JP5796986B2 - 水処理装置及び水処理方法並びに水処理システム - Google Patents

水処理装置及び水処理方法並びに水処理システム Download PDF

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Description

この発明は、工場廃水ならびに循環クーラント水や循環洗浄水などの水を処理する水処理システムに関する。
例えば、工場から排出される廃水や循環利用される冷却水や洗浄水などの水中には、作業等に使用される溶剤などの有機物が含まれ、このため、廃水または循環水は有色のものが多く、化学的酸素要求量(COD)の値も高い。CODとは、水中の被酸化性物質量を酸化するために必要とする酸素の量を数値化したものであり、CODの値は排水基準に用いられ、海域と湖沼の環境基準に用いられている。CODの値が高いほど含有有機物量が多く、汚染が進んでいることを示す。さらに、含有有機物が有色の割合が多い。また、経時に伴い廃水または循環水中にバクテリアが発生し加速度的に増殖し、その代謝産物は悪臭の原因ともなる。そこで、廃水ならびに循環水中の含有有機物を分解し、CODの値を低下させ、無色透明化し、バクテリアを殺菌する技術が求められている。
従来の防止技術としては、オゾンガスを循環水と接触させ、悪臭物質を酸化分解して消臭する処理装置が知られている(特許文献1、2)。しかし、この方法では、オゾン発生装置を設置し、これを水に溶解させてオゾン水とし、ブース循環水と接触混合するものであるため、オゾン発生装置や、オゾンを水に溶解させるためのオゾン水製造装置や、それらを連結する配管等が必要であるため、設備が大掛かりとなり、設備投資が膨大で、ランニングコストも高いという問題があった。
一方、最近において、導電性ダイヤモンド電極を利用した廃水処理装置が提案されている(特許文献3、4)。導電性ダイヤモンド電極とは、ホウ素等の異元素をドーピングすることによって電気伝導性を付与したダイヤモンド電極のことである。導電性ダイヤモンド電極は、その化学的安定性のため、従来から使われていた二酸化鉛、白金電極などの電極では得ることのできなかった広い電位領域、特に貴の電位域で安定に電解反応を行うことができる。また、酸素過電圧が大きいため、電極‐溶液界面に大きな電位差が形成される。このため、導電性ダイヤモンド電極の表面で様々な有機物を酸化分解することができる。
例えば、前記特許文献3では、被処理水を限外ろ過膜でろ過して濃縮液とし、この濃縮液を導電性ダイヤモンド電極で電気分解して、アンモニア性窒素の分解除去を行っている。また、前記特許文献4では、ポリビニルアルコールを含む廃水を蒸発させて濃縮した後、濃縮液を導電性ダイヤモンド電極で電気分解して、ポリビニルアルコールの分解除去を行っている。しかし、前記特許文献3及び特許文献4の廃水処理方法では、被処理水を濃縮してから電気分解を行うため、限外ろ過装置や蒸発濃縮装置等の濃縮装置が必要となる。このため、やはり設備が大掛かりとなり、設備投資が膨大で、ランニングコストも高いという問題がある。このため、この排水処理装置を循環水の処理装置として適用することはできない。
そこでさらに、前記課題を解決するため、循環水中に含まれている悪臭物質を導電性ダイヤモンド電極の表面で直接酸化するだけでなく、導電性ダイヤモンドの表面で発生するオゾンや過酸化水素やヒドロキシラジカル等の酸化性物質を用いて、間接的に悪臭物質を無臭化できないか検討された。その結果、循環水の消臭に対しては、導電性ダイヤモンド電極によって電気分解を行えば、特に被処理水を濃縮しなくても、短時間に消臭できることが示された(特許文献5)。しかしながら、前記従来技術では、良好な結果を得るためには、導電性ダイヤモンド電極を使用する必要があった。この導電性ダイヤモンド電極の製造方法は、特許文献6に示される。
しかし、良質の導電性ダイヤモンドを得るためには下地の金属との相性もあり、加えて、薄膜であることから、耐久性にも問題がある。一般的に、真空中で、しかも高温で製造することから、その製造スピードは非常に遅い。このことから、導電性ダイヤモンドの製造コストは非常に高く、また、大きな電極を作ることは困難である。そこで、特許文献7では、高価な導電性ダイヤモンド電極を使用せず、CODの値の低下効果が大きく、設備費コストの低廉な水処理装置及び水処理方法を提供している。
特開平8−323255号公報 特開平8−182948号公報 特開2005−334822号公報 特開2003−326263号公報 特開2008−136996号公報 特開2007−39720号公報 特開2010−179283号公報
COD値の低下は、廃水または循環水中の含有有機物を酸化分解することによって達成されるが、電気分解を用いて廃水または循環水を処理する際には、酸化反応と還元反応が同時に進行するため、還元反応が有機物の酸化分解を阻害し、高効率的なCODの低下は困難である。また、有色原因物質も電気分解を利用して酸化分解を行うことで無色化することは可能であるが、食品工場の廃水中に多く含まれる還元糖とアミノ化合物からなるメラノイジンなどは、酸化反応により色度が増加する問題がある。よって、廃水または循環水を処理する際には必要に応じ、酸化反応と還元反応を選択的に行い、効率的な処理を行うことが求められる。
この発明は、前記従来の実情に鑑みてなされたものであって、安価な電極材料を使用し、高効率な、COD値の低下、色度低下、または殺菌処理を行う水処理システムを提供することを解決すべき課題としている。
この発明者らは、特に酸化反応と還元反応を選択的に行える効率的な電解ユニットを考案し、この課題に取り組むこととした。
請求項に記載の発明は、水を電気分解で処理する装置であって、
固体高分子電解質で仕切られた陽極室と陰極室に、通電のため陽極と陰極を前記固体高分子電解質に接するように配置し、
前記陽極は白金を主成分とし、前記陰極は導電性を有する金属である電解ユニットを備える水処理装置を備え、
前記水処理装置にて、陽極室中で良好に分解可能な廃水を処理する際は、
廃水槽より採水した処理対象水を前記水処理装置の陽極室と陰極室に通水させ、
前記陽極室より排出した水を処理水とし、
前記陰極室より排出した水は未処理水として扱い、前記廃水槽に戻し、再度処理を行い、
または、
前記水処理装置にて、陰極室中で良好に分解可能な廃水を処理する際は、
廃水槽より採水した処理対象水を前記水処理装置の陽極室と陰極室に通水させ、
前記陰極室より排出した水を処理水とし、
前記陽極室より排出した水は未処理水として扱い、前記廃水槽に戻し、再度処理を行うことを特徴とする水処理システムである。
請求項に記載の発明は、水を電気分解で処理する装置であって、
固体高分子電解質で仕切られた陽極室と陰極室に、通電のため陽極と陰極を前記固体高分子電解質に接するように配置し、
前記陽極は白金を主成分とし、前記陰極は導電性を有する金属である電解ユニットを備える水処理装置を備え、
前記水処理装置にて、陽極室中で良好に分解可能な循環水を処理する際は、
循環水槽より採水した処理対象水を前記水処理装置の陽極室と陰極室に通水させ、
前記陽極室より排出した水を処理水として扱い、前記循環水槽へ排出して循環させ、
前記陰極室より排出した水は未処理水として扱い、前記水処理装置の流入前に戻し、再度処理を行い、
または、
前記水処理装置にて、陰極室中で良好に分解可能な循環水を処理する際は、
循環水槽より採水した処理対象水を前記水処理装置の陽極室と陰極室に通水させ、
前記陰極室より排出した水を処理水として扱い、前記循環水槽へ排出して循環させ、
前記陽極室より排出した水は未処理水として扱い、前記水処理装置の流入前に戻し、再度処理を行うことを特徴とする水処理システムである。
請求項に記載の発明は、前記水処理装置は、
前記の白金を主成分とした陽極は、長尺状であり、
前記陰極の金属は、中空の柱状であり、
前記固体高分子電解質は、薄膜状であり、
前記固体高分子電解質で仕切られた前記陽極室と前記陰極室に、通電のため前記陽極と前記陰極を前記固前記固体高分子電解質に接するように配置したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水処理システムである
前記の白金を主成分とした陽極は、長尺状であることが好ましく、線状、帯状にしたものが用いられる。白金を主成分とした材料とは、白金またはその合金であり、これらは、チタン、ニオブ、タンタル等の母材に被膜またはメッキしたものでも良く、不純物が含まれていても、主成分が白金ならば構わない。
前記陰極は、中空の柱状であることが好ましく、中空円柱状、中空多角柱状にしたものが用いられる。さらに、中空の柱状表面が多孔質状であることが望ましい。陰極に用いる金属は鉄、銅、アルミ等、導電性を有するものであれば構わない。さらに、導電性を有するものであればステンレス等の合金でも構わない。
前記固体高分子電解質は薄膜状であることが好ましく、固体高分子電解質は一般にイオン交換樹脂を膜状に成形したものが望ましい。イオン交換樹脂は物理的・化学的安定性の面から、疎水性樹脂骨格とスルホン酸基を持つパーフルオロ側鎖から構成されるパーフルオロカーボン材料が好ましい。特に、DuPont社製のNafion(商標)が有効であり、Nafion115、Nafion117、Nafion NRE−212、Nafion324、Nafion424、Nafion551等の膜状のものが望ましい。しかし、薄膜状の導電性高分子材料であれば何を使用しても構わない。
前記構成により、この発明は、以下のような効果を有する。
請求項1乃至請求項に記載の発明では、電解ユニット中に廃水および循環水を通水させ、電極間に電圧を印加し、水または有機物を分解することでCOD値を低下させ、かつ色度を低下させる。または、同条件でバクテリアの殺菌処理を行う。必要に応じ、処理後の水は陽極室または陰極室からのみ排出させ、他方の極室からの排水は未処理水として扱う。電解ユニット中の電極に、外部の直流電源から電圧を印加し、直流電流を通電させることにより、陽極室中の白金を主成分とした陽極上では、水中の有機物を直接酸化分解し、水を電気分解してオゾンやヒドロキシルラジカルやスーパーオキシドアニオンラジカル等の高い酸化力を有する活性酸素が発生し、これらにより、水中の有機物を間接的に酸化分解する。一方、陰極室中の導電性を有する金属からなる陰極上では、水中の有機物の直接還元反応が起こり、水の電気分解により発生した水素により還元反応が行われる。両極で個々の反応が進み、COD値を低下させ、色度を低下させることができる。さらに、陽極室中の白金を主成分とした陽極上では、前記同様の過程を経てバクテリアの細胞膜が酸化分解され、殺菌処理が行われる。
電解ユニットは、円柱状や多角柱状の容器内に挿入することが好ましく、容器は陽極室に接続した流入経路と排出経路を有し、陰極室に接続した流入経路と排出経路を有する。必要に応じ、各排出経路より処理後の水を排出させることができる。これにより、COD低下処理の際は、酸化分解が行われる陽極室中の処理水のみを選択的に排出することができる。また、色度低下を狙った処理の際、水中の有機成分の種類により、処理水のみを選択的に排出することができる。すなわち、有色原因物質が酸化反応により色度低下となる成分である際は、陽極室より処理水を排出させ、有色原因物質が還元反応により色度低下となる成分である際は、陰極室より処理水を排出させることができる。一方で、殺菌処理の際は、陽極室より処理水を排出させることが望ましいが、その限りではない。
また、電解ユニットを挿入した円柱状や多角柱状の容器内は常に被処理水が通水していることが好ましく、これにより電気分解時に発生するジュール熱によって電解ユニットやその周囲が高温となることを防止することができる。
また、電解ユニットを挿入した円柱状や多角柱状の容器は、電気分解処理によって発生するガス成分を外部に排出させるためのガス抜き手段が設けられていることが好ましい。電気分解処理時には、水の電気分解による水素ガスや酸素ガス、オゾンガス、有機物の分解に伴う二酸化炭素ガス等が発生し、前記容器内の圧力が上昇する。ガス抜き手段を設けることにより、こうした圧力の上昇を防止することができるとともに、容器の破損、爆発の危険性も、回避することができる。
また、電気分解処理時に、電流の向きを時々、一瞬、交番させながら処理を行うことが好ましい。ただし、陰極に白金を主成分とした金属を用いない際は、10秒以内、出来れば1秒以内にすることが望ましい。被処理水に含まれる成分によっては、陰極上にスケールと呼ばれる固体成分が付着することがある。例えば、カルシウムイオンなどは電気分解処理により陰極上にスケールとなって付着し、電解ユニットの性能を著しく低下させる。電流の向きを交番させながら処理を行えば、このようなスケールの付着が防止され、電解ユニットの性能低下を防ぐことができる。
請求項に記載の発明では、水処理装置にて、陽極室中で良好に分解可能な廃水を処理する際は、廃水槽より採水した処理対象水を水処理装置の陽極室と陰極室に通水させ、陽極室より排出した水を処理水とし、陰極室より排出した水は未処理水とし、廃水槽に戻し、再度処理を行うことで、陽極室で処理された水のみを処理水として得ることが可能であり、また陰極室中で良好に分解可能な廃水を処理する際も同様な手法にて陰極室より排出した水のみを処理水として扱うことができる。
請求項に記載の発明では、陽極室中で良好に分解可能な循環水を処理する際は、循環水槽より採水した処理対象水を水処理装置の陽極室と陰極室に通水させ、陽極室より排出した水を処理水として扱い、循環水槽へ排出し、循環させ、陰極室より排出した水は未処理水として扱い、水処理装置の流入前に戻し、再度処理を行うことで、陽極室で処理された水のみを処理水として循環水槽へ戻し、経時的に汚染される循環水槽中の水質を安定させることが可能である。また、陰極室中で良好に分解可能な循環水を処理する際も同様な手法にて陰極室より排出した水のみを処理水として扱うことができる。
電解ユニットの構成図である。 電解ユニットの構成の断面図である。 陽極を長くした電解ユニットの構成図である。 陽極を長くした電解ユニットの構成の断面図である。 陽極を複数配置した電解ユニットの構成図である。 陽極を複数配置した電解ユニットの構成の断面図である。 陽極室中で良好に分解可能な廃水を処理する際、廃水槽より採水した処理対象水を水処理装置の陽極室と陰極室に通水させ、陽極室より排出した水を処理水として扱う水処理システムの構成図である。 陽極室中で良好に分解可能な循環水を処理する際、循環水槽より採水した処理対象水を水処理装置の陽極室と陰極室に通水させ、陽極室より排出した水を処理水として扱い、循環水槽へ排出し、循環させる水処理システムの構成図である。 電解ユニットを複数並列に接続した水処理システムの構成図である。 電解ユニットを複数直列に接続した水処理システムの構成図である。 複数の電解ユニットを並列接続と直列接続を組み合わせて接続した水処理システムの構成図である。 電解ユニットを容器に入れた場合の実施装置の形態を示す図である。 電気分解処理に伴う吸光度の変化を示す図である。
以下、この発明の水処理システムの実施の形態について説明する。この発明の実施の形態は、発明の最も好ましい形態を示すものであり、この発明はこれに限定されない。
この水処理装置及び水処理方法の構成を、図1、図2に基づいて説明する。この水処理装置1は、水を電気分解で処理する装置であり、固体高分子電解質2で仕切られた陽極室3と陰極室4に、通電のため陽極5と陰極6を固体高分子電解質2に接するように配置し、陽極5は白金を主成分とし、陰極6は導電性を有する金属である電解ユニットAを備える。
この電極ユニットAは、固体高分子電解質2は薄膜状であり、陽極5は白金を主成分とした長尺状であり、陰極6は導電性を有する金属の中空の柱状であり、固体高分子電解質2で仕切られた陽極室3と陰極室4に、陽極5と陰極6を固体高分子電解質2に接するように配置することで、直流電源7から電圧を印加し、陽極5と陰極6の間が通電できるようになっている。
この水処理装置1を用いて、例えば、工場から排出される廃水や循環利用される冷却水や洗浄水のCOD値の低下や色度低下、または殺菌処理を行うことができる。
また、この水処理装置1において、処理対象の汚染度が高い際、例えばCOD値が高い際、色度が高い際、含有細菌数が多い際は、駆動電流値を増すことで処理能力が上昇し、良好な処理を行うことができる。一方で、処理対象の汚染度が低い際、例えばCOD値が低い際、色度が低い際、含有細菌数が少ない際は、駆動電流値を減らすことで消費電力を抑えることができる。
この水処理装置1は各電極上で局所的に処理対象物の分解反応が進行するため、水処理装置1内で乱流を起こすことで、処理対象物と各電極とが接触する確率が上がり、より良好な処理に繋がる。
図1及び図2では陽極5が固体高分子電解質2に接するよう1周して配置しているが、この水処理装置1をスケールアップする際は、図3のように陽極5を長くし、固体高分子電解質2に接するよう2周して配置することで可能である。なお、図4は図3の断面図である。さらに、陽極5を長くし、固体高分子電解質2に接するよう2周以上して配置することも可能である。
また、図1で示される水処理装置1をスケールアップする際、固体高分子電解質2に接するよう1周して配置した陽極5を図5のように複数配置することでも達成できる。この際に各陽極5を各直流電源に接続することで、スケールアップした装置中の複数の電極への通電のON/OFFが個別に可能となり、このことでの処理能力・消費電力のコントロールが可能である。なお、図6は図5の断面図である。
さらに、水処理システムに水処理装置1を備え、この水処理装置1にて、陽極室中で良好に分解可能な廃水を処理する際は、図7のように設置することが望ましい。すなわち、廃水槽13より採水した処理対象水を水処理装置1の陽極室3と陰極室4に通水させ、陽極室3より排出した水を処理水として扱う。陰極室4より排出した水は未処理水として扱い、廃水槽13に戻し、再度処理を行う。このことで、陽極室3で処理された水のみを処理水として得ることが可能である。なお、陰極室中で良好に分解可能な廃水を処理する際も同様な手法にて陰極室4より排出した水のみを処理水として扱う。
一方、陽極室中で良好に分解可能な循環水を処理する際は、図8のように設置することが望ましい。すなわち、循環水槽130より採水した処理対象水を水処理装置1の陽極室3と陰極室4に通水させ、陽極室3より排出した水を処理水として扱い、循環水槽130へ排出し、循環させる。陰極室4より排出した水は未処理水として扱い、水処理装置1の流入前に戻し、再度処理を行う。このことで、陽極室3で処理された水のみを処理水として循環水槽130へ戻し、経時的に汚染される循環水槽中の水質を安定させることが可能である。なお、陰極室中で良好に分解可能な循環水を処理する際も同様な手法にて陰極室4より排出した水のみを処理水として扱う。
この水処理装置1にて大量の水を処理する際は、図9及び図10のように電解ユニットAを複数並列または直列接続することで達成される。また、図11のように複数の電解ユニットAを並列接続と直列接続を組み合わせて接続し処理することも可能である。
この水処理装置1は、図12に示すように、円柱状や多角柱状の容器内に挿入し、廃水の通水経路、または循環水の循環経路に備えることができる。この実施の形態では、電解ユニットAを円柱状の電解ユニット容器8内に挿入し、電解ユニット容器8は陽極室流入経路9を有し、陰極室流入経路10を有し、陽極室排出経路11を有し、陰極室排出経路12を有する。
固体高分子電解質2は薄膜状のものを筒状にしたものが用いられ、白金を主成分とした陽極5は、線状のものが用いられ、陰極6の導電性を有する金属は中空円柱状ものが用いられ、陰極6の金属を固体高分子電解質2にて接するように覆い、この筒状の固体高分子電解質2に白金を主成分とした陽極5を接するように周回させ、この白金を主成分とした陽極5と陰極3の金属とに直流電源7を接続し、電圧を印加し直流電流を通電する。
電解ユニットAを円柱状の電解ユニット容器8内に挿入し、被処理水を通水させ、水または有機物を分解し、COD値の低下、色度低下、またはバクテリアを殺菌させる。すなわち、陽極室流入経路9と陰極室流入経路10から被処理水を注水し、白金を主成分とした陽極5と陰極3の金属とに直流電源7を接続し、電圧を印加し直流電流を通電することにより、陽極室3中の白金を主成分とした陽極5上では、水中の有機物を直接酸化分解し、水を電気分解してオゾンやヒドロキシルラジカルやスーパーオキシドアニオンラジカル等の高い酸化力を有する活性酸素が発生し、これらにより、水中の有機物を間接的に酸化分解することで、COD値を低下することができ、色度を低下することができ、これは陽極室排出経路11から排出することができる。さらに、陽極室3中の白金を主成分とした陽極5上では、前記同様の過程を経てバクテリアの細胞膜が酸化分解され、殺菌処理を行うことができ、これは陽極室排出経路11から排出することができる。
一方、陰極室4中の導電性を有する金属からなる陰極6上では、水中の有機物の直接還元反応が起こり、水の電気分解により発生した水素により還元反応が行われることで、色度を低下することができ、これは陰極室排出経路12から排出することができる。陽極室排出経路11と陰極室排出経路12から排出される水は、処理の目的に応じて、一方の排出経路または両方の排出経路より採取したものを処理水とすることができる。
黄色の食品添加物を水に溶解させたものを模擬廃水として用いて、この発明の効果について実施テストを行った。実験装置は図3に示す電解ユニットを容器に入れた実施装置と同等である。
[実施例1]
実施装置に前記模擬廃水を1L循環通水させ、固体高分子電解質にDuPont社製のNafion324を、陽極に直径0.4mmの15cmの白金線を、陰極にチタン母材に白金を被膜した金属を用い、電解ユニットに電流1Aにて定電流駆動し、電解処理を行った。陽極排出経路と陰極排出経路の両室排出経路から採取したものを処理水とした。
駆動時間を変えて、効果を確認するため、色度の変化は模擬廃水の最大吸収波長である426nmの吸光度を測定し、その変化を図13に示した。また、電解ユニットの消費電力を考慮した色度低下処理能を比較したものを表1に示した。
[比較例1]
実施例1で、陽極排出経路から採取したものを処理水とした。他の条件は全て同じである。上記実験結果を下記に示す。
(表1)

ここでの単位差分1000ABS/W・minは、1分間1W駆動させた際の426nmの吸光度の減少値に1000を乗じたものである。
前記結果から、黄色の食品添加物の色度低下処理の際は、陽極室排出経路より排出されるものを選択的に採取することにより、より効率的に処理を行えることが明白である。これは両極室より同時に排出されるものに比べ、2倍以上の効果をもたらした。
この発明は、工場廃水ならびに循環クーラント水や循環洗浄水などの水を処理する水処理システムに適用でき、安価な電極材料を使用し、有機物の分解に伴うCOD値の低下、色度低下、さらに殺菌効果が大きく、効率的な水処理が可能である。さらに、必要に応じて陽極室、陰極室より選択的に処理水を採取することが可能である。
1 水処理装置
2 固体高分子電解質
3 陽極室
4 陰極室
5 陽極
6 陰極
7 直流電源
8 電解ユニット容器
9 陽極室流入経路
10 陰極室流入経路
11 陽極室排出経路
12 陰極室排出経路
13 廃水槽
130 循環水槽
A 電解ユニット

Claims (3)

  1. 水を電気分解で処理する装置であって、
    固体高分子電解質で仕切られた陽極室と陰極室に、通電のため陽極と陰極を前記固体高分子電解質に接するように配置し、
    前記陽極は白金を主成分とし、前記陰極は導電性を有する金属である電解ユニットを備える水処理装置を備え、
    前記水処理装置にて、陽極室中で良好に分解可能な廃水を処理する際は、
    廃水槽より採水した処理対象水を前記水処理装置の陽極室と陰極室に通水させ、
    前記陽極室より排出した水を処理水とし、
    前記陰極室より排出した水は未処理水として扱い、前記廃水槽に戻し、再度処理を行い、
    または、
    前記水処理装置にて、陰極室中で良好に分解可能な廃水を処理する際は、
    廃水槽より採水した処理対象水を前記水処理装置の陽極室と陰極室に通水させ、
    前記陰極室より排出した水を処理水とし、
    前記陽極室より排出した水は未処理水として扱い、前記廃水槽に戻し、再度処理を行うことを特徴とする水処理システム。
  2. 水を電気分解で処理する装置であって、
    固体高分子電解質で仕切られた陽極室と陰極室に、通電のため陽極と陰極を前記固体高分子電解質に接するように配置し、
    前記陽極は白金を主成分とし、前記陰極は導電性を有する金属である電解ユニットを備える水処理装置を備え、
    前記水処理装置にて、陽極室中で良好に分解可能な循環水を処理する際は、
    循環水槽より採水した処理対象水を前記水処理装置の陽極室と陰極室に通水させ、
    前記陽極室より排出した水を処理水として扱い、前記循環水槽へ排出して循環させ、
    前記陰極室より排出した水は未処理水として扱い、前記水処理装置の流入前に戻し、再度処理を行い、
    または、
    前記水処理装置にて、陰極室中で良好に分解可能な循環水を処理する際は、
    循環水槽より採水した処理対象水を前記水処理装置の陽極室と陰極室に通水させ、
    前記陰極室より排出した水を処理水として扱い、前記循環水槽へ排出して循環させ、
    前記陽極室より排出した水は未処理水として扱い、前記水処理装置の流入前に戻し、再度処理を行うことを特徴とする水処理システム。
  3. 前記水処理装置は、
    前記の白金を主成分とした陽極は、長尺状であり、
    前記陰極の金属は、中空の柱状であり、
    前記固体高分子電解質は、薄膜状であり、
    前記固体高分子電解質で仕切られた前記陽極室と前記陰極室に、通電のため前記陽極と 前記陰極を前記固前記固体高分子電解質に接するように配置したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の水処理システム
JP2011083442A 2011-04-05 2011-04-05 水処理装置及び水処理方法並びに水処理システム Expired - Fee Related JP5796986B2 (ja)

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