以下に、本願の開示する無線中継装置、移動局、無線通信システムおよび干渉測定方法の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
近年、無線通信においては、無線品質を向上させるための技術として、中継技術が注目されている。この中継技術を用いる無線通信システムとしては、中継局(RN:Relay Node)を用いた無線セルラシステムがよく知られている。この中継技術は、セル端付近のカバレッジ、スループットを向上させるための技術であり、無線通信規格の標準化団体である3GPP(3rd Generation Partnership Project)のLTE−A(Long Term Evolution−Advanced)において議論が進められている。
図1は、RNを用いた無線通信システムの構成例を示す図である。図1において、RN1は、基地局(eNB:evolved Node B)2からの下り信号や移動局(UE:User Equipment)3からの上り信号を受信した場合に、受信した信号をアンプで増幅して、下り信号をUE3へ、上り信号をeNB2へ、それぞれ送信する。また、RN1としては、AF(Amplify and Forward)方式とDF(Decode and Forward)方式の2種類が広く知られている。AF方式のRN1は、送受信アンテナとアンプを含み、受信した信号を増幅して送信する。これに対し、DF方式のRN1は、送受信アンテナとアンプに加えて変復調器および符号化/復号器を含み、信号を受信した後、一旦復調および復号を実行する。その後、RN1は、再度、符号化および変調を実行し、再変調後の信号をフレームフォーマット化した後に増幅して送信する。なお、以下では、一例としてDF方式のRN1を前提として説明を行う。
たとえば、RN1では、中継送信を行う際、送信した信号が受信アンテナに回り込み、同一周波数の場合にはその信号の回り込みにより自己干渉(回り込み干渉)の影響を受ける可能性がある。この自己干渉を、以下では、SI(Self Interference)と表記する。図2は、SIの様子を示す図である。たとえば、送受信アンテナ間でアイソレーションが確保されている場合、RNは、SIの影響を受けない。このようなRNをフルデュプレックスと呼ぶ。図3は、フルデュプレックスのRNを示す図である。図3において、フルデュプレックスのRN1aは、SIの影響を受けないため、同時に送受信処理を行うことが可能である。これに対し、アイソレーションが確保されていないRNをハーフデュプレックスと呼ぶ。図2に示すRN1は、ハーフデュプレックスのRNを示したものである。ハーフデュプレックスのRN1は、同時に送受信を行うとSIの影響を受けるため、送受信が同時にならないように送受信タイミングを調整する。このため、ハーフデュプレックスのRN1は、送受信タイミングに関係なく中継通信を行うフルデュプレックスのRN1aに比べて、スループットが低下する。
なお、RNにおいてアイソレーションが取れているかどうかを判断するためには、SIを測定し、その値によって判断することが一般的である。
ここで、本実施例のSI測定方法の原理について説明する。まず、第1に、本実施例では、RN1が、SI測定のスケジューリングを行い、自局のタイミングでSIを測定する。すなわち、従来技術のようにeNBがSI測定のスケジューリングを行うのではなく、RN1が、自局主導でSI測定を行う。これにより、eNB2からの制御処理や制御のためのシグナリングが発生せず、シグナリング誤りによる再送遅延も発生しない。また、RN1は、自局主導でSI測定のスケジューリングを行うため、自局のスケジューラの都合に合わせて、SI測定用系列(RS等)を送信したり、UE3にSI測定用系列を送信させたりすることが可能となる。
第2に、本実施例では、RN1が、SIが発生する特定のサブフレームの受信品質と、特定のサブフレームに隣接するSIが発生しないサブフレーム(1つ前または後のサブフレーム)の受信品質とを比較してSIを求める。図4は、本実施例のSI測定方法の原理を示す図である。図4において、「○」は「送信処理」を表し、「□」は復調および復号を含む「受信処理(受信品質の測定を含む)」を表し、「△」は復調および復号を含まない信号受信を行いかつ受信品質の測定を行う「測定処理」を表す。たとえば、従来技術では、eNBがスケジューリングを行いかつUEによる送信を停止させた上で、RNがSIを算出している。これに対し、本実施例では、RN1が、SI測定のスケジューリングを行い、SIが発生するサブフレーム(S+I)の受信品質と、SIが発生しないサブフレーム(S´)の受信品質とを比較することにより、SIを近似的に求めている。なお、図示の「S」は特定のサブフレームの参照信号(RS)を表し、「I」は干渉信号を表し、「S´」は特定のサブフレームに隣接するサブフレームの参照信号(RS)を表す。すなわち、図4では、隣接サブフレームのRS同士が「S≒S´」となるため、比較による差分IをSIとして近似することができる。このSI測定方法により、RN1は、中継中であっても、従来技術のようにヌル信号を挿入したり中継を停止したりすることなく、SIを測定することが可能となる。なお、「受信品質」は、受信電力値,SIR(Signal to Interference Ratio),SNR(signal−to−noise ratio)等、信号の品質の指標となるパラメータであればどのような値であってもよい。
第3に、本実施例では、図4に示すとおり、RN1が、復調および復号を含む受信処理を行わないサブフレームにおいても、受信品質を測定する(図4の「△」に対応)。これは、第2の原理として記述したSI測定処理の一部である。ハーフデュプレックスのRN1においては、受信処理を行わない区間(送信処理を行う区間)であっても、RS,SRS(Sounding RS)といったパイロット信号を受信し、受信したパイロット信号に基づいてサブフレーム単位に受信品質を測定する。これにより、eNB2およびUE3のデータ送信を停止させることなく、SI測定のスケジューリングを行うことが可能となる。
つづいて、本実施例のSI測定方法を実現するRN1の構成について説明する。図5は、本実施例のSI測定方法を実現するRN1の構成例を示す図である。なお、本実施例では、RN1がハーフデュプレックスのRNであることを前提とし、下り中継送信を利用してSI測定を行う。また、RN1の構成例は、説明の便宜上、本実施例の処理にかかわる構成を列挙したものであり、RNのすべての機能を表現したものではない。
図5において、本実施例のRN1は、受信制御部11と送信制御部12と制御部13と受信アンテナ(Rx)14と送信アンテナ(Tx)15を有する。受信制御部11は、Rx14を介して、下り信号(下りデータ信号,下り制御信号,下りRS信号)または上り信号(上りデータ信号,上り制御信号,上りRS信号)を受信し、復調および復号を行う。送信制御部12は、Tx15を介して、変調および符号化を行った下り信号(下りデータ信号,下り制御信号,下りRS信号)または上り信号(上りデータ信号,上り制御信号,上りRS信号)を送信する。制御部13は、本実施例のSI測定方法を実行する。なお、上記RN1において、受信制御部11,送信制御部12,制御部13は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)およびメモリ等で構成することが可能である。
また、上記受信制御部11は、受信部21とCH(Channel)推定部22と制御信号復調/復号部23とデータ信号復調/復号部24を有する。受信部21は、下り信号または上り信号を受信する。CH(Channel)推定部22は、RS信号(下りまたは上り)に基づいてCH推定値(下りまたは上り)を求める。なお、上記RS信号は、予め既知の信号であればどのような信号であってもよい。制御信号復調/復号部23は、CH推定値に基づいて制御信号(下りまたは上り)を復調および復号する。データ信号復調/復号部24は、CH推定値および復号後の制御信号に基づいてデータ信号(下りまたは上り)を復調および復号する。
また、上記送信制御部12は、データ信号符号化/変調部31と制御信号符号化/変調部32とRS生成部33と多重部34と送信部35を有する。データ信号符号化/変調部31は、データ信号復調/復号部24により復号されたデータ信号に対して符号化および変調を行う。制御信号符号化/変調部32は、制御信号復調/復号部23により復号された制御信号に対して符号化および変調を行う。RS生成部33は、RS信号を生成する。多重部34は、変調後のデータ信号、変調後の制御信号およびRS信号を多重する。送信部35は、Tx15を介してeNB2またはUE3へ多重信号を送信する。
また、上記制御部13は、送受信タイミング制御部41とスケジューラ42と受信品質/SI算出部43を有する。送受信タイミング制御部41は、送信処理と受信処理が同時に行われないように送受信タイミング制御を行う。スケジューラ42は、送受信タイミング制御部41から得られる送受信タイミングに基づいてSI測定をスケジューリングする。受信品質/SI算出部43は、CH推定部22より得られるCH推定値に基づいてサブフレーム単位に受信品質を算出する。そして、スケジューラ42によるスケジューリングに従い、特定のサブフレームの受信品質および特定のサブフレームに隣接するサブフレーム(1つ前または後のサブフレーム)の受信品質に基づいてSIを算出する。
つづいて、上記RN1の動作を説明する。RN1において、送受信タイミング制御部41は、自局がハーフデュプレックスであるため、送信処理と受信処理が同時に行われないように送受信タイミング制御を行う。
図6は、送受信タイミング制御部41の動作を示すフローチャートである。まず、送受信タイミング制御部41は、受信部21から得られる受信タイミング情報に基づいて自局が受信処理中であるかどうかを判定する(S1)。たとえば、受信中の場合(S1,Yes)、送受信タイミング制御部41は、受信処理が終了するまで送信処理待機の状態を維持する。その後、受信処理が終了したことを示す受信タイミング情報を受信した場合(S1,No)、送受信タイミング制御部41は、受信処理を待機させるための受信処理制御信号を受信部21に出力する(S2)。また、送受信タイミング制御部41は、送信処理を開始させるための送信処理制御信号を送信部35に出力する(S3)。
つぎに、送受信タイミング制御部41は、送信部35から得られる送信タイミング情報に基づいて自局が送信処理中であるかどうかを判定する(S4)。たとえば、送信中の場合(S4,Yes)、送受信タイミング制御部41は、送信処理が終了するまで受信処理待機の状態を維持する。その後、送信処理が終了したことを示す送信タイミング情報を受信した場合(S4,No)、送受信タイミング制御部41は、送信処理を待機させるための送信処理制御信号を送信部35に出力する(S5)。また、送受信タイミング制御部41は、受信処理を開始させるための受信処理制御信号を受信部21に出力する(S6)。以降、送受信タイミング制御部41は、受信部21による受信処理と送信部35による送信処理とを交互に実行させるための制御を行う。
なお、上記図6における「受信処理」は、復調および復号を含む受信処理、すなわち、図4の「□」を表すものであり、図4の「△(測定処理)」における受信を含まない。
また、本実施例では、上記の送受信タイミング制御に基づいて、受信制御部11による受信処理および制御部13によるSI測定処理が行われる。まず、上記送受信タイミング制御に基づく、受信制御部11による受信処理について説明する。
上記図6に示す送受信タイミング制御により、たとえば、受信部21がRx14を介して下り信号または上り信号を受信すると、CH推定部22は、受信した信号からRS信号を抽出し、このRS信号を用いてCH推定値を求める。そして、CH推定部22は、CH推定値を制御信号復調/復号部23、データ信号復調/復号部24、および受信品質/SI算出部43に通知する。また、制御信号復調/復号部23は、受信部21が受信した信号から制御信号を抽出し、CH推定値に基づいて、抽出した制御信号を復調および復号する。そして、制御信号復調/復号部23は、復号した制御信号をデータ信号復調/復号部24および制御信号符号化/変調部32に通知する。また、データ信号復調/復号部24は、受信部21が受信した信号からデータ信号を抽出し、CH推定値および復号された制御信号に基づいて、抽出したデータ信号を復調および復号する。そして、データ信号復調/復号部24は、復号したデータ信号をデータ信号符号化/変調部31に通知する。
なお、RN1の受信部21は、復調および復号を含む「受信処理」を行っていない場合(図4に示す「○」の「送信処理」を行う場合に相当)であっても、絶えず信号を受信することを前提とする。すなわち、CH推定部22においては、「送信処理」中であってもRS信号を受信し、このRS信号に基づいてCH推定値を求めている。
つぎに、上記送受信タイミング制御に基づく、制御部13によるSI測定処理について説明する。図7は、本実施例のSI測定方法の一例を示す図である。なお、受信品質/SI算出部43においては、CH推定部22から得られるCH推定値に基づいて、すべてのサブフレームについて受信品質を算出することを前提とする(図4に示す「△」の「測定処理」を行う場合に相当)。
まず、スケジューラ42は、送受信タイミング制御部41から得られる送受信タイミング情報に基づいて、SI測定のスケジューリングを行う。具体的には、スケジューラ42は、たとえば、下りRS信号が含まれる特定のサブフレーム区間および下りRS信号が含まれる隣接するサブフレーム区間(特定のサブフレームの1つ前または後のサブフレーム区間)において、SI測定オン信号を出力する。また、スケジューラ42は、その他のサブフレーム区間についてはSI測定オフ信号を出力する。すなわち、図7の例では、左側の2つのサブフレーム区間については、スケジューラ42からSI測定オフ信号が出力されている。一方、右側の2つのサブフレーム区間については、スケジューラ42からSI測定オン信号が出力されている。このように、本実施例では、SI測定時にデータ送信(中継送信)を停止しないようにスケジューリングを行うこととしたので、スループットを低下させることなくSIの測定が可能となる。なお、本実施例では、図7に示すような2つのサブフレーム区間でSI測定(比較)を行っているが、これに限らず、SI測定は、連続するサブフレームであればどの区間で行うこととしても良い。たとえば、スケジューラ42は、定期的にSI測定をスケジューリングしても良いし、任意のタイミングでSI測定をスケジューリングしても良い。
受信品質/SI算出部43は、スケジューラ42からSI測定オン信号を受け取ると、SIの算出を開始し、スケジューラ42からSI測定オフ信号を受け取ると、SIの算出を停止する。SI測定オン信号によりSIの算出を開始すると、受信品質/SI算出部43は、隣接サブフレーム(連続する2つのサブフレーム)の受信品質が得られた時点で2つの受信品質を比較し、その比較結果に基づいてSIを算出する。
たとえば、n番目,n+1番目のサブフレームの平均受信品質をQ(n),Q(n+1)とする。ここでは、一例として、受信電力値を受信品質の指標とする。そして、各サブフレームにおける下りRS信号の平均レベルをS(n),S(n+1)、雑音の平均レベルをN(n),N(n+1)、SIの平均レベルをI(n)とした場合、Q(n),Q(n+1)は、下記(1),(2)式のように表すことができる。なお、I(n)は、RN1の下りの「送信処理(○に相当)」によりRx14に回り込むSIの平均レベルである(図7参照)。
Q(n)=S(n)+N(n)+I(n) …(1)
Q(n+1)=S(n+1)+N(n+1) …(2)
また、n番目,n+1番目のサブフレームにおいて、下りRS信号の平均レベル、および雑音の平均レベルの変動がほとんどない場合には、以下の(3),(4)式の関係が成立する。
S(n+1)≒S(n) …(3)
N(n+1)≒N(n) …(4)
すなわち、上記(3),(4)の関係が成立すると、以下の(5)式の関係が成立し、受信品質/SI算出部43は、隣接サブフレームの受信品質Q(n),Q(n+1)の差分を取ることによって、SIの近似値を求めることができる。
Q(n)−Q(n+1)≒I(n) …(5)
このように、本実施例では、RNが、SI測定のスケジューリングを行い、自局主導でSIを測定することとした。これにより、SIを測定するためのeNBによる制御が不要となるため、eNBからRNへの制御処理や制御のためのシグナリングをなくすことができる。
また、本実施例では、RNが、SI測定時にデータ送信(中継送信)を停止しないようにスケジューリングを行うこととした。これにより、従来技術においては初期設定時やヌル信号挿入時にデータ送信が停止されるためスループットが低下していたが、本実施例では、スループットを低下させることなくSIの測定が可能となる。
なお、本実施例においては、DF方式のRNを前提としたSI測定方法について説明したが、このSI測定方法は、AF方式のRNにも適用可能である。図8は、AF方式のRNの構成例を示す図である。図8に示すRNは、図5に示すRN1の構成から、制御信号復調/復号部23とデータ信号復調/復号部24とデータ信号符号化/変調部31と制御信号符号化/変調部32とRS生成部33と多重部34を削除した構成となっている。また、上記削除に伴い、図8に示すRNは、受信部21と送信部35が直結される。すなわち、図8のRNは、受信信号の復調および復号と、再符号化および再変調とを行うことなく、受信信号をそのまま増幅して送信する。これ以外の処理については、上記図8のRN1と同様である。
実施例2のSI測定方法について説明する。前述した実施例1のRN1によるSI測定は、ハーフデュプレックスのRN1における下り信号の中継を前提として実行されていた。本実施例では、ハーフデュプレックスのRNにおける上り信号の中継を利用してSI測定を行う。なお、無線通信システムの構成およびSI測定方法の原理については、前述した実施例1と同様である。
たとえば、DF方式のRNは、受信情報を一旦復号するため、eNBからUEに送られる下り制御情報の内容を知ることが可能である。その結果、このようなRNは、UEがどのタイミングで上りRS信号を送信するかを知ることができる。そこで、本実施例では、UEが送信する上りRS信号を利用して、RN主導でSI測定を行う。なお、上りRS信号としては、データ復調用のRS(DM−RS:Demodulation RS)等が考えられる。
図9は、本実施例のSI測定方法を実現するRN1−1の構成例を示す図である。なお、図9に示すRN1−1の構成例は、説明の便宜上、本実施例の処理にかかわる構成を列挙したものであり、RNのすべての機能を表現したものではない。また、本実施例では、前述した実施例1と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例のRN1−1は、受信制御部11と送信制御部12−1と制御部13−1と受信アンテナ(Rx)14と送信アンテナ(Tx)15を有する。送信制御部12−1は、送信制御部12の動作に加えて、Tx15を介して、予め既知の信号であるSI測定用系列を送信する。制御部13−1は、本実施例のSI測定方法を実行する。なお、上記RN1−1において、受信制御部11,送信制御部12−1,制御部13−1は、たとえば、CPU、FPGAおよびメモリ等で構成することが可能である。
また、上記送信制御部12−1は、前述したデータ信号符号化/変調部31,制御信号符号化/変調部32,RS生成部33,多重部34に加えて、さらに、SI測定用系列生成部36−1を有する。また、送信部35に代えて送信部35−1を有する。SI測定用系列生成部36−1は、SI測定オン信号を受信した場合にSI測定用系列を生成して出力する。送信部35−1は、送信部35の動作に加え、SI測定用系列を送信させるための送信処理制御信号を受け取ったタイミングでSI測定用系列を送信する。
また、上記制御部13−1は、送受信タイミング制御部41−1とスケジューラ42−1と受信品質/SI算出部43を有する。スケジューラ42−1は、送受信タイミング制御部41−1から得られる送受信タイミングに基づいてSI測定をスケジューリングし、SI測定オン信号およびSI測定オフ信号を受信品質/SI算出部43およびSI測定用系列生成部36−1へ出力する。また、スケジューラ42−1は、所定のタイミングでSI測定用系列送信指示を送受信タイミング制御部41−1に出力する。送受信タイミング制御部41−1は、送受信タイミング制御部41の動作に加えて、SI測定用系列送信指示を受け取った場合に、さらにSI測定用系列を送信させるための送信処理制御信号を送信部35−1に出力する。
つづいて、上記RN1−1の動作を説明する。図10は、本実施例のSI測定方法の一例を示す図である。なお、ここでは、前述した実施例1と異なる動作について説明する。
まず、スケジューラ42−1は、送受信タイミング制御部41−1から得られる送受信タイミング情報に基づいて、SI測定のスケジューリングを行う。具体的には、スケジューラ42−1は、たとえば、上りRS信号が含まれる特定のサブフレーム区間および上りRS信号が含まれる隣接するサブフレーム区間(特定のサブフレームの1つ前または後のサブフレーム区間)において、SI測定オン信号を出力する。また、スケジューラ42−1は、その他のサブフレーム区間についてはSI測定オフ信号を出力する。すなわち、図10の例では、左側の2つのサブフレーム区間については、スケジューラ42−1からSI測定オフ信号が出力されている。一方、右側の2つのサブフレーム区間については、スケジューラ42−1からSI測定オン信号が出力されている。また、スケジューラ42−1は、SI測定オン信号出力時の送信区間の上りRS信号の受信タイミングにあわせて、SI測定用系列送信指示を送受信タイミング制御部41−1に出力する。
そして、送受信タイミング制御部41−1は、スケジューラ42−1からのSI測定用系列送信指示に従い、SI測定用系列を送信させるための送信処理制御信号を送信部35−1に出力する。
一方で、SI測定用系列生成部36−1は、スケジューラ42−1からSI測定オン信号を受け取ると、SI測定用系列を生成し、送信部35−1に出力する。そして、送信部35−1は、送受信タイミング制御部41−1からSI測定用系列を送信させるための送信処理制御信号を受信したタイミングで、すなわち、図10に示す上りRS信号の受信タイミング(△:のタイミング)にあわせて、SI測定用系列を送信する。このように、本実施例では、SI測定時にデータ送信(中継通信)を停止しないように、上りRS信号の受信タイミングにあわせてSI測定用系列送信のスケジューリングを行うこととしたので、スループットを低下させることなくSIの測定が可能となる。
受信品質/SI算出部43は、スケジューラ42−1からSI測定オン信号を受け取ると、SIの算出を開始し、スケジューラ42−1からSI測定オフ信号を受け取ると、SIの算出を停止する。SI測定オン信号によりSIの算出を開始すると、受信品質/SI算出部43は、隣接サブフレーム(連続する2つのサブフレーム)の受信品質が得られた時点で2つの受信品質を比較し、その比較結果に基づいてSIを算出する。
たとえば、n番目,n+1番目のサブフレームの平均受信品質をQ(n),Q(n+1)とする。そして、各サブフレームにおける上りRS信号の平均レベルをS(n),S(n+1)、雑音の平均レベルをN(n),N(n+1)、SIの平均レベルをI(n)とした場合、Q(n),Q(n+1)は、前述した(1),(2)式のように表すことができる。なお、I(n)は、RN1−1からeNB2への上り信号であるSI測定用系列の送信処理によりRx14に回り込むSIの平均レベルである(図10参照)。
以下、実施例1と同様に、前述した(3),(4),(5)式の関係が成立するため、受信品質/SI算出部43は、隣接サブフレームの受信品質Q(n),Q(n+1)の差分を取ることによって、SIの近似値を求めることができる。すなわち、本実施例では、SIが発生する特定のサブフレームの受信品質と、SIが発生しない隣接するサブフレーム(特定のサブフレームの1つ前または後のサブフレーム)の受信品質とを比較し、その結果に基づいてSIを測定する。
このように、本実施例では、RNが、SI測定のスケジューリングを行い、自局主導でSIを測定することとした。これにより、SIを測定するためのeNBによる制御が不要となるため、eNBからRNへの制御処理や制御のためのシグナリングをなくすことができる。
実施例3のSI測定方法について説明する。前述した実施例1のRN1によるSI測定は、ハーフデュプレックスのRN1における下り信号の中継を前提として実行されていた。本実施例では、実施例2と同様に、ハーフデュプレックスのRNにおける上り信号の中継を利用してSI測定を行う。なお、無線通信システムの構成およびSI測定方法の原理については、前述した実施例1と同様である。
本実施例では、RNが、UEに予め既知の信号であるSI測定用系列を送信させ、このSI測定用系列に基づいてSIを測定する。
図11は、本実施例のSI測定方法を実現するRN1−2の構成例を示す図である。なお、図11に示すRN1−2の構成例は、説明の便宜上、本実施例の処理にかかわる構成を列挙したものであり、RNのすべての機能を表現したものではない。また、本実施例では、前述した実施例1と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
本実施例のRN1−2は、受信制御部11と送信制御部12−2と制御部13−2と受信アンテナ(Rx)14と送信アンテナ(Tx)15を有する。送信制御部12−2は、送信制御部12の動作に加えて、SI測定用系列送信リクエストおよびUE送信タイミング情報を含む第1の制御シーケンス信号、およびSI測定用系列送信停止リクエストを含む第2の制御シーケンス信号を送信可能とする。制御部13−2は、本実施例のSI測定方法を実行する。なお、上記RN1−2において、受信制御部11,送信制御部12−2,制御部13−2は、たとえば、CPU、FPGAおよびメモリ等で構成することが可能である。
また、上記送信制御部12−2は、前述したデータ信号符号化/変調部31,制御信号符号化/変調部32,RS生成部33,多重部34に加えて、制御シーケンス生成部37−2および制御シーケンス符号化/変調部38−2を有する。また、送信制御部12−2は、送信部35に代えて送信部35−2を有する。制御シーケンス生成部37−2は、所定の制御シーケンス信号送信指示を受け取った場合に、上記第1または第2の制御シーケンス信号(単に「制御シーケンス信号」と呼ぶ場合もある)を生成する。制御シーケンス符号化/変調部38−2は、制御シーケンス信号を符号化および変調する。送信部35−2は、送信部35の動作に加えて、制御シーケンス信号を送信する旨の送信処理制御信号を受け取った場合に、Tx15を介して制御シーケンス信号を送信する。
また、上記制御部13−2は、送受信タイミング制御部41−2とスケジューラ42−2と受信品質/SI算出部43を有する。スケジューラ42−2は、送受信タイミング制御部41−2から得られる送受信タイミングに基づいてSI測定をスケジューリングし、SI測定オン信号およびSI測定オフ信号を受信品質/SI算出部43へ出力する。また、スケジューラ42−2は、制御シーケンス信号送信指示を制御シーケンス生成部37−2および送受信タイミング制御部41−2に通知する。送受信タイミング制御部41−2は、送受信タイミング制御部41の動作に加えて、制御シーケンス信号送信指示を受け取った場合に、制御シーケンス信号を送信する旨の送信処理制御信号を送信部35−2に出力する。
図12は、上記制御シーケンス信号を受信可能なUE3の構成例を示す図である。図12において、UE3は、Tx/Rx切替部101と受信部102と復調/復号部103と制御部104とSI測定用系列生成部105と送信部106と送受信アンテナ(Tx/Rx)107を有する。Tx/Rx切替部101は、上り信号の送信と下り信号の受信を切り替える機能を有する。受信部102は、Tx/Rx107およびTx/Rx切替部101を介して制御シーケンス信号(下り信号)を受信する。復調/復号部103は、受信部102にて受信した制御シーケンス信号を復調および復号する。制御部104は、上り信号および下り信号の送受信タイミング制御を行うとともに、制御シーケンス信号に基づいてSI測定用系列の生成および生成停止を指示する。なお、「SI測定用系列」は、SI測定のための既知の信号である。SI測定用系列生成部105は、制御部104からの指示に従い、SI測定用系列を生成する。送信部106は、生成されたSI測定用系列をTx/Rx切替部101およびTx/Rx107を介して送信する。なお、図12に示すUE3の構成例は、説明の便宜上、本実施例の処理にかかわる構成を列挙したものであり、UEのすべての機能を表現したものではない。また、Tx/Rx切替部101、受信部102および送信部106の各機能はアナログ回路等により構成される無線部108により実現され、復調/復号部103、制御部104およびSI測定用系列生成部105の各機能はCPU、DSPおよびメモリ等で構成されるベースバンド部109により実現される。
ここで、本実施例のSI測定方法を実行する場合のRN1−2とUE3との間の制御シーケンスを説明する。図13は、RN1−2とUE3との間の制御シーケンスを示す図である。まず、RN1−2のスケジューラ42−2は、SI測定のスケジューリング結果に基づいて、第1の制御シーケンス信号を生成するための制御シーケンス信号送信指示を制御シーケンス生成部37−2および送受信タイミング制御部41−2に通知する。制御シーケンス生成部37−2は、受け取った指示に基づいて第1の制御シーケンス信号を生成する。なお、制御シーケンス生成部37−2は、第1の制御シーケンス信号に含まれるUE送信タイミング情報として、「自局の上り中継送信と衝突するタイミング」に関する情報を含ませる。そして、制御シーケンス符号化/変調部38−2は、生成された第1の制御シーケンス信号を符号化および変調し、送信部35−2に出力する。一方、送受信タイミング制御部41−2は、上記指示に従い、第1の制御シーケンス信号を送信する旨の送信処理制御信号を送信部35−2に送信する。そして、送信部35−2は、第1の制御シーケンス信号を送信する旨の送信処理制御信号の受信タイミングで、第1の制御シーケンス信号を、Tx15を介してUE3に送信する。
つぎに、UE3側においては、Tx/Rx107,Tx/Rx切替部101,受信部102,復調/復号部103を介して第1の制御シーケンス信号を受け取った制御部104が、SI測定用系列生成部105に対してSI測定用系列の生成を指示する。また、制御部104は、第1の制御シーケンス信号に含まれるUE送信タイミング情報に基づいて、送信部106に対して送信タイミングを指示する。そして、送信部106は、制御部104からの指示に従い、SI測定用系列生成部105にて生成されたSI測定用系列を、Tx/Rx切替部101,Tx/Rx107を介して送信する。ここでは、たとえば図13に示すように、「RN1−2による上り中継送信と衝突するタイミング(送信処理の区間)」を含む所定の送信タイミングでSI測定用系列を送信し、第2の制御シーケンス信号を受信するまでSI測定用系列の送信を継続する。
その後、RN1−2のスケジューラ42−2は、SI測定が完了した段階で、第2の制御シーケンス信号を生成するための制御シーケンス信号送信指示を制御シーケンス生成部37−2および送受信タイミング制御部41−2に通知する。制御シーケンス生成部37−2は、受け取った指示に基づいて第2の制御シーケンス信号を生成する。そして、制御シーケンス符号化/変調部38−2は、生成された第2の制御シーケンス信号を符号化および変調し、送信部35−2に出力する。一方、送受信タイミング制御部41−2は、上記指示に従い、第2の制御シーケンス信号を送信する旨の送信処理制御信号を送信部35−2に送信する。そして、送信部35−2は、第2の制御シーケンス信号を送信する旨の送信処理制御信号の受信タイミングで、第2の制御シーケンス信号を、Tx15を介してUE3に送信する。
最後に、UE3側では、Tx/Rx107,Tx/Rx切替部101,受信部102,復調/復号部103を介して第2の制御シーケンス信号を受け取った制御部104が、SI測定用系列生成部105に対してSI測定用系列の生成停止を指示する。
つづいて、上記RN1−2の動作を説明する。図14は、本実施例のSI測定方法の一例を示す図である。なお、ここでは、前述した実施例1と異なる動作について説明する。
まず、スケジューラ42−2は、送受信タイミング制御部41−2から得られる送受信タイミング情報に基づいて、SI測定のスケジューリングを行う。具体的には、スケジューラ42−2は、たとえば、SI測定用系列が含まれる特定のサブフレーム区間およびSI測定用系列が含まれる隣接するサブフレーム区間(特定のサブフレームの1つ前または後のサブフレーム区間)において、SI測定オン信号を出力する。また、スケジューラ42−2は、その他のサブフレーム区間についてはSI測定オフ信号を出力する。すなわち、図14の例では、左側の2つのサブフレーム区間については、スケジューラ42−2からSI測定オフ信号が出力されている。一方、右側の2つのサブフレーム区間については、スケジューラ42−2からSI測定オン信号が出力されている。
受信品質/SI算出部43は、スケジューラ42−2からSI測定オン信号を受け取ると、SIの算出を開始し、スケジューラ42−2からSI測定オフ信号を受け取ると、SIの算出を停止する。SI測定オン信号によりSIの算出を開始すると、受信品質/SI算出部43は、隣接サブフレーム(連続する2つのサブフレーム)の受信品質が得られた時点で2つの受信品質を比較し、その比較結果に基づいてSIを算出する。
たとえば、n番目,n+1番目のサブフレームの平均受信品質をQ(n),Q(n+1)とする。そして、各サブフレームにおけるSI測定用系列の平均レベルをS(n),S(n+1)、雑音の平均レベルをN(n),N(n+1)、SIの平均レベルをI(n)とした場合、Q(n),Q(n+1)は、前述した(1),(2)式のように表すことができる。なお、I(n)は、RN1−2の上りの「送信処理(○に相当)」によりRx14に回り込むSIの平均レベルである(図14参照)。
以下、実施例1と同様に、前述した(3),(4),(5)式の関係が成立するため、受信品質/SI算出部43は、隣接サブフレームの受信品質Q(n),Q(n+1)の差分を取ることによって、SIの近似値を求めることができる。すなわち、本実施例では、SIが発生する特定のサブフレームの受信品質と、SIが発生しない隣接するサブフレーム(特定のサブフレームの1つ前または後のサブフレーム)の受信品質とを比較し、その結果に基づいてSIを測定する。
このように、本実施例では、RNが、SI測定のスケジューリングを行い、自局主導でSIを測定することとした。これにより、SIを測定するためのeNBによる制御が不要となるため、eNBからRNへの制御処理や制御のためのシグナリングをなくすことができる。
実施例4のSI測定方法について説明する。前述した実施例1〜3では、ハーフデュプレックスのRNによるSI測定方法について説明した。本実施例では、フルデュプレックスのRNによるSI測定方法について説明する。
前述したように、たとえば、フルデュプレックスのRN1aは、送受信アンテナ間でアイソレーションが確保されているため、SIの影響を受けない(図3参照)。したがって、フルデュプレックスのRN1aは、同時に送受信処理を行うことが可能である。
図15は、本実施例のSI測定方法を実現するRN1aの構成例を示す図である。なお、本実施例では、RN1aがフルデュプレックスのRNであることを前提とし、一例として、下り信号の中継を利用してSI測定を行う。また、RN1aの構成例は、説明の便宜上、本実施例の処理にかかわる構成を列挙したものであり、RNのすべての機能を表現したものではない。また、本実施例では、前述した実施例1と同様の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
図15において、本実施例のRN1aは、受信制御部11と送信制御部12と制御部13aと受信アンテナ(Rx)14と送信アンテナ(Tx)15を有する。制御部13aは、本実施例のSI測定方法、すなわち、フルデュプレックスの場合におけるSI測定方法、を実行する。なお、上記RN1aにおいて、受信制御部11,送信制御部12,制御部13aは、たとえば、CPU、FPGAおよびメモリ等で構成することが可能である。
上記制御部13aは、送受信タイミング制御部41aとスケジューラ42aと受信品質/SI算出部43を有する。送受信タイミング制御部41aは、同時に送受信処理を行うための送受信タイミング制御を行う。また、送受信タイミング制御部41aは、SI測定時に「送信処理」を停止する制御を行う。スケジューラ42aは、SI測定をスケジューリングするとともに、SI測定のタイミング(SI測定オン信号)を送受信タイミング制御部41aに通知する。
つづいて、上記RN1aの動作を説明する。ここでは、送受信タイミング制御部41aによる送受信タイミング制御に基づくSI測定処理について説明する。図16は、本実施例のSI測定方法の一例を示す図である。
スケジューラ42aは、たとえば、下りRS信号が含まれる特定のサブフレーム区間および下りRS信号が含まれる隣接するサブフレーム区間(特定のサブフレームの1つ前または後のサブフレーム区間)において、SI測定オン信号を出力する。また、スケジューラ42aは、その他のサブフレーム区間についてはSI測定オフ信号を出力する。なお、本実施例では、スケジューラ42aは、SI測定オン信号およびSI測定オフ信号を、受信品質/SI算出部43だけでなく、送受信タイミング制御部41aにも通知する。すなわち、図16の例では、左側の2つのサブフレーム区間については、スケジューラ42aから受信品質/SI算出部43および送受信タイミング制御部41aへSI測定オフ信号が出力されている。一方、右側の2つのサブフレーム区間については、スケジューラ42aから受信品質/SI算出部43および送受信タイミング制御部41aへSI測定オン信号が出力されている。
また、図17は、送受信タイミング制御部41aの動作を示すフローチャートである。送受信タイミング制御部41aは、SI測定オフ信号を受信した場合には、受信部21および送信部35に対し、同時に送受信を行うための送受信タイミング制御を行う(図17 S11,No、S12)。一方、SI測定オン信号を受信した場合には、SI測定の対象となる2つのサブフレームの「送信処理(○に相当)」のうちの一方の「送信処理」を停止するための送信処理制御信号を送信部35に通知する(図17 S11,Yes、S13)。このように、本実施例では、SI測定時にデータ送信(中継通信)を停止するスケジューリングを行うこととした。なお、本実施例では、図16に示すような2つのサブフレーム区間でSI測定(比較)を行っているが、これに限らず、SI測定は、連続するサブフレームであればどの区間で行うこととしても良い。たとえば、スケジューラ42aは、定期的にSI測定をスケジューリングしても良いし、任意のタイミングでSI測定をスケジューリングしても良い。
受信品質/SI算出部43は、実施例1と同様に、スケジューラ42aからSI測定オン信号を受け取ると、SIの算出を開始し、スケジューラ42aからSI測定オフ信号を受け取ると、SIの算出を停止する。そして、受信品質/SI算出部43は、実施例1と同様に、隣接サブフレーム(連続する2つのサブフレーム)の受信品質が得られた時点で2つの受信品質を比較し、その比較結果に基づいてSIを算出する。
このように、本実施例では、RNが、SI測定のスケジューリングを行い、自局主導でSIを測定することとした。これにより、SIを測定するためのeNBによる制御が不要となるため、eNBからRNへの制御処理や制御のためのシグナリングをなくすことができる。
実施例5のSI測定方法について説明する。前述した実施例1〜4では、DL(Down Link)、UL(Up Link)およびRNの動作モード(フルデュプレックスまたはハーフデュプレックス)にかかわらず、隣接する2つのサブフレームを使用してSIを測定している。本実施例では、実施例1〜4におけるSI測定結果を利用して、適応的にRNの動作モードを切り替える。
図18は、本実施例のSI測定方法を実現するRN1bの構成例を示す図である。本実施例では、SIが所定のしきい値よりも大きい場合に、実施例1のスケジューラ42および送受信タイミング制御部41の動作を行い、SIが所定のしきい値以下の場合に、実施例4のスケジューラ42aおよび送受信タイミング制御部41aの動作を行う。なお、RN1bの構成例は、説明の便宜上、本実施例の処理にかかわる構成を列挙したものであり、RNのすべての機能を表現したものではない。
図18において、本実施例のRN1bは、受信制御部11と送信制御部12と制御部13bと受信アンテナ(Rx)14と送信アンテナ(Tx)15を有する。制御部13bは、SI測定結果に基づいてRN1bの動作モードを決定する処理を実行する。なお、上記RN1において、受信制御部11,送信制御部12,制御部13bは、たとえば、CPU、FPGAおよびメモリ等で構成することが可能である。
また、上記制御部13bは、送受信タイミング制御部41bとスケジューラ42bと受信品質/SI算出部43bを有する。受信品質/SI算出部43bは、受信品質/SI算出部43の動作に加え、求めたSIの値をスケジューラ42bに通知する処理を行う。スケジューラ42bは、受け取ったSI値に基づいて、スケジューラ42の動作(ハーフデュプレックスとしての動作)を行うかまたはスケジューラ42aの動作(フルデュプレックスとしての動作)を行う。送受信タイミング制御部41bは、自局がハーフデュプレックスとしての動作を行う場合に実施例1の送受信制御を行い、自局がフルデュプレックスとしての動作を行う場合に実施例4の送受信制御を行う。
つづいて、上記RN1bの動作を説明する。図19は、スケジューラ42bの動作を示すフローチャートである。スケジューラ42bは、受信品質/SI算出部43bにて求めたSI値が所定のしきい値よりも大きい場合において(S21,Yes)、たとえば、自局がハーフデュプレックスとして動作していれば(S22,Yes)、この動作を維持する。また、スケジューラ42bは、SI値が所定のしきい値よりも大きい場合において(S21,Yes)、たとえば、自局がフルデュプレックスとして動作している場合には(S22,No)、自局の動作をハーフデュプレックスに切り替える(S23)。
一方、スケジューラ42bは、受信品質/SI算出部43bにて求めたSI値が所定のしきい値以下の場合において(S21,No)、たとえば、自局がフルデュプレックスとして動作していれば(S24,Yes)、この動作を維持する。また、スケジューラ42bは、SI値が所定のしきい値以下の場合において(S21,No)、たとえば、自局がハーフデュプレックスとして動作している場合には(S24,No)、自局の動作をフルデュプレックスに切り替える(S25)。
また、スケジューラ42bは、上記のように動作(動作モード)を切り替える場合、以下のシーケンスを行う。図20および図21は、動作モードを切り替える場合のRN1bとeNB2との間のやり取りの一例を示すシーケンス図である。詳細には、図20は、フルデュプレックスからハーフデュプレックスへ動作を切り替える場合のやり取りを示し、この場合には、RN1bとeNB2との間にBH(BackHaul)リンクを設定する。また、図21は、ハーフデュプレックスからフルデュプレックスへ動作を切り替える場合のやり取りを示し、この場合には、RN1bとeNB2との間のBHリンクをリリースする。
たとえば、RN1bのスケジューラ42bは、フルデュプレックスからハーフデュプレックスへ動作を切り替えると判定した場合、送信部35およびTx15を介してRRCコネクションリクエスト(RNセットアップ)をeNB2に送信する。RRCコネクションリクエストを受信したeNB2は、RRCコネクトセットアップ(DLBHコンフィグ,ULBHコンフィグ)をRN1bに送信する。そして、RN1bのスケジューラ42bは、eNB2が送信するRRCコネクトセットアップをRx14および受信部21を介して受信する。その後、スケジューラ42bは、RRCコネクションコンプリート(DLBHコンフィグ,ULBHコンフィグ)を送信部35およびTx15を介してeNB2に送信する。このシーケンスにより、RN1bは、eNB2との間にBHリンクを設定する(図20)。
一方、RN1bのスケジューラ42bは、ハーフデュプレックスからフルデュプレックスへ動作を切り替えると判定した場合、送信部35およびTx15を介してRRCコネクションリコンフィグリクエスト(BHコンフィグをリリース)をeNB2に送信する。RRCコネクションリコンフィグリクエストを受信したeNB2は、RRCコネクトリコンフィグ(DLBHコンフィグ,ULBHコンフィグ)をRN1bに送信する。そして、RN1bのスケジューラ42bは、eNB2が送信するRRCコネクトリコンフィグをRx14および受信部21を介して受信する。その後、スケジューラ42bは、RRCコネクションリコンフィグコンプリートを送信部35およびTx15を介してeNB2に送信する。このシーケンスにより、RN1bは、eNB2との間のBHリンクをリリースする(図21)。
このように、本実施例では、SI測定結果に応じて適応的にRNの動作モード(フルデュプレックスまたはハーフデュプレックス)を切り替えることとした。これにより、SI値に応じたSI対策が可能となり、効率よく、誤り率,スループットの劣化を抑えることが可能となる。
実施例6のSI測定方法について説明する。本実施例においても、実施例5と同様に、RNによるSI測定結果を利用する。本実施例では、SI測定結果に応じて干渉キャンセラのオン/オフを適応的に切り替える。
図22は、本実施例のSI測定方法を実現するRN1−3の構成例を示す図である。本実施例では、SIが所定のしきい値よりも大きい場合に、干渉キャンセラをオンにする処理を行い、SIが所定のしきい値以下の場合に、干渉キャンセラをオフにする処理を行う。なお、RN1−3の構成例は、説明の便宜上、本実施例の処理にかかわる構成を列挙したものであり、RNのすべての機能を表現したものではない。
図22において、本実施例のRN1−3は、受信制御部11−3と送信制御部12と制御部13−3と受信アンテナ(Rx)14と送信アンテナ(Tx)15を有する。受信制御部11−3は、実施例1の受信制御部11の動作に加え、さらに干渉キャンセル機能を有する。制御部13−3は、実施例1の制御部13の動作に加え、さらに干渉キャンセル機能のオン/オフ制御を行う。なお、上記RN1−3において、受信制御部11−3,送信制御部12,制御部13−3は、たとえば、CPU、FPGAおよびメモリ等で構成することが可能である。
また、上記受信制御部11−3は、受信部21とCH推定部22と制御信号復調/復号部23とデータ信号復調/復号部24と、受信信号が受けた干渉の影響を除去(干渉キャンセル機能)する干渉キャンセラユニット25−3を有する。干渉キャンセラユニット25−3は、RNアンテナ間CH推定部51−3とレプリカ生成部52−3とキャンセル部53−3を有する。RNアンテナ間CH推定部51−3は、受信信号と送信信号の相関を計算し、アンテナ間のCH推定値を算出する。レプリカ生成部52−3は、送信信号とアンテナ間のCH推定値に基づいて受信信号のレプリカ信号を生成する。キャンセル部53−3は、受信信号からレプリカ信号を差し引いて、干渉信号を除去する。
また、上記制御部13−3は、送受信タイミング制御部41とスケジューラ42−3と受信品質/SI算出部43bを有する。スケジューラ42−3は、受け取ったSI値に基づいて、干渉キャンセラユニット25−3にキャンセラオン信号またはキャンセラオフ信号を送信する。
つづいて、上記RN1−3の動作を説明する。図23は、スケジューラ42−3の動作を示すフローチャートである。スケジューラ42−3は、受信品質/SI算出部43bにて求めたSI値が所定のしきい値よりも大きい場合において(S31,Yes)、たとえば、干渉キャンセル機能がオンであれば(S32,Yes)、この状態を維持する。すなわち、キャンセラオン信号を継続して出力する。また、スケジューラ42−3は、SI値が所定のしきい値よりも大きい場合において(S31,Yes)、たとえば、干渉キャンセル機能がオフである場合には(S32,No)、キャンセラオフ信号を停止しキャンセラオン信号を出力する(S33)。
一方、スケジューラ42−3は、受信品質/SI算出部43bにて求めたSI値が所定のしきい値以下の場合において(S31,No)、たとえば、干渉キャンセル機能がオフであれば(S34,Yes)、この状態を維持する。すなわち、キャンセラオフ信号を継続して出力する。また、スケジューラ42−3は、SI値が所定のしきい値以下の場合において(S31,No)、たとえば、干渉キャンセル機能がオンである場合には(S34,No)、キャンセラオン信号を停止しキャンセラオフ信号を出力する(S35)。
なお、干渉キャンセラユニット25−3は、キャンセラオン信号を受信している場合、干渉除去後の受信信号を、CH推定部22,制御信号復調/復号部23,データ信号復調/復号部24に出力する。また、キャンセラオフ信号を受信している場合には、受信信号をそのままCH推定部22,制御信号復調/復号部23,データ信号復調/復号部24に出力する。
このように、本実施例では、SI測定結果に応じて適応的に干渉キャンセル機能をオン/オフ制御することとした。これにより、SI値が小さいときは干渉キャンセル機能をオフにして処理遅延の少ない状態で、すなわち、スループットが高くなる状態で、運用することが可能となる。また、SI値が大きいときには干渉キャンセラをオンにしてSI対策を行うことが可能となり、効率よく、誤り率,スループットの劣化を抑えることが可能となる。
なお、本実施例では、一例として、実施例1のRN1に干渉キャンセル機能を持たせた上で本実施例のオン/オフ制御を適用することとしたが、これに限らず、実施例2〜5のRNに適用することも可能である。