JP5819478B2 - ジフェニルメタン系ジイソシアネート異性体の異なる混合物を同時に製造する方法 - Google Patents

ジフェニルメタン系ジイソシアネート異性体の異なる混合物を同時に製造する方法 Download PDF

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Description

本発明は、ジフェニルメタン系ジイソシアネート異性体の異なる混合物を同時に製造す
る方法に関する。
芳香族イソシアネートは、ポリウレタン材料を製造するための重要な原材料である。こ
こで、ジフェニルメタン系列のジイソシアネートとポリイソシアネート(MDI)が量的
に最も大きな役割を果たす。ジフェニルメタン系列のポリイソシアネートは、下記のタイ
プのイソシアネートおよびイソシアネート混合物を意味するものと理解されている(nは
0以上の自然数を表わす)。
Figure 0005819478
同様に、ジフェニルメタン系ポリアミンは、下記のタイプの化合物およびその混合物を
意味するものと理解されている(nは0以上の自然数を表わす)。
Figure 0005819478
ジフェニルメタン系列のジイソシアネートとポリイソシアネート(MDI)は、ジフェ
ニルメタン系列の対応するジアミンとポリアミン(MDA)のホスゲン化によって製造さ
れる。ジフェニルメタン系列のジアミンとポリアミン(MDA)自体は、アニリンとホル
ムアルデヒドとの縮合反応によって製造される。対応するジイソシアネートである2,2
’−MDI、2,4’−MDI、および4,4’−MDI(専門家らがMDIの二環(す
なわち二核)化合物として表わされるジフェニルメタン系ジイソシアネート)は、ジフェ
ニルメタン系ジアミンのホスゲン化によって得られる。しかしながら、アニリンとホルム
アルデヒドとの縮合反応時、二環(すなわち二核)MDA(メチレンジフェニルジアミン
)がホルムアルデヒドおよびアニリンとさらに反応して、より高度な核の(すなわち、多
核もしくは多環の)MDAタイプを形成し、これらが、ホスゲン化後にポリメリックMD
I中における多核含有物(すなわち、ジフェニルメタン系列のポリイソシアネート)を構
成する。
ホスゲン化で得られるクルードMDI混合物は、単純な蒸発もしくは蒸留によるポリマ
ー/モノマー分離にて、二核MDIフラクション(すなわちモノメリックMDI)とポリ
マーMDIフラクション(すなわち、ポリメリックMDIまたはPMDI)に分けること
ができる。二核MDIフラクションの異性体混合物は、ジイソシアネートである2,2’
−MDI、2,4’−MDI、および4,4’−MDIのほかに、溶媒残留物やフェニル
イソシアネート誘導体等の二次的な成分を幾らか含有する。
ポリアミン混合物の製造と精製処理、ポリイソシアネート混合物の製造と精製処理、お
よびジイソシアネート(または主としてジイソシアトを含む)ストリームの製造に関して
は、多くの異なったプロセス・バリエーションが知られている。これらの従来法はいずれ
も、本発明の後続する応用に対して適している。
モノマーである二核MDIフラクションは、先行技術に従って(蒸留もしくは結晶化に
よって)、本質的に純粋または実質的に純粋な4,4’−MDI異性体であるストリーム
中に、および2,4’−MDIと4,4’−MDIとを含む混合物である混合異性体(M
ixed Isomer)(MI)ストリーム中に分離される。純粋または実質的に純粋
な4,4’−MDI異性体は、一般には98〜99%の異性体純度にて市販されており、
ピュアMDIとして知られている。
2種のMDI異性体を種々の量にて含むさまざまな混合異性体ストリームを製造するこ
とができ、これらは市販されている。
ピュアMDIと混合異性体モノマー生成物は、世界市場にポリウレタン原材料として供
給されるか、あるいはピュアMDIと混合異性体モノマー生成物を、ポリメリックMDI
とともにさらに処理して混合生成物にするか、および/または、ポリエーテルやポリエス
テル等とともにさらに処理してプレポリマーにするか、あるいはさらなる反応によって変
性体を形成させる。異なった混合異性体生成物の多くは、変性体やプレポリマーの製造に
対して、および種々のイソシアネート生成物ブレンドの成分として有用である。極めて高
純度の4,4’−MDI(「スーパーピュアMDI」)を製造することが可能である〔純
度99.99%の4,4’−MDIが知られている(Mostecky,Jiri;Pe
cka,Karel:Czech.Cz144738 15−Feb−1972)〕。し
かし、複数の精製工程が、例えば複雑な分別蒸留プロセスと「一体となった」工程あるい
は別個の異なる工程として一般に必要とされるため、この物質は経済的に魅力のないもの
になってしまう。
MDI異性体は低揮発性で高沸点であることから、蒸留を行うには、極めて低い圧力と
高い温度が必要とされる。さらに、個々のMDI異性体の揮発性の差が比較的小さいため
に、プロセスを高還流にて操作しなければならない。このため蒸留は、複雑でエネルギー
集約型のプロセスとなる。したがって蒸留を凌ぐ結晶化の大きな利点は一般に、エネルギ
ー消費量が大幅に低いことである。MDIの場合、融解潜熱は蒸発潜熱の3分の1未満で
ある。
当業界では、不純物をある特定の化学物質から除去するために、凝固、分別凝固、およ
び/または結晶化によって化学物質(特に特定の有機化学物質)を精製することが知られ
ている。凝固、分別凝固、および/または結晶化のプロセスでは、精製しようとする化合
物と不純物が液体媒体の成分である。凝固や結晶化を誘発するよう、精製しようとする化
合物が、媒体に対するその溶解度を超えることを引き起こすように条件の変更(例えば、
溶媒の除去や温度の変更)がなされる。不純物が実質的に媒体中に残留し、したがって凝
固もしくは結晶化した化合物が精製される、というのが好ましい。凝固プロセスは、凝固
が固体表面上に起こるという層プロセス(layer processes)、あるいは
固体および/または結晶が液体媒体中に懸濁として生じるという懸濁プロセスにさらに分
けることができる。凝固および/または結晶化の一般的な原理は、Principles
of Solidification by Bruce Chalmers(ジョン
ワイリー&サンズ1964);“Fractional Crystallizatio
n”,Process Technology Proceedings,6,Indu
strial Crystallization 87,by S.J.Jancic(
Proceedings of the 10th Symposium on Ind
ustrial Crystallization,Bechyne,Czechosl
ovakia,Sep.21−25,1987);およびZiefらによるFracti
onal Solidification (マーセルデッカー社1967)(これらの
文献を参照により本明細書に含める)等の論文中に説明されている。
層成長技術をベースとする結晶化プロセス(熱交換器の壁体上に結晶を成長させる)は
よく知られており、MDIジイソシアネート物質の製造に対して工業規模で使用されてい
る。静的な結晶化プロセスのほかに動的な結晶化プロセスも使用することができる。どち
らの技術もバッチプロセスにて操作する。しかしながら、層結晶化の選択性は、特に、経
済的に有益な速度で操作する場合には限定されるが、これと比較すると、分別蒸留は高い
選択性を達成することができ、したがって高い生成物純度が得られる。しかしながら、M
DI異性体の精製するために分別蒸留プロセスを操作することは、蒸留塔が単一塔であろ
うと複式塔であろうと、また分割塔を組み込んでいようといまいと、必要とされるプロセ
ス装置の観点からコストがかかる。
さらに、当業界では、ある特定の化学物質を「溶融結晶化」法によって精製することも
知られている。溶融結晶化においては、一般には、精製しようとする化合物が、精製しよ
うとする混合物の主要フラクション(または好ましくは高フラクション)を構成する。し
かしながら該混合物は、(好ましくは少量の)不純物も含有する。溶融結晶化プロセスに
は通常、溶媒は加えられない。混合物(周囲温度にて固体であってよい)をその融点より
高い温度に保持して液体媒体を形成させ、次いで精製しようとする化合物の融点未満の温
度に冷却して、「溶融物」からの凝固もしくは結晶化を起こさせる。所望する化合物の全
てが結晶化する前に(すなわち、液相が部分的に凝固および/または結晶化した状態で)
、溶融物から固体および/または結晶を取り除くと、不純物が残留溶融液中に濃縮され、
不純物を固体もしくは結晶から容易に分離することができる。溶融結晶化プロセスによっ
て形成される結晶の純度は極めて良好である場合がある。溶融結晶化において使用される
一般的な手法や方法は、Sloanらによる“Techniques of Melt
Crystallization”,Techniques of Chemistry
,vol.XIX(ジョンワイリー&サンズ1988);Wynnによる“Melt C
rystallization”in Section 5.3 of Handboo
k of Separation Techniques for Chemical
Engineers,第3版(P.A.Scheitzer編,マグローヒル1997)
;およびトヨクラらによる“Crystallization from the Me
lt”,Crystallization Technology Handbook(
マーセルデッカー社1995)(これら文献の全内容を参照により本明細書に含める)等
の論文中に説明されている。
懸濁/溶融成長結晶化プロセスは、連続的に運転される2つの装置〔すなわち、a)結
晶を懸濁状態にて成長させる成長容器を備えた晶析装置、およびb)結晶を溶融物から分
離する固液分離器〕からなる。
晶析装置では、成長容器中で結晶成長が起こり、晶析装置として作動する特殊な熱交換
器において熱が外部的に除去される。母液を過冷却することによって、晶析装置中に過飽
和状態がつくり出され、その結果、自由に懸濁される小さな結晶が母液中に形成される。
ドラム晶析装置とかき取り表面熱交換器が使用されることが知られている。一般には、単
位体積当たりの結晶表面積が大きいことにより、低い成長速度を適用することができ、こ
のため優れた選択性が、したがって極めて高い結晶純度が得られる。次いで、高純度結晶
の母液中スラリーを固液分離器に送る。
一般的に知られているように、懸濁結晶のスラリーの場合、懸濁結晶と残留溶融物との
分離は、洗浄液を懸濁結晶に対して向流にて送る洗浄塔にて適切な洗浄液によって、その
まま行うこともできるし、あるいは残留溶融物を部分的に機械的分離した後に(特に、機
械的洗浄塔を使用する前に)行うこともできる。洗浄液は、必要に応じて、高純度結晶が
最初に形成される母液であってもよい。
原理的には、洗浄塔のタイプは、懸濁結晶層の強制移送がなされるタイプと懸濁結晶の
重力移送がなされるタイプとに分けられる〔種々の洗浄塔タイプについての詳細な説明は
、とりわけ、Chem.−Ing.−Techn.57(1985)No.2,91−1
02;Chemical Engineering Science 50,1995,
No.17,2712−2729,エルゼビア・サイエンス社;Applied The
rmal Engineering 17,(1997)No.8−10,879−88
8,エルゼビア・サイエンス社から出版;および上記文献中に記載の引用文献においてな
されている〕。懸濁結晶層の強制移送がなされる洗浄塔においては、懸濁結晶層を移送す
るために、移送方向における重力以外の少なくとも1つの力が使用される。
洗浄塔の内部にて、懸濁結晶は、頂部から底部に、あるいは底部から頂部に移送される
。洗浄液が、洗浄塔中の懸濁結晶に対して向流にて送られる。先行する特許公開であるド
イツ特許出願第19626839号、ドイツ特許出願第19740252号、ドイツ特許
出願第19829477号、ドイツ特許出願第19832962号、ドイツ特許出願第1
9833049号、およびドイツ特許出願第19838845号において、とりわけ水ま
たはアクリル酸水溶液が、粗製アクリル酸懸濁に対して使用すべき洗浄液として推奨され
ている。しかしながら、こうした洗浄液の欠点は、一方においては、精製効果が満足に完
了せず、そして他方においては、所望する高純度生成物(例えばアクリル酸)の相当な損
失が起こる、という点である。
上記手順に対する代替手順として、得られる精製溶融物の一部だけを除去するために、
残存量の精製溶融物を洗浄溶融物として洗浄塔にリサイクルするために、そして洗浄塔に
送られる懸濁結晶に対して向流となるように送るために、精製された形で洗浄塔に達する
懸濁結晶を移送距離の末端にて溶融させることも可能である(母液は、一般には洗浄塔の
反対側部分において除去される)。洗浄塔において処理しようとする懸濁結晶の物理的特
性に応じて、精製効果は、1つ以上のメカニズムに基づいて達成することができる。
洗浄塔の各サイクルは、ある意味では小バッチであるが、タイムスケールは、工業規模
のプロセスとして、全体的には連続プロセス(疑似連続プロセス)と見なすことができる
ようなスケールであるということができ、したがってこの意味において、ここではプロセ
スを引き続き連続プロセスとして説明する。
溶融結晶化(ここでは、懸濁結晶化のバリエーションと呼ぶ)は、高純度生成物の製造
に対してよく知られている方法であって、KooleとGoncalves〔「MDI異
性体の連続的溶融結晶化」,オランダ・プロセス・テクノロジー・シンポジウム[NPS
5]テーマ:エンジニアリング・フォー・ライフ,2005年10月25〜26日,Co
ngress Centre NH Koningshof,Veldhoven,NL
〕およびZijlとGoncalves〔「MDI異性体の連続的溶融結晶化」,Sta
n Ackermans Institute,アイントホーフェン大学,NL.200
6年11月22日〕によって説明されているように、高純度4,4’−MDI(4,4’
−MDIの純度が99.9%より高い「超高純度MDI」)の製造に適用することができ
る。
しかしながら、資本経費とエネルギー費が低くて、連続的に(疑似連続的に)操作する
ことができるが、MDIジイソシアネート生成物ストリームのうちの1つが極めて高い(
99.9%より高い)異性体純度を有するという条件に制約されない、明確な組成のMD
Iジイソシアネートストリームを製造するための工業規模にて操作可能な製造法が依然と
して求められている。
ドイツ特許出願第19626839号 ドイツ特許出願第19740252号 ドイツ特許出願第19829477号 ドイツ特許出願第19832962号 ドイツ特許出願第19833049号 ドイツ特許出願第19838845号
Principles of Solidification by Bruce Chalmers(ジョンワイリー&サンズ1964) "Fractional Crystallization",Process Technology Proceedings,6,Industrial Crystallization 87,by S.J.Jancic(Proceedings of the 10th Symposium on Industrial Crystallization,Bechyne,Czechoslovakia,Sep.21−25,1987) ZiefらによるFractional Solidification (マーセルデッカー社1967) Sloanらによる"Techniques of Melt Crystallization",Techniques of Chemistry,vol.XIX(ジョンワイリー&サンズ1988) Wynnによる"Melt Crystallization"in Section 5.3 of Handbook of Separation Techniques for Chemical Engineers,第3版(P.A.Scheitzer編,マグローヒル1997) Chem.−Ing.−Techn.57(1985)No.2,91−102;Chemical Engineering Science 50,1995,No.17,2712−2729,エルゼビア・サイエンス社 Applied Thermal Engineering 17,(1997)No.8−10,879−888,エルゼビア・サイエンス社から出版 「MDI異性体の連続的溶融結晶化(Continuous melt crystallization of MDI isomers)」,オランダ・プロセス・テクノロジー・シンポジウム[NPS5]テーマ:エンジニアリング・フォー・ライフ,2005年10月25〜26日,Congress Centre NH Koningshof,Veldhoven,NL 「MDI異性体の連続的溶融結晶化(Continuous melt crystallization of MDI isomers)」,Stan Ackermans Institute,アイントホーフェン大学,NL.2006年11月22日
驚くべきことに、これらの要求は、ジフェニルメタン系列のジイソシアネート異性体の
、2種の異なる混合物を同時「一段」製造する方法を含む本発明の目的によって満たすこ
とができる(ここで、2つのストリームの純度は、任意の単一MDIジイソシアネート異
性体に関して99%未満である)、ということが見出された。
本発明によって得られた結果は、特に高異性体純度物質の製造に対して広く使用されて
いる方法は、明確な組成を有する2種のMDI異性体ストリームを同時につくり出すのに
、経済的に有益で且つ効率的なやり方にて使用することができる(ここで、2つのストリ
ームの純度は、任意の単一MDIジイソシアネート異性体に関して99%未満である)、
ということがこれまで認識されていなかったので特に驚くべきことであった。
説明を明確にするため、留意しておかねばならないことは、高い又は極めて高い異性体
純度のストリームとより低い異性体純度のストリームを同時に製造してから、これらのス
トリーム又はこれらストリームの適切なフラクションを、一緒に適切にブレンドして他の
望ましいMDIジイソシアネート生成物を作製すること、あるいは他のMDIベース生成
物と適切にブレンドしてさらに他の生成物を作製すること(どの時点でブレンドが行われ
ようとも)も行うことができるが、このようなアプローチは、余分な処理工程が必要とな
るために、そしてこれに関連した追加の処理装置やさらなるエネルギー要件等の欠点のた
めに、本発明の目的の上からあまり好ましくない、という点である。
したがって本出願者らは、主として4,4’−MDIと2,4’−MDIとで構成され
る異なった混合物を含む2種の工業的に望ましい生成物を、単一工程の溶融結晶化プロセ
スにて、経済的に有用な手段によって同時に且つ連続的に製造することができる〔このと
き混合ジイソシアネート供給ストリーム(MIx)を使用して2つの混合ジイソシアネー
トストリーム(MIyとMIz)が同時に製造され(すなわち、ピュアMDIストリーム
と混合異性体ストリームが製造され)、ここでx=80〜92、y=97〜99、および
z=60〜80(好ましくはx=82〜88、y=97.2〜98.5、およびz=63
〜70)であり、xとyとzは、ジイソシアネート異性体混合物中に含まれる4,4’−
MDIの重量%である〕ということを見出した。
任意の他の実施態様では、混合ジイソシアネート供給ストリーム(MIx)を使用して
2つの混合ジイソシアネートストリーム(MIyとMIz)が同時に製造され(すなわち
、2つの混合異性体ストリームが製造され)、ここでx=60〜80、y=80〜95、
およびz=48〜54(好ましくはx=63〜75、y=85〜93、およびz=49〜
52)であり、xとyとzは、ジイソシアネート異性体混合物中に含まれる4,4’−M
DI異性体の重量%である。
さらに他の実施態様では、混合ジイソシアネート供給ストリーム(MIx)を使用して
2つの混合ジイソシアネートストリーム(MIyとMIz)が同時に製造され、ここでx
=8〜20、y=1〜3、およびz=20〜40(好ましくはx=12〜18、y=1.
5〜2.8、およびz=30〜37)であり、xとyとzは、ジイソシアネート異性体混
合物中に含まれる4,4’−MDI異性体の重量%である。
さらに他の実施態様では、例えばMDIジイソシアネートとPMDIポリイソシアネー
トの多品種製造設備〔例えば、単一塔もしくは複数塔の分別蒸留プラントや、従来の結晶
化プラント(例えば、静的もしくは動的晶析装置)〕の効率と経済性を最適化するために
、本発明を、MDIジイソシアネートストリームを若干変更するための他のプロセス操作
と組み合わせて使用することができる。
さらに他の実施態様では、当業者によく知られている方法〔例えば、分光法(紫外光−
可視光、赤外光、または近赤外光等)に基づく方法、あるいはクロマトグラフィー法(例
えば、ガスクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィー)に基づく方法、およびある範
囲の異なる検出法と組み合わせたバリエーション〕を使用して、生成物ストリームと供給
材料ストリームの1つ以上のオンライン分析またはオフライン分析によりプロセスの制御
を果たすことができる。これとは別にプロセスは、実測して得られる温度、圧力、および
流量等に基づいて制御することもできる。
本発明のさらなる利点は、後述の記載にて一部が明らかとなり、そして一部がその説明
から明らかとなるか、あるいは本発明を実施することで理解できるであろう。本発明の利
点は、添付の特許請求の範囲において具体的に指摘されている要素とそれらの組み合わせ
によって理解され、達成されるであろう。理解しておかねばならないことは、上述の一般
的な説明と後述の詳細な説明はどちらも単に典型的・説明的なものであって、これによっ
て特許請求されている本発明が限定されることはない、という点である。
本発明は、以下に記載する本発明の好ましい実施態様の詳細な説明と実施例、および図面とそれら図面に関する前述と後述の説明を参照することによってより容易に理解することができる。
(1) 4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートと2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを主とする2種の異なる混合物を同時かつ連続的に製造する方法であって、ジフェニルメタンジイソシアネート混合異性体供給材料ストリーム(MIx)を、単一工程の懸濁溶融結晶化プロセスによって2つのジフェニルメタンジイソシアネート混合異性体ストリーム(MIyとMIz)に分ける工程を含み、ここでxとyとzは、ジフェニルメタンジイソシアネート異性体混合物中に含まれる4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート異性体の重量%であり、xは80〜92、yは97〜99、zは60〜80であり、該懸濁溶融結晶化プロセスが結晶化工程を含み、該結晶化工程において結晶が形成され、後続する分離工程でこの結晶が液体から分離され、これにより、結晶を溶融させて異性体混合物の1つが形成され、残留母液が、再循環ストリームと第2の異性体混合物とに分けられ、再循環ストリームを結晶化セクションにフィードバックしてもよい、上記方法。
(2) xが82〜88、yが97.2〜98.5、zが63〜70である、(1)に記載の方法。
(3) 結晶化セクションを出ていくスラリーの温度を約25〜27℃に制御する、(1)または(2)に記載の方法。
(4) 4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートと2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを主とする2種の異なる混合物を同時かつ連続的に製造する方法であって、ジフェニルメタンジイソシアネート混合異性体供給材料ストリーム(MIx)を、単一工程の懸濁溶融結晶化プロセスによって2つのジフェニルメタンジイソシアネート混合異性体ストリーム(MIyとMIz)に分ける工程を含み、ここでxとyとzは、ジフェニルメタンジイソシアネート異性体混合物中に含まれる4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート異性体の重量%であり、xは60〜80、yは80〜95、zは48〜54である、上記方法。
(5) xが63〜75、yが85〜93、zが49〜52である、(4)に記載の方法。
(6) 結晶化セクションを出ていくスラリーの温度を約18〜20℃に制御する、(4)または(5)に記載の方法。
(7) 4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートと2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを主とする2種の異なる混合物を同時かつ連続的に製造する方法であって、ジフェニルメタンジイソシアネート混合異性体供給材料ストリーム(MIx)を、単一工程懸濁溶融結晶化プロセスによって2つのジフェニルメタンジイソシアネート混合異性体ストリーム(MIyとMIz)に分ける工程を含み、ここでxとyとzは、ジフェニルメタンジイソシアネート異性体混合物中に含まれる4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート異性体の重量%であり、xは8〜20、yは1〜3、zは20〜40である、上記方法。
(8) xが12〜18、yが1.5〜2.8、zが30〜37である、(7)に記載の方法。
図1は、4,4’−MDI(41℃)、2,4’−MDI(35℃)、および40%の4,4’−MDIと60%の2,4’−MDIとの高純度二元共晶混合物(14℃)の既知融点(Ulrich,Chemistry and Technology of Isocyanates,ジョンワイリー&サンズ,ニューヨーク,ISBN 0−471−96371−2)に基づいた、4,4’−MDI/2,4’−MDI系に対する純粋二元状態図の概略図である。 図2は、懸濁結晶化プロセスの概略図である。 図3は、比較用実施例1の懸濁結晶化プロセスの概略図である。 図4は、比較用実施例1に対する二元状態図の概略図である。 図5は、実施例2の懸濁結晶化プロセスの概略図である。 図6は、実施例2に対する二元状態図の概略図である。 図7は、実施例3の懸濁結晶化プロセスの概略図である。 図8は、実施例3に対する二元状態図の概略図である。 図9は、実施例4の懸濁結晶化プロセスの概略図である。 図10は、実施例4に対する二元状態図の概略図である。 図11は、1つ以上の「ワーキングライン(working lines)」を示している、4,4’−MDI/2,4’−MDI系に対する高純度二元状態図の概略図である。
本発明の組成物と方法を開示して詳細に説明する前に、理解しておかねばならないこと
は、本発明は、特許請求の範囲に特に記載されていない限り、本発明の方法を実施するた
めのいかなる特定の装置にも限定されない(当然のことながら、装置は変わってよいので
)、という点である。さらに理解しておかねばならないことは、本明細書にて使用してい
る専門用語は、特定の実施態様を説明するために使用しているのであって、限定を意図し
ていない。
本明細書と添付の特許請求の範囲において使用している単数形「a」、「an」、およ
び「the」は、文脈が明確に指示しない限り複数の指示対象を含む。したがって、例え
ば「不純物(an impurity)」という用語は、不純物の混合物を含む。
範囲は、本明細書では、「およその」ある特定の値から、および/または、「およその
」他の特定の値までとして表わすことができる。このような範囲が表示される場合、他の
実施態様は、ある特定の値から、および/または、他の特定の値までを含む。同様に、先
行詞「およそ(about)」を使用することによって値が近似値として表示される場合
は、特定の値が他の実施態様を形成する、ということが分かる。さらに、それぞれの範囲
の端点は、他の端点と関連して、ならびに他の端点とは関係なく重要である、ということ
が分かる。
さらに理解しておかねばならないことは、4,4’−MDIと2,4’−MDIの含量
によって規定される組成物に説明が限定されているけれども、当然のことながら、実際に
は少量の不純物(例えば、2,2’−MDI、トリイソイシアネート異性体、モノイソシ
アネート、塩素化不純物と他のハロゲン化不純物、メチル基含有不純物、およびこれらの
種類のプロセスストリーム中に一般的に存在する他の不純物等があるが、これらに限定さ
れない)が存在する、という点である。
本発明に関する下記の説明は、存在する主要な異性体が4,4’−MDIであるという
ジイソシアネート組成物を処理するという文脈でなされているが、理解しておかねばなら
ないのは、存在する主要な異性体が2,4’−MDIであるというさらなる実施態様も本
発明の一部であると見なされるということである。
4,4’−MDI異性体と2,4’−MDI異性体を分離する分別結晶プロセスは、一
般には、関連した状態図(図1)に関して理解することができる。高純度4,4’−MD
Iの固体が生成し始めるまで混合異性体組成物を冷却する。冷却を続けるとさらなる固体
が生成するが、液相(母液)の組成が状態図の液相線に引き続いて変化し、2,4’−M
DI異性体の含量がさらに高くなる。
実際には、2,2’−MDIやトリイソシアネート異性体等の不純物が存在すると、凝
固させようとする最後の液体の正確な組成と凝固点に影響を及ぼす、という点に留意しな
ければならない。このことは試験によって調べることができる。
懸濁結晶化プロセスは、結晶化セクションと固液分離(洗浄塔)セクションからなる。
結晶は、結晶が成長できる成長容器を含む結晶化セクションにおいて形成される。分離セ
クションにおいて結晶が液体から分離され、ここでさらに結晶を溶融させて生成物1を形
成させる(図2)。母液を、再循環ストリームと第2の生成物ストリーム(生成物2)に
分割することができる。
結晶化セクションは、スラリー循環システム(スラリーを、外部晶析装置を介して成長
容器上に循環するシステム)、ドラム晶析装置(ここでスラリーが、低温スクレイプトウ
ォール(cold scraped wall)を介して冷却される)、成長容器(結晶
を所望の大きさに成長させる滞留時間をもたらす)、およびオーバーヘッド供給材料タン
ク(供給材料を緩衝し、ユニット全体の液体を十分な状態にて保持する)からなる。これ
とは別に、結晶化セクションは、例えば、攪拌機を装備したスラリー容器からなる他の設
計構造物を有してもよい。
供給材料ストリームが結晶化セクションに流入し、一般にはそこで母液再循環ストリー
ムと混合される。この混合物を、高純度4,4’−MDIの結晶が生成して成長するよう
に冷却する。この時点での温度を、所望のスラリー温度が得られるように調整し、次いで
スラリーが結晶化セクションを出ていく。晶析装置への母液の再循環流れを調節すること
によって、スラリー温度を従来のやり方で制御する。しかしながら、特定の状況において
は、ユニットは、再循環母液なしでも操作することができ、この場合、温度は、溶融高純
度相の一部を再循環することによって制御することができる。晶析装置の冷却負荷により
、スラリー中の結晶の量が決まる。この冷却負荷は、従来のやり方にしたがって冷却用流
体の温度を変えることにより変化させることができる。スラリーの温度を調節することに
より、形成される結晶の量と液相の組成が決まる。
懸濁結晶化プロセスにおいては一般に、例えば安定な結晶層と明確な洗浄フロント(w
ash front)を確実に形成させるために、プロセスが適切に作動するよう、高純
度相の融点(ここでは4,4’−MDIに対して41℃)とスラリーの温度との間の最大
温度差(デルタT)に限度がある、ということがよく知られている。
分離セクションは、洗浄塔を含む洗浄塔システムとメルトループ(melt loop
)からなる。実際には、2つのこうしたシステムは、例えばメンテナンス処置にかけると
きに、一方を使用することができて、他方が使用されないように、据え付けを施して別々
に作動させることができる。この2つのシステムはさらに、より高い処理量が得られるよ
う同時に作動させることもできる。
洗浄塔は、MDIの処理に関して有利な機械的固液分離装置である。なぜなら、固体4
,4’−MDIの融点が、洗浄塔に供給されるスラリーの温度に近いからである。
定常状態の操作条件においては、洗浄塔は、充填された4,4’−MDI結晶層を含み
、該結晶層の上にピストン上フィルタープレートが、そして該結晶層の下にスクレーパー
が取り付けられている。上部結晶間のボイドには、結晶化セクションにおける液体と同じ
組成を有する液体(すなわち、4,4’−MDIの含量が比較的低い母液)が充填される
。母液の組成は、スラリーの温度によって決まる。底部結晶間のボイドにおける液体は、
4,4’−MDI高含量の液体であって、極めて高純度の液状4,4’−MDIである。
これらの液体組成物が遭遇する場所が洗浄フロントと呼ばれる。洗浄フロントは、結晶層
内のどこかに位置する。
したがって洗浄塔サイクルは、この状況からスタートして以下のように説明することが
できる:a)脈動ストローク:ピストンが上方に移動する。液体が上部コンパートメント
から押し出されて、洗浄塔の外側の配管を介してフィルタープレートの下のコンパートメ
ントに送られる。b)充填ストローク:ピストンがさらに上方に移動し、結晶層の上に空
間をつくり出す。この空間を、結晶化セクションからのスラリーで充填する。充填ストロ
ークは、ピストンがその最上位に達したときに終わる。上部コンパートメント中の液体を
、結晶化セクションに戻すか、あるいは貯蔵タンクに送る。c)圧縮ストローク:ピスト
ンが下方に移動し、フィルタープレートの下でスラリー中の結晶を圧縮する。液体が、フ
ィルタープレートの下から、フィルタープレートを通過して上部コンパートメントに移動
し、上部コンパートメントは体積が増大する。圧縮ストロークは、新たに充填された結晶
層がもはや圧縮できなくなると完了する。d)洗浄とスクレーピング:圧縮ストロークの
完了後、結晶スクレーパーを作動させる。結晶スクレーパーが、結晶層の底部から結晶を
かき落とす。これらの結晶を、メルトループにて循環している高含量の4,4’−MDI
と共に溶融液中に懸濁させる。メルトループポンプまたはピストンによって洗浄塔のヘッ
ドの圧力を増大させる。結晶層の底部と頂部との間の圧力差により、液体は結晶層を通っ
て上方に移動する。この液体(極めて高純度の溶融4,4’−MDIからなる)が、結晶
間のボイドにおける液体に取って代わり、フィルタープレートを通ってボトムコンパート
メントを出る(洗浄フロントが上方に移動する)。圧力が均等化し、洗浄弁が開くと、液
体の流れが止まる。洗浄フロントが、結晶層とともに下方に移動する。生成物出口弁の開
放と閉止との間の割合を調整することによって、洗浄フロントが結晶層中のある特定範囲
の位置内に保持される。ピストンがその底部位置に達したときに、洗浄とスクレーピング
が完了する。これによりサイクルが完了し、洗浄塔は、いつでも新たなサイクルを開始す
ることができる。
全サイクルを完了させるのに必要な時間により、洗浄塔の最大能力がほぼ決まる。実際
の能力は、実際のサイクル時間より長いサイクル時間を選択することによって減少させる
ことができる。サイクルの完了後、選択したより長いサイクル時間に達するまで、洗浄塔
がピストンをその底部位置に保持してから、新たなサイクルが始まる。
メルトループは、洗浄塔スクレーパー(洗浄した結晶を底部からかき落とし、メルトル
ープ中に懸濁させる);メルトループポンプ(このポンプにより、メルトループ中の液体
が循環され、洗浄のための圧力が生じる);メルター(melter:この熱交換器によ
り、メルトループ中の結晶を溶融させるためのエネルギーが供給される);から構成され
る。
したがって全体としてのプロセスは、次のように要約することができる:充填ストロー
ク時に、スラリーを、主要循環ループから洗浄塔に送る。結晶をフィルタープレートの下
に保持し、母液を主要循環ループに戻す。戻した母液の一部を周期的に貯蔵タンクに送っ
て、一定の液体組成を、したがって一定の結晶化温度を保持する。洗浄塔における層の底
部から結晶をかき落とし、メルトループ中に懸濁させる。これら結晶の溶融物を貯蔵タン
クに送る。このような装置の全体的な配置構成と操作は従来、極めて高純度の生成物〔こ
の場合は、極めて高純度の4,4’−MDI(スーパーピュアMDI)〕を製造するよう
に設計されている。
驚くべきことに、晶析装置の冷却能力の適切な制御ならびに洗浄塔の適切な操作ととも
に、結晶化セクションにおけるスラリー温度を適切に制御すると、本発明が、ジフェニル
メタン系列のジイソシアネート異性体で構成される2種の特定の混合物を「単一の工程」
で同時に製造するプロセスを提供するように、問題に対する解決策が得られる、というこ
とを我々は見出した。
特に、xが80〜92(好ましくはxが82〜88)である混合ジイソシアネート供給
材料ストリーム(MIx)を使用することによって、結晶化セクションを冷却することに
よって、そして同時に、洗浄塔から得られる母液の制御された量を、スラリー温度が約2
5〜27℃に制御されるように再循環させることによって、約15℃のデルタ−Tにて、
2つのジイソシアネート生成物ストリーム(MIyとMIz)を得ることができる〔ここ
でy=97〜99およびz=60〜80(好ましくはy=97.2〜98.5およびz=
63〜70)であり、xとyとzは、ジイソシアネート異性体混合物中に含まれる4,4
’−MDI異性体の重量%である;すなわち、溶融「ピュア」生成物の組成は99.5%
未満の4,4’−MDIである〕、ということを我々は見出した。特に高純度異性体物質
の製造に対して広く使用されている方法が、こうした2種のMDI異性体ストリームを同
時につくり出すのに、経済的に有用で且つ効率的な方法として使用できる、ということは
これまで認識されていなかった。
さらに驚くべきことに、混合ジイソシアネート供給材料ストリーム(MIx)〔ここで
x=60〜80(好ましくはx=63〜75)である〕を使用することによって、そして
結晶化セクション冷却する一方で、洗浄塔から得られる母液の制御量(ゼロの場合もある
)を、スラリーの温度が約18〜20℃に制御されるように再循環することによって、2
種の混合ジイソシアネート生成物ストリーム(MIyとMIz)を製造することができる
〔ここでy=80〜95およびz=48〜54(好ましくはy=85〜93およびz=4
9〜52)であり、xとyとzは、ジイソシアネート異性体混合物中に含まれる4,4’
−MDI異性体の重量%である〕、ということを我々は他の実施態様として見出した。特
に高い異性体純度物質の製造に対して広く使用されている方法が、2種のMDI異性体ス
トリームを同時につくり出すのに、経済的に有用で且つ効率的な方法にて使用することが
できる(ここで異性体のうちの1種の含量が最も高いストリームの組成は、重要ではない
異性体を少なくとも5%含有する)、ということはこれまで認識されていなかった。
以下に実施例を挙げて、本発明の方法を詳細に説明する。
例1(比較例:図3と図4)
82.7重量%の4,4’−MDIを含有するMDI異性体ストリームを、約0.6ト
ン/時の再循環母液とともに1.4トン/時の割合で懸濁晶析装置に供給した。懸濁晶析
装置は、ドラム晶析装置と結晶成長容器を含み、28.7℃の温度に制御されていて、約
35%の固形物を含むスラリーを生成した。この物質を、1ピストン型洗浄塔を使用して
、0.7トン/時のジイソシアネート異性体ストリーム(71.2重量%の4,4’−M
DIを含有)と、0.7トン/時の第2のジイソシアネート異性体ストリーム(約99.
7〜99.8重量%の4,4’−MDIを含有)(スーパーピュアMDI)とに分けた。
デルタ−Tは約12℃であった。
例2(図5と図6)
82重量%の4,4’−MDIを含有するMDI異性体ストリームを、約0.9トン/
時の再循環母液とともに2トン/時の割合で懸濁晶析装置に供給した。懸濁晶析装置は、
ドラム晶析装置と結晶成長容器を含み、25.8℃の温度に制御されていて、約35%の
固形物を含むスラリーを生成した。この物質を、一セットの2ピストン型洗浄塔を使用し
て、1トン/時のジイソシアネート異性体ストリーム(63重量%の4,4’−MDIを
含有)と、1トン/時の第2のジイソシアネート異性体ストリーム(98.5重量%の4
,4’−MDIを含有)(ピュアMDI)とに分けた。デルタ−Tは約15℃であった。
例3(図7と図8)
70重量%の4,4’−MDIを含有するMDI異性体ストリームを、約1トン/時の
再循環母液とともに2.4トン/時の割合で懸濁晶析装置に供給した。懸濁晶析装置は、
ドラム晶析装置と結晶成長容器を含み19.3℃の温度に制御されていて、約35%の固
形物を含むスラリーを生成した。この物質を、一セットの2ピストン型洗浄塔を使用して
、1.2トン/時のジイソシアネート異性体ストリーム(50重量%の4,4’−MDI
を含有)と、1.2トン/時の第2のジイソシアネート異性体ストリーム(89重量%の
4,4’−MDIを含有)とに分けた。
例4(図9と図10)
62.5重量%の4,4’−MDIを含有するMDI異性体ストリームを、再循環母液
を全く使用せずに2.4トン/時の割合で懸濁晶析装置に供給した。懸濁晶析装置は、ド
ラム晶析装置と結晶成長容器を含み19.3℃の温度に制御されていて、約35%の固形
物を含むスラリーを生成した。この物質を、一セットの2ピストン型洗浄塔を使用して、
1.2トン/時のジイソシアネート異性体ストリーム(50重量%の4,4’−MDIを
含有)と、1.2トン/時の第2のジイソシアネート異性体ストリーム(85重量%の4
,4’−MDIを含有)とに分けた。
本発明を例証しているこれらの結果によれば、状態図上に1つ以上の「ワーキングライ
ン(working line)」が存在している(図11)ことが示されており、この
ことが4,4’−MDI結晶の形成、成長、および分離特性に及ぼす操作条件の影響を表
わしているのは明らかである。「ワーキングライン」の存在と利用も本発明の特徴である
。状態図にこれらの線を加えることで、固相線、「疑似固相線」、「固溶体線(soli
d−state solution)」、もしくは他の線等の「ワーキングライン」以外
のいかなる意味も表わすことを意図していない。
本発明を例示する目的で本発明を詳細に説明してきたが、理解しておかねばならないの
は、こうした詳細は単に当該目的のためだけであって、特許請求の範囲に規定されている
場合を除いて、本発明の要旨を逸脱することなく当業者によって種々の変更を施すことが
できる、という点である。

Claims (4)

  1. 4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートと2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを主とする2種の異なる混合物を同時かつ連続的に製造する方法であって、
    ジフェニルメタンジイソシアネート混合異性体供給材料ストリーム(MIx)を、単一工程の懸濁溶融結晶化プロセスによって2つのジフェニルメタンジイソシアネート混合異性体ストリーム(MIyとMIz)に分ける工程を含み、
    ここで、xとyとzは、ジフェニルメタンジイソシアネート異性体混合物中に含まれる4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート異性体の重量%であり、xは60〜80、yは80〜95、zは48〜54であり、結晶化セクションを出ていくスラリーの温度が18〜20℃に制御される、上記方法。
  2. xが63〜75、yが85〜93、zが49〜52である、請求項1に記載の方法。
  3. 4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートと2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートを主とする2種の異なる混合物を同時かつ連続的に製造する方法であって、
    ジフェニルメタンジイソシアネート混合異性体供給材料ストリーム(MIx)を、単一工程の懸濁溶融結晶化プロセスによって2つのジフェニルメタンジイソシアネート混合異性体ストリーム(MIyとMIz)に分ける工程を含み、
    ここで、xとyとzは、ジフェニルメタンジイソシアネート異性体混合物中に含まれる4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート異性体の重量%であり、xは80〜92、yは97〜99、zは60〜80であり、
    該懸濁溶融結晶化プロセスが結晶化工程を含み、該結晶化工程において結晶が形成され、後続する分離工程でこの結晶が液体から分離され、これにより、結晶を溶融させて異性体混合物の1つが形成され、残留母液が、再循環ストリームと第2の異性体混合物とに分けられ、結晶化セクションを出ていくスラリーの温度が25〜27℃に制御される、上記方法。
  4. 再循環ストリームが、結晶化セクションにフィードバックされる、請求項に記載の方法。
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