図1はこの発明の実施例に係る船外機の制御装置を示すブロック図である。
図1において、符号1は船外機10が船体(艇体)12に搭載されてなる船舶を示す。船外機10は、船体12の後尾(船尾)12aに複数基、具体的には2基固定される。即ち、船体12には船外機が多基掛け(2基掛け)される。以下、左舷側(進行方向前方に向かって左側)の船外機を「第1船外機」といい、符号10Aで示す一方、右舷側(同右側)の船外機を「第2船外機」といい、符号10Bで示す。
船体12の操縦席の付近には、操船者(図示せず)によって回転操作自在なステアリングホイール16が配置される。ステアリングホイール16のシャフト16aには操舵角センサ18が取り付けられ、操船者によって入力されたステアリングホイール16の操舵角に応じた信号を出力する。
操縦席の付近にはさらに、リモートコントロールボックス20が配置され、そこには操船者によって操作自在な複数本(2本)のシフトレバー(シフト・スロットルレバー)22が設けられる。以下、進行方向前方に向かって左側に配置されたシフトレバーを「第1シフトレバー22A」といい、同右側に配置されたシフトレバーを「第2シフトレバー22B」という。
第1シフトレバー22Aは、初期位置から前後方向に揺動操作自在とされ、操船者からの第1船外機10Aに対するシフトチェンジ指示(フォワード(前進)/リバース(後進)/ニュートラル(中立)切り替え指示)と、エンジンに対する加速/減速指示を含むエンジン回転数の調節指示を入力する。同様に、第2シフトレバー22Bも初期位置から前後方向に揺動操作自在とされ、操船者からの第2船外機10Bに対するシフトチェンジ指示とエンジン回転数の調節指示を入力する。
第1シフトレバー22Aの付近には、第1レバー位置センサ24Aが設置され、第1シフトレバー22Aの位置に応じた信号を出力する。また、第2シフトレバー22Bの付近にも第2レバー位置センサ24Bが設けられ、第2シフトレバー22Bの位置に応じた信号を出力する。
操舵角センサ18と第1、第2レバー位置センサ24A,24Bの出力は、船体12の適宜位置に配置された電子制御ユニット(Electronic Control Unit。以下「ECU」という)26に入力される。ECU26はCPUやROM,RAMなどを備えたマイクロ・コンピュータからなる。以下、このECUを「船体側ECU26」という。
図2は図1に示す第1船外機10Aの部分断面側面図である。尚、第1船外機10Aと第2船外機10Bは略同一構成であるので、図面および以下の説明では、船外機を特に区別する場合を除いて添え字(A,B)の付加を省略する。
船外機10は、図2に示す如く、スイベルケース30、チルティングシャフト32およびスターンブラケット34を介して船体12に装着される。
スイベルケース30の上部には、スイベルケース30の内部に鉛直軸回りに回転自在に収容されるスイベルシャフト36を駆動する転舵用電動モータ(アクチュエータ。図1にのみ示す)40が配置される。転舵用電動モータ40の回転出力は減速ギヤ機構(図示せず)、マウントフレーム42を介してスイベルシャフト36に伝達され、よって船外機10はスイベルシャフト36を転舵軸として左右に(鉛直軸回りに)転舵される。
船外機10の上部には、複数の気筒(正確には6気筒)を有する内燃機関(原動機。以下「エンジン」という)44が搭載される。エンジン44は火花点火式のV型多気筒(6気筒)ガソリンエンジンで、排気量3500ccを備える。エンジン44は水面上に位置し、エンジンカバー46によって覆われる。
エンジン44の吸気管50には、スロットルボディ52が接続される。スロットルボディ52はその内部にスロットルバルブ54を備えると共に、スロットルバルブ54を開閉駆動するスロットル用電動モータ(アクチュエータ)56が一体的に取り付けられる。
スロットル用電動モータ56の出力軸は減速ギヤ機構(図示せず)を介してスロットルバルブ54に接続され、スロットル用電動モータ56を動作させることでスロットルバルブ54が開閉され、エンジン44の吸気量が調量されてエンジン回転数が調節される。尚、船外機10はエンジン44に取り付けられたバッテリなどの電源(図示せず)を備え、それから各電動モータ40,56などに動作電源が供給される。
船外機10は、鉛直軸と平行に配置されて回転自在に支持されるドライブシャフト60と、水平軸回りに回転自在に支持されると共に、その一端にプロペラ62が取り付けられるプロペラシャフト64とを備える。尚、ドライブシャフト60とプロペラシャフト64の付近は、図2に矢印で示すように、エンジン44の排気管66から放出された排気が通過し、その排気はプロペラ62の後方の水中へと排出される。
ドライブシャフト60の上端にはエンジン44のクランクシャフト(図示せず)が接続される一方、下端にはピニオンギヤ68が設けられる。プロペラシャフト64には、前進ギヤ(前進ベベルギヤ)70と後進ギヤ(後進ベベルギヤ)72が回転自在に設けられる。前進ギヤ70と後進ギヤ72は、上記したピニオンギヤ68と係合(噛合)され、相反する方向に回転させられる。また、前進ギヤ70と後進ギヤ72の間には、プロペラシャフト64と一体に回転するクラッチ74が配置される。
クラッチ74は、対応するシフトレバー22(即ち、第1船外機10Aの場合は第1シフトレバー22A、第2船外機10Bの場合は第2シフトレバー22B)の操作に応じて変位させられ、例えば前進ギヤ70に係合させられるとき、ドライブシャフト60の回転がピニオンギヤ68と前進ギヤ70を介してプロペラシャフト64に伝達され、プロペラ62が回転して船体12を前進させる方向の推力(推進力)を生じる。これにより、フォワード位置が確立される。
一方、クラッチ74が後進ギヤ72に係合させられると、ドライブシャフト60の回転がピニオンギヤ68と後進ギヤ72を介してプロペラシャフト64に伝達され、プロペラ62が前進時とは逆方向に回転して船体12を後進させる方向の推力を生じる。これにより、リバース位置が確立される。また、クラッチ74が前進ギヤ70および後進ギヤ72のいずれとも係合させられなければ、ドライブシャフト60の回転のプロペラシャフト64への伝達が遮断され、これによりニュートラル位置が確立される。
このクラッチ74を変位させてシフトポジションを切り替え自在とした構成について具体的に説明すると、クラッチ74は、鉛直方向と平行に回転自在に支持された第1のシフトシャフト76の下端にシフトスライダ80を介して接続される。第1のシフトシャフト76の上端は、エンジンカバー46の内部空間に位置させられると共に、その上端付近には、鉛直方向と平行に回転自在に支持された第2のシフトシャフト82が配置される。
第1のシフトシャフト76の上端には第1のギヤ84が取り付けられる一方、第2のシフトシャフト82の下端には第2のギヤ86が取り付けられると共に、第1のギヤ84と第2のギヤ86は噛合される。
図3は、図2に示す第2のシフトシャフト82付近を上方から見たときの平面図である。尚、図3においては、理解の便宜上および図示の簡略化のため、第2のギヤ86などを省略する。また、図3の紙面下方が船体12側となるようにして示す。
図3に示す如く、第2のシフトシャフト82の上端にはシフトアーム90が固定して取り付けられる。また、船外機10の適宜位置には、長孔92aが穿設されたシフトリンクブラケット92が設置されると共に、長孔92aにはリンクピン94が摺動自在に配置される。
リンクピン94は、プッシュプルケーブル96を介して前記した船体12のシフトレバー22(正確には、第1船外機10Aの場合は第1シフトレバー22A、第2船外機10Bの場合は第2シフトレバー22B)に接続される。リンクピン94はさらに、上面視略L字状を呈するリンク98を介してシフトアーム90の一端90aに回転自在に接続される。
このように構成することで、操船者によってシフトレバー22が操作されると、プッシュプルケーブル96が動作してリンクピン94は長孔92aを摺動させられ、それに伴ってリンク98が変位し、シフトアーム90は第2のシフトシャフト82を回動軸として回動させられる。
第2のシフトシャフト82の回動は、図2に示す第2のギヤ86、第1のギヤ84を介して第1のシフトシャフト76に伝達されて回動させると共に、第1のシフトシャフト76の回動に応じてシフトスライダ80およびクラッチ74が適宜に変位させられ、それによって前述の如く、シフトポジションがフォワード位置、リバース位置、ニュートラル位置の間で切り替えられる。尚、図3においては、シフトポジションがニュートラル位置にあるときを実線で示すと共に、フォワード位置にあるときを一点鎖線、リバース位置にあるときを二点鎖線で示す。
このように、第2のシフトシャフト82は、操船者の操作に応じて回動してシフトポジションを前後進ギヤ70,72に係合させてエンジン44の駆動力(出力)をプロペラ62に伝達するインギヤ位置(具体的には、フォワード位置およびリバース位置)と前記駆動力の伝達を遮断するニュートラル位置との間で切り替える。
第2のシフトシャフト82の近傍には、ニュートラルスイッチ(接触スイッチ)100とシフトスイッチ(接触スイッチ)102がシフトシャフト82を挟むように配置されて固定される。
図4は図2に示す第2のシフトシャフト82とシフトアーム90を取り出して示す拡大側面図、図5は図4に示す第2のシフトシャフト82とシフトアーム90の拡大平面図である。
図3から図5を参照しつつ説明すると、ニュートラルスイッチ100は、前記したシフトアーム90の回動に応じて作動点が設定されて出力(オン信号)を生じる。詳しくは、シフトアーム90において一端90aのシフトシャフト82を挟んで反対側の他端90bは、上面視略円弧状を呈するカム形状とされる。シフトアーム90の他端90bに対向する位置には、プレート104(図3にのみ示す)が配置される。
プレート104は、一端104aが船外機10の適宜位置に固定される一方、他端104bがニュートラルスイッチ100に当接(接触)自在に位置される。また、プレート104の中央部においてシフトアーム90の他端90bと対向する面には、凸部(突起)104cが形成される。プレート104は薄板ばね(弾性材)からなり、凸部104cをシフトアーム90の他端90b方向に押圧する。これにより、凸部104cは他端90bと常に当接させられることとなる。
シフトアーム90の他端90bには、凸部104cを嵌合可能な形状を呈する凹部90b1が形成される。以下、他端90bにおいて凹部90b1以外の残余の部位(略円弧状の部位)を「第1の円弧部」といい、符号90b2で示す。
上記した凹部90b1は、図3に示す如く、第2のシフトシャフト82の回動角度(回動位置)がニュートラル位置を示す範囲にあるとき(例えば図3に実線で示す状態のとき)、凸部104cが嵌合されるような位置に形成される。一方、第2のシフトシャフト82の回動角度がニュートラル位置以外、具体的にはフォワード位置またはリバース位置を示す範囲にあるとき(例えば図3に一点鎖線または二点鎖線で示す状態のとき)、凸部104cが凹部90b1に嵌合されないように設計される、別言すれば、凸部104cと他端90bの第1の円弧部90b2が当接するように設計される。
これにより、操船者のシフトレバー操作に応じて第2のシフトシャフト82が回動し、その回動角度がニュートラル位置を示す範囲にあるときは、プレート104の凸部104cが他端90bの凹部90b1に嵌合するため、プレート104の他端104bが紙面下方に移動し、ニュートラルスイッチ100に接触してオン信号を出力させる。
他方、第2のシフトシャフト82の回動角度がニュートラル位置以外を示す範囲にあるときは、凸部104cが第1の円弧部90b2に当接するため、プレート104の他端104bは、図3に一点鎖線で示す如く、後退させられてニュートラルスイッチ100に接触しなくなって出力(オン信号)を生じない、即ち、オフされることとなる。このように、シフトアーム90はニュートラルスイッチ100を作動させるためのカムとしても機能する。
図6は、ニュートラルスイッチ100とシフトスイッチ102がオン信号を出力する作動範囲(オン範囲)を説明するための説明図である。尚、図6にあっては、理解の便宜のため、第2のシフトシャフト82に突起を設けて回動角度(回動位置)を模式的に示す(実際に突起があるわけではない)。
図6に示す如く、第2のシフトシャフト82の回動角度においてニュートラル位置を示す範囲、換言すれば、ニュートラルスイッチ100がオン信号を出力する範囲を「第1の作動範囲」といい、具体的には約25度とされる。また、第2のシフトシャフト82は、ニュートラル位置を示す第1の作動範囲の両側に約30度ずつ回動可能、具体的にはフォワード側に約30度、リバース側に約30度の合計約85度の範囲で回動可能となるように設定される。
図3から図5に戻ってシフトスイッチ102について説明すると、シフトスイッチ102は、第2のシフトシャフト82のシフトアーム90の下部に同軸に設けられたシフトスイッチ用のカム110の動作に応じて作動点が設定されて出力(オン信号)を生じる。
詳しくは、カム110は第2のシフトシャフト82に固定されると共に、上面視略円弧状を呈する第2の円弧部110aを備える。第2の円弧部110aの近傍には、当接(押圧)されるときにシフトスイッチ102からオン信号を出力させるスイッチ部102aが配置される。
第2の円弧部110aは、第2のシフトシャフト82の回動角度が第1の作動範囲とその両側に連続する追加範囲とからなる第2の作動範囲内にあるとき、スイッチ部102aに当接するように設計される。
第2の作動範囲について図6を参照して説明すると、第1の作動範囲の両側に例えば約5度の追加範囲を設定し、第1の作動範囲(25度)と両側の追加範囲(5度)の計35度の範囲を「第2の作動範囲」とする。
これにより、操船者のシフトレバー操作に応じて第2のシフトシャフト82が回動し、その回動角度が第2の作動範囲内にあるときは、カム110の第2の円弧部110aがシフトスイッチ102のスイッチ部102aに当接(押圧)してオン信号を出力させる。他方、回動角度が第2の作動範囲以外にあるときは、カム110の第2の円弧部110aはシフトスイッチ102のスイッチ部102aに当接しなくなって出力(オン信号)を生じない、即ち、オフされることとなる。
以上の如く、ニュートラルスイッチ100は、第2のシフトシャフト82の回動角度がニュートラル位置を示す第1の作動範囲内にあるときに出力を生じると共に、シフトスイッチ102は、第2のシフトシャフト82の回動角度が第1の作動範囲とその両側に連続する追加範囲とからなる第2の作動範囲内にあるときに出力を生じる。
図1に示すように、スロットルバルブ54の付近にはスロットル開度センサ112が配置され、スロットル開度TH[度]を示す出力を生じる。エンジン44のクランクシャフトの付近にはクランク角センサ114が取り付けられ、所定のクランク角度ごとにパルス信号を出力する。さらに、スイベルシャフト36の付近は転舵角センサ116が配置され、スイベルシャフト36の回転角、即ち、船外機10の転舵角を示す出力を生じる。
上記した各スイッチやセンサの出力は、同じ船外機に搭載された船外機ECU118に入力される。以下、第1船外機10AのECUを「第1船外機ECU118A」といい、第2船外機10Bのそれを「第2船外機ECU118B」という。
第1、第2船外機ECU118A,118Bと船体側ECU26は、例えばNMEA(National Marine Electronics Association。米国船舶用電子機器協会)で規格された通信方式(具体的にはCAN(Controller Area Network))によって通信自在に接続され、第1、第2船外機ECU118A,118Bは船体側ECU26からステアリングホイール16の操舵角や後述するシフト荷重低減制御協調許可フラグなどの情報を取得する一方、船体側ECU26は第1、第2船外機ECU118A,118Bからエンジン回転数NEやスロットル開度THなどエンジン44の運転状態の情報などを取得する。また、第1、第2船外機ECU118A,118B同士も、相手側のシフト荷重低減制御開始フラグ(後述)の情報などを互いに取得し合う。
第1船外機ECU118Aは、入力された(または取得した)センサ出力に基づいて転舵用電動モータ40の動作を制御し、第1船外機10Aの転舵を行う。また、第1船外機ECU118Aは、第1レバー位置センサ24Aの出力などに基づいてスロットル用電動モータ56の動作を制御し、スロットルバルブ54を開閉させてスロットル開度THを調整する。
さらに、第1船外機ECU118Aは、各センサ出力およびスイッチ出力に基づいてエンジン44の燃料噴射量と点火時期を決定し、インジェクタ120(図1に示す)を介して決定された噴射量の燃料を供給すると共に、点火装置122(図1に示す)を介して決定された点火時期に従って噴射された燃料と吸気の混合気を点火する。第2船外機ECU118Bについても第1船外機ECU118Aと同様である。即ち、第1船外機10Aは第1船外機ECU118Aによって、第2船外機10Bは第2船外機ECU118Bによってその動作が個別に制御される。
このように、この実施例に係る船外機の制御装置は、シフトチェンジを除き、操作系(ステアリングホイール16やシフトレバー22)と船外機10の機械的な接続が断たれたDBW(Drive By Wire)方式の制御装置である。
図7は船体側ECU26による各船外機10A,10Bの協調許可制御動作を、図8は第1船外機ECU118Aのエンジン制御動作を示すフロー・チャートである。図示のプログラムは、船体側ECU26、第1船外機ECU118Aによって所定の周期(例えば100msec)ごとに並行して実行される。尚、図8の第1船外機ECU118Aの動作の説明は、第2船外機ECU118Bにも妥当する。
以下説明すると、図7に示す如く、先ずS10において、第1船外機10Aのエンジン44のスロットル開度THの情報、具体的には後述する処理によって検出(算出)されるスロットル開度THとスロットル開度THの変化量DTHとを第1船外機ECU118Aから取得する(読み込む)。次いでS12に進んで同様に、第2船外機10Bのエンジン44のスロットル開度THの情報(スロットル開度THと変化量DTH)を第2船外機ECU118Bから取得する。
次いでS14に進み、S10,S12で得たスロットル開度TH同士を比較して差を算出し、算出されたスロットル開度の差が所定範囲内にあるか否か判定する。詳しくは、第1船外機10Aのエンジン44のスロットル開度THから第2船外機10Bのエンジン44のスロットル開度THを減算して得た差が所定範囲内にあるか否か判定する。所定範囲は、互いのエンジン44の運転状態が比較的近いと判断できるような値とされ、例えば−5度から+5度の範囲に設定される。
S14で肯定されるときはS16に進み、スロットル開度THの変化量DTH同士を比較して差を算出し、算出されたスロットル開度の変化量DTHの差が既定範囲内にあるか否か判定する。具体的には、第1船外機10Aのエンジン44の変化量DTHから第2船外機10Bのエンジン44の変化量DTHを減算して得た差が既定範囲内にあるか否か判定する。既定範囲は、S14と同様、互いのエンジン44の運転状態が比較的近いと判断できるような値とされ、例えば−3度から+3度の範囲に設定される。
即ち、S14とS16は、第1、第2船外機10A,10Bのエンジン44の運転状態同士を比較し、互いの運転状態が比較的近似しているか否か判断する処理である。
S16で肯定されるときはS18に進み、シフト荷重低減制御協調許可フラグのビットを1にセットする。他方、S14またはS16で否定されるときはS20に進み、許可フラグのビットを0にリセットする。このように許可フラグのビットは、第1、第2船外機10A,10Bにおいて運転状態が近似し、後述するシフト荷重低減制御を船外機10A,10Bで協調して実行することが許可されるときに1にセットされる一方、それ以外のとき0にリセットされる。
次いで図8について説明すると、先ずS100において、スロットル開度THをスロットル開度センサ112の出力から検出(算出)し、S102に進んで検出されたスロットル開度THの所定時間(例えば500msec)における変化量DTHを算出する。
次いでS104に進み、シフトポジションがフォワード位置にあるときにエンジン44に対して操船者によって減速(正確には急減速)が指示されたか否か、換言すれば、エンジン44が船舶1を減速(正確には急減速)させる運転状態にあるか否か判定する。
詳しくは、シフトレバー22(正確には第1シフトレバー22A)がフォワード位置にあることを示す出力がレバー位置センサ24(正確には第1レバー位置センサ24A)から出力されるとき、スロットル開度の変化量DTHと減速判定用の所定値DTHaとを比較すると共に、変化量DTHが所定値DTHa以下のとき、スロットルバルブ54が閉弁方向に急速に駆動されている、即ち、急減速が指示されたと判定する。従って、所定値DTHaは急減速の指示がなされたと判定できるような値(負値)、例えば−20度に設定される。
S104で否定されるときはS106に進み、現在の第2のシフトシャフト82の回動角度、換言すれば、今回のプログラムループにおけるシフトシャフト82の回動位置(以下「シフト回動位置」ともいう)を判定するシフト回動位置判定処理を実行する。
図9はその処理を示すサブ・ルーチン・フロー・チャートである。同図に示す如く、先ずS200において前回のプログラム実行時に設定された今回シフト回動位置(後述)を前回シフト回動位置とすることにより、前回シフト回動位置を更新する。
次いでS202に進み、第2のシフトシャフト82の回動位置をニュートラルスイッチ100とシフトスイッチ102の出力に基づいて判定する。具体的には、ニュートラルスイッチ100とシフトスイッチ102が共に出力(オン信号)を生じるとき、図6に示すように、シフトシャフト82の回動位置(即ち、図6のシフトシャフト82の突起の回動位置(角度))は第1の作動範囲にあってシフトポジションはニュートラル位置であると判定し、S204に進み、今回シフト回動位置を「ニュートラル」と設定する。
また、S202においてニュートラルスイッチ100とシフトスイッチ102が共に出力を生じていないとき、即ち、オフされるとき、シフトシャフト82の回動位置は第2の作動範囲の外側にあってシフトポジションはインギヤ位置であると判定し、S206に進んで今回シフト回動位置を「インギヤ」とする。
さらに、シフトスイッチ102が出力(オン信号)を生じる一方、ニュートラルスイッチ100が出力を生じないとき、シフトシャフト82の回動位置は図6の追加範囲にあると判断し、S208に進んで今回シフト回動位置を「駆動力低下範囲」とする。ここで「駆動力低下範囲」と称したのは、後述する如く、シフトシャフト82が追加範囲にあるときにエンジン44の駆動力を低下させてシフトレバー操作時の操船者の操作荷重を低減させるシフト荷重低減制御を行うことがあるためである。
図8の説明に戻ると、次いでS108に進み、そのシフト荷重低減制御を行うか否か判定するシフト荷重低減制御判定処理を実行する。
図10は図8に示すシフト荷重低減制御判定処理を示すサブ・ルーチン・フロー・チャートである。
図10に示す如く、S300においてニュートラルスイッチ100の出力に基づき、現在のシフトポジションがニュートラル位置か否か判断する。S300で否定されるときはS302に進み、シフト荷重低減制御終了フラグ(後述)のビットが0か否か判断する。
このフラグは初期値が0とされるため、最初のプログラムループにおいてS302の判断は通例肯定されてS304に進み、後述するシフト荷重低減制御開始フラグのビットが0か否か判断する。
シフト荷重低減制御開始フラグのビットも初期値が0に設定されるため、最初のプログラムループにおいてS304の判断は通例肯定されてS306に進み、シフト荷重低減制御協調許可フラグのビットが0か否か判断する。
S306で肯定されるときはS308に進み、前回シフト回動位置がインギヤか否か、換言すれば、前回プログラム実行時のシフトポジションがフォワード位置あるいはリバース位置であったか否か判定する。
S308で否定されるときは以降の処理をスキップする一方、肯定されるときはS310に進み、今回シフト回動位置が駆動力低下範囲か否か判断する。S310で否定されるときはそのままプログラムを終了する一方、肯定されるとき、即ち、シフトレバー22が操船者によって操作されてシフト回動位置がインギヤから駆動力低下範囲に動作したとき(換言すれば、ニュートラルスイッチ100とシフトスイッチ102の出力に基づき、シフトポジションがインギヤ位置からニュートラル位置へ切り替えられる際にュートラル操作が検出されるとき)はS312に進み、エンジン44の駆動力を低下させてシフトレバー22の操作荷重を低減させるシフト荷重低減制御(駆動力低下制御ともいう)を実行(開始)する。
S312の処理は具体的には、エンジン44の点火カット、点火時期の遅角、燃料噴射量の低減のうちの少なくともいずれかを行い、それを介してエンジン44の駆動力を低下、より具体的にはエンジン回転数NEを変動させつつ徐々に低下させるようにする。これにより、クラッチ74と前後進ギヤ70,72の係合を解除し易くなり、よって操船者のシフトレバー22(正確には第1シフトレバー22A)の操作荷重が低減される。
尚、S312において点火カットおよび点火時期の遅角を行う場合は次回点火を予定していた気筒から実施し、燃料噴射量を低減する場合は次回噴射を予定していた気筒から行うようにする。
次いでS314に進み、シフト荷重低減制御を実行した回数、具体的には点火カットなどを行った回数をカウントし、S316に進んでシフト荷重低減制御開始フラグのビットを1にセットする。即ち、このフラグは、シフト荷重低減制御が開始されるとき1にセットされる一方、それ以外のとき0にリセットされる。
他方、S306で否定されるときはS318に進み、他の船外機(具体的には第2船外機10B)においてシフト荷重低減制御開始フラグのビットが1か否か判断、換言すれば、他の船外機でニュートラル操作が検出されてシフト荷重低減制御が開始されたか否か判断する。尚、このプログラムが第2船外機ECU118Bによって実行される場合、第1船外機10Aが他の船外機となる。
S318で否定されるときはS308以降の処理に進む一方、肯定されるときはS308,S310の処理をスキップしてS312に進み、前述したシフト荷重低減制御を実行(開始)する。
このように、複数基の船外機10A,10Bのうちの少なくとも1基の船外機(ここでは第2船外機10B)でニュートラル操作が検出されるとき、ニュートラル操作が検出された船外機(第2船外機10B)とその他の船外機(ここでは第1船外機10A)の全てにおいて同時または略同時にエンジン44の駆動力を低下させてシフトレバー22の操作荷重を低減させるシフト荷重低減制御を実行(開始)する。
S316でシフト荷重低減制御開始フラグのビットが1にセットされた後のプログラムループにあっては、S304で否定されてS320に進む。S320では、クランク角センサ114の出力パルスをカウントしてエンジン回転数NEを検出(算出)し、S322に進み、検出されたエンジン回転数NEが、エンジン44がストールするのを回避できる限界の値(エンスト限界回転数NEa)以下か否か判定する。このエンスト限界回転数NEaは、例えばエンジン44の通常制御時に始動モードから通常モードへの切り替え判定しきい値として用いられる回転数と同じ値、具体的には500rpmに設定される。
S322で肯定されるときはS324に進み、シフト荷重低減制御回数のカウンタ値を0にリセットし、S326に進んでシフト荷重低減制御終了フラグのビットを1にセットする。
シフト荷重低減制御終了フラグのビットが1にセットされると、次回のプログラムループにあってはS302で否定されてS328に進み、シフト荷重低減制御を終了する。即ち、エンジン回転数NEがエンスト限界回転数NEa以下のときにシフト荷重低減制御、具体的にはエンジン44の点火カットなど駆動力を低下させる制御を継続すると、エンジン44がストールする恐れがあるため、シフト回動位置にかかわらず、制御を中止するようにした。
他方、S322で否定されるときはS330に進み、シフト荷重低減制御の実行の途中でエンジン回転数NEの変動幅(変化量)DNEを検出し、検出された変動幅DNEに基づいて複数の気筒のうちシフト荷重低減制御を実行する気筒の数を変更する。
具体的には、低減制御を最初に実行した気筒における点火1サイクルごとにエンジン回転数NEの変動幅DNE(1サイクル中の最大回転数と最小回転数の差)を検出(算出)し、検出された変動幅DNEから、図11に示すマップを検索してシフト荷重低減制御を実行する気筒数を変更する。尚、気筒数の変更は次回の点火タイミングあるいは次回の燃料噴射タイミングのときに行う。
図11から分かるように、気筒数はエンジン回転数NEの変動幅DNEが増加するにつれて減少するように設定される。より詳しくは、変動幅DNEが200rpm未満であって比較的少ないときは、複数(6個)ある気筒のうち3気筒について点火カットなどのシフト荷重低減制御を行う。
尚、エンジン44はV型6気筒タイプであるが、シフト荷重低減制御を行う3気筒については、S312で最初に低減制御を実行した気筒と同一バンクにある3気筒となるようにする。例えばS312で最初に右バンクにある気筒で低減制御が行われた場合、同じ右バンクの3気筒について低減制御を実施する一方、左バンクの3気筒は通常制御とする。さらには、例えば右バンクで点火時期を遅角してシフト荷重低減制御を行った場合、左バンクにおいては点火時期を進角化させるようにしても良い。
即ち、V型6気筒エンジンにおいて燃焼行程は、右バンクと左バンクとで交互に行われるため、シフト荷重低減制御を実施する3気筒を上記の如く選択することで、エンジン44においては低減制御の実行のタイミングと不実行のタイミングが交互となり、それによってより急峻なエンジン回転数変動をタイムラグなく発生させることができ、シフトレバー操作時の操船者の操作荷重をより効果的に低減させることができる。
また、エンジン44を直列6気筒タイプとした場合は、第1気筒から第6気筒まで順に並んだ6個の気筒を、第1気筒から第3気筒と第4気筒から第6気筒とにグループ分けすると共に、低減制御を行う3気筒が同じグループとなるようにする。即ち、S312で例えば最初に第1気筒で低減制御が行われたときは、第1気筒を含むグループの3気筒について低減制御を実施する一方、第4から第6気筒のグループは通常制御とする(同様に、第1から第3気筒のグループで点火時期を遅角化させた場合、第4から第6気筒のグループにおいては進角化させるようにしても良い)。これにより、直列6気筒エンジンであっても同様の効果を得ることができる。
図11に示すように、エンジン回転数NEの変動幅DNEが200rpm以上300rpm未満では2気筒、300rpm以上400rpm未満では1気筒についてシフト荷重低減制御を実施する。さらに、変動幅DNEが所定の変動幅(例えば400rpm)以上であって比較的大きいときは、シフト荷重低減制御の実行によってエンジン44がストールする恐れがあるため気筒数を0にする、即ち、低減制御の実行を中止する。
次いでS332に進み、シフト荷重低減制御回数が所定回数(後述)以上か否か判断する。S332で否定されるときは以降の処理をスキップする一方、肯定されるときはS334に進み、シフト荷重低減制御回数のカウンタ値を0にリセットし、S336に進んでシフト荷重低減制御終了フラグのビットを1にセットする。これにより、次回のプログラムループにおいてS302で否定されてS328に進み、シフト荷重低減制御は終了させられることとなる。
このS332からS336は、シフト荷重低減制御が長時間に亘って行われるのを防止するための処理である。即ち、例えばシフトレバー22がゆっくり操作される場合などシフトレバー22の動きによっては第2のシフトシャフト82の回動位置が比較的長い時間、駆動力低下範囲に止まることもあるが、その間点火カットなどの制御を継続すると、エンジン44の運転(燃焼状態)が不安定、具体的にはエンジン回転数NEが不安定になるなどの不具合が生じることがある。
そこで、この実施例に係る船外機の制御装置においては、上記制御によって操船者のシフトレバー22の操作荷重が十分に低減されたと判断できる時点(具体的には、制御開始から約2秒経過した時点)で制御を終了(中止)するようにした。従って、前記した所定回数は、操船者のシフトレバー22の操作荷重が十分に低減されたと判断できると共に、点火カットなどがそれ以上実行されると、エンジン44の運転が不安定になる可能性のある値、例えば10回とされる。
シフトレバー22が操船者によって操作されてシフトポジションがニュートラル位置に完全に切り替えられると、S300で肯定されてS338に進んでシフト荷重低減制御を終了すると共に、S340,S342に進み、シフト荷重低減制御開始フラグおよびシフト荷重低減制御終了フラグのビットを共に0にリセットしてプログラムを終了する。尚、シフトポジションがニュートラル位置にあるときは、図示しないプログラムにおいて、エンジン回転数NEをアイドル回転数に維持するように、スロットル用電動モータ56の動作が制御される。
図8の説明に戻ると、S104で肯定されるときはS110に進み、前述したシフト荷重低減制御の実行を禁止する、即ち、シフトポジションがフォワード位置にあるときにエンジン44に対して操船者によって減速(正確には急減速)が指示されるときは前記制御を実施しない。
図12は図7から図10のフロー・チャートでの処理の一部を説明するタイム・チャートである。
尚、図12においては、第1、第2シフトレバー22A,22Bの両方が操船者によって同時に操作され、第1、第2船外機10A,10Bのシフトシャフトのシフト回動位置が共に、フォワード(インギヤ)から駆動力低下範囲を経てニュートラルに動作する場合を例にとる。また、図においては上から順に、第1船外機10Aのシフトスイッチ102などの出力状態、第2船外機10Bのシフトスイッチ102などの出力状態、第1船外機10Aのエンジン44のスロットル開度THAと第2船外機10Bのエンジン44のスロットル開度THBを示す。
図12に示すように、先ず時刻t0からt1においては、第1、第2船外機10A,10Bのニュートラルスイッチ100とシフトスイッチ102が共に出力を生じていないため(オフされているため)、各シフトシャフト82の回動位置はインギヤであると判定する(S206)。
第1、第2シフトレバー22A,22Bがフォワードからニュートラルに向けて操作され、時刻t1で第1船外機10Aにおいてシフト回動位置がインギヤから駆動力低下範囲に動作してシフトスイッチ102がオン、ニュートラルスイッチ100がオフされるとき、別言すれば、ニュートラル操作が検出されるとき、エンジン44の駆動力を低下させるシフト荷重低減制御を開始する(S208,S308からS312)。
このとき、第2船外機10Bおいてシフト回動位置はまだインギヤであるが、第1、第2船外機10A,10Bのスロットル開度THA,THBの差が所定範囲内であり、かつスロットル開度の変化量DTHの差が既定範囲内である場合、第2船外機10Bでもシフト荷重低減制御を開始する(S306,S318,S312)。その後、第2船外機10Bのシフト回動位置は時刻t2でインギヤから駆動力低下範囲に動作する。
これにより、第1、第2船外機10A,10Bにおいては、エンジン回転数NEは変動しつつ徐々に低下し、よってクラッチ74と前進ギヤ70の係合を解除し易くなり、操船者の第1、第2シフトレバー22A,22Bの操作荷重は低減し、さらに第1、第2シフトレバー22A,22Bの間で操作荷重に差異が生じることもない。
次いで第1、第2シフトレバー22A,22Bがさらにニュートラルに向けて操作され、時刻t3で第1船外機10Aのシフト回動位置が駆動力低下範囲からニュートラルに動作してニュートラルスイッチ100とシフトスイッチ102が共に出力(オン信号)を生じるとき、第1船外機10Aのシフト荷重低減制御を終了する(S300,S336)。
また、時刻t4で第2船外機10Bのシフト回動位置が駆動力低下範囲からニュートラルに動作してニュートラルスイッチ100とシフトスイッチ102が共に出力を生じるとき、第2船外機10Bのシフト荷重低減制御を終了する(S300,S336)。このように、第1、第2船外機10A,10Bにおいては、シフト荷重低減制御の開始は同じタイミングとなるようにしたが、低減制御終了のタイミングは各船外機10A,10Bのシフト回動位置などに基づいて独立して行われる。
以上の如く、この発明の実施例にあっては、船体12に複数基固定されると共に、シフトポジションが前後進ギヤ70,72に係合させられて内燃機関(エンジン)44の駆動力をプロペラ62に伝達するインギヤ位置と前記駆動力の伝達を遮断するニュートラル位置との間で切り替え自在な船外機(第1船外機、第2船外機)10A,10Bにおいて、前記複数基の船外機10A,10Bのそれぞれに設けられ、前記シフトポジションの前記インギヤ位置から前記ニュートラル位置の所定範囲外側に設定された駆動力低下範囲への切り替えであるニュートラル操作と前記シフトポジションの前記駆動力低下範囲から前記ニュートラル位置への切り替えとを検出するニュートラル操作検出手段と(100,102,第1船外機ECU118A、第2船外機ECU118B。S106,S108,S200からS208,S300,S308,S310)、前記複数基の船外機10A,10Bのうちの少なくとも1基の船外機で前記ニュートラル操作が検出されるとき、前記ニュートラル操作が検出された船外機とその他の船外機の全てにおいて前記内燃機関44の駆動力を低下させる駆動力低下制御を実行する駆動力低下制御手段と(第1船外機ECU118A、第2船外機ECU118B。S108,S308〜S312,S318)を備える如く構成した。
これにより、複数基の船外機10A,10Bの全てにおいて前後進ギヤ70,72の係合(インギヤ)を解除し易くなり、よってシフトレバー操作時の操船者の操作荷重を低減させることができると共に、複数基の船外機10A,10Bの間で操船者の操作荷重に差異が生じるのを防止することができる。
また、前記複数基の船外機10A,10Bの前記内燃機関44のスロットル開度TH同士を比較して差を算出する一方、前記スロットル開度の変化量DTH同士を比較して差を算出する比較手段(船体側ECU26。S10〜S20)を備えると共に(S14,S16)、前記駆動力低下制御手段は、前記算出されたスロットル開度THの差が所定範囲内にあり、かつ前記算出されたスロットル開度の変化量DTHの差が既定範囲内にあるとき、前記ニュートラル操作が検出された船外機(例えば10A)とその他の船外機(例えば10B)の全て10A,10Bにおいて前記駆動力低下制御を実行するように構成、即ち、各船外機10A,10Bのエンジン44の運転状態が比較的近い状態のとき、駆動力低下制御を開始し、その後、少なくとも1基の船外機(例えば10A)で前記駆動力低下範囲から前記ニュートラル位置への切り替えが検出されると、その船外機10Aの前記駆動力低下制御を終了するように構成したので(S108,S300,S306〜S312,S318,S338)、複数基の船外機10A,10Bの全てにおいて操船者の操作荷重を確実に低減させることができる。
また、前記駆動力低下制御手段は、前記内燃機関(エンジン)44の点火カットと点火時期の遅角と燃料噴射量の低減のうちの少なくともいずれかを介して前記内燃機関44の駆動力を低下させるように構成したので(S312)、エンジン44の駆動力を確実に低下でき、よってシフトレバー操作時の操船者の操作荷重を効率良く低減させることができる。
尚、上記においては、原動機としてエンジンを例にとって説明したが、電動モータでも良く、さらにはエンジンと電動モータのハイブリッドであっても良い。また、船外機を船体に2基固定するように構成したが、この発明は船外機が3基以上の場合にも適用可能である。
また、船外機を例にとって説明したが、船内外機についても本発明を適用することができる。また、所定範囲、既定範囲、所定値DTHaやエンジン44の排気量などを具体的な値で示したが、それらは例示であって限定されるものではない。