JP5809874B2 - 繊維製品用洗浄剤 - Google Patents
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Description
繊維製品から発せられる不快な臭気は、繊維製品に付着した微生物が、繊維製品の乾燥中や保管中に増殖することに起因する。
一般に、カチオン性界面活性剤は殺菌効果を有するが、繊維製品用洗浄剤の洗浄効果を高めるためにアニオン界面活性剤を併用すると、カチオン性界面活性剤の殺菌効果が十分に発揮されないという問題があった。
例えば、被覆過炭酸ナトリウムと、特定の配位子と銅又はマンガンとの錯体である金属触媒と、無機アルカリ剤と、界面活性剤とを含有する衣料用粉末洗剤組成物が提案されている(例えば、特許文献1)。特許文献1の発明によれば、優れた臭い抑制効果が図られている。
また、陰イオン界面活性剤と、特定のアルカリビルダーと、アルミノ珪酸塩と、抗菌性金属を含有する無機系抗菌剤とを含有する洗浄剤組成物が提案されている(例えば、特許文献2)。特許文献2の発明によれば、洗浄液中の微生物を十分に減少させ、洗濯物に抗菌効果を付与することが図られている。
そこで、本発明は、幅広い臭気を消臭できる繊維製品用洗浄剤を目的とする。
前記(D)成分を0.01〜3質量%含有することが好ましく、前記(B)成分/前記(C)成分で表されるモル比は、1/3〜5であることがより好ましく、下記一般式(I)で表される有機過酸前駆体(E)と、過酸化水素又は水中で過酸化水素を発生する過酸化物(F)とを含有してもよい。
本発明の繊維製品用洗浄剤は、アニオン界面活性剤(A)(以下、(A)成分ということがある)と、銅、マンガン、ニッケル、鉄及び亜鉛から選択される少なくとも1種(B)(以下、(B)成分ということがある)と、前記(B)成分と錯体を形成するアミノカルボン酸型金属イオン封鎖剤(C)(以下、(C)成分ということがある)と、カチオン化セルロース(D)(以下、(D)成分ということがある)とを含有するものである。
嵩密度は、JIS−K3362により測定される値である(以降において同じ)。
なお、安息角は、容器に満たした粒子が流出するときに形成されるすべり面と、水平面とのなす角であり、いわゆる排出法による安息角測定法で測定される値である(以降において同じ)。
(A)成分は、アニオン界面活性剤である。(A)成分を含有することで、被洗物に付着した汚れや臭気成分を良好に除去できると共に、消臭効果の向上が図れる。これは、繊維製品用洗浄剤が水に分散された洗浄液中で、(A)成分が、(B)成分と(C)成分とで形成された錯体を取り込むと共に、(D)成分と会合体を形成し、この会合体が繊維製品に吸着することで、消臭効果を発揮するためと考えられる。
(1)炭素数8〜18のアルキル基を有する直鎖又は分岐鎖のアルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS又はABS)。
(2)炭素数10〜20のアルカンスルホン酸塩。
(3)炭素数10〜20のα−オレフィンスルホン酸塩(AOS)。
(4)炭素数10〜20のアルキル硫酸塩又はアルケニル硫酸塩(AS)。
(5)炭素数2〜4のアルキレンオキサイドのいずれか、又はエチレンオキサイドとプロピレンオキサイド(モル比EO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)を、平均0.5〜10モル付加した炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル(又はアルケニル)基を有するアルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸塩(AES)。
(6)炭素数2〜4のアルキレンオキサイドのいずれか、又はエチレンオキサイドとプロピレンオキサイド(モル比EO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)を、平均3〜30モル付加した炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル(又はアルケニル)基を有するアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル硫酸塩。
(7)炭素数2〜4のアルキレンオキサイドのいずれか、又はエチレンオキサイドとプロピレンオキサイド(モル比EO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1)を、平均0.5〜10モル付加した炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル(又はアルケニル)基を有するアルキル(又はアルケニル)エーテルカルボン酸塩。
(8)炭素数10〜20のアルキルグリセリルエーテルスルホン酸のようなアルキル多価アルコールエーテル硫酸塩。
(9)長鎖モノアルキル、ジアルキル又はセスキアルキルリン酸塩。
(10)ポリオキシエチレンモノアルキル、ジアルキル又はセスキアルキルリン酸塩。
(11)炭素数14〜18の脂肪酸メチルエステルスルホン酸塩(MES)。
(12)炭素数10〜20の高級脂肪酸塩(石鹸)。
これらの(A)成分は、ナトリウム、カリウムといったアルカリ金属塩や、アミン塩、アンモニウム塩等として用いることができる。また、これらのアニオン界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を混合し、混合物として使用してもよい。
繊維製品用洗浄剤中、(A)成分と、後述するノニオン界面活性剤との合計量が、全界面活性剤の50質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、95質量%以上がさらに好ましい。
さらに、消臭効果の向上の観点から、全界面活性剤中の(A)成分の含有量は、5〜100質量%が好ましく、30〜100質量%がより好ましく、50〜90質量%がさらに好ましく、70〜90質量%が特に好ましい。
好適な界面活性剤含有粒子としては、(A)成分を主界面活性剤とする界面活性剤含有粒子(含アニオン界面活性剤粒子)と、ノニオン界面活性剤を主界面活性剤とする界面活性剤含有粒子(含ノニオン界面活性剤粒子)とが挙げられる。これらの界面活性剤含有粒子は、いずれか一方を用いてもよく、双方を併用してもよいが、最終的な繊維製品用洗浄剤中に(A)成分が含まれる必要がある。
含アニオン界面活性剤粒子は、(A)成分を必須成分とし、含アニオン界面活性剤粒子中に配合されている界面活性剤の中で(A)成分の含有量が最も多くなっている粒子である。
含アニオン界面活性剤粒子に配合される(A)成分としては、特に限定されず、上述した(A)成分のいずれを用いてもよい。含アニオン界面活性剤粒子に配合される(A)成分は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
含アニオン界面活性剤粒子中に含まれてよい他の成分としては、後述する(B)〜(D)成分や、後述する<その他の任意成分>が挙げられる。中でも、(A)成分以外の界面活性剤、無機又は有機の洗浄性ビルダーが好ましく、(A)成分以外の界面活性剤及び無機ビルダーが好ましい。
炭酸カリウムを配合する場合、溶解性向上効果の点から、含アニオン界面活性剤粒子中の含有量は、1〜15質量%が好ましく、2〜12質量%がより好ましく、3〜10質量%がさらに好ましい。
アルカリ金属塩化物を配合する場合、溶解性向上効果の点から、含アニオン界面活性剤粒子中の含有量は、1〜10質量%が好ましく、2〜8質量%がより好ましく、3〜7質量%がさらに好ましい。
方法(1):中和塩型のアニオン界面活性剤を造粒する方法。
方法(2):アニオン界面活性剤の酸前駆体をドライ中和して造粒する方法。
(1−1)界面活性剤の原料粉末及びバインダー化合物(界面活性剤、水、液体高分子成分等)を捏和・混練した後、押出して造粒する押出造粒法。
(1−2)界面活性剤の原料粉末及びバインダー化合物を捏和・混練して固形洗剤を得、得られた固形洗剤を破砕して造粒する捏和・破砕造粒法。
(1−3)界面活性剤の原料粉末にバインダー化合物を添加し、撹拌羽根で撹拌して造粒する撹拌造粒法。
(1−4)界面活性剤の原料粉末を転動させつつ、バインダー化合物を噴霧し造粒する転動造粒法。
(1−5)界面活性剤の原料粉末を流動化させつつ、液体バインダーを噴霧し造粒する流動層造粒法。
(A)成分の酸前駆体としては、前述した(A)成分の酸前駆体であればいずれの酸前駆体も好適に利用可能である。
アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム・カリウム等が挙げられる。アルカリ金属珪酸塩としては、珪酸ナトリウム、層状珪酸ナトリウム等が挙げられる。アルカリ金属燐酸塩としては、トリポリ燐酸ナトリウム、ピロ燐酸ナトリウム等が挙げられる。中でも、アルカリ金属炭酸塩が好ましく、中でも、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム・カリウムがより好ましい。
これらの中和剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
含ノニオン界面活性剤粒子は、ノニオン界面活性剤を含み、含ノニオン界面活性剤粒子中に配合されている界面活性剤の中でノニオン界面活性剤の含有量が最も多くなっている粒子である。
(1)炭素数6〜22、好ましくは8〜18の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを平均3〜30モル、好ましくは3〜20モル、さらに好ましくは5〜20モル付加したポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル。この中でも、ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテルが好適である。ここで使用される脂肪族アルコールとしては、第1級アルコールや、第2級アルコールが挙げられる。また、そのアルキル基は、分岐鎖を有していてもよい。脂肪族アルコールとしては、第1級アルコールが好ましい。
(2)ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル。
(3)長鎖脂肪酸アルキルエステルのエステル結合間にアルキレンオキサイドが付加した脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート。
(4)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル。
(5)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル。
(6)ポリオキシエチレン脂肪酸エステル。
(7)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油。
(8)グリセリン脂肪酸エステル。
含ノニオン界面活性剤粒子に配合されるノニオン界面活性剤は1種であってもよく、2種以上であってもよい。
なお、本発明におけるノニオン界面活性剤のHLBとは、Griffinの方法により求められた値である(吉田、進藤、大垣、山中共編、「新版界面活性剤ハンドブック」、工業図書株式会社、1991年、第234頁参照)。
また、本発明における融点とは、JIS K8001「試薬試験法通則」に記載されている凝固点測定法によって測定された値である。
吸油性担体としては、JIS−K5101試験方法で表される吸油量が、好ましくは80cm3/100g以上、より好ましくは150〜600cm3/100gである物質が好適に用いられる。このような吸油性担体としては、例えば、特開平5−125400号公報や特開平5−209200号公報記載の成分が挙げられる。これらの吸油性担体は1種又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
粘土鉱物としては、特に、スメクタイト群に属し、その結晶構造がジオクタヘドラル型3層構造又はトリオクタヘドラル型3層構造をとるものが好ましい。
本発明における粘土鉱物は、好ましくは吸油量が80cm3/100g未満、さらに好ましくは30〜70cm3/100gで、嵩密度が好ましくは0.1g/cm3以上、さらに好ましくは0.2〜1.5g/cm3のものである。このような粘土鉱物の具体例としては、特開平9−87691号公報記載の成分が挙げられる。
また、含ノニオン界面活性剤粒子の平均粒子径は、好ましくは200〜1500μm、より好ましくは300〜1000μmである。平均粒子径が200μm未満になると粉塵が発生し易くなる場合があり、一方、1500μmを超えると溶解性が不十分になる場合がある。
含ノニオン界面活性剤粒子の流動性は、安息角として60°以下が好ましく、50°以下がより好ましい。60°を超えると粒子の取り扱い性が悪化する場合がある。
得られた含ノニオン界面活性剤粒子は、必要に応じて分級され、所望の粒度に調整された粒子のみとされてもよい。
(B)成分は、銅、マンガン、ニッケル、鉄及び亜鉛から選択される少なくとも1種である。繊維製品用洗浄剤は、(B)成分を含有することで、優れた消臭効果を発揮する。これは、洗浄液中で(B)成分が(C)成分と錯体を形成し、この錯体が微生物の増殖を抑制したり、臭気を吸着したりするためと考えられる。
銅化合物としては、水中で銅イオンを放出するものであれば特に限定されず、例えば、硝酸銅、硫化銅、硫酸銅、塩化銅、酢酸銅、シアン化銅、塩化アンモニウム銅、グルコン酸銅、酒石酸銅、過塩素酸銅等が挙げられ、中でも、取り扱い性、コスト、原料供給性等の点で硫酸銅、塩化銅、グルコン酸銅が好ましく、硫酸銅がより好ましい。
亜鉛化合物としては、水中で亜鉛イオンを放出するものであれば特に限定されず、例えば、硝酸亜鉛、硫化亜鉛、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、シアン化亜鉛、塩化アンモニウム亜鉛、グルコン酸亜鉛、酒石酸亜鉛、過塩素酸亜鉛等が挙げられ、取り扱い性、コスト、原料供給性等の点で硫酸亜鉛、塩化亜鉛、グルコン酸塩が好ましく、硫酸亜鉛がより好ましい。
あるいは、(B)成分として銅を用いる場合、繊維製品用洗浄剤中の銅の含有量は、0.001〜0.5質量%が好ましく、0.01〜0.3質量%がより好ましく、0.02〜0.15質量%がさらに好ましい。上記下限値未満であると、消臭効果が不十分になるおそれがあり、上記上限値超としても、消臭効果のさらなる向上が図れないおそれがあるためである。
また、例えば、(B)成分として亜鉛を用いる場合、繊維製品用洗浄剤中の亜鉛の含有量は、0.002〜2質量%が好ましく、0.02〜1質量%がより好ましく、0.05〜0.5質量%がさらに好ましい。上記下限値未満であると、消臭効果が不十分になるおそれがあり、上記上限値超としても、消臭効果のさらなる向上が図れないおそれがあるためである。
(C)成分は、(B)成分と錯体を形成するアミノカルボン酸型金属イオン封鎖剤である。繊維製品用洗浄剤は、(C)成分を含有することで、優れた消臭効果を発揮する。
カチオン性アンモニウムとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミンが挙げられ、例えば、アンモニウムの水素原子の1〜3個がアルカノール基で置換されたものが挙げられる。アルカノール基の炭素数は1〜3が好ましい。
中でも、X11〜X14は、アルカリ金属が好ましい。
式(c1)中のX11〜X14は、それぞれ、同じであってもよく、異なっていてもよい。
(c1)式中のn1は、1が好ましい。
(c2)式中のX21〜X23は、それぞれ、同じであってもよく、異なっていてもよい。
Aは、アルキル基、カルボキシ基、スルホ基、アミノ基、水酸基、水素原子のいずれであってもよく、水素原子が好ましい。
(c2)式中のn2は、0〜2の整数が好ましく、1がより好ましい。
これらの(C)成分は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
(D)成分は、カチオン化セルロースである。(D)成分と(A)成分とを併用することで、消臭効果をより高められる。加えて、被洗物である繊維製品に柔軟性を付与できる。
なお、(D)成分の質量平均分子量は、ポリエチレングリコールを標準物質としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定することができる。
ここで、「カチオン化度」とは、(D)成分の分子中に占める窒素の含有率(質量%)を意味し、グルコース環単位当たりの窒素原子の割合を示す。なお、該窒素原子はカチオン化剤に由来する。
カチオン化度は、その値が大きいほどカチオン化セルロースのカチオン性が強まり、水溶性が高くなることを意味する。つまりカチオン化度は、被洗物とカチオン化セルロースとの吸着性に関係する物性である。
本発明では、(D)成分のカチオン化度が上記下限値以上であれば、適度な強さのカチオン性が得られ、(D)成分の被洗物への吸着性がより良好となる。一方、カチオン化度が上記上限値以下であれば、カチオン性の強さが適度に抑えられて水溶性が高くなりすぎない。つまり、被洗物に吸着した(D)成分が、濯ぎ等によって流失するのを防ぐことができる。このため、被洗物への(D)成分の吸着性が良好に保たれ、(D)成分を介して、(B)成分と(D)成分との錯体が被洗物に吸着し、消臭効果が洗浄後から、使用後の洗浄に至るまで持続されると考えられる。
ここで、「EO置換度」とは、セルロース原料のグルコース環単位当たり、EOで置換された水酸基の平均個数(該グルコース環の持つ3つの水酸基の内のいくつにEOが付加されたかを示すもので、最大3となる。)を示す。EO置換度は0.3以上であれば、分子同士の相互作用が少なく、溶解性が高いので好ましい。
上記市販のものにおけるグレードの相違は、セルロースの分子量、EOの平均付加モル数又はカチオン化度等が異なることによる。
本発明において、(D)成分は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、(B)成分と(C)成分との錯体は、疎水的な状態であれば、前記ミセルに取り込まれる量が高まると考えられる。(B)成分と(C)成分との錯体が疎水的になるか否かは、(B)/(C)モル比に依存すると考えられる。
繊維製品用洗浄剤は、(A)〜(D)成分に加え、下記一般式(I)で表される有機過酸前駆体(E)((E)成分)を含有できる。(E)成分は、後述する(F)成分と併用されることで、有機過酸を発生し、この有機過酸が、洗浄液中の微生物又は被洗物に付着した微生物に作用し、殺菌又は除菌効果が向上する。加えて、殺菌又は除菌効果は、(B)成分と(C)成分との錯体の存在によって、相乗的に高められる。このため、洗浄後の乾燥中の繊維製品や使用後の繊維製品において、微生物の増殖が抑制され、消臭効果がより高められる。さらに、繊維製品の漂白効果が高まる。
Mにおける塩形成カチオンとしては、例えば、前記式(c1)中のX11〜X14の説明で挙げたアルカリ金属、アルカリ土類金属、カチオン性アンモニウム等が挙げられる。Mとしては、水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はカチオン性アンモニウムが好ましく、水素原子又はアルカリ金属がより好ましい。
(E)成分としては、例えば、デカノイルオキシ安息香酸、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム等が挙げられ、繊維製品の褪色を抑制する観点から、デカノイルオキシ安息香酸、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましく、4−デカノイルオキシ安息香酸、4−ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウムがより好ましい。これらの(E)成分は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
造粒物又は成形物中、(E)成分の含有量は、30〜95質量%が好ましく、50〜90質量%がより好ましい。含有量が上記範囲内であると、造粒した効果が十分に得られない場合がある。
バインダー化合物としては、公知のものが利用できる。好ましいバインダー化合物として、ポリエチレングリコール、炭素数12〜20の飽和脂肪酸、重量平均分子量1000〜1000000のポリアクリル酸及びその塩等が挙げられる。
ポリエチレングリコールとしては、平均分子量500〜25000のポリエチレングリコールが好ましい。該平均分子量は、1000〜20000がより好ましく、2600〜9300がさらに好ましく、7300〜9300が特に好ましい。
炭素数12〜20の飽和脂肪酸としては、炭素数14〜20の飽和脂肪酸が好ましく、炭素数14〜18の飽和脂肪酸がより好ましい。
なお、本明細書において、ポリエチレングリコールの平均分子量は、化粧品原料基準(第2版注解)記載の平均分子量を示す。ポリアクリル酸及びその塩の重量平均分子量は、ポリエチレングリコールを標準物質とするゲルパーミエーションクロマトグラフィーによる測定値である。
造粒物又は成形物中、バインダー化合物の含有量は、0.5〜30質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましく、5〜20質量%がさらに好ましい。
この界面活性剤としては、従来公知のアニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤等を用いることができる。
好ましい界面活性剤として、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、オレフィンスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、それらのいずれか2種以上の混合物等が挙げられる。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、アルキル基の炭素数が10〜15のものが好ましく、アルキレンオキサイドとしてEO及び/又はプロピレンオキサイド(PO)が付加したものが特に好ましい。該ポリオキシアルキレンアルキルエーテルにおけるアルキレンオキサイドの平均付加モル数は、EO、PO、あるいはEOとPOの混合のいずれの場合も、合計で4〜30が好ましく、5〜15がより好ましい。また、EO/POのモル比は、5/0〜1/5が好ましく、5/0〜1/2がより好ましい。
オレフィンスルホン酸塩としては、アルキル基の炭素数が14〜18のα−オレフィンスルホン酸のナトリウム塩又はカリウム塩が好ましい。
アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、アルキル基の炭素数が10〜14である直鎖アルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩又はカリウム塩が好ましい。
アルキル硫酸エステル塩としては、アルキル基の炭素数が10〜18のアルキル硫酸エステル塩が好ましく、ナトリウム塩等のアルカリ金属塩がより好ましく、ラウリル硫酸エステルナトリウム又はミリスチル硫酸エステルナトリウムがさらに好ましい。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩としては、炭素数10〜18のアルキル基を有するポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩が好ましく、ナトリウム塩がより好ましい。ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩におけるオキシエチレン基の平均重合度(以下、平均重合度をPOEと記載する。)は1〜10が好ましく、1〜5がより好ましい。ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩としては、特に、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステルナトリウム(POE=2〜5)、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル硫酸エステルナトリウム(POE=2〜5)が好ましい。
造粒物又は成形物中、界面活性剤の含有量は、0〜50質量%が好ましく、3〜40質量%がより好ましく、3〜10質量%がさらに好ましい。
造粒又は成形の際、バインダー化合物を予め融解して(E)成分(及び必要に応じて界面活性剤等)に添加することが、保存安定性、製造性等の観点で好ましい。この時、バインダー化合物を融解させる温度は40〜100℃が好ましく、50〜100℃がより好ましく、50〜90℃がさらに好ましい。
これらの成分を均一になるまで撹拌混合した後、造粒又は成形することにより造粒物又は成形物が得られる。
好ましい造粒法としては、押出造粒が挙げられる。この場合、造粒物の平均粒子径を500〜5000μmとすることが好ましく、平均粒子径を500〜3000μmとすることがより好ましい。
また、成形物とする場合の好ましい成形法として、例えば、ブリケット機により錠剤形状にする方法等が挙げられる。
繊維製品用洗浄剤は、(A)〜(D)成分に加え、過酸化水素又は水中で過酸化水素を発生する過酸化物(F)((F)成分)を含有できる。(F)成分を含有することで、漂白効果、殺菌効果、除菌効果が高まる。加えて、(F)成分は、(E)成分と併用されることで、漂白効果、殺菌効果、除菌効果を相乗的に高められる。
繊維製品用洗浄剤が固体である場合、(F)成分としては、過酸化物が用いられる。この時、繊維製品用洗浄剤には、過酸化物がそのまま配合されてもよく、貯蔵時の安定性等を改善するための被覆が施された被覆粒子(例えば、被覆過炭酸ナトリウム粒子)として配合されてもよい。
これらの(F)成分は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、繊維製品用洗浄剤が、成分(A)の配合等により水分が多い組成物となっている場合には、過炭酸ナトリウムにケイ酸及びホウ酸ナトリウムでコーティングした被覆過酸化物、芳香族炭化水素スルホン酸及び珪酸アルカリ塩、炭酸塩、重炭酸塩及び硫酸塩で被覆したものを用いるのがより好ましい。
なお、繊維製品用洗浄剤が固体である場合、(F)成分の安定性を考慮すると、繊維製品用洗浄剤の水分は9質量%以下が好ましい。
また、繊維製品用洗浄剤中の(F)成分の含有量は、1〜30質量%が好ましく、2〜20質量%がより好ましく、2〜15質量%がさらに好ましい。上記下限値未満では、殺菌効果、除菌効果が不十分となり、消臭効果が高まらないおそれがある。上記上限値超とすると、(A)成分の含有量が不十分となり、洗浄効果が低下するおそれがある。
繊維製品用洗浄剤は、(A)〜(F)成分に加え、(A)成分以外の界面活性剤(任意界面活性剤)、洗浄性ビルダー、(C)成分以外の金属イオン封鎖剤、香料、色素、蛍光増白剤、酵素、酵素安定剤、その他のポリマー類、ケーキング防止剤、消泡剤、還元剤、pH調整剤等の任意成分を含有できる。
任意界面活性剤としては、≪含ノニオン界面活性剤粒子≫で例示したノニオン界面活性剤、従来公知のカチオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、例えば、以下のものを挙げることができる。
(1)ジ長鎖アルキルジ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩。
(2)モノ長鎖アルキルトリ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩。
(3)トリ長鎖アルキルモノ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩。
これら(1)〜(3)における「長鎖アルキル」は、炭素数12〜26のアルキル基を示す。該アルキル基の炭素数は14〜18が好ましい。
「短鎖アルキル」は、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基を示す。該アルキル基の炭素数は1又は2が好ましい。該アルキル基が有していてもよい置換基としては、フェニル基、ベンジル基、水酸基、ヒドロキシアルキル基、ポリオキシアルキレン基等が挙げられる。ヒドロキシアルキル基の炭素数は2〜4が好ましく、2又は3がより好ましい。ポリオキシアルキレン基におけるアルキレン基の炭素数は2〜4が好ましく、2又は3がより好ましい。
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系の両性界面活性、アミドベタイン系の両性界面活性剤等を挙げることができる。具体的には、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタインが好適なものとして挙げられる。
これらの任意界面活性剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
洗浄性ビルダーは、無機ビルダー、有機ビルダーに大別される。
無機ビルダーとしては、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等のアルカリ金属亜硫酸塩、結晶性層状珪酸ナトリウム(例えば、クラリアントジャパン社製の商品名[Na−SKS−6](δ−Na2O・2SiO2))等の結晶性アルカリ金属珪酸塩、非晶質アルカリ金属珪酸塩、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等の硫酸塩、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩化物、アルミノ珪酸塩等が挙げられる。
アルミノ珪酸塩としては、結晶質、非晶質(無定形)のいずれのものも用いることができる。カチオン交換能の点から結晶性アルミノ珪酸塩が好ましい。
結晶性アルミノ珪酸塩としてはゼオライトが好適に配合でき、該ゼオライトとしては、A型、X型、Y型、P型いずれも使用できる。
無機ビルダーとしては、上記の中でも、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、結晶性アルカリ金属珪酸塩、アルカリ金属塩化物、アルミノ珪酸塩が好ましく、炭酸カリウム、結晶性アルカリ金属珪酸塩、アルカリ金属塩化物、結晶性アルカリ金属塩化物が特に好ましい。
炭酸カリウムを配合する場合、繊維製品用洗浄剤中の炭酸カリウムの含有量は、溶解性向上の効果の点から、1〜15質量%が好ましく、2〜12質量%がより好ましく、5〜12質量%がさらに好ましい。
結晶性アルカリ金属珪酸塩を配合する場合、繊維製品用洗浄剤中の結晶性アルカリ金属珪酸塩の含有量は、洗浄効果の点から、0.5〜40質量%が好ましく、1〜25質量%がより好ましく、3〜20質量%がさらに好ましく、5〜15質量%が特に好ましい。
アルカリ金属塩化物を配合する場合、繊維製品用洗浄剤中のアルカリ金属塩化物の含有量は、溶解性向上の効果の点から、1〜10質量%が好ましく、2〜8質量%がより好ましく、3〜7質量%がさらに好ましい。結晶性アルミノ珪酸塩を配合する場合、繊維製品用洗浄剤中の結晶性アルミノ珪酸塩の含有量は、洗浄効果及び流動性等の粉体物性の点で、1〜40質量%が好ましく、2〜30質量%が特に好ましい。
洗浄性ビルダーは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。洗浄効果、洗浄液中での汚れ分散性を改善する目的から、ポリアクリル酸塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体塩等の有機ビルダーと、ゼオライト等の無機ビルダーとを併用するのが好ましい。
繊維製品用洗浄剤中の洗浄性ビルダーの含有量は、十分な洗浄性を付与するために、本発明の効果を損なわない範囲で使用することが好ましい。
金属イオン封鎖剤は、水道水中の微量金属イオン等を捕捉し、洗浄効果を高める効果を有するものであり、(C)成分を除くものである。
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP−H)、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、ヒドロキシエタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、ヒドロキシメタンホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ニトリロトリ(メチレンホスホン酸)、2−ヒドロキシエチルイミノジ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)等の有機ホスホン酸誘導体又はその塩;ジグリコール酸、酒石酸、シュウ酸、グルコン酸等の有機酸類又はその塩等が挙げられる。
上記金属イオン封鎖剤は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
繊維製品用洗浄剤中の金属イオン封鎖剤の含有量は、性能を損なわない範囲で用いるよう配慮が必要となる。
本発明における香料とは、香料成分、溶剤、香料安定化剤等からなる混合物(香料組成物)である。
かかる香料としては、例えば、特開2002−146399号公報、特開2003−89800号公報に記載のもの等を用いることができる。
香料は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
繊維製品用洗浄剤中の香料の含有量は、0.001〜2質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。
繊維製品用洗浄剤の外観を良好にするために、各種色素を配合できる。
色素としては、染料、顔料のいずれも使用できる。保存安定性の点から、顔料が好ましく、酸化物等、耐酸化性を有する化合物が特に好ましい。かかる化合物としては、酸化チタン、酸化鉄、銅フタロシアニン、コバルトフタロシアニン、群青、紺青、シアニンブルー、シアニングリーン等が挙げられる。
色素は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
蛍光増白剤としては、例えば、4,4’−ビス−(2−スルホスチリル)−ビフェニル塩、4,4’−ビス−(4−クロロ−3−スルホスチリル)−ビフェニル塩、2−(スチリルフェニル)ナフトチアゾール誘導体、4,4’−ビス(トリアゾール−2−イル)スチルベン誘導体、ビス−(トリアジニルアミノスチルベン)ジスルホン酸誘導体等の蛍光増白剤が挙げられる。
市販の蛍光増白剤としては、例えばホワイテックスSA、ホワイテックスSKC(以上、商品名;住友化学株式会社製)、チノパールAMS−GX、チノパールDBS−X、チノパールCBS−X(以上、商品名;BASF社製)、Lemonite CBUS−3B(以上、商品名;Khyati Chemicals社製)等が挙げられる。これらの中ではチノパールCBS−X、チノパールAMS−GXが好ましい。
蛍光増白剤としては、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
繊維製品用洗浄剤中の蛍光増白剤の含有量は、0.001〜1質量%が好ましい。
繊維製品用洗浄剤に配合することができる酵素としては、酵素の反応性から分類すると、ハイドロラーゼ類、オキシドレダクターゼ類、リアーゼ類、トランスフェラーゼ類、及びイソメラーゼ類が挙げられ、本発明においてはいずれも適用できる。中でも、プロテアーゼ、エステラーゼ、リパーゼ、ヌクレアーゼ、セルラーゼ、アミラーゼ、ペクチナーゼ等が好ましい。
プロテアーゼとしては、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、コラーゲナーゼ、ケラチナーゼ、エラスターゼ、スプチリシン、パパイン、プロメリン、カルボキシペプチターゼA又はB、アミノペプチターゼ、アスパーギロペプチターゼA又はB等が挙げられる。プロテアーゼの市販品としては、サビナーゼ、アルカラーゼ、カンナーゼ、コロナーゼ、エバラーゼ、デオザイム(以上、商品名;ノボザイムズ社製);API21(商品名;昭和電工株式会社製);マクサカル、マクサペム、ピュラフェクト(以上、商品名;ダニスコ社製);プロテアーゼK−14又はK−16(特開平5−25492号公報に記載のプロテアーゼ)等を挙げることができる。
エステラーゼとしては、ガストリックリパーゼ、バンクレアチックリパーゼ、植物リパーゼ類、ホスホリパーゼ類、コリンエステラーゼ類、ホスホターゼ類等が挙げられる。
リパーゼとしては、リポラーゼ、ライペックス(以上、商品名;ノボザイムズ社製)、リポサム(商品名;昭和電工株式会社製)等の市販のリパーゼ等を挙げることができる。
セルラーゼとしては、セルザイム、ケアザイム、セルクリーン(商品名;ノボザイムズ社製);アルカリセルラーゼK、アルカリセルラーゼK−344、アルカリセルラーゼK−534、アルカリセルラーゼK−539、アルカリセルラーゼK−577、アルカリセルラーゼK−425、アルカリセルラーゼK−521、アルカリセルラーゼK−580、アルカリセルラーゼK−588、アルカリセルラーゼK−597、アルカリセルラーゼK−522、CMCアーゼI、CMCアーゼII、アルカリセルラーゼE−II、及びアルカリセルラーゼE−III(以上、特開昭63−264699号公報に記載のセルラーゼ)等が挙げられる。
アミラーゼとしては、市販のステインザイム、ターマミル、デュラミル(以上、商品名;ノボザイムズ社製)等を挙げることができる。
酵素は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
なお、酵素は、別途安定な粒子として造粒したものを、洗剤生地(粒子)にドライブレンドした状態で使用することが好ましい。
繊維製品用洗浄剤中、酵素の含有量は、0.3〜2質量%が好ましい。
酵素安定剤としては、例えば、カルシウム塩、マグネシウム塩、ポリオール、蟻酸、ホウ素化合物等を配合することができる。これらの中では、4ホウ酸ナトリウム、塩化カルシウム等が好ましい。
酵素安定剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
繊維製品用洗浄剤中の酵素安定剤の含有量は、0.05〜2質量%が好ましい。
界面活性剤含有粒子を高密度化する場合におけるバインダーや粉末物性剤として、さらには疎水性微粒子に対する再汚染防止効果を付与するため、平均分子量が200〜200,000のポリエチレングリコールや重量平均分子量1000〜100000のアクリル酸及び/又はマレイン酸のポリマー、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体等を配合することができる。
また、汚れ放出剤として、テレフタル酸とエチレングリコール及び/又はプロピレングリコール単位とのコポリマー又はターポリマー等を配合することができる。
また、色移り防止効果を付与するため、ポリビニルピロリドン等を配合することができる。中でも、平均分子量1500〜7000のポリエチレングリコールが好ましい。
該ポリマー類は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
繊維製品用洗浄剤中の該ポリマー類の含有量は、0.05〜5質量%が好ましい。
ケーキング防止剤としては、例えば、パラトルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、酢酸塩、スルホコハク酸塩、タルク、微粉末シリカ、粘土、酸化マグネシウム等が挙げられる。
ケーキング防止剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
消泡剤としては、従来、知られている例えばシリコーン系/シリカ系のものを挙げることができる。
消泡剤は、特開平3−186307号公報4頁左下欄に記載の方法を用いて製造した消泡剤造粒物としてもよい。具体的には、まず、マルトデキストリン(酵素変性デキストリン、日澱化学株式会社製)100gに消泡成分としてシリコーン(コンパウンド型、PSアンチフォーム、ダウコーニング社製)を20g添加し、混合して均質混合物を得る。次に、得られた均質混合物50質量%、ポリエチレングリコール(PEG−6000,融点58℃)25質量%及び中性無水芒硝25質量%を70〜80℃で混合後、押出し造粒機(型式EXKS−1、不二パウダル株式会社製)により造粒し、造粒物を得る。
消泡剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
還元剤としては、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等が挙げられる。
繊維製品用洗浄剤は、そのpHが特に制限されるものではないが、洗浄性能の点から、繊維製品用洗浄剤の1質量%水溶液におけるpHが8以上が好ましく、該1質量%水溶液におけるpHが9〜11がより好ましい。前記pHが8以上であることにより、洗浄効果が発揮されやすくなる。
繊維製品用洗浄剤のpHを制御するための技術としては、通常アルカリ剤によってpH調整が行われており、前記洗浄性ビルダーに記載のアルカリ剤のほか、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。例えば、水への溶解性及びアルカリ度の点から、炭酸ナトリウムと珪酸ナトリウムと水との割合が55/29/16(質量比)の混合物であるNABION15(商品名、ローディア社製)を用いるのが好ましい。
また、繊維製品用洗浄剤のpHが高くなりすぎることを防止するために、酸等を用いて上記pHの範囲に調整することもできる。
かかる酸としては、前記金属イオン封鎖剤、リン酸2水素カリウム等のアルカリ金属リン酸2水素塩、乳酸、コハク酸、リンゴ酸、グルコン酸又はそれらのポリカルボン酸、炭酸水素ナトリウム、硫酸、塩酸等を使用することができる。
また、洗浄時に繊維の汚れに由来する酸成分によるpHの低下を防止するための緩衝剤を用いてもよい。
pH調整剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
繊維製品用洗浄剤の製造方法は、特に制限されないが、例えば、粒状の繊維製品用洗浄剤の場合、界面活性剤含有粒子を得る第一の工程と、得られた界面活性剤含有粒子と機能性粒子(例えば過炭酸ナトリウム粒子等)を流動させながら、混合する第二の工程により得られる。
第一の工程は界面活性剤含有粒子を得る工程であり、従来公知の方法を用いることができる。例えば、界面活性剤、アルカリ金属炭酸塩や任意成分を水に分散・溶解して噴霧乾燥用スラリーを調製し(スラリー調製操作)、噴霧乾燥用スラリーを噴霧乾燥機により乾燥して噴霧乾燥粒子を得るものが挙げられる(噴霧操作)。さらに、噴霧操作で得られた噴霧乾燥粒子を界面活性剤や任意成分と共に造粒(造粒操作)して、界面活性剤含有粒子を得ることができる。必要に応じ、得られた界面活性剤含有粒子を篩い分けて所望する平均粒子径、粒度分布に調整してもよい(篩分操作)。
また、噴霧乾燥塔より排出されるガスの温度は、通常、70〜125℃が好ましく、70〜115℃がより好ましい。
造粒操作においては、噴霧乾燥粒子と他の任意成分とに、水、ノニオン界面活性剤又はノニオン界面活性剤の水分散液を任意の液滴径で噴霧しながら造粒することができる。
造粒操作で噴霧するノニオン界面活性剤の溶融液又はノニオン界面活性剤の水分散液の温度は、特に限定されないが、70〜85℃が好ましい。
液滴径は、特に限定されないが、100〜200μmが好ましい。液滴径は、例えば、レーザー式粒子径測定装置により測定することができる。該レーザー式粒子径測定装置としては、例えば、東日コンピュータアプリケーションズ株式会社製、LDSA−1400A等が挙げられる。
造粒操作において、噴霧乾燥粒子、他の任意成分の温度は、特に限定されないが、20〜40℃が好ましい。
第二の工程は、界面活性剤含有粒子と機能性粒子等を混合する工程であり、従来公知の方法を用いることができる。例えば、これらの粒子を攪拌造粒機、転動造粒機、流動層造粒機で流動させながら混合するものが挙げられる。
[ただし、前記(2)式中、Vは、容器回転式円筒型混合機の攪拌羽根における最外周の周速(m/s)を表す。Rは、容器回転式円筒型混合機における最外周の回転中心からの半径(m)を表す。gは、重力加速度(m/s2)を表す。]
繊維製品用洗浄剤を用いた繊維製品の洗浄方法として、例えば、繊維製品用洗浄剤の濃度が0.02〜2質量%である洗浄液を用い、洗濯機で被洗物を洗浄したり、繊維製品用洗浄剤の濃度を0.02〜2質量%とした洗浄液に被洗物を浸け置く等の方法が好適であり、洗濯機に投入して5〜30分間洗浄するのに特に好適である。これにより、繊維製品に付着した汚れを除去すると共に、繊維製品に消臭効果を付与できる。
本発明の洗浄方法により洗浄された繊維製品は、洗濯サイクルで生じる様々な臭気を抑制できる。
繊維製品の素材としては、特に限定されないが、本発明の繊維製品用洗浄剤の有効性が高いことから、綿製品が好ましい。
本発明の繊維製品用洗浄剤が消臭効果に優れる理由は定かではないが、以下のように推測される。
繊維製品用洗浄剤を水に分散すると、(B)成分と(C)成分とが錯体(以下、金属錯体ということがある)を形成する。この金属錯体は、洗浄液中の微生物や被洗物に付着している微生物を失活させ、洗浄後の繊維製品における微生物の増殖を抑制して、臭気の発生を抑制する。
加えて、金属錯体は、(B)成分単体及び(C)成分単体に比べて水溶性が低いため、(A)成分中に容易に取り込まれる。金属錯体を取り込んだ(A)成分は、(D)成分と会合体を形成し、この会合体は、容易かつ強固に被洗濯物に吸着し、残留する。繊維製品に吸着された金属錯体は、洗浄後の繊維製品に付着した微生物の増殖を抑制し、臭気の発生を抑制する。
繊維製品に吸着された金属錯体の(B)成分周辺では、配位子となる(C)成分や、(B)成分に配位している水が、他の物質と置換されやすい状態になっていると考えられる。このため、繊維製品に吸着した金属錯体においては、プラスに荷電しやすい臭気が、(B)成分と置換して金属錯体中の(C)成分と結合し、マイナスに荷電しやすい臭気が、水又は(C)成分と置換して金属錯体中の(B)成分と結合すると考えられる。このように、金属錯体は、臭気成分を良好に捕捉すると推測される。
そして、脂肪酸系、アミン系、チオール系等の様々な臭気を消臭できるものと考えられる。
さらに、臭気成分が金属錯体によって捕捉される効果は、洗濯サイクルにおいて、継続して発揮される。
加えて、本発明の繊維製品用洗浄剤は、(B)成分又は(D)成分を著しく増量することなく消臭効果を高められるため、繊維製品の品質劣化を抑制できる。
さらに、本発明の繊維製品用洗浄剤は、(E)成分及び(F)成分を含有することで、金属錯体との相乗効果によって殺菌又は除菌効果をさらに高められ、消臭効果をより高められる。
<(A)成分>
(A−1):MES(パルミチン酸メチルエステル:ステアリン酸メチルエステル=80:20(質量比)の脂肪酸メチルエステルから合成される脂肪酸メチルエステルスルフォネートのナトリウム塩、純分(AI)=70%、残部は未反応脂肪酸メチルエステル、硫酸ナトリウム、メチルサルフェート、過酸化水素、水等、ライオン株式会社製)
(A−2):LAS塩(LAS−H(直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸(製品名;ライポンLH−200、純分96質量%、ライオン株式会社製)を、濃度48質量%水酸化カリウム水溶液で中和したもの(表中の配合量は、LAS−K(カリウム)としての質量%を示す))
(A−3):石鹸(炭素数12〜18の脂肪酸ナトリウム、純分;67質量%、タイター;40〜45℃、脂肪酸組成;C12=11.7質量%、C14=0.4質量%、C16=29.2質量%、C18F0(ステアリン酸)=0.7質量%、C18F1(オレイン酸)=56.8質量%、C18F2(リノール酸)=1.2質量%、分子量;289、ライオン株式会社製)
<(A’)成分:(A)成分の比較品>
(A’−1):ノニオン界面活性剤、レオックスCC−150−90(炭素数12〜14のアルキル基をもつアルコールの酸化エチレン平均15モル付加体、ライオン株式会社製)
(B−1):ZnSO4・1H2O(硫酸亜鉛1水和物、信陽株式会社製)
(B−2):CuSO4・5H2O(硫酸銅5水和物、関東化学株式会社製)
(C−1):MGDA(メチルグリシンジ酢酸3ナトリウム、製品名;Trilon M Compactate(純分86%)、BASF社製)
(C−2):NTA(ニトリロトリ酢酸3ナトリウム、製品名;Trilon A92R(純分92%)、BASF社製)
(D−1):カチオン化セルロース1(製品名;レオガードMLP、カチオン化度0.6質量%、ライオン株式会社製)
(D−2):カチオン化セルロース2(製品名;レオガードLP、カチオン化度1.0質量%、ライオン株式会社製)
<(D’)成分:(D)成分の比較品>
(D’−1):塩化ベンザルコニウム(関東化学株式会社製)
(E−1):OBS(4−ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム)の造粒物
≪OBS造粒物の製造方法≫
原料としてp−フェノールスルホン酸ナトリウム(関東化学株式会社製、試薬)、N,N−ジメチルホルムアミド(関東化学株式会社製、試薬)、ラウリン酸クロライド(東京化成工業株式会社製、試薬)、アセトン(関東化学株式会社製、試薬)を用い、以下の方法でOBSを合成した。
予め脱水処理したp−フェノールスルホン酸ナトリウム100g(0.46mol)をジメチルホルムアミド300g中に分散させ、マグネチックスターラーで撹拌しながらラウリン酸クロライド111g(0.51mol)を50℃で30分かけて滴下した。滴下終了後、3時間反応させ、ジメチルホルムアミドを減圧下(0.5〜1mmHg)、100℃で留去した。アセトンで洗浄した後、水/アセトン(=1/1mol)溶媒中にて再結晶させた。収率は90%であった。
得られたOBS、PEG(ポリエチレングリコール#6000M、平均分子量8300、凝固点58度、ライオン株式会社製)を連続式プロシェアミキサー(WA型、太平洋機工株式会社製)により混合して混合粉体を得た。該混合粉体を連続ニーダー(KRS−S1型、株式会社クリモト鉄工所製)に投入し、60℃で混練後、0.8mmの多孔性スクリーンを通して押し出し、ヌードル状の混合物を得た。得られた混合物に粉砕助剤としてA型ゼオライト(シルトンB、純分80質量%、水澤化学株式会社製)を混合しながら、粉砕機(NEW SPEED MILL、岡田精工株式会社製)を用いて粉砕し、粉砕物を得た。該粉砕物を篩分けし、粒子径300〜700μmの造粒物を得た。
なお、造粒物中の各成分の配合割合は次の通り。
OBS12:70.0質量%、A型ゼオライト:5.0質量%、PEG:20.0質量%。
(F−1)PC剤:過炭酸ナトリウム粒子(商品名;SPCC、有効酸素量13.8質量%、平均粒子径870μm、Zhejiang Jinke Chemicals Co.,Ltd.製)
・炭酸ナトリウム:粒灰、平均粒子径320μm、嵩密度1.07g/cm3、旭硝子株式会社製
・硫酸ナトリウム:中性無水芒硝A0、四国化成株式会社製
・A型ゼオライト:シルトンB(製品名)、純分80質量%、水澤化学株式会社製
・炭酸カリウム:炭酸カリウム(粉末)、平均粒子径490μm、嵩密度1.30g/cm3、旭硝子株式会社製
・MA剤:アクリル酸/無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩、アクアリックTL−400(商品名)、純分40質量%水溶液、株式会社日本触媒製
表1〜4に示す組成表に従い、以下の製造方法にて粒状の繊維製品用洗浄剤を得た。
原料の脂肪酸エステルをスルホン化し、中和して得られた(A−1)の水性スラリー(水分濃度25質量%に調製した。)に、(A’−1)の一部((A−1)に対して25質量%の量)を投入し、水分濃度が11質量%になるまで薄膜式乾燥機で減圧濃縮して、(A−1)と(A’−1)との混合濃縮物を得た。なお、以下の製造方法において、表中に配合量が記載されていない成分は、添加されないものとする。
撹拌装置を具備したジャケット付き混合槽に水を入れ、温度を80℃に調整した。これに(A−1)と(A’−1)とを除く界面活性剤を添加し、10分間撹拌した。続いてMA剤を添加した。さらに10分間撹拌した後、A型ゼオライトの一部(表中に記載の配合量から、捏和時添加用1.0質量%、粉砕助剤用5.0質量%及び第二の工程で投入する表面改質用の1.5質量%を除いた量)、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び硫酸ナトリウムを添加した。さらに20分間撹拌して水分38質量%の噴霧乾燥用スラリーを調製した(スラリー調製操作)後、向流式噴霧乾燥塔を用いて熱風温度280℃の条件で噴霧乾燥し、平均粒子径(質量50%)320μm、嵩密度0.30g/cm3、水分5%の噴霧乾燥粒子を得た(噴霧操作)。
得られた噴霧乾燥粒子、上述の混合濃縮物、1.0質量%のA型ゼオライト、ノニオン界面活性剤(第二の工程で噴霧する噴霧添加用のノニオン界面活性剤0.3質量%、及び上記混合濃縮物中のノニオン界面活性剤を除く残部)、蛍光増白剤、(B)成分、(C)成分、(D)成分、(D’)成分及び水を連続ニーダー(KRC−S12型、株式会社栗本鐵工所製)に投入し、ニーダーの回転数135rpm、ジャケット温度60℃の条件で捏和し、界面活性剤を含有する水分6質量%の捏和物を得た(捏和処理)。該捏和物を、穴径10mmのダイスを具備したペレッターダブル(不二パウダル株式会社製、EXDFJS−100型)で押し出しつつ、カッターで切断(カッター周速は5m/s)し、長さ5〜30mm程度のペレット状成形物を得た。
次いで、得られたペレット状成形物に、粉砕助剤としてのA型ゼオライト(平均粒子径180μm)5.0質量%相当量を添加し、冷風(10℃、15m/s)共存下で、直列3段に配置したフィッツミル(ホソカワミクロン株式会社製、DKA−3)を用いて粉砕し、粉砕物(スクリーン穴径:1段目/2段目/3段目=12mm/6mm/3mm、回転数:1段目/2段目/3段目いずれも4700rpm)を得た(造粒操作)。
表1の組成に従い、粉砕物、(F−1)及びOBS造粒物を、容器回転式円筒型混合機に15kg/minの速度で同時に投入し、混合した。この容器回転式円筒型混合機は、容器が直径0.7m、長さ1.4m、傾斜角3.0°、出口堰高さ0.15m、内部混合羽根が高さ0.1m、長さ1.4mの平羽根を90°毎に4枚取り付けた仕様のものである。また、内部混合羽根の回転数はフルード数をFr=0.2になるように調整した。
容器を回転させて流動化させた粒子群に対し、1.5質量%の表面改質用のA型ゼオライトを加え、予め75℃に調整した、0.3質量%のノニオン界面活性剤水分散液を噴霧し、1分間転動して、各例の粒状の繊維製品用洗浄剤を得た。
得られた繊維製品用洗浄剤について、洗浄効果、消臭効果及び変褪色抑制効果を評価した。
なお、表中、「mmol/100g」は、繊維製品用洗浄剤100g中のモル濃度を表す。
噴霧乾燥用スラリーに(A’−1)成分の一部(16質量%相当量)を添加し、捏和処理で(A’−1)成分の一部(4.7質量%相当量)を添加した以外は、実施例1と同様にして粒状の繊維製品用洗浄剤を得た。得られた繊維製品用洗浄剤について、洗浄効果、消臭効果及び変褪色抑制効果を評価した。
<洗浄効果、消臭効果>
家庭で半年間使用したバスタオル10枚を、洗濯せずに入浴後繰り返し約3日間使用した。このバスタオルを回収し、半裁して被洗物とした。半裁された一方の被洗物(計10枚)と、5cm四方の湿式人工汚染布5枚とを洗濯機(JW−Z23A型、ハイアール社製)の通常コースで洗浄した(水温約16℃、硬度約3゜DHの水道水を注水、浴比20倍)。この際、18Lの水に、各例の繊維製品用洗浄剤12gを分散し洗浄液とした。なお、浴比合わせには、新品の綿100%の肌シャツ(BVD製)を用いた。この肌シャツは、全自動洗濯機(松下電器産業株式会社製、NA−F70SD1)のおまかせコースで5回洗浄したものである(水温約50℃、硬度約3°DHの水道水を注水)。肌シャツを洗浄する際には、洗浄剤として市販の合成洗浄剤粉末トップ(商品名、ライオン株式会社製)を用い、洗浄剤の1回当たりの使用量を20g/水道水30Lとして洗浄した。こうして、各例の繊維製品用洗浄剤で被洗物が洗浄された臭気評価布と、湿式人工汚染布の洗浄品(洗浄評価布)とを得た。得られた洗浄評価布の反射率及び洗浄前の湿式人工汚染布の反射率を色差計(SE200型、日本電色株式会社製)で測定し、下記(3)式により洗浄率(%)を算出した。洗浄評価布5枚の洗浄率(%)の平均値を下記評価基準に分類し、洗浄効果を評価した。
ただし、K/Sは、(1−R/100)2÷(2R/100)で求められる値であり(クベルカムンク式)、Rは反射率(%)である。
○:洗浄率70%以上。
△:洗浄率50以上70%未満。
×:洗浄率50%未満。
得られた臭気評価布及び基準布について、下記4つのシーンで、10名の専門パネラーが、臭気評価布と、これと対になる基準布との臭気(悪臭)を比較して、下記評価基準に従って評価した。パネラー10名の評価点の合計を下記の消臭効果の判断基準に分類し、消臭評価とした。
下記の4つのシーンでの消臭効果を確認することにより、洗浄後から使用後洗浄前に至るまでに生じる様々な悪臭に対する消臭効果を確認した。
(1)洗浄で除去・消臭し切れなかった脂肪酸、アルデヒド、チオール系、アミン系等が混合した悪臭。
(2)室内干しによる微生物の増殖によって生じる中鎖脂肪酸系及びアミン系の臭気が主体の悪臭(洗浄時に取りきれず残ってしまった微量の皮脂(脂質及びタンパク質)を微生物が代謝することで生じると推定)。
(3)中鎖脂肪酸系臭気を主体とする乾燥後にも残留する悪臭。
(4)アミン系の臭気成分を主体とする生臭い悪臭(被洗物に付着したタンパク質を基質とし微生物により代謝されると推定)。
シーン1:洗浄終了直後、洗濯機から取り出した時。
シーン2:洗浄終了後に、約28℃、相対湿度90%RHの室内に干して8時間乾燥を行った後。
シーン3:シーン2の乾燥後、約20℃、相対湿度45%RHの室内に移し、8時間乾燥を行った後。
シーン4:洗浄終了後に、約20℃、相対湿度45%RHの室内にて1日乾燥し、対になる臭気評価布同士又は基準布同士をつなぎ合わせ、洗浄せずに家庭で3日間使用した。その後、半裁し、別々にチャック付ポリ袋に入れた状態で回収、25℃の条件で2日間保管(洗浄前の繊維製品の洗濯前のため込み(汚れがタオルに付着している状態での放置)を想定)した後。
+1点:臭気評価布から感知される悪臭が、基準布から感知される悪臭よりも相対的に弱い(基準洗浄剤に比べて、各例の繊維製品用洗浄剤の消臭効果が総じて高い)。
0点:臭気評価布から感知される悪臭と、基準布から感知される悪臭とに差異が殆どない(基準洗浄剤と各例の繊維製品用洗浄剤との消臭効果が略同等である)。
−1点:臭気評価布から感知される悪臭が、基準布から感知される悪臭よりも相対的に強い(基準洗浄剤に比べて、各例の繊維製品用洗浄剤の消臭効果が総じて低い)。
◎◎:10名の合計点数が10点。
◎:10名の合計点数が8又は9点。
○:10名の合計点数が5〜7点。
△:10名の合計点数が2〜4点。
×:10名の合計点数が1点以下。
≪通常条件≫
Reactive Red21で染色した綿布10枚(#100、6cm×6cm)を上記「<消臭効果>」の評価時と同様の洗浄条件で洗浄した。洗浄後の綿布について、下記の変褪色の評価基準に従って目視で評価し、2点以上を合格とした。
3点:綿布の変褪色が認められなかった。
2点:綿布の変褪色がごくわずかに認められた。
1点:綿布の変褪色が少し認められた。
0点:綿布の変褪色がはっきりと認められた
プラスチック製シャーレ(直径9cm、高さ1.5cm)の上に、Reactive Red21で染色した綿布(#100)6cm×6cmを配置した。各例の繊維製品用洗浄剤1gを綿布に載せ、さらに染色した綿布を被せた。その後、被せた綿布の上から40℃の水道水2mLを静かにかけ、室温(25℃)で2時間放置した後、穏やかにすすいだ。次いで、洗濯機(JW−Z23A型、ハイアール社製)の通常コース(すすぎ2回水道水)を行い、アイロンで乾燥した。洗浄後の綿布について、上記の変褪色の評価基準に従って目視で評価し、2点以上を合格とした。
一方、(B)成分及び/又は(C)成分を含有しない比較例1〜3は、消臭効果が「×」〜「△」であった。(D)成分を含有しない比較例4,8は、消臭効果が「△」であった。(D)成分に換えて、カチオン性殺菌剤である(D’−1)を用いた比較例7は、消臭効果が「△」であった。(C)成分及び(D)成分を含有しない比較例5、(B)成分及び(D)成分を含有しない比較例6は、消臭効果が「×」であった。(A)成分に換えて(A’)成分を含有する比較例9は、消臭効果が「×」〜「△」であった。
これらの結果から、本発明を適用した繊維製品用洗浄剤は、消臭効果に優れることが判った。
Claims (4)
- アニオン界面活性剤(A)と、銅、マンガン、ニッケル、鉄及び亜鉛から選択される少なくとも1種(B)と、前記(B)成分と錯体を形成するアミノカルボン酸型金属イオン封鎖剤(C)と、カチオン化セルロース(D)とを含有する繊維製品用洗浄剤。
- 前記(D)成分を0.01〜3質量%含有する請求項1に記載の繊維製品洗浄剤。
- 前記(B)成分/前記(C)成分で表されるモル比は、1/3〜5である請求項1又は2に記載の繊維製品用洗浄剤。
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