JP5794344B2 - 生体情報測定装置及び方法 - Google Patents
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Description
利用者の拍動に相当する信号成分を含んだ脈波信号を測定する脈波測定部と、
利用者の身体的特徴に関わる身体情報を記憶する記憶部と、
前記脈波信号に基づいて心拍数を計算する心拍数計算部と、
上記身体情報に基づいて相対心拍数と相対酸素摂取量との関係を示す回帰式情報を生成する回帰式生成部と、
前記回帰式情報と前記心拍数計算部により計算された心拍数HRaとに基づいて、当該心拍数HRaに対応する自己の相対酸素摂取量%VO2aを計算する相対酸素摂取量計算部と、
他者の相対酸素摂取量%VO2bを取得して、前記自己の相対酸素摂取量%VO2aとの平均値%VO2taを目標相対酸素摂取量として計算するとともに、当該目標相対酸素摂取量%VO2taと前記自己の相対酸素摂取量%VO2aとの差分Δ%VO2aを計算する目標値計算部と、
前記差分Δ%VO2aを付帯するディスプレイに表示出力する目標値表示部とを備えたことを特徴としている。
パーティでのハイキングや登山(以下、便宜上「トレッキング」と総称する。)において、パーティのメンバー全員が感じる負荷を同程度にさせるための何らかの情報を提示できれば、メンバー間の健康状態を均等に維持、増進させることができると考えた。また、体力がない登山者のパーティからの離脱を抑止し、体力不足による無理な登山による怪我などの危険性を低減することにも寄与できると考えた。
しかし、パーティでのトレッキングでは、全メンバーが、同じ距離を、ほぼ同じ歩速で、同じ時間歩くことになり、運動強度を各メンバーで変えることができない。
心拍数HRaと前記回帰式情報とに基づいて、酸素素摂取量VO2aを計算するとともに、前記目標相対酸素摂取量%VO2taと前記回帰式情報とに基づいて、目標酸素摂取量VO2taを計算する酸素摂取量推定部と、
前記目標値計算部により計算された前記差分Δ%VO2aと、前記酸素摂取量VO2aと、前記目標酸素摂取量VO2taと、前記身体情報と、前記装備の重量waとに基づいて、装備重量に対して増減すべき重量Δwaを計算する重量配分計算部とを備え、
前記目標値表示部は、当該増減すべき重量Δwaを前記ディスプレイに表示すること。
前記回帰式情報生成部は、前記他者の身体情報に基づいて当該他者の前記回帰式情報を生成し、
前記相対酸素摂取量計算部は、他者の心拍数HRbを入力して、当該他者の心拍数HRbと前記他者の回帰式情報とに基づいて、当該他者の心拍数HRbに対応する他者の相対酸素摂取量%VO2bを計算し、
前記目標値計算部は、前記目標相対酸素摂取量%VO2taと前記他者の相対酸素摂取量%VO2bとの差分Δ%VO2bを計算し、
前記重量配分計算部は、前記目標値計算部により計算された前記差分Δ%VO2bと、前記他者の身体情報と、前記他者の装備の重量wbとに基づいて、当該装備重量wbに対する他者の増減すべき重量Δwbと、前記利用者と前記他者のそれぞれについての前記増減すべき重量Δwの絶対値の平均値Δwaveとを計算し、
前記目標値表示部は、少なくとも、前記他者の増減すべき重量Δwbと前記平均値Δwaveいずれかを前記ディスプレイに表示すること。
前記体動信号に基づいて、利用者が休憩状態にあるか否かを判断する休憩検出部と、
前記目標値計算部は、前記休憩検出部により、利用者が休憩中にあると判断されると、前記差分Δ%VO2aを計算する際に、当該休憩の開始直前における心拍数HRaを採用すること。
前記記憶部は、前記利用者以外の他者の身体情報と他者の装備の重量とを前記通信部を受け取って前記記憶部に記憶し、
前記相対酸素摂取量計算部は、前記信部を介して前記他者の心拍数を入力すること。
本発明の具体的な実施形態として、腕時計型の生体情報測定装置(以下、測定装置)を挙げる。この測定装置は、例えば、トレッキングのパーティにおいて、荷物を分担し合えるメンバーがそれぞれ装着し、これを装着している人(以下、利用者、あるいは装着者)の脈波をセンサーを用いて電気信号(脈波信号)に変換してその脈波信号を解析するとともに、ユーザー入力により装着者の身体情報を受け付け、脈波信号の解析結果と身体情報とに基づいて,トレッキング中の負荷を推定し、最終的には、パーティのメンバー間で荷物を再配分する際の装備重量の過不足分を提示する重量分配機能を備えている。
図1に当該測定装置1の外観図を示した。この測定装置1は、一般的なデジタル腕時計と同様の外観を有し、人の手首に装着するためのリストバンド2を備え、ケース3の前面には時刻、この装置の動作状態、および各種生体情報(脈拍数、カロリー消費量など)を文字や数字、あるいはアイコンによって表示するための液晶表示器(LCD)4が配置されている。また、ケース3の周囲やケース3前面のフレーム部分にはこの測定装置を操作するための各種ボタン5が配設されている。また、この測定装置は、内蔵する二次電池を電源として動作し、ケース3の側面には、外部の充電器と接続されて、内蔵二次電池を充電するための充電端子6が配設されている。
図4に上記測定装置1の機能ブロック構成を示した。測定装置1のードウエア構成は、時刻やタイマーなどの計時に関わる機能と、拍動、体動、体温などの生体情報を測定する機能とを備えたコンピューターである。測定装置1は、CPU20、RAM21、ROM22からなるコンピューター本体を制御部とし、外部記憶としてフラッシュメモリー23を備えている。そして、CPU20を動作させるための基準クロックを生成するための発振回路24と、その基準クロックから計時用のクロックを生成する分周回路25を備えている。
上記構成を備えた本実施形態に係る測定装置1の主要な機能は、脈波センサー10からの脈波信号に基づいて心拍数を常時測定し、その測定結果に基づいて、酸素摂取量を推定することにある。そして、トレッキング時にパーティのメンバー間で、相互の体力差に見合うように荷物を重量配分するための指標となる情報を、推定した酸素摂取量に基づいて計算する。以下では、まず、測定装置1の基本機能である、心拍数の測定機能と酸素摂取量の推定機能とについて、その動作や情報処理の内容を説明する。
測定装置1の装着者に歩行などの体動がある場合、脈波センサー10が出力する脈波信号は、体動の影響により乱れた血流の変動を反映している。そこで、CPU20は、心拍数測定部41により、脈波データから体動に相関するノイズ成分を除去して拍動信号のみを抽出するともに、拍動信号の周波数(あるいは周期)に基づいて心拍数を計算する。具体的には、FIRフィルターなどによって構成されるデジタルフィルターを適用フィルターとして生成し、その適用フィルター用いてノイズを含んだ脈波信号から拍動信号を抽出する。そして、抽出した拍動信号のデータをFFT解析することにより拍動の周波数(あるいは周期)を特定し、その特定された周波数や周期に基づいて1分間あたりの拍動、すなわち心拍数を計算する。
図5は、酸素摂取量の推定原理の一例を示す図である。フラッシュメモリー23などには、心拍数HRと酸素摂取量VO2との対応関係(回帰式)を記述するデータ(回帰式情報)が記憶されている。本実施形態に係る測定装置1では、図5に示したように、心拍数HRと酸素摂取量VO2を、それぞれ、相対心拍数%HRと相対酸素摂取量%VO2という数値で扱っている。当該図5に示したグラフ110の横軸111である相対心拍数%HRは、安静時の心拍数HRrestを0%とし、最大心拍数HRmaxを100%としたときに実際の心拍数HRの割合であり、以下の式(2)によって求められる。
%HR=(HR−HRrest)/(HRmax−HRrest)×100[%]…(1)
%VO2=(VO2−VO2rest)/(VO2max−VO2rest)×100[%]…(2)
当該方程式について、男性(M)用を以下の式(3)に、女性(F)用を以下の式(4)に示した。
VO2rest(M)=66.47+(13.75×W)
+(5.0×T)−(6.76×Age)…(3)
VO2rest(F)=66.51+(9.56×W)
+(1.85×T)−(4.68×Age)…(4)
測定装置1は、トレッキング時にパーティの各メンバーの腕に装着されて使用され、各メンバーは、自身の測定装置1を操作し、トレッキング中に自身の相対酸素摂取量を計算させるとともに、この自身の相対酸素摂取量と他のメンバーの相対酸素摂取量とに基づいて自身が目標とすべき相対酸素摂取量(目標相対酸素摂取量)を提示させる。最終的には、その目標相対酸素摂取量と、身体情報や装備重量とに基づいて、重量配分の目安などを計算させて表示させる。そして、本発明の実施形態に係る測定装置1は、重量配分の目安やその目安の指標となる情報を表示する重量分配機能に特徴があり、以下では、本発明の実施例として、その重量分配機能に関わる具体的な情報処理や動作の例をいくつか挙げる。
本発明の第1の実施例として、重量を再配分する際の目安を計算するために最も重要な情報である目標相対酸素摂取量を、自他の相対酸素摂取量から求めるための情報処理や動作を示す。ここでは、具体的に、二人のメンバーAとBを想定し、メンバーAが装着する測定装置1によって、メンバーAに対する目標相対酸素摂取量を推定し、さらにその目標相対酸素摂取量からメンバーAにおける装備重量の過不足分を計算する例を挙げる。
また、図6(A)(B)に、表2から導き出されるメンバーAとBのそれぞれに対応する回帰式情報を示すグラフ(110a,110b)を示した。なお、表2、および以下の記載では、身体情報や各パラメーターについて、メンバー「A」のものと、メンバー「B」のものとを区別するために、身体情報や装備重量を示す記号や符号(T,W,wなど)、およびパラメーターを示す記号や符号(%HRrest,%HRmax,%VO2rest,%VO2max,HRrest,HRmax,VO2rest,VO2max)の後に「a」または「b」を付記している。
図7に、第1の実施例におけるCPU20による情報処理の流れを示した。メンバーAの測定装置1におけるCPU20は、心拍数測定部41により、脈波信号を測定することで心拍数を計算し、その心拍数の経時変化をフラッシュメモリー23などに記憶していく(s1,s2)。そして、例えば、1分前と現在の心拍数を比較していき、その差が所定の数値範囲内で所定時間継続したことを検出すると、現時点から過去所定時間分の平均の心拍数(以下、心拍数)HRaを随時計算していく(s3→s4)。
以上までの情報処理(s1〜s10)では、メンバーAにメンバーBの装備重量の一部を負担すべきことを認知させることができる。つぎに、測定装置1において、その負担すべき重量がどのくらいであるのかを計算するための情報処理について説明する。概略的には、先に求めたメンバーAとBの目標相対酸素摂取量%VO2t=59%を、メンバーAにおける絶対値としての酸素摂取量(目標酸素摂取量)VO2ta(mL/Kg/min)に換算し(s11)、その目標酸素摂取量VO2taと実際の酸素摂取量VO2aとの差分に相当するエネルギー消費量ΔE(mL/min)から装備重量の過不足分を計算してそれを表示する(s13〜s15)、という情報処理の流れとなる。
ΔEa=ΔVO2at×(Wa+wa)…(5)
Δwa=ΔE/V02t…(6)
第1の実施例では、メンバーAにおける装備重量waの過不足分Δwaを計算していたが、メンバーAとBでは体重(Wa,Wb)が異なり、当初の装備重量(wa,wb)も異なることが多い。そのため、メンバーBの測定装置1におけるメンバーBの装備重量wbの過不足分Δwbと、第1の実施例において計算したメンバーAの過不足分ΔWaとは必ずしも相殺し合わない。すなわち、ΔWa+Δwb=0となるとは限らない。
上記第1、および第2の実施例では、基本的に、メンバーA(B)は、自身の測定装置1では、自身の身体情報のみを記憶させて、相手B(A)に関する情報として、相手の相対酸素摂取量%VO2b(%VO2a)、および相手の重量過不足分Δwb(Δwa)を適時に入力して、目標相対酸素摂取量%VO2ta(%VO2tb)や、再配分すべき重量Δwaveを表示出力させて、確認していた。
それによって、煩わしい数値入力操作を最小限に押さえることができる。また、相手が、測定装置1を所持していない場合でも、他の計器や自身で脈を取って計測した心拍数を入力すれば再配分すべき重量Δwaveを計算することができる。なお、相手B(A)の身体情報については、外部の情報処理装置を用いて入力してもよいし、測定装置1のボタン5を操作することで入力してもよい。
上記第1および第2の実施例では、休憩時などにメンバーAが自身の測定装置1を操作して心拍数HRaに基づく酸素摂取量VO2aを計算させていた。しかし、休憩時にその操作を忘れると、休憩後に適正に重量配分された装備でトレッキングを再開することができなくなる。そこで、第3の実施例として、測定装置1にて休憩の開始を判断し、自動的に心拍数HRに基づく酸素摂取量VO2の計算を行って、目標相対酸素摂取量%VO2tを表示したり、他のメンバーの相対酸素摂取量%VO2などの入力を促したりする事例を示す。
上記第2の実施例では、装備重量を分かち合うメンバー同士が自身の測定装置1に相手の身体情報を入力し、重量再配分機能に関わる数値入力作業を必要最小限とすることができた。しかし、事前の情報入力やトレッキングの現場での操作は可能な限り少ない方がよい。そこで、測定装置1を構成する通信部50の無線通信機能を利用し、各メンバーの測定装置間1で情報をやりとりするようにしてもよい。
Claims (8)
- 利用者の脈波信号を出力する脈波センサー部と、
前記利用者の体動信号を出力する体動センサー部と、
前記利用者の身体情報及び装備重量情報を受け付ける入力部と、
前記利用者の前記脈波信号に基づく脈波データと、前記利用者の前記体動信号に基づく体動データと、前記身体情報と、及び前記装備重量情報とに基づき、前記利用者の負荷を表す指標を生成する制御部と、
通信部を有し、
前記制御部は、前記通信部を介して前記利用者以外のユーザーの負荷を表す指標を受け取り、前記利用者の負荷を表す指標と、前記利用者以外のユーザーの負荷を表す指標とを用いて、重量分配のための指標を計算することを特徴とする生体情報測定装置。
を、備えることを特徴とする生体情報測定装置。 - 請求項1に記載の生体情報測定装置において、
前記身体情報は、身長、体重、年齢、性別のいずれか1つを含むことを特徴とする生体情報測定装置。 - 請求項1または2に記載の生体情報測定装置において、
前記装備重量情報は、前記利用者が携行する荷物の重量であることを特徴とする生体情報測定装置。 - 請求項1〜3のいずれか一項に記載の生体情報測定装置において、
前記利用者の負荷を表す指標は、酸素摂取量、相対酸素摂取量、カロリー消費量、エネルギー消費量、脈拍数、心拍数、血流の変動のうち少なくとも1つを含むことを特徴とする生体情報測定装置。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の生体情報測定装置において、
前記制御部は、前記体動データに基づき前記利用者の体動が所定条件を満たすか否かを検知し、前記利用者の体動が前記所定条件を満たす場合には、前記利用者は休憩状態であると判定し、前記利用者の負荷を表す指標を生成することを特徴とする生体情報測定装置。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の生体情報測定装置において、
前記重量分配のための指標に基づく目安情報及び前記利用者の負荷を表す指標の少なくとも1つを表示する表示部を備えることを特徴とする生体情報測定装置。 - 脈波センサー部からの脈波信号に基づき利用者の脈波データを出力するステップと、
体動センサー部からの体動信号に基づき前記利用者の体動データを出力するステップと、
前記利用者の身体情報及び装備重量情報を受け付けるステップと、
前記利用者に関する前記脈波データと、前記体動データと、前記身体情報と、前記装備重量情報とに基づき、前記利用者の負荷を表す指標を生成する負荷指標生成ステップと、
を、備え、
前記負荷指標生成ステップは、前記利用者以外のユーザーの負荷を表す指標を、通信を介して受け取り、前記利用者の負荷を表す指標と、前記利用者以外のユーザーの負荷を表す指標とを用いて、重量分配のための指標を計算することを特徴とする生体情報測定方法。 - 請求項7に記載の生体情報測定方法において、
前記負荷指標生成ステップは、前記体動データに基づき前記利用者の体動が所定条件を満たすか否かを検知し、前記利用者の体動が前記所定条件を満たす場合には、前記利用者は休憩状態であると判定し、前記利用者の負荷を表す指標を生成することを特徴とする生体情報測定方法。
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