JP5814170B2 - 水耕栽培装置及び植物栽培方法 - Google Patents

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Description

本発明は、保水性の培地を用いて植物苗を生育する水耕栽培装置及び水耕栽培方法に関し、特に、従来困難であった樹木等の土壌水分に敏感な植物の栽培に適した水耕栽培装置及び水耕栽培方法に関する。
水耕栽培としては、基本的に根を水中に生育させる狭義の水耕栽培の他にも、スプレー状に水分を供給する水気耕栽培、そして、一般にハイドロカルチャーと呼ばれる、保水性の培地を使った水耕栽培等が知られている。
ただし、これまでこうした水耕栽培の対象は、野菜や観葉植物が殆どで、果樹等の樹木を想定した水耕栽培は殆ど知られていなかった。
一方、近年においては、果樹栽培の効率化、栽培コストの削減等を目的として、果樹栽培を想定した水耕栽培装置や栽培システムについての発明が開示されるようになってきている。
特許文献1には、ブドウの水気耕栽培技術が開示されている。しかし、ブドウの根を支え、滞留する培養液に触れないようにする支持棚を設けた点及びブドウ栽培に好適な培養液について述べるに留まり、果樹全般に対応した技術とは言えない。
特許文献2には、移動・分散の容易な果樹簡易水耕栽培システムが開示されている。しかし、移動を容易にすることに主眼が置かれており、水耕機構自体には大きな工夫はない。
特許文献3には、果樹を栽培対象とする水耕栽培の方法とそれに使用する構成要素が開示されている。しかし、個々の構成要素に新規性はあるものの、栽培方法としては一般の水耕栽培の範囲内である。
このように、果樹等の特性、特に、土壌水分に対する適性に合わせた専用の機構を有する「果樹、樹木向け」の汎用的な水耕栽培装置は、これまで知られていない。提案されている技術においては、実際に果樹を水耕栽培してみると、容易に根腐れを起こして枯れてしまうのが現状である。
特開平9−205911公報 特開2002−369633公報 特表2008−523811公報
一般に、果樹等の樹木の苗は、野菜等の苗と異なり、土壌の含有水分量に敏感である。すなわち、果樹等の樹木の苗については、野菜では容易に実施できる水耕栽培が困難であり、栽培は地植え、鉢植え、もしくは、土壌を培地とするプランターのいずれかで実施するのが一般的である。
いずれの方法でも土壌の使用が前提となるため、重量増加、植え替え時の手間と汚れ、施肥等の日常管理の煩雑さ、などが避け難いのが現状である。野菜等と同様に果樹が水耕栽培可能となれば、こうした課題を一掃することができる。
そこで本発明は、前述の実情に鑑みて提案されるものであって、果樹に代表される、土壌の含有水分量に敏感な植物の栽培に対応した、含有水分量の制御が可能でありながら取扱いの容易な、水位変動型の水耕栽培装置及び水耕栽培方法を提供することを目的とする。
すでに述べているように、樹木苗は、野菜苗等に比較して、土壌、もしくは、培地の含有水分量に敏感である。特に、地上茎直下の所謂「根元」の部分は、(1)既に表皮が古くなり過剰水分に対する耐性が落ちており、(2)茎に近い部分であることから幾分茎に近い性質となり、過剰水分に対する耐性が本来の「根」に及ばない、という事情があり、地中(培地中)に伸びた所謂「根」の部分よりも敏感に過剰水分の影響を受ける。
そこで、本発明は、土壌の含有水分量に敏感な植物の特性を基に、このような植物を水耕栽培する水耕栽培装置及び水耕栽培方法方法を提供するものであって、所謂「根元」付近の培地の含有水分量を低く維持しつつ、所謂「根」には十分な水分を供給するものである。
具体的には、請求項1に記載の水耕栽培装置は、植物苗の根元が埋設される保水性の培地を収容し保持するとともに底面に水が通過する孔が設けられた培地容器と、培地容器を収容し保持する耐水性容器と、液肥が溶け込んだ水を蓄える外部タンクと、外部タンク内の液肥が溶け込んだ水を培地内に直接供給する水分供給配管と、培地容器の外側の耐水性容器内の水を耐水性容器外に排出する排水手段と、水分供給配管から培地への給水量及び耐水性容器内の水位を調整する水位調整機構とを備え、外部タンクから培地への送水及び培地から培地容器の外側に流れた過剰水分の耐水性容器からの排出を間歇的に繰り返し、耐水性容器内の水位を周期的に上下させることによって、水分供給配管から送られる水、及び、培地容器の外側から培地容器内に戻る水により、培地に水分及び養分を供給する水耕栽培装置であって、水分供給配管の先端部は、培地容器内の培地中に埋没されて配置され、前記培地中において、前記植物苗の根元から離れた位置に水分を供給し培地容器の底面と前記耐水性容器の底面との間には空間が形成されており、水位調整機構による水分供給配管から培地への給水量の調整により、培地において、この培地の保水能力を越えて供給された過剰水分は、下方に流れ落ち、上方への浸透拡散がなく、かつ、水平方向への浸透拡散がなく、培地容器の底面から下方に排出さ、水分供給を茎に近い根元部分に及ばない高さにとどめられかつ、植物苗の根元を中心に外周から内周に向かう水平方向に培地の水分含有量が減っていく分布が形成され、培地内の植物苗の根元周辺が、培地容器の底部近傍の培地よりも乾燥した状態に維持されることを特徴とするものである。
外部タンクから水分供給配管を介して培地容器内の培地に供給された水分は、培地容器内から培地容器の底面の孔を通って耐水性容器内に達し、培地への補助的な水分供給手段となる。
請求項2に記載の水耕栽培装置は、請求項に記載の水耕栽培装置において、培地は、保水性を有する素材により構成されており、水分供給配管の先端部よりも上方の位置においては、培地の一部は、吸水性及び保水性のない素材により置換されていることを特徴とするものである。
請求項に記載の水耕栽培方法は、底面に水が通過する孔が設けられた培地容器内に保水性の培地を収容させて保持させ、培地内に植物苗の根元を埋設し、培地容器を耐水性容器内に収容させ、培地容器の底面と耐水性容器の底面との間に空間を形成した状態に保持させ、液肥が溶け込んだ水を培地に対して間歇的に供給する水耕栽培方法であって、培地における給水位置の調整及び培地における水分の透過速度の調整によって、培地の保水能力を越えて供給された過剰水分を培地容器の底面から下方に排出させ、培地内における水分の拡散を抑制し、培地内の水分含有量の分布を、植物苗の根元周辺が培地容器の底部近傍の培地よりも乾燥した分布に維持し、かつ、植物苗の根元を中心に外周から内周に向かう水平方向に培地の水分含有量が減っていく分布を形成し、水分供給を茎に近い根元部分に及ばない高さにとどめることを特徴とするものである。
請求項1に記載の水耕栽培装置においては、耐水性容器内の水位が高いときには、培地容器の底から培地容器内に侵入してくる水により、培地への水分供給がなされる。また、補助的な水分供給として、水分供給配管から直接培地への放水がなされる。
したがって、この水耕栽培装置においては、水分供給を過剰水分への耐性に劣る茎に近い根元部分に及ばない高さにとどめることができる。このことは、樹木苗の生育には重要である。ただし、耐水性容器からの水分補給のみでは、培地容器の底の近くの培地しか水分供給を受けることができない虞があり、この場合には、根元以外の「根」に対する水分供給が不足することになるが、この水耕栽培装置においては、水分供給配管から直接培地への放水により、根元以外の「根」に対する水分が補われる。
したがって、この水耕栽培装置においては、(1)根元に過剰に水分が供給されない、(2)水分の蒸散が激しい培地表面に水分を供給しないので、水分中の塩分濃縮が生じにくく、塩分濃縮による弊害を回避できる、という効果を奏する。
また、この水耕栽培装置においては、水分供給配管の先端部は、培地中において、植物苗の根元から離れた位置に水分を供給し、水位調整機構による水分供給配管から培地への給水量の調整により、培地において、この培地の保水能力を越えて供給された過剰水分は、水平方向への浸透拡散がなく、植物苗の根元を中心に、外周から内周に向かう水平方向に培地の水分含有量が減っていく分布が形成される。
すなわち、この水耕栽培装置においては、培地内の植物苗の根元周辺が、培地容器の底部近傍の培地よりも乾燥した状態に維持されるとともに、植物苗の根元を中心に、外周から内周に向かう水平方向に培地の水分含有量が減っていく分布が形成される。この分布は、十分に給水され水分含有量の高い領域を植物苗の根元を中心に、その下側(培地容器底部)及び根元の周囲に設け、そこから水分がしみ出すことにより根元方向に向かって水分含有量が減っていく、という状態である。これにより、水分及び養分の吸収を担う若い根には十分水分を供給しつつ、水分に敏感な根元を過剰水分から守ることができる。
この水耕栽培装置においては、培地において、この培地の保水能力を越えて供給された過剰水分は、下方に流れ落ち、水平方向及び上方への浸透拡散がない。すなわち、水の透過が速い培地を用いることにより、過剰水分が培地中に留まる時間を極力短くし、過剰水分の横方向及び上方向への浸透拡散をほぼなくするものである。
請求項2に記載の水耕栽培装置においては、培地は、保水性を有する素材により構成されており、水分供給配管の先端部よりも上方の位置においては、培地の一部は、吸水性及び保水性のない素材により置換されている。
ここで、水の透過が速い培地は保水力の弱いことが多く、根に十分な水分を供給できないことが懸念されるが、本発明においてはそうした懸念を、耐水性容器内の水位の変動周期を調整する(すなわち、水位変動の周期を縮め水分供給を頻繁にする)ことで対策することができる。
また、本発明は「過剰水分」の浸透拡散をなくすることを意図するものではあるが、培地に不均等に給水していることから、水分含有量の多い領域から水分含有量の少ない領域に向けてゆっくりとした含有水分のしみ出しは存在するので、根元に向かっての少量の水分供給を発生させることができる。
多くの植物では、根は下方もしくは横方向に伸び、上に向かって成長することは稀である。すなわち、給水位置より上側に向かって根が伸びることはなく、給水位置から下方に伸びていくものと考えられる。そうであれば、給水位置より上側は必ずしも培地で埋める必要はない。むしろ、水分の蒸散を抑制する意味では、給水位置より上側には水分が浸透して行かない方が好ましいのである。そこで、この水耕栽培装置においては、水分供給配管の先端より上に位置する培地の少なくとも一部を、吸水性及び保水性のない素材で置換し、水分の上方への浸透を抑制する。
請求項に記載の水耕栽培方法においては、培地における給水位置の調整及び培地における水分の透過速度の調整によって、培地の保水能力を越えて供給された過剰水分を培地容器の底面から下方に排出させ、培地内における水分の拡散を抑制し、培地内の水分含有量の分布を、植物苗の根元周辺が培地容器の底部近傍の培地よりも乾燥した分布に維持し、かつ、植物苗の根元を中心に外周から内周に向かう水平方向に培地の水分含有量が減っていく分布を形成し、水分供給を茎に近い根元部分に及ばない高さにとどめる。
すなわち、底面に排水孔を設け、過剰水分が速やかに培地容器から抜け落ちるようにしておき、培地容器内の特定位置に給水するとともに意図的に水の透過が速い培地を用いることで、給水時に培地が吸収しきれなかった過剰水分を速やかに培地容器外に排出して過剰水分の拡散を抑制し、培地の水分含有量に定常的に所定の分布を発生させるものである。
ここで、「過剰水分を速やかに培地容器外に排出する」とは、要するに「ザーッ」と音を立てて過剰水分が流れ落ち、後は「ポタポタ」程度に水が滴り落ちる程度の水捌けを意味している。それに対し、一般の土壌や水耕用培地の多くは、ゆっくりと水が透過し、その間に培地全体に水分が行きわたるよう考えられており、培地全体に水分を浸透させつつ「ポタリポタリ」と長時間かけて過剰水分が排出されるのである。この請求項に記載の手法により、植物苗の根元を過剰水分から守りつつ、根に十分な水分を供給することが可能になる。
すなわち、植物苗の根元周辺の培地が常に培地容器底部の培地より水分含有量の少ない状態に維持されるとともに、容器内水平方向にも植物苗の根元を中心に培地の水分含有量に分布があり、培地中に埋められた水分供給配管の先端の水平位置で見た時に、植物苗の根元を中心に外周から内に向かって培地の水分含有量が減っていくという空間分布を定常的に維持する。
根元には周囲からの水分のしみ出しで少量の水分供給があり、完全に乾燥する訳ではないので生育には何ら問題とはならない。一方、周囲の根には生育に必要な水分を供給することができる。
本発明に係る水耕栽培装置の構成を説明する側面図である。 本発明に係る別の水耕栽培装置の構成を説明する側面図である。
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
〔水耕栽培装置の第1の実施の形態〕
図1は、本発明に係る水耕栽培装置の構成を説明する側面図である。
本発明に係る水耕栽培装置は、底面に水が通過する孔4が設けられた培地容器3内に保水性の培地5を収容させて保持させ、培地5内に植物苗8の根元を埋設し、培地容器3を耐水性容器1内に収容させ、培地容器3の底面と耐水性容器1の底面との間に空間を形成した状態に保持させ、液肥が溶け込んだ水を培地5に対して間歇的に供給する水耕栽培方法を実施する装置である。
この水耕栽培装置は、図1に示すように、保水性の培地5を収容し保持するとともに底面に水が通過する孔が設けられた培地容器3と、底面と培地容器の底面との間に空間を形成した状態で培地容器3を収容し保持する耐水性容器1とを備えている。
耐水性容器1内に、架台2を置き、その上に、培地5を入れた培地容器3が置かれる。架台2は耐水性容器1と培地容器3の間に空間を設けるためのものである。培地容器3の底面全体に、培地5がこぼれ落ちないサイズの孔4が設けられている。培地容器3中央に植物苗8が入っている。
そして、この水耕栽培装置は、液肥が溶け込んだ水を蓄える外部タンク13と、外部タンク13内の液肥が溶け込んだ水を培地内に直接供給する水分供給配管6と、培地容器3の外側の耐水性容器1内の水を耐水性容器1外に排出する排水手段となる水分回収配管18とを備えている。水分回収配管18は、耐水性容器1内の水を外部タンク13に回収する配管である。この水耕栽培装置においては、外部タンク13から培地への送水及び培地5から培地容器3の外側に流れた過剰水分の外部タンク13への回収を間歇的に繰り返し、耐水性容器1内の水位を周期的に上下させる。培地5には、培地容器3の外側から培地容器3内に戻る水により、水分及び養分が供給される。
この水耕栽培装置においては、水分供給配管6を介して、培地5に対して、液肥が溶け込んだ水を供給して、水分及び養分を培地5に直接供給する。水分供給配管6の先端部は、リング状に構成され、培地容器3内の培地5中に埋没されて配置されており、植物苗8の周囲に位置している。水分供給配管6の先端部には、ほぼ等間隔で孔7が開けられており、給水時には、この孔7から培地5に直接給水される。この水分供給配管6からは、培地5中において、植物苗8の根元から離れた位置に水分が供給される。
外部タンク13からは、ポンプ10、11により、耐水性容器1との間で液肥が溶け込んだ水を移動させる。すなわち、ポンプ10により、外部タンク13内の水を、水分供給配管6を介して、水分供給配管6の先端部から培地5に給水する。また、ポンプ11により、水分回収配管18を介して、耐水性容器1内の水を外部タンク13に回収する。高水位時には、耐水性容器1内の水面15が培地容器3の底部よりも上昇し、培地容器3内の底部側の培地5に給水される。培地5において、この培地5の保水能力を越えて供給された過剰水分は、孔4から耐水性容器1に流れ落ちる。
水位調整機構となる制御ボックス12内のタイマーにより、ポンプ10、11を周期的に動作させる。低水位液面センサ9により検出される低水位時の水面14を所定時間保持した後に、高水位液面センサ17で検出される高水位時の水面15まで水位を移動させて所定時間保持する。再度、低水位へと移動し、と動作を繰り返していく。低水位液面センサ9は、培地容器3の底部よりも下方に配置されている。高水位液面センサ17は、培地容器3の底部よりも上方に配置されている。
すなわち、この水耕栽培装置においては、培地5に直接給水がなされ、過剰水分が流れ落ちて、耐水性容器1内に溜まる。そして、さらに給水を続けると、耐水性容器1内の水量が増え、培地容器3の底部に達する。すると、耐水性容器1内に溜まった水が、培地容器3内に戻り、培地5への給水がなされる。このようにして、水分供給配管6から送られる水、及び、培地容器3の外側から培地容器3内に戻る水により、培地5に水分及び養分が供給される。
なお、図1は、低水位時の状態を示している。耐水性容器1の上面が広く開いていると水分の蒸散が激しいため、耐水性容器1の上面を塞ぐ蓋16を設けている。
この水耕栽培装置においては、培地5内の植物苗8の根元周辺が、培地容器3の底部近傍の培地5よりも乾燥した状態に維持される。また、植物苗8の根元を中心に、外周から内周に向かう水平方向に培地の水分含有量が減っていく分布が形成される。培地5において、この培地5の保水能力を越えて供給された過剰水分は、下方に流れ落ち、水平方向及び上方への浸透拡散がない。
過剰水分を培地容器3の底面から下方に排出させ、培地5内における水分の拡散を抑制し、培地5内の水分含有量の分布を維持することは、培地5における給水位置の調整及び培地5における水分の透過速度の調整によって行う。
また、培地5における給水位置の調整及び培地5における水分の透過速度の調整によって、培地5内の植物苗8の根元周辺を、培地容器3の底部近傍の培地5よりも乾燥した状態に維持するとともに、植物苗8の根元を中心に、外周から内周に向かう水平方向に培地の水分含有量が減っていく分布を形成する。
本実施形態では、培地5として市販の素焼きセラミック球(商品名:ハイドロトン)を使用している。これは、本発明に必要な(1)「水の透過が速い」という特性を有する、(2)培地容器底の孔4からの水抜けを良くするため、孔径をできるだけ大きくしかも全面に設けることが望ましく、この孔からこぼれ落ちない大粒の培地である、という二つの要素を満たしていることによる。
素焼きセラミック球を培地5として使用する場合には、特に、粒径が1cm、もしくは、それ以上ある大粒径のものが本発明には好適である。大粒径であるということは、培地に吸収されなかった過剰水分の透過性を高めるだけでなく、粒間の接触面積を減らし粒間の水分拡散を抑制する効果もあるため、本発明には特に有効である。ただし、水の透過性が高いということは逆に、給水時に培地が十分に水分を吸収しないうちに水が下に流れ落ちてしまう危険を伴っている。そこで本発明では、培地が水に浸り水分を十分吸収することができる底面からの給水を主とし、さらに、水分供給配管6からの流水による給水を補助的な給水手段としている。
培地容器3の底面からの給水については、図1における高水位液面センサ17の設置位置からも分かるように、植物苗8の根元から距離をおき、根の先端部が届く程度の深い位置までに止めなければならない。この位置は、植物種や苗の大きさにも依存するが、通常よく市販されている5号鉢(ポット径:約15センチメートル)に植えられた苗を本装置に移植する場合、培地表面から10〜12センチメートルあたりが高水位位置の目安である。
もっとも、通常の培地を使用した水耕栽培では、培地への水分の浸透が速いため、たとえ給水をこの位置で止めたとしても、水分は容易に植物苗の根元にまで及び、苗に負荷を与えてしまう。本発明では、高水位位置より上の領域(根元の周囲の、本来、根が伸びて行く領域)の培地に対して給水できていないという課題が残る。そこで補助的な給水手段として、根元の周囲に水分供給配管6を設置して、底面からの給水の及ばない領域に直接給水する。
なお、水分供給配管6を培地中に埋没させず、培地5の上面からシャワー状に給水することも可能だが、培地5の表面からの給水では、水分の大気側への蒸散が多く、(1)給水量を増やす必要があること、(2)溶存塩分が培地表面近傍に濃縮されやすいこと、という弊害があるため、培地に直接給水する際は、水分供給配管を埋没させておくことが望ましい。
また、後述するように、水分供給配管6よりも上方は、必ずしも培地5である必要はないので、水分供給配管6を培地5上に露出させておくことに特段の利点は認められない。水分供給配管6の設置位置としては、鉢植えからの移植の場だと、ちょうど鉢の内側あたりが目安となる。ほぐして土壌を落とした根を培地5上に広げ、その上に直接、もしくは薄く培地5を載せた上に水分供給配管6を置き、さらにその上の全面に培地5を載せていくのである。水分供給配管6を深く設置すると、水分供給配管6よりも上方の根が利用できない領域が増えてしまうので、水分供給配管6上には、薄く培地5が載っている程度でよい。
この水耕栽培装置においては、植物苗8の根元に過剰に水分が供給されることがないので、従来の水耕栽培ではできなかった栽培法が可能となる。すなわち、土壌栽培された植物苗を水耕栽培に移行する際に、根元近くの土壌は落とさずに周囲の根だけほぐして土壌を落とした状態で水耕栽培に移行できる。
前述の5号鉢の苗の場合だと、通常は根元から7〜8センチメートルあたりまで根をほぐして土壌を落として移植するので、根元に残った土壌と高水位位置の間は3〜5センチメートル程度は空いており、この空間は培地と根で占められている。水平方向にも、落とさずに残した根元の土壌との間に少なくとも2センチメートル程度の空間を設けて水分供給配管を設置するのがよい。給水位置から離れた根元部分の土壌に対しては、周囲の培地からのしみ出しによる僅かな水分供給しかないので、実質的に「水耕環境」にはなっておらず、土壌のままでも不具合は発生しない。
これは植物苗にとって移植による負荷((1)土壌を落とす負荷、(2)土耕から水耕へ変わる負荷)が大きく低減されることを意味する。実際、本実施形態の水耕栽培装置に樹木苗を移植した場合、移植直後でも苗に弱った兆候は認められず、非常にスムーズに樹木を水耕栽培に移行可能である。
本実施形態で使用した素焼きセラミック球培地は、素材的にも、また大粒径であることから空隙が多いという点でも、保水力が不足する傾向にある。そこで、保水力の不足を給水頻度を増やして補うものである。過去の実績では、冬季は6〜8時間周期、夏季は2〜3時間周期の給水で水分不足にならずに生育できている。
〔水耕栽培装置の第2の実施の形態〕
図2は、本発明に係る別の水耕栽培装置の構成を説明する側面図である。
この実施形態においては、図2に示すように、培地25は、保水性を有する素材により構成されているが、水分供給配管26の先端部よりも上方の位置においては、培地25の一部は、吸水性及び保水性のない非吸水性素材38により置換されている。すなわち、基本構成は先の実施形態と同じだが、水分供給配管26の上に非吸水性素材38が置かれ、その上に防雨カバー39がある点が先の実施形態との相違点である。
以下、先の実施形態との相違を中心に、より詳細に説明する。なお、先の実施形態と同一の部材については、符号は、先の実施形態における符号に「20」を加えたものとなっている。
本実施形態では、水分供給配管26を培地25中に埋没する代わりに、水分供給配管26よりも上方を非吸水性素材38で覆っている。これは、(1)植物の根の性質として「上に向かって成長することは殆どない」、(2)水分供給配管26より上には給水が及ばないので、そもそも根が成長していくことを想定していない、ことから、高価な培地を使わずとも、もっと安価な素材で置き換えるのが合理的だからである。培地25の表面からの水の蒸散を抑えるため、給水時にも水分を吸い上げないことが望ましく、吸水性のない非吸水性素材38を選択するのがよい。
先の実施形態及びここまでの説明では、装置を室内、もしくは、ベランダ等の殆ど雨のかからない場所に設置することを想定している。しかし、本発明に係る水耕栽培装置は、ある程度の雨除けをすれば容易に屋外にも設置可能である。防雨カバー39はそうした屋外設置の際に必要となるパーツである。すなわち、防雨カバー39は本装置を屋外設置した際に植物苗の根元付近が雨で濡れるのを防止するものである。すなわち、防雨カバー39は雨を透過しないので、その上に降った雨は防雨カバーの外側にしか到達せず、防雨カバーの下の苗の根元部分には何ら影響しないのである。
一方、防雨カバー39の外側に降った雨は、非吸水性素材38に弾かれて装置外に留まるか、非吸水性素材38を透過して培地に到達し吸収され、もしくは、そのまま下に流れ落ちる。いずれにしろ植物苗28の根元には、殆ど影響しない。
当然ながら、植物苗28を除く装置(耐水性容器21、培地容器23)の上全面を覆うように雨除けカバーを設置すれば申し分ない。しかし、本発明に係る装置の場合には、耐水性容器21内に溜まる雨水があまり多くならないように、ある程度の雨除けができていれば、あとは防雨カバー39があれば十分である。
すなわち、過剰水分であるところの雨水は、速やかに培地25を通って培地容器23の底から流れ落ち、耐水性容器21に溜まるが、それによる水位上昇が培地容器23の底面に達しない範囲であれば、次回の給水サイクルにおける水位調整により外部タンク33に回収されるだけである。雨水による水位上昇が、培地容器23の底面に達しない程度に雨除けできていれば、装置は機能する。雨水の影響として外部タンク33の水量が増えて液肥成分が幾分希釈されるが、耐水性容器21を含めた本装置の総貯水量に比べれば僅かな変化であり、その影響は非常に小さい。
本発明は、保水性の培地を用いて植物苗を生育する水耕栽培装置及び水耕栽培方法に適用される。
1,21 耐水性容器
2,22 架台
3,23 培地容器
4,24 孔
5,25 培地
6,26 水分供給配管
7,27 水分供給配管の孔
8,28 植物苗
9,29 低水位液面センサ
10,30 ポンプ
11,31 ポンプ
12,32 制御ボックス
13,33 外部タンク
14,34 低水位時の水面
15,35 高水位時の水面
16,36 蓋
17,37 高水位液面センサ
18,38 水分回収配管
38 非吸水性素材
39 防雨カバー

Claims (3)

  1. 植物苗の根元が埋設される保水性の培地を収容し保持するとともに、底面に水が通過する孔が設けられた培地容器と、
    記培地容器を収容し保持する耐水性容器と、
    液肥が溶け込んだ水を蓄える外部タンクと、
    前記外部タンク内の前記液肥が溶け込んだ水を前記培地内に直接供給する水分供給配管と、
    前記培地容器の外側の前記耐水性容器内の水を耐水性容器外に排出する排水手段と、
    前記水分供給配管から前記培地への給水量及び前記耐水性容器内の水位を調整する水位調整機構と
    を備え、
    前記外部タンクから前記培地への送水及び前記培地から前記培地容器の外側に流れた過剰水分の前記耐水性容器からの排出を間歇的に繰り返し、前記耐水性容器内の水位を周期的に上下させることによって、前記水分供給配管から送られる水、及び、前記培地容器の外側から前記培地容器内に戻る水により、前記培地に水分及び養分を供給する水耕栽培装置であって、
    前記水分供給配管の先端部は、前記培地容器内の前記培地中に埋没されて配置され、前記培地中において、前記植物苗の根元から離れた位置に水分を供給し
    前記培地容器の底面と前記耐水性容器の底面との間には空間が形成されており、
    前記水位調整機構による前記水分供給配管から前記培地への給水量の調整により、前記培地において、この培地の保水能力を越えて供給された過剰水分は、下方に流れ落ち、上方への浸透拡散がなく、かつ、水平方向への浸透拡散がなく、前記培地容器の底面から下方に排出さ、水分供給を茎に近い根元部分に及ばない高さにとどめられかつ、前記植物苗の根元を中心に外周から内周に向かう水平方向に前記培地の水分含有量が減っていく分布が形成され、前記培地内の前記植物苗の根元周辺が、前記培地容器の底部近傍の培地よりも乾燥した状態に維持される
    ことを特徴とする水耕栽培装置。
  2. 前記培地は、保水性を有する素材により構成されており、前記水分供給配管の先端部よりも上方の位置においては、前記培地の一部は、吸水性及び保水性のない素材により置換されている
    ことを特徴とする請求項1記載の水耕栽培装置。
  3. 底面に水が通過する孔が設けられた培地容器内に保水性の培地を収容させて保持させ、前記培地内に植物苗の根元を埋設し、前記培地容器を耐水性容器内に収容させ、前記培地容器の底面と前記耐水性容器の底面との間に空間を形成した状態に保持させ、液肥が溶け込んだ水を前記培地に対して間歇的に供給する水耕栽培方法であって、
    前記培地における給水位置の調整及び前記培地における水分の透過速度の調整によって、前記培地の保水能力を越えて供給された過剰水分を前記培地容器の底面から下方に排出させ、前記培地内における水分の拡散を抑制し、前記培地内の水分含有量の分布を、前記植物苗の根元周辺が前記培地容器の底部近傍の培地よりも乾燥した分布に維持し、かつ、前記植物苗の根元を中心に外周から内周に向かう水平方向に前記培地の水分含有量が減っていく分布を形成し、水分供給を茎に近い根元部分に及ばない高さにとどめる
    ことを特徴とする水耕栽培方法。
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