCTEを有する、従来の実施形態において説明されているStick(登録商標)デバイスと寸法に関して類似している細長いセクション102を有する、つまり、幅または厚さに比べて実質的に長い。SOFC Stick(登録商標)デバイス100は、さらに、長さに近い大きさの幅を有する広い表面積を持つセクション104を有する。セクション104には正方形の表面領域または矩形の表面領域があってもよいが、幅は実質的には長さよりも短く、セクション104ではCTEは単一の主軸を持たず、むしろ長さ方向および幅方向にCTE軸を持つ。広い表面積のセクション104は、高温帯32内に配置されるが、細長いセクション102は、少なくとも部分的には低温帯30および遷移帯31内に配置される。例示的な一実施形態では、細長いセクション102の一部は、高温帯32内に入り込むが、これは本質的なことではない。例えば、燃料および空気供給源は、図6Bに示されている方法で細長いセクション102に接続され、さらには電気的接続部に接続されうる。
図25Bおよび26Aには平面図が示され、図26Bには図25A、27A、および27Bに示されているものに似た、ただしさらに、2つの細長いセクション102と106との間の広い表面積のセクション104の位置決めをするために細長いセクション102と反対側の第2の細長いセクション106を有する代替え実施形態の側面図が示されている。細長いセクション106は、さらに、少なくとも部分的に低温帯30および遷移帯31内に配置される。この実施形態では、燃料は、細長いセクション102内に投入され、空気は、細長いセクション106内に投入されうる。次いで、例えば、空気供給源および燃料供給源は、図2または図3Bに示されている方法で、それぞれ、細長いセクション106および102に接続できる。図25Bに示されているように、空気排出部は、燃料等入部に隣接する細長いセクション102内に配置され、燃料排出部は、空気投入部に隣接する細長いセクション106内に配置されうる。それとは別に、空気排出部および燃料排出部の一方または両方を、それぞれ図26Aおよび26Bに上面図および側面図として示されているように、高温帯32内の広い表面積のセクション104内に配置できる。図25Aおよび25Bの実施形態では、電解質が間にある対向するアノードおよびカソードの表面積は、反応面積を増大するために高温帯内で拡大され、これにより、SOFC Stick(登録商標)デバイス100により発生される電力を増大することができる。
本発明のSOFC Stick(登録商標)デバイス10、100の他の利点は、重量が小さいという点である。典型的な内燃機関の重量は、出力kW当たり18〜30lb程度である。本発明のSOFC Stick(登録商標)デバイス10、100は、出力kW当たり0.5lb程度の重量となるように製作できる。
図28A〜Dは、らせん状の、または巻かれたチューブ型構成を有する、本発明のチューブ型SOFC Stick(登録商標)デバイス200の代替え実施形態を示している。図28Aは、巻かれていない位置にある、デバイス200の略上面図である。デバイス200の巻かれていない構造は、巻かれた、またはらせん状のチューブ型SOFC Stick(登録商標)デバイス200の長さに対応する等しい長さLの第1の端部202および第2の端部204を有する。燃料入口12および空気入口18は、第1の端部202に隣接する対向する側部に示されている。次いで、図28Bのデバイス200の巻かれていない構造の略端面図および図28Cのデバイス200の巻かれていない構造の略側面図にさらに示されているように、燃料流路14および空気流路20は、燃料出口16および空気出口22が第2の端部204のところに位置するようにデバイス200の巻かれていない構造の幅にそって第2の端部204へ延びる。燃料流路14および空気流路20は、燃料および空気の流れを最大にするためにデバイス200の巻かれていない構造のほぼ長さLだけ延ばしているように示されているが、本発明はこれに限定されるわけではない。次いで、らせん状チューブ型SOFC Stick(登録商標)デバイス200を形成するために、第1の端部202を第2の端部204の方へ巻いて、図28Dの略斜視図に示されているデバイス200のらせん状チューブ構造を形成する。次いで、空気供給源36は、空気入口18への投入のためらせん状チューブ型SOFC Stick(登録商標)デバイス200の一方の端部に配置できるが、燃料供給源34は、燃料入口12に燃料を投入するためにらせん状チューブ型SOFC Stick(登録商標)デバイス200の対向する端部に配置できる。次いで、空気および燃料は、燃料出口16および空気出口22を通ってデバイス200の長さLにそってらせん状チューブ型SOFC Stick(登録商標)デバイス200から出る。電圧ノード38、40は、らせん状チューブ型SOFC Stick(登録商標)デバイス200の対向端に形成された、または対向端に隣接して形成されたコンタクトパッド44にハンダ付けすることができる。
図29A〜29Gは、SOFC Stick(登録商標)デバイスがチューブ型同心円状形態である本発明の代替え実施形態を示している。図29Aは、同心円状チューブ型SOFC Stick(登録商標)デバイス300の略等角投影図である。図29B〜29Eは、図29Aの同心円状デバイス300の断面図を示している。図29Fは、デバイス300の空気投入端部の端面図を示し、図29Gは、デバイス300の燃料投入端部の端面図を示している。図に示されている特定の実施形態は、3つの空気流路20を備え、1つはチューブ型構造の中心にあり、他の2つは間隔をあけて、同心円状に配置されている。同心円状チューブ型SOFC Stick(登録商標)デバイス300は、さらに、空気流路20の間に同心円状になっている2つの燃料流路14を有する。図29A〜29Dに示されているように、同心円状チューブ型SOFC Stick(登録商標)デバイス300は、一方の端部に燃料流路14を接続する燃料出口16およびそれぞれの入口に対向する他方の端部に空気流路20を接続する空気出口22を備える。それぞれの空気流路20は、カソード26を敷かれており、それぞれの燃料流路14は、アノード24を敷かれており、電解質28が対向するアノードとカソードとを隔てている。図29A〜29Bおよび29F〜29Gに示されているように、同心円状チューブ型SOFC Stick(登録商標)デバイス300の対向端部のところで露出アノード25および露出カソード27への電気的接続を形成できる。露出アノード25および露出カソード27を接続するためにコンタクトパッド44が端部に施されうるが、図には示されていないけれども、コンタクトパッド44をデバイス300の外側にそって配置し、端部にではなくデバイス300の長さ方向にそったある点に電気的接続を形成することができる。同心円状チューブ型SOFC Stick(登録商標)デバイス300は、構造的に支えるために空気および燃料流路14、20内に位置するピラー54を備えることができる。
空気投入部および燃料排出部が一方の端部に、燃料投入部および空気排出部が対向端にある、対向端11a、11bのところに2つの低温帯30を有する本発明の実施形態では、使用済み燃料または空気は、中心高温帯32から出るときには加熱状態にある。加熱された空気および燃料は、遷移帯31を通り低温帯30に移動するときに冷える。電極および/またはセラミック/電解質の薄層は、空気流路を平行に並ぶ燃料流路から隔て、またその逆も言える。一方の通路では、加熱された空気は、高温帯から出て、隣接する平行な流路内で、燃料が高温帯に入り、またその逆も言える。加熱された空気は、熱交換原理を通して、隣接する平行流路の入ってくる燃料を加熱し、またその逆も言える。したがって、熱交換を通じた空気および燃料の予熱がある程度ある。しかし、上述のように、高温帯の外部の急激な熱損失のため、熱交換は、空気および燃料を高温帯の活性領域内に入る前に最適な反応温度まで予熱するのに十分でない場合がある。それに加えて、SOFC Stick(登録商標)デバイス10が、1つの低温端部と1つの高温端部を備える実施形態では、燃料および空気が同じ低温端部内に投入され、同じ対向する高温端部から出るので、熱交換が生じる燃料および空気のクロスフローはない。SOFC Stick(登録商標)デバイスの電極およびセラミック材料からは、入ってくる燃料および空気への限られた熱交換しか利用できない。
図30A〜33Cは、アノード24およびカソード26が対向する関係にある活性帯33bに入る前に燃料および空気を予熱するための予熱帯33aを組み込んだSOFC Stick(登録商標)デバイス10のさまざまな実施形態を示している。これらの実施形態は、対向する低温端部に中間の高温帯ならびに燃料および空気投入部を有する2つの低温端部があるSOFC Stick(登録商標)デバイスと単一の低温端部に燃料および空気投入部の両方を有する1つの高温端部と1つの低温端部があるSOFC Stick(登録商標)デバイスとを備える。これらの実施形態では、使用される電極材料の量は、活性化帯33bに限定することができ、ごくわずかの量で、電圧ノード38、40との外部接続用の低温帯が得られる。後からさらに詳しく説明される、これらの実施形態の他の利点は、電子が外部電圧接続部まで移動する可能な最短の経路を有し、低抵抗をもたらすという点である。
図30Aは、集積された予熱帯33aとともに1つの低温帯30と1つの対向する高温帯32を有するSOFC Stick(登録商標)デバイス10の第1の実施形態の略側断面図である。図30Bは、燃料流路14に向かって見上げる形のアノード24を通る断面図であり、図30Cは、空気流路20に向かって見下ろす形のカソード26を通る断面図である。図30Aおよび30Bに示されているように、燃料供給源34からの燃料が、燃料入口12に入り、デバイス10の長さにそって進み、燃料流路14を通り、燃料出口16を通してデバイス10の対向端部から出る。低温帯30は、SOFC Stick(登録商標)デバイス10の第1の端部11aにあり、高温帯32は、対向する第2の端部11bにある。高温帯と低温帯との間に、遷移帯31がある。高温帯32は、燃料が最初に通過する初期予熱帯33a、および燃料流路14に隣接するアノード24を備える活性帯33bを備える。図30Bに示されているように、アノード24の断面積は、活性帯33bでは大きい。アノード24は、SOFC Stick(登録商標)デバイス10の一方のエッジまで延びており、外側コンタクトパッド44は、負の電圧ノード38への接続のためデバイス10の外側にそって低温帯30まで延びている。
同様に、図30Aおよび30Cに示されているように、空気供給源36からの空気は、低温帯に位置する空気入口18に入り、空気は、SOFC Stick(登録商標)デバイス10の長さにそって進み、空気流路20を通り、空気出口22を通して高温帯32から出る。空気および燃料が同じ端部に入り、同じ方向でSOFC Stick(登録商標)デバイス10の長さにそって移動しているため、高温帯32の前の熱交換により空気および燃料の予熱が制限される。カソード26は、アノード24と対向する関係を有するように活性帯33bに配置され、SOFC Stick(登録商標)デバイス10の反対側に延び、そこで、露出され、正の電圧ノード40に接続するために活性高温帯33bから低温帯30に延びる外部コンタクトパッド44に接続される。しかし、露出カソード27は、露出アノード25としてデバイス10の対向側に置かれる必要はない。露出アノード25および露出カソード27は、デバイスの同じ側に置くことも可能であり、またコンタクトパッド44は、SOFC Stick(登録商標)デバイス10の側を下るストライプとして形成されうる。この構造により、空気および燃料は、最初に予熱帯33a内で加熱され、反応はいっさい起きず、アノードおよびカソード材料の大半は、加熱された空気および燃料が入り対向するアノードおよびカソード層24、26により反応する活性帯33bに限定されている。
図31A〜31Cに示されている実施形態は、図30A〜30Cに示されているのと似ているが、1つの高温帯と1つの低温帯を有するのではなく、図31A〜Cの実施形態は、中心高温帯32とともに対向する低温帯30を備える。燃料供給源34からの燃料は、デバイス10の第1の端部11を通り、低温帯30内にある燃料入口12に入り、対向する第2の端部11bから対向する低温帯30内に位置する燃料出口16を通り出てくる。同様に、空気供給源36からの空気は、空気入口18から入り対向する低温帯30を通り、空気出口22を通り第1の低温帯30から出る。燃料は、高温帯32に入り、予熱帯33a内で予熱され、その一方で、空気は、高温帯32の反対側に入り、他の予熱帯33a内で予熱される。したがって、燃料と空気のクロスフローがある。アノード24は、高温帯32の活性帯33b内のカソード26に対向し、反応は、予熱された燃料および空気を伴う活性帯33b内で生じる。ここでもまた、電極材料の大半は、活性帯33bに制限される。アノードは、SOFC Stick(登録商標)デバイス10の一方のエッジに露出され、カソードは、デバイス10の他方の側に露出される。外部コンタクトパッド44は、高温帯32内の露出アノード25に接触し、負の電圧ノード38に接続するために第1の低温端部11aに向かって延びる。同様に、外部コンタクトパッド44は、高温帯32内の露出カソード27に接触し、正の電圧ノード40に接続するために第2の低温帯11bに向かって延びる。
予熱帯33aは、活性領域に到達する前にガスを最適な反応温度に完全に加熱するという利点を備える。燃料が、最適な温度よりも低い場合、SOFCシステムの効率は低下する。空気および燃料が引き続きその経路上にあると、暖機する。暖機すると、電解質の効率が、その領域において上昇する。燃料、空気、および電解質が炉の完全な温度に達すると、電解質は、最適な効率の下で作用する。貴金属から作られうるアノードおよびカソードに対するコストを削減するために、最適な温度よりもかなり低い温度の領域では、金属の使用をなくすことができる。長さまたは他の次元に関する予熱帯の量は、炉からSOFC Stick(登録商標)デバイスへ、またSOFC Stick(登録商標)デバイスから燃料および空気への熱伝達量とともに、燃料および空気のクロスフローにより熱交換が発生しているかどうかにより異なる。次元は、さらに、燃料および空気の流量に依存し、燃料または空気がSOFC Stick(登録商標)デバイスの長さ方向に素早く下る場合には、予熱帯は長いほど都合がよいが、流量が小さい場合には、予熱帯は短くされてよい。
図32Aおよび32Bは、図31A〜31Cに示されているものに似た一実施形態を示しているが、SOFC Stick(登録商標)デバイス10は、より狭い燃料通路14を通り活性帯33b内に入る前に予熱帯33a内で大量の燃料を予熱するための燃料入口12と高温帯32内に入り込む燃料流路14との間の予熱室13を備える。同様に、SOFC Stick(登録商標)デバイス10は、より狭い空気通路20を通り活性帯33b内に入る前に予熱帯33a内で大量の空気を予熱するための空気入口18と高温帯32内に入り込む空気流路20との間の予熱室19を備える。上の実施形態で開示されているように、SOFC Stick(登録商標)デバイス10は、複数の燃料流路14および空気流路20を備えることができ、それぞれの流路はそれぞれの予熱室13、19からの流れを受け入れる。
予熱チャネルの代わりの大容量の予熱室に関して、例に過ぎないが、空気の分子が最適な温度まで加熱するのに5秒を要する場合、次いで空気の分子がSOFC Stick(登録商標)デバイス10を毎秒1インチの速度で下っている場合、SOFC Stick(登録商標)デバイスは、空気が活性帯33b内に入る前に長さ5インチの予熱チャネルを必要とすると想像できる。しかし、大容量室がチャネルの代わりに備えられる場合、この容量は、分子がより狭いチャネルに入り活性帯に向かう前にキャビティ内でさらに時間を費やすのを許容するので、空気分子は、この室の中で加熱され、次いで、チャネルの短さを利用して、加熱された空気分子を活性帯に送ることができる。このようなキャビティまたは予熱室は、グリーン(つまり、焼結前)アセンブリを取り、このアセンブリの端部に孔をあけて室を形成するか、または形成時にグリーンスタック内に大量の有機材料を組み込み、焼結時にSOFC Stick(登録商標)デバイスから有機材料をベイクアウトすることを含むさまざまな方法で作成することが可能である。
図33A〜33Cは、空気および燃料が活性帯33bに到達する前に空気および燃料を予熱するさらに他の実施形態を示している。図33Aは、本質的にSOFC Stick(登録商標)デバイス10の長手軸方向中心を通る、略側断面図である。図33Bは、燃料流路14およびアノード24が交差する線33B−33Bにそった上断面であるが、図33Cは、空気流路20がカソード26と交差する線33C−33Cにそった下断面図である。SOFC Stick(登録商標)デバイス10は、2つの対向する低温帯30および1つの中心高温帯32を有し、遷移帯31がそれぞれの低温帯30と高温帯32との間にある。燃料供給源34からの燃料は、燃料入口12を通してSOFC Stick(登録商標)デバイス10の第1の端部11aに入り、高温帯32の対向端部に向かって延びる燃料流路14を通過するが、そこで、Uターンして、第1の端部11aの低温帯30に戻り、使用済み燃料が燃料出口16を通って出てくる。同様に、空気供給源36からの空気は、空気入口18を通してSOFC Stick(登録商標)デバイス10の第2の端部11bに入り、高温帯32の対向端部に向かって延びる空気流路20を通過するが、そこで、Uターンして、第2の端部11bに戻り、空気は空気出口22を通り低温帯30から出る。これらのUターンが形成されている流路を使って、曲がり(Uターン)を通り高温帯32内に最初に入る場所からの燃料流路14および空気流路20の部分は、燃料および空気を加熱するための予熱帯となる。流路14、20内の曲がり、またはUターンの後で、領域が高温帯32内の活性帯33bを構成する、間にある電解質28と対向する関係にある流路がそれぞれのアノード24またはカソード26を敷かれる。したがって、燃料および空気は、活性帯33bに入る前に予熱帯33a内で加熱され、これによりSOFC Stick(登録商標)デバイス10の効率を高め、電極材料の使用料を最小限度に抑える。アノード24は、負の電圧ノード38に接続するため低温帯30内のデバイス10の外部に延ばされる。同様に、カソード26は、正の電圧ノード40に電気的に接続するためデバイス10の外部に延ばされる。燃料および空気出口16および22は、さらに、低温帯30から出ることができる。
図に示され、上で説明されている実施形態の多くでは、アノード24およびカソード26が、SOFC Stick(登録商標)デバイス10の複数の層内で、本質的にはそれぞれの層の中心領域内で、つまりデバイスの内部で、デバイスの端部に到達するまで移動する。その時点で、アノード24およびカソード26は、SOFC Stick(登録商標)デバイス10の外側にタブとして付けられ、そこで露出アノード25および露出カソード27は、銀ペーストを塗布するなどしてコンタクトパッドと金属で被覆され、次いで電線がコンタクトパッドにハンダ付けされる。例えば、図4A〜4Bを参照。しかし、SOFC Stick(登録商標)デバイス10内の層を増やして、例えば、図8A〜9Bに示されているように、より高い電圧の組み合わせにすることが望ましい場合がある。1KWの電力を出力するSOFC Stick(登録商標)デバイスを製作するのが望ましい場合、電力は、電圧と電流に分けられる。1つの標準では、12ボルトを使用するが、その場合、合計1kWの電力を出力するのに83アンペアの電流が必要になる。図8Bおよび9Bでは、バイアを使用して、電極層を相互接続して、並列または直列の組み合わせを形成した。
電極層を相互接続するための代替え実施形態は、図34Aから37に示されている。これらの代替え実施形態では、SOFC Stick(登録商標)デバイス10の内部の電極層を相互接続するのではなく、例えば銀ペーストの外部ストライプ(狭いコンタクトパッド)をSOFC Stick(登録商標)デバイス10の側部にそって使用し、特に複数の小さなストライプを使用する。ストライピング技術を使用することで、必要な電流/電圧比に達するように直列および/または並列の組み合わせを構成することができる単純な構造を形成する。さらに、外部ストライプは、内部バイアと比較して緩い機械的許容差を有しており、製造が簡素化される。さらに、外部ストライプは、バイアに比べて低い抵抗(または等価直列抵抗)を有する可能性が高い。導体経路の抵抗が低いと、その経路にそった電力損失が少なく、したがって、外部ストライプは、SOFC Stick(登録商標)デバイス10から電力を少ない電力損失で取り出す能力を持つ。
次に図34Aおよび34Bを特に参照すると、外部アノード/カソードの直列相互接続が示されている。図34Aは、交互に並ぶアノード24a、24b、24cとカソード26a、26b、26cの略斜め正面図である。SOFC Stick(登録商標)デバイス10の長さ方向にそって、アノード24a、24b、24cおよびカソード26a、26b、26cは、露出アノード25および露出カソード27を形成する、デバイス10のエッジに出ているタブを備える。次いで、図34Bの略側面図に最もよく示されているように、外部コンタクトパッド44(またはストライプ)が、露出アノード25およびカソード27上のSOFC Stick(登録商標)デバイスの外側に備えられる。対向するアノード24a、24b、24cおよびカソード26a、26b、26cの3つのペアを直列に接続することにより、SOFC Stick(登録商標)デバイス10は3ボルトおよび1アンペアを供給する。図35では、この構造は二重化され、2つの構造が長いストライプによりデバイス10の側部を下る形で接続され、これにより、外部アノード/カソード相互接続を直列並列設計とし、3ボルトおよび2アンペアを発生する。
図36Aおよび36Bは、電力損失を低くする低い等価直列抵抗経路の一実施形態を示している。この実施形態では、高温帯32は、第1の端部11aおよび第2の端部11bが低温帯30内にあるSOFC Stick(登録商標)デバイス10の中心にある。燃料は、第1の端部11a内の燃料入口12を通して投入され、空気は、第2の端部11b内の空気入口18を通して投入される。SOFC Stick(登録商標)デバイス10の活性領域である、高温帯32内では、アノード24およびカソード26は、デバイスの側部に露出されるが、ただしアノード24は一方の側に露出され、カソード26は対向側に露出される。コンタクトパッド44(またはストライプ)が、露出アノード25およびカソード27上に施される。次いで、SOFC Stick(登録商標)デバイス10のエッジは、金属被覆部が低温帯30に到達するようにデバイス10の側部の長さにそって金属で被覆され、負の電圧ノード38および正の電圧ノード40に対する低温ハンダ接続部46が形成される。アノード24およびカソード26は、他の機能も持つので低抵抗についてだけ最適化するということはできない。例えば、電極は、空気または燃料が電解質を通過できるように多孔質でなければならず、多孔性は抵抗を高める。さらに、電極は、多層SOFC Stick(登録商標)デバイス10の良好な層密度が得られるように薄くなければならず、電極が薄いほど、抵抗は高くなる。厚いコンタクトパッド44をSOFC Stick(登録商標)デバイスのエッジ(側部)に加えることにより、ハンダ接続部46に向けて低抵抗経路を形成することが可能である。コンタクトパッド44が厚いほど、抵抗は低くなる。電子が、例えばSOFC Stick(登録商標)デバイス10内の電極を下り、電極層内のすべての空隙を超えて、10インチ進まなければならない場合、最低の抵抗を持つ経路は、例えばデバイス10の側部エッジまで0.5インチ進み、次いで非多孔質コンタクトパッド44を下って10インチ進む経路である。そのため、低温帯30まで延びるSOFC Stick(登録商標)デバイスの外部にそった長いコンタクトパッド44は、低抵抗導体経路を形成することにより、より低い損失のSOFC Stick(登録商標)デバイスから電力を取り出すことを可能にする。したがって、ストライピング技術は、直列並列接続を行って出力を高めるためにSOFC Stick(登録商標)デバイス10の活性領域(高温帯32)内で使用することができ、デバイスの側部から低温端部へ下る長いストライプで、その電力をSOFC Stick(登録商標)デバイス10から効率よく取り出すことができる。
図37は、図36Bに示されているのと似た実施形態の略等角投影図であるが、SOFC Stick(登録商標)デバイス10の第1の端部11aに単一の低温帯30を有し、高温帯32はデバイス10の第2の端部11bのところにある。直列および/または並列接続を行えるように複数の垂直ストライプまたはコンタクトパッド44が高温帯32内に形成され、高温帯32から低温帯30に至るデバイス10の側部を下る水平方向の長いストライプ44が形成され、これにより正の電圧ノード40および負の電圧ノード38への低温ハンダ接続部46が形成される。
燃料流路14および空気流路20を形成する一方法では、有機材料を次いで後の焼結ステップでベイクアウトすることができるグリーン重層構造内に置く。1kWまたは10kW出力など電力出力が大きい個々のSOFC Stick(登録商標)を製作するために、SOFC Stick(登録商標)は長く広いものでなければならず、また層数も多くなければならない。例えば、SOFC Stick(登録商標)デバイスは、長さ12インチから18インチ程度とすることができる。グリーン構造をベイクして、セラミックを焼結し、有機材料を除去すると、燃料流路14を形成するために使用される有機材料は、それぞれ燃料入口および燃料出口を形成する開口部12および16を通って出なければならない。同様に、空気流路20を形成するために使用される有機材料は、それぞれ空気入口および空気出口を形成する開口部18および22を通してベイクアウトしなければならない。デバイスの長さと広さが大きければ大きいほど、有機材料がこれらの開口部を通って出てくるのが困難である。デバイスの加熱が、ベイクアウト時に速すぎる場合、有機材料の分解が構造から出る材料の速度よりも速く進むので、さまざまな層が剥離する可能性がある。
図38Aおよび38Bは、有機材料72のベイクアウト用の複数の出口間隙を形成する代替え実施形態の略側断面図である。図38Aに示されているように、複数の開口部70が、SOFC Stick(登録商標)デバイス10の一方の側に設けられ、有機材料72が構造から出るための複数のベイクアウト経路を形成する。図38Bに示されているように、ベイクアウトの後、バリアコーティング60をSOFC Stick(登録商標)デバイス10の側部に塗布することにより複数の開口部70が閉じられる。例えば、バリアコーティングは、ガラスコーティングとすることができる。他の実施例では、バリアコーティングは、セラミック充填剤を含むガラスとしてよい。さらに他の実施形態では、バリアコーティング60は、例えば、ペーストを塗られたコンタクトパッド44とすることができ、これは、発生した電力に対する低抵抗経路としても用いられる。銀ペーストも、接着力を高めるためにガラスを含むことができる。例示的な一実施形態では、カソードのベイクアウト経路は、SOFC Stick(登録商標)デバイス10の一方の側に抜け、アノードのベイクアウト経路は、対向する電極間のショートを回避するためデバイス10の対向する側に抜ける。
SOFC Stick(登録商標)デバイス10、100、200、300の代替え実施形態では、それぞれカソード26またはアノード24を敷かれている開放空気流路20および燃料14を備えるのではなく、カソードおよび空気流路を組み合わせ、空気または燃料の流れを可能にする多孔質電極材料を使用することによりアノードおよび燃料流路を組み合わせることができる。カソードおよびアノードは、とにかく反応を起こせるように多孔質でなければならず、したがって強制された空気および燃料の投入と組み合わせることで、SOFC Stick(登録商標)デバイスに十分な流れを通し、発電反応を引き起こすことも可能である。
本発明の他の実施形態は、図39の略断面端面図に示されている。この実施形態は、本質的にSOFC Stick(登録商標)デバイス10のアノード担持バージョンである。他の実施形態と同様に、SOFC Stick(登録商標)デバイス10は、中間の高温帯とともに高温端部および低温端部または2つの低温端部を持つことができる。セラミック29で担持されるデバイス10を備えるのではなく、アノード担持バージョンではアノード材料を担持構造として使用する。アノード構造内では、燃料流路14および空気流路20は、対向する関係を持つように備えられる。空気流路20は、電解質層28を敷かれ、次いで、カソード層26を敷かれる。化学気相成長法を使用して、内層を蒸着するか、または粘性のあるペーストの溶液を使用して蒸着することが可能である。
図40Aおよび40Bには、SOFC Stick(登録商標)デバイス10のアノード担持バージョンの他の実施形態が示されている。この実施形態では、独立の開放燃料流路14は、排除され、したがって、多孔質アノード24は燃料流路14としても使用される。それに加えて、SOFC Stick(登録商標)デバイス10は、ガラスコーティングまたはセラミックコーティングなどのバリアコーティング60でコーティングされ、燃料がデバイス10の側部から出るのを防ぐ。SOFC Stick(登録商標)デバイス10は、必要な数だけ空気流路をアノード構造内の関連する電解質およびカソードとともに備えることができる。図40Bに示されているように、燃料供給源34からの燃料は、燃料流路14として使用される多孔質アノード24を通して強制的に第1の端部11aに送り込まれ、電解質層28とカソード26を通過し、空気供給源36からの空気と反応し、次いで使用済み空気および燃料は、空気入口22から排出されうる。
図41Aの略断面端面図および図41Bの略断面上面図に示されている他の実施形態では、SOFC Stick(登録商標)デバイス10は、アノード担持構造内に設けられた複数の空気流路20および燃料を燃料供給源34から単一の燃料入口12を通して複数の空気流路20に送り込むための複数の空気通路20に対し法線方向にある単一の燃料流路14を備える。ここでもまた、空気流路20は、電解質層28を最初に敷かれ、次いで、カソード26を敷かれる。燃料は、単一の燃料流路14からアノード構造24を通り、電解質28を通り、そしてカソード26を通って、空気流路20内の空気と反応し、使用済み燃料および空気が空気出口22から出る。使用済み燃料は、さらに、バリアコーティング60を含まないSOFC Stick(登録商標)デバイス10の側部から滲出することもあり、また未コーティング側は、単一燃料流路14の向きと反対の、デバイスの側部に配置される。
アノード担持構造に関係する実施形態では、この構造は、カソード担持構造となるように本質的に逆にされうるものと理解できる。次いで、電解質層およびアノード層でコーティングされた燃料チャネルがカソード構造内に設けられる。さらに別の1つの空気流路または複数の空気流路を備えるか、またはカソードの多孔性を空気流に対し利用することもできる。
図42A〜42Cは、空気および燃料流路内に電極を形成する方法を示している。例として燃料流路14およびアノード24を取りあげると、本発明の実施形態では、グリーンセラミックの層および金属テープ層を使用して、つまり金属被覆部をプリントしてグリーン構造を層毎に形成するのではなく、SOFC Stick(登録商標)デバイス10を最初に電極なしで作る。言い換えると、SOFC Stick(登録商標)の電解質およびセラミック担持部分を形成するためにグリーンセラミック材料が使用され、燃料流路14などの流路を形成するために有機材料が使用される。SOFC Stick(登録商標)デバイスが焼結された後、燃料流路14は、アノードペーストまたは溶液で充填される。ペーストは、印刷インクのように粘りけがあるか、または高含水溶液のようにさらさらと粘性の低いものとしてよい。アノード材料は、真空を利用して吸い込むなどの所望の手段、毛管力、または空気圧を利用した強制的吸引により燃料流路14内に充填することができる。
それとは別に、図42A〜42Cに示されているように、アノード材料は、溶液中に溶解され、燃料流路14内に流れ込み、次いで沈殿する。例えば、pHの変化を通して、アノード粒子を沈殿させ、溶液を引き出すことができる。他の代替え実施形態では、アノード粒子を単純に沈降させ、次いで燃料流路14から液体を乾燥またはベイクアウトすることができる。この沈降は、例えば低粘度のせいで長期間にわたり粒子を懸濁させたままにしないインクまたは液体担体を作成することにより引き起こせる。沈降を強制するために遠心分離機も使用可能である。遠心分離機を使用すると、簡単に大半の粒子を燃料流路14の1つの表面上に優先的に沈降させることができ、これにより、電極材料を節約し、燃料流路14の1つの表面のみが電解質として作用するようにできる。
図42Aに示されているように、アノード粒子含有溶液66は、図42Bに示されているように流路14が完全に充填されるまで、燃料流路14内に注ぎ込まれる。次いで、粒子は、流路14の底部に沈降し、図42Cに示されているように、アノード層24を形成する。溶液66のフラッディングは、通常の毛管力に比べて、重力、真空、または遠心分離機により加速されうる。もちろん、アノード24および燃料流路14が一実施例として使用されていたが、これらの代替え実施形態はどれも、空気流路20内にカソード層26を形成するためにカソードペーストまたは溶液とともに使用できる。
他の代替え実施形態では、セラミック電極材料(アノードまたはカソード)を液体ゾルゲル状態で流路(燃料または空気)内に注入し、次いで、流路の内側に析出させることも可能である。また、液体中の所望の電極材料の濃度が低い場合などに、または電極中に特性の勾配をもたらす(電解質から遠い電極内のYSZの量に対して電解質に近い電極内のYSZの異なる量の比を与えるなど)ために、または異質な材料の複数の層をまとめたい場合(電解質の近くにLSMで作られたカソード、次いで導電性を高めるためにLSMの上に銀を載せるなど)に、充填操作を複数回繰り返すことも可能である。
空気および燃料流路20、14に構造的支持材を付けるためにセラミック球体またはボールが使用された、図7Cおよび7Dを再び参照すると、セラミック粒子は、さらに、実効表面積を増やして反応領域を広げ、それにより出力を高めるために使用されうる。電極層を施す前に、非常に細かいサイズのセラミックボールまたは粒子を燃料流路14と空気流路20の内側に使用することができる。図43に略側断面図として示されているように、電解質層を受け入れるために使用可能な表面積を増やす不規則な起伏を電解質層28にもたらすように流路14内を表面粒子62で覆う。次いで、アノード24が不規則な起伏の表面上に施され、アノード材料が表面粒子62の至るところをコーティングし、これにより反応面積が広がる。
図44の略側断面図に示されている代替え実施形態では、電解質層28は、グリーン電解質層をV字型パターンを有するファイングレーディングに押し付けることなどにより不規則な起伏またはテクスチャ表面層64を形成するようにラミネートすることができ、このパターンは、次に電解質層28に移される。電解質層28が焼結され、セラミックおよびテクスチャ表面層64を凝固させた後、アノード層24は、次いで、図42A〜42において上述されている埋め戻し工程を使用することなどにより施され、そして広い反応領域を持つアノードを形成することができる。
本発明のさらに他の実施形態は、図45Aおよび45Bに示されている。図45Aは、空気および燃料流路を通る空気および燃料の流れならびに電極の配列を示す略上面図であり、図45Bは、高温帯32を通る断面図である。SOFC Stick(登録商標)デバイス10の長さにそって、デバイスは左側80と右側82に分けられ、中間またはブリッジ結合部分84がそれらの間にある。複数の空気流路20Lは、SOFC Stick(登録商標)デバイス10の第1の端部11aから長さ方向にそって左側80を通り、第2の端部11bに隣接する左側80から外に出、複数の空気流路20Rは、第1の端部11aから長さ方向にそって右側82を通り、第2の端部11bに隣接する右側のSOFC Stick(登録商標)デバイス10から出る。空気流路20Lは、図45Bに最もよく示されているように、空気流路20Rからオフセットされる。複数の燃料流路14Lは、SOFC Stick(登録商標)デバイス10の第2の端部11bから長さ方向にそって左側80を通り、第1の端部11aに隣接する左側80で出て、複数の燃料流路14Rは、第2の端部11bから長さ方向にそって右側82を通り、第1の端部11aに隣接する右側82から出る。燃料流路14Lは、燃料流路14Rからオフセットされる。それに加えて、1つの燃料流路と1つの空気流路とを除き、それぞれの燃料流路14Lは、空気流路20Rと対になり、空気流路20Rからわずかにオフセットされ、それぞれの空気流路20Lは、燃料流路14Rと対になり、燃料流路14Rからわずかにオフセットされる。燃料流路14Lと空気流路20Rのそれぞれのオフセット対について、金属被覆部はそれぞれの燃料流路14Lにそって左側80から右側82まで延び、そこでわずかにオフセットされた空気流路20Rにそって延びる。同様に、燃料流路14Rと空気流路20Lのそれぞれのオフセット対について、金属被覆部はそれぞれの空気流路20Lにそって左側80から右側82まで延び、そこでわずかにオフセットされた燃料流路14Rにそって延びる。金属被覆部、金属被覆部が燃料流路14Lまたは14Rにそって延びるときにアノード24Lまたは24Rとして働き、金属被覆部は、金属被覆部が空気流路20Lまたは20Rにそって延びるときにカソード26Lまたは26Rとして働く。SOFC Stick(登録商標)デバイス10のブリッジ結合部分84では、金属被覆部が空気または燃料流路にそって延びず、金属被覆部は単にアノードとカソードとの間のブリッジ90として働くだけである。本発明の一実施形態では、金属被覆部は、その長さにそって同じ材料を含むことができ、そのためアノード24Lまたは24R、ブリッジ90、およびカソード26Lまたは26Rはそれぞれ同じ材料を含む。例えば、金属被覆部は、それぞれ、アノードまたはカソードとして十分に機能する白金族を含むことができる。それとは別に、金属被覆部は、異なる材料を含んでいてもよい。例えば、カソード26Rまたは26Lは、ランタンストロンチウムマグネタイト(LSM)を含むことができるが、アノード24Rまたは24Lは、ニッケル、NiO、またはNiO+YSZを含む。ブリッジ90は、パラジウム、白金、LSM、ニッケル、NiO、またはNiO+YSZを含むことができる。本発明では、カソードまたはアノードとして使用するのに適した材料の組み合わせまたはタイプ、あるいはその間のブリッジ結合材料を考察しており、本発明は、上記の特定の材料に限定されない。
ここでは右側82に示されているSOFC Stick(登録商標)デバイス10の片側では、燃料チャネル14Rは、SOFC Stick(登録商標)デバイス10の右エッジまで延びて外部露出アノード25を形成する関連するアノード24Rを備える。この燃料流路14Rに結合されたオフセットされた空気流路20Lはなく、またアノード24Rは、左側80R内に入る必要はない。図45Aに示されているように、外側コンタクトパッド44が露出アノード25の上に施され、SOFC Stick(登録商標)デバイスの長さ方向にそって延び低温帯30内に入る。次いで、負の電圧ノード38は、電線42およびハンダ接続部46によりコンタクトパッド44に接続されうる。アノード24Rは、図に示されているように、高温帯32全体を通して右エッジまで延びるか、または小さなタブ部分内にだけ延び、使用される電極材料の量を減らすことが可能である。また、アノード24Rは、燃料流路14Rの長さ方向にそってSOFC Stick(登録商標)デバイス10の右エッジまで延びることがあるが、このような実施形態だと、必要のない電極材料を使用することになる。
同様に、左側80として示されている、SOFC Stick(登録商標)デバイス10の他方の側では、単一の空気流路20Lは、SOFC Stick(登録商標)デバイス10の左エッジまで延びて露出カソード27を形成する関連カソード26Lを備える。この空気流路20Lは、オフセット燃料流路14Rに結合されておらず、カソード26Lは右側82にまで延びている必要はない。コンタクトパッド44は、露出カソード27から低温端部30までSOFC Stick(登録商標)デバイス10の左側80の外側にそって施すことができ、そこでは、電線42およびハンダ接続部46を介して正の電圧ノード40をコンパクトパッド44に接続できる。
図45Bでは、単一の燃料流路14Rおよび関連するアノード24Rは、右側82の上に示されており、その一方、単一の空気流路20Lおよび関連するカソード26Lは、SOFC Stick(登録商標)デバイス10の左側80の底部に示されている。しかし、本発明は、そのような配置に限定されない。例えば、空気流路20Lおよび関連するカソード26Lは、単一の燃料流路14Rおよび関連するアノード24Rに類似のオフセットされる形で、左側80上のデバイス10の上にも備えることが可能であるが、金属被覆部は、左側80からブリッジ結合部分84を通り右側82に引き回されることはない。むしろ、ブリッジ90がなく、これによりアノード24Rはカソード26Lから電気的に分離される。SOFC Stick(登録商標)デバイス10が、電池が直列接続されている、単一のSOFC Stick(登録商標)デバイス10内に2つの固有の空気経路スタックと2つの固有の燃料経路スタックを備えることができる追加の配列が考えられる。図45Aおよび45Bに示されている実施形態は、電流を増大せず、低い抵抗を維持しながら、電圧を上げるという利点を有する。さらに、この実施形態は、SOFC Stick(登録商標)デバイス10内に高密度を実現する。
図46Aおよび46Bでは、代替え実施形態が略斜視図および略断面図としてそれぞれ示されている。以前の実施形態(例えば、図37)は、高温帯32から(複数の)低温帯30までSOFC Stick(登録商標)デバイス10の外側部またはエッジにそって外部ストライプを備え、電子が低温端部に移動する低抵抗の経路を形成していた。図46Aおよび46Bの実施形態では、デバイス10の側部またはエッジを下るストライプの代わりに、コンタクトパッド44が、アノード24への外部接続のために片側ならびに上面および底面のうちの一方の面にそって施され、他のコンタクトパッド44が、カソード26への外部接続のために対向する側部ならびに上面および底面のうちの他方の面にそって施される。したがって、電子は、移動するための大きな、または広い経路を有し、これによりなおいっそう低い抵抗となる。2つの隣接する表面に施されるこれらの大きな導体パッド44は、本明細書で開示されている実施形態のどれかで使用することが可能である。
図47では、熱交換原理を利用するSOFC Stick(登録商標)デバイス10のさらに他の実施形態が、略側断面図として示されている。加熱された空気および燃料が高温帯32の活性帯33b(つまり、電解質が間にありアノード24がカソード26と対向する関係にある高温帯32の部分)を通過した後、燃料流路14および空気流路20は、単一の排出路21に結合される。未反応燃料は、加熱された空気と組み合わされると燃焼し、熱を追加発生する。排出路21は、活性帯33bに隣接する低温帯30に向かって戻り、排出物(使用済み燃料と空気)の流れの方向は隣接する燃料流路14および空気流路20内の入ってくる燃料および空気の流れの方向と反対である。排出路21内で発生する追加の熱は、隣接する流路14、20に伝達され、入ってくる燃料および空気を加熱する。
図48A〜48Cは、図48Aに示されているように薄い部分404よりも厚みのある厚い部分402を有する「エンドロールSOFC Stick(登録商標)デバイス」400を示している。燃料および空気入口12、18は、厚い部分402の端にある第1の端部11aに隣接する位置にあり、図に示されていないが、空気および燃料出口(16,22)は、薄い部分404の端にある対向する第2の端部11bに隣接するデバイス400の側部に備えることができる。厚い部分402は、機械的強度を確保できる十分な厚さを有していなければならない。これは、隣接する燃料入口12および空気入口18の周りに厚いセラミック29を施すことにより達成されうる。薄い部分404は、電解質(図に示されていない)が間にある(従来の実施形態のように)、カソード(図に示されていない)と対向する関係にあるアノード(図に示されていない)を備える活性帯33b(図に示されていない)を備える。薄い部分404は、図48Bに示されているように、グリーン(未焼成)状態にある間に巻くことができるくらいの薄さでなければならない。薄い部分404が所望の厚さになるように巻かれた後、デバイス400は焼成される。次いで、他の実施形態で説明されているように厚い部分402が低温端部である間に、巻かれた薄い部分404を加熱して反応を引き起こすことができる。エンドロールSOFC Stick(登録商標)デバイス400は、薄い部分404を巻くことにより小さな空間内に収めることができる大表面積デバイスである。さらに、薄い部分404内の活性帯(33b)の薄い断面により、セラミックにそった熱伝達率が下がり、温度サイクル性能を向上させることができる。
アノード24およびカソード26が活性(反応)帯32および/または33b内のSOFC Stick(登録商標)デバイス10のエッジ(側部)に露出されている実施形態では、デバイス10の上部または底部のセラミック29は、活性帯32および/または33bの領域内に陥凹させることができる。これにより、電気的接続を形成するために上部および/または底部からカソード26およびアノード24の両方にアクセスできる。次いで、コンタクトパッド44(例えば、金属被覆部ストライプ)は、活性帯32および/または33bから(複数の)低温帯までSOFC Stick(登録商標)デバイス10の上面および/または底面にそって施され、高温室/炉の外側への接続部を形成することができる。例えば、アノードは、陥凹セラミックカバーの形態でSOFC Stick(登録商標)デバイス10の上部に露出させることができ、またカソードは、陥凹セラミックカバーの形態でスティックの底部に露出させることができ、これによりスティック上の金属被覆部ストライプを大きくし、ストライプ内の抵抗損失を低くすることができる。
SOFC Stick(登録商標)デバイス10が対向端11a、11bに2つの低温帯30、および真ん中に高温帯32を備える他の実施形態では、例えば図36Bに示されているように、(複数の)アノード24および/または(複数の)カソード26に対する(複数の)コンタクトパッド44(例えば、金属被覆部ストライプ)は、高温帯32から出てSOFC Stick(登録商標)デバイス10の両端11a、11bに向かって引き回すことができる。次いで、(複数の)アノード24および(複数の)カソード26のそれぞれとの2つの別々の電気的接続部が形成されうる。例えば、限定はしないが、一組の接続部を使用して、電池からの電圧出力を監視することができ、他方の組の接続部が、負荷を接続し、電流を流すことができる。電池それ自体において電圧を別々に測定できるという点が、電池から出力される全電力を得るよいアイデアを思い付くうえで利点となっている。
コンタクトパッド44(例えば、金属被覆部ストライプ)に対しては、当業者に知られている好適な導電体材料を使用できる。例えば、銀、LSM、およびNiOを含む。材料を組み合わせて使用することもできる。一実施形態では、非貴金属材料を高温帯32内のSOFC Stick(登録商標)デバイス10の表面にそって使用することができる。例えば、LSMは、高温帯室/炉の雰囲気が酸化である場合に使用されうる。例は、NiOは、高温帯室/炉の雰囲気が還元である場合に使用されうる。しかし、いずれの場合も、非貴金属材料は、材料が高温帯室/炉の外に出ると導電性を失うため、金属被覆部材料は、SOFC Stick(登録商標)デバイス10が高温帯室/炉を出る直前に貴金属または耐食材料に転移されなければならない。銀ペーストは、都合のよい貴金属材料である。さらに説明すると、LSMなどのいくつかの材料は、温度が反応温度から室温まで下がると非導電性になり、ニッケルなどの他の材料は、スティックの低温端部で空気に露出されると非導電性になる。そのため、SOFC Stick(登録商標)デバイス10の低温端部領域内のコンタクトパッドの金属被覆部材料は、空気中(つまり、保護雰囲気がない)および低温において導電性を有していなければならない。銀などの貴金属は、温度/雰囲気転移領域にわたって作用し、したがって、金属被覆部材料は、SOFC Stick(登録商標)デバイス10が高温帯室/炉から出る前に貴金属に転移されうる。材料を組み合わせて使用することにより、低温帯に対する高温帯の導電率の特定の必要な大きさに基づき材料選択を行うことができ、また使用される高価な貴金属の量を減らすことによりコスト削減を果たせる。
本発明は、1つまたは複数の実施形態の説明により例示されており、それらの実施形態は、かなり詳しく説明されているが、これらは、付属の請求項の範囲をそのような詳細に制約するか、または何らかの形で制限することを意図されていな。追加の利点および修正点は、当業者に容易にわかるであろう。したがって、本発明は、より広範な態様において、特定の詳細、代表的な装置および方法、ならびに図に示され説明されている例示的な実施例に限定されない。したがって、本発明の一般的概念の範囲から逸脱しない限りそのような詳細から逸脱してかまわない。