JP5809616B2 - 受信電力推定装置、受信電力推定方法、及びプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、受信電力推定装置、受信電力推定方法、及びプログラムに関する。
近年、無線LAN(Local Area Network)などの自営屋内無線通信システムの普及に伴い、隣接アクセスポイント、及びその配下の端末との干渉が問題となっている。これらの干渉の軽減には、隣接アクセスポイントの通信エリアへの干渉を回避しつつ、自らのアクセスポイント(以下、APという)の通信エリアと通信可能な適切な通信エリア設計が必要となる。そして、その設計のためには、屋内の伝搬特性を正確に推定する必要がある。伝搬特性とは、様々な環境における伝搬損失特性であり、任意の場所の受信電力を推定するための性質である。
屋内の伝搬特性は、端末の位置、宅内にある壁・柱・家具などの遮蔽物によって変化する伝搬経路、壁の材質(比透磁率、比誘電率、導電率)・厚さによって異なり、建物・部屋ごとに固有である。そのため、通信エリア設計には、建物・部屋ごとに固有な伝搬特性の推定が必要となる。
建物・部屋ごとに固有な伝搬特性を推定する手法には、大別して2つの手法がある。第1の推定方法は、測定点にアンテナを設置し受信電力を実測する手法であり、第2の推定方法は、計算機上に構築した建物・屋内のモデル化を用い、電波伝搬をシミュレートし受信電力を計算する手法である。実測を用いる第1の推定方法は、アンテナ設置場所以外の測定ができないため、通信エリア設計に必要な面的な(任意の場所の)受信電力の推定は困難である。一方、計算機シミュレーションを用いる第2の推定方法は、計算機上で送受信アンテナの位置を任意に動かせるため、通信エリア設計に必要な面的な(任意の場所の)受信電力を精度良く推定することが可能である。
受信電力の計算機シミュレーションには、一般にFDTD(Finite Difference Time Domain method)法とレイトレース法とが用いられる。FDTD法では、マクスウェルの偏微分方程式を時間、及び空間について差分近似し、時間領域で解くことで電界強度を求められ、任意の場所の受信電力を推定できる。FDTD法は、推定精度は高いが、波長の数分の1の単位ごとに電磁界解析を行うため、その演算量は推定する領域の大きさに依存する。一般的に、波長と比べ、建物・部屋のサイズは数桁以上大きいため、その伝搬環境の推定には膨大な演算量がかかってしまうという問題がある。一方で、レイトレース法は、電波の素波をレイと見なして送信点から受信点までのレイの軌跡を幾何学的にトレースし、その結果に基づいて受信点における各素波の電界強度を、幾何光学理論を用いて算出する。レイトレース法の計算時間は、波長に依存しないため、建物・屋内の伝搬特性の推定に適している。
図14は、従来技術(例えば非特許文献1参照)の受信電力推定装置100の構成を示すブロック図である。図14において、受信電力推定装置100は、受信電力推定部101を備えている。受信電力推定部101は、端末・壁位置データと、材質・厚さデータと、送信パラメータデータとを入力し、レイトレース法を用いて計算機上で受信電力を推定する。
図15は、従来技術の受信電力推定部101の構成を示すブロック図である。受信電力推定部101は、レイトレース計算部201、伝搬損失計算部202、及び受信電力計算部203を備えている。レイトレース計算部201は、送信点から球面上に放射された電波をレイと見なして、端末・壁位置データに基づいて、レイの軌跡を幾何学的にトレースし、送信点から受信点まで到達するパスを計算して出力する。伝搬損失計算部202は、レイトレース計算部201から出力されたレイのパスと、材質・厚さデータと、送信周波数とから、パスごとの透過係数、反射係数、回折係数や、距離による減衰量(伝搬損失)を計算して出力する。受信電力計算部203は、伝搬損失計算部202から出力された減衰量と、送信パラメータデータから得られる送信アンテナ利得と、受信アンテナ利得と、送信電力とを用いて受信点の受信電力を算出する。
次に、従来技術の受信電力推定装置100の動作について説明する。
まず、CAD(Computer Aided Design)ソフトを用いて壁などの遮蔽物のレイアウトを作成し、端末・APの位置などを示す端末・壁位置データ、遮蔽物の材質や、厚さなどを示す材質・厚さデータ、及び送信アンテナ利得や、受信アンテナ利得、送信電力、送信周波数などを示す送信パラメータデータを受信電力推定部101に入力する。レイトレース計算部201では、送信点から球面上に放射された電波をレイと見なして、端末・壁位置データに基づいて、入力された壁などの遮蔽物の位置や、端末・APの位置からレイの軌跡を幾何学的にトレースし、送信点から受信点まで到達するパスを出力する。
伝搬損失計算部202は、レイトレース計算部201から出力されたレイのパスと、材質・厚さデータから得られる遮蔽物の材質・厚さと、送信周波数とから、パスごとの透過係数、反射係数、回折係数や、距離による減衰量を出力する。受信電力計算部203は、伝搬損失計算部202から出力された減衰量と、送信パラメータデータに含まれる送信アンテナ利得、受信アンテナ利得、及び送信電力とを用いて、受信点の受信電力を算出して出力する。このようにして、遮蔽物の位置や、端末・APの位置、材質・厚さ、送信アンテナ利得、受信アンテナ利得、送信電力、送信周波数からレイトレース法によって任意の場所における受信電力を得ることができる。
次に、上述した伝搬損失計算部202、受信電力計算部203の動作を、数式を用いて詳細に説明する。受信点に到達したi番目のレイがh番目の壁面で反射する回数をWi,h、透過する回数をXi,h、回折する回数をYi,hとし、i番目のレイがh番目の壁面でl(エル)番目に反射した場合の反射係数をRi,h,l、m番目に透過した場合の透過係数をTi,h,m、n番目に回折した場合の回折係数をDi,h,n、送信点から最初の回折点までの延べ距離をSi,1、p−1番目の回折点からp番目までの回折点までの延べ距離をsi,1、送信アンテナ利得をG、受信アンテナ利得をG、送信電力をP、送信周波数をf、光速をc、波数をkとすると、i番目の伝搬損失L、受信電力Pは、数式(1),(2),(3)で計算される。
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ここでは、整数の添え字は媒質種類を示す。第1の媒質から第2の媒質へ電波が入射する場合のフレネルの反射係数をR||(TE入射)、R(TM入射)、比複素屈折率をn12、第1の媒質の比透磁率をμ、比誘電率をε、導電率をσ、第2の媒質の比透磁率をμ、比誘電率をε、導電率をσ、入射角をθ、角周波数をω、厚さをd、波長をλとすると、次式(4)、(5)、(6)で表される(例えば非特許文献2参照)。
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透過係数Tは、次式(7)で表される。
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βは厚さd、及び第1の媒質内の波長λの関数である。r12は数式(4)または数式(5)で与えられる第1の媒質の第2の媒質に対するフレネルの反射係数であり、r23は第2の媒質の第3の媒質に対するフレネルの反射係数である。また、t12は第1の媒質から第2の媒質に入射波が透過する場合のフレネルの透過係数であり、t23は第2の媒質から第3の媒質に入射波が透過する場合のフレネルの透過係数である。上記β、t||(TE入射)、t(TM入射)は、各々、次式(8)、(9)、(10)のように表される。
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今井哲郎,犬飼裕一郎,藤井輝也,"レイトレースを用いた屋内エリア推定システム",電子情報通信学会論文誌B,Vol.J83-B,pp.1565-1576,2000. 細矢良雄, "電波伝搬ハンドブック," REALIZE INC., p.234~p.240
上述した従来技術では、端末や、APの位置と、壁などの遮蔽物の位置・厚さや、材質などにより構成される屋内伝搬モデルを、事前にCADソフト等を用いて正確にモデル化できれば、計算機シミュレーションを用いて、端末や、APの任意の点における受信電力を正確に推定できる。
しかしながら、屋内伝搬モデルのモデル化で必要なパラメータのうち、特に壁などの遮蔽物の厚さや、内部構造を含めた材質は、外見からは正確に把握することが困難であり、正確なモデル化には建物の詳細な設計図面が必要となる。また、遮蔽物の材質の物理特性(誘電率や、導電率等)は、同一種類の素材であっても製造者等によって異なる場合がある。この場合、利用されている製造者素材と同一のものの物理特性を、自由空間透過法などにより個別に推定して屋内伝搬モデルに入力する必要がある。このため、従来技術では、屋内伝搬モデルの正確なモデル化は困難であり、端末や、APの任意の点における受信電力を正確に推定できないという問題がある。
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、外見から正確に把握することが困難な壁などの遮蔽物の材質、厚さ等の物理特性を推定することによって、任意の点における受信電力を正確に推定することができる受信電力推定装置、受信電力推定方法、及びプログラムを提供することにある。
上述した課題を解決するために、本発明の一態様は、遮蔽物が存在する空間内でマルチパス環境下において実測した受信電力と、空間を自由空間と仮定した場合の受信電力とに基づいて、遮蔽物の反射・透過損失を算出する反射・透過損失計算部と、反射・透過損失に基づいて、遮蔽物の物理特性の推定値を算出する物理特性推定部と、を備えることを特徴とする受信電力推定装置である。
また、本発明の一態様は、物理特性推定部によって算出された遮蔽物の物理特性の推定値に基づいて、空間内における任意の点の受信電力の推定値を算出する受信電力推定部を備えることを特徴とする。
また、本発明の一態様は、空間内で複数の通信装置が通信するマルチパス環境下において実測した複数の受信電力に基づいて、遅延プロファイルを推定する遅延プロファイル推定部を備え、反射・透過損失計算部は、空間を自由空間と仮定した場合の受信電力を算出し、算出した受信電力と、遅延プロファイルとに基づいて、遮蔽物の反射・透過損失を算出し、物理特性推定部は、遅延プロファイルと、反射・透過損失とに基づいて、遮蔽物の物理特性の推定値を算出することを特徴とする。
また、本発明の一態様は、反射・透過損失計算部が、空間内における遮蔽物の位置と複数の通信装置の位置とに基づいて、送信点から受信点まで到達するパスを算出するレイトレース計算部と、マルチパス環境下における反射係数、透過係数を1とし、レイトレース計算部から出力されるレイのパスと通信装置の送信周波数とに基づいて、自由伝搬の距離減衰量を算出する伝搬損失計算部と、自由伝搬の距離減衰量と、送信アンテナ利得と、受信アンテナ利得と、送信電力とに基づいて、受信点の受信電力を算出する受信電力計算部と、受信電力計算部から出力される受信点の受信電力と遅延プロファイル推定部から出力される遅延プロファイルとの差分に基づいて、遮蔽物の反射・透過損失を算出する減算器と、を備えることを特徴とする。
また、本発明の一態様は、周波数領域データをサンプリングして得られた周波数データベクトルから受信データ相関行列を算出し、該受信データ相関行列と、複数の通信装置の送信周波数及び周波数帯域幅とから空間スペクトラムを出力するパス分離部と、パス分離部から出力される空間スペクトラムに基づいて、該空間スペクトラムのピーク値に対応する伝搬遅延時間を推定する伝搬遅延推定部と、を備え、遅延プロファイル推定部は、遅延プロファイルとして、伝搬遅延推定部によって推定された、各パスの伝搬遅延時間に対応する受信電力を算出することを特徴とする。
また、本発明の一態様は、物理特性推定部が、遮蔽物の材質及び厚さを物理特性として算出し、受信電力推定部は、物理特性推定部に算出される遮蔽物の材質及び厚さと、複数の通信装置の位置と、複数の通信装置の送信アンテナ利得と、受信アンテナ利得と、送信電力と、送信周波数とに基づいて、任意の点の受信電力の推定値を算出することを特徴とする。
また、本発明の一態様は、遮蔽物が存在する空間内でマルチパス環境下において実測した受信電力と、空間を自由空間と仮定した場合の受信電力とに基づいて、遮蔽物の反射・透過損失を算出するステップと、反射・透過損失に基づいて、遮蔽物の物理特性の推定値を算出するステップと、を備えることを特徴とする受信電力推定方法である。
また、本発明の一態様は、上述した受信電力推定装置として、コンピュータを動作させるプログラムである。
この発明によれば、外見から正確に把握することが困難な壁などの遮蔽物の材質、及び厚さを推定することができるとともに、任意の点における受信電力を正確に推定することができる。
本発明の第1実施形態による通信システムが前提とする屋内伝搬モデルを示すブロック図である。 本第1実施形態による受信電力推定装置の構成を示すブロック図である。 本第1実施形態による反射・透過損失計算部のブロック図である。 本第1実施形態による受信電力推定装置の動作を説明するためのフローチャートである。 本第1実施形態による反射・透過損失計算部の動作を説明するためのフローチャートである。 本第1実施形態による受信電力推定装置のシミュレーション結果であって、反射・透過損失計算部の出力結果を示す図である。 本第1実施形態による受信電力推定装置のシミュレーション結果であって、材質・厚さ推定部の出力結果を示す図である。 本第1実施形態による受信電力推定部の平均受信電力推定誤差を示す図である。 本第1実施形態による受信電力推定装置の評価結果を示す概念図である。 本第1実施形態において、シミュレーションの前提となる通信システムにおける送信局と受信局と遮蔽物との位置関係を示す概念図である。 本第1実施形態において、シミュレーション条件を示す図である。 本発明の第2実施形態による受信電力推定装置の構成を示すブロック図である。 本第2実施形態による受信電力推定装置の動作を説明するためのフローチャートである。 従来技術の受信電力推定装置の構成を示すブロック図である。 従来技術の受信電力推定部の構成を示すブロック図である。
本発明では、遅延プロファイル推定と遮蔽物の材質・厚さ推定とを組み合わせることにより、マルチパス環境下の複数位置において実測した実測データと、伝搬モデル中の遮蔽物の反射係数、及び透過係数をそれぞれ1と仮定して当該位置において算出した受信信号との差分に基づいて、外見から正確に把握することが困難な遮蔽物の材質(比透磁率、比誘電率、導電率)・厚さを推定可能とする。さらに、伝搬モデルに推定された遮蔽物の材質(比透磁率、比誘電率、導電率)、及び厚さを適用して、任意の位置における受信信号を推定可能とする。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
A.第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態による通信システムが前提とする屋内伝搬モデルを示すブロック図である。屋内伝搬モデルは、送信局301、受信局302、303を備える。遮蔽物304は、石膏ボードや、サイディングなどの壁からなる。回折係数Dは0とする。図示する屋内伝搬モデルにおいて、受信局302は、送信局301からの直接波を受信し、受信局303は、石膏ボードやサイディングなどの壁からの反射波を受信する。
図2は、本第1実施形態による受信電力推定装置400の構成を示すブロック図である。受信電力推定装置400は、遅延プロファイル推定部401、反射・透過損失計算部402、材質・厚さ推定部403、及び受信電力推定部404を備えている。遅延プロファイル推定部401は、スライディング相関処理によって受信信号と既知信号の全てのサンプルからなる実測データに対して相関演算を行い、遅延プロファイルを推定する。反射・透過損失計算部402は、上記遅延プロファイルと、端末・壁位置データに含まれる遮蔽物の位置や、端末・APの位置と、送信パラメータデータに含まれる送信アンテナ利得、受信アンテナ利得、送信電力、及び送信周波数とから遮蔽物の反射・透過損失を算出する。
材質・厚さ推定部403は、端末・壁位置データと送信パラメータデータとに基づいて、反射・透過損失計算部402から出力される反射・透過損失の合計値から、遮蔽物の材質(比透磁率、比誘電率、導電率)と厚さとを推定する。受信電力推定部404は、材質・厚さ推定部403から出力される遮蔽物の材質・厚さと、端末・壁位置データに含まれる端末・APの位置と、送信パラメータデータに含まれる送信アンテナ利得、受信アンテナ利得、送信電力、及び送信周波数とを用いて、任意の点の受信電力を推定して出力する。
図3は、本第1実施形態による反射・透過損失計算部402のブロック図である。反射・透過損失計算部402は、レイトレース計算部501、伝搬損失計算部502、受信電力計算部503、及び減算器504を備えている。レイトレース計算部501は、端末・壁位置データに含まれる遮蔽物の位置や、端末・APの位置から、送信点から受信点まで到達するパスを算出して出力する。伝搬損失計算部502は、反射係数、透過係数を1とした場合、レイトレース計算部501から出力されたレイのパスと、送信パラメータデータに含まれる送信周波数とから、自由伝搬の距離減衰量を算出して出力する。
受信電力計算部503は、伝搬損失計算部502から出力された自由伝搬の距離減衰量と、送信パラメータデータに含まれる送信アンテナ利得、受信アンテナ利得、及び送信電力とを用いて、受信点の受信電力を算出する。減算器504は、受信電力計算部503の出力結果と遅延プロファイル推定部401から出力された遅延プロファイルとの差分を演算し、遮蔽物による反射・透過損失の合計値を算出して出力する。
次に、本第1実施形態による受信電力推定装置400の動作について説明する。
遅延プロファイルの推定法には、時間領域データを用いる手法と周波数領域データを用いる手法とがある。時間領域データを用いる手法では、受信信号と既知信号とを相関演算する手法や、受信信号パイロットを送信信号パイロットで除算して伝達関数を求め、得られた伝達関数を逆離散フーリエ変換する手法などによって遅延プロファイルを得ることができる。一方、周波数領域データを用いる手法では、周波数スペクトルから逆離散フーリエ変換する手法、高分解手法などによって遅延プロファイルを得ることができる(例えば、参考文献3:柴田考基,“OFDM伝送における遅延プロファイル推定法”,映像情報メディア学会誌,Vol.60,No.10,pp.1672-1680,2006.)。
図4は、本第1実施形態による受信電力推定装置400の動作を説明するためのフローチャートである。本第1実施形態では、時間領域データから遅延プロファイルを算出する手法を採用する。遅延プロファイル推定部401では、スライディング相関処理によって受信信号と既知信号の全てのサンプルからなる実測データに対して相関演算を行い、遅延プロファイルを推定する(ステップS10)。
反射・透過損失計算部402は、遅延プロファイル推定部401から出力される遅延プロファイルと、端末・壁位置データに含まれる、遮蔽物の位置や、端末・APの位置と、送信パラメータデータに含まれる、送信アンテナ利得、受信アンテナ利得、送信電力、及び送信周波数とから、遮蔽物の反射・透過損失を算出して出力する(ステップS11)。
ここで、反射・透過損失計算部402の動作について詳細に説明する。
図5は、本第1実施形態による反射・透過損失計算部402の動作を説明するためのフローチャートである。まず、レイトレース計算部501は、端末・壁位置データに含まれる遮蔽物の位置や、端末・APの位置から、送信点から受信点まで到達するパスを出力する(ステップS20)。伝搬損失計算部502は、反射係数、透過係数を1とし、レイトレース計算部501から出力されるレイのパスと、送信パラメータデータに含まれる送信周波数とから、自由伝搬の距離減衰量を出力する(ステップS21)。
受信電力計算部503は、伝搬損失計算部502から出力される自由伝搬の距離減衰量と、送信パラメータデータに含まれる送信アンテナ利得、受信アンテナ利得、及び送信電力とを用いて受信点の受信電力を算出する(ステップS22)。そして、減算器504は、伝搬損失計算部502の出力結果と遅延プロファイル推定部401から出力される遅延プロファイルとの差分を算出し、遮蔽物による反射・透過損失の合計値を出力する(ステップS23)。
次に、反射・透過損失計算部402の動作を、数式を用いて詳細に説明する。反射係数、透過係数、回折係数を1としてレイのパス情報から自由伝搬の距離減衰量Li0は、次式(11)、(12)で表される。
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自由伝搬の受信電力Pr0は、次式(13)で表される。
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以上より、i番目のレイの反射・透過損失の合計Z[dB]を受信電力Pr,iを用いて次式(14)で示すように推定できる。
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材質・厚さ推定部403は、反射・透過損失計算部402から出力される反射・透過損失の合計値から評価関数(後述)を満たす比透磁率μ、比誘電率ε、導電率σ、厚さdとの組合せの中で、評価関数を最小とする組合せを選択する(図4のステップS12)。
ここで、材質・厚さ推定部403の動作を、数式を用いて詳細に説明する。第1の媒質から第2の媒質へ電波が入射する場合のフレネルの反射係数をR||(TE入射)、R(TM入射)、比複素屈折率をn12、第1の媒質の比透磁率をμ、比誘電率をε、導電率をσ、第2の媒質の比透磁率をμ、比誘電率をε、導電率をσ、入射角をθ、角周波数をω、厚さをd、波長をλとする。フレネルの反射係数R||、R⊥、及び比複素屈折率n12は、次式(15)、(16)、(17)で表される。
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透過係数Tは、次式(18)で表される。
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βは厚さd、及び第1の媒質内の波長λの関数である。r12は数式(15)、または数式(16)で与えられる第1の媒質の第2の媒質に対するフレネルの反射係数であり、r23は第2の媒質の第3の媒質に対するフレネルの反射係数である。また、t12は第1の媒質から第2の媒質に入射波が透過する場合のフレネルの透過係数であり、t23は第2の媒質から第3の媒質に入射波が透過する場合のフレネルの透過係数である。β、t||(TE入射)、t(TM入射)は、各々、次式(19)、(20)、(21)のように表される。
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i番目のレイがh番目の壁面で反射する回数をWi,h、透過する回数をXi,h、i番目のレイがh番目の壁面でl番目に反射した場合の反射係数をRi,h,l、m番目に透過した場合の透過係数をTi,h,mとし、評価関数を次式(22)のように定める。
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これらの関係式を満たす比透磁率μ、比誘電率ε、導電率σ、厚さdとの組合せの中で、評価関数(22)を最小とするものが式を満足する組合せであり、シンプレックス法、ニュートン法、遺伝的アルゴリズムなどを用いることで解析することができる。このように、複数反射、複数透過の平均二乗誤差を評価関数として利用することにより、複数反射、複数透過のパスにも対応することができ、少ない実測データで任意の場所の受信電力を推定することができる。
また、導電率は、次式(23)で表されるため(例えば、参考文献4:Rec. ITU-R P.1238, “Propagation data and prediction methods for the planning of indoor radio communication systems and radio local area networks in the frequency range 900 MHz to 100 GHz,”Recommendation ITU-R, p.12~p.14)、導電率の周波数特性を考慮する場合、送信周波数の異なる2つのレイから定数a,bを求める必要がある。
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そして、受信電力推定部404は、材質・厚さ推定部403から出力される遮蔽物の材質・厚さと、端末・壁位置データに含まれる端末・APの位置と、送信パラメータデータに含まれる送信アンテナ利得、受信アンテナ利得、送信電力、及び送信周波数とを用いて、任意の点の受信電力を推定する(ステップS13)。
図6は、本第1実施形態による受信電力推定装置400のシミュレーション結果であって、反射・透過損失計算部402の出力結果を示す図である。また、図7は、本第1実施形態による受信電力推定装置400のシミュレーション結果であって、材質・厚さ推定部403の出力結果を示す図である。また、図8は、本第1実施形態による受信電力推定部404の平均受信電力推定誤差を示す図である。
また、図9は、本第1実施形態による受信電力推定装置400の評価結果を示す概念図である。図8に示す平均受信電力推定誤差は、図9に示す入射角度を変化させたときの透過損失値を用いて算出した受信電力の理論値と受信電力推定部404の誤差との平均とした。また、図10は、本第1実施形態において、シミュレーションの前提となる通信システムにおける送信局と受信局と遮蔽物との位置関係を示す概念図である。また、図11は、本第1実施形態において、シミュレーション条件を示す図である。
図10に示すように、当該シミュレーションにおける通信システム(モデル)では、送信局600と受信局601、…、604との間に石膏ボードなどの遮蔽物605が介在し、送信局600と受信局601とを結ぶ直線が遮蔽物605と角度θで交差し、送信局600と受信局604とを結ぶ直線が遮蔽物605と角度θで交差している。なお、図示していないが、図6から分かるように、送信局600と図示しない受信局602とを結ぶ直線が遮蔽物605と角度θで交差し、送信局600と図示しない受信局603とを結ぶ直線が遮蔽物605と角度θで交差している。
また、図6、図7、図8に示すシミュレーション結果は、図10に示す状況において、図11に示すシミュレーション条件を用いた場合の結果である。図11に示すように、シミュレーション条件としては、石膏ボードの材質は参考文献5(Frantz Bouchereau, David Brady, and Colin Lanzl,“Multipath Delay Estimation Using a SuperresolutionPN-Correlation Method”, IEEE TRANSACTIONS ON SIGNAL PROCESSING, VOL. 49, NO. 5, MAY 2001)を参照されたい。また、他のシミュレーション条件は、比透磁率を1.00、比誘電率を2.94、導電率を0.0352S/m、厚さを0.01mとした。
図6、図7、図8から明らかなように、4つの透過損失値から遮蔽物の材質(比透過率、比誘電率、誘電率)・厚さを推定し、計算機シミュレーションを用いて任意の場所の受信電力を推定することができる。すなわち、反射・透過損失推定部402は、図6に示すように、それぞれの透過損失を、1.59、1.67、1.75、及び1.84(dB)と推定した。また、材質・厚さ推定部403は、図7に示すように、遮蔽物605の比透過率として、1.01、比誘電率として、2.95、誘電率として0.0342(S/m)、厚さとして、0.0102(m)と推定した。また、受信電力推定部404は、平均受信電力推定誤差として、0.0015(dB)と推定した。
B.第2実施形態
図12は、本発明の第2実施形態による受信電力推定装置800の構成を示すブロック図である。なお、図2に対応する部分には同一の符号を付けて説明を省略する。本第2実施形態による受信電力推定装置800は、パス分離部801、伝搬遅延推定部802、遅延プロファイル推定部803、反射・透過損失計算部402、材質・厚さ推定部403、及び受信電力推定部404を備えている。
パス分離部801は、実測した周波数領域データを適切なサンプリング周波数(例えば、OFDM信号のサブチャネル間隔)でサンプリングし、得られた周波数データベクトルから受信データ相関行列を算出する。また、パス分離部801は、MUSIC(MUltiple SIgnal Classification)法や、ESPRIT(Estimation of Signal Parameters via Rotation Invariance Techniques)法といった高分解手法(例えば、参考文献5)を用いて、受信データ相関行列、送信周波数、周波数帯域幅から空間スペクトラムを出力する。このとき、受信データの相関を抑圧するために、空間平均法(例えば、参考文献6:後藤尚久,中川正雄,伊藤精彦,“アンテナ・無線ハンドブック,”オーム社, p.457~p.459)を利用することも可能である。伝搬遅延推定部802は、パス分離部801から出力された空間スペクトラムを微分し、空間スペクトラムのピーク値に対応する伝搬遅延時間を推定する。遅延プロファイル推定部803は、各パスの伝搬遅延時間に対応する受信電力を算出し、遅延プロファイルを出力する。
次に、受信電力推定装置800の動作について説明する。
図13は、本第2実施形態による受信電力推定装置800の動作を説明するためのフローチャートである。本第2実施形態では、周波数領域データを用いて遅延プロファイルを算出する。パス分離部801は、実測した周波数領域データを適切なサンプリング周波数(例えば、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)信号のサブチャネル間隔)でサンプリングして得られた周波数データベクトルから受信データ相関行列を算出する(ステップS30)。次に、パス分離部801は、MUSIC法やESPRIT法といった高分解手法を用いて、受信データ相関行列、送信周波数、周波数帯域幅から空間スペクトラムを出力する(ステップS31)。
次に、伝搬遅延推定部802は、パス分離部801から出力された空間スペクトラムを微分し、空間スペクトラムのピーク値に対応する伝搬遅延時間を推定して出力する(ステップS32)。次に、遅延プロファイル推定部803は、各パスの伝搬遅延時間に対応する受信電力を算出し、遅延プロファイルを推定して出力する(ステップS33)。
次に、パス分離部801、伝搬遅延推定部802、遅延プロファイル推定部803のMUSIC法を用いた場合の動作を一例に数式を用いて詳細に説明する。
到来波数をI、周波数データベクトルをx(f)、モードベクトルをa(τ)、周波数スペクトルをs(f)、雑音をn(f)とすると、周波数帯域幅ΔF(=f−f)において、周波数間隔ΔfでサンプリングされたN個のデータからなる周波数データベクトルx(f)は、次式(24)で表され、各変数は、次式(25)、(26)、(27)で表される。
Figure 0005809616
Figure 0005809616
Figure 0005809616
Figure 0005809616
受信データ相関行列Rxxは、周波数データベクトルのアンサンブル平均をとることで、次式(28)で得られる。
Figure 0005809616
また、受信データ相関行列Rxxは、固有値λ、固有ベクトルeを用いて、次式(29)、(30)、(31)に示すように分割できる。
Figure 0005809616
Figure 0005809616
Figure 0005809616
モードベクトルa(τ)と雑音固有ベクトルEを用いて、次式(32)のMUSIC法の空間スペクトラムが定義できる。
Figure 0005809616
MUSIC(τ)を微分し、ピーク値を取るときの遅延時間τ(i=1,2,…,I)を算出し、遅延時間に対応する信号相関行列Sは、次式(33)で表される。
Figure 0005809616
パス受信電力hは、信号相関行列の対角成分をとって次式(34)で表される。
Figure 0005809616
以上より、δ(t)をデルタ関数とすると、遅延プロファイルは、次式(35)で表される。
Figure 0005809616
反射・透過損失計算部804は、伝搬遅延推定部802から出力される遅延プロファイルと、端末・壁位置データに含まれる遮蔽物の位置や、端末・APの位置と、送信パラメータデータに含まれる送信アンテナ利得、受信アンテナ利得、送信電力、及び送信周波数とから遮蔽物の反射・透過損失の合計値を算出して出力する(ステップS34)。
次に、材質・厚さ推定部805は、図4において示したステップS12と同様に、反射・透過損失計算部804から出力された反射・透過損失の合計値から評価関数を表す数式(22)を満たす比透磁率μ、比誘電率ε、導電率σ、厚さdとの組合せの中で、評価関数を表す数式(22)を最小とする組合せを選択する(ステップS35)。シンプレックス法、ニュートン法、遺伝的アルゴリズムなどを用いることで解析することができる。
また、導電率σは、次式(36)で表されるため、導電率σの周波数特性を考慮する場合、送信周波数の異なる2つのレイから定数a,bを求める必要がある。
Figure 0005809616
受信電力推定部806は、材質・厚さ推定部805から出力される遮蔽物の材質・厚さと、端末・壁位置データに含まれる端末・APの位置と、送信パラメータデータに含まれる送信アンテナ利得、受信アンテナ利得、送信電力、及び送信周波数とを用いて、任意の点の受信電力を推定する(ステップS36)。
上述した実施形態によれば、近隣の端末や、APを含め取得した複数の実測データから、外見から正確に把握することが困難な壁などの遮蔽物の材質(比透磁率、比誘電率、導電率)・厚さを推定することができるとともに、任意の点における受信電力を正確に推定することができる。
なお、上述した第1、第2実施形態において、遅延プロファイル推定部401、反射・透過損失計算部402、材質・厚さ推定部403、及び受信電力推定部404、あるいはパス分離部801、伝搬遅延推定部802、遅延プロファイル推定部803による機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、符号化処理、及び復号化処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
301、600 送信局
302、303、601、…、604 受信局
304、605 遮蔽物
401 遅延プロファイル推定部
402 反射・透過損失計算部
403 材質・厚さ推定部
404 受信電力推定部
501 レイトレース計算部
502 伝搬損失計算部
503 受信電力計算部
504 減算器
801 パス分離部
802 伝搬遅延推定部
803 遅延プロファイル推定部

Claims (8)

  1. 遮蔽物が存在する空間内でマルチパス環境下において実測した受信電力と、前記空間を自由空間と仮定した場合の受信電力とに基づいて、前記遮蔽物の反射・透過損失を算出する反射・透過損失計算部と、
    前記反射・透過損失に基づいて、前記遮蔽物の物理特性の推定値を算出する物理特性推定部と、
    を備えることを特徴とする受信電力推定装置。
  2. 前記物理特性推定部によって算出された前記遮蔽物の物理特性の推定値に基づいて、前記空間内における任意の点の受信電力の推定値を算出する受信電力推定部
    を備えることを特徴とする請求項1に記載の受信電力推定装置。
  3. 前記空間内で複数の通信装置が通信するマルチパス環境下において実測した複数の受信電力に基づいて、遅延プロファイルを推定する遅延プロファイル推定部を備え、
    前記反射・透過損失計算部は、前記空間を自由空間と仮定した場合の受信電力を算出し、算出した受信電力と、前記遅延プロファイルとに基づいて、前記遮蔽物の反射・透過損失を算出し、
    前記物理特性推定部は、前記遅延プロファイルと、前記反射・透過損失とに基づいて、前記遮蔽物の物理特性の推定値を算出する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の受信電力推定装置。
  4. 前記反射・透過損失計算部は、
    前記空間内における前記遮蔽物の位置と前記複数の通信装置の位置とに基づいて、送信点から受信点まで到達するパスを算出するレイトレース計算部と、
    前記マルチパス環境下における反射係数、透過係数を1とし、前記レイトレース計算部から出力されるレイのパスと前記通信装置の送信周波数とに基づいて、自由伝搬の距離減衰量を算出する伝搬損失計算部と、
    前記自由伝搬の距離減衰量と、送信アンテナ利得と、受信アンテナ利得と、送信電力とに基づいて、受信点の受信電力を算出する受信電力計算部と、
    前記受信電力計算部から出力される受信点の受信電力と前記遅延プロファイル推定部から出力される遅延プロファイルとの差分に基づいて、前記遮蔽物の反射・透過損失を算出する減算器と、
    を備えることを特徴とする請求項3に記載の受信電力推定装置。
  5. 周波数領域データをサンプリングして得られた周波数データベクトルから受信データ相関行列を算出し、該受信データ相関行列と、前記複数の通信装置の送信周波数及び周波数帯域幅とから空間スペクトラムを出力するパス分離部と、
    前記パス分離部から出力される前記空間スペクトラムに基づいて、該空間スペクトラムのピーク値に対応する伝搬遅延時間を推定する伝搬遅延推定部と、
    を備え、
    前記遅延プロファイル推定部は、前記遅延プロファイルとして、前記伝搬遅延推定部によって推定された、各パスの伝搬遅延時間に対応する受信電力を算出する
    ことを特徴とする請求項3または4に記載の受信電力推定装置。
  6. 前記物理特性推定部は、前記遮蔽物の材質及び厚さを前記物理特性として算出し、
    前記受信電力推定部は、前記物理特性推定部に算出される前記遮蔽物の材質及び厚さと、複数の通信装置の位置と、前記複数の通信装置の送信アンテナ利得と、受信アンテナ利得と、送信電力と、送信周波数とに基づいて、任意の点の受信電力の推定値を算出する
    ことを特徴とする請求項2に記載の受信電力推定装置。
  7. 遮蔽物が存在する空間内でマルチパス環境下において実測した受信電力と、前記空間を自由空間と仮定した場合の受信電力とに基づいて、前記遮蔽物の反射・透過損失を算出するステップと、
    前記反射・透過損失に基づいて、前記遮蔽物の物理特性の推定値を算出するステップと、
    を備えることを特徴とする受信電力推定方法。
  8. 請求項1から6のいずれか1項に記載の受信電力推定装置として、コンピュータを動作させるプログラム。
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