本発明に於いて、「重水素原子」とはジュウテリウム(D)原子又はトリチウム(T)原子のことを意味し、「重水素化」とはジュウテリウム化又はトリチウム化のことを意味する。また、本明細書に於いて重水素化率とは、糖類の各炭素原子に結合した水素原子が重水素原子に置換された夫々の比率(%)のことを意味する。更にまた、本明細書に於いて「基質を効率よく重水素化する」とは、基質全体の重水素化率を向上させることも意味する。
本発明に係る「テトラヒドロフラン環又はテトラヒドロピラン環中の酸素原子と結合している炭素原子にはヒドロキシル基が結合しておらず、それ以外の少なくとも1つの炭素原子にはヒドロキシル基が結合しているフラノース又はピラノースを構成成分として含む糖類」とは、(1)上記した構造を有する構成成分(構成糖)1つからなる単糖及び(2)当該構造を有する構成成分(構成糖:単糖)を少なくとも1つ含む二糖以上の糖類(二糖、三糖、四糖、オリゴ糖、多糖類)を意味する。
また、本発明に係る糖類のうち二糖以上の糖類においては、その構成成分が全て上記した構造を有している必要はない。すなわち、少なくとも1つの構成成分が上記した構造を有するものであり、これ以外の構成成分はテトラヒドロフラン環又はテトラヒドロピラン環中の酸素原子と結合している炭素原子にはヒドロキシル基が結合していないものであれば、それ以外の炭素原子にはヒドロキシル基が結合していても結合していなくてもよい。言い換えれば、テトラヒドロフラン環又はテトラヒドロピラン環中の酸素原子と結合している炭素原子にはヒドロキシル基が結合していない単糖が複数個グリコシド結合した二糖以上の糖類であって、当該糖類分子中の前記炭素原子以外の炭素原子の少なくとも1つにヒドロキシル基が結合している糖類であればよい。
上記した構造を有するフラノースとしては、例えばエリトロフラノース、トレオフラノース、リボフラノース、アラビノフラノース、キシロフラノース、リキソフラノース、フルクトフラノース等のフラノースから誘導される誘導体が挙げられる。
上記した構造を有するピラノースとしては、例えばリボピラノース、アラビノピラノース、キシロピラノース、リキソピラノース、アロピラノース、アルトロピラノース、グルコピラノース、マンノピラノース、グロピラノース、イドピラノース、ガラクトピラノース、タロピラノース、フルクトピラノース等のピラノースから誘導される誘導体が挙げられる。
本発明に係る糖類としては、(I)構成成分として、上記した構造を有するフラノース又はピラノース1つからなる単糖、及び(II)構成成分として、上記した構造を有するフラノース又はピラノースを少なくとも1つ含む二糖以上の糖類(二糖、三糖、四糖、オリゴ糖、多糖類)が挙げられるが、単糖及び二糖が好ましい。
尚、上記のうち二糖以上の糖類においては、フラノースのみから構成されるものであっても、ピラノースのみから構成されるものであってもよく、また、両者を含むものであってもよい。
なかでも、本発明に係る糖類としては、(1)テトラヒドロフラン環中の酸素原子と結合している炭素原子にはヒドロキシル基が結合しておらず、それ以外の少なくとも1つの炭素原子にはヒドロキシル基が結合しているフラノース(単糖)、(2)テトラヒドロピラン環中の酸素原子と結合している炭素原子にはヒドロキシル基が結合しておらず、それ以外の少なくとも1つの炭素原子にはヒドロキシル基が結合しているピラノース(単糖)、(3)構成成分として、フラノース2個からなるものであって、少なくとも1つが上記した構造を有するフラノースである二糖、又は(4)構成成分として、ピラノース2個からなるものであって、少なくとも1つが上記した構造を有するピラノースである二糖、及び(5)構成成分として、フラノース1個とピラノース1個からなるものであって、当該フラノースとピラノースの何れか一方が少なくとも上記した構造を有するものである二糖が好ましく、上記(2)、(4)及び(5)の糖類がより好ましく、上記(2)及び(4)の糖類が特に好ましい。
また、上記した構造を有するピラノースを構成成分として含む糖類、即ち、(i)構成成分として、上記した構造を有するピラノース1つからなる単糖及び(ii)構成成分として、ピラノースのみからなるものであって、少なくとも1つが上記した構造を有するピラノースである二糖以上の糖類(二糖、三糖、四糖、オリゴ糖、多糖類)がより好ましい。
尚、上記において、糖類を構成する構成成分におけるテトラヒドロフラン環又はテトラヒドロピラン環に結合する置換基(R1〜R56'等)は、当該テトラヒドロフラン環又はテトラヒドロピラン環の炭素原子を平面とした場合に、該平面に対して上方又は下方の何れの方向に結合していてもよく、本発明ではこれら全てを使用できる。
本発明に係る糖類であって、そのテトラヒドロフラン環又はテトラヒドロピラン環中の酸素原子と結合している炭素原子にはヒドロキシル基が結合しておらず、それ以外の少なくとも1つの炭素原子にはヒドロキシル基が結合している上記糖類の具体例としては下記一般式[1]〜[7]で示されるものが挙げられる。
[式中、R1は水素原子、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基又は炭素数7〜10のアラルキルオキシ基を表し、R2及びR3は夫々独立して、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、炭素数7〜10のアラルキルオキシ基、炭素数2〜10のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数2〜10のアルコキシアルキルオキシ基、炭素数3〜20のアルキルシリルオキシ基、炭素数18〜20のアリールシリルオキシ基、炭素数2〜10のアルキルカルボニルオキシ基又は炭素数2〜10のカーボネート基を表し、R5及びR6は夫々独立して、水素原子、メチル基、炭素数3〜10のアセタール基又は−CH2R基(式中、Rはヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、炭素数7〜10のアラルキルオキシ基、炭素数2〜10のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数2〜10のアルコキシアルキルオキシ基、炭素数3〜20のアルキルシリルオキシ基、炭素数18〜20のアリールシリルオキシ基、炭素数2〜10のアルキルカルボニルオキシ基又は炭素数2〜10のカーボネート基を表す。)を表し、R1〜R3及びR5〜R6の少なくとも何れか1つはそれ以外のR1〜R3及びR5〜R6の何れかとで炭素数3〜10であって1〜3個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよい。ただし、R2、R3、R5、R6の少なくとも1つがヒドロキシル基又は−CH2OH基である。]、
[式中、R11は水素原子、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基又は炭素数7〜10のアラルキルオキシ基を表し、R12、R13及びR14は夫々独立して、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、炭素数7〜10のアラルキルオキシ基、炭素数2〜10のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数2〜10のアルコキシアルキルオキシ基、炭素数3〜20のアルキルシリルオキシ基、炭素数18〜20のアリールシリルオキシ基、炭素数2〜10のアルキルカルボニルオキシ基又は炭素数2〜10のカーボネート基を表し、R15及びR16は夫々独立して、水素原子、メチル基、炭素数3〜10のアセタール基又は−CH2R基(式中、Rはヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、炭素数7〜10のアラルキルオキシ基、炭素数2〜10のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数2〜10のアルコキシアルキルオキシ基、炭素数3〜20のアルキルシリルオキシ基、炭素数18〜20のアリールシリルオキシ基、炭素数2〜10のアルキルカルボニルオキシ基又は炭素数2〜10のカーボネート基を表す。)を表し、R11〜R16の少なくとも何れか1つはそれ以外のR11〜R16の何れかとで炭素数3〜10であって1〜3個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよい。ただし、R12〜R16の少なくとも1つがヒドロキシル基又は−CH2OH基である。]、
[式中、R21’は水素原子、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基又は炭素数7〜10のアラルキルオキシ基を表し、R22、R23、R24、R22’、R23’及びR24’は夫々独立して、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、炭素数7〜10のアラルキルオキシ基、炭素数2〜10のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数2〜10のアルコキシアルキルオキシ基、炭素数3〜20のアルキルシリルオキシ基、炭素数18〜20のアリールシリルオキシ基、炭素数2〜10のアルキルカルボニルオキシ基又は炭素数2〜10のカーボネート基を表し、R25、R26及びR26’は夫々独立して、水素原子、メチル基、炭素数3〜10のアセタール基又は−CH2R基(式中、Rはヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、炭素数7〜10のアラルキルオキシ基、炭素数2〜10のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数2〜10のアルコキシアルキルオキシ基、炭素数3〜20のアルキルシリルオキシ基、炭素数18〜20のアリールシリルオキシ基、炭素数2〜10のアルキルカルボニルオキシ基又は炭素数2〜10のカーボネート基を表す。)を表し、R22〜R26の少なくとも何れか1つはそれ以外のR22〜R26の何れかとで炭素数3〜10であって1〜3個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよく、R21’〜R24’及びR26’の少なくとも何れか1つはそれ以外のR21’〜R24’及びR26’の何れかとで炭素数3〜10であって1〜3個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよい。ただし、R22〜R26、R21’〜R24’及びR26’の少なくとも1つがヒドロキシル基又は−CH2OH基である。]、
[式中、R32、R33、R34、R32’、R33’及びR34’は夫々独立して、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、炭素数7〜10のアラルキルオキシ基、炭素数2〜10のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数2〜10のアルコキシアルキルオキシ基、炭素数3〜20のアルキルシリルオキシ基、炭素数18〜20のアリールシリルオキシ基、炭素数2〜10のアルキルカルボニルオキシ基又は炭素数2〜10のカーボネート基を表し、R35、R36、R35’及びR36’は夫々独立して、水素原子、メチル基、炭素数3〜10のアセタール基又は−CH2R基(式中、Rはヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、炭素数7〜10のアラルキルオキシ基、炭素数2〜10のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数2〜10のアルコキシアルキルオキシ基、炭素数3〜20のアルキルシリルオキシ基、炭素数18〜20のアリールシリルオキシ基、炭素数2〜10のアルキルカルボニルオキシ基又は炭素数2〜10のカーボネート基を表す。)を表し、R32〜R36の少なくとも何れか1つはそれ以外のR32〜R36の何れかとで炭素数3〜10であって1〜3個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよく、R32’〜R36’の少なくとも何れか1つはそれ以外のR32’〜R36’の何れかとで炭素数3〜10であって1〜3個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよい。ただし、R32〜R36及びR32’〜R36’の少なくとも1つがヒドロキシル基又は−CH2OH基である。]、
[式中、R41は一般式[6]で示される基を表し、R41’は水素原子、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基又は炭素数7〜10のアラルキルオキシ基を表し、R42、R43及びR44は夫々独立して、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、炭素数7〜10のアラルキルオキシ基、炭素数2〜10のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数2〜10のアルコキシアルキルオキシ基、炭素数3〜20のアルキルシリルオキシ基、炭素数18〜20のアリールシリルオキシ基、炭素数2〜10のアルキルカルボニルオキシ基又は炭素数2〜10のカーボネート基を表し、R42’、R43’及びR44’は何れか1つが一般式[5]と結合する結合手であって、それ以外は夫々独立して、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、炭素数7〜10のアラルキルオキシ基、炭素数2〜10のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数2〜10のアルコキシアルキルオキシ基、炭素数3〜20のアルキルシリルオキシ基、炭素数18〜20のアリールシリルオキシ基、炭素数2〜10のアルキルカルボニルオキシ基又は炭素数2〜10のカーボネート基を表し、R45、R46、R45’及びR46’は夫々独立して、水素原子、メチル基、炭素数3〜10のアセタール基又は−CH2R基(式中、Rはヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、炭素数7〜10のアラルキルオキシ基、炭素数2〜10のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数2〜10のアルコキシアルキルオキシ基、炭素数3〜20のアルキルシリルオキシ基、炭素数18〜20のアリールシリルオキシ基、炭素数2〜10のアルキルカルボニルオキシ基又は炭素数2〜10のカーボネート基を表す。)を表し、R42〜R46の少なくとも何れか1つはそれ以外のR42〜R46の何れかとで炭素数3〜10であって1〜3個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよく、R41’〜R46’の少なくとも何れか1つはそれ以外のR41’〜R46’の何れかとで炭素数3〜10であって1〜3個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよい。ただし、R42〜R46、R42’〜R46’の少なくとも1つがヒドロキシル基又は−CH2OH基である。]、
[式中、R52、R53、R54、R52’及びR53’は夫々独立して、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、炭素数7〜10のアラルキルオキシ基、炭素数2〜10のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数2〜10のアルコキシアルキルオキシ基、炭素数3〜20のアルキルシリルオキシ基、炭素数18〜20のアリールシリルオキシ基、炭素数2〜10のアルキルカルボニルオキシ基又は炭素数2〜10のカーボネート基を表し、R55、R56、R55’及びR56’は夫々独立して、水素原子、メチル基、炭素数3〜10のアセタール基又は−CH2R基(式中、Rはヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、炭素数7〜10のアラルキルオキシ基、炭素数2〜10のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数2〜10のアルコキシアルキルオキシ基、炭素数3〜20のアルキルシリルオキシ基、炭素数18〜20のアリールシリルオキシ基、炭素数2〜10のアルキルカルボニルオキシ基又は炭素数2〜10のカーボネート基を表す。)を表し、R52〜R56の少なくとも何れか1つはそれ以外のR52〜R56の何れかとで炭素数3〜10であって1〜3個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよく、R52’〜R53’及びR55’〜R56’の少なくとも何れか1つはそれ以外のR52’〜R53’及びR55’〜R56’の何れかとで炭素数3〜10であって1〜3個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよい。ただし、R52〜R56、R52’〜R53’及びR55’〜R56’の少なくとも1つがヒドロキシル基又は−CH2OH基である。]。
一般式[1]〜[7]に於いて、R1、R2、R3、R11、R12、R13、R14、R21’、R22、R23、R24、R22’、R23’、R24’、R32、R33、R34、R32’、R33’、R34’、R41’、R42、R43、R44、R42’、R43’、R44’、R52、R53、R54、R52’、R53’及びRで示される炭素数1〜10のアルコキシ基としては、具体的には、例えばメトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、シクロブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec-ペンチルオキシ基、tert-ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、2-メチルブトキシ基、1,2-ジメチルプロポキシ基、1-エチルプロポキシ基、シクロペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、sec-ヘキシルオキシ基、tert-ヘキシルオキシ基、ネオヘキシルオキシ基、2-メチルペンチルオキシ基、1,2-ジメチルブトキシ基、2,3-ジメチルブトキシ基、1-エチルブトキシ基、シクロヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、イソヘプチルオキシ基、sec-ヘプチルオキシ基、tert-ヘプチルオキシ基、ネオヘプチルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec-オクチルオキシ基、tert-オクチルオキシ基、ネオオクチルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、シクロオクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、sec-ノニルオキシ基、tert-ノニルオキシ基、ネオノニルオキシ基、シクロノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、イソデシルオキシ基、sec-デシルオキシ基、tert-デシルオキシ基、ネオデシルオキシ基、シクロデシルオキシ基等が挙げられる。
一般式[1]〜[7]に於いて、R1、R2、R3、R11、R12、R13、R14、R21’、R22、R23、R24、R22’、R23’、R24’、R32、R33、R34、R32’、R33’、R34’、R41’、R42、R43、R44、R42’、R43’、R44’、R52、R53、R54、R52’、R53’及びRで示される炭素数6〜10のアリールオキシ基としては、具体的には、例えばフェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、アズレニルオキシ基等が挙げられる。
中でも、炭素数6のアリールオキシ基であるフェニルオキシ基が好ましい。
一般式[1]〜[7]に於いて、R1、R2、R3、R11、R12、R13、R14、R21’、R22、R23、R24、R22’、R23’、R24’、R32、R33、R34、R32’、R33’、R34’、R41’、R42、R43、R44、R42’、R43’、R44’、R52、R53、R54、R52’、R53’及びRで示される炭素数7〜10のアラルキルオキシ基としては、具体的には、例えばベンジル基、フェネチル基、α-メチルベンジル基、3-フェニルプロピル基、1-メチル-1-フェニルエチル基、4-フェニルブチル基、2-メチル-2-フェニルプロピル基、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル基等が挙げられる。
中でも、炭素数7のアラルキルオキシ基であるベンジルオキシ基が好ましい。
一般式[1]〜[7]に於いて、R2、R3、R12、R13、R14、R22、R23、R24、R22’、R23’、R24’、R32、R33、R34、R32’、R33’、R34’、R42、R43、R44、R42’、R43’、R44’、R52、R53、R54、R52’、R53’及びRで示される炭素数2〜10のアルキルカルボニルアミノ基としては、具体的には、例えばメチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、n-プロピルカルボニルアミノ基、イソプロピルカルボニルアミノ基、n-ブチルカルボニルアミノ基、イソブチルカルボニルアミノ基、sec-ブチルカルボニルアミノ基、tert-ブチルカルボニルアミノ基、シクロブチルカルボニルアミノ基、n-ペンチルカルボニルアミノ基、イソペンチルカルボニルアミノ基、sec-ペンチルカルボニルアミノ基、tert-ペンチルカルボニルアミノ基、ネオペンチルカルボニルアミノ基、2-メチルブチルカルボニルアミノ基、1,2-ジメチルプロピルカルボニルアミノ基、1-エチルプロピルカルボニルアミノ基、シクロペンチルカルボニルアミノ基、n-ヘキシルカルボニルアミノ基、イソヘキシルカルボニルアミノ基、sec-ヘキシルカルボニルアミノ基、tert-ヘキシルカルボニルアミノ基、ネオヘキシルカルボニルアミノ基、2-メチルペンチルカルボニルアミノ基、1,2-ジメチルブチルカルボニルアミノ基、2,3-ジメチルブチルカルボニルアミノ基、1-エチルブチルカルボニルアミノ基、シクロヘキシルカルボニルアミノ基、n-ヘプチルカルボニルアミノ基、イソヘプチルカルボニルアミノ基、sec-ヘプチルカルボニルアミノ基、tert-ヘプチルカルボニルアミノ基、ネオヘプチルカルボニルアミノ基、シクロヘプチルカルボニルアミノ基、n-オクチルカルボニルアミノ基、イソオクチルカルボニルアミノ基、sec-オクチルカルボニルアミノ基、tert-オクチルカルボニルアミノ基、ネオオクチルカルボニルアミノ基、2-エチルヘキシルカルボニルアミノ基、シクロオクチルカルボニルアミノ基、n-ノニルカルボニルアミノ基、イソノニルカルボニルアミノ基、sec-ノニルカルボニルアミノ基、tert-ノニルカルボニルアミノ基、ネオノニルカルボニルアミノ基、シクロノニルカルボニルアミノ基等が挙げられる。
中でも、炭素数2のアルキルカルボニルアミノ基であるメチルカルボニルアミノ基が好ましい。
一般式[1]〜[7]に於いて、R2、R3、R12、R13、R14、R22、R23、R24、R22’、R23’、R24’、R32、R33、R34、R32’、R33’、R34’、R42、R43、R44、R42’、R43’、R44’、R52、R53、R54、R52’、R53’及びRで示される炭素数2〜10のアルコキシアルキルオキシ基としては、具体的には、例えばメトキシメチルオキシ基、エトキシメチルオキシ基、プロポキシメチルオキシ基、ブトキシメチルオキシ基、ペンチルオキシメチルオキシ基、ヘキシルオキシメチルオキシ基、ペプチルオキシメチルオキシ基、オクチルオキシメチルオキシ基、ノニルオキシメチルオキシ基、メトキシエチルオキシ基、エトキシエチルオキシ基、プロポキシエチルオキシ基、ブトキシエチルオキシ基、ペンチルオキシエチルオキシ基、ヘキシルオキシエチルオキシ基、ペプチルオキシエチルオキシ基、オクチルオキシエチルオキシ基、メトキシプロピルオキシ基、エトキシプロピルオキシ基、プロポキシプロピルオキシ基、ブトキシプロピルオキシ基、ペンチルオキシプロピルオキシ基、ヘキシルオキシプロピルオキシ基、ペプチルオキシプロピルオキシ基、メトキシブチルオキシ基、エトキシブチルオキシ基、プロポキシブチルオキシ基、ブトキシブチルオキシ基、ペンチルオキシブチルオキシ基、ヘキシルオキシブチルオキシ基、メトキシペンチルオキシ基、エトキシペンチルオキシ基、プロポキシペンチルオキシ基、ブトキシペンチルオキシ基、ペンチルオキシペンチルオキシ基、メトキシヘキシルオキシ基、エトキシヘキシルオキシ基、プロポキシヘキシルオキシ基、ブトキシヘキシルオキシ基、メトキシヘプチルオキシ基、エトキシヘプチルオキシ基、プロポキシヘプチルオキシ基、メトキシオクチルオキシ基、エトキシオクチルオキシ基、メトキシノニルオキシ基等が挙げられる。
中でも、炭素数2〜4のアルコキシアルキルオキシ基であるメトキシメチルオキシ基、エトキシメチルオキシ基、プロポキシメチルオキシ基、メトキシエチルオキシ基、エトキシエチルオキシ基、メトキシプロピルオキシ基が好ましい。
一般式[1]〜[7]に於いて、R2、R3、R12、R13、R14、R22、R23、R24、R22’、R23’、R24’、R32、R33、R34、R32’、R33’、R34’、R42、R43、R44、R42’、R43’、R44’、R52、R53、R54、R52’、R53’及びRで示される炭素数3〜20のアルキルシリルオキシ基としては、具体的には、例えばトリメチルシリルオキシ基、トリエチルシリルオキシ基、トリn-プロピルシリルオキシ基、トリイソプロピルシリルオキシ基、トリn-ブチルシリルオキシ基、トリイソブチルシリルオキシ基、トリsec-ブチルシリルオキシ基、トリtert-ブチルシリルオキシ基、トリシクロブチルシリルオキシ基、トリn-ペンチルシリルオキシ基、トリイソペンチルシリルオキシ基、トリsec-ペンチルシリルオキシ基、トリtert-ペンチルシリルオキシ基、トリネオペンチルシリルオキシ基、トリシクロペンチルシリルオキシ基、トリn-ヘキシルシリルオキシ基、トリイソヘキシルシリルオキシ基、トリsec-ヘキシルシリルオキシ基、トリtert-ヘキシルシリルオキシ基、トリネオヘキシルシリルオキシ基、トリシクロヘキシルシリルオキシ基、tert-ブチルジメチルシリルオキシ基、tert-ブチルジエチルシリルオキシ基、tert-ブチルジフェニルシリルオキシ基等が挙げられる。
中でも、炭素数3のアルキルシリルオキシ基であるトリメチルシリルオキシ基が好ましい。
一般式[1]〜[7]に於いて、R2、R3、R12、R13、R14、R22、R23、R24、R22’、R23’、R24’、R32、R33、R34、R32’、R33’、R34’、R42、R43、R44、R42’、R43’、R44’、R52、R53、R54、R52’、R53’及びRで示される炭素数18〜20のアリールシリルオキシ基としては、トリフェニルシリルオキシ基、トリルジフェニルシリルオキシ基、ジトリルフェニルシリルオキシ基等が挙げられる。アリールシリルオキシ基を構成するトリル基は、o-体、m-体、p-体のいずれのものであってもよい。
一般式[1]〜[7]に於いて、R2、R3、R12、R13、R14、R22、R23、R24、R22’、R23’、R24’、R32、R33、R34、R32’、R33’、R34’、R42、R43、R44、R42’、R43’、R44’、R52、R53、R54、R52’、R53’及びRで示される炭素数2〜10のアルキルカルボニルオキシ基としては、具体的には、例えばメチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n-プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n-ブチルカルボニルオキシ基、イソブチルカルボニルオキシ基、sec-ブチルカルボニルオキシ基、tert-ブチルカルボニルオキシ基、シクロブチルカルボニルオキシ基、n-ペンチルカルボニルオキシ基、イソペンチルカルボニルオキシ基、sec-ペンチルカルボニルオキシ基、tert-ペンチルカルボニルオキシ基、ネオペンチルカルボニルオキシ基、2-メチルブチルカルボニルオキシ基、1,2-ジメチルプロピルカルボニルオキシ基、1-エチルプロピルカルボニルオキシ基、シクロペンチルカルボニルオキシ基、n-ヘキシルカルボニルオキシ基、イソヘキシルカルボニルオキシ基、sec-ヘキシルカルボニルオキシ基、tert-ヘキシルカルボニルオキシ基、ネオヘキシルカルボニルオキシ基、2-メチルペンチルカルボニルオキシ基、1,2-ジメチルブチルカルボニルオキシ基、2,3-ジメチルブチルカルボニルオキシ基、1-エチルブチルカルボニルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基、n-ヘプチルカルボニルオキシ基、イソヘプチルカルボニルオキシ基、sec-ヘプチルカルボニルオキシ基、tert-ヘプチルカルボニルオキシ基、ネオヘプチルカルボニルオキシ基、シクロヘプチルカルボニルオキシ基、n-オクチルカルボニルオキシ基、イソオクチルカルボニルオキシ基、sec-オクチルカルボニルオキシ基、tert-オクチルカルボニルオキシ基、ネオオクチルカルボニルオキシ基、2-エチルヘキシルカルボニルオキシ基、シクロオクチルカルボニルオキシ基、n-ノニルカルボニルオキシ基、イソノニルカルボニルオキシ基、sec-ノニルカルボニルオキシ基、tert-ノニルカルボニルオキシ基、ネオノニルカルボニルオキシ基、シクロノニルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
中でも、炭素数2〜3のアルキルカルボニルオキシ基である、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基が好ましい。
一般式[1]〜[7]に於いて、R2、R3、R12、R13、R14、R22、R23、R24、R22’、R23’、R24’、R32、R33、R34、R32’、R33’、R34’、R42、R43、R44、R42’、R43’、R44’、R52、R53、R54、R52’、R53’及びRで示される炭素数2〜10のカーボネート基としては、具体的には、例えばメチルカーボネート基、エチルカーボネート基、n-プロピルカーボネート基、イソプロピルカーボネート基、n-ブチルカーボネート基、イソブチルカーボネート基、sec-ブチルカーボネート基、tert-ブチルカーボネート基、シクロブチルカーボネート基、n-ペンチルカーボネート基、イソペンチルカーボネート基、sec-ペンチルカーボネート基、tert-ペンチルカーボネート基、ネオペンチルカーボネート基、2-メチルブチルカーボネート基、1,2-ジメチルプロピルカーボネート基、1-エチルプロピルカーボネート基、シクロペンチルカーボネート基、n-ヘキシルカーボネート基、イソヘキシルカーボネート基、sec-ヘキシルカーボネート基、tert-ヘキシルカーボネート基、ネオヘキシルカーボネート基、2-メチルペンチルカーボネート基、1,2-ジメチルブチルカーボネート基、2,3-ジメチルブチルカーボネート基、1-エチルブチルカーボネート基、シクロヘキシルカーボネート基、n-ヘプチルカーボネート基、イソヘプチルカーボネート基、sec-ヘプチルカーボネート基、tert-ヘプチルカーボネート基、ネオヘプチルカーボネート基、シクロヘプチルカーボネート基、n-オクチルカーボネート基、イソオクチルカーボネート基、sec-オクチルカーボネート基、tert-オクチルカーボネート基、ネオオクチルカーボネート基、2-エチルヘキシルカーボネート基、シクロオクチルカーボネート基、n-ノニルカーボネート基、イソノニルカーボネート基、sec-ノニルカーボネート基、tert-ノニルカーボネート基、ネオノニルカーボネート基、シクロノニルカーボネート基等が挙げられる。
中でも、炭素数2〜3のカーボネート基であるメチルカーボネート基、エチルカーボネート基が好ましい。
一般式[1]〜[7]に於いて、炭素数3〜10のアセタール基としては、置換基を有していてもよい5員環〜12員環からなる環状アセタール基が挙げられ、より具体的には、下記式で示される環状アセタール基が挙げられる。その中でも、5員環〜6員環からなる環状アセタール基が好ましい。
一般式[1]〜[7]に於いて、炭素数3〜10であって1〜3個の酸素原子を有している環状構造とは、各一般式における2つの置換基と本発明に係る糖類を構成する構成成分(構成糖)におけるテトロヒドロフラン環またはテトラヒドロピラン環の一部とで形成された環を意味する。言い換えれば、当該環状構造とは、各一般式における2つの置換基が、本発明に係る糖類を構成する構成成分(構成糖)におけるテトロヒドロフラン環またはテトラヒドロピラン環の一部とともに(一部を共有して)環を形成している場合を意味する。
このような環状構造としては、環状アセタール構造が好ましく、例えば、置換基を有していてもよい5員環〜12員環からなる環状アセタール構造が挙げられ、より具体的には、下記式で示される環状アセタール構造が挙げられる。その中でも、5員環〜6員環からなる環状アセタール構造が好ましい。
尚、下記式中、太線は、本発明に係る糖類を構成する構成成分(構成糖)におけるテトロヒドロフラン環またはテトラヒドロピラン環の一部であることを示す。
一般式[1]で示される化合物の好ましい例としては、下記一般式[1a]で示されるものが挙げられる。
[式中、R1aは水素原子、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニルオキシ基又はベンジルオキシ基を表し、R2a及びR3aは夫々独立して、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニルオキシ基、ベンジルオキシ基、メチルカルボニルアミノ基、炭素数2〜4のアルコキシアルキルオキシ基、トリメチルシリルオキシ基、炭素数2〜3のアルキルカルボニルオキシ基又は炭素数2〜3のカーボネート基を表し、R5a及びR6aは夫々独立して、水素原子、メチル基、炭素数3〜5のアセタール基又は−CH2Ra基(式中、Raはヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニルオキシ基、ベンジルオキシ基、メチルカルボニルアミノ基、炭素数2〜4のアルコキシアルキルオキシ基、トリメチルシリルオキシ基、炭素数2〜3のアルキルカルボニルオキシ基又は炭素数2〜3のカーボネート基を表す。)を表し、R1a〜R3a及びR5a〜R6aの少なくとも何れか1つはそれ以外のR1a〜R3a及びR5a〜R6aの何れかとで炭素数3〜6であって2個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよい。ただし、R2a、R3a、R5a、R6aの少なくとも1つがヒドロキシル基又は−CH2OH基である。]。
一般式[2]で示される化合物の好ましい例としては、下記一般式[2a]で示されるものが挙げられる。
[式中、R11aは水素原子、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニルオキシ基又はベンジルオキシ基を表し、R12a、R13a及びR14aは夫々独立して、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニルオキシ基、ベンジルオキシ基、メチルカルボニルアミノ基、炭素数2〜4のアルコキシアルキルオキシ基、トリメチルシリルオキシ基、炭素数2〜3のアルキルカルボニルオキシ基又は炭素数2〜3のカーボネート基を表し、R15a及びR16aは夫々独立して、水素原子、メチル基、炭素数3〜5のアセタール基又は−CH2Ra基(式中、Raはヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニルオキシ基、ベンジルオキシ基、メチルカルボニルアミノ基、炭素数2〜4のアルコキシアルキルオキシ基、トリメチルシリルオキシ基、炭素数2〜3のアルキルカルボニルオキシ基又は炭素数2〜3のカーボネート基を表す。)を表し、R11a〜R16aの少なくとも何れか1つはそれ以外のR11a〜R16aの何れかとで炭素数3〜6であって2個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよい。ただし、R12a〜R16aの少なくとも1つがヒドロキシル基又は−CH2OH基である。]。
一般式[3]で示される化合物の好ましい例としては、下記一般式[3a]で示されるものが挙げられる。
[式中、R21a’は水素原子、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニルオキシ基又はベンジルオキシ基を表し、R22a、R23a、R24a、R22a’、R23a’及びR24a’は夫々独立して、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニルオキシ基、ベンジルオキシ基、メチルカルボニルアミノ基、炭素数2〜4のアルコキシアルキルオキシ基、トリメチルシリルオキシ基、炭素数2〜3のアルキルカルボニルオキシ基又は炭素数2〜3のカーボネート基を表し、R25a、R26a及びR26a’は夫々独立して、水素原子、メチル基、炭素数3〜5のアセタール基又は−CH2Ra基(式中、Raはヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニルオキシ基、ベンジルオキシ基、メチルカルボニルアミノ基、炭素数2〜4のアルコキシアルキルオキシ基、トリメチルシリルオキシ基、炭素数2〜3のアルキルカルボニルオキシ基又は炭素数2〜3のカーボネート基を表す。)を表し、R22a〜R26aの少なくとも何れか1つはそれ以外のR22a〜R26aの何れかとで炭素数3〜6であって2個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよく、R21a’〜R24a’及びR26a’の少なくとも何れか1つはそれ以外のR21a’〜R24a’及びR26a’の何れかとで炭素数3〜6であって2個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよい。ただし、R22a〜R26a、R21a’〜R24a’及びR26a’の少なくとも1つがヒドロキシル基又は−CH2OH基である。]。
一般式[4]で示される化合物の好ましい例としては、下記一般式[4a]で示されるものが挙げられる。
[式中、R32a、R33a、R34a、R32a’、R33a’及びR34a’は夫々独立して、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニルオキシ基、ベンジルオキシ基、メチルカルボニルアミノ基、炭素数2〜4のアルコキシアルキルオキシ基、トリメチルシリルオキシ基、炭素数2〜3のアルキルカルボニルオキシ基又は炭素数2〜3のカーボネート基を表し、R35a、R36a、R35a’及びR36a’は夫々独立して、水素原子、メチル基、炭素数3〜5のアセタール基又は−CH2Ra基(式中、Raはヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニルオキシ基、ベンジルオキシ基、メチルカルボニルアミノ基、炭素数2〜4のアルコキシアルキルオキシ基、トリメチルシリルオキシ基、炭素数2〜3のアルキルカルボニルオキシ基又は炭素数2〜3のカーボネート基を表す。)を表し、R32a〜R36aの少なくとも何れか1つはそれ以外のR32a〜R36aの何れかとで炭素数3〜6であって2個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよく、R32a’〜R36a’の少なくとも何れか1つはそれ以外のR32a’〜R36a’の何れかとで炭素数3〜6であって2個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよい。ただし、R32a〜R36a及びR32a’〜R36a’の少なくとも1つがヒドロキシル基又は−CH2OH基である。]。
一般式[5]で示される化合物の好ましい例としては、下記一般式[5a]で示されるものが挙げられる。
[式中、R41aは一般式[6a]で示される基を表し、R41a’は水素原子、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニルオキシ基又はベンジルオキシ基を表し、R42a、R43a及びR44aは夫々独立して、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニルオキシ基、ベンジルオキシ基、メチルカルボニルアミノ基、炭素数2〜4のアルコキシアルキルオキシ基、トリメチルシリルオキシ基、炭素数2〜3のアルキルカルボニルオキシ基又は炭素数2〜3のカーボネート基を表し、R42a’、R43a’及びR44a’は何れか1つが一般式[5a]と結合する結合手であって、それ以外はヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニルオキシ基、ベンジルオキシ基、メチルカルボニルアミノ基、炭素数2〜4のアルコキシアルキルオキシ基、トリメチルシリルオキシ基、炭素数2〜3のアルキルカルボニルオキシ基又は炭素数2〜3のカーボネート基を表し、R45a、R46a、R45a’及びR46a’は夫々独立して、水素原子、メチル基、炭素数3〜5のアセタール基又は−CH2Ra基(式中、Raはヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニルオキシ基、ベンジルオキシ基、メチルカルボニルアミノ基、炭素数2〜4のアルコキシアルキルオキシ基、トリメチルシリルオキシ基、炭素数2〜3のアルキルカルボニルオキシ基又は炭素数2〜3のカーボネート基を表す。)を表し、R42a〜R46aの少なくとも何れか1つはそれ以外のR42a〜R46aの何れかとで炭素数3〜6であって2個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよく、R41a’〜R46a’の少なくとも何れか1つはそれ以外のR41a’〜R46a’の何れかとで炭素数3〜6であって2個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよい。ただし、R42a〜R46a、R42a’〜R46a’の少なくとも1つがヒドロキシル基又は−CH2OH基である。]。
一般式[7]で示される化合物の好ましい例としては、下記一般式[7a]で示されるものが挙げられる。
[式中、R52a、R53a、R54a、R52a’及びR53a’は夫々独立して、水素原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニルオキシ基、ベンジルオキシ基、メチルカルボニルアミノ基、炭素数2〜4のアルコキシアルキルオキシ基、トリメチルシリルオキシ基、炭素数2〜3のアルキルカルボニルオキシ基又は炭素数2〜3のカーボネート基を表し、R55a、R56a、R55a’及びR56a’は夫々独立して、水素原子、メチル基、炭素数3〜5のアセタール基又は−CH2Ra基(式中、Raはヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、フェニルオキシ基、ベンジルオキシ基、メチルカルボニルアミノ基、炭素数2〜4のアルコキシアルキルオキシ基、トリメチルシリルオキシ基、炭素数2〜3のアルキルカルボニルオキシ基又は炭素数2〜3のカーボネート基を表す。)を表し、R52a〜R56aの少なくとも何れか1つはそれ以外のR52a〜R56aの何れかとで炭素数3〜6であって2個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよく、R52a’〜R53a’又はR55a’〜R56a’の少なくとも何れか1つはそれ以外のR52a’〜R53a’又はR55a’〜R56a’の何れかとで炭素数3〜6であって2個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよい。ただし、R52a〜R56a、R52a’〜R53a’及びR55a’〜R56a’の少なくとも1つがヒドロキシル基又は−CH2OH基である。]。
一般式[1]で示される化合物のより好ましい例としては、下記一般式[1b]で示されるものが挙げられる。
[式中、R1bは水素原子又は炭素数1〜10のアルコキシ基を表し、R2b及びR3bは夫々独立して、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又はメチルカルボニルアミノ基を表し、R5b及びR6bは夫々独立して、水素原子、メチル基、炭素数3〜5のアセタール基又は−CH2Rb基(式中、Rbはヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又はメチルカルボニルアミノ基を表す。)を表し、R1b〜R3b及びR5b〜R6bの少なくとも何れか1つはそれ以外のR1b〜R3b及びR5b〜R6bの何れかとで炭素数3〜6であって2個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよい。ただし、R2b、R3b、R5b、R6bの少なくとも1つがヒドロキシル基又は−CH2OH基である。]。
一般式[2]で示される化合物のより好ましい例としては、下記一般式[2b]で示されるものが挙げられる。
[式中、R11bは水素原子又は炭素数1〜10のアルコキシ基を表し、R12b、R13b及びR14bは夫々独立して、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又はメチルカルボニルアミノ基を表し、R15b及びR16bは夫々独立して、水素原子、メチル基、炭素数3〜5のアセタール基又は−CH2Rb基(式中、Rbはヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又はメチルカルボニルアミノ基を表す。)を表し、R11b〜R16bの少なくとも何れか1つはそれ以外のR11b〜R16bの何れかとで炭素数3〜6であって2個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよい。ただし、R12b〜R16bの少なくとも1つがヒドロキシル基又は−CH2OH基である。]。
一般式[3]で示される化合物のより好ましい例としては、下記一般式[3b]で示されるものが挙げられる。
[式中、R21b’は水素原子又は炭素数1〜10のアルコキシ基を表し、R22b、R23b、R24b、R22b’、R23b’及びR24b’は夫々独立して、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又はメチルカルボニルアミノ基を表し、R25b、R26b及びR26b’は夫々独立して、水素原子、メチル基、炭素数3〜5のアセタール基又は−CH2Rb基(式中、Rbはヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又はメチルカルボニルアミノ基を表す。)を表し、R22b〜R26bの少なくとも何れか1つはそれ以外のR22b〜R26bの何れかとで炭素数3〜6であって2個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよく、R21b’〜R24b’及びR26b’の少なくとも何れか1つはそれ以外のR21b’〜R24b’及びR26b’の何れかとで炭素数3〜6であって2個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよい。ただし、R22b〜R26b、R21b’〜R24b’及びR26b’の少なくとも1つがヒドロキシル基又は−CH2OH基である。]。
一般式[4]で示される化合物のより好ましい例としては、下記一般式[4b]で示されるものが挙げられる。
[式中、R32b、R33b、R34b、R32b’、R33b’及びR34b’は夫々独立して、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、メチルカルボニルアミノ基を表し、R35b、R36b、R35b’及びR36b’は夫々独立して、水素原子、メチル基、炭素数3〜5のアセタール基又は−CH2Rb基(式中、Rbはヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又はメチルカルボニルアミノ基を表す。)を表し、R32b〜R36bの少なくとも何れか1つはそれ以外のR32b〜R36bの何れかとで炭素数3〜6であって2個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよく、R32b’〜R36b’の少なくとも何れか1つはそれ以外のR32b’〜R36b’の何れかとで炭素数3〜6であって2個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよい。ただし、R32b〜R36b及びR32b’〜R36b’の少なくとも1つがヒドロキシル基又は−CH2OH基である。]。
一般式[5]で示される化合物のより好ましい例としては、下記一般式[5b]で示されるものが挙げられる。
[式中、R41bは一般式[6b]で示される基を表し、R41b’は水素原子又は炭素数1〜10のアルコキシ基を表し、R42b、R43b及びR44bは夫々独立して、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又はメチルカルボニルアミノ基を表し、R42b’、R43b’及びR44b’は何れか1つが一般式[5b]と結合する結合手であって、それ以外はヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又はメチルカルボニルアミノ基を表し、R45b、R46b、R45b’及びR46b’は夫々独立して、水素原子、メチル基、炭素数3〜5のアセタール基又は−CH2Rb基(式中、Rbはヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又はメチルカルボニルアミノ基を表す。)を表し、R42b〜R46bの少なくとも何れか1つはそれ以外のR42b〜R46bの何れかとで炭素数3〜6であって2個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよく、R41b’〜R46b’の少なくとも何れか1つはそれ以外のR41b’〜R46b’の何れかとで炭素数3〜6であって2個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよい。ただし、R42b〜R46b、R42b’〜R46b’の少なくとも1つがヒドロキシル基又は−CH2OH基である。]。
一般式[7]で示される化合物のより好ましい例としては、下記一般式[7b]で示されるものが挙げられる。
[式中、R
52b、R
53b、R
54b、R
52b’及びR
53b’は夫々独立して、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又はメチルカルボニルアミノ基を表し、R
55b、R
56b、R
55b’及びR
56b’は夫々独立して、水素原子、メチル基、炭素数3〜5のアセタール基又は−CH
2R
b基(式中、R
bはヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又はメチルカルボニルアミノ基を表す。)を表し、R
52b〜R
56bの少なくとも何れか1つはそれ以外のR
52b〜R
56bの何れかとで炭素数3〜6であって2個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよく、R
52b’〜R
53b’又はR
55b’〜R
56b’の少なくとも何れか1つはそれ以外のR
52b’〜R
53b’又はR
55b’〜R
56b’の何れかとで炭素数3〜6であって2個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよい。ただし、R
52b〜R
56b、R
52b’〜R
53b’及びR
55b’〜R
56b’の少なくとも1つがヒドロキシル基又は−CH
2OH基である。]。
一般式[1]で示される化合物の更に好ましい例としては、下記一般式[1c]で示されるものが挙げられる。
[式中、R1cは水素原子又は炭素数1〜10のアルコキシ基を表し、R2c及びR3cは夫々独立してヒドロキシル基を表し、R5c及びR6cは夫々独立して、水素原子、炭素数3〜5のアセタール基又は−CH2OH基を表し、R1c〜R3c及びR5c〜R6cの何れか1つはそれ以外のR1c〜R3c及びR5c〜R6cの何れかとで炭素数3〜6であって2個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよい。]。
一般式[2]で示される化合物の更に好ましい例としては、下記一般式[2c]で示されるものが挙げられる。
[式中、R11cは水素原子又は炭素数1〜10のアルコキシ基を表し、R12c、R13c及びR14cは夫々独立して、ヒドロキシル基、炭素数1〜10のアルコキシ基又はメチルカルボニルアミノ基を表し、R15c及びR16cは夫々独立して、水素原子、メチル基又は−CH2OHを表し、R11c〜R16cの少なくとも何れか1つはそれ以外のR11c〜R16cの何れかとで炭素数3〜6であって2個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよい。ただし、R12c〜R16cの少なくとも1つがヒドロキシル基又は−CH2OH基である。]。
一般式[3]で示される化合物の更に好ましい例としては、下記一般式[3c]で示されるものが挙げられる。
[式中、R21c’は水素原子又は炭素数1〜10のアルコキシ基を表し、R22c、R23c、R24c、R22c’、R23c’及びR24c’は夫々独立してヒドロキシル基を表し、25c、R26c及びR26c’は夫々独立して、水素原子又は−CH2OH基を表し、R22c〜R26cの少なくとも何れか1つはそれ以外のR22c〜R26cの何れかとで炭素数3〜6であって2個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよく、R21c’〜R24c’及びR26c’の少なくとも何れか1つはそれ以外のR21c’〜R24c’及びR26c’の何れかとで炭素数3〜6であって2個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよい。]。
一般式[4]で示される化合物の更に好ましい例としては、下記一般式[4c]で示されるものが挙げられる。
[式中、R32c、R33c、R34c、R32c’、R33c’及びR34c’はヒドロキシル基を表し、R35c、R36c、R35c’及びR36c’は夫々独立して、水素原子又は−CH2OH基を表し、R32c〜R36cの少なくとも何れか1つはそれ以外のR32c〜R36cの何れかとで炭素数3〜6であって2個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよく、R32c’〜R36c’の少なくとも何れか1つはそれ以外のR32c’〜R36c’の何れかとで炭素数3〜6であって2個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよい。]。
一般式[5]で示される化合物の更に好ましい例としては、下記一般式[5c]で示れるものが挙げられる。
[式中、R41cは一般式[6c]で示される基を表し、R41c’は水素原子又は炭素数1〜10のアルコキシ基を表し、R42c、R43c及びR44cはヒドロキシル基を表し、R42c’、R43c’及びR44c’は何れか1つが一般式[5c]と結合する結合手であって、それ以外はヒドロキシル基を表し、R45c、R46c、R45c’及びR46c’は夫々独立して、水素原子又は−CH2OH基を表し、R42c〜R46cの少なくとも何れか1つはそれ以外のR42c〜R46cの何れかとで炭素数3〜6であって2個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよく、R41c’〜R46c’の少なくとも何れか1つはそれ以外のR41c’〜R46c’の何れかとで炭素数3〜6であって2個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよい。]。
一般式[7]で示される化合物の更に好ましい例としては、下記一般式[7c]で示れるものが挙げられる。
[式中、R52c、R53c、R54c、R52c’及びR53c’はヒドロキシル基を表し、R55c、R56c、R55c’及びR56c’は夫々独立して、水素原子又は−CH2OH基を表し、R52c〜R56cの少なくとも何れか1つはそれ以外のR52c〜R56cの何れかとで炭素数3〜6であって2個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよく、R52c’〜R56c’の少なくとも何れか1つはそれ以外のR52c’〜R56c’の何れかとで炭素数3〜6であって2個の酸素原子を有している環状構造を形成していてもよい。]。
上記一般式[1]で示される本発明に係る糖類(単糖)としては、例えばエリトロフラノース、トレオフラノース、リボフラノース、アラビノフラノース、キシロフラノース、リキソフラノース、フルコトフラノース、グルコフラノース、ガラクトフラノース、マンノフラノース、アロフラノース、アルトロフラノース、リキソフラノース、グロフラノース、イドフラノース、タロフラノース、ラムノフラノースから誘導されるもの等が挙げられる。
具体的には、例えばメチル β−D−リボフラノシド、メチル α−D−リボフラノシド、メチル 2−デオキシ−α−D−リボフラノシド、メチル 2−デオキシ−β−D−リボフラノシド、1,2:5,6−ジ−O−イソプロピリデン−α−D−グルコフラノース等が挙げられる。
上記一般式[2]で示される本発明に係る糖類(単糖)としては、例えばリボピラノース、アラビノピラノース、キシロピラノース、リキソピラノース、アロピラノース、アルトロピラノース、グルコピラノース、マンノピラノース、グロピラノース、イドピラノース、ガラクトピラノース、タロピラノース、フルクトピラノースから誘導されるもの等が挙げられる。
具体的には、例えばメチル α−D−グルコピラノシド、メチル β−D−グルコピラノシド、メチル β−D−ガラクトピラノシド、メチル α−D−ガラクトピラノシド、メチル α−D−マンノピラノシド、メチル β−D−キシロピラノシド、メチル α−L−フコピラノシド、オクチル β−D−グルコピラノシド、メチル N−アセチル−α−D−グルコサミニド、1,6−アンヒドロ−β−D−グルコピラノース、メチル 2,3−ジ−O−メチル−α−D−グルコピラノシド、メチル 4,6−O−イソプロピリデン−α−D−グルコピラノシド、1,2:3,4−ジ−O−イソプロピリデン−α−D−ガラクトピラノース、1,5−アンヒドログルシトール等が挙げられる。
本発明に係る糖類のうち、1位のヒドロキシル基が保護されている、或いはヒドロキシル基自体が存在しない単糖としては、例えば天然型のD型、非天然型のL型の何れでもよく、例えばメチル α−グルコピラノシド、メチル β−グルコピラノシド、メチル α−ガラクトピラノシド、メチル β−ガラクトピラノシド、メチル α−マンノピラノシド、メチル β−マンノピラノシド、メチル α−キシロピラノシド、メチル β−キシロピラノシド、メチル α−フコピラノシド、メチル β−フコピラノシド、メチル α−アラビノピラノシド、メチル-β-アラビノピラノシド、メチル α−リボピラノシド、メチル β−リボピラノシド、メチル α−リキソピラノシド、メチル β−リキソピラノシド、メチル α−アロピラノシド、メチル β−アロピラノシド、メチル α−アルトロピラノシド、メチル β−アルトロピラノシド、メチル α−イドピラノシド、メチル β−イドピラノシド、メチル α−タロピラノシド、メチル β−タロピラノシド、エチル α−グルコピラノシド、エチル β−グルコピラノシド、エチル α−ガラクトピラノシド、エチル β−ガラクトピラノシド、エチル α−マンノピラノシド、エチル β−マンノピラノシド、エチル α−キシロピラノシド、エチル β−キシロピラノシド、エチル α−フコピラノシド、エチル β−フコピラノシド、エチル α−アラビノピラノシド、エチル β−アラビノピラノシド、エチル α−リボピラノシド、エチル β−リボピラノシド、エチル α−リキソピラノシド、エチル β−リキソピラノシド、エチル α−アロピラノシド、エチル β−アロピラノシド、エチル α−アルトロピラノシド、エチル β−アルトロピラノシド、エチル α−イドピラノシド、エチル β−イドピラノシド、エチル α−タロピラノシド、エチル β−タロピラノシド、フェニル α−グルコピラノシド、フェニル β−グルコピラノシド、フェニル α−ガラクトピラノシド、フェニル β−ガラクトピラノシド、フェニル α−マンノピラノシド、フェニル β−マンノピラノシド、フェニル α−キシロピラノシド、フェニル β−キシロピラノシド、フェニル α−フコピラノシド、フェニル β−フコピラノシド、フェニル α−アラビノピラノシド、フェニル β−アラビノピラノシド、フェニル α−リボピラノシド、フェニル β−リボピラノシド、フェニル α−リキソピラノシド、フェニル β−リキソピラノシド、フェニル α−アロピラノシド、フェニル β−アロピラノシド、フェニル α−アルトロピラノシド、フェニル β−アルトロピラノシド、フェニル α−イドピラノシド、フェニル β−イドピラノシド、フェニル α−タロピラノシド、フェニル β−タロピラノシド、ベンジル α−グルコピラノシド、ベンジル β−グルコピラノシド、ベンジル α−ガラクトピラノシド、ベンジル β−ガラクトピラノシド、ベンジル α−マンノピラノシド、ベンジル β−マンノピラノシド、ベンジル α−キシロピラノシド、ベンジル β−キシロピラノシド、ベンジル α−フコピラノシド、ベンジル β−フコピラノシド、ベンジル α−アラビノピラノシド、ベンジル β−アラビノピラノシド、ベンジル α−リボピラノシド、ベンジル β−リボピラノシド、ベンジル α−リキソピラノシド、ベンジル β−リキソピラノシド、ベンジル α−アロピラノシド、ベンジル β−アロピラノシド、ベンジル α−アルトロピラノシド、ベンジル β−アルトロピラノシド、ベンジル α−イドピラノシド、ベンジル β−イドピラノシド、ベンジル α−タロピラノシド、ベンジル β−タロピラノシド、1,5−アンヒドログルシトール、1,5−アンヒドロアルトリトール、1,5−アンヒドロイディトール、1,5−アンヒドロマンニトール、1,5−アンヒドロガラクシトール、2,6−アンヒドログルシトール、2,6−アンヒドロガラクシトール、2,6−アンヒドロアルトリトール等が挙げられる。
上記一般式[3]で示される本発明に係る糖類(二糖)としては、例えばイソマルトース、ゲンチオビオース、メリビオース、プリメベロース、アロラクトース、ビシアノース、6−α−マンノビオース、ルチノースから誘導されるもの等が挙げられる。
具体的には、例えばメチル 6−O−α−D−グルコピラノシル−D−グルコピラノシド等が挙げられる。
上記一般式[4]で示される本発明に係る糖類(二糖)としては、例えばα,α−トレハロース、α,β−トレハロース、β,β−トレハロースや、これらから誘導されるもの等が挙げられる。
具体的には、例えばα,α−トレハロース等が挙げられる。
上記一般式[5]で示される本発明に係る糖類(二糖)としては、例えばソホロース、2−α−マンノビオース、コージビオース、ニゲロース、ラミナリビオース、3−α−マンノビオース、ツラノース、ラクトース、シラビノース、マルトース、セロビオース、4−α−マンノビオース、キシロビオースから誘導されるもの等が挙げられる。
具体的には、例えばメチル 4−O−α−D−グルコピラノシル−D−グルコピラノシド等が挙げられる。
上記一般式[7]で示される本発明に係る糖類(二糖)としては、例えばサッカロース、ガラクトスクロースや、これらから誘導されるもの等が挙げられる。
具体的には、例えばサッカロース等が挙げられる。
一般式[1]〜[7]で示される化合物は、市販品を用いても常法(例えばOrganic Synthesis, Coll. Vol.1, 364(1941)等)により適宜合成されたものを用いてもよい。
本発明の重水素化方法に於いて、重水素源として使用される重水素化された溶媒としては、重水素がジュウテリウムである場合には、例えば重水(D2O)、三重水素水(HTO、)例えば重メタノール、重エタノール、重イソプロパノール、重ブタノール、重tert-ブタノール、重ペンタノール、重ヘキサノール、重ヘプタノール、重オクタノール、重ノナノール、重デカノール、重ウンデカノール、重ドデカノール等の重アルコール類、例えば重アセトン、重メチルエチルケトン、重メチルイソブチルケトン、重ジエチルケトン、重ジプロピルケトン、重ジイソプロピルケトン、重ジブチルケトン等の重ケトン類、重ジメチルスルホキシド等の有機溶媒等が挙げられ、中でも重水、重アルコール類が好ましく、具体的には、重水、重メタノールが特に好ましいものとして挙げられる。
尚、環境面や作業性を考慮すれば重水が好ましい。また、重水素がトリチウムの場合の重水素化された溶媒としては、例えば三重水素水(HTO)等が挙げられる。
重水素化された溶媒は、分子中の一つ以上の水素原子が重水素化されているものであればよく、例えば重アルコール類ではヒドロキシル基の水素原子、重カルボン酸類ではカルボキシル基の水素原子が重水素化されていれば本発明の重水素化方法に使用し得るが、分子中の水素原子全てが重水素化されたものが特に好ましい。
重水素化された溶媒の使用量は、多い程本発明の重水素化が進みやすくなるが、経済的な面を考慮すると、重水素化された溶媒に含まれる重水素原子の量が、本発明に係る糖類の重水素化可能な水素原子に対して、下限として順に好ましく、等モル、10倍モル、20倍モル、30倍モル、40倍モル、上限として順に好ましく、250倍モル、150倍モルとなるような量である。
本発明の重水素化方法に於いては、必要に応じて、重水素化された溶媒以外の他の反応溶媒を併用してもよく、本発明の重水素化反応が懸濁状態でも実施し得ることから、当該反応溶媒としては、基質を溶解し難いものも使用可能であるが、基質を溶解し易いものがより好ましい。
必要に応じて用いられる反応溶媒の具体例としては、例えばジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチルメチルエーテル、tert-ブチルメチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、オキシラン、1,4-ジオキサン、ジヒドロピラン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、tert-ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール等のアルコール類、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソプロピルケトン、ジブチルケトン等のケトン類、ジメチルスルホキシド、軽水(水)等が挙げられる。
本発明の重水素化方法を実施する際、重水素化の反応容器の気層部分は、通常反応に必要な水素ガスで置換するが、水素ガスと例えば窒素、アルゴン等の不活性ガスとの混合気体で置換されていてもよい。
本発明の重水素化方法に於いて用いられる水素ガスの使用量は、反応基質に対して、下限として順に好ましく、等モル、10倍モル、20倍モル、30倍モル、上限として順に好ましく、300倍モル、200倍モル、100倍モル、40倍モルとなるような量である。
尚、本発明の重水素化方法に於いては、常圧下で反応容器から水素ガスが散逸しないように密封状態或いはそれに近い状態となるようにすることが好ましい。密封に近い状態とは、例えば所謂連続反応のように、反応基質が連続的に反応容器に投入され、連続的に生成物が取り出されるような場合等を含む。
本発明の重水素化方法に於ける触媒として挙げられるルテニウム触媒としては、ルテニウム原子の原子価が通常0〜2価、好ましくは0価のものが挙げられる。
上記した如きルテニウム触媒は、金属そのもの(金属単体)でも、それら金属の水酸化物、酸化物、ハロゲン化物、或いは酢酸塩でもよい。これらの中でも、例えば金属単体、その水酸化物、酸化物、ハロゲン化物、酢酸塩、第4級アンモニウム塩等の、配位子が配位していない金属触媒が好ましい。また、これら金属(金属単体)、金属水酸化物、金属酸化物、金属ハロゲン化物、酢酸塩或いは金属錯体が種々の担体に担持されて成るものでもよい。
配位子が配位していてもよい金属触媒の配位子としては、例えば1,5-シクロオクタジエン(COD)、ジベンジリデンアセトン(DBA)、ビピリジン(BPY)、フェナントロリン(PHE)、ベンゾニトリル(PhCN)、イソシアニド(RNC)、トリエチルアルシン(As(Et)3)、アセチルアセトナト(acac)、ペンタメチルシクロペンタジエニル(Cp*)、エチレンジアミン(EN)、テトラプロピルアンモニウム塩(TPAP)、例えばジメチルフェニルホスフィン(P(CH3)2Ph)、ジフェニルホスフィノフェロセン(DPPF)、トリメチルホスフィン(P(CH3)3)、トリエチルホスフィン(PEt3)、トリtert-ブチルホスフィン(PtBu3)、トリシクロヘキシルホスフィン(PCy3)、トリメトキシホスフィン(P(OCH3)3)、トリエトキシホスフィン(P(OEt)3)、トリtert-ブトキシホスフィン(P(OtBu)3)、トリフェニルホスフィン(PPh3)、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン(DPPE)、トリフェノキシホスフィン(P(OPh)3)、トリo-トリルホスフィン(P(o-tolyl)3)等の有機ホスフィン配位子等が挙げられる。
ルテニウム触媒の具体例としては、例えばRu、例えばRu(OH)2等の水酸化ルテニウム触媒、例えばRuO4等の酸化ルテニウム触媒、例えばRuBr2、RuCl2、RuI2等のハロゲン化ルテニウム触媒、例えばルテニウムアセテート(Ru(OAc)2)、例えばRuCl2(PPh3)3等の、配位子に配位されたルテニウム触媒等、例えばテトラプロピルアンモニウムルテニウム(TPAP)のような4級アンモニウム塩等が挙げられる。
上記した如き金属触媒が、担体に担持されたものである場合の担体としては、例えばカーボン(例えば活性炭等)、アルミナ、シリカゲル、ゼオライト、モレキュラーシーブ、イオン交換樹脂、ポリマー等が挙げられ、中でもカーボン、アルミナが好ましく、就中、カーボンがより好ましい。
担体として用いられるイオン交換樹脂としては、本発明の重水素化に悪影響を及ぼさないものであればよく、例えば陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂が挙げられる。
陽イオン交換樹脂としては、例えば弱酸性陽イオン交換樹脂、強酸性陽イオン交換樹脂が挙げられ、陰イオン交換樹脂としては、例えば弱塩基性陰イオン交換樹脂、強塩基性陰イオン交換樹脂等が挙げられる。
イオン交換樹脂は一般に骨格ポリマーとして二官能性モノマーで架橋したポリマーを含んでおり、これに酸性基又は塩基性基が結合され、夫々種々の陽イオン又は陰イオン(対イオン)で交換されている。
弱酸性陽イオン交換樹脂の具体例としては、例えばジビニルベンゼンで架橋したアクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルのポリマーを加水分解して得られるもの等が挙げられる。
強酸性陽イオン交換樹脂の具体例としては、例えばスチレン−ジビニルベンゼンのコポリマーをスルホン化したものが挙げられる。
強塩基性陰イオン交換樹脂としては、例えばスチレン−ジビニルベンゼンのコポリマーの芳香環にアミノ基が結合したものが挙げられる。
塩基性陰イオン交換樹脂の塩基性の強さは、結合しているアミノ基が、第1級アミノ基、第2級アミノ基、第3級アミノ基、第4級アンモニウム塩になるに従って順に強くなる。
尚、市販のイオン交換樹脂も上記した如きイオン交換樹脂と同様に本発明の重水素ガス製造法に於ける触媒の担体として使用可能である。
また、担体として用いられるポリマーとしては、本発明の重水素化方法に悪影響を及ぼさないものであれば特に限定されないが、その様なポリマーの例として、例えば下記一般式[8]で示されるモノマーが重合或いは共重合して得られるもの等が挙げられる。
(式中、R8は水素原子、低級アルキル基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシアルコキシカルボニル基、シアノ基又はホルミル基を表し、R9は水素原子、低級アルキル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシアルコキシカルボニル基、シアノ基又はハロゲン原子を表し、R10は水素原子、低級アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、置換基を有していてもよいアリール基、脂肪族ヘテロ環基、芳香族ヘテロ環基、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシアルコキシカルボニル基、スルホ基、シアノ基、含シアノアルキル基、アシルオキシ基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、アルデヒド基、アミノ基、アミノアルキル基、カルバモイル基、N-アルキルカルバモイル基又はヒドロキシアルキル基を表し、また、R8とR9とが結合し、隣接する-C=C-と一緒になって脂肪族環を形成していてもよい。)
一般式[8]に於いて、R8〜R10で示される低級アルキル基としては、直鎖状、分枝状、環状の何れにてもよく、例えば炭素数1〜6のアルキル基が挙げられ、具体的にはメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、1-メチルペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、sec-ヘキシル基、tert-ヘキシル基、ネオヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。
R8及びR10で示されるカルボキシアルキル基としては、例えば上記した如き低級アルキル基の水素原子の一部がカルボキシル基に置換されたもの等が挙げられ、具体的には例えばカルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、カルボキシブチル基、カルボキシペンチル基、カルボキシヘキシル基等が挙げられる。
R8〜R10で示されるアルコキシカルボニル基としては、例えば炭素数2〜11のものが好ましく、具体的には例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
R8〜R10で示されるヒドロキシアルコキシカルボニル基としては、上記した如き炭素数2〜11のアルコキシカルボニル基の水素原子の一部がヒドロキシル基に置換されたものが挙げられ、具体的には、例えばヒドロキシメトキシカルボニル基、ヒドロキシエトキシカルボニル基、ヒドロキシプロポキシカルボニル基、ヒドロキシブトキシカルボニル基、ヒドロキシペンチルオキシカルボニル基、ヒドロキシヘキシルオキシカルボニル基、ヒドロキシヘプチルオキシカルボニル基、ヒドロキシオクチルオキシカルボニル基、ヒドロキシノニルオキシカルボニル基、ヒドロキシデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
R9及びR10で表されるハロゲン原子としては、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。
R10で表されるハロアルキル基としては、例えばR8〜R10で表される上記低級アルキル基がハロゲン化(例えばフッ素化、塩素化、臭素化、ヨウ素化等)された、炭素数1〜6のものが挙げられ、具体的には、例えばクロロメチル基、ブロモメチル基、トリフルオロメチル基、2-クロロエチル基、3-クロロプロピル基、3-ブロモプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、4-クロロブチル基、5-クロロペンチル基、6-クロロヘキシル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアリール基のアリール基としては、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等が挙げられ、当該置換基としては、例えばアミノ基、ヒドロキシル基、低級アルコキシ基、カルボキシル基等が挙げられる。
置換基として挙げられる低級アルコキシ基としては、直鎖状、分枝状或いは環状でもよく、通常炭素数1〜6のものが挙げられ、具体的には、例えばメトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、sec-ブトキシ基、tert-ブトキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec-ペンチルオキシ基、tert-ペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、sec-ヘキシルオキシ基、tert-ヘキシルオキシ基、ネオヘキシルオキシ基、シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等が挙げられる。
置換アリール基の具体例としては、例えばアミノフェニル基、トルイジノ基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、tert-ブトキシフェニル基、カルボキシフェニル基等が挙げられる。
脂肪族へテロ環基としては、例えば5員環又は6員環であり、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を1〜3個含んでいるものが挙げられ、具体的には、例えば2-オキソピロリジル基、ピペリジル基、ピペリジノ基、ピペラジニル基、モルホリノ基等が挙げられる。
芳香族ヘテロ環基としては、例えば5員環又は6員環であり、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を1〜3個含んでいるものが挙げられ、具体的には、例えばピリジル基、イミダゾリル基、チアゾリル基、フリル基、ピラニル基等が挙げられる。
含シアノアルキル基としては、例えば上記した如き低級アルキル基の水素原子の一部がシアノ基で置換されたものが挙げられ、具体的には、例えばシアノメチル基、2-シアノエチル基、2-シアノプロピル基、3-シアノプロピル基、2-シアノブチル基、4-シアノブチル基、5-シアノペンチル基、6-シアノヘキシル基等が挙げられる。
アルキルカルボニルオキシ基としては、例えば炭素数2〜20のカルボン酸由来のものが挙げられ、具体的には、例えばメチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、n-プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、n-ブチルカルボニルオキシ基、イソブチルカルボニルオキシ基、sec-ブチルカルボニルオキシ基、tert-ブチルカルボニルオキシ基、シクロブチルカルボニルオキシ基、n-ペンチルカルボニルオキシ基、イソペンチルカルボニルオキシ基、sec-ペンチルカルボニルオキシ基、tert-ペンチルカルボニルオキシ基、ネオペンチルカルボニルオキシ基、2-メチルブチルカルボニルオキシ基、1,2-ジメチルプロピルカルボニルオキシ基、1-エチルプロピルカルボニルオキシ基、シクロペンチルカルボニルオキシ基、n-ヘキシルカルボニルオキシ基、イソヘキシルカルボニルオキシ基、sec-ヘキシルカルボニルオキシ基、tert-ヘキシルカルボニルオキシ基、ネオヘキシルカルボニルオキシ基、2-メチルペンチルカルボニルオキシ基、1,2-ジメチルブチルカルボニルオキシ基、2,3-ジメチルブチルカルボニルオキシ基、1-エチルブチルカルボニルオキシ基、シクロヘキシルカルボニルオキシ基、n-ヘプチルカルボニルオキシ基、イソヘプチルカルボニルオキシ基、sec-ヘプチルカルボニルオキシ基、tert-ヘプチルカルボニルオキシ基、ネオヘプチルカルボニルオキシ基、シクロヘプチルカルボニルオキシ基、n-オクチルカルボニルオキシ基、イソオクチルカルボニルオキシ基、sec-オクチルカルボニルオキシ基、tert-オクチルカルボニルオキシ基、ネオオクチルカルボニルオキシ基、2-エチルヘキシルカルボニルオキシ基、シクロオクチルカルボニルオキシ基、n-ノニルカルボニルオキシ基、イソノニルカルボニルオキシ基、sec-ノニルカルボニルオキシ基、tert-ノニルカルボニルオキシ基、ネオノニルカルボニルオキシ基、シクロノニルカルボニルオキシ基、ベンジルカルボニルオキシ基等が挙げられる。
アミノアルキル基としては、上記した如き低級アルキル基の水素原子の一部がアミノ基に置換されたものが挙げられ、具体的には、例えばアミノメチル基、アミノエチル基、アミノプロピル基、アミノブチル基、アミノペンチル基、アミノヘキシル基等が挙げられる。
N-アルキルカルバモイル基としては、カルバモイル基の水素原子の一部がアルキル基で置換されたものが挙げられ、具体的には、例えばN-メチルカルバモイル基、N-エチルカルバモイル基、N-n-プロピルカルバモイル基、N-イソプロピルカルバモイル基、N-n-ブチルカルバモイル基、N-tert-ブチルカルバモイル基等が挙げられる。
ヒドロキシアルキル基としては、上記した如き低級アルキル基の水素原子の一部がヒドロキシル基に置換されたものが挙げられ、具体的には、例えばヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシペンチル基、ヒドロキシヘキシル基等が挙げられる。
また、R8とR9とが結合し、隣接する-C=C-と一緒になって脂肪族環を形成している場合の脂肪族環としては、例えば炭素数5〜10の不飽和脂肪族環が挙げられ、単環でも多環でもよい。これら環の具体例としては、例えばノルボルネン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロオクテン環、シクロデセン環等が挙げられる。
一般式[8]で示されるモノマーの具体例としては、例えばエチレン,プロピレン,ブチレン,イソブチレン等の炭素数2〜20のエチレン性不飽和脂肪族炭化水素類、例えばスチレン,4-メチルスチレン,4-エチルスチレン,ジビニルベンゼン等の炭素数8〜20のエチレン性不飽和芳香族炭化水素類、例えばギ酸ビニル,酢酸ビニル,プロピオン酸ビニル,酢酸イソプロペニル等の炭素数3〜20のアルケニルエステル類、例えば塩化ビニル,塩化ビニリデン,フッ化ビニリデン,テトラフルオロエチレン等の炭素数2〜20の含ハロゲンエチレン性不飽和化合物類、例えばアクリル酸,メタクリル酸,イタコン酸,マレイン酸,フマル酸,クロトン酸,ビニル酢酸,アリル酢酸,ビニル安息香酸等の炭素数3〜20のエチレン性不飽和カルボン酸類(これら酸類は、例えばナトリウム,カリウム等のアルカリ金属塩やアンモニウム塩等、塩の形になっているものでもよい。)、例えばメタクリル酸メチル,メタクリル酸エチル,メタクリル酸プロピル,メタクリル酸ブチル,メタクリル酸2−エチルヘキシル,アクリル酸メチル,アクリル酸エチル,アクリル酸プロピル,アクリル酸ブチル,アクリル酸2−エチルヘキシル,メタクリル酸ラウリル,アクリル酸ステアリル,イタコン酸メチル,イタコン酸エチル,マレイン酸メチル,マレイン酸エチル,フマル酸メチル,フマル酸エチル、クロトン酸メチル,クロトン酸エチル、3−ブテン酸メチル等のエチレン性不飽和カルボン酸エステル類、例えばアクリロニトリル,メタクリロニトリル,シアン化アリル等の炭素数3〜20の含シアノエチレン性不飽和化合物類、例えばアクリルアミド,メタクリルアミド等の炭素数3〜20のエチレン性不飽和アミド化合物類、例えばアクロレイン,クロトンアルデヒド等の炭素数3〜20のエチレン性不飽和アルデヒド類、例えばビニルスルホン酸,4-ビニルベンゼンスルホン酸等の炭素数2〜20のエチレン性不飽和スルホン酸類(これら酸類は、例えばナトリウム,カリウム等のアルカリ金属塩等、塩の形になっていているものでもよい。)、例えばビニルアミン,アリルアミン等の炭素数2〜20のエチレン性不飽和脂肪族アミン類、例えばビニルアニリン等の炭素数8〜20のエチレン性不飽和芳香族アミン類、例えばN-ビニルピロリドン,ビニルピペリジン等の炭素数5〜20のエチレン性不飽和脂肪族ヘテロ環状アミン類、例えばアリルアルコール,クロチルアルコール等の3〜20のエチレン性不飽和アルコール類、例えば4-ビニルフェノール等の炭素数8〜20のエチレン性不飽和フェノール類等が挙げられる。
担体に担持された触媒に於いて、触媒金属であるルテニウムの割合は、通常担体に担持された触媒全体の1〜99重量%、好ましくは1〜50重量%、より好ましくは1〜30重量%、更に好ましくは1〜20重量%である。
本発明の触媒としては、活性炭にルテニウムを担持させたルテニウムカーボン(Ru/C)が好ましく、当該ルテニウムカーボンは常法により適宜合成したものを用いても、市販品(例えばNEケムキャット社製、和光純薬工業社製、アルドリッチ社製等)を用いてもよい。
活性炭に担持させる際に使用されるルテニウムは、0価のルテニウムが一般に用いられる。また、ルテニウムの酸化物、ハロゲン化物等を使用する場合には、これらを活性炭に担持させた後、還元して0価のルテニウムにしたものを本発明の触媒として用いる。
ルテニウム触媒には、微量の酸性夾雑物が含まれる場合がある。すなわち、例えば2価のルテニウムである塩化ルテニウムを還元処理して0価のルテニウムを調製する場合に於いて、副生する塩酸がルテニウム触媒中に残存する場合等がある。
そのような酸性夾雑物を含有するルテニウム触媒を用いて、本発明の重水素化反応を実施した場合、酸性夾雑物が重水素化反応に悪影響を及ぼす場合がある。
そのため、この酸性夾雑物の影響を排除するために、重水素化反応を塩基の存在下で行うか、予め精製や、洗浄処理等して酸性夾雑物を除去したルテニウム触媒を用いてもよい。
この目的に用いられる塩基としては例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸リチウム、炭酸水素リチウム等の炭酸のアルカリ金属塩、例えばリン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸リチウム、リン酸一水素ナトリウム、リン酸一水素カリウム、リン酸一水素リチウム等のリン酸のアルカリ金属塩、例えば酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸リチウム等の酢酸のアルカリ金属塩、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、エチレンジアミン等のアミン類、水素化ホウ素ナトリウム等が挙げられる。
また、ルテニウム触媒を精製するには、この分野で通常行われている方法で行えばよい。
ルテニウム触媒を洗浄処理するには、例えば、精製水等で洗浄処理すればよい。
本発明の重水素化方法に於いては、上記の如き触媒を単独で用いても2つ以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
本発明の重水素化方法に於ける触媒の使用量は、それが担体等に担持されているか否かに拘わらず(金属触媒であるルテニウムの重量として)、糖類(基質)に対して、通常0.1〜200モル%、好ましくは0.5〜10モル%、より好ましくは1〜50モル%、更に好ましくは1〜20モル%である。
塩基の存在下に重水素化反応を行う場合の塩基の使用量は、ルテニウム触媒に含まれる酸性夾雑物が中和される十分量でよいが、反応基質に対して4〜100モル%、好ましくは40モル%程度、反応液中の濃度として50〜500mmol/L程度でよい。塩基の存在下に重水素化反応を行う方法としては、重水素化反応を行う際に、反応系に塩基が存在していればよく、特に制限されない。
本発明の重水素化方法の反応温度は、下限が通常10℃から、順により好ましく20℃、40℃、60℃であり、上限が通常120℃から、順により好ましく100℃である。
本発明の重水素化方法の反応時間は、長いほど重水素化率は上がるが、通常30分〜120時間、好ましくは1〜120時間、より好ましくは3〜120時間である。
本発明の重水素化方法は、常圧下で行うのが好ましく、通常0.05〜0.2MPa、好ましくは0.05〜0.15MPa、より好ましくは0.08〜0.12MPa、更に好ましくは0.09〜0.11MPaである。
本発明の重水素化方法を、重水素化された溶媒として重水を用い、ルテニウム触媒を用いた場合を例にとって説明する。
即ち、例えば糖類(反応基質)と、糖類(反応基質)に対して0.1〜200モル%のルテニウム触媒を、重水素化された溶媒(触媒に対して1〜20000当量、好ましくは10〜700当量となる量)に加え、系内を水素ガスで置換した後、油浴中約10℃〜120℃で常圧下、約30分〜100時間撹拌反応させる。反応終了後、反応液を濾過してルテニウム触媒を除き、精製した後1H-NMR、2H-NMR、Massスペクトル等を測定して構造解析を行う。
尚、得られた精製物は該精製物中にフリーのヒドロキシル基が存在するため、1H-NMR、2H-NMR測定が困難であることから、該精製物が有するヒドロキシル基をアセチル化処理した後にこのアセチル体に基づいて目的物の重水素化率を測定する。
生成物が重水素化された溶媒に難溶な場合に、反応液から生成物を単離するには、例えば生成物が溶解する有機溶媒等により反応液から生成物を抽出し、更に濾過により触媒を除くといった公知の精製方法に従ってこれを行えばよい。
得られたアセチル体は、通常この分野で知られている脱アセチル化処理を行うことにより、容易に対応するヒドロキシル基を有する重水素化物とすることができる。即ち、例えばメタノール中で該アセチル体をナトリウムメチラート又はメタノール性アンモニア溶液と反応させる等により、脱アセチル化された糖の重水素化物(脱アセチル化体)が容易に得られる。
更に、得られた該脱アセチル化体のうち、テトラヒドロフラン環又はテトラヒドロピラン環中の酸素原子と結合した炭素原子に直接結合したヒドロキシル基が例えばメチル基等のアルキル基、アリール基又はアラルキル基で保護されているものについては、これらを脱保護処理(例えば脱メチル化等)することにより、容易に環状テトラヒドロフラン環又はテトラヒドロピラン環中の酸素原子と結合した炭素原子に直接結合したヒドロキシル基の保護基が脱保護され、対応する糖の重水素化物とすることができる。
脱保護処理は、通常この分野で行われる常法に従って適宜行えばよい。
脱アルキル化(例えば脱メチル化等)又は脱アリール化(例えば脱フェニル化等)処理を行うには、例えばテトラヒドロフラン環又はテトラヒドロピラン環中の酸素原子と結合した炭素原子に直接結合したヒドロキシル基がアルキル基又はアリール基で保護された糖の重水素化物(アルキル化体又はアリール化体)をアセトニトリル中で塩化アンモニウムとヨウ化テトラブチルアンモニウムと反応させればよい。
また、脱アラルキル化(例えば脱ベンジル化等)処理を行うには、例えばテトラヒドロフラン環又はテトラヒドロピラン環中の酸素原子と結合した炭素原子に直接結合したヒドロキシル基がアラルキル基で保護された糖の重水素化物(アラルキル体)をジクロロエタンに溶解し、更にフェニルチオトリメチルシラン(PhSSiMe3)とヨウ化テトラブチルアンモニウム (n-Bu4NI)を添加して反応させればよい。
更に、上記した以外の基で保護されたヒドロキシル基の脱保護は、情報に従って適宜行えばよい。
本発明の重水素化方法によれば、穏和な条件下で、本発明に係る糖類の炭素原子のうち、ヒドロキシル基が直結する炭素原子に結合した水素原子を選択的に高い重水素化率で効率よく重水素化することができる。
中でも、本発明の重水素化方法に寄れば、従来法では重水素化できなかった糖類のテトラヒドロフラン環又はテトラヒドロピラン環に結合した−CH2OH中基の炭素原子に結合する水素原子を効率よく重水素化することができる。
また、本発明の重水素化方法によれば、5員環のフラノースや6員環のピラノースである単糖が開環されることなく効率よく重水素化される。また、2つのピラノースからなる二糖やフラノースとピラノースからなる二糖も同様に開環されることなく効率よく重水素化することができる。
本発明の重水素化方法により得られる糖のうち、糖のテトラヒドロフラン環又はテトラヒドロピラン環中の酸素原子と結合した炭素原子に直接結合したヒドロキシル基がアルキル基、アリール基又はアラルキル基で保護されているものは、これら保護基を常法により容易に脱離することができるため、本発明の重水素化方法を用いて糖を重水素化した後、更に脱保護処理を行うことにより、全てのヒドロキシル基が保護されない(フリーな)糖の重水素化物を容易に得ることができる。
このような全てのヒドロキシル基が保護されない糖の重水素化物を原料として用いて誘導体化を行えば、あらゆる糖誘導体の重水素化物を製造することができるため、本発明の重水素化方法により得られた重水素化物は種々の目的に応用が可能となる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例に於いて、本発明の方法により得られた重水素化物の重水素化率は以下のようにして求めている。
即ち、本発明に係る糖類の炭素原子に結合するヒドロキシル基は、それが保護基などで保護されていない(フリーのヒドロキシル基の)場合は、糖の各部位の重水素化率を個別に算出することが困難である。従って、得られる糖の重水素化物中のフリーの各ヒドロキシル基をアセチル保護した後に、得られる糖の重水素化物の重水素化率を算出した。この操作を行うことにより、内部標準物質を添加することなく重水素化率の定量が可能となる。
アセチル化処理は、例えばフリーのヒドロキシル基を含有する糖の重水素化物をピリジン中、無水酢酸と反応させることにより行った。
尚、各表に於いて、各重水素化率は、各反応基質の構造式に付記された数字の位置にある炭素原子に結合した水素原子が重水素原子に置換された比率(%)を示す。また、各表中の各反応基質の構造式に番号が付されていない場合の重水素化率は、IUPAC命名法に従った各反応基質の炭素原子の位置番号の位置にある水素原子が水素原子に置換された比率(%)を示す。
実施例1.メチル α−D−グルコピラノシドの重水素化
メチル α−D−グルコピラノシド (97.1 mg, 0.5 mmol)、10% Ru/C (25.3 mg, 3 mol%)及び重水 (D2O) (2 mL, 111 mmol)を試験管に添加し密封した後、水素風船とアスピレーターを用いて試験管内を水素置換した。水素置換後、80℃で24時間攪拌した。反応終了後、反応液をエタノールでフィルター濾過して触媒を除去し、減圧留去することにより、無保護のメチル α−D−グルコピラノシド−d5(重水素化体)を得た。
得られた目的物(重水素化体)について直接1H-NMRにより重水素化率を算出することが困難であるため、これをアセチル化した後に解析した。目的物のアセチル化処理は以下のとおりである。
即ち、得られた重水素化体、無水酢酸 (2.5 mmol)及びピリジン (5 mmol)を室温下24時間攪拌した後、トルエン溶媒中で反応液を減圧留去し、対応するMethyl 2,3,4,6-O-tetraacetyl-α-O-D-glucopyranoside-d5(アセチル化体)を97%の単離収率で得た。重水素化率は1H-NMRを用いて、基質のアノマー位メチル基プロトン或いはアセチル基のメチルプロトンを内部標準として決定した。また、2H-NMR及びFAB-Massにより重水素の導入を確認した。その結果を表1に示す。
重水素化率測定のためにアセチル化した重水素化物は、通常この分野で知られる脱アセチル化を行うことにより、実施例1により得られる元の糖の重水素化物とすることができる。脱アセチル化処理としては、例えば該アセチル化体を、メタノール中に溶解し、アンモニア含有メタノール溶液を更に添加し、生成するアセトアミドをクロロホルムで濾去すれば、メチル α-D-グルコピラノシド-d5(脱アセチル化体)が得られる。
また、これにより得られた重水素化物(脱アセチル化体)は、更に脱メチル化処理を行うことにより、当該糖のテトラヒドロフラン環又はテトラヒドロピラン環中の酸素原子と結合した炭素原子に直接結合している、メチル保護されたヒドロキシル基を脱メチル化できるため、全てのヒドロキシル基が保護されない(フリーな)糖の重水素化物が得られる。
脱メチル化処理としては、例えば該脱アセチル化体をアセトニトリル中に溶解し、塩化アルミニウム及びヨウ化テトラブチルアンモニウムと反応させることにより、糖のテトラヒドロフラン環又はテトラヒドロピラン環中の酸素原子と結合した炭素原子に直接結合しているヒドロキシル基が脱メチル化された糖の重水素化物(α-D-グルコピラノース-d5)が得られる。
このようにして得られた全てのヒドロキシル基が保護されない(フリーな)糖の重水素化物、即ちα-D-グルコピラノース-d5は、適宜誘導体化することができるため、各種糖誘導体の重水素化物を製造するという目的に応用が可能となる。
比較例1〜6.各種触媒を用いたメチル α−D−グルコピラノシドの重水素化
実施例1で用いた10%Ru/Cの代わりに、下記表1で示した各種触媒(Rh/C、Pt/C、Au/C、Ir/C、Ni/C)を用いた以外は実施例1と同様の操作を行うことにより重水素化を行ったが、基質を重水素化することはできなかった(重水素化率:0%)。その結果を表1に併せて示す。
実施例1及び比較例1〜6の結果から明らかなように、本願のメチルグルコピラノシドを各種触媒で重水素化を行う場合、ルテニウム触媒(Ru/C)を用いた場合は糖類を開環させることなく重水素化できることが分かった(実施例1)。また、メチルグルコピラノシドの6位の水素原子も重水素化できることが分かった。
一方、例えばロジウム触媒(Rh/C)、白金触媒(Pt/C)、金触媒(Au/C)、イリジウム触媒(Ir/C)、ニッケル触媒(Ni/C)、パラジウム触媒(Pd/C)等の他の金属触媒を用いた場合はメチルグルコピラノシドを重水素化できないことが分かった(比較例1〜6)。
実施例1のメチル α−D−グルコピラノシドの代わりに、α−D−グルコピラノシド (90.1 mg, 0.5 mmol)(基質)用いた以外は、実施例1と同様の操作を行うことにより、基質の重水素化を行った。その結果、基質は分解してしまい重水素化物は得られなかった。
実施例1と比較例7の結果から明らかなように、グリコシド類を重水素化する場合、例えばグルコピラノシドのテトラヒドロピラン環中の酸素原子と結合した炭素原子に直接結合したヒドロキシル基をメチル化したメチルグルコピラノシドを基質として用いると効率よく重水素化が進行する(実施例1)のに対して、フリーのグルコピラノシドを基質として用いた場合は、基質が分解してしまい重水素化できない(比較例7)ことが分かった。
このことは、本発明に係る糖類のテトラヒドロピラン環中の酸素原子と結合した炭素原子に直接結合したヒドロキシル基に例えばメチル基等の保護基を導入することにより、糖を効率よく重水素化することができることを示している。
実施例2〜16.各種グリコシドの重水素化
下記表2に示される各種グリコシド(基質) 0.5mmol、10%Ru/C(5mol%)(触媒)及び重水2 mLを用いること以外は、実施例1と同様の操作を行い、対応する重水素化物(重水素化体)を得た。尚、実施例5及び10については、触媒として10%Ru/C(10mol%)を用いて反応時間を3日間とした。その他各実施例において、実施例1と異なる条件で重水素化反応を行った場合、その各条件を表2にa)〜d)で夫々示す。
得られた重水素化体を実施例1と同様の方法でアセチル化処理した後、目的物の重水素化率及び単離収率を求めた。
尚、実施例15では、無水酢酸とトリフルオロ酢酸を用いる方法で、C1位と06位の結合を切断し、水酸基をアセチル化することで、対応する重水素化体である1,2,3,4,6-ペンタ-O-アセチル-α-dグルコピラノース-d3を96%の単離収率で得た。また、重水素化体の重水素化率及び単離収率は、重水素化体をアセチル化せずに決定した。
得られた結果を表2に併せて示す。
*:各重水素化率は、2つのグルコースに於ける対応する炭素原子に結合した水素原子全体に対する重水素化置換の比率を示す。
a) 10%Ru/C(10mol%)を用いて3日間反応
b) 0.25mmolの基質を用いた。
c) 10%Ru/C(20mol%)を用いて4日間反応
d) 0.25mmolの基質と10%Ru/C(10mol%)を用いた。
尚、α,α−トレハロースは二つのグルコースがα−結合したものであり、二つのグルコースは、α−グルコシド結合に対して対称である。そのため、それぞれの対応する位置の炭素原子は、反応性が等価である。そのため、表2中、実施例10のα,α−トレハロースを構成する二つのグルコースの炭素の位置番号は区別せずに、夫々対応する炭素毎に同じ位置番号を付している。
実施例2〜16の結果から明らかなように、各種グリコシドを本発明の重水素化方法で重水素化した場合、基質中のヒドロキシル基が結合した炭素原子に直結する水素原子を効率よく、且つ開環させることなく重水素化することができることが判る。また、実施例2〜7、10〜14、16等の結果から明らかなように、本発明の重水素化方法によれば、糖の6位の水素原子も効率よく重水素化することができることが分かった。また、実施例2〜17の結果から明らかなように、本発明の重水素化により、糖のヒドロキシル基が直結する炭素原子に結合される水素原子が選択的に重水素化されることが分かる。
更に、実施例10の結果から明らかなように、二糖の重水素化に於いても同様に糖のヒドロキシル基が直結する炭素原子に結合される水素原子を選択的に重水素化することができる。
また、これら実施例で得られた各種グリコシドの重水素化物は、脱アセチル化及び脱メチル化を実施例1と同様の操作で行うことにより、ヒドロキシル基が脱保護された、対応するグリコシド類の重水素化物を容易に得ることができる。
尚、実施例1と実施例2では同じ反応基質メチル α−D−グルコピラノシドを用いて重水素化を行ったが、実施例2では、使用した触媒の量(5mol%)が実施例1で使用した量(3 mol%)よりも多かったため、より高い重水素化率で反応基質を重水素化することができた。
比較例8〜11.
下記表3に示される各種糖類を基質として用いた以外は実施例2と同様の操作を行い基質を重水素化した。その結果、何れも重水素化物を単離できなかった。
表3の結果から明らかなように、基質としてグリコシドの中でも5員環の糖類を用いた場合は、基質が開環等により分解してしまうため目的の重水素化物が得られないことがわかった(比較例8)。また、グルコサミンがアセチル化されたN-アセチルグルコサミンを基質として用いて重水素化を行った場合でも同様に、基質が開環等により分解してしまうため目的の重水素化物が得られなかった(比較例9)。
更に、α-グルコピラノ−スが有する5つのヒドロキシル基をアセチル化した1,2,3,4,6-ペンタ-O-アセチル-α−D-グルコピラノースを基質として用いた場合は、反応が進行せず基質がそのまま回収された(比較例10)。
更にまた、6員環と5員環がグリコシド結合された二糖類であるサッカロースを基質として用いた場合も、基質が開環等により分解してしまうため目的の重水素化物が得られなかった。(比較例11)。
実施例17〜21
ルテニウム触媒には、微量の酸性夾雑物が含まれる場合がある。すなわち、例えば2価のルテニウムである塩化ルテニウムを還元処理して0価のルテニウムを調製する場合に於いて、副生する塩酸がルテニウム触媒中に残存する場合がある。
メチル β−リボフラノシドを基質として用いて重水素化反応を行った比較例8では、重水素化反応に用いたルテニウム触媒の酸性夾雑物の働きで基質の5員環が開環等により分解してしまい、目的の重水素化物が得られなかったのではないかと考えられた。
そこで、ルテニウム触媒の酸性夾雑物が重水素化反応に及ぼす影響を排除するため、下記表4に示されるグリコシドを用い、反応基質に対して40mol%の塩基の共存下、実施例2と同様に加熱撹拌した。反応終了後、ドライアイス等で中和した後、反応液をエタノール等の溶媒を用いて濾過して触媒を除去し、得られたろ液を減圧濃縮することにより、対応する重水素化体を得た。
得られた重水素化体をアセチル化した後、酢酸エチル等有機溶剤で抽出することにより対応するアセチル化体を単離し、重水素化率及び単離収率を求めた。
その結果を表4に併せて示す。
*:10% Ru/C (10 mol%)を用いた。
表4の結果から明らかなように、塩基の存在下に重水素化反応を行った場合には、ルテニウム触媒の酸性夾雑物の影響を受けずに、目的の重水素化物が得られることがわかる。
また、反応基質としてサッカロースを用い、同様の方法で、塩基の存在下に重水素化反応を行った場合にも、ルテニウム触媒の酸性夾雑物の影響を受けずに、目的の重水素化物が得られた。
以上のことから、ルテニウム触媒に酸性夾雑物が混在している場合でも、塩基の存在下に本発明の重水素化反応を行うことにより、酸性夾雑物を中和して、目的の重水素化物を得ることが出来ることがわかる。
また、酸に不安定な基質を用いて本発明の重水素化反応を実施する際には、塩基の存在下で重水素化反応を行うこと、あるいは予め精製や線上処理等を行って、酸性夾雑物を除いたルテニウム触媒を用いることが、より好ましいことが分かる。
実施例22〜23.各種グリコシドの重水素化
基質が下記表5に示されるグリコシドであり、反応時間が3時間であること以外は、実施例2と同様の操作を行うことにより、対応する重水素化物を得た。その結果を表5に併せて示す。
表5の結果から明らかなように、基質がメチル β-グルコピラノシド(即ち、5位にヒドロキシルメチル基をもつもの)である場合は、反応時間を3時間とすると、反応時間が24時間である場合(実施例3)に比べて重水素化率は低くなることが分かる(実施例23)。
一方、5位にヒドロキシメチル基を持たないメチルグリコシド(メチル β-キシロピラノシド)を重水素化する場合は、短い反応時間でも効率よく基質を重水素化することができることが分かった(実施例24)。
実施例24.1,5-アンヒドログルシトール
基質として1,5-アンヒドログルシトールを用いること以外は、実施例2と同様の操作を行うことにより、対応する重水素化物を得た。得られた重水素化物は実施例2と同様にアセチル化処理した後、目的物の重水素化率及び単離収率を測定した。その結果を表6に併せて示す。
表6の結果から明らかなように、グリコシド以外の6員環の単糖も、同様に効率よく穏和な条件下で重水素化することができることが分かった。
比較例12.
メチル α−D−グルコピラノシド (97.1 mg, 0.5 mmol)、10% Ru/C (25.3 mg, 5 mol%)及び重水 (D2O) (2 mL, 111 mmol)を試験管に添加し密封した後、アルゴン雰囲気下(2 mL)で80℃で24時間攪拌した。反応終了後、実施例1と同様の操作を行ったが、基質が重水素化されなかった。
実施例1と比較例12の結果から明らかなように、ルテニウム触媒を用いるだけでは糖を重水素化することはできず(比較例12)、反応系内に水素ガスを存在させないと、基質の重水素化が進行しない(実施例1)ことが分かった。