以下、実施形態に係る撚り合わせ電線保持部材10及び撚り合わせ電線の製造方法について説明する(図1、図16参照)。撚り合わせ電線保持部材10は、複数の電線12の撚り合わせにおいて用いられ、複数の電線12を所定の配列で並んだ状態に維持するための部材である。
概略的には、複数の電線12の撚り合わせは、次のようにして行われる。まず、複数の電線12の一端部を保持すると共に、延在方向他端側の部分を所定の配列で且つ鉛直方向に沿って延在する形態で支持する。そして、複数の電線12の一端部と他端側の部分とを相対回転させることにより、複数の電線12が撚り合わされて撚り合わせ電線100が得られる。
<電線>
ここで、撚り合わせ対象となる複数の電線12について説明しておく。撚り合わせの対象となる電線12は、被覆電線の被覆が除去された両端部に端子14が圧着された端子付電線である。この電線12は、自動の切圧機により、連続供給される被覆電線を調尺及び切断し、端部の被覆を剥いで、露出された芯線に端子を圧着して製造される。
そして、電線12は、自動車等に配索されるワイヤーハーネスの一部を構成する電線として用いられる。ここで、同じ経路に配索される複数の電線12は、ワイヤーハーネスの組立工程の前に、各端部の端子(以下、単に端部と言うことがある)がそれぞれコネクタ16に挿入されると共に結束されて小単位の仮結束として扱われることがある。また、これらの仮結束は、複数の電線12が撚り合わされた状態で両端部がコネクタ16に接続されて形成されていることもある。ここでは、電線12が撚り合わされて形成された撚り合わせ電線100(仮結束)を製造する際に、撚り合わせ電線保持部材10を用いる。
<撚り合わせ電線保持部材>
撚り合わせ電線保持部材10は、電線配列支持部20と、電線抜止め部40と、電線規制部60とを備えている。
<電線配列支持部>
電線配列支持部20は、複数の電線12の撚り合わせにおいて、複数の電線12を所定の配列で支持する部分である(図2〜図4参照)。この電線配列支持部20は、電線挿通支持部22と、端末収容支持部32とを備えている。
電線挿通支持部22は、複数の電線12の撚り合わせにおいて、複数の電線12の中途部を挿通支持する部分である。より具体的には、電線挿通支持部22は、複数の電線12をそれぞれ中心軸方向に移動可能且つ中心軸周りに回転可能な形態で並列状に挿通可能な複数の挿通孔部を含む形状に形成されている。この電線挿通支持部22は、全体として扁平形状に形成され、本体部24と、張出部26と、連結部28とを有している。
本体部24は、柱状(ここでは、中心軸方向に沿った角が面取りされた角柱状)に形成された部分である。この本体部24は、中心軸に沿って貫通する複数の挿通孔部25を有している。
複数の挿通孔部25は、撚り合わせ対象となる電線12の本数と同数形成されている。また、複数の挿通孔部25は、所定の配列(位置関係)で設けられている。より具体的には、複数の挿通孔部25は、本体部24の中心軸を中心とする異なる半径の仮想円上にそれぞれ複数形成されている。ここでは、複数の挿通孔部25は、本体部24の中心軸上を通る1つの挿通孔部25を中心として、5行5列に整列して25個形成されている。図2では、複数の挿通孔部25は、中心軸同士の間隔が行方向より列方向で大きく設定された例を示している。また、複数の挿通孔部25は、断面視円形状に形成されている。さらに、複数の挿通孔部25は、貫通方向一端側部分が一端部に向けて徐々に拡がる形状(ここでは拡径するテーパー形状)に形成されている。
もっとも、複数の挿通孔部25は、本体部24の中心軸周りに分散して形成されていればよい。例えば、複数の挿通孔部25は、本体部24の中心軸上に1つ設けられると共に、該中心軸を中心とする1つ又は半径が異なる複数の仮想円上に周方向に等間隔で設けられていてもよい。
張出部26は、後述する電線抜止め部40が嵌合する部分である。また、張出部26は、複数の電線12の撚り合わせにおいて、後述する電線撚り合わせ装置80の移動電線挿通支持部86に支持される部分である。この張出部26は、本体部24から外周側に張り出す(挿通孔部25の貫通方向における他の部位よりも外周側に張り出す)形状に形成されている。ここでは、張出部26は、本体部24のうち複数の挿通孔部25の貫通方向一端側部分から外周側に張り出している。より具体的には、張出部26は、本体部24の中心軸に直交する全方向において外周側に張り出し、該中心軸に沿った角が面取りされた矩形の外周形状に形成されている。
また、張出部26は、外周部のうちの一側縁部における挿通孔部25の貫通方向他端側で、該一側縁部に沿って延在する切り欠かれた形状に形成された凹条部27を有している。この凹条部27は、張出部26の外周部に対して凹んでおり、且つ、本体部24の外周部より外周側に位置する。凹条部27は、後述する電線抜止め部40の突出部53が嵌合する部分である。
また、張出部26は、外周部のうちの凹条部27の反対側の側縁部に、側方に開口する係止凹部29を有している。この係止凹部29は、後述する電線抜止め部40の嵌合維持部54が係止する部分である。
連結部28は、電線挿通支持部22と端末収容支持部32とを連結するための部分である。ここでは、連結部28は、磁石により構成されている。すなわち、後述する端末収容支持部32にも磁石で構成される連結部38が設けられており、連結部28は、端末収容支持部32の連結部38に対して吸着可能に構成されている。また、連結部28は、本体部24の中心軸方向他端部のうちの、4隅に設けられている。より具体的には、連結部28のうちの隣り合う2つが表面にS極を露出させ、他の2つが表面にN極を露出させる形態で埋め込まれている。
端末収容支持部32は、複数の電線12の撚り合わせにおいて、複数の電線12の他端部を収容する部分である。また、端末収容支持部32は、電線挿通支持部22に対して複数の挿通孔部25の貫通方向他端部に着脱可能に連結されている。この端末収容支持部32は、本体部34と、張出部36と、連結部38とを有している。
本体部34は、柱状(ここでは、中心軸方向に沿った角が面取りされた角柱状)に形成された部分である。この本体部34は、中心軸に直交する断面視において、電線挿通支持部22の本体部24と略同形状に形成されている。また、本体部34は、中心軸に沿って貫通する複数の端末収容孔部35を有している。
複数の端末収容孔部35は、複数の電線12の他端部を収容可能な大きさに形成されている。ここでは、端末収容孔部35は、挿通孔部25と同数、略同位置及び中心軸に直交する断面視において同形状に形成されている。また、複数の端末収容孔部35は、貫通方向他端側部分が他端部に向けて徐々に拡がる形状(ここでは拡径するテーパー形状)に形成されている。
張出部36は、複数の電線12の撚り合わせにおいて、後述する電線撚り合わせ装置80の基部92に支持される部分である。この張出部36は、本体部34から外周側に張り出す(端末収容孔部35の貫通方向における他の部位よりも外周側に張り出す)形状に形成されている。ここでは、張出部36は、本体部34の中心軸方向中途部から外周側に張り出している。また、張出部36は、本体部34の中心軸に直交する断面形状が電線挿通支持部22の張出部26と略同形状に形成されている。
連結部38は、電線挿通支持部22と端末収容支持部32とを連結するための部分である。ここでは、連結部38は、電線挿通支持部22に設けられた磁石で構成される連結部28に対して吸着可能な磁石で構成されている。また、連結部38は、連結部28が設けられる位置関係に対応して、本体部34の中心軸方向他端部のうちの4隅に設けられている。すなわち、連結部28及び連結部38は、電線挿通支持部22と端末収容支持部32とを、複数の挿通孔部25と複数の端末収容孔部35とが連通する形態で連結可能な対応する位置関係で設けられている。より具体的には、連結部38のうちの隣り合う2つが表面にN極を露出させ、他の2つが表面にS極を露出させる形態で埋め込まれている。すなわち、電線挿通支持部22と端末収容支持部32との連結形態で、連結部28のうちN極(S極)が露出したものと、連結部38のうちS極(N極)が露出したものが対向するように設定されている。
<電線抜止め部>
電線抜止め部40は、電線挿通支持部22に挿通支持された複数の電線12を、電線挿通支持部22に挿通支持されたままの状態に維持するための部分である(図5〜図7参照)。電線抜止め部40は、電線挿通支持部22に対して着脱可能に取り付けられる。この電線抜止め部40は、全体として略直方体形状に形成され、複数の抜止め延出部41と、嵌合凹部51と、規制部支持部56とを含む。
複数の抜止め延出部41は、電線挿通支持部22の複数の挿通孔部25に挿入される複数の電線12を抜止め可能に構成された部分である。この複数の抜止め延出部41は、電線挿通支持部22の複数の挿通孔部25の貫通方向一端部に配設されると共に複数の挿通孔部25に対応する間隔をあけて一方向に沿って並列状に延出する形状に形成されている。複数の抜止め延出部41は、複数の挿入ガイド部42と、複数の接触部46とを有している。
複数の挿入ガイド部42は、複数の挿通孔部25に対応する間隔をあけて一方向に沿って並列状に延出する部分である。より具体的には、複数の挿入ガイド部42は、電線12の外部形状(端子14の幅寸法又は高さ寸法、被覆部の直径等)と同じかそれより大きい間隔をあけて設けられている。なお、複数の挿入ガイド部42の間隔は、位置(対応する挿通孔部25の位置)によって、他の位置の間隔より大きく(又は小さく)設定されていてもよい。図5では、複数の挿入ガイド部42のうちのいくつかの延在方向一部分で幅寸法が小さく設定されることにより、隣り合う挿入ガイド部42の間隔を他の位置より大きく設定している例を示している。この間隔は、撚り合わせ対象となる電線12の種類(端子14の種類によっても変わる)に応じて決定されるとよい。
複数の挿入ガイド部42のうち、両端に位置するものは一側部のみに直線状に延在する(段差があってもよい)ガイド縁部を有し、間に位置するものは両側部に直線状に延在するガイド縁部を有している。また、複数の挿入ガイド部42のうち、隙間を挟んだ少なくとも一方の部位が他の部位より上面から凹んだ形状に形成されている。ここでは、複数の挿入ガイド部42のうち、間に位置するものが幅方向全体的に凹んでいると共に、一方の端部に位置するものの幅方向他方側部分が凹んでいる。この凹んだ部分は、後述する接触部46を配設する部分である。
また、複数の挿入ガイド部42のガイド縁部は、電線12が挿入される側(上面側)で延出方向に沿った角が面取りされている。これにより、引掛りが抑制され、複数の挿入ガイド部42の隙間に電線12を挿入しやすくなっている。
複数の接触部46は、複数の挿入ガイド部42の隙間を通じて複数の挿通孔部25内に挿入される複数の電線12を、挿通孔部25の貫通方向において移動し難くするための部分である。この複数の接触部46は、隣り合う複数の挿入ガイド部42の間に張り出して複数の挿通孔部25に挿入される複数の電線12の外周部に対して接触状態を維持可能に形成されている。ここでは、複数の接触部46は、複数の挿入ガイド部42の一側方にのみ張り出している。
また、ここでは、接触部46は、隣の挿入ガイド部との間に電線12の外部形状より小さい(ここでは僅かに小さい)間隔をあけて配設された弾性部材により形成されている。より具体的には、接触部46は、細長板状のゴム部材(ここではニトリルゴム)により形成されている。この複数の接触部46は、複数の挿入ガイド部42のうちの凹んだ部分に、接着剤又は粘着テープ等により固定されている。
そして、複数の接触部46は、複数の挿入ガイド部42の隙間を通じて複数の挿通孔部25内に挿入される複数の電線12の被覆部の外周部に接触する。より具体的には、接触部46は、隣の挿入ガイド部42との間の電線12の外部形状より小さい隙間に挿入される電線12により、主として隣の挿入ガイド部42から離間する向きに圧縮弾性変形される。これにより、接触部46は、元の形状に復帰しようとする弾性力によって、電線12を隣の挿入ガイド部42に押し付ける。すなわち、電線12は、接触部46とその隣の挿入ガイド部42との間に挟み込まれる。これによって、電線12は、挿通孔部25の貫通方向に移動し難くなる。
嵌合凹部51は、電線挿通支持部22に対して嵌合するための部分である。この嵌合凹部51は、複数の挿入ガイド部42の先端側で開口し、電線挿通支持部22の張出部26を内側に配設した状態で張出部26に対して複数の挿通孔部25の貫通方向に係止可能に形成されている。そして、電線挿通支持部22は、嵌合凹部51に対して、本体部24の中心軸方向に直交する方向(ここでは凹条部27の延在方向)に沿って挿入される。より具体的には、嵌合凹部51は、張出部26を収容する張出部収容部52と、本体部24のうち中心軸方向において張出部26より他端側の部位及び端末収容支持部32の本体部34のうち中心軸方向における一端側部分を収容する本体部収容部55とを含む。
張出部収容部52は、張出部26のうち、本体部24の中心軸に直交する方向において少なくとも複数の挿通孔部25が形成された範囲を含む部位を配設可能な大きさに形成されている。ここでは、張出部収容部52は、張出部26のうちの一端側部分が外側に突出すると共に、複数の挿通孔部25が形成された範囲及びその側方部分を含む部位を配設可能に形成されている。また、張出部収容部52は、内側に配設される張出部26の一部分と同じかそれより僅かに大きいサイズに設定されている。そして、張出部収容部52は、本体部24の中心軸に直交する方向のうちの開口方向以外の3方において、張出部26の外周面に対して内壁面が接触することによって移動を規制する。
また、張出部収容部52の内側に配設された張出部26の本体部24、34の中心軸方向一端側への移動は、挿入ガイド部42の下面により規制される。すなわち、挿入ガイド部42が、張出部26に対して本体部24,34の中心軸方向一端側から係止する。
また、張出部収容部52は、その内部空間に突出して、内側に挿入される張出部26の凹条部27に嵌合する突出部53を有している。より具体的には、突出部53は、張出部収容部52の奥行方向に沿った壁部のうちの複数の挿入ガイド部42とは反対側の部位から、内側に突出するように配設されている。この突出部53は、中心軸を前記壁部に略直交させる姿勢で配設された柱状の部材で構成されている。
また、張出部収容部52は、電線抜止め部40が電線挿通支持部22に嵌合した状態を維持する嵌合維持部54を有している。この嵌合維持部54は、電線挿通支持部22が嵌合凹部51に嵌合した状態で、電線挿通支持部22の係止凹部29に係止するように形成されている。より具体的には、嵌合維持部54は、張出部収容部52の内部空間に突出するように配設されている。ここでは、嵌合維持部54としてボールプランジャが採用されている。すなわち、嵌合維持部54は、張出部収容部52内に出退可能に配設され、電線挿通支持部22が嵌合凹部51に嵌合した状態で、嵌合維持部54が係止凹部29内に突出している。
本体部収容部55は、内側に配設される本体部24の中心軸に直交する断面視において、張出部収容部52より小さいサイズに形成されている。そして、張出部収容部52と本体部収容部55との大きさの違いによる段差により、張出部26が本体部24,34の中心軸方向他端側への移動を規制される。すなわち、前記段差部分が、張出部26に対して本体部24、34の中心軸方向他端側から係止する。
また、本体部収容部55は、本体部24、34のうち中心軸に直交する方向において少なくとも複数の挿通孔部25及び端末収容孔部35が形成された範囲を含む部位を配設可能な大きさに形成されている。ここでは、本体部収容部55は、本体部24、34の中心軸に直交する方向において全体を収容可能に形成されている。より具体的には、本体部収容部55は、内側に配設される本体部24及び本体部34の一端側部分と同じかそれより僅かに大きいサイズに設定されている。そして、本体部収容部55は、本体部24の中心軸に直交する方向のうちの開口方向以外の3方において、本体部24、34の外周面に対して内壁面が接触することによって移動を規制する。
規制部支持部56は、後述する電線規制部60の交差ガイド部62を支持する部分である。この規制部支持部56は、複数の挿入ガイド部42の延在方向に直交する方向に電線規制部60を挿入して配設可能に形成されている。より具体的には、規制部支持部56は、電線抜止め部40の複数の挿入ガイド部42のうちの両端のものの上に一対設けられている。一方の規制部支持部56は、複数の交差ガイド部62の延在方向における電線規制部60の中途部を支持する部分である。また、一方の規制部支持部56は、電線規制部60を支持位置に配設するガイドをする部分でもある。この一方の規制部支持部56は、挿入ガイド部42の延在方向に直交する方向で且つ複数の挿入ガイド部42が隣り合う方向に沿って貫通する孔部を形成している。ここでは、貫通孔部の大きさは、複数の交差ガイド部62の延在方向に直交する断面視における電線規制部60の外部形状と同じかそれより僅かに大きい大きさに設定されている。他方の規制部支持部56は、複数の交差ガイド部62の先端部を支持する部分である。この他方の規制部支持部56は、複数の交差ガイド部62の先端部を配設可能で、一方の規制部支持部56側に向けて開口する凹部を形成している。この凹部の大きさは、複数の交差ガイド部62の先端部の外部形状と同じかそれより僅かに大きい大きさに設定されている。好ましくは、各規制部支持部56の貫通孔部又は凹部は、電線規制部60をスムーズに挿抜可能で、且つ、複数の挿入ガイド部42が隣り合う方向に直交する方向においてなるべくがたつきなく位置決め可能な大きさに設定されているとよい。
そして、一方の規制部支持部56の貫通孔部を通じて電線規制部60を挿入すると、該一方の規制部支持部56によって複数の交差ガイド部62が複数の挿入ガイド部42に直交する向きにガイドされる。複数の交差ガイド部62の先端部が他方の規制部支持部56の凹部に挿入されると、電線規制部60が複数の挿入ガイド部42に対して直交して延在する姿勢で重なって支持される。この状態で、電線挿通支持部22の挿通孔部25の貫通方向から見て、各挿入ガイド部42及び各交差ガイド部62により、各挿通孔部25に対応する(重複する)位置に該挿通孔部25より小さいガイド用の貫通孔部が形成される。
<電線規制部>
電線規制部60は、複数の挿入ガイド部42の間を通じて挿通孔部25に挿入される電線12をガイドする部分である(図5〜図6参照)。電線規制部60は、電線挿通支持部22の複数の挿通孔部25に対応する間隔をあけて一方向に沿って並列状に延出する複数の交差ガイド部62を有する。この電線規制部60は、電線抜止め部40に対して、複数の交差ガイド部62が複数の挿入ガイド部42に直交して重なる姿勢で着脱可能に取り付けられている。より具体的には、電線規制部60は、上記複数の交差ガイド部62と、基部64と、取手部とを有している。
複数の交差ガイド部62は、長尺板状に形成され、長尺方向を揃えて仮想平面に沿って扁平となる姿勢で並列状に設けられている。この複数の交差ガイド部62は、基端部が基部64によって支持されている。基部64は、複数の交差ガイド部62の基端部に連続する板状に形成され、該複数の交差ガイド部62を並列状に支持している部分である。
複数の交差ガイド部62は、電線12の中心軸に直交する断面形状(端子14の幅寸法又は高さ寸法、被覆部の直径等)と同じかそれより大きい(又は小さい)間隔をあけて設けられている。なお、複数の交差ガイド部62の間隔は、位置(対応する挿通孔部25の位置)によって、他の位置の間隔より小さく設定されていてもよい。図5では、複数の交差ガイド部62のうちのいくつかの延在方向一部分で幅寸法が大きく設定されることにより、隣り合う交差ガイド部62の間隔を他の位置より小さく設定している例を示している。この間隔は、撚り合わせ対象となる電線12の種類(端子の種類によっても変わる)に応じて決定されるとよい。
複数の交差ガイド部62のうち、両端に位置するものは一側部のみに直線所に延在する(段差があってもよい)ガイド縁部を有し、間に位置するものは、両側部に直線状に延在するガイド縁部を有している。また、複数の交差ガイド部62のガイド縁部は、電線12が挿入される側で延出方向に沿った角が面取りされている。これにより、引掛りが抑制され、複数の交差ガイド部62の隙間に電線12を挿入しやすくなっている。
取手部は、電線規制部60を電線抜止め部40に対して着脱する際に操作する部分である。この取手部は、第1取手部66と、第2取手部68とを有している。第1取手部66は、基部64の交差ガイド部62が延出する端部とは反対側の端部に連続して延出する板状の部位である。この第1取手部66は、複数の交差ガイド部62及び基部64と略同一平面上に延在する矩形状に形成されている。また、第1取手部66は、複数の交差ガイド部62が隣り合う方向における基部64の中間部から延出している。第2取手部68は、基部64の交差ガイド部62が延出する端部とは反対側の端部に連続して延出する板状の部位である。この第2取手部68は、基部64に対して略直交する向きに屈曲され、複数の交差ガイド部62の延在方向に直交する押圧面を有している。また、第2取手部68は、複数の交差ガイド部62が隣り合う方向における第1取手部66に間隔をあけた両側から一対延出している。
そして、電線規制部60を電線抜止め部40に取り付ける際には、電線抜止め部40の先端部(複数の交差ガイド部62の先端部)を一方の規制部支持部56の貫通孔部に挿入する。この状態で、第2取手部68の押圧面を押して電線抜止め部40を、先端部が他方の規制部支持部56の凹部に配設されるまで挿入する。これにより、電線規制部60が電線抜止め部40に取り付けられる。電線規制部60を電線抜止め部40から取り外す際には、第1取手部66を引っ張って規制部支持部56から抜き出す。
<電線の保持作業>
次に、撚り合わせ電線保持部材10に複数の電線12を保持する作業について説明する(図8参照)。なお、電線規制部60が電線抜止め部40に取り付けられると共に、電線抜止め部40が電線挿通支持部22に取り付けられているものとする。また、ここでは、電線12を、コネクタ16及び撚り合わせ電線保持部材10に対して自動挿入装置75を用いて挿入するものとする。
まず、コネクタ16及び撚り合わせ電線保持部材10を支持基部70にセットする。より具体的には、挿入口をそれぞれ同方向に向ける姿勢で、コネクタ16及び撚り合わせ電線保持部材10を支持する(図8のS1)。そして、複数の電線12の一端部(一端側の端子14)をコネクタ16に挿入すると共に、複数の電線12の他端部(他端側の端子14)を撚り合わせ電線保持部材10の電線配列支持部20における複数の挿通孔部25及び端末収容孔部35にそれぞれ挿入する(図8のS2、図9参照)。
そして、コネクタ16に電線12の一端部を挿入すると、端子14がコネクタ16のキャビティ内に配設された相手側端子と接続される。この状態で、電線12は、一端部がコネクタ16のキャビティに嵌合して抜け落ちないようになっている。
また、撚り合わせ電線保持部材10に電線12の他端部を挿入する作業は、以下のようにして行われる。すなわち、電線12は、電線規制部60の複数の交差ガイド部62の間及び電線抜止め部40の複数の挿入ガイド部42の間を通じて、電線配列支持部20の挿通孔部25及び端末収容孔部35に挿入される(図10参照)。ここでは、電線12は、複数の挿入ガイド部42の間を抜けて、端子14が端末収容支持部32の端末収容孔部35内に配設されるまで挿入される。より具体的には、電線12は、複数の交差ガイド部62と複数の挿入ガイド部42によって挿通孔部25及び端末収容孔部35の内部空間の延長線上に形成されるガイド経路を通る。そして、ガイド経路の両側の交差ガイド部62及び挿入ガイド部42により挿通孔部25及び端末収容孔部35の貫通方向に直交する方向の移動を規制される。
また、電線抜止め部40の接触部46がガイド経路を通る電線12の外面に接触する。より具体的には、電線12は、ガイド経路内に突出した接触部46を押し退けて挿入される。これにより、接触部46は、圧縮弾性変形され、元の形状に復帰しようとする弾性力により電線12を側方から押圧して隣の挿入ガイド部42に対して押しつけている。すなわち、電線12は、接触部46とガイド経路を挟んだ隣の挿入ガイド部42との間に挟み込まれる。これにより、電線12は、電線配列支持部20の挿通孔部25及び端末収容孔部35の貫通方向における移動を抑制され、抜け落ち難く、該挿通孔部25及び端末収容孔部35内に挿入された状態に維持される。
複数の電線12全ての一端部がコネクタ16に挿入され、且つ、他端部が撚り合わせ電線保持部材10に挿入された段階で、コネクタ16及び撚り合わせ電線保持部材10を支持基部70から取り外す(図8のS3、図11参照)。これと共に、撚り合わせ電線保持部材10に挿入された電線12をさらに押し込んで、端末収容孔部35の貫通方向他端部から、電線12の他端部を延出させる(図8のS4、図12参照)。
以上の作業により、撚り合わせのための複数の電線12の保持作業が完了する。
<電線撚り合わせ装置>
説明の便宜上、複数の電線12を撚り合わせる工程の説明の前に、電線撚り合わせ装置80について説明しておく(図15参照)。電線撚り合わせ装置80は、複数の電線12の一端部を保持すると共に、個々の他端部が中心軸周りに回転可能な状態で、束状にした複数の電線12の他端部を一端部に対して相対回転させて複数の電線12を撚り合わせるように構成されている。この電線撚り合わせ装置80は、回転端末保持部81と、回転電線束状保持部82と、回転支持部83と、回転機構部84と、移動電線束状支持部85と、移動電線挿通支持部86と、移動支持部87と、移動機構部88と、端末支持部91と、基部92とを備えている。
回転端末保持部81は、複数の電線12の一端部が挿入されたコネクタ16を保持可能に構成された部分である。より具体的には、回転端末保持部81は、コネクタ16に挿入された複数の電線12が下方に延出して鉛直方向に沿って垂れ下がる姿勢で保持可能である。また、回転電線束状保持部82は、複数の電線12の一端部よりの部位を、回転端末保持部81の下方で束状に把持可能に構成された部分である。この回転端末保持部81及び回転電線束状保持部82は、回転支持部83に対して相対移動及び相対回転不能に支持されている。そして、回転端末保持部81、回転電線束状保持部82及び回転支持部83は、回転機構部84によって鉛直方向に沿った回転軸周りに回転駆動可能に配設されている。より具体的には、回転機構部84は、回転端末保持部81に複数の電線12の端末が保持され、その一端部寄りの部位が回転電線束状保持部82により束状に把持された状態で、束状部分の略中心を通る回転軸周りに回転される。
移動電線束状支持部85は、複数の電線12の長手方向中途部を、回転電線束状保持部82の下方で束状に支持可能に構成された部分である。すなわち、複数の電線12は、回転電線束状保持部82と移動電線束状支持部85との間で束状で延在する。この移動電線束状支持部85は、複数の電線12を束状に支持した状態で、この束状の複数の電線12に対して長手方向(鉛直方向)に移動可能な状態に設定されている。また、移動電線挿通支持部86は、電線配列支持部20の電線挿通支持部22を支持する部分である。より具体的には、移動電線挿通支持部86は、電線挿通支持部22を、複数の挿通孔部25の貫通方向が鉛直方向に沿う姿勢で、且つ、回転機構部84の回転軸が複数の挿通孔部25が形成された範囲の略中心を通る位置で支持する。ここでは、移動電線挿通支持部86は、電線挿通支持部22を、張出部26の両端部を上下に挟み込む形態で支持する。この移動電線束状支持部85及び移動電線挿通支持部86は、移動支持部87に対して相対移動及び相対回転不能に支持されている。そして、移動電線束状支持部85、移動電線挿通支持部86及び移動支持部87は、移動機構部88によって鉛直方向に移動駆動可能に配設されている。
端末支持部91は、電線配列支持部20の端末収容支持部32を、移動電線挿通支持部86の下方で支持する部分である。より具体的には、端末支持部91は、端末収容支持部32を、複数の端末収容孔部35の貫通方向が鉛直方向に沿う姿勢で、且つ、鉛直方向において複数の端末収容孔部35が移動電線挿通支持部86に支持される電線挿通支持部22の複数の挿通孔部25と重複する位置で支持する。ここでは、端末支持部91は、端末収容支持部32を、第2張出部36の両端部を上下に挟み込む形態で支持する。この端末支持部91は、基部92に固定されている。
<電線の撚り合わせ>
複数の電線12の撚り合わせ工程では、まず、撚り合わせ対象である複数の電線12を電線撚り合わせ装置80にセットする(図15参照)。この際、複数の電線12を、電線配列支持部20の複数の挿通孔部25及び端末収容孔部35内で個々に中心軸周りに相対回転可能且つ貫通方向に相対移動可能にする。すなわち、まず、電線抜止め部40から電線規制部60を取り外す(図8のS5、図13参照)。より具体的には、第1取手部66を引っ張って規制部支持部56の凹部及び貫通孔部から電線規制部60を引き出す。これにより、複数の挿通孔部25及び端末収容孔部35に挿通された複数の電線12の交差ガイド部62による挿入ガイド部42の延在方向における位置規制が解除される。次に、電線挿通支持部22から電線抜止め部40を取り外す(図8のS6、図14参照)。より具体的には、電線挿通支持部22を嵌合凹部51の開口部分を通じて抜き出す。この際、係止凹部29に係止していた嵌合維持部54が、係止凹部29から外れる。
次に、複数の電線12の一端部、ここでは、各一端部が挿入された2つのコネクタ16を回転端末保持部81に保持する(図8のS7、図15参照)。また、回転電線束状保持部82によりコネクタ16から延出する複数の電線12の一端部寄りの部分を束状に保持する。また、電線挿通支持部22を移動電線挿通支持部86に支持して(図8のS8)、電線配列支持部20の端末収容支持部32を電線挿通支持部22から取り外す(図8のS9)と共に、端末収容支持部32を端末支持部91に支持する(図8のS10)。より具体的には、電線挿通支持部22は、移動電線挿通支持部86により、複数の電線12が鉛直方向に沿う姿勢で且つ複数の電線12の中心軸方向中途部を支持する位置で支持される。また、端末収容支持部32は、端末支持部91により、複数の電線12が鉛直方向に沿う姿勢で且つ複数の電線12の他端部を支持する位置で支持される。
この状態で電線撚り合わせ装置80を始動すれば、複数の電線12が撚り合わせられる(図8のS11)。より具体的には、電線撚り合わせ装置80が始動されると、まず、回転機構部84により回転端末保持部81及び回転電線束状保持部82が回転軸周りに回転される。これにより、回転電線束状保持部82と移動電線挿通支持部86との間で複数の電線12が撚り合わせ始められる。この際、複数の電線12は、電線挿通支持部22及び端末収容支持部32の複数の挿通孔部25及び端末収容孔部35内で個々に中心軸周りに回転される。ここから、撚り合わせ始められた複数の電線12が移動電線束状支持部85により束状に支持され、回転機構部84による回転駆動と共に、移動機構部88により移動電線束状支持部85及び移動電線挿通支持部86が下方に向けて移動される。すなわち、複数の電線12の他端部と電線配列支持部20の電線挿通支持部22とを、鉛直方向に沿った回転軸周りに相対回転させつつ鉛直方向に相対離間移動させる。
これにより、回転電線束状保持部82と移動電線束状支持部85との間に延在する複数の電線12が延在方向においてより均一なピッチで撚り合わされる。移動電線束状支持部85及び移動電線挿通支持部86が移動範囲の下端まで移動されると、複数の電線12の撚り合わせが完了する。
そして、撚り合わされた複数の電線12において、回転電線束状保持部82の下方の位置と、移動電線束状支持部85の上方の位置とを結束して撚り合わせ状態が解けないように保持する(図16参照)。この結束は、粘着テープ98を、撚り合わされた複数の電線12の外周部に巻き付けて行うことができる。
この後、回転電線束状保持部82及び移動電線束状支持部85による複数の電線12の保持を解除すると共に、コネクタ16を回転端末保持部81から取り外す。そして、複数の電線12の他端部を電線挿通支持部22の挿通孔部25及び端末収容支持部32の端末収容孔部35から抜き出す(図8のS12)。
以上の工程により、撚り合わせ電線100を製造することができる(図16参照)。この撚り合わせ電線100は、他端部の端子14をコネクタ16に挿入して用いられるとよい。
ここでは、より合わせ電線保持部材10の電線挿通支持部22から電線抜止め部40を取り外す工程を、コネクタ16(複数の電線12の一端部)を回転電線端末保持部81により保持する工程の前に行う例で説明してきたが、これに限られるものではない。すなわち、電線抜止め部40の取り外し工程は、コネクタ16を保持する工程の後に行われてもよい。また、電線抜止め部40と電線挿通支持部22との嵌合形態又は電線撚り合わせ装置80の移動電線挿通支持部86の構成によっては、電線挿通支持部22を複数の電線12の中途部を支持する位置で支持する工程の後に、電線抜止め部40の取り外し工程を行ってもよい。なお、電線規制部60を電線抜止め部40から取り外す工程も、電線抜止め部40を取り外す前の上記のいずれかのタイミングで行われるとよい。
上記実施形態に係る撚り合わせ電線保持部材10及び撚り合わせ電線の製造方法によると、複数の電線12をそれぞれ中心軸方向に移動可能且つ中心軸周りに回転可能な形態で並列状に挿通可能な複数の挿通孔部25が形成された電線挿通支持部22と、電線挿通支持部22の複数の挿通孔部25の貫通方向一端部に配設されると共に複数の挿通孔部25に対応する間隔をあけて一方向に沿って並列状に延出して電線挿通支持部22の複数の挿通孔部25に挿入される複数の電線12を抜止め可能な複数の抜止め延出部を含み、電線挿通支持部22に対して着脱可能に取り付けられている電線抜止め部40とを備えている。そして、複数の電線12の他端部を、撚り合わせ電線保持部材10の電線抜止め部40の複数の抜止め延出部41の間を通じて電線挿通支持部22における複数の挿通孔部25にそれぞれ挿入する。また、撚り合わせ電線保持部材10の電線配列支持部20から電線抜止め部40を取り外す。そして、複数の電線12の一端部を保持し、電線挿通支持部22を複数の電線12が鉛直方向に沿う姿勢で且つ複数の電線12の中心軸方向中途部を支持する位置で支持し、複数の電線12の他端部と電線挿通支持部22とを鉛直方向に沿った回転軸周りに相対回転させつつ鉛直方向に相対離間移動させる。このため、電線挿通支持部22の複数の挿通孔部25に対して電線抜止め部40の複数の抜止め延出部41を通じて挿入された電線12の外周部に接触部46が接触することにより、電線12が挿通孔部25の貫通方向に移動し難くなり、電線挿通支持部22の挿通孔部25に挿入した電線12の抜け落ちを抑制することができる。
また、複数の抜止め延出部41が、複数の挿通孔部25に対応する間隔をあけて一方向に沿って並列状に延出しているため、複数の電線12を電線挿通支持部22の複数の挿通孔部25に挿通した状態で保持でき、且つ、その状態で電線抜止め部40を電線挿通支持部22から取り外すことができる。このため、撚り合わせ作業を行う直前までより確実に複数の電線12を挿通孔部25に挿通支持した状態に維持しておくことができる。
また、複数の抜止め延出部41が、複数の挿通孔部25に対応する間隔をあけて一方向に沿って並列状に延出する複数の挿入ガイド部42と、隣り合う複数の挿入ガイド部42の間に張り出して複数の挿通孔部25に挿入される電線12の外周部に対して接触状態を維持可能な複数の接触部46とを含む。このため、電線挿通支持部22の複数の挿通孔部25に対して電線抜止め部40の複数の挿入ガイド部42を通じて挿入された電線12の外周部に接触部46が接触することにより、電線12が挿通孔部25の貫通方向に移動し難くなり、電線挿通支持部22の挿通孔部25に挿入した電線12の抜け落ちを効果的に抑制することができる。
また、接触部46が、隣の挿入ガイド部42との間に電線12の外部形状より小さい間隔をあけて配設された弾性部材により形成されている。この構成によると、電線12が複数の挿入ガイド部42の間を通じて挿通孔部25に挿入されると、接触部46が弾性変形し、該接触部46が弾性復帰しようとする力により挿入ガイド部42と接触部46との間で電線が挟まれる。これにより、電線挿通支持部22の挿通孔部25に挿入した電線12の抜け落ちをより確実に抑制することができる。
また、接触部46がゴム部材により形成されている構成によると、電線12が複数の挿入ガイド部42の間を通じて挿通孔部25に挿入されると、ゴム部材である接触部46が弾性変形し、該接触部46が弾性復帰しようとする力により挿入ガイド部42と接触部46との間で電線12が挟まれる。これにより、電線12の傷付き等を抑制しつつ、電線挿通支持部22の挿通孔部25に挿入した電線12の抜け落ちをより確実に抑制することができる。
また、電線抜止め部40が、複数の抜止め延出部41の先端側で開口して、電線挿通支持部22のうちの複数の挿通孔部25の貫通方向一端側部分に他の部分より外周側に張り出した張出部26を内側に配設した状態で該張出部26に対して複数の挿通孔部25の貫通方向に係止する嵌合凹部51を含んでいる。このため、開口を通じて嵌合凹部51内に電線挿通支持部22の張出部26を配設するだけで、電線抜止め部40を電線挿通支持部22に取り付けることができる。
また、電線挿通支持部22の複数の挿通孔部25に対応する間隔をあけて一方向に並列状に延出する複数の交差ガイド部62を含む電線規制部60が、電線抜止め部40に対して複数の交差ガイド部62が複数の抜止め延出部41に直交して重なる姿勢で着脱可能に取り付けられている。このため、電線12を挿通孔部25に挿入する作業をより正確に行うことができる。
また、電線抜止め部40が、複数の抜止め延出部41の延在方向に直交する方向に電線規制部60の複数の交差ガイド部62を挿入して配設可能な規制部支持部56を含んでいるため、一方向のスライド操作により容易に電線抜止め部40に対する電線規制部60の着脱を行うことができる。
また、撚り合わせ電線保持部材10は、電線挿通支持部22に対して複数の挿通孔部25の貫通方向他端部に着脱可能に連結され、複数の電線12の他端部を収容可能な複数の端末収容孔部35を含む端末収容支持部32を備えている。このため、複数の電線12の撚り合わせにおいて、電線挿通支持部22により複数の電線12の延在方向中途部を支持すると共に端末収容支持部32により電線12の他端部を収容した状態で、複数の電線12の一端部を電線挿通支持部22及び端末収容支持部32に対して相対回転させることにより、電線12の他端部同士の絡まりを抑制することができる。また、電線12の撚り合わせが行われる前に電線挿通支持部22から電線抜止め部40が取り外されることによって、電線12の撚り合わせの際に電線12が電線挿通支持部22の挿通孔部25内で自身の中心軸周りに相対回転可能となり、撚り合わせをうまく行うことができる。
これまで、接触部46がゴム材料によって形成されている例を説明してきたが、接触部46はこれに限られるものではない。すなわち、接触部は、隣り合う挿入ガイド部42間方に張り出して複数の挿通孔部25に挿入される電線12の外周部に対して接触状態を維持可能に形成されていればよい。例えば、接触部は、隣り合う複数の挿入ガイド部42間に張り出して隣の挿入ガイド部42に対して電線12の断面形状より小さい間隔をあけて設けられた弾性変形可能な扁平板状に形成されていてもよい。すなわち、複数の挿入ガイド部42間に挿入された電線12により接触部が湾曲変形して、接触部が元の形状に復帰しようとする弾性力によって電線12を隣の挿入ガイド部42との間に挟み込む。また、接触部は、弾性を有さない(或いは弾性が低い)材料が採用され、その表面の摩擦力により隣の挿入ガイド部42との間で電線12を移動し難くする構成であってもよい。
また、抜止め延出部41は、挿入ガイド部42及び接触部46で構成されている例で説明してきたが、これに限られるものではない。すなわち、抜止め延出部41は、電線挿通支持部22の挿通孔部25に挿通される電線12を抜止め可能であればよく、1部材で構成されていてもよいし、3部材以上の部材で構成されていてもよい。
電線配列支持部20が電線挿通支持部22と端末収容支持部32とを有する構成について説明してきたが、電線挿通支持部は、電線挿通支持部22により構成されていてもよい。また、電線挿通支持部22と端末収容支持部32とが磁石である連結部28、38によって連結される例で説明してきたが、これに限られるものではない、電線挿通支持部22と端末収容支持部32とは、着脱可能に連結されればよく、凹凸嵌合可能に形成されていてもよい。
電線抜止め部40に電線規制部60が取り付けられる例で説明してきたが、電線規制部60は省略されても構わない。すなわち、電線規制部60が省略されても、電線抜止め部40によって複数の挿通孔部25及び端末収容孔部35に挿入される電線12の抜け落ちを抑制することができる。
また、電線挿通支持部22と電線抜止め部40との嵌合形態は、上述したものに限られない。例えば、張出部の外周面に周方向に沿った溝が形成されると共に、電線抜止め部が張出部の溝に嵌合可能な凸部を有していてもよい。
以上のように、撚り合わせ電線保持部材10及び撚り合わせ電線の製造方法は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての局面において例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。また、上述した各種変形例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。