JP5804386B2 - 肝細胞癌の再発予測用マーカー - Google Patents

肝細胞癌の再発予測用マーカー Download PDF

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Description

本発明は、肝細胞癌の発症又は再発リスクを予測する方法や、肝細胞癌の発症又は再発リスクを予測するためのキットに関する。
肝細胞癌(hepatocellular carcinoma;以下、「HCC」ということもある)は、世界中で最も頻出の高い固形癌のひとつであり、癌による死亡原因の中で三番目である(非特許文献1)。HCCは、その殆どがウイルス感染に起因する慢性肝炎や、慢性肝炎から進行した肝硬変を背景として発症することが知られており、HCC患者の中で、C型肝炎ウイルス(HCV)に陽性である人の割合は約70%、B型肝炎ウイルス(HBV)に陽性である人の割合は約20%にのぼる(非特許文献2)。これらの肝炎ウイルスがHCCを引き起こすメカニズムの詳細は明らかにされていないが、ウイルスの持続感染が慢性肝炎や肝硬変等を引き起こす過程で、肝細胞の癌化が起こると考えられている。
現在のところ、HCC治療法としては外科的な摘除手術が有効であるとされているが、術後の再発率はきわめて高く、予後不良であることが知られている(非特許文献3)。癌部切除後の残肝におけるHCCの再発は、初発HCCと同様のメカニズムであると考えられるが、その詳細については不明である(非特許文献4)。以上のように、HCCの治療には、高い再発の危険性が伴っており、外科手術後の再発を予測するためのバイオマーカーの開発は、HCC患者のQOL(quality of life)の観点から非常に重要である。
最近、マイクロアレイ解析等の網羅的解析方法を用いて、癌細胞における遺伝子発現解析が盛んに行われ、癌と関わりのある遺伝子が多数同定されており、HCCについても、HCC特異的な遺伝子発現プロファイルの解析結果に基づいて、様々な早期検出・分類・予後予測方法が開発されている(特許文献1及び非特許文献5〜10)。しかし、これらの早期検出・分類・予後予測方法は、いずれもmRNAの発現を指標としたものであり、RNAの不安定性から実際に臨床に応用するのは困難であると考えられている。また、上記の従来技術においては、非常に多数の遺伝子発現を組み合わせて指標としているため、複雑な計算式を用いて診断する必要がある。このため、より簡単な操作で検出が可能な、DNAを用いたマーカーの開発が求められている。
ATP-binding cassetteトランスポーター(ABCトランスポーター)は、物質のATPに依存する細胞外輸送に関与するタンパク質である。特許文献2は、ABCB6遺伝子発現と他の遺伝子発現とを組み合わせて指標とするHCCの予後判定方法を開示している。また、特許文献3は、ABCトランスポーター及びBCL12ファミリー遺伝子の増加を指標とする癌の薬剤耐性検出方法を開示している。しかし、ABCトランスポーター遺伝子のメチル化と癌との関連についてはこれまで知られていない。
国際公開第2005/017150号パンフレット 特表2009−517064号公報 US2009/0143236号公報
Bosch FX. et al., Semin Liver Dis 19, 271-85 (1999) Kiyosawa K. et al., Gastroenterology 127, S17-26 (2004) Makuuchi M. et al., Hepatogastroenterology 45, S1267-1274 (1998) Poon RT. et al., Cancer 89, 500-507 (2000) Chen et al., Mol Biol Cell. 13(6): 1929-1939 (2002) Qin et al., J Cancer Res Clin Oncol. 130(9): 497-513 (2004) Ye et al., Nat Med. Apr,9(4): 416-23 (2003) Kurokawa et al., J Hepatol. 41(2): 284-291 (2004) Lizuka et al., Lancet. 15, 361(9361): 923-929 (2003) Lee et al., Hepatology. 40(3): 667-76 (2004)
本発明の課題は、肝細胞癌(HCC)の発症又は再発に関与するゲノムDNAのメチル化領域を特定し、より簡単な操作で検出することが可能な、HCCの発症又は再発のマーカーを提供することにある。
本発明者らは、HCC患者より切除された癌部及び/又は非癌部肝臓組織における遺伝子発現を網羅的に解析し、1年以内に再発が認められた患者由来の肝臓組織(再発有り肝臓組織)におけるABCB6mRNA発現量が、1年以内に再発が認められない患者由来の肝臓組織(再発無し肝臓組織)と比較して有意に高いことを見い出した(図9)。一般的に遺伝子発現は、プロモータ領域のDNAメチル化により抑制されることが知られていることから、発明者らは、再発有り肝臓組織におけるABCB6遺伝子の発現の増加に、プロモータ領域の低メチル化が関与している可能性があると考え、ABCB6遺伝子に関するメチル化解析を行った。本発明者らは、ABCB6遺伝子近傍のDNA配列を解析してABCB6遺伝子のプロモータ領域にCpGアイランドの存在することを明らかにし、該CpGアイランドにおけるメチル化率を調べた。また、非癌部においてはABCB6mRNA発現とメチル化率との相関は見られなかったが、癌部においてはmRNA発現とメチル化率との間に逆相関関係が見られた(図4)。しかしながら、再発の有無に基づいて解析を行った結果は予想外なことに、C型肝炎ウイルスキャリア由来の再発有り肝臓組織の癌部においてはメチル化率が高いことが明らかとなった。さらに、該CpGアイランドのメチル化率は、C型肝炎ウイルスキャリア由来の再発無し肝臓組織の非癌部においては低いこと、B型肝炎ウイルスキャリア由来の肝臓組織においては癌部及び非癌部のいずれのメチル化率も、再発の有無との関連が認められないことを見い出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は(1)(a)C型肝炎ウイルスに感染している肝細胞癌患者より採取された非癌部肝臓組織からゲノムDNAを抽出する工程;(b)上記ゲノムDNAのABCB6遺伝子の転写制御領域におけるシトシンのメチル化の程度を検出する工程であって、該ABCB6遺伝子の転写制御領域が、以下の(i)〜(v)から選択される1以上の領域であることを特徴とする工程(i)ABCB6遺伝子の転写開始点より下流の+183bpから+309bpまでのMSP1領域;(ii)ABCB6遺伝子の転写開始点より上流の−50bpから下流の+71bpまでのMSP2領域;(iii)ABCB6遺伝子の転写開始点より上流の−50bpから下流の+57bpまでのMSP3領域;(iv)ABCB6遺伝子の転写開始点より上流の−268bpから−173bpまでのMSP4領域;(v)ABCB6遺伝子の転写開始点より上流の−433bpから−330bpまでのMSP5領域;(c)上記転写制御領域におけるシトシンのメチル化の程度と、肝細胞癌の再発リスクとが逆の相関関係にあることを指標として前記肝細胞癌患者における肝細胞癌の再発リスクを予測する工程;の工程(a)〜(c)を順次備えることを特徴とする肝細胞癌の再発リスクを予測する方法や、()(a)C型肝炎ウイルスに感染している肝細胞癌患者より採取された癌部肝臓組織からゲノムDNAを抽出する工程;(b)上記ゲノムDNAのABCB6遺伝子の転写制御領域におけるシトシンのメチル化の程度を検出する工程であって、該ABCB6遺伝子の転写制御領域が、以下の(i)〜(v)から選択される1以上の領域であることを特徴とする工程(i)ABCB6遺伝子の転写開始点より下流の+183bpから+309bpまでのMSP1領域;(ii)ABCB6遺伝子の転写開始点より上流の−50bpから下流の+71bpまでのMSP2領域;(iii)ABCB6遺伝子の転写開始点より上流の−50bpから下流の+57bpまでのMSP3領域;(iv)ABCB6遺伝子の転写開始点より上流の−268bpから−173bpまでのMSP4領域;(v)ABCB6遺伝子の転写開始点より上流の−433bpから−330bpまでのMSP5領域;(c)上記転写制御領域におけるシトシンのメチル化の程度と、肝細胞癌の再発リスクとが正の相関関係にあることを指標として前記肝細胞癌患者における再発リスクを予測する工程;の工程(a)〜(c)を順次備えることを特徴とする肝細胞癌の再発リスクを予測する方法や、(3)(i)配列番号5及び6に示される塩基配列からなるプライマーセットと、配列番号7に示される塩基配列を含むプローブとの組合せ;(ii)配列番号8及び9に示される塩基配列からなるプライマーセットと、配列番号10に示される塩基配列を含むプローブとの組合せ;(iii)配列番号11及び12に示される塩基配列からなるプライマーセットと、配列番号13に示される塩基配列を含むプローブとの組合せ;(iv)配列番号14及び15に示される塩基配列からなるプライマーセットと、配列番号16に示される塩基配列を含むプローブとの組合せ;(v)配列番号17及び18に示される塩基配列からなるプライマーセットと、配列番号19に示される塩基配列を含むプローブとの組合せ;の(i)〜(v)から選択される1以上のプライマーセットとプローブとの組合せを用いて、ABCB6遺伝子の転写制御領域におけるシトシンのメチル化の程度を検出することを特徴とする上記(1)又は(2)記載の方法や、(4)ABCB6遺伝子の転写制御領域におけるシトシンのメチル化の程度を検出するためのプライマーセットとプローブとを備え、C型肝炎ウイルスに感染している肝細胞癌患者の肝細胞癌の再発リスク予測用のキットであって、プライマーセットとプローブとが、(i)配列番号5及び6に示される塩基配列からなるプライマーセットと、配列番号7に示される塩基配列を含むプローブとの組合せ;(ii)配列番号8及び9に示される塩基配列からなるプライマーセットと、配列番号10に示される塩基配列を含むプローブとの組合せ;(iii)配列番号11及び12に示される塩基配列からなるプライマーセットと、配列番号13に示される塩基配列を含むプローブとの組合せ;(iv)配列番号14及び15に示される塩基配列からなるプライマーセットと、配列番号16に示される塩基配列を含むプローブとの組合せ;(v)配列番号17及び18に示される塩基配列からなるプライマーセットと、配列番号19に示される塩基配列を含むプローブとの組合せ;の(i)〜(v)から選択される1以上のプライマーセットとプローブとの組合せであることを特徴とするキットに関する。
本発明によると、C型肝炎ウイルスキャリアのHCC患者より採取された肝臓組織を用いて、HCCの再発リスクを予測することが可能となり、術後の治療方針を決定する上で有用な情報を提供することができる。また、本発明によると、C型肝炎ウイルスキャリアの被検者より採取された肝臓組織を用いて、HCC発症リスクを予測することができ、該被検者におけるHCCの予防及び早期発見のために有用な情報を提供することができる。
ABCB6遺伝子の転写制御領域における、CpGアイランド領域、及びCpG配列の位置を示す図である。 6種の肝癌細胞株(HLE、SK−HEP−1、Hep 3B、HuH−6、HuH−7、Hep G2)におけるABCB6遺伝子の転写制御領域のメチル化の程度について調べた結果を示す図である。細胞株名下の括弧表記は、脱メチル化剤処理による発現上昇の程度である。 ABCB6遺伝子の転写制御領域における、5箇所のメチル化解析領域(MSP1〜5)の位置を示す図である。 癌患者から採取した肝臓組織におけるABCB6遺伝子mRNA発現量、及びABCB6遺伝子の転写制御領域におけるメチル化率を解析した結果を示す図である。 癌患者から採取した肝臓組織におけるABCB6遺伝子mRNA発現量(左側)、又はABCB6遺伝子転写制御領域のDNAメチル化率(右側)を指標とした、癌の1年以内の再発予測診断能についてReceiver operating characteristic(ROC)曲線解析の結果を示す図である。mRNA発現量については、非癌部肝臓組織における発現量を基準として、癌部肝臓組織における発現量を示した。また、メチル化率については、MSP5に対するMSP2及びMSP3のメチル化率の比を求め、非癌部肝臓組織におけるメチル化率と癌部肝臓組織におけるメチル化率の差を示した。 非癌部肝臓組織における、ABCB6遺伝子転写制御領域のDNAメチル化率を指標とした1年以内の再発予測診断能についてのReceiver operating characteristic(ROC)曲線におけるArea Under the Curve(AUC)の比較を示す図である。 癌部肝臓組織における、ABCB6遺伝子転写制御領域のDNAメチル化率を指標とした1年以内の再発予測診断能についてのReceiver operating characteristic(ROC)曲線におけるArea Under the Curve(AUC)の比較を示す図である。 非癌部肝臓組織及び癌部肝臓組織における、ABCB6遺伝子mRNA発現量またはメチル化率の組合せを指標とした1年以内の再発予測診断能についてのReceiver operating characteristic(ROC)曲線におけるArea Under the Curve(AUC)の比較を示す図である。 癌患者から採取した肝臓組織におけるABCB6遺伝子mRNA発現量(上段)、又はABCB6遺伝子転写制御領域のDNAメチル化率(下段)を、再発無しの群と、再発有りの群でそれぞれ解析した結果を示す図である。メチル化率は、MSP5に対するMSP2及びMSP3のメチル化率の比を求めて示した。箱ひげ図(box and whiskers plot)の箱の中の線は中央値(median)を表す。 癌患者から採取した肝臓組織におけるABCB6遺伝子mRNA発現量、又はABCB6遺伝子転写制御領域のDNAメチル化率を、1年以内の再発無しの群(白いカラム)と、1年以内の再発有りの群(黒いカラム)でそれぞれ解析した結果を示す図である。左上図及び左下図はABCB6遺伝子mRNA発現量を、右上図及び右下図はABCB6遺伝子転写制御領域のDNAメチル化率をそれぞれ示す。 癌患者から採取した非癌部の肝臓組織におけるABCB6遺伝子転写制御領域のDNAメチル化率を、癌の1年以内(上段)又は2年以内(下段)の再発無しの群と、再発有りの群でそれぞれ解析した結果を示す図である。メチル化率は、RPPH1遺伝子領域のDNAのメチル化率に対するABCB6遺伝子転写制御領域のDNAメチル化率(MSP5)の比を示した。全サンプルの群(左側)、C型肝炎ウイルス(HCV)キャリアの群(中央)と、C型肝炎ウイルスキャリアではない群(右側)でそれぞれ解析した結果を示す。箱ひげ図(box and whiskers plot)の箱の中の線は中央値(median)を表す。 癌患者から採取した癌部の肝臓組織におけるABCB6遺伝子転写制御領域のDNAメチル化率を、癌の1年以内(上段)又は2年以内(下段)の再発無しの群と、再発有りの群でそれぞれ解析した結果を示す図である。メチル化率は、RPPH1遺伝子領域のDNAのメチル化率に対するABCB6遺伝子転写制御領域のDNAメチル化率(MSP5)の比を示した。全サンプルの群(左側)、C型肝炎ウイルス(HCV)キャリアの群(中央)と、C型肝炎ウイルスキャリアではない群(右側)の結果を示す。箱ひげ図(box and whiskers plot)の箱の中の線は中央値(median)を表す。 C型肝炎ウイルス(HCV)キャリア群(左側)と、C型肝炎ウイルスキャリアではない群(右側)の癌患者から採取した非癌部の肝臓組織におけるABCB6遺伝子転写制御領域のDNAメチル化率を指標とした、癌の1年以内(上段)又は2年以内(下段)の再発予測診断能について示す図である。メチル化率は、RPPH1遺伝子領域のDNAのメチル化率に対するABCB6遺伝子転写制御領域のDNAメチル化率(MSP5)の比を示した。 C型肝炎ウイルス(HCV)キャリア群(左側)と、C型肝炎ウイルスキャリアではない群(右側)の癌患者から採取した肝臓組織におけるABCB6遺伝子mRNA発現量とABCB6遺伝子転写制御領域のDNAメチル化率を組合せてマーカーとした、癌の1年以内(上段)又は2年以内(下段)の再発予測診断能についてReceiver operating characteristic(ROC)曲線解析の結果を示す図である。mRNA発現量については、非癌部肝臓組織における発現量を基準として、癌部肝臓組織における発現量を示した。また、メチル化率については、非癌部肝臓組織におけるRPPH1遺伝子領域のDNAのメチル化率に対するABCB6遺伝子転写制御領域のDNAメチル化率(MSP5)の比を求め、メチル化率とした。 癌患者から採取した癌部及び非癌部の肝臓組織におけるABCB6遺伝子転写制御領域のDNAメチル化率(上段)、ALU配列のDNAメチル化率(中段)、又はALU配列のDNAメチル化率に対するMSP5領域のDNAメチル化率の比(下段)を、C型肝炎ウイルス(HCV)キャリアの群(左側)と、C型肝炎ウイルスキャリアではない群(右側)でそれぞれ解析した結果を示す図である。 全ての癌患者群(左側)、C型肝炎ウイルス(HCV)キャリア群(中央)と、C型肝炎ウイルスキャリアではない群(右側)の癌患者から採取した癌部の肝臓組織におけるABCB6遺伝子転写制御領域のDNAメチル化率を指標とした、癌の診断マーカーとしての性能を示す図である。メチル化率は、MSP5領域のDNAメチル化率(上段)、ALU配列のDNAメチル化率(中段)、又はALU配列のDNAメチル化率に対するMSP5領域のDNAメチル化率の比(下段)を指標とした結果を示す。
本発明の肝細胞癌の発症リスクを予測する方法としては、(a)被検者より採取された肝臓組織からゲノムDNAを抽出する工程;(b)上記ゲノムDNAのABCB6遺伝子の転写制御領域におけるシトシンのメチル化の程度を検出する工程;(c)上記転写制御領域におけるシトシンのメチル化の程度と、肝細胞癌の発症リスクとが正の相関関係にあることを指標として前記被検者における肝細胞癌の発症リスクを予測する工程;の工程(a)〜(c)を順次備える方法(以下、「発症リスク予測方法」ということもある)であれば特に制限されず、また、本発明の肝細胞癌の再発リスクを予測する方法としては、(a)C型肝炎ウイルスに感染している肝細胞癌患者より採取された非癌部肝臓組織からゲノムDNAを抽出する工程;(b)上記ゲノムDNAのABCB6遺伝子の転写制御領域におけるシトシンのメチル化の程度を検出する工程;(c)上記転写制御領域におけるシトシンのメチル化の程度と、肝細胞癌の再発リスクとが逆の相関関係にあることを指標として前記肝細胞癌患者における肝細胞癌の再発リスクを予測する工程;の工程(a)〜(c)を順次備える方法(以下、「再発リスク予測方法(I)」ということもある)や、(a)C型肝炎ウイルスに感染している肝細胞癌患者より採取された癌部肝臓組織からゲノムDNAを抽出する工程;(b)上記ゲノムDNAのABCB6遺伝子の転写制御領域におけるシトシンのメチル化の程度を検出する工程;(c)上記転写制御領域におけるシトシンのメチル化の程度と、肝細胞癌の再発リスクとが正の相関関係にあることを指標として前記肝細胞癌患者における再発リスクを予測する工程;の工程(a)〜(c)を順次備える肝細胞癌の再発リスクを予測する方法(以下、「再発リスク予測方法(II)」ということもある)であれば特に制限されず、ここで、「発症」とは、癌化していない肝細胞、若しくは前癌状態にある肝細胞が癌化して癌組織を形成することを意味し、「再発」とは、治療のために癌部を除去した後の非癌部肝臓組織において、癌化していない肝細胞、若しくは前癌状態にある肝細胞が新たに癌化することや、癌部より転移した癌細胞が非癌部肝臓組織中で増殖して新たに癌組織が形成されることを意味する。
本発明の発症リスク予測方法の工程(a)における「C型肝炎ウイルスに感染している被検者」としては、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染しているHCVキャリアであれば特に制限されず、肝炎の臨床的症状のない持続的なHCVウイルスキャリアであっても、HCVによる慢性肝炎及び/又は肝硬変を発症しているHCVウイルスキャリアであってもよい。また、本発明の再発リスク予測方法(I)の工程(b)、及び再発リスク予測方法(II)の工程(b)における「C型肝炎ウイルスに感染している肝細胞癌患者」としては、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染しているHCVキャリアであって、且つ、肝細胞癌を発症している肝細胞癌患者であれば特に制限されないが、HCVによる慢性肝炎及び/又は肝硬変を発症しているHCVウイルスキャリアであることが特に好適である。
上記本発明の発症リスク予測方法の工程(b)、再発リスク予測方法(I)の工程(b)、及び再発リスク予測方法(II)の工程(b)において、ゲノムDNAのABCB6遺伝子の転写制御領域におけるシトシンのメチル化の程度を検出する方法としては、ABCB6遺伝子の転写制御領域の全部又は一部に含まれるCpG配列のシトシンのうち、メチル化されているシトシンを定量又は半定量的に検出する方法であれば特に制限されず、上記転写制御領域としては、例えば、ABCB6遺伝子の転写開始点より上流の723bp(−723bp)から、下流の500bp(+500bp)までの領域を好適に例示することができるが、なかでも、ABCB6遺伝子の転写開始点より下流の+183bpから+309bpまでのMSP1領域や、ABCB6遺伝子の転写開始点より上流の−50bpから下流の+71bpまでのMSP2領域や、ABCB6遺伝子の転写開始点より上流の−50bpから下流の+57bpまでのMSP3領域や、ABCB6遺伝子の転写開始点より上流の−268bpから−173bpまでのMSP4領域や、ABCB6遺伝子の転写開始点より上流の−433bpから−330bpまでのMSP5領域等であることが好ましく、ABCB6遺伝子の転写開始点より上流の−50bpから下流の+71bpまでのMSP2領域や、ABCB6遺伝子の転写開始点より上流の−50bpから下流の+57bpまでのMSP3領域であることがさらに好ましい。また、上記シトシンのメチル化の程度の検出方法としては、定量的又は半定量的なメチル化検出方法であれば特に制限されず、具体的には、Methylight法、バイサルファイトシーケンス法、メチル化特異的PCR法(MSP法)、Combined bisulfite restriction assay(COBRA)法、High Resolution Melting(HRM)法等を例として好適に挙げることができるが、なかでも、Methylight法を特に好適に挙げることができる。上記本発明の方法において、Methylight法を用いてABCB6遺伝子の転写制御領域におけるシトシンのメチル化の程度を検出する場合には、例えば、(i)配列番号5及び6に示される塩基配列からなるプライマーセットと、配列番号7に示される塩基配列を含むプローブとの組合せ、(ii)配列番号8及び9に示される塩基配列からなるプライマーセットと、配列番号10に示される塩基配列を含むプローブとの組合せ、(iii)配列番号11及び12に示される塩基配列からなるプライマーセットと、配列番号13に示される塩基配列を含むプローブとの組合せ、(iv)配列番号14及び15に示される塩基配列からなるプライマーセットと、配列番号16に示される塩基配列を含むプローブとの組合せ、(v)配列番号17及び18に示される塩基配列からなるプライマーセットと、配列番号19に示される塩基配列を含むプローブとの組合せ等を用いることができる。
本発明の肝細胞癌の発症リスク予測用のキットとしては、ABCB6遺伝子の転写制御領域におけるシトシンのメチル化の程度を検出するためのプライマーセットとプローブとを備えるものであれば特に制限されず、また、本発明の肝細胞癌の再発リスク予測用のキットとしては、ABCB6遺伝子の転写制御領域におけるシトシンのメチル化の程度を検出するためのプライマーセットとプローブとを備えるものであれば特に制限されず、上記ABCB6遺伝子の転写制御領域としては、上記転写制御領域としては、例えば、ABCB6遺伝子の転写開始点より上流の723bp(−723bp)から、下流の500bp(+500bp)までの領域の全部又は一部を好適に例示することができるが、なかでも、ABCB6遺伝子の転写開始点より下流の+183bpから+309bpまでのMSP1領域や、ABCB6遺伝子の転写開始点より上流の−50bpから下流の+71bpまでのMSP2領域や、ABCB6遺伝子の転写開始点より上流の−50bpから下流の+57bpまでのMSP3領域や、ABCB6遺伝子の転写開始点より上流の−268bpから−173bpまでのMSP4領域や、ABCB6遺伝子の転写開始点より上流の−433bpから−330bpまでのMSP5領域等であることが好ましく、ABCB6遺伝子の転写開始点より上流の−50bpから下流の+71bpまでのMSP2領域や、ABCB6遺伝子の転写開始点より上流の−50bpから下流の+57bpまでのMSP3領域であることがさらに好ましい。また、上記プライマーセットとプローブとしては、ABCB6遺伝子の転写制御領域のシトシンのメチル化の程度を検出するためのものであれば特に制限されないが、具体的には、(i)配列番号5及び6に示される塩基配列からなるプライマーセットと、配列番号7に示される塩基配列を含むプローブとの組合せ、(ii)配列番号8及び9に示される塩基配列からなるプライマーセットと、配列番号10に示される塩基配列を含むプローブとの組合せ、(iii)配列番号11及び12に示される塩基配列からなるプライマーセットと、配列番号13に示される塩基配列を含むプローブとの組合せ、(iv)配列番号14及び15に示される塩基配列からなるプライマーセットと、配列番号16に示される塩基配列を含むプローブとの組合せ、(v)配列番号17及び18に示される塩基配列からなるプライマーセットと、配列番号19に示される塩基配列を含むプローブとの組合せ等を例として好適に挙げることができる。また、ABCB6遺伝子の転写制御領域におけるシトシンのメチル化の程度を検出するためのプライマーセットとプローブとを備えるキットを、肝細胞癌の発症リスクの予測又は肝細胞癌の再発リスクの予測に使用する方法も本発明の実施の変形とすることができる。
また、本発明は、(a)C型肝炎ウイルスに感染している被検者より採取された肝臓組織からゲノムDNAを抽出する工程;(b)上記ゲノムDNAのABCB6遺伝子の転写制御領域におけるシトシンのメチル化の程度を検出する工程;(c)上記転写制御領域におけるシトシンのメチル化の程度と、肝細胞癌の発症リスクが正の相関関係にあることを指標として前記被検者における肝細胞癌の発症リスクを予測する工程;の工程(a)〜(c)を順次備える肝細胞癌の発症リスクを予測するためのデータを収集する方法(以下、「発症リスク予測データ収集方法」ということもある)や、(a)C型肝炎ウイルスに感染している肝細胞癌患者より採取された非癌部肝臓組織からゲノムDNAを抽出する工程;(b)上記ゲノムDNAのABCB6遺伝子の転写制御領域におけるシトシンのメチル化の程度を検出する工程;(c)上記転写制御領域におけるシトシンのメチル化の程度と、肝細胞癌の再発リスクが逆の相関関係にあることを指標として前記肝細胞癌患者における肝細胞癌の再発リスクを予測する工程;の工程(a)〜(c)を順次備える肝細胞癌の再発リスクを予測するためのデータを収集する方法(以下、「再発リスク予測データ収集方法(I)」ということもある)や、(a)C型肝炎ウイルスに感染している肝細胞癌患者より採取された癌部肝臓組織からゲノムDNAを抽出する工程;(b)上記ゲノムDNAのABCB6遺伝子の転写制御領域におけるシトシンのメチル化の程度を検出する工程;(c)上記転写制御領域におけるシトシンのメチル化の程度と、肝細胞癌の再発リスクが正の相関関係にあることを指標として前記肝細胞癌患者における再発リスクを予測する工程;の工程(a)〜(c)を順次備える肝細胞癌の再発リスクを予測するためのデータを収集する方法(以下、「再発リスク予測データ収集方法(II)」ということもある)を実施の変形として含むことがある。本発明の発症リスク予測データ収集方法、再発リスク予測データ収集方法(I)、及び再発リスク予測データ収集方法(II)を実施する際の操作は、データを収集することを除き、上記本発明の発症リスク予測、再発リスク予測方法(I)、及び再発リスク予測方法(II)を実施する際の操作と同様である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
[ABCB6遺伝子のメチル化解析]
ABCB6遺伝子の転写調節領域付近をコンピュータ解析した結果、CpGアイランドが存在することが明らかとなった。図1に、ABCB6遺伝子領域における、CpG配列の位置、及びCpGアイランド領域を示す。このCpGアイランドにおけるシトシンのメチル化について、6種の肝癌細胞株(HLE、SK−HEP−1、Hep 3B、HuH−6、HuH−7、Hep G2)を用いて解析を行った。図2に、バイサルファイトシークエンスの結果を示す。以上の解析結果に基づいて、Methylight法による解析に用いる5箇所のメチル化解析領域(MSP1〜5)を決定した(図3)。
[肝臓組織におけるABCB6遺伝子のメチル化解析]
1.サンプル
肝臓癌患者より外科的に切除して得られた肝臓組織から、非癌部及び癌部(HCC)組織を採取した。得られた非癌部及び癌部(HCC)サンプルは−80℃にて保存し、RNA及び/又はDNAの抽出に用いた。
2.RNA及びゲノムDNA抽出
上記の48例(再発なし:35例、再発有り:13例)のサンプルから、TRIzol Reagent(インビトロジェン社製)とPureLink Micro-to-Midi Total RNA Purification Kit(インビトロジェン社製)を用いてtotal RNAを抽出した。また、46例(再発なし:35例、再発有り:11例)のサンプルから、UltraClean Tissue DNA Spin Kit(MO BIO社製)を用いてDNA抽出を行った。上記サンプルのうち、33例のサンプルはRNAとDNAの両方の抽出に用いた。
3.逆転写反応とABCB6発現レベルの算出
上記のようにして抽出されたtotal RNAから、PrimeScript RT reagent Kit(タカラバイオ社製)を用いてcDNAを合成し、リアルタイムPCRによりABCB6mRNA発現レベルを調べた。リアルタイムPCRの反応は、cDNA(10ngのinitial RNAに相当)、プライマー(10pmol)、及び加水分解プローブ(2pmol)を含む20μLの反応液を用い、LightCycler 480II(ロシュ社製)によって行った。ΔΔCq法(ΔΔCt法)により、非癌部サンプルにおけるABCB6mRNA発現量の平均値(N=48)を1.0として、癌部サンプルにおけるABCB6mRNA発現レベルを相対値として示した。また、リファレンス遺伝子としてGAPDH遺伝子の発現レベルを確認した。リアルタイムPCRに用いたプライマー及び加水分解プローブの配列を以下に示す。
<ABCB6>
センスプライマー(配列番号1):5'-GGACCAAGATGTGGAAAGGA-3'
アンチセンスプライマー(配列番号2):5'-CCAAAATCTCGCCAGGTAGA-3'
プローブ:Universal Probe Library #66(Roche Diagnostics社製)
<GAPDH>
センスプライマー(配列番号3):5'-AGCCACATCGCTCAGACAC-3'
アンチセンスプライマー(配列番号4):5'-GCCCAATACGACCAAATCC-3'
プローブ:Universal Probe Library #60(Roche Diagnostics社製)
4.バイサルファイト処理とABCB6遺伝子領域のメチル化率の算出
各サンプルにおけるABCB6遺伝子領域のメチル化率を検討する目的で以下の実験を行った。上記1で抽出したDNAをEZ DNA Methylation-Gold Kit(ZYMO RESEARCH社製)によりバイサルファイト処理した。これによって、ゲノムDNA中のメチル化されていないシトシンはチミンへと変換され、メチル化されているシトシンは変換されずに残る。メチル化率の測定はMethylight法を若干改変し、リアルタイムPCR装置とプライマー(10pmol)及び加水分解プローブ(2pmol)を用いて20μL反応系でのメチル化特異的PCR(MSP)によって行った。鋳型には100ngのバイサルファイト処理したゲノムDNAを用いた。ABCB6遺伝子領域のメチル化率は、ΔΔCq法(ΔΔCt法)によりMSP5のメチル化率に対する相対値としてMSP1〜4について求めた。あるいは、ABCB6遺伝子領域のメチル化率をRPPH1(ribonuclease P RNA component H1(NR_002312.1, X15624))又はALU(Alu repeat(The most plentiful short interspersed nucleotide element(SINE)in human DNA))配列のメチル化率に対する相対値としてMSP5について求めた。また、全ての実験においてコントロールとして100%メチル化コントロールDNA(QIAGEN社製)を鋳型に用いた。リアルタイムPCRに用いたプライマー及び加水分解プローブの配列を以下に示す。
<MSP1>
センスプライマー(配列番号5):5'-TAAGGTATTCGGATGTTCGC-3'
アンチセンスプライマー(配列番号6):5'-TCGACCTCGCAATAATTACC-3'
プローブ(配列番号7):5'-FAM-AGTGTTCGTAGTTTCGGTCGGCGTTT-BHQ-3'
<MSP2>
センスプライマー(配列番号8):5'-GGGGTTATAGTCGTGGAGC-3'
アンチセンスプライマー(配列番号9):5'-AAAACACGTACGCCGTCT-3'
プローブ(配列番号10):5'-FAM-GTGGGTTTGTAGTTGGTAGGAGGGTT-BHQ-3'
<MSP3>
センスプライマー(配列番号11):5'-GGGGTTATAGTCGTGGAGC-3'
アンチセンスプライマー(配列番号12):5'-GTCTCAACACGACCCCG-3'
プローブ(配列番号13):5'-FAM-GTGGGTTTGTAGTTGGTAGGAGGGTT-BHQ-3'
<MSP4>
センスプライマー(配列番号14):5'-GTGTTTTGTTTCGAGTTAGGATTTC-3'
アンチセンスプライマー(配列番号15):5'-GAAAAATCTAACGACCAAACCG-3'
プローブ(配列番号16):5'-FAM-TTTCGAGTTACGATTTCGTGGAGG-BHQ-3'
<MSP5>
センスプライマー(配列番号17):5'-TAGATTTTTTGTTGTTTCGC-3'
アンチセンスプライマー(配列番号18):5'-TCTAAACGACGACCTAAACA-3'
プローブ(配列番号19):5'-FAM-AAGAGAAATGGGATGGGGATTTTG-BHQ-3'
<RPPH1>
センスプライマー(配列番号20):5'-AATGAGGTGTAGAAGGTTGATGGT-3'
アンチセンスプライマー(配列番号21):5'-CATAATTAAATCACTTCCCACCAAA-3'
プローブ:Universal ProbeLibrary #10(Roche diagnostics社製)
<ALU>
センスプライマー(配列番号22):5'-GCGCGGTGGTTTACGTTT-3'
アンチセンスプライマー(配列番号23):5'-AACCGAACTAATCTCGAACTCCTAAC-3'
プローブ(配列番号24):5'-6FAM-AAATAATCCGCCCGCCTCGACCT-BHQ-3'
5.再発・無再発診断能の評価
MSP5に対する相対値としてMSP1〜4について求めたABCB6遺伝子領域のメチル化率を用いて解析した。非癌部においてはABCB6mRNA発現とメチル化率との相関は見られなかったが、癌部においてはmRNA発現とメチル化率との間に逆相関関係が見られた(図4)。また、再発の有無に基づいて、Receiver operating characteristic(ROC)曲線におけるArea Under the Curve(AUC)を用いて比較した(図5〜10)。感度・特異度はROC曲線において最区分点の最大値での値を示した。C型肝炎ウイルスキャリア由来の1年以内再発有り肝臓組織の癌部においてはメチル化率が高いことが明らかとなった。さらに、該CpGアイランドのメチル化率は、C型肝炎ウイルスキャリア由来の1年以内再発無し肝臓組織の非癌部においては低いこと、B型肝炎ウイルスキャリア由来の肝臓組織においては癌部及び非癌部のいずれのメチル化率も、1年以内再発の有無との関連が認められないことが示された。
次に、RPPH1に対する相対値としてMSP5について求めたABCB6遺伝子領域のメチル化率を用いて解析した結果を図11、12に示す。癌の2年以内の再発については、全体及びC型肝炎ウイルスキャリアの群で非癌部の肝臓組織におけるABCB6遺伝子領域のメチル化率に有意差が認められた。また、非癌部の肝臓組織におけるABCB6遺伝子領域のメチル化率からReceiver operating characteristic(ROC)曲線を作成して再発予測性能を評価した結果により、C型肝炎ウイルスキャリアの群で癌の2年以内の再発予測精度が高いことが示された(図13)。
さらに、癌患者から採取した肝臓組織におけるABCB6遺伝子mRNA発現量をABCB6遺伝子転写制御領域のDNAメチル化率で除した値を用いてReceiver operating characteristic(ROC)曲線を作成して再発予測性能を評価した(図14)。ABCB6遺伝子mRNA発現量とABCB6遺伝子転写制御領域のDNAメチル化率を組合せてマーカーとすると、C型肝炎ウイルスキャリアの群で、癌の1年以内及び2年以内の高い再発予測精度を得られることが示された。
6.癌の診断マーカーとしての性能の解析
癌患者から採取した癌部及び非癌部の肝臓組織において、ALU配列に対する相対値としてMSP5について求めたABCB6遺伝子転写制御領域のDNAメチル化率は、C型肝炎ウイルスキャリアの有無に係らず癌部において高いことが示された(図15)。また、Receiver operating characteristic(ROC)曲線を作成して診断マーカーとしての性能を評価した結果、ALU配列に対する相対値としてMSP5について求めたABCB6遺伝子転写制御領域のDNAメチル化率は、C型肝炎ウイルスキャリアの有無に係らず、高性能に診断マーカーとして用いることができることが示された(図16)。

Claims (4)

  1. 以下の工程(a)〜(c)を順次備えることを特徴とする肝細胞癌の再発リスクを予測するためのデータを収集する方法。
    (a)C型肝炎ウイルスに感染している肝細胞癌患者より採取された非癌部肝臓組織からゲノムDNAを抽出する工程;
    (b)上記ゲノムDNAのABCB6遺伝子の転写制御領域におけるシトシンのメチル化の程度を検出する工程であって、該ABCB6遺伝子の転写制御領域が、以下の(i)〜(v)から選択される1以上の領域であることを特徴とする工程
    (i)ABCB6遺伝子の転写開始点より下流の+183bpから+309bpまでのMSP1領域;
    (ii)ABCB6遺伝子の転写開始点より上流の−50bpから下流の+71bpまでのMSP2領域;
    (iii)ABCB6遺伝子の転写開始点より上流の−50bpから下流の+57bpまでのMSP3領域;
    (iv)ABCB6遺伝子の転写開始点より上流の−268bpから−173bpまでのMSP4領域;
    (v)ABCB6遺伝子の転写開始点より上流の−433bpから−330bpまでのMSP5領域;
    (c)上記転写制御領域におけるシトシンのメチル化の程度と、肝細胞癌の再発リスクとが逆の相関関係にあることを指標として前記肝細胞癌患者における肝細胞癌の再発リスクを予測する工程;
  2. 以下の工程(a)〜(c)を順次備えることを特徴とする肝細胞癌の再発リスクを予測するためのデータを収集する方法。
    (a)C型肝炎ウイルスに感染している肝細胞癌患者より採取された癌部肝臓組織からゲノムDNAを抽出する工程;
    (b)上記ゲノムDNAのABCB6遺伝子の転写制御領域におけるシトシンのメチル化の程度を検出する工程であって、該ABCB6遺伝子の転写制御領域が、以下の(i)〜(v)から選択される1以上の領域であることを特徴とする工程
    (i)ABCB6遺伝子の転写開始点より下流の+183bpから+309bpまでのMSP1領域;
    (ii)ABCB6遺伝子の転写開始点より上流の−50bpから下流の+71bpまでのMSP2領域;
    (iii)ABCB6遺伝子の転写開始点より上流の−50bpから下流の+57bpまでのMSP3領域;
    (iv)ABCB6遺伝子の転写開始点より上流の−268bpから−173bpまでのMSP4領域;
    (v)ABCB6遺伝子の転写開始点より上流の−433bpから−330bpまでのMSP5領域;
    (c)上記転写制御領域におけるシトシンのメチル化の程度と、肝細胞癌の再発リスクとが正の相関関係にあることを指標として前記肝細胞癌患者における再発リスクを予測する工程;
  3. 以下の(i)〜(v)から選択される1以上のプライマーセットとプローブとの組合せを用いて、ABCB6遺伝子の転写制御領域におけるシトシンのメチル化の程度を検出することを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
    (i)配列番号5及び6に示される塩基配列からなるプライマーセットと、配列番号7に示される塩基配列を含むプローブとの組合せ;
    (ii)配列番号8及び9に示される塩基配列からなるプライマーセットと、配列番号10に示される塩基配列を含むプローブとの組合せ;
    (iii)配列番号11及び12に示される塩基配列からなるプライマーセットと、配列番号13に示される塩基配列を含むプローブとの組合せ;
    (iv)配列番号14及び15に示される塩基配列からなるプライマーセットと、配列番号16に示される塩基配列を含むプローブとの組合せ;
    (v)配列番号17及び18に示される塩基配列からなるプライマーセットと、配列番号19に示される塩基配列を含むプローブとの組合せ;
  4. ABCB6遺伝子の転写制御領域におけるシトシンのメチル化の程度を検出するためのプライマーセットとプローブとを備え、C型肝炎ウイルスに感染している肝細胞癌患者の肝細胞癌の再発リスク予測用のキットであって、プライマーセットとプローブとが、以下の(i)〜(v)から選択される1以上のプライマーセットとプローブとの組合せであることを特徴とするキット。
    (i)配列番号5及び6に示される塩基配列からなるプライマーセットと、配列番号7に示される塩基配列を含むプローブとの組合せ;
    (ii)配列番号8及び9に示される塩基配列からなるプライマーセットと、配列番号10に示される塩基配列を含むプローブとの組合せ;
    (iii)配列番号11及び12に示される塩基配列からなるプライマーセットと、配列番号13に示される塩基配列を含むプローブとの組合せ;
    (iv)配列番号14及び15に示される塩基配列からなるプライマーセットと、配列番号16に示される塩基配列を含むプローブとの組合せ;
    (v)配列番号17及び18に示される塩基配列からなるプライマーセットと、配列番号19に示される塩基配列を含むプローブとの組合せ;
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