JP5804907B2 - 超音波送受信器 - Google Patents

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Description

この発明は、圧電素子を金属または樹脂からなるケースに接着した空中用の超音波送受信器とそれをバンパーに取り付けるための構造体に関するものである。
超音波を利用した物体検知システムが広い分野で利用されている。近年、特に車用のバックソナーとして超音波送受信器を利用した物体検知システムが盛んに開発されている
車用として使用される超音波送受信器は、つぎの構造のものが一般的である。アルミ合金からなる有底筒状ケースの底面に、両面に電極の取り付けられた圧電素子が接着されている。圧電素子の電極と、外部の電極端子がリード線によって繋がれている。有底筒状ケースの内部は発泡体が挿入され、さらにシリコーンを充填することで密閉されている。現在生産されている超音波送受信器に使用される有底筒状ケースは外径がφ12からφ18のものが一般的である。これ以上外径が大きいと車に取り付けた際の意匠性が悪くなり、小さいと十分な超音波特性を得ることができない。アルミ合金以外にエポキシ樹脂などの樹脂材料を有底筒状ケースの材料として使用した超音波送受信器が開発されている。圧電素子の電極に特定の周波数のパルス電圧を加えることで、超音波送受信器を構成する有底筒状ケースの天面が振動し、空気中に超音波を発生される。また、同面で超音波を受信することができる。空気中に発生させた超音波が物体に反射して返ってくるまでの時間を測定することで、物体の有無と物体までの距離を知ることができる。
これらの超音波送受信器は、超音波送受信器の振動によって空気中に超音波を発生させる為、これらを取り付ける場合は、超音波送受信器の振動を妨げない軟らかい材料で超音波送受信器を保持する必要がある。低硬度のシリコーン材料からなるクッションが広く使用されている。シリコーンクッションは塗料の密着性が悪いため、シリコーンクッションの代わりになる構造体の開発が行われている。特許文献1と2に記載の発明では、塗装密着性のよいPBT等の樹脂で成形した多重筒形状のカバーにシリコーンを充填し、シリコーンクッションの代わりに使用している。多重筒形状の成形品にシリコーンを充填した構造体を振動吸収体と呼んでいる。
特許公開2010−256299 特許公開2011−55292
振動吸収体はその構造的な特徴によって超音波送受信器の振動を遮断するが、
樹脂成形品の肉厚が薄い方が効果が大きいために肉薄構造になり強度が低いという問題がある。
例えば、振動吸収体の材料にPBT−GF30%を使用し意匠面側の肉厚が0.5mmの場合、超音波送受信器を破壊しない比較的小さな飛び石でも振動吸収体の意匠面が割れてしまう。
振動吸収体が割れても特性面の変化は小さいが、
意匠面の部品である振動吸収体が割れると塗膜が剥がれて意匠性を悪化させる。
市場で想定される飛び石に大きさの制限が無いため、どんな大きさの飛び石でも割れない構造の実現は不可能であるが、少なくとも超音波送受信器よりも先に破壊されない構造が望ましい。
そこで本発明では、振動吸収体の取付位置とバンパーカバーの形状を改良することで振動吸収体に当たる飛び石の大きさを制限し、飛び石によって振動吸収体が容易に破壊されない超音波送受信器とそれをバンパーに取り付けるための構造体を実現する。
請求項1に記載の発明では
金属または樹脂からなる有底筒状ケースの底面に圧電素子を貼り合わせてなる超音波送受信器、または、
金属または樹脂からなる有底筒状ケースの底面に底面の幅より外径が小さい有低筒状ケースの開口部を接着し、小さな有低筒状ケースの天面に圧電素子を貼り合わせてなる超音波送受信器のいずれか一方と、
超音波送受信器の側面に取り付けられた、筒間の少なくとも一部がシリコーンで充填された、樹脂からなる筒間の一端が閉じて意匠面を有する多重円筒形状の振動吸収体と、
振動吸収体の取り付けられた超音波送受信器をおさめるためのハウジングケースと、
ハウジングケースにおさめられた超音波送受信器を取り付けるための円筒形の取付部を有するバンパーカバーと、
からなる超音波送受信器とそれをバンパーに取り付けるための構造体において、
バンパーカバーの内径が意匠面付近において振動吸収体の外径より小さく、
振動吸収体の意匠面が、バンパーカバーの意匠面と超音波送受信器の意匠面の
いずれか意匠面から奥まった方の意匠面よりも、
バンパーカバー意匠面の開口部と超音波送受信器との間の幅よりも奥に位置する。
振動吸収体に当たる飛び石の幅をバンパーカバーと超音波送受信器の間の幅に制限し、
飛び石によって振動吸収体が破壊されることを防ぐことを特徴とする超音波送受信器とそれをバンパーに取り付けるために構造体を実現する。
本発明を実施した超音波送受信器とそれを取り付けるための構造体の例1 本発明を実施した超音波送受信器とそれを取り付けるための構造体の例2
本発明の実施例をつぎに示す。
請求項1に記載の本発明の実施例を図1に示す。例えば、φ14の円を意匠面1aとする高さ8mmのアルミ材料からなる有底筒状ケース1の底面1bに、
チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる円形の圧電素子2を接着する。
ケースを構成する材料はアルミニウム合金などの金属の他に、エポキシ樹脂にシリカを90%以上充填した複合材料などが使用できる。
接着剤はアクリル系接着剤またはエポキシ系接着剤が使用される。
有底筒状ケース1の形状は例えば70kHzで天面が振動する固有振動モードをもつように設計されている。
圧電素子2に設けられた銀電極2aの一方と2有底筒状ケース2は接触することで電気的に結合されている。圧電素子2の一方の電極に半田付けによってリード線12を取り付け、有底筒状ケース1にアルミット半田によってリード線12を半田付けする。リード線12の一端はワイヤーハーネス14に半田付けされている。(ケースに電極を取り付ける方法としてアルミット半田によってリード線を半田付けする方法の他に、ケースにメッキ処理された金属を圧入し、圧入した金属のメッキ部にリード線を半田付けした構造がある。どちらの構造を使用してもよい。)圧電素子2は、シリコーンまたはウレタンの発泡体を成形してなる吸音材10で覆われている。アルミケース1の内側は、シリコーンまたはウレタンからなる封止剤9によって充填されている。(図1の上面図では、吸音材10、リード線12、封止剤9、ワイヤーハーネス14を省略している。)
有底筒状ケース1の外側に、振動吸収体4が取り付けられている。振動吸収体4は同心円上の2つ円筒からなり、外側の円筒4aと内側の円筒4bの厚さは0.3mmである。外側の円筒4aと内側の円筒4bは厚さ0.3mmの意匠面となる底面4cによって完全につながっている。振動吸収体4は振動絶縁性を高めるためにABS相当の軟らかい弾性率をもつ樹脂材料を成形して作成できる。振動吸収体4の外側の円筒4aと内側の円筒4bの間は、硬度40程度のシリコーン5によって充填されている。シリコーン以外でもウレタン、低硬度のエラストマー、ゴムまたはそれらからなる発泡体を成形した遮音体を埋めることでも振動伝達を抑えることができる。
振動吸収体4を構成する樹脂成形品は複数の円筒が重ねられた形状で、円筒の一端が結合さえた意匠面を有するものである。円筒が2つ以上の複数であってもよい。厚さは0.3mm以外であってもよい。全体の強度とのかねあいでなるべく薄くなるように設計される。振動吸収体4を構成する樹脂成形品にはABSの他のPBTやPPなどの一般的に車の外装に使用される樹脂材料が使用できる。
振動吸収体4が取り付けれた超音波送受信器が円筒形状の取付部を有するハウジングケース6に嵌め込まれ、
ハウジングケース6の外にバンパーカバー7が取り付けられる。
図ではハウジングケース6を介して振動吸収体4とバンパーカバー7が接触しているが、
振動吸収体4とバンパーカバー7の一部が直接接触する構造であっても良い。
ハウジングケース6には超音波送受信器の他に超音波送受信器への入出力信号を増幅するため回路がおさめられている。
バンパーカバー7は超音波送受信器が取り付けられたハウジングケース6または振動吸収体4をおさめるための円筒形の開口部を有する。
円筒形の開口部は意匠面側で狭くなるように設計されている。
バンパーカバー7と超音波送受信器の意匠面は同じ高さになるように設計されている。
(必ずしも同じ高さである必要は無い。同じ高さの方が意匠性にすぐれる場合が多い。)
振動吸収体4を取り付けると、振動吸収体4の意匠面がバンパーカバー7と超音波送受信器の意匠面1aよりも一段凹むように設計されている。
振動吸収体4の意匠面4cとバンパーカバー7と超音波送受信器の意匠面1aの差dと、
バンパーカバー開口部と超音波送受信の間にできる幅Lを調整することで、
振動吸収体4に当たる飛び石の大きさを制限することが出来る。
深さdを幅Lよりも大きく設定すると、幅Lより大きな飛び石が振動吸収体4に当たる可能性が低くなるため、
幅Lよりも深さdを大きくとると幅Lを超える飛び石が振動吸収体4に当たることを防ぐことができる。
本発明の実施例をつぎに示す。
請求項1に記載の本発明の実施例を図2に示す。例えば、φ14の円を意匠面1aとする高さ8mmのアルミ材料からなる有底筒状アルミケース1の底面1bに、同じくアルミ材料からなる小さなケース3の開口部を接着剤によって接着することで、2重底筒状ケース13を作成する。ケースを構成する材料はアルミニウム合金などの金属の他に、エポキシ樹脂にシリカを90%以上充填した複合材料などが使用できる。
小さなケース3の天面にチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)からなる円形の圧電素子2を接着する。接着剤はアクリル系接着剤またはエポキシ系接着剤が使用される。圧電素子2には両面電極2aが設けられている。(折返し電極を施した圧電素子を使用してもよい。)アルミケース1と小さなケース3の間の空間は、シリコーンまたはウレタンの発泡体を成形してなる遮音体11によって埋められている。遮音体11は、2つのケースを接着する際に入れることができる。2重底筒状ケースに圧電素子を貼り合わせてなる超音波送受信器は、2つの異なる底面振動モードを有することが知られている。このとき2重底筒状ケース13と圧電素子2の寸法は、低い周波数での底面振動モードの共振周波数が45kHz、高い周波数での底面振動モードの共振周波数が68kHzになるように寸法設計されている。2重底筒状ケースは、底面部に2層の振動面を有する構造をもつケースをさす。
圧電素子2に設けられた銀電極2aの一方と2重底筒状ケース13は接触することで電気的に結合されている。圧電素子2の一方の電極に半田付けによってリード線12を取り付け、2重底筒状ケース13にアルミット半田によってリード線12を半田付けする。リード線12の一端はワイヤーハーネス14に半田付けされている。(ケースに電極を取り付ける方法としてアルミット半田によってリード線を半田付けする方法の他に、ケースにメッキ処理された金属を圧入し、圧入した金属のメッキ部にリード線を半田付けした構造がある。どちらの構造を使用してもよい。)圧電素子2は、シリコーンまたはウレタンの発泡体を成形してなる吸音材10で覆われている。アルミケース1の内側は、シリコーンまたはウレタンからなる封止剤9によって充填されている。(図1の上面図では、吸音材10、リード線12、封止剤9、ワイヤーハーネス14を省略している。)
実施例1と同じく、振動吸収体4を介してバンパーカバー7に取り付ける。
振動吸収体4の意匠面4cとバンパーカバー7と超音波送受信器の意匠面1aの差dと、
バンパーカバー開口部と超音波送受信の間にできる幅Lを調整することで、
振動吸収体4に当たる飛び石の大きさを制限することが出来る。
深さdを幅Lよりも大きく設定すると、幅Lより大きな飛び石が振動吸収体4に当たる可能性が低くなるため、
幅Lよりも深さdを大きくとると幅Lを超える飛び石が振動吸収体4に当たることを防ぐことができる。
1 有底筒状のアルミケース
1a アルミケース天面
1b アルミケース底面
2 PZT
2a PZT両面(銀電極部)
3 小さなケース
4 振動吸収体
4a 最外郭の円筒
4b 最内郭の円筒
4C 振動吸収体の底面(意匠面)
5 シリコーン
6 ハウジングケース
7 バンパーカバー
8 バンパー)
9 封止剤
10 吸音材
11 遮音体
12 リード線
13 2重底筒状ケース
14 ワイヤーハーネス

Claims (1)

  1. 金属または樹脂からなる有底筒状ケースの底面に圧電素子を貼り合わせてなる超音波送受信器、または、
    金属または樹脂からなる有底筒状ケースの底面に底面の幅より外径が小さい有低筒状ケースの開口部を接着し、小さな有低筒状ケースの天面に圧電素子を貼り合わせてなる超音波送受信器のいずれか一方と、
    超音波送受信器の側面に取り付けられた、筒間の少なくとも一部がシリコーンで充填された、樹脂からなる筒間の一端が閉じて意匠面を有する多重円筒形状の振動吸収体と、
    振動吸収体の取り付けられた超音波送受信器をおさめるためのハウジングケースと、
    ハウジングケースにおさめられた超音波送受信器を取り付けるための円筒形の取付部を有するバンパーカバーと、
    からなる超音波送受信器とそれをバンパーに取り付けるための構造体において、
    バンパーカバーの内径が意匠面付近において振動吸収体の外径より小さく、
    振動吸収体の意匠面が、バンパーカバーの意匠面と超音波送受信器の意匠面の
    いずれか意匠面から奥まった方の意匠面よりも、
    バンパーカバー意匠面の開口部と超音波送受信器との間の幅よりも奥に位置することで、
    振動吸収体に当たる飛び石の大きさをバンパーカバーと超音波送受信器の間の幅に制限し、
    飛び石による振動吸収体の破壊を防ぐ事を特徴とした超音波送受信器とそれをバンパー取り付けるための構造体
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