本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
まず、本実施形態に係るスロットマシン1の概要について説明する。本実施形態に係るスロットマシン1は、前面扉1bと、筐体1aと、から構成されている。
スロットマシン1は、図1に示すように、前面扉1bから透視窓3を介して円筒型の左リール2L、中リール2C、右リール2Rを視認することができるように構成されており、リールパネル1cの中央に配置される透視窓3の周囲に、メダルを投入するメダル投入部4と、最大の賭数を設定するMAXBETスイッチ6と、ゲームを開始させるスタートスイッチ7と、各リールを停止させる左ストップスイッチ8L、中ストップスイッチ8C、右ストップスイッチ8Rと、遊技に係る情報を表示する遊技用表示部13と、を備えている。
また、スロットマシン1は、前面扉1bの上部に液晶表示器51を備え、下部にスピーカ53、54と、メダル払出口9と、スロットマシン1のタイトル(機種名)や配当表等が印刷された下部パネル1dと、を備えている。なお、配当表とは、後述する役の構成と役に応じたメダル払い出し枚数等を関連付けて示す表であり、リールパネル1c等に印刷されていても良く、待機状態において液晶表示器51によって表示されても良い。
遊技者がスロットマシン1でゲームを開始する場合、一般的には、メダル投入部4に所定の枚数のメダル(通常は3枚以上)を投入し、またはMAXBETスイッチ6を操作して所定の賭数(通常は最大賭数である3枚)を設定する。賭数が設定されると、スタートスイッチ7が有効になり、スロットマシン1はゲーム開始可能な状態になる。ゲーム開始可能な状態で遊技者がスタートスイッチ7を操作すると、各リール(左リール2L、中リール2C、右リール2R)が回転を開始する。この状態で遊技者がいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rを操作して各リールの回転を停止させることで、透視窓3を介して表示結果が導出表示される。
各リールの回転が停止することでゲームが終了し、予め決められた役に応じた図柄の組み合わせが表示結果として導出されている(揃っている)場合、その役に対応した入賞が発生する。入賞に応じたメダルの払い出しが枚数を記憶すると、記憶できるメダル枚数の最大値(通常50枚)以上となる場合、メダル払出口9から最大値を超えた分のメダルが払い出される。遊技状態の移行を伴う役の入賞が発生した場合、その役に応じて遊技状態が移行する。いずれの役の入賞も発生しなかった場合、遊技者は再度MAXBETスイッチ6を操作し、又は再度メダル投入部4にメダルを投入し、次のゲームを開始する。
なお、遊技者が遊技を終了する際に記憶されているメダル数が残っている場合、遊技者が精算スイッチ10を操作することで、記憶されているメダル数がメダル払出口9から払い出される。
以上がスロットマシン1の概要である。
次に、スロットマシン1の詳細な構成について説明する。
遊技用表示部13には、クレジットが表示されるクレジット表示器11と、入賞の発生により払い出されたメダル枚数やエラー発生時にその内容を示すエラーコード等が表示される遊技補助表示器12と、賭数が1つ設定されている旨を点灯により報知する1BETLED14と、賭数が2つ設定されている旨を点灯により報知する2BETLED15と、賭数が3つ設定されている旨を点灯により報知する3BETLED16と、メダルの投入が可能な状態を点灯により報知する投入要求LED17と、スタートスイッチ7の操作によるゲームのスタート操作が有効である旨を点灯により報知するスタート有効LED18と、ウェイト状態中である旨を点灯により報知するウェイト中LED19と、後述するリプレイゲーム中である旨を点灯により報知するリプレイ中LED20と、が設けられている。なお、ウェイト状態とは、前回のゲーム開始から一定期間経過していないためにリールの回転開始を待機している状態のことであり、本実施形態では約4.1秒である。
また、「クレジット」とは、スロットマシン1に記憶された(投入された)メダル数のうち、賭数を差し引いたメダル数のことを意味している。本実施形態では、賭数が設定されていない状態においてメダルが投入されると、自動的に投入されたメダル数が賭数として設定される。
例えば、メダルが投入されていない状態において、遊技者がメダル投入部4にメダルを1枚投入すると、賭数は1に設定され、1BETLED14が点灯する。次に、遊技者がメダル投入部4にメダルを1枚投入すると、賭数は2に設定され、2BETLED15が点灯する。さらに遊技者がメダル投入部4にメダルを1枚投入すると、賭数は最大である3に設定され、3BETLED16、スタート有効LED18が点灯する。この状態において、スロットマシン1に投入されたメダル数は3枚であるが、その3枚は全て賭数として設定されているため、クレジット表示器11には「0」が表示される。この状態でさらに遊技者がメダル投入部4にメダルを1枚投入すると、最大賭数は3であるため、クレジットとしてクレジット表示器11に「1」が表示される。なお、本実施形態では、クレジットの上限は50(枚)とする。
スロットマシン1の前面扉1bは施錠部1eにより施錠することができ、ゲームを開始する際は施錠されていることが一般的である。スロットマシン1の前面扉1bは、施錠部1eに鍵を差し込み、時計周り方向に回転操作することで開放することができる。
スロットマシン1は、図2に示すように、内部に可動表示装置2と、電源ボックス100と、ホッパーユニット34と、を備えている。
可動表示装置2は、上述の各リール2L、2C、2Rと、各リール2L、2C、2Rに対応したリールモータ32L、32C、32Rと、から構成されている。これらのリールモータ32L、32C、32Rが各リール2L、2C、2Rを回転させることで、透視窓3を介して複数種類の図柄が連続的に表示されることとなる。
また、可動表示装置2には、後述するリールLED55が設けられており、リールLED55によって各リール2L、2C、2Rの各図柄を独立して照射することができ、これによりリールの視認性を向上することができる。
電源ボックス100には、設定を変更する設定キースイッチ37と、通常時にはエラー状態や打止状態を解除するためのリセットスイッチとして機能し、設定変更する際には後述する内部抽選の当選確率の設定値を変更するための設定スイッチとして機能するリセット/設定スイッチ38と、電源のオンオフをする電源スイッチ39と、が設けられている。
なお、本実施形態では、スロットマシン1は、設定値に応じてメダル払出率(所謂、機械割)の期待値が異なる。ここで、メダル払出率とは、投入したメダル数に対する払い出されたメダル数の割合である。例えば、メダルを1000枚投入し、1000枚分のゲームが終了した際に1100枚のメダルが払い出されていた場合、メダル払出率は110%となる。当然、投入したメダル数よりも払い出されたメダル数が多い方(メダル払出率が100%以上)が遊技者にとって有利な状態であるということとなる。
設定値は、1、2、3、4、5、6の値から設定することが可能であり、値が高い設定値ほどメダル払出率も高くなる。すなわち、設定値が高い値(例えば、4、5、6)に設定されているスロットマシン1は、遊技者にとって有利度が高く、設定値が低い値(例えば、1、2、3)に設定されているスロットマシン1は、有利度が低い。なお、設定値は1、3、6や、1、4、H(High)等の3段階や、1〜7の7段階で設定しても良く、6段階に限定する必要はない。
上述の設定値を変更するには、設定キースイッチ37に専用のキーを差し込んでオン状態とした後に電源スイッチ39を操作して、スロットマシン1の電源を投入する必要がある。上述のようにしてスロットマシン1の電源を投入すると、前面扉1bに設けられている設定値表示器24に内部の記憶装置から読み出された設定値が表示される。次に、リセット/設定スイッチ38を操作すると、設定値表示器24に表示される設定値が1ずつ加算される(設定値6の次は1に戻る)。所望の設定値までリセット/設定スイッチ38を操作した後、スタートスイッチ7が操作されると、その設定値が内部の記憶装置に記憶され、遊技可能状態に移行する。
設定値を確認するためには、ゲーム終了後、賭数が設定されていない状態で設定キースイッチ37に専用のキーを差し込んでオン状態とすれば良い。設定キースイッチ37専用のキーを差し込んでオン状態にすることで、設定値表示器24に内部の記憶装置から取得された設定値が表示される。この状態においては、ゲームを開始することができず、設定キースイッチ37に専用のキーを差し込んでオフ状態とすることでゲームの開始が可能となる。
ホッパーユニット34は、メダル投入部4から投入されたメダルを貯留するホッパータンク34aと、ホッパータンク34aに貯留されたメダルをメダル払出口9より払い出すためのホッパーモータ34bと、ホッパーモータ34bの駆動により払い出されたメダルを検出する払出センサ34cと、から構成されている。
また、ホッパータンク34aから溢れたメダルを貯留するオーバーフロータンク35がホッパータンク34aと隣接して設けられている。オーバーフロータンク35の内部には、貯留された所定の数のメダルを検出可能な高さに設けられた左右に離間する一対の導電部材からなる満タンセンサ35aが設けられている。満タンセンサ35aは、導電部材がオーバーフロータンク35内に貯留されたメダルに接触して導電することで、内部に貯留されたメダル貯留量が所定量以上となったこと、すなわち、オーバーフロータンク35が満杯状態となったことを検出することができる。
また、スロットマシン1は、内部に外部出力基板1000を備えており、外部出力基板1000から外部装置に信号を出力する。
各リール(左リール2L、中リール2C、右リール2R)には、複数種類の図柄が配列されており、遊技者は、透視窓3を介して、各リールで縦に3つずつの図柄、すなわち、3×3の図柄を視認することができる。なお、視認することができる図柄数は、これに限られず、各リールで少なくとも一つ以上の図柄を視認することができれば良い。
各リール2L、2C、2Rの外周部には、図3に示すように、「黒7」、「網7」、「白7」、「白BAR」、「黒BAR」、「リプレイ」、「ベル」、「オレンジ」、「スイカ」、「チェリー」といった互いに識別可能な複数種類の図柄がそれぞれ所定の順序で合計21個ずつ描かれている。
なお、上述の複数種類の図柄は図3では平面上で表しているが、上述の通り、実際には各リールは円筒型であるため、20番目の図柄の次には0番目の図柄が配置されていることとなる。また、上述の複数の図柄の配列及び種類は一例であり、任意に設定することができる。
以下の説明において、N番の図柄からN+M番の図柄の部分について説明する場合、「Mコマ」と表現する。すなわち、例えば左リール2Lの10番の「黒7」から5コマ以内、と表現した場合、左リール2Lの10番の「黒7」から15番の「リプレイ」までの図柄を意味する。
各リール2L、2C、2Rは、それぞれ対応して配置されたリールモータ32L、32C、32Rによって反時計回り(図1では図面上部から下部に向かう方向)に回転し、これにより透視窓3を介して複数種類の図柄が連続的に表示されることとなる。本実施形態では、各リール2L、2C、2Rは、対応して配置されたストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されてから最大190ms遅延して回転を停止する。リールが停止するまでの遅延時間はこれに限られず、ゲーム性を向上するために190ms以上遅延して回転を停止しても良い。
なお、各リール2L、2C、2Rは、1分間に80回転し、80×21(1リール当たりの図柄数)=1680コマ分の図柄を変動させる。このため、各リール2L、2C、2Rは、190msの間で最大で4コマの図柄を引き込むことができる。すなわち、ストップスイッチ8L、8C、8Rが操作された際に停止する図柄は、ストップスイッチ8L、8C、8Rが操作された際に表示されていた図柄から4コマ先にある図柄(合計5コマ分の図柄)のうちのいずれかである。
例えば、左リール2Lの10番の「黒7」が透視窓3上に表示された際にストップスイッチ8Lが操作された場合、左リール2Lには、左リール2Lの10番の「黒7」から15番の「リプレイ」までのいずれかの図柄が停止することとなる。
このため、例えば、ストップスイッチ8L、8C、8Rのいずれかが操作された際に、そのストップスイッチに対応するリールの下段に表示されている図柄を基準とすると、停止するリールは、基準の図柄から4コマ先までの図柄を下段に表示させることができる。よって、リール2L、2C、2Rは、それぞれストップスイッチ8L、8C、8Rのうちいずれかが操作された際、そのストップスイッチに対応するリールの下段に表示されている図柄を含めて5コマ以内に配置されている図柄を入賞ラインに表示させることができる。
ここで、入賞ラインとは、透視窓3を介して表示される3×3コマのうち、図柄の組み合わせが揃った際に入賞が発生するラインを意味する。本実施形態では、入賞ラインは、図4に示すように、透視窓3を介して表示される各リール2L、2C、2Rの各コマを、左リール上段2Lt、左リール中段2Lm、左リール下段2Lb、中リール上段2Ct、中リール中段2Cm、中リール下段2Cb、右リール上段2Rt、右リール中段2Rm、右リール下段2Rb、とすると、左リール上段2Lt、中リール中段2Cm、右リール下段2Rb、を通る斜めのラインである入賞ラインL1と、各リールの上段(2Lt、2Ct、2Rt)を結ぶ平行なラインである入賞ラインL2と、は各リールの中段(2Lm、2Cm、2Rm)を結ぶ平行なラインである入賞ラインL3と、各リールを斜め右上(2Lb、2Cm、2Rt)に結ぶ斜めのラインである入賞ラインL4と、からなる。上述のようにストップスイッチ8L、8C、8Rが操作されて各リール2L、2C、2Rが全て停止し、有効な入賞ラインL1〜L4のうちいずれかで役に応じた図柄の組み合わせ揃うと入賞が発生する。
本実施形態では、入賞ラインが4ライン有効である場合について説明するが、これに限られず、例えば、左リール上段2Lt、中リール中段2Cm、右リール上段2Rt、を変則的に結ぶラインを有効にしても良く、入賞ラインL3のみの1ライン構成にしても良い。
役に応じて入賞ラインに揃う図柄の組み合わせは、任意に設定することが可能であり、同一図柄の組み合わせであっても良く、異なる図柄の組み合わせであっても良い。入賞が発生する役は、大きく分けてメダルの払い出しを伴う役(以下、小役とする)、賭数の設定を必要とせずに次のゲームを開始することができる役(以下、再遊技役とする)、遊技者にとって有利な遊技状態(有利遊技状態)への移行を伴う役(以下、特別役とする)、に区分される。なお、以下の説明では、小役と再遊技役を総称して一般役とも称する。
なお、本実施形態では、メダルの払い出し有無に関わらず、入賞ラインに導出された表示結果に応じて遊技者に所定の価値を付与することを入賞とする。すなわち、遊技状態が移行したゲームにおける取りこぼし表示結果(小役が当選したゲームでその小役が揃わなかった時の表示結果)が導出されることも入賞であり、メダルの払い出しを伴わない特別役、再遊技役に応じた図柄の組み合わせが導出されることも入賞とする。
本実施形態では、有利遊技状態であるBB(ビッグボーナス)、RB(レギュラーボーナス)への移行を伴う特別役は、図5に示すように、「白7」、「白7」、「白7」が入賞ラインに揃うことで入賞が発生するBB(ビッグボーナス)、「黒7」、「黒7」、「網7」または「網7」、「網7」、「黒7」が入賞ラインに揃うことで入賞が発生するRB(レギュラーボーナス)の2種類からなる。
なお、特別役は、上述の組み合わせ、種類に限られず、任意に設定することが可能である。例えば、「黒7」、「白7」、「網7」が入賞ラインに揃うことで入賞が発生するBBのみであっても良く、複数種類のBB、複数種類のRBであっても良い。
また、ボーナスの種類にCB(チャレンジボーナス)を加えても良い。この場合、CB図柄が入賞ラインに揃うことで入賞が発生すると、CT(チャレンジタイム)状態に移行する。CT状態においては、いずれかの役の入賞の発生を許容するか否かを決定する通常の内部抽選処理において小役が当選していなくても、リール制御の制限によって小役に入賞することが許容される。具体的には、ストップスイッチ8L、8C、8Rを操作してから所定の時間(75ms(通常は190ms))内にリール2L、2C、2Rが停止する制御が行われる。CB状態は、このようなCT状態に終了条件が成立するまで(メダルの払い出し枚数が254枚以上となるまで)繰り返し移行されることで実現される。
図5に示す特別役は、内部抽選処理において当選し、いずれかの入賞ラインで図柄が揃うことで入賞が発生し、ボーナス状態(ビッグボーナス、レギュラーボーナス)へと移行させる。
ボーナス状態は、所定の条件で終了する。本実施形態では、BBは、メダルの払い出しが361枚以上になった時点で終了するものとし、RBは、いずれかの小役の入賞が4回発生するか、またはボーナス状態で12ゲーム消化した時点で終了するものとする。終了条件は上述の条件に限らず、メダル払出率等の設計に従って任意に変更しても良いが、BBは最高でも466枚以上の払い出しを終了条件とすることが好ましい。
また、実質的には、ボーナス状態は、ビッグボーナス状態とレギュラーボーナス状態に区分される。RBの入賞に起因して開始されるレギュラーボーナス状態は、上述の通りいずれかの小役の入賞が4回発生するか、または12ゲーム消化した時点で終了するが、BBの入賞に起因して開始されるビッグボーナス状態は、メダルの払い出し枚数の条件を満たすまでレギュラーボーナス状態の移行を繰り返す。すなわち、ビッグボーナス状態は、「1セットのレギュラーボーナス状態の終了後、ビッグボーナス状態の終了条件を満たしていない場合、図柄を介すことなく再度レギュラーボーナス状態に移行する制御がなされる状態」であるとも言える。
また、ビッグボーナス状態において、レギュラーボーナス状態へ移行する場合、図柄を介してレギュラーボーナス状態へ移行するようにしても良い。この場合、JACIN図柄(レギュラーボーナス状態への移行を伴う図柄)の入賞後にレギュラーボーナス状態へ移行することとなる。
本実施形態では、スロットマシン1は、ボーナス状態に加え、通常遊技状態、RT(リプレイタイム)1〜4状態、内部中状態、を含む複数種類の遊技状態に制御される。通常遊技状態は、通常の遊技状態であり、特別役が当選しておらず比較的メダル払出率の低い遊技状態である。RT1〜4状態は、通常遊技状態と比較して再遊技役の当選確率が異なる遊技状態である。内部中状態は、特別役に当選してから特別役が入賞するまでのゲームにおける遊技状態であり、ここでは既に特別役が当選しているために特別役が当選し得る役は抽選対象から除外される。ボーナス状態は、上述の通り特別役の入賞の発生に伴い移行する特別遊技状態であり、メダルの払い出しを伴う小役の確率が大幅に上がることで、メダル払出率が非常に高くなる遊技状態である。なお、ボーナス状態が終了すると、遊技状態はRT1状態に移行する。
なお、本実施形態では、特別役としてSB(シングルボーナス)を含む。SBは、「オレンジ・黒7・オレンジ」が入賞ラインに揃うことで入賞が発生する。SBの入賞が発生すると、遊技状態はRT2状態に移行し、1ゲーム消化すると終了、すなわち、RT2状態に移行する前の遊技状態に移行する。
次に一般役について説明する。本実施形態では、一般役は、図5に示すように、再遊技役として通常リプレイ、昇格リプレイ、突入リプレイ、転落リプレイ、複数種類の制御リプレイを含み、メダルの払い出しを伴う小役として複数種類のベル、スイカ、チェリー、1枚役、を含む。
本実施形態では、再遊技役としてのリプレイは数種類あり、遊技状態移行の契機として用いられる。リプレイの種類は、通常リプレイ、昇格リプレイ、突入リプレイ、転落リプレイ、制御リプレイ、の5種類である。
通常リプレイは、いずれかの入賞ラインに「リプレイ・リプレイ・リプレイ」の組み合わせが揃ったときに入賞が発生する。昇格リプレイは、いずれかの入賞ラインに「リプレイ・リプレイ・ベル」の組み合わせが揃ったときに入賞が発生する。突入リプレイは、いずれかの入賞ラインに「リプレイ・リプレイ・チェリー」または「リプレイ・リプレイ・白7」のいずれかの組み合わせが揃ったときに入賞が発生する。転落リプレイは、いずれかの入賞ラインに「ベル・チェリー・ベル」の組み合わせが揃ったときに入賞が発生する。
通常リプレイ、昇格リプレイ、突入リプレイ、転落リプレイが入賞すると、自動的にリプレイが入賞したゲームにおける賭数と同値の賭数が設定され、新たに賭数を設定することなく次のゲームを開始することができる。また、通常遊技状態において昇格リプレイが入賞すると、遊技状態は有利遊技状態であるRT3状態へと移行し、突入リプレイが入賞すると、遊技状態は有利遊技状態であるRT4状態へと移行する。一方で、有利遊技状態であるRT3状態において転落リプレイが入賞すると、遊技状態は通常遊技状態へと移行(転落)する。本実施形態では、RT4状態は所定のゲーム数(本実施形態では50ゲーム)消化後に終了する。
制御リプレイ1は、いずれかの入賞ラインに「黒BAR・黒BAR・白7」の組み合わせが揃ったときに入賞が発生する。制御リプレイ2は、いずれかの入賞ラインに「黒BAR・白7・リプレイ」の組み合わせが揃ったときに入賞が発生する。制御リプレイ3は、いずれかの入賞ラインに「黒BAR・リプレイ・黒BAR」の組み合わせが揃ったときに入賞が発生する。制御リプレイ4は、いずれかの入賞ラインに「黒BAR・黒BAR・ベル」の組み合わせが揃ったときに入賞が発生する。制御リプレイ5は、いずれかの入賞ラインに「白7・リプレイ・リプレイ」の組み合わせが揃ったときに入賞が発生する。
ここで、制御リプレイ1、制御リプレイ2、制御リプレイ3、制御リプレイ4、制御リプレイ5は、昇格リプレイ、突入リプレイ、転落リプレイのいずれかを少なくとも含む再遊技役と同時に当選する複合役としてのみ当選し、ストップスイッチ8L、8C、8Rの停止操作順に応じて入賞するリプレイの種類が異なる押し順リプレイの押し順を制御するために当選する。以下の説明では、制御リプレイ1、制御リプレイ2、制御リプレイ3、制御リプレイ4、制御リプレイ5を総じて制御リプレイと称する。
押し順リプレイとは、例えば、内部抽選処理において「通常リプレイ+昇格リプレイ+制御リプレイ5」が当選すると、ストップスイッチ8L、8C、8Rを左、中、右の順番で操作するといずれかの入賞ラインに「リプレイ・リプレイ・ベル」が揃い、それ以外の順番で操作するといずれかの入賞ラインに「リプレイ・リプレイ・リプレイ」が揃う役のことである。
ベル1は、いずれかの入賞ラインに「any・ベル・any」または「ベル・黒BAR・ベル」のいずれかの組み合わせが揃ったときに入賞が発生する。ベル2は、いずれかの入賞ラインに「白BAR・白7・黒BAR」の組み合わせが揃ったときに入賞が発生する。ベル3は、いずれかの入賞ラインに「白BAR・黒BAR・ベル」の組み合わせが揃ったときに入賞が発生する。ベル4は、いずれかの入賞ラインに「白BAR・黒BAR・黒BAR」の組み合わせが揃ったときに入賞が発生する。ベル1、ベル2、ベル3、ベル4が入賞すると、4枚のメダルが払い出される。
ここで、ベル2、ベル3、ベル4は、ベル1を含む小役と同時に当選する複合役としてのみ当選し、ストップスイッチ8L、8C、8Rの停止操作順に応じて入賞する入賞ラインが異なる押し順ベルの押し順を制御するために当選する。
押し順ベルとは、例えば、内部抽選処理において「ベル1+ベル4」が当選し、ストップスイッチ8L、8C、8Rを左、中、右の順番で操作すると中リール中段2Cmにベル図柄が停止し、「any・ベル・any」の組み合わせが3つの入賞ラインL1、L3、L4で揃い入賞が発生しているため、合計12枚(4×3)のメダルが払い出され、それ以外の順番で操作すると中リール上段2Ctにベル図柄が停止し、1つの入賞ラインL2で「any・ベル・any」の組み合わせが揃い入賞が発生しているため、4枚のメダルが払い出される役のことである。
ここで、押し順ベルや押し順リプレイのようなストップスイッチ8L、8C、8Rの停止操作順に応じて入賞する役や導出結果が異なる複合役を押し順役と称する。また、押し順役当選時に、遊技者によるストップスイッチ8L、8C、8Rの停止操作によって最も有利な役の入賞を発生させることを、押し順の正解と称する。例えば、押し順ベル当選時に押し順を正解すると、中リール中段2Cmにベルが停止し、12枚のメダルが払い出されることとなる。
スイカは、いずれかの入賞ラインに「スイカ・スイカ・スイカ」が揃ったときに入賞が発生する。スイカが入賞すると、4枚のメダルが払い出される。チェリーは、いずれかの入賞ラインに「チェリー・白7・リプレイ」、「チェリー・黒7・リプレイ」、「チェリー・網7・リプレイ」、「チェリー・スイカ・リプレイ」のいずれかの組み合わせが揃ったときに入賞が発生する。チェリーが入賞すると、4枚のメダルが払い出される。1枚役は、いずれかの入賞ラインに「オレンジ・黒BAR・黒7」が揃ったときに入賞が発生する。1枚役が入賞すると、1枚のメダルが払い出される。
図3に示すように、リプレイ及びベル図柄については、全てのリールにおいて5コマ以内に配置されている。すなわち、通常リプレイ、昇格リプレイ、いずれかのベルが当選した場合、遊技者は、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作タイミングに関わらず、通常リプレイ、昇格リプレイ、いずれかのベルを入賞させることができる。また、チェリー図柄については、中リール2Cにおいて5コマ以内に配置され、チェリー図柄または白7については、右リール2Rにおいてそれぞれ5コマ以内に配置されている。すなわち、突入リプレイまたは転落リプレイが当選した場合、遊技者は押し順を正解すれば、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作タイミングに関わらず、突入リプレイ、転落リプレイを入賞させることができる。
一方で、スイカ、1枚役については、それぞれの図柄が全てのリールにおいて5コマ以内に配置されているわけではない。従って、スイカ、1枚役、が当選した場合、遊技者は、ストップスイッチ8L、8C、8Rを適正に操作しなければ、これらの小役を入賞させることができない。チェリーについても、図3に示すように、左リール2L上のチェリー図柄は1箇所にしか配置されていないため、遊技者はストップスイッチ8Lを適正なタイミングで操作しなければ左リール2L上にチェリー図柄を停止させることができない。一方で、中リール2C上の白7、黒7、網7、スイカ図柄と、右リール2Rのリプレイ図柄はそれぞれ5コマ以内に配置されている。従って、遊技者は左リール2L上にチェリー図柄を停止させれば、ストップスイッチ8Cの操作タイミングに依らず、チェリーを入賞させることができる。
なお、一般役は、上述のような図柄の組み合わせ、払い出し枚数に限られず、任意に設定することが可能である。例えば、スイカを2種類に区分し、平行スイカ、斜めスイカとしても良く、チェリーを2種類に区分し、チェリーA、チェリーBとしても良い。
また、入賞ラインを中段のL3のみの1ライン構成にする場合、無効ラインで上述の図柄の組み合わせが揃うような一般役の構成にしても良い。このような構成において、例えば、左リール2Lの8番のベル、中リール2Cの7番のベル、右リール2Rの8番のベル、が無効ラインL2で揃った場合、実際に入賞ラインL3で揃う図柄は、左リール2Lの7番のリプレイ、中リール2Cの6番のチェリー、右リール2Rの7番のスイカ、であるため、入賞ラインL3に「リプレイ・チェリー・スイカ」の図柄が揃った場合には一定の払い出し(例えば9枚)を付与することで、無効ラインでベルが揃った場合でも、入賞が発生することとなる。
次に、スロットマシン1のハードウェア構成について説明する。スロットマシン1は、詳細には、図6に示すように、遊技状態を制御する遊技制御基板40と、遊技状態に応じた演出を制御する演出制御基板90と、電気部品の駆動電源を生成する電源基板101と、から構成されている。
電源基板101は、外部からAC100Vの電源が供給され、このAC100Vの電源からスロットマシン1を構成する各種電気部品の駆動に必要な直流電圧を生成する。生成された直流電圧は、遊技制御基板40に供給され、遊技制御基板40を介して演出制御基板90にも供給される。
また、メイン制御部41からサブ制御部91へコマンドを送信するコマンド伝送ラインと、遊技制御基板40から演出制御基板90に対して電源を供給する電源供給ラインとは、一系統のケーブル及びコネクタを介して接続されている。演出制御基板90側の各部は、上述のコマンド伝送ライン及び電源供給ラインと各基板とを接続するコネクタ同士が全て接続されている場合に動作可能となり、コマンド伝送ラインが演出制御基板90に接続されている状態でなければ、電源が供給されず動作できない。すなわち、演出制御基板90は、コマンド伝送と電源供給ラインが両方接続されて初めて動作可能となる。
また、遊技制御基板40は遊技に係る処理を実行するため、セキュリティ上、外部からアクセスできない構成とすることが好ましい。このため、遊技制御基板40と演出制御基板90は、単方向通信であり、遊技制御基板40から演出制御基板90への通信は許容されるが、演出制御基板90から遊技制御基板40への通信は許容されない。
電源基板101には、上述のホッパーモータ34bと、払出センサ34cと、設定キースイッチ37と、満タンセンサ35aと、リセット/設定スイッチ38と、電源スイッチ39と、が接続されている。
遊技制御基板40には、MAXBETスイッチ6と、スタートスイッチ7と、各ストップスイッチ8L、8C、8Rと、精算スイッチ10と、リセットスイッチ23と、ドア開放検出スイッチ25と、打止スイッチ36aと、自動精算スイッチ36bと、各リールセンサ33L、33C、33Rと、が接続され、これらの接続された各種スイッチの検出信号が入力される。また、遊技制御基板40には、電源基板101を介して、払出センサ34cと、満タンセンサ35aと、設定キースイッチ37と、リセット/設定スイッチ38と、が接続されており、これらの接続されたスイッチ等の検出信号も入力される。
また、遊技制御基板40には、クレジット表示器11と、遊技補助表示器12と、1〜3BETLED14〜16と、投入要求LED17と、スタート有効LED18と、ウェイト中LED19と、リプレイ中LED20と、BETスイッチ有効LED21と、左、中、右停止有効LED22L、22C、22Rと、設定値表示器24と、流路切替ソレノイド30と、リールモータ32L、32C、32Rと、が接続され、これらの接続された電気部品は、後述するメイン制御部41の制御に基づいて駆動する。また、遊技制御基板40には、電源基板101を介して、ホッパーモータ34bが接続されており、この電気部品も、後述するメイン制御部41の制御に基づいて駆動する。
なお、リセットスイッチ23は所定のキー操作によりエラー状態や打止状態を解除し、設定値表示器24は設定値の変更中や設定値の確認中にその時点の設定値を表示し、打止スイッチ36aは打止状態(リセット操作がなされるまでゲームの進行が規制される状態)に制御する打止機能の有効/無効を選択し、自動精算スイッチ36bはビッグボーナス状態終了時に自動精算処理(クレジットとして記憶されているメダルを遊技者の操作によらず精算する処理)に制御する自動精算機能の有効/無効を選択し、流路切替ソレノイド30はメダル投入部4から投入されたメダルの流路を、筐体1a内部に設けられた後述のホッパータンク34a側またはメダル払出口9側のいずれか一方に選択的に切り替え、ドア開放検出スイッチ25は前面扉1bの開放状態を検出する。上述の各部は前面扉1bの内側に設けられている。
遊技制御基板40は、メイン制御部41と、乱数発生回路42と、サンプリング回路43と、スイッチ検出回路44と、モータ駆動回路45と、ソレノイド駆動回路46と、LED駆動回路47と、電断検出回路48と、リセット回路49と、を備えている。
メイン制御部41は、例えば、CPU41aと、RAM41bと、ROM41cと、I/O41dと、から構成されている。ROM41cには、制御プログラムが記憶されており、RAM41bがこの制御プログラムを読み込み、CPU41aは制御プログラムに従って遊技の進行に関する各種処理を実行し、遊技制御基板40に搭載された各回路を制御する。
また、メイン制御部41にはバックアップ電源が供給されており、RAM41bは、記憶しているデータをバックアップすることができる。すなわち、例えば停電時等、スロットマシン1への電力供給が停止した場合、RAM41bは、記憶しているデータを所定の期間保存することができる。また、RAM41bは、起動時に診断処理が行われて正常か否かの判別がなされ、ゲームの進行状況に従って各種領域が初期化される。なお、プログラム続行に必要な領域は初期化されることはない。このため、例えばゲームの進行中に不意に停電した場合でも、クレジットの残数や遊技状態を停電前の状態に復帰させることができる。
なお、制御プログラムによって、CPU41aにROM読出防止機能とバス出力マスク機能を実行させることも可能である。ROM読出防止機能は、ROM41cの記憶データの読出動作を禁止または許可することができる機能であり、ROM41cの記憶データの読出動作が禁止されると、CPU41aはROM41cの記憶データを読み出すことができない。また、バス出力マスク機能は、外部装置等からROM41cの記憶データの読出要求があった場合、I/O41dの出力にマスクをかけることにより、外部装置等からのROM41cの記憶データの読み出しを禁止する機能である。これらの機能を実行させることで、セキュリティを向上させることができる。
乱数発生回路42は、パルスを発生するたびにカウントアップして値を更新するカウンタによって構成されている。サンプリング回路43は、乱数発生回路42がカウントしている数値を取得し、取得した数値をメイン制御部41に出力する。乱数発生回路42は、遊技の進行に使用される乱数の種類毎に設定され、乱数の種類毎にカウントする数値の範囲が定められている。サンプリング回路43は、CPU41aの指示に従って、乱数発生回路42が示している数値を乱数として取得する。
乱数を取得する構成は上述の構成に限られず任意である。例えば、CPU41aは、サンプリング回路43から取得した数値を基に異なるランダムカウンタを用いて、ソフトウェア処理によって各種数値を加工または更新しても良い。なお、本実施形態においては、上述の乱数値の範囲は、16ビットの範囲、すなわち、0〜65535の範囲の値とする。
スイッチ検出回路44は、遊技制御基板40に接続されている各種スイッチから入力された検出信号を受信し、受信した検出信号をメイン制御部41に出力する。モータ駆動回路45は、メイン制御部41から出力されたモータ駆動信号を基にリールモータ32L、32C、32R等の各種モータを制御する。ソレノイド駆動回路46は、メイン制御部41から出力されたソレノイド駆動信号を基に流路切替ソレノイド30を制御する。LED駆動回路47は、メイン制御部41から出力されたLED駆動信号を基に遊技制御基板40に接続されている各種LEDや表示器を制御する。
電断検出回路48は、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出した際に、電圧低下の検出を示す電圧低下信号をメイン制御部41に出力する。リセット回路49は、電源投入時または電源遮断時等、電源が不安定な状態において、メイン制御部41にシステムリセット信号を出力する。また、リセット回路49は、内部にウォッチドックタイマを備えており、ウォッチドックタイマがタイムアップした場合、すなわち、メイン制御部41の動作が一定時間停止した場合に、メイン制御部41にリセット信号を出力する。
メイン制御部41は、遊技制御基板40に接続されている各種スイッチ等の検出信号を受信し、受信した検出信号に従って基本処理を実行する。また、メイン制御部41は、割込の発生により基本処理に割り込んで割込処理を実行することもできる。本実施形態では、メイン制御部41は内部にタイマを備え、タイマが満了したこと、すなわち、一定時間(本実施形態では約0.56ms)経過したことに起因してタイマ割込処理(メイン)を実行する。
メイン制御部41は、上述の割込処理の実行中に他の割込を禁止するように設定されており、複数の割込が発生した場合には予め設定された順序に従って割込処理を実行する。なお、割込処理の実行中に他の割込要因が発生し、実行中の割込処理が終了してもその割込要因が継続している状態である場合、実行中の割込処理が終了した時点で新たな割込が発生することとなる。
なお、タイマ割込処理の実行間隔Tは、基本処理が一巡する時間とタイマ割込処理(メイン)の実行時間とを合わせた時間よりも長い時間が設定されている。すなわち、基本処理が一巡する時間T1とタイマ割込処理(メイン)の実行時間T2との関係は、T1+T2<Tである。このため、メイン制御部41は繰り返し基本処理を実行するが、タイマ割込処理(メイン)が実行される間、少なくとも一度は基本処理を実行できることとなる。
演出制御基板90には、液晶表示器51と、演出効果LED52と、スピーカ53、54と、演出用スイッチ56と、リールLED55と、が接続され、これらの演出装置は、後述するサブ制御部91の制御によって駆動される。
なお、本実施形態では、演出制御基板90が備えるサブ制御部91が、液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、リールLED55、等の演出装置の出力の制御を行う構成とするが、サブ制御部91とは別に演出装置の出力制御を直接的に行う出力制御部を演出制御基板90または他の基板に搭載しても良い。この構成を採用する場合、サブ制御部91は、メイン制御部41からのコマンドに基づいて演出装置の出力パターンを求め、出力制御部は、その出力パターンに基づいて演出装置の出力制御を行う。このようにすることで、サブ制御部91と出力制御部の両方で演出装置の出力制御を行うことができるようになる。
また、本実施形態では、スロットマシン1は、演出装置として上述の液晶表示器51、演出効果LED52、スピーカ53、54、演出用スイッチ56を備える構成であるが、これに限られず、他の演出装置を採用することもでき、また、必ずしも上述の演出装置を備えている必要はない。すなわち、上述の各演出装置は、概ねゲーム性向上のために設けられる装置であり、スロットマシン1の動作に影響はない。このため、例えば、機械的に駆動する所謂役モノや、擬似的なリール、立体表示可能な液晶表示器等、様々な演出装置を採用することが可能である。ただし、本実施形態では、スロットマシン1はナビ演出が実行可能な報知期間となるアシストタイム(以下、ATとする)に演出状態を制御可能であるため、少なくとも上述のナビ演出を実行可能な演出装置を備えている必要がある。
演出制御基板90は、サブ制御部91と、表示制御回路92と、LED駆動回路93と、音声出力回路94と、リセット回路95と、スイッチ検出回路96と、時計装置97と、電断検出回路98と、を備えている。
サブ制御部91は、メイン制御部41と同様に、例えば、CPU91aと、RAM91bと、ROM91cと、I/O91dと、から構成されている。CPU91aは、メイン制御部41のCPU41aと同様に、制御プログラムに従って各種処理を実行する。サブ制御部91は、遊技制御基板40から出力されるコマンドを受信し、受信した信号を基に、各種回路の制御等、演出を行うための各種の制御を実行する。
表示制御回路92は、サブ制御部91から出力された表示制御信号を基に液晶表示器51の表示制御を行う。LED駆動回路93は、サブ制御部91から出力されたLED駆動信号を基に演出効果LED52、リールLED55等の駆動制御を行う。音声出力回路94は、サブ制御部91から出力された音声出力信号を基にスピーカ53、54の音声出力制御を行う。
リセット回路95は、電源投下時または初期化命令が一定時間入力されていない場合に、サブ制御部91にリセット信号を出力する。スイッチ検出回路96は、演出制御基板90に接続されている、例えば演出用スイッチ56のスイッチから入力された検出信号を受信し、受信した検出信号をサブ制御部91に出力する。時計装置97は、日付情報と時刻情報を含む時間情報をサブ制御部91に出力する。電断検出回路98は、スロットマシン1に供給される電源電圧を監視し、電圧低下を検出した際に、電圧低下の検出を示す電圧低下信号をサブ制御部91に出力する。
なお、リセット回路95は、遊技制御基板40が備えるリセット回路49よりもリセット信号を解除する電圧が低く定められている。このため、サブ制御部91は、電源投下時において、メイン制御部41よりも早く起動することができる。一方、電断検出回路98は、遊技制御基板40が備える電断検出回路48よりも電圧低下信号を出力する電圧が低く定められている。このため、サブ制御部91は、電断時において、メイン制御部41よりも遅い段階で停電を検知し、電断処理を実施することとなる。
サブ制御部91は、メイン制御部41と同様に割込機能を備えており、メイン制御部41からコマンドを受信すると割込を発生させて、メイン制御部41が出力したコマンドを受信してバッファに格納するコマンド受信割込処理を実行する。
また、サブ制御部91は、メイン制御部41とは異なり、割込処理の実行中でも他の割込を禁止するように設定されておらず、コマンド受信割込処理を最優先で実行するように設定されている。すなわち、サブ制御部91は、コマンドの受信に基づく割込が発生した場合、タイマ割込処理(サブ)の実行中であっても、タイマ割込処理(サブ)に割り込んでコマンド受信割込処理を実行し、タイマ割込処理(サブ)の契機となる割込が同時に発生してもコマンド受信割込処理を最優先で実行する。
また、サブ制御部91にも、バックアップ電源が供給されており、RAM91bは、停電時においても記憶しているデータを所定の期間保持することができる。
本実施形態では、サブ制御部91は、遊技状態をAT状態に制御可能である。サブ制御部91は、AT状態に移行し押し順役が当選すると、正解の押し順を報知する。本実施形態では、サブ制御部91は液晶表示器51を介して演出を実行することで遊技者に正解の押し順を報知するが、これに限られず、スピーカ53、54を介して音声等で報知しても良く、左中右停止有効LED22L、22C、22Rの点灯制御によって報知しても良い。
次に、メイン制御部41が実行する起動処理の制御内容について説明する。
メイン制御部41は、リセット回路49からシステムリセット信号が入力されると、図7に示すように、起動処理(メイン)を実行する。メイン制御部41は、まず、内蔵デバイスや周辺IC等を初期化し(ステップSa1)、RAM41bへのアクセスを許可する(ステップSa2)。
次に、メイン制御部41は、RAM41bのパリティを求め(ステップSa3)、パリティが0であるか否かを判別する(ステップSa4)。ここで、メイン制御部41は、電断前にパリティが0となるようにRAM41bにパリティ調整用データを設定しておく。すなわち、起動処理においてRAM41bのパリティが0以外の値となる場合、メイン制御部41は、RAM41bに異常があると判別することができる。
RAM41bのパリティが0である場合(ステップSa4;Yes)、メイン制御部41は、RAM41bに設定されている診断用データが正常であるか否かを判別する(ステップSa5)。ここで、診断用データとは、電断前にメイン制御部41によって設定されるデータであり、メイン制御部41によって診断用データが異常(例えば、診断用データがRAM41bの所定の領域に設定されていない)であると判別されると、メイン制御部41はRAM41bが異常であると判別することができる。
メイン制御部41は、ステップSa4においてRAM41bのパリティが0以外の値であった場合、またはステップSa5において診断用データが異常であると判別した場合、エラー処理を実行する。
メイン制御部41は、ステップSa4においてRAM41bのパリティが0であった場合、またはステップSa5において診断用データが正常であると判別した場合、診断用データをクリアし(ステップSa6)、電断前の状態に復帰する(ステップSa7)。なお、メイン制御部41は、電断時にRAM41bに重要なスタックデータ等を待避しており、これらのデータを復帰させることで電断前の状態に復帰させることができる。
次に、メイン制御部41は、復帰コマンドを生成し(ステップSa8)、コマンド格納処理を実行することで(ステップSa9)サブ制御部91に生成した復帰コマンドを送信する。なお、復帰コマンドとは、メイン制御部41が電断前の状態に復帰したことを示すコマンドであり、サブ制御部91は復帰コマンドを受信することでメイン制御部41が電断前の状態に復帰したと判別することができる。
ここで、メイン制御部41は、図8に示すようにコマンド格納処理を実行する。メイン制御部41は、コマンドバッファを使用してコマンドを生成する。なお、本実施形態では、コマンドバッファは2バイトである。コマンド格納処理では、メイン制御部41は、コマンドバッファの1バイト目のデータを内部に備えている送信データレジスタに設定し(ステップSb1)、次いでコマンドバッファの2バイト目のデータを送信データレジスタに設定することで(Sb2)、サブ制御部91にコマンドを送信する。
ここで、メイン制御部41は、内部に送信データレジスタと送信用シフトレジスタを備えている。送信データレジスタには、最大で32バイトのデータを格納することができ、送信データレジスタに格納されたデータはシリアルデータに変換されて送信用シフトレジスタに格納される。送信用シフトレジスタに格納されたシリアルデータは、直ちにサブ制御部91に転送される。すなわち、メイン制御部41は、送信データレジスタにコマンドデータを格納することで、サブ制御部91にコマンドを送信することができる。
なお、本実施形態では、メイン制御部41が送信データレジスタにコマンドデータを格納することでサブ制御部91にコマンドを送信するが、これに限られない。例えば、メイン制御部41は、生成したコマンドをRAM41bのコマンドキューに格納し、タイマ割込処理(メイン)においてコマンド送信処理を実行し、コマンドキューに格納されているコマンドデータをサブ制御部91に送信しても良い。
図7に戻り、メイン制御部41は、コマンド格納処理が終了すると、RAM41bに記憶されている電断前に内部抽選処理において当選した役を示す当選フラグを取得する(ステップSa10)。
そして、メイン制御部41は、取得した当選フラグを基に当選フラグコマンドを生成し(ステップSa11)、コマンド格納処理を実行することで(ステップSa12)サブ制御部91に生成した当選フラグコマンドを送信する。そしてメイン制御部41は割込を許可し(ステップSa13)、電断前の最後の処理を再開する。なお、当選フラグコマンドは、RAM41bから取得した電断前の当選フラグを特定可能なコマンドである。
次に、サブ制御部91が実行する起動処理の制御内容について説明する。
サブ制御部91は、リセット回路95からシステムリセット信号が入力されると、図9に示すように、起動処理(サブ)を実行する。サブ制御部91は、まず、内蔵デバイスや周辺IC等を初期化し(ステップSc1)、RAM41bへのアクセスを許可する(ステップSc2)。
次に、サブ制御部91は、RAM91bのパリティを求め(ステップSc3)、パリティが0であるか否かを判別する(ステップSc4)。ここで、サブ制御部91は、電断前にパリティが0となるようにRAM91bにパリティ調整用データを設定しておく。すなわち、起動処理においてRAM91bのパリティが0以外の値となる場合、サブ制御部91は、RAM91bに異常があると判別することができる。
RAM91bのパリティが0である場合(ステップSc4;Yes)、サブ制御部91は、復旧中であることを示す制御パターンをRAM41bに設定する(ステップSc5)。電断前の制御パターンは、電断時にRAM41bに待避されているが、ここでは復旧が完了するまで復旧中の制御パターンによって演出制御を実行する。
RAM91bのパリティが0以外の値である場合(ステップSc4;No)、サブ制御部91は、RAM91bを初期化し(ステップSc6)、待機パターンをRAM91bに設定する(ステップSc7)。
サブ制御部91は、RAM91bに設定されている制御パターンを基に演出の制御を実行し(ステップSc8)、RAM91bに設定されている復旧待ちフラグをオンにする(ステップSc9)。そして、サブ制御部91は割込を許可する(ステップSc10)。
サブ制御部91は、復旧フラグがオフになるか、または復旧待ち時間が経過するまで待機する(ステップSc11、ステップSc12)。復旧フラグがオフになると(ステップSc11;No)、サブ制御部91はループ処理に移行する。復旧フラグがオンであり(ステップSc11;Yes)、復旧待ち時間が経過すると(ステップSc12;Yes)、サブ制御部91は、遊技制御基板40と正常に接続されていないことを報知するエラー報知処理を実行する。
なお、復旧待ちフラグは、後述するタイマ割込処理(サブ)においてサブ制御部91がメイン制御部41から復旧コマンドを受信するとオフになる。すなわち、サブ制御部91の復旧処理はメイン制御部41から復旧コマンドを受信することで完了となる。
次に、メイン制御部41が実行するゲーム処理の制御内容について説明する。
スロットマシン1は、一般的に、賭数の設定、スタートスイッチ7の操作、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作、各リール2L、2C、2Rの停止、メダルの払い出し、とゲームが進行する。このようなゲームの進行状況に合わせて、メイン制御部41は、図10に示すようにゲーム処理を実行する。
メイン制御部41は、ゲーム処理を開始すると、BET処理(ステップSd1)、内部抽選処理(ステップSd2)、リール回転処理(ステップSd3)、入賞判定処理(ステップSd4)、払出処理(ステップSd5)、ゲーム終了時処理(ステップSd6)、を順次実行し、ゲーム終了時処理が終了すると、再度BET処理に戻る。
メイン制御部41は、ステップSd1におけるBET処理では、賭数を設定可能な状態で待機し、遊技状態に応じた規定の賭数が設定され、スタートスイッチ7が操作されるとゲームを開始させる。
メイン制御部41は、ステップSd2における内部抽選処理では、上述のスタートスイッチ7の検出時と同時に内部抽選用の乱数値に基づいて抽選を行い、いずれかの役の入賞を許容するか否かを判別し、当選した役を示す当選フラグをRAM41bに設定する。メイン制御部41は、内部抽選処理において、当選した役をそれぞれフラグとして示す当選フラグ、ボーナスに当選している場合はボーナスの種類、及びメイン制御部41で決定する演出の種類(例えば、フリーズ演出)等の情報を特定可能な内部当選コマンドをサブ制御部91に送信する。
メイン制御部41は、ステップSd3におけるリール回転処理では、各リール2L、2C、2Rを回転させ、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出された際に、対応するリールの回転を停止させる。
メイン制御部41は、ステップSd4における入賞判定処理では、全てのリール2L、2C、2Rの回転が停止した際に、各リール2L、2C、2Rに導出された表示結果(導出結果)に応じて入賞を発生させるか否かを判別する。メイン制御部41は、入賞判定処理において、導出結果を特定可能な入賞判定コマンドをサブ制御部91に送信する。
メイン制御部41は、ステップSd5における払出処理では、上述の入賞判定処理において入賞を発生させると判別された場合に、その入賞に応じてメダルを払い出す必要がある場合、クレジットの加算やメダルの払い出し等を行う。
メイン制御部41は、ステップSd5におけるゲーム終了時処理では、次のゲームに備えて遊技状態を設定する。
また、メイン制御部41は、ゲーム処理では、ゲームの進行に従って必要がある場合は、サブ制御部91に対するコマンドを生成し、コマンド伝送ラインを介して生成したコマンドをサブ制御部91に送信する。サブ制御部91は、受信したコマンドに従って各演出装置の制御やAT状態への移行の抽選等を行う。
以上が、スロットマシン1の詳細な構成である。
次に、本実施形態に係る抽選対象役及びAT状態について説明する。
一般役は、内部抽選処理において当選する際、複数の一般役を含む複合役として当選する場合がある。このような複合役は、複数の一般役から構成されているものの、内部抽選処理において当選すると、1つの当選フラグとして設定される。本実施形態では、抽選の対象となる役は複合役を含み、図11に示すように、例えば「BB+スイカ」等、特別役と少なくとも一つ以上の一般役が同時に当選する役(以下、同時当選役とする)と、例えば「チェリー+1枚役」等、複数の一般役が同時に当選する複合役と、例えば「RB」や「チェリー」等、特別役または一般役が単独で当選する役(以下、単独役とする)と、を含むものとする。抽選対象役として設定されている小役は、「ベル1+スイカ+チェリー(中段ベル)」、「ベル1+ベル4(押し順ベル1)」、「ベル1+ベル3(押し順ベル2)」、「ベル1+ベル2(押し順ベル3)」、「ベル1(押し順ベル4)」、「ベル1+ベル3+ベル4(押し順ベル5)」、「スイカ」、「スイカ+1枚役」、「チェリー」、「チェリー+1枚役」、「1枚役」、である。
「中段ベル」は、ベル1とスイカ及びチェリーが同時に当選する複合役であり、「中段ベル」が当選すると、中段の入賞ラインL3で「ベル・ベル・ベル」が揃う表示結果の導出が許容される。
「押し順ベル1」は、ベル1とベル4が同時に当選する複合役であり、「押し順ベル1」が当選し、ストップスイッチ8L、8C、8Rを左、中、右の順番で操作すると中リール中段2Cmにベル図柄が停止し、斜めの入賞ラインL1、L4のいずれかで「ベル・ベル・ベル」が揃う表示結果の導出が許容され、それ以外の順番で操作すると、上段の入賞ラインL2で「ベル・ベル・ベル」が揃う表示結果の導出が許容される。すなわち、「押し順ベル1」の正解の押し順は左、中、右である。
「押し順ベル2」は、ベル1とベル3が同時に当選する複合役であり、「押し順ベル2」が当選し、ストップスイッチ8L、8C、8Rを左、右、中の順番で操作すると中リール中段2Cmにベル図柄が停止し、斜めの入賞ラインL1、L4のいずれかで「ベル・ベル・ベル」が揃う表示結果の導出が許容され、それ以外の順番で操作すると、上段の入賞ラインL2で「ベル・ベル・ベル」が揃う表示結果の導出が許容される。すなわち、「押し順ベル2」の正解の押し順は左、右、中である。
「押し順ベル3」は、ベル1とベル2が同時に当選する複合役であり、「押し順ベル3」が当選し、ストップスイッチ8L、8C、8Rを中、左、右または中、右、左の順番で操作すると中リール中段2Cmにベル図柄が停止し、斜めの入賞ラインL1、L4のいずれかで「ベル・ベル・ベル」が揃う表示結果の導出が許容され、それ以外の順番で操作すると、上段の入賞ラインL2で「ベル・ベル・ベル」が揃う表示結果の導出が許容される。すなわち、「押し順ベル3」の正解の押し順は中、左、右または中、右、左である。
「押し順ベル4」は、ベル1が当選する単独役であり、「押し順ベル4」が当選し、ストップスイッチ8L、8C、8Rを右、左、中の順番で操作すると中リール中段2Cmにベル図柄が停止し、斜めの入賞ラインL1、L4のいずれかで「ベル・ベル・ベル」が揃う表示結果の導出が許容され、それ以外の順番で操作すると、上段の入賞ラインL2で「ベル・ベル・ベル」が揃う表示結果の導出が許容される。すなわち、「押し順ベル4」の正解の押し順は右、左、中である。
「押し順ベル5」は、ベル1とベル3とベル4が同時に当選する複合役であり、「押し順ベル5」が当選し、ストップスイッチ8L、8C、8Rを右、中、左の順番で操作すると中リール中段2Cmにベル図柄が停止し、斜めの入賞ラインL1、L4のいずれかで「ベル・ベル・ベル」が揃う表示結果の導出が許容され、それ以外の順番で操作すると、上段の入賞ラインL2で「ベル・ベル・ベル」が揃う表示結果の導出が許容される。すなわち、「押し順ベル5」の正解の押し順は右、中、左である。
以下の説明では、「押し順ベル1」、「押し順ベル2」、「押し順ベル3」、「押し順ベル4」、「押し順ベル5」、を総じて「押し順ベル」と称し、斜めの入賞ラインL1、L4のいずれかで「ベル・ベル・ベル」が揃う表示結果を「正解ベル」、上段の入賞ラインL2で「ベル・ベル・ベル」が揃う表示結果を「不正解ベル」と称する。
「スイカ」は、スイカが単独で当選する場合の小役であり、「スイカ+1枚役」は、スイカと1枚役が複合して当選する複合役である。「スイカ」が当選すると、斜めの入賞ライン(L1、L4)でスイカが揃う表示結果の導出が許容され、「スイカ+1枚役」が当選すると、平行な入賞ライン(L2、L3)でスイカが揃う表示結果の導出が許容される。
「チェリー」は、チェリーが単独で当選する場合の小役であり、「チェリー+1枚役」は、チェリーと1枚役が複合して当選する複合役である。「チェリー」が当選すると、優先して左リール2Lの上段または下段にチェリーが停止して揃う表示結果の導出が許容され、「チェリー+1枚役」が当選すると、優先して左リール中段2Lmにチェリーが停止して揃う表示結果の導出が許容される。また、1枚役は、1枚役が単独で当選する場合の小役である。
また、図12(A)に示すように、抽選対象役として設定されている再遊技役は、「通常リプレイ」、「押し順昇格リプレイ1」、「押し順昇格リプレイ2」、「押し順昇格リプレイ3」、「押し順昇格リプレイ4」、「押し順昇格リプレイ5」、「押し順昇格リプレイ6」、「押し順維持リプレイ1」、「押し順維持リプレイ2」、「押し順維持リプレイ3」、「押し順維持リプレイ4」、「押し順維持リプレイ5」、「押し順突入リプレイ1」、「押し順突入リプレイ2」、「押し順突入リプレイ3」、「押し順突入リプレイ4」、である。なお、上述の抽選対象役は名称であり、役構成については以下で詳細に説明する。
図12(B)に示すように、「押し順昇格リプレイ1」は、通常リプレイと昇格リプレイと制御リプレイ5とが同時に当選する複合役であり、「押し順昇格リプレイ1」が当選し、ストップスイッチ8L、8C、8Rを左、中、右の順番で操作するといずれかの入賞ラインで「リプレイ・リプレイ・ベル(昇格リプレイ)」が揃う表示結果の導出が許容され、それ以外の順番で操作するといずれかの入賞ラインで「リプレイ・リプレイ・リプレイ(通常リプレイ)」が揃う表示結果の導出が許容される。
「押し順昇格リプレイ2」は、通常リプレイと昇格リプレイと突入リプレイと制御リプレイ5とが同時に当選する複合役であり、「押し順昇格リプレイ2」が当選し、ストップスイッチ8L、8C、8Rを左、右、中の順番で操作するといずれかの入賞ラインで「リプレイ・リプレイ・ベル(昇格リプレイ)」が揃う表示結果の導出が許容され、それ以外の順番で操作するといずれかの入賞ラインで「リプレイ・リプレイ・リプレイ(通常リプレイ)」が揃う表示結果の導出が許容される。
「押し順昇格リプレイ3」は、通常リプレイと昇格リプレイと転落リプレイと制御リプレイ5とが同時に当選する複合役であり、「押し順昇格リプレイ3」が当選し、ストップスイッチ8L、8C、8Rを中、左、右の順番で操作するといずれかの入賞ラインで「リプレイ・リプレイ・ベル(昇格リプレイ)」が揃う表示結果の導出が許容され、それ以外の順番で操作するといずれかの入賞ラインで「リプレイ・リプレイ・リプレイ(通常リプレイ)」が揃う表示結果の導出が許容される。
「押し順昇格リプレイ4」は、通常リプレイと昇格リプレイと制御リプレイ1と制御リプレイ5とが同時に当選する複合役であり、「押し順昇格リプレイ4」が当選し、ストップスイッチ8L、8C、8Rを中、右、左の順番で操作するといずれかの入賞ラインで「リプレイ・リプレイ・ベル(昇格リプレイ)」が揃う表示結果の導出が許容され、それ以外の順番で操作するといずれかの入賞ラインで「リプレイ・リプレイ・リプレイ(通常リプレイ)」が揃う表示結果の導出が許容される。
「押し順昇格リプレイ5」は、通常リプレイと昇格リプレイと制御リプレイ2と制御リプレイ5とが同時に当選する複合役であり、「押し順昇格リプレイ5」が当選し、ストップスイッチ8L、8C、8Rを右、左、中の順番で操作するといずれかの入賞ラインで「リプレイ・リプレイ・ベル(昇格リプレイ)」が揃う表示結果の導出が許容され、それ以外の順番で操作するといずれかの入賞ラインで「リプレイ・リプレイ・リプレイ(通常リプレイ)」が揃う表示結果の導出が許容される。
「押し順昇格リプレイ6」は、通常リプレイと昇格リプレイと制御リプレイ3と制御リプレイ5とが同時に当選する複合役であり、「押し順昇格リプレイ6」が当選し、ストップスイッチ8L、8C、8Rを右、中、左の順番で操作するといずれかの入賞ラインで「リプレイ・リプレイ・ベル(昇格リプレイ)」が揃う表示結果の導出が許容され、それ以外の順番で操作するといずれかの入賞ラインで「リプレイ・リプレイ・リプレイ(通常リプレイ)」が揃う表示結果の導出が許容される。
ここで、「リプレイ・リプレイ・ベル(昇格リプレイ)」が揃う表示結果が導出されると、有利遊技状態へと移行する一方で、「リプレイ・リプレイ・リプレイ(通常リプレイ)」が揃う表示結果が導出されても遊技状態は移行しない。すなわち、「リプレイ・リプレイ・ベル(昇格リプレイ)」が揃う表示結果の導出が許容される押し順が、各押し順昇格リプレイ1〜6の正解の押し順となる。
「押し順維持リプレイ1」は、昇格リプレイと転落リプレイと制御リプレイ3と制御リプレイ4と制御リプレイ5とが同時に当選する複合役であり、「押し順維持リプレイ1」が当選し、ストップスイッチ8L、8C,8Rを左、中、右の順番で操作するといずれかの入賞ラインで「リプレイ・リプレイ・ベル(昇格リプレイ)」が揃う表示結果の導出が許容され、それ以外の順番で操作するといずれかの入賞ラインで「ベル・チェリー・ベル(転落リプレイ)」が揃う表示結果の導出が許容される。
「押し順維持リプレイ2」は、通常リプレイと昇格リプレイと転落リプレイと制御リプレイ3と制御リプレイ4と制御リプレイ5とが同時に当選する複合役であり、「押し順維持リプレイ2」が当選し、ストップスイッチ8L、8C,8Rを左、右、中の順番で操作するといずれかの入賞ラインで「リプレイ・リプレイ・ベル(昇格リプレイ)」が揃う表示結果の導出が許容され、それ以外の順番で操作するといずれかの入賞ラインで「ベル・チェリー・ベル(転落リプレイ)」が揃う表示結果の導出が許容される。
「押し順維持リプレイ3」は、昇格リプレイと突入リプレイと転落リプレイと制御リプレイ3と制御リプレイ4と制御リプレイ5とが同時に当選する複合役であり、「押し順維持リプレイ3」が当選し、ストップスイッチ8L、8C,8Rを中、左、右または中、右、左の順番で操作するといずれかの入賞ラインで「リプレイ・リプレイ・ベル(昇格リプレイ)」が揃う表示結果の導出が許容され、それ以外の順番で操作するといずれかの入賞ラインで「ベル・チェリー・ベル(転落リプレイ)」が揃う表示結果の導出が許容される。
「押し順維持リプレイ4」は、と昇格リプレイと転落リプレイと制御リプレイ1と制御リプレイ3と制御リプレイ4と制御リプレイ5とが同時に当選する複合役であり、「押し順維持リプレイ4」が当選し、ストップスイッチ8L、8C,8Rを右、左、中の順番で操作するといずれかの入賞ラインで「リプレイ・リプレイ・ベル(昇格リプレイ)」が揃う表示結果の導出が許容され、それ以外の順番で操作するといずれかの入賞ラインで「ベル・チェリー・ベル(転落リプレイ)」が揃う表示結果の導出が許容される。
「押し順維持リプレイ5」は、昇格リプレイと転落リプレイと制御リプレイ2と制御リプレイ3と制御リプレイ4と制御リプレイ5とが同時に当選する複合役であり、「押し順維持リプレイ5」が当選し、ストップスイッチ8L、8C,8Rを右、中、左の順番で操作するといずれかの入賞ラインで「リプレイ・リプレイ・ベル(昇格リプレイ)」が揃う表示結果の導出が許容され、それ以外の順番で操作するといずれかの入賞ラインで「ベル・チェリー・ベル(転落リプレイ)」が揃う表示結果の導出が許容される。
ここで、「リプレイ・リプレイ・ベル(昇格リプレイ)」が揃う表示結果が導出されると、有利遊技状態へと移行する一方で、「ベル・チェリー・ベル(転落リプレイ)」が揃う表示結果が導出されると遊技状態は通常遊技状態へと移行する。すなわち、「リプレイ・リプレイ・ベル(昇格リプレイ)」が揃う表示結果の導出が許容される押し順が、各押し順維持リプレイ1〜5の正解の押し順となる。
「押し順突入リプレイ1」は、突入リプレイと転落リプレイとが同時に当選する複合役であり、「押し順突入リプレイ1」が当選し、ストップスイッチ8L、8C、8Rを左、中、右の順番で操作するといずれかの入賞ラインで「リプレイ・リプレイ・チェリー(突入リプレイ)」または「リプレイ・リプレイ・白7(突入リプレイ)」が揃う表示結果の導出が許容され、それ以外の順番で操作するといずれかの入賞ラインで「ベル・チェリー・ベル(転落リプレイ)」が揃う表示結果の導出が許容される。
「押し順突入リプレイ2」は、突入リプレイと転落リプレイと制御リプレイ2とが同時に当選する複合役であり、「押し順突入リプレイ2」が当選し、ストップスイッチ8L、8C、8Rを左、右、中の順番で操作するといずれかの入賞ラインで「リプレイ・リプレイ・チェリー(突入リプレイ)」または「リプレイ・リプレイ・白7(突入リプレイ)」が揃う表示結果の導出が許容され、それ以外の順番で操作するといずれかの入賞ラインで「ベル・チェリー・ベル(転落リプレイ)」が揃う表示結果の導出が許容される。
「押し順突入リプレイ3」は、突入リプレイと転落リプレイと制御リプレイ3が同時に当選する複合役であり、「押し順突入リプレイ3」が当選し、ストップスイッチ8L、8C、8Rを中、左、右または中、右、左の順番で操作するといずれかの入賞ラインで「リプレイ・リプレイ・チェリー(突入リプレイ)」または「リプレイ・リプレイ・白7(突入リプレイ)」が揃う表示結果の導出が許容され、それ以外の順番で操作するといずれかの入賞ラインで「ベル・チェリー・ベル(転落リプレイ)」が揃う表示結果の導出が許容される。
「押し順突入リプレイ4」は、突入リプレイと転落リプレイと制御リプレイ1とが同時に当選する複合役であり、「押し順突入リプレイ4」が当選し、ストップスイッチ8L、8C、8Rを右、左、中または右、中、左の順番で操作するといずれかの入賞ラインで「リプレイ・リプレイ・チェリー(突入リプレイ)」または「リプレイ・リプレイ・白7(突入リプレイ)」が揃う表示結果の導出が許容され、それ以外の順番で操作するといずれかの入賞ラインで「ベル・チェリー・ベル(転落リプレイ)」が揃う表示結果の導出が許容される。
ここで、「リプレイ・リプレイ・チェリー(突入リプレイ)」または「リプレイ・リプレイ・白7(突入リプレイ)」が揃う表示結果が導出されると、有利遊技状態へと移行する一方で、「ベル・チェリー・ベル(転落リプレイ)」が揃う表示結果が導出されると遊技状態は通常遊技状態へと移行する。すなわち、「リプレイ・リプレイ・チェリー(突入リプレイ)」または「リプレイ・リプレイ・白7(突入リプレイ)」が揃う表示結果の導出が許容される押し順が、各押し順突入リプレイ1〜4の正解の押し順となる。
なお、抽選対象役は上述に限られず、任意に設定することが可能であり、例えば、抽選対象役をそれぞれの特別役、一般役そのものとしても良い。
本実施形態のスロットマシン1は、図12(A)に示すように、再遊技役の当選確率が大幅に上昇するRT3状態またはRT4状態に制御することが可能である。RT3状態への移行の契機は、昇格リプレイの入賞であり、RT4状態への移行の契機は、突入リプレイの入賞である。通常遊技状態において昇格リプレイを入賞させるには、押し順昇格リプレイ1〜6のいずれかが当選し、さらに押し順を正解する必要があり、突入リプレイを入賞させるには、RT3状態において押し順突入リプレイ1〜4のいずれかが当選し、さらに押し順を正解する必要がある。
AT状態ではない遊技状態においては、遊技者は当選役や正解の押し順等を判断できないため、当選役に応じた押し順操作によって遊技状態を移行させることは難しい。しかしながら、AT状態に移行すると、押し順昇格リプレイ1〜6のいずれかが当選したことに応じてサブ制御部91が正解の押し順を報知するため、遊技者は昇格リプレイを入賞させてRT3状態に移行させることができ、さらにRT3状態において押し順突入リプレイ1〜4のいずれかが当選したことに応じてサブ制御部91が正解の押し順を報知するため、遊技者は突入リプレイを入賞させてRT4状態に移行させることができる。このように遊技状態が移行することで、再遊技役の当選確率が大幅に上昇し、さらに押し順ベルが当選してもサブ制御部91によって押し順が報知されるため、メダルを消費することなく、押し順ベルの押し順を正解することでメダルを増やしながらゲームを消化することができる。
本実施形態では、サブ制御部91は、メイン制御部41から内部当選コマンドを受信した場合、または入賞履歴が特定条件を満たした場合に、AT抽選処理を行う。AT抽選処理とは、AT状態への移行を許容するか否かを決定する抽選処理である。通常遊技状態においてAT状態への移行が許容された場合、所定の条件(例えば所定ゲーム数消化や役の当選)を満たすとサブ制御部91によってAT状態に制御されるが、AT状態においてさらにAT状態への移行が許容された場合、現在のAT状態が終了した後に、再度AT状態に移行する制御がなされる。なお、本実施形態では、AT状態は、RT4状態の終了に伴って終了するが、これに限られない。例えば、AT状態は、押し順ベルの押し順不正解時に終了しても良い。この場合、RT4状態も、押し順ベルの押し順不正解時に終了するように制御する方が好ましい。また、AT状態は、継続抽選での非当選時に終了しても良い。この場合、RT4状態は、押し順ベルの押し順不正解時やSB入賞時等を終了条件にする方が好ましい。すなわち、AT状態の終了条件及びRT4状態の終了条件は互いに関係している方が好ましい。
以上が、本実施形態に係る抽選対象役及びAT状態についての説明である。
次に、内部抽選処理について説明する。
上述で説明した特別役及び一般役は、内部抽選処理において当選し、RAM41bに当選フラグが設定されていなければ入賞させることができない。本実施形態では、内部抽選処理における各抽選対象役の当選確率は、設定値及び遊技状態によって異なる。すなわち、設定値が1〜6のいずれかの値かに加え、遊技状態が後述する通常遊技状態であるか、RT1〜4状態のいずれかであるか、内部中状態であるか、ボーナス状態であるか、によって異なる抽選テーブルを基に抽選を行う。
遊技状態は、RAM41bに遊技状態フラグとして設定されている。このため、メイン制御部41は、RAM41bの遊技状態フラグを参照することで、現在の遊技状態を判別することができる。なお、通常遊技状態及びRT1〜4状態は、同一の遊技状態フラグとして設定されている。このため、通常遊技状態及びRT1〜4状態を判別するには、RAM41bのRTフラグの値を参照する必要がある。RTフラグには、例えば、通常遊技状態の場合は0、RT1状態の場合は1、等と値が設定されている。
抽選対象役は、図11、図12(A)に示すように、各遊技状態に応じた抽選テーブルに従って設定されている。すなわち、抽選対象役や判定値数は、通常遊技状態、RT1〜4状態、内部中状態、ボーナス状態に応じて異なる。
通常遊技状態またはRT1〜4状態では、「BB」、「BB+スイカ」、「BB+スイカ+1枚役」、「BB+チェリー」、「BB+チェリー+1枚役」、「BB+1枚役」、「RB」、「RB+スイカ」、「RB+スイカ+1枚役」、「RB+チェリー」、「RB+チェリー+1枚役」、「RB+1枚役」、「SB」、「中段ベル」、「押し順ベル1」、「押し順ベル2」、「押し順ベル3」、「押し順ベル4」、「押し順ベル5」、「スイカ」、「スイカ+1枚役」、「チェリー」、「チェリー+1枚役」、「1枚役」が抽選対象役として設定されている抽選テーブルを基に内部抽選処理を行う。
内部中状態では、「中段ベル」、「押し順ベル1」、「押し順ベル2」、「押し順ベル3」、「押し順ベル4」、「押し順ベル5」、「スイカ」、「スイカ+1枚役」、「チェリー」、「チェリー+1枚役」、「1枚役」が抽選対象役として設定されている抽選テーブルを基に内部抽選処理を行う。
ボーナス状態では、「中段ベル」、「スイカ」、「スイカ+1枚役」、「チェリー」、「チェリー+1枚役」、「1枚役」が抽選対象役として設定されている抽選テーブルを基に内部抽選処理を行う。
さらに、通常遊技状態の抽選テーブルでは再遊技役として、「通常リプレイ」、「押し順昇格リプレイ1」、「押し順昇格リプレイ2」、「押し順昇格リプレイ3」、「押し順昇格リプレイ4」、「押し順昇格リプレイ5」、が抽選対象役に設定されている。
RT1状態とRT2状態及びRT4状態の抽選テーブルでは再遊技役として、「通常リプレイ」のみが抽選対象役に設定されている。RT3状態の抽選テーブルでは再遊技役として、「通常リプレイ」、「押し順維持リプレイ1」、「押し順維持リプレイ2」、「押し順維持リプレイ3」、「押し順維持リプレイ4」、「押し順維持リプレイ5」、「押し順突入リプレイ1」、「押し順突入リプレイ2」、「押し順突入リプレイ3」、「押し順突入リプレイ4」、が抽選対象役に設定されている。
なお、図11、図12(A)に示している数値は抽選対象役が当選する判定値であり、この判定値を基に内部抽選処理が行われる。判定値の分母は、65536(2の16乗)に設定されている。すなわち、抽選対象役の当選確率は、判定値数/65536となる。また、図11、図12(A)に示している判定値は、設定値が1である場合の判定値とするが、これに限られない。上述のように設定値に従ってメダル払出率が変動するように設計するには、例えば、設定値が大きくなるにつれて同時当選役の判定値を増加させるようにすれば良い。
なお、本実施形態では、特別役と一般役が同時に当選している場合、一般役が優先して入賞するように制御される。すなわち、例えば「BB+スイカ」が当選した場合、そのゲームにおいては、いずれかの入賞ラインにスイカ図柄が揃う制御となる。
また、一般役(小役や再遊技役)の当選フラグは、その当選フラグが設定されたゲームにおいてのみ有効となり、次ゲームでは無効となる。一方で、特別役の当選フラグは、その当選フラグが設定されたゲームから特別役が入賞するまで有効とされ、その特別役が入賞したゲームで無効となる。すなわち、一般役の場合、当選したゲームで揃えなければメダルの払い出しを伴う入賞が発生することはないが、特別役の場合は、当選したゲームで揃えることができなくても、当選フラグが無効となることはないため、特別役が当選したゲーム以降のゲームであっても入賞させることができる。このため、特別役が入賞するまでのゲームにおける内部抽選処理では、特別役の抽選は行われず、専用の抽選テーブルを基に抽選処理が行われる。なお、SBの当選フラグに限り、BB、RBとは異なり、当選したゲームで入賞が発生しないと次のゲームでは無効となる。すなわち、SBの当選フラグは一般役の当選フラグと同様に扱われる。
メイン制御部41は、各リール2L、2C、2Rに表示結果が導出表示される前(実際には、スタートスイッチ7の検出時)に、各役(一般役や特別役)の入賞を許容するか否かを上述の抽選テーブルを基に決定する。すなわち、スタートスイッチ7の検出時に内部抽選処理が行われ、いずれかの役が当選すれば、その役の入賞が許容されるため、その役を各リール2L、2C、2Rに導出表示することができる。
まず、メイン制御部41は、スタートスイッチ7の操作検出時に内部抽選用の乱数値(0〜65535の整数)を取得する。メイン制御部41は、取得した乱数値をRAM41bの専用の領域(乱数値格納ワーク)に記憶し、図10のステップSd1におけるBET処理にて、乱数値格納ワークに記憶されている乱数値をさらに抽選用の領域(抽選用ワーク)に記憶する。
メイン制御部41は、図10のステップSd2において内部抽選処理を実行すると、図13に示すように、RAM41bに設定されている遊技状態フラグを参照し、現在の遊技状態がボーナス状態であるか否かを判別する(ステップSe1)。
現在の遊技状態がボーナス状態である場合(ステップSe1;Yes)、メイン制御部41は、ボーナス状態に対応する抽選テーブルをRAM41bに設定する(ステップSe2)。
現在の遊技状態がボーナス状態ではない場合(ステップSe1;No)、メイン制御部41は、現在の遊技状態が特別役を持ち越している状態か否か、すなわち、内部中状態であるか否かを判別する(ステップSe3)。
現在の遊技状態が内部中状態である場合(ステップSe3;Yes)、メイン制御部41は、内部中状態に対応する抽選テーブルをRAM41bに設定する(ステップSe4)。
現在の遊技状態が内部中状態ではない場合(ステップSe3;No)、メイン制御部41は、RAM41bに設定されているRTフラグの値を参照し、遊技状態がRT1〜4状態のうちいずれかであるか否かを判別する(ステップSe5)。
現在の遊技状態がRT1〜4状態のうちいずれかである場合(ステップSe5;Yes)、メイン制御部41は、RT1〜4状態のうちのいずれかの状態に対応する抽選テーブルをRAM41bに設定する(ステップSe6)。
現在の遊技状態がRT1〜4状態のいずれでもない場合(ステップSe5;No)、メイン制御部41は、通常遊技状態であると判別し、通常遊技状態に対応する抽選テーブルをRAM41bに設定する(ステップSe7)。
メイン制御部41は、それぞれの遊技状態に応じて抽選テーブルを設定すると、賭数及び設定値に応じた判定値数を設定された抽選テーブルから取得し、取得した判定値数と抽選用ワークに格納された乱数値とに基づいて、役の当選有無を判別する抽選処理を実行する(ステップSe8)。抽選処理では、抽選テーブルから取得した判定値数を、抽選用ワークに記憶された数値データ(乱数値)に順次加算し、加算の結果がオーバーフローした際に、その役に当選したものと判定される。このため、判定値数の大小に応じた確率(判定値/65536)で役が当選することとなる。
メイン制御部41は、いずれかの役が当選したと判別すると、当選したと判別した役に対応する当選フラグをRAM41bの内部当選フラグ格納ワークに設定する(ステップSe9)。
そして、メイン制御部41は、当選フラグを特定可能な内部当選コマンドを生成し(ステップSe10)、コマンド格納処理を実行して(ステップSe11)サブ制御部91に内部当選コマンドを送信する。メイン制御部41は、コマンド格納処理終了後、内部抽選処理を終了してゲーム処理に復帰する。
なお、内部当選フラグ格納ワークは、2バイトの領域で構成されており、特別役の当選フラグが設定される特別役格納ワークと、一般役の当選フラグが設定される一般役格納ワークとで区分されている。特別役格納ワークに設定される当選フラグは、特別役が当選した場合に設定され、特別役が入賞するまでクリアされることはない。一般役格納ワークに設定される当選フラグは、一般役が当選した場合に設定され、いずれの役にも当選しなかった場合にクリアされる。
また、メイン制御部41は、スタートスイッチ7の操作検出時に内部抽選用の乱数値を取得するが、例えば静電気等のノイズによりスタートスイッチ7の操作を誤検出してしまった場合や、ゲームが開始できない状態でスタートスイッチ7の操作を検出した場合でも乱数値を取得してしまうと、正常に内部抽選処理が行われなくなる可能性がある。しかしながら本実施形態では、メイン制御部41がBET処理においてゲームの開始が可能な場合に乱数値格納ワークに格納されている乱数値を抽選用ワークに格納し、内部抽選処理では抽選用ワークに格納された乱数値を基に抽選を行う。このため、静電気等のノイズやゲームが開始できない状態においてスタートスイッチ7の操作が誤検出された場合でも、内部抽選処理で使用される抽選用格納ワークには影響を与えないため、正常に内部抽選処理を行うことができる。
以上が、内部抽選処理についての説明である。
次に、リール回転処理について説明する。
メイン制御部41は、内部抽選処理でいずれかの役が当選すると、各リール2L、2C、2Rで当選した役の導出表示を許容する制御を行う(図10、ステップSd3)。ここでは、各リール2L、2C、2Rの停止制御について説明する。
メイン制御部41は、各リール2L、2C、2Rが回転を開始したとき、またはいずれかのリールが停止し、未停止のリールが残っているとき、ROM41cに格納されているテーブルインデックス及びテーブル作成用データを参照して、回転中のリールそれぞれの停止制御テーブルを作成する。そして、メイン制御部41は、回転中のリールに対応するストップスイッチ8L、8C、8Rのうちいずれかの操作が検出されると、該当するリールの停止制御テーブルを参照し、参照した停止制御テーブルの滑りコマ数に基づいて、操作されたストップスイッチ8L、8C、8Rに対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止させる制御を行う。
なお、滑りコマ数とは、ストップスイッチ8L、8C、8Rを操作してから実際にリール2L、2C、2Rが停止するまでにリール上を通過するコマ数のことである。例えば、図3に示す左リール2Lの18番の「白7」が下段を通過時にストップスイッチ8Lを操作し、実際に左リール下段2Lbには20番の「ベル」が停止していた場合、滑りコマ数は2コマであったことがわかる。
テーブルインデックスには、内部抽選処理による当選フラグの設定状態(以下、内部当選状態とする)毎にアドレスが格納されており、メイン制御部41は、内部当選状態に応じたアドレスを取得することで、テーブル作成用データを取得することができる。なお、内部当選状態が異なる場合でも、同一のリール制御が適用される場合は、テーブルインデックスには同一のアドレスが格納されている。このような場合には、同一のテーブル作成用データを参照して、停止制御テーブルが作成されることとなる。
テーブル作成用データは、停止操作位置に応じた滑りコマ数を示す停止制御テーブルと、リールの停止状況に応じて参照すべき停止制御テーブルのアドレスと、から構成される。なお、停止操作位置とは、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作を検出した際の図柄の位置を意味する。
リールの停止状況に応じて参照される停止制御テーブルは、各リール2L、2C、2Rの停止状況によって異なる場合がある。すなわち、全てのリール2L、2C、2Rが回転しているか、いずれか一つのリールのみ停止しているか、いずれか二つのリールが停止しているか、によって異なる場合がある。更に、いずれかのリールが停止している状況においては、停止済みのリールの停止位置によっても異なる場合がある。このため、それぞれの状況について、参照すべき停止制御テーブルのアドレスが回転中のリール別に登録されており、メイン制御部41は、それぞれの状況に応じて参照すべき停止制御テーブルのアドレスを特定することができる。そして、メイン制御部41は、この特定されたアドレスから、それぞれの状況に応じて必要な停止制御テーブルを特定することができる。
なお、リールの停止状況や停止済みのリールの停止位置が異なる場合でも、同一の停止制御テーブルが適用される場合においては、停止制御テーブルのアドレスとして同一のアドレスが登録されているものもあり、このような場合には、同一の停止制御テーブルが参照される。
停止制御テーブルは、停止操作(ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作)が行われたタイミング別の滑りコマ数を特定できるテーブルである。本実施形態では、リールモータ32L、32C、32Rに、168ステップ(0〜167)の周期で1周するステッピングモータを採用している。すなわち、リールモータ32L、32C、32Rを168ステップ駆動させることで、リール2L、2C、2Rが1周する。そして、リールモータ32L、32C、32Rには、リール1周に対して8ステップ(1図柄が移動するステップ数)毎に分割した21の領域(コマ)が定められており、これらの領域には、リール基準位置から0〜20の領域番号が割り当てられている。一方、1リールに配列された図柄数も21であり、各リールの図柄にリール基準位置から0〜20番の図柄番号が割り当てられている。すなわち、各リール2L、2C、2Rそれぞれの0番から20番の図柄番号に対して、リールモータ32L、32C、32Rそれぞれの0〜20の領域番号が割り当てられていることとなる。そして、停止制御テーブルには、領域番号別の滑りコマ数が所定のルールで圧縮して格納されており、メイン制御部41は、停止制御テーブルを展開することで領域番号別の滑りコマ数を取得できる。
本実施形態では、上述のようにテーブルインデックス及びテーブル作成用データを参照して作成される停止制御テーブルには、停止基準位置(本実施形態では下段の図柄)からの滑りコマ数が領域番号毎に設定されているが、これに限られず、停止基準位置を上段としても中段としても良い。
メイン制御部41は、停止制御テーブルを作成する際、まず、テーブルインデックスを基に、リール回転開始時にそのゲームの内部当選状態に応じたアドレスを取得し、テーブル作成用データを取得する。そして、メイン制御部41は、テーブル作成用データから全てのリールが回転中の状態に対応する各リールの停止制御テーブルのアドレスを取得する。さらに、メイン制御部41は、取得したアドレスに格納されている各リールの停止制御テーブルを展開して全てのリールについて停止制御テーブルを作成する。
メイン制御部41は、いずれかの一つのリールが停止したとき、またはいずれか二つのリールが停止したとき、リール回転開始時に取得したテーブル作成用データから停止済みリール及びそのリールの停止位置の領域番号に対応する未停止リールの停止制御テーブルのアドレスを取得し、取得したアドレスに格納されている各リールの停止制御テーブルを展開して未停止リールの停止制御テーブルを作成する。
次に、メイン制御部41が回転中のリールに対応するいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rの操作を検出した場合、該当するリールに表示結果を導出させる際の制御について説明する。メイン制御部41は、回転中のリールに対応するいずれかのストップスイッチ8L、8C、8Rの操作を検出すると、停止操作を検出した時点のリール基準位置(例えば、0番の領域)からのステップ数に基づいて停止操作位置の領域番号を特定し、停止操作が検出されたリールの停止制御テーブルを参照し、特定した停止操作位置の領域番号に対応する滑りコマ数を取得する。そして、メイン制御部41は、取得した滑りコマ数分リールを回転させて停止させる制御を行う。
具体的には、メイン制御部41は、停止操作を検出した時点のリール基準位置からのステップ数を基に取得した滑りコマ数引き込んで停止させるまでのステップ数を求め、求めたステップ数分リールを回転させて停止させる制御を行う。これにより、停止操作が検出された停止操作位置の領域番号に対応する領域から滑りコマ数分先の停止位置となる領域番号に対応する領域が停止基準位置(本実施形態では、下段の領域)に停止することとなる。
本実施形態のテーブルインデックスには、一つの遊技状態における一つの内部当選状態に対応する一つのアドレスのみが格納されている。さらに、一つのテーブル作成用データには、一つのリールの停止状況(及び停止済みリールの停止位置)に対応する停止制御テーブルの格納領域のアドレスとして、一つのアドレスのみが格納されている。すなわち、遊技状態、内部当選状態に対応するテーブル作成用データと、リールの停止状況(及び停止済みリールの停止位置)に対応する停止制御テーブルの格納領域のアドレスとは一意に定められており、これらを参照して作成される停止制御テーブルも一意に定められる。このため、遊技状態、内部当選状態、リールの停止状況(及び停止済みリールの停止位置)の全てが同一条件である場合、メイン制御部41は、同一の停止制御テーブルに基づき制御を行う。
また、本実施形態では、滑りコマ数は0〜4の値が設定されており、停止操作を検出してから最大4コマ図柄を引き込んでリールを停止させることが可能である。すなわち、停止操作位置の図柄を含めて最大5コマの範囲から図柄の停止位置を指定できる。
本実施形態では、いずれかの役に当選した場合、その役を入賞ラインに4コマの範囲内で最大限に引き込む制御を行うような停止制御テーブルを生成する。また、いずれの役にも当選していない場合、いずれの役も入賞ラインに揃わない制御を行うような停止制御テーブルを生成する。すなわち、いずれかの役に当選した場合、当選役の4コマの範囲内で停止操作をすると、その当選役に応じた図柄の組み合わせが揃う制御がなされ、例えば滑りコマ数が2コマで停止することはない。また、いずれの役にも当選していない場合、いずれかの役を0コマの範囲で停止操作をしても、滑りコマ数が設定されているため、いずれの役も揃わない制御がなされる。
また、本実施形態では、特別役が前ゲーム以前から持ち越されている状態で一般役が当選した場合、当選した一般役を入賞ラインに4コマの範囲で最大限に引き込むような制御が行われる。すなわち、特別役よりも一般役の方が優先して揃う制御となる。ただし、4コマの範囲で当選した一般役が引き込めず、4コマの範囲で特別役が引き込める場合、特別役が優先して揃う制御がなされる。
具体的には、メイン制御部41は、まず、当選した一般役を入賞ラインに4コマの範囲で最大限に引き込むように滑りコマ数を設定した停止制御テーブルを作成し、停止操作位置が当選した一般役を引き込めない場合、当選していた特別役を入賞ラインに4コマの範囲で最大限に引き込むように滑りコマ数を設定した停止制御テーブルを作成する。このように制御することで、入賞ラインの4コマの範囲で当選した一般役を引き込めれば、当選した一般役が揃う制御となり、当選した一般役が引き込めず、当選していた特別役が引き込めれば、当選していた特別役が揃う制御となる。
例えば、BB(白7・白7・白7)が当選している状態において、「ベル」が当選した場合、左リール2Lの入賞ラインの停止操作位置が18番の「白7」であっても、4コマの範囲内に20番の「ベル」が配置されているため、左リール2L上に20番の「ベル」が停止し、中、右リール2C、2Rにおいても同様に、「ベル」が停止し、「ベル」の入賞が発生する。
また、例えば、BB(白7・白7・白7)が当選している状態において、「チェリー」が当選した場合、左リール2Lの入賞ラインの停止操作位置が、例えば18番の「白7」であるとすると、4コマの範囲内に「チェリー」が存在しないが「白7」は存在するため、左リール2L上に18番の「白7」が停止し、中、右リール2C、2Rにおいても同様に、4コマの範囲内で停止操作すれば「白7」を揃えることができる。しかし、例えば左リール2Lの下段の入賞ラインにおける停止操作位置が1番の「網7」であった場合、4コマの範囲内に5番の「チェリー」が存在するため、「チェリー」が停止する制御がなされる。
本実施形態では、「リプレイ」または「ベル」は、各リールで5コマ以内に配置されている。すなわち、特別役が当選している状態で「リプレイ」または「ベル」が当選した場合は、必ず「リプレイ」または「ベル」が揃うこととなる。本実施形態では、このような場合において、「リプレイ」または「ベル」と同時に特別役が入賞ラインで揃うことがないように図柄が配置されているが、これに限られず、ゲーム性を高めるために「リプレイ」または「ベル」と同時に特別役が無効ラインに揃うような図柄の配置にしても良い。この構成を採用する場合、例えば、下段の平行な無効ラインで特別役が揃う制御にすれば良い。ただし、無効ラインで役が揃った場合は、入賞は発生しない。
なお、本実施形態では、上述のように、特別役よりも一般役を優先して入賞ラインに揃え、一般役が引き込めないときに特別役を入賞ラインに揃える制御を行うが、これに限られず、特別役を一般役よりも優先して入賞ラインに揃え、特別役が引き込めないときに一般役を入賞ラインに揃える制御にしても良い。
なお、本実施形態では、メイン制御部41は、各リール2L、2C、2Rが回転を開始してから、対応するストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されるまでリールを回転し続け、ストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出された際に、操作されたストップスイッチ8L、8C、8Rに対応するリール2L、2C、2Rの回転を停止するように制御する。なお、リール回転エラーの発生により一時的にリールの回転が停止した場合でも、その後リールの回転が再開した後は同様にストップスイッチ8L、8C、8Rの操作が検出されるまでリールを回転し続ける。
また、メイン制御部41は、所定時間の経過を条件に自動的にリールを停止させても良い。この場合、メイン制御部41は、いずれかの役に当選していた場合でも、いずれの役も入賞ラインに停止させないようにリールの停止を制御する。ただし、いずれかのリールを停止した際に、既に役の入賞が確定している場合は、そのまま入賞が発生することとなる。例えば、一部のリール(例えば左リール2L)に所定の図柄(例えばチェリー図柄)が停止するのみで入賞が確定するような役がある場合において、その一部のリール(例えば左リール2L)に所定の図柄(例えばチェリー図柄)が停止して役の入賞が確定したときには、その他のリール(例えば中リール2C及び右リール2R)を自動的に停止させればよい。
以上が、リール回転処理についての説明である。
次に、入賞判定処理について説明する。
メイン制御部41は、全てのリール2L、2C、2Rが停止して図10のステップSd4における入賞判定処理を実行すると、図14に示すように、現在のゲームの遊技状態を参照して役を読み出す(ステップSf1)。
次に、メイン制御部41は、リール2L、2C、2Rに導出されている表示結果が、読み出した役に応じた図柄の組み合わせであるか否かを判別する(ステップSf2)。すなわち、メイン制御部41は、「スイカ」に応じて表示結果がスイカ図柄の組み合わせであるか否か、「押し順ベル」に応じて表示結果がベル図柄の組み合わせである否か等、全ての役に対して判別を行う。
表示結果が読み出した役に応じた図柄の組み合わせである場合(ステップSf2;Yes)、メイン制御部41は、その役に応じた入賞フラグをRAM41bに設定する(ステップSf3)。なお、入賞フラグとは、入賞した役を示すフラグである。本実施形態では、図柄の組み合わせが同一であったとしても、同一の役の入賞が発生しているとは限らない。例えば、図柄の組み合わせが「ベル・ベル・ベル」であったとしても、斜めの入賞ラインL1、L4で揃っていれば入賞役はいずれかの押し順ベルとなり、中段の入賞ラインL3で揃っていれば入賞役は中段ベルとなる。従って、ここでは、図柄の組み合わせが押し順役に関連するものである場合、当選フラグと図柄が揃っている入賞ラインに応じて入賞役を区別する。
また、本実施形態では、押し順役が当選した場合、押し順に正解した場合の入賞と不正解だった場合の入賞は異なる。このため、同じ押し順ベルの入賞でも、押し順に正解した場合の入賞と、押し順に正解しなかった場合の入賞とを区別した入賞フラグを設定する。例えば、正解ベルが導出されると入賞フラグとして「押し順ベル1(正解)」が設定され、不正解ベルが導出されると入賞フラグとして「押し順ベル1(不正解)」が設定される。このため、入賞フラグからは、入賞役に加え、導出結果も特定することができる。
メイン制御部41は、RAM41bに設定されている入賞フラグを参照し、入賞フラグが複数種類のリプレイのうちいずれかであるか否かを判別し(ステップSf4)、入賞フラグがいずれかのリプレイである場合(ステップSf4;Yes)、現在の遊技状態と入賞したリプレイの種類に応じてRTフラグを設定する(ステップSf5)。例えば、現在の遊技状態が通常遊技状態であり、入賞したリプレイが昇格リプレイである場合、メイン制御部41はRTフラグを設定し、RT3状態に移行させる。
また、メイン制御部41は、入賞フラグがBB、RBのいずれかの特別役であるか否かを判別し(ステップSf6)、入賞フラグが特別役である場合(ステップSf6;Yes)、RAM41bに設定されている遊技状態フラグをボーナス状態に設定する(ステップSf7)。
メイン制御部41は、入賞フラグを基に入賞判定コマンドを生成し(ステップSf8)、コマンド格納処理を実行して(ステップSf9)サブ制御部91に入賞判定コマンドを送信し、ゲーム処理に復帰する。なお、メイン制御部41は、ステップSf2において役に応じた図柄の組み合わせが揃っていないと判別した場合(ステップSf2;No)、どの役も入賞していない、すなわちハズレであることを示す入賞判定コマンドを生成し、サブ制御部91に送信する。
入賞判定コマンドは、入賞フラグを基に生成されるため、図柄の組み合わせを特定可能なコマンドである。つまり、サブ制御部91は、入賞判定コマンドを基に導出結果を特定することができ、特定した導出結果に応じた処理を実行することができる。
以上が、入賞判定処理についての説明である。
次に、メイン制御部41がサブ制御部91に送信するコマンドについて説明する。
メイン制御部41は、ゲームの進行に伴い各種コマンドをサブ制御部91に送信する。本実施形態では、メイン制御部41は、予め決められた送信順序に従って各種コマンドを送信する。以下の説明では、ゲーム開始からゲーム終了までにメイン制御部41がサブ制御部91に送信するコマンドの種類及び順序の一例について説明する。
メイン制御部41は、ゲームが開始すると、図15に示すように第1RT情報コマンドを送信する。第1RT情報コマンドは、RT1〜4状態のうちいずれかの状態であるか否かを特定可能なコマンドである。サブ制御部91は、第1RT情報コマンドを受信することで、現在の遊技状態がRT1〜4状態のうちいずれかの状態であるか否かを判別することができ、遊技状態に応じた演出を実行することができる。
続いて、メイン制御部41は、内部抽選処理において内部当選コマンドを送信し、その後当選番号コマンドを送信する。内部当選コマンドは、上述の通り、当選した役をそれぞれフラグとして示す当選フラグに加え、ボーナスに当選している場合はボーナスの種類、さらにメイン制御部41で決定する演出の種類等の情報も含むコマンドである。一方、当選番号コマンドは、当選フラグそのものを示すコマンドである。
本実施形態では、内部当選コマンドと当選番号コマンドを基に内部抽選処理における当選フラグを特定するが、これに限られず、どちらか一方のみのコマンドを基に当選フラグを特定しても良い。
なお、上述の第1RTコマンド、内部当選コマンド、当選番号コマンドは、ゲーム開始時、すなわちスタートスイッチ7の操作検出時にメイン制御部41からサブ制御部91に送信される。
遊技者が全リール2L、2C、2Rを停止すると、メイン制御部41は、まず、第2RT情報コマンドをサブ制御部91に送信する。第2RT情報コマンドは、第1RT情報とは異なり、RT1〜4状態のうちいずれかの状態か否かに加え、内部中状態であるか否かも特定可能なコマンドである。サブ制御部91は、第2RT情報コマンドを受信することで、内部中状態に応じた演出を実行することができる。
続いて、メイン制御部41は、入賞判定処理において入賞判定コマンドをサブ制御部91に送信し、払出枚数コマンド、遊技終了コマンドをサブ制御部91に送信する。払出枚数コマンドは、入賞役に応じた払出枚数を特定可能なコマンドであり、遊技終了コマンドは、遊技の終了を示す情報を含むコマンドである。
このように、ゲーム開始からゲーム終了にかけてメイン制御部41はサブ制御部91に各種コマンドを送信する。メイン制御部41は、予め決められた送信順序で各種コマンドを送信するため、サブ制御部91はコマンドの受信順序を判別することで異常が発生しているか否かを判別することができる。本実施形態では、サブ制御部91はコマンドの受信順序が正しいか否かを判別し、異常が発生しているか否かを判別する。
以上が、メイン制御部41がサブ制御部91に送信するコマンドについての説明である。
次に、サブ制御部91が実行する処理について説明する。
上述で説明したように、サブ制御部91はメイン制御部41から受信した各種コマンドに従って演出制御を行う。サブ制御部91は、メイン制御部41から各種コマンドを受信すると、図16に示すようにコマンド受信割込処理を実行し、コマンド伝送ラインを介してコマンドを受信し(ステップSg1)、受信したコマンドをRAM91bの専用の領域に格納する(ステップSg2)。RAM91bには、最大で16個のコマンドを格納することができる領域が設けられており、サブ制御部91は、複数のコマンドをRAM91bに蓄積することができる。なお、RAM91bに格納することができるコマンド数は16個に限られず、可能な範囲内で拡張しても良い。
コマンド受信割込処理においてRAM91bに格納されたコマンドは、タイマ割込処理(サブ)で処理される。サブ制御部91は、タイマ割込処理(サブ)を開始すると、図17に示すように、RAM91bに未処理のコマンドが格納されているか否かを判別し(ステップSh1)、未処理のコマンドが格納されていない場合(ステップSh1;No)、処理を終了するが、未処理のコマンドが格納されている場合(ステップSh1;Yes)、最も古いコマンドに基づいて各演出装置を制御する。すなわち、サブ制御部91は、受信したコマンド順に各演出装置を制御する。
サブ制御部91は、復旧待ちフラグがオンであるか否かを判別し(ステップSh2)、復旧待ちフラグがオンである場合(ステップSh2;Yes)、コマンドが復帰コマンドであるか否かを判別する(ステップSh3)。サブ制御部91は、コマンドが復帰コマンドでない場合(ステップSh3;No)、処理を終了し、コマンドが復帰コマンドである場合(ステップSh3;Yes)、RAM91bに設定されている復旧待ちフラグをオフにし(ステップSh4)、処理を終了する。
復旧待ちフラグがオフである場合(ステップSh2;No)、サブ制御部91は、コマンドが当選フラグコマンドであるか否かを判別する(ステップSh5)。コマンドが当選フラグコマンドである場合(ステップSh5;Yes)、サブ制御部91は、RAM91bに記憶されている当選フラグと当選フラグコマンドから特定した当選フラグが一致しているか否かを判別する(ステップSh6)。
メイン制御部41は、起動処理(メイン)において電断復旧後にRAM41bに記憶されている当選フラグ、すなわち、電断時に記憶していた当選フラグをサブ制御部91に送信する。RAM91bに記憶されている当選フラグも、電断時に記憶していた当選フラグであるため、サブ制御部91は、ここでは電断時に遊技制御基板40側で記憶していた当選フラグと電断時に演出制御基板90側で記憶していた当選フラグとの比較を行う。この比較によって、サブ制御部91は異常を検出することができる。
サブ制御部91は、RAM91bに記憶されている当選フラグと当選フラグコマンドから特定した当選フラグが一致していると判別した場合(ステップSh6;Yes)、処理を終了し、一致していないと判別した場合(ステップSh6;No)、図18に示すように、その後のゲームにおける特典の付与を規制するためにRAM91bに設定されている規制フラグをオンにし(ステップSh23)、不正が行われている可能性があることを第三者に知らせるために報知処理を行い(ステップSh24)、処理を終了する。
なお、報知処理は、液晶表示器51上にエラーメッセージを表示させる処理や、スピーカ53、54を介して警報を鳴らす処理等任意である。報知処理は、メダルの投入検知時やMAXBETスイッチ6の操作検出時等を契機に終了しても良く、所定の時間経過するまで継続しても良い。また、サブ制御部91は、規制フラグをオンにする際、RAM91bに記憶している当選フラグ、入賞フラグ、入賞履歴をそれぞれクリアしても良い。ここで、特典とは、遊技者に直接的に遊技用価値の付与を有利にする特典と、遊技者に直接的に遊技用価値の付与に有利にするものではない特典と、を含む。
サブ制御部91は、コマンドが当選フラグコマンドではなかった場合(ステップSh5;No)、図18に示すように、受信したコマンドが正しい順序で送信されているか否かを判別する(ステップSh7)。本実施形態では、サブ制御部91はタイマ割込処理(サブ)実行時にコマンドの受信順序についての判別を行うが、コマンド受信時に発生するコマンド受信割込処理実行時に受信順序についての判別を行っても良い。この場合も同様に、受信順序が予め決められた送信順序と異なる場合は特典の付与を規制する。
受信したコマンドが正しい順序で送信されていない場合(ステップSh7;No)、サブ制御部91は、その後のゲームにおける特典の付与を規制するためにRAM91bに設定されている規制フラグをオンにし(ステップSh23)、不正が行われている可能性があることを第三者に知らせるために報知処理を行い(ステップSh24)、処理を終了する。
受信したコマンドが正しい順序で送信されている場合(ステップSh7;Yes)、サブ制御部91は、コマンドが内部当選コマンドであるか否かを判別する(ステップSh8)。
コマンドが内部当選コマンドである場合(ステップSh8;Yes)、サブ制御部91は、当選フラグをRAM91bに記憶し(ステップSh9)、当選フラグを基にROM91cに記憶されている演出パターンを選択する(ステップSh10)。演出パターンは、内部当選コマンドを受信した際に、内部抽選の結果、すなわち当選フラグに応じた選択率で選択され、RAM91bに設定される。演出パターンの選択率は、ROM91cに格納された演出テーブルに登録されており、サブ制御部91は、内部当選コマンドを受信した際に、当選フラグに応じて演出テーブルから選択率を参照し、その選択率に応じて演出パターンを選択し、選択した演出パターンをRAM91bに設定する。なお、サブ制御部91は、連続演出中等、既に演出パターンがRAM91bに設定されている場合は、新たに演出パターンを選択することなく、その演出パターンに従って処理を進める。
次にサブ制御部91は、ROM91cに記憶されている制御パターンテーブルを参照して制御パターンを取得し、取得した制御パターンをRAM91bに設定する(ステップSh11)。制御パターンテーブルには、複数種類の演出パターン毎に、コマンドの種類に対応する各種パターンが登録されている。演出パターンは、例えば、液晶表示器51の表示パターンや演出効果LED52の点灯態様等である。この制御パターンテーブルに従って、サブ制御部91は遊技の進行状況に応じた演出の制御を実行する。
なお、サブ制御部91は、コマンドの受信を契機とした演出の制御を実行中に、新たなコマンドを受信した場合、実行中の演出の制御を中止し、新たに受信したコマンドに対応する演出の制御を実行する。すなわち、演出の制御が完了していなくても、その演出をキャンセルして新たなコマンドに基づく演出の制御を実行することができる。例えば、液晶表示器51にコマンドに基づく演出が表示されている場合でも、演出が完了する前に遊技者がゲームを開始すれば、その演出はキャンセルされることとなる。
MAXBETスイッチ6の操作時に受信するBETコマンドや、スタートスイッチ7の操作時に受信する内部当選コマンド等、遊技者がゲームを開始する際に必須となる操作に伴うコマンドに応じて実行中の演出の制御を中止するようにしても良い。このような構成にすることで、遊技者が次のゲームを迅速に開始したいとき等、煩わしい思いをさせることがなくなる。また、特定の演出に限り、いずれのコマンドを受信した場合でも演出の制御を継続する構成を採用しても良い。この場合、上述の特定の演出が発生すると遊技者に期待感を持たせることができる。
そして、サブ制御部91は、演出パターンに従って演出の制御を実行し(ステップSh12)、処理を終了する。上述のように、演出パターンは選択率に従って選択されるため、同じ内部抽選の結果である同じ内部当選コマンドを受信したとしても、演出パターンが同一になるとは限らない。
また、サブ制御部91は、ステップSh8においてコマンドが内部当選コマンドではないと判別した場合(ステップSh8;No)、コマンドが入賞判定コマンドであるか否か判別する(ステップSh13)。
コマンドが入賞判定コマンドである場合(ステップSh13;Yes)、サブ制御部91は、入賞判定コマンドから導出結果を特定し、特定した導出結果がRAM91bに記憶されている当選フラグに応じて導出可能なものであるか否かを判別する(ステップSh14)。例えば、当選フラグが「通常リプレイ」が当選したことを示すフラグである場合、「通常リプレイ」に対応する導出結果は、「リプレイ・リプレイ・リプレイ」である。仮に入賞判定コマンドから特定した導出結果が「ベル・ベル・ベル」や外れ等である場合、サブ制御部91は、導出結果が当選フラグに応じて導出可能なものではないと判別する。
なお、本実施形態では、サブ制御部91は、ステップSh9で当選フラグをRAM91bに記憶すると、ステップSh14の判別が行われるまで当選フラグを更新しない。
特定した導出結果がRAM91bに記憶されている当選フラグに応じて導出可能なものではない場合(ステップSh14;No)、サブ制御部91は、その後のゲームにおける特典の付与を規制するためにRAM91bに設定されている規制フラグをオンにし(ステップSh23)、不正が行われている可能性があることを第三者に知らせるために報知処理を行い(ステップSh24)、処理を終了する。
特定した導出結果がRAM91bに記憶されている当選フラグに応じて導出可能なものである場合(ステップSh14;Yes)、サブ制御部91は、RAM91bに設定されている規制フラグがオフであるか否かを判別する(ステップSh15)。規制フラグがオンである場合(ステップSh15;No)、サブ制御部91は、処理を終了する。
規制フラグがオフである場合(ステップSh15;Yes)、サブ制御部91は、入賞判定コマンドから特定した導出結果の履歴を記憶する(ステップSh16)。なお、記憶する履歴の個数はAT抽選に支障がない範囲内で任意に設定することが可能である。本実施形態では、中リール中段2Cmにベルが停止する表示結果が3ゲーム連続で導出された場合にAT抽選を行うため、記憶可能な履歴の個数は少なくとも3以上あれば良い。
次に、サブ制御部91は、履歴が特定条件を満たしているか否かを判別する(ステップSh17)。本実施形態では、特定条件は「中リール中段2Cmにベルが停止する表示結果が3ゲーム連続で導出」である。
サブ制御部91は、履歴が特定条件を満たしている場合(ステップSh17;Yes)、特典付与処理を実行し(Sh18)、処理を終了する。履歴が特定条件を満たしていない場合は(ステップSh17;No)、サブ制御部91は特典を付与せずに処理を終了する。
ステップSh13において、コマンドが入賞判定コマンドではない場合(ステップSh13;No)、サブ制御部91は、コマンドが遊技終了コマンドであるか否かを判別する(ステップSh19)。コマンドが遊技終了コマンドではない場合(ステップSh19;No)、サブ制御部91は、コマンドに対応する処理を実行して(ステップSh22)、処理を終了する。
コマンドが遊技終了コマンドである場合(ステップSh19;Yes)、サブ制御部91は、規制フラグがオンであり、かつ、所定ゲーム数経過したか否かを判別する(ステップSh20)。
規制フラグがオフであるか、または所定ゲーム数経過していない場合(ステップSh20;No)、サブ制御部91は処理を終了する。規制フラグがオンであり、かつ所定ゲーム数経過した場合(ステップSh20;Yes)、サブ制御部91は、RAM91bに設定されている規制フラグをオフにし(ステップSh21)、処理を終了する。なお、本実施形態では、規制フラグは2ゲーム間有効であり、所定ゲーム数は2であるものとする。
このように、サブ制御部91は、電断後に受信した当選フラグコマンドから特定した当選フラグと電断復旧後にRAM91bに設定されている当選フラグが一致しない場合、コマンドの受信順序が異常である場合、さらに入賞判定コマンドから特定した導出結果が記憶している当選フラグに応じて導出可能なものではない場合に、規制フラグをオンにする。規制フラグをオンにすると、ステップSh16〜18において導出結果の履歴に基づく特典付与処理が実行されない。このため、所定のゲーム数が経過して規制フラグがオフにされるまでのゲームにおいては、特典の付与が規制されることとなる。
以上が、サブ制御部91が実行する処理についての説明である。
次に、遊技者によって行われる可能性のある不正行為について説明する。
本実施形態では、サブ制御部91は、内部当選コマンド受信時だけでなく、入賞履歴が特定条件を満たした場合でもAT抽選処理を行う。入賞履歴とは、遊技者が全てのリール2L、2C、2Rを停止した後にメイン制御部41の入賞判定処理によって判別された入賞した役の履歴である。本実施形態では、特定条件は「3ゲーム連続で中リール中段2Cmにベル図柄が停止して入賞が発生」とする。すなわち、特定条件は、導出結果が3ゲーム連続で正解ベルまたは中段ベルであったこと、とも言える。このため、遊技者は、押し順ベルが3ゲーム連続で当選し、かつ3ゲーム連続で押し順を正解すれば、AT抽選を受けることができる。
サブ制御部91は、AT状態において入賞履歴が特定条件を満たすと、AT状態の残りゲーム数の上乗せ、AT状態のストック数の上乗せ等、遊技者にとってより有利な特典の付与の抽選を行う。例えば、AT状態の残りゲーム数を上乗せする場合、サブ制御部91は、特定条件を満たすと50%の確率でAT状態の残りゲーム数を30ゲーム上乗せする。また、AT状態のストック数を上乗せする場合、サブ制御部91は、特定条件を満たすと80%の確率でAT状態のストック数を1つ上乗せする。ここで、ストック数とは、AT状態へ移行することを許容する回数である。すなわち、AT状態であるゲームにおいてストック数が1の場合、そのAT状態が終了しても、ストック数が1であるために再度AT状態へと移行する。
このように、サブ制御部91は入賞履歴に基づいてAT抽選を行う。このため、遊技者がサブ制御部91に入賞履歴を誤認させることで、不正確な入賞履歴を基にサブ制御部91がAT抽選を行い、AT状態を上乗せする可能性がある。以下の説明では、従来のスロットマシンにおいて、このように遊技者が不正を行う状況を説明する。
例えば、図19に示すように、このゲーム開始前のサブ制御部91が記憶している入賞履歴が「通常リプレイ−正解ベル」であるとする。遊技者がスタートスイッチ7を操作してゲームが開始され内部抽選処理において押し順ベル1が当選し場合、押し順ベル1の正解の押し順は左、中、右、であるため、遊技者がストップスイッチ8L、8C、8Rを左、中の順番で操作すると図示するように中リール中段2Cmにベルが停止する表示結果が導出される。この時点で遊技者は、内部抽選処理において押し順ベル1が当選し、押し順を正解したと判断することができる。
遊技者が全てのリール2L、2C、2Rを停止すると、斜めの入賞ラインL1で「ベル・ベル・ベル」が揃い入賞が発生する。正解ベルが揃い入賞が発生すると、サブ制御部91に入賞履歴として正解ベルが記憶され、入賞履歴は「通常リプレイ−正解ベル−正解ベル」となる。
次のゲームにおいて、遊技者がスタートスイッチ7を操作することでゲームが開始され、遊技者がリール2L、2Cを停止した時点でリプレイ図柄が並ぶ表示結果であったとする。この場合、遊技者は、リプレイ図柄が並ぶ表示結果から、このゲームにおいて通常リプレイ、昇格リプレイまたは突入リプレイが当選していると判断することができる。
ここで、遊技者が任意の方法で遊技制御基板40と演出制御基板90との通信を遮断すると、右リール2R停止後に入賞が発生しても、メイン制御部41からサブ制御部91に送信する入賞判定コマンドがサブ制御部91で受信できない。このため、入賞履歴は更新されず、前回のゲーム終了時の入賞履歴(通常リプレイ−正解ベル−正解ベル)のままとなる。
次のゲーム開始後、遊技者がストップスイッチ8L、8C、8Rを左、中の順番で操作するとベル図柄が中リール中段2Cmに停止するような表示結果であったとする。この場合、遊技者は既に中リール中段2Cmにベルが停止しているため、押し順ベルが当選し、押し順を正解していると判断することができる。遊技者は、これと同時に任意の方法で遊技制御基板40と演出制御基板90間の通信を復帰させ、その後に右リール2Rを操作することで入賞を発生させると、サブ制御部91によって入賞履歴が更新され、入賞履歴は「通常リプレイ−正解ベル−正解ベル−正解ベル」となってしまう。
このような状況になると、実質的な入賞履歴は「通常リプレイ−正解ベル−正解ベル−通常リプレイ−正解ベル」であるにも関わらず、メイン制御部41とサブ制御部91との通信が遮断されることにより、サブ制御部91は入賞履歴が「通常リプレイ−正解ベル−正解ベル−正解ベル」であると誤認し、正解ベルが揃う入賞の発生が3ゲーム連続で発生したことに伴ってAT抽選処理を行い、不正確な入賞履歴を基に遊技者に特典を付与してしまうことになり得る。
なお、遊技制御基板40と演出制御基板90間の通信の遮断、復帰方法は、例えば、遊技者または従業員が遊技制御基板40と演出制御基板90を接続するコネクタの抜き差しを行う方法や、遊技者が遊技制御基板40と演出制御基板90を接続する配線に所謂「ぶら下げ基板」を接続し、不正に信号を制御する方法等である。
以上が、遊技者によって実施される可能性のある不正行為の説明である。
本実施形態では、上述のような問題を防止するため、サブ制御部91は、図18に示すように内部当選コマンドから特定した当選フラグと入賞判定コマンドから特定した導出結果とを比較し、導出結果が当選フラグに応じて導出可能なものであるか否かを判別し、導出可能なものではない場合、特典の付与を規制する。このように制御することで、遊技者の不正を防止することができ、正確に特典を付与することができる。以下、具体的な不正の防止方法について図18及び図20を参照して説明する。
あるゲーム開始前にサブ制御部91が記憶している入賞履歴が「通常リプレイ−正解ベル」であるとする。遊技者がスタートスイッチ7を操作してゲームが開始され、メイン制御部41の内部抽選処理によって押し順ベル1が当選すると、図20に示すように、RAM41bには当選フラグとして押し順ベル1に対応するフラグが設定される。このとき、メイン制御部41は内部当選コマンドをサブ制御部91に送信し、サブ制御部91のRAM91bには当選フラグとして押し順ベル1に対応するフラグ設定される(図18、ステップSh9)。
遊技者が全てのリール2L、2C、2Rを左、中、右の順で停止操作すると、斜めの入賞ラインL1で「ベル・ベル・ベル」が揃い正解ベルが導出されて入賞が発生する。入賞が発生すると、メイン制御部41は、導出結果が正解ベルであることを特定可能な入賞判定コマンドをサブ制御部91に送信し、サブ制御部91は、入賞判定コマンドから導出結果が正解ベルであることを特定する。
ここで、サブ制御部91は、受信した入賞判定コマンドから特定した導出結果と、RAM91bに記憶している当選フラグを比較し、導出結果が当選フラグに応じて導出可能なものであるか否かを判別する(図18、ステップSh14)。この場合、当選フラグは押し順ベル1に対応するフラグであり、入賞判定コマンドから特定可能な導出結果は正解ベルであるため、サブ制御部91は正常であると判別し(図18、ステップSh14;Yes)、入賞履歴として正解ベルを記憶し(図18、ステップSh16)、入賞履歴は「通常リプレイ−正解ベル−正解ベル」となる。なお、このとき規制フラグはオフであるものとする。
次のゲームにおいて、遊技者がスタートスイッチ7を操作することでゲームが開始され、メイン制御部41の内部抽選処理によって通常リプレイが当選すると、前ゲームと同様に、RAM41bとRAM91bには当選フラグとして通常リプレイに対応するフラグが設定される(図18、ステップSh9)。
ここで、遊技者がリール2L、2Cを停止した時点で、図20に示すようにリプレイ図柄が並ぶ表示結果であったとする。この場合、遊技者は表示結果から通常リプレイ、昇格リプレイまたは突入リプレイが当選していると判断することができる。このとき、遊技者が任意の方法で遊技制御基板40と演出制御基板90との通信を遮断すると、右リール2R停止後に通常リプレイの入賞が発生しても、サブ制御部91はメイン制御部41から送信される入賞判定コマンドを受信することができない。このため、サブ制御部91は導出結果と当選フラグとの比較を行わず、入賞履歴は更新されない。
次のゲームにおいて、遊技者がスタートスイッチ7を操作することでゲームが開始され、メイン制御部41の内部抽選処理によって押し順ベル1が当選すると、RAM41bには押し順ベル1に対応する当選フラグが設定される。このとき、遊技制御基板40と演出制御基板90間の通信は遮断されている状態が継続しているため、サブ制御部91は内部当選コマンドを受信することができず、RAM91bに設定される当選フラグは前ゲームの通常リプレイに対応するフラグのままとなる。
次のゲーム開始後、遊技者がストップスイッチ8L、8C、8Rを左、中の順番で操作してベル図柄が中リール中段2Cmに停止するような表示結果であったとする。この場合、遊技者は既に中リール中段2Cmにベルが停止しているため、押し順ベルが当選し、さらに押し順を正解していると判断することができる。遊技者は、これと同時に遊技制御基板40と演出制御基板90間の通信を復帰させ、その後に右リール2Rを操作することで入賞を発生させると、遊技制御基板40と演出制御基板90間の通信は復帰しているため、サブ制御部91はメイン制御部41から送信された導出結果が正解ベルであることを特定可能な入賞判定コマンドを受信することができる。
そして、サブ制御部91は入賞判定コマンドを受信すると、導出結果として正解ベルを特定する。このとき、サブ制御部91は当選フラグと導出の比較を行う(図18、ステップSh14)が、ここでは当選フラグは通常リプレイに対応するフラグであり、入賞判定コマンドから特定可能な導出結果は正解ベルである。正解ベルは、通常リプレイに応じて導出可能なものではないため、サブ制御部91は異常であると判別し(図18、ステップSh14;No)、規制フラグをオンにし(図18、ステップSh23)、報知処理を実行して(図18、ステップSh24)特典の付与を規制する。規制フラグは所定ゲーム数継続して設定されるため、遊技者はその後の数ゲーム間は特典を授与することができない(図18、ステップSh15)。
このように、本実施形態ではサブ制御部91が入賞判定コマンドから特定可能な導出結果が当選フラグに応じて導出可能なものであるか否かを判別するため、不正を防止することができ、正確に特典を付与することができる。
以上説明したように、本実施形態に係るスロットマシン1によれば、入賞判定コマンドから特定した導出結果が内部当選コマンドから特定した当選フラグに応じて導出可能なものではない場合、特典の付与を規制することができる。ここで、例えば遊技者によって遊技制御基板40と演出制御基板90の通信が遮断された場合、遊技制御基板40と演出制御基板90は単方向通信であるため、サブ制御部91は正確な履歴を記憶することができず、不正確な履歴を基に特定条件を満たしていると判別して特典を付与する可能性がある。すなわち、この場合、遊技制御基板40と演出制御基板90の通信を遮断するという遊技者の不正行為によって、不正に遊技者に特典を付与することとなる。しかしながら、メイン制御部41は、内部抽選処理における当選フラグが特定可能な内部当選コマンドと導出結果を特定可能な入賞判定コマンドをサブ制御部91に送信し、サブ制御部91によって入賞判定コマンドから特定した導出結果が内部当選コマンドから特定した当選フラグに応じて導出可能なものであるか否かの判別が行われる。このため、仮に遊技制御基板40と演出制御基板90の通信が遮断されて不正行為が行われても、サブ制御部91によって入賞判定コマンドから特定した導出結果が内部当選コマンドから特定した当選フラグに応じて導出可能なものではないと判別されると、サブ制御部91は特典を付与することなく、不正行為によるペナルティとして特典の付与を規制することができる。従って、不正による特典の付与を防止することができ、正確に特典を付与することができる。
なお、特典とは、AT状態の継続率引き上げやAT状態のストック数上乗せといったより有利なAT状態の付与、AT状態に移行しやすい状態の付与、有利RTへの移行の許容等、遊技者に直接的に遊技用価値の付与を有利にする特典と、設定示唆演出の実行、演出種類の増加、プレミアム演出が出現しやすい状態への移行、遊技者に携帯端末の壁紙や音楽を付与するための二次元コードの表示等、遊技者に直接的に遊技用価値の付与を有利にするものではない特典と、を含む。
また、サブ制御部91によって入賞判定コマンドから特定した導出結果がRAM91bに記憶されている当選フラグに応じて導出可能なものではないと判別された場合、当該判別の対象となったゲーム以降のゲームについても、特典の付与を規制することができ、より一層不正を防止することができる。
また、電力供給開始後にメイン制御部41から受信した当選フラグコマンドから特定した当選フラグと、電力供給開始後にRAM91bに記憶されている当選フラグとを比較し、一致していない場合は特典の付与を規制することができる。このため、不慮の電断が発生しても、サブ制御部91は正確な情報を把握することができ、不正の可能性がある場合は特典の付与を規制することができる。
また、サブ制御部91によってメイン制御部41から送信されたコマンドの受信順序が正しいか否か判別し、コマンドの受信順序が異常である場合には特典の付与を規制することができるため、不正を防止し、正確に特典を付与することができる。
また、特典の付与を規制した場合にその旨が報知されるため、不正が行われている可能性があることを第三者に報知することができる。
本発明は、上記実施の形態に限定されず、様々な変形及び応用が可能である。以下、本発明に適用可能な上記実施形態の変形例について説明する。
上記実施形態では、サブ制御部91が内部当選コマンドから特定した当選フラグを記憶し、入賞判定コマンドから特定した導出結果を当選フラグと比較する構成について説明したが、これに限られず、毎ゲーム開始時及び終了時に更新される遊技カウンタ(0〜127)を基に不正を防止する構成を採用しても良い。
この構成を採用する場合、メイン制御部41は、内部当選コマンドを送信すると共に更新した第1遊技カウンタをサブ制御部91に更新し、入賞判定コマンドを送信すると共に更新した第2遊技カウンタをサブ制御部91に送信する。このように制御することで、ゲーム終了時、サブ制御部91は第1遊技カウンタと第2遊技カウンタの値を比較し、両値が異なる場合に異常であると判別することができる。また、サブ制御部91は、ゲーム開始時に第1遊技カウンタと第2遊技カウンタの値を比較し、両値が連続した値でない場合に異常であると判別することができる。
例えば、図20に示すようにゲームが進行した場合、最初のゲームにおいてサブ制御部91が受信する第1遊技カウンタと第2遊技カウンタの値をN(0以上127以下)とすると、次のゲームにおいてサブ制御部91が受信する第1遊技カウンタの値はN+1となるが、第2遊技カウンタは遊技制御基板40と演出制御基板90との通信が遮断されているために受信できず、Nのままとなる。そして、次のゲームにおいてサブ制御部91は、ゲーム開始時には通信が遮断されているために第1遊技カウンタを受信できず、第1遊技カウンタの値はN+1のままであり、ゲーム終了時には通信が復帰しているために第2遊技カウンタの値はN+2となる。このゲーム終了時における第1遊技カウンタと第2遊技カウンタの値は異なるため、サブ制御部91は異常が発生したと判別し、特典の付与を規制する。
このように、内部当選コマンドと共に送信する第1遊技カウンタと入賞判定コマンドと共に送信する第2遊技カウンタを使用した場合でも、不正を防止することができ、正確に特典を付与することができる。
上記実施形態では、図19、20に示すように、遊技者がある程度リール2L、2C、2Rを停止して入賞役を判断した場合に不正を防止する構成について説明したが、これに限られず、本実施形態に係るスロットマシン1は、ゲーム開始時に入賞役を判断できる場合であっても、不正も防止することができる。以下、この場合の構成について説明する。
図21に示すように、遊技状態がAT状態であるゲームにおいて、サブ制御部91が記憶している入賞履歴が「通常リプレイ−正解ベル」であるとする。遊技者がスタートスイッチ7を操作してゲームが開始され、内部抽選処理において押し順ベル4が当選すると、サブ制御部91によって液晶表示器51上でベルを表示し、押し順を報知するナビ演出510が実行される。
遊技者は、液晶表示器51上でナビ演出510が実行されると、ストップスイッチ8L、8C、8Rを操作する前に、報知されている押し順通りにストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すれば正解ベルが導出されて入賞が発生すると判断することができる。このため、遊技者は報知された押し順通りにストップスイッチ8L、8C、8Rを操作し、正解ベルを入賞させる。このとき、入賞履歴として「通常リプレイ−正解ベル−正解ベル」が記憶される。
次のゲームにおいて、遊技者がスタートスイッチ7を操作することでゲームが開始され、液晶表示器51上にリプレイが当選していることを示唆する示唆演出511が実行されると、遊技者はストップスイッチ8L、8C、8Rを操作する前に、いずれかのリプレイが入賞すると判断することができる。ここで、遊技者が任意の方法で遊技制御基板40と演出制御基板90との通信を遮断すると、全リール2L、2C、2R停止後に通常リプレイの入賞が発生しても、サブ制御部91はメイン制御部41から送信される入賞判定コマンドを受信することができない。このため、サブ制御部91は入賞判定コマンドを受信することができず、入賞履歴は更新されず、前回のゲーム終了時の入賞履歴(通常リプレイ−正解ベル−正解ベル)のままとなる。
遊技者が次のゲーム開始前に任意の方法で遊技制御基板40と演出制御基板90間の通信を復帰させた後にスタートスイッチ7を操作することでゲームが開始され、メイン制御部41の内部抽選処理において押し順ベル3が当選し、押し順を報知するナビ演出510が実行されると、遊技者は、報知されている押し順通りにストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すれば正解ベルが導出されて入賞が発生すると判断することができる。遊技者が報知された押し順通りに全リール2L、2C、2Rを停止操作することで正解ベルを導出させて入賞を発生させると、サブ制御部91によって入賞履歴が更新され、入賞履歴は「通常リプレイ−正解ベル−正解ベル−正解ベル」となってしまう。
このような状況になると、実質的な入賞履歴は「通常リプレイ−正解ベル−正解ベル−通常リプレイ−正解ベル」であるにも関わらず、メイン制御部41とサブ制御部91との通信が遮断されることにより、サブ制御部91は入賞履歴が「通常リプレイ−正解ベル−正解ベル−正解ベル」であると誤認し、正解ベルが揃う入賞の発生が3ゲーム連続で発生したことに伴ってAT抽選処理を行うこととなる。
すなわち、遊技者は、入賞役を判断することができるタイミングに関わらず、遊技制御基板40と演出制御基板90との通信を遮断することで不正を行える可能性がある。このような場合においても、上記実施形態で説明した制御を実行することで、不正を防止し、正確に特典を付与することができる。以下、この場合の構成について図18及び図22を参照して説明する。
あるゲーム開始前にサブ制御部91が記憶している入賞履歴が「通常リプレイ−正解ベル」であるとする。遊技者がスタートスイッチ7を操作してゲームが開始され、メイン制御部41の内部抽選処理によって押し順ベル4が当選すると、図22に示すように、RAM41bには当選フラグとして押し順ベル4に対応するフラグが設定され、サブ制御部91によって液晶表示器51上でナビ演出510が実行される。このとき、メイン制御部41は内部当選コマンドをサブ制御部91に送信し、サブ制御部91のRAM91bには当選フラグとして押し順ベル4に対応するフラグ設定される(図18、ステップSh9)。
遊技者が全てのリール2L、2C、2Rをナビ演出510に従って右、左、中の順で停止操作すると、斜めの入賞ラインL1で「ベル・ベル・ベル」が揃い正解ベルが導出されて入賞が発生する。入賞が発生すると、メイン制御部41は、導出結果が正解ベルであることを特定可能な入賞判定コマンドをサブ制御部91に送信し、サブ制御部91は、入賞判定コマンドから導出結果が正解ベルであることを特定する。
ここで、サブ制御部91は、受信した入賞判定コマンドから特定した導出結果と、RAM91bに記憶している当選フラグを比較し、導出結果が当選フラグに応じて導出可能なものであるか否かを判別する(図18、ステップSh14)。この場合、当選フラグは押し順ベル1に対応するフラグであり、入賞判定コマンドから特定可能な導出結果は正解ベルであるため、サブ制御部91は正常であると判別し(図18、ステップSh14;Yes)、入賞履歴として正解ベルを記憶し(図18、ステップSh16)、入賞履歴は「通常リプレイ−正解ベル−正解ベル」となる。なお、このとき規制フラグはオフであるものとする。
次のゲームにおいて、遊技者がスタートスイッチ7を操作することでゲームが開始され、メイン制御部41の内部抽選処理によって通常リプレイが当選すると、前ゲームと同様に、RAM41bとRAM91bには当選フラグとして通常リプレイに対応するフラグが設定され(図18、ステップSh9)、サブ制御部91によって液晶表示器51上で示唆演出511が実行される。
ここで、遊技者は示唆演出511が実行されることで、通常リプレイ、昇格リプレイまたは突入リプレイが当選していると判断することができる。このとき、遊技者が任意の方法で遊技制御基板40と演出制御基板90との通信を遮断すると、全リール2L、2C、2R停止後に通常リプレイの入賞が発生しても、サブ制御部91はメイン制御部41から送信される入賞判定コマンドを受信することができない。このため、サブ制御部91は導出結果と当選フラグとの比較を行わず、入賞履歴は更新されない。
遊技者が次のゲーム開始前に任意の方法で遊技制御基板40と演出制御基板90間の通信を復帰させた後にスタートスイッチ7を操作することでゲームが開始され、メイン制御部41の内部抽選処理によって押し順ベル3が当選すると、RAM41bには押し順ベル3に対応する当選フラグが設定され、サブ制御部91によって液晶表示器51上でナビ演出510が実行される。このとき、サブ制御部91は押し順ベル3に対応する当選フラグを特定可能な内部当選コマンドを受信するが、前ゲームにおいてRAM91bに記憶した当選フラグの比較が行われていないため、当選フラグは上書きされず、当選フラグは前ゲームの通常リプレイに対応するフラグのままとなる。
ゲーム開始後、遊技者はナビ演出510が実行されることで、報知された押し順通りにストップスイッチ8L、8C、8Rを操作すれば正解ベルが導出されて入賞が発生すると判断することができる。遊技者が全リール2L、2C、2Rを操作することで入賞を発生させると、サブ制御部91はメイン制御部41から送信された導出結果が正解ベルであることを特定可能な入賞判定コマンドを受信する。
そして、サブ制御部91は入賞判定コマンドを受信すると、導出結果として正解ベルを特定する。このとき、サブ制御部91は当選フラグと導出の比較を行う(図18、ステップSh14)が、ここでは当選フラグは通常リプレイに対応するフラグであり、入賞判定コマンドから特定可能な導出結果は正解ベルである。正解ベルは、通常リプレイに応じて導出可能なものではないため、サブ制御部91は異常であると判別し(図18、ステップSh14;No)、規制フラグをオンにし(図18、ステップSh23)、報知処理を実行して図18、ステップSh24)特典の付与の規制を行う。規制フラグは所定ゲーム数継続して設定されるため、遊技者はその後の数ゲーム間は特典を授与することができない(図18、ステップSh15)。
このように、本実施形態では、遊技者が入賞役を判断することができるタイミングに関わらず、サブ制御部91が入賞判定コマンドから特定可能な導出結果が当選フラグに応じて導出可能なものであるか否かを判別するため、不正を防止することができ、正確に特典を付与することができる。
また、上述のように第1遊技カウンタと第2遊技カウンタを用いた場合であっても、不正を防止することができ、正確に特典を付与することができる。以下、この構成を採用した場合について説明する。
最初のゲームにおいてサブ制御部91が受信する第1遊技カウンタと第2遊技カウンタの値をN(0以上127以下)とすると、次のゲームにおいてサブ制御部91が受信する第1遊技カウンタの値はN+1となり、第2遊技カウンタは遊技制御基板40と演出制御基板90との通信が遮断されているために受信できず、Nのままとなる。そして、次のゲームにおいてサブ制御部91は、ゲーム開始時には通信が復帰しているために第1遊技カウンタを受信することができ、値はN+2に更新される。このとき、前ゲームにおける第2遊技カウンタの値Nと、現在の第1遊技カウンタの値N+2とは連続した値ではないため、サブ制御部91は異常と判別し、特典の付与を規制する。このように、第1遊技カウンタと第2遊技カウンタを用いた場合であっても、不正を防止することができ、正確に特典を付与することができる。
上記実施形態では、3ゲーム連続で押し順ベルの押し順が正解した場合にサブ制御部91がAT抽選処理を行う構成について説明したが、これに限られず、AT抽選処理を行う契機は任意である。例えば、SBの3ゲーム連続当選や、リプレイ10ゲーム連続入賞等を契機にしても良い。この場合においても、サブ制御部91によって導出結果が当選フラグに応じて導出可能なものであるか否かを判別することで、不正を防止し、正確に特典を付与することができる。
また、上記実施形態では、役の構成に押し順役を含めてAT状態を有利遊技状態として制御する構成について説明したが、これに限られず、左リール2Lの数種類の図柄のうちいずれかを選択することで役が揃う選択ベルを含める構成にしても良い。この構成を採用する場合、例えば、「黒7・ベル・ベル」が揃うことで入賞が発生する黒ベル、「網7・ベル・ベル」が揃うことで入賞が発生する網ベル、「白7・ベル・ベル」が揃うことで入賞が発生する白ベルを役の構成に含め、サブ制御部91は、AT状態では黒7、網7、白7のいずれかを遊技者に報知することで黒ベル、網ベル、白ベルのいずれかが当選していることを遊技者に示唆すれば良い。
上記実施形態では、サブ制御部91が入賞判定コマンド受信時に、入賞判定コマンドから特定した導出結果がRAM91bに記憶している当選フラグに応じて導出可能なものであるか否かを判別する構成について説明したが、これに限られず、内部当選コマンド受信時に判別する構成を採用しても良い。この構成を採用する場合、サブ制御部91は、内部当選コマンドを受信すると、RAM91bに内部当選コマンドから特定した当選フラグを記憶する前に、前ゲームにおける導出結果がRAM91bに記憶している当選フラグに応じて導出可能なものであるか否かを判別する。すなわち、上記実施形態では全リール2L、2C、2R停止後にそのゲームについてサブ制御部91による判別が行われる構成について説明したが、ゲーム開始時に前ゲームについてサブ制御部91による判別が行われる構成であっても良い。
上記実施形態では、AT状態を規定し、有利遊技状態に制御できるスロットマシンについて説明したが、これに限られず、AT状態を規定せず、AT状態に移行しないスロットマシンであっても良い。この場合、ボーナス状態に制御可能なスロットマシンであれば良い。つまり、AT、RTを搭載せず、ボーナスのみ搭載するスロットマシンであっても、本発明を適用することができる。この構成を採用する場合、上記実施形態で説明した特典を「ボーナス状態への移行」、すなわち、押し順ベル3ゲーム連続正解で特別役の抽選を行えば良い。
また、上記実施形態では、遊技制御基盤40がメイン制御部41を備え、演出制御基盤90がサブ制御部91を備える構成について説明したが、これに限られず、同一基盤がメイン制御部41とサブ制御部91とを備えていても良い。この構成を採用することで、メイン制御部41とサブ制御部91との通信が容易になり、また、筐体1aの体積を軽減することができる。
また、スロットマシン1は、上記実施の形態で示した全ての技術的特徴を備えるものでなくてもよく、従来技術における課題を解決できるように、上記実施形態で説明した一部の構成を備えたものであってもよい。例えば、液晶表示器51や演出用スイッチ53等はゲーム性を向上するために備える要素であり、必ずしも備えている必要はない。
また、上記実施形態におけるスロットマシン1では、遊技用価値としてメダル並びにクレジットを用いて賭数が設定されるものとして説明したが、本願請求項1に係る発明のスロットマシンはこれに限定されるものではなく、遊技用価値として遊技球を用いて賭数を設定するスロットマシンや、遊技用価値としてクレジットのみを使用して賭数を設定する完全クレジット式のスロットマシンであっても良い。遊技球を遊技媒体として用いる場合は、例えば、メダル1枚分を遊技球5個分に対応させることができ、上記実施形態で賭数として3を設定する場合は、15個の遊技球を用いて賭数を設定するものに相当する。
さらに、本発明のスロットマシンは、メダル及び遊技球等の複数種類の遊技用価値のうちのいずれか一種類のみを用いるものに限定されるものではなく、例えばメダル及び遊技球等の複数種類の遊技用価値を併用できるものであってもよい。すなわち、メダル及び遊技球等の複数種類の遊技用価値のいずれを用いても賭数を設定してゲームを行うことが可能であり、かつ入賞の発生によってメダル及び遊技球等の複数種類の遊技用価値のいずれをも払い出し得るスロットマシンも、本発明のスロットマシンに含まれるものである。
本発明を実現するためのプログラム及びデータは、スロットマシン1に含まれるコンピュータ装置等に対して、着脱自在の記録媒体により配布・提供される形態に限定されるものではなく、予めコンピュータ装置等の有する記憶装置にプリインストールしておくことで配布される形態を採用して良い。さらに、本発明を実現するためのプログラム及びデータは、通信処理部を設けておくことにより、通信回線等を介して接続されたネットワーク上の、他の機器からダウンロードすることによって配布する形態を採用しても良い。
そして、ゲームの実行形態も、着脱自在の記録媒体を装着することにより実行するものだけではなく、通信回線等を介してダウンロードしたプログラム及びデータを、内部メモリ等に一旦格納することにより実行可能とする形態、通信回線等を介して接続されたネットワーク上における、他の機器側のハードウェア資源を用いて直接実行する形態としてもよい。さらには、他のコンピュータ装置等とネットワークを介してデータの交換を行うことによりゲームを実行するような形態とすることもできる。