JP5800042B2 - 流体噴射装置及び手術用器具 - Google Patents
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Description
前記出口流路の前記流体室に連通する端部とは異なる端部に連通した流体噴射開口部と、
前記入口流路に流体を供給する圧力発生部と、
前記容積変更部を前記流体室の容積を圧縮するように動作させる圧縮駆動波形部と、前記容積変更部を前記流体室の容積を圧縮前の容積に復帰するように動作させる復帰駆動波形部とを1周期の信号波形に含む駆動信号を前記容積変更部に供給する駆動信号供給部と、を備え、
前記駆動信号供給部は、前記駆動信号における前記圧縮駆動波形部を前記容積変更部に供給してから次の前記圧縮駆動波形部を前記容積変更部に供給するまでの間に、前記流体室内に向かって流れる流体を定常状態に復帰させる復帰期間を設けるように前記駆動信号の供給内容を制御する。
これにより、流体室内に向かう流体の流れが定常状態に戻ってから、容積変更部に次の圧縮動作を行わせることができるので、噴射力を強い状態で且つ一定に保ちながら流体の噴射を継続して行うことができるという効果が得られる。
ここで、上記連通とは、直接、間接を問わず、一方と他方とが流体の流通が可能に接続されていることである。例えば、出口流路の一端部と、流体噴射開口部とが直接、又は流路管などを介して互いを流体が流通できるように接続されている状態が該当する。
前記駆動信号供給部は、次の式の関係が成立する時間幅Tredの前記圧縮駆動波形部及び時間幅Texpの前記復帰駆動波形部を含んで構成される駆動信号を、前記容積変更部に供給することを特徴とする請求項1に記載の流体噴射装置。
ここで、入口流路の流体室側に作用する運動量Mgは、入口流路の断面積をsとすると、Mg=s×Tred×(Pgen−Psup)となり、入口流路の圧力発生部側に作用する運動量Msは、Ms=s×Texp×Psupとなる。また、一般に、Psupは、Pgenと比較して、はるかに小さな値となる(Pgen≫Psup)。
従って、上記構成であれば、上記数式の関係を満たす、時間幅Tredの圧縮駆動波形部及び時間幅Texpの復帰駆動波形部とを有する駆動信号を容積変更部に供給することができるので、駆動信号の1周期の期間において、流体は真空状態から元の定常状態に復帰することができる。
また、例えば、図16に示すバースト波のように急速立ち上げ後に急速立ち下げし、その後、次の信号を供給する前に流体室に向かう流れの復帰を待つことが考えられる。
これにより、ガスによる気泡によって、流体室の剛性が下がるのを防ぐことができるという効果も得られる。
このような構成であれば、流体室の容積の圧縮後に、復帰期間として、容積変更部を、流体室の容積を所定期間一定に保つ(容積の変更を停止する)ように動作させることができる。
更に、真空泡が消失又は略消失した後に容積を復帰させることができるので、流体からのガスの放出を抑制することができるという効果も得られる。
前記駆動信号供給部は、前記波形情報記憶部に記憶された波形情報に基づき前記駆動信号を生成し、前記駆動信号を前記容積変更部に供給する。
このような構成であれば、例えば、所定の周期でサンプリングした波形データを波形情報として記憶することで、該波形データから容易に目的の波形の駆動信号を生成することができる。
これによって、前半周期の時間幅よりも後半周期の時間幅の方が長く、且つ1周期の信号波形が単純な正弦波とはならない駆動信号を簡易に構成することができるという効果が得られる。つまり、復帰駆動波形部に復帰期間が含まれた駆動信号を簡易に構成することができる。
このような構成であれば、駆動信号(アナログ信号)を、正弦波信号などにしたときよりも少ないサンプリング数の波形データから生成することができるので、波形情報記憶部に記憶する波形データのデータ容量を小さくすることができる。
前記駆動信号供給部は、前記波形情報記憶部に記憶された前記節点情報に基づき前記台形波の駆動信号を生成する。
また、駆動信号を生成するためにリアルタイムのアクセスをする必要がある場合に、駆動信号を正弦波信号としたときと比較して、少ないデータ量の読み出しで済むので、正弦波信号としたとき程、高速なアクセス機構を必要としない。
従って、様々な波長や振幅の波形情報を用いた駆動制御を、駆動信号を正弦波信号としたときと比較して、低コストで実現することができるという効果が得られる。
このような構成であれば、出口流路の流体室側端部から流れてくる流体を、出口流路の流体噴射開口部側端部において、より高圧、高速のパルス状の液滴として噴射することができるという効果が得られる。
このような構成であれば、容積変更部を駆動して流体室の容積を圧縮させたときに、入口流路から流体室への流体の流入量よりも大きい脈動流が出口流路に発生し、接続流路管内にパルス状の流体吐出を行うことができる。
このような構成であれば、容積変更部を駆動して流体室の容積を圧縮させたときに、入口流路から流体室への流体の流入量よりも大きい脈動流が出口流路に発生し、接続流路管内にパルス状の流体吐出を行うことができる。
このような構成であれば、より強い流体の噴射が可能になると共に、例えば、本形態の流体噴射装置を手術用器具として適用した場合に、脳手術等の術部が奥まった場所にある様々な手術において適用可能となる。
前記駆動信号供給部は、前記駆動信号における前記圧縮駆動波形部の供給によって、前記圧電素子を伸長させて前記ダイアフラムを前記流体室の内側に向かって変形させ、前記駆動信号における前記復帰駆動波形部の供給によって、前記圧電素子を収縮させて前記ダイアフラムの変形状態を元の状態に復帰させる。
前記容積変更部を前記流体室の容積を圧縮するように動作させる圧縮駆動波形部と、前記容積変更部を前記流体室の容積を圧縮前の容積に復帰するように動作させる復帰駆動波形部とを1周期の信号波形に含む駆動信号を前記容積変更部に供給する駆動信号供給部を備え、
前記駆動信号供給部は、前記駆動信号における前記圧縮駆動波形部を前記容積変更部に供給してから次の前記圧縮駆動波形部を前記容積変更部に供給するまでの間に、前記流体室内に向かって流れる流体を定常状態に復帰させる復帰期間を設けるように前記駆動信号の供給内容を制御する。
このような構成であれば、上記形態1の流体噴射装置と同等の作用及び効果が得られる。
前記駆動信号供給部に、前記容積変更部を前記流体室の容積を圧縮するように動作させる圧縮駆動波形部と、前記容積変更部を前記流体室の容積を圧縮前の容積に復帰するように動作させる復帰駆動波形部とを1周期の信号波形に含む駆動信号を前記容積変更部に供給させる駆動信号供給ステップを含み、
前記駆動信号供給ステップにおいて、前記駆動信号供給部に、前記駆動信号における前記圧縮駆動波形部を前記容積変更部に供給してから次の前記圧縮駆動波形部を前記容積変更部に供給するまでの間に、前記流体室内に向かって流れる流体を定常状態に復帰させる復帰期間を設けるように前記駆動信号の供給内容を制御させる。
これにより、上記形態1の流体噴射装置と同等の作用及び効果が得られる。
形態1乃至形態13のいずれか1に記載の流体噴射装置を備える。
このような構成であれば、上記形態1乃至13のいずれか1の流体噴射装置による流体の噴射によって、腫瘍などの患部の切除などの治癒的措置の支援を行うことが可能である。
以下、本発明の第1の実施の形態を図面に基づき説明する。図1〜図8は、本発明に係る流体噴射装置、流体噴射装置の駆動装置、流体噴射装置の駆動方法及び手術用器具の第1の実施の形態を示す図である。
なお、本発明による流体噴射装置は、インク等を用いた描画、細密な物体及び構造物の洗浄、物体の切断や切除、手術用メス等様々に採用可能であるが、以下に説明する実施の形態では、生体組織を切開または切除することに好適な流体噴射装置を例示して説明する。従って、実施の形態にて用いる流体は、水、生理食塩水、薬液等である。
流体噴射装置1は、図1に示すように、基本構成として流体を収容する流体容器10と、圧力発生部としてのポンプ20と、ポンプ20から供給される流体を脈動流動する脈動発生部100とを含んで構成される流体噴射部2と、脈動発生部100を駆動する駆動部30とを含んで構成されている。
次に、図1及び図2に基づき、流体噴射装置1における流体の流動を簡単に説明する。
ここで、図2は、本発明に係る脈動発生部100の構造を示す断面図である。なお、図2において、左右方向が上下方向に対応する。また、図2は、後述する図3におけるA−A'断面図である。
また、特に、脳手術のときのように、機器の故障が重大な事故を引き起こす恐れがある場合には、接続チューブ25の切断等において高圧な流体が噴出することは避けなければならず、このことからも低圧にしておくことが要求される。
ここで、図3は、流体噴射部2の分解図であり、図4は、入口流路503の形態を示す平面図であり、上ケース500を下ケース301との接合面側から視認した状態を表している。
脈動発生部100は、図2〜図4に示すように、4隅に螺子穴500aの穿設された上ケース500と、4隅に螺子穴301a(図示は省略)の穿設された下ケース301とを備えている。そして、これら上ケース500と下ケース301とがそれぞれ対向する面において、螺子穴500a及び301aが対向するように接合され、4本の固定螺子600(図示は省略)を螺子穴500a及び301aに螺合することによって上ケース500と下ケース301とが螺着されている。
この圧電素子401は、積層型圧電素子であってアクチュエータを構成している。圧電素子401の一方の端部は上板411を介してダイアフラム400に、他方の端部は底板311の上面312に固着されている。
この構成により、駆動部30によって、圧電素子401に駆動信号を入力することで、圧電素子401が伸張、収縮し、その伸長時の上方向の力及び収縮時の下方向の力が上板411を上下方向に移動させる。そして、上板411が移動することでダイアフラム400が変形し、流体室501の容積を変更する。
上ケース500は、下ケース301と対向する面の中心部に円形の凹部が形成され、この凹部とダイアフラム400とから構成され、内部に流体が充填された状態の回転体形状が流体室501である。つまり、流体室501は、上ケース500の凹部の封止面505と内周側壁501aとダイアフラム400によって囲まれた空間となる。流体室501の略中央部には出口流路511が穿設されている。
なお、以上説明した流体室501の形状は、本実施形態では、両端が封止された略円筒形状としているが、側面視して円錐形や台形、あるいは半球形状等でもよく限定されない。例えば、出口流路511と封止面505との接続部を漏斗のような形状にすれば、後述する流体室501内の気泡を排出しやすくなる。
接続流路管200の先端部には、ノズル211が挿着されている。このノズル211には流体噴射開口部212が穿設されている。流体噴射開口部212の直径は、接続流路201の直径より小さい。
ここで、上ケース500と下ケース301とを組立てたとき、ダイアフラム400の周縁部と補強板410の周縁部とは、上ケース500の封止面505の周縁部と下ケース301の凹部303の底面によって密接されている。この際、パッキン450は上ケース500と下ケース301によって押圧されて、流体室501からの流体漏洩を防止している。
図2に示すようにパッキン450を配設すると、流体室501から高圧で漏洩してくる流体の圧力によってパッキン450が圧縮され、パッキンボックス304,506内の壁にさらに強く押圧されるので、流体の漏洩を一層確実に阻止することができる。このことから、駆動時において流体室501内の高い圧力上昇を維持することができる。
入口流路503は、図4に示すように、上ケース500の封止面505の周縁部に形成された溝部と封止面505に押圧固定される補強板410によって形成される。
入口流路503は、一方の端部が流体室501に連通し、他方の端部が接続流路504に連通している。入口流路503と接続流路504との接続部には、流体溜り507が形成されている。そして、流体溜り507と入口流路503との接続部は滑らかに丸めることによって流体抵抗を減じている。
そして、中心部に集められた気泡は、出口流路511から排除される。このことから、出口流路511は旋回流の中心近傍、つまり回転形状体の軸中心部に設けられることがより好ましい。図4の例では、入口流路503は平面形状が渦巻状に湾曲されている。入口流路503は、直線で流体室501に連通させてもよいが、狭いスペースの中で所望のイナータンスを得るために、入口流路503の流路長を長くする必要性から湾曲させている。
また、手術に用いる場合には、接続流路管200を用いてハンドピースと流体噴射口の距離がある構成にしたほうが好適である。
まず、イナータンスについて説明する。
イナータンスLは、流体の密度をρ、流路の断面積をS、流路の長さをhとしたとき、L=ρ×h/Sで表される。流路の圧力差をΔP、流路を流れる流体の流量をQとした場合に、イナータンスLを用いて流路内の運動方程式を変形することで、ΔP=L×dQ/dtという関係が導き出される。
また、複数の流路の並列接続や、複数の形状が異なる流路の直列接続に関する合成イナータンスは、個々の流路のイナータンスを電気回路におけるインダクタンスの並列接続、または直列接続と同様に合成して算出することができる。
また、出口流路側のイナータンスL2は、接続流路201の直径が出口流路よりもはるかに大きく、接続流路管200の管部(管壁)の厚さが薄い場合イナータンスL2への影響は軽微である。従って、出口流路側のイナータンスL2は出口流路511のイナータンスに置き換えてもよい。
そして、本実施形態では、入口流路側のイナータンスL1が出口流路側のイナータンスL2よりも大きくなるように、入口流路503の流路長及び断面積、出口流路511の流路長及び断面積を設定している。
ここで、図5は、駆動部30の詳細な構成を示すブロック図である。また、図6は、駆動部30における信号波形の生成処理を示すフローチャートである。また、図7は、駆動部30における脈動発生部100への駆動信号の供給処理を示すフローチャートである。
駆動部30は、図5に示すように、動作制御部30aと、信号波形生成部30bと、データ記憶部30cと、駆動信号供給部30dと、同期信号発生部30eとを含んで構成されている。
信号波形生成部30bは、入力装置を介したユーザの入力情報に基づき設定された流体噴射部2の噴射強さに基づき、データ記憶部30cに記憶された波形情報、データテーブル及び測定データを用いて、脈動発生部100を駆動するのに適切な形状の信号波形を生成する機能を有している。
本実施の形態の信号波形生成部30bは、下式(1)の関係が成立する圧縮駆動波形部及び復帰駆動波形部から構成される信号波形を生成するようになっている。
Tred×(Pgen−Psup)≦Texp×Psup ・・・(1)
以下、上式(1)について説明する。
つまり、Texpの期間で与えられる運動量Msが、Tredの期間で与えられる運動量Mg以上であれば、流体は元の定常状態に復帰することができる。
従って、1周期の信号波形が、上式(1)の関係を満たす時間幅Tredの圧縮駆動波形部及び時間幅Texpの復帰駆動波形部とから構成される駆動信号を、容積変更部を構成する圧電素子401に供給することで、駆動信号の1周期の期間において、流体を元の定常状態へと復帰させることができる。これにより、定常状態に戻る前に圧電素子401に次の1周期の圧縮駆動波形部が供給されるのを防ぐことができるので、それが要因で生じる流体の噴射力の低下を防ぐことができる。
なお、正弦波の波形情報は、基本情報を1つだけ、又はいくつかを記憶し、この基本情報から演算処理によって所望の波形情報を生成するようにしてもよい。
そのため、ユーザによって設定された噴射強さに対応する信号波形のTred及びTexpを、流体噴射部2の有する、流体室501や入口流路503などの圧力を測定できる圧力センサ(図示は省略)からの測定データなどに基づき決定する機能を有している。
具体的に、供給指令に含まれる波形指定情報に基づき、該当する波形情報(デジタルの波形データ)をデータ記憶部30cから読み出し、該読み出した波形情報をDA変換してアナログの駆動信号を生成し、該生成した駆動信号を同期信号に同期させて圧電素子401に供給する。なお、波形指定情報は、上記信号波形生成部30bで生成した信号波形に付された識別情報などとなる。
同期信号発生部30eは、セラミック振動子、水晶振動子などの発振子、カウンタ(又はPLL回路)などを含み、発振子から出力される信号を基準クロック信号clkとして、該clkから同期信号を生成する機能を有している。そして、基準クロック信号及び同期信号を駆動信号供給部30dに供給する。
そして、電源を投入すると、ROM等に記憶されたシステムプログラムが、ROMに予め記憶された上記各部の機能を実現するための各種専用のコンピュータプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムに記述された命令に従ってプロセッサが各種リソースを駆使して所定の制御および演算処理を行うことで前述したような各機能をソフトウェア上で実現するようになっている。
プロセッサによって専用のプログラムが実行され、信号生成処理が開始されると、図6に示すように、まず、ステップS100に移行する。
ステップS100では、信号波形生成部30bにおいて、動作制御部30aからの信号波形の生成指令が入力されたか否かを判定し、入力されたと判定した場合(Yes)は、ステップS102に移行し、そうでない場合(No)は、入力されるまで判定処理を繰り返す。
ステップS104では、信号波形生成部30bにおいて、入力装置を介してユーザによって噴射強さが設定されたか否かを判定し、設定されたと判定した場合(Yes)は、ステップS106に移行し、そうでない場合(No)は、設定されるまで判定処理を繰り返す。
ステップS108では、信号波形生成部30bにおいて、データ記憶部30cに記憶された所定種類の噴射強さに対する復帰信号波形部の時間幅Texpが登録されたデータテーブルに基づき、ステップS104で設定された噴射強さに対する仮のTexpを決定し、ステップS110に移行する。
ステップS112では、信号波形生成部30bにおいて、ステップS112で読み出した2種類の波形情報から生成される信号波形の一方の前半半周期と他方の後半半周期とを合成して1周期の信号波形を生成して、ステップS114に移行する。
ステップS116では、駆動信号供給部30dにおいて、動作制御部30aからの駆動指令に応じて、同期信号発生部30eからの同期信号に同期して、ステップS112で生成したデジタルの波形信号(波形情報)をアナログの波形信号にDA変換してなる駆動信号を、脈動発生部100の圧電素子401に出力して、ステップS118に移行する。
ステップS122に移行した場合は、信号波形生成部30bにおいて、ステップS112で生成した信号波形の波形情報を、該波形情報に固有の識別情報と対応付けてデータ記憶部30cに記憶して、ステップS124に移行する。
ステップS126では、駆動信号供給部30dにおいて、1周期分の信号波形を全て出力後に、駆動信号の供給を停止して、一連の処理を終了する。
一方、ステップS120において条件を満足せずに、ステップS128に移行した場合は、信号波形生成部30bにおいて、上式(1)の関係を満たすように、Texpを調整して、ステップS130に移行する。
なお、ステップS102〜S104における流体の噴射強さの設定は、流体噴射部2の性能に応じた範囲指定で行うようにしてもよい。この場合は、設定された範囲における噴射強さ毎に、ステップS106〜S124の処理を繰り返し行うようにする。
プロセッサにより専用のプログラムが実行され、駆動信号供給処理が開始されると、図7に示すように、まず、ステップS200に移行する。
ステップS200では、駆動信号供給部30dにおいて、動作制御部30aからの駆動指令が入力されたか否かを判定し、入力されたと判定した場合(Yes)は、ステップS202に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS200に移行する。
ステップS204では、駆動信号供給部30dにおいて、ステップS202で設定された波形種類の波形情報をデータ記憶部30cから読み出して、ステップS206に移行する。
ステップS208では、駆動信号供給部30dにおいて、動作制御部30aから停止指令が入力されたか否かを判定し、入力されたと判定した場合(Yes)は、ステップS210に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS206の駆動信号の出力処理を続行する。
ステップS212では、駆動信号供給部30dにおいて、動作制御部30aから再開指令が入力されたか否かを判定し、入力されたと判定した場合(Yes)は、ステップS206に移行して駆動信号の出力処理を再開し、そうでない場合(No)は、ステップS214に移行する。
ここで、図8は、2種類の正弦波を合成して生成した信号波形の一例を示す図である。
まず、信号波形の生成処理の具体的な動作について説明する。
入力装置を介して利用者からの信号波形の較正指示が駆動部30に入力されると、動作制御部30aは、信号波形の生成指令を信号波形生成部30bに出力する。
一方、信号波形生成部30bは、信号波形の生成指令を受けると、流体の噴射強さの設定処理に移行する(ステップS100の「Yes」の分岐)。
入力装置を介したユーザの入力情報によって噴射強さが設定されると(ステップS104の「Yes」の分岐)、データ記憶部30cに記憶されたTredを決定するためのデータテーブルに基づき、設定された噴射強さに対応するTred(設定された噴射強さに一番近い値に対応するもの)を決定する(ステップS106)。
Tred及び仮のTexpが決定されると、信号波形生成部30bは、次に、データ記憶部30cから、1周期が、決定したTredの2倍(例えば、0.2[ms])に最も近い正弦波sin1の前半半周期の波形情報と、1周期が、決定した仮のTexpの2倍に最も近い正弦波sin2の後半半周期の波形情報とを読み出す(ステップS110)。
信号波形が生成されると、信号波形生成部30bは、該生成した信号波形で駆動信号供給部30dに脈動発生部100の圧電素子401を駆動させるための駆動要求を動作制御部30aに出力する(ステップS114)。
一方、駆動信号供給部30dは、動作制御部30aから、上記生成した信号波形の駆動信号の供給指令を受けると、同期信号発生部30eからの同期信号に同期して、供給指令に含まれる波形情報をDA変換し、DA変換後のアナログ信号を駆動信号として脈動発生部100の圧電素子401に出力する(ステップS116)。
そして、測定したPgen及びPsupが、上式(1)の関係を満たすか否かを判定する(ステップS120)。
この場合は、上式(1)より、「0.1×(12−2)≦Texp×2=0.5≦Texp」となる。従って、Texpが0.5[ms]未満のときは、上式(1)の関係を満たしていないと判定される(ステップS120の「No」の分岐)。
信号波形生成部30bは、生成した波形情報の信号波形で圧電素子401を駆動するように駆動要求を動作制御部30aに出力する(ステップS114)。これにより、調整後の信号波形によって圧電素子401が駆動され(ステップS116)、再び、圧力センサの検出データに基づき、Pgenと、Psupとが測定される(ステップS118)。
Tred及びTexpが上式(1)の関係を満たすと判定されると、信号波形生成部30bは、このTred及びTexpに対応する1周期分の信号波形の波形情報を、識別情報に対応付けてデータ記憶部30cに記憶する(ステップS122)。
また、1周期の波形情報に限らず、複数周期の波形情報として記録するようにしてもよい。その場合は、隣り合う上記1周期の波形において、一方の圧縮駆動波形部と他方の復帰駆動波形部の最低値同士を接続する。
これにより、動作制御部30aは、圧電素子401への駆動信号の供給を停止させる、駆動信号の供給停止指令を駆動信号供給部30dに出力する。
次に、駆動信号の供給処理の具体的な動作について説明する。
利用者によって駆動スイッチ(不図示)が押下され、駆動信号の供給指示が駆動部30に入力されると、動作制御部30aは、駆動信号の供給指令を駆動信号供給部30dに出力する。
供給指令には、駆動信号として用いる波形情報の識別情報を含む指定波形情報が含まれているので、指定波形情報に対応する識別情報の波形情報を駆動に用いる波形情報として設定する(ステップS202)。ここでは、上記生成した図8に示す太線の信号波形の波形情報が設定されたとする。
ここで、圧電素子401に駆動信号が入力され、Tred(0.1[ms])の時間で急激に圧電素子401が伸張したとすると、流体室501内の圧力は、入口流路側及び出口流路側のイナータンスL1,L2が十分な大きさを有していれば急速に上昇して数十気圧に達する。
しかし、入口流路503のイナータンスL1は、出口流路511のイナータンスL2よりも大きいため、入口流路503から流体が流体室501へ流入する流量の減少量よりも、出口流路から吐出される流体の増加量のほうが大きいため、接続流路201にパルス状の流体吐出、つまり、脈動流が発生する。この吐出の際の圧力変動が、接続流路管200内を伝播して、先端のノズル211の流体噴射開口部212から流体が噴射される。
一方、流体室501内は、入口流路503からの流体流入量の減少と出口流路511からの流体流出の増加との相互作用で、圧力上昇直後に真空状態となる。
一方、圧力上昇後は、Texp(0.5[ms])の期間において、伸長状態にある圧電素子401は、伸長時の時間Tred(0.1[ms])の5倍の時間をかけてゆっくりと収縮していく。これによって、真空泡の拡大が抑制されるので、流体室501内のガスの発生を抑えつつ、流体の流れは、駆動信号を供給する前の定常状態へと復帰する。
従って、図8に示す太線の信号波形の駆動信号を連続で圧電素子401に供給することで、高い噴射力を維持した状態で、ノズル211からの脈動流を継続して噴射することができる。
また、信号波形生成部30bにおいて、流体噴射部2のPgen及びPsupの値に応じて、適切な信号波形の波形情報を生成することができるので、Pgen及びPsupの異なる流体噴射部への交換などを容易に行うことができる。
以下、本発明の第2の実施の形態を図面に基づき説明する。図9は、本発明に係る流体噴射装置、流体噴射装置の駆動装置、流体噴射装置の駆動方法及び手術用器具の第2の実施の形態を示す図である。
本実施の形態における信号波形生成部30bは、圧縮駆動波形部と復帰駆動波形部との間に、復帰駆動波形部の一部を拡張して、流体室501を圧縮後に、その容積を維持(容積変更を停止)するように圧電素子401を駆動する出力レベルの波形部の設けられた信号波形を生成するようになっている。
具体的には、図9(a)に示す正弦波信号の前半半周期t1を上式(1)の関係を満たす時間幅Tred(t1=Tred)の圧縮駆動波形部とし、同じ正弦波信号の後半半周期t2(t1=t2)における最大値の期間を、上式(1)の関係を満たすTexpの期間に拡張し、この拡張部を含む波形部を復帰駆動波形部とした図9(b)に示すような波形形状の信号波形を生成する。
本実施の形態の信号波形生成処理は、上記第1の実施の形態の図6のフローチャートにおけるステップS110、S112及びS130の処理内容が異なるのみで、他のステップの処理は同様となる。
以下、本実施の形態のステップS110及びS112の処理を説明する。
ステップS112では、信号波形生成部30bにおいて、ステップS108で仮決定したTexpに基づき、ステップS110で読み出した波形情報の後半半周期を拡張した信号波形を生成して、ステップS114に移行する。
ここで、Tredに対応する波形情報は、合致するものが無い場合は最も近いものを読み出し、補正して用いる。
まず、信号波形の生成処理の具体的な動作について説明する。
Tredの決定処理及びTexpの仮決定処理は上記第1の実施の形態と同様となるので、決定後の処理から説明する。
Tred及び仮のTexpが決定されると、信号波形生成部30bは、次に、データ記憶部30cから、1周期が、決定したTredの2倍(例えば、0.2[ms])に最も近い正弦波sin1の前半半周期の波形情報を読み出す(ステップS110)。
以降の処理(ステップS114〜S120,S128)は、上記第1の実施の形態と同様となるので、ステップS128でTexpを調整後の処理から説明する。
そして、駆動要求を出力して(ステップS114)、駆動信号供給部30dに、この生成した波形情報の信号波形によって圧電素子401を駆動させる(ステップS116)。
この判定により、Texpを調整後の波形情報が、上式(1)の関係を満たしている場合(ステップS120の「Yes」の分岐)は、この波形情報を、識別番号に対応付けてデータ記憶部30cに記憶する(ステップS122)。以降のステップS124〜S126の処理は、上記第1の実施の形態と同様となるので説明を省略する。
具体的に、図9(b)に示すように、復帰駆動波形部の最大値の期間が約0.4[ms]間継続する波形形状となる信号波形を生成する。
駆動信号供給処理の動作は上記第1の実施の形態と同様となるので説明を省略する。
以下、本発明の第3の実施の形態を図面に基づき説明する。図10〜図14は、本発明に係る流体噴射装置、流体噴射装置の駆動装置、流体噴射装置の駆動方法及び手術用器具の第3の実施の形態を示す図である。
本実施の形態のデータ記憶部30cは、周期や振幅の異なる複数種類の台形波の1周期の節点の情報(時間、電圧レベル)を波形情報として記憶し、更にそれ以外の各構成部の処理に用いるデータを記憶する記憶媒体を含んで構成され、各構成部からの読み出し要求に応じて記憶媒体に記憶されたデータを読み出し、各構成部からの書き込み要求に応じて記憶媒体にデータを書き込む機能を有している。
ここで、図10は、本実施の形態の駆動信号供給部30dの詳細な構成を示すブロック図である。
本実施の形態の駆動信号供給部30dは、図10に示すように、補間部31と、カウンタ33と、増幅器35とを含んだ構成となっている。
ここで、図11は、駆動信号を構成する台形波の一例を示す図である。
増幅器35は、カウンタ33から入力される信号を、圧電素子401を駆動するのに適切なレベルに増幅して、脈動発生部100の圧電素子401に出力する機能を有している。
ここで、図12は、駆動信号供給処理における本実施の形態の駆動信号の出力処理(上記第1の実施の形態のステップS204〜ステップS206に対応)を示すフローチャートである。
ステップS300では、補間部31において、データ参照アドレスAに、駆動信号として設定された波形情報の開始アドレスを設定して、ステップS302に移行する。
ステップS302では、補間部31において、アドレスAの時刻データ「read(A,1)」を変数T(1)に読み込んで、ステップS304に移行する。
ステップS304では、補間部31において、アドレスAの波形データ「read(A,2)」を変数D(1)に読み込んで、ステップS306に移行する。
これにより、「D(1)=read(A,2)」となる。
ステップS306では、補間部31において、変数cntに、カウンタの初期値としてステップS304で読み込んだD(1)の値をセットして、ステップS308に移行する。
ステップS308では、補間部31において、後述するカウンタ条件セット処理を実行してカウンタ条件をセットし、ステップS310に移行する。
ステップS310では、補間部31において、同期信号を検出したか否かを判定し、検出したと判定した場合(Yes)は、ステップS312に移行し、そうでない場合(No)は、同期信号を検出するまで判定処理を繰り返す。
ステップS314では、カウンタ33において、変数kの値は変数Nの値よりも小さいか否かを判定し、小さいと判定した場合(Yes)は、ステップS316に移行し、そうでない場合(No)は、ステップS322に移行する。ここで変数Nは、ある節点から次の節点に至るまでに必要な時間軸のカウント回数を設定する変数であり、後述するカウンタ条件セット処理において設定される。
ステップS318では、補間部31において、変数cntの現在の値に変数Sの値を加算して、ステップS320に移行する。ここで、変数Sは、ある節点から次の節点に至るまでの、カウント1回あたりの電圧軸のカウント増減量を設定する変数であり、後述するカウンタ条件セット処理において設定される。変数Sの値が正であれば、カウンタ33はSの値だけカウントアップされ、変数Sの値が負であれば、カウンタ33はSの値だけカウントダウンされる。
一方、ステップS314において、変数kの値が変数Nの値以上となり、ステップS322に移行した場合は、補間部31において、次の節点データがあるか否かを判定し、あると判定した場合(Yes)は、ステップS324に移行し、そうでない場合(No)は、一連の処理を終了して元の処理に復帰する。
ステップS324に移行した場合は、補間部31において、カウンタ条件セット処理を実行してカウンタ条件をセットし、ステップS312に移行する。
ここで、図13は、ステップS308、S324のカウンタ条件セット処理を示すフローチャートである。
ステップS400では、補間部31において、データ参照アドレスAの値に1を加算して、ステップS402に移行する。
ステップS402では、補間部31において、アドレスAの時刻データを変数T(2)に読み込んで、ステップS404に移行する。
ステップS404では、補間部31において、アドレスAの波形データを変数D(2)に読み込んで、ステップS406に移行する。
これにより、「D(2)=read(A,2)」となる。
ステップS406では、補間部31において、変数T(2)の値から変数T(1)の値を減算した値をクロック信号clkの1周期の時間(t_clk)で除算した値を、次の節点に至るまでに必要な時間軸のカウント回数として変数Nに代入して、ステップS408に移行する。
ステップS410では、補間部31において、変数T(1)に変数T(2)の値を代入し、変数D(1)に変数D(2)の値を代入して、一連の処理を終了し元の処理に復帰する。
ここで、図14は、本実施の形態の波形情報の一例を示す図である。また、図15は、台形波の駆動信号の出力例を示す図である。
Tredの決定処理及びTexpの仮決定処理は上記第1の実施の形態と同様となるので、決定後の処理から説明する。
ここで、読み出した台形波の波形情報における節点AとEの間の時間幅が上記決定したTredと異なっている場合は、読み出した波形情報の時間情報を補正する。
なお、台形波の信号波形の他の生成方法としては、上記第1の実施の形態のように、周期の異なる2種類の台形波の波形情報の一方の前半半周期と他方の後半半周期とを合成して生成する方法がある。更に、その節点AとEの間の時間幅の補正は上記同様で、節点CとEの間の時間幅を補正するときに、上記第2の実施の形態のように、節点CとDとの間の時間幅を拡張して行う方法がある。
信号波形生成部30bは、Texpを調整すると、上記決定したTredの2倍の周期に対応する台形波の波形情報をデータ記憶部30cから読み出し(ステップS130)、読み出した波形情報のうち節点CとEの間の時間幅を、調整後のTexpとなるよう補正して、Texpを調整後の波形情報を生成する(ステップS112)。
圧電素子401に駆動信号が供給されると、信号波形生成部30bは、Pgen及びPsupを測定し(ステップS118)、これら測定結果と、Tred及び調整後のTexpとが、上式(1)の関係を満たすか否かを判定する(ステップS120)。
次に、駆動信号供給処理の動作を説明する。
利用者によって駆動スイッチ(不図示)が押下され、駆動信号の供給指示が駆動部30に入力されると、動作制御部30aは、駆動信号の供給指令を駆動信号供給部30dに出力する。
供給指令には、駆動信号として用いる波形情報の識別情報を含む指定波形情報が含まれているので、指定波形情報に対応する識別情報の波形情報を駆動に用いる波形情報として設定する(ステップS202)。ここでは、図14に示す波形情報が設定されたこととする。
次に、アドレス101の波形データP0を変数D(1)に読み込む(ステップS304)。これによって、「D(1)=P0」となる。
カウンタ条件セット処理が開始されると、まず、データ参照アドレスAの値に1を加算する(ステップS400)。これにより、「A=102」となる。
次に、変数T(2)に、アドレス102の時刻データt1を読み込み(ステップS402)、変数D(2)に、アドレス102の波形データP1を読み込む(ステップS404)。これによって、「T(2)=t1、D(2)=P1」となる。
次に、変数D(2)の値P1から変数D(1)の値P0を減算し、この減算結果をカウント回数Nで除算して電圧軸のカウンタ増減量を算出し、該算出結果「(P1−P0)/N」を変数Sに代入する。これにより、「S=(P1−P0)/N」となる。
カウンタ33に対するカウンタ条件がセットされると、次に、補間部31は、同期信号発生部30eからの同期信号が検出されるのを待ち、同期信号が検出されると(ステップS310の「Yes」の分岐)、変数kに「0」を設定して初期化し、kの値「0」とNの値「(t1−t0)/t_clk」とを比較して、kの値がNの値よりも小さいか否かを判定する(ステップS314)。
図15に示す例では、P0及びP1が「0[V]」となっているので、カウンタ増減量Sは「0」となり、変数kの値が増加していっても、変数cntの値は初期値「0」のままとなる。従って、カウンタ33から増幅器35には、kの値がNの値よりも小さい間は「0[V]」の信号波形が出力され続ける。
上記同様にステップS400〜S410を経て、「A=103」、「T(2)=t2」、「D(2)=P2」、「N=(t2−t1)/t_clk」、「S=(P2−P1)/N」、「T(1)=t2」、「D(1)=P2」となる。
図15に示す例では、P2が「0[V]よりも大きい値(ここでは、3[V]とする)」となっているので、カウンタ増減量Sは「(3/N)[V]」となり、変数kの値が1増加していく毎に、変数cntの値は「(3/N)[V]」ずつ増加した値となる。従って、カウンタ33から増幅器35には、kの値が「1」増える毎に「(3/N)[V]」ずつ増加する信号波形が出力される。
上記同様にステップS400〜S410を経て、「A=104」、「T(2)=t3」、「D(2)=P3」、「N=(t3−t2)/t_clk」、「S=(P3−P2)/N」、「T(1)=t3」、「D(1)=P3」となる。
図15に示す例では、P3が「P2と同じ値(3[V])」となっているので、カウンタ増減量Sは「0[V]」となり、変数kの値が増加していっても、変数cntの値は「3[V]」のままとなる。従って、カウンタ33から増幅器35には、kの値がNの値よりも小さい間は「3[V]」の信号波形が出力され続ける。従って、カウンタ33から増幅器35には、kの値が「1」増える毎に「3[V]」の信号波形が出力される。
上記同様にステップS400〜S410を経て、「A=105」、「T(2)=t4」、「D(2)=P4」、「N=(t4−t3)/t_clk」、「S=(P4−P3)/N」、「T(1)=t4」、「D(1)=P4」となる。
図15に示す例では、P4が「0[V]」でP3が「3[V]」となっているので、カウンタ増減量Sは「(−3/N)[V]」となり、変数kの値が1増加していく毎に、変数cntの値は、3[V]から「(−3/N)[V]」ずつ減少した値となる。従って、カウンタ33から増幅器35には、kの値が「1」増える毎に前の値よりも「(−3/N)[V]」ずつ減少する信号波形が出力される。
以上、説明したように、本実施の形態の流体噴射装置1は、台形波の節点データをデータ記憶部30cに記憶しておけば、この節点データを用いて接点間のデータを補間しながらアナログの台形波の信号波形から構成される駆動信号を脈動発生部100の圧電素子401に供給することができる。
また、上記ステップS208〜S220、及び上記ステップS300〜S324のフローチャートに示すアルゴリズムを用いて信号波形の出力処理を行うようにしたので、駆動信号の供給指令及び停止指令を、どのようなタイミングで入力しても、圧電素子401への駆動信号の供給を、必ず波形の最初から始まって、最後で終わるように行うことができる。
なお、上記第1の実施の形態では、流体噴射部2のPgen及びPsupの測定値に応じて、適切な信号波形の波形情報を生成することができる構成を説明したが、この構成に限らず、予めPgen及びPsupの値に応じた信号波形の波形情報を生成して保持する構成としてもよい。この構成であれば、駆動部30が同じ圧力仕様の流体噴射部2にしか対応できなくなるが、圧力センサ、信号波形生成部30bなどを設ける必要がなくなるので、その分のコスト(センサのコスト、プログラムの作成コストなど)を低減することができる。また、他の形態として流体噴射部2に、工場出荷前に予め測定したPgen及びPsupの値を持たせておき(例えば、値の記憶されたメモリを付加する)、流体噴射部2の交換時や電源投入時などにおいて、Pgen及びPsupの値を取得して、Pgen及びPsupの値に応じた信号波形の波形情報を生成する構成としてもよい。この構成であれば、複数種類の圧力仕様に対応できると共に、Pgen及びPsupを測定するための圧力センサを設ける必要がなくなるので、その分のコストを低減することができる。
Claims (11)
- 容積が変更可能な流体室と、
前記流体室に連通する入口流路及び出口流路と、
駆動信号の供給に応じて前記流体室の容積を変更可能な容積変更部と、
前記出口流路に連通する流体噴射開口部と、
前記流体室の容積を減少するように前記容積変更部を動作させる第一の駆動波形部と、前記流体室の容積が減少前の容積に復帰するように前記容積変更部を動作させる第二の駆動波形部とを一周期の信号波形に含む駆動信号を前記容積変更部に供給可能な駆動信号供給部と、を備え、
前記駆動信号供給部は、
前記第一の駆動波形部の時間幅をTredとし、前記第二の駆動波形部の時間幅をTexpとしたとき、次の式の関係が成立するような前記駆動信号を供給可能であり、
Texp≧5・Tred
前記駆動信号は、
前記第一の駆動波形部として、一周期の時間幅がT1の正弦波の一部を含み、
前記第二の駆動波形部として、一周期の時間幅がT2(T1<T2)の正弦波の一部を含む、
ことを特徴とする流体噴射装置。 - 前記第一の駆動波形部の供給期間における前記流体室内の平均圧力をPgenとし、前記第二の駆動波形部の供給期間における前記入口流路の入口側にかかる圧力をPsupとしたとき、
前記駆動信号供給部は、次の式の関係
Tred×(Pgen−Psup)≦Texp×Psup
が成立する時間幅Tredの前記第一の駆動波形部及び時間幅Texpの前記第二の駆動波形部を含んで構成される駆動信号を、前記容積変更部に供給可能である、ことを特徴とする請求項1に記載の流体噴射装置。 - 前記駆動信号供給部は、前記第一の駆動波形部と前記第二の駆動波形部との間に、前記第二の駆動波形部の一部に信号の出力レベルを一定のレベルに所定期間保持する波形部を有する駆動信号を前記容積変更部に供給可能である、ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の流体噴射装置。
- 前記駆動信号の波形情報を記憶する波形情報記憶部を備え、
前記駆動信号供給部は、前記波形情報記憶部に記憶された波形情報に基づき前記駆動信号を生成し、前記駆動信号を前記容積変更部に供給することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の流体噴射装置。 - 前記一周期の信号波形を台形波の形状としたことを特徴とする請求項3に記載の流体噴射装置。
- 前記駆動信号の波形情報を記憶する波形情報記憶部を備え、
前記波形情報として前記台形波の節点情報を前記波形情報記憶部に記憶し、
前記駆動信号供給部は、前記波形情報記憶部に記憶された前記節点情報に基づき前記台形波の駆動信号を生成することを特徴とする請求項5に記載の流体噴射装置。 - 前記出口流路の流体室側端部の直径が、前記出口流路の流体噴射開口部側端部の直径よりも大きい、ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の流体噴射装置。
- 前記入口流路のイナータンスが、前記出口流路のイナータンスよりも大きい、ことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の流体噴射装置。
- 前記入口流路を含む前記流体室上流側の合成イナータンスが、前記出口流路を含む前記流体室下流側のイナータンスよりも大きいことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の流体噴射装置。
- 前記出口流路に一方の端部が連通され、他方の端部が前記出口流路の直径よりも縮小された流体噴射開口部が設けられた接続流路を有する接続流路管を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の流体噴射装置。
- 流体の噴射によって患部の治療的措置を支援する手術用器具であって、
請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の流体噴射装置を備えることを特徴とする手術用器具。
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