JP5803648B2 - 発光素子、発光装置、表示装置および電子機器 - Google Patents

発光素子、発光装置、表示装置および電子機器 Download PDF

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有機エレクトロルミネッセンス素子(いわゆる有機EL素子)は、陽極と陰極との間に少なくとも1層の発光性有機層を介挿した構造を有する発光素子である。このような発光素子では、陰極と陽極との間に電界が印加されることにより、発光層に対して陰極側から電子が注入されるとともに陽極側から正孔が注入され、発光層中で電子と正孔が再結合することにより励起子が生成し、この励起子が基底状態に戻る際に、そのエネルギー分が光として放出される。
このような発光素子としては、例えば、陰極と陽極との間に、2層以上の発光層を有し、これらの発光層同士の間に電荷発生層(キャリア発生層)を設けたものが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
かかる発光素子では、陽極と陰極との間に電界が印加されることにより、電荷発生層から電子および正孔が発生して、各発光層に供給される。したがって、陽極および陰極から供給される正孔および電子に加えて、電荷発生層から供給される正孔および電子を各発光層の発光に用いることができる。このような発光素子は、発光層が一層の発光素子と比較して、高輝度で発光することができ、発光効率に優れる。また、発光層が一層の発光素子と比較して、低い電流で用いても、比較的高輝度で発光することができるため、発光素子が劣化しにくく、その結果、発光寿命が長いものとなる。
しかし、従来、このようなキャリア発生層を有する発光素子では、陽極と陰極との間に介挿された層の合計の厚さが厚くなり、駆動電圧が高くなってしまうという問題があった。
また、陽極と陰極との間に介挿された層の合計の厚さを単に薄くしただけでは、複数の発光層をバランスよく発光させることができなかったり、駆動電圧の上昇を招いてしまったりする。
特開2003−272860号公報 特開2006−49393号公報
本発明の目的は、駆動電圧を抑えるとともに、複数の発光層をバランスよく発光させることができる発光素子、この発光素子を備える発光装置、表示装置および電子機器を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の発光素子は、陽極と、
陰極と、
前記陽極と前記陰極との間に設けられ、前記陽極と前記陰極との間に通電することにより発光する第1の発光層と、
前記陰極と前記第1の発光層との間に設けられ、前記陽極と前記陰極との間に通電することにより発光する第2の発光層と、
前記第1の発光層と前記第2の発光層との間に設けられ、前記陽極と前記陰極との間に通電することにより電子および正孔を発生させるキャリア発生層とを有し、
前記キャリア発生層は、電子輸送性を有するn型電子輸送層と、前記n型電子輸送層と前記第2の発光層との間に設けられ、電子吸引性を有する電子吸引層とを備え、
前記n型電子輸送層の平均厚さは、前記電子吸引層の平均厚さよりも厚く、
前記n型電子輸送層の平均厚さと前記電子吸引層の平均厚さとの合計が25nm以下でり、
前記n型電子輸送層の平均厚さが10nm以上20nm以下であることを特徴とする。
このように構成された発光素子によれば、n型電子輸送層の平均厚さが前記電子吸引層の平均厚さよりも厚いので、キャリア発生層全体の厚さを薄くしても、キャリア発生層の機能(キャリア発生機能)を十分に発揮させることができる。その結果、駆動電圧を抑えるとともに、第1の発光層および第2の発光層をバランスよく発光させることができる。
本発明の発光素子では、前記電子吸引層の平均厚さが3nm以上20nm以下であることが好ましい。
発明の発光素子では、前記第1の発光層と前記n型電子輸送層との間にこれらの両層に接して設けられ、電子輸送性材料を含み、かつ、電子ドナー性材料を実質的に含まずに構成された電子輸送層を有することが好ましい。
これにより、n型電子輸送層から第1の発光層へ電子を効率的に輸送しつつ、n型電子輸送層の構成材料が第1の発光層へ拡散するのを防止することができる。その結果、長期にわたり第1の発光層および第2の発光層をバランスよく発光させることができる。
本発明の発光素子では、前記電子輸送層の平均厚さは、8nm以上15nm以下であることが好ましい。
これにより、駆動電圧の上昇を抑えつつ、電子輸送層の機能を好適に発揮させることができる。
本発明の発光素子では、前記電子吸引層と前記第2の発光層との間にこれらの両層に接して設けられ、正孔輸送性材料を含んで構成された正孔輸送層を有することが好ましい。
これにより、電子吸引層が正孔輸送層から効率的に電子を吸引することができる。その結果、キャリア発生層の正孔および電子の発生量を多くすることができる。
本発明の発光素子では、前記正孔輸送層の平均厚さは、8nm以上15nm以下であることが好ましい。
これにより、駆動電圧の上昇を抑えつつ、正孔輸送層の機能を好適に発揮させることができる。
本発明の発光素子では、前記n型電子輸送層は、電子輸送性材料および電子ドナー性材料を含む混合材料で構成されていることが好ましい。
このように構成されたn型電子輸送層は、優れた電子輸送性および電子注入性を有する。そのため、キャリア発生層で生じた電子を第1の発光層へ効率的に輸送・注入することができる。
本発明の発光素子では、前記n型電子輸送層に含まれる前記電子輸送性材料は、金属錯体を含むことが好ましい。
これにより、n型電子輸送層の電子輸送性を優れたものとすることができる。
本発明の発光素子では、前記金属錯体は、Al金属錯体であることが好ましい。
これにより、n型電子輸送層中の電子ドナー性材料(電子注入性材料)がn型電子輸送層から第1の発光層へ拡散するのを防止または抑制することができる。
本発明の発光素子では、前記n型電子輸送層に含まれる前記電子ドナー性材料は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物のうちの1種または2種以上を組み合わせたものを含むことが好ましい。
このような電子ドナー性材料は、優れた電子注入性を有する。そのため、キャリア発生層で生じた電子を第1の発光層側へ効率的に注入することができる。
本発明の発光素子では、前記n型電子輸送層に含まれる前記電子ドナー性材料は、アルカリ金属化合物を含むことが好ましい。
アルカリ金属化合物(アルカリ金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物等)は仕事関数が非常に小さく、これを用いてn型電子輸送層を構成することにより、発光素子は、高い輝度が得られるものとなる。
本発明の発光素子では、前記アルカリ金属化合物は、LiOであることが好ましい。
これにより、キャリア発生層で生じた電子を第1の発光層へさらに効率的に注入することができる。
本発明の発光素子では、前記電子吸引層は、芳香環を有する有機シアン化合物を含んで構成されていることが好ましい。
芳香環含有有機シアン化合物は、優れた電子吸引性を有している。そのため、芳香環を有する有機シアン化合物を含んで電子吸引層を構成することにより、キャリア発生層の正孔および電子の発生量を多くすることができる。
本発明の発光素子では、前記有機シアン化合物は、ヘキサアザトリフェニレン誘導体であることが好ましい。
このような化合物は、電子吸引性に優れている。そのため、このような化合物を用いて構成された電子吸引層は、隣接する層から十分に電子を引き抜くことができるとともに、好適に引き抜いた電子を陽極側に輸送することができる。
本発明の発光素子では、前記第1の発光層と前記陽極との間に前記第1の発光層に接して設けられ、前記陽極と前記陰極との間に通電することにより発光する第3の発光層を有することが好ましい。
これにより、第1の発光層、第2の発光層および第3の発光層をバランスよく発光させることができる。また、例えば、これらの発光層の発光色を赤色、緑色および青色とすることにより、白色発光の発光素子を実現することができる。
本発明の発光素子では、前記第3の発光層の発光のピーク波長は、前記第1の発光層および前記第2の発光層の発光のピーク波長よりも長いことが好ましい。
これにより、比較的簡単に、第1の発光層、第2の発光層および第3の発光層をバランスよく発光させることができる。
本発明の発光装置では、本発明の発光素子を備えることを特徴とする。
このように構成された発光装置によれば、発光素子の駆動電圧を抑えるとともに、第1の発光層および第2の発光層をバランスよく発光させることができる。
本発明の表示装置は、本発明の発光装置を備えることを特徴とする。
このように構成された表示装置によれば、発光素子の駆動電圧を抑えるとともに、第1の発光層および第2の発光層をバランスよく発光させることができる。
本発明の電子機器は、本発明の発光装置を備えることを特徴とする。
このように構成された電子機器によれば、発光素子の駆動電圧を抑えるとともに、第1の発光層および第2の発光層をバランスよく発光させることができる。
本発明の好適な実施形態にかかる発光素子の縦断面を模式的に示す図である。 本発明の表示装置を適用したディスプレイ装置の実施形態を示す縦断面図である。 本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。 本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。
以下、本発明の発光素子、発光装置、表示装置および電子機器を添付図面に示す好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明の好適な実施形態にかかる発光素子の縦断面を模式的に示すである。なお、以下では、説明の便宜上、図1中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。
このような発光素子(エレクトロルミネッセンス素子)1は、陽極3と第1の発光部(第1の発光ユニット)4とキャリア発生層5と第2の発光部(第2の発光ユニット)6と陰極7とがこの順に積層されてなるものである。
言い換えれば、発光素子1は、第1の発光部4とキャリア発生層5と第2の発光部6とがこの順に積層で積層された積層体15が2つの電極間(陽極3と陰極7との間)に介挿されて構成されている。
また、第1の発光部4は、陽極3側から陰極7側に、正孔輸送層41(第1の正孔輸送層)と発光層(第3の発光層)42と発光層(第1の発光層)43と電子輸送層44(第1の電子輸送層)とがこの順で積層された積層体であり、第2の発光部6は、陽極3側から陰極7側に、正孔輸送層61(第2の正孔輸送層)と発光層(第2の発光層)62と電子輸送層63(第2の電子輸送層)と電子注入層64とがこの順で積層された積層体である。
そして、発光素子1は、その全体が基板2上に設けられるとともに、封止部材8で封止されている。
このような発光素子1にあっては、陽極3と陰極7との間に駆動電圧が印加されることにより、キャリア発生層5においてキャリア(電子および正孔)が発生する。そして、発光層42および発光層43に対し、陽極3側から正孔が供給(注入)されるとともに、キャリア発生層5から電子が供給される。また、発光層62に対し、陰極7側から電子が供給(注入)されるとともに、キャリア発生層5から正孔が供給(注入)される。これにより、各発光層42、43、62では、正孔と電子とが再結合し、この再結合に際して放出されたエネルギーによりエキシトン(励起子)が生成し、エキシトンが基底状態に戻る際にエネルギー(蛍光やりん光)を放出(発光)する。
このようにして、発光層42、発光層43および発光層62をそれぞれ発光させることができる。そのため、このような発光素子1は、発光層が1層のみの発光素子や、キャリア発生層を含まない発光素子に比較して、発光効率を向上させるとともに、駆動電圧を低減することができる。
また、このような発光素子1では、例えば、これらの発光層の発光色を赤色、緑色および青色とすることにより、白色発光の発光素子を実現することができる。
基板2は、陽極3を支持するものである。本実施形態の発光素子1は、基板2側から光を取り出す構成(ボトムエミッション型)であるため、基板2および陽極3は、それぞれ、実質的に透明(無色透明、着色透明または半透明)とされている。
基板2の構成材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ポリアミド、ポリエーテルサルフォン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアリレートのような樹脂材料や、石英ガラス、ソーダガラスのようなガラス材料等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような基板2の平均厚さは、特に限定されないが、0.1〜30mm程度であるのが好ましく、0.1〜10mm程度であるのがより好ましい。
なお、発光素子1が基板2と反対側から光を取り出す構成(トップエミッション型)の場合、基板2には、透明基板および不透明基板のいずれも用いることができる。
不透明基板としては、例えば、アルミナのようなセラミックス材料で構成された基板、ステンレス鋼のような金属基板の表面に酸化膜(絶縁膜)を形成したもの、樹脂材料で構成された基板等が挙げられる。
以下、発光素子1を構成する各部を順次説明する。
[陽極]
陽極3は、後述する第1の発光部4に正孔を注入する電極である。この陽極3の構成材料としては、仕事関数が大きく、導電性に優れる材料を用いるのが好ましい。
陽極3の構成材料としては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、In、SnO、Sb含有SnO、Al含有ZnO等の酸化物、Au、Pt、Ag、Cuまたはこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
このような陽極3の平均厚さは、特に限定されないが、10〜200nmであるのが好ましく、50〜150nmであるのがより好ましい。
[第1の発光部]
第1の発光部4は、上述したように、正孔輸送層41と発光層(第3の発光層)42と発光層(第1の発光層)43と電子輸送層44とを有している。
(正孔輸送層)
正孔輸送層41は、陽極3から注入された正孔を発光層42まで輸送する機能を有するものである。
この正孔輸送層41の構成材料には、各種p型の高分子材料や、各種p型の低分子材料を単独または組み合わせて用いることができ、例えば、4,4’,4”−トリス(N−カルバゾリル)−トリフェニルアミン(TCTA)、4,4’,4”−トリス(N−フェニル−N−m−トリルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)等のトリフェニルアミン化合物またはその誘導体、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(NPD)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)等のテトラアリールベンジジン誘導体、テトラアリールジアミノフルオレン化合物またはその誘導体(アミン系化合物)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上述した中でも、正孔輸送材料は、トリフェニルアミン化合物またはその誘導体であることが好ましい。これにより、陽極3から正孔輸送層41に効率よく正孔が注入されるとともに、正孔を発光層42に効率よく輸送することができる。
このような正孔輸送層41の平均厚さは、特に限定されないが、15nm以上50nm以下であるのが好ましく、17nm以上45nm以下であるのがより好ましく、20nm以上40nm以下であるのがさらに好ましい。
これにより、正孔輸送層41の機能を好適に発揮させるとともに、陽極3と陰極7との間の各層の層厚を薄くして低駆動電圧化を図ろうとしたとき、光路長を容易に調整することができる。
(第3の発光層)
発光層42は、発光材料を含んで構成されている。
発光材料は、陰極7側から電子が供給(注入)されるとともに、陽極3側から正孔が供給(注入)されることにより、正孔と電子とが再結合し、この再結合に際して放出されたエネルギーによりエキシトン(励起子)が生成し、エキシトンが基底状態に戻る際にエネルギー(蛍光やりん光)を放出(発光)するものである。
この発光層42は、発光層43と陽極3との間に発光層43に接して設けられている。これにより、発光層42、発光層43および発光層62をバランスよく発光させることができる。
このような発光材料としては、特に限定されず、各種蛍光材料、各種燐光材料を1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
赤色の蛍光材料としては、例えば、テトラアリールジインデノペリレン誘導体等のペリレン誘導体、ユーロピウム錯体、ベンゾピラン誘導体、ローダミン誘導体、ベンゾチオキサンテン誘導体、ポルフィリン誘導体、ナイルレッド、2−(1,1−ジメチルエチル)−6−(2−(2,3,6,7−テトラヒドロ−1,1,7,7−テトラメチル−1H,5H−ベンゾ(ij)キノリジン−9−イル)エテニル)−4H−ピラン−4H−イリデン)プロパンジニトリル(DCJTB)、4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)等を挙げられる。
青色の蛍光材料としては、例えば、ジスチリルジアミン誘導体、ジスチリル誘導体、フルオランテン誘導体、ピレン誘導体、ペリレンおよびペリレン誘導体、アントラセン誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、クリセン誘導体、フェナントレン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、テトラフェニルブタジエン、4,4’−ビス(9−エチル−3−カルバゾビニレン)−1,1’−ビフェニル(BCzVBi)、ポリ[(9.9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−コ−(2,5−ジメトキシベンゼン−1,4−ジイル)]、ポリ[(9,9−ジヘキシルオキシフルオレン−2,7−ジイル)−オルト−コ−(2−メトキシ−5−{2−エトキシヘキシルオキシ}フェニレン−1,4−ジイル)]、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−コ−(エチルニルベンゼン)]、BD102(製品名、出光興産社製)等が挙げられる。
緑色の蛍光材料としては、例えば、クマリン誘導体、キナクリドン誘導体、9,10−ビス[(9−エチル−3−カルバゾール)−ビニレニル]−アントラセン、ポリ(9,9−ジヘキシル−2,7−ビニレンフルオレニレン)、ポリ[(9,9−ジオクチルフルオレン−2,7−ジイル)−コ−(1,4−ジフェニレン−ビニレン−2−メトキシ−5−{2−エチルヘキシルオキシ}ベンゼン)]、ポリ[(9,9−ジオクチル−2,7−ジビニレンフルオレニレン)−オルト−コ−(2−メトキシ−5−(2−エトキシルヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン)]等が挙げられる。
黄色の蛍光材料としては、例えば、ルブレン系材料等のナフタセン骨格を有する化合物であって、ナフタセンにアリール基(好ましくはフェニル基)が任意の位置で任意の数(好ましくは2〜6)置換された化合物、モノインデノペリレン誘導体等を用いることができる。
赤色の燐光材料としては、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウム等の金属錯体が挙げられ、これら金属錯体の配位子の内の少なくとも1つがフェニルピリジン骨格、ビピリジル骨格、ポルフィリン骨格等を持つものも挙げられる。より具体的には、下記式(1)で表わされるトリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム(Ir(piq)3)、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジネート−N,C’]イリジウム(アセチルアセトネート)(btp2Ir(acac))、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−12H,23H−ポルフィリン−白金(II)、ビス[2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジネート−N,C’]イリジウム、ビス(2−フェニルピリジン)イリジウム(アセチルアセトネート)が挙げられる。
Figure 0005803648
青色の燐光材料としては、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウム等の金属錯体が挙げられる。より具体的には、ビス[4,6−ジフルオロフェニルピリジネート−N,C’]−ピコリネート−イリジウム、トリス[2−(2,4−ジフルオロフェニル)ピリジネート−N,C’]イリジウム、ビス[2−(3,5−トリフルオロメチル)ピリジネート−N,C’]−ピコリネート−イリジウム、ビス(4,6−ジフルオロフェニルピリジネート−N,C’)イリジウム(アセチルアセトネート)が挙げられる。
緑色の燐光材料としては、例えば、イリジウム、ルテニウム、白金、オスミウム、レニウム、パラジウム等の金属錯体が挙げられる。中でも、これら金属錯体の配位子の内の少なくとも1つが、フェニルピリジン骨格、ビピリジル骨格、ポルフィリン骨格等を持つものが好ましい。より具体的には、下記式(2)で表わされるファク−トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム(Ir(ppy)3)、ビス(2−フェニルピリジネート−N,C2’)イリジウム(アセチルアセトネート)、ファク−トリス[5−フルオロ−2−(5−トリフルオロメチル−2−ピリジン)フェニル−C,N]イリジウムが挙げられる。
Figure 0005803648
また、発光層42は、発光材料に加え、この発光材料がゲスト材料として添加されるホスト材料を含んで構成されていてもよい。このような発光層42は、例えば、ゲスト材料である発光材料をドーパントとしてホスト材料にドープすることにより形成することができる。
このホスト材料は、正孔と電子とを再結合して励起子を生成するとともに、その励起子のエネルギーを発光材料に移動(フェルスター移動またはデクスター移動)させて、発光材料を励起する機能を有する。
このようなホスト材料としては、特に限定されないが、発光材料が蛍光材料を含む場合、例えば、ルブレンおよびその誘導体、ジスチリルアリーレン誘導体、ビスp−ビフェニルナフタセン等のナフタセン系材料、アントラセン系材料、ビス−オルトビフェニリルペリレン等のペリレン誘導体、テトラフェニルピレンなどのピレン誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体、スチルベン誘導体、ジスチリルアミン誘導体、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)(p−フェニルフェノラト)アルミニウム(BAlq)、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)等のキノリノラト系金属錯体、トリフェニルアミンの4量体等のトリアリールアミン誘導体、アリールアミン誘導体、オキサジアゾール誘導体、シロール誘導体、カルバゾール誘導体、オリゴチオフェン誘導体、ベンゾピラン誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、キノリン誘導体、コロネン誘導体、アミン化合物、4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)、IDE120(製品名、出光興産社製)等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。好ましくは、発光材料が青色または緑色の場合にはIDE120(出光興産社製)、アントラセン系材料、ジアントラセン系材料が好ましく、発光材料が赤色の場合には、ルブレンまたはルブレン誘導体、ナフタセン系材料、ペリレン誘導体が好ましい。
また、ホスト材料としては、発光材料が燐光材料を含む場合、例えば、3−フェニル−4−(1’−ナフチル)−5−フェニルカルバゾール、下記式(3)で表わされる4,4’−N,N’−ジカルバゾールビフェニル(CBP)等のカルバゾール誘導体、フェナントロリン誘導体、トリアゾール誘導体、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)、ビス−(2−メチル−8−キノリノラト)−4−(フェニルフェノラト)アルミニウム等のキノリノラト系金属錯体、N−ジカルバゾリル−3,5−ベンゼン、ポリ(9−ビニルカルバゾール)、4,4’,4’’−トリス(9−カルバゾリル)トリフェニルアミン、4,4’−ビス(9−カルバゾリル)−2,2’−ジメチルビフェニル等のカルバリゾル基含有化合物、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることもできる。
Figure 0005803648
前述したような発光材料(ゲスト材料)およびホスト材料を用いる場合、発光層42中における発光材料の含有量(ドープ量)は、0.1〜30wt%であるのが好ましく、0.5〜20wt%であるのがより好ましい。発光材料の含有量をこのような範囲内とすることで、発光効率を最適化することができる。
また、発光層42の発光のピーク波長は、後述する発光層62の発光のピーク波長よりも長いのが好ましい。これにより、比較的簡単に、発光層42、発光層43および発光層62をバランスよく発光させることができる。
また、発光層42の発光材料としては、燐光材料を用いるのが好ましい。すなわち、発光層42は、陽極3と陰極7との間に通電することにより燐光を発する発光材料を含むのが好ましい。これにより、発光層42を効率的に発光させ、その結果、発光素子1の発光効率を向上させることができる。
また、発光層42の平均厚さは、5〜50nmであるのが好ましく、5〜40nmであるのがより好ましく、5〜30nmであるのがさらに好ましい。これにより、発光素子1の駆動電圧を抑えるとともに、発光層42を効率的に発光させることができる。特に、本実施形態のように発光層42と発光層43とが積層されている場合において、発光層42の厚さを比較的薄くすることにより、正孔および電子の再結合を生じる再結合領域内に、発光層42および発光層43の双方を存在させ、これらをバランスよく発光させることができる。
(第1の発光層)
発光層43は、発光材料を含んで構成されている。
本実施形態では、発光層43は、前述した発光層42に接している。これにより、第1の発光部4における正孔および電子の再結合領域内に発光層42および発光層43の双方を簡単に存在させることができる。そのため、発光層42および発光層43の双方を簡単に発光させることができる。
このような発光材料としては、特に限定されず、上述した発光層42と同様の発光材料を用いることができる。なお、発光層43に用いる発光材料は、前述した発光層42の発光材料と同一であってもよいし、異なるものであってもよい。また、発光層43の発光色は、前述した発光層42の発光色と同じであっても異なっていてもよい。
また、発光層43は、発光材料に加え、この発光材料がゲスト材料として添加されるホスト材料とを含んで構成されていてもよい。
かかるホスト材料としては、前述した発光層42のホスト材料と同様のものを用いることができ、発光層42がホスト材料を含む場合、そのホスト材料と同じであっても異なっていてもよい。
前述したような発光材料(ゲスト材料)およびホスト材料を用いる場合、発光層43中における発光材料の含有量(ドープ量)は、0.1〜30wt%であるのが好ましく、0.5〜20wt%であるのがより好ましい。発光材料の含有量をこのような範囲内とすることで、発光効率を最適化することができる。
また、発光層43の発光のピーク波長は、後述する発光層62の発光のピーク波長よりも長いのが好ましい。これにより、発光層43および発光層62をバランスよく発光させることができる。
また、発光層43の発光材料としては、燐光材料を用いるのが好ましい。すなわち、発光層43は、陽極3と陰極7との間に通電することにより燐光を発する発光材料を含むのが好ましい。これにより、発光層43を効率的に発光させ、その結果、発光素子1の発光効率を向上させることができる。
また、発光層43の平均厚さは、特に限定されないが、5〜50nmであるのが好ましく、5〜40nmであるのがより好ましく、5〜30nmであるのがさらに好ましい。これにより、発光素子1の駆動電圧を抑えるとともに、発光層43を効率的に発光させることができる。特に、本実施形態のように発光層42と発光層43とが積層されている場合において、発光層43の厚さを比較的薄くすることにより、正孔および電子の再結合を生じる再結合領域内に、発光層42および発光層43の双方を存在させ、これらをバランスよく発光させることができる。
なお、本実施形態では、第1の発光部4が2層の発光層(すなわち発光層42および発光層43)を備える場合を例に説明しているが、第1の発光部4は、1層の発光層を有するものであってもよい。すなわち、第1の発光部4において、発光層42および発光層43のうちのいずれか一方の発光層を省略してもよい。また、第1の発光部4は、3層以上の発光層を有するものであってもよい。すなわち、第1の発光部4において、前述した発光層42および発光層43に加えて、他の1層以上の発光層を有していてもよい。また、第1の発光部4が複数の発光層を有する場合、複数の発光層の発光色が互いに同じであっても異なっていてもよい。また、第1の発光部4が複数の発光層を有する場合、発光層同士の間には、中間層が設けられていてもよい。
(電子輸送層)
電子輸送層44は、発光層43と後述するキャリア発生層5のn型電子輸送層51との間にこれらの両層に接して設けられ、キャリア発生層5で発生した電子を発光層43に輸送する機能を有するものである。
この電子輸送層44は、電子輸送性材料を含み、かつ、電子ドナー性材料を実質的に含まずに構成されている。これにより、n型電子輸送層51から発光層43へ電子を効率的に輸送しつつ、n型電子輸送層51の構成材料が発光層43へ拡散するのを防止することができる。
すなわち、電子輸送層44は、後述するキャリア発生層5のn型電子輸送層51の電子ドナー性材料が前述した発光層43に拡散するのを防止または抑制する拡散防止層としての機能をも有する。これにより、長期にわたり発光層43および発光層62をバランスよく発光させることができる。
電子輸送層44の構成材料(電子輸送性材料)としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)等の8−キノリノールなしいその誘導体を配位子とする有機金属錯体などのキノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
電子輸送層44の平均厚さは、8nm以上15nm以下であるのが好ましい。これにより、後述するキャリア発生層5のn型電子輸送層51の構成材料(特に、電子ドナー性材料)が発光層43へ拡散するのを防止または抑制することができる。そのため、発光層43の発光特性を良好な状態に維持することができる。また、電子輸送層44の厚さが厚くなりすぎるのを防止し、その結果、発光素子1の初期の駆動電圧が大きくなるのを防止することができる。すなわち、発光素子1の低駆動電圧化を図ることができる。また、陽極3と陰極7との間の各層の層厚を薄くして低駆動電圧化を図ろうとしたとき、光路長を容易に調整することができる。
これに対し、かかる平均厚さが前記下限値未満であると、例えばn型電子輸送層51の電子輸送層44との界面付近における電子ドナー性材料の濃度によっては、n型電子輸送層51の電子ドナー性材料が電子輸送層44を通り抜けて発光層43へ拡散し、発光層43の発光特性が低下するおそれがある。一方、かかる平均厚さが前記上限値を超えると、発光素子1の駆動電圧が大きくなる傾向を示す。また、かかる平均厚さが前記上限値を超えると、陽極3と陰極7との間の各層の層厚を薄くして低駆動電圧化を図ろうとしたとき、光路長を調整することが難しくなる傾向を示す。
[キャリア発生層]
キャリア発生層5は、キャリア(正孔および電子)を発生させる機能を有するものである。
このキャリア発生層5は、陽極3側から陰極7側へ、n型電子輸送層51と電子吸引層52とがこの順で積層されてなるものである。
特に、n型電子輸送層51の平均厚さは、電子吸引層52の平均厚さよりも厚い。これにより、キャリア発生層5全体の厚さを薄くしても、キャリア発生層5の機能(キャリア発生機能)を十分に発揮させることができる。その結果、駆動電圧を抑えるとともに、発光層42および発光層62をバランスよく発光させることができる。
これに対し、仮に、n型電子輸送層51の平均厚さが電子吸引層52の平均厚さよりも薄いと、キャリア発生層5全体の厚さを薄くした場合、n型電子輸送層51の厚さが薄くなりすぎて、n型電子輸送層51が電子を輸送する機能を十分に発揮することができない。そのため、この場合、電子吸引層52で吸引された電子をn型電子輸送層51が陽極3側へ輸送することができず、その結果、キャリア発生層5の機能を十分に発揮することができない。
また、キャリア発生層5の平均厚さは、5nm以上30nm以下であることが好ましく、10nm以上25nm以下であることがより好ましく、10nm以上20nm以下でありのがさらに好ましい。これにより、発光素子1の駆動電圧が高くなるのを防止しつつ、キャリア発生層5の機能(キャリア発生機能)を十分に発揮させることができる。
特に、発光素子1の駆動電圧を抑えるという観点から、キャリア発生層5に平均厚さ(すなわち、n型電子輸送層51の平均厚さと電子吸引層52の平均厚さとの合計)は、25nm以下であるのが好ましく、20nm以下であるのがより好ましい。
以下、キャリア発生層5を構成する各層を順次詳細に説明する。
(n型電子輸送層)
n型電子輸送層51は、前述した電子輸送層44と電子吸引層52との間に設けられ、電子吸引層52側から電子輸送層44側へ電子を輸送する機能を有する。
このようなn型電子輸送層51は、電子輸送性を有する電子輸送性材料を主材料として構成されていればよいが、電子輸送性を有する電子輸送性材料の他、電子注入性を有する電子注入性材料(電子ドナー性材料)を含んで構成されているのが好ましい。
これにより、電子吸引層52によって吸引された電子をn型電子輸送層51に効率的に注入するとともにn型電子輸送層51を介して陽極3側に効率的に輸送することができる。
特に、n型電子輸送層51は、電子輸送性材料および電子ドナー性材料を含む混合材料で構成されているのが好ましい。このように構成されたn型電子輸送層51は、優れた電子輸送性および電子注入性を有する。そのため、キャリア発生層5で生じた電子を発光層43側へ効率的に輸送・注入することができる。
また、n型電子輸送層51が電子輸送材料に電子ドナー性材料を添加(ドープ)して構成されていると、n型電子輸送層51では、電子輸送性材料が電子ドナー性材料から電子を受け取って、ラジカルアニオン状態となる。そのため、キャリア発生層5のキャリア発生量を増大させることができる。
n型電子輸送層51に用いる電子輸送性材料としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)等の8−キノリノールなしいその誘導体を配位子とする有機金属錯体などのキノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、n型電子輸送層51に含まれる電子輸送性材料は、金属錯体を含むのが好ましい。これにより、n型電子輸送層51の電子輸送性を優れたものとすることができる。
特に、金属錯体は、Al金属錯体であるのが好ましく、Alqであるのがより好ましい。これにより、n型電子輸送層51中の電子ドナー性材料(電子注入性材料)がn型電子輸送層51から発光層43へ拡散するのを防止または抑制することができる。
また、n型電子輸送層51に用いる電子注入性材料(電子ドナー性材料)としては、例えば、各種の無機絶縁材料、各種の無機半導体材料が挙げられる。
このような無機絶縁材料としては、例えば、アルカリ金属カルコゲナイド(酸化物、硫化物、セレン化物、テルル化物)、アルカリ土類金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物およびアルカリ土類金属のハロゲン化物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
アルカリ金属カルコゲナイドとしては、例えば、LiO、LiO、NaS、NaSe、NaO等が挙げられる。
アルカリ土類金属カルコゲナイドとしては、例えば、CaO、BaO、SrO、BeO、BaS、MgO、CaSe等が挙げられる。
アルカリ金属のハロゲン化物としては、例えば、CsF、LiF、NaF、KF、LiCl、KCl、NaCl等が挙げられる。
アルカリ土類金属のハロゲン化物としては、例えば、CaF、BaF、SrF、MgF、BeF等が挙げられる。
また、無機半導体材料としては、例えば、Li、Na、Ba、Ca、Sr、Yb、Al、Ga、In、Cd、Mg、Si、Ta、SbおよびZnのうちの少なくとも1つの元素を含む酸化物、窒化物または酸化窒化物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
特に、n型電子輸送層51に用いる電子注入性材料(電子ドナー性材料)としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いるのが好ましい。これにより、n型電子輸送層51の電子輸送性を優れたものとしつつ、n型電子輸送層51の電子注入性をより向上させることができる。特に、アルカリ金属化合物(アルカリ金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物等)は仕事関数が非常に小さく、これを用いてn型電子輸送層51を構成することにより、発光素子1は、高い輝度が得られるものとなる。
また、かかるアルカリ金属化合物としてLiOを用いることにより、キャリア発生層5で生じた電子を発光層43へさらに効率的に注入することができる。
また、n型電子輸送層51は、正孔をブロックする機能を有する。
n型電子輸送層51を電子輸送性材料および電子注入性材料を用いて構成する場合、電子輸送性材料をホスト材料とし、電子注入性材料をゲスト材料として、共蒸着等により電子輸送性材料に電子注入性材料をドープすることによりn型電子輸送層51を形成することができる。
また、n型電子輸送層51を電子輸送性材料および電子注入性材料を用いて構成する場合、n型電子輸送層51中における電子注入性材料の含有量(ドープ量)は、0.1〜20wt%であるのが好ましく、0.5〜10wt%であるのがより好ましい。電子注入性材料の含有量をこのような範囲内とすることで、n型電子輸送層51の電子輸送性および電子注入性の双方をバランスよく優れたものとすることができる。
また、n型電子輸送層51中における電子ドナー性材料(電子注入性材料)の濃度は、陰極7側から陽極3側に向けて漸減していると、キャリア発生層5で生じた電子を発光層43側へ効率的に輸送・注入するとともに、n型電子輸送層51中の電子ドナー性材料が発光層43へ拡散する量を抑えて発光素子1の長寿命化を図ることができる。この場合、電子ドナー性材料の濃度は、段階的に変化していてもよいし、連続的に変化していてもよい。
また、n型電子輸送層51の平均厚さは、特に限定されないが、10nm以上27nm以下であるのが好ましく、10nm以上20nm以下であるのがより好ましく、10nm以上15nm以下であるのがさらに好ましい。これにより、電子吸引層52によって吸引された電子を効率的に陽極3側へ輸送することができるとともに、第1の発光部4を通過した正孔をブロックすることができる。
特に、n型電子輸送層51の平均厚さが10nm以上であることにより、キャリア発生層5の機能(キャリア発生機能)を十分に発揮させることができる。
(電子吸引層)
電子吸引層(電子引き抜き層)52は、発光層43と発光層62との間に設けられ、陰極7側に隣接する層(本実施形態では、第2の発光部6の正孔輸送層61)から電子を吸引する(引き抜く)機能を有する。電子吸引層52によって吸引された電子は、陽極3側に隣接する層(本実施形態では、n型電子輸送層51)に注入される。
このような電子吸引層52は、電子吸引性を有する有機化合物を主材料として構成されている。
この電子吸引性を有する有機化合物としては、芳香環を有する有機シアン化合物(以下、「芳香環含有有機シアン化合物」とも言う)が好適に用いられる。
芳香環含有有機シアン化合物は、優れた電子吸引性を有している。そのため、芳香環を有する有機シアン化合物を含んで電子吸引層52を構成することにより、キャリア発生層5の正孔および電子の発生量を多くすることができる。
芳香環含有有機シアン化合物を主材料とする電子吸引層52は、隣接する層(正孔輸送層61)と接触することにより、正孔輸送層61を構成する正孔輸送材料から電子を引き抜くことができる。これにより、電子吸引層52と正孔輸送層61とが接触すると、印加されていなくても、電子吸引層52と正孔輸送層61との界面付近において、電子吸引層52側には電子が発生し、正孔輸送層61側には正孔が発生する。このような状態で、陽極3と陰極7との間に駆動電圧を印加すると、電子吸引層52と正孔輸送層61との界面付近で発生した正孔は、その駆動電圧により陰極7側に輸送されて、第2の発光部6(具体的には発光層62)の発光に寄与する。また、電子吸引層52と正孔輸送層61との界面付近で発生した電子は、その駆動電圧により陽極3側に輸送されて、第1の発光部4(具体的には発光層42および発光層43)の発光に寄与する。また、上述したような電子吸引層52による正孔および電子の発生は、駆動電圧が印加されている最中には継続的に行われ、これらの正孔および電子は、発光層42、発光層43および発光層62の発光に寄与する。
また、芳香環含有有機シアン化合物は、比較的安定な化合物であるとともに、蒸着等の気相成膜法で容易に電子吸引層52を形成できる化合物である。このため、好適に発光素子1の製造に用いることができ、製造される発光素子1の品質が安定しやすくなるとともに、発光素子1の歩留まりが高いものとなる。
このような芳香環含有有機シアン化合物としては、前述したような機能を発揮し得るものであれば、特に限定されないが、例えば、シアノ基が導入されたヘキサアザトリフェニレン誘導体であるのが好ましく、下記式(4)で表わされるようなヘキサアザトリフェニレン誘導体を用いるのがより好ましい。
Figure 0005803648
上記式(4)中、R1〜R6は、それぞれ独立して、シアノ基(−CN)、スルホン基(−SOR’)、スルホキシド基(−SOR’)、スルホンアミド基(−SONR’)、スルホネート基(−SOR’)、ニトロ基(−NO)、またはトリフルオロメタン(−CF)基であり、R1〜R6のうち少なくとも一つの置換基はシアノ基を有する。また、R’は、アミン基、アミド基、エーテル基、もしくはエステル基で置換されているかまたは非置換である炭素数1〜60のアルキル基、アリール基、または複素環基である。
このような化合物は、電子吸引性に優れている。そのため、このような化合物を用いて構成された電子吸引層52は、隣接する層(正孔輸送層61)から十分に電子を引き抜くことができるとともに、好適に引き抜いた電子を陽極3側に輸送することができる。
特に、芳香環含有有機シアン化合物としては、前述したような式(4)に示す化合物において、R1〜R6はすべてシアノ基であるのが好ましい。すなわち、芳香環含有有機シアン化合物としては、下記式(5)で表わされるようなヘキサシアノヘキサアザトリフェニレンを用いるのが好ましい。このような化合物は、電子吸引性の高いシアノ基を複数有する。そのため、このような化合物を用いて構成された電子吸引層52は、隣接する層の構成材料(正孔輸送層61の正孔輸送材料等)からより効率よく電子を引き抜くことができ、キャリア(電子および正孔)の発生量を多くすることができる。
Figure 0005803648
また、芳香環含有有機シアン化合物は、電子吸引層52において、非晶質の状態で存在していることが好ましい。これにより、上述したような芳香環含有有機シアン化合物の効果をより顕著に得ることができる。
また、電子吸引層52の平均厚さは、3〜20nmであることが好ましく、5〜10nmであることがより好ましい。これにより、発光素子1の駆動電圧が高くなるのを防止しつつ、前述したような電子吸引層52の機能(電子吸引性)を十分に発揮させることができる。
以上のようにして構成されたキャリア発生層5においては、n型電子輸送層51と電子吸引層52との間に、他の層が介在していてもよい。例えば、n型電子輸送層51と電子吸引層52との間には、これらの層間での材料の拡散を防止する拡散防止層や、電子吸引層52側からn型電子輸送層51側へ電子を注入する電子注入層が設けられていてもよい。
[第2の発光部]
第2の発光部6は、上述したように、正孔輸送層61と発光層62と電子輸送層63と電子注入層64とを有している。
(正孔輸送層)
正孔輸送層61は、キャリア発生層5(電子吸引層52)から注入された正孔を発光層62まで輸送する機能を有する。また、正孔輸送層61は、発光層62を通過した電子をブロックすることにより、電子がキャリア発生層5に届いてキャリア発生層5が劣化するのを防止する機能をも有している。
特に、正孔輸送層61は、発光層62と前述したキャリア発生層5との間に、キャリア発生層5に接するように設けられている。より具体的には、正孔輸送層61は、電子吸引層52と発光層62との間にこれらの両層に接して設けられている。
これにより、前述したように、電子吸引層52が、正孔輸送層61から効率的に電子を吸引することができる。その結果、キャリア発生層5の正孔および電子の発生量を多くすることができる。
この正孔輸送層61の構成材料には、正孔輸送層41と同様の構成材料を用いることができる。
特に、上述した中でも、正孔輸送層61を構成する正孔輸送材料は、トリフェニルアミン誘導体であることが好ましく、スターバースト型のトリフェニルアミン誘導体であることがより好ましい。このような化合物は、キャリア発生層5(電子吸引層52)と接触することにより、電子が素早く引き抜かれ、正孔が発生して注入される。
このような正孔輸送層61の平均厚さは、8nm以上15nm以下であるのが好ましい。これにより、駆動電圧の上昇を抑えつつ、正孔輸送層61の機能を好適に発揮させることができる。
これに対し、かかる平均厚さが前記下限値未満であると、正孔輸送層61の構成材料やキャリア発生層5の構成等によっては、キャリア発生層5から発光層62へ輸送される正孔の量が少なくなり、発光層62の発光特性が低下する場合がある。一方、かかる平均厚さが前記上限値を超えると、発光素子1の駆動電圧が大きくなる傾向を示す。また、かかる平均厚さが前記上限値を超えると、陽極3と陰極7との間の各層の層厚を薄くして低駆動電圧化を図ろうとしたとき、光路長を調整することが難しくなる傾向を示す。
(第2の発光層)
発光層62は、発光材料を含んで構成されている。
このような発光材料としては、特に限定されず、上述した発光層42と同様の発光材料を用いることができる。なお、発光層62に用いる発光材料は、発光層42の発光材料と同一であってもよいし、異なるものであってもよい。また、発光層62に用いる発光材料は、発光層43の発光材料と同一であってもよいし、異なるものであってもよい。また、発光層62の発光色は、前述した発光層42の発光色と同じであっても異なっていてもよい。また、発光層62の発光色は、前述した発光層43の発光色と同じであっても異なっていてもよい。
また、発光層62は、発光材料に加え、この発光材料がゲスト材料として添加されるホスト材料とを含んで構成されていてもよい。
かかるホスト材料としては、前述した発光層42のホスト材料と同様のものを用いることができる。
前述したような発光材料(ゲスト材料)およびホスト材料を用いる場合、発光層62中における発光材料の含有量(ドープ量)は、0.1〜10wt%であるのが好ましく、0.5〜5wt%であるのがより好ましい。発光材料の含有量をこのような範囲内とすることで、発光効率を最適化することができる。
また、発光層62の発光のピーク波長は、前述した発光層42および発光層43の発光のピーク波長よりも短いのが好ましい。これにより、発光層42、発光層43および発光層62をバランスよく発光させることができる。
また、発光層62の発光のピーク波長は、500nm以下であるのが好ましく、400nm以上490nm以下であるのがより好ましく、430nm以上480nm以下であるのがさらに好ましい。言い換えると、発光層62の発光色は、青色であるのが好ましい。
発光のピーク波長が短い発光材料は、発光のピーク波長が長い発光材料に比べて発光し難いが、他の発光層と隣接しない発光層62では、発光のピーク波長が短い発光材料を用いても、他の発光層へエネルギーが逃げにくく、効率的に発光させることができる。
また、発光層62の発光材料としては、蛍光材料を用いるのが好ましい。すなわち、発光層62は、陽極3と陰極7との間に通電することにより蛍光を発する発光材料を含むのが好ましい。
また、発光層62の平均厚さは、特に限定されないが、5〜50nmであるのが好ましく、5〜40nmであるのがより好ましく、5〜30nmであるのがさらに好ましい。これにより、発光素子1の駆動電圧を抑えるとともに、発光層62を効率的に発光させることができる。
なお、本実施形態では、第2の発光部6が1層の発光層を備えるものを例に説明しているが、第2の発光部6は、複数の発光層が積層されてなる積層体であってもよい。この場合、複数の発光層の発光色が互いに同じであっても異なっていてもよい。また、第2の発光部6が複数の発光層を有する場合、発光層同士の間に中間層が設けられていてもよい。
(電子輸送層)
電子輸送層63は、陰極7から電子注入層64を介して注入された電子を発光層62に輸送する機能を有するものである。
電子輸送層63の構成材料(電子輸送性材料)としては、例えば、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)等の8−キノリノールなしいその誘導体を配位子とする有機金属錯体などのキノリン誘導体、1,3−ビス(N,N−t−ブチル−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(OXD−7)等のオキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
電子輸送層63の平均厚さは、特に限定されないが、10〜100nmであるのが好ましく、10〜50nmであるのがより好ましい。
(電子注入層)
電子注入層64は、陰極7からの電子注入効率を向上させる機能を有するものである。
この電子注入層64の構成材料(電子注入材料)としては、例えば、各種の無機絶縁材料、各種の無機半導体材料が挙げられる。
このような無機絶縁材料としては、例えば、アルカリ金属カルコゲナイド(酸化物、硫化物、セレン化物、テルル化物)、アルカリ土類金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物およびアルカリ土類金属のハロゲン化物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらを主材料として電子注入層64を構成することにより、電子注入性をより向上させることができる。特にアルカリ金属化合物(アルカリ金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物等)は仕事関数が非常に小さく、これを用いて電子注入層64を構成することにより、発光素子1は、高い輝度が得られるものとなる。
アルカリ金属カルコゲナイドとしては、例えば、LiO、LiO、NaS、NaSe、NaO等が挙げられる。
アルカリ土類金属カルコゲナイドとしては、例えば、CaO、BaO、SrO、BeO、BaS、MgO、CaSe等が挙げられる。
アルカリ金属のハロゲン化物としては、例えば、CsF、LiF、NaF、KF、LiCl、KCl、NaCl等が挙げられる。
アルカリ土類金属のハロゲン化物としては、例えば、CaF、BaF、SrF、MgF、BeF等が挙げられる。
また、無機半導体材料としては、例えば、Li、Na、Ba、Ca、Sr、Yb、Al、Ga、In、Cd、Mg、Si、Ta、SbおよびZnのうちの少なくとも1つの元素を含む酸化物、窒化物または酸化窒化物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
電子注入層64の平均厚さは、特に限定されないが、0.1〜1000nm程度であるのが好ましく、0.2〜100nm程度であるのがより好ましく、0.2〜50nm程度であるのがさらに好ましい。
[陰極]
陰極7は、前述した第2の発光部6に電子を注入する電極である。この陰極7の構成材料としては、仕事関数の小さい材料を用いるのが好ましい。
陰極7の構成材料としては、例えば、Li、Mg、Ca、Sr、La、Ce、Er、Eu、Sc、Y、Yb、Ag、Cu、Al、Cs、Rbまたはこれらを含む合金等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、複数層の積層体等)用いることができる。
特に、陰極7の構成材料として合金を用いる場合には、Ag、Al、Cu等の安定な金属元素を含む合金、具体的には、MgAg、AlLi、CuLi等の合金を用いるのが好ましい。かかる合金を陰極7の構成材料として用いることにより、陰極7の電子注入効率および安定性の向上を図ることができる。
このような陰極7の平均厚さは、特に限定されないが、100〜400nm程度であるのが好ましく、100〜200nm程度であるのがより好ましい。
なお、本実施形態の発光素子1は、ボトムエミッション型であるため、陰極7に、光透過性は、特に要求されない。
[封止部材]
封止部材8は、陽極3、積層体15、および陰極7を覆うように設けられ、これらを気密的に封止し、酸素や水分を遮断する機能を有する。封止部材8を設けることにより、発光素子1の信頼性の向上や、変質・劣化の防止(耐久性向上)等の効果が得られる。
封止部材8の構成材料としては、例えば、Al、Au、Cr、Nb、Ta、Tiまたはこれらを含む合金、酸化シリコン、各種樹脂材料等を挙げることができる。なお、封止部材8の構成材料として導電性を有する材料を用いる場合には、短絡を防止するために、封止部材8と陽極3、積層体15、および陰極7との間には、必要に応じて、絶縁膜を設けるのが好ましい。
また、封止部材8は、平板状として、基板2と対向させ、これらの間を、例えば熱硬化性樹脂等のシール材で封止するようにしてもよい。
以上のように構成された発光素子1によれば、陽極3と陰極7との間で電圧を印加することにより、キャリア発生層5で正孔および電子が発生する。発生した電子は、発光層42、43に輸送され、陽極3から注入された正孔と再結合することにより、発光に寄与する。また、発生した正孔は、発光層62に輸送され、陰極7から注入された電子と再結合することにより、発光に寄与する。
これにより、発光素子1は、発光層42、発光層43および発光層62をそれぞれ発光させることができるので、発光層が1層のみの発光素子に比較して、発光効率を向上させるとともに、駆動電圧を低減することができる。
特に、発光素子1は、n型電子輸送層51の平均厚さが電子吸引層52の平均厚さよりも厚いので、キャリア発生層5全体の厚さを薄くしても、キャリア発生層5の機能(キャリア発生機能)を十分に発揮させることができる。その結果、駆動電圧を抑えるとともに、発光層42、発光層43および発光層62をバランスよく発光させることができる。
以上のように構成された発光素子1は、例えば、次のようにして製造することができる。
[1] まず、基板2を用意し、この基板2上に陽極3を形成する。
陽極3は、例えば、プラズマCVD、熱CVDのような化学蒸着法(CVD)、真空蒸着等の乾式メッキ法、電解メッキ等の湿式メッキ法、溶射法、ゾル・ゲル法、MOD法、金属箔の接合等を用いて形成することができる。
[2] 次に、陽極3上に第1の発光部4を形成する。
第1の発光部4は、正孔輸送層41、発光層42、発光層43および電子輸送層44を順次陽極3上に形成することにより設けることができる。
上述したような各層は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成することができる。
また、各層の構成材料を溶媒に溶解または分散媒に分散してなる液体材料を、陽極3(またはその上の層)上に供給した後、乾燥(脱溶媒または脱分散媒)することによっても形成することができる。
液状材料の供給方法としては、例えば、スピンコート法、ロールコート法、インクジェット印刷法等の各種塗布法を用いることもできる。かかる塗布法を用いることにより、第1の発光部4を構成する各層を比較的容易に形成することができる。
液状材料の調製に用いる溶媒または分散媒としては、例えば、各種無機溶媒や、各種有機溶媒、または、これらを含む混合溶媒等が挙げられる。
なお、乾燥は、例えば、大気圧または減圧雰囲気中での放置、加熱処理、不活性ガスの吹付け等により行うことができる。
また、本工程に先立って、陽極3の上面には、酸素プラズマ処理を施すようにしてもよい。これにより、陽極3の上面に親液性を付与すること、陽極3の上面に付着する有機物を除去(洗浄)すること、陽極3の上面付近の仕事関数を調整すること等を行うことができる。
ここで、酸素プラズマ処理の条件としては、例えば、プラズマパワー100〜800W程度、酸素ガス流量50〜100mL/min程度、被処理部材(陽極3)の搬送速度0.5〜10mm/sec程度、基板2の温度70〜90℃程度とするのが好ましい。
[3] 次に、第1の発光部4上にキャリア発生層5を形成する。
キャリア発生層5は、第1の発光部4上にn型電子輸送層51および電子吸引層52を順次積層することにより形成することができる。
キャリア発生層5を構成する各層は、例えば、CVD法や、真空蒸着、スパッタリング等の乾式メッキ法等を用いた気相プロセスにより形成することができる。
また、キャリア発生層5を構成する層の材料を溶媒に溶解または分散媒に分散してなる材料を、第1の発光部4上に供給した後、乾燥(脱溶媒または脱分散媒)することによっても形成することができる。
[4] 次にキャリア発生層5上に第2の発光部6を形成する。
第2の発光部6は、第1の発光部4と同様にして形成することができる。
[5] 次に、第2の発光部6上に、陰極7を形成する。
陰極7は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、金属箔の接合、金属微粒子インクの塗布および焼成等を用いて形成することができる。
以上のような工程を経て、発光素子1が得られる。
最後に、得られた発光素子1を覆うように封止部材8を被せ、基板2に接合する。
上述したような発光素子1は、例えば、発光装置(本発明の発光装置)に用いることができる。
このような発光装置は、前述したような発光素子1を備えるため、発光素子1の駆動電圧を抑えるとともに、発光層42、発光層43および発光層62をバランスよく発光させることができる。
また、このような発光装置は、例えば照明等に用いる光源等として使用することができる。
また、発光装置中の複数の発光素子1をマトリックス状に配置することにより、ディスプレイ装置に用いる発光装置を構成することができる。
次に、本発明の表示装置を適用したディスプレイ装置の一例について説明する。
図2は、本発明の表示装置を適用したディスプレイ装置の実施形態を示す縦断面図である。
図2に示すディスプレイ装置100は、サブ画素100R、100G、100Bに対応して設けられた複数の発光素子1R、1G、1Bを備える発光装置101と、カラーフィルタ19R、19G、19Bとを有している。ここで、ディスプレイ装置100は、トップエミッション構造のディスプレイパネルである。なお、ディスプレイ装置の駆動方式としては、特に限定されず、アクティブマトリックス方式、パッシブマトリックス方式のいずれであってもよい。
発光装置101は、基板21と発光素子1R、1G、1Bと、駆動用トランジスタ24とを有している。
基板21上には、複数の駆動用トランジスタ24が設けられ、これらの駆動用トランジスタ24を覆うように、絶縁材料で構成された平坦化層22が形成されている。
各駆動用トランジスタ24は、シリコンからなる半導体層241と、半導体層241上に形成されたゲート絶縁層242と、ゲート絶縁層242上に形成されたゲート電極243と、ソース電極244と、ドレイン電極245とを有している。
平坦化層22上には、各駆動用トランジスタ24に対応して発光素子1R、1G、1Bが設けられている。
発光素子1Rは、平坦化層22上に、反射膜32、腐食防止膜33、陽極3、積層体(有機EL発光部)15、陰極7、陰極カバー34がこの順に積層されている。本実施形態では、各発光素子1R、1G、1Bの陽極3は、画素電極を構成し、各駆動用トランジスタ24のドレイン電極245に導電部(配線)27により電気的に接続されている。また、各発光素子1R、1G、1Bの陰極7は、共通電極とされている。
なお、発光素子1G、1Bの構成は、発光素子1Rの構成と同様である。また、図2では、図1と同様の構成に関しては、同一符号を付してある。また、反射膜32の構成(特性)は、光の波長に応じて、発光素子1R、1G、1B間で異なっていてもよい。
隣接する発光素子1R、1G、1B同士の間には、隔壁31が設けられている。
また、このように構成された発光装置101上には、これを覆うように、エポキシ樹脂で構成されたエポキシ層35が形成されている。
カラーフィルタ19R、19G、19Bは、前述したエポキシ層35上に、発光素子1R、1G、1Bに対応して設けられている。
カラーフィルタ19Rは、発光素子1Rからの白色光Wを赤色(R)に変換するものである。また、カラーフィルタ19Gは、発光素子1Gからの白色光Wを緑色(G)に変換するものである。また、カラーフィルタ19Bは、発光素子1Bからの白色光Wを青色(B)に変換するものである。このようなカラーフィルタ19R、19G、19Bを発光素子1R、1G、1Bと組み合わせて用いることで、フルカラー画像を表示することができる。
また、隣接するカラーフィルタ19R、19G、19B同士の間には、遮光層36が形成されている。これにより、意図しないサブ画素100R、100G、100Bが発光するのを防止することができる。
そして、カラーフィルタ19R、19G、19Bおよび遮光層36上には、これらを覆うように封止基板20が設けられている。
なお、以上説明したようなディスプレイ装置100は、単色表示であってもよく、各発光素子1R、1G、1Bに用いる発光材料を選択することにより、カラーフィルタを用いることなくカラー表示も可能である。
このようなディスプレイ装置100(本発明の表示装置)は、前述したような発光装置を用いるため、発光素子1の駆動電圧を抑えるとともに、発光層42、発光層43および発光層62をバランスよく発光させることができる。
また、このようなディスプレイ装置100(本発明の表示装置)は、各種の電子機器に組み込むことができる。このような電子機器は、前述したような発光装置を用いているため、発光素子1の駆動電圧を抑えるとともに、発光層42、発光層43および発光層62をバランスよく発光させることができる。
図3は、本発明の電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
この図において、パーソナルコンピュータ1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部を備える表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このパーソナルコンピュータ1100において、表示ユニット1106が備える表示部が前述のディスプレイ装置100で構成されている。
図4は、本発明の電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。
この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206とともに、表示部を備えている。
携帯電話機1200において、この表示部が前述のディスプレイ装置100で構成されている。
図5は、本発明の電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、被写体を電子画像として表示するファインダとして機能する。
ディジタルスチルカメラ1300において、この表示部が前述のディスプレイ装置100で構成されている。
ケースの内部には、回路基板1308が設置されている。この回路基板1308は、撮像信号を格納(記憶)し得るメモリが設置されている。
また、ケース1302の正面側(図示の構成では裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッタボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、回路基板1308のメモリに転送・格納される。
また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示のように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニタ1430が、デ−タ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピュータ1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、回路基板1308のメモリに格納された撮像信号が、テレビモニタ1430や、パーソナルコンピュータ1440に出力される構成になっている。
なお、本発明の電子機器は、図3のパーソナルコンピュータ(モバイル型パーソナルコンピュータ)、図4の携帯電話機、図5のディジタルスチルカメラの他にも、例えば、テレビや、ビデオカメラ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、ラップトップ型パーソナルコンピュータ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニタ、電子双眼鏡、POS端末、タッチパネルを備えた機器(例えば金融機関のキャッシュディスペンサー、自動券売機)、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電表示装置、超音波診断装置、内視鏡用表示装置)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、フライトシュミレータ、その他各種モニタ類、プロジェクター等の投射型表示装置等に適用することができる。
以上、本発明の発光素子、発光装置、表示装置および電子機器を、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものでない。
例えば、前述した発光素子は、3層の発光層を有するものとして説明したが、これに限定されず、例えば、発光素子は、2層の発光層を有するものであってもよいし4層以上の発光層を有するものであってもよい。この場合、キャリア発生層の一方の面側と他方の面側にそれぞれ少なくとも1層の発光層が設けられていればよい。
また、前述した発光素子では、発光部(発光ユニット)は、発光層以外の層(例えば、正孔輸送層、電子輸送層等)を有するものとして説明したが、これに限定されず、少なくとも1層の発光層を有していればよく、例えば、発光層のみで構成されていてもよい。
また、前述した発光素子の任意の層間に必要に応じて層を追加してもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.発光素子の製造
(実施例1)
<1> まず、平均厚さ0.5mmの透明なガラス基板を用意した。次に、この基板上に、スパッタ法により、平均厚さ50nmのITO電極(陽極)を形成した。
そして、基板をアセトン、2−プロパノールの順に浸漬し、超音波洗浄した後、酸素プラズマ処理を施した。
<2> 次に、ITO電極上に、4,4’,4”−トリス(N−カルバゾリル)−トリフェニルアミン(TCTA)を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ40nmの正孔輸送層(第1の発光部の正孔輸送層)を形成した。
<3> 次に、正孔輸送層上に、真空蒸着法を用いて、平均厚さ10nmの第3の発光層(赤色発光層)を形成した。
ここで、第3の発光層を構成する構成材料としては、赤色燐光材料(ゲスト材料)であるbtp2Ir(acac)と、ホスト材料であるCBPとの混合材料を用いた。また、第3の発光層中における赤色燐光材料の含有量(ドープ濃度)は、10.0wt%とした。
<4> 次に、第3の発光層上に、真空蒸着法を用いて、平均厚さ10nmの第1の発光層(緑色発光層)を形成した。
ここで、第1の発光層を構成する構成材料としては、緑色燐光材料(ゲスト材料)であるIr(ppy)3と、ホスト材料であるCBPとの混合材料を用いた。また、第1の発光層中における緑色燐光材料の含有量(ドープ濃度)は、15.0wt%とした。
<5> 次に、第1の発光層上に、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ10nmの電子輸送層(第1の発光部の電子輸送層)を形成した。
<6> 次に、第1の発光部の電子輸送層上に、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)と、LiOとを真空蒸着法(共蒸着)により蒸着させ、平均厚さ20nmのn型電子輸送層(キャリア発生層のn型電子輸送層)を形成した。なお、このn型電子輸送層中のBCPと、LiOとの含有量は、体積比で98:2となるようにした。
<7> 次に、n型電子輸送層上に、ヘキサシアノヘキサアザトリフェニレン(LGケミカル社製、「LG101」)を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ5nmの電子吸引層を形成した。これにより、n型電子輸送層および電子吸引層からなるキャリア発生層を得た。
<8> 次に、キャリア発生層上(電子吸引層上)に、4,4’,4”−トリス(N−カルバゾリル)−トリフェニルアミン(TCTA)を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ10nmの正孔輸送層を形成した。
<9> 次に、この正孔輸送層上に、真空蒸着法を用いて、平均厚さ30nmの第2の発光層(青色発光層)を形成した。
ここで、第2の発光層を構成する構成材料としては、青色発光材料(ゲスト材料)であるBD102(出光興産社製)とホスト材料であるBH215(出光興産社製)との混合材料を用いた。また、第2の発光層中における青色発光材料の含有量(ドープ濃度)は、10.0wt%とした。
<10> 次に、第2の発光層上に、1,3−ビス(N,N−t−ブチル−フェニル)−1,3,4−オキサジアゾール(OXD−7)を真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ30nmの電子輸送層(第2の発光部の電子輸送層)を形成した。
<11> 次に、電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を真空蒸着法により成膜し、平均厚さ1.0nmの電子注入層を形成した。
<12> 次に、電子注入層上に、Alを真空蒸着法により成膜した。これにより、Alで構成される平均厚さ100nmの陰極を形成した。
<13> 次に、形成した各層を覆うように、ガラス製の保護カバー(封止部材)を被せ、エポキシ樹脂により固定、封止した。
以上の工程により、基板上に、陽極、正孔輸送層、第3の発光層、第1の発光層、電子輸送層、キャリア発生層(n型電子輸送層、電子吸引層)、正孔輸送層、第2の発光層、電子輸送層、電子注入層、陰極がこの順に積層された発光素子(タンデム型の発光素子)を製造した。
(実施例2)
キャリア発生層のn型電子輸送層の平均厚さを15nmとした以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例3)
キャリア発生層のn型電子輸送層の平均厚さを10nmとした以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例4)
キャリア発生層のn型電子輸送層の構成材料が異なるとともに、n型電子輸送層の平均厚さを10nmとした以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
本実施例では、第1の発光部の電子輸送層上に、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq)と、LiOとを真空蒸着法により蒸着させ、平均厚さ10nmのn型電子輸送層(キャリア発生層のn型電子輸送層)を形成した。なお、このn型電子輸送層中の(8−キノラリト)アルミニウム(Alq)と、LiOとの含有量は、体積比で98:2となるようにした。
(実施例5)
第1の発光部の電子輸送層の平均厚さを5nmとした以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例6)
第1の発光部の電子輸送層の平均厚さを15nmとした以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例7)
第2の発光部の正孔輸送層の平均厚さを5nmとした以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例8)
第2の発光部の正孔輸送層の平均厚さを15nmとした以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例9)
第1の発光部の電子輸送層の平均厚さを20nmとした以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例10)
第2の発光部の正孔輸送層の平均厚さを20nmとした以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例11)
第1の発光部の正孔輸送層の平均厚さを20nmとした以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例12)
第1の発光部の正孔輸送層の平均厚さを15nmとした以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(実施例13)
第1の発光部の正孔輸送層の平均厚さを50nmとした以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(比較例1)
キャリア発生層の電子吸引層の平均厚さを20nmとした以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(比較例2)
キャリア発生層のn型電子輸送層の平均厚さを5nmとし、電子吸引層の平均厚さを20nmとした以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
(比較例3)
第1の発光部の電子輸送層の平均厚さを30nmとし、キャリア発生層のn型電子輸送層の平均厚さを30nmとし、電子吸引層の平均厚さを30nmとし、第2の発光部の正孔輸送層の平均厚さを70nmとし、第2の発光部の発光層(第2の発光層)の平均厚さを40nmとした以外は、前述した実施例1と同様にして発光素子を製造した。
以上の各実施例および各比較例の発光素子の構成を表1に示す。
Figure 0005803648
2.評価
2−1.発光バランス(色バランス)の評価
各実施例および各比較例について、直流電源を用いて発光素子に100mA/cmの定電流を流し、色度計を用いて光の色度(x,y)(CIE表色系)を測定した。また、このとき、輝度計を用いて輝度(光量)も測定した。
2−2.駆動電圧の評価
各実施例および各比較例の発光素子に対して、直流電源を用いて10mA/cmの一定電流を流し、初期状態の駆動電圧[A]を測定した。そして、これら発光素子を100℃の条件で2時間高温保存した後、高温保存後の駆動電圧[B]を、前記と同様の条件で測定した。
以上の各評価の結果を表2に示す。なお、表2において、輝度および駆動電圧については、比較例1を基準として規格化した値を用いて評価した結果を示している。
Figure 0005803648
表2から明らかなように、各実施例の発光素子は、いずれも、比較例の発光素子と同等またはそれよりも低い駆動電圧を実現しながら、第1の発光層、第2の発光層および第3の発光層をバランスよく発光させることができた。
特に、実施例1〜4、8、11〜13の発光素子は、光量を高いものとしつつ、熱保存後の駆動電圧の上昇を抑えることができた。
1、1G、1R、1B……発光素子 2……基板 3……陽極 4……第1の発光部 41……正孔輸送層 42……発光層(第3の発光層) 43……発光層(第1の発光層) 5……キャリア発生層 51……n型電子輸送層 52……電子吸引層 6……第2の発光部 61……正孔輸送層 62……発光層(第2の発光層) 63……電子輸送層 64……電子注入層 7……陰極 8……封止部材 15……積層体 19B、19G、19R……カラーフィルタ 100……ディスプレイ装置 101……発光装置 100R、100G、100B……サブ画素 20……封止基板 21……基板 22……平坦化層 24……駆動用トランジスタ 241……半導体層 242……ゲート絶縁層 243……ゲート電極 244……ソース電極 245……ドレイン電極 27……配線 31……隔壁 32……反射膜 33……腐食防止膜 34……陰極カバー 35……エポキシ層 36……遮光層 1100……パーソナルコンピュータ 1102……キーボード 1104……本体部 1106……表示ユニット 1200……携帯電話機 1202……操作ボタン 1204……受話口 1206……送話口 1300……ディジタルスチルカメラ 1302……ケース(ボディー) 1304……受光ユニット 1306……シャッタボタン 1308……回路基板 1312……ビデオ信号出力端子 1314……データ通信用の入出力端子 1430……テレビモニタ 1440……パーソナルコンピュータ W……白色光

Claims (19)

  1. 陽極と、
    陰極と、
    前記陽極と前記陰極との間に設けられ、前記陽極と前記陰極との間に通電することにより発光する第1の発光層と、
    前記陰極と前記第1の発光層との間に設けられ、前記陽極と前記陰極との間に通電することにより発光する第2の発光層と、
    前記第1の発光層と前記第2の発光層との間に設けられ、前記陽極と前記陰極との間に通電することにより電子および正孔を発生させるキャリア発生層とを有し、
    前記キャリア発生層は、電子輸送性を有するn型電子輸送層と、前記n型電子輸送層と前記第2の発光層との間に設けられ、電子吸引性を有する電子吸引層とを備え、
    前記n型電子輸送層の平均厚さは、前記電子吸引層の平均厚さよりも厚く、
    前記n型電子輸送層の平均厚さと前記電子吸引層の平均厚さとの合計が25nm以下でり、
    前記n型電子輸送層の平均厚さが10nm以上20nm以下であることを特徴とする発光素子。
  2. 前記電子吸引層の平均厚さが3nm以上20nm以下である請求項1に記載の発光素子。
  3. 前記第1の発光層と前記n型電子輸送層との間にこれらの両層に接して設けられ、電子輸送性材料を含み、かつ、電子ドナー性材料を実質的に含まずに構成された電子輸送層を有する請求項1または2に記載の発光素子。
  4. 前記電子輸送層の平均厚さは、8nm以上15nm以下である請求項に記載の発光素子。
  5. 前記電子吸引層と前記第2の発光層との間にこれらの両層に接して設けられ、正孔輸送性材料を含んで構成された正孔輸送層を有する請求項1ないしのいずれかに記載の発光素子。
  6. 前記正孔輸送層の平均厚さは、8nm以上15nm以下である請求項に記載の発光素子。
  7. 前記n型電子輸送層は、電子輸送性材料および電子ドナー性材料を含む混合材料で構成されている請求項1ないしのいずれかに記載の発光素子。
  8. 前記n型電子輸送層に含まれる前記電子輸送性材料は、金属錯体を含む請求項に記載の発光素子。
  9. 前記金属錯体は、Al金属錯体である請求項に記載の発光素子。
  10. 前記n型電子輸送層に含まれる前記電子ドナー性材料は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物のうちの1種または2種以上を組み合わせたものを含む請求項ないしのいずれかに記載の発光素子。
  11. 前記n型電子輸送層に含まれる前記電子ドナー性材料は、アルカリ金属化合物を含む請求項10に記載の発光素子。
  12. 前記アルカリ金属化合物は、LiOである請求項11に記載の発光素子。
  13. 前記電子吸引層は、芳香環を有する有機シアン化合物を含んで構成されている請求項1ないし12のいずれかに記載の発光素子。
  14. 前記有機シアン化合物は、ヘキサアザトリフェニレン誘導体である請求項13に記載の発光素子。
  15. 前記第1の発光層と前記陽極との間に前記第1の発光層に接して設けられ、前記陽極と前記陰極との間に通電することにより発光する第3の発光層を有する請求項1ないし14のいずれかに記載の発光素子。
  16. 前記第3の発光層の発光のピーク波長は、前記第1の発光層および前記第2の発光層の発光のピーク波長よりも長い請求項15に記載の発光素子。
  17. 請求項1ないし16のいずれかに記載の発光素子を備えることを特徴とする発光装置。
  18. 請求項17に記載の発光装置を備えることを特徴とする表示装置。
  19. 請求項17に記載の発光装置を備えることを特徴とする電子機器。
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