JP5794574B2 - シリコン細線光導波路の加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、シリコン細線光導波路の加工方法、特にシリコン細線光導波路の末端部を立体的に湾曲した構造に加工する方法に関するものである。
近年、光導波路のコア部に単結晶シリコンあるいはアモルファスシリコンを用いたシリコン細線光導波路を主要構成部とする光回路の研究開発が活発に行われている。
シリコンコア材料と石英系クラッド材料の間で大きな比屈折率差が得られるために、小さな曲率半径で光導波路を曲げても光が放射損失することがなく、光回路の著しい小型化が実現できるためである。またシリコンCMOSLSIの製造プロセスの転用が可能なため、量産による低廉な製造コストが期待されている。
通常シリコン細線光導波路を主要構成部とする光回路は、製作プロセス上の理由から同一平面内に形成され、光回路への光の入出力は、光回路が形成されている面と同一面内で光導波路の断面と垂直な方向、すなわち光回路の形成されている面に対して真横の方向から、光導波路の断面を経由して行うことが最も一般的である。
ところが、シリコン細線光導波路を主要構成部とする光回路と光ファイバー・光源・受光器などの他の光デバイスとの光の入出力においては、光回路の形成されている平面内とは別の方向、特に垂直方向から結合できると、ウェハ段階でのシリコン細線光導波路デバイスの検査が可能となったり、光源や受光器が垂直方向から実装できるなどの点で技術上多くの利点がある。
これまでに、シリコン細線光導波路を主要構成部とする光回路の形成面内と異なる方向に光を結合させる方法として、光導波路の末端部に平面回折格子型結合器を形成し、垂直からやや斜めに傾いた方向から光ファイバー等の光デバイスを結合させる方法が知られている(非特許文献1、非特許文献2)。
また、リブ型光導波路ではあるが、光導波路の末端部の先に斜めミラーを形成して光を上方に反射させる方法が報告されている(非特許文献3)。さらに、シリコン細線光導波路自体を上方に立体的に湾曲させて光ファイバーや光導波路と結合させる方法が近年報告されている(非特許文献4、非特許文献5)。
これらの方法の中で、シリコン細線光導波路自体を上方に立体的に湾曲させる方法は、平面回折格子型結合器のような波長帯域の制約がなく、ミラー反射型における光導波路端とミラーの間の空間に起因する結合損失の増大という問題もない優れた方法である。この方法を用いれば、例えば、シリコン細線光導波路を主要構成部とする図4に示す光回路のように、シリコン細線光導波路の末端部を上方に湾曲し、上方から光の入出力を実現できる。このような湾曲構造を、光回路を製造するプロセスと同時に製造することは不可能であり、あらかじめ製造された光回路のうちシリコン細線光導波路の末端部を、上方に立体的に湾曲させる加工技術が必要である。
特に実際上は、金属配線を施した回路基板上に形成された光回路や、能動光素子を駆動するための金属配線を同一基板上に含む光回路基板のように、高温処理を施すと構成要素が破壊されてしまうような光回路に適用可能な加工技術の開発が必要である。
シリコン細線光導波路を立体的に湾曲させる加工方法としては、シリコン細線光導波路の上部にプラズマCVDでシリコン酸化膜を形成し、シリコン細線光導波路の下地の熱酸化シリコン酸化膜との残留応力の差を利用して自発的に湾曲させる方法(非特許文献3)が知られている。
以下、図5を用いて、SOI(Silicon on Insulator)基板を用いる場合における上記方法の概要を説明する。
(1)図5(A)、(B)に示すように、シリコン基板1の上に形成された熱酸化シリコン酸化膜2の上のシリコン層を、リソグラフィ技術を用いて加工し、シリコン細線光導波路3を形成する。
(2)図5(C)、(D)に示すように、プラズマCVD法によりシリコン酸化膜4でカバーする。
(3)図5(E)、(F)に示すように、シリコン細線光導波路の両側の、プラズマCVDで形成されたシリコン酸化膜4と熱酸化で形成されたシリコン酸化膜2を、ドライエッチングにより垂直に除去する。ただし、シリコン細線光導波路の両脇はシリコン酸化膜2、4が残る構造となるようにする。
(4)図5(G)に示すように、熱酸化で形成されたシリコン酸化膜の下部のシリコン基板1を、等方的なドライエッチングにより除去する。その結果、シリコン細線光導波路の上下をプラズマCVDで形成されたシリコン酸化膜4と熱酸化で形成されたシリコン酸化膜2で挟み込んだ片持ち梁構造が形成される。
この片持ち梁構造は、上下のシリコン酸化膜の内部の残留応力が成膜方法の相違に起因して異なるために、上方に反った構造をとる。
(5)図5(H)に示すように、上記構造を400℃から800℃の高温で加熱処理することにより、上下のシリコン酸化膜の残留応力の差を拡大させて湾曲量を増大させ、結果的に上下のシリコン酸化膜に挟まれたシリコン細線光導波路を上方に立体的に湾曲させることにより、湾曲したシリコン細線光導波路の末端部5が得られる。加熱温度が高いほど、末端部5の湾曲量が大きい。
上記のように、シリコン細線光導波路自体を上方に立体的に湾曲させる方法は、シリコン細線光導波路の形成面内と異なる方向に光を結合させる方法として優れている。
しかし、シリコン細線光導波路の上部にプラズマCVDでシリコン酸化膜を形成し、シリコン細線光導波路の下地の熱酸化で形成されたシリコン酸化膜との残留応力の差を利用して自発的に湾曲させる方法には次のような問題点がある。
(1)シリコン細線光導波路の上下をプラズマCVDで形成したシリコン酸化膜及び熱酸化シリコン酸化膜で挟み込んだ片持ち梁構造をドライエッチングで形成する必要があり、厚いシリコン酸化膜を深堀りした後に、さらに片持ち梁構造の酸化膜の下のシリコン基板の上部をくり抜くという複雑な加工プロセスが必要である。
(2)残留応力の差を利用するという原理に基づくため、湾曲曲率が片持ち梁構造全域で一定となり、湾曲曲率を局所的に変化させることは困難である。
(3)湾曲部の先端を任意の方位に向けるためには、片持ち梁の長さや上下の酸化膜層の厚さ及び加熱温度等を厳密に制御する必要があり、高い加工精度が要求される。
(4)上下の酸化膜の残留応力差を利用するため、上下の酸化膜を同じ成膜方法で形成した場合には湾曲させるのが困難である。
(5)大きな湾曲量を得るためには高温加熱プロセスが必要であり、金属配線を施した基板上に形成された光回路や、能動光素子を駆動するための金属配線を同一基板上に含む光回路のように、構成要素が高温処理で破壊されてしまう光回路への適用が不可能である。また、プロセスコストの増大を伴う。
D. Taillaert, et al.,"An out−ofplane grating coupler for efficient butt−coupling between compact planar waveguides and single−mode fibers,"IEEE J.Quantum Electronics,vol.38,pp.949−955,2002. D. Taillaert, et al.,"Grating couplers for coupling between optical fibers and nanophotonic waveguides,"Japanese J.Applied Physics,vol.45,pp.6071−6077,2006. X.Zheng他,"Optical proximity communication using reflective mirrors",Opt.Express,vol.16,p.15052,2008. P.Sun and R.M.Reano,"Cantilever couplers for intra−chip coupling to silicon photonic integrated circuits",Opt.Express,vol.17,pp.4565−4574,2009. P.Sun and R.M.Reano,"Vertical chip−to−chip coupling using silicon strip waveguide cantilever couplers",Proceedings of CLEO,CThZ3,2011.
本発明は、上記(1)〜(5)の問題点を解決し、シリコン細線光導波路の上下を酸化膜等で挟み込むことを必要とすることなく、セルフアライメント的に、あらかじめ製造された光回路のうちシリコン細線光導波路の末端部を、上方に立体的に湾曲させる加工方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段は次のとおりである。
(1)支持層を介して複数のシリコン細線光導波路が形成された光回路基板を用意するステップと、シリコン細線光導波路のうち末端部を有する所望のシリコン細線光導波路に対して、該シリコン細線光導波路の末端部及びこれに隣接する部位の下の支持層を除去するステップと、該シリコン細線光導波路の末端部及びこれに隣接する部位に対して特定の方向からイオンを打ち込むことにより、該特定の方向にセルフアライメント的にシリコン細線光導波路の末端部及びこれに隣接する部位を湾曲させるステップとを備えたシリコン細線光導波路の加工方法。
(2)支持層を介して複数のシリコン細線光導波路が形成された光回路基板を用意するステップと、シリコン細線光導波路のうち末端部を有する所望のシリコン細線光導波路に対して、該シリコン細線光導波路の末端部及びこれに隣接する部位の下の支持層を除去するステップと、該シリコン細線光導波路の末端部及びこれに隣接する部位に対して特定の方向からイオンを打ち込むことにより、該特定の方向にセルフアライメント的にシリコン細線光導波路の末端部及びこれに隣接する部位を湾曲させるステップと、湾曲された該シリコン細線光導波路の末端部が埋設されるように、該光回路基板上に低屈折率材料層を形成するステップとを備えたシリコン細線光導波路の加工方法。
(3)湾曲した上記末端部に光デバイスを設置する工程をさらに備えた(1)又は(2)に記載のシリコン細線光導波路の加工方法。
(4)上記光デバイスは、光ファイバーであることを特徴とする(3)に記載のシリコン細線光導波路の加工方法。
(5)上記光デバイスは、フォトディテクターであることを特徴とする(3)に記載のシリコン細線光導波路の加工方法。
(6)上記イオンは、Siイオンであることを特徴とする(1)ないし(5)のいずれかに記載のシリコン細線光導波路の加工方法。
(7)上記シリコン細線光導波路の厚さを200〜220nmとし、60keV〜100keVの加速電圧でSiイオンを打ち込むことを特徴とする(1)ないし(5)のいずれかに記載のシリコン細線光導波路の加工方法。
本発明では、シリコン細線光導波路の上下を酸化膜で挟み込む従来の加工方法と比べて次のような利点を有する。
(1)シリコン細線自体の内部ひずみ応力を利用しているため、上下の酸化膜が不要である。
(2)イオンビームの打ち込み方向や照射量を調節することにより、湾曲曲率を調節できる。
(3)曲率半径5μm以下の急峻な湾曲も可能である。したがって、素子を小型化できる。
(4)イオン打ち込み方向にセルフアライメント的に湾曲先端部を伸長させることができる。
(5)低温プロセスで加工可能であり、高温処理で破壊されてしまう光回路への適用が可能となる。
本発明に係る、シリコン細線光導波路の加工方法を模式的に示す図である。 実施例1に係る、シリコンイオンを打ち込むことにより立体的に湾曲したシリコン細線光導波路を走査型電子顕微鏡で観察した写真である。 実施例2に係る、シリコンイオンを打ち込むことにより立体的に湾曲したシリコン細線光導波路を走査型電子顕微鏡で観察した写真である。 シリコン細線光導波路を主要構成部とする光回路におけるシリコン細線光導波路の末端部を上方に湾曲し、上方から光の入出力を実現することを概念的に示した図である。 シリコン細線光導波路の上下を酸化膜で挟み込む従来の加工方法の説明図である。
(本発明の着想)
本発明の発明者らは、上述の課題を解決する新しい湾曲構造の形成方法として、シリコン細線光導波路に外部よりイオンビームを打ち込む方法が有効であると着想するに至ったものである。
具体的には、片持ち梁構造を有するシリコン細線光導波路構造の外部の特定の方位からイオンビームを打ち込むことにより、細線構造自体の内部に応力を発生させて湾曲させることを主要な特徴とする発明である。イオンビームの打ち込み工程は、シリコンCMOSLSIの製造で広く利用されているプロセス技術であり、量産性の高い製造方法が実現できる。
(本発明の実施形態)
以下、図1(A)〜(G)を用いて、本発明に係るシリコン細線光導波路の加工方法を詳細に説明する。
(1)図1(A)、(B)に示すように、光回路基板であるシリコン基板11の上に形成され支持層12となるシリコン酸化膜の上のシリコン層を、リソグラフィ技術を用いて加工し、シリコン細線光導波路13を形成する。
(2)次に、図1(C)に示すように、ウェットエッチングやドライエッチングによりシリコン細線光導波路の下部のシリコン酸化膜等からなる支持層12の一部を除去することにより形成されたシリコン細線光導波路13の一端が、光導波路を形成する平面端から片持ち梁状に自由空間中に伸長している構造を形成する。
(3)次に、片持ち梁構造を形成したシリコン基板11に、図1(D)に示すように基板上方の特定の方位よりイオンビームを照射し、図1(E)に示すように、片持ち梁構造を上方向に湾曲させる。適切なイオンビームの照射条件(イオン種・加速電圧・ドーズ)を選択することにより、過剰に湾曲することなく、イオン打ち込み方向にセルフアライメント的に湾曲したシリコン細線光導波路の末端部14を伸長させることができる。また、イオン打ち込み方向に伸長する前の段階で照射を停止すれば、湾曲の程度を小さくすることもできる。
ここで、イオンビームのイオン種としては、原理的にはシリコン細線光導波路を湾曲できるものはすべて利用できるが、好ましくはシリコンイオン・リンイオン・ホウ素イオン・ヒ素イオンがあげられる。
特に、シリコンイオンは、通常CMOSプロセスでは用いられないが、細線光導波路の材料と同一の元素種であるシリコンイオンを打ち込むため、導波路材料自体の変質を抑制できるという利点がある。
また、リンイオン・ホウ素イオン・ヒ素イオンは、CMOSプロセスのイオン打ち込みに多用されており、既存CMOSプロセスとの親和性が良い。
イオンビームの加速電圧は、シリコン細線光導波路の厚さ及び使用するイオン種に応じて適切な値を選択する。イオンビーム照射により片持ち梁構造を上方向に湾曲させるためには、シリコン細線光導波路の厚みに対して、表面から50%の深さよりも浅い領域において、照射イオンと光導波路を構成する原子との衝突現象が生じる条件になるように加速電圧を調整すればよい。
イオンビームが照射された領域では、一瞬原子密度が低くなり、照射領域と非照射領域との間で、原子密度の疎密の差が生じ、疎の領域が縮み、密の領域が伸びる事により、疎密の差を均一にする力が、湾曲するための力になる。ゆえに、シリコン細線光導波路の表面側が疎に、裏面側が密になる加速電圧条件を選択してイオン照射を施すと、上方向に湾曲する。
例えば、厚さ150nm〜250nmのシリコン細線光導波路を、シリコンイオンを使って湾曲させる場合の最適な加速エネルギーの上限は、80keV〜130keVであることが望ましい。80keV〜130keV以上の加速電圧でシリコンイオンを照射すると、表面から50%よりも深い領域にまで衝突現象が生じるため、上方向に曲げようとする応力と、下方向に曲げようとする応力が拮抗し、結果として上方向に曲げることが不可能となるためである。
一方、シリコンイオンの加速電圧が30keV〜50keV以下の場合は、表面の僅かな領域でしか、上方向に曲げる力を生じさせることが出来ないため、非常に多くのドーズで照射しない限り、大きく上方向に曲げることは困難となる。
さらに、厚さ200nm〜220nmのシリコン細線光導波路を、シリコンイオンを使って湾曲させる場合の最適な加速エネルギーの上限は、100keV〜110keVであることが望ましい。100keV〜110keV以上の加速電圧でシリコンイオンを照射すると、上記と同様の理由から、上方向に曲げようとする応力と、下方向に曲げようとする応力が拮抗し、結果として上方向に曲げることが不可能となるためである。また、最適な加速電圧の下限は40keV〜45keVとなる。上記同様の理由から、非常に多くのドーズで照射しない限り、大きく上方向に曲げることは困難となるためである。
したがって、30keV〜130keVの間に、最も効率よく、すなわち最も少ないドーズで所望の湾曲構造を得ることの出来る条件が存在する。発明者らの行った実験においては、厚さ200nmのシリコン細線光導波路に対し40keV〜100keVの間の加速電圧、さらに望ましくは60keV〜90keVの間の加速電圧、なかでも80keV前後が最適の値であった。また、厚さ220nmのシリコン細線導波路に対しては40keV〜110keVの間の加速電圧、望ましくは60keV〜100keVの間の加速電圧、なかでも90keV前後が最適の値である。
ただし、最適な加速電圧は、イオンと原子の衝突現象が起きる領域が、光導波路の深さ方向に対してとる分布形状により決定されるものであるため、光導波路を構成している膜の密度にも依存するパラ-メータであり、光導波路を構成する膜の成膜条件により変化するものである。
イオンビームのドーズ(単位面積当たりに照射するイオン数)は、主に上方向に湾曲させたいシリコン細線光導波路の長さに依存したパラ-メータであり、シリコン細線光導波路の幅にはほとんど依存しない。シリコン細線光導波路の先端が基板に対して真上を向く構造を所望の湾曲構造とするならば、シリコン細線光導波路が長いほど、必要なドーズは少なくてよく、短いほどドーズは多くが必要となる。
ただし、所望の形状を得るためのドーズを決定するためには、まず最も効率よく湾曲するための加速電圧を決定する必要もある。後述の実施例に示すように、発明者らの実験においては、最適なドーズは1015cm−2オーダーである。
ここに示した加速電圧とドーズは一例であって、適切な加速電圧とドーズは導波路の厚さに合わせて調節できる。
(4)図1(E)に示すような湾曲した状態のままでは湾曲部分は外部からの衝撃等により破損しやすく、また他の光デバイスを実装するのは容易でないため、図1(F)に示すように、湾曲したシリコン細線光導波路の末端部14を含むシリコン細線光導波路の周囲を樹脂やガラス等の低屈折率材料層15で埋め込んで、保護補強してもよい。
(5)さらに、図1(G)に示すように、樹脂やガラス等の低屈折率材料層15を埋め込んだ後に、シリコン細線光導波路の湾曲伸長方向にフォトディテクター、光ファイバー等の光デバイス16を設置することにより、シリコン細線光導波路と光デバイスの間で光信号を結合させることができる。
光デバイス16がフォトディテクターの場合には、シリコン細線光導波路から出力された光を光受光器が受光することができ、また、光デバイスが半導体レーザーのような光源デバイスの場合には、光源デバイスから出力された光をシリコン細線光導波路に入力することができる。
光デバイス16が光ファイバーの場合には、光ファイバー側から出力された光をシリコン細線光導波路に入力したり、逆にシリコン細線光導波路から出力された光を光ファイバーに入力したりすることができる。
本発明において細線光導波路のコア構造に使用するシリコン材料は、結晶シリコンに限らずアモルファスシリコンでもよい。アモルファスシリコンの場合、材料の吸収損失を低減化するために、水素化アモルファスシリコンが望ましいが、シリコン元素以外に炭素、ゲルマニウム等を添加した材料でもよい。
(実施例1)
まず、図1(A)、(B)に示すように、厚さ3μmの熱酸化シリコン酸化膜の上に、厚さ220nm、幅400nm〜1000nmの結晶シリコンよりなるシリコン細線光導波路を、i線ステッパを用いたフォトリソグラフィ及びドライエッチングにより形成した。続いて、フォトレジストを塗布し、シリコン細線光導波路の末端部が露出するように設計したフォトマスクを用いてフォトレジストを露光現像した。
続いて、緩衝フッ酸溶液を用いてフォトレジストが残存していない部分をウェットエッチングし、図1(C)に示すように、シリコン細線光導波路の末端部の下側が除去された片持ち梁構造を形成した。
続いて、基板と垂直な上方方向より、イオンビーム打ち込み装置により、シリコンイオンを加速電圧80keV、4×1015cm−2の条件で照射した。
図2に、シリコイオン照射後の構造を走査型電子顕微鏡で観察した写真を示す。図1(E)に示すように、シリコン細線光導波路の末端部が上方に湾曲しているのが確認された。
(実施例2)
まず、図1(A)、(B)に示すように、厚さ2μmの熱酸化シリコン酸化膜の上に、厚さ220nm、幅400nm〜1000nmの水素化アモルファスシリコンよりなるシリコン細線光導波路を、i線ステッパを用いたフォトリソグラフィ及びドライエッチングにより形成した。
続いて、フォトレジストを塗布し、シリコン細線光導波路の末端部が露出するように設計したフォトマスクを用いてフォトレジストを露光現像した。続いて、緩衝フッ酸溶液を用いてフォトレジストが残存していない部分をウェットエッチングし、図1(C)に示すように、シリコン細線光導波路の末端部の下側が除去された片持ち梁構造を形成した。
続いて、基板と垂直な上方方向より、イオンビーム打ち込み装置により、シリコンイオンを加速電圧80keV、3×1015cm−2の条件で照射した。
図3に、シリコンイオン照射後の構造を走査型電子顕微鏡で観察した写真を示す。図1(E)に示すように、シリコン細線光導波路の末端部が上方に湾曲しているのが確認された。
1 シリコン基板
2 熱酸化シリコン酸化膜
3 シリコン細線光導波路
4 CVDシリコン酸化膜
5 湾曲したシリコン細線光導波路の末端部
11 シリコン基板
12 支持層
13 シリコン細線光導波路
14 湾曲したシリコン細線光導波路の末端部
15 低屈折率材料層
16 光デバイス

Claims (7)

  1. 支持層を介して複数のシリコン細線光導波路が形成された光回路基板を用意するステップと、シリコン細線光導波路のうち末端部を有する所望のシリコン細線光導波路に対して、該シリコン細線光導波路の末端部及びこれに隣接する部位の下の支持層を除去するステップと、該シリコン細線光導波路の末端部及びこれに隣接する部位に対して特定の方向からイオンを打ち込むことにより、該特定の方向にセルフアライメント的にシリコン細線光導波路の末端部及びこれに隣接する部位を湾曲させるステップとを備えたシリコン細線光導波路の加工方法。
  2. 支持層を介して複数のシリコン細線光導波路が形成された光回路基板を用意するステップと、シリコン細線光導波路のうち末端部を有する所望のシリコン細線光導波路に対して、該シリコン細線光導波路の末端部及びこれに隣接する部位の下の支持層を除去するステップと、該シリコン細線光導波路の末端部及びこれに隣接する部位に対して特定の方向からイオンを打ち込むことにより、該特定の方向にセルフアライメント的にシリコン細線光導波路の末端部及びこれに隣接する部位を湾曲させるステップと、湾曲された該シリコン細線光導波路の末端部が埋設されるように、該光回路基板上に低屈折率材料層を形成するステップとを備えたシリコン細線光導波路の加工方法。
  3. 湾曲した上記末端部に光デバイスを設置する工程をさらに備えた請求項1又は2に記載のシリコン細線光導波路の加工方法。
  4. 上記光デバイスは、光ファイバーであることを特徴とする請求項3に記載のシリコン細線光導波路の加工方法。
  5. 上記光デバイスは、フォトディテクターであることを特徴とする請求項3に記載のシリコン細線光導波路の加工方法。
  6. 上記イオンは、Siイオンであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のシリコン細線光導波路の加工方法。
  7. 上記シリコン細線光導波路の厚さを200〜220nmとし、60keV〜100keVの加速電圧でSiイオンを打ち込むことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載のシリコン細線光導波路の加工方法。


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