JP5818160B2 - 燃料電池システム - Google Patents
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Description
間欠運転が行われると、酸化ガスの供給も間欠的となるため酸化ガスが欠乏した状態(以下、「酸化ガス欠乏状態」という。)が生じるが、このような状態で、例えばアクセルの踏み込みなどが行われ、燃料電池に対する電力要求が生じると、この要求に応じて燃料電池は発電を行うことになる。この際、燃料電池は、耐久性向上等の観点から、予め設定された高電位回避基準電圧以下となるように出力電圧が設定されるが(例えば、特許文献1参照)、このような設定が行われることにより、余剰電力が生ずる。この余剰電力は、負荷(バッテリや補機類など)によって吸収される。
燃料電池を構成する各セル4は、電解質膜4aと、この電解質膜4aを挟持するアノード電極及びカソード電極を備えている。水素(H2)を含む燃料ガスはアノードに供給され、酸素(O2)を含む酸化ガスはカソードに供給される。アノードへ燃料ガスが供給されると下記式(A)の反応が進行して水素が水素イオンと電子に乖離する。アノードで生成した水素イオンは電解質膜4aを透過してカソードへ移動する一方、電子はアノードから外部回路を通ってカソードへ移動する。
アノード: H2 →2H+ + 2e- ・・・(A)
カソード: 2H+ + 2e- + (1/2)O2 → H2O ・・・(B)
カソード: 2H+ + 2e- → H2 ・・・(C)
よって、このような場合には、アノード側の水素濃度を高めるために、水素を含む燃料ガスの供給を増やすことが考えられるが、燃料ガスの供給が過大となると、燃料電池を構成する電解質膜がドライアップしてしまう、という問題が生じる。
(1)実施形態の構成
図1は本実施形態に係る燃料電池システム1の要部構成を示す図である。本実施形態では、燃料電池自動車(FCHV;Fuel Cell Hybrid Vehicle)、電気自動車、ハイブリッド自動車などの車両に搭載される燃料電池システムを想定するが、車両のみならず各種移動体(例えば、二輪車や船舶、飛行機、ロボットなど)にも適用可能である。さらに、移動体に搭載された燃料電池システムに限らず、定置型の燃料電池システムや携帯型の燃料電池システムにも適用可能である。
スクリーン印刷などで形成した膜・電極接合体を備えている。燃料電池40は、複数の単セルを直列に積層したスタック構造を有している。
酸化ガス供給源80は、例えばエアコンプレッサやエアコンプレッサを駆動するモータ、インバータなどから構成され、該モータの回転数や酸化ガス調整弁81などを調整することにより、燃料電池40に供給する酸化ガス量を調整する。
この制御装置10には、例えば水素濃度計60によって検知される燃料電池40の水素濃度や、電圧センサ140によって検知される燃料電池40のFC電圧、電流センサ150によって検知される燃料電池40のFC電流など、種々のセンサ信号が入力される。この制御装置10は、入力される燃料電池40のFC電圧やFC電流などを利用して燃料電池40のインピーダンスを計測する機能を備えている。
制御装置10は、水素濃度計60から測定水素濃度を受け取ると、メモリ10aに格納されている水素濃度閾値と比較する。ここで、水素濃度閾値は、燃料電池40が正常な状態を保つために必要な水素濃度の下限値を示すものであり、予め実験などにより求められる。制御装置10は、水素濃度計60から受け取った測定水素濃度が、水素濃度閾値を下回っていると判断すると、以下に示すインピーダンス測定を行う。なお、水素濃度閾値を固定値とする代わりに、燃料電池40の温度と水素濃度閾値との対応関係を示すマップをメモリ10aに格納し、温度センサ(図示略)などによって検知される燃料電池40の温度から、水素濃度閾値を特定するようにしても良い。
制御装置(インピーダンス測定手段)10は、電圧センサ140によって検出される燃料電池40のFC電圧及び電流センサ150によって検出される燃料電池40のFC電流を所定のサンプリングレートでサンプリングし、フーリエ変換処理(FFT演算処理やDFT演算処理)などを施す。制御装置(インピーダンス測定手段)10は、フーリエ変換処理後のFC電圧信号をフーリエ変換処理後のFC電流信号で除するなどして燃料電池40の計測インピーダンスを求める。
制御装置10は、計測インピーダンスを求めると、メモリ10bに格納されている水素補充流量マップ(補充流量決定情報)を参照する。図2は、水素補充流量マップを示す図であり、横軸に計測インピーダンス、縦軸に水素補充流量を示す。この水素補充流量マップは、計測インピーダンスと水素補充流量との関係を示すものであり、計測インピーダンスから、最適な水素濃度を保持するために必要な水素補充流量を決定するために利用される。
制御装置(補充流量決定手段、調整手段)10は、この水素補充流量マップを参照することで、計測インピーダンスに対応する水素補充流量を求めると、この水素補充流量が得られるように燃料ガス調整弁(調整手段)71等を調整する。なお、水素補充流量マップを固定的なものとするのではなく、例えば燃料電池40の温度ごとに、水素補充量マップを作成・保持するようにしても良い。かかる構成によれば、より精緻な水素濃度の制御が可能となる。
図3は、間欠運転時に制御装置10によって実行される水素濃度制御処理を示すフローチャートである。
制御装置10は、燃料電池40に対する燃料ガスや酸化ガスの供給・停止が一定期間、間欠的に繰り返されることにより、例えば通常運転モード(または停止モード)から間欠運転モードに移行したと判断すると、図3に示す処理フローを開始する。ここで、間欠運転モードへの移行を検知する方法は、上記に限る趣旨ではなく、システム設計などに応じて適宜決定すればよい。
上述した本実施形態では、燃料電池40の間欠運転時を想定して説明したが、例えば燃料電池40の間欠運転時であって、かつ、燃料電池40について高電位回避制御が行われる場合に、水素濃度制御処理(図3参照)を実行するようにしても良い。ここで、高電位回避制御とは、背景技術の項において説明したように、燃料電池の出力電圧が、予め設定された高電位回避基準電圧以下となるように燃料電池40の出力電圧を制御することをいう。このように、水素濃度制御処理の実行タイミングを制限することで、水素濃度を適正に保つための制御をより簡易に実現することが可能となる。なお、燃料電池40の水素濃度を適正に保つという点では、燃料電池40の間欠運転時に限らず、通常運転時などに水素濃度制御処理(図3参照)を実行しても良い。
Claims (4)
- 燃料電池の間欠運転時に、前記燃料電池の水素濃度を検知する水素濃度センサと、
前記水素濃度センサによって検知される水素濃度が、設定された水素濃度閾値を下回っている場合に、前記燃料電池の出力電流、出力電圧に基づき前記燃料電池のインピーダンスを測定するインピーダンス測定手段と、
前記インピーダンス測定手段によって測定されるインピーダンスから、前記燃料電池に補充すべき水素を含む燃料ガスの流量を決定する補充流量決定手段と、
前記補充流量決定手段によって決定される前記補充流量に基づき、前記燃料電池への前記燃料ガスの供給を調整する調整手段と、を備えた燃料電池システム。 - 前記水素濃度センサは、前記燃料電池を構成する複数のセルのうち、水素濃度が最も低下する総+側の一番端のセルに設置される、請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記水素濃度センサは、前記燃料電池の間欠運転時であって、かつ、前記燃料電池について高電位回避制御が行われている場合に、前記燃料電池の水素濃度を検知する、請求項1または2に記載の燃料電池システム。
- 前記燃料電池のインピーダンスと、前記燃料電池に補充すべき水素を含む燃料ガスの流量との対応関係をあらわす補充流量決定情報を記憶した記憶手段をさらに備え、
前記調整手段は、前記インピーダンス測定手段によって測定されるインピーダンスと、前記記憶手段に記憶された前記補充流量決定情報とを利用して前記燃料ガスの流量を決定する、請求項1〜3のいずれか1の請求項に記載の燃料電池システム。
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