JP5792700B2 - 鼻マスク - Google Patents
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ホースの内部で生じた水滴はホースの内部に溜まったり、そこから呼吸用鼻マスクへ流れ込む可能性がある。
まず、特開昭60−92772号公報(特許文献1)には、呼吸用マスクへ吸入ガスを供給する導管である呼吸回路の内面に結露して生じた水滴が呼吸用マスクへ移動することを防止するために、この呼吸回路の途中に水滴トラップ用のカップを設けた構成が開示されている。
(6)使用者の顔と接触し、使用者の鼻へ湿潤成分を含んだ呼吸用気体を供給するため、横臥状態にある使用者の少なくとも鼻周辺を覆うよう構成された鼻マスクであって、当該鼻マスクの内面部にある水滴がこの内面部を離れて使用者の顔へ落下することなく当該内面部表面上を重力と水滴の内面表面への吸着力によって下方へ移動するよう、当該内面部表面に設けられた水滴案内溝を有することを特徴とする鼻マスク。
(7)使用者の顔と接触し、使用者の鼻へ湿潤成分を含んだ呼吸用気体を供給するため、使用者の少なくとも鼻周辺を覆うよう構成された鼻マスクであって、当該鼻マスクの内面部にある水滴がこの内面部表面上を移動して成長することを防止するための、内面部に設けられた水滴移動阻止手段を有することを特徴とする鼻マスク。
(8)内面部は、その表面を親水性に構成してなることを特徴とする、(6)または(7)に記載の鼻マスク。
(9)内面部は、その表面を撥水性に構成してなることを特徴とする、(6)または(7)に記載の鼻マスク。
(10)使用者の顔と接触し、使用者の鼻へ湿潤成分を含んだ呼吸用気体を供給するため、使用者の少なくとも鼻周辺を覆うよう構成された鼻マスクであって、鼻に面する内面部表面を、親水性に構成してなることを特徴とする鼻マスク。
(11)使用者の顔と接触し、使用者の鼻へ湿潤成分を含んだ呼吸用気体を供給するため、使用者の少なくとも鼻周辺を覆うよう構成された鼻マスクであって、鼻に面する内面部表面を、撥水性に構成してなることを特徴とする鼻マスク。
(12)鼻マスク内面部下方に水滴溜り部を有することを特徴とする(6)から(11)のいずれかに記載の鼻マスク。
(1)使用者の顔と接触し、使用者の鼻へ湿潤成分を含んだ呼吸用気体を供給するため、少なくとも使用者の鼻周辺を覆うよう構成された鼻マスクであって、その全部または一部を、断熱性を有する材で構成したことを特徴とする鼻マスク。
(2)使用者の顔と接触し、使用者の鼻へ湿潤成分を含んだ呼吸用気体を供給するため、少なくとも使用者の鼻周辺を覆うよう構成された鼻マスクであって、鼻に面する内壁部と、外気に接する外壁部との間に、断熱層を設けたことを特徴とする鼻マスク。
(3)断熱層は空気層であることを特徴とする(2)に記載の鼻マスク。
(4)断熱層は真空層であることを特徴とする(2)に記載の鼻マスク。
(5)断熱層は断熱性を有する材にてなることを特徴とする(2)に記載の鼻マスク。
なお、本発明の鼻マスクは、以下に詳細に説明するCPAP(経鼻式持続陽圧呼吸法)用鼻マスクとするのが好適な実施態様であるが、CPAP用には限定されない。すなわち、経鼻式間欠陽圧換気呼吸法(NIPPV)に用いられる鼻マスク、その他の疾患あるいは治療方法のための鼻マスク、患者の鼻のみならず口腔部を覆うマスクについても適用が可能であり、これらの構成もまた本発明に包含される。本発明における「鼻マスク」はそのような意味で用いている。なお、これら各実施態様は、以下の記載の他に、種々の公知技術を参照することにより容易に実施が可能である。
本発明の呼吸用鼻マスクシステム1は、使用者の顔に密着し、使用者の鼻へ呼吸用陽圧ガスを導く手段となる鼻マスク(以下「マスク本体」ともいう)11、該鼻マスク11を所定の位置に保持するためのフレーム12、および該鼻マスクを顔面へ密着させるために頭部に装着するヘッドギア13を備えている。鼻マスク11は、フレーム12と使用者の間に位置するように設置され、図1に示すようにフレーム12と接続して使用する。フレーム12はほぼ三角形であり、使用者の両頬側が三角形の基底部になり、三角形の頂点が使用者の額側になるように使用される。図1に示すように、フレーム12は額側に2箇所、基底部両側部分に2箇所の合計4箇所のヘッドギア13接続部分を有する。また、本発明の呼吸用鼻マスクシステム1においては、フレーム12は基底部両側部分にファスナキャッチ15を具備している。
まず鼻マスク11内面に結露した水滴をこの鼻マスク内面に設けた溝に沿って流すことにより、重力によってこの水滴が鼻マスク11内面を離れて患者の顔面に落ちないようになした構成を有する。
図2は以下に説明する各実施形態に共通した、鼻マスク11及びその近傍にある構成を含む外観図である。図2においてマスククッション部11aは鼻マスク11が患者顔面に接する弾性構造である。
図3は、図2のAA’切断面における矢視断面図である。
本実施形態では鼻マスク11自身が断熱性を有する材にて構成されている。断熱性を有する材とは例えば、発泡ウレタン樹脂である。
これに対して従来の鼻マスクはポリカーボネート等の材質で構成されていた。
上記のように構成したので、鼻マスク11外部の気温が低い場合においても、鼻マスク
11自身、特に鼻マスク内面11cの温度の低下が許容範囲内に抑えられるので、ホース
接続部16から供給される陽圧ガスが加温加湿されていた場合においても、鼻マスク内面
11cにおける結露現象が抑制される。
次に第2の実施形態を説明する。
本実施形態においては図示形状が類似していることから先に示した図3を参照して説明を行う。本実施形態では図3における鼻マスク内面11cに親水性をもたせて構成している。
この結果、水滴形成のための水分子表面張力よりも鼻マスク内面11cと水分子との吸着力が勝り、結露現象により鼻マスク内面11cに付着した水分子は鼻マスク内面11cに広がって水滴の形成が阻害される。
例えば、特開平5−200329号公報には、噴霧発生装置の吹き出し部材を合成樹脂材で形成し、かつ表面に極微小凹凸条を形成したり、合成樹脂材で形成される吹き出し部材の表面を、電離気体で処理(グロー放電や、コロナ放電や、イオンビーム照射)することによって、この噴出し部材に親水性をもたせる構成が記載されている。親水性を実現するために、この記載にある構成を利用してもよいし他の方法によってもよい。
次に第3の実施形態の説明を行う。
本実施形態の説明においても、同様に図示形状が類似していることから先に示した図3を参照して行う。この実施形態においては、図3における鼻マスク内面11cを、撥水性を持たせて構成している。
この結果、小径の水滴は結露により鼻マスク内面11cに生成されるものの、水滴表面と鼻マスク内面11cとの吸着力が小さいため、小さな水滴が重力により下方へ容易に移動し、内面に留まった小さな水滴を核としてより大きな水滴が形成されることが困難となる。
公知技術である、撥水性の高いテフロン(登録商標)を共析させたPTFEコンポジットめっきによる方法、ハスの葉表面のように微細な疎水性の凹凸構造を形成し表面に空気を保持させることで水が塗膜本体と接触しなくなる原理を利用する方法、あるいはその他の方法を利用して、鼻マスク内面11cに撥水性をもたせて構成することが可能である。
次に、第4の実施形態を説明する。
図4は、図2におけるAA’断面図を、本実施形態において図示したものである。
本実施形態における鼻マスク11−1は、患者の鼻に面する内壁部11−1f、外気に接する外壁部11−1d、及び内壁部11−1fと外壁部11−1dとの間に設けた断熱層11−1eを有している。
断熱層11−1eは外壁部11−1dから内壁部11−fへの熱の伝達を阻害する機能を有し、この結果、鼻マスク11−1外部の気温が低い場合においても、鼻マスク内壁部11−1fの温度の低下が許容範囲内に抑えられるので、ホース接続部16から供給される陽圧ガスが加温加湿されていても鼻マスク内面11−1cにおける結露現象が抑制される。
断熱層11−1eは種々の構成とすることが可能である。すなわち、中空かつ空気を充填した空気層として断熱性を付与する構成、中空かつ実質的に充填物を無しとした真空層として断熱性を付与する構成、あるいはグラスファイバーのような断熱性を有する素材で形成する方法などが可能である。この実施形態は鼻マスク11に限定されるものではなく、マスククッション部11aにも適用可能なものである。
次に、図5〜図8を参照して第5の実施形態を説明する。
本実施形態の鼻マスク11−2は図5に示すように、その内面に水滴案内溝11−2g、11−2hを設け、鼻マスククッション部11−2aと、顔面接触部11−2jとの間に水滴溜まり部11−2iを有することを特徴とする。
なお、図5において水滴案内溝11−2g、11−2hは鼻マスク11−2の内面に形成されているものの透視図法によりその外面上に図示されている。
すなわち、鼻マスク11−2内面に発生した結露は、最初は小さな形状の水滴であるが、近傍の小水滴が合同して次第により大型の水滴が形成され、大型化することで重力により鼻マスク11−2内面を移動し、更に合同して大型化し、ついには水滴に加わる重力が水滴の内面表面への吸着力に勝って水滴が内面表面を離れ、患者の顔面へ落下するものと思われる。
そこで、水滴が内面表面上で移動するものの落下するに足る大きさへ成長する前に捉えて、安全に鼻マスクの内面表面上を下方に移動させれば、表面を離れて患者の顔面に落下することを防止できる。
もっとも基本的な図6(ア)図示構成においては、水滴溜まり部11−2iは鼻マスク11−2の外周上に沿って設けられたチューブ状の構造をなし、水滴案内溝11−2g、11−2hから移動してきた水滴などを導入する導入口6a、導入した水滴などを貯留する貯留室6bを備えている。
図7(ア)図示構成例では、鼻マスク内面7aから穿った溝の底部において、溝側面における底部7bを溝中央における底部7cよりも深く、すなわち溝をその側面において特に深く穿ったので、水分子の表面張力を利用して溝側面における底部7bに水分を確実に保持し、水滴が溝から落下することを効果的に防止できる。
他の変形例である図7(ウ)図示構成例では、鼻マスク内面7aから所定深さまで溝の幅を平行として溝を穿ったので、溝内での水の流動性が良好となり、容易に水が水滴溜まり部11−2iへ移動可能である。
同様に、他の変形例である図7(エ)図示構成例では、溝の断面形状を鼻マスク内面7a側が底面にあたる三角形としたので、同様に水の流動性が良好となる。
図7(オ)図示構成例を変形したものが図7(カ)図示構成例であり、溝の底部には小貯留室7eを設けたので、溝内部に保持される水分の量が増加する特徴を有する。
すなわち、図5においてB矢視図により鼻マスク11−2の内面における水滴案内溝の種々のレイアウトを示した模式図である図8において、ホース接続部への貫通口8aから放射状に溝8bを設ける構成(図8(ア)図示)の他に、溝を多条ねじ(ヘリコイド)状とし、鼻マスク11−2内面の任意の位置8cにあった水滴が成長して内面上を重力により移動し(移動方向は貫通口8aから遠ざかる方向)、その結果、多条ねじ形状の溝の点8dで捉えられ、その後溝に沿った方向8eへ移動させる形状(図8(イ)図示)とすることも考えられる。
さらに、図8(エ)に示すように、複数の多角形(ポリゴン)8hを鼻マスク内面に敷き詰めるような構成、あるいは図8(オ)に示すように、複数の放射状溝8iと複数の同心円状溝8jとを組み合わせた形状なども可能である。
次に図9及び図10を参照して、第6の実施形態を説明する。
本実施形態は、先に図2に示した鼻マスク11の内面、特にマスククッション部11aの内面に下記する如くの構成を設け、この結果、結露で生じた水滴を鼻マスク11の内面で保持して落下を防止するものである。
図9(ア)図示構成はその一例を示す鼻マスク11の断面図であって、鼻マスク表面9cから複数の腕部9aが患者鼻部へ向かって突出し、それら腕部9aの先端にはより径の大きい先端部9bが設けられている。
ここでマスククッション部11aは患者の呼吸によって拡張と収縮を繰り返す動作をするので、上記の先端部9b間の隙間寸法も呼吸に合わせて脈動することとなる。この結果、図9(ウ)に図示するようにマスククッション部11aが収縮している際に先端部9b同士は密着して隙間は小さく、水分の保持が確実となり、一方図9(エ)図示のようにマスククッション部11aが拡張している際には先端部9b間に微小な隙間が生じて毛細管現象により水分が先端部9bの間にトラップされる動作が実現する。
図10(イ)図示構成は、鼻マスク11内面、特にマスククッション部11a内面から繊維部10c多数を突出させ、これら繊維部10cの間に水分を保持する。
図10(ウ)図示構成は、鼻マスク11内面、特にマスククッション部11a内面にスポンジ構造部10dを形成し、このスポンジに含まれる微細な多数の空間に水分を保持する。
図10(エ)図示構成は、鼻マスク11内面、特にマスククッション部11a内面に盲管10eを複数形成し、この盲管10eの内部に水分を保持する。また盲管10eの底部により大きな保持室10fを設けてもよい。
先に説明した第5の実施形態は、鼻マスク11の内面表面に水滴案内溝を形成し、この溝に沿って水滴を誘導するように構成したものであった。
ここで溝とは、鼻マスク内面における断面形状は様々であるが、凹状に穿って形成されたものをいう。
6b 水滴溜まり部の貯留室
6c 貯留室内の吸水材
6d 貯留室の壁部
6e 細分貯留室
7a 鼻マスク内面
7b 溝側面における底部
7c 溝中央における底部
7d 凸状トラップ構造
7e 溝底部の小貯留室
8a ホース接続部への貫通口
8b 鼻マスク内面の溝
8c 鼻マスク内面に発生した水滴
8d 鼻マスク内面の溝における水滴捕捉点
8e 水滴捕捉後の水滴移動経過点
8f 鼻マスク内面の溝(主骨)
8g 鼻マスク内面の溝(副骨)
8h 鼻マスク内面のポリゴン
8i 鼻マスク内面の放射状溝
8j 鼻マスク内面の同心円状溝
9a 鼻マスク内部表面における腕部
9b 鼻マスク内部表面における腕部先端部
9c 鼻マスク内部の表面
10a 鼻マスク内部表面の微細ハニカム構造
10b 微細ハニカム構造における穴
10c 鼻マスク内部表面の繊維部
10d 鼻マスク内部表面のスポンジ構造部
10e 鼻マスク内部表面の盲管
10f 盲管底部の保持室
11 鼻マスク(マスク本体)
11−1 鼻マスク
11−2 鼻マスク
11a マスククッション部
11c 鼻マスク内面
11−1c 鼻マスク内面
11−1d 鼻マスク外壁部(外壁部)
11−1e 断熱層
11−1f 鼻マスク内壁部(内壁部)
11−2a 鼻マスククッション部
11−2g 水滴案内溝
11−2h 水滴案内溝
11−2i 水滴溜まり部
11−2j 顔面接触部
12 フレーム
13 ヘッドギア
13a ヘッドギアストラップ
14 ヘッドギアファスナ
15 ファスナキャッチ
16 ホース接続部
Claims (3)
- 使用者の顔と接触し、使用者の鼻へ湿潤成分を含んだ呼吸用気体を供給するため、使用者の少なくとも鼻周辺を、顔との間に空間がある形で覆うよう構成された鼻マスクであって、
鼻に面するが顔に接触しない内面部表面を、撥水性に構成してなることを特徴とする鼻マスク。 - 当該鼻マスクの内面部にある水滴が、この内面部を離れて横臥状態にある使用者の顔へ落下することなく当該内面部表面上を重力と水滴の内面表面への吸着力によって下方へ移動するよう、当該内面部表面に設けられた水滴案内溝を有する、請求項1に記載の鼻マスク。
- 当該鼻マスクの内面部にある水滴がこの内面部表面上を移動して成長することを防止するための、前記内面部に設けられた水滴移動阻止手段を有する、請求項1に記載の鼻マスク。
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