JP5809614B2 - 燃料電池スタック - Google Patents

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本発明は、電解質の両側に一対の電極を設けた電解質・電極構造体とセパレータとを有する燃料電池を有し、複数の前記燃料電池が積層される燃料電池スタックに関する。
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜からなる固体高分子電解質膜の両側に、それぞれアノード電極及びカソード電極を配設した電解質膜・電極構造体(電解質・電極構造体)(MEA)を、セパレータによって挟持して構成されている。
この種の燃料電池では、通常、数十〜数百の燃料電池を積層することにより、例えば、車載用燃料電池スタックとして使用されている。その際、車両の衝突時のように、燃料電池スタックに外部荷重が付与されると、セパレータが変形してシール性が低下するという問題がある。
そこで、例えば、特許文献1に開示されている燃料電池スタックが知られている。この燃料電池スタックは、複数のセパレータを積層方向に一体に保持する接続部材と、前記接続部材により一体に保持される前記セパレータの中、少なくとも1つのセパレータの外周部に設けられ、他のセパレータの外周部より外方に突出して外部からの荷重を受けるための樹脂製ガイド部とを備えている。
特開2008−27761号公報
ところで、樹脂製ガイド部として、エンジニアリングプラスチックが使用される場合が多く、樹脂コストが高価となっている。このため、樹脂の使用量を削減させることが望まれている。
本発明は、この種の要請に対応するものであり、外部荷重に対して所望の強度を維持するとともに、樹脂使用量を良好に削減することができ、経済的に構成することが可能な燃料電池スタックを提供することを目的とする。
本発明は、電解質の両側に一対の電極を設けた電解質・電極構造体とセパレータとを有する燃料電池を備え、複数の前記燃料電池が積層される燃料電池スタックに関するものである。
この燃料電池スタックでは、セパレータは、投錨用の複数の貫通孔を設け、外部からの荷重を受けるための樹脂製ガイド部該樹脂製ガイド部を構成する樹脂の一部が前記複数の貫通孔に充填されて、前記セパレータに一体成形されている。そして、樹脂製ガイド部は、セパレータ面内で終端する端面が、複数の貫通孔である各貫通孔を覆う凸状湾曲部と前記各貫通孔間に入り込む凹状湾曲部とを交互に有する波形状に構成されている。
また、この燃料電池スタックでは、セパレータには、樹脂製ガイド部の端面に接着してゴム製シール部材が一体成形されることが好ましい。
本発明によれば、樹脂製ガイド部の端面は、波形状に構成されており、各貫通孔間に入り込む凹状湾曲部を有している。このため、平坦状の端面に構成する場合に比べ、樹脂の使用量を削減させることができる。しかも、樹脂製ガイド部の端面は、各貫通孔を覆う凸状湾曲部を有することにより、外部荷重に対する強度を保持することが可能になる。
これにより、外部荷重に対して所望の強度を維持するとともに、樹脂使用量を良好に削減することができ、燃料電池スタック全体を経済的に構成することが可能になる。
本発明の実施形態に係る燃料電池スタックを構成する燃料電池ユニットの分解斜視説明図である。 前記燃料電池ユニットを構成する第2セパレータの要部拡大説明図である。 前記第2セパレータの、図2中、III−III線断面図である。 前記第2セパレータに荷重受け部を成形する成形装置の要部斜視説明図である。 前記成形装置の、図4中、V−V線断面図である。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る燃料電池スタック10は、燃料電池ユニット12を備える。複数の燃料電池ユニット12が、矢印A方向に積層されることにより、例えば、車載用燃料電池スタックを構成する。
燃料電池ユニット12は、第1電解質膜(電解質)・電極構造体(MEA)14a及び第2電解質膜(電解質)・電極構造体(MEA)14bと、第1セパレータ16、第2セパレータ18及び第3セパレータ20とを設ける。第1セパレータ16及び第2セパレータ18の間には、第1電解質膜・電極構造体14aが挟持される一方、前記第2セパレータ18及び第3セパレータ20の間には、第2電解質膜・電極構造体14bが挟持される。第1セパレータ16〜第3セパレータ20は、金属セパレータで構成されているが、例えば、カーボンセパレータを採用してもよい。
なお、本実施形態では、2枚のMEAと3枚のセパレータとにより燃料電池ユニット12を構成しているが、これに限定されるものではない。例えば、3枚以上のMEAと5枚以上のセパレータとにより燃料電池ユニット12を構成してもよい。また、2枚のセパレータ間に1枚のMEAを挟持することにより、燃料電池ユニット12を構成してもよい。
燃料電池ユニット12の長辺方向(図1中、矢印C方向)の一端縁部(上端縁部)には、矢印A方向に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、酸素含有ガスを供給するための酸化剤ガス入口連通孔22aと、燃料ガス、例えば、水素含有ガスを供給するための燃料ガス入口連通孔24aとが設けられる。
燃料電池ユニット12の長辺方向の他端縁部(下端縁部)には、矢印A方向に互いに連通して、燃料ガスを排出するための燃料ガス出口連通孔24bと、酸化剤ガスを排出するための酸化剤ガス出口連通孔22bとが設けられる。
燃料電池ユニット12の短辺方向(矢印B方向)の一端縁部には、冷却媒体を供給するための2つの冷却媒体入口連通孔26aが設けられるとともに、前記燃料電池ユニット12の短辺方向の他端縁部には、冷却媒体を排出するための2つの冷却媒体出口連通孔26bが設けられる。
第1電解質膜・電極構造体14a及び第2電解質膜・電極構造体14bは、例えば、パーフルオロスルホン酸の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜28と、前記固体高分子電解質膜28を挟持するアノード電極30及びカソード電極32とを備える。
アノード電極30及びカソード電極32は、カーボンペーパ等からなるガス拡散層(図示せず)と、白金合金が表面に担持された多孔質カーボン粒子が前記ガス拡散層の表面に一様に塗布されて形成される電極触媒層(図示せず)とを有する。電極触媒層は、固体高分子電解質膜28の両面に形成される。
第1セパレータ16の第1電解質膜・電極構造体14aに向かう面16aには、燃料ガス入口連通孔24aと燃料ガス出口連通孔24bとを連通する第1燃料ガス流路34が形成される。第1燃料ガス流路34は、例えば、矢印C方向に延在する。第1セパレータ16の面16bには、冷却媒体入口連通孔26aと冷却媒体出口連通孔26bとを連通する冷却媒体流路36が形成される。冷却媒体流路36は、矢印B方向に延在する。
第2セパレータ18の第1電解質膜・電極構造体14aに向かう面18aには、例えば、矢印C方向に延在する第1酸化剤ガス流路38が設けられるとともに、前記第1酸化剤ガス流路38は、酸化剤ガス入口連通孔22aと酸化剤ガス出口連通孔22bとに連通する。第2セパレータ18の第2電解質膜・電極構造体14bに向かう面18bには、矢印C方向に延在して燃料ガス入口連通孔24aと燃料ガス出口連通孔24bとを連通する第2燃料ガス流路40が形成される。
第3セパレータ20の第2電解質膜・電極構造体14bに向かう面20aには、矢印C方向に延在して酸化剤ガス入口連通孔22aと酸化剤ガス出口連通孔22bとに連通する第2酸化剤ガス流路42が設けられる。第3セパレータ20の面20bには、第1セパレータ16の面16bと重なり合って冷却媒体流路36が一体的に形成される。
第1セパレータ16の面16a、16bには、この第1セパレータ16の外周端縁部を周回して第1シール部材44が一体成形される。第2セパレータ18の面18a、18bには、この第2セパレータ18の外周端縁部を周回して第2シール部材46が一体成形されるとともに、第3セパレータ20の面20a、20bには、この第3セパレータ20の外周端縁部を周回して第3シール部材48が一体成形される。
第1シール部材44、第2シール部材46及び第3シール部材48としては、例えば、EPDM、NBR、フッ素ゴム、シリコーンゴム、フロロシリコーンゴム、ブチルゴム、天然ゴム、スチレンゴム、クロロプレーン又はアクリルゴム等のシール材、クッション材、あるいはパッキン材等の弾性を有するシール部材が用いられる。
第1セパレータ16の外周部には、複数の樹脂製荷重受け部50が一体化される。第2セパレータ18及び第3セパレータ20には、それぞれ第1セパレータ16の各荷重受け部50と矢印A方向に重ね合う位置に対応して、複数の樹脂製荷重受け部52、54が一体化される。荷重受け部50、52及び54には、例えば、エンジニアリングプラスチック、PPS(ポリフェニレンサルファイド)、PAR(ポリアリレート)、PAI(ポリアミドイミド)、PEI(ポリエーテルイミド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PSF(ポリサルホン)又はPES(ポリエーテルサルホン)等が使用される。
荷重受け部50、52及び54の中、少なくとも前記荷重受け部52は、他の荷重受け部50、54よりも外方に突出する。この荷重受け部52は、外部から付与される荷重(外部荷重)を受けるとともに、各燃料電池ユニット12の積層時にガイド機能を有する樹脂製ガイド部を構成する。なお、第2セパレータ18にのみ荷重受け部52を設け、第1セパレータ16及び第3セパレータ20に荷重受け部50、54を設けなくてもよい。
図2に示すように、第2セパレータ18を構成する金属プレート56には、切り欠き部56aが設けられており、前記切り欠き部56aに荷重受け部52が一体成形される。金属プレート56には、切り欠き部56aに近接して複数の投錨用の貫通孔58が形成され、前記貫通孔58に樹脂が充填されて荷重受け部52が設けられる。
荷重受け部52は、切り欠き部56aに沿って延在する長尺な基台部52aと、前記基台部52aの中央部位から第2セパレータ18の外方に突出する突起部52bとを一体に有する。荷重受け部52は、第2セパレータ18のセパレータ面(18a、18b)内で終端する端面52cが、各貫通孔58を覆う凸状湾曲部52caと各貫通孔58間に入り込む凹状湾曲部52cbとを交互に有する波形状に構成される(図2及び図3参照)。
なお、荷重受け部50、54は、上記の荷重受け部52と同様に構成されており、その詳細な説明は省略する。
次いで、第2セパレータ18に荷重受け部52を一体化する方法について、説明する。
先ず、図4に示すように、金属プレート56が形成される。この金属プレート56は、第2セパレータ18を構成するとともに、各荷重受け部52に対応して切り欠き部56a及び複数の貫通孔58が設けられる。金属プレート56は、樹脂用成形装置60に配置される。
成形装置60は、図4及び図5に示すように、下型62と上型64とを備え、これらの間には、荷重受け部52の形状に対応するキャビティ66が形成される。下型62及び上型64には、それぞれキャビティ66を構成する波形状成形面66a、66bが設けられる。波形状成形面66a、66bは、荷重受け部52の端面52cの波形状に対応する。下型62及び上型64には、射出成形時に金属プレート56をキャビティ66内に挟持するための複数の押さえピン68a、68bが設けられる。その際、金属プレート56に設けられている貫通孔58の中、両端部に配置されている前記貫通孔58は、端部に配置されている押さえピン68a、68bの位置よりも側方に突出している(図2及び図4参照)。
そこで、下型62と上型64とは、金属プレート56を挟持して型締めされた状態で、キャビティ66に溶融樹脂が充填される。溶融樹脂は、キャビティ66内を金属プレート56の両面に沿って流動するとともに、複数の貫通孔58に充填される。このため、溶融樹脂が固化(硬化)することにより、金属プレート56には、切り欠き部56aに沿って荷重受け部52が一体成形される。
さらに、金属プレート56の外周縁部に絶縁被覆処理を施すことにより、第2シール部材46が一体成形される(図3参照)。第2シール部材46は、荷重受け部52の端面52cに接着される。従って、第2セパレータ18が製作される。なお、第1セパレータ16及び第3セパレータ20は、上記の第2セパレータ18と同様に製造される。
この場合、本実施形態では、図2に示すように、荷重受け部52の端面52cは、波形状に構成されている。端面52cは、金属プレート56の各貫通孔58間に入り込む凹状湾曲部52cbを有している。従って、端面52cを平坦状に構成する場合に比べ、樹脂の使用量を削減させることができる。しかも、荷重受け部52の端面52cは、各貫通孔58を覆う凸状湾曲部52caを有することにより、外部荷重に対する強度を保持することが可能になる。
これにより、第2セパレータ18は、外部荷重に対して所望の強度を維持するとともに、樹脂使用量を良好に削減することができる。このため、燃料電池スタック10全体を経済的に構成することが可能になるという効果が得られる。
さらに、荷重受け部52の端面52cは、波形状に構成されるため、第2シール部材46との接着面積が増加する。従って、プライマー塗布範囲が拡大され、絶縁性能を有効に向上させることができる。
次に、このように構成される燃料電池スタック10の動作について、以下に説明する。
先ず、図1に示すように、燃料電池スタック10を構成する燃料電池ユニット12では、酸化剤ガス入口連通孔22aに酸素含有ガス等の酸化剤ガス(例えば、空気)が供給されるとともに、燃料ガス入口連通孔24aに水素含有ガス等の燃料ガス(例えば、水素ガス)が供給される。さらに、2つの冷却媒体入口連通孔26aには、純水やエチレングリコール、オイル等の冷却媒体が供給される。
酸化剤ガスは、酸化剤ガス入口連通孔22aに沿って矢印A方向に移動し、第2セパレータ18の第1酸化剤ガス流路38及び第3セパレータ20の第2酸化剤ガス流路42に導入される。第1酸化剤ガス流路38に導入された酸化剤ガスは、第1電解質膜・電極構造体14aのカソード電極32に沿って矢印C方向に移動する一方、第2酸化剤ガス流路42に導入された酸化剤ガスは、第2電解質膜・電極構造体14bのカソード電極32に沿って矢印C方向に移動する。
燃料ガスは、燃料ガス入口連通孔24aから第1セパレータ16の第1燃料ガス流路34及び第2セパレータ18の第2燃料ガス流路40に導入される。このため、燃料ガスは、第1電解質膜・電極構造体14a及び第2電解質膜・電極構造体14bの各アノード電極30に沿って矢印C方向に移動する。
従って、第1電解質膜・電極構造体14a及び第2電解質膜・電極構造体14bでは、各カソード電極32に供給される酸化剤ガスと、各アノード電極30に供給される燃料ガスとが、図示しない電極触媒層内で電気化学反応により消費され、発電が行われる。
次いで、各カソード電極32に供給されて消費された酸化剤ガスは、酸化剤ガス出口連通孔22bに沿って流動した後、燃料電池スタック10から排出される。同様に、各アノード電極30に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス出口連通孔24bに排出されて流動し、燃料電池スタック10から排出される。
また、冷却媒体は、冷却媒体入口連通孔26aから燃料電池ユニット12間の冷却媒体流路36に導入された後、矢印B方向に沿って流動する。この冷却媒体は、第1電解質膜・電極構造体14a及び第2電解質膜・電極構造体14bを間引き冷却した後、冷却媒体出口連通孔26bを移動して燃料電池スタック10から排出される。
10…燃料電池スタック 12…燃料電池ユニット
14a、14b…電解質膜・電極構造体
16、18、20…セパレータ 22a…酸化剤ガス入口連通孔
22b…酸化剤ガス出口連通孔 24a…燃料ガス入口連通孔
24b…燃料ガス出口連通孔 26a…冷却媒体入口連通孔
26b…冷却媒体出口連通孔 28…固体高分子電解質膜
30…アノード電極 32…カソード電極
34、40…燃料ガス流路 36…冷却媒体流路
38、42…酸化剤ガス流路 50、52、54…荷重受け部
52a…基台部 52b…突起部
52c…端面 52ca…凸状湾曲部
52cb…凹状湾曲部 56…金属プレート
56a…切り欠き部 58…貫通孔
60…成形装置 62…下型
64…上型 66…キャビティ

Claims (2)

  1. 電解質の両側に一対の電極を設けた電解質・電極構造体とセパレータとを有する燃料電池を備え、複数の前記燃料電池が積層される燃料電池スタックであって、
    前記セパレータは、投錨用の複数の貫通孔を設け、外部からの荷重を受けるための樹脂製ガイド部該樹脂製ガイド部を構成する樹脂の一部が前記複数の貫通孔に充填されて、前記セパレータに一体成形されるとともに、
    前記樹脂製ガイド部は、セパレータ面内で終端する端面が、前記複数の貫通孔である各貫通孔を覆う凸状湾曲部と前記各貫通孔間に入り込む凹状湾曲部とを交互に有する波形状に構成されることを特徴とする燃料電池スタック。
  2. 請求項1記載の燃料電池スタックにおいて、前記セパレータには、前記樹脂製ガイド部の前記端面に接着してゴム製シール部材が一体成形されることを特徴とする燃料電池スタック。
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