本発明の目的は、靴底領域において高度の通気性及び快適さを示すと共に多様な使用状況に適する、靴のための通気性靴底要素、並びに靴底アセンブリ及び通気性の靴を提供するに在る。本発明の更なる目的は、良好な屈曲性を備えると共に、容易に製造され且つ耐摩耗性で耐久性のある通気性靴底要素を提供するに在る。
本発明に係る靴のための通気性靴底要素は、側壁を具備し、該通気性靴底要素にはチャネル構造が形成される。このチャネル構造は、複数本のチャネルを具備し得る。これらのチャネルは、横方向チャネルもしくは長手方向チャネルであり得る。チャネルの内の少なくとも幾本かは空気及び湿気放出ポートを具備する。チャネルの内の少なくとも一本は、周縁チャネルであり、すなわち、通気性靴底要素の周縁部又は円周部上に、但し側壁の内側に位置するチャネルである。この周縁チャネルは、他の複数本のチャネルと交差する。周縁チャネルは、通気性靴底要素の周縁部全体に沿って閉じているかもしくは延在する必要はない。
チャネル及び側壁は、複数の機能的支柱を形成する。第1の種類の機能的支柱は、複数本のチャネルにより、例えば、2本の横方向チャネル及び周縁チャネルの左右の部分により、又は2本の横方向チャネル、1本の長手方向チャネル、及び1本の周縁チャネルにより、又は2本の横方向チャネル及び2本の長手方向チャネルにより、完全に囲繞される。第2の種類の機能的支柱は、通気性靴底要素の夫々の上側部分であって、側壁の内側端部と、該側壁の内側端部の直近に配置されたチャネル部分とにより囲繞された上側部分により形成される。斯かる第2の種類の機能的支柱は、例えば、隣り合う2つの横方向チャネル間においては靴の長手方向に、且つ側壁の内側端部と周縁チャネルの近傍部分との間においては横方向に延在し得る。側壁は、該側壁の外側面と、該側壁の外側面に最接近して配置されたチャネル壁部もしくはチャネル端部もしくはチャネルポート間に描かれた仮想線との間に延在する。側壁は、厚寸である必要は無く、負荷支持する必要もない。それは、通気性靴底要素の外側部に対する、又は該通気性靴底要素に取付けられた囲繞靴底要素に対する、該通気性靴底要素の境界部を提供する。
チャネル構造のチャネルの頂部表面積に対する機能的支柱の頂部表面積の比率は、0.5〜5である。通気性靴底要素は本体を有する。チャネル構造は、本体の頂部もしくは上側部分内に形成され、すなわち、通気性靴底要素が一体化されて仕上げられた靴の上側アセンブリの方に面する上側表面から開始し、通気性靴底要素の本体内へ下方に幾分か延在する。チャネル構造はまた、本体の全体をとおして、又は該本体の他の任意の部分において、形成されても良い。
空気及び湿気放出ポートは、空気が、通気性靴底要素のチャネル構造から該通気性靴底要素の外部へ、及びその逆に通過し得るように、通気性靴底要素の側壁を貫通通過する開口により通気性靴底要素の外部に接続される。但し、斯かる各側部開口は、その後の製造段階において配備されることが可能であり、そのためそれらが権利請求されたように通気性靴底要素に存在する必要は無い。なお、前記通気性靴底要素は、靴底アセンブリ及び靴の夫々に対する事前作製要素を形成し得る。
本発明に係る通気性靴底アセンブリは数個の部材を具備するが、少なくとも通気性靴底要素を常に含んでいる。特定実施例において、通気性靴底アセンブリは、チャネル構造を有する通気性靴底要素と、該通気性靴底要素を少なくとも側方にて囲繞する囲繞靴底要素とを具備する。囲繞靴底要素は、例えば射出成形により、通気性靴底要素の側壁の外側面に取付けられ得る。通気性靴底要素の側壁は、該通気性靴底要素と、その回りの部分、特に、囲繞靴底要素との間の境界部を形成し得る。もし存在するなら囲繞靴底要素に、通気性靴底要素の側壁における側部開口に対応する側部通路部分が配備されて、通気性靴底要素と靴底アセンブリの外部との間の空気の連通を可能にする。各側部開口と協働するこれらの側部通路部分は、靴底アセンブリの外部からの空気、すなわち、周囲空気を通気性靴底アセンブリのチャネル構造へ通す経路であって、その逆に、水蒸気を含む空気を外部へ搬送する経路を提供する。代替的に、囲繞靴底要素は、通気性靴底要素と靴底アセンブリの外部との間における空気の連通を可能にするために、孔質であり得る。
本発明に係る靴は常に、少なくとも通気性靴底要素を具備する靴底もしくは靴底アセンブリを特徴とする。故に通気性靴底要素は、靴底における唯一の靴底要素であり得る。その場合、通気性靴底要素は靴の全幅に亙り延在し得ると共に、その下側表面は歩行もしくは起立の間に地面と接触し、すなわち、それは外底もしくは外側靴底としても機能する。靴底もしくは靴底アセンブリは、通気性靴底要素以外にも、例えば、少なくとも通気性靴底要素を囲繞する別体的な外底もしくは囲繞靴底要素であって、靴底もしくは靴底アセンブリの底部の少なくとも一部分であって地面と接触する一部分を形成し得る別体的な外底もしくは囲繞靴底要素などの、更なる層もしくは要素を具備し得る。靴底もしくは靴底アセンブリの底部もしくは下側表面は、トレッド、すなわち、垂直及び/又は水平方向における輪郭形状もしくは外郭形状もしくはパターンを含み得るが、必須ではない。靴底もしくは靴底アセンブリは、多くの手法により靴の上側アセンブリに取付けられることができ、前記多くの手法は、限定するものではないが、靴底をもしくは靴底アセンブリの複数の部分を上側アセンブリ上に型成形もしくは射出成形すること、及び靴底の複数の部分もしくは全てを上側アセンブリ上に接着することを含む。囲繞靴底要素は、上側アセンブリと通気性靴底要素の側壁との上へ射出成形されることにより、少なくとも、上側アセンブリに対する通気性靴底要素の取付けに寄与し得る。上側アセンブリは、少なくとも、通気性の底部層を具備する。水蒸気、湿気又は汗は、靴の内側から、この通気性の底部層を通り、通気性靴底要素のチャネルシステムに入り、該通気性靴底要素の側部開口と、もし存在するなら、囲繞靴底要素における側部通路部分とを通り、外部へ、すなわち周囲空気へ至る。
機能層配列体は、膜片とも称される1枚、2枚又はそれ以上の機能層片で構成され得る、と言うのも、機能層及び膜という用語は、本明細書中においては互換的に使用されるからである。2枚以上の膜片が存在する場合、各膜片は(ことによると幾分かの重なり合いを以て)並置して配置され、相互に結合され且つシールされることで、防水性且つ通気性の機能層配列体がもたらされる。機能層配列体は実質的に、装着者の足を囲繞する上側アセンブリの内側形状と同様に形状化される。各膜片には、機能層配列体が1枚、2枚又はそれ以上の機能層積層体の配置構成であり得るように、一層以上の布層が積層され得る。
通気性靴底要素という用語は、該通気性靴底要素が、靴底もしくは靴底アセンブリの通気のために能動的で自己推進式のメカニズムを具備することを意味することは意図されない。代わりに、通気性靴底要素の構造は、靴の使用の間及び使用後、特に、使用の間における靴の装着者の動作により、該通気性靴底要素の換気もしくは通気を可能にする。従って、通気性靴底要素は、通気される靴底要素もしくは通気用靴底要素とも称され得る。但し、本発明は、特定の発明的構造に加え、自己推進式のポンプなどのような能動的な機構が存在することを除外するものでないことが指摘される。
本発明の発明者等は、上述のチャネル構造を具備する通気性靴底要素が、該通気性靴底要素を具備するべく完成された靴が装着されたとき、該通気性靴底要素の上方に配置された上側アセンブリの通気性の底部部分を通る拡散により放出されつつある汗の形態の水蒸気の効果的な収集及び搬送を実現する、ということを見出した。高レベルの水蒸気放出が達成される、と言うのも特に、例えば着座もしくは起立しているときなどの静的環境において空気流は通気性靴底要素において発生し得るからである。この流れは、装着者が歩行もしくは走行しているときに靴の運動により増進され得る。歩行もしくは走行動作の間には2つの好適な効果が生じ、その各々は主として歩行サイクルの2つの段階、すなわち、実際の立脚期、及び実際の歩みの間の靴の揺動段階が関連する。靴の揺動段階の間、側部開口及び側部通路部分を通り通気性靴底要素に対して空気の流入及び流出が生ずる。これは特に実状である、と言うのも、歩行動作の全ての段階の間において側部開口もしくは側部通路部分の外側端部は周囲環境と空気接続されることで、常に、空気放出と共に水蒸気放出を可能にするからである。歩行又は走行動作の間における靴底の屈曲、及びさらに、立脚期の間における通気性靴底要素に対する装着者の体重の付与によっても、通気性靴底要素及び側部開口/側部通路部分内で空気流が強制される。通気性靴底要素から押し出される空気は、自身と共に、靴の内部から水蒸気を運び去る。そのときに通気性靴底要素内に戻る周囲空気は、再び水蒸気を帯び得る。
側部開口及び側部通路部分を通して進入し得る一切の水分、塵埃、土壌などは、重力及び靴の運動により経時的に、これらの側部開口及び側部通路部分を通して放出される。故に、これらの不都合な物質の経時的な蓄積は無い。
本発明の発明者等は更に、チャネル構造及び通気性靴底要素の側壁により形成される機能的支柱は、足裏面により通気性靴底要素構造に課される圧力の良好な分散という第1の目的、及び機能的支柱の回りに形成された効率的な空気及び湿気の収集及び移行チャネル構造を提供して良好な通気を可能にするという第2の目的に対して有用であるということを見出した。
更に、空気は、通気性靴底要素の外部から、もしくは靴の外部から、側部開口及び側部通路部分並びに空気及び湿気放出ポートを通り、通気性靴底要素のチャネル構造のチャネル内に至り得る。
更に、上述されたような通気性靴底要素は、良好な屈曲性を有すると共に、耐摩耗性である。通気性靴底要素は、特に一回の型成形段階で容易に製造され、その場合、該通気性靴底要素内のチャネル構造を含む通気性靴底要素の外側形状は、成形型により形成される。通気性靴底要素は、成形、射出もしくは加硫され得る。
チャネルの頂部表面積に対する支柱の頂部表面積の関係が0.8〜5.0であることにより、一方における快適さ、耐久性、支持及び圧力分布の各特性と、他方における通気効果との間の良好な折衷策が達成される。
好適実施例に依れば、チャネルの頂部表面積に対する支柱の頂部表面積の比率は、1.0〜3.0、更に詳細には1.4〜2.2である。
本発明者等は、支柱により形成される頂部表面積が、チャネルにより画成される頂部表面積以上であるときに、装着者に対する高度の快適さに繋がる支持及び圧力分布の特性と、通気との間の特に良好な折衷策が達成されることを見出した。この比率が、1.0〜3.0、更に詳細には1.4〜2.2であるときに、特に良好な折衷策が達成される。
この関係は、快適さの観点からは、通気性靴底要素にチャネルが全く無いことが望ましく、通気の観点からは、チャネル構造により作成される通気性靴底要素内の開放空間ができるだけ大きくされるべきである、という両極端から見ることにより更に良好に理解され得る。
他方、チャネルの幅は任意ではない。狭すぎるチャネルは適切でない、と言うのも、それらは空気及び湿気の十分な収集及び搬送を可能にしないからである。広すぎるチャネルは快適さを感じない、と言うのも、装着者は支柱の縁部を感じるからである。チャネルが広幅であるほど、それらの縁部は上方の層に更に食い込む。防水性の靴の場合、防水性の機能層もしくは膜は、通気性靴底要素の上方に位置することで、防水性の上側アセンブリの一部分を形成し得る。斯かる機能層は特に、斯かる食い込みを受けやすい。
これらの全ての点を考慮すると、本出願の発明者は、上述された関係が特に有利であることを見出した。
本発明の更なる実施例に依れば、機能的支柱は4ミリメートルの最小限の上縁部長さを有する。全ての上縁部が、長手方向及び横方向の両方において、少なくとも4mm長とされるべきである。
本発明の更なる実施例に依れば、チャネルの側端部の少なくとも幾つかは、空気及び湿気放出ポートとして形成される。
チャネルは、通気性靴底要素の形状に追随し得る。横方向チャネルの少なくとも底部表面は、該横方向チャネルの主要方向で見たときに、実質的に水平であり得る。この場合、チャネル深さは、通気性靴底要素の全体に亙り変化する。別実施例において横方向チャネルの底部表面は、通気性靴底要素の中央に向けて下方に傾斜される。チャネルはまた、通気性靴底要素の外部に向けて下方に傾斜されても良い。
本発明の更なる実施例に依れば、通気性靴底要素の上部側、すなわち、完成した靴において足に面する側におけるチャネルの幅は、2〜5mm、特に2〜3.5mmである。
本発明の更なる実施例に依れば、チャネル構造は、第1チャネル幅を有する少なくとも第1の部分と、第2チャネル幅を有する少なくとも第2の部分とを有する。異なるチャネル幅を有する斯かる部分を配備することにより、斯かる部分において生ずる種々の屈曲及び屈曲状態が整合され得る。
本発明の更なる実施例において、異なるチャネル幅を有する斯かる各部分は、足の踵部分、及び/又は足の前足部分、特に前足の母指球部分の下方に配置され得る。
本発明の実施例に依れば、斯かる特殊な部分におけるチャネル幅は、チャネル構造の他の部分におけるチャネル幅よりも小寸であり得る。
本発明の更なる実施例に依れば、前足部分において隣り合う横方向チャネル間の距離は、空気及び湿気を外部へ能動的に移動させる効果を高めるために、踵部分におけるよりも小寸であり得る。通気性靴底要素の前足部分において生ずる屈曲は、踵部分におけるよりも大きい。更に、足は、この領域において、例えば踵領域におけるよりも多くの汗を生成する。斯かる屈曲により、チャネルの断面は再び減少及び拡幅化され、これは、斯かるチャネルから空気を外方に押しやる。前足部分において更に高密度の横方向チャネルを配備することにより、斯かる能動的効果は高められ、更に優れた通気効果に繋がり得る。
チャネルの形状は、種々の種類であり得る。本発明の更なる実施例に依れば、チャネルはチャネル壁部及びチャネル底部を具備し、断面視で見たときに、一つのチャネルの壁部間の距離は、上方向に増大する。斯かるチャネル形態は、良好な空気及び湿気の収集及び搬送機能を提供する。
本発明の更なる実施例に依れば、チャネル底部は、実質的に水平な平面として形成される。この特徴の配備により、チャネルは、断面視で見たときに、本質的に台形状、更に詳細には等脚台形の形態を有する。
本発明の更なる実施例に依れば、実質的に水平なチャネル底部とチャネル壁部との間には、傾斜された底部移行面が配備される。
本発明の代替実施例において、チャネル底部は丸形で凹状の形態を有することで、断面視で見たときに、チャネルに対してU字形状を与える。
チャネルは、それらが、鋭角を有する角隅部もしくは縁部のような、鋭利な角隅部及び/又は縁部を有さない様態で形成され得る。チャネル底部の実施例において90°の角度が無いことから、矩形状とされたチャネルの場合にあり得る空気及び湿気の動きが生じ得ない角隅部に、空気及び湿気が捕捉されることはない。
上述されたチャネル形態はいずれも、例えば平らなV形状チャネルの場合での破断の形態で機械的破損にいたる傾向はない。更に、単なるV形状と比較したチャネル底部の幅の故に、チャネルは、更に多くの空気及び湿気を取り込み得る。
鋭利縁部があると、引き起こされる摩擦及び乱流により空気流が減少されると共に、靴底の裂開及び破損が誘起される。このことは、特にチャネルの交点における場合である。好適実施例においては、チャネルの少なくとも垂直縁部が丸み付けられ、好適には0.25〜5mmの半径を有する。
更なる実施例においては、チャネル/支柱の頂部の水平縁部が丸み付けられ、好適には0.5〜5mmの半径を有し得る。これにより、通気性靴底要素の上方の靴における各層に対する食い込みが少なくなり、且つ装着者の感触が更に快適となる。
更なる実施例に依れば、通気性靴底要素は、該通気性靴底要素から突出する円環状唇部を具備する。更なる実施例に依れば、通気性靴底要素は、該通気性靴底要素の上側周縁部の近傍に配置された円環状唇部を具備し、該円環状唇部は、通気性靴底要素から、上方すなわち垂直、及び横方向外方すなわち水平を含め、それらの間における方向に突出する。円環状唇部は、通気性靴底要素を上側アセンブリに取付ける手段を提供し得る。斯かる取付けは靴の製造の間における利点を与える、と言うのも、上側アセンブリは、工場内で一つの製造ステーションから次のステーションまで容易に搬送されるユニットとして取扱われるからである。付加的に/代替的に、通気性靴底要素が囲繞靴底要素により囲繞される場合、円環状唇部は、囲繞靴底材料が所望箇所に維持されるように、囲繞靴底要素の射出成形プロセスの間に靴底材料を囲繞する流体に対する障壁を提供し得る。更に、唇部は、例えば通気性靴底要素を上側アセンブリに取付けるべく使用される接着剤に対する障壁としても作用し得る。円環状唇部は、上側アセンブリの下側部分に対し、特にシュトローベルもしくはジグザグ様式で縫合され得る。円環状唇部はまた、上側アセンブリの下側部分に対し、接着されるか又は射出成形材料により取付けられ得る。
特定実施例において、円環状唇部/複数の唇部区画は、通気性靴底要素の上側表面上、特に、通気性靴底要素の側縁部から該通気性靴底要素の中央に向けて内方に離間された位置に配備され得る。側縁部と円環状唇部/複数の唇部部分との間のこの間隔は、通気性靴底要素の上側側縁部の回りに対する周囲靴底材料の浸透を可能にする。上側側縁部が、後述されるように、上側機能層積層体と底部機能層積層体との間の結合部と整列される、という実施例において、周囲靴底材料は依然として結合部の回りに浸透すると共に、両方の積層体の夫々の部分を覆う効果的なシールを提供し得る。間隔は、1〜5mmの範囲内、更に詳細には2〜3mmの範囲内であり得る。円環状唇部/複数の唇部区画の高さは、0.5〜3mm、特に約1mmであり得る。
更なる実施例において、通気性靴底要素は、複数の唇部区画を具備する。これらの唇部区画は、靴の上側アセンブリに対する部分的取付け、及び/又は周囲靴底材料もしくは他の流体射出された材料に対するシールのために配備され得る。唇部区画は、円環状唇部に関して上で論じられたように、通気性靴底要素上に配置され得る。特定実施例において、通気性靴底要素は、踵領域において上側周縁部の近傍における例えば1mmの第1唇部区画と、前足領域において上側周縁部の近傍における第2唇部区画とを具備する。第1及び第2の唇部区画は、通気性靴底要素の上側表面から上方に垂直に延在し得る。
通気性靴底要素が円環状唇部を具備する、防水性の靴に関する好適実施例において、円環状唇部は、第1の射出成形段階において上側アセンブリに取付けられ得る。第1の射出成形段階はまた、上側機能層積層体と底部機能層積層体とを備える上側アセンブリを具備する防水性の靴において通気性靴底要素を使用する場合、上側機能層積層体と底部機能層積層体との間における接続部もシールし得る。そのとき、少なくとも一つの側部通路部分を有する囲繞靴底要素は、第2の射出成形段階において形成され得る。
本発明の更なる実施例に依れば、通気性靴底要素の前側部分から後側部分まで延在する一本の連続的な周縁チャネルが配備される。斯かる一本の連続的な周縁チャネルにより、空気及び湿気の良好な収集及び搬送が達成され得る。
代替実施例に依れば、通気性靴底要素の異なる部分に亙り延在する少なくとも2本の連続的な周縁チャネルが配備される。斯かる周縁チャネルは相互に交差し得るか、それらは互いに分離して形成され得る。少なくとも2本の周縁チャネルの配備によっても、良好な空気及び湿気の収集及び搬送機能が達成され得る。
本発明の更なる実施例に依れば、周縁チャネルは、通気性靴底要素の前側区画から後側区画に見て、ジグザグ線で延在する。斯かるジグザグ形状を有する周縁チャネルの使用は、空気及び湿気放出ポートに対する空気及び湿気の特に効率的な搬送に繋がり得る。
周縁チャネルのジグザグ形態は、斯かるジグザグの周縁チャネルが、空気及び湿気放出ポートとして形成された側端部を有するチャネルに対し、それらの空気及び湿気放出ポートのまさに内側の位置にて交差するようなものであり得る。
チャネル構造は全体として、すなわち、相互に対する種々のチャネルの配置構成は、好適実施例において、水の分子が通気性靴底要素の内側から、最も近い空気及び湿気放出ポートまで移動すべき最大長が60mmであるようなものである。
本発明の更なる実施例に依れば、空気及び湿気放出ポートは、他のチャネル部分と比較してより大きな深さを有し、及び付加的にもしくは代わりに拡開され得る。故に、空気及び湿気放出ポートにより、十分な空気及び湿気が受容され且つ更に外方に搬送され得る。
本発明の更なる実施例に依れば、通気性靴底要素の側壁を貫通して横方向に延在する側部開口が配備される。上述されたように、これらの側部開口は、事前作製された通気性靴底要素に存在する必要はないが、このことも当然乍ら可能である。斯かる側部開口は、例えば、その後の製造段階において、穿孔されるか、又はレーザー処理されるか、又は穿刺され、及び/又は例えば高温ニードル、もしくは通気性靴底要素を熱的除去する他の特定の手段により溶融され得る。この段階の間、前記ポートの大きな深さもしくは広い幅は、通気性靴底要素のチャネルシステムに対する側部開口の更に高信頼性で更に安全であり且つ更に容易な接続プロセスを可能にする。
本発明の更なる実施例に依れば、通気性靴底要素の上側表面は、支持されるべき足裏面を収容すべく低位の前部領域及び高位の後側部分を備えた湾曲形状を有する。通気性靴底要素の形状は、該通気性靴底要素により支持されるべき足に対して人間工学的に適合作成された解剖学的な靴型の形状に追随する。
靴底アセンブリを軽量とするために、通気性靴底要素に対しては、例えば0.35g/cm3の密度を有する低密度のポリウレタン(PU)を使用することが好適である。
斯かるポリウレタン製の通気性靴底要素は、例えば歩行中のような使用の間におけるユーザの体重の少なくとも一部分を支持/移行する高度の安定性を有する一方で、歩行の間における装着者の快適さを増進する一定の可撓性を有する。靴の好適な用途に応じて、適切な材料が選択され得る。斯かる材料の例は、ドイツのエラストグラン社(Elastogran Gmbh)からのElastollanである。この材料は、その低密度の故に好適である。代替的に、通気性靴底要素を射出成形するためには、TPU(熱可塑性ポリウレタン)、EVA(エチレン酢酸ビニル)、PVC(ポリ塩化ビニル)、又はTR(熱可塑性ゴム)などが使用され得る。
通気性靴底要素に対しては、ポリエチレン(PE)を主成分としてPUを使用することがより好適である。
通気性靴底要素に対しては、緩衝の理由から、硬すぎない材料を使用することがより好適である。故に、通気性靴底要素に対しては、38〜45のショアA硬度を備えたポリウレタン材料が好適である。ショア硬度は、デュロメータ試験で測定される。ポリウレタンのスポット上へ力が付与され、その力は凹所を形成する。次に、凹所が消失するために必要とされる時間が測定される。
本発明の別実施例に依れば、通気性靴底要素の材料は、それが、自身を通る高い水蒸気拡散率を有するように、孔質である。これにより、通気性靴底要素の通気効果は増進される。
本発明の更なる実施例において、通気性靴底要素の上側部に対しては快適層が取付けられることで、機能的支柱及びチャネル構造が覆われる。この快適層は、通気性靴底要素の上側部全体に対し、又はまさにその周縁部に対し、又は円環状唇部に対し、接着され得る。当然乍ら、それはまた、他の任意の方法により、それらに取付けられ得る。斯かる快適層は、水蒸気透過性であり、且つそれは、靴の装着者に対する付加的な快適さの提供に資する。
通気性靴底要素の比較的に鋭利なもしくは尖った縁部も覆うために、快適層は通気性靴底要素よりも大きな側方延在範囲を有し、特に通気性靴底要素を越えて0.5mm〜2mmだけ突出し、更に詳細には通気性靴底要素を越えて約1mmだけ突出し得る。この特徴により、通気性靴底要素の上側周縁部が、靴の装着者により感じられること、又は上側アセンブリ上へ、特に、該上側アセンブリの底部機能層積層体の機能層上へ食い込むことが確実に回避され得る。
快適層は、通気性靴底要素の不均一な上側表面を補償すべく配備され得る。自身を通る空気流を可能にする構造もしくは材料として、通気性靴底要素は、不均一なもしくはギザギザした構造を有し得る。特に、通気性靴底要素のチャネルシステムは、通気性靴底要素の表面における空隙及び材料の交互配置的な部分を引き起こし得る。快適層は、これらの不均一な部分により靴の装着者に対して引き起こされることのある不快さを、相当に低減するかもしくは阻止し得る。水蒸気透過性の快適層は、装着者に対して高度の快適さを提供する任意の適切な材料であって、使用の間に自身に対して付与される負荷及び力に耐え得る任意の適切な材料であり得る。代表的な材料は、開放セルのポリウレタンである。例えば、前記材料は、中国のジン・チェン・プラスチック社(Jin Cheng Plastic)からのPOLISPORT(登録商標)であり得る。一実施例に依れば、前記材料を通気性靴底要素上に組み付ける前に、前記材料に対して機械的圧力が付与され、例えば、2mmから1mmへ厚みが圧縮される。このことは、材料を更に稠密として、吸収される水分の量を低下させるために行われ得る。これにより、材料が、真菌などの成長を促進するスポンジとして機能することが好適に回避される。
水蒸気透過性の快適層は、特に、スポット的又は円周的な接着により、又は通気性接着剤により表面全体に亙り接着することにより、通気性靴底要素の頂部に取付けられ得る。スポット的な接着、又は表面全体に亙る接着によれば、(内側)通気性靴底要素における増進された空気流特性が達成され得る、と言うのも、上部側にて囲繞されたチャネルが形成され得るからである。
更なる実施例に依れば、快適層は、上側面及び下側面を有し、上側面は上側アセンブリの底部部分に面し、下側面は通気性靴底要素に面し、下側面は屈曲的に剛性もしくは堅固であり且つ上側面は柔軟である。下側の堅固な面は織成もしくは不織の布地で作成され得ると共に、上部側は、例えば不織のもしくは発泡されたポリウレタンなどの任意の円滑で柔軟な材料で作成され得る。快適層は、2つの個別層から成り得る。下側層が比較的に堅固又は硬質とされることで、快適層は、通気性靴底要素のチャネル構造内へ1mmを超えて押圧されることが阻止され得る。堅固さもしくは曲げ剛性は、例えば、布に関するドイツのDIN規格53864に規定されている。この様にして、快適層の特性は望まれるように維持され、該快適層は靴の使用の間において非常に耐久性がある。柔軟な上側層は、装着者の足に対して靴底の非常に快適な感覚を提供し得る。本発明の実施例において、柔軟な上側層は、頂部と谷部との間の差が0.1mm以下である円滑な表面を有する。
特定実施例において、快適層の上側層及び下側層の両方がポリエステルで作成される。上側層及び下側層は、ホットメルト接着剤を介して結合され得る。特定実施例において、上側層及び下側層の材料特性は以下の如くである。堅固な下側層は以下の特性を有する:長さ方向における400N/5cm〜700N/5cm(UNI EN 29073/3)、特に500N/5cm〜600N/5cmの引張強度;及び横方向における500N/5cm〜800N/5cm(UNI EN 29073/3)、特に600N/5cm〜700N/5cmの引張強度。柔軟な上側層は以下の特性を有する:長さ方向及び横方向における50N/5cm〜200N/5cm(UNI EN 29073/3)、特に100N/5cm〜150N/5cmの引張強度。
更なる実施例において、快適層は、2.0mm以下の厚み、<45重量%の吸水率、及び>5000g/m2/24h、好適には約8000g/m2/24hのMVTR(水蒸気透過率)を有する。一実施例において、機能層もしくは膜は、快適層の上方にて通気性靴底要素に取付けられ得る。快適層と膜との組合せ物は、>2000g/m2/24h、好適には約4500g/m2/24hのMVTRを有する。MVTRは、DIN EN ISO 15496に記述された酢酸カリウム試験に従い測定された。
これの様な配置構成によれば、快適層の上側部と底部機能層との間の摩擦力が減少される。更に、堅固な下側面を有することにより、快適層がチャネル構造の各空間内へ押し入れられることはない。
通気性靴底要素の上側表面の少なくとも一部、又はその唇部上へ、防水性/通気性膜を具備する積層体もまた、接着されるか、縫合されるか、又は型成形され得る。
本発明の更なる実施例において、チャネルの深さは、20mm未満、好適には3〜10mmである。これにより、歩行しているときにおけるうねり運動であって、装着者により感知される快適さに悪影響し、且つ経時的に機能的支柱の破断を引き起こし得る傾動トルクを該機能的支柱に及ぼす、うねり運動に装着者が直面することが回避される。
チャネル構造により形成される機能的支柱は、通気性靴底要素の表面の全体に亙り変化し得る種々のサイズ、特に長さ、深さ及び表面積を有し得る。
機能的支柱はまた、平面視で見たときに、例えば、矩形状、三角形状、もしくは丸形状など種々の形状も有し得る。
本発明者等は、チャネルの深さと、上方の上側アセンブリに面する機能的支柱の表面積との間には、所定の関係があることを見出した。チャネルの深さが小さいほど、小さい表面積が可能である。機能的支柱の表面積の典型的な値は、0.6〜1cm2である。
本発明は更に、上述されたような通気性靴底要素と、側部外側面及び側部内側面を有する囲繞靴底要素とを具備する靴底アセンブリに関する。囲繞靴底要素は、少なくとも側方にて通気性靴底要素を囲繞すると共に、該通気性靴底要素の側壁に取付けられる。
この囲繞靴底要素は、その後の製造段階において通気性靴底要素上へ射出され得る。通気性靴底要素の側部開口は、この時点において存在する必要はないことから、通気性靴底要素は、無傷の側壁を有する。その場合、通気性靴底要素の側壁における側部開口は、後の段階において、即ち、囲繞靴底要素が通気性靴底要素に取付けられた後に形成される。
この靴底アセンブリの第1実施例に依れば、囲繞靴底要素の横方向外側面から、通気性靴底要素の側部開口、及びチャネル構造の夫々の空気及び湿気放出ポートまで、横方向に延在する少なくとも一つの側部通路部分が配備される。側部通路部分と側部開口とを具備する側部通路は、通気性靴底要素のチャネル構造と、囲繞靴底要素の外部、すなわち、周囲空気との間の空気及び湿気の連通を可能にする。
前記ポート、開口及び通路は、それらが相互に対応する限りにおいて、チャネルシステム、通気性靴底要素及び囲繞靴底要素における任意の箇所に配置され得る。好適には、それらは、靴底アセンブリの後部(踵領域)に、最も好適には前部(つま先領域)に配置される。これは、水蒸気を含む空気が、歩行の間における靴底アセンブリのうねり動作に起因して、チャネルを通って開口及び/又は通路から容易に押し出されることを可能にする。
更なる実施例に依れば、通気性靴底要素の下側面は、外底の少なくとも一部分を形成する。特に、囲繞靴底要素の下側面及び通気性靴底要素の下側面は、外底の少なくとも一部分を形成し得る。通気性靴底要素の下側面は、囲繞靴底要素の下側面と比較して高位の位置に配置され得る。
更なる実施例に依れば、囲繞靴底要素は第1のポリウレタンから成り、且つ通気性靴底要素は、第1のポリウレタンよりも柔軟である第2のポリウレタンから成る。特に、第2のポリウレタンは35〜45のショアA値を有し得る。この様にして、通気性靴底要素は硬すぎず、且つ良好な緩衝特性を提供する。囲繞靴底要素及び通気性靴底要素は同一のポリウレタンから成ることも可能であるが、それらは別の製造段階において作製される。
更なる実施例に依れば、少なくとも通気性靴底要素の下方に配置されて、外底の少なくとも一部を形成する付加的な靴底要素が配備される。付加的な靴底要素は必ずしも、通気性靴底要素の直近に配置される必要はない。例えば、付加的な靴底快適層のような更なる層が中間に配置され得る。代替的に、通気性靴底要素及び/又は囲繞靴底要素は、斯かる付加的な靴底要素に対して固定され、特に型成形される。
更なる実施例に依れば、囲繞靴底要素は通気性靴底要素の下方に延在する。特に、囲繞靴底要素は、外底の少なくとも一部分を形成し得る。囲繞靴底要素の下方に付加的な靴底要素が配置されることで外底要素を形成することが可能である。付加的な靴底要素は必ずしも、囲繞靴底要素の直近に配置される必要はない。例えば、付加的な靴底快適層のような、更なる層が中間に配置され得る。
更なる実施例に依れば、通気性靴底要素の下方において囲繞靴底要素の複数の部分には、該囲繞靴底要素をほぼ垂直に貫通延在する支持部材が夫々形成される。支持部材はまた、通気性靴底要素の下方に配置された付加的な靴底要素内に形成されても良い。
本明細書中に記述されたような実施例の内の任意の実施例に係る靴底アセンブリは、任意の上側アセンブリに結合されることで靴を形成し得る。靴の上側アセンブリは、水蒸気透過性/通気性であり得る。故に、靴は、防水性もしくは非防水性であり、且つ通気性であり得る。
本発明は更に、通気性の底部層を有する上側アセンブリと、該上側アセンブリに取付けられた、上述されたような通気性靴底要素とを具備する通気性の靴に関する。通気性靴底要素の側壁を貫通して、該通気性靴底要素のチャネル構造と該通気性靴底要素の外部との間の空気の連通を可能にする少なくとも一つの側部開口が延在する。
本発明は更に、通気性の外側材料を含む上側部分と、底部部分とを有する上側アセンブリを具備する、防水性且つ通気性の靴に関する。上側アセンブリは、上側部分及び底部部分の全体に亙り延在する防水性且つ通気性の機能層配列体を具備する。防水性且つ通気性の靴は、自身を通る空気流を可能にする上述されたような通気性靴底要素であって、上側アセンブリに取付けられた通気性靴底要素を更に具備する。少なくとも一つの側部開口が、前記構造から通気性靴底要素の側壁を貫通して延在して、通気性靴底要素の構造と通気性靴底要素の外部との間における空気の連通を可能にする。
斯かる防水性且つ通気性の靴の第1実施例に依れば、機能層配列体は、上側機能層積層体及び底部機能層積層体により形成され;且つ上側部分の通気性の外側材料並びに防水性且つ通気性の上側機能層積層体は夫々の下端部領域を有する。底部部分は、側端部領域を有する底部機能層積層体を含む。底部機能層積層体の側端部領域及び上側機能層積層体の下端部領域は、結合部に配備された防水性シールにより相互に結合される。上側機能層積層体及び底部機能層積層体は、防水性且つ通気性の機能層配列体を形成する。
上述されたように、機能層配列体は、一つ以上の機能層片、又は一つ以上の機能層積層体片を具備し得る。これらの部材片は、例えば、シール・テープの適用により、又はシール材料の射出成形により、又は該部材片同士を相互に溶着することにより、又は重なり合い領域において各部材片を加熱すると共に、防水性シールが形成されるに十分な力でそれらを互いに押圧することによるなど、任意の適切な様態で互いにシールされ得る。
通気性靴底要素の側壁は、当該靴の外周に関し、底部機能層積層体の側端部領域と上側機能層積層体の下端部領域との間の結合部の内側に配置される。換言すると、通気性靴底要素は、靴の中央に向けて、結合部から一定距離だけ離間して配置される。この実施例は、更なる靴底要素の、又は通気性靴底要素の取付け手段の射出もしくは型成形された材料が、機能層積層体間に到達してそれをシールすることを保証する。前記積層体の間の結合部と通気性靴底要素の側壁との間に2.5mm、特に3mmの距離が存在するなら、容認可能なシールが実現される。斯かる防水性の靴においては、通気性靴底要素の周縁チャネルが、横方向チャネルの側端部以内に位置するならば、特に有利である。これは、通気性靴底要素の特に安定的な壁部であって、底部機能層にしっかりと押し付けられる必要のある壁部を保証し、射出もしくは型成形される材料が積層体内へ浸透することを阻止するために前記材料に対する障壁を提供する。
通気性靴底要素に関して記述された全ての利点及び実施例は、権利請求された靴底アセンブリに対し、且つ防水性の靴を包含する通気性の靴に対しても適用される。簡潔さのために、これらの利点及び実施例は反復されないが、言及したことにより、靴底アセンブリ、通気性の靴、及び防水性の靴に関して援用される。
本発明の実施例は、図面を参照して以下に相当に詳細に記述される。
以下においては、本発明の原理に従う靴の好適実施例が記述される。当業者であれば、適切な限りにおいて、且つ夫々の靴の構成の特定の必要性に応じて、種々の変更もしくは調整が為され得ることを認識し得よう。
図1は、本発明の実施例に係る靴300の主要構成要素の立体的分解図を示している。靴300は、靴底アセンブリ7及び防水性の上側アセンブリ8を具備する。一方、靴底アセンブリ7は、該分解図の底部から頂部にかけて、外底90、土踏まず芯(shank)172、通気性靴底要素60、快適層40、及び囲繞靴底要素80を具備する。
図1の主目的は、以下の各図に対する状況を提供することである。水平線Y−Yを含む垂直面の位置は、以下の各図において描かれた断面平面に対応する。以下の各図の実施例は靴300とは異なるが、夫々に描かれた垂直断面平面の位置及び視認方向は、視認方向を表す線Y−Y及び付随する矢印から推察され得ることが指摘される。
外底90は、その下側表面上に、歩行の間において靴の把持特性を向上させるために、トレッドもしくは波形構造を具備する。土踏まず芯172は、靴300において配備されることで、該靴に対して付加的な安定性を与える。土踏まず芯172は、金属、又は他の任意の適切な材料で作成され得る。図1の例示的な性質により、土踏まず芯172は別体的な要素として示される。但し、殆どの実施例において、土踏まず芯172は通気性靴底要素60内に配置される。土踏まず芯172は任意選択的な構成要素であり、殆どの実施例において示されないことが指摘される。
通気性靴底要素60は、チャネル構造、特にチャネル格子をその上側部に具備する。該チャネル構造は、全体的に参照番号181で表される横方向チャネルを具備する。横方向チャネル181に対し、チャネル184が交差する。図11〜図19に関し、チャネル構造の周縁領域において形成されている少なくとも一本の周縁チャネルと、長手方向チャネルとが区別される。図2〜図10において断面図を呈示することにより異なる靴構成を記述する上での簡潔さのために、チャネル184は概ね長手方向チャネルと称されるが、示されたチャネルの断面の一つ以上は、一つ以上の周縁チャネルに属してもよい。
通気性靴底要素60は、上側表面606、下側表面604及び側部表面602を有する。靴300の組立て状態において、通気性靴底要素60の下側表面604は部分的に土踏まず芯172に隣接し、通気性靴底要素60の上側表面606は快適層40に隣接し、且つ通気性靴底要素60の側部表面602は囲繞靴底要素80の側部内側面802に隣接する。個々の構成要素の係合/接続に関し、更なる詳細は以下に与えられる。
チャネル構造、特に横方向チャネル181は、複数本の側部通路50と空気連通している。側部通路50は、通気性靴底要素60の側壁を貫通し且つ囲繞靴底要素80を貫通して延在し、すなわち、それらは、通気性靴底要素60のチャネル構造から、囲繞靴底要素の外側側部表面804まで延在する。通気性靴底要素60の側壁を貫通し且つ囲繞靴底要素80を貫通する側部通路50は、一つの製造段階で形成され得る。通気性靴底要素60の側壁を貫通延在する側部通路50の部分は側部開口とも称され、また囲繞靴底要素80を貫通延在する側部通路50の部分は側部通路部分とも称される。側部開口及び側部通路部分は、異なる製造段階において形成され得る。
囲繞靴底要素80は、その周縁部の全体に亙り、変化する高さを有し、側部通路は異なる高さに配置される。この様にして、側部通路の位置は、通気性靴底要素60の不均一な表面構造を考慮しており、これは、歩行の間における装着者の足及びその位置を考慮するものである。各構成要素の好適実施例は、以下に相当に詳細に記述される。
図2aは、本発明の実施例に係る靴301aの概略断面図である。靴301aは、上側アセンブリ8及び靴底アセンブリ7を具備する。上側アセンブリ8は、上側部分10及び底部部分20を有する。上側部分10は、外側から内側にかけて、上側材料とも称される通気性の外側材料11、メッシュ12、上側膜13、及び布ライニング14を具備する。メッシュ12、上側膜13及び布ライニング14は、上側機能層積層体17とも称される積層体として配備される。上側膜13は、通気性でありかつ防水性である。上側材料11、メッシュ12及び布ライニング14の全てが通気性すなわち水蒸気透過性なので、上側部分10は全体として通気性かつ防水性である。
上側材料11は、革、スエード、布、又は合成織地などの、靴の外側部を形成するのに適した任意の通気性材料であり得る。
上側機能層積層体(すなわち、メッシュ12、上側膜13及び布ライニング14)は、市販されているダブリュ・エル・ゴア・アンド・アソシエーツ社からのGORE-TEX(登録商標)ラミネートのような、任意の適切な防水性且つ通気性の積層体であり得る。
外側材料11の下側部分は、ネットバンド15から構成される。該ネットバンド15は、例えば、縫合もしくは接着剤結合などの任意の適切な接続様態で、外側材料11の残余部に取付けられ得る。図2aの好適実施例において、ネットバンド15は、接続線により図示されたように、縫い目16を介して外側材料11の残余部に取付けられる。ネットバンドという用語が示唆する様に、外側材料のこの部分は、連続的な材料ではなく、該材料における複数の空隙であって、後に説明されるように、流体的靴底材料が該空隙に浸透することを可能にする空隙を具備する。ネットバンドを配備する代わりに、下側部分は外側材料の残余部と同一の材料で構成され、各空隙は、外側材料を下側部分にて穿刺もしくは穿孔することにより形成されても良い。
底部部分20は、底部から頂部にかけて、下側膜21及び支持布22を具備する。前記布は、織られた、不織の、又は例えばキャンブレル(Cambrelle)(登録商標)などの編まれた布であり得る。下側膜21及び支持布22は、底部機能層積層体24とも称される積層体として配備される。下側膜21は、防水性且つ通気性である。支持布22が通気性なので、全体的に通気性かつ防水性である底部機能層積層体24が提供される。底部機能層積層体24は、例えば、市販されているダブリュ・エル・ゴア・アンド・アソシエーツ社からのGORE-TEX(登録商標)ラミネートなどの任意の適切な積層体であり得る。
上側部分10及び底部部分20は、それらの夫々の端部領域において互いに接続される。特に、上側機能層積層体17の下側の端部領域は、底部機能層積層体24の側端部領域に接続される。図2aの実施例において、この接続構造は、ネットバンド15の端部領域を、上側機能層積層体17及び底部機能層積層体24に対しても接続する。底部機能層積層体24、上側機能層積層体17及びネットバンドは、例えば、シュトローベル(strobel)縫い目又はジグザグ縫い目により、相互に縫合される。従って、底部機能層積層体24と、(ネットバンド15を介して)外側材料11と、上側機能層積層体17とを接続する縫製継目の形態で、結合部30とも称される接続部30が形成される。この継目30は、上側部分10及び底部部分20により防水構造が形成されるように、後に説明される様に、靴底材料により防水様態でシールされる。
上側機能層積層体17及び底部機能層積層体24は、図2aに示されたように相互に接続されてシールされる前に、端部同士を接して配置され得る。両方の積層体はまた、各積層体の上側の夫々の部分が相互に隣接して配置されるように、下方にも屈曲され得る。これらの種々の位置において、各積層体は、例えば、示されたように縫い目により接続され得ると共に、該接続領域はシールされ得る。外側材料11のネットバンド15は、接続部30が該ネットバンド15を底部機能層積層体24及び上側機能層積層体17に対しても接続するように、上側機能層積層体17に対応して配置され、すなわち、底部機能層積層体24に対して端部同士が接する関係又は重なりあう関係又は屈曲した関係で配置され得る。ネットバンド15はまた接続部30を通して延在しても良く、それは、その孔質構造の故に重大ではない。接続部30を形成するためのこれらの種々の選択肢は、本明細書中に記述される全ての実施例に対して適用され得る。
図2aの実施例において、上側機能層積層体17と底部機能層積層体24との間の接続部30は靴301aの内側部の略水平部分に配置されており、前記略水平部分は装着者の足裏面を支持することが意図されている。図2aの断面平面において、接続部30は、略水平部分の側端部に接近しており、すなわち、足の重量を支持する部分が靴の側壁へ移行する点に接近している。靴301aの性質に起因して、底部機能層積層体24は実質的に足形状の構造であり、上側機能層積層体17はそれに対して周縁部にて接続されている。水平及び垂直という用語は、靴が、靴底を平らな地面上に載置したときに存在する水平方向及び垂直方向を指すことが指摘される。更に容易な理解のために、各靴は、夫々の図を通して、前記配向で描かれる。
靴301aの靴底もしくは靴底アセンブリ7、すなわち、上側部分10と底部部分20とから成る上側アセンブリ8の下方にある靴301aの部分は、通気性靴底要素及び快適層40から構成される。一方、通気性靴底要素は、通気性靴底要素61及び囲繞靴底要素81を具備する。
通気性靴底要素61は、該通気性靴底要素61の上側部と側部通路50との間の空気連通を可能にするチャネル構造160を具備する。側部通路50は、通気性靴底要素61の側壁608を貫通し、且つ囲繞靴底要素81を貫通して延在する。図2〜図10の更に容易な読取りのために、参照番号608及び702は、通気性靴底要素の側壁の側方延在範囲と、囲繞靴底要素と通気性靴底要素の側壁とを加えたものの幅であって両方を側部通路50が貫通延在する幅とを夫々図示する括弧を備えている。図2aのチャネルシステム160は、靴301aの長手方向に配置された複数本の長手方向チャネル184、及び靴301aの横方向、すなわち、該靴の長手方向に対して直交する方向に配置された複数本の横方向チャネル181を具備する。
図2aの断面図は、図1の水平線Y−Yに沿ってチャネル構造160の横方向チャネル181を切断している。故に、通気性靴底要素61の横方向チャネル181は、ハッチング様式では示されない、と言うのも、断面切断部は開放チャネルを通って広がるからである。それとは対照的に、チャネル構造160を囲繞する通気性靴底要素61と、囲繞靴底要素81との部分は、ハッチング様式で示されることで、図2aの断面は、描かれた断面平面において、これらの靴要素を貫通して切り分けていることを図示している。これに対して、上側アセンブリ8及び快適層40は、ハッチング様式で示される。
図2aの断面図において、長手方向チャネル184は、それらの断面形状で視認され、該形状は、通気性靴底要素61の上側表面606から、該通気性靴底要素61の下側表面604に向けて一定の距離に到達するU字形状である。図2aの断面において切断された横方向チャネル181は、断面平面の背後に位置する長手方向チャネル間の部分から成る表面により限られる。従って、描かれた横方向チャネル181は、図2aの断面平面の背後にて長手方向に延在し、通気性靴底要素61の影無し部分であって、U字形状の長手方向チャネル184を囲繞する影無し部分は、横方向の境界表面を形成している。U字形状の長手方向チャネル184のみが、図2aの断面平面の背後及び前方の更なる横方向チャネルに対する長手方向の空気流許容接続を形成する。
長手方向チャネル及び横方向チャネルのU字形状は、流体連通のための十分なチャネル体積の提供、装着者の足を支持する強力な通気性靴底要素構造の提供、及び地面及び/又は囲繞靴底要素81に対する装着者の体重の伝達の間の、良好な折衷策を可能にする。同様に、U字形状のチャネルは、特に、射出成形される通気性靴底要素61の場合に容易にかつ迅速に製造され得る、と言うのも、丸形のチャネル側壁によれば、型成形工程の後で、通気性靴底要素61と成形型との容易な分離が可能にされるからである。
通気性靴底要素61のチャネルは、該通気性靴底要素61の上側から、囲繞靴底要素81の側部通路50への水蒸気の効率的な移行を可能にする任意の適切な断面を有し得ることが指摘される。同時に、通気性靴底要素61は、靴の靴底に対して安定的な構造を提供せねばならない。所望の特性を有するチャネルシステムを形成するために、チャネルが、それらの丈に沿って変化する断面を有し得ることも指摘される。
図2aの好適実施例は、通気性靴底要素61の幅に亙り均一な様態で分布された5本の長手方向チャネル184を具備する。長手方向チャネルは、通気性靴底要素61の幅に亙り、変化する幅を有し及び/又は不均一に分布されることも可能である。更に、これらのチャネルは、任意の適切なチャネル構造160が形成され得るように、靴301aの長手方向に対してある角度を成すことが可能である。
横方向チャネル181は、長手方向チャネル184を、相互に接続し、且つ囲繞靴底要素81における側部通路50に接続する。その側端部において、横方向チャネルは、空気及び湿気放出ポート182を備えている。空気及び湿気放出ポート182は、横方向における最外側の長手方向チャネルから横方向に外側に配置される。特に、空気及び湿気放出ポート182は、通気性靴底要素61の側壁608に直接的に隣接して配置される。空気及び湿気放出ポート182は、横方向チャネル181の床部における凹所により形成される。換言すると、横方向チャネル181の床部は、該横方向チャネル181の残部の至る所におけるよりも、空気及び湿気放出ポート182の領域において、通気性靴底要素61内へ下方に更に深く延在する。空気及び湿気放出ポート182は、靴の内側部からの湿気/水蒸気の効率的な収集を可能にし、其処から、水蒸気は側部通路50を通して効率的に運び去られ得る。横方向チャネル181の全て、又はその部分集合のみが、空気及び湿気放出ポートを有しても良い。
横方向チャネル181の全て、又はその部分集合のみが、側部通路50に対する接続を提供しても良い。また、側部通路50と空気連通せずに、盲端にて終端する横方向チャネル181も在り得る。通気性靴底要素61の複数の横方向チャネルであって、その内の一つが図2aに示されている横方向チャネルは、該通気性靴底要素61のチャネルシステム160と、該通気性靴底要素の側壁702を貫通し且つ囲繞靴底要素を貫通して延在する側部通路50との間の空気連通を可能にする。底部機能層積層体24を通気性とすると、靴の内側から靴底7の横方向外側への水蒸気の搬送は通気性靴底要素構造により保証され、前記通気性靴底要素構造は空気を含む水蒸気がそれを通過することを可能にする。
横方向チャネル181は、長手方向チャネル184と同一の、より小さい、又はより大きい高さを有し得ることが指摘される。それらは、それらが溝もしくは切り込みとしても見え得るように、通気性靴底要素の頂部から該通気性靴底要素の内部まで到達するチャネルとされても良い。横方向チャネルは、通気性靴底要素61の一部の下方に横たわることで該通気性靴底要素61の頂部から容易には視認可能でない、ということも可能である。同様に、長手方向チャネルは、示されたように溝であり得るか、又は通気性靴底要素61の上側表面から覆い隠されたチャネルであり得る。
本実施例において、通気性靴底要素61のチャネルシステム160は、チャネル格子である。前記チャネル格子のチャネルは、通気性靴底要素61の頂部から、その内部まで延在する。チャネルは長手方向チャネル184及び横方向チャネル181であり、それらは、それらの間の空気連通を可能にするべく交差している。チャネルはまた、通気性靴底要素の頂部から見たときに、斜めチャネルであってもよい。通常は、斯かるチャネル格子は、長手方向チャネル、横方向チャネル、及び斜めチャネルの任意の組合せを有し得る。可能なチャネルシステムの更に詳細な記述は、図11〜図19に関して以下に与えられる。靴の残部の他の全ての構成において、特に、靴底7の残部に関する他の全ての上側アセンブリ構成及び他の全ての構成と組み合わせて、任意のチャネル構造が具現され得ることが指摘される。
側部通路50は、通気性靴底要素61の側壁608と、靴301aの囲繞靴底要素81とを貫通して延在することで、通気性靴底要素61のチャネル構造と靴301aの横方向外側との間の空気連通を可能にする。図2aの好適実施例において、側部通路50は、水平である横方向通路として描かれる。但し、側部通路という用語は、斯かる制限的様態で理解されなくても良い。側部通路とは、通気性靴底要素の内側と、該通気性靴底要素の横方向外側、すなわち靴301の下側ではない、該通気性靴底要素の外側との間の空気連通を可能にする任意の通路であり得る。特に、側部通路50は、水平方向に関し、特に通気通路の内側端部より低い外側端部であるように傾斜され得る。この傾斜は、通気性靴底要素から水分がより容易に流出し得るという利点を有する。但し、水平な側部通路は、特に、通気性靴底要素の右側から通気性靴底要素の左側への、又はその逆の連続的な通路が存在するならば、空気もしくは水蒸気の流れに対する好適な経路を提供するという利点を有する。側部通路50はまた、通気通路の内側端部よりも高位の外側端部であるように傾斜されても良い。これにより、底部機能層積層体24の繊細な膜21を損傷する一切の虞れなしで、例えば穿孔もしくはレーザー加工により側部通路の作成が可能にされる。更に、装着者の体温に起因して暖かい水蒸気は、斯かる傾斜された側部通路を通り、煙突状の様態で通気性靴底要素を効率的に抜け出し得る。通気性靴底要素の頂部から視認されたとき、側部通路50は、靴の長手方向、該靴の横方向、又はそれらの間の任意の方向であり得る。例えば、靴の前部もしくは後部において、通気チャネルは実質的に靴の長手方向に在り得る。側部通路50に対して記述された配向の選択肢は、記述される全ての実施例に対して適用され得る。
靴301aの通気性靴底要素61は、円環状唇部101も具備する。該円環状唇部101は、通気性靴底要素61の上側側縁部に配置される。通気性靴底要素61は立体的構造であることから、円環状唇部101は、通気性靴底要素61の残部の周縁上縁部を囲繞する。換言すると、円環状唇部101は、通気性靴底要素61の上側側方部分の周縁部に配置される。従って、円環状という用語は、円の形状を指すと解釈されることは意図されない。代わりに、それは、内側空間を囲繞する構造を指し、又はループ構造を指すと理解される。但し、該用語は、閉じられた唇もしくはカラーの構造を要することも意図されない。唇部は、通気性靴底要素61の周縁部の回りで連続的であり得るが、該唇部は、通気性靴底要素61の周縁部の回りに分布された複数の離間された唇部区画から成るものでも良い。唇部はまた、通気性靴底要素61の、ちょうど上側側縁部に配置される必要もない。それはまた、側部表面602、又はその上側表面606に取付けられても良い。但し、通気性靴底要素の上側周縁部の近傍における配置は、以下に論じられるように、好適であり得る。
円環状唇部101は、以下のように記述される機能の一つ以上を実施し得る。図2aに示されたように、円環状唇部101は、接続部30の位置まで延在する。接続部30は、それが、上側部分10、底部部分20並びに通気性靴底要素61を接続するように、円環状唇部101を含む。特に、シュトローベル縫い目30は、上側機能層積層体17、上側材料11のネットバンド15、底部機能層積層体24、及び通気性靴底要素61の円環状唇部101を接続する。故に、円環状唇部101は、上側アセンブリ8に対する通気性靴底要素の取付け、特に、上側アセンブリ8に対する通気性靴底要素61の取付けを可能にする。この取付けは、囲繞靴底要素81を介しての上側アセンブリ8に対する通気性靴底要素61の取付けから独立している。靴301aの製造の間において、通気性靴底要素61は、円環状唇部101に沿う接続部30を通して、上側アセンブリ8に対して固定位置で取付けられ、このことは快適層40もまた固定位置に置く。これは靴301の更に正確な作製を可能にする、と言うのも、通気性靴底要素61の固定位置は、囲繞靴底要素81が通気性靴底要素61を所望の様態及び箇所で囲繞することを保証するからである。
通気性靴底要素61及び円環状唇部101は、一つの部材片もしくは更に多くの部材片で作成され得る。換言すると、円環状唇部101は通気性靴底要素61の一体的部分であり得るか、又はそれは、通気性靴底要素61の残部に対して別の製造段階において取付けられた部材であり得る。特に、円環状唇部101を含む通気性靴底要素61は、例えば、射出成形などにより、一つの製造段階において作製され得る。この様にして、円環状唇部101と通気性靴底要素61の残部との間の強力な接続が保証され、このことは上側アセンブリ8に対する通気性靴底要素61全体の強力な取付けに帰着する。斯かる用途のための唇部101が、図15にも示される。この唇部は、通気性靴底要素から水平に2ミリメートルだけ延びており、延長部は典型的には1〜5ミリメートルの間にある。
上側アセンブリ8上に円環状唇部101を接着剤結合することにより、又は円環状唇部101の領域における、特に円環状唇部101の領域のみにおける局所的な射出成形工程により円環状唇部101と上側アセンブリ8との間の取付けを行うことにより、円環状唇部101を具備する通気性靴底要素61は、該上側アセンブリに取付けられることも可能である。
円環状唇部101は付加的/代替的に、通気性靴底要素61及び上側アセンブリ8上への囲繞靴底要素81の靴底材料の射出成形の間に、その靴底材料に対する障壁を提供する機能を有しても良い。円環状唇部は、囲繞靴底要素81の靴底材料が、快適層40に、及び/又は通気性靴底要素61の上側部に浸透しない様に配置され得る。円環状唇部101はまた、囲繞靴底要素81のいくらかの量の靴底材料が、底部機能層積層体24上へ、特に底部膜21上へ浸透するように設計されて配置されても良い。底部機能層積層体24と上側機能層積層体17との間のシールは、囲繞靴底要素材料により実施され得る。但し、円環状唇部は、通気性靴底要素と底部機能層積層体との間の領域内へ過剰な靴底材料が浸透することを阻止し得る。この様にして、底部機能層積層体24の大きな面積の水蒸気の透過性が保証される。
通気性靴底要素61は、囲繞靴底要素81の射出成形の間に円環状唇部101がこの機能を履行し得るように、適切な圧力/固定により成形型内に載置され得る。特に、通気性靴底要素61に対してはピストンが圧力を及ぼしても良く、それにより該要素は上側アセンブリ8に押し付けられる。円環状唇部は上側アセンブリ8に押し付けられ、その過程において、その後の射出成形段階のための緊密な障壁が形成されるように、突出する唇部の変形が生じ得る。この様にして円環状唇部101は、囲繞靴底要素81の靴底材料に対する底部機能層積層体24の下側表面の大部分の接触の阻止に役立つことから、通気性を備えた大きな面積が維持される。円環状唇部101はまた、射出成形に対する障壁が所望箇所に確立されるように、通気性靴底要素61の上側表面606上の任意の位置に配置されても良い。同様に、円環状唇部101は通気性靴底要素61の側部表面602に取付けられても良く、障壁効果は、例えばシュトローベル縫い目30により円環状唇部101の遠端を上側アセンブリ8に取付けることで達成される。
円環状唇部101は、通気性靴底要素の外側に向かう横方向と、通気性靴底要素から上方に向かう垂直方向との間の任意の方向で通気性靴底要素から延びてよい。
円環状唇部101は、図2a及び図15の実施例に対してのみ示されるが、本発明の他の実施例の通気性靴底要素もまた、唇もしくはカラーの構造、特に、上述された円環状唇部又は複数の唇部区画を具備し得ることが明示的に指摘される。
囲繞靴底要素81の上側部分は、通気性靴底要素61の円環状唇部101の上方、すなわち、底部機能層積層体24の一部分の下方と、円環状唇部101の下方であって上側アセンブリ8の上側部分10の一部分の下方と、上側アセンブリ8の上側部分10一部分であって、ほぼ垂直方向に配置された一部分の近傍と、に配置される。換言すると、囲繞靴底要素81は、靴の内側部が装着者の足に合致すべく型に基づいて作られる箇所にて、上側アセンブリ8の角隅部を包む。更に換言すると、囲繞靴底要素81は、上側アセンブリ8の下側部の一部分、並びに上側アセンブリ8の下側横方向面の各部分を覆う。囲繞靴底要素81の靴底材料は、ネットバンド15に浸透し、シュトローベル縫い目30に浸透し、メッシュ12に浸透し、上側材料11上に至り、上側膜13上に至り、円環状唇部101の少なくとも一部分を回り、底部膜21上に至る。この浸透された靴底材料は、一方ではシュトローベル縫い目30を防水様態でシールし、且つ他方では通気性靴底要素を上側アセンブリ8に取付ける。前記シールは、上側機能層積層体17と、靴の内部を囲繞する下側機能層積層体24であって、上側機能層積層体と相互に防水様態でシールされる下側機能層積層体24とから成る完全に防水性の上側アセンブリ8を提供する。シールされた上側機能層積層体17及び底部機能層積層体24は、防水性且つ通気性の機能層配列体を形成する。上側アセンブリ8は防水性であり、靴底アセンブリが非防水性であることを可能にする。囲繞靴底材料はまた、接続部30に浸透し、底部機能層積層体24及び上側機能層積層体17の夫々の上側部に至るが、このことは、図2aにおいて、シュトローベル縫い目30の上側部を覆う円形区画であって、底部機能層積層体24及び上側機能層積層体17上に延在する円形区画により例示される。特に、囲繞靴底材料は、前記の2つの積層体の間のスペース内へ上方へ侵入する。囲繞靴底材料はまた、円環状唇部101と底部機能層積層体24との中間に幾分か浸透する。この様にして、シュトローベル縫い目30の全体領域は、シュトローベル縫製工程により上側膜13及び底部膜21に形成された全ての孔が囲繞靴底材料により確実にシールされるように、囲繞靴底材料により浸透される。但し、浸透する囲繞靴底材料は、装着者に対する快適さ、並びに上側アセンブリ8の通気性を本質的に妨げない少ない体積に維持される。
通気性靴底要素61の上方に、靴301aには快適層40が配備される。快適層40は、通気性靴底要素61の頂部上に配置される。快適層40は、靴の更なる製造の前に其処に無拘束的に配置されるか又は取付けられる。斯かる取付けは、靴の内側部から通気性靴底要素61への水蒸気の流れが妨げられない様に、スポット接着剤結合又は円周接着剤結合により、又は通気性の接着剤を利用する接着剤結合により達成され得る。同様に、通気性靴底要素61の全面が接着剤結合され得ると共に、接着剤がチャネルに進入することを阻止するために、高揺変性接着剤が使用されるべきである。快適層40は、装着者に対する柔軟な歩行感覚を高めるために、特に、通気性靴底要素61のチャネルシステム160により装着者が違和感を感じないことを保証するために、挿入される。靴301aの好適実施例において、快適層40は、通気性靴底要素61のチャネルシステム160よりも大きな側方延在範囲を有すると共に、円環状唇部101の領域の幾分か上方に延在する。但し、快適層は、円環状唇部101が上側アセンブリ8に取付けられる、円環状唇部の側縁部までは延在しない。通常は、快適層は、通気性靴底要素と、同一の又はより小さい又はより大きい横方向寸法を有し得る。
快適層40は、通気性靴底要素61の頂部上に直接的に配備される。但し、それはまた、通気性靴底要素61から幾分か離間されてもよい。斯かる間隔は、通気性靴底要素61に対して快適層40を取付ける接着層の使用の結果であり、前記接着層は寸法設定可能な垂直延在範囲を有する。快適層は、通気性靴底要素の頂部上に直接的に配備されない場合でも、論述された好適な特性を依然として提供し得る。
通気性靴底要素は、数回の段階工程で作製されて上側アセンブリ8に取付けられる。第1の段階として、例えば、相応に形状化された成形型内へポリウレタン(PU)を射出成形することにより、通気性靴底要素61が作製される。ポリウレタンは、歩行の間のような使用の間において装着者の体重の少なくとも一部分を支持する大きな安定性を有する通気性靴底要素61であって、歩行の間における装着者の快適さを増進するために一定の可撓性を有する通気性靴底要素を形成するために使用され得る複数種の適切な材料の内の一つである。靴の好適な用途に応じて、適切な材料が選択され得る。ポリウレタンに加え、斯かる材料の例は、EVA(エチレン酢酸ビニル)などである。
次の段階として、快適層40は、通気性靴底要素61の頂部上に載置されると共に、それに対して接着剤を用いて取付けられる。通気性靴底要素61及び快適層40は次に、成形型内で上側アセンブリ8に関して所望位置に配置され、そこで囲繞靴底要素材料は、上側アセンブリ8及び通気性靴底要素61上へ射出成形される。この様にして、囲繞靴底要素81は、該囲繞靴底要素81の靴底材料によりこれらの要素の持続的で一体的な結合が達成されるように、上側アセンブリ8に対し且つ内側靴底通気要素61に対して接着される。囲繞靴底要素に適切な材料は、ポリウレタン、EVA、PVC又はゴムなどである。
図2aの実施例において、ネットバンド15は、上側部分10の角隅部の回り、すなわち上側機能層積層体17と上側材料11の該ネットバンド15とがほぼ水平な配向からほぼ垂直な配向へ屈曲される上側部分10の部分の回りを包み込む。ほぼ垂直な配向を有する部分は、装着者の足に対する側壁を形成する。従って、囲繞靴底要素81の靴底材料は、下側から、且つ上側アセンブリ8の側面から、ネットバンド15に浸透して上側膜上に至り得る。この様にして、囲繞靴底要素81と上側機能層積層体17との間の強力な多方向性の取付けが達成されると共に、積層体17、24間の良好なシールが提供される。
図2aの好適実施例において、囲繞靴底要素81は通気性靴底要素61よりも更に下方に到達し、このことは平面上での囲繞靴底要素81のみによる装着者の体重の支持に繋がる。このことは望ましい、と言うのも、靴底の一部分のみが装着者の連続的な負荷支持のために設計される必要があるのに対して、通気性靴底要素61に使用される材料は、チャネルシステム160を作製するための製造特性に基づいて、及び/又は、通気性靴底要素61の重量、故に、該通気性靴底要素61が配置される靴301aの靴底7の中央部分の重量の最小化に基づいて、選択され得るからである。
図2aの好適実施例に依れば、靴301aの靴底7は外底を有するようには示されないが、該実施例に対し、並びに記述される他の全ての実施例に対し、斯かる付加的な靴底要素が配備され得ることが指摘される。同様に、通気性靴底要素61及び囲繞靴底要素81の夫々の下側部は、靴の使用の間において地面上の靴底アセンブリ7の把持を向上させるトレッド構造を備えていない。但し、記述される全ての実施例において、靴底の下側部にはトレッド要素が配備され得ることが指摘される。例示的なトレッド構造/要素が以下に記述される。
図2bは、別実施例に係る靴301bを貫通する断面を示している。靴301bの多くの要素は、図2aに示された靴301aの対応要素と同一である。同一の又は類似する要素は、同一の参照番号で表されると共に、その説明は簡潔さのために省略される。
靴301bの通気性靴底要素61のチャネル構造160は、断面が矩形状である複数の長手方向チャネル184を有するように示される。長手方向チャネル184は、複数本の横方向チャネル181により、相互に、且つ側部通路50に接続され、該横方向チャネルの内の1本が、図2bの断面平面内に配置されて示される。横方向チャネル181の側端部の各々は長手方向チャネル184と一致し、且つ横方向チャネル181内には何らの空気及び湿気の放出ポートも配備されない。これらの側端部の配置は、側部通路50及び横方向チャネル181が、それらを通る空気流を可能にするように、通気性靴底要素61の側壁608と囲繞靴底要素81とを貫通延在する側部通路50の配置に対して合わされる。通気性靴底要素61の側壁608を通る側部通路50の断面積であって、横方向チャネル181の側端部における前記チャネル断面積と比較して小さい側部通路50の断面積は、次の利点、即ち、強力な取付けが達成可能であるように、通気性靴底要素61の側部表面602と囲繞靴底要素81の内側側部表面802との間の大きな接続面積が得られる、という利点を有する。
靴301bのチャネル構造160の長手方向チャネル184は、通気性靴底要素61内へ、横方向チャネル181よりも深く延在する。異なる高さを有するチャネルの配備は、チャネル体積と内側通気靴底材料との間の所望の折衷策、すなわち、空気流体積及び靴底安定性との間の所望の折衷策を達成する一つの手段である。従って、異なる高さのチャネルは、記述された他の実施例においても使用され得る。
チャネル構造160における差異に加え、図2aの実施例と図2bの実施例との間における多くの更なる差異が存在する。
靴301bの通気性靴底要素61は、円環状唇部を備えない。囲繞靴底要素81は、上側機能層積層体17の一部分の下方、並びに底部機能層積層体24の一部分の下方に配置される。この様にして、囲繞靴底要素81は、これらの積層体の相互に対する強力な取付け及びシールを可能にする。更に、装着者が足の下側部の大部分に亙り自身の快適な感覚を享受するように、快適層40は通気性靴底要素61の全幅に亙り延在する。
図2bの好適実施例において、通気性靴底要素61及び囲繞靴底要素81は、トレッド要素を備え、特に、靴301bの歩行特性を向上させるために、突出部分及び後退部分のパターンを備える。
図2bの実施例において、並びに記述される他の実施例において、上側材料11、メッシュ12、上側膜13及び布ライニング14は、4層積層体として形成され得ることが指摘される。
図2cは、別実施例に係る靴301cの断面を示している。靴301cの多くの要素は、図2bに示された靴301b及び図2aに示された靴301aの対応要素と同一であり、その説明は簡潔さのために省略される。但し、靴301cの通気性靴底要素61は、靴301bの通気性靴底要素61と異なる。靴301cの通気性靴底要素61は、該通気性靴底要素61の上側表面606から、該通気性靴底要素61の下側表面604まで延在する長手方向チャネル184及び横方向チャネル181を具備する。換言すると、通気性靴底要素61内のチャネルは、該通気性靴底要素61の全高に沿って延在する。この様にして、側部通路50を通り靴301cの側面に対して連通されることに加え、水蒸気は、底部機能層積層体24の下側面から、チャネルを通して靴301cの下側面まで、連通される。従って、水蒸気は、靴の内側部から、全方向へ放出され得る。
図2cの断面図は、靴301cの通気性靴底要素61のチャネルシステム160の1本の横方向チャネル181を通して切断している。靴301cの内側から通気性靴底要素61に進入する水蒸気は、チャネル構造160の長手方向チャネル184及び横方向チャネル181を介して該靴の下側面にて、且つ部分的に側部通路50を通して、抜け出し、その場合に横方向チャネル181は、通気性靴底要素61のチャネルシステム160と、側部通路50との間の空気連通を可能にする。横方向チャネル181は、通気性靴底要素61の全幅に亙り延在する。底部から視認されたとき、靴301cの通気性靴底要素61は、長手方向チャネル及び横方向チャネルにより分離された複数個の個別的な通気性靴底要素ブロックで構成される。
やはり、横方向チャネル181及び/又は長手方向チャネル184は、通気性靴底要素61の高さの任意の部分に亙り、特に、示されたように全高に亙り、又は通気性靴底要素61の頂部からその内側まで延在する高さの部分に亙り、延在し得る。同様に、通気性靴底要素61におけるチャネルは、靴の頂部もしくは底部から見たときに、該靴301cの長手方向と、該靴310cの横方向との間の任意の方向を有し得る。換言すると、チャネルは、靴の靴底を貫通する水平な断面にて見たときに、通気性靴底要素61において任意の方向に配向され得る。
通気性靴底要素の個々の構成要素は、別の複数の射出成形段階において上側アセンブリ8上へ射出成形され得ることが指摘される。
靴301cの快適層40は、通気性靴底要素61の側方延在範囲全体、及び囲繞靴底要素81の隣接部分に亙り延在する。この様にして、通気性靴底要素61の側縁部における唇部もしくは襟状部のような特定の設計態様に起因して、又は製造プロセスの不完全さに起因して存在し得る通気性靴底要素61と囲繞靴底要素81との間の一切の不連続性は、これらの不連続性が装着者の快適さに対して、又は底部膜21に対して不都合でない様に、快適層40により覆われ得る。快適層40はまた、示された他の実施例においても通気性靴底要素61を越えて延在し得ることが指摘される。
図2dは、本発明に係る靴301dの別実施例を貫通する断面を示している。やはり、靴301dの全ての要素は、通気性靴底要素61を除き、図2aに示された靴301aの対応要素と同一である。靴301dの通気性靴底要素61は、該通気性靴底要素61の全高を貫通延在するチャネル184を具備する。チャネルは斜めであり、これは通気性靴底要素61の上側表面606におけるチャネルの開放端部が、該通気性靴底要素61の下側表面604におけるチャネルの開放端部からオフセットされることを意味している。このことは、これらの斜めチャネルに進入し得る、例えば地面上に存在する画鋲もしくは釘などの鋭利な物体が、普通はチャネルを上方へ通過はせず、通気性靴底要素61の材料内に留まることから、チャネルの上方に位置する機能層を破損することはない、という利点を有する。図2dの実施例において、斜めチャネル184は長手方向チャネルであり、上側表面606におけるそれらの開放端部は、通気性靴底要素61の下側表面604におけるそれらの開放端部から横方向にオフセットされる。斜めの長手方向チャネルは、靴301dの横方向における水平チャネル181により、すなわち横方向チャネル181により接続される。横方向チャネル181は、各斜めチャネル184と側部通路50との間の流体連通を可能にする。やはり、横方向チャネル181は、任意の垂直延在範囲を有し得る。それらは、通気性靴底要素61の全高、並びにその一部分のみに延在し得る。示されたように、それらは、通気性靴底要素61の頂部から見たときに該通気性靴底要素61の靴底材料により覆われ得るが、それらはまた、通気性靴底要素61の頂部からその内部まで延在しても良い。横方向チャネルが斜めチャネルであり、また長手方向チャネルが例えば図2bに示されたように垂直配向を有することも可能である。同様に、長手方向チャネル及び横方向チャネルの両方が斜めにされて交差し、特定の流体連通チャネル構造を形成しても良い。やはり図2dの実施例において、水蒸気は、靴の内側部から上側アセンブリ8の下側面まで、且つ其処から、空気と共に、チャネル及び通路を通して靴底の外部に連通されることで、全方向において足からの水蒸気放出を可能にする。
やはり、快適層40は、通気性靴底要素61の頂部上に直接的に配備されて示される。
図3aは、別実施例に係る靴302aを貫通する断面を示している。靴302aの多くの構成要素は、図2bに描かれた靴301bの対応要素と類似しているか又は同一である。故に、その説明は簡潔さのために省略される。但し、通気性靴底要素62及び囲繞靴底要素82は、靴301bの対応要素とは異なっている。通気性靴底要素62は、上側表面606から下側表面604に掛けて、変化する側方延在範囲を有する。上側表面606上において、及び通気性靴底要素62の上側のほぼ2/3に対し、側方延在範囲は、一定であり、且つ靴301bの通気性靴底要素61の延在範囲に対応する。通気性靴底要素62の下側部分の至る所で、通気性靴底要素62は靴底アセンブリ7の側方延在範囲全体に亙り延在する。通気性靴底要素62は、靴底アセンブリ7と地面との間における接触領域全体を構成する。通気性靴底要素62は、靴がその靴底上に配置されたときに囲繞靴底要素82が地面に接触しない様に、囲繞靴底要素82の下方に延在する。囲繞靴底要素82は、通気性靴底要素62と上側アセンブリ8との間の側部ポケットを充填する。それはまた、上側アセンブリ8の側壁の下側部分も覆い、すなわち、それは、ほぼ垂直方向に配置された上側アセンブリ8の上側部分10の一部分に隣接する。通気性靴底要素62は描かれた断面平面において5本の長手方向チャネル184を具備し、長手方向チャネル184は、通気性靴底要素62の上側表面606から該通気性靴底要素のほぼ1/3まで内部に延在する。靴302aの長手方向チャネル184は、横方向チャネル181により、相互に、且つ側部通路50に接続され、図3aの断面は、横方向チャネル181の内の一本の横方向チャネルを通して切断している。横方向チャネル181は、長手方向チャネル184と同一の高さ延在範囲を有すると共に、やはり通気性靴底要素62の上側表面606から該靴底要素内へ延在する。長手方向チャネル184及び横方向チャネル181は、通気性靴底要素62の上側表面606から該靴底要素内へ延在する溝と見做され得る。やはり、他の図に関して記述されたように、通気性靴底要素62の頂部と側部通路50との間の流体連通を行うために、他の多くのチャネル構造も可能である。
靴302aの設計態様は、囲繞靴底要素82のために少量の靴底材料しか必要とされないことを可能にする。靴底アセンブリ7の体積の殆どを占有する通気性靴底要素62は、別体的に作製され得ると共に、囲繞靴底要素82は、良好に制御された迅速な射出成形段階において作製され得る。この段階は、靴製造を完成させる最後の段階であり得る。
図3bは、別実施例に係る靴302bを貫通する断面を示している。靴302bは、靴底アセンブリ7を除き、図3aの靴302aと同一である。靴302bは、通気性靴底要素62及び囲繞靴底要素82を具備する。通気性靴底要素62及び囲繞靴底要素82の下方には、外底92が配備される。靴301bの囲繞靴底要素82は、図3aに示された靴302aの囲繞靴底要素82と同一である。靴302bの通気性靴底要素62は、囲繞靴底要素82の内側側部表面802間に延在する。外底92は、靴302bの靴底アセンブリ7の全幅に亙り延在する。それは、通気性靴底要素62及び囲繞靴底要素82の両方の下側面を覆う。外底92は、平坦な表面上での靴302bの通常使用の間において地面と接触する該靴302bの唯一の要素である。この設計態様は、通気性靴底要素62及び囲繞靴底要素82に対する一切の要件から独立して、外底92に対する特に適切な材料が選択され得るという利点を有する。例えば、熱可塑性ポリウレタン(TPU)又はゴムもしくは革が使用され得る。同様に通気性靴底要素62及び囲繞靴底要素82の材料は、使用の間における地面に対する靴底の連続的な接触による摩耗及び裂開を何ら懸念することを必要とせずに、純粋に、装着者の快適さ、靴底の安定性、靴302bの製造の間における結合特性のような要因に基づいて選択され得る。
通気性靴底要素62のチャネル構造160は、図3bの断面平面内に4本の長手方向チャネル184を有する。前記チャネル構造はまた複数本の横方向チャネル181を具備し、その内の1本が図3bの断面平面内に示される。横方向で最外側の長手方向チャネル184は、横方向チャネル181の側端部には配置されていない。横方向チャネル181の側端部には、空気及び湿気放出ポート182が配備される。該空気及び湿気放出ポートは、横方向チャネル181の床部に凹所を具備し、該床部は、図3bの好適実施例においては傾斜形状を有する。横方向チャネル181の側端部は、通気性靴底要素62の側壁608と囲繞靴底要素82とを貫通延在する側部通路50と空気連通する。チャネル構造160は、上述されたのとは異なる種々の様態で改変され得ることは明らかである。
図3cは、別実施例に係る靴302cを貫通する断面を示している。靴302cの多くの要素は、図3a及び図3bに示された靴302a及び302bの対応要素と同一であり、それらの説明は簡潔さのために省略される。
靴302cの上側アセンブリ8の底部部分20の底部機能層積層体24は、3層積層体であり、これは、底部から頂部にかけて、メッシュ23、底部防水性/通気性膜21、及び支持布22を具備する。メッシュ23は、底部機能層積層体24に対して増進された安定性を与え得る。他の実施例の底部機能層積層体24もまた、靴302cに含まれたように、3層積層体であり得ることが指摘される。
図3dは、別実施例に係る靴302dを通る断面を示している。靴302dの多くの要素は図3bに示された靴302bの対応要素と同一であり、その説明は簡潔さのために省略される。靴302dの通気性靴底要素62は、囲繞靴底要素82の垂直延在範囲の上部において、囲繞靴底要素82の間に延在する。通気性靴底要素62の高さ延在範囲は、上側アセンブリ8の下方における囲繞靴底要素82の高さ延在範囲のほぼ半分である。通気性靴底要素62のチャネルシステム160は、図3aに示された靴302aの通気性靴底要素62のチャネルシステム160と類似している。通気性靴底要素62の下方には、靴中底122とも称される靴底快適層122が配備される。靴底快適層122は、横方向寸法において、通気性靴底要素62と共通の広がりを有している。靴底快適層122は、図3dに示された実施例においては空気連通チャネルを備えていないが、他の実施例においては空気連通チャネルを具備し得る。靴底アセンブリ7の側方延在範囲の大部分に亙る三層設計態様、すなわち、相互に重ねられた通気性靴底要素62、靴底快適層122及び外底92の配置によれば、特定の課題に高度に適した複数の材料を選択することを可能にする。特に、外底92のための材料は、その把持及び摩耗特性に基づいて選択され、靴底快適層122のための材料はその快適さ及び緩衝機能に基づいて選択され、且つ通気性靴底要素62のための材料は、その中にチャネル構造を有する一方で安定性を提供するその能力に基づいて選択され得る。これらの要素は、接着、射出成形、又は他の適切な技術により互いに取付けられ得る。
図3eは、別実施例に係る靴302eを貫通する断面を示している。靴302eの多くの要素は、図3dに示された靴302dの対応要素と同一であり、その説明は簡潔さのために省略される。
靴302dと対照的に、靴302eは、快適層、及びチャネルを形成された通気性靴底要素を備えていない。但し、靴302eの実施例においても、上で論じられたような快適層が存在し得ることが指摘される。快適層は、記述された他の実施例において省略され得ることも指摘される。
靴302eの通気性靴底要素は、容器要素113を具備する。該容器要素113は、空気流が通ることを可能にする構造もしくは材料112により満たされる。構造もしくは材料112は、底部部分113a及び側壁113bにより限定される容器要素113の全体積を通して延在する。構造もしくは材料112は、底部機能層積層体24の下側面と、側部通路50との間の空気連通を可能にする。側部通路50は、容器要素113の側壁113b、及び囲繞靴底要素82を貫通延在する。容器要素113の側壁113bの材料は、例えば、孔質材料などの、空気流が自身を通ることを可能にする材料で作成されることも可能である。
容器要素113は、その上側側縁部に円環状唇部113cを具備する。円環状唇部113cは、囲繞靴底要素82が射出成形される前に、構造もしくは材料112を含む少なくとも容器要素113が、上側アセンブリ8に関して固定されるように、シュトローベル縫い目30を介して上側アセンブリ8に取付けられる。容器要素113、靴中底122とも称される靴底快適層122、及び外底92は、この複合靴底構造がシュトローベル縫い目30を介して上側アセンブリ8に取付けられる前に、互いに取付けられることも可能である。
容器要素113は、靴302eの通気性靴底要素を形成する。上側アセンブリ8の底部機能層積層体24の下方に前記靴底要素を配置することにより、靴の内側と、容器要素113と、該容器要素113の側壁及び囲繞靴底要素82に配備された側部通路50との間の空気連通が確立される。
構造もしくは材料112は、空気連通を可能にするのに適した任意の構造もしくは材料であて、靴の使用の間において装着者の体重の所望部分を支持するのに適した任意の構造又は材料であり得る。構造もしくは材料112は、充填物要素間における空隙を通して空気流が生じ得るように、容器要素113内に配置された多数の充填物要素から構成され得る。斯かる構造もしくは材料に対する例は、開放セル構造を備える合成織地、又は以下に記述されるような他の適切な材料である。
空気流が自身を通ることを可能にする構造もしくは材料112は、本来的に空気流を可能にする特性を有する、スペーサ、又は他の孔質構造もしくは材料のように、連続的に立体的に形成され得る。
他の実施例の通気性靴底要素もまた、空気流が通ることを可能にする構造もしくは材料112、及び必要であれば、容器要素113により置き換えられ得ることが指摘される。通気性靴底要素全体が、上側アセンブリ8の下側面から当該材料の側部通路を通して水蒸気放出を可能にする孔質材料のような空気流許容材料で作成されることも可能である。
図3fは、別実施例に係る靴底202bを貫通する断面を示している。靴底202bは、僅かに異なるチャネル構造160を除き、図3cに示された靴302cの靴底に実質的に対応する。従って、簡潔さのために詳細な説明は省略される。靴底202bは、別体的要素として製造され得ると共に、靴302cの上側アセンブリ8に対し、又は本明細書中に記述される他の任意の上側アセンブリに取付けられ得る。取付けは、接着、射出成形、又は他の任意の適切な取付け技術により達成され得る。
図4aは、別実施例に係る靴303aを貫通する断面を示している。上側部分10と下側部分20とその接続部30とを具備する上側アセンブリ8及び靴底アセンブリ7の快適層40は、図3dに示された靴302dの上側アセンブリ8及び快適層40と同一である。同様に、その外側寸法に関し、靴303aの通気性靴底要素63は、靴302dの通気性靴底要素62と同一である。チャネル構造160に関し、靴303aの通気性靴底要素63は、靴302aの通気性靴底要素62と殆ど類似している。但し、通気性靴底要素63のチャネル構造は広さが少なく、且つ通気性靴底要素63の側壁608は、大きな側方延在範囲を有する。これらの要素の詳細な説明は、簡潔さのために省略される。靴303aは、通気性靴底要素63及び囲繞靴底要素83を具備する。此処でも側部通路50が配備され、該通路は、靴303aの通気性靴底要素63のチャネル構造と靴底アセンブリ7の横方向外側との間の空気連通を行うために通気性靴底要素の側壁702と囲繞靴底要素とを貫通して延びる。
靴303aの好適実施例において、囲繞靴底要素83は、通気性靴底要素63を横方向に囲繞するだけでなく、その下方を通過するかもしくはその下方に配置される。囲繞靴底要素83は、複数の支持部材133を具備する。各支持部材133は、囲繞靴底要素83を貫通して垂直に延在する。それらは、通気性靴底要素63の下方に配置される。本実施例において、囲繞靴底要素83は、通気性靴底要素63の下方に等しく離間された支持部材133を具備する。靴303aの長手方向におけるそれらの延在範囲に応じて、各支持部材133はリブもしくは支柱であり得る。換言すると、各支持部材133は、図4aに示されたように、それらの横方向延在範囲とほぼ等しい長手方向延在範囲を有し得るか、又はそれらの横方向延在範囲より相当大きい長手方向延在範囲を有し得る。別実施例において、各支持部材は横方向リブとして形成され得る。
支持部材133は、以下のように製造され得る。支持部材133は、通気性靴底要素63と同一の材料で作成され得る。この場合、通気性靴底要素63及び支持部材133は、一つの射出成形段階で一体的に射出成形され得る。従って、そのときに囲繞靴底要素83は、その後の射出成形段階において、通気性靴底要素63と、上側アセンブリ8及び支持部材133の各部分との回りに射出成形され得る。支持部材133は、別体的に製造されることも可能である。この場合、それらは、囲繞靴底要素83が射出成形される前に、通気性靴底要素63に取付けられるか、又は成形型内で通気性靴底要素63に対して固定位置に維持される。
支持部材133は、靴底の、特に、靴303aの通気性靴底要素の安定性に寄与する。それらを通気性靴底要素63の下方に配置すると、該通気性靴底要素63のチャネル化構造から生じ得る安定性の不都合が相殺され得る。更に、支持部材133は、囲繞靴底要素83のための材料に関する選択の制限を少なくし得る、と言うのも、靴底の安定性の懸念が低下するからである。支持部材133はまた、通気性靴底要素63を高位に維持することで、射出成形の間に囲繞靴底要素材料83が通気性靴底要素63の下方を流れることを可能にする。
図4bは、別実施例に係る靴303bを貫通する断面を示している。靴303bの多くの要素は、図4aに示された靴303aの対応要素と同一であることから、それらの記述は簡潔さのために省略される。靴303bの通気性靴底要素63は、靴303aの通気性靴底要素63において与えられたチャネルを具備する。同様に、通気性靴底要素63の側壁608を貫通し且つ囲繞靴底要素83を貫通して延在する側部通路50は、靴303bの側部通路50と同一である。さらに、通気性靴底要素63のチャネル構造から、該通気性靴底要素63を貫通してその下側表面604に至り、更に、囲繞靴底要素83を貫通する垂直通路52が配備される。垂直チャネル52は、通気性靴底要素63のチャネル構造と、靴底アセンブリ7の下側との間の空気流を可能にする。この様にして、靴303bには垂直な水蒸気及び空気放出チャネルが配備されることから、より大きな通気性が達成される。囲繞靴底要素83の支持部材133は、囲繞靴底要素83内で垂直チャネル52の回りに配置される。換言すると、靴303aの囲繞靴底要素83の支持部材133は中空構造であり、それを貫通して垂直チャネル52が延在する。囲繞靴底要素83は、中空の支持部材133を備えなくてもよいが、依然として垂直チャネルを有し得ることが指摘される。概括的な表現では、通気性靴底要素63の下方の囲繞靴底要素83の部分において、それを貫通して垂直チャネルが延在し得る。斯かる垂直チャネルは、成形型の底部ピストンに垂直ピンを固定することにより作成され得る。
靴303bは、囲繞靴底要素83の側部通路50の少なくとも一部分内に配置されたインサート51をさらに具備する。インサート51はピン形状とされている。それらは、ピン頭部延長部が側部通路50の直径より大きいピン頭部を具備する。インサート51は、通気性靴底要素63から側部通路50を通る空気及び水蒸気の放出が、該インサート51の内側を通して行われるように、中空構造を有する。側部通路50の直径は、インサートを収容すべく、且つそれを通しての適切な空気流を確実とすべく拡大される。
インサート51がなければ、側部通路50の壁部は、製造プロセスに起因して粗面もしくは不均一となり、それを通る空気流における乱流を引き起こすと共に、空気及び水蒸気の放出機能が低減され得る。中空インサート51により、側部通路50を通る空気流は、平滑な表面に沿って流れると共に、通気性靴底要素63から靴303bの靴底の外側へ空気及び水蒸気を搬送する上で高度に効率的であることが保証される。インサート51により、囲繞靴底要素83に対する射出成形プロセスのような製造プロセスを最適化するよりも安価な手法で、側部通路を通る円滑な空気及び水蒸気の流れが達成され得る。
インサート51は、取り外し可能なインサートであってよく、これは異なる使用状況を考慮して装着者が望むとおりに該インサートを挿入することを可能にする。取外し可能であるなら、インサート51は、装着者により靴の外観を調節可能とする手段でもある。
インサート51はまた、中実、すなわち非中空、且つ取外し可能であってもよい。この場合、装着者は、大雨の間、又は水溜まりもしくは泥濘(ぬかるみ)を通る徒歩の間などの、極めて不都合な使用環境において、インサート51を挿入し得る。この様にして、靴底内への水、泥などの進入が完全に阻止され得ることから、側部通路50及び通気性靴底要素63は、後時の使用に対し、目詰りすることはなく、あるいは、他の何らかの様態で空気流に対して透過不能となることはない。同様に、これらの中実インサートは、側部通路50及び通気性靴底要素63を低温の空気が流れて装着者に対する不快さを引き起こさない様に、低温条件で使用され得る。材料を節約し且つ重量を低減すべく、ピンの頭部のみを中実とし、側部通路により受容されるピンの部分は中空とすることも可能である。低温空気の不快さに対する別の手段は、隔離用の快適層40、又は隔離用の底部機能層積層体24を配備することである。
インサート51は、金属、又はプラスチック、又は他の任意の適切な材料で作成され得る。
インサート51の配備及び中空支持部材133の配備は独立的であることが指摘される。それらは両方とも靴303bの水蒸気特性を増進し得るが、一方の特徴部は、他方なしでも配備され得る。同様に、両方の特徴部は、論述された他の各実施例において、別体的に又は組み合わせて配備され得る。
図5は、別実施例に係る靴304を貫通する断面を示している。靴304の多くの要素、特に、上側アセンブリ8全体は、図4aに示された靴303aと同一である。同様に、靴304の通気性靴底要素64は、靴303aの通気性靴底要素63と類似している。靴304の囲繞靴底要素84は、靴303aの囲繞靴底要素83と比較して改変される。靴304の囲繞靴底要素84は、該靴304の底部までは、すなわち、通常使用の間において地面に接する靴304の表面領域までは延在しない。靴304の囲繞靴底要素84の垂直延在範囲は、靴303aの囲繞靴底要素83の垂直延在範囲よりも小さい。
靴304の囲繞靴底要素84の下方には、外底94が配置される。該外底は、囲繞靴底要素84の側方延在範囲全体に亙り延在する。図5の断面図において、外底94は、囲繞靴底要素84の全幅に亙り延在する。外底94は、種々の表面上で装着者の粘着摩擦を高めるために、トレッドを備える。外底94は、支持部材を備えていない。囲繞靴底要素84内には、支持部材134が存在する。靴304に対して別体的な外底94を配備すると、図3bに関して論じられたように、靴302bに対して外底92を配備したのと同一の利点が得られる。
図6aは、別実施例に係る靴305aを貫通する断面を示している。靴305aの上側アセンブリ8及び快適層40は、図5に関して記述された靴304の上側アセンブリ8及び快適層に対応する。靴305aは、通気性靴底要素65及び囲繞靴底要素85を具備する。通気性靴底要素65は、図5の靴304の通気性靴底要素64のチャネル構造160と同一のチャネル構造160を有する。囲繞靴底要素85は、通気性靴底要素65のチャネルシステム160と流体連通する側部通路50を有する。
通気性靴底要素65の側方延在範囲は、側部通路50の下端部の高さの下方にて、幾分か変化する。通気性靴底要素65の上側表面606からその下側表面604までのほぼ半分にて、通気性靴底要素65は通気性靴底要素の横方向延在範囲のほぼ全幅に亙り延在する。囲繞靴底要素85は、通気性靴底要素65の広幅部分の側部表面602を囲繞する靴底要素を形成する。それはまた、通気性靴底要素65の下側表面604を覆うことで、地面に対する靴305aの接触表面を形成する。囲繞靴底要素85はまた、通気性靴底要素65と上側アセンブリ8との間のポケットを満たすことで、これらの2つの構成要素間の取付けと、上側部分10と下側部分20との間の防水シールとを行う。
囲繞靴底要素85は、通気性靴底要素65の下方に配置された支持部材135を具備する。靴305aの通気性靴底要素及び囲繞靴底要素の設計態様は、通気性靴底要素65の緩衝及び快適さの能力が、通気性靴底要素の大きな体積全体の利用を保証する一方で、囲繞靴底要素85による通気性靴底要素65の完全な囲繞は、靴の均一な視覚的外観と、靴底アセンブリ7の全ての外壁に亙る丈夫な外側材料の配備とを可能にする。囲繞靴底要素85は、トレッド構造を備える。
図6bは、別実施例に係る靴305bを貫通する断面を示している。図6aと比較して、囲繞靴底要素85は改変されている、と言うのも、それは、靴305bの通常使用の間に地面に接触する部分を備えないからである。換言すると、囲繞靴底要素85は、底部側からではなく、横方向のみで通気性靴底要素65を囲繞する。通気性靴底要素65及び囲繞靴底要素85の夫々の下側面の下方には、外底95が配備される。外底95は、支持部材135を具備する。支持部材135は、図6aの囲繞靴底要素85の下側層内に示された支持部材135に匹敵する。更に、外底95は、その下側面にトレッド構造を具備する。別体的な外底95の要素を配備することの利点は、図3bに示された靴302bの外底92に関して記述されたのと同じである。
図6cは、別実施例に係る靴305cを貫通する断面を示している。靴305cの上側アセンブリ8は、上側材料11と上側機能層積層体17とを具備する上側部分10と、底部機能層積層体24を具備する底部部分20とを具備する。底部機能層積層体24は、上側アセンブリ8の水平部分全体に亙り延在する。それはまた、上側アセンブリ8の側部部分上に幾分か延在する。上側機能層積層体17は、上側アセンブリ8の水平部分から側部部分への移行部までは下方へ延在しない。ネットバンド15を含む上側材料11は、上側機能層積層体17と同じ程度まで下方まで、又は上側機能層積層体17よりも更に下方まで延在し得る。図6cの好適実施例において、ネットバンド15は、上側アセンブリ8の側面の底端部まで下方に延在する。図6cの好適実施例において、上側機能層積層体17及び底部機能層積層体24は、夫々の縁部にて相互に接近され、これらの構成要素をシュトローベル縫い目30が接続する。シュトローベル縫い目30はまた、これらの構成要素に対してネットバンド15も取付ける。
底部機能層積層体24及び快適層40の下方に配置された通気性靴底要素65は、底部機能層積層体24の水平部分の殆どに亙り延在する。実際、通気性靴底要素65は、底部機能層積層体24の水平部分全体に亙り延在し得る。このことが可能なのは、上側材料11のネットバンド15と、底部機能層積層体24と上側機能層積層体17とを結合する継目30が、上側アセンブリ8の下側面にではなく、上側アセンブリ8の下側横方向面に配置されるからである。故に囲繞靴底要素84は、(図6cの場合である)底部機能層積層体24の下方までにではなく、底部機能層積層体24の水平側方延在範囲の外側にのみ付着され得る一方で、依然として継目30をシールし得る。
図6cにおける通気性靴底要素65は、図6cの断面平面における該要素の垂直延在範囲に沿って一定幅を有する。それは、靴305cの長手方向全体に亙り全て横方向断面において一定幅を有し得る。但し、通気性靴底要素65の幅は、例えば図1に示されたように、靴305cの全体に亙る異なる長手方向箇所における他の横方向断面での垂直寸法が変化することも可能である。靴305cの通気性靴底要素65のチャネル構造160は、図6bに示された靴305bの通気性靴底要素65のチャネル構造160に対応する。
通気性靴底要素65を、靴底アセンブリ7の全て又は殆ど全ての横方向寸法に亙り配備すると、底部機能層積層体24、及びそれから水蒸気を受ける通気性靴底要素65の高い水蒸気放出機能が、大きな面積に亙り利用され得るという利点が得られる。この特徴は、他の実施例の全てに対しても適用され得る。
囲繞靴底要素85は、通気性靴底要素65の側部表面602を囲繞する。それは、通気性靴底要素65の垂直延在範囲の全体に亙り一定幅を有する。その垂直延在範囲の上方にて、囲繞靴底要素85は上側アセンブリ8の下側部分を横方向にて囲繞する。囲繞靴底要素85の靴底材料は、ネットバンド15及びシュトローベル縫い目30に侵入することで、上側アセンブリ8の上側部分10及び下側部分20の間の接続領域をシールする。通気性靴底要素65及び囲繞靴底要素85の下方には、外底95が配備される。此処でも、外底95は、支持部材135と、該外底の下側面上のトレッド構造とを備えている。
図7は、別実施例に係る靴306を貫通する断面を示している。靴306の上側アセンブリ8は、以下にて論じられるように使用される底部機能層積層体24を除いて、図2bの靴301b及び図3bの靴302bの両方の上側アセンブリと同一である。靴306は、通気性靴底要素66の頂部上に快適層を備えない。靴306の囲繞靴底要素86は、靴301bの囲繞靴底要素81と同一である。靴306の通気性靴底要素66は、靴302cの通気性靴底要素62のチャネル構造160と類似するチャネル構造160であって、4本の長手方向チャネル184のみを具備するチャネル構造160を有する。靴306の通気性靴底要素66の側方延在範囲は、靴302cの通気性靴底要素62の側方延在範囲と同一である。通気性靴底要素66は、囲繞靴底要素86の間において、垂直寸法に沿う一定幅で延在する。通気性靴底要素66は、靴底の底部までも、特に、垂直方向において囲繞靴底要素86と同じ様に下方まで延在する。通気性靴底要素66及び囲繞靴底要素86は、靴306の使用の間に地面と接触する(トレッド構造を除く)面一な表面を形成する。故に、装着者の体重は、通気性靴底要素の2つの構成要素間で均一に配分され得る。
靴306の底部機能層積層体24は、その下側面上に、瘤状部(こぶじょうぶ)とも称される複数のドット29を備えている。従って、ドット29は、底部膜21の下側表面上に配備される。ドット29は、底部機能層もしくは膜の下側表面の全体に亙り、規則的パターンで、特に、靴の横方向に延在する複数の平行な列で分布されたポリマーのドットであり、斯かる列の一つは図7の断面図に示される。ドット29は、通気性靴底要素66の頂面の不均一な性質にも関わらず、装着者の快適さが保証されるように、緩衝効果を有する。ドット29は、快適層が省略され得るほどに有効であることが確認された。ポリマーのドット29を有する底部機能層積層体24は、他の全ての実施例に対しても適用され得る。個別のドット29間に存在するスペースの故に、底部機能層積層体24の水蒸気透過性は阻害されない。ドット29を含めて底部機能層積層体24は容易に製造され得ることから、斯かる積層体は、製造効率の増大が達成可能であるように、靴を製造するために必要とされる構成要素の個数を減少させ得る。
図8aは、別実施例に係る靴307aを貫通する断面を示している。該靴307a、並びに図8b、図10a及び図10bに示された靴307b、309a及び309bは、これまでに各図に関して記述された靴底構成とは異なる靴底構成を有している。これらの靴の通気性靴底要素は、単一片要素である。これらの靴において、通気性靴底要素と囲繞靴底要素との組合せ物は存在しない。従って、通気性靴底要素の側壁を貫通延在する側部通路50は一つの要素のみを貫通延在するが、先に記述された側部通路は、通気性靴底要素の側壁及び囲繞靴底要素を貫通延在する。
靴307aの上側アセンブリ8は、図6cに示された靴305cの上側アセンブリ8と同一である。靴307aは、通気性靴底要素67及び囲繞接続要素87を具備する。通気性靴底要素67は、靴307aの横方向寸法全体に亙り延在する。同様に、通気性靴底要素67は一つの要素で構成される。それは、複数の下位要素により形成されるのではない。
通気性靴底要素67は、チャネル構造160から延在する側部通路50であって、空気流が靴底アセンブリ7の横方向外側に至ることを可能にする側部通路50を具備する。通気性靴底要素67のチャネル構造160は、図3aの靴302aの通気性靴底要素62のチャネル構造160に類似している。通気性靴底要素67のチャネル構造160は、上側アセンブリ8の底部部分の実質的に全体の下方にて展開される。従って、底部機能層積層体24を通し、靴の内側からの水蒸気を受容する大きな面積が提供される。同様に、側部通路50は比較的に短く、これは通気の速度を促進する。この様にして、通気性靴底要素67を通る靴の内側からの高度に有効な水蒸気の放出が達成される。此処でも、底部機能層積層体24と通気性靴底要素67との間には快適層40が配設される。
通気性靴底要素67の下方には外底97が配置される。それは、通気性靴底要素67の側方延在範囲の全体に亙り延在する。それはまた、トレッド構造も具備する。外底97は、任意選択的な特徴部である。通気性靴底要素67はまた、靴307aの使用の間において地面に対する接触領域を含むべく設計されても良い。
囲繞接続要素87は、靴307aの上側アセンブリ8の下側部分を囲繞する。それはまた、通気性靴底要素67の上側表面704の側方端部も覆う。囲繞接続要素87は、上側アセンブリ8の下側部分、及び通気性靴底要素67の上側表面704の側方端部の両方に取付けられる。この様にして、上側アセンブリ8と通気性靴底要素67との取付けは、囲繞接続要素87により行われる。囲繞接続要素87は、通気性靴底要素67上に射出され得る。囲繞接続要素87は、上側アセンブリ8と通気性靴底要素67との間の唯一の取付けの形態であり得る。但しさらに、快適層40を含むかもしれない通気性靴底要素67は、別の手法で上側アセンブリ8の底部部分20に対して接着されるかもしくは取付けられ得る。通気性靴底要素67はまた、該通気性靴底要素67の上側部から上方に延在する唇部であって、縫い目30により他の構成要素に対して縫合される唇部も有し得る。
囲繞接続要素87の材料は、ネットバンド15に浸透して、靴307aの上側アセンブリ8の上側部分10と下側部分20との間の接続領域30上に至る。この様にして、囲繞接続要素87は、接続領域30において、特にシュトローベル縫い目30において防水性シールを形成すると共に、靴に対して靴フレームの外観を加える。
囲繞接続要素87は、通気性靴底要素67の側方延在範囲を越えて延在する僅かな側方突出部を有している。この付加的な靴底材料は、使用の間に囲繞接続要素87内に誘起される応力の分担に役立つことから、更に丈夫な構成が達成される。
底部機能層積層体24と上側機能層積層体17との間の接続部30は、例えば、シール用テープにより別の手法でシールされ得ることも可能である。その場合、囲繞接続要素87は、通気性靴底要素67を上側アセンブリ8に取付けるために射出され得る。斯かる取付けはまた、囲繞接続要素87を上側アセンブリ8及び通気性靴底要素67に対して接着することにより達成されても良い。
図8bは、別実施例に係る靴307bを貫通する断面を示している。靴307bは、囲繞接続要素87を除き、靴307aと同一である。靴307bの囲繞接続要素87は、通気性靴底要素67の上側周縁部を覆うことで、該通気性靴底要素67の上側表面704の側方端部、及び側部通路50の上方における通気性靴底要素67の側部表面706を覆う。この様にして、上側アセンブリ8と通気性靴底要素67との間における多方向性の強力な取付けが達成される。靴307bの通気性靴底要素67は、該靴の外底を形成する。この好適実施例において、別体的な外底は配備されない。但し、別体的な外底を配備することも可能である。
図9は、別実施例に係る靴308を貫通する断面を示している。上側アセンブリ8及び快適層40は、図8aに示された靴307aの対応要素と同一である。靴308は、通気性靴底要素68及び囲繞靴底要素88を具備する。通気性靴底要素68は、快適層40から垂直に、靴308の外底を形成する該靴308の下端部まで延在する。通気性靴底要素68は、その下側面にトレッド構造を備えている。通気性靴底要素68は、その下側部分において、靴308の横方向寸法全体に亙り延在する。その上部において、通気性靴底要素68の横方向寸法は、下側部分と比べて減少される。通気性靴底要素68の上部の側方延在範囲は、ほぼ、上側アセンブリ8の側方延在範囲に対応する。囲繞靴底要素88は、通気性靴底要素68の上側部分及び上側アセンブリ8の下側部分を囲繞して、上側アセンブリ8の上側部分10及び下側部分20の間の接続領域30を覆う。通気性靴底要素68の側壁608を貫通延在する側部通路50であって、通気性靴底要素68のチャネル構造160と空気連通する側部通路50が配備される。通気性靴底要素68は、靴307aの通気性靴底要素67のチャネル構造160に対応するチャネル構造160を具備する。
囲繞靴底要素88は小さな側方延在範囲を有し、これは通気性靴底要素68の非常に均一なデザインを可能にする、と言うのも、靴底体積の大部分が通気性靴底要素68により提供されるからである。此処でも、囲繞靴底要素88の小体積は、該囲繞靴底要素88の迅速で良好に制御された射出成形を可能にする一方で、通気性靴底要素68と上側アセンブリ8との間の取付け、並びに上側アセンブリ8の上側部分10及び下側部分20の間の接続部のシール、並びに側部通路50を通しての水蒸気放出機能を保証する。
図10aは、別実施例に係る靴309aを貫通する断面を示している。靴309aは、接合もしくは接着靴と称される、と言うのも、靴309aの靴底アセンブリ7は上側アセンブリ8に対して接着されるからである。
上側アセンブリ8は、上述されたような上側材料11及び上側機能層積層体17を有する上側部分と、内底25及び底部機能層積層体24を有する底部部分20とを具備する。底部機能層積層体24は、頂部から底部にかけて、防水性/通気性膜21及び支持布22を具備する。図10aにおいて、上側機能層積層体17は、シュトローベル縫い目30を介して内底25に接続される。底部機能層積層体24は、底部から、防水性の接着封止材28により上側機能層積層体17に対して接着される。防水性の接着封止材28は、下側膜21と上側膜13との間の防水性シールが防水性の接着封止材28により行われるように、メッシュ12に浸透する。この様にして、防水性且つ通気性の上側アセンブリ8が形成される。底部機能層積層体24はまた、下側膜21の頂部上にメッシュを有する三層の積層体であって、防水性の接着封止材28がこのメッシュに浸透して2つの膜間に防水性シールを提供する三層積層体であってもよい。上側材料11は耐久接着剤26を介して底部機能層積層体24の下側表面に接着され、上側材料11の重なり合い部分は、底部機能層積層体24の下方に配置される。
内底25は省略されても良く、且つ上側機能層積層体17は、例えば、防水性封止材を使用することにより、又はシール材料が継目内へ且つ該継目の回りへ浸透するように接続領域上へシール材料を射出することにより、又は防水性の継目用テープを使用することにより、積層体間の接続領域が防水様態でシールされるように、底部機能層積層体24に対して縫い付けられるかもしくは接着される。あるいは、内底は、防水様態で相互に接続された積層体の下方に配置され得る。
靴309aの靴底アセンブリ7は、通気性靴底要素69及び外底99を具備する。外底99は、通気性靴底要素69の実質的に側方延在範囲全体に亙り、該要素の下方に配置される。通気性靴底要素69は、その内側部分内にチャネル構造160を具備する。チャネル構造160は、上述されたチャネル構造の内の任意のチャネル構造であり得る。図10aの特定実施例において、チャネル構造160は図6cに示された靴305cのチャネル構造160に類似しており、チャネルはより大きな垂直延在範囲を有している。通気性靴底要素69はまた、その側面部分にて側部通路50も具備する。側部通路50は、通気性靴底要素69のチャネル構造160と空気連通する。
通気性靴底要素69は、靴底接着剤27を介して上側アセンブリ8に接着される。靴底接着剤27は、通気性靴底要素69の上側周囲部分、すなわち通気性靴底要素69の上側表面の部分と、上側材料11の最下位部分との間に配置される。この様にして、靴309は製造され、該靴の内側から、通気性靴底要素69のチャネル構造160及び側部通路50を通り、靴底アセンブリ7の横方向外側への水蒸気放出を保証する。
図10bは、別実施例に係る靴309bを貫通する断面を示している。靴309bもまた接合靴であり、靴底アセンブリ7は上側アセンブリ8に対して接着されている。靴309bの靴底アセンブリ7は、靴309aの靴底アセンブリと同一である。
但し、靴309bの上側アセンブリ8は、靴309aの上側アセンブリ8とは異なる。靴309bの上側アセンブリ8は、該上側アセンブリ8の内側面全体に亙り配置された防水性/通気性膜18を具備する。膜18は、装着者の足の回りに防水性且つ通気性の袋体を形成する立体的膜/機能層である。膜18は、上側アセンブリ8の上側部分10並びに底部部分20に亙り延在する。特に、それは、上側アセンブリ8の側部部分に亙り、並びに装着者の足裏面に関連づけられる上側アセンブリ8の略水平部分に亙り延在する。膜18は、上側アセンブリ8の略水平部分において接着剤28を介して該膜18の下方に配置された内底25に対して接着される。接着剤28は、図10bに示されたように周囲的に、又は通気性の接着剤が使用されるならば、内底25の延在範囲全体に亙り、スポット的にもしくは全体的に使用され得る。上側アセンブリ8はまた、内底25の側端部全体に亙り終端された外側材料11であって、耐久接着剤26を介して該内底に対して接着された外側材料11を具備する。此処でも、靴底アセンブリ7は靴底接着剤27を介して上側アセンブリ8に対して接着される。
膜18の代わりに、防水性/通気性膜、及び支持布及び/又はメッシュを具備する機能層積層体が使用され得る。
図10bの実施例において、上側アセンブリ8の上側部分10及び底部部分20に亙り延在する機能層配列体は、1枚のみの機能層(又は1枚のみの機能層積層体)で構成される。以前に記述された各実施例において、機能層配列体は、上側膜13及び底部膜21により、特に、上側機能層積層体17及び底部機能層積層体24により形成されていた。
当業者であれば明らかなように、記述された実施例においては、多くの改変が為され得る。更に、各実施例は異なる様態で組み合わされ得る。
例えば、射出成形の代わりに、上述された各実施例の靴底要素を製造すべく他の技術が使用され得る。例えば、通気性靴底要素は、成形プロセスにおいて鋳型内へ注入され得る。加硫は、靴底を製造する別の公知プロセスである。
別の代表的な改変は、記述された二層式の底部機能層積層体に関する。下側膜の下方に第3層を有する三層式の底部機能層積層体を配備することも可能である。第3層は、メッシュであり得るか、又は該第3層は、上側膜に対する下側膜のシールが行われ得るように射出成形の間に靴底材料が自身に浸透することを可能にする他の適切な材料であり得る。
別の代表的な改変は、少なくとも一本の側部通路50が、最初の使用前に除去可能なインサートを備えるということである。特に、前記インサートは、側部通路の回りの材料に対し、すなわち通気性靴底要素に対し、特に囲繞靴底要素に対して接続され得る。但し、斯かる取付けは、例えば、ユーザがインサートを手で除去し得るように、局所的な取付け点のみを具備するなど、脆弱であり得る。この様にして、側部通路は出荷及び販売の過程においては塵埃が入らないままであるが、靴の装着者により容易に完成されることが保証される。取付けられるこれらのインサートは、例えば、囲繞靴底要素を型成形するための成形型に、後時に形成されるべき靴の側部通路の長さの全体に亙っては延在しない中空ピンを配備することにより達成され得る。この様にして、自身の内側端部にて囲繞靴底要素に接続されたインサートが形成される。取付け領域、すなわち前記ピンの長さと側部通路の延在範囲との間の差分領域は、装着者がインサートを引っ張ることによりこの取り付けを破断し得るように選択され得る。その様に取り付けられるピンを製造する別の手法は、中実の、すなわち側部通路の無い囲繞靴底要素を形成して、側部通路の外周縁に沿って囲繞靴底要素内へ切り込む一方で、後で形成されるべき側部通路の内側領域の材料を取り去らないことである。周縁に沿う切り込みは、装着者が殆ど労力なしで側部通路内の残存材料を除去し得るように行われる。
図11は、本発明の実施例に係る靴170の分解図を示している。
靴170は実質的に図1に描かれた靴300に対応するが、その各要素は異なる参照番号により表される。靴170は、底部から頂部にかけて見て、外底要素171、土踏まず芯172、通気性靴底要素173、快適層174、囲繞靴底要素175、及び上側アセンブリ176を具備する。
外底要素171、土踏まず芯172及び通気性靴底要素173は、事前作製され得る。土踏まず芯172は、靴170の中央及び踵(かかと)部分に十分な安定性を提供するために通気性靴底要素173内に一体化されることができ、また外底要素171及び通気性靴底要素173は、相互に型成形されるか又は接着され得る。
通気性靴底要素173の上側部には、図12〜図19に関して記述されるチャネル構造が形成され、且つ通気性靴底要素173の側壁を貫通してチャネル構造まで延在する側部開口610が配備される。図1〜図10bに関しては、通気性靴底要素の側壁を貫通すると共に囲繞靴底要素を貫通して延在する側部通路50が記述された。通気性靴底要素173の側壁608を貫通延在する側部通路の部分は、側部開口とも称されると共に、図11においては参照番号610で示される。囲繞靴底要素175を貫通延在する側部通路の部分は側部通路部分とも称されると共に、図11においては参照番号611で示される。
図11〜図19の実施例において、側部開口610及び側部通路部分611は、異なる製造段階において形成され得る。
通気性靴底要素173の側壁608は、その周囲部分により形成され、前記周囲部分は、側壁の外側面と、横方向チャネルのチャネル端部と空気及び湿気放出ポートの端部との間に描かれた仮想線との間に延在する。
各側部開口610は、靴の全ての別個の部材が既に相互に結合されているときに通気性靴底要素が製造される時点にて、又は中間の他の任意の段階にて、提供され得る。
快適層174は、通気性靴底要素173に対して固定され得る。囲繞靴底要素175は、靴170の外側への空気及び湿気の放出を可能にすべく、通気性靴底要素173の側部開口610と整列された、すなわち、該開口と幾何学的に合う12個の側部通路部分を具備する。囲繞靴底要素は、その後の製造段階において、上側アセンブリ176に対し、並びに外底要素171、土踏まず芯172及び通気性靴底要素173を具備する事前組立体に対して型成形され得る。
図11はまた、靴170の前側部分を貫通延在する横方向切断平面D−Dも示している。図2a〜図10bの各図は、平面D−Dに沿って獲得された多数の実施例の断面図を示している。
靴170の更なる詳細のために、図2a〜図10bに関して記述された各実施例が参照される。
図12は、靴170を長手方向に貫通する切断平面に沿って獲得された靴170の断面図を示している。
図12に依れば、自身の上側部分内に形成されたチャネル構造を有する通気性靴底要素173であって、その高さのほぼ中央にて中央部分から踵部分に至る領域内に一体化された土踏まず芯172を有し、且つ更に低位の前側部分及び更に高位の踵部分を備えた人間工学的形態を有する通気性靴底要素173は、囲繞靴底要素175により囲繞される。通気性靴底要素173及び囲繞靴底要素175の両方の下側面に外底要素171が固定されると共に、該外底要素はその下側面上でトレッドを形成する。通気性靴底要素173及び囲繞靴底要素175の上方には、それらに対して、射出された囲繞靴底要素175により結合され得る上側アセンブリ176が配備される。
図13は、通気性靴底要素173の平面図を示している。
この平面図においては、通気性靴底要素173の周囲の大きさが視認され得る。通気性靴底要素173は、前足の母指球部分179にほぼ対応する前側部分において最大の幅を、且つ足の踵180にほぼ対応する後側部分において最小の幅を有する。通気性靴底要素173の上側表面は、参照番号606により表される。
通気性靴底要素173の本体177の上側部分においては、多数の横方向チャネル181を具備するチャネル構造178が形成される。横方向チャネル181の幾つかは、拡大された側端部を有することで、空気及び湿気放出ポート182を形成する。空気及び湿気放出ポート182内の横方向チャネル181の深さもまた、来たるべき図15a及び図15bから明らかとなる様に、該横方向チャネル181の中央部分の深さと比べて大きくされ得る。図13の平面図においては視認され得ない側部開口610は、空気及び湿気放出ポート182から、通気性靴底要素173の側壁608を貫通して延在する。横方向チャネルの幾つかは、ポートに終端しない。それらの端部は、通気性靴底要素173の側壁608における側部開口610と接続されない。
隣接する横方向チャネル同士は互いに離間されると共に、横方向チャネルは、通気性靴底要素173のつま先部分から踵部分まで、該靴底要素の上側部分のほぼ全体を覆う。図13の好適実施例においては、全部で23本の横方向チャネル181が配備される。
チャネル構造178は更に周縁チャネル183を具備し、該周縁チャネル183は、実質的に長手方向において横方向チャネル181を接続する。周縁チャネル183は、横方向チャネル181の最前部(つま先領域)の中央部分から、ジグザグ線で、横方向チャネル181の最後部(踵領域)の中央部分まで延在する。
代表的な周縁チャネル183のジグザグ形態は、横方向チャネル181に対する該周縁チャネルの横方向最外側の交差点が、拡開された空気及び湿気放出ポート182を備える横方向チャネル181に配置され、且つ各横向きチャネル181に対する該周縁チャネルの横方向最内側の交差点が、長手方向で見て、拡開された空気及び湿気放出ポート181を備える2本の対応する横方向チャネル181間に位置するようなものである。
図13の好適実施例においては、全部で6本の横方向チャネル181の側端部が、拡開された空気及び湿気放出ポート182を備えている。この好適実施例においてそれは、斯かる拡開された空気及び湿気放出ポート182を備えた通気性靴底要素173のつま先端部から開始して、第3、第6、第10、第13、第16、及び第21の横方向チャネル181である。結果として、ジグザグな周縁チャネル183は、これらの拡開された空気及び湿気放出ポート182のまさに内側にて、該チャネルの最外側点を有する。ジグザグな周縁チャネル183の最内側点は、第1、第5、第9、第12、第15、第19、及び第23の横方向チャネル181に配置される。ジグザグな周縁チャネル183の部分であって、隣り合う2つの最外側点及び最内側点の間における部分は、直線状に形成される。
チャネル構造178は更に、通気性靴底要素173の前側部分及び中央部分の中央において幾本かの横方向チャネル181と交差する多数の長手方向チャネル184を具備する。これらの長手方向チャネル184は、通気性靴底要素173の側壁608にて終端はせず、且つポートも備えていない。但し、本発明の他の実施例においてそれらは、通気性靴底要素173の側壁608において終端し得ると共に、それらもポート182にて終端し得る。
図13の好適実施例においては、第2の横方向チャネル181及び第5の横方向チャネル181の夫々の中央部分の間に配置された第1の長手方向チャネル184があり、第2の長手方向チャネル184は、第6及び第9の横方向チャネル181の夫々の中央部分の間に配備され、第3の長手方向チャネル184は、第10及び第12の横方向チャネル181の夫々の中央部分の間に配置され、且つ第4の長手方向チャネル184は、第13及び第14の横方向チャネル181の夫々の中央部分の間に配備される。斯かる長手方向チャネル184は特に、横方向チャネル181が大きな幅を有する通気性靴底要素173の部分に配備される。
通気性靴底要素173の側壁608は、該通気性靴底要素の周囲部分により形成され、前記周囲部分は、側壁608の外側面と、横方向チャネル181の端部と空気及び湿気放出ポート182の端部との間に引かれた仮想線であって図13においては破線により表される仮想線との間に延在する。
種々のチャネル、及びことによると側壁608により、機能的な支柱が形成される。例えば、第3及び第4の横方向チャネル181と、第1の長手方向チャネル184と、周縁チャネル183とにより形成された機能的支柱400が在る。この機能的支柱400は、チャネル181、184及び183により完全に囲繞される。更なる機能的支柱401であって、横方向においては側壁608の内側部と周縁チャネル183の近傍部分との間に延在し、且つ長手方向においては第4及び第5の横方向チャネル181間に延在する更なる機能的支柱401が、側壁608の上側部分によって形成される。
通気性靴底要素173を貫通延在する長手方向切断平面V−Vが描かれる。通気性靴底要素173を貫通する横方向切断平面W−Wは、拡開された空気及び湿気放出ポート182を備える第6の横方向チャネル181の横方向延在範囲内に位置して描かれる。更なる横方向切断平面X−Xは、第13及び第14の横方向チャネル181間の位置において通気性靴底要素173を通して延在して描かれる。
参照番号179は、通気性靴底要素173の母指球領域を表す。この母指球領域179は、前足の母指球領域を支持する通気性靴底要素173の部分に対応する。参照番号180は、通気性靴底要素173の踵領域を表す。この踵領域180は、足の踵部分を支持する通気性靴底要素173の部分に対応する。図13の好適実施例において、母指球領域179は第5の横方向チャネル181から第10の横方向チャネル181まで延在し、且つ踵領域180は第19の横方向チャネル181から第21の横方向チャネル181まで延在する。
本発明者等によれば、母指球領域179及び踵領域180はいずれも、最大の応力及び屈曲が生ずる重要な領域であることが見出された。故に、横方向チャネル181の幅は、通気性靴底要素173の他の部分における横方向チャネルと比較して、これらの領域179及び180の一つ又はふたつにおいて、異なるものであり得る。このことは、図13においては示されない。特に、母指球領域179及び踵領域180における横方向チャネル幅は、通気性靴底要素173の他の部分における横方向チャネル幅より幾分か小さくされ得る。母指球領域179及び踵領域180における代表的な横方向チャネル幅は2.5mmであるが、他の領域並びに長手方向及び/又は周縁チャネルにおける横方向チャネル幅は3mmであり得る。
更に、歩行サイクルの立脚期におけるポンピング効果を最大化するために、母指球領域179における横方向チャネル181は、該母指球領域179の上端部に向けて更にシフトされ得る。故に、第7、第8及び第9の横方向チャネルは第6のチャネルに接近して移動されることで、対象者の足の母指球の着地により、最大のポンピング効果が得られる。換言すると、そのときに、前足部分において隣り合う横方向通気チャネル181間の距離は、水蒸気を外側へポンピングする効果を高めるために、踵部分におけるよりも小さい。
周縁チャネル183により、最終的に空気及び湿気放出ポート182に至るチャネルの本数は増大されることから、靴の外側へ搬送され得る空気及び湿気の量が増大される。周縁チャネル183は、異なる角度で横方向チャネル181を切断する。故に、周縁チャネル183は、第2の横方向チャネル181を45°の角度にて切断する。これに対して、第6の横方向チャネルは58°で切断され、第16のチャネルは48°で切断され、且つ第21のチャネルは72°で切断される。2つの放出ポート182を、本体177の周縁部に追随する直線状の周縁チャネル183により接続するのではなく、周縁チャネルは、既に記述されたようにジグザグ状である。該ジグザグ構造は、放出ポート間の直線状の接続チャネルを備えた構造よりも、湿気に対して更に良好な吸収及び搬送を行う。
図14は、縦軸線に沿って獲得された通気性靴底要素173の断面図を示している。
図14は、通気性靴底要素173の本体177の低位の前側部分410、上昇された中央部分411及び高位の後側部分412、並びに直線状で直立した側壁を具備する通気性靴底要素の好適実施例を示している。簡素化のために、通気性靴底要素173は、当然乍ら配備され得る土踏まず芯なしで描かれている。
図14においては、通気性靴底要素173の上側部分に形成された横方向チャネル181の形状が、一例として、良好に視認され得る。
横方向チャネル181の形態には、幾つかの変更例が在る。横方向チャネル181の大部分は、断面図で見て、幾分か広幅な底部を備えたVの形態である。前から後ろにかけて、すなわち低位部分から高位部分にかけて数えて第2の横方向チャネル181には、Uの形態を有すべく更に広幅のチャネル底部が形成される。斯かる横方向チャネル181は、他のチャネルと比較して大きなチャネル深さを有する。一例として、横方向チャネル181の深さは、20mm未満である。
通気性靴底要素173の側壁608は、外側後面と最後側の横方向チャネル181との間において、まさに後部に延在すると共に、該側壁は、外側前面と最前側の横方向チャネル181との間において、まさに前部に延在する。
図15は、代替実施例に係る通気性靴底要素173を示している。図15は、図13における切断平面V−Vに沿って獲得された通気性靴底要素173の断面図である。
切断平面V−Vは、23本の全ての横方向チャネル181を切断すると共に、第1及び第2の横方向チャネル181の間の位置と、第14及び第16の横方向チャネル181の間の位置とにおいて、周縁チャネル183も切断する。
通気性靴底要素173の高さはほぼ一定であり、その場合、通気性靴底要素173のつま先の部分又は領域においてのみ、高さの僅かな減少が提供される。
通気性靴底要素173は、低位の前側部分420及び高位の後側部分421を以て、足の人間工学に追随する湾曲形状を有する。同様に、通気性靴底要素173の側壁608は、外側後面と最後側の横方向チャネル181との間において、まさに後部に延在する。通気性靴底要素173は、側壁608の上側部分609から外側方向に延在する円環状唇部もしくは円環状襟状部185を備える。この円環状唇部185により、通気性靴底要素173は(不図示の)上側アセンブリに対して接着もしくは縫合もしくは型成形され、及び/又は、通気性靴底要素173に対して(不図示の)快適層が接着され又は縫合され得る。
図15の断面図から理解され得るように、横方向チャネル181は周縁チャネル183と比較して幾分か大きなチャネル深さを有する一方で、周縁チャネル183の幅は、横方向チャネル181の幅よりも大きい。
図16aは、図13の切断平面W−Wに沿って獲得された通気性靴底要素173の断面図である。
横方向チャネル181は、通気性靴底要素173の側壁608内の該通気性靴底要素173の全幅に亙り延在すると共に、該横方向チャネルは、チャネル深さが増大する拡開された空気及び湿気放出ポート182を除き、均一なチャネル深さを有することは容易に理解され得る。図16aにおいては、周縁唇部185も示される。
図16bは、図16aの断面図の詳細、すなわち、通気性靴底要素173の左側部分を拡大図で示している。
この図からは、空気及び湿気放出ポート182の開始部から側壁608に至るチャネル底部430の推移が視認され得る。放出ポート182におけるチャネル底部430は連続的に傾斜する一方で、どんな端縁の形成も回避している。
更に、図16a及び図16bにおいては、空気及び湿気放出ポート182に並置して、投影の平面を貫通して延在する周縁チャネル183が視認され得る。
図17は、切断平面X−Xに沿って獲得された通気性靴底要素173の断面図を示している。
この断面図は、周縁チャネル183の左右の部分のチャネル形態、及び中央の長手方向チャネル184のチャネル形態を示している。図17の好適実施例において、周縁チャネル183及び長手方向チャネル184は、水平方向に延伸する広幅の底部を備えたVの基本形態を有している。
図18a〜図18dは、周縁チャネル183の左側部分を貫通して切断された断面切断部を具備する図17における詳細部Bの拡大図により例証されるチャネル形状の異なる好適実施例を示している。但し、これらのチャネル形状は、周縁チャネル183に限られるのではなく、横方向チャネル及び/又は長手方向チャネルに対しても適用され得る。
図18aにおいて、周縁チャネル183は、直線状のほぼ水平な底部431と、上方に拡幅化する2つのチャネル壁部432とを有している。図18aの好適実施例において、チャネル壁部432は、直線状であり、且つ垂直面に対して10〜20°の角度を形成する。
図18bに描かれたチャネル183は、直線状のほぼ水平な底部431と、上方向に拡幅化されると共に、直線状であり且つ垂直面に対して10〜20°の角度を形成する2つのチャネル壁部432とを有している。通気性靴底要素173の上側表面606へのチャネル壁部432の上側部分の移行部433は、丸み付けられることで、それらの間の縁部を回避している。
図18cにおいて、チャネル183の底部部分434は、湾曲された凹状の形態を有している。直線状のチャネル壁部432は、チャネル183が底部から頂部にかけて拡幅化するように、上方向に拡幅化する。垂直面に対するチャネル壁部432の角度は、10〜20°である。
図18dは、直線状のほぼ水平な底部431と、上方向に拡幅化する2つの直線状のチャネル壁部432とを有する代表的なチャネル形状を示している。チャネル壁部432は、垂直面に対して10〜20°の角度を含む直線を形成する。チャネル壁部432への底部431の移行部は、垂直面に対して40〜60°の角度にて配置された傾斜直線状移行部分435により形成される。
図18a、図18b及び図18dに描かれたチャネル183は全て、本質的に台形状、更に詳細には、等脚台形の形状を有している。基本的に水平延在範囲を有する底部部分の配備により、斯かるチャネルもしくは機能的支柱の破断の虞れが低減され得る。
図18(c)及び図18(d)に従い、底部とチャネル壁部との間に移行部を配備することにより、特に有利な湾曲部が達成され得ると共に、空気及び湿気を捕捉する角隅空間は形成されない。
図18bにおけるのと同様に、チャネル壁部432と、通気性靴底要素173の上側表面606との間に丸み付けされた移行部433を配備すると、この位置における縁部が回避され、上方に配置されている快適層、積層体又は上側アセンブリに対する摩耗及び起こり得る破損が回避され得る。
図19は、本発明の更なる実施例に係る別の通気性靴底要素187の平面図を示している。
通気性靴底要素187は図13の通気性靴底要素173に対応すると共に、同一の要素は同一の参照番号により表される。簡潔さのために、同様の要素、特に本体177、横方向チャネル181、空気及び湿気放出ポート182、及び長手方向チャネル184の説明は省略される。通気性靴底要素187は、全部で23本の横方向チャネル181を具備する。
一本の周縁チャネルの代わりに、第2の通気性靴底要素187は、2本の周縁チャネル189、190を具備する。
第1周縁チャネル189は、つま先部分から、通気性靴底要素187の踵部分の前方の部分まで延在する。特に、第1周縁チャネル189は、第1の横方向チャネル181の中央部分から第19の横方向チャネル181の中央部分までジグザグ線で延在し、該第1周縁チャネルは、第3、第6、第10、第13及び第16の横方向チャネル181に形成された横方向チャネル181の空気及び湿気放出ポート182のすぐ横において、最外側点を有している。第1周縁チャネル189の最内側点は、第1、第5、第9、第12、第15、及び第19の横方向チャネル181に配置される。
第2周縁チャネル190は、第20の横方向チャネル181の中央部分から、第24の横方向チャネル181の中央部分まで延在し、該周縁チャネルの最外側点は、第22の横方向チャネル181の空気及び湿気放出ポート182に並置して配置される。
本発明者等によれば、第2の通気性靴底要素187の場合のように、2本以上の周縁チャネルが配備され得ること、及び2本以上の周縁チャネルが配備される場合、各周縁チャネルは必ずしも相互に接続される必要はないということが見出された。
図19は、破線にて、通気性靴底要素187の側壁608を貫通する側部開口610も示している。これらの側部開口610は、空気及び湿気放出ポート182を、通気性靴底要素187の外側へ接続する。図19の実施例において、側部開口610は、ほぼ横方向チャネル181の幅に対応する幅/直径を有している。但し、それらの幅は、横方向チャネル181の幅より小寸であってもよい。
機能層/膜の定義
機能層とは、例えば、膜の形態、又は例えばプラズマ処理された布などの、対応して処理されたもしくは仕上げられた材料の形態の、水蒸気透過性で防水性の層である。下側膜とも称される下側機能層、及び上側膜とも称される上側機能層はいずれも、通常は、二層、三層もしくは四層積層体である多層の一部であり得;下側機能層及び上側機能層は、靴底側の上のシャフト配置の下側領域内が防水性であるようにシールされ;下側機能層及び上側機能層はまた、一つの材料からも形成され得る。
防水性で水蒸気透過性の機能層に適切な材料は特に、特許文献2及び特許文献3に記述されたように、ポリウレタン、ポリオレフィン、及びポリエーテルエステルなどのポリエステル、及びそれらの積層体である。一つの変形例において、機能層は、例えば特許文献4及び特許文献5に記載されたような微孔質の延伸ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)、及び親水的な含浸物質及び/又は親水的な層を備えた延伸ポリテトラフルオロエチレンにより構成される;例えば、特許文献6を参照。微孔質の機能層とは、その平均の有効孔径が0.1〜2μm、好適には0.2μm〜0.3μmである機能層を意味すると理解される。
積層体の定義
積層体とは、通常は相互接着もしくはシールにより永続的に相互に結合された数枚の層から成る複合体である。機能層積層体において、防水性及び/又は水蒸気透過性の機能層は、少なくとも一枚の布層を備えている。此処では、二層積層体が述べられる。三層積層体は、2つの布層間に埋設された防水性で水蒸気透過性の機能層を具備する。機能層と少なくとも一枚の布層との間の接続は、不連続的な接着層、又は連続的な水蒸気透過性の接着層により行われる。一つの変形例において、機能層と、一層もしくは二層の布層との間にはスポット的に接着剤が塗布され得る。スポット的もしくは不連続的な接着剤の塗布が行われるのは、それ自体が水蒸気透過性でない接着剤を全表面層とすると、機能層の水蒸気透過性が阻害されるからである。
防水性の定義
任意選択的に、当該機能層/機能層積層体上に配備された継目を含む機能層/機能層積層体は、もし、それが少なくとも1×104Paの水侵入圧力を保証するなら、“防水性”と見做される。機能層材料は好適には、1×105Pa超の水侵入圧力に耐える。そして水侵入圧力は、20±2℃の蒸留水が、増大する圧力を以て機能層の100cm2のサンプルに加えられるという試験方法に従い測定される。水の圧力増大は、60±3cmH2O/分である。そして水侵入圧力は、水がサンプルの他方の側面に初めて現れる圧力に対応する。前記手順に関する詳細は、1981年からのISO標準0811に規定されている。
靴が防水であるか否かは、例えば、特許文献7中に記述された形式の遠心分離装置により試験され得る。
水蒸気透過性/通気性の定義
機能層/機能層積層体は、もしそれが、150m2×Pa×W-1未満の水蒸気透過抵抗値Retを有するなら、“水蒸気透過性”と見做される。水蒸気透過性は、ヘーエンシュタイン・スキンモデル(Hohenstein skin model)に従い試験される。この試験方法は、DIN EN 31092(02/94)及びISO 11092(1993)に記述されている。
空気流の許容/空気の連通の定義
空気流は、圧力勾配、温度勾配、及び水蒸気濃度の勾配に依存する。“それを通る空気流を可能にする”及び“空気の連通”という表現は、例えば、足の動きにより、又は歩行動作によるなどの最小限度の風により、最小限度の圧力差(<1000Pa、特に<100Pa、更に詳細には<10Paであり、但し、1Pa以上)にて、大量の空気の移行が直ちに生ずることを意味する。チャネル構造、スペーサ材料、又は個別的な充填物要素間の空隙とは、それ自身を通る空気流を可能にする構造/材料である。これと対照的に、殆ど全ての材料は、高圧でそれ自身を通る空気流を可能にするが、これは使用された用語により意味されるものでない。水蒸気は、低圧で、例えば微孔質材料又は空気のような特定の材料中に拡散し得る。但し、斯かる拡散はそれ自体、本発明の意味における通気性靴底要素を通る放出を構成するには十分でない。当該空気流と共に水蒸気を靴の外部にもたらす空気流が必要とされる。同様に、“無負荷の”空気が靴に流入し、これは通気性靴底要素内の水蒸気を吸収して靴の外部へ搬送することができる。通気性靴底要素の材料を通る水蒸気の拡散は有利であり得るが、本発明の意味において空気流を確立するには十分でない。