JP5792450B2 - 亜臨界水処理による有機質残渣、有機物汚泥、家庭ゴミなどの有機物を原料として液肥を製造する方法および有害物質を効果的に除去し、あるいは有機成分が均質化した液肥を製造する方法 - Google Patents
亜臨界水処理による有機質残渣、有機物汚泥、家庭ゴミなどの有機物を原料として液肥を製造する方法および有害物質を効果的に除去し、あるいは有機成分が均質化した液肥を製造する方法 Download PDFInfo
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Description
反応性を柔軟に調整できる分離装置(加圧浮上分離設備)を持っているために取扱に手間取る油性の汚泥、粘性のある有機物汚泥、樹脂、紙くずなどの夾雑物を含む有機物汚泥、重金属類を含む有機物汚泥、有機性毒物を含む有機汚泥などを原料として受け入れられる。
本発明の亜臨界水処理では処理装置の温度、圧力、pHは装置の局所で連続測定され、変化率なども自動で示される。このため原材料の亜臨界水処理の進行は把握され、温度上昇および圧力変化もプロセス値として、管理され、生成物の性状をこれまで以上に調整が容易になる。また化学結合の特異的な開裂が在ればこれを検知できる。有機物原料中の分子の解離状況を亜臨界水処理の気相をガス吸収装置で検知して、そのpH値、酸化還元電位の測定などで知ることが出来る。
有機ハロゲン化物は環境毒性を示すものが多いことが知られている。亜臨界水処理ではハロゲンと炭素鎖の結合は比較的低い温度で解離する。この際高温、高圧下で触媒作用のある資材を原材料に添加してこれを促進できる。例えば有機ハロゲン化合物を含む場合は、シアン化メチルまたはシアン化エチルの少量を添加して、この分解を促進できる。分離されたハロゲンは無機イオンと成って気相、液相に存在するようになる(例えば有機塩素化合物からの塩酸の発生など)。これをアルカリ添着活性炭、ゼオライト層ろ過等を行い、気相吸着させ吸着層を間欠的に水洗して、効率的に塩素を除去できる。
重金属類は亜臨界水処理で、有機質コロイド成分中に、金属配位化合物や、有機酸の金属塩(金属石鹸)などの形で、油性コロイド状の浮遊物か、無機成分に吸着した同様の成分の形で、沈殿する。本発明では微細気泡を発生する加圧浮上分離装置により、沈殿した成分も浮上分離される為(浮上分離の浮遊物分離効率は95%〜98%となる)、浮上物貯留槽にポンプ移送でき、再度亜臨界水処理原料として循環出来る。最終的に重金属濃度が上昇した浮遊物は廃棄物として計画的に安定化処理される。
亜臨界水処理の有機物残渣、有機物脱水汚泥の亜臨界処理生成物はアミノ酸が極めて豊富で、堆肥化された有機物と土壌中の代謝の進み方が異なることが知られている。堆肥と比較して、迅速に微生物に利用され、土壌の環境を整えて、植物の根茎の成長に働き、効率よく植物を生育させる。即効性と遅効性の両方の性質があり、土壌環境を安定した植物培地に変換する。その結果全般に植物の生長を促し、養分豊富な植物生産に寄与する。特に当初のアミノ酸利用は無機質肥料で荒廃した土壌や、貧栄養の土壌中で、微生物量と微生物の多様性を劇的に変換させる効果があり、実際に施肥した農家の評価も高い。これは亜臨界水処理で、タンパク質の分解から生じたアミノ酸が、堆肥化などで生じるアミノ酸よりも極端に多いことがその要因で、下記の表4の本発明の実験データーからその内容を知ることが出来る。
本発明では亜臨界水処理の生成物の基本的な液性は、亜臨界水処理の条件(処理温度、処理圧力の値、およびその変化率)で調整されるが、プロセスの内容に混和できる凝集反応槽があるため、付加的に、貯蔵時の液性(pH、含有成分など)は長期貯蔵時の安定性や、腐敗の抑制、酸化の抑制などの目的で、利用される状況をあらかじめ設定して調整出来る。混和機能を持った凝集反応槽で分離される液性を調整出来る。また亜臨界水処理に循環する際の、原料としての調整も混和機能を持った凝集反応槽で処理できる特徴がある。
(2)植物のアミノ酸吸収が根圏からの吸収が早く、毛細根の生育が促され、収穫期が長くなり、果実や根菜の味が良くなる。糖度も特異的に高まる。
(3)圃場の土壌環境を化学肥料のように障害しない。土壌中の微生物活性も高まるため、土壌環境を天候の影響から保全しやすく、冷害、日照過多などの影響を受けにくくなる。
本発明の実験では有害物質について亜臨界水処理では以下のデーターが得られた。
本発明では、液状またはスラリー状の亜臨界生成物Fを作り、本発明の方法で有害物質を分離して、従来利用できなかった原料も産業上の有用な液肥資材として利用できる方法を提供する。亜臨界水処理後の分離処理前と分離処理後の(加圧浮上分離+ろ過)の有害物質の分離結果を表2に示す。
生成した液状生成物は液肥として、特異的に有意な性状を持っていることが判明した。これらを整理すると以下のとおり。
(1)他の亜臨界水処理を行わない堆肥などの有機質肥料と比較して、微生物の増殖速度が大きく、農地の根圏の養生に特異的に優れている。また肥効の発現が早く、長期にわたる為収穫期が長くなる特徴がある。
(2)化学肥料に比べると、最初期の肥効の現れは、化学肥料の無機栄養分が植物に直接吸収されるのに比べ、亜臨界水処理の栄養分は植物への即効性もあるが、土壌微生物の生育に利用されやすく、農地の環境を整えながら栄養分を植物に渡す面があるため、幾分遅い効き目に見えるが、土壌環境を変えながら肥効を発揮し、かつ低分子有機物の多さと、アミノ酸などが特異的に豊富なため、急速に化学肥料の肥効を追い越し、しかも長期にわたり働く。またこれらの作用のため、植物体の栄養バランスが保たれ、病害虫への抵抗性も大きくなることが実際の栽培で確認されている。
表3に示すように、無機態窒素、カリウム、燐分のほか低分子量の有機物を豊富に含むことが即効性の要因であるが、そればかりではなく、液肥を土壌施肥した場合、コロイド性の有機物、鉄分、鉄キレート化合物が豊富なため、土壌粒子への吸着、収着が容易で、適度に保水性を持つことと栄養分と成る有機物を利用しやすい形態で持つため、微生物の発生に向いている。実際、施肥した場合の事例でこれらを確認出来る。実際に施肥した試験区でも本発明の方法で生成した液肥は、にら、ほうれん草、こまつ菜などの生育が特異的に優れていることが栽培試験で確認された。その結果を表4に示す。
にら5株選出(1株10〜20本)評価
(生育期間30日 8月10日花芽刈り取り後、N量同量となるよう各肥料投与)
*試験後期の亜臨界水処理物の施肥効果は化学肥料区を追い越した。
*評価は栽培農家の評価で、生育評価項目について化学肥料の対象区
同等の場合:得点1点、超えた場合2点、下回った場合0点とした合計点(参考値)。
既に無機化学肥料の連続的な施肥で、堅くなった土壌中に施肥した場合にも、亜臨界生成物Fの低分子有機物は、わずかな土壌粒子の表面細孔に効率よく浸透するだけでなく、含まれる低分子有機物を含むコロイド成分が強く吸着して、微生物の培養床を迅速に形成し得る。また亜臨界生成物F中の豊富な種類の有機酸は、金属キレート作用により、植物の生育を妨げるレベルの、化学肥料に含まれる金属成分の阻害性をカバー出来る為、そこでの微生物の発生も著しく早いため、荒廃した硬い土壌も微生物の働きで細孔を豊富に含む土壤に変化させる作用がある。この点は疲弊した農地などの土壌環境を効率的に修復する手段として特異的に有効である。亜臨界水処理の生成物Fは微生物に利用され易いことは、堆肥発酵の現場でも発酵時間が30日前後のものが1/3程度の日数で完熟すること等で確認出来る。
2.亜臨界処理装置2は、圧力が1〜2.5MPaであり、反応中の内部環境は連続的にサンプリングされ、pH、ORPなどの計測を行う。
3.亜臨界処理生成物Fは、本発明では液体あるいは液状スラリーとして排出される。
4.凝集反応槽41は、緩速撹拌機2台を持った反応槽であり、凝集剤を添加されpHその他の指示調節計で計測調整される。
5.加圧浮上槽42では、微細気泡による加圧浮上分離が行われ、油性物質、浮遊物が浮上フロス槽5に移動し液中から除去される。
6.加圧浮上処理水(液肥)は、浮上分離された液相であり、処理水として自然流下する。
7.ろ過装置6には、一般のアンスラサイト、石英砂などが使用できる他、膜処理も出来る。
8.鉄分含有薬品Jは、共凝集作用により重金属を捕捉する作用を調整する。
9.浮上フロス槽5では、油性物質、凝集した浮遊物など(重金属を含む浮遊物を含む)が浮上して、濃縮される。
10.原材料調質剤Bは、亜臨界水処理の促進剤(水分調整材、pH調整剤など)。
11.無機鉄塩Cは、遊離重金属イオンなどを凝集させること、有機物コロイド粒子の凝集剤として使用。
12.無機凝集剤Dとしては、PAC、硫酸バンドなどの無機凝集剤を処理により選択する。
13.高分子凝集剤Eとしては、食品添加物高分子凝集剤など高分子凝集剤を選択する。
2 亜臨界水処理装置
3 生成物貯留槽
4 加圧浮上分離装置
5 浮上フロス槽
6 ろ過装置
7 流量計
41 凝集反応槽
42 加圧浮上槽
43 加圧水タンク
44 加圧水ポンプ
A 有機質残渣、有機物汚泥、家庭ゴミなどの有機物
B 原材料調質剤
C 無機鉄塩
D 無機凝集剤
E 高分子凝集剤
F 生成物
G 液肥(加圧浮上処理水)
H プロセス生成物(液肥・ろ過製品)
I プロセス生成物(液肥)
J 鉄分含有薬品
K 重金属含有廃棄物
L 沈殿残渣
M 浮遊物(フロス)
Claims (4)
- 有機物である有機質残渣、有機物残渣、有機物汚泥、有機質汚泥残渣、有機物汚泥残渣、有機物脱水汚泥、有機汚泥脱水残渣、家庭ゴミを亜臨界水処理装置に導入し、温度170度から250度、圧力1MPaから2.5MPaの高温高圧下で緩速撹拌して生成物を得る工程と、
前記生成物を加圧浮上分離装置の凝集反応槽に導入して凝集剤を添加する工程と、
前記凝集剤を添加した生成物を加圧浮上分離装置の加圧浮上槽に導いて微細気泡による加圧浮上分離をして有害物質濃度が上昇した浮遊物、低分子有機物を豊富に含む液肥としての処理水および沈殿残渣に分離する工程と、
前記分離した低分子有機物を豊富に含む液肥としての処理水を加圧浮上槽から回収する工程と
を有する、有機物である有機質残渣、有機物残渣、有機物汚泥、有機質汚泥残渣、有機物汚泥残渣、有機物脱水汚泥、有機汚泥脱水残渣、家庭ゴミを原料として有害物質を効果的に除去し、あるいは有機成分が均質化した液肥を製造する方法。 - 前記分離された、有害物質濃度が上昇した浮遊物、低分子有機物を豊富に含む液肥としての処理水および沈殿残渣の少なくともいずれかを再度亜臨界水処理装置に導入する工程を有する、請求項1に記載の方法。
- 前記分離された、有害物質濃度が上昇した浮遊物、低分子有機物を豊富に含む液肥としての処理水および沈殿残渣の少なくともいずれかを再度亜臨界水処理装置に導入し、温度170度から250度、圧力1MPaから2.5MPaの高温高圧下で緩速撹拌して再度生成物を得る工程を有する、請求項1に記載の方法。
- 前記再度得られた生成物を加圧浮上分離装置の凝集反応槽に導いて再度凝集剤を添加する工程と、
前記再度凝集剤を添加した生成物を加圧浮上分離装置の加圧浮上槽に導いて微細気泡による加圧浮上分離をして再度、有害物質濃度が上昇した浮遊物、低分子有機物を豊富に含む液肥としての処理水および沈殿残渣に分離する工程と、
前記再度分離した低分子有機物を豊富に含む液肥としての処理水を加圧浮上槽から回収する工程と
を有する、請求項3に記載の方法。
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