以下、図面を参照しつつ本発明に係る組積造建物の臥梁用の外枠材、及びそれを用いた組積造建物の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る組積造建物1を外部から見たときの立面図である。図2は、図1に示すII−II線に沿った断面図であり、Aで示す部分を拡大した断面図である。図3は、組積造建物1の壁体出隅部を室内側から見た斜視図である。ただし、図3は、本実施形態の構成を説明するために、一部のブロック材や臥梁に打設される一部のコンクリートが省略されている。本実施形態における組積造建物1は、二階建ての組積造の住宅である。図1〜図3に示すように、組積造建物1は、布基礎2と、複数のブロック材3によって構成された壁体4と、一階と二階の間の臥梁6Aと、二階と屋上の間の臥梁6Bと、一階床8Aと、二階床8Bと、屋上床8Cと、を備えて構成されている。本実施形態に係る組積造建物1は、使用される部材の多くが規格化、工業化された工業化住宅である。組積造建物1は平面モジュールM(例えばM=455mmに設定できる)を有している。組積造建物1の通り芯は、直交する二方向について平面モジュールMの整数倍の間隔で複数設定されており、壁体4、臥梁6A,6Bの厚さ方向(室内から室外へ向かう方向)における中心は、当該通り芯に一致するように配置される(例えば図2を参照)。
布基礎2は、地面GDに設けられた鉄筋コンクリート造の構造物であり、組積造建物1の基礎として機能する。布基礎2は、地中に埋設された部分と、地面GDから立ち上がる部分を有しており、立ち上がり部分の上端2aは、一階壁体4Aが載置されるように平面状に構成されている。布基礎2は、組積造建物1に設定された通り芯に沿って水平方向に延びるように設けられており、少なくとも一階壁体4Aが設けられる位置の直下には配置されている。布基礎2は、一階壁体4Aに対する下部横架材として機能する。布基礎2の厚さ方向の寸法は、一階床8Aの縁部と一階壁体4Aを載置できるように、一階壁体4Aの厚さ方向の寸法(ブロック材3の厚さ寸法T)より大きく設定されている。布基礎2には、縦補強鉄筋31の下端部が埋設されており、当該縦補強鉄筋31は布基礎2の上端2aから突出して上方へ向かって延びている。この縦補強鉄筋31の詳細な説明は、後述する。
壁体4は、一階壁体4Aと、二階壁体4Bと、屋上壁体4Cと、を備えている。一階壁体4Aは、組積造建物1の一階部分の壁を構成しており、布基礎2と臥梁6Aとの間に設けられる。一階壁体4Aの下端4bが布基礎2の上端2aに載置されると共に固定され、一階壁体4Aの上端4aに臥梁6Aが載置されると共に固定される。二階壁体4Bは、組積造建物1の二階部分の壁を構成しており、臥梁6Aと臥梁6Bとの間に設けられる。二階壁体4Bの下端4bが臥梁6A及び二階床8Bに載置されると共に固定され、二階壁体4Bの上端4aに臥梁6Bが載置されると共に固定される。屋上壁体4Cは、組積造建物1の屋上のパラペットを構成しており、臥梁6Bの上方に設けられる。屋上壁体4Cの下端4bが臥梁6B及び屋上床8Cに載置されると共に固定される。
壁体4は、横方向及び縦方向に連接されると共に接合された複数のブロック材3によって構成されている。横方向及び縦方向において隣り合うブロック材3同士の接着には接着剤が用いられる。接着剤は、薄い塗布であっても十分な接着効果があり、圧縮力を受けた際に潰れないものを適用することが好ましく、例えば、樹脂モルタルを適用することが好ましい。
ここで、図4及び図5を参照してブロック材3の詳細な構成について説明する。本実施形態では、複数種類のブロック材3A,3B,3C,3D,3E,3F,3G,3H,3K,3Lが用いられる。ブロック材3A,3B,3C,3D,3E,3F,3G,3H,3K,3Lは、長さ方向の寸法が平面モジュールMに基づいて設定されることによって規格化されたものである。ブロック材3A,3B,3C,3D,3E,3F,3G,3H,3K,3Lの材料は、例えば、ALCや軽量コンクリートである。
図4に示すように、ブロック材3Aは、直方体のコンクリートブロックであり、長さ方向において互いに対向する端面3a,3bと、厚さ方向において互いに対向する側面3c,3dと、高さ方向において互いに対向する上面3e及び下面3fと、を有している。ブロック材3Aの長さ寸法、すなわち端面3aと端面3bとの間の寸法は、平面モジュールMの二倍の寸法である2Mに設定される。ブロック材3Aの厚さ寸法、すなわち側面3cと側面3dとの間の寸法はTに設定される。ブロック材3Aの高さ寸法、すなわち上面3eと下面3fとの間の寸法はどのような寸法を設定してもよいが、本実施形態では厚さ寸法と同じくTに設定される。
ブロック材3Aには、上面3eから下面3fへ貫通する長孔形状の鉄筋挿入孔13が形成されている。鉄筋挿入孔13は、厚さ方向に対する中心線CL2から側面3c及び側面3dへ向かって延びるような長孔形状をなしている。鉄筋挿入孔13の長孔形状は、中心線CL2に対して線対称をなすような形状及び寸法に設定されている。鉄筋挿入孔13は、端面3aから長さ方向の距離がM/2の位置に形成されると共に、M+M/2の位置に形成される。ブロック材3Aの上面3e及び下面3fには、中心線CL2に沿って長さ方向に延びる溝部14が形成されている。当該溝部14には、横補強鉄筋32が配置される。
ブロック材3B及びブロック材3Cは、長さ寸法が2M+T/2に設定されている。具体的に、ブロック材3Bは、ブロック材3Aの端面3a側の端部の寸法をT/2延長することによって構成される。端面3bから長さ方向の距離が2Mの位置であって中心線CL2上の位置には、上面3eから下面3fへ貫通する円形状の鉄筋挿入孔15が形成されている。その他の部分についてはブロック材3Aと同様の構成を有する。ブロック材3Cは、ブロック材3Aの端面3b側の端部の寸法をT/2延長することによって構成される。端面3aから長さ方向の距離が2Mの位置であって中心線CL2上の位置には、上面3eから下面3fへ貫通する円形状の鉄筋挿入孔15が形成されている。その他の部分についてはブロック材3Aと同様の構成を有する。
ブロック材3D及びブロック材3Eは、長さ寸法が2M−T/2に設定されている。具体的に、ブロック材3Dは、ブロック材3Aの端面3a側の端部の寸法をT/2短くすることによって構成される。その他の部分についてはブロック材3Aと同様の構成を有する。ブロック材3Eは、ブロック材3Aの端面3b側の端部の寸法をT/2短くすることによって構成される。その他の部分についてはブロック材3Aと同様の構成を有する。
図5に示すように、ブロック材3Fは、略直方体形状であり、長さ方向において互いに対向する端面3a,3bと、厚さ方向において互いに対向する側面3c,3dと、高さ方向において互いに対向する上面3e及び下面3fと、を有している。ブロック材3Fの長さ寸法、すなわち端面3aと端面3bとの間の寸法は、平面モジュールMに設定される。ブロック材3Fの厚さ寸法、すなわち側面3cと側面3dとの間の寸法はブロック材Aと同じくTに設定される。ブロック材3Fの高さ寸法、すなわち上面3eと下面3fとの間の寸法はブロック材Aの高さ寸法と同じ寸法が設定され、本実施形態ではTに設定される。
ブロック材3Fには、上面3eから下面3fへ貫通する長孔形状の鉄筋挿入孔13が形成されている。鉄筋挿入孔13は、厚さ方向に対する中心線CL2から側面3c及び側面3dへ向かって延びるような長孔形状をなしている。鉄筋挿入孔13の長孔形状は、中心線CL2に対して線対称をなすような形状及び寸法に設定されている。鉄筋挿入孔13は、端面3aから長さ方向の距離がM/2の位置に形成される。ブロック材3Fの上面3e及び下面3fには、中心線CL2に沿って長さ方向に延びる溝部14が形成されている。当該溝部14には、横補強鉄筋32が配置される。
ブロック材3G及びブロック材3Hは、長さ寸法がM+T/2に設定されている。具体的に、ブロック材3Gは、ブロック材3Fの端面3a側の端部の寸法をT/2延長することによって構成される。端面3bから長さ方向の距離がMの位置であって中心線CL2上の位置には、上面3eから下面3fへ貫通する円形状の鉄筋挿入孔15が形成されている。その他の部分についてはブロック材3Fと同様の構成を有する。ブロック材3Hは、ブロック材3Fの端面3b側の端部の寸法をT/2延長することによって構成される。端面3aから長さ方向の距離がMの位置であって中心線CL2上の位置には、上面3eから下面3fへ貫通する円形状の鉄筋挿入孔15が形成されている。その他の部分についてはブロック材3Fと同様の構成を有する。
ブロック材3K及びブロック材3Lは、長さ寸法がM−T/2に設定されている。具体的に、ブロック材3Kは、ブロック材3Fの端面3a側の端部の寸法をT/2短くすることによって構成される。その他の部分についてはブロック材3Fと同様の構成を有する。ブロック材3Lは、ブロック材3Fの端面3b側の端部の寸法をT/2短くすることによって構成される。その他の部分についてはブロック材3Fと同様の構成を有する。
図1〜図3に戻り、壁体4は、上述のような平面モジュールMに基づいた寸法を有するブロック材3A,3B,3C,3D,3E,3F,3G,3H,3K,3Lを組み合わせることで、壁体一般部のように平面状に広がる部分のみならず、壁体出隅部や壁体入隅部や窓枠部周辺などのように形状が変則的に変わる部分も、規格化されたブロック材のみ(すなわち、ある一部分のみに対して特別な寸法のブロック材を作成することなく)で構成することができる。
例えば、壁体4の壁体一般部は、長さ寸法2Mのブロック材3Aを長手積みすることによって構成される。すなわち、一段下側に積まれているブロック材3Aの上面3eが見えるように、長さ寸法にMだけずらして千鳥状にブロック材3Aを積むことによって壁体4の壁体一般部を構成する(図3参照)。なお、壁体一般部とは、例えば図1においてBで示される領域のように、壁体出隅部や壁体入隅部や窓枠部が形成されていない部分のことである。
壁体4の壁体出隅部は、例えば図6(a)に示すように、長さ寸法2M+T/2のブロック材3B,3Cと長さ寸法M−T/2のブロック材3K,3Lの組み合わせによって構成することができ、あるいは図6(b)に示すように、長さ寸法M+T/2のブロック材3G,3Hと長さ寸法2M−T/2のブロック材3D,3Eの組み合わせによって構成することができる。壁体出隅部の場合、図6に示すSD1側が室外側の領域となり、SD2側が室内側の領域となる。
図6(a)に示す例では、長さ寸法2M+T/2のブロック材3Bの側面3dに対し、長さ寸法M−T/2のブロック材3Lの端面3bを突き合わせ、ブロック材3Bの端面3aとブロック材3Lの側面3cが同一平面を形成するような配置となっている。図6(a)に示す段の一段上、または一段下では、ブロック材3Bに代えてM−T/2のブロック材3Kが配置され、ブロック材3Lに代えて2M+T/2のブロック材3Cが配置され、長さ寸法2M+T/2のブロック材3Cの側面3dに対して、長さ寸法M−T/2のブロック材3Kの端面3aを突き合わせる構成となる。なお、図3に示す壁体4に対しては、図6(a)の積み方が適用されている。
図6(b)に示す例では、長さ寸法M+T/2のブロック材3Hの側面3dに対し、長さ寸法2M−T/2のブロック材3Dの端面3aを突き合わせ、ブロック材3Hの端面3bとブロック材3Dの側面3cが同一平面を形成するような配置となっている。図6(b)に示す段の一段上、または一段下では、ブロック材3Dに代えてM+T/2のブロック材3Gが配置され、ブロック材3Hに代えて2M−T/2のブロック材3Eが配置され、長さ寸法M+T/2のブロック材3Gの側面3dに対して、長さ寸法2M−T/2のブロック材3Eの端面3bを突き合わせる構成となる。
壁体4の壁体入隅部も図6(a)に示すように、長さ寸法2M+T/2のブロック材3B,3Cと長さ寸法M−T/2のブロック材3K,3Lの組み合わせによって構成することができ、あるいは図6(b)に示すように、長さ寸法M+T/2のブロック材3G,3Hと長さ寸法2M−T/2のブロック材3D,3Eの組み合わせによって構成することができる。壁体入隅部の場合、図6に示すSD1側が室内側の領域となり、SD2側が室外側の領域となる。
次に、図1〜図3及び図7を参照して臥梁6A,6Bの構成について説明する。臥梁6A,6Bは、壁体4の上端4aに載置された複数の外枠材20と、当該外枠材20の内側に打設されたコンクリート24と、を備えて構成されている。臥梁6A,6Bは、複数の外枠材20を壁体4の上端4aの上で横方向に連接すると共に接合し、コンクリート24を打設することによって形成される。
外枠材20は、水平片21と、当該水平片21の内端縁21aから垂直に起立した内側起立片22と、当該水平片21の外端縁21bから垂直に起立した外側起立片23と、を備えている。内側起立片22は水平片21の内端縁21aの長さ方向の全領域に亘って形成されている。外側起立片23は水平片21の外端縁21bの長さ方向の全領域に亘って形成されている。内側起立片22の上端22aの高さ位置は、外側起立片23の上端23aの高さ位置よりも低く設定されている。具体的に、外側起立片23の上端23aの高さ位置は、内側起立片22の上端22aの高さ位置に二階床8Bまたは屋上床8Cの厚さ寸法を足し合わせた寸法に設定される。
複数の外枠材20を壁体4の上端4aの上で連接する際、一の外枠材20の水平片21、内側起立片22、外側起立片23は、隣り合う他の外枠材20の水平片21、内側起立片22、外側起立片23と連結される。コンクリート24は、それぞれの水平片21、外側起立片23、内側起立片22の間に形成される空間に打設される。コンクリート24の上面24aの高さ位置は、内側起立片22の上端22aの高さ位置と一致するように設定される。これにより、コンクリート24の上面24aと内側起立片22の上端22aとが同一平面を構成する。
臥梁6Aは、一階壁体4Aの上端4aに載置されている。この臥梁6Aによって、二階床8Bが支持される。具体的に、二階床8Bの下面8bの外縁部が、臥梁6Aの内側起立片22の上端22aとコンクリート24の上面24aの上に載置されて固定される。二階床8Bの端面8cは、臥梁6Aの外側起立片23まで及んでいる。また、二階床8Bの上面8aの高さ位置は、外側起立片23の上端23aの高さ位置に設定されていることで、二階床8Bの上面8aと外側起立片23の上端23aとが同一平面を構成する。このような構成により、二階床8Bの端面8cは、外側起立片23に被覆される。二階床8Bの上面8aと外側起立片23の上端23aとで構成される平面部分に、二階壁体4Bの一段目のブロック材3が載置される。
臥梁6Bは、二階壁体4Bの上端4aに載置されている。この臥梁6Bによって、屋上床8Cが支持される。具体的に、屋上床8Cの下面8bの外縁部が、臥梁6Bの内側起立片22の上端22aとコンクリート24の上面24aの上に載置されて固定される。屋上床8Cの端面8cは、臥梁6Bの外側起立片23まで及んでいる。また、屋上床8Cの上面8aの高さ位置は、外側起立片23の上端23aの高さ位置に設定されていることで、屋上床8Cの上面8aと外側起立片23の上端23aとが同一平面を構成する。このような構成により、屋上床8Cの端面8cは、外側起立片23に被覆される。屋上床8Cの上面8aと外側起立片23の上端23aとで構成される平面部分に、屋上壁体4Cの一段目のブロック材3が載置される。なお、図2に示すように、各ブロック材3と臥梁6A,6Bの外枠材20は、それらの厚さ方向における中心が直線CL1に一致するように配置される。
図7に示すように、本実施形態では、複数種類の外枠材20A,20B,20Cが用いられる。外枠材20A,20B,20Cは、長さ方向の寸法が平面モジュールMに基づいて設定されることによって規格化されたものである。外枠材20A,20B,20Cの材料は、例えば、プレキャストコンクリートや防錆処理が施された鋼材である。
外枠材20Aは、水平片21、内側起立片22、外側起立片23を長さ方向に真直ぐに延ばした構成を有する。外枠材20Aは、端面20a,20bを有する。外枠材20Aの長さ寸法、すなわち端面20aと端面20bとの間の寸法は、平面モジュールMに設定される。外枠材20Aの厚さ寸法、すなわち内側起立片22の外面と外側起立片23の外面との間の寸法(なお、ここでの外面とは、コンクリート24が打設される面と反対側の面を指す。以下の説明においても同様である。)は、ブロック材3の厚さ寸法と同じくTに設定される。外枠材20Aには、端面20aからM/2の位置に、水平片21を貫通する一対の鉄筋挿入孔26が形成される。鉄筋挿入孔26は、中心線CL3に対して線対称をなすような形状及び寸法にそれぞれ設定されている。なお、外枠材20Aと同一平面形状で、断面U字状のものがあってもよい。
外枠材20Bは、上方から見てL字状を描くように水平片21、内側起立片22、外側起立片23を延ばした構成を有する。外枠材20Bは、端面20a,20bを有する。外枠材20Bの一辺の長さ寸法、すなわち端面20aとそれに対向する外側起立片23の外面との間の寸法は、M+T/2に設定される。また、外枠材20Bの他の辺の長さ寸法、すなわち端面20bとそれに対向する外側起立片23の外面との間の寸法は、M+T/2に設定される。外枠材20Bの厚さ寸法は、ブロック材3の厚さ寸法と同じくTに設定される。外枠材20Bには、端面20aからM/2の位置に、水平片21を貫通する一対の鉄筋挿入孔26が形成される。外枠材20Bには、端面20bからM/2の位置に、水平片21を貫通する一対の鉄筋挿入孔26が形成される。鉄筋挿入孔26は、各辺における中心線CL3に対して線対称をなすような形状及び寸法にそれぞれ設定されている。各辺における中心線CL3の交点には、鉄筋挿入孔27が形成される。この交点から端面20a,20bの寸法は、いずれもMである。
外枠材20Cは、上方から見てT字状を描くように水平片21、内側起立片22、外側起立片23を延ばした構成を有する。外枠材20Cは、端面20a,20b,20cを有する。外枠材20Cの一辺の長さ寸法、すなわち端面20aと端面20bとの間の寸法は、2Mに設定される。また、外枠材20Cの他の辺の長さ寸法、すなわち端面20cとそれに対向する外側起立片23の外面との間の寸法は、M+T/2に設定される。外枠材20Cの厚さ寸法は、ブロック材3の厚さ寸法と同じくTに設定される。外枠材20Cには、端面20aからM/2の位置に、水平片21を貫通する一対の鉄筋挿入孔26が形成される。外枠材20Cには、端面20bからM/2の位置に、水平片21を貫通する一対の鉄筋挿入孔26が形成される。外枠材20Cには、端面20cからM/2の位置に、水平片21を貫通する一対の鉄筋挿入孔26が形成される。鉄筋挿入孔26は、各辺における中心線CL3に対して線対称をなすような形状及び寸法にそれぞれ設定されている。各辺における中心線CL3の交点から端面20a,20b,20cの寸法は、いずれもMである。
なお、建物の外周部に沿ってベランダを設けたり、建物内部に壁体を設けたりする場合は、壁体の両側に床が存在することになるが、そのような部位には、上述の外枠材20A,20B,20Cのように起立片に高低差を設けず、両側の起立片の高さを外枠材20A,20B,20Cの内側起立片22の高さに対応させた断面略U字状の枠材を用いる。
図3に示すように、壁体4のうち、ブロック材3が平面状に積まれている部分では、直線状の外枠材20Aが真直ぐに連接されている。壁体4のうち、壁体出隅部では、L字状の外枠材20Bが用いられる(壁体入隅部も外枠材20Bが用いられる)。なお、壁体4が交差する部分では、外枠材20Cが用いられる。
一階床8Aは、パネル材によって構成されている。すなわち、複数のパネル材を並べることによって一階床8Aが構成される。パネル材として、ALCパネル、コンクリートパネル、木質パネル等を適用することができる。一階床8Aは、布基礎2や布基礎2に架け渡された鉄骨小梁等によって支持される。
二階床8Bは、パネル材によって構成されている。すなわち、複数のパネル材を並べることによって二階床8Bが構成される。パネル材として、ALCパネル、コンクリートパネル、木質パネル等を適用することができる。二階床8Bは、臥梁6Aや臥梁6Aに架け渡された鉄骨小梁等によって支持される。
屋上床8Cは、パネル材によって構成されている。すなわち、複数のパネル材を並べることによって屋上床8Cが構成される。パネル材として、ALCパネルや構造用断熱パネルを適用することができる。屋上床8Cは、臥梁6Bや臥梁6Bに架け渡された鉄骨小梁等によって支持される。
組積造建物1は、縦補強鉄筋31,33によって補強されている。ここで、壁体4及び臥梁6A,6Bには、縦補強鉄筋31,33を通すことができるように、縦方向に延びる貫通孔が形成されている。具体的に、ブロック材3は、いずれの種類についても平面モジュールMに基づいた寸法が設定されており、鉄筋挿入孔13,15も平面モジュールMに基づいた寸法にて配置されている。従って、各ブロック材3を千鳥状に配置しても、一のブロック材3に形成されている鉄筋挿入孔13は、一段下のブロック材3の鉄筋挿入孔13及び一段上のブロック材3の鉄筋挿入孔13と連通する。また、コーナー部分に形成される鉄筋挿入孔15も、上下方向に連通する。一方、臥梁6A,6Bの外枠材20も、平面モジュールMに基づいた寸法が設定されており、鉄筋挿入孔26,27も平面モジュールMに基づいた寸法にて配置されている。従って、外枠材20の鉄筋挿入孔26,27は、最上段のブロック材3の鉄筋挿入孔13,15と連通することができる。これによって、壁体4の下端4bから外枠材20に至るまで上下方向に貫通した貫通孔が構成される。
縦補強鉄筋33は、壁体出隅部において各壁体4の中心線が直交する位置に配置され、縦補強鉄筋31は、縦補強鉄筋33からM/2の位置から、平面モジュールMに対応したピッチで一対ずつ配置される(図6参照)。これによって、縦補強鉄筋33は、ブロック材3の鉄筋挿入孔15及び外枠材の鉄筋挿入孔27によって形成される貫通孔に挿入される。縦補強鉄筋31は、ブロック材3の鉄筋挿入孔13及び外枠材の鉄筋挿入孔26によって形成される貫通孔に挿入される。
縦補強鉄筋31,33は、下部横架材から立ち上げられ、上部横架材に至るまで上方へ延びている。本実施形態では、上部横架材は、臥梁6Aまたは臥梁6Bが該当する。縦補強鉄筋31,33の上端部は、臥梁6Aまたは臥梁6Bのコンクリート24内部に埋設されて定着される。下部横架材が布基礎2の場合、縦補強鉄筋31,33の下端部は、布基礎2内部に埋設されて定着される。下部横架材が臥梁6Aの場合、縦補強鉄筋31,33の下端部は、臥梁6Aのコンクリート24内部に埋設されて定着される。
組積造建物1は、横補強鉄筋32,34によって補強されている。横補強鉄筋32は、ブロック材3の溝部14によって形成される内部空間に配置される。横補強鉄筋32は、全ての段に対して配置される必要は無く、二、三段おきに配置すればよい。横補強鉄筋34は、臥梁6A,6Bのコンクリート24内に四本配置される。
なお、ブロック材3の鉄筋挿入孔15及び外枠材の鉄筋挿入孔27によって形成される貫通孔や、ブロック材3の鉄筋挿入孔13及び外枠材の鉄筋挿入孔26によって形成される貫通孔や、ブロック材3の溝部14には、モルタルや樹脂モルタルなどの充填材が充填される。
次に、本実施形態に係る組積造建物1の構築工法の一例について説明する。
まず、縦補強鉄筋31,33が立ち上がった布基礎2を形成する。次に、布基礎2の上端2aに一段目のブロック材3を積む。このとき、ブロック材3の鉄筋挿入孔13,15の位置を立ち上がっている縦補強鉄筋31,33の上端部の位置に合わせ、ブロック材3を縦補強鉄筋31,33に沿って下に降ろすことによってブロック材3が積まれる。一段目のブロック材3が積まれたら、同様の方法で二段目以降のブロック材3が積まれる。このとき、各段のブロック材3が千鳥状となるように積む。また、積む際に接着剤などで各ブロック材3を固定しながら積む。また、鉄筋挿入孔13,15に充填材を充填しながら積む。また、所定の段では、横補強鉄筋32を溝部14に配置する。また、一階床8Aを設ける。
一階壁体4Aを構成した後、壁体4の上端4aに複数の外枠材20を載置し、固定する。このとき、縦補強鉄筋31,33の上端部に外枠材20の鉄筋挿入孔26,27を通して、外枠材20を壁体4の上端4aに載置する。水平片21、内側起立片22、外側起立片23の間の空間に二階壁体4B用の縦補強鉄筋31,33の下端部をセットすると共に、横補強鉄筋34をセットする。その後、当該空間にコンクリート24を打設する。このとき、コンクリート24の上面24aが内側起立片22の上端22aの高さ位置と一致するように打設する。コンクリート24が硬化することによって臥梁6Aが完成する。
次に、二階床8Bを設ける。二階床8Bの縁部を臥梁6Aの内側起立片22の上端22a及びコンクリート24の上面24aに載置する。次に、外側起立片23の上端23a及び二階床8Bで構成される平面上にブロック材3を積み、一階と同様の手順で二階壁体4B、臥梁6B、屋上床8C、屋上壁体4Cを構成する。
次に、本実施形態に係る組積造建物1及び外枠材20の作用・効果について説明する。
臥梁6A,6Bを構成する外枠材20は、水平片21と外側起立片23と内側起立片22を備えている。従って、型枠を用いなくても、水平片21と外側起立片23と内側起立片22の間にコンクリート24を打設することができる。また、コンクリート24が硬化した後は外枠材20自体も臥梁6A,6Bの一部となる。このように、臥梁6A,6Bを構成する際に、コンクリート24を打設するための型枠を組む必要がなく、打設後も型枠のばらし作業が不要となる。また、コンクリート24の上面24aは内側起立片22の上端22aの高さ位置に設定されると共に、当該コンクリート24の上面24a及び内側起立片22の上端22aに支持された二階床8Bまたは屋上床8Cは、その上面8aが外側起立片23の上端23aの高さ位置に設定されている。これにより、二階床8Bまたは屋上床8Cの端面8cを外側起立片23で被覆することができる。端面8cを外枠材20の外側起立片23で被覆する構成とすることで、端面8cの型枠(例えば、湿式床である場合)や、仕上げ(例えば、乾式床である場合)などを省略することができる。以上により、施工時の手間を省くと共に工期を短縮することができる。
また、二階床8Bや屋上床8Cがパネル材によって構成されている。これにより、二階床8Bや屋上床8Cの乾式化を図ることが可能となり、工期を短縮することができる。
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、ブロック材3の積み方や、鉄筋の配置などは特に限定されず、適宜変更してもよい。また、ブロック材3の構成も、図4や図5に示すものに限らず、適宜変更してもよい。また、本実施形態では、二階建ての組積造建物を例に説明したが、一階建て、あるいは三階建て以上の組積造建物に本発明を適用してもよい。また、実施例では、ブロック材3及び外枠材20が平面モジュールMに基づいた寸法が設定され、規格化された部品として構成されていたが、規格化されていない組積造建物に本発明を適用してもよい。例えば、外枠材は小さなピースとして構成され、各外枠材を連接することで臥梁を構成していたが、各ピースが一体化されたような大きなサイズの外枠材を用いてもよい。