JP5819222B2 - リアルタイム震度計測装置とその方法 - Google Patents

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Description

本発明は、地震発生後のリアルタイム震度を測定可能な震度計測装置とその方法に係り、特に、リアルタイムでも測定精度を高めることが可能なリアルタイム震度計測装置とその方法に関する。
地震が頻繁に発生する我が国では、地震が発生すると気象庁等が地震情報を発信し、ラジオ番組の放送中やテレビ番組の放映中であっても地震速報として、音声や字幕で各地での震度、震源及び地震規模(マグニチュード)が流されている。
しかしながら、その地震情報は震度3以上の場合に最も早く発信される震度速報であっても通常2分程度要している。これは、地震震度が、地震波の加速度センサによって測定される地震加速度の時間軸上の波形データを一定時間蓄積した上で、FFT(Fast Fourier Transform:高速フーリエ変換)演算を気象庁が定めるFFTフィルターで処理して行った後、それを逆FFT変換して得られた加速度波形データを震度計算に用いているためである。
すなわち、リアルタイムに震度が計測されるのではなく、一旦地震の加速度波形データを一定時間蓄積した上で解析されているため、時間遅れが生じるのである。このような震度計測に関しては、官報第1831号で告示された気象庁震度階級表(気象庁告示第4号)に記載されている。
そこで、従来このような時間遅れを解消してリアルタイムに震度を計測するための研究がおこなわれており、その成果が発明として出願され開示されている。
例えば、特許文献1には、「計測震度概算装置、それを用いた計測震度概算システム及び計測震度概算方法」という発明が開示されている。
特許文献1に開示された発明は、リアルタイム性と換算誤差の小さな計測震度概算装置等を提供するものであり、FFT演算を行うことなく地震の加速度を計測して地動加速度の時系列を得る地動加速度時系列取得手段と、地動加速度の時系列をフィルタ処理する時間領域フィルタ手段と、時間領域フィルタによりフィルタ処理された地動加速度の時系列から計測震度の概算値を算出する算出手段を備えたことを特徴としている。
このような特許文献1に開示される発明では、地震加速度波形データを蓄積することなく、時間領域フィルタによってフィルタ処理するために、リアルタイム性に優れると共に、フィルタ係数の演算を効率的に行うなどしてある程度の精度を保持することができるので、計測震度を概算することができるのである。
また、特許文献2には、「震度測定装置」という発明が開示されている。
この発明では、加速度波形データを入力する加速度入力部と、加速度波形データにフィルタ処理を施し、補正加速度波形データを出力するフィルタと、補正加速度波形データから震度を算出する震度算出部とを備えて、フィルタは加算、減算、2のべき乗数の乗算及び2のべき乗の除算を組み合わせた演算を実行することで、加速度波形データを補正加速度波形データに変換することを特徴とするものである。
このような特許文献2に開示される発明では、回路構成を複雑化させることなく、低消費電力で気象庁定義のフィルタを設計可能とすることができるのである。
特開2008−107334号公報 特開2011−47657号公報
しかしながら、特許文献1に開示された発明においては、時間領域フィルタを用いることでリアルタイム性を改善することが可能となったものの、その計測震度は発明の名称のとおり、概算に留まっており、その精度に改善の余地があった。
また、特許文献2に開示された発明においても、消費電力の低減は可能かもしれないものの、特許文献2の図3に示されるように、気象庁定義のフィルタ特性との近似にはズレが生じており、その精度には改善の余地があるという課題があった。
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、地震発生直後から、リアルタイム性と高精度の両方を備えた震度計測を可能として、震度速報の発信までの時間短縮を行いつつ、震源に近い被災地であっても地震対応や避難が迅速かつ適切に実行可能とするリアルタイム震度計測装置とその方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本願発明のリアルタイム震度計測装置は、地震による加速度を検出する加速度検出手段と、この加速度検出手段から出力されるアナログ信号を第1のデジタル信号に変換するA/D変換器と、このA/D変換器から出力される前記第1のデジタル信号をフィルター処理して第2のデジタル信号を出力するIIR(Infinite Impulse Response:無限インパルス応答)フィルターと、このIIRフィルターから出力される第2のデジタル信号に基づいてリアルタイム震度を計算する震度演算部と、このリアルタイム震度を出力する出力部と、を有し、前記IIRフィルターは、ゲインピークを含む周波数帯域において、(n+1)次ハイパスフィルター(HPF)(nは正整数、以下同様)とn次ハイパスフィルター(HPF)を組み合わせて構成される第1のIIRフィルターと、を備えたことを特徴とするものである。
このように構成されたリアルタイム震度計測装置においては、IIRフィルターがリアルタイムにフィルター処理するという作用を有することはもちろんのこと、IIRフィルターが(n+1)次HPFとn次HPFを組み合わせて構成されるため、n次HPFのみで構成されるよりも(n+1)次ほど自由度が増え、より高い精度のフィルタリング特性を発揮させる作用を有する。
請求項1に記載の発明は、このリアルタイム震度計測装置において、前記ゲインピークを含む周波数(以下、周波数をfで表わす)帯域は0.3Hz<f≦1Hzの範囲を含む帯域であって、前記nは1であり第1のIIRフィルターは遮断周波数と減衰定数の2つの自由度を有する2次HPFと遮断周波数の1つの自由度を有する1次HPFを組み合わせて構成されることを特徴とするものである。
このように構成されたリアルタイム震度計測装置においては、IIRフィルター特性として、特に自由度を必要とするゲインピークを含む周波数帯域で、遮断周波数と減衰定数の2つの自由度を有する2次HPFと遮断周波数の1つの自由度を有する1次HPFを組み合わせて第1のIIRフィルターを構成させることで、必要とされる高い自由度を提供するという作用を有する。
また、請求項1記載のリアルタイム震度計測装置は、前記IIRフィルターが、前記ゲインピークを含む周波数帯域以下の低周波数帯域においては、前記第1のIIRフィルターを用い、前記ゲインピークを含む周波数帯域よりも高い1Hz<f≦3Hzを含む中周波数帯域においては、遮断周波数の1つの自由度を有する2つの1次フィルターを組み合わせて周波数の平方根の逆数に比例する第2のIIRフィルターを備え、前記中周波数帯域よりも高い3Hz<fを含む高周波数帯域においては、遮断周波数と減衰定数の3つの自由度を有する2次ローパスフィルター(LPF)を第3のIIRフィルターとして備えていることを特徴とするものである。
このように構成されたリアルタイム震度計測装置においては、IIRフィルターによってすべての周波数帯域において、地震加速度波形の特徴に沿ってフィルター処理されるという作用を有する。
本発明の請求項1に記載のリアルタイム震度計測装置によれば、リアルタイムで高精度の震度計測が可能となるので、地震速報をはじめ緊急地震情報をより迅速に高い精度で発信することができる。また、従来困難であった震源に近い地域での迅速な対応、避難が可能となり、住民の安全確保や財産の保全がより確実に実行可能となる。
東日本大震災を引き起こした2011年東北地方太平洋沖地震の際には、短時間に精度の高い地震の規模(マグニチュード)が求まらず、そのために、緊急地震速報や津波警報が適切に発表できないという不具合があった。
これらの不具合は、本発明の請求項記載のリアルタイム震度計測装置により、国土の震度分布を精度良くリアルタイムに計測することで、解決できる。
例えば、「地震のマグニチュード」は従来の震源情報と本発明によるリアルタイム震度分布を組み合わせることで、短時間に精度よく求めることが可能となる。「緊急地震速報」に適用すれば、震源に近い観測点のリアルタイム震度を用いて、従来は困難であった直下地震の震央周辺でも、緊急地震速報の利用が可能となり、震央から離れた地域でも情報の迅速化と高精度化が可能になる。「津波警報」については、マグニチュードに基づく津波警報の迅速化と高精度が実現する他、津波被害が想定される沿岸部のリアルタイム震度が求まるので、リアルタイム震度に基づく津波警報の要否・警報のレベルも判定できるので、津波警報の信頼性を高めることができる。
このように、本発明を応用すると、地震に関する諸情報の発表が迅速化でき、情報の精度が向上して、地震直後のすべての行動に対する時間的余裕が従来に比べると増加し、被災による被害を最小限に留める基本的な効果を発揮することができるのである。
(a)は、本発明の実施の形態に係るリアルタイム震度計測装置の構成図であり、(b)はIIRフィルターの構成図である。 気象庁が定めるFFTフィルターの周波数特性図である。 気象庁が定めるFFTフィルターの特性を周波数帯域毎に分解して説明する図であり、(a)は低周波数成分の遮断フィルターJ1(f )の周波数特性図、(b)は周波数の平方根に逆比例する特性を備えたフィルターJ2(f )の周波数特性図、(c)は高周波成分の遮断フィルターJ3(f )の周波数特性図である。 本実施の形態に係るリアルタイム震度計測装置の第1のIIRフィルターについて、入力時系列とフィルター出力時系列との関係を示すブロック図である。 本実施の形態に係るリアルタイム震度計測装置の第2のIIRフィルターについて、入力時系列とフィルター出力時系列との関係を示すブロック図であり、(a)はy1(t )、(b)はy2(t)(c)はy3(t )について示している。 本実施の形態に係るリアルタイム震度計測装置の第3のIIRフィルターについて、入力時系列とフィルター出力時系列との関係を示すブロック図である。 本実施の形態に係るリアルタイム震度計測装置のIIRフィルターG (z)の周波数特性図である。 本実施の形態に係るリアルタイム震度計測装置のIIRフィルターG (z)の周波数特性と、気象庁の定義するフィルターJ の周波数特性とを比較して示す周波数特性図である。 本実施の形態に係るリアルタイム震度計測装置のIIRフィルターG (z)と特許文献1に開示されている従来技術のフィルタの周波数特性とを比較して示す周波数特性図である。 本実施の形態に係るリアルタイム震度計測装置のIIRフィルターを用いて計算される計測震度相当値と気象庁計測震度との比較を示す評価図である。 本実施の形態に係るリアルタイム震度計測装置のIIRフィルターを用いた場合の震度誤差の分布図である。 本実施の形態に係るリアルタイム震度計測装置のIIRフィルターを用いた場合の震度誤差と震央距離の関係を示す評価図である。 本実施の形態に係るリアルタイム震度計測装置のIIRフィルターを用いた場合の震度誤差と計測震度との関係を示す評価図である。 本実施の形態に係るリアルタイム震度計測装置のIIRフィルターを用いた場合の震度誤差と地震のマグニチュードとの関係を示す評価図である。 特許文献1に開示された技術によるIIRフィルターを用いた場合の震度誤差の分布図である。 特許文献1に開示された技術によるIIRフィルターを用いた場合の震度誤差と震央距離の関係を示す評価図である。 特許文献1に開示された技術によるIIRフィルターを用いた場合の震度誤差と計測震度との関係を示す評価図である。 特許文献1に開示された技術によるIIRフィルターを用いた場合の震度誤差と地震のマグニチュードとの関係を示す評価図である。
以下に、本発明の第1の実施の形態に係るリアルタイム震度計測装置について図1乃至図14を参照しながら説明する。
図1(a)は、本発明の第1の実施の形態に係るリアルタイム震度計測装置の構成図であり、(b)はIIRフィルターの構成図である。
図1(a)において、リアルタイム震度計測装置1は、大きくは演算部2と計時部3及び出力部4から構成されている。
また、演算部2は、加速度計5、A/D変換器6、IIRフィルター7、震度演算部8から構成されている。
加速度計5は、地震による揺れから加速度成分を検出するものであり、この加速度計5で検出されたアナログの加速度波形信号5S(アナログ信号)を、計時部3から発信される連続した時間信号3S1で一定時間ごとにサンプリングすることにより離散化された加速度信号6S(デジタル信号)に変換するA/D変換器6を備えている。
また、このA/D変換器6から出力されるデジタルの加速度信号を周波数毎に重み付けを行ってデジタルの重み付け加速度信号7Sを出力するIIRフィルター7を備えており、本実施の形態では、図1(b)に示されるとおり、このIIRフィルター7はさらに、第1のIIRフィルター71、第2のIIRフィルター72及び第3のIIRフィルター73から構成されている。すなわち、IIRフィルター7は気象庁が定めるFFTフィルターの近似フィルターであり、第1のIIRフィルター71、第2のIIRフィルター72、第3のIIRフィルター73はそれぞれIIRフィルター7の一部を構成するものである。
第1のIIRフィルター71は、周波数が1Hzよりも低い周波数帯域において処理するフィルターであり、第2のIIRフィルター72は1Hz以上で3Hz未満の周波数帯域において処理するフィルターであり、第3のIIRフィルター73は、3Hz以上の周波数帯域で処理するフィルターである。これらのフィルターの特性については詳細に後述する。
IIRフィルター7で周波数毎に重み付けをされた重み付け加速度信号7Sを用いて、震度演算部8では震度を算出し、震度信号8Sを出力する。
計時部3は、前述のとおりサンプリングするための時間信号3S1を発信するのみならず、演算部2を構成する加速度計5、A/D変換器6、IIRフィルター7、震度演算部8において出力される信号に対して、互いに共通の時間軸として関連付けるための時刻信号3S2を出力する。
従って、加速度計5、A/D変換器6、IIRフィルター7及び震度演算部8によってそれぞれ出力される加速度波形信号5S、加速度信号6S、重み付け加速度信号7S及び震度信号8Sにおいても時刻信号3S2に重畳して出力され、最終的に得られる震度信号8Sによって示されるリアルタイム震度は、時刻に沿って把握することが可能である。
出力部4は、少なくとも震度演算部8から出力される震度信号8Sを入力して外部へ出力するものであるが、加速度計5から出力される加速度波形信号5S、A/D変換器6から出力される加速度信号6S及びIIRフィルター7から出力される重み付け加速度信号7Sについても入力して外部へ出力すると、それぞれの構成要素におけるデータ処理の検証も可能であるため便利である。
特に、加速度計5から出力される加速度波形信号5Sは地震の加速度波形を直接的に把握することができ、例えば震度信号8Sと重畳させて出力部4から出力させることで、地震の加速度とリアルタイムの震度について比較を行うことが可能であり、地震加速度と震度のリアルタイムの相関を把握することが可能であり、防災計画を立てる際にも有益な情報となる。
出力部4としては、具体的にはCRT、液晶、プラズマあるいは有機ELなどによるディスプレイ装置、あるいはプリンタ装置などの出力装置、さらには外部装置への伝送を行うためのトランスミッタなどの発信装置などが考えられる。もちろん、外部装置への伝送のための出力に対するインターフェースであってもよい。
なお、図1(a)、(b)を用いて本発明のリアルタイム震度計測装置1を説明したが、このリアルタイム震度計測装置1をリアルタイム震度計測方法というような方法発明として捉えることも可能である。
すなわち、加速度計5は、地震による加速度を検出してアナログ信号である加速度波形信号5Sを出力する加速度検出工程と捉えることができる。また、A/D変換器6は、加速度検出工程から出力される加速度波形信号5Sをデジタル信号である加速度信号6Sに変換するA/D変換工程と捉えることができる。さらに、IIRフィルター7は、A/D変換工程から出力される加速度信号6Sをフィルター処理してデジタル信号である重み付け加速度信号7Sを出力するIIRフィルタリング工程と捉えることができる。震度演算部8は、IIRフィルタリング工程から出力される重み付け加速度信号7Sに基づいてリアルタイム震度を計算する震度演算工程と捉えることができ、この震度演算工程で計算されたリアルタイム震度は震度信号8Sとして出力され、出力部4は、この震度信号8Sを受信して外部に出力する出力工程として捉えることができるのである。
また、リアルタイム震度計測装置1における計時部3から発信される時間信号3S1と時刻信号3S2に関する作用、効果についても、リアルタイム震度計測装置1を構成する加速度計5、A/D変換器6、IIRフィルター7、震度演算部8、出力部4などの要素に対応する、それぞれ加速度検出工程、A/D変換工程、IIRフィルタリング工程、震度演算工程、出力工程において同様に作用、効果が発揮される。
背景技術の欄でも述べたとおり、地震震度は、加速度センサによって測定される地震加速度の時間軸上の波形データを一定時間蓄積した上で、FFT(高速フーリエ変換)演算を気象庁が定めるFFTフィルターで処理して行った後、それを逆FFT変換して得られた加速度波形データを用いて計算される。
この気象庁が定めるFFTフィルターの周波数特性図を図2に示し、図3に、このFFTフィルターの特性を周波数帯域毎に分解して説明する図を示す。図3(a)は低周波数成分の遮断フィルターJ1(f )の周波数特性図、(b)は周波数の平方根に逆比例する特性を備えたフィルターJ2(f )の周波数特性図、(c)は高周波成分の遮断フィルターJ3(f )の周波数特性図である。
図2において、横軸は地震波形の周波数(Hz)であり、縦軸は相対利得(倍)を示している。このように定められるFFTフィルターの周波数特性は、地震震度という自然現象の程度を物理的に示すためのものであり、それ自体には物理的な意味があるものである。
この気象庁が定めるFFTフィルターに代えて、近似した特性を発揮するIIRフィルター7を備えることでリアルタイム震度計測装置1が実現されるのである。
ここで、このFFTフィルターの定義について説明する。
加速度記録から気象庁計測震度を求めるときに用いられるフィルターJ (f )は、周波数帯域で以下のように定義される。
J(f)=J1(f)J2(f)J3(f) (1)
ここで、J1(f)、J2(f)、J3(f)は以下のとおりである。
J1(f)=[1-exp{-(f/0.5)3}]1/2 (2)
J2(f)=(1/f)1/2 (3)
J3(f)=1/{1+Sck(f/10)2k}1/2,k=1,...,6 (4)
fは周波数、ckは定数で、c1=0.694, c2=0.241, c3=0.0557, c4=0.009664,
c5=0.00134, c6=0.000155
さらに、これらJ1(f )、J2(f )、J3(f)及びJ (f)の特性について詳細に説明する。
(1)J1(f)の特性(図3(a)参照)
フィルターJ1(f)は、遮断周波数0.5Hzの1.5次のHPFである。およそ0.3Hzより低周波数側では、振幅は周波数の1.5乗に比例し、0.3〜1Hz の周波数帯域では、振幅の増加率は徐々に滑らかに低くなり、およそ1Hzより高周波数側では平坦となる。
(2)J2(f)の特性(図3(b)参照)
フィルターJ2(f)は、振幅が周波数の平方根の逆数に比例する。
(3)J3(f)の特性(図3(c)参照)
フィルターJ3(f)は、遮断周波数10Hzの6次のLPFである。およそ3Hzより低周波数側では、振幅は平坦であり、3〜30Hzの周波数帯域では、振幅は徐々に滑らかに減少し、およそ30Hzより高周波数側では周波数の6乗に逆比例する。
(4)J (f)の特性(図2参照)
フィルターJ (f)の特性は、以下のとおりである。
(a)f≦0.3Hzの低い低周波数帯域
f≦0.3Hzの低い周波数帯域では、フィルターJ3(f)は平坦な特性をもち、1.5次HPF(高域通過フィルター)であるフィルターJ1(f)による特性と周波数の平方根に逆比例するフィルターJ2(f)による特性の重畳となることから、利得が周波数に比例する特性をもつ。すなわち、1次のHPFと同様の特性をもつ。
(b)0.3<f≦1Hzの帯域
0.3<f≦1Hzの帯域では、フィルターJ3(f)は平坦な特性、フィルターJ2(f)は周波数の平方根に逆比例する特性と、どちらも単純な特性をもつ。この帯域において、周波数に比例して増加する振幅特性から、徐々に滑らかに増加率が低下し、およそ0.6Hzで極大値をとり、0.6Hzより高周波数側では徐々に滑らかに振幅減少率が高くなり、およそ1Hzで周波数の平方根に逆比例する特性となる特徴は、フィルターJ1(f)によるものである。すなわち、この帯域にゲインピークが存在している。
(c)1<f≦3Hzの中周波数帯域
1<f≦3Hzの中周波数帯域では、フィルターJ1(f)、及びフィルターJ3(f)はともに平坦な特性をもつことから、フィルターJ2(f)により周波数に逆比例する特性をもつ。
(d)3<f≦30Hzの帯域
3<f≦30Hzの帯域では、フィルターJ1(f)は平坦な特性、フィルターJ2(f)は周波数の平方根に逆比例する特性と、どちらも単純な特性をもつ。この帯域において、徐々に滑らかに振幅の減少率が高くなり、およそ30Hzで周波数の6.5乗に逆比例する特性となる特徴は、フィルターJ3(f)によるものである。
(e)30Hz<fの高周波数帯域
30Hzより高い周波数帯域では、フィルターJ1(f)は平坦な特性をもち、周波数の平方根に逆比例するフィルターJ2(f)による特性と6次LPF(低域通過フィルター)であるフィルターJ3(f)の特性の重畳となることから、6.5次のLPFと同様の特性をもつ。なお、本願においては、周波数帯域の上下限を表現する際に、境界を明確化すべく、便宜上A<f≦Bという表現を用いたが、A≦f<Bであってもよく、上下限のいずれの数値を範囲に含めるようにするかは特に限定するものではない。
以上のような特性を有する気象庁のFFTフィルターに近似させるべく、本実施の形態に係るリアルタイム震度計測装置1のIIRフィルター7では以下に説明するように3つの周波数帯域に分けて周波数特性を持たせた。この3つの周波数帯域に分けた周波数特性を持つそれぞれのフィルターが、図1(b)に示す第1のIIRフィルター71、第2のIIRフィルター72、第3のIIRフィルター73に対応している。
(a)f≦0.3Hzの低周波数帯域及び0.3<f≦1Hzの周波数帯域
0.3Hz以下の低周波数帯域においては、フィルターJ (f)は1次で減衰する特性をもつ。この帯域においては1次で減衰するHPFで近似することができる。1次で減衰するHPFは、遮断周波数より十分低周波数側では振幅は1次で減衰し、遮断周波数周辺より十分高周波数側では平坦であり、遮断周波数周辺の帯域では、遷移的特性をもつ。このことを利用して、f≦0.3Hzの低い周波数帯域及び0.3<f≦1Hzの帯域における特性を、1次で減衰するHPFで近似する。
1次で減衰するHPFとして、第1のIIRフィルター71を本実施の形態では、(n+1)次HPFとn次HPFとの比(nは正整数)で実現させた。1次HPFそのものは自由度が1であり、自由に設定できる条件は遮断周波数のみである。従って、遮断周波数周辺の帯域での特性は、1次HPF固有の特性に固定される。震度計算に用いられる前述のフィルターJ (f)の遮断周波数周辺における周波数特性は、1次HPFとは大きく異なり、遮断周波数周辺におけるフィルターJ (f)の振幅は、1次HPFの振幅より有意に大きい。周波数特性の再現を考慮すると、1次HPF単独での近似は不適切であると考えられる。
一方、(n+1)次HPFとn次HPFとの比は自由度が2n+1であり、n(整数)を適切に選択することで、フィルターJ (f)の遮断周波数周辺における周波数特性を近似させることが可能である。発明者は、フィルターJ (f)の遮断周波数周辺における特性を分析したうえで、ここでは一例としてn=1を採用し、自由度3の2次と1次の比で十分な近似が得られることを確認した。すなわち第1のIIRフィルター71としてGa(f)を遮断周波数fa2、減衰定数haの2次HPFと遮断周波数fa1の1次HPFを組み合わせて以下のようにする。
Ga(f)=H2(f;fa2,ha,ga)/H1(f;fa1,ga),
(5)
ここで、f は周波数、fa1、fa2は遮断周波数、haは減衰定数、ga1、ga2は利得で、ga1=ga2=1とする。式(5)の中のH2(f;fa2,ha,ga)は、遮断周波数f0、減衰定数h、利得gの2次HPF、H1(f;fa1,ga)は、遮断周波数f0、利得gの1次HPFで、以下のように表される。
H2(f;f0,h,g)=g/{(f0/jf)2+2h(f0/jf)+1} (6)
H1(f;f0,g)=g/{(f0/jf)+1} (7)
ここで、j=(-1)^(1/2)は虚数単位、すなわち、(−1)の平方根である。
このようにn=1を採用して自由度が3となったことで、2次HPFの遮断周波数fa2、減衰定数haと1次HPFの遮断周波数fa1という3つの定数をとることが可能であり、これによってFFTフィルターにおける0.3<f≦1Hzの帯域で示される特性、具体的には特に、およそ0.6Hzで極大値、すなわちゲインピークをとるという特性が表現できるのである。
従って、リアルタイム震度計測装置1をリアルタイム震度計測方法として捉えた場合には、IIRフィルタリング工程で、ゲインピークを含む周波数帯域において、(n+1)次ハイパスフィルター(HPF)(nは正整数、以下同様)とn次ハイパスフィルター(HPF)を組み合わせてフィルタリングすることを意味している。また、その際には、n=1を採用して自由度を3としてもよい。
さらに、IIRフィルター7が第1のIIRフィルター71、第2のIIRフィルター72及び第3のIIRフィルター73を組み合わせたフィルターとして表現できることから、IIRフィルタリング工程においては、これらの3つのフィルターを組み合わせて用い、このうち、第1のIIRフィルター71において、ゲインピークを含む周波数帯域において、(n+1)次ハイパスフィルター(HPF)(nは正整数、以下同様)とn次ハイパスフィルター(HPF)を組み合わせてフィルタリングし、その他の第2のIIRフィルター72と第3のIIRフィルター73については、これから述べる特性を備えたフィルターとしてフィルタリングするようにするとよい。
(b)1<f≦3Hzの中周波数帯域
周波数1<f≦3Hz程度の範囲で周波数の平方根の逆数に比例するフィルターJ (f )の特性を実現するために、第2のIIRフィルター72としてGb(f )を以下のように1次HPFを組み合わせる。
Gb(f)=Gb1(f)Gb2(f)Gb3(f) (8)
Gb1(f)=Gb12(f)/Gb11(f) (9)
Gb2(f)=Gb22(f)/Gb21(f) (10)
Gb3(f)=Gb32(f)/Gb31(f) (11)
Gb11(f)=H1(f;fb,gb1) (12)
Gb12(f)=H1(f;fb/η,gb1/η) (13)
Gb21(f)=H1(f;γfb,gb2) (14)
Gb22(f)=H1(f;fb/γη,gb2/γη) (15)
Gb31(f)=H1(f;fb/γ,gb3) (16)
Gb32(f)=H1(f;γfb/η,γgb3/η) (17)
ここで、fbは遮断周波数、γ、ηは減衰率と帯域幅を決定する定数、またgb1、gb2、gb3は利得で、gb1=gb2=gb3=1とする。このフィルターの振幅は、遮断周波数より十分低周波数側、及び十分高周波数側では平坦である。
(c)3<f≦30Hzの帯域及び30Hz<fの高周波数帯域
フィルターJ (f )は高周波数帯域において6.5次で減衰する特性をもつ。この帯域においては、単純には6.5次のLPFが考えられるが、後述するように、周波数fと変数zとの変数変換の近似の影響により、高周波数帯域においては、デジタルLPFフィルターの減衰率はLPFの次数以上となる。このことを利用して、高周波数帯域においては2次LPFを採用することとする。また、実際の地震動は伝播に伴う減衰のために高周波数帯域では振幅は小さいことから、2次LPFによる近似で実用上問題がないことが確認される。
2次LPFは遮断周波数より十分低周波数側では振幅は平坦であり、遮断周波数周辺においては徐々に滑らかに減少する。従って、フィルターJ(f)の3<f≦30Hzにおける特性も、本実施の形態に係るリアルタイム震度計測装置1の第3のIIRフィルター73としてのGc(f)では2次LPFで近似することとする。
Gc(f)=L2(f;fc,hc,gc) (18)
ここで、fcは遮断周波数、hcは減衰定数、gcは利得で、gc=1とする。
L2(f;fc,hc,gc)は2次LPFで、以下のように表される。
L2(f;fc,hc,gc)=gc(fc/jf)2/{(fc/jf)2+2hc(fc/jf)+1} (19)
次に、上記の第1のIIRフィルター71(Ga(f))、第2のIIRフィルター72(Gb(f))、第3のIIRフィルター73(Gc(f))に現れる1次HPF、2次HPF、及び2次LPFは、以下のようにラプラス変換の表現で書き換えられる。
H1(s;f0,g)=g/{(2πf0/s)+1} (20)
H2(s;f0,h,g)=g/{(2πf0/s)2+4πhf0/s+1} (21)
L2(s;f0,h,g)=g(2πf0/s)2/{(2πf0/s)2+4πhf0/s+1} (22)
ここで、sはラプラス変数で、
s=2πjf (23)
である。
次に、上記の式(20)、(21)、(22)をz変換による表現に書き換える。ラプラス変数sと変数zとの関係は以下で表される。Δtはサンプリング時間間隔である。
z=exp(sΔt) (24)
あるいは、
s=(1/Δt)lnz (25)
上式の lnzを級数展開することにより以下の関係が得られる。
s-1=(Δt/2)(1+z-1)/(1-z-1) (26)
s-2=(Δt2/12)(1+10z-1+z-2)/(1-z-1)2 (27)
1次HPF(20)は、式(26)を用いて、以下のように書き換えられる。
H1(z;f0,g)=g(1-z-1)/{(1+πf0Δt)+(-1+πf0Δt)z-1} (28)
2次HPF(21)、2次LPF(22)は、以下の2通りの方法でz変換に書き換えられる。
(A) 式(26)で示される関係
(B) 式(26)及び式(27)で示される関係
2次HPFの低周波数帯域での特性については(A)あるいは(B)いずれを用いても周波数特性の相違はほとんどないが、2次LPFの高周波数帯域での特性については、(A)の方法によるほうが遮断周波数以上の帯域での減衰率が(B)の方法によるよりも大きい。このことを利用して、10Hz以上の帯域での気象庁計測震度フィルターの特性をよりよく近似できるように、ここでは(A)の方法を採用することとする。2次HPF(21)は以下のように書き換えられる。
H2(z;f0,h,g)=g(1-2z-1+z-1)/H(z;f0,h) (29)
H(z;f0,h)={1+2πhf0Δt+(πf0Δt)2}+{-2+2(πf0Δt)2}z-1
+{1-2πhf0Δt+(πf0Δt)2}z-2 (30)
また、2次LPF(22)は以下のように書き換えられる。
L2(z;f0,h,g)=g(πf0Δt)2(1+2z-1+z-2)/H(z;f0,h) (31)
以下、第1のIIRフィルター71(Ga(f))、第2のIIRフィルター72(Gb(f))、第3のIIRフィルター73(Gc(f))のz変換による表現について説明する。

(a)第1のIIRフィルター71(Ga(f))のz変換による表現
式(5)に式(20)、(21)、(26)を代入し整理すると次式を得る。
Ga(z)={βa0a1z-1a2z-2}/{αa0a1z-1a2z-2} (32)
ここで、βa0=1+ζa1,βa1=-2,βa2=1-ζa1,αa0=1+2haζa2a2 2
αa1=2ζa2 2-2,αa2=1-2haζa2a2 2,ζa1=πfa1Δt,ζa2=πfa2Δt

(b)第2のIIRフィルター72(Gb(f))のz変換による表現
式(6)に式(20)、(26)を代入し整理すると次式を得る。
Gb1(z)=Gb12(z)/Gb11(z)={ βb10b11z-1}/{αb10b11z-1} (33)
Gb2(z)=Gb22(z)/Gb21(z)={ βb20b21z-1}/{αb20b21z-1} (34)
Gb3(z)=Gb32(z)/Gb31(z)={ βb30b31z-1}/{αb30b31z-1} (35)
ここで、βb10b+1,βb11b-1,αb10b+η,αb11b-η,
βb20=γζb+1,βb21=γζb-1,αb20b+γη,αb21b-γη,
βb30b/γ+1,βb31b/γ-1,αb30b+η/γ,αb31b-η/γ,ζb=πfbΔt

(c)第3のIIRフィルター73(Gc(f))のz変換による表現
式(7)に式(22)、(26)を代入し整理すると次式を得る。
Gc(z)={βc0c1z-1c2z-2}/{αc0c1z-1c2z-2} (36)
ここで、βc0c 2,βc1=2ζc 2,βc2c 2,αc0=1+2hcζcc 2
αc1=2ζc 2-2,αc2=1-2hcζcc 2,ζc=πfcΔt
次に、第1のIIRフィルター71(Ga(f))、第2のIIRフィルター72(Gb(f))、第3のIIRフィルター73(Gc(f))のz変換による表現を利用して、それぞれの入力時系列x(t)とIIRフィルター7の出力y(t)の関係について説明する。
入力時系列をx(t)、フィルター出力をy(t)とすると、
y(z)=G(z)x(z) (37)
また、
y(z)z-1 −> y(t-Δt) (38)
式(32)、(33)〜(35)、(36)と、式(37)に基づいて、また式(38)を用いて、IIRフィルター7の時間領域における表現を得る。

(a)第1のIIRフィルター71(Ga(f))
式(32)と、式(37)、及び式(38)から、
y(t)=ba0x(t)+ba1x(t-Δt)+ba2x(t-2Δt)-aa1y(t-Δt)-aa2y(t-2Δt) (39)
を得る。
ここで、ba0a0a0,ba1a1a0,ba2a2a0,aa1a1a0
aa2a2a0
本実施の形態に係るリアルタイム震度計測装置1の第1のIIRフィルター71の入力時系列とフィルター出力時系列との関係は式(39)のように表現でき、これらの関係は図4に示されるとおりである。

(b)第2のIIRフィルター72(Gb(f))
式(33)〜(35)と、式(37)、及び式(38)から、
y1(t)=bb10x(t)+bb11x(t-Δt)-ab11y1(t-Δt) (40)
y2(t)=bb20y1(t)+bb21y1(t-Δt)-ab21y2(t-Δt) (41)
y3(t)=bb30y2(t)+bb31y2(t-Δt)-ab31y3(t-Δt) (42)
を得る。
ここで、bb10b10b10,bb11b11b10,ab11b11b10
bb20b20b20,bb21b21b20,ab21b21b20
bb30b30b30,bb31b31b30,ab31b31b30
本実施の形態に係るリアルタイム震度計測装置1の第2のIIRフィルター72の入力時系列とフィルター出力時系列との関係は、式(40)から(42)のように表現でき、これらの関係は図5(a)〜(c)に示すとおりである。すなわち、(a)はy1(t)、(b)はy2(t)(c)はy3(t)についてそれぞれ示すブロック図である。

(c)第3のIIRフィルター73(Gc(f))
式(36)と、式(37)、及び式(38)から、
y(t) = bc0x(t)+bc1x(t-Δt)+bc2x(t-2Δt)-ac1y(t-Δt)-ac2y(t-2Δt) (43)
を得る。
ここで、bc0c0c0,bc1c1c0,bc2c2c0, ac1c1c0
ac2c2c0
本実施の形態に係るリアルタイム震度計測装置1の第3のIIRフィルター73の入力時系列とフィルター出力時系列は式(43)のように表現でき、この関係は図6に示すとおりである。
これまで説明したことをまとめると、計測震度を求めるときに用いられるフィルターを近似するIIRフィルター7(G(f))は、z返還で表現すれば、Ga(z)、Gb1(z)、Gb2(z)、Gb3(z)、Gc(z)及び利得gTの積として式(44)のように表現することができる。ここでは、演算の順序も含めて式(44)のように表現している。
G(z)=Gc(z)Ga(z)Gb1(z)Gb3(z)gTGb2(z) (44)
フィルターG (z)の周波数特性は、fa1、fa2、ha、fb、γ、η、gT、fc、hcの9つの係数で決定される。これらの係数については、式(6)、(7)、(12)〜(17)、(19)に記載されるとおりである。
フィルターG (z)が、周波数0.01〜20Hzの帯域で、フィルターJ を最もよく近似するように、これら9つの係数を最小二乗法により決定した。この決定に関しては後述する。
図7に、本実施の形態に係るIIRフィルター7、すなわち、第1のIIRフィルター71(Ga(z))、第2のIIRフィルター72(Gb(z))、第3のIIRフィルター73(Gc(z))から構成されるG (z )の周波数特性を示す。横軸は周波数(Hz)を示し、横軸は相対利得(倍)を示す。図7から理解されるとおり、図2に示される気象庁が定義するFFTフィルターの特性と精度よく近似されていることがわかる。
また、図8に本実施の形態に係るリアルタイム震度計測装置1のIIRフィルター7としてのG(z)と気象庁の定義するフィルターJの周波数特性との比較を示す。横軸と縦軸は図7と同一である。周波数0.01〜20Hzの帯域で、フィルターG(z)の特性はフィルターJのものとほぼ一致している。
さらに、図9に本実施の形態に係るリアルタイム震度計測装置1のIIRフィルター7としてのG(z)と特許文献1で開示されている従来技術のフィルタの周波数特性との比較を示す。図9において、実線は本実施の形態に係るリアルタイム震度計測装置1のIIRフィルター7の周波数特性を示しており、点線は特許文献1に係る従来技術のフィルタの周波数特性を示している。これらを比較すると、0.6Hz近傍での差が最も大きい。
これは、従来技術がゲインピークを含む周波数帯域において、単に1次で減衰するHPFを用いて、遮断周波数を0.6Hz近傍に持たせることで、この遮断周波数より十分低周波数側では振幅は1次で減衰し、遮断周波数周辺より十分高周波数側では平坦であり、遮断周波数周辺の帯域では、遷移的特性を持つようにしたものの、この0.6Hz近傍で気象庁の定義するフィルターJの周波数特性を十分に表現できず、結局本願実施の形態に係るリアルタイム震度計測装置1のIIRフィルター7との周波数特性とも差異が大きく出てしまったものである。
一方、本実施の形態に係るIIRフィルター7においては、ゲインピークを含む周波数帯域、すなわち0.3Hz<f≦1Hzの範囲を含む帯域において、第1のIIRフィルター71を2次ハイパスフィルター(HPF)と1次ハイパスフィルター(HPF)を組み合わせて構成している。この第1のIIRフィルター71では、このような構成によって自由度が3となったことで、2次HPFの遮断周波数fa2、減衰定数haと1次HPFの遮断周波数fa1という3つの定数をとることが可能であり、これによってFFTフィルターにおける0.3<f≦1Hzの帯域で示される特性、具体的には特に、およそ0.6Hzで極大値をとる特性が気象庁の定義するフィルターJとほぼ同一の特性として表現できている。従って、ゲインピークを含む周波数帯域において、図8ではほぼ同一の周波数特性として表れているのである。
気象庁の定義するフィルターJをよい精度で近似する本実施の形態に係るリアルタイム震度計測装置1のIIRフィルター7G (z)を用いて計算される計測震度相当値と気象庁による計測震度との比較を図10に示す。図10における横軸は計測震度、縦軸はIIRフィルター7を採用した本実施の形態に係るリアルタイム震度計測装置1において計算された計測震度相当値である。すなわち、リアルタイムに得られた震度である。また、計測震度相当値の気象庁計測震度からのずれの分布を図11に示す。図11における横軸は震度誤差、すなわちIIRフィルター7を用いて得られた計測震度相当値から気象庁計測震度を差し引いた値である。縦軸は相対頻度を示している。
図10、図11では、近年日本国内および近海で発生した252の地震を国内の地震観測点で観測した43,390の地震記録を用いた。本実施の形態に係るIIRフィルター7を用いて計算される計測震度相当値は、計測震度の広い範囲で気象庁計測震度と十分な精度で一致していることが確認できる。ずれの平均値はほぼ0であり、ずれの幅(分布の標準偏差)は非常に小さい。
図12、図13、図14に、震度誤差と、それぞれ震央距離、計測震度(気象庁計測震度)、地震のマグニチュード(気象庁によるマグニチュード)との関係を示す。図12における横軸は震央距離、図13における横軸は計測震度、図14における横軸は気象庁によるマグニチュード値であり、図12から図14の縦軸はいずれも図11で横軸に示されていた震度誤差である。これらの図からわかるように、気象庁の定義するフィルターJを高精度で近似するIIRフィルター7G (z)を用いて計算される計測震度相当値は、震央距離、計測震度、地震のマグニチュードの広い範囲で、計測震度を十分な精度で近似できる。
図9に示すように、本発明の実施形態と特許文献1に開示された技術を用いたIIRフィルターの特性の差はわずかに見えるが、図11乃至図14に対応する震度誤差(計測震度相当値と気象庁計測震度の差)を特許文献1に開示された技術を用いて求めてグラフ化すると、図15乃至図18となる。すなわち、図15乃至図18における震度誤差は特許文献1に開示された技術を用いて得られた計測震度相当値と気象庁計測震度の差を示している。
図15では誤差分布のマイナス側に裾を引いている。これは、特許文献1に開示されたIIRフィルタが0.6Hzの周辺で気象庁の定義するFFTフィルターの特性を正しく近似できず、利得を下回ったことが主たる原因と考えられる。
図16の横軸は震央距離であり、100km以上の遠地地震で卓越周波数が0.6HzになるとIIRフィルターの近似誤差がマイナス側に偏った震度誤差として顕在化したことが示されている。
図17の横軸は計測震度であり、図15でマイナス側に偏った震度誤差分布は広く分散している。
図18の横軸はマグニチュードであり、図15でマイナス側に偏った震度誤差分布はM5以上にまとまっている。
前述のとおり、本発明の実施形態と特許文献1に開示された技術を用いたIIRフィルター特性の差は図9に示すようにわずかであるように見えるが、図11乃至図14と図15乃至図18を対比すれば、本発明の実施の形態に係るリアルタイム震度計測装置1の震度測定精度が大幅に向上していることが確認できる。
以上説明したとおり、計測震度を求めるときに用いられる気象庁のFFTフィルターを近似するIIRフィルター7は、Ga(z)、Gb1(z)、Gb2(z)、Gb3(z)、Gc(z)、及び利得gTの積で与えられる。以下に、fa1、fa2、ha、fb、γ、η、gT、fc、hcの9つの係数を定めるべく、最小二乗法を用いて行った解析について説明する。
G(z)=gTGa(z)Gb1(z)Gb2(z)Gb3(z)Gc(z) (45)
ここで、
Ga(z)={βa0a1z-1a2z-2}/{αa0a1z-1a2z-2}, (46)
βa0=1+ζa1,βa1=-2,βa2=1-ζa1,αa0=1+2haζa2a2 2,αa1=2ζa2 2-2,
αa2=1-2haζa2a2 2,ζa1=πfa1Δt,ζa2=πfa2Δt
Gb1(z)=Gb12(z)/Gb11(z)={ βb10b11z-1}/{αb10b11z-1}, (47)
Gb2(z)=Gb22(z)/Gb21(z)={ βb20b21z-1}/{αb20b21z-1}, (48)
Gb3(z)=Gb32(z)/Gb31(z)={ βb30b31z-1}/{αb30b31z-1}, (49)
βb10b+1,βb11b-1,αb10b+η,αb11b-η,βb20=γζb+1,
βb21=γζb-1,αb20b+γη,αb21b-γη,βb30b/γ+1,βb31b/γ-1,
αb30b+η/γ,αb31b-η/γ,ζb=πfbΔt
Gc(z)={βc0c1z-1c2z-2}/{αc0c1z-1c2z-2}, (50)
βc0c 2,βc1=2ζc 2,βc2c 2,αc0=1+2hcζcc 2,αc1=2ζc 2-2,
αc2=1-2hcζcc 2,ζc=πfcΔt
である。式(45)は、IIRフィルターのラプラス変換に対して、次式(51)を用いてラプラス変数を近似して得たものである。
s-1=(Δt/2)(1+z-1)/(1-z-1) (51)
ラプラス変数とzとの関係は、本来次式(52)で与えられる。
z=exp(sΔt) (52)
変数sと周波数fとの関係は、次式(53)で与えられる。
s=2πjf (53)
IIRフィルター7の周波数特性は、式(46)、(47)、(48)、(49)、及び(50)に式(52)および(53)を代入して得られる。IIRフィルター7の振幅を、
A(f)=|G(f )|,Aa(f)=|Ga(f)|,Ab(f)=|Gb(f)|,Ac(f)=|Gc(f)|
として、以下のように表わされる。
A(f)=gTAa(f)Ab(f)Ac(f), (54)
Aa(f)=CaP1/2a1)Q-1/2a2,ha2), (55)
Ab(f)=Cb(η)P1/2b)P-1/2b/η)P1/2bγ)P-1/2b/ηγ)P1/2b/γ)
×P-1/2bγ/η),(56)
Ac(f)=Cpζc 2Q-1/2c,hc) , (57)
ここで、
P(ζ)=Cpζ2+Cm, (58)
Q(ζ,h)=Cp 2ζ4+2CpCmH(h)ζ2+Cm 2, (59)
H(h)=2h2-1,f=2πfΔt,Ca=(1-cosφ)1/2,Cb(η)=η-3
Cp=1+cosφ,Cm=1-cosφ, (60)
である。
求めるべきIIRフィルター7の係数はfa1、fa2、ha、fb、γ、η、gT、fc、hcである。ただし、ここではγ=4、η=2として固定し、fa1、fa2、fb、fcに関しては、
ζa1=πfa1Δt、ζa2=πfa2Δt、ζb=πfbΔt、ζc=πfcΔtによって変換されたζa1、ζa2、ζb、ζcを求める係数とする。式(54)〜(59)で与えられるIIRフィルター7の特性はこれらの変数に関して非線形である。フィルター係数を求めるにあたって、先ず係数のそれぞれについて初期値を設定し、初期値からの微小な量の変動を考え、微小量の3次以上の項を無視して、フィルター特性を与える式を初期値の周りで微小量のべきで展開することにする。
xi=xi0+δxi
A(f)=A0(f)+Σi∂A(f)/∂xiδxi+1/2ΣiΣj2A(f)/∂xi∂xjδxiδxj (61)
ここで、xiは、ζa1、ζa2、ha、ζb、gT、ζc、hcのうちいずれかであり、xi0はxiの初期値、dxiは初期値からの微小な変動量、また、A0(f)は係数が初期値のときのA(f )の値である。気象庁の定義するFFTフィルター特性を広い周波数帯域で最もよく近似するIIRフィルター7の最適解は、以下の量のいずれかを最小にするフィルター係数の組み合わせで求められる。
ρNfw(f){|J(f)|-A(f)}2, (62)
ρGfw(f){log|J(f)|-logA(f)}2, (63)
ここで、Σfは近似の程度を評価する周波数帯域での総和、w(f)は総和をとるときの重みである。また、ρN及びρGは重み付き残差平方和である。最適解は次式を満たす。
∂ρN/∂xmf(-2)w(f){|J(f)|-A(f)}∂A/∂xm=0, (64)
∂ρG/∂xmf(-2)w(f){log|J(f)|-logA(f)}A-1(f)∂A/∂xm=0, (65)
式(64)では、フィルターのスペクトル振幅の差、式(65)では比を、評価する周波数帯域内で平均として小さくする係数が解として得られることになる。式(64)あるいは(65)に式(61)を代入し、∂xiの2次以上の項を無視すると以下のように整理される。
ΣiΣfw(f){∂A/∂xmΣi∂A(f)/∂xi-RN(f)∂2A(f)/∂xm∂xi}δxi
fw(f)RN(f)∂A/∂xm
RN(f)=|J(f)|-A0(f), (66)
ΣiΣfw(f)[A-2(f){1+RG(f)}∂A/∂xmΣi∂A(f)/∂xi-RG(f)A-1(f)∂2A(f)/∂xm∂xi]δxi
fw(f)RG(f)A-1(f)∂A/∂xm
RG(f )=log|J(f)|-logA0(f) , (67)
式(66)、及び式(67)は、以下のように行列を用いて表すことができる。
ΣiKmiδxi=Dm, (68)
ただし、式(66)を用いたときは、
Kmifw(f){∂A/∂xm∂A(f)/∂xi-RN(f)∂2A(f)/∂xm∂xi},
Dmfw(f)RN(f)∂A/∂xm, (69)
であり、式(67)を用いたときは、
Kmif w(f)[A-2(f){1+RG(f)}∂A/∂xm∂A(f)/∂xi-RG(f)A-1(f)∂2A(f)/∂xm∂xi],
Dmfw(f)RG(f)A-1(f)∂A/∂xm, (70)
である。実際に解を求めるときは、安定性を考慮して式(68)の代わりに以下の式を用いる。
ΣI(Kmi+kδmi)δxi=Dm, (71)
ここで、kは安定して解を得るための定数である。ひとつの初期値xi0に対して式(71)を用いて得られたδxiから、次の初期値xi0+δxiが設定される。この操作を繰り返して、すべてのδxiが十分に小さくなったときのxiをフィルター係数の解とする。
なお、P (ζ)、P(aζ)、Q (ζ,h)の一階及び二階の偏微分係数は以下のとおり表される。
∂P(ζ)/∂ζ=2Cpζ, (72)
∂P(aζ)/∂ζ=2Cpa2ζ, (73)
2P(ζ)/∂ζa1 2=2Cp, (74)
2P(aζ)/∂ζa1 2=2Cpa2, (75)
∂Q(ζ,h)/∂ζ=4{Cp 2ζ3+CpCmH(h)ζ}, (76)
∂Q(ζ,h)/∂h=8CpCmζ2h, (77)
2Q(ζ,h)/∂ζ2=4{3Cp 2ζ2+CpCmH(h)}, (78)
2Q(ζ,h)/∂h2=8CpCmζ2, (79)
2Q(ζ,h)/∂ζ∂h=16CpCmζh, (80)
これらを用いて、A (f)のζa1、ζa2、ha2、ζb、ζc、hcについての一階及び二階の偏微分係数は以下のとおり表される。
∂A(f)/∂ζa1=(1/2)gTAb(f)Ac(f)CaQ -1/2a2,ha2)P-1/2a1)∂P(ζa1)/∂ζa1
∂A(f)/∂ζa2=(-1/2)gTAb(f)Ac(f)CaP 1/2a1)Q-3/2a2,ha2)∂Q(ζa2,ha2)/∂ζa2
∂A(f)/∂ha2=(-1/2)gTAb(f)Ac(f)CaP 1/2a1)Q -3/2a2,ha2)∂Q(ζa2,ha2)/∂ha2
∂A(f)/∂ζb =gTAa(f)Ac(f)Ab(f)CpCmζbT(ζb,γ,η),
∂A(f)/∂ζc=gTAa(f)Ab(f)Cp{2ζcQ-1/2c,hc)-(1/2)ζc 2Q-3/2c,hc)∂Q(ζc,hc)/∂ζc},
∂A(f)/∂hc=(-1/2)gTAa(f)Ab(f)Cpζc 2Q-3/2c,hc)∂Q(ζc,hc)/∂hc
∂A(f)/∂gT=Aa(f)Ab(f)Ac(f),
2A(f)/∂ζa1 2 =(1/2)gTAb(f)Ac(f)CaQ-1/2a2,ha2)
P-3/2a1){(-1/2)(∂P(ζa1)/∂ζa1)2+P(ζa1)∂2P(ζa1)/∂ζa1 2 },
2A(f)/∂ζa2 2=(-1/2)gTAb(f)Ac(f)CaP 1/2a1)
Q-5/2a2,ha2){(-3/2)(∂Q(ζa2,ha2)/∂ζa2)2+Q(ζa2,ha2)∂2Q(ζa2,ha2)/∂ζa2 2},
2A(f)/∂ha2 2=(-1/2)gTAb(f)Ac(f)CaP1/2a1)
Q-5/2a2,ha2){(-3/2)(∂Q(ζa2,ha2)/∂ha2)2+Q(ζa2,ha2)∂2Q(ζa2,ha2)/∂ha2 2},
2A(f)/∂ζb 2=gTAa(f)Ac(f)Ab(f){Cp 2Cm 2ζb 2T 2b,γ,η)
+CpCmT b,γ,η)+CpCmζb∂T(ζb,γ,η)/∂ζb
2A(f)/∂ζc 2=gTAa(f)Ab(f)Cp[2Q-1/2c,hc)-2ζcQ-3/2c,hc)∂Q(ζc,hc)/∂ζc
-(1/2) ζc 2{Q-3/2c,hc)∂2Q(ζc,hc)/∂ζc 2-(3/2)Q-5/2c,hc)(∂Q(ζc,hc)/∂ζc)2}],
2A(f)/∂hc 2=(-1/2)gTAa(f)Ab(f)Cpζc 2
{Q-3/2c,hc)∂2Q(ζc,hc)/∂hc 2-(3/2)Q-5/2c,hc)(∂Q(ζc,hc)/∂hc)2},
2A(f)/∂ζa1∂ζa2=(-1/4)gTAb(f)Ac(f)Ca
{P-1/2a1)∂P(ζa1)/∂ζa1Q-3/2a2,ha2)∂Q(ζa2,ha2)/∂ζa2},
2A(f)/∂ζa1∂ha2=(-1/4)gTAb(f)Ac(f)Ca
{P-1/2a1)∂P(ζa1)/∂ζa1Q-3/2a2,ha2)∂Q(ζa2,ha2)/∂ha2},
2A(f)/∂ζa1∂ζb=(1/2)gTAc(f)CaQ-1/2a2,ha2)P-1/2a1)∂P(ζa1)/∂ζa1
×Ab(f)CpCmzbT(ζb,γ,η),
2A(f)/∂ζa1∂ζc=(1/2)gTAb(f)CaQ-1/2a2,ha2)P-1/2a1)∂P(ζa1)/∂ζa1
×Cp{2ζcQ-1/2c,hc)-(1/2)ζc 2Q-3/2c,hc)∂Q(ζc,hc)/∂ζ},
2A(f)/∂ζa1∂hc=(1/2)gTAb(f)CaQ-1/2a2,ha2)P-1/2a1)∂P(ζa1)/∂ζa1
×{(-1/2)Cpζc 2Q-3/2c,hc)∂Q(ζc,hc)/∂hc},
2A(f)/∂ζa2∂ha2=(-1/2)gTAb(f)Ac(f)CaP1/2a1)
×{Q-3/2a2,ha2)∂2Q(ζa2,ha2)/∂ζa2∂ha2
- (3/2)Q-5/2a2,ha2)∂Q(ζa2,ha2)/∂ζa2∂Q(ζa2,ha2)/∂ha2},
2A(f)/∂ζa2∂ζb=(-1/2)gTAb(f)Ac(f)CaP1/2a1)
×Q-3/2a2,ha2)∂Q(ζa2,ha2)/∂ζa2CpCmζbT(ζb,γ,η),
2A(f)/∂ζa2∂ζc=(-1/2)gTAb(f)CaP1/2a1)Q-3/2a2,ha2)∂Q(ζa2,ha2)/∂ζa2
×Cp{2ζcQ -1/2c,hc)-(1/2) ζc 2Q-3/2c,hc)∂Q(ζc,hc)/∂ζc},
2A(f)/∂ζa2∂hc=(-1/2)gTAb(f)CaP1/2a1)Q-3/2a2,ha2)∂Q(ζa2,ha2)/∂ζa2
×Cpζc 2Q-3/2c,hc)∂Q(ζc,hc)/∂hc
2A(f)/∂ha2∂ζb=(-1/2)gTAb(f)Ac(f)CaP1/2a1)
×Q-3/2a2,ha2)∂Q(ζa2,ha2)/∂ha2CpCmζbT(ζb,γ, η),
2A(f)/∂ha2∂ζc=(-1/2)gTAb(f)CaP 1/2a1)Q-3/2a2,ha2)∂Q(ζa2,ha2)/∂ha2
×Cp{2ζcQ-1/2c,hc)-(1/2) ζc 2Q-3/2c,hc)∂Q(ζc,hc)/∂ζc},
2A(f)/∂ha2∂hc=(-1/2)gTAb(f)CaP1/2a1)Q-3/2a2,ha2)∂Q(ζa2,ha2)/∂ha2
×Cpζc 2Q-3/2c,hc)∂Q(ζc,hc)/∂hc
2A(f)/∂ζb∂ζc=gTAa(f)Ab(f)CpCmζbT(ζb,γ, η)
×Cp{2ζcQ-1/2c,hc)-(1/2)ζc 2Q-3/2c,hc)∂Q(ζc,hc)/∂ζc},
2A(f)/∂ζb∂hc=gTAa(f)Ab(f)CpCmζbT(ζb,γ,η)
×(-1/2)Cpζc 2Q-3/2c,hc)∂Q(ζc,hc)/∂hc
2A(f)/∂ζc∂hc=gTAa(f)Ab(f)Cp[-ζcQ-3/2c,hc)∂Q(ζc,hc)/∂hc
-(1/2)ζc 2Q-3/2c,hc)∂2Q(ζc,hc)/∂ζc∂hc
+(3/4)ζc 2Q-5/2c,hc)∂Q(ζc,hc)/∂ζc∂Q(ζc,hc)/∂hc]
ここで、
T(ζb,γ,η)=(1-η-2)P-1b)P-1b/η)+(γ2-2η-2)P -1(γζb)P -1b/γη)
+(γ-22η-2)P-1b/γ)P-1(γζb/η),
∂T(ζb,γ,η)/∂ζb=-(1-η-2)P -2b)P-2b/η)
{P(ζb/η)∂P(ζb)/∂ζb+P(ζb)∂P(ζb/η)/∂ζb}
-(γ2-2η-2)P-2(γζb)P-2b/γη){P(ζb/γη)∂P(γζb)/∂ζb+P(γζb)∂P(ζb/γη)/∂ζb}
-(γ-2-γη-2)P -2b/γ)P -2(γζb/η){P(γζb/η)∂P(ζb/γ)/∂ζb+P(ζb/γ)∂P(γζb/η)/∂ζb},
である。
以上、説明した本実施の形態に係るリアルタイム震度計測装置1は、0.3<f≦1Hzの周波数帯域において、極大値を取る気象庁定義のFFTフィルターの特性を、遮断周波数と減衰定数に自由度を有する2次HPFと遮断周波数に自由度を有する1次HPFを比として組み合わせた第1のIIRフィルター71を用いることで十分高精度な近似を得ることが可能となった。しかも、IIRフィルター7による出力を震度演算部8によって処理することで、リアルタイムの震度計算が可能であるので、地震直後から出力部4によって震度情報を提供することが可能であり、時間遅れの小さな防災活動が可能である。頻発する地震に対する安全対策を講じる上で顕著な効果を発揮し得るのである。
本発明の請求項1乃至請求項4に記載された発明は、地震防災措置を講ずる必要がある施設や地域において有効であると同時に、地震速報をはじめとして緊急地震速報を報知する機関や施設においても利用可能である。
1…リアルタイム震度計測装置 2…演算部 3…計時部 3S1…時間信号 3S2…時刻信号 4…出力部 5…加速度計 5S…加速度波形信号 6…A/D変換器 6S…加速度信号 7…IIRフィルター 7S…重み付け加速度信号 8…震度演算部 8S…震度信号 71…第1のIIRフィルター 72…第2のIIRフィルター 73…第3のIIRフィルター

Claims (1)

  1. 地震による加速度を検出する加速度検出手段と、
    この加速度検出手段から出力されるアナログ信号を第1のデジタル信号に変換するA/D変換器と、
    このA/D変換器から出力される前記第1のデジタル信号をフィルター処理して第2のデジタル信号を出力するIIR(Infinite Impulse Response:無限インパルス応答)フィルターと、
    このIIRフィルターから出力される第2のデジタル信号に基づいてリアルタイム震度を計算する震度演算部と、
    このリアルタイム震度を出力する出力部と、を有するリアルタイム震度計測装置において、
    前記IIRフィルターは、ゲインピークを含む周波数帯域において、遮断周波数と減衰定数の2つの自由度を有する2次ハイパスフィルター(HPF)と遮断周波数の1つの自由度を有する1次ハイパスフィルター(HPF)を組み合わせて構成される第1のIIRフィルターを備え
    前記ゲインピークを含む周波数(以下、周波数をfで表わす)帯域は0.3Hz<f≦1Hzの範囲を含む帯域であって、
    前記IIRフィルターは、前記ゲインピークを含む周波数帯域以下の低周波数帯域においては、前記第1のIIRフィルターを用い、前記ゲインピークを含む周波数帯域よりも高い1Hz<f≦3Hzを含む中周波数帯域においては、遮断周波数の1つの自由度を有する3つの1次フィルターを組み合わせて周波数の平方根の逆数に比例する第2のIIRフィルターを備え、前記中周波数帯域よりも高い3Hz<fを含む高周波数帯域においては、遮断周波数と減衰定数の2つの自由度を有する2次ローパスフィルター(LPF)を第3のIIRフィルターとして備えていることを特徴とするリアルタイム震度計測装置。
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