JP5817512B2 - 血圧計測装置及び血圧計測装置の制御方法 - Google Patents

血圧計測装置及び血圧計測装置の制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、被検者の血圧を計測する装置等に関する。
非加圧で血圧を計測する方法として、例えば超音波を用いて生体抹消部位の血管の血管径や血流速度、血流量等の血管動態指標を測定し、これらの血管動態指標を用いて血圧を推定する手法が提案されている。
例えば、特許文献1には、生体抹消部位での血管を電気回路に置き換えたモデルに基づき、計測対象血管の血管径と血流速度とを用いて、血圧を推定する手法が開示されている。また、特許文献2には、血圧と血流量とに比例関係があるとして、血流量の変化から血圧を推定する手法が開示されている。
特開2008−183414号公報 特開2006−247193号公報
従来の手法では、計測対象血管の血管抵抗は一定であるとの仮定のもと、血圧と他の血管動態指標との相関特性に基づいて、血圧を推定する手法を採用している。しかし、実際には、血管抵抗が一定であることはあり得ない。例えば、血管抵抗は血液粘度によって変化する。血液粘度は、赤血球数や血漿蛋白質濃度、血液水分量の増減等によって変化し得るため、血管抵抗も変化し得る。そのため、画一的な相関特性に基づいて血圧を推定した場合、その推定結果は必ずしも信頼できる結果になるとは限らず、大きな誤差を含み得る場合があった。
本発明は上述した課題に鑑みて為されたものであり、血圧の推定結果の信頼性を適切に判定することを目的とする。
以上の課題を解決するための第1の形態は、被検者の計測対象血管の血流速度を測定する血流速度測定部と、予め定められた前記被検者の血圧と血流速度の相関特性を参照して、前記血流速度測定部の測定結果をもとに血圧を推定する血圧推定部と、前記血流速度測定部の測定結果を用いて、前記計測対象血管の血流状況を判定する血流状況判定部と、予め定められた前記計測対象血管の基準血流状況と、前記血流状況判定部によって判定された血流状況とを比較して、前記血圧推定部による推定結果の信頼性を判定する信頼性判定部と、前記信頼性判定部の判定結果に基づき所定の報知を行う報知制御部と、を備えた血圧計測装置である。
また、他の形態として、被検者の計測対象血管の血流速度を測定することと、予め定められた前記被検者の血圧と血流速度の相関特性を参照して、前記測定の結果をもとに血圧を推定することと、前記測定の結果を用いて、前記計測対象血管の血流状況を判定することと、予め定められた前記計測対象血管の基準血流状況と、前記判定された血流状況とを比較して、血圧の前記推定結果の信頼性を判定することと、前記判定された信頼性に基づき所定の報知を行うことと、を含む血圧計測装置の制御方法を構成することとしてもよい。
この第1の形態等によれば、被検者の計測対象血管の血流速度が、血流速度測定部によって測定される。そして、予め定められた被検者の血圧と血流速度の相関特性を参照して、血流速度測定部の測定結果をもとに、血圧推定部によって血圧が推定される。予め定められた被検者の血圧と血流速度の相関特性を参照することで、血流速度測定部の測定結果から被検者の血圧を簡単に推定することができる。
しかし、計測対象血管の血流状況は時々刻々と変化し得るため、予め定められた被検者の血圧と血流速度の相関特性をもとに血圧を推定した結果は、必ずしも信頼性が高いものであるとは限らない。そこで、血流速度測定部の測定結果を用いて、計測対象血管の血流状況が、血流状況判定部によって判定される。
そして、予め定められた計測対象血管の基準血流状況と、血流状況判定部によって判定された血流状況とを比較して、血圧推定部による推定結果の信頼性が、信頼性判定部によって判定される。そして、信頼性判定部の判定結果に基づき、報知制御部によって所定の報知が行われる。
また、第2の形態として、第1の形態の血圧計測装置において、前記血流速度測定部は、前記計測対象血管内の径方向の位置が異なる複数位置の血流速度を測定し、前記血流状況判定部は、前記血流速度測定部の測定結果を用いて前記計測対象血管横断方向の血流速度の分布或いは変化傾向(以下、包括して「血流速度分布」と称す。)を前記血流状況として判定する、血圧計測装置を構成することとしてもよい。
この第2の形態によれば、計測対象血管内の径方向の位置が異なる複数位置の血流速度が、血流速度測定部によって測定される。そして、血流速度測定部の測定結果を用いて計測対象血管横断方向の血流速度分布が、血流状況判定部によって判定される。これにより、計測対象血管横断方向の血流速度分布を血流状況として、血圧推定部による血圧の推定結果の信頼性を判定することが可能となる。
また、第3の形態として、第2の形態の血圧計測装置において、前記信頼性判定部は、前記基準血流状況の血流速度分布の起伏(以下、「基準起伏」と称す。)と、前記血流状況判定部によって判定された血流速度分布の起伏(以下、「測定起伏」と称す。)との差違に基づいて前記推定結果の信頼性を判定する、血圧計測装置を構成することとしてもよい。
この第3の形態によれば、基準起伏と測定起伏との差異に基づいて血圧の推定結果の信頼性が、信頼性判定部によって判定される。血流速度分布の起伏を用いることで、血圧の推定結果の信頼性を簡単に判定することができる。
また、第4の形態として、第3の形態の血圧計測装置において、前記信頼性判定部は、前記基準起伏に比べて前記測定起伏が大きい場合と、小さい場合とで、信頼性判定の閾値条件を変えて信頼性を判定する、血圧計測装置を構成することとしてもよい。
この第4の形態によれば、基準起伏に比べて測定起伏が大きい場合と、小さい場合とで、信頼性判定の閾値条件を変えて、信頼性判定部によって信頼性が判定される。例えば、計測対象血管の血液粘度が増加すると、基準起伏に比べて測定起伏が小さくなる。そこで、例えば、基準起伏に比べて測定起伏が小さい場合は、大きい場合と比べて、より信頼性が低いと判定され易くなるように閾値条件を変更することで、計測対象血管を流れる血液の状態を考慮した適切な信頼性判定を実現することができる。
また、第5の形態として、第1〜第4の何れかの形態の血圧計測装置において、前記報知制御部は、前記相関特性の校正を促す報知を行う、血圧計測装置を構成することとしてもよい。
この第5の形態によれば、報知制御部によって、相関特性の校正を促す報知が行われる。従って、被検者は、この報知に従って、相関特性の校正を行うために必要な措置を講ずることができる。
また、第6の形態として、第1〜第5の何れかの形態の血圧計測装置において、外部計測装置から前記被検者の血圧を連続的に入力する入力部と、前記入力部に入力された血圧と前記血流速度測定部の測定結果とに基づいて前記相関特性を校正する相関特性校正部と、を更に備えた血圧計測装置を構成することとしてもよい。
この第6の形態によれば、入力部により、外部計測装置から被検者の血圧が連続的に入力される。そして、入力部に入力された血圧と血流速度測定部の測定結果とに基づいて、相関特性校正部によって相関特性が校正される。外部計測装置は、被検者の血圧を連続的に測定可能な計測装置(例えばトノメトリー血圧計)である。かかる外部計測装置から連続的に入力した血圧と血流速度測定部が測定した血流速度とを用いることで、血圧と血流速度との相関特性を簡易且つ適切に校正することができる。
また、第7の形態として、第6の形態の血圧計測装置において、前記相関特性校正部による校正時に、前記血流速度測定部の測定結果を用いて前記基準血流状況を更新する基準血流状況更新部、を更に備えた血圧計測装置を構成することとしてもよい。
この第7の形態によれば、基準血流状況校正部により、相関特性校正部による校正時に、血流速度測定部の測定結果を用いて基準血流状況が更新される。相関特性の校正時に、基準血流状況の更新も併せて行うことで、血圧の推定結果の信頼性判定の確度を向上させることが可能となる。
(1)超音波血圧計の概略構成図。(2)超音波血圧計を装着した状態図。 収縮期血流速度と収縮期血圧との相関関係を示す実験結果。 血圧の推定結果の信頼性判定の説明図。 超音波血圧計の機能構成の一例を示すブロック図。 収縮期特性値データのデータ構成例。 拡張期特性値データのデータ構成例。 メイン処理の流れを示すフローチャート。 校正処理の流れを示すフローチャート。 第2校正処理の流れを示すフローチャート。 血液粘度と相関特性との関係を示す図。
本発明を適用した実施形態として、被検者の手首を計測対象部位とし、計測対象の動脈を橈骨動脈として、被検者の血圧を計測する血圧計測装置の実施形態について説明する。但し、本発明を適用可能な形態が以下説明する実施形態に限定されるわけでないことは勿論である。
1.概略構成
図1(1)は、本実施形態における血圧計測装置である超音波血圧計1の概略外観図である。超音波血圧計1は、帯状部18を用いて本体部を被検者の計測対象部位(特には手首)に装着可能に構成されている。帯状部18は、被検者の計測対象部位に装置本体を装着するための装着具であり、面ファスナーを備えたバンドや、測定部位を挟持するためのクリップ等を有して構成される。超音波血圧計1の本体部は、ヒンジ部11を介して第1部位1Aと第2部位1Bとが接続されて構成されている。
第1部位1Aには、操作ボタン12と、液晶表示器13と、スピーカー14と、LED(Light Emitting Diode)ランプ15とが設けられている。
操作ボタン12は、血圧の計測開始指示や、血圧の計測に係る各種諸量を被検者が操作入力するために用いられる。
液晶表示器13には、超音波血圧計1による血圧の計測結果が表示される。表示方法としては、血圧の計測値を数値で表示することとしてもよいし、グラフなどで表示することとしてもよい。
スピーカー14からは、血圧の計測に係る各種の音声ガイダンス等が音出力される。本実施形態では、外部計測装置(トノメトリー血圧計3又はオシロメトリック血圧計5)を用いて超音波血圧計1の校正を行う。その際、これらの血圧計の着脱を指示する音声ガイダンスをスピーカー14から音出力させるなどする。
LEDランプ15は、例えば赤色、黄色及び青色の三色で発光し、被検者に対して、血圧の推定結果の信頼性に関する所定の報知や、校正を指示する報知を行うために用いられる。
第2部位1Bには、血流速度センサー部20が設けられている。血流速度センサー部20は、超音波を利用して、被検者の計測対象血管の血流速度を測定するセンサーである。
血流速度センサー部20は、超音波の送信部から数MHz〜数十MHzの超音波のパルス信号或いはバースト信号を、計測対象血管に向けて送信する。そして、例えば、超音波ドップラー法を用いて、計測対象血管の血流速度を測定する。本実施形態では、血流速度センサー部20は、計測対象血管である橈骨動脈の径方向の位置が異なる複数位置の血流速度を測定する。なお、超音波ドップラー法を用いた血流速度の測定方法は従来公知であるため、その詳細については説明を省略する。
また、図示を省略しているが、超音波血圧計1の本体部には、機器を統合的に制御するための制御基板が内蔵されている。制御基板には、マイクロプロセッサーやメモリー、超音波の送受信に係る回路、内部バッテリー等が実装されている。
図1(2)は、被検者の左手の手首に超音波血圧計1を装着した状態を示す図である。図1(2)に示すように、超音波血圧計1は、本体部が手首の内側を向くような姿勢で被検者の手首に装着される。この際、血流速度センサー部20が設けられた第2部位1Bが、被検者の手首の親指側にくるように装着される。これは、計測対象血管を手首の親指側を流れる橈骨動脈とし、その直上に血流速度センサー部20が位置するようにするためである。
2.原理
図2は、本願発明者が、一の被検者を対象として、橈骨動脈において測定される血圧と血流速度との相関特性を調べる実験を行った実験結果の一例を示す図である。図2において、横軸は血流速度を示し、縦軸は血圧を示す。一定の時間間隔を置いて、合計3回の計測(第1計測〜第3計測)を行った。各計測では、一拍毎に収縮期の血圧及び収縮期の血流速度を測定し、血圧及び血流速度を対応付けた特性値(座標値)を座標上にプロットしていった。座標上に示した1つのプロットが一拍分の特性値を示し、第1計測〜第3計測で得られた特性値を、それぞれ矩形、ダイヤ形及び三角形のプロットで図示している。
この実験結果を見ると、血流速度と血圧との間には負の相関特性があることがわかる。各計測それぞれについて、血流速度及び血圧の特性値の傾向を回帰分析処理の一種である最小二乗法を用いて算出した近似直線(回帰直線)をプロットと併せて図示している。回帰直線の傾きは、各計測についてほぼ一定であることがわかる。しかし、特性値の総体的な大きさは計測毎に異なっており、その結果、回帰直線は上下にシフトしていることがわかる。
このような結果が得られた原因としては、課題部分でも説明したが、橈骨動脈を流れる血液の粘度(血液粘度)が変化するためであると考えられる。つまり、血液粘度は時々刻々と変化するため、固定・画一的な相関特性を用いたのでは、被検者の血圧を正しく推定することができなくなるおそれがある。
そこで、本実施形態では、血流速度センサー部20の測定結果を用いて、橈骨動脈の血流状況を判定する。そして、予め定められた計測対象血管の基準血流状況と、判定された血流状況とを比較して、血圧の推定結果の信頼性を判定する。
本実施形態では、超音波血圧計1の校正時に判定した血流状況を基準血流状況とする。本実施形態では、連続法で血圧測定を行うトノメトリー血圧計3を用いた第1の校正と、間欠法で血圧測定を行うオシロメトリック血圧計5を用いた第2の校正との2種類の校正を行う。これらの校正では、血圧と血流速度との相関特性を表す相関式(回帰直線)を校正する。また、その校正時に、血流速度センサー部20の測定結果を用いて基準血流状況を更新する。
第1校正では、トノメトリー血圧計3を用いて連続的に計測した血圧の計測値を用いて相関特性を再導出することで相関特性を校正する。前述したように、本実施形態では、相関特性を一次関数で表される相関式(回帰直線)によって近似する。この相関式は、傾きと切片との2つのパラメーターを有する式で表される。第1校正では、この2つのパラメーターの両方を再算出することで相関式を再導出する。これは、相関特性を表す式の複数のパラメーターの全ての値を再算出することで相関特性を再導出することに相当する。
それに対し、第2校正では、オシロメトリック血圧計5を用いて間欠的に計測した血圧の計測値を用いて相関特性を補正することで相関特性を校正する。具体的には、相関式の傾きと切片との2つのパラメーターのうち、傾きは変更せずに、切片のみを変更することで相関式を補正する。これは、相関特性を表す式の複数のパラメーターのうちの一部のパラメーターの値を変更することで相関特性を補正することに相当する。
第1校正は、相関特性を表す式の複数のパラメーターの全ての値を再算出することで相関特性を再導出する校正であるため、精細な校正であると言える。それに対し、第2校正は、相関特性を表す式のパラメーターのうちの一部のパラメーターの値を変更することで相関特性を補正する校正であるため、簡易的な校正であると言える。第1校正及び第2校正の具体的な方法については、フローチャートを用いて詳細に後述する。
図3は、血流状況の判定方法の説明図である。血流速度センサー部20は、橈骨動脈の径方向(横断方向)の異なる位置での血流速度を測定する。その測定結果を用いて、橈骨動脈の横断方向の血流速度の分布或いは変化傾向を血流状況として判定する。以下、血流速度の分布或いは変化傾向を包括して「血流速度分布」と称する。
図3には、3種類の血流速度分布を図示している。各血流速度分布において、横軸は橈骨動脈の横断方向の位置を示す。「O」が血管中心位置、「F」が血管前壁位置、「E」が血管後壁位置である。また、縦軸は血流速度であり、点線で示した矢印によって測定された血流速度の大きさを示す。
血管内を流れる血液の速度分布は、血液粘度によって変化する。図3に示すように、血液粘度が高くなるほど、血流速度分布の起伏は小さくなり、血液粘度が低くなるほど、血流速度分布の起伏は大きくなる。
そこで、本実施形態では、基準血流状況の血流速度分布の起伏(以下、「基準起伏」と称す。)と、判定した血流速度分布の起伏(以下、「測定起伏」と称す。)との差異に基づいて、血圧の推定結果の信頼性を判定する。血流速度分布の起伏は、例えば、血流速度分布の勾配に基づいて判定することができる。
より具体的には、基準起伏として基準血流速度分布の勾配(以下、「基準勾配」と称す。)を算出し、判定した血流速度分布の勾配(以下、「測定勾配」と称す。)と比較する。血流速度分布の勾配は、例えば、計測した橈骨動脈横断方向の全ての血流速度について、当該横断方向に隣接する位置の血流速度の差を求め、それらを平均して求める。
また、別の方法として、例えば、血管中心位置「O」と、血管前壁位置「F」又は血管後壁位置「E」との血流速度の差(又は比)を計算し、その値を血流速度分布の勾配としてもよい。なお、これらの勾配の算出方法は一例に過ぎず、他の従来公知の勾配の算出方法を採用してもよいことは勿論である。
上記のようにして勾配を算出したならば、基準勾配と測定勾配との差(以下、「勾配差」と称す。)の絶対値に対する閾値を定めておき、勾配差の絶対値がこの閾値を超えている場合に、血圧の推定結果の信頼性が低いと判定する。この勾配差の絶対値に対する閾値は、信頼性判定の閾値条件に相当する。
基準起伏(例えば基準勾配)と測定起伏(例えば測定勾配)との差異が大きいほど、校正時に求めた相関特性から現在の相関特性が大きくずれていることになる。このため、基準起伏と測定起伏との差異が大きいほど、血圧の推定結果の信頼性は低いと判定することができる。
そこで、血圧の推定結果の信頼性の判定結果を多段階に分類するように閾値条件を定めることとしてもよい。例えば、勾配差の絶対値に対する閾値として、第1閾値と、第1閾値よりも大きい第2閾値とを定めておく。そして、例えば、勾配差の絶対値が第1閾値未満の場合は信頼性「高」と判定し、第1閾値以上第2閾値未満の場合は信頼性「中」と判定し、第2閾値以上の場合は信頼性「低」と判定するなどしてもよい。
さて、本実施形態では、上記の信頼性判定と同様の手法で、相関特性の校正が必要であるか否かについても併せて判定する。つまり、計測対象血管の基準血流状況(例えば基準血流速度分布)と、判定した血流状況(例えば血流速度分布)とを比較して、相関特性の校正の要否を判定する。
基準起伏と測定起伏との差異が大きいほど、血液粘度が大きく変化している可能性が高いため、相関特性の校正をより精細に行うことが必要となる。しかし、血液粘度がそれほど大きく変化していないのであれば、精細な校正を行わずとも、簡易的な校正を行えば済むと考えることができる。
そこで、例えば、上記の信頼性判定と同様の手法に基づき、基準起伏と測定起伏との差異の程度を3段階に分類する。そして、差異が「大」である場合は、精細な校正である第1校正が必要と判定し、差異が「中」である場合は、簡易的な校正である第2校正が必要と判定する。また、差異が「小」である場合は、校正を不要と判定する。
3.機能構成
図4は、超音波血圧計1の機能構成の一例を示すブロック図である。超音波血圧計1は、処理部100と、血流速度センサー部20と、第1入力部40と、第2入力部60と、操作部200と、表示部300と、音出力部400と、発光部500と、通信部600と、時計部700と、記憶部800とを有して構成される。
血流速度センサー部20は、超音波を利用して、被検者の計測対象血管の血流速度を測定する血流速度測定部である。血流速度センサー部20は、超音波振動子がアレイ状に配列された超音波振動子アレイや、超音波振動子からの超音波の送受信を制御する送受信回路、送受信回路によって受信された信号を直交検波してドップラーシフト信号を抽出するドップラー信号抽出回路、ドップラー信号に対する周波数解析を行う周波数解析部等を有する。
第1入力部40は、トノメトリー血圧計3と接続して当該トノメトリー血圧計3の計測値を連続入力する入力部である。
トノメトリー血圧計3は、連続法の一種であるトノメトリー法で血圧測定を行う第1外部計測装置である。トノメトリー法は、比較的壁が薄い血管壁を、皮膚の外側から一定の面積の受圧板で押圧すると、血管壁が平面になったとき壁の円周方向応力が消失し、内圧が直接受圧板に反映されることを利用して、血圧を測定する方法である。トノメトリー法は、非観血的に一拍毎の血圧波形を連続的に計測することができるという特徴がある。
第2入力部60は、オシロメトリック血圧計5と接続して当該オシロメトリック血圧計5の計測値を入力する入力部である。なお、オシロメトリック血圧計5と接続せずに、オシロメトリック血圧計5等の計測器で計測された血圧をユーザー操作によって入力することとしてもよい。
オシロメトリック血圧計5は、間欠法の一種であるオシロメトリック法を用いて血圧測定を行う第2外部計測装置である。オシロメトリック法は、上腕等にカフを巻き付けて動脈を圧迫することで血液の流れを止め、その後、徐々に圧迫を緩めて再び血液が流れ始めたときの圧脈波を測定することで、血圧を計測する方法である。
処理部100は、超音波血圧計1の各部を統括的に制御する制御装置及び演算装置であり、CPU(Central Processing Unit)やDSP(Digital Signal Processor)等のマイクロプロセッサーや、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を有して構成される。
処理部100は、主要な機能部として、送受信制御部110と、血圧推定部120と、血流状況判定部130と、信頼性判定部140と、報知制御部150と、第1校正部160と、第2校正部170と、校正要否判定部180とを有する。但し、本発明の適用に当たっては、必ずしもこれら全ての機能部を必須構成要素としなければならないわけではなく、また、これら以外の機能部を必須構成要素としてもよい。
送受信制御部110は、血流速度センサー部20による血流速度の測定を制御する。具体的には、血流速度センサー部20に対して超音波の送受信制御信号を出力し、被検者の計測対象血管に対して超音波を送信させるとともに、超音波の反射波を受信させて、超音波ドップラー法を用いて血流速度を測定させるように制御する。
血圧推定部120は、記憶部800の校正結果データ830に記憶された被検者の血圧と血流速度の相関特性を示す相関式(収縮期相関式831及び拡張期相関式832)を参照して、血流速度センサー部20の測定結果をもとに被検者の血圧を推定する。
血流状況判定部130は、血流速度センサー部20の測定結果を用いて、計測対象血管の血流状況を判定する。原理で説明したように、血流状況判定部130は、例えば、計測対象血管の横断方向の血流速度分布を血流状況として判定する。
信頼性判定部140は、記憶部800の校正結果データ830に記憶された計測対象血管の基準血流状況としての基準血流速度分布と、血流状況判定部130によって判定された血流状況としての血流速度分布とを比較して、血圧推定部120による血圧の推定結果の信頼性を判定する。
報知制御部150は、信頼性判定部140の判定結果に基づく所定の報知を行う。例えば、表示部300、音出力部400及び発光部500を介して被検者に対する所定の報知を行わせるように制御する。つまり、表示部300、音出力部400及び発光部500は、報知制御部150の制御に従った報知を行う報知部に相当する。
第1校正部160は、記憶部800に記憶されている第1校正プログラム811に従って、第1入力部40によって連続入力される計測値を用いて相関特性(相関式)を再導出することで相関特性を校正する第1校正処理を行う。第1校正部160は、入力部(第1入力部40)に入力された血圧と血流速度センサー部20の測定結果とに基づいて相関特性を校正する相関特性校正部と、相関特性校正部による校正時に、血流速度センサー部20の測定結果を用いて基準血流状況を更新する基準血流状況更新部としても機能する。
第2校正部170は、記憶部800に記憶されている第2校正プログラム812に従って、第2入力部60によって入力される計測値を用いて相関特性(相関式)を補正することで相関特性を校正する第2校正処理を行う。
校正要否判定部180は、計測対象血管の基準血流状況(例えば基準血流速度分布)と、血流状況判定部130によって判定された血流状況(例えば血流速度分布)とを比較して校正の要否を判定する。
操作部200は、ボタンスイッチ等を有して構成される入力装置であり、押下されたボタンの信号を処理部100に出力する。この操作部200の操作により、血圧の計測開始指示等の各種指示入力がなされる。操作部200は、図1の操作ボタン12に相当する。
表示部300は、LCD(Liquid Crystal Display)等を有して構成され、処理部100から入力される表示信号に基づく各種表示を行う表示装置である。表示部300には、血圧推定部120による推定結果等が表示される。表示部300は、図1の液晶表示器13に相当する。
音出力部400は、処理部100から入力される音出力信号に基づく各種音出力を行う音出力装置である。音出力部400は、図1のスピーカー14に相当する。
発光部500は、処理部100から入力される発光制御信号に従って発光する発光装置である。発光部500は、図1のLEDランプ15に相当する。
通信部600は、処理部100の制御に従って、装置内部で利用される情報を外部の情報処理装置との間で送受するための通信装置である。通信部600の通信方式としては、所定の通信規格に準拠したケーブルを介して有線接続する形式や、クレイドルと呼ばれる充電器と兼用の中間装置を介して接続する形式、近距離無線通信を利用して無線接続する形式等、種々の方式を適用可能である。トノメトリー血圧計3やオシロメトリック血圧計5との接続が通信接続となる場合には、第1入力部40及び第2入力部60が通信部600となる。
時計部700は、水晶振動子及び発振回路でなる水晶発振器等を有して構成され、時刻を計時する計時装置である。時計部700の計時時刻は、処理部100に随時出力される。
記憶部800は、ROM(Read Only Memory)やフラッシュROM、RAM(Random Access Memory)等の記憶装置を有して構成される。記憶部800は、超音波血圧計1のシステムプログラムや、送受信制御機能、血圧推定機能といった各種機能を実現するための各種プログラム、データ等を記憶している。また、各種処理の処理中データ、処理結果などを一時的に記憶するワークエリアを有する。
記憶部800には、処理部100によって読み出され、メイン処理(図7参照)として実行されるメインプログラム810が記憶されている。メインプログラム810は、第1校正処理(図8参照)として実行される第1校正プログラム811と、第2校正処理(図9参照)として実行される第2校正プログラム812とをサブルーチンとして含む。これらの処理については、フローチャートを用いて詳細に後述する。
また、記憶部800には、校正処理用データ820と、校正結果データ830と、推定血圧データ840とが記憶される。
校正処理用データ820は、処理部100が第1校正処理で用いる処理用データであり、収縮期特性値データ821と、拡張期特性値データ822と、血流速度分布データ823とがこれに含まれる。
図5は、収縮期特性値データ821のデータ構成の一例を示す図である。収縮期特性値データ821には、特性値番号821Aと、収縮期特性値821Bとが対応付けて記憶される。収縮期特性値821Bには、収縮期血圧と収縮期中心血流速度とが含まれる。収縮期中心血流速度は、血管中心位置「O」における収縮期の血流速度である。
この収縮期特性値データ821には、第1校正処理において、一拍毎に、同タイミングで計測された特性値として、トノメトリー血圧計3から入力した収縮期血圧と、血流速度センサー部20によって測定された収縮期中心血流速度とが、特性値番号821Aと対応付けて時系列に記憶される。
図6は、拡張期特性値データ822のデータ構成の一例を示す図である。拡張期特性値データ822には、特性値番号822Aと、拡張期特性値822Bとが対応付けて記憶される。拡張期特性値822Bには、拡張期血圧と拡張期中心血流速度とが含まれる。拡張期中心血流速度は、血管中心位置「O」における拡張期の血流速度である。
この拡張期特性値データ822には、第1校正処理において、一拍毎に、同タイミングで計測された特性値として、トノメトリー血圧計3から入力した拡張期血圧と、血流速度センサー部20によって測定された拡張期中心血流速度とが、特性値番号822Aと対応付けて時系列に記憶される。
血流速度分布データ823は、第1校正処理において血流状況判定部130によって判定された血流速度分布が時系列に記憶されたデータである。
校正結果データ830は、第1校正処理又は第2校正処理の結果として求められるデータであり、収縮期相関式831と、拡張期相関式832と、基準血流速度分布833とがこれに含まれる。
推定血圧データ840は、血圧推定部120によって推定された血圧が時系列に記憶されたデータである。
4.処理の流れ
図7は、処理部100が、記憶部800に記憶されているメインプログラム810に従って実行するメイン処理の流れを示すフローチャートである。
最初に、第1校正部160は、記憶部800に記憶されている第1校正プログラム811に従って第1校正処理を行う(ステップA1)。
図8は、第1校正処理の流れを示すフローチャートである。
第1校正部160は、被検者に対してトノメトリー血圧計3の装着指示を行う(ステップB1)。トノメトリー血圧計3と超音波血圧計1とが接続され、トノメトリー血圧計3による一拍毎の血圧の計測が開始されると、第1入力部40を介して血圧の計測結果(収縮期血圧及び拡張期血圧)が入力される(ステップB3)。
その一方で、血流状況判定部130は、血流速度センサー部20の測定結果を用いて血流速度分布の判定を開始し、その判定結果を血流速度分布データ823に記憶させる(ステップB5)。
第1校正部160は、トノメトリー血圧計3から入力した血圧と、血流速度センサー部20の測定結果から求まる中心血流速度とを、記憶部800に同期したデータとして対応付けて記憶させる(ステップB7)。つまり、トノメトリー血圧計3から入力した一拍分の収縮期血圧及び拡張期血圧と、一拍分の収縮期中心血流速度及び拡張期中心血流速度とを、それぞれ収縮期特性値データ821及び拡張期特性値データ822に対応付けて記憶していく(ステップB7)。
次いで、第1校正部160は、所定時間分の特性値が得られたか否かを判定し(ステップB9)、まだ得られていないと判定した場合は(ステップB9;No)、ステップB7に戻る。所定時間は適宜設定可能であるが、相関式を高い精度で導出することができるように、十分な数の特性値が得られる時間を設定するとよい。
所定時間分の特性値が得られたと判定した場合は(ステップB9;Yes)、第1校正部160は、例えば最小二乗法を用いて血圧と血流速度との相関式を導出し、校正結果データ830を更新して記憶させる(ステップB11)。つまり、収縮期特性値データ821と、拡張期特性値データ822とを用いて、収縮期相関式831及び拡張期相関式832をそれぞれ導出する。このステップでは、相関式のパラメーターである傾き及び切片の両方の値を算出することになる。
次いで、第1校正部160は、血流速度分布データ823の中から血流速度分布を1つ選択し、基準血流速度分布833として校正結果データ830を更新して記憶させる(ステップB13)。具体的には、例えば、収縮期中心血流速度が観測された時刻に対応する血流速度分布を血流速度分布データ823の中から1つ選択して基準血流速度分布833を更新する。
そして、第1校正部160は、トノメトリー血圧計3の取り外し指示を行った後(ステップB15)、第1校正処理を終了する。
図7のメイン処理に戻り、第1校正処理を行った後、処理部100は、超音波血圧計1単体での血圧推定を開始する。先ず、血流状況判定部130は、血流速度センサー部20の測定結果を用いて血流速度分布を判定する(ステップA3)。
そして、血圧推定部120は、記憶部800に記憶された校正結果データ830に記憶された相関式(収縮期相関式831及び拡張期相関式832)と、血流速度センサー部20の測定結果から求まる中心血流速度(収縮期中心血流速度及び拡張期中心血流速度)とを用いて血圧(収縮期血圧及び拡張期血圧)を推定し、その推定結果を記憶部800の推定血圧データ840に記憶させる(ステップA5)。そして、処理部100は、血圧の推定結果を表示部300に表示制御する(ステップA7)。
次いで、信頼性判定部140が、血圧の推定結果の信頼性を判定する信頼性判定処理を行う(ステップA9)。また、校正要否判定部180が、相関式の校正が必要であるか否かを判定する校正要否判定処理を行う(ステップA11)。信頼性判定方法及び校正要否判定方法の処理内容は、上述した通りである。
その後、処理部100は、信頼性判定結果を判定し(ステップA13)、信頼性判定結果が「高」である場合は(ステップA13;高)、報知制御部150が、血圧の推定結果の信頼性が高いことを被検者に報知する(ステップA15)。例えば、血圧の推定結果の信頼性が高いことを示すアイコンを表示部300に表示させるように制御する。また、それと併せて、報知制御部150は、校正が不要であることを被検者に報知する(ステップA17)。例えば、発光部500の青色のLEDランプ15を点灯させるように制御する。
信頼性判定結果が「中」である場合は(ステップA13;中)、報知制御部150は、血圧の推定結果の信頼性が中程度であることを被検者に報知する(ステップA19)。例えば、血圧の推定結果に僅かな誤差が含まれていることを示すアイコンを表示部300に表示させるように制御する。また、それと併せて、報知制御部150は、第2校正(簡易的な校正)の実行を被検者に促す報知を行う(ステップA21)。例えば、発光部500の黄色のLEDランプ15を点灯させるように制御する。
信頼性判定結果が「低」である場合は(ステップA13;低)、報知制御部150は、血圧の推定結果の信頼性が低いことを被検者に報知する(ステップA23)。例えば、血圧の推定結果に大きな誤差が含まれていることを示すアイコンを表示部300に表示させるように制御する。また、それと併せて、報知制御部150は、第1校正(精細な校正)の実行を被検者に促す報知を行う(ステップ25)。例えば、発光部500の赤色のLEDランプ15を点灯させるように制御する。
なお、ステップA15〜A25における報知は、報知部である表示部300、音出力部400及び発光部500の任意の組合せに対する報知制御によって実現することが可能である。表示部300に所定のメッセージを表示させたり、音出力部400から所定の音声ガイダンスを音出力させたり、発光部500のLEDランプ15を点灯させるなどして、被検者に対する報知を行えばよい。
ステップA17、A21又はA25の後、処理部100は、血圧の計測を終了するか否かを判定し(ステップA27)、まだ終了しないと判定した場合は(ステップA27;No)、校正を実行するか否かを判定する(ステップA29)。例えば、操作部200を介して被検者によって校正の実行の指示操作が入力されたか否かを判定する。
校正を実行すると判定した場合は(ステップA29;Yes)、処理部100は、被検者によって第2校正が選択されたか否かを判定する(ステップA31)。そして、第2校正が選択されたと判定した場合は(ステップA31;第2)、第2校正部170が、記憶部800に記憶されている第2校正プログラム812に従って第2校正処理を行う(ステップA33)。
図9は、第2校正処理の流れを示すフローチャートである。
最初に、第2校正部170は、オシロメトリック血圧計5の装着指示を行う(ステップC1)。オシロメトリック血圧計5と超音波血圧計1とが接続され、オシロメトリック血圧計5による血圧の計測が開始されると、処理部100は、第2入力部60を介して血圧の計測結果(収縮期血圧及び拡張期血圧)を入力する(ステップC3)。
次いで、第2校正部170は、ステップC3で入力した血圧(収縮期血圧及び拡張期血圧)と、血流速度センサー部20の測定結果から求まる中心血流速度(収縮期中心血流速度及び拡張期中心血流速度)とを対応付けた特性値を記憶部800に記憶させる(ステップC5)。
次いで、第2校正部170は、ステップC5で求めた特性値と、校正結果データ830に記憶されている相関式の傾きとを用いて、相関式を補正し、記憶部800の校正結果データ830を更新して記憶させる(ステップC7)。つまり、収縮期相関式831及び拡張期相関式832のそれぞれについて、傾きはそのままで特性値を通るように相関式を平行移動させることで、収縮期相関式831及び拡張期相関式832を補正する。
その後、第2校正部170は、血流速度センサー部20の測定結果を用いて血流速度分布を算出し、校正結果データ830の基準血流速度分布833を更新して記憶させる(ステップC9)。そして、第2校正部170は、オシロメトリック血圧計5の取り外し指示を行った後(ステップC11)、第2校正処理を終了する。
図7のメイン処理に戻り、第2校正処理を行った後、又は、ステップA29において校正を実行しないと判定した場合は(ステップA29;No)、処理部100は、ステップA3に戻る。ステップA31において第1校正が選択された場合は(ステップA31;第1)、処理部100は、ステップA1に戻る。また、ステップA27において血圧の計測を終了すると判定した場合は(ステップA27;Yes)、処理部100は、メイン処理を終了する。
5.作用効果
超音波血圧計1において、被検者の計測対象血管の血流速度が、血流速度センサー部20によって測定される。そして、第1校正処理で求められた被検者の血圧と血流速度の相関特性を示す相関式を参照して、血流速度センサー部20の測定結果をもとに、血圧推定部120によって被検者の血圧が推定される。血圧と血流速度との相関式を用いることで、血流速度センサー部20の測定結果から被検者の血圧を簡単に推定することができる。
しかし、計測対象血管の血流状況は時々刻々と変化し得るため、第1校正処理で求めた被検者の血圧と血流速度との相関式をもとに血圧を推定した結果は、必ずしも信頼性が高いものであるとは限らない。そこで、血流速度センサー部20の測定結果を用いて、血流状況判定部130によって、計測対象血管の血流状況が判定される。血流状況は、計測対象血管を流れる血液の状況であり、例えば計測対象結果の横断方向における血流速度分布とすることができる。
そして、第1校正処理で求めた計測対象血管の基準血流速度分布と、血流状況判定部130によって判定された血流速度分布とを比較して、血圧推定部120による推定結果の信頼性が、信頼性判定部140によって判定される。そして、信頼性判定部140の判定結果に基づき、報知制御部150により、所定の報知が行われる。これにより、被検者や医師、技師等は、血圧の推定結果の信頼性に関する情報を知ることができる。
6.変形例
本発明を適用可能な実施例は、上記の実施例に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。以下、変形例について説明する。
6−1.計測対象の動脈
上記の実施形態では、計測対象の動脈を手首の橈骨動脈として説明したが、それ以外の動脈を計測対象の動脈としてもよいことは勿論である。例えば、橈骨動脈以外の四肢動脈を計測対象の動脈としてもよい。
6−2.血管径の計測方法
上記の実施形態では、血流速度の計測方法を、超音波を利用した計測方法として説明したが、血流速度の計測方法はこれに限られないことは勿論である。例えば、レーザー光を計測部位に照射した際の計測対象血管からの反射光を受光し、信号処理することで、計測対象血管の血流速度を計測するレーザードップラー法を用いることとしてもよい。
6−3.校正処理
上記の実施形態では、メイン処理の開始後に第1校正処理を行って相関特性の校正及び基準血流状況の校正を行うものとして説明した。しかし、このような構成を採用するのではなく、次のようにしてもよい。
予め被検者の血圧と血流速度との相関関係を定めておき、これを記憶部800に記憶させておく。同様に、予め計測対象血管の基準血流状況を定めておき、これを記憶部800に記憶させておく。メイン処理の開始後は、記憶部800に予め記憶された相関特性を参照して血圧を推定するとともに、記憶部800に予め記憶された基準血流状況を用いて信頼性判定や校正要否判定を行う。そして、被検者から校正処理(第1校正処理又は第2校正処理)の実行指示操作がなされたタイミングで、当該校正処理を実行して、相関特性の校正及び基準血流状況の更新を行うようにする。
6−4.外部計測装置
上記の実施形態では、連続法で血圧測定を行う第1外部計測装置をトノメトリー血圧計3とし、間欠法で血圧測定を行う第2外部計測装置をオシロメトリック血圧計5として説明したが、これら以外の血圧計を外部計測装置としてもよいことは勿論である。例えば、連続法の一種である容積補償法で血圧測定を行う血圧計を第1外部計測装置としてもよいし、間欠法の一種であるコロトコフ法で血圧測定を行うマイクロホンを用いた血圧計を第2外部計測装置としてもよい。
6−5.血流状況の判定
計測対象血管の血流状況の判定方法は、上記の実施形態で説明した手法に限られず、適宜設定変更可能である。例えば、計測対象血管横断方向の各サンプリング位置における血流速度(血流速度ベクトルの終点)から、血流速度の変化を示す曲線(以下、「血流速度変化曲線」と称す。)を近似的に求める。そして、この血流速度変化曲線に対してパターンマッチングの手法を適用することで、血流速度の変化傾向を判定してもよい。
この場合、血流速度の変化傾向のパターンとして、山型やお椀型、釣鐘型、半球型といった複数のパターンを予め定めておく。そして、これらのパターンを用いたパターンマッチングにより、血流速度変化曲線に最も適合するパターンを判定する。そして、基準血流状況の血流速度変化曲線のパターンに対して、判定した血流速度変化曲線のパターンがどのように変化したかに基づいて、上記の実施形態の信頼性判定や校正要否判定を行うこととしてもよい。
6−6.信頼性判定の閾値条件
基準起伏に比べて測定起伏が大きい場合と、小さい場合とで、信頼性判定の閾値条件を変えることとしてもよい。図3からもわかるように、計測対象血管の血液粘度が増加すると、基準起伏に比べて測定起伏が小さくなる。そこで、例えば、基準起伏に比べて測定起伏が小さい場合は、大きい場合と比べて、より信頼性が低いと判定され易くなるように閾値条件を変更することとしてもよい。
例えば、基準勾配と測定勾配との差(勾配差)の絶対値が所定の閾値を超えている場合に、血圧の推定結果の信頼性が低いと判定する。この場合において、基準勾配に比べて測定勾配が小さい場合は、大きい場合と比べて、閾値を低く設定する。このようにすることで、勾配差の絶対値が閾値を超え易くなり、その結果、血圧の推定結果の信頼性も低いと判定され易くなる。
また、初期設定した基準起伏(或いは基準勾配)が、そもそも血液粘度が高め或いは低めの場合も考えられる。この場合にも、基準起伏に比べて測定起伏が大きい場合と、小さい場合とで信頼性判定の閾値条件を変えることが有効になる。
6−7.報知内容
上記の実施形態で説明した報知内容はあくまでも一例であり、適宜設定変更可能であることは勿論である。血圧の推定結果の信頼性が中程度である場合は、第1校正処理又は第2校正処理による校正の実行を促す報知を行い、血圧の指定結果の信頼性が低い場合は、第1校正処理又は第2校正処理による至急(早急)の校正の実行を促す報知を行ってもよい。また、以下説明するように、血圧の推定結果に含まれる誤差の具体的な内容を報知することとしてもよい。
図10は、血液粘度と相関特性との関係を示す図である。図10において、横軸は血流速度であり、縦軸は血圧である。実線で示した直線(回帰直線)が、血圧の推定に用いた相関式C1を示す。校正時と比べて血液粘度が高い方向に変化すると、相関式C1は下側にシフトし、一点鎖線で示した相関式C2のようになる。この場合、相関式C1を用いて血圧を推定してしまうと、実際の血圧値よりも血圧が高く推定される。そこで、この場合は、表示部300に表示されている血圧に正の誤差が重畳されていることを報知する。
それに対し、校正時と比べて血液粘度が低い方向に変化すると、相関式C1は上側にシフトし、一点鎖線で示した相関式C3のようになる。この場合、相関式C1を用いて血圧を推定してしまうと、実際の血圧値よりも血圧が低く推定される。そこで、この場合は、表示部300に表示されている血圧に負の誤差が重畳されていることを報知する。
6−8.相関式の補正
上記の実施形態では、第2校正処理において、オシロメトリック血圧計5から入力した血圧と、血流速度センサー部20の測定結果から求めた血流速度とでなる特性値1点を用いて相関式を補正した。つまり、第1校正処理で求めた相関式の傾きを変えずに、上記の1点の特性値を通るように相関式を平行移動させることで相関式を補正した。
しかし、特性値を1点ではなく数点取得することとし、これらの特性値と、第1校正処理で求めた相関式の傾きとを用いて、相関式を補正することとしてもよい。この場合は、相関式の傾きは第1校正処理で求めた値とし、相関式の切片を未知数として、数点の特性値に対する回帰分析処理を行って相関式を補正すればよい。
6−9.相関特性
上記の実施形態では、血圧と血流速度との相関特性を表す相関式として、一次関数で近似される回帰直線を適用する場合を例に挙げて説明したが、相関式はこれに限られない。例えば、3以上の複数のパラメーターを有する非線形の関数によって相関式を近似することしてもよい。この場合も、第1校正処理では、相関式の複数のパラメーターの全てを再算出することで相関式を再導出し、第2校正処理では、相関式の複数のパラメーターの一部のパラメーターを変更することで相関式を補正するようにすればよい。
また、記憶部800に記憶させる相関特性のデータは、必ずしも相関式のデータである必要はなく、テーブル形式で血圧と血流速度との相関特性を定めたデータ(ルックアップテーブル)としてもよいことは勿論である。
6−10.平均血圧の推定
上記の実施形態の構成に加えて、収縮期血圧と拡張期血圧との平均血圧を推定することとしてもよい。この場合は、上記の実施形態と同様に、校正処理を行うことで、平均血圧と平均血流速度との相関特性を校正する。そして、当該相関特性を参照して、血流速度センサー部20の測定結果から求まる平均血流速度をもとに平均血圧を推定するようにすればよい。
1 超音波血圧計、 1A 第1部位、 1B 第2部位、 3 トノメトリー血圧計、 5 オシロメトリック血圧計、 11 ヒンジ部、 12 操作ボタン、 13 液晶表示器、 14 スピーカー、 15 LEDランプ、 18 帯状部、 20 血流速度センサー部、 40 第1入力部、 60 第2入力部、 100 処理部、 200 操作部、 300 表示部、 400 音出力部、 500 発光部、 600 通信部、 700 時計部、 800 記憶部

Claims (8)

  1. 被検者の計測対象血管の血流速度を測定する血流速度測定部と、
    予め定められた前記被検者の血圧と血流速度の相関特性を参照して、前記血流速度測定部の測定結果をもとに血圧を推定する血圧推定部と、
    前記血流速度測定部の測定結果を用いて、前記計測対象血管の血流状況を判定する血流状況判定部と、
    予め定められた前記計測対象血管の基準血流状況と、前記血流状況判定部によって判定された血流状況とを比較して、前記血圧推定部による推定結果の信頼性を判定する信頼性判定部と、
    前記信頼性判定部の判定結果に基づき所定の報知を行う報知制御部と、
    を備えた血圧計測装置。
  2. 前記血流速度測定部は、前記計測対象血管内の径方向の位置が異なる複数位置の血流速度を測定し、
    前記血流状況判定部は、前記血流速度測定部の測定結果を用いて前記計測対象血管横断方向の血流速度の分布或いは変化傾向(以下、包括して「血流速度分布」と称す。)を前記血流状況として判定する、
    請求項1に記載の血圧計測装置。
  3. 前記信頼性判定部は、前記基準血流状況の血流速度分布の起伏(以下、「基準起伏」と称す。)と、前記血流状況判定部によって判定された血流速度分布の起伏(以下、「測定起伏」と称す。)との差違に基づいて前記推定結果の信頼性を判定する、
    請求項2に記載の血圧計測装置。
  4. 前記信頼性判定部は、前記基準起伏に比べて前記測定起伏が大きい場合と、小さい場合とで、信頼性判定の閾値条件を変えて信頼性を判定する、
    請求項3に記載の血圧計測装置。
  5. 前記報知制御部は、前記相関特性の校正を促す報知を行う、
    請求項1〜4の何れか一項に記載の血圧計測装置。
  6. 外部計測装置から前記被検者の血圧を連続的に入力する入力部と、
    前記入力部に入力された血圧と前記血流速度測定部の測定結果とに基づいて前記相関特性を校正する相関特性校正部と、
    を更に備えた請求項1〜5の何れか一項に記載の血圧計測装置。
  7. 前記相関特性校正部による校正時に、前記血流速度測定部の測定結果を用いて前記基準血流状況を更新する基準血流状況更新部、
    を更に備えた請求項6に記載の血圧計測装置。
  8. 被検者の計測対象血管の血流速度を測定することと、
    予め定められた前記被検者の血圧と血流速度の相関特性を参照して、前記測定の結果をもとに血圧を推定することと、
    前記測定の結果を用いて、前記計測対象血管の血流状況を判定することと、
    予め定められた前記計測対象血管の基準血流状況と、前記判定された血流状況とを比較して、血圧の前記推定結果の信頼性を判定することと、
    前記判定された信頼性に基づき所定の報知を行うことと、
    を含む血圧計測装置の制御方法。
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