JP5806560B2 - 電磁接触器の製造方法及びこの方法で使用する保持治具 - Google Patents
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図5のカプセル構造品は、セラミック製の消弧室1内部に、固定接点26、可動接点27aを有する可動端子27、可動軸28、接触バネ29等が組み込まれている。また、キャップ8内には可動軸28が連結された可動鉄心30、復帰バネ31が組み込まれている。ここでは、力プセル構造に関することなので、内部構成については説明しない。
また、図5の符号4は、可動軸28が挿通する開口穴4aを形成したベース板であり、キャップ8のフランジ部8aとベース板4及び接続部材3のフランジ部3bとベース板4が、レーザ溶接により接合されている。
したがって、ベース板4及びキャップ8をレーザ溶接により組立てする際には、レーザ光11が干渉しないように治具や部品精度を向上しなければならず、量産化の面で問題がある。
しかし、傾斜レーザ光12の入射角を設定するには、レーザ溶接時の溶け込み深さを確認して、影響のない角度を確認しておかなければならないという煩わしい作業が発生するという問題がある。
また、本発明の第4の実施の形態に係る電磁接触器の製造方法は、前記第1溶接工程において、前記ベース板及び前記キャップフランジ部の板厚を合わせた寸法と同一の溶け込み深さのレーザ溶接、或いは、前記ベース板及び前記キャップフランジ部の板厚を合わせた寸法より僅かに超えた溶け込み深さの貫通レーザ溶接を行なうとともに、前記第2溶接工程において、前記ベース板及び前記接続部材フランジ部の板厚を合わせた寸法と同一の溶け込み深さのレーザ溶接、或いは、前記ベース板及び前記接続部材フランジ部の板厚を合わせた寸法より僅かに超えた溶け込み深さの貫通レーザ溶接を行なうことを特徴とする電磁接触器の製造方法である。
また、第1溶接工程及び第2溶接工程のベース板の板厚は、キャップフランジ部及び接続部材フランジ部の板厚より厚く設定されており、レーザ溶接も、2枚の板厚寸法と同一の溶け込み深さのレーザ溶接、或いは、2枚の板厚寸法より僅かに超えた溶け込み深さの貫通レーザ溶接を行なっているので、溶接部内に発生しやすかったポロシティを抑制することができる。
図1及び図2は、電磁接触器のガス密閉型構造(以下、カプセル構造品という)の製造方法の1実施形態を示すものである。
本実施形態は、図1に示すように、ベース板4及びキャップ8をレーザ溶接で一体化して第1組立て部品18を形成する第1溶接工程と、図2に示すように、第1組立て部品8のベース4及び第2組立て部品19の接続部材3を溶接する第2溶接工程とを有する方法である。なお、図2に示すように、第2組立て部品19は、消弧室1、固定端子2及び接続部材3が予めろう付けで接合されたものである。
ここで、ベース板4の板厚は、キャップ8のフランジ部8aの板厚より大きく、例えば、ベース板4の板厚1.6mm、フランジ部8aの板厚0.5mmの場合には、溶け込み深さをおよそ2.1(=0.5+1.6)mmにするレーザ溶接、或いは、2.1mmを僅かに超えた貫通レーザ溶接にする。
また、図2に示す第2溶接工程は、消弧室1、固定端子2及び接続部材3を一体化した第2組立て部品19と、キャップ8及びベース板4を一体化した第1組立て部品18とを、レーザ光20で溶接する工程である。
ベース板4の板厚は、接続部材3のフランジ部3bの板厚より大きく、例えば、ベース板4の板厚1.6mm、フランジ部3bの板厚0.8mmの場合には、溶け込み深さをおよそ2.4(=0.8+1.6)mmにするレーザ溶接、或いは、2.4mmを僅かに超えた貫通レーザ溶接にする。
したがって、第2溶接工程の段取り作業も、保持治具の位置や溶接を行なう際のレーザ溶接条件などの初期設定をしておけば良い。
なお、本発明のキャップフランジ部がフランジ部8aに対応し、本発明の接続部材フランジ部がフランジ部3bに対応している。
本実施形態は、第1溶接工程においてベース板4及びキャップ8を固定するために、第2溶接工程において第1及び第2組立て部品18,19を固定するため、以下に示す構造の保持治具21を使用している。
また、環状隔壁部21cは、同一の外周形状に形成したベース板4及び接続部材3のフランジ部3bより僅かに大きな環状に形成されており、この環状隔壁部21cには、上部溶接空間22a及び下部溶接空間22bの間を連通する複数の連通穴21c1が形成されている。
次いで、ガス配管21d、21eから上部溶接空間22aにシールドガスを供給し、ガス配管21f、21gから下部溶接空間22bにシールドガスを供給し、保持治具21の上方から垂直入射したレーザ光17によりベース板18及びキャップ8のフランジ部8aの円周溶接を行なうことで、第1組立て部品18を形成する。
次に、第2溶接工程において、第2組立て部品19の接続部材3のフランジ部3bと、第1組立て部品18のベース板4との仮付け固定を行なう。
次いで、ガス配管21d、21eから上部溶接空間22aにシールドガスを供給し、ガス配管21f、21gから下部溶接空間22bにシールドガスを供給し、保持治具21の上方から垂直入射したレーザ光20によりベース板18及び接続部材3のフランジ部3bの長方形の周上をレーザ溶接することで、第1組立て部品18及び第2組立て部品19を結合する。
また、第1溶接工程におけるベース板4及びキャップ8のレーザ溶接、第2溶接工程における第2組立て部品19の接続部材3と第1組立て部品18のベース板4とのレーザ溶接に共通するものであるが、溶接時に例えば、出力2kWのファイバーレーザにて高速溶接を行うとポロシティ(気孔)の発生が抑制される。ここでいう高速溶接とは、本件の板厚しベル(2枚重ねの厚さ)の場合、少なくとも3m/minを超える溶接速度である。
なお、レーザの種類としては、ビーム品質が極めて良いファイバーレーザ、あるいはディスクレーザなどが良い。これらのレーザは、ビーム品質が極めて高い(M2値=1.1:光の回折限界に近い値)ためである。長焦点距離のレンズ(F=300〜550mm)を使用しても集光ビーム径を小さく確保できるだけでなく。ビームの集光角が小さくできるので、狭小幅で深い溝の底までレーザ光が届くという特徴(途中の壁に光が干渉しない)があるからである。もちろん従来のYAGレーザやC02レーザでも構わないが、ビーム品質の点で上記のような狭小幅で深い溝の底に対応できるかが難しい点であることに注意が必要である。
Claims (5)
- 開口穴を有するベース板と、
一端が開放した有底筒状のキャップ円筒部及びこのキャップ円筒部の開放端面に設けた前記ベース板と密着可能なキャップフランジ部を有するキャップと、
壁面を貫通して固定した固定端子を有し、一端を開放した桶状の消弧室と、
この消弧室の開放端面に一端が密着して固定された筒部及び当該筒部の他端に設けた前記ベース板と密着可能な接続部材フランジ部を有する接続部材と、を備え、
前記ベース板と前記キャップの前記キャップフランジ部とを互いに密着させ、前記ベース板側からレーザ光を照射して前記ベース板及び前記キャップフランジ部をレーザ溶接することで前記ベース板及び前記キャップが一体化された第1組立て部品を形成する第1溶接工程と、
前記消弧室に前記固定端子及び前記接続部材が固定されてなる第2組立て部品の前記接続部材フランジ部と前記第1組立て部品の前記ベース板とを互いに密着させ、前記第1組立て部品側から前記ベース板に向けてレーザ光を照射して前記ベース板及び前記接続部材フランジ部をレーザ溶接することで前記第1組立て部品及び前記第2組立て部品を一体化する第2溶接工程と、を備えたことを特徴とする電磁接触器の製造方法。 - 前記第1溶接工程において、前記ベース板側のレーザ溶接部の周囲の溶接空間及び前記キャップフランジ部側のレーザ溶接部の周囲の溶接空間に、無酸化雰囲気となるシールドガスが供給されているとともに、
前記第2溶接工程において、前記ベース板側のレーザ溶接部の周囲の溶接空間及び前記接続部材フランジ部側のレーザ溶接部の周囲の溶接空間に、無酸化雰囲気となるシールドガスが供給されていることを特徴とする請求項1記載の電磁接触器の製造方法。 - 前記ベース板の板厚は、前記キャップフランジ部及び前記接続部材フランジ部の板厚より厚く設定されていることを特徴とする請求項1又は2記載の電磁接触器の製造方法。
- 前記第1溶接工程において、前記ベース板及び前記キャップフランジ部の板厚を合わせた寸法と同一の溶け込み深さのレーザ溶接、或いは、前記ベース板及び前記キャップフランジ部の板厚を合わせた寸法より僅かに超えた溶け込み深さの貫通レーザ溶接を行なうとともに、
前記第2溶接工程において、前記ベース板及び前記接続部材フランジ部の板厚を合わせた寸法と同一の溶け込み深さのレーザ溶接、或いは、前記ベース板及び前記接続部材フランジ部の板厚を合わせた寸法より僅かに超えた溶け込み深さの貫通レーザ溶接を行なうことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の電磁接触器の製造方法。 - 請求項2記載の電磁接触器の製造方法で使用され、前記第1溶接工程でレーザ溶接を行なう前記ベース板及び前記キャップを保持し、前記第2溶接工程でレーザ溶接を行なう前記第1組立て部品及び前記第2組立て部品を保持する保持治具であって、
上方からレーザ光が垂直入射するように上部が開口した治具本体を備え、
この治具本体の内部空間は、前記第1溶接工程において、互いに密着した前記ベース板及び前記キャップフランジ部より上部の上部溶接空間と、前記ベース板及び前記キャップフランジ部より下部の下部溶接空間とに区画されるとともに、前記第2溶接工程において、互いに密着した前記ベース板及び接続部材フランジ部より上部の上部溶接空間と、前記ベース板及び前記接続部材フランジ部より下部の下部溶接空間とに区画されており、
前記上部溶接空間及び前記下部溶接空間の各々の空間に、前記治具本体に設けたガス配管から前記シールドガスが供給されることを特徴とする電磁接触器の製造方法で使用することを特徴とする保持治具。
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