図1,2はこの発明の実施形態である浴槽用給湯口アダプターを示す図である。両図に示すように、この実施形態の給湯口アダプターは、浴槽の側壁Wに設けられた取付孔Hに組み付けられる。この給湯口アダプターは、室外の給湯機から供給されたお湯を浴槽内に供給する湯はり処理の他に、浴槽内のお湯(水)を吸い込んで室外の給湯機に送り、そこで再加熱して、高温のお湯を浴槽内に戻すようにした追い焚き処理を行えるものである。
なおこの給湯口アダプターは、以下に詳述するように、このアダプターが備える2つの外管接続部1a,1bに対して、給湯機につながる往き管および戻り管のどちらを接続しても使用可能な、いわゆる無極性タイプのものである。さらにこの給湯口アダプターは、内部に、逆流防止弁等のお湯の流動を制御するための流動制御弁が設けられない弁無しタイプのものである。
本実施形態の給湯口アダプターは、槽外取付部材1と、雄ねじ部材2と、流路仕切部材3と、カバー部材としてのフィルター部材9とを基本的な構成要素として備えている。なお、本明細書の説明においては、給湯口アダプターの軸心方向に沿って浴槽に対して内側(図1の左側)を「前側」または「正面側」とし、浴槽に対して外側(図1の右側)を「後側」または「裏面側」として説明する。
図1,2に示すように槽外取付部材1は、前面側が開放され、かつ後面側が閉塞された円筒形状の外筒部12と、その外筒部12の内部に同軸心上に配置される円筒形状の内筒部11と、外筒部12の前端外周に設けられた平板リング状のフランジ部15と、外筒部12の後端閉塞壁に設けられる管状の第1,第2外管接続部1a,1bとを一体に有している。
内筒部11の内部空間は、後述の内側流路Aの一部として構成されるとともに、内筒部11および外筒部12間の環状空間は、後述の外側流路Bの一部として構成されている。上記第1外管接続部1aが内側流路Aに連通されるとともに、第2外管接続部1bが外側流路Bに連通されている。
外筒部12の前部内周面には、雄ねじ部材2をねじ込んで固定するための雌ねじが刻設されている。
槽外取付部材1のフランジ部15の外周縁部には、そのフランジ部15と浴槽外壁面との間の水密を図るための合成樹脂製のパッキン82が取り付けられている。
図1,2に示すように雄ねじ部材2は、前後両端が開放された円筒形状の胴部21と、その胴部21の前端外周に設けられた平板リング状のフランジ部25とを一体に有する鍔付き円筒形状に形成されている。
胴部21の外周側面には、上記槽外取付部材1における外筒部12の雌ねじに対応して、雄ねじが刻設されており、胴部21を槽外取付部材1の外筒部12内にねじ込んで固定できるようになっている。
図2,3に示すようにフランジ部25の前面側には、周方向に沿って所定の間隔おきに複数のロック凹部26が形成されている。
さらにフランジ部25の外周縁部には、周方向に間隔をおいて複数の係止溝27が形成されている。各係止溝27は、前面側(入口側)において周方向の一端のみが開放されるとともに、後面側(奥側)において周方向の全域が開放されており、側方(外径方向)から見た状態においてL字形に形成されている。
雄ねじ部材2におけるフランジ部25の後面側(裏面側)には、浴槽内壁面との間に介在されるように、合成ゴム製のリング状パッキン83が設けられている(図1参照)。
そして、槽外取付部材1のフランジ部15が、浴槽の外壁面における取付孔Hの周縁部に沿うように配置された状態で、雄ねじ部材2のフランジ部25が、パッキン83を介して浴槽内壁面における取付孔Hの周縁部に圧接されるようにして、雄ねじ部材2の胴部21が取付孔Hを通じて、槽外取付部材1の外筒部12にねじ込まれて固定される。これにより両部材1,2のフランジ部15,25によって、浴槽側壁Wにおける取付孔周縁部が挟持されて、両部材1,2が浴槽側壁Wに貫通状態に組み付けられる。
図4〜6に示すように、流路仕切部材3は、軸心方向(前後方向)に延びる細長い円筒形状の円筒部31と、その円筒部31の前端部に設けられた略円盤状の槽内突出部4とを有している。
槽内突出部4は、内部に複数の流路が設けられる中空構造を有しており、正面視で円形の後壁41と、後壁41の前面側外周を囲うようにして一体に形成された周側壁42と、前面の所要部分を閉塞する前壁としての前蓋5とを備えている。
円筒部31は、後述するように槽外取付部材1の内筒部11に接続されるものであり、円筒部31の内部と、それに連通する槽外取付部材1における内筒部11の内部とによって、内側流路Aが形成される。さらに円筒部31は、後述するように雄ねじ部材2の胴部21の内部に配置されるものであり、円筒部31および胴部21間の環状空間と、それに連通する槽外取付部材1における内筒部11および外筒部12間の環状空間とによって、外側流路Bが形成される。
槽内突出部4の後壁41には、円筒部31に対応して、第1連通孔41aが形成されるとともに、円筒部31の側方に対応して、円弧状の第2連通孔41bが形成されている。さらに周側壁42の下部両側には、第1,第2開口42a,42bが形成されている。
図5A等に示すように後壁41の前面側には、複数の仕切壁43が形成されており、この仕切壁43によって、槽内突出部4内に、互いに独立する第1,第2流路43a,43bが形成されている。
第1流路43aは、第1連通孔41aから第1開口42aにかけて形成されており、第1連通孔41aを介して、槽内突出部4の後方における円筒部31の内側(内側流路A)に連通されるとともに、第1開口42aを介して、外部(浴槽内)に開放されている。
第2流路43bは、第2連通孔41bから第2開口42bにかけて形成されており、第2連通孔41bを介して、槽内突出部4の後方における円筒部31の外側(外側流路B)に連通されるとともに、第2開口42bを介して、外部(浴槽内)に開放されている。
また後壁41の前面側における中央上部には、ロックピン取付部44が形成されている(図5A等参照)。
さらに後壁41の前面側における第1,第2流路43a,43bの上下には、上記ロックピン取付部44の部分を除いて、上下方向に延びる仕切壁部分45,45が形成されている。
この仕切壁部分45,45は、前蓋5に設けられた後述の仕切壁部分55と協同で、槽内突出部4の前面に上下方向に連続する仕切壁が形成されるようになっている。
一方、図5C,6に示すように、槽内突出部4の周側壁42における後端部には、全周にわたって後方へ突出する後方突縁部46が設けられており、その後方突縁部46の内周側の数箇所に係止突起47が周方向に間隔をおいて突設されている。
槽内突出部4における周側壁42の外周側面には、周方向に沿って間隔をおいて複数の係止溝48が形成されている。各係止溝48は、前面側(入口側)において周方向の一端のみが開放されるとともに、後面側(奥側)において周方向に沿って延びるように形成されており、側方(外径方向)から見た状態において略L字形に形成されている。
図7A,7Bに示すように、前蓋5は、正面視において略山型に形成されており、第1,2流路43a,43bの前面側を閉塞するようにして取り付けられている。
図8Aに示すように、前蓋5の両側縁部は、切り欠かれるように形成されて、後壁41の周縁部よりも内側(軸心側)に配置されている。これにより、前蓋5の両側縁部の外側に、第1,第2前方開放部49a,49bが形成され、この第1,第2前方開放部49a,49bを介して第1,第2流路43a,43bが前方に向けて開放する。なお、第1,第2前方開放部49a,49bは、第1第2開口42a,42bに連通しており、第1,第2前方開放部49a,49bと、第1第2開口42a,42bとによって、第1,第2流路43a,43bの近傍が、前面から外側面にかけて大きく開放される。
また図2,5A,7Aに示すように、前蓋5の前面における左右方向の中間位置には、上下方向に連続する仕切壁部分55が前方へ突出状に形成されており、この仕切壁部分55と、上記仕切壁部分45とで既述したように仕切壁が形成されるようになっている。
図5A,9に示すように、第1,2流路43a,43bの開口近傍における内周面の後面には、換言すると、第1,2流路43a,43bの開口近傍における後壁41の前面には、流路43a,43bを周方向に沿って所定の間隔おきに複数の一方突起71が形成されている。各一方突起71は、互いに並行で、前方に向けて突出するように形成されており、図10Bに示すように吐出方向の下流側から見た状態では、全体として、歯先が前方(図10Bでは上方)に向いた櫛状に形成されている。
また各一方突起71は、それぞれ先端が後壁41と前蓋5との間のほぼ中間位置に配置されるように突出寸法が設定されている。
ここで、本実施形態においては、流路43a,43bの内周面における前面および後面が、対向し合う2つの対向面であり、前面が他方の対向面を構成し、後面が一方の対向面を構成している。さらに周方向は、流路43a,43bを横切る方向に相当する。
図11に示すように、一方突起71における吐出方向(外向き方向)D1に対し上流側の端部には、ガイド部72が形成されている。このガイド部72は、周方向(図11(a)の上下方向)の寸法を幅寸法としたとき、吐出方向D1に対し上流側に向かうに従って幅寸法が次第に細くなるようにテーパー形状に形成される。さらにこのガイド部72は、吐出方向D1に対し上流側に向かうに従って突出寸法(図11(b)の上下方向)が次第に小さくなるように形成されている。
また、一方突起71における吸込方向(内向き方向)D2に対し上流側の端部は、吸込方向D2に対し垂直な平坦面73に形成されている。
図7B,9に示すように、第1,第2流路43a,43bの開口近傍における内周面の前面には、換言すると、第1,第2流路43a,43bの開口近傍における前蓋5の後面には、周方向に沿って所定の間隔おきに複数の他方突起75が形成されている。各他方突起75は、互いに並行で、後方に向けて突出するように形成されており、図10Bに示すように吐出方向D1の下流側から見た状態では、全体として、歯先が後方(図10Bでは下方)に向いた櫛状に形成されている。
各他方突起75は、各先端が後壁41と前蓋5との間のほぼ中間位置に配置されるように突出寸法が設定されている。さらに、各他方突起75は、上記複数の一方突起71の各間に対応してそれぞれ配置されている。従って、複数の一方突起71と、複数の他方突起75との先端同士が、後壁41および前蓋5の中間位置で、周方向の線上に配置されて、一方突起71と他方突起75との間に周方向に連続する略矩形波(方形波)状の隙間が形成されるようになっている。
さらに図12に示すように、他方突起75における吐出方向(外向き方向)D1に対し上流側の端部には、ガイド部76が形成されている。このガイド部76は、周方向(図12(a)の上下方向)の寸法を幅寸法としたとき、吐出方向D1に対し上流側に向かうに従って幅寸法が次第に細くなるようにテーパー形状に形成される。さらにこのガイド部76は、吐出方向D1に対し上流側に向かうに従って突出寸法(図12(b)の上下方向)が次第に小さくなるように形成されている。
また、他方突起75における吸込方向(内向き方向)D2に対し上流側の端部は、吸込方向D2に対し垂直な平坦面77に形成されている。
ここで、本実施形態においては、複数の一方突起71と、複数の他方突起75とが、ストレーナ7として機能する。さらに複数の一方突起71の各間と、複数の他方突起75の各間と、両突起71,75間の隙間とが、ストレーナ7の通水部70として機能するようになっている。
なおストレーナ7の吸込方向D2に対し上流側の端部(外側端部)は、前蓋5の両側端縁に対応する位置に配置されている。従ってストレーナ7は、第1,第2前方開放部49a,49bに隣接している。
図7A,7B,8Aに示すように前蓋5には、他方突起75における吐出方向D1に対し上流側に対応して、複数の第1,第2圧抜き孔51a,51bが周方向に並んで形成されている。各圧抜き孔51a,51bは、前蓋5を前後に貫通するように形成されており、この圧抜き孔51a,51bによって、流路仕切部材3における第1,第2流路43a,43bと、流路仕切部材3の前方外側との間が連通されている。
前蓋5の前面における第1,第2圧抜き孔51a,51bの周辺には、リブ53,53が前方に突出するように形成される。各リブ53,53は、前蓋5の両側縁部における第1,第2開口42a,42bに対応する部分を除いて、圧抜き孔51a,51bを数個ずつ取り囲むように形成されている。そしてこれらの各リブ53,53と、後述するフィルター部材9の環状内枠95とによって、前蓋5の前面側における圧抜き孔51a,51bの周辺が囲まれて、この囲まれた部分が第1,第2出口室50a,50bとして構成される。これにより、第1,第2出口室51a,50bがそれぞれ複数設けられ、各第1,第2出口室51a,51b内に、圧抜き孔51a,51bがそれぞれ複数固ずつ配置されているようになっている。
なお本実施形態においては、リブ53および後述のフィルター部材9の環状内枠95によって、第1,第2出口室50a,50bの周囲壁が構成されている。つまりリブ53によって、第1,第2出口室50a,50bの周囲壁の一部が構成されている。
また前蓋5の裏面における圧抜き孔51a,51bの吐出方向D1に対し上流側(内側)には、圧抜き孔51a,51bが形成されている領域の範囲内において、周方向に連続するリブ状の流動制御突起54が後方に突出するように形成されている。
この流動制御突起54は、その吐出方向D1に対し上流側の面が斜め切り状に形成されて、その面が吐出方向D1に傾斜する傾斜面に形成されている。
以上の構成の流路仕切部材3を、浴槽側壁Wに組み付けられた上記槽外取付部材1および雄ねじ部材2に組み付けるには、図1,2に示すように、流路仕切部材3における槽内突出部4の後方突縁部46を、雄ねじ部材2のフランジ部25に前面側から外嵌しつつ、流路仕切部材3の係止突起47を、雄ねじ部材2側の係止溝27に前面側から挿入する。続けて、流路仕切部材3を周方向に少量捻回操作することにより、流路仕切部材3の係止突起47を、係止溝27の入口側から周方向に位置ずれした奥端位置に侵入させて、流路仕切部材3を雄ねじ部材2に対して前方へ抜け出し不能とする。
その後、流路仕切部材3のロックピン取付部44に取り付けたロックピン(図示省略)を押し込み、そのロックピンの先端を、雄ねじ部材2において対応するいずれかのロック凹部26に嵌め込む。これにより、流路仕切部材3は、雄ねじ部材2に対し捻回不能となるため、流路仕切部材3の雄ねじ部材2との組付が意に反して解除されるのを防止することができる。
この組付状態では、流路仕切部材3における円筒部31の外周面に設けられたOリング81(図1参照)によって、その円筒部31と、槽外取付部材1の内筒部11との間の水密が図られるとともに、流路仕切部材3の槽内突出部4の後面に設けられたパッキン84によって、流路仕切部材3の槽内突出部4と、雄ねじ部材2のフランジ部25との間の水密が図られるようになっている。
なお図2,3等に示すように、雄ねじ部材2のロック凹部26および係止溝27は、周方向に沿って複数設けられており、各ロック凹部26および各係止溝27のいずれにも、流路仕切部材3の上記ロックピン5よび係止突起47を係合できるようになっている。従って流路仕切部材3は、所望の回転位置で取り付けることができるようになっている。本実施形態においては、流路仕切部材3を、その2つの開口42a,42bが下部両側に配置されるような回転位置で取り付けている。
このように流路仕切部材3を組み付けた状態においては、内側流路Aが、流路仕切部材3の第1連通孔41aを通じて、流路仕切部材3の第1流路43aに連通されるとともに、外側流路Bが、流路仕切部材3の第2連通孔41bを通じて、流路仕切部材3の第2流路43bに連通されている。従って、室外給湯機から槽外取付部材1の第1外管接続部1aに供給されたお湯(水)は、内側流路Aおよび第1流路43aを通って、第1開口42aから浴槽内に吐出するようになっている。さらに室外給湯機から槽外取付部材1の第2外管接続部1bに供給されたお湯(水)は、外側流路Bおよび第2流路43bを通って、第2開口42bから浴槽内に吐出するようになっている。
なお本実施形態の給湯口アダプターにおいて、槽外取付部材1、雄ねじ部材2および流路仕切部材3によって構成されるもの、換言すればフィルター部材9が取り付けられない状態のものをアダプター本体と称する。
図13A〜13D等に示すようにフィルター部材9は、金属製薄板のプレス成形品によって構成されたフィルターカバー90と、そのフィルターカバー90の内側に装着される環状内枠95とを基本的な構成要素として備えている。
フィルターカバー90は、円筒状の周側壁92と、その周側壁92の前面側に設けられた前壁91とを有している。
周側壁92には、上記流路仕切部材3の第1,第2開口42a,42bに対応して、第1,第2開口92a,92bが形成されている。周側壁92における第1,第2開口42a,42bの周縁部には、その周縁部が内側に曲げ加工されることにより、内曲げ部921,921が形成されている。さらに周側壁92には、周方向に間隔をおいて、複数の係合孔922が形成されている。
前壁91の外周縁部を除く中央部の全域に、多数の小孔からなる通水孔94が形成されている。
本実施形態においては、フィルターカバー90における第1,第2開口92a,92bが、それぞれ外側開口として構成されている。さらに通水孔94によって、お湯の通過を許容する通水部が構成される。
図15A〜15D等に示すように環状内枠95は、例えば硬質合成樹脂の一体成形品等によって構成されており、槽内突出部4の周側壁(周側面)に沿って配置可能に構成されている。この環状内枠95は、フィルターカバー90の周側壁92内に適合状態に収容される周側壁96を備えている。
周側壁96の前端全周には、内側に向かって突出する内向き突縁部961が形成されている。この内向き突縁部961は、孔等の通水部がなく、お湯が通過できないようになっている。本実施形態においては、内向き突縁部961が、第1,第2開口42a,42bの近傍における第1,第2流路43a,43bを構成する周壁部の一部としての流路周壁片として構成される。
周側壁96の後端全周には、外側に向かって突出する外向き突縁部963が形成されている。さらに周側壁96には、フィルターカバー90の上記複数の係合孔922に対応して、外側に突出し、かつ弾性を有する複数の係合突起962が形成されている。
また周側壁96の内側面には、上記流路仕切部材4の係止溝48に対応して、周方向に所定の間隔おきに3つの係止突起98が内側に突出するように形成されている。
周側壁96には、上記フィルターカバー90の第1,第2開口92a,92bに対応して、第1,第2開口97a,97bが形成されている。
この第1,第2開口97a,97bの周縁部は、その全周が内側に凹むように凹陥形成されて、シート設置面971が形成されている。
図14A,14Bに示すように、環状内枠95におけるシート設置面971の周方向の両端部には、シート設置面971を外側から覆うように、シート抑え片972が形成されている。
本実施形態においては、このシート抑え片972の内側面、つまりシート設置面971との対向面と、シート設置面971の両側端部とによって、シート取付溝975,975が形成されている。両側のシート取付溝975,975は、開放方向が互いに対向し合うように形成されている。さらにシート抑え片972の内側面は傾斜面に形成されて、これにより、シート取付溝975,975は、奥側に向かうに従って次第に幅サイズが狭くなる正面断面視で略V字状のV溝によって構成されている。
シート取付溝975,975は、図15Bの正面図等に示すように、前面側に開放しており、その前面開口部を介して前方から、後述のメッシュシート6の両端部を挿入できるようになっている。
本実施形態においては、環状内枠95における第1,第2開口97a,97bが、それぞれ内側開口として構成されている。さらに環状内枠95における第1,第2開口97a,97bと、フィルターカバー90における第1,第2開口92a,92bとによって、フィルター部材9の第1,第2開口(吐出側開口、吸込側開口)が構成される。さらにこのフィルター部材9の第1,第2開口、またはその第1,第2開口に設けられるメッシュシート6,6によって、お湯の通過を許容する通水部が構成される。また環状内枠95の周側壁96と、上記フィルターカバー90の周側壁92とによって、フィルター部材9の周側壁が構成されている。
環状内枠95の第1,第2開口97a,97bには、シート状フィルター素材としてのメッシュシート6,6が取り付けられる。
本実施形態において、メッシュシート6,6は、外周縁部を除く中間領域に多数の小孔61,61が形成された極薄の金属シートによって構成されており、柔軟性ないし可撓性を有している。なお本実施形態においては、メッシュシート6に、小孔61を形成する方法として、ウェットエッチング等のエッチング処理を採用している。
図14A,14Bに示すように、このメッシュシート6,6を環状内枠95の例えば第1開口97aに取り付けるには、メッシュシート6の長さ方向の両端部を、対応する両側のシート取付溝975,975に、その前面開口部(図15B参照)から差し込む。これにより、メッシュシート6を、第1開口97aの周縁部におけるシート設置面971上に設置する。このシート設置状態においては、メッシュシート6の両端が、V字状のシート取付溝975,975の奥まで差し込まれた状態となり、メッシュシート6の両端がシート抑え片972とシート設置面971とで挟持されるような状態となる。従ってメッシュシート6を、第1開口97aに安定した状態に仮止めすることができる。
また環状内枠95の第2開口97bにおいても、上記と同様に、メッシュシート6に仮止め状態に取り付ける。
こうしてフィルター6,6を仮止めした環状内枠95に、上記フィルターカバー90を組み付ける。
すなわちフィルターカバー90によって、環状内枠95を前方から覆うようにして、フィルターカバー90の周側壁92を、環状内枠95の周側壁96の外側に嵌め込む。このとき図13C,13Dに示すように、環状内枠95の係合突起962を、フィルターカバー90の係合孔922に弾性係合させることにより、フィルターカバー90を環状内枠95に不用意に外れない状態に固定する。
こうしてフィルターカバー90が環状内枠95に取り付けられて、フィルター部材9が組み立てられる。
この組付状態においては、図13D等に示すように、環状内枠95の内向き突縁部961が、フィルターカバー90の前壁91における外周縁部に接触し、かつ環状内枠95の外向き突縁部963がフィルターカバー90の周側壁92における後端縁に接触する。
さらにこの組付状態においては、フィルターカバー90の第1,第2開口92a,92bが、環状内枠95の第1,第2開口97a,97b、メッシュシート6,6に対応して配置される。さらに図14Aに示すようにフィルターカバー90における第1,第2開口92a,92bの周縁部の内曲げ部921,921が、メッシュシート6,6の外周縁部に対向して配置され、その内曲げ部921,921によって、メッシュシート6,6の外周縁部がシート設置面971側に抑え付けられるように固定される。これによりメッシュシート6,6が、第1,第2開口92a,97a,92b、97bに十分な強度で安定した状態に取り付けられる。
図1,2に示すように、この構成のフィルター部材9を、アダプター本体に組み付けるには、フィルター部材9の周側壁92,96を、流路仕切部材3の槽内突出部4にその前面側から外嵌しつつ、フィルター部材9における環状内枠95の係止突起98を、槽内突出部4側の係止溝48に前面側から挿入する。その後、フィルター部材9を周方向に少量捻回操作することにより、フィルター部材9の係止突起98を、係止溝48の入口側から周方向に位置ずれした奥端位置に侵入させる。これにより、フィルター部材9を槽内突出部4に対し前方へ抜け止め不能とした状態に組み付ける。
なお、フィルター部材9を上記と反対方向に捻回操作して、フィルター部材9の係止突起98を、係止溝48の奥端位置から入口側に移動させれば、フィルター部材9を槽内突出部4から取り外すことができるようになっている。
ここで、本実施形態においては、フィルター部材9をアダプター本体に組み付けた状態においては、流路仕切部材3の槽内突出部4に設けられた仕切壁部分45,55によって、槽内突出部4の前面とフィルター9との間(フィルター部材内部)が左右に分離されている。このため後述するように、第1,第2圧抜き孔51a,51のうち、一方の圧抜き孔から吐出したお湯が、フィルター部材9の内部を通って直接、他方の圧抜き孔や他方の開口に吸い込まれるような不具合、いわゆるショートサーキットを確実に防止することができる。
また図8Aに示すように環状内枠95の内向き突縁部961と、流路仕切部材3の前面に設けられたリブ53とによって、第1,第2圧抜き孔51a,51bにおける前方の周囲が囲まれて、既述したように第1,第2出口室50a,50bが形成される。この第1,第2出口室50a,50bは、フィルター部材9の前壁91における通水孔94を介して、フィルター部材9の前方に開放されている。
また流路仕切部材3の第1,第2開口42a,42bは、フィルター部材9の第1,第2開口92a,97a,92b、97bに対向して配置される。
さらに流路仕切部材3における第1,第2開口42a,42bの前方側に位置する第1,第2前方開放部49a,49bが、フィルター部材9の環状内枠95における内向き突縁部961によって閉塞されている。換言すれば、内向き突縁部961,961が、第1,第2開口42a,42bの近傍において、第1,第2流路43a,43bを構成する周壁の一部である前壁(流路周壁片)を構成している。従って、フィルター部材9をアダプター本体から取り外した際には、図8Bに示すように、第1,第2流路43a,43bにおける第1,第2開口42a,42bの近傍が、第1,第2前方開放部49a,49bおよび第1,第2開口42a,42bを介して前方から側方にかけて大きくに開放される。
以上のように構成された本実施形態の給湯口アダプターは、既述したように室外給湯機と配管接続する際に、槽外取付部材1における2つの外管接続部1a,1bに対して、室外給湯機につながる往き管および戻り管のどちらを接続しても使用可能な無極性タイプのものである。例えば第1外管接続部1aに往き管、第2外管接続部1bに戻り管を接続した状態において、追い焚き処理を行った場合には、給湯機から供給されるお湯が往き管および第1外管接続部1aを通って内側流路Aに導入され、さらにそのお湯が内側流路Aおよび流路仕切部材3の第1流路43aを通って、図8Aの矢符F1に示すように、流路仕切部材3の第1開口42a、およびフィルター部材9の第1開口92a,97aにおけるメッシュシート6を通って浴槽内に供給される。
吸込側では、給湯機の吸引力によって、戻り管および外側流路Bが負圧に設定されるため、流路仕切部材3の第2流路43bも負圧となる。従って、図8Aの矢符F2に示すように、浴槽内のお湯(水)は、フィルター部材9の第2開口92b,97bにおけるメッシュシート6、および流路仕切部材3の第2開口42bを通って、流路仕切部材3の第2流路43bに吸い込まれて、さらにその湯が外側流路Bおよび戻り管を通って給湯機に戻される。
従ってこのように配管接続された場合には、第1開口42aおよび第1流路43aが、吐出側の開口(吐出口)および吐出側の流路(吐出流路)として機能し、第2開口42bおよび第2流路43bが、吸込側(吸引側)の開口(吸込口、吸引口)および吸込側の流路(吸込流路、吸引流路)として機能する。
また、第2外管接続部1bに往き管、第1外管接続部1aに戻り管を接続した状態で、追い焚き処理を行った場合には、上記とは逆方向に循環する。すなわち給湯機からのお湯が、往き管、第2外管接続部1b、外側流路B、第2流路43b、第2開口42bおよびフィルター部材9のメッシュシート6を通って浴槽内に供給されるとともに、浴槽内のお湯は、フィルター部材9のメッシュシート6、第1流路43a、内側流路A、第1外管接続部1aおよび戻り管を通って給湯機に戻される。
従ってこのように配管接続された場合には、第2開口42bおよび第2流路43bが、吐出側の開口(吐出口)および吐出側の流路(吐出流路)として機能し、第1開口42aおよび第2流路43aが、吸込側の開口(吸込口、吸引口)および吸引側の流路(吸込流路、吸引流路)として機能する。
また本実施形態において、湯はり処理時には、給湯機から往き管および戻り管の双方にお湯が供給されて、そのお湯が第1,第2外管接続部1a,1b、流路A,B、第1,第2流路43a,43b、第1,第2開口42a,42bおよびフィルター部材9における第1,第2開口92a,97a,92b、97bのメッシュシート6,6を通って浴槽内に供給される。
以上のように構成された本実施形態の給湯口アダプターによれば、流路仕切部材3の開口42a,42bに、交互に配置された複数の一方突起71および複数の他方突起75によってストレーナ7を形成しているため、フィルター部材9を取り外した状態で使用した際、流路仕切部材3の開口42a,42bのうち吸込側の開口、例えば第2開口(吸込口)42bから、入浴者の髪の毛等が吸い込まれようとしても、髪の毛がアダプター内部に吸い込まれてしまうのを防止することができる。
また一方突起71および他方突起75間の通水部70をお湯がスムーズに通過することにより、優れた通水性能(吸引性能)を得ることができる。
なお言うまでもなく、第1開口42a側にも、一方突起71および他方突起75からなるストレーナ7を形成しているため、第1開口42aが吸込側の開口となった場合でも、上記と同様に、異物がアダプター内に侵入するのを防止することができるとともに、優れた通水性能を得ることができる。
また仮に、フィルター部材9を取り外した状態で、多量の髪の毛が吸込口42bから吸い込まれたとしても、その髪の毛を簡単に抜き取ることできる。すなわち、髪の毛が吸い込まれて吸込口42bが閉塞されると、一時的に、流路仕切部材3の第2流路(吸込流路)43b内の負圧が高くなり、吸引力が強くなるものの、流路仕切部材3の前蓋5に、吸込流路43bに連通する第2圧抜き孔51bを形成しているため、図8Bの矢符F3に示すように、負圧の上昇に伴って、槽内のお湯が圧抜き孔51bから吸込流路43b内に吸い込まれる。これにより、吸込流路43b内の負圧が軽減されて、吸引力が低下するため、吸込口42bに吸い込まれた髪の毛を、弱い力で無理なく簡単に抜き取ることができる。
さらに図8Bに示すように、圧抜き孔51bの周辺にリブ53を形成しているため、吸込口42bから髪の毛が吸い込まれたとしても、リブ53によって、圧抜き孔51bに髪の毛がまとわり付くのを防止することができ、圧抜き孔51bからのお湯の吸込を確実に行うことができ、吸込口42bに吸い込まれた髪の毛を、より一層簡単に抜き取ることができる。
なお言うまでもなく、流路仕切部材3の第1開口42a側が吸込口となる場合であっても、その吸込口42aから髪の毛が吸い込まれたとしても、上記と同様に、髪の毛を簡単に抜き取ることができる。
また本実施形態においては、アダプター本体にフィルター部材9が装着された際には、図8Aに示すように、フィルター部材9のメッシュシート6,6が存在することによって、吸込口(開口42aまたは42b)に髪の毛等が吸い込まれることはないので、何ら不具合が生じることはない。
一方、本実施形態において、開口42a,42bに設けられるストレーナ7は、交互に配置された一方突起71および他方突起75を備え、両突起71,75間に略波状の通水部70を形成するものである。この通水部70は、途切れずに連続するものであるため、既述したように髪の毛のような細長くて柔軟な繊維状の異物は通過できないものの、浴槽内で発生する湯垢のような粒状の異物は、比較的容易に通過することができる。
従って、本実施形態においては、追い焚き時に吐出側となる開口、例えば第1開口(吐出口)42a側に設けられたストレーナ7の内側に、湯垢等の異物が詰まって目詰まりが生じるのを防止することができる。すなわち、湯垢等の異物はお湯と共に、ストレーナ7の波状通水部70を通過して吐出口42aから吐出するため、ストレーナ7の内側に、湯垢等のゴミが絡み付いて目詰まりが生じるのを有効に防止することができる。
特に本実施形態においては、ストレーナ7を構成する一方突起71および他方突起75における吐出方向D1の上流側の端部に、上流側に向かうに従って次第に細くなるテーパー状のガイド部72,76を形成しているため、そのガイド部72,76のテーパー面で案内されることによって、湯垢等のゴミは突起71,75間の通水部70にスムーズに導かれて、その通水部70を通り抜ける。従って、ストレーナ7の内側にゴミが絡み付いて目詰まりが発生するのをより確実に防止することができる。
その上さらに本実施形態においては、ガイド部72,75の突出寸法を、吐出方向D1に対し上流側に向かうに従って次第に小さくなるようにしているため、湯垢等を通水部70により確実に導くことができ、湯垢等によるストレーナ内側のゴミ詰まりをより一層確実に防止することができる。
ここで、フィルター部材9をアダプター本体に組み付けている場合には、湯はり時に、吐出口42aのストレーナ7を通って吐出した湯垢等のゴミが、フィルター部材9のメッシュシート6に絡み付いて、メッシュシート6にゴミ詰まり(目詰まり)が発生するおそれがある。
そこで、本実施形態においては、圧抜き孔51a,51bを、フィルター部材9によって閉塞せずに、通水孔94を介して前方へ開放しているため、図8Aの矢符F4示すようにメッシュシート6にゴミGが付着して目詰まりしても、お湯が第1流路43aから第1圧抜き孔51aを通って、フィルター部材9の通水孔94を通って前方へ吐出することになる。従って、フィルター部材9のメッシュシート6の内側にゴミ詰まりが発生したとしても、お湯を確実に浴槽内に吐出することができ、ゴミ詰まりがあっても追い焚きや湯はりを確実に行うことができる。しかも圧抜き孔51aから吐出されるお湯は、通水孔94を通って前方へ吐出されるため、そのお湯によって、良好な撹拌効果を得ることができる。
さらに圧抜き孔51aを多数形成しているため、多数の圧抜き孔51aから均等にお湯が吐出されることにより、お湯が偏って吐出されるのを有効に防止することができる。
また前蓋5の前面側における圧抜き孔51aの周囲を、リブ53およびフィルター部材9の環状内枠95によって取り囲むことにより、出口室50aを形成し、圧抜き孔51aから吐出されたお湯が、この出口室50a内を通過するようにしている。この出口室50aは、容量が小さくて狭い空間部となっているため、出口室50a内においてお湯の水圧を十分に確保でき、お湯の流速を十分に確保することができる。このため、お湯がフィルター部材9の前方へ勢い良く吐出され、十分な撹拌効果をより確実に得ることができる。
なお、本実施形態では、多数の圧抜き孔51aが広範囲にわたって形成されているものの、出口室50aを複数形成して、各出口室50a内に数個ずつ圧抜き孔51aを配置するようにしている。このため、各出口室50aの容量を小さくできて、各出口室50aでのお湯の流速を十分に確保することができる。
また本実施形態において、第2開口42b側が吐出口となる場合であっても、上記と同様に、ゴミ詰まり時に、お湯を確実に浴槽内に供給できるとともに、十分な撹拌効果も得ることができる。
ここで、ゴミ詰まり時に、圧抜き孔51aから吐出するお湯の一部が、フィルター部材9の内部を対流することがある。本実施形態においては、このお湯が、フィルター部材9の内部を通って、吸込口42b側に移動して吸込口42bから吸い込まれるような不具合(ショートサーキット)を確実に防止することができる。すなわち本実施形態においては、流路仕切部材3の前面側に、フィルター部材9の内部を、吐出側と吸込側とに左右に分離する仕切壁45,55を形成しているため、吐出口42a側からフィルター部材9の内部に吐出したお湯が、吸込口42bのある吸込側に流動することはなく、上記ショートサーキットをより確実に有効に防止することができる。
なお、第2開口42b側が吐出口となる場合であっても、同様に、ショートサーキットをに防止することができる。
ここで、本実施形態においては、圧抜き孔51a,51bの孔径は、フィルター部材9の通水孔94の孔径に対し同等もしくは大きく形成するのが良い。すなわち、圧抜き孔51a,51bの孔径が小さ過ぎる場合には、フィルター部材9の通水孔94を通過した異物が、圧抜き孔51a,51bに詰まってしまうおそれがあるためである。具体的には、圧抜き孔51a,51bの孔径(内直径)は1.0mm程度に設定するのが良い。
また本実施形態においては、第1開口42aの開口面積に対する第1圧抜き孔51aの総開口面積、または第2開口42bの開口面積に対する第2圧抜き孔51bの総開口面積を15%〜25%に設定するのが良い。すなわち圧抜き孔51a,51bの開口面積が大き過ぎる場合には、ゴミ詰まりのない通常状態においても、圧抜き孔51a,51bから多量のお湯が吐出されて、浴槽内に不用意なお湯の流れが形成されてしまうおそれがある。逆に圧抜き孔51a,51bの開口面積が小さ過ぎる場合には、ゴミ詰まり時に、圧抜き孔51a,51bから十分なお湯が吐出されず、お湯の供給を十分に行うことができないおそれがある。
また図8Aに示すように、フィルター部材9におけるメッシュシート6の内側に付着したゴミGは、フィルター部材9をアダプター本体から取り外して、清掃すれば、簡単に取り除くことができる。
さらに本実施形態においては、図8Aに示すようにメッシュシート6の内側に多量のゴミGが詰まって、そのゴミGが、アダプター本体の第1流路(吐出流路)43a内に入り込んで付着していたとしても、そのゴミGを簡単に取り除くことができる。
すなわち本実施形態においては、吐出流路43aの吐出口42aの周縁部における前方開放部49aを、フィルター部材9の環状内枠95によって閉塞するようにしている。つまり吐出口近傍の吐出流路43aを構成する周壁部の一部を、フィルター部材9の環状内枠95によって構成している。このため図8Bに示すように、アダプター本体からフィルター部材9を取り外せば、前方開放部49aおよび吐出口42aを介して吐出流路43aの吐出口近傍を前方側に大きく開放させることができる。従ってこの前方開放部49aから吐出口42aにかけての開放部を介して、吐出流路43a内に入り込んだゴミGを簡単に取り除くことができる。
しかも本実施形態においては、ストレーナ7を前方開放部49aの近傍に配置しているため、ストレーナ7に詰まったゴミGも、前方開放部49aおよび吐出口42aを介して簡単に取り除くことができる。
このように本実施形態では、吐出流路43a内や、ストレーナ7に詰まったゴミGを簡単に除去できて、清掃を簡単に行うことができる。
なお、第2開口42b側が吐出口となる場合であっても、同様に、吐出流路43b内や、ストレーナ7に詰まったゴミGを簡単に取り除くことができる。
ここで、本実施形態においては、ストレーナ7における一方突起71の各間の寸法、他方突起75の各間の寸法、両突起71,75間の隙間寸法は、フィルター部材9の通水孔94の孔径に対し同等もしくは大きく形成するのが良い。すなわち、上記の各寸法が小さ過ぎる場合には、フィルター部材9の通水孔94を通過した異物が、ストレーナ7に詰まって目詰まりが発生してしまうおそれがあるためである。具体的には上記各寸法を1.0mm程度に設定するのが良い。
また本実施形態において、吸込側となる開口、例えば第2開口(吸込口)42bの周辺、例えばメッシュシート6やストレーナ7にゴミ詰まりが発生して、吸込口42bからのお湯の吸込が不十分となった場合には、第2流路(吸込流路)43b内の負圧が上昇する。そうすると、吸込流路43bに通じる圧抜き孔51bおよび出口室50bも負圧となるため、お湯がフィルター部材9の通水孔94から出口室50bおよび圧抜き孔51bに吸い込まれ、さらに吸込流路43b内に吸い込まれる。従って、ゴミ詰まり等により吸込口42bからのお湯の吸込が不十分となっても、お湯を確実に吸い込んで循環させることができる。
なお、第1開口42aが吸込側となる場合であっても、同様に、ゴミ詰まり対してもお湯の吸込を確実に行うことができる。
また本実施形態では、第1,第2流路43a,43bの内部において、前蓋5の裏面側における圧抜き孔51a,51bの吐出方向D1に対し上流側に、流動制御突起54を形成しているため、その突起54によって、お湯の流動を適正に制御することができる。例えば、ゴミ詰まりのない通常状態で、吐出側となった流路43aまたは43bにおいては、お湯が圧抜き孔51aまたは51bから吐出されるのを防止しつつ、お湯を開口42aまたは42bから確実に吐出させることができる。従って、追い焚き時等に不用意にお湯が給湯口アダプターの前面から吐出されるような不具合を防止することができる。
また流動制御突起54の作用によって、ゴミ詰まりのない通常状態で、吸引側となった流路43aまたは43bにおいては、お湯を開口42aまたは42bから吸い込むことができるとともに、圧抜き孔51aまたは51bからも吸い込むことができる。従って、お湯を給湯口アダプターの前方から吸い込んで側方から吐出するという理想的なお湯の循環を行うことができ、撹拌効果をより一層向上させることができ、温度ムラの発生等をより一層確実に防止することができる。
また本実施形態においては、既述したように、フィルター部材9を組み立てるに際して、メッシュシート6を、シート取付溝975,975に差し込むだけで簡単に、環状内枠95に仮止めすることができる。
しかも、シート取付溝975,975は、奥に向かうに従って幅が次第に狭くなる断面V字状に形成されているため、メッシュシート6の両端をシート取付溝975,975の差し込めば、メッシュシート6の両端における表裏表面がシート取付溝975,975の両側内面で挟持され、メッシュシート6を、環状内枠95に安定した状態に仮止めすることができる。このため、メッシュシート6付きの環状内枠95にフィルターカバー90を外嵌する際に、メッシュシート6が不用意に脱落してしまうようなことがなく、フィルターカバー90を環状内枠95に簡単に取り付けることができる。
このようにメッシュシート6の環状内枠95への装着作業や、フィルターカバー90の環状内枠95への装着作業を簡単に行うことができ、ひいてはフィルター部材9の組立作業を容易に行うことができる。
また本実施形態においては、フィルターカバー90における第1,第2開口92a,92bの開口縁部に、その開口縁部を内側に押し曲げるようにして、内曲げ部921,921を形成しているため、フィルターカバー90を環状内枠95に外嵌すると同時に、内曲げ部921,921によって、メッシュシート6,6の外周縁部がシート設置面971,971側に抑え込まれる。このため、メッシュシート6,6がシート設置面971,971から浮き上がってしまうのを防止でき、メッシュシート6,6をシート設置面971,971に確実に固定することができる。従って、フィルター部材9の組付後において、メッシュシート6,6が不用意に脱落する等の不具合を防止することができる。
その上さらに、本実施形態においては、フィルターカバー90の内曲げ部921,921によって、メッシュシート6,6を抑え込んで固定するものであるため、メッシュシート6,6を抑え込むための部材を別途必要とせず、その分、部品点数を削減できて、フィルター部材9の組付作業をより一層簡単に行えるとともに、コストも削減することができる。さらに部品点数の削減によって、フィルター部材9をより一層薄型に仕上げることができ、美観をより一層向上させることができる。
さらにフィルターカバー90における第1,第2開口92a,92bの周縁部に内曲げ部921,921を形成することによって、内曲げ部921,921の先端面(切断端面)が内側に向いて配置されるため、内曲げ部921,921の切断端面がフィルター部材9の内部に配置される。このため、内曲げ部921,921の切断端面に、指先等が接触するような不具合を確実に防止することができる。
また本実施形態のメッシュシート6は、金属シートの中央に、エッチング等によって多数の小孔61を形成するだけで簡単に製造することができる。
すなわち従来一般に用いられているメッシュシートは、極細の針金等の線状金属を網状に編み、その網状部材を所定のサイズに裁断してから、外周縁部を樹脂等でコーティングして外周枠部を形成することによって製造するようにしている。このため、針金の編み加工や、裁断加工、樹脂コーティング加工等の多くの加工が必要で、製造が困難になるおそれがある。しかも、樹脂コーティング加工は、緻密で繊細な作業となり、この点においても、製造が困難になってしまう。さらに樹脂コーティングの加工精度が悪かったり、長期間使用すると、針金の端面が露出してしまい、針金がほころびて、十分な耐久性が得られないばかりか、フィルター機能が阻害されてしまうおそれもある。
これに対し、本実施形態のメッシュシート6は、主として、金属シートの裁断加工と、エッチング等による孔開け加工と行うだけで簡単に製造することができる。しかも、本実施形態のメッシュシート6は、中央の小孔61群からなる通水部と、外周枠部とが一体に形成されているため、上記従来のように針金がほころびるような不具合がなく、十分な耐久性を得ることができるとともに、フィルター機能が損なわれることもない。
なお、上記実施形態の給湯口アダプターにおいては、湯はり時に、往き管および戻り管の双方で浴槽内にお湯を供給するダブル搬送式のものを用いているが、それだけに限られず、本発明は、湯はり時に、往き管のみからお湯を浴槽内に供給するようにしたシングル搬送式の給湯口アダプターにも適用することができる。
また上記実施形態においては、シート状フィルター素材として、金属シートに小孔を多数形成したメッシュシートを用いる場合を例に挙げて説明したが、本発明のシート状フィルター素材はそれだけに限られない。例えば極細の針金が網状に組み込まれたタイプのフィルター素材を用いるようにしても良い。
また上記実施形態においては、流路仕切部材3における第1,第2前方開放部49a,49bを、第1,第2開口42a,42bに連通させるようにしているが、本発明はそれだけに限られない。本発明においては、例えば第1,第2前方開放部を、第1,第2開口に対し非連通状態に形成するようにしても良い。つまり、第1,第2前方開放部と、第1,第2開口との間を前壁の一部によって仕切るようにしても良い。この場合であっても、第1,第2前方開放部のみを介して、第1,第2流路内のゴミを取り除くことができる。
また上記実施形態においては、第1,第2流路43a,43bの双方に、ストレーナ7を設ける場合を例に挙げて説明したが、それだけに限られず、本発明においては、第1,第2流路のうち少なくとも吸込側の開口にストレーナを設けるようにすれば良い。
また上記実施形態のストレーナ7においては、複数の一方突起71と、複数の他方突起75との先端が、後壁41と前蓋5との間のほぼ中間位置に配置されるしているが、本発明は、それだけに限られない。例えば一方突起71と、他方突起75との先端が、それぞれ中間位置まで到達しないように寸法設定することにより、両突起71,75の先端同士が同士が周方向に重なり合わず、一方突起71と他方突起75との間に周方向に連続する隙間が形成されるようにしてもよい。さらに複数の一方突起の各間に、各他方突起が配置されるようにして、一方突起71と他方突起75との間に周方向に連続する隙間が形成されないようにしても良い。要は本発明においては、複数の一方突起の各間に対応して、各他方突起がそれぞれ設けられていれば良い。
また本発明においては、ストレーナ9を流路43a,43bに対し、着脱自在に取り付けるようにしても良い。例えば、ストレーナに流路に着脱自在な支持枠を設け、支持枠に一方突起および他方突起を設けておき、支持枠を流路に対し着脱することによって、ストレーナを流路に対し着脱できるようにすれば良い。