JP5812229B1 - シャシーダイナモメータの制御装置 - Google Patents
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Abstract
シャシーダイナモメータの制御装置において、仕事量誤差とベンチ間の機差は車両特性の計測精度に悪影響を与える。検出速度信号とトルク検出信号を駆動力オブザーバ6に入力して正慣性の電気慣性指令を出力する。その電気慣性指令は、検出速度信号に対応して走行抵抗設定部7から出力される走行抵抗指令と加算し、この加算値からトルク検出信号を減算してトルク制御指令を生成する。駆動力オブザーバ6と併設して負慣性の電気慣性指令を出力する電気慣性設定部20を設ける。設定慣性をM、固定慣性をMoとし、M>Moのときに駆動力オブザーバ6から電気慣性指令を出力し、M<Moのときに電気慣性設定部20から電気慣性指令を出力する。また、前記電気慣性指令に速度補正部21の速度補正値を加える。
Description
本発明は、シャシーダイナモメータの制御装置に係わり、特にシャシーダイナモメータの仕事量精度の向上と機差の低減に関するものである。
シャシーダイナモメータシステムで車両の性能試験や排ガス試験などを行うとき、ダイナモメータは制御装置による走行抵抗制御を行うことで実車と等価な慣性を付加し、実路走行を模擬した試験を行っている。
図13はシャシーダイナモメータ制御部の概略構成を示したもので、1は被試験車両、2はダイナモメータ、3はローラで、このローラ3に被試験車両1が載置される。4はロードセル、5はパルスピックアップで、このロードセル4とパルスピックアップ5により計測された信号が駆動力オブザーバ6に入力される。
図13はシャシーダイナモメータ制御部の概略構成を示したもので、1は被試験車両、2はダイナモメータ、3はローラで、このローラ3に被試験車両1が載置される。4はロードセル、5はパルスピックアップで、このロードセル4とパルスピックアップ5により計測された信号が駆動力オブザーバ6に入力される。
7は、パルスピックアップ5により計測された信号を入力とし、車速に応じた走行抵抗指令を出力する走行抵抗設定部であり、その出力は加算部8と駆動力オブザーバ6に出力される。その際、駆動力オブザーバ6は、走行抵抗のうち、ダイナモメータの吸収分として慣性抵抗を制御する電気慣性補償方式が採用されており、この方式は特許文献1として公知となっている。特許文献1は、慣性抵抗を変える手段としてトルク制御系が生成したゲインを可変してダイナモメータの出力トルクを変えることで、電気慣性ループの安定化を図ったものである。
走行抵抗設定部7の出力と駆動力オブザーバ6の出力は加算部8で加算され、その加算値からロードセル4により検出されたトルクを減算部9で減じ、差分の値がトルク制御部10に入力されてトルク指令を生成し、制御値としてインバータ11に出力される。インバータ11はトルク指令に対応してダイナモメータ2に対するトルク吸収の制御を実行する。
シャシーダイナモメータシステムで車両の性能試験などを行うとき、実路を走行して得られた仕事量と、ダイナモメータ上でモード走行して得られた仕事量は一致せずに誤差が発生する。この仕事量誤差はベンチ間で異なることが分っており、誤差の発生及びベンチ間機差の発生原因として以下のA〜Cの3要因が挙げられる。なお、仕事量誤差率などは(1)〜(5)式によって定義する。
仕事量誤差率[%]=(計測仕事量[J]−目標仕事量[J])/目標仕事量[J]
×100[%] ………(1)
目標仕事量[J] =∫(目標駆動力[N]×車速検出[km/h])/
(3.6)dt ………(2)
計測仕事量[J] =∫(計測駆動力[N]×車速検出[km/h])/
(3.6)dt ………(3)
目標駆動力[J] =走行抵抗設定+(固定慣性[kg]+電気慣性[kg])
×加速度[m/s^2] ………(4)
計測駆動力[J] =DYトルク[N]+メカロス[N]+固定慣性[kg]
×加速度[m/s^2] ………(5)
ただし、DY:ダイナモメータ。
仕事量誤差率[%]=(計測仕事量[J]−目標仕事量[J])/目標仕事量[J]
×100[%] ………(1)
目標仕事量[J] =∫(目標駆動力[N]×車速検出[km/h])/
(3.6)dt ………(2)
計測仕事量[J] =∫(計測駆動力[N]×車速検出[km/h])/
(3.6)dt ………(3)
目標駆動力[J] =走行抵抗設定+(固定慣性[kg]+電気慣性[kg])
×加速度[m/s^2] ………(4)
計測駆動力[J] =DYトルク[N]+メカロス[N]+固定慣性[kg]
×加速度[m/s^2] ………(5)
ただし、DY:ダイナモメータ。
A.トルク制御部の制御応答によるばらつきについて
制御応答は、例えば90%応答、100ms以内というようにある基準は設定されているが、制御応答は調整者によってフィードフォワードの量やPID調整パラメータの違いにより応答性に機差が生じる。これにより、電気慣性の応答性能に機差が生じて計測の仕事量誤差率のばらつきに影響する。また、制御のフィードバックに使用するトルク検出には一意のローパスフィルターが使用されるが、これにより検出応答性が低くなって応答性を上げることが困難になっている。
制御応答は、例えば90%応答、100ms以内というようにある基準は設定されているが、制御応答は調整者によってフィードフォワードの量やPID調整パラメータの違いにより応答性に機差が生じる。これにより、電気慣性の応答性能に機差が生じて計測の仕事量誤差率のばらつきに影響する。また、制御のフィードバックに使用するトルク検出には一意のローパスフィルターが使用されるが、これにより検出応答性が低くなって応答性を上げることが困難になっている。
B.負慣性設定時の電気慣性制御方式について
図13で示す駆動力オブザーバ6での電気慣性制御方式は、特許文献1のものが使用されるが、この方式は原動機の出力トルクを推定し、その推定値に機械慣性と電気慣性補償から求めるゲインを乗算して電気慣性分のトルク指令とするため、電気慣性補償の増減にも係わらずオブザーバのゲイン増減を小さくでき、応答性が向上できる利点を有する。その反面、負慣性では、電気慣性指令として固定慣性分の発生トルクから演算を開始するため、速度の変化点では理論電気慣性指令より大きな電気慣性となってしまう。
図13で示す駆動力オブザーバ6での電気慣性制御方式は、特許文献1のものが使用されるが、この方式は原動機の出力トルクを推定し、その推定値に機械慣性と電気慣性補償から求めるゲインを乗算して電気慣性分のトルク指令とするため、電気慣性補償の増減にも係わらずオブザーバのゲイン増減を小さくでき、応答性が向上できる利点を有する。その反面、負慣性では、電気慣性指令として固定慣性分の発生トルクから演算を開始するため、速度の変化点では理論電気慣性指令より大きな電気慣性となってしまう。
このことは(7)式で表される理論電気慣性指令と(6)式で表される駆動力オブザーバ電気慣性指令を比較してみるとわかる。設定慣性−固定慣性は電気慣性のことであり、この電気慣性が負慣性となる時の設定慣性は固定慣性より小さくなることから、駆動力オブザーバ電気慣性指令は理論電気慣性指令より大きくなり、速度変化点で電気慣性がかかりすぎる傾向となって仕事量誤差の発生に影響する。
駆動力オブザーバ電気慣性指令=(ロードセルトルク+固定慣性×加速度)×(設定慣性−固定慣性)/設定慣性 ……(6)
理論電気慣性指令=電気慣性×加速度 ……(7)
なお、負慣性とは、シャシーダイナモメータの機械慣性(固定慣性)より小さい慣性とするためにかける慣性量で、例えば、固定慣性が1000kg(相当車重)あるとき、700kgの車両の試験を行うときには−300kgの負慣性をかける必要がある。つまりシャシーダイナモメータから駆動することになる。
駆動力オブザーバ電気慣性指令=(ロードセルトルク+固定慣性×加速度)×(設定慣性−固定慣性)/設定慣性 ……(6)
理論電気慣性指令=電気慣性×加速度 ……(7)
なお、負慣性とは、シャシーダイナモメータの機械慣性(固定慣性)より小さい慣性とするためにかける慣性量で、例えば、固定慣性が1000kg(相当車重)あるとき、700kgの車両の試験を行うときには−300kgの負慣性をかける必要がある。つまりシャシーダイナモメータから駆動することになる。
C.速度補正ゲインについて
シャシーダイナモメータの制御には、速度補正といわれる目標車速と実車速の速度差が0となるような補正が行われている。これは、(8)〜(10)式に示すように目標駆動力=計測駆動力となるように目標車速を算出するためのもので、補正が正しく機能すれば仕事量としても仕事量誤差を0に近づけることができる。
現状では差車速(目標車速と実車速の差)に一定のゲインをかけて補正量としているため、車重設定が大きい場合と小さい場合では、その効果率が一定とならず仕事量誤差率が設定慣性で変化する原因となっている。
目標駆動力 = 走行抵抗設定+(固定慣性+電気慣性)×加速度 …(8)
計測駆動力 = DYトルク+メカロス+固定慣性×加速度 ……(9)
(8)式=(9)式から
目標車速=1/電気慣性×∫(DYトルク+メカロス−走行抵抗設定)dt
……(10)
本発明が目的とするとこは、シャシーダイナモメータの制御精度の向上と機差低減を可能としたシャシーダイナモメータの制御装置を提供することにある。
シャシーダイナモメータの制御には、速度補正といわれる目標車速と実車速の速度差が0となるような補正が行われている。これは、(8)〜(10)式に示すように目標駆動力=計測駆動力となるように目標車速を算出するためのもので、補正が正しく機能すれば仕事量としても仕事量誤差を0に近づけることができる。
現状では差車速(目標車速と実車速の差)に一定のゲインをかけて補正量としているため、車重設定が大きい場合と小さい場合では、その効果率が一定とならず仕事量誤差率が設定慣性で変化する原因となっている。
目標駆動力 = 走行抵抗設定+(固定慣性+電気慣性)×加速度 …(8)
計測駆動力 = DYトルク+メカロス+固定慣性×加速度 ……(9)
(8)式=(9)式から
目標車速=1/電気慣性×∫(DYトルク+メカロス−走行抵抗設定)dt
……(10)
本発明が目的とするとこは、シャシーダイナモメータの制御精度の向上と機差低減を可能としたシャシーダイナモメータの制御装置を提供することにある。
本発明の請求項1は、ダイナモメータのローラ上に被試験車両を載置し、前記ローラの検出速度信号とダイナモメータのトルク検出信号を駆動力オブザーバに入力して正慣性の電気慣性指令を出力し、検出速度信号に対応して出力される走行抵抗指令と電気慣性指令との加算値からトルク検出信号を減算し、差分をトルク制御部に入力してトルク制御指令を生成し、インバータを介してダイナモメータを制御するシャシーダイナモメータにおいて、
前記検出速度信号を入力して負慣性の電気慣性指令を出力する電気慣性設定部を設け、
設定慣性をM、固定慣性をMoとしてM>Moのときに前記駆動力オブザーバから電気慣性指令を出力し、M<Moのときに前記電気慣性設定部から電気慣性指令の出力を得て前記走行抵抗指令と加算するよう構成したことを特徴としたものである。
前記検出速度信号を入力して負慣性の電気慣性指令を出力する電気慣性設定部を設け、
設定慣性をM、固定慣性をMoとしてM>Moのときに前記駆動力オブザーバから電気慣性指令を出力し、M<Moのときに前記電気慣性設定部から電気慣性指令の出力を得て前記走行抵抗指令と加算するよう構成したことを特徴としたものである。
本発明の請求項2は、電気慣性設定値に応じて速度補正ゲインがマップ化された速度補正ゲインマップを有する速度補正部を設け、
前記電気慣性設定値に応じて速度補正ゲインを変えて前記駆動力オブザーバ若しくは電気慣性設定部の出力に加算するよう構成したことを特徴としたものである。
前記電気慣性設定値に応じて速度補正ゲインを変えて前記駆動力オブザーバ若しくは電気慣性設定部の出力に加算するよう構成したことを特徴としたものである。
本発明の請求項3は、前記電気慣性設定部は、前記検出速度信号を微分する第1の微分回路と、第1の微分回路の微分信号と予め設定された電気慣性を乗算する第1の乗算部を設け、第1の乗算部の乗算値を前記走行抵抗指令に加算するよう構成したことを特徴としたものである。
本発明の請求項4は、前記速度補正部は、前記走行抵抗指令とトルク検出信号の差分を電気慣性で除算した結果の加速度を積分して演算速度を算出し、
算出された演算速度に、設定された電気慣性と設定慣性との比からなる慣性値を乗算して第1の演算速度とし、
設定された固定慣性と設定慣性の比からなる慣性値に前記検出速度信号を乗算して第2の演算速度とし、
前記第1の演算速度と第2の演算速度を加算して速度目標値を算出し、この速度目標値と前記検出速度信号の差分で速度誤差を生成するよう構成すると共に、
前記速度補正ゲインマップを補正出力部に設け、補正出力部からの速度補正ゲインと前記速度誤差を乗算することで補正信号を生成して前記駆動力オブザーバ若しくは電気慣性設定部の出力に加算するよう構成したことを特徴としたものである。
算出された演算速度に、設定された電気慣性と設定慣性との比からなる慣性値を乗算して第1の演算速度とし、
設定された固定慣性と設定慣性の比からなる慣性値に前記検出速度信号を乗算して第2の演算速度とし、
前記第1の演算速度と第2の演算速度を加算して速度目標値を算出し、この速度目標値と前記検出速度信号の差分で速度誤差を生成するよう構成すると共に、
前記速度補正ゲインマップを補正出力部に設け、補正出力部からの速度補正ゲインと前記速度誤差を乗算することで補正信号を生成して前記駆動力オブザーバ若しくは電気慣性設定部の出力に加算するよう構成したことを特徴としたものである。
本発明の請求項5は、トルク制御部のトルク検出信号フィードバック用のトルク検出回路にローパスフィルタを設け、ローパスフィルタの特性を、予め計測した機械動特性との共振倍率のピーク値が1倍以下となるよう設定したことを特徴としたものである。
本発明の請求項6は、前記駆動力オブザーバは、前記検出速度信号を微分する第2の微分回路と、
第2の微分回路の微分信号と予め設定された固定慣性とを乗算する第2の乗算部と、
第2の乗算部による乗算値と前記ローパスフィルタの出力値とを加算した後、前記走行抵抗指令との差分を算出する減算部と、
減算部で算出された差分と予め設定された電気慣性と設定慣性の比による電気慣性設定値とを乗算し、この乗算値と前記走行抵抗指令を加算するよう構成したことを特徴としたものである。
第2の微分回路の微分信号と予め設定された固定慣性とを乗算する第2の乗算部と、
第2の乗算部による乗算値と前記ローパスフィルタの出力値とを加算した後、前記走行抵抗指令との差分を算出する減算部と、
減算部で算出された差分と予め設定された電気慣性と設定慣性の比による電気慣性設定値とを乗算し、この乗算値と前記走行抵抗指令を加算するよう構成したことを特徴としたものである。
以上のとおり、本発明によれば、仕事量誤差の発生、及びベンチ間機差の発生が縮減されてより高精度な車両特性の計測が可能となるものである。
図1は、本発明の実施例を示す構成図で、図13と同一部分若しくは相当する部分に同一符号を付してその説明を省略する。13はロードセル4の出力側に接続されたローパスフィルタであり、ローパスフィルタ13の出力は駆動力オブザーバ6および減算部9に入力されている。
20は、パルスピックアップ5により計測された信号を入力とする電気慣性設定部であり、以下の説明では、使用される電気慣性方式を、駆動力オブザーバ6に用いられる方式を正慣性時電気慣性方式と呼称するのに対し、この電気慣性設定部20での電気慣性方式を負慣性時電気慣性方式(:微分方式)と呼称する。
前記併設した駆動力オブザーバ6と電気慣性設定部20の各電気慣性設定値を、切替器により切り替えて出力し、その出力と速度補正部21の補正量とを加算部22で加算し、加算部22の出力と走行抵抗設定部7の出力とを加算部8において加算するように構成した。
後述のように設定慣性をM、固定慣性をMoとしたときM>Moのときに駆動力オブザーバ6から電気慣性設定値を出力し、M<Moのとき、すなわち、負慣性のときに電気慣性設定部20から電気慣性設定値が加算部8側に出力される。このように、負慣性設定時の制御方式を切替ることにより車速変化点の発生誤差量の(負慣性時の)低減を図るものである。
尚、図1では図示省略しているが、速度補正部21には後述の図3のように、トルク検出信号、速度検出信号および走行抵抗設定部7の走行抵抗指令が入力されるものである。
図2は、図1のトルク制御部10a、インバータ11および電気慣性設定部20の詳細な構成を示し、図1における駆動力オブザーバ6、切替器、速度補正部21、加算部22等は図示省略している。また、図2においてインバータ11の出力側から車速Vまでの間に図示されたブロックは、図1のダイナモメータ2およびローラ3の機械構成部分を模擬的にブロックに置換えて表現したものである。したがってこのブロックで、被試験車両1の駆動力からダイナモメータ2の駆動力を差し引き、その差分に1/sMoを乗算した部分は、ローラ3に取り付けられたパルスピックアップ5から車速相当の速度検出をしていることを表している(これは後述の図4の場合も同様である)。
前記電気慣性設定部20には、パルスピックアップ5により検出された速度検出信号が入力され、微分回路20aにおいて微分され、その微分信号は設定部20cにおいて予め設定された電気慣性Meと乗算部20bで乗算される。乗算部20bの乗算値は、図示省略の速度補正部21からの補正値が加算部22で加算された後加算部8に出力され、加算部8において走行抵抗設定部7による走行抵抗指令と加算される。
図3は図1の速度補正部21の構成図を示したもので、この速度補正部21はトルク検出から得られる理論車速と実車速の差を0とするよう補正するものである。このため、速度補正部21は補正量に対しての比例ゲインをマップ化して慣性設定値に応じた補正出力を発生するよう構成される。
減算部21aにおいて、走行抵抗設定部7の走行抵抗指令値とトルク検出信号の差分が算出され、その差分は21bにおいて電気慣性Meにより除算され加速度となる(乗算部21bによって、減算部21aの差分出力と1/Meとが乗算されて加速度となる)。
加速度は積分器21cで積分されて演算速度となり乗算部21dに入力される。設定部21eでは電気慣性Meと設定慣性Mとの比が設定され、乗算部21dで演算速度と設定比率による乗算が行われて第1の演算速度となって加算部21fに入力される。
一方、設定部21gでは、シャシーダイナモメータの固定慣性Moと設定慣性Mとの比で慣性値を設定し、設定された慣性値は乗算部21hで速度検出値と乗算されて第2の演算速度となる。この第2の演算速度は加算部21fで第1の演算速度と加算演算されることによって、速度目標値(目標速度)が得られる。この速度目標値は、さらに、減算部21iで速度検出値(パルスピックアップ5の検出値)との差分が得られて速度誤差となる。この速度誤差に補正出力部21kからの比例ゲインを乗算部21jにて乗算することで図1の加算部22への補正量(SE補正)として出力される。
なお、補正出力部21kは、縦軸を速度補正ゲイン、横軸を電気慣性設定値とし、慣性設定値に応じた速度補正ゲインマップとなっている。すなわち、速度補正機能にゲイン補正機能を加え、慣性設定値に応じて速度補正ゲインを変えるよう構成したことで、目標駆動力と計測駆動力が等しくなるよう目標車速を決定している。
尚、図3の構成では、電気慣性Meによる第1の演算速度(乗算部21dの出力)と固定慣性Moによる第2の演算速度(乗算部21hの出力)とを分けて求めているので、理想的な目標速度を演算することができる。
図4は図1の駆動力オブザーバ6の詳細な構成を示し、図1における切替器、電気慣性設定部20、速度補正部21、加算部22等は図示省略している。
パルスピックアップ5で検出された速度検出信号は、走行抵抗設定部7に入力されて速度に対応した走行抵抗指令値が出力される。速度検出信号は駆動力オブザーバ6にも入力されて微分回路6aで微分され、その微分信号は設定部6cで予め設定されたシャシーダイナモメータの固定慣性Moと乗算(乗算部6b)される。
パルスピックアップ5で検出された速度検出信号は、走行抵抗設定部7に入力されて速度に対応した走行抵抗指令値が出力される。速度検出信号は駆動力オブザーバ6にも入力されて微分回路6aで微分され、その微分信号は設定部6cで予め設定されたシャシーダイナモメータの固定慣性Moと乗算(乗算部6b)される。
乗算部6bの乗算値は加算部6dでトルク検出値(ローパスフィルタ13の出力)と加算されて機械慣性によるトルク分が求められ、このトルク分は減算部6eで走行抵抗指令値との差演算が実行されて算出された差分は乗算部6fに出力される。設定部6gでは電気慣性Meと設定慣性Mとの比によって慣性値が設定され、設定された慣性値は乗算部6fにおいて機械慣性によるトルク分と乗算されて電気慣性設定値として加算部8側に出力される。加算部8の出力は、図1で述べたように減算部9を介してトルク制御部10aに出力されてトルク指令が生成される。
トルク制御部10aにはロードセル4により検出されたトルク検出信号がフィードバックされるが、そのトルク検出部の出力側にローパスフィルタ13が接続される。このローパスフィルタ13は、トルク制御部10aの制御応答性の向上を図るために、予め機械動特性を計測し、機械系共振点及び倍率を把握して機械動特性の定量化を図り、計測した機械動特性との共振倍率のピーク値が1倍以下となるようにトルク検出に最適な周波数特性となるよう選定され、例えば、90%/30msecを目標として制御応答・電気慣性応答の向上を図っている。
以上のように構成されたシャシーダイナモメータの制御装置において、ダイナモメータ2が正慣性で制御されているときは、駆動力オブザーバ6による電気慣性設定値に速度補正部21からの補正値が加算されて電気慣性設定値として加算部8に出力される。その際、駆動力オブザーバ6には、微分された検出速度信号(微分回路6aの出力)と固定慣性Moとの乗算値を求め、この乗算値とローパスフィルタ13を通過したトルク検出との加算演算が加算部6dで行われる。
そして、加算部6dの加算値と走行抵抗設定部7からの走行抵抗指令との差分を求める演算が減算部6eで実行される。さらに、減算部6eの演算出力と、設定部6gに設定された電気慣性Meおよび設定慣性Mの比による慣性値とが乗算部6fにおいて乗算され、その結果乗算部6fから加算部8に電気慣性設定値が出力される。
加算部8には、走行抵抗設定部7によって設定された車速に応じた走行抵抗指令が出力されており、この走行抵抗指令と電気慣性設定値(乗算部6fの出力)とが加算される。この加算部8の加算値は、減算部9においてローパスフィルタ13を経てフィードバックされたトルク検出と減算され、その差分がトルク制御部10aに入力されてトルク指令が生成され、インバータ11を介してダイナモメータ2が制御される。
一方、電気慣性設定部20からは、ダイナモメータ2の正慣性制御時には設定慣性Mと固定慣性Moの関係がM>Moとなっているため、電気慣性設定部20による電気慣性設定値は加算部8には出力されない。
次に、ダイナモメータ2の制御が負慣性への電気慣性指令に切替られて設定慣性Mと固定慣性Moの関係がM<Moになると、電気慣性設定部20により設定された慣性値に速度補正部21からの補正値が加算されて電気慣性設定値となって加算部8に出力され、トルク制御部10a及びインバータ11を介してダイナモメータ2は負慣性制御される。当然のことながらM=Moの時にはどちらの設定値も出力されない。
図5、図6は電気慣性指令の特性図を示したものである。各図において、線Aは固定慣性トルク、線Bは駆動力オブザーバ出力(=固定慣性トルク+ロードセルトルク)、線Cは理論電気慣性指令、線Dは電気慣性指令、線Eは車速を示したものである。
図5で示す駆動力オブザーバ6の電気慣性指令のみの場合(従来方式の場合)で、正慣性側では電気慣性範囲が広くなっているのに対し、負慣性側では過渡の初期状態では電気慣性がかかり過ぎて電気慣性指令(線D)と理論電気慣性指令(線C)との間に差異が生じている。これに対し、図6で示す電気慣性設定部20を併設した場合(本発明方式の場合)の電気慣性指令(線D)は、理論電気慣性指令(線C)と一致して電気慣性が高精度でかけられていることが分る。
図7は機械動特性を示したボード線図で、40Hz近辺に共振点が存在し、この共振点及び倍率を把握してローパスフィルタ13の特性が選択される。
図8は機械動特性を考慮したローパスフィルタ13を用いたときのトルク制御特性を比較したボード線図で、線イがローパスフィルタ特性調整前、線ロが調整後であり、周波数特性が広域にまだ伸長されている。
図10,図11は車速変更時の過渡状態時における電気慣性指令を示したもので、図10は従来の駆動力オブザーバ6のみから電気慣性指令を発生させた場合の特性図、図11が本発明による電気慣性設定部20を併設した場合の電気慣性指令の特性図である。各図において線Bは電気慣性指令、線Cは理論電気慣性指令、線Eは車速であり、車速(線E)変更時点の過渡時には図10よりも図11で示す本発明の方が電気慣性指令(線B)が理論電気慣性指令(線C)に近づいていることが分る。
本発明によりトルク制御ゲインが向上することにより、図9で示すようにステップ変化によるトルク応答が向上している。なお、図9(a)が従来のトルク応答を示し、図9(b)が機械動特性を考慮したローパスフィルタ13を用いたときのトルク応答図で、短時間にトルク検出されて電気慣性応答が向上していることが分る。
図12はモード走行時の誤差量変化図で、実際にモード走行したときの積算した仕事量誤差量の変化図で、本発明による電気慣性設定部20を併設した場合に仕事量誤差量が0に近づいている。
以上本発明によれば、次のような効果が得られるものである。
(1)正慣性時の電気慣性方式が採用された駆動力オブザーバと、負慣性時の電気慣性方式を採用した電気慣性設定部を併設し、設定慣性Mと固定慣性Moとの関係がM>Moのときに駆動力オブザーバから電気慣性値を出力し、M<Moのときに電気慣性設定部から出力を得ることで、電気慣性設定値の最適化が可能となり、負慣性時への制御切替時での応答性が向上し、車速変化点での発生誤差量が縮減されるものである。
(2)速度補正部を設けて慣性設定値毎に速度補正ゲインを変化させたことで、全電気慣性設定値の範囲において速度補正が可能となり、目標駆動力と計測駆動力が等しくなるような制御ができるものである。
(3)トルク制御部でのトルク検出フィードバック回路にローパスフィルタを設け、このローパスフィルタの特性として、予め計測した機械動特性との共振倍率のピーク値が1倍以下となるようなトルク検出とすることで、トルク制御の応答性が向上するものである。
(4)上記(1)〜(3)項の全部の組み合わせ、若しくは任意の組み合わせによる装置でシャシーダイナモシステムを使用してモード運転を行った場合、従来と比較して仕事量誤差の発生、及びベンチ間機差の発生が縮減され、仕事量誤差は燃費と相関関係にあることから燃費計測における信頼性が向上し、より高精度な車両特性の計測が可能となるものである。
(1)正慣性時の電気慣性方式が採用された駆動力オブザーバと、負慣性時の電気慣性方式を採用した電気慣性設定部を併設し、設定慣性Mと固定慣性Moとの関係がM>Moのときに駆動力オブザーバから電気慣性値を出力し、M<Moのときに電気慣性設定部から出力を得ることで、電気慣性設定値の最適化が可能となり、負慣性時への制御切替時での応答性が向上し、車速変化点での発生誤差量が縮減されるものである。
(2)速度補正部を設けて慣性設定値毎に速度補正ゲインを変化させたことで、全電気慣性設定値の範囲において速度補正が可能となり、目標駆動力と計測駆動力が等しくなるような制御ができるものである。
(3)トルク制御部でのトルク検出フィードバック回路にローパスフィルタを設け、このローパスフィルタの特性として、予め計測した機械動特性との共振倍率のピーク値が1倍以下となるようなトルク検出とすることで、トルク制御の応答性が向上するものである。
(4)上記(1)〜(3)項の全部の組み合わせ、若しくは任意の組み合わせによる装置でシャシーダイナモシステムを使用してモード運転を行った場合、従来と比較して仕事量誤差の発生、及びベンチ間機差の発生が縮減され、仕事量誤差は燃費と相関関係にあることから燃費計測における信頼性が向上し、より高精度な車両特性の計測が可能となるものである。
Claims (6)
- ダイナモメータのローラ上に被試験車両を載置し、前記ローラの検出速度信号とダイナモメータのトルク検出信号を駆動力オブザーバに入力して正慣性の電気慣性指令を出力し、検出速度信号に対応して出力される走行抵抗指令と電気慣性指令との加算値からトルク検出信号を減算し、差分をトルク制御部に入力してトルク制御指令を生成し、インバータを介してダイナモメータを制御するシャシーダイナモメータにおいて、
前記検出速度信号を入力して負慣性の電気慣性指令を出力する電気慣性設定部を設け、
設定慣性をM、固定慣性をMoとしてM>Moのときに前記駆動力オブザーバから電気慣性指令を出力し、M<Moのときに前記電気慣性設定部から電気慣性指令の出力を得て前記走行抵抗指令と加算するよう構成したシャシーダイナモメータの制御装置。 - 電気慣性設定値に応じて速度補正ゲインがマップ化された速度補正ゲインマップを有する速度補正部を設け、
前記電気慣性設定値に応じて速度補正ゲインを変えて前記駆動力オブザーバ若しくは電気慣性設定部の出力に加算するよう構成した請求項1記載のシャシーダイナモメータの制御装置。 - 前記電気慣性設定部は、前記検出速度信号を微分する第1の微分回路と、第1の微分回路の微分信号と予め設定された電気慣性を乗算する第1の乗算部を設け、
第1の乗算部の乗算値を前記走行抵抗指令に加算するよう構成した請求項1又は2記載のシャシーダイナモメータの制御装置。 - 前記速度補正部は、前記走行抵抗指令とトルク検出信号の差分を電気慣性で除算した結果の加速度を積分して演算速度を算出し、
算出された演算速度に、設定された電気慣性と設定慣性との比からなる慣性値を乗算して第1の演算速度とし、
設定された固定慣性と設定慣性の比からなる慣性値に前記検出速度信号を乗算して第2の演算速度とし、
前記第1の演算速度と第2の演算速度を加算して速度目標値を算出し、この速度目標値と前記検出速度信号の差分で速度誤差を生成するよう構成すると共に、
前記速度補正ゲインマップを補正出力部に設け、補正出力部からの速度補正ゲインと前記速度誤差を乗算することで補正信号を生成して前記駆動力オブザーバ若しくは電気慣性設定部の出力に加算するよう構成した請求項2又は3記載のシャシーダイナモメータの制御装置。 - 前記トルク制御部のトルク検出信号フィードバック用のトルク検出回路にローパスフィルタを設け、
ローパスフィルタの特性を、予め計測した機械動特性との共振倍率のピーク値が1倍以下となるよう設定した請求項1乃至4の何れか1項に記載のシャシーダイナモメータの制御装置。 - 前記駆動力オブザーバは、前記検出速度信号を微分する第2の微分回路と、
第2の微分回路の微分信号と予め設定された固定慣性とを乗算する第2の乗算部と、
第2の乗算部による乗算値と前記ローパスフィルタの出力値とを加算した後、前記走行抵抗指令との差分を算出する減算部と、
減算部で算出された差分と予め設定された電気慣性と設定慣性の比による電気慣性設定値とを乗算し、この乗算値と前記走行抵抗指令を加算するよう構成した請求項5記載のシャシーダイナモメータの制御装置。
Priority Applications (1)
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Applications Claiming Priority (4)
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JP2014113655 | 2014-06-02 | ||
JP2014113655 | 2014-06-02 | ||
JP2015527696A JP5812229B1 (ja) | 2014-06-02 | 2015-05-29 | シャシーダイナモメータの制御装置 |
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Publications (2)
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JP5812229B1 true JP5812229B1 (ja) | 2015-11-11 |
JPWO2015186616A1 JPWO2015186616A1 (ja) | 2017-04-20 |
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Family Applications (1)
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Country Status (1)
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-
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