JP5821529B2 - 金属薄板の製造方法および金属薄板の製造装置 - Google Patents
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また、被係合部141を凸部131に対して充分大きく形成した場合、金属板130とセット側部材140とは密着するが、被係合部141と凸部131との間に空間が形成されるため、位置決め精度が悪くなってしまう。
このような凸部131では、被係合部141の形状に関わらず、位置決め後に金属板130(あるいはセット側部材140)に対して外力が作用した場合、位置ずれが発生してしまう。
つまり、略ドーム状の凸部131では、位置決め性能が低かった。
また、一つの凸部231では、図9(b)に示すように、平面視における所定の一方向だけしか、金属板230とセット側部材240との相対的な移動を規制できない(図9(b)に示す矢印参照)。この場合、平面視において互いに直交する二方向の相対的な移動を規制するように、金属板230に二つの凸部231を形成するだけでは、金属板230とセット側部材240とが相対的に回転してしまう。つまり、前記相対的な回転を規制するために、金属板230に三つの凸部231を形成する必要がある。
特許文献1および特許文献2に開示される技術によれば、図10に示すように、金属板330の一側面330aと凸部331との境界が明確となるため、位置決め性能の低下を抑制できる。また、一つの凸部331により、金属板330の平面視における全ての直線方向(図10(b)における紙面左右方向や紙面奥行き方向等といった、一側面330aと平行な方向)への移動を規制できるため、金属板330に二つの凸部331を形成することで、前記相対的な回転を規制できる。
凸部331は、例えば、金属板330にダボ加工を行うことで形成される。ダボ加工では、所定の内径r311を有する孔部311が形成されるダイ310に金属板330をセットする。そして、孔部311の内径r311と同程度の(より詳細には、僅かに(0.2mm程度)長い)外径r321を有するポンチ320の先端部321によって、金属板330をプレスする。これにより、金属板330には、凸部331が形成される。
つまり、薄い(板厚L330が1.0mm程度の)金属板に凸部331を形成した場合、凸部331の基端部331cに亀裂が発生してしまう。
なお、本実施形態では長手方向両端部にそれぞれ形成される凸部31、第一凹部32、および第二凹部33は、配置位置を除いて同様に構成される。このため、長手方向両端部の凸部31、第一凹部32、および第二凹部33の説明に関しては、一方(図1では左側)の凸部31、第一凹部32、および第二凹部33についてのみ行う。
すなわち、凸部31の先端面31aは、金属薄板30の一側面30aに対して所定の間隔だけ突出方向(図1では上方向)に離間し、金属薄板30の一側面30aと直線的に繋がれている。
つまり、第二凹部33は、金属薄板30の他側面30bの、第一凹部32の周囲に形成される窪みである。
「第一凹部32の内径R32」とは、凸部31の直線部31bの裏面における内径、つまり、側面視略ドーム状の底面部分を除く部分の内径寸法を指す。
「第二凹部33の内径R33」とは、第二凹部33の最大径、つまり、第二凹部33の他側面30b側の端部における、第二凹部33の内径寸法を指す。
セット側部材40には、被係合部として円孔41および長孔42が形成されている。
長孔42は、長手方向両端部が直線的に繋げられ、凸部31が長孔42の長手方向に沿って摺動可能に形成される。
すなわち、凸部31は、金属薄板30の一側面30aより滑らかに屈曲して突出しているのではなく、直線部31bにより、金属薄板30の一側面30aとの境界が明確となるように突出している。
本実施形態において、「孔部11の内径r11」とは、ポンチ20との間で直線部31bを成形する部分の内径寸法を指す。
本実施形態において、「先端部21の外径r21」とは、ダイ10との間で第一凹部32を成形するポンチ20の先端部21の外径寸法を指す。
本実施形態において、「肩部22の外径r22」とは、ダイ10との間で第二凹部33を成形するポンチ20の肩部22の最大径、つまり、図4においては、肩部22の左右両端部間の長さ寸法を指す。
前述のように、ポンチ20の先端部21と第一凹部32とが略同一形状であるため、ポンチ20の先端部21によるプレスで、ワークWには第一凹部32が形成される(図5(c)参照)。
製造装置1は、第二凹部33の深さに対応する深さまで、ポンチ20の肩部22によりワークWをプレスする。
従って、本実施形態のワークWのような金属薄板に略円柱状の凸部を成形する場合、凸部331の基端部331cの板厚が確保できず、凸部331に亀裂が発生してしまう。
また、亀裂が発生しない程度に、凸部331の突出寸法L331を抑えた場合、凸部331は、位置決めに必要な長さ(少なくとも0.5mm程度)を確保できない。
つまり、製造方法および製造装置1は、第二凹部33を成形することで、凸部31の基端部31cの板厚を確保して、ダボ加工の場合にあるような亀裂の発生を防止しているのである。
また、凸部31は、前述のように、直線部31bが形成されることで、位置決め精度の低下を抑制するとともに、外力による位置ずれへの耐性を向上させている。
つまり、製造方法および製造装置1によれば、金属薄板30に対して位置決め性能の低下を抑制可能な凸部31を成形できる。
また、第一凹部32と第二凹部33とは、金属薄板30の他側面30bより視認可能である。
この場合、製造装置1は、ダイ10の孔部11の一端部をテーパ状に形成し、当該テーパ部分にワークWの材料を流動させる。
つまり、図9に示すような爪部を成形した場合と比較して、製造方法および製造装置1は、ワークWに成形する凸部31の個数を低減できる。
従って、図9に示すような爪部を成形した場合のように、孔部231dを塗装シーラーで埋める必要がなくなる。
10 ダイ
20 ポンチ
30 金属薄板
30a 一側面
30b 他側面
31 凸部
32 第一凹部
33 第二凹部
40 セット側部材
41 円孔(被係合部)
42 長孔(被係合部)
W ワーク
W1 一側面
W2 他側面
Claims (6)
- 一側面より突出する凸部が形成され、前記凸部をセット側部材に形成される被係合部に係合することにより、前記セット側部材に対する位置決めがなされる金属薄板の製造方法であって、
前記凸部が形成される前の金属薄板であるワークをダイにセットするとともに、前記ダイに対して近接離間可能なポンチを前記ダイに接近させ、前記ポンチによって前記ワークをプレスする成形工程を行い、
前記成形工程では、
前記ダイと前記ポンチとで前記ワークをプレスすることにより、前記ワークを材料流動させ、
前記ワークの一側面に前記凸部を成形するとともに、
前記ワークの他側面における前記凸部の形成箇所に対応する箇所に、前記ワークの他側面より前記凸部の形状に沿って窪む第一凹部、および前記第一凹部の周囲において前記ワークの他側面より窪む第二凹部を成形し、
前記第二凹部の成形により、前記ワークにおける前記第一凹部の周囲の材料を、前記凸部の基端部に向けて流動させ、
前記凸部は、前記ワークの一側面より直線状に突出し、前記凸部の基部となる直線部と、前記直線部よりも前記凸部の突出側に配置され、前記凸部の突出方向に向かうにつれて、前記凸部の先端面を前記凸部の中心に向けて収束するドーム形状に形成される先端部とを有し、
前記直線部は、前記凸部の先端面側に向うにつれて縮径するテーパ状に成形される、
金属薄板の製造方法。 - 前記成形工程では、
前記凸部と前記第一凹部と前記第二凹部とを、前記凸部の突出方向視において円状に成形する、
請求項1に記載の金属薄板の製造方法。 - 前記ワークの板厚は、
1.0mm以下に設定される、
請求項1または請求項2に記載の金属薄板の製造方法。 - 一側面より突出する凸部が形成され、前記凸部をセット側部材に形成される被係合部に係合することにより、前記セット側部材に対する位置決めがなされる金属薄板を製造する金属薄板の製造装置であって、
製造前の前記金属薄板であるワークがセットされるダイと、
前記ダイに対して近接離間可能であるとともに、前記ダイに接近して前記ワークをプレスするポンチと、
を具備し、
前記ダイと前記ポンチとで前記ワークをプレスすることにより、前記ワークを材料流動させ、
前記ワークの一側面に前記凸部を成形するとともに、
前記ワークの他側面における前記凸部の形成箇所に対応する箇所に、前記ワークの他側面より前記凸部の形状に沿って窪む第一凹部、および前記第一凹部の周囲において前記ワークの他側面より窪む第二凹部を成形し、
前記第二凹部の成形により、前記ワークにおける前記第一凹部の周囲の材料を、前記凸部の基端部に向けて流動させ、
前記凸部は、前記ワークの一側面より直線状に突出し、前記凸部の基部となる直線部と、前記直線部よりも前記凸部の突出側に配置され、前記凸部の突出方向に向かうにつれて、前記凸部の先端面を前記凸部の中心に向けて収束するドーム形状に形成される先端部とを有し、
前記直線部は、前記凸部の先端面側に向うにつれて縮径するテーパ状に成形される、
金属薄板の製造装置。 - 前記ダイと前記ポンチとで前記ワークをプレスすることにより、
前記凸部と前記第一凹部と前記第二凹部とを、前記凸部の突出方向視において円状に成形する、
請求項4に記載の金属薄板の製造装置。 - 前記ワークの板厚は、
1.0mm以下に設定される、
請求項4または請求項5に記載の金属薄板の製造装置。
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