JP5815700B2 - 楕円チェーンリングのアタッチメント - Google Patents

Description

本発明は、自転車用非真円チェーンリングに応用されるものであり、チェーンリングの大径とクランクアームとの相対的なオリエンテーションまたは位置は、その利用の結果となるペダリングのバイオメカニクスにおける基本的なパラメーターである。

（従来の技術）
サイクリストは自転車上で二つのペダルに力を加える。これらのペダルは個々のクランクアームに取り付けられており、ボトムブラケットスピンドルを介して対になっている。二つのクランクアームのうちの一つには一つまたは複数のチェーンリングが結合しており、これらのチェーンリングは後輪上のチェーンとスプロケットを使って後輪に牽引力を伝えるため歯の付いたリングである。

大多数の自転車に真円チェーンリングが使われているのは事実だが、多くのサイクリストはペダリングパフォーマンスを改善するため楕円チェーンリングを選択する。このような背景で、チェーンリングの大径とクランクアームを含む平面間のペダリング方向への角度と定義されるオリエンテーションパラメーターについて論じることができる。

１００年以上も前からのものも含め、非真円チェーンリング利用の便利さを論じるおびただしい数の文書と特許がある。時にはそれらの間に大きな差異があるが、これらは『楕円』という名称のもとにまとめられるものである。そのほとんどがそれぞれに最善のバイオメカニカル上の改善を達成するための特定のオリエンテーションを提案するものであるが、中にはオリエンテーションの調整を可能にすることを目的としてチェーンリングにスクリューでクランクアームに固定するための穴を施すというものもある。こうすることにより、利用者は同じチェーンリングの異なるオリエンテーションを選ぶことができるのである。ＦＲ１０９０９４９、ＤＥ８８０９７９５、およびＥＰ１８６３６９９がその例であるが、三つ目の特許は本書が該当する発明者・出願者によるものである。

様々なオリエンテーションのオプションがある楕円チェーンリングを使用する場合、様々なジオメトリーや使用法の自転車に用いることができる。しかしながら、バイオメカニクスを最適化することを目的に微調整を行う場合は、決まったチェーンリングが決まった自転車に適用されることを考えると、他のオプションの角度増加は非常に小さくなければならない。また、本発明が焦点を合わせているのもこの点である。

ＥＰ１８６３６９９には従来型のチェーンリングスクリューを備え様々なオリエンテーションのオプションのある楕円チェーンリングの固定に対する三つの解法が紹介されてある。

ａ）全周に沿って異なるオリエンテーションを定義する直径の反対の端に一つ置きに配置された個別の穴（解法は前記の文書の図５に示してある）。このように、二つの連続したオリエンテーションオプション間に生じる角度増加は隣接する二つの穴に対応する角度間隔の半分となる。なぜなら、もしこれらの穴が配置された円周の直径の一端を隣接する穴の間に置くと、他端には常に中間のオリエンテーションを定義する穴が見つかる。この解法は、クランクアームがチェーンリングに対して奇数個の固定点を持っている場合にのみ使用可能である。図５のチェーンリングは、５．１４°のオリエンテーション角度増加が示している。

ｂ）連続する二つのオリエンテーションオプション間に与えられる角度増加を最低限にすることを目的とした、オーバーラップした穴（解法は同書の図８に示されてある）。その場合、クランクアームに対する固定点の数が偶数であるため、結果としてもたらされる角度増加はより大きく、正確には８°である。

ｃ）円周沿いに一つ置きに異なるオリエンテーションを定義する直径の反対側の末端位置に、連続する二つのオリエンテーションオプションの間の角度増加が連続する二つのオーバーラップした穴に対する角度間隔の半分となるように配置されたオーバーラップする穴（解法は同書の図９中に示されている）。前記の二つの解法の組み合わせである本解法は、クランクアームがチェーンリングに対して奇数の固定点を持っている場合にのみ可能である。その場合、オリエンテーション角度増加は４°である。

しかしながら、競争および市場における経験によると、約８°の角度増加を伴うオリエンテーションの調整は、このような増加によりチェーンリングを異なるジオメトリーの自転車やスポーツ訓練法（クロスカントリー、ダウンヒル、ＢＭＸ等）にチェーンリングを調節できるという便利さにも拘らず、バイオメカニカルな調整を不可能にする。また全く異なるペダリングスタイルに対応するものであるため、多くのサイクリストには多きすぎる増加なのだが、最高５°の増加の場合、スプリンターからクライマーまで、サイクリストはバイオメカニクスを改善するため何が楕円チェーンリングのオリエンテーションを調整するのか見出すことができる。

オリエンテーション増加減少によりバイオメカニクスをよりよく調整することを目的として穴をオーバーラップさせて互いに接近して配置する場合、問題となるのは、接触付着を保証するため、これらの穴の間で材質が充分伸張できるように適度に離れていなければならないということである。つまり荷重がかかった状態で、対応するスクリューが材料を破壊または変形させて隣の穴にずれないようにスクリューを留めることができなければならないということである。

（本発明の概要）
本出願企業が携わるスポーツ分野内で行われた最近の調査により、大多数のサイクリストにとって、オリエンテーションの精密な調整機能がいかに楕円チェーンリングの適切な利用に役立つかということが証明されている。±６°がほとんどのサイクリストのニーズを満たすことを考えると、中間値は一般的なペダリングスタイルのほとんどに対応できるので、３°くらいが最適値ということになる。

しかし、楕円チェーンリングに取り付けられたクランクアームの基準によっては前記の数値は必ずしも達成可能ではなく、その場合、最善の解法となるのはその値にできるだけ近い角度ということになる。

論理的には、固定点が偶数のクランクアームはバイオメカニカルな調整という点で常に不利であるが、その固定点が奇数個のクランクアームの数値の二倍で充分であるはずである。

また、低めの値が同じ間隔で離れた連続する二つの穴の中心について形成された角度であることを考えると、高めの値では、オーバーラップした穴の間における最低限の角度増加を確立させる場合、クランクアームのチェーンリングへの固定点が採用する直径にも影響を及ぼす。

その意味で、最適値により近い角度値を見込むため、楕円チェーンリングに互いに接近したオーバーラップする連続的な穴を施すことを可能にする建設的な解法が提案されている。この目的で私達は、チェーンリングをそのランクアームに固定する標準手段となっているボルトヘッドと対応するナットを支持するためカウンターシンクを利用する。本解法は、連続した穴の間の伸張が減少したにもかかわらず正接アタッチメント機能が（チェーンリングへの荷重に面している場合は）維持されることを考慮し、オーバーラップするカウンターシンクの階段状の構造から成る。これらのカウンターシンクにはステッピング深さができるが、これはベダリング方向に沿って隣接する穴ごとに減少する。

（本発明の実施形態に関する詳細な解説）
標準的な自転車のクランクアームに取り付け可能な自転車用楕円チェーンリングを出願する。このクランクアームは、ボトムブラケットスピンドルに対応する末端にスパイダーが固定されている。このスパイダーは１つまたは複数の自転車チェーンリングを固定するための星状に配置された穴、または固定点を伴う構造を形成している。

この楕円チェーンリングは標準的なボルトとナットによりスパイダー用の固定点を形成するための穴を持つが、このスパイダーの個々の固定点の数の倍数もの多くの穴を持つ。 この数の多さのため、いくつかのスパイダーにおける、したがってまたクランクアームにおいてチェーンリングの組み立てオプションがあり、そのそれぞれが異なるオリエンテーションとなっている。

その意味で、最終的なオリエンテーションが望ましい中間値を中心に互いに近い数値を保つこと、そして代わりとなるオリエンテーションを選択する際の角度増加ができるだけ３°に近くなることが常に追及されている。

これを達成するため、スパイダーの同じ穴に対応するチェーンリングの穴はグループごとにオーバーラップさせて配置される。個々の穴から隣接する穴までの距離は、チェーンリングの完全な状態を保証し最低限であり、またそのため、個々の穴（それぞれ２と５）を縁取る深さステップが約０．４ｍｍの階段状のカウンターシンク（３および６）と組み合わせて、隣接する穴の間の角度差として６°が提案されている。

固定点が奇数のスパイダーを持つクランクアームの場合、チェーンリング（４）はスパイダークランク上の個々の固定点に対応する二組のオーバーラップした穴を持つ。実際、図3のチェーンリングの場合、４つのオリエンテーションの可能性が得られており、穴は二つずつのグループとしてオーバーラップしている。そうすることにより、そのピースが弱くなりにくくなるためである。図３および図４のチェーンリングの場合、オーバーラップした穴（５）の隔離は６°に対応する。これらのグループは、チェーンリングのオリエンテーションが３°ずつ変わるように円周上の１７７°反対側に位置し、またそれが目標であった。

そして固定点が偶数個のクランクスパイダー用のチェーンリング（１）について、私達は３つの、従って３個ずつのグループに穴（２）をオーバーラップさせたオリエンテーションの可能性を提案している。図１および図２のチェーンリングの場合、オーバーラップした穴の間隔は６°に相当する。このため私達は、バイオメカニカルな最適値には至らないものの、チェーンリングの構造的完全性を保証する妥協策に到達した。

同時に、従来型の固定システムが用いられた場合、自転車の標準的なボルトとナットのグループに代えるその他の可能性もある。偶数の固定点と角度増加がより密なオリエンテーションオプションを持つクランクアーム用のチェーンリングを組み立てることが可能である。その数値はおよそ３°である。これは例えば図６のチェーンリングの場合であり、図５でチェーンリングはねじで取り付けた（７）クランプ（８および９）間に固定されており、しっかり固定すると側面のアタッチメントが強化され、隣接する穴の間の間隔を短くすることが可能となる。

固定点４つの標準クランクアームスパイダー用の楕円チェーンリングを示している。このチェーンリグにはオリエンテーション規制の３つのオプションがある。個々の固定点に対応する３つの穴は、対応するグループ内でオーバーラップしている。 前記のチェーンリングの詳細は透視図を示している。この中に固定穴を縁取るカウンターシンクの階段状構造が見える。 固定点５つの標準的なクランクアームスパイダー専用の楕円チェーンリングを示している。このチェーンリングにはオリエンテーション規制のオプションが４つある。個々の固定点に対応する穴は円周の反対側（対応する直径の反対側の終点）に沿って交互に並び二つずつオーバーラップしている。 上述のチェーンリングの詳細な透視図を示している。固定穴を縁取る階段状のカウンターシンクがこの図に認められる。 固定システムとしてクランプを利用する、オーバーラップした隣接する穴を持つ楕円チェーンリングを示している。 全図で示したチェーンリングの固定システムであるクランプの拡大図である。

Claims (3)

1. 一つ又は複数の自転車用チェーンリングの取り付けを目的として星状形に配置された固定点を有する構造を形成するスパイダーを組み込んだクランクに取り付け可能な、自転車用楕円チェーンリングであって、
   前記楕円チェーンリングは大径を有し、そのペダリング方向において測定された前記クランクのアームとの角がその方向を規定し、
   前記楕円チェーンリングは前記スパイダーに対する多数の固定点を有し、その数は前記スパイダーの固定点の数の倍数であって、前記クランクのアームに対する複数の固定選択肢を構成して、これにより前記楕円チェーンリングの方向について複数の可能性を構成し、
   前記スパイダー上の同一の固定点に対応する前記チェーンリングの異なる固定点は、隣接し重なった穴であって、
   各穴はカウンターシンクを有し、
   重なった隣接する穴のそれぞれは、そのカウンターシンクの深さがペダリング方向に減少して階段状ステップを形成することを特徴とする、自転車用楕円チェーンリング。
2. 前記スパイダー上の同一の固定点に対応する前記チェーンリングの前記重なった隣接する穴が、それらの位置決め周囲（positioning perimeter）において６°に分離されていることを特徴とする、請求項１に記載の自転車用楕円チェーンリング。
3. 奇数個のチェーンリング固定点を持つスパイダーを組み込んだクランクに取り付け可能な自転車用楕円チェーンリングであって、前記スパイダー上の同一の固定点に対応する前記チェーンリングの異なる固定点が、同一の角度増加を有する分離された直径の一つおきの（alternate）終点に配置された穴であって、前記穴は前記チェーンリングにおいて周囲に（perimetrally）対向して位置する隣接する重なった穴の二つのグループを形成する、請求項１又は２に記載の自転車用楕円チェーンリング。

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