以下図面を用いて、発明を実施するための最良の形態(以下、これを実施の形態とも呼ぶ)について説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
(1)第1の実施の形態
(2)第2の実施の形態
(3)他の実施の形態
(1)第1の実施の形態
(1−1)自動釣銭機の外観構成
図1において、1は全体として第1の実施の形態による自動釣銭機の外観構成を示す。かかる自動釣銭機1は、購入商品の精算時、支払用の硬貨や紙幣を内部に収納して釣銭の有無を自動的に判別し、釣銭の返金が必要な場合、すでに内部に支払で収納していた硬貨や紙幣を釣銭として利用可能な、いわゆるリサイクル型として機能するものである。
自動釣銭機1は、略箱型の釣銭処理部2の背面2A寄りに、図示しないPOSシステム等に接続された略箱型のレジスタ部3が積層配置され、釣銭処理部2の正面側に設けられた略L字状のフロントパネル4をレジスタ部3の正面3Aの前に突出させている。
因みに、以下の説明では、自動釣銭機1を、釣銭処理部2のフロントパネル4と対峙して見た場合の図中に矢印a1で示す方向を、左方向とも呼び、当該左方向とは逆の方向を、右方向とも呼ぶ。
また、以下の説明では、自動釣銭機1を、釣銭処理部2のフロントパネル4と対峙して見た場合の図中に矢印b1で示す方向を、上方向とも呼び、当該上方向とは逆の方向を、下方向とも呼ぶ。
さらに、以下の説明では、自動釣銭機1を、釣銭処理部2のフロントパネル4と対峙して見た場合の図中に矢印c1で示す方向を、前方向とも呼び、当該前方向とは逆の方向を、後方向とも呼ぶ。
釣銭処理部2は、内部の左寄りに、購入商品の精算用に硬貨を処理(硬貨の鑑別や硬貨収納庫への収納、当該硬貨収納庫からの釣銭用の硬貨の取り出し等)する硬貨処理部(図示せず)が配置され、当該内部の右寄りに後述する紙幣処理部が配置されている。
そしてフロントパネル4において前方向を向くほぼ垂直な前向パネル4Aには、釣銭処理部2内の硬貨処理部の配置位置に対応させて左寄りの上側に、購入商品の精算時に支払用の硬貨を投入して硬貨処理部に供給するための受皿状の硬貨投入口5が設けられている。
また前向パネル4Aには、釣銭処理部2内の硬貨処理部の配置位置に対応させて左下に、硬貨処理部内の硬貨収納庫から取り出された釣銭用の硬貨を排出するための受皿状の硬貨排出口6が設けられている。
さらに前向パネル4Aには、釣銭処理部2内の硬貨処理部の配置位置に対応させて硬貨排出口6の右隣りに、例えば、購入商品の精算時に硬貨処理部で金種を鑑別し得なかった支払用の硬貨を返却するための硬貨返却口7が設けられている。
因みに、硬貨処理部で例えば、金種を判別し得なかった支払用の硬貨は、自動釣銭機1でそのまま取り扱うと例えば、誤動作する場合があるため、釣銭としては利用しないものであり、以下、この硬貨を、リジェクト硬貨とも呼ぶ。
さらに前向パネル4Aには、釣銭処理部2内の紙幣処理部の配置位置に対応させて右寄りの上側に、購入商品の精算時に支払用の紙幣を紙幣処理部内への取込用に載上し、また紙幣処理部から排出される釣銭用の紙幣を載上するための紙幣トレイ8が配置されている。
さらに前向パネル4Aには、釣銭処理部2内の紙幣処理部の配置位置に対応させて右寄りの下側に、後述する紙幣カセット9が着脱可能に装着されると共に、当該紙幣カセット9を釣銭処理部2に装着した状態にロックし、また当該ロックを解除するために操作される錠10が設けられている。
またフロントパネル4において上方向を向くほぼ水平な上向パネル4Bには、右寄りに、表示パネル及び種々の操作ボタンを組み合わせて形成された表示操作部11が設けられている。
因みに、表示操作部11の表示パネルには、硬貨処理部及び紙幣処理部の稼働状況や、例えば、紙幣処理部での釣銭用の紙幣の不足、紙幣の詰まりの発生等の種々の情報が表示される。
また表示操作部11の操作ボタンは、例えば、紙幣処理部に対する紙幣の搬送のような、当該紙幣処理部及び硬貨処理部に対する種々の指示を行うものである。
一方、レジスタ部3には、購入商品に付されたバーコードを読み取るための図示しないバーコードリーダが接続されている。
またレジスタ部3には、上面の中央部及び後寄りに、バーコードリーダによるバーコードの読み取りに応じて購入商品の名称や金額のような情報を表示し、また当該表示した情報の修正等のために表面へのタッチ操作が可能なタッチスクリーン12、13が配置されている。
さらにレジスタ部3には、上面の左前寄りに、購入された商品の名称や金額等が印字されたレシートを排出するためのレシート排出口14が設けられている。
そしてレジスタ部3には、自動釣銭機1に対するレジ係の種々の操作等に応じて自動釣銭機1全体を統括制御すると共に、各種処理を実行する図示しない制御部(以下、これを主制御部とも呼ぶ)が内蔵されている。
これにより自動釣銭機1において主制御部は、購入商品の精算時、顧客からレジ係に渡された支払用の紙幣や硬貨を硬貨処理部や紙幣処理部に取り込んで収納する。
また自動釣銭機1において主制御部は、この際、商品の購入金額と顧客の支払金額とに基づき釣銭の有無等を自動的に判別して、適宜、釣銭を紙幣や硬貨として排出してレジ係から顧客に返金させる。
(1−2)紙幣処理部の構成
次いで、図2を用いて紙幣処理部18の構成について説明する。紙幣処理部18は、略箱型の筐体(以下、これを紙幣処理筐体とも呼ぶ)21を有している。
そして紙幣処理筐体19内には、上述の主制御部と連携して紙幣処理部18全体を制御する例えば、マイクロプロセッサ構成の図示しない制御部(以下、これを紙幣処理制御部とも呼ぶ)20が収納されている。
また紙幣処理筐体19内には、上述の紙幣トレイ8に対応させて前上端部に、紙幣の取込及び排出を行う紙幣入出金部22が配置されると共に、当該紙幣入出金部22の下側に上述の紙幣カセット9が着脱可能に装着されている。
さらに紙幣処理筐体19内には、紙幣入出金部22の後側に、紙幣の金種や状態(損傷の有無や程度等)を鑑別する紙幣鑑別部23が配置されている。
さらに紙幣処理筐体19内には、紙幣カセット9の後側に、紙幣を金種別(例えば、一万円、五千円、千円別)に収納する複数の紙幣収納部24乃至26が、後方向に沿って順に配置(固定)されている。
さらにまた紙幣処理筐体19内には、紙幣入出金部22、紙幣カセット9、紙幣鑑別部23、複数の紙幣収納部24乃至26との間で紙幣を搬送する搬送路27が配置されている。
因みに、紙幣トレイ8には、長方形の紙幣が、当該紙幣の短手方向を前方向と一致させるようにして(すなわち、紙幣の一方の長辺を前方向に向けて)載上される。
そして紙幣処理部18では、紙幣トレイ8に載上された紙幣の向きを基準として、紙幣入出金部22、紙幣鑑別部23、紙幣収納部24乃至26、紙幣カセット9において紙幣を、当該紙幣の短手方向を前方向と一致させるような向きで扱う。
また紙幣処理部18では、紙幣トレイ8に載上された紙幣の向きを基準として、搬送路27により紙幣を、当該紙幣の短手方向を搬送方向と一致させるような向きで搬送する。
紙幣処理制御部20は、購入商品の精算時、紙幣トレイ8に支払用の1又は複数の紙幣が載上されると、当該紙幣トレイ8上の紙幣を紙幣入出金部22に取り込んで1枚ずつ分離し、搬送路27を介して紙幣鑑別部23に搬送する。
これにより紙幣処理制御部20は、紙幣紙幣鑑別部23に紙幣の金種や状態等を鑑別させる。その結果、紙幣処理制御部20は、紙幣鑑別部23により正当であると鑑別された紙幣については、当該紙幣鑑別部23から搬送路27を介して、その紙幣の金種に応じた紙幣収納部24乃至26に搬送して収納する。
ところで、自動釣銭機1は、上述のようにリサイクル形として機能するものである。そして自動釣銭機1は、損傷している紙幣や、曲がり癖の強い紙幣、張りのない紙幣等のように状態の良くない紙幣を支払用として取り込んだ場合、その状態に起因する誤動作や搬送路27の途中での詰まり等を起こして当該紙幣を正常に処理し得ない場合がある。
このため自動釣銭機1では、状態の良くない紙幣を支払用として取り込んだ場合、その後、その紙幣については釣銭として利用しないようにしている。
因みに、以下の説明では、このように状態が良くないために釣銭としては利用しない紙幣を、リジェクト紙幣とも呼ぶ。
よって紙幣処理制御部20は、紙幣鑑別部23において破損や折れ等により異常であると鑑別された紙幣については、支払の勘定には入れるものの、紙幣鑑別部23から搬送路27を介して紙幣カセット9に搬送して収納し、その後、釣銭としては利用しない。
このようにして紙幣処理制御部20は、紙幣鑑別部23により全ての紙幣が鑑別されると、当該鑑別された紙幣の総額(すなわち、支払用として取り込んだ紙幣の総額)を主制御部に通知する。
その結果、紙幣処理制御部20は、主制御部から釣銭として返金する紙幣のないことが通知されると、これに応じて支払用の紙幣に対する処理を終了する。
これに対し紙幣処理制御部20は、主制御部から釣銭として返金する紙幣の金額が通知されると、これに応じて、その金額分の紙幣を釣銭用として、対応する紙幣収納部24乃至26から1枚ずつ分離して繰り出させ搬送路27を介して紙幣鑑別部23に搬送する。
そして紙幣処理制御部20は、紙幣鑑別部23において釣銭用の紙幣の金種を鑑別させた(確認した)後、当該紙幣鑑別部23から釣銭用の紙幣を、搬送路27を介して紙幣入出金部22へ搬送する。
これにより紙幣処理制御部20は、紙幣入出金部22から釣銭用の紙幣を紙幣トレイ8上に排出させる。このようにして紙幣処理制御部20は、購入商品の精算時、釣銭として紙幣を返金する必要がある場合、当該釣銭としての紙幣を返金することができる。
ところで、紙幣カセット9内には、上側に例えば、数十枚程度のリジェクト紙幣を集積可能なリジェクト庫9Aが収納されている。
よって紙幣処理制御部20は、上述のように紙幣鑑別部23からリジェクト紙幣を、搬送路27を介して紙幣カセット9に搬送した場合、当該リジェクト紙幣を収納カセット9内のリジェクト庫9Aに収納する。
これに加えて紙幣カセット9内には、リジェクト庫9Aの下側に、例えば、数百枚程度の紙幣を集積可能で当該紙幣の補充回収用の補充回収庫9Bも収納されている。
また紙幣処理制御部20は、複数の紙幣収納部24乃至26に対する紙幣の収納状態を監視し、これを主制御部に通知している。
そして主制御部は、紙幣処理制御部20からの係る通知を受けて、紙幣収納部24乃至26に対する紙幣の補充の有無及び回収の有無を判別し、紙幣の補充が必要な場合は、これを上述の表示操作部11を介してレジ係に通知する。
その結果、主制御部は、補充回収庫9Bに補充用の紙幣が装填された紙幣カセット9が釣銭処理部2に装着された後、レジ係等によって表示操作部11を介して紙幣の補充が指示されると、紙幣処理制御部20に紙幣の補充を指示する。
これにより紙幣処理制御部20は、紙幣カセット9の補充回収庫9Bから補充用の紙幣を1枚ずつ分離して繰り出し搬送路27を介して紙幣鑑別部23に搬送する。
そして紙幣処理制御部20は、紙幣鑑別部23において補充用の紙幣の金種を順次鑑別した後、当該紙幣鑑別部23から補充用の紙幣を、搬送路27を介して金種に応じた紙幣収納部24乃至26に搬送して収納する。このようにして紙幣処理制御部20は、複数の紙幣収納部24乃至26に紙幣を補充することができる。
また主制御部は、紙幣収納部24乃至26から紙幣の集積量が一定量を越えて当該紙幣の回収が必要な場合、これを紙幣の回収が必要な紙幣収納部24乃至26と共に紙幣処理制御部20に通知する。
これにより紙幣処理制御部20は、紙幣の回収が必要な紙幣収納部24乃至26から回収用の紙幣を1枚ずつ分離して繰り出させ搬送路27を介して紙幣鑑別部23に搬送する。
そして紙幣処理制御部20は、紙幣鑑別部23において回収用の紙幣の金種を鑑別させた(確認した)後、当該紙幣鑑別部23から回収用の紙幣を、搬送路27を介して紙幣カセット9に搬送して補充回収庫9Bに収納する。
ところで、紙幣処理制御部20は、補充回収庫9Bに対する紙幣の収納状態も監視し、これを主制御部に通知している。
そして主制御部は、紙幣処理制御部20からの係る通知を受けて、補充回収庫9Bに収納した回収用の紙幣が一定量を越えたことを検出すると、これを表示操作部11を介してレジ係に通知して釣銭処理部2から紙幣カセット9を取り外させる。このようにして主制御部は、複数の紙幣収納部24乃至26から紙幣を回収させることができる。
因みに、主制御部は、補充回収庫9Bに収納した回収用の紙幣が一定量を越える前に複数の紙幣収納部24乃至26で紙幣の補充が必要になった場合は、これを表示操作部11を介してレジ係に通知する。
その結果、主制御部は、レジ係等によって表示操作部11を介して紙幣の補充が指示されると、紙幣処理制御部20に紙幣の補充を指示し、当該紙幣処理制御部20に対し上述と同様に紙幣収納部24乃至26に紙幣を補充させることができる。
また紙幣処理制御部20は、リジェクト庫9Aに対するリジェクト紙幣の収納状態も監視し、これを主制御部に通知している。
そして主制御部は、紙幣処理制御部20からの係る通知を受けて、リジェクト庫9Aに収納したリジェクト紙幣が一定量を越えたことを検出すると、これを表示操作部11を介してレジ係に通知して釣銭処理部2から紙幣カセット9を取り外させる。このようにして主制御部は、リジェクト紙幣を回収させることもできる。
(1−3)紙幣収納部の構成
次いで、紙幣収納部24乃至26の構成について説明する。ただし、これら紙幣収納部24及び25と紙幣収納部26とでは、図2からも明らかなように配置の向きが逆であるものの、基本的には同様に構成されている。
このため、以下には、1つの紙幣収納部26の構成について具体的に説明し、他の紙幣収納部24及び25の具体的な構成については説明を省略する。
図3に示すように、紙幣収納部26は、長方形の平板状に形成された底板30Aの長辺を左方向と平行にして、上述の紙幣処理筐体19内に配置された略箱型の紙幣集積庫30を有している。
この場合、紙幣集積庫30において底板30Aは、例えば、長辺の長さが紙幣Bの長辺の長さよりも僅かに長く選定されると共に、短辺の長さが紙幣Bの短辺の長さよりもある程度長く選定されている。
また紙幣集積庫30において後側の壁(以下、これを後壁とも呼ぶ)30Bは、底板30Aの長辺の長さとほぼ等しい幅、及び所定高さを有する長方形の平板状に形成されている。
そして紙幣集積庫30において後壁30Bは、下端が底板30Aの後端に接合されて、当該底板30Aに対し垂直に設けられている。
さらに紙幣集積庫30において前側の壁(以下、これを前壁とも呼ぶ)30Cは、底板30Aの長辺の長さとほぼ等しい幅、及び後壁30Bの高さよりも高い所定高さを有し、下端部に対し上端部が略への字を描くように屈曲された板状に形成されている。
そして紙幣集積庫30において前壁30Cは、下端が底板30Aの前端部において後壁30Aから紙幣Bの短辺の長さよりも僅かに長い所定距離だけ離れた位置に接合されて、下端部を後壁30Bと平行にし(すなわち、下端部を底板30Aに対し垂直にし)、かつ上端部を当該下端部よりも前斜上側に突出させて設けられている。
さらに紙幣集積庫30において左側の壁(以下、これを左側壁とも呼ぶ)30Dは、後壁30Bから前壁30Cの上端までの距離とほぼ等しい幅を有すると共に、前壁30Cの高さよりも高い所定高さを有する平板状に形成されている。
そして紙幣集積庫30において左側壁30Dは、下端が底板30Aの左端に接合されて、下前端部を前壁30Cの下端部よりも前側に突出させると共に、上端部を前壁30Cの上端部及び後壁30Bの上端よりも上側に突出させるようにして設けられている。
さらに紙幣集積庫30において図示しない右側の壁(以下、これを右側壁とも呼ぶ)も左側壁30Dと同様に、後壁30Bから前壁30Cの上端までの距離とほぼ等しい幅を有すると共に、前壁30Cの高さよりも高い所定高さを有する平板状に形成されている。
そして紙幣集積庫30において右側壁は、下端が底板30Aの右端に接合されて、下前端部を前壁30Cの下端部よりも前側に突出させると共に、上端部を前壁30Cの上端部及び後壁30Bの上端よりも上側に突出させるようにして設けられている。
これに加えて紙幣集積庫30には、中央部分が略くの字を描くように屈曲された板状の紙幣ガイド30Eが、後壁30Bの上端から前壁30Cの上端の真上近傍までに亘り、後端部を底板30Aと平行にし、かつ前端部を前壁30Cの上端部と所定の間隙を介して対向させて設けられている。
これにより紙幣集積庫30は、底板30A、後壁30B、前壁30Cの下端部、左側壁30Dの下後端部及び右側壁の下後端部で囲まれた部分に、複数の紙幣Bを集積するようにして収納可能な略直方体状(すなわち、水平方向の断面が紙幣Bの大きさよりも僅かに大きい長方形状)の紙幣収納空間が形成されている。
また紙幣集積庫30は、前壁30Cの上端部、左側壁30Dの上前端部、右側壁の上前端部及び紙幣ガイド30Eの前端部で囲まれた部分に、紙幣収納空間に繋がる紙幣取込繰出口が形成されている。
ところで、紙幣集積庫30の左側壁30D及び右側壁は、紙幣ガイド30Eの前端部の上側近傍に、ローラ回動軸31を左方向と平行にして一回転方向(図中では時計回方向)、及びこれとは逆の他回転方向(図中では反時計回方向)に回動可能に支持している。
そしてローラ回動軸31には、複数の取込繰出ローラ32がそれぞれ中心を当該ローラ回動軸31の中心に一致させ、左方向に沿って所定間隔で固定されている。
ただし、紙幣集積庫30は、紙幣ガイド30Eの前端部に、複数の取込繰出ローラ32に対応する複数の孔が穿設されている。
よって紙幣集積庫30は、複数の取込繰出ローラ32の一部をそれぞれ紙幣ガイド30Eの対応する孔を介して紙幣取込繰出口内の中央部まで入り込ませている。
そして紙幣収納部26には、図示しない取込繰出用モータが設けられており、当該取込繰出用モータの出力軸が図示しない複数の駆動伝達ギヤを介してローラ回動軸31に連結されている。
これにより紙幣収納部26は、上述の紙幣処理制御部20による取込繰出用モータの駆動に応じて、複数の取込繰出ローラ32を、ローラ回動軸31を中心にして一回転方向及び他回転方向に回転させる。
また紙幣集積庫30の左側壁30D及び右側壁は、前壁30Cの上端部の下側近傍に、ローラ回動軸33を左方向と平行にして一回転方向及び他回転方向に回動可能に支持している。
そしてローラ回動軸33には、複数の分離ローラ34がそれぞれ中心を当該ローラ回動軸33の中心に一致させ、複数の取込繰出ローラ32の間隙と対向するように左方向に沿って所定間隔で固定されている。
ただし、紙幣集積庫30は、前壁30Cの上端部に、複数の分離ローラ34に対応する複数の孔が穿設されている。
よって紙幣集積庫30は、複数の分離ローラ34の一部をそれぞれ前壁30Cの対応する孔を介して紙幣取込繰出口内の中央部まで入り込ませて、これら複数の分離ローラ34の周側面の一部を、複数の取込繰出ローラ32の周側面の一部に近接させている。
そして紙幣収納部26には、図示しない分離用モータが設けられており、当該分離用モータの出力軸が図示しない複数の駆動伝達ギヤを介してローラ回動軸33に連結されている。
これにより紙幣収納部26は、紙幣処理制御部20による分離用モータの駆動に応じて、複数の分離ローラ34を、ローラ回動軸33を中心にして一回転方向に回転させる。
さらに紙幣集積庫30は、例えば、紙幣ガイド30Eの屈曲部分の上側近傍に設けられた図示しない軸受部に、ローラ回動軸35を左方向と平行にして一回転方向及び他回転方向に回動可能に支持している。
そしてローラ回動軸35には、例えば、一対の繰出ローラ36がそれぞれ中心を当該ローラ回動軸35の中心に一致させて、左方向に沿って所定間隔で固定されている。
ただし、紙幣集積庫30は、紙幣ガイド30Eの屈曲部分に、一対の繰出ローラ36に対応する一対の孔が穿設されている。
よって紙幣集積庫30は、一対の繰出ローラ36の一部をそれぞれ紙幣ガイド30Eの対応する孔を介して紙幣収納空間に入り込ませている。
そして紙幣収納部26には、図示しない繰出用モータが設けられており、当該繰出用モータの出力軸が図示しない複数の駆動伝達ギヤを介してローラ回動軸35に連結されている。
これにより紙幣収納部26は、紙幣処理制御部20による繰出用モータの駆動に応じて、一対の繰出ローラ36を、ローラ回動軸35を中心にして一回転方向に回転させる。
また紙幣集積庫30内には、複数の紙幣Bを集積するための昇降台40が設けられている。図3及び図4に示すように、昇降台40は、紙幣Bの大きさとほぼ等しい大きさの長方形の平板状のステージ40Aを有している。
また昇降台40においてステージ40Aには、長手方向の一端及び他端の中央部にそれぞれ短手方向の幅よりも狭い幅を有する短冊状のステージ支持板40B、40Cが、上面40AXに垂直で、かつ当該上面40AXの上側に突出するように設けられている。
さらに昇降台40において一対のステージ支持板40B、40Cの外面には、それぞれ等しい直径を有する2本のローラ回動軸41乃至44が当該ステージ支持板40B、40Cの長手方向に沿って(すなわち、上下に)所定間隔で植設されている。
そして複数のローラ回動軸41乃至44には、直径の等しいガイドローラ45乃至48が回動可能に取り付けられている。これにより昇降台40において一対のステージ支持板40B、40Cは、それぞれローラ回動軸41乃至44を介してガイドローラ45乃至48を回動可能に支持している。
一方、図5に示すように、紙幣集積庫30の左側壁30D及び右側壁30Fには、紙幣収納空間での対向面30DW、30FWの中央部に、上端近傍から下端近傍に亘り長孔30DX、30FXが上方向と平行に穿設されている。
また左側壁30D及び右側壁30Fの外面30DY、30FYには、上端近傍から下端近傍に亘り長孔30DX、30FXよりも幅広な昇降ガイド溝30DZ、30FZが、当該長孔30DX、30FXを中心に位置させて上方向と平行に形成されている。
因みに、長孔30DX、30FX幅は、ローラ回動軸41乃至44の直径とほぼ等しく選定されている。また昇降ガイド溝30DZ、30FZの幅は、ガイドローラ45乃至48の直径とほぼ等しく選定されている。
そして昇降台40は、ステージ40Aの上面40AXを上方向に向けた状態で、一方のステージ支持板40Bに植設されたローラ回動軸41、42が左側壁30Dの長孔30DXに通されて、2つのガイドローラ45、46が昇降ガイド溝30DZ内に挿入されている。
また昇降台40は、ステージ40Aの上面40AXを上方向に向けた状態で、他方のステージ支持板40Cに植設されたローラ回動軸43、44が右側壁30Fの長孔30FXに通されて、2つのガイドローラ47、48が昇降ガイド溝30FZ内に挿入されている。
これにより紙幣集積庫30は、左側壁30D及び右側壁30Fの昇降ガイド溝30DZ、30FZを介して内部(紙幣収納空間)にステージ40A(すなわち、昇降台40)を上方向及び下方向に移動可能に支持している。
そして図3及び図6に示すように、紙幣集積庫30には、紙幣収納空間の底面30AX(すなわち、底板30A)の左半分の部分の中央部とステージ40Aの下面40AYの左半分の部分の中央部との間に、圧縮コイルばね42が配置されている。
また紙幣集積庫30には、紙幣収納空間の底面30AXの右半分の部分の中央部と、ステージ40Aの下面40AYの右半分の部分の中央部との間にも圧縮コイルばね43が配置されている。
この場合、2つの圧縮コイルばね42、43は、自然長やバネ定数等が適宜選定されて所定の弾性力を有するように同様に形成されている。
そして2つの圧縮コイルばね42、43は、それぞれ一端がステージ40Aの下面40AYに係止されると共に、他端が紙幣集積庫30の底面30AXに係止されて、当該下面40AYに所定の押圧力で押し付けられている。
これにより2つの圧縮コイルばね42、43は、何ら外力が加えられない状態では元の形状に復元しようと伸びることで、紙幣集積庫30内でステージ40Aをほぼ水平にしたまま上昇させる。
ただし、2つの圧縮コイルばね42、43は、元の形状に復元しようと伸びても、自然長に戻りきる前に、ステージ40Aの上面40AXを一対の繰出ローラ36の周側面の下側の部分に突き当てる(すなわち、所定の押圧力で押し付ける)ようになされている。
すなわち、2つの圧縮コイルばね42、43は、紙幣集積庫30内でステージ40Aを常に上昇させる(すなわち、上方向に移動させる)ように付勢している。
また2つの圧縮コイルばね42、43は、外力が加えられて目一杯縮められた状態では、紙幣集積庫30内でステージ40Aを下降(すなわち、下方向に移動)させて、当該ステージ40Aの下面40AYを底面30AXに近接させるようになされている。
すなわち、2つの圧縮コイルばね42、43は、紙幣集積庫30内でステージ40Aを、当該ステージ40Aの下面40AYを底面30AXに近接させる下側の所定位置から、ステージ40Aの上面40AXを一対の繰出ローラ36の周側面の下側の部分に突き当てるまでの比較的長い距離の移動範囲内で上下に移動させ得るようになされている。
さらに2つの圧縮コイルばね42、43は、ステージ40Aを上昇させた場合、当該ステージ40Aの上面40AXに集積された紙幣Bの枚数に関わらずに、その集積された紙幣Bのうち、最も上に位置する紙幣Bの上面を、一対の繰出ローラ36の周側面の下側の部分にほぼ一定の押圧力で押し付けるようにもなされている。
因みに、以下の説明では、紙幣集積庫30内でステージ40Aを上昇させて上面40AXを一対の繰出ローラ36の周側面の下側の部分に突き当てたときの当該ステージ40Aの位置(すなわち、ステージ40Aの上方向への移動の限界位置)を、ステージ上限位置とも呼ぶ。
また、以下の説明では、紙幣集積庫30内でステージ40Aを下降させて、2つの圧縮コイルばね42、43を可能な限り縮めたときの当該ステージ40Aの位置(すなわち、ステージ40Aの下方向への移動の限界位置)を、ステージ下限位置とも呼ぶ。
さらに、以下の説明では、ステージ40Aの上面40AXに集積された紙幣Bのうち、最も上に位置する紙幣Bを、最上位紙幣Bとも呼ぶ。
また紙幣集積庫30(図3及び図6)には、紙幣収納空間の底面30AXの中央部に、例えば、略コ字状のステージ側支持部45が、それぞれ貫通孔が穿設された一対の腕部を左方向に沿って順に並べるように配置されている。
そしてステージ側支持部45は、一対の腕部の間にステージ側プーリ46を介在させた状態で、当該一対の腕部の貫通孔に、そのステージ側プーリ46の一面の中央部及び他面の中央部に突設された支持軸が左方向と平行に通されて固定されている。
ここで、ステージ側プーリ46の一面の中央部及び他面の中央部には、それぞれ支持軸が、図示しないベアリングを介して、当該ステージ側プーリ46のプーリ中心軸の延長線に一致させて突設されている。
これによりステージ側支持部45は、一対の腕部にステージ側プーリ46を、左方向と平行なプーリ中心軸を中心にして一回転方向及び他回転方向に回動可能に支持している。
さらに紙幣集積庫30(図3)には、底板30Aにおいて前壁30Cの前側に突出している前端部の中央部にも、例えば、略コ字状のモータ側支持部47が、それぞれ貫通孔が穿設された一対の腕部を左方向に沿って順に並べるように配置されている。
そしてモータ側支持部47は、一対の腕部の間にモータ側プーリ48を介在させた状態で、当該一対の腕部の貫通孔に、そのモータ側プーリ48の一面の中央部及び他面の中央部にそれぞれ突設された支持軸が左方向と平行に通されて固定されている。
この場合、モータ側プーリ48の一面の中央部及び他面の中央部にも、それぞれ支持軸が、図示しないベアリングを介して、当該モータ側プーリ48のプーリ中心軸の延長線に一致させて突設されている。
これによりモータ側支持部47は、一対の腕部にモータ側プーリ48を、左方向と平行なプーリ中心軸を中心にして一回転方向及び他回転方向に回動可能に支持している。
さらに紙幣収納部26(図3)は、モータ側支持部47の前に、モータ49が出力軸49Aを左方向と平行にして配置されている。
そしてモータ49は、出力軸49Aがリール50の中心に穿設された貫通孔に挿入されて、当該出力軸49Aにリール50が固定されている。
これにより紙幣収納部26は、紙幣処理制御部20によるモータ49の駆動に応じてリール50を、出力軸49Aを中心にして(すなわち、出力軸49Aと共に)一回転方向及び他回転方向に回転させる。
さらにまた紙幣収納部26(図3)は、紙幣集積庫30の前側にオートテンショナ53が設けられている。図3及び図7に示すように、オートテンショナ53は、略T字状のプーリ支持部54を有している。
プーリ支持部54は、紙幣集積庫30の前壁30Cにおいて底板30Aよりも上側の所定位置に、腕部54Aの上面を上方向に向け、かつ胴体部54Bの長手方向を上方向と平行にして取り付けられている。
またプーリ支持部54は、奥行(すなわち、前後方向の長さ)が適宜選定され、腕部54A及び胴体部54Bの前面部分を、モータ側プーリ48とリール50との間のほぼ真上に位置させている。
さらにプーリ支持部54の胴体部54Bは、例えば、紙幣集積庫30内でステージ40Aが上下方向へ移動可能な距離(以下、これをステージ移動可能距離とも呼ぶ)の1/2の長さよりも長い所定長さに選定されている。
そしてプーリ支持部54は、胴体部54Bの前面中央部に腕部54Aの下面から当該胴体部54Bの下面に亘る(すなわち、胴体部54Bの下面を貫く)、所定の幅及び所定の深さのプーリ移動溝54BXが上方向と平行に形成されている。
さらにプーリ支持部54は、プーリ移動溝54BXの左内壁及び右内壁にそれぞれ腕部54Aの下面近傍から胴体部54Bの下面近傍に亘る上方向と平行な、例えば、ステージ移動可能距離の1/2以下の長さのプーリガイド長孔54BY、54BZが対向させて穿設されている。
そしてプーリ支持部54は、プーリ移動溝54BXにテンションプーリ55を入り込ませた状態で、一対のプーリガイド長孔54BY、54BZに、そのテンションプーリ55の一面の中央部及び他面の中央部に突設された所定長さの支持軸55A、55Bが左方向と平行に挿入されている。
ここで、テンションプーリ55についても、上述のモータ側プーリ48と同様に一面の中央部及び他面の中央部にそれぞれ支持軸55A、55Bが、図示しないベアリングを介して、当該テンションプーリ55のプーリ中心軸の延長線に一致させて突設されている。
これによりプーリ支持部54は、一対のプーリガイド長孔54BY、54BZを介してプーリ移動溝54BX内に(すなわち、モータ側プーリ48とリール50との間の真上で)テンションプーリ55を、上方向及び下方向に移動可能で、かつプーリ中心軸を中心にして一回転方向及び他回転方向に回動可能に支持している。
因みに、以下の説明では、プーリ支持部54のプーリ移動溝54BX内でテンションプーリ55が下方向に移動して一対の支持軸55A、55Bを一対のプーリガイド長孔54BY、54BZの内壁下端に突き当てたときの当該テンションプーリ55の位置(すなわち、テンションプーリ55の下方向への移動の限界位置)を、プーリ下限位置とも呼ぶ。
また、以下の説明では、プーリ支持部54のプーリ移動溝54BX内でテンションプーリ55が上方向に移動して一対の支持軸55A、55Bを一対のプーリガイド長孔54BY、54BZの内壁上端に突き当てたときの当該テンションプーリ55の位置(すなわち、テンションプーリ55の上方向への移動の限界位置)を、プーリ上限位置とも呼ぶ。
そしてオートテンショナ53には、一対の引張ばね56、57が設けられている。この場合、一方の引張ばね56の一端は、プーリ支持部54の腕部54Aにおいて、胴体部54Bよりも左側に張り出している部分の下面前寄りに係止されている。
また一方の引張ばね56の他端は、テンションプーリ55の一方の支持軸55Aにおいて、プーリ支持部54の左側のプーリガイド長孔54BYを介して胴体部54Bの左側面から突出している部分に係止されている。
さらに他方の引張ばね57の一端は、プーリ支持部54の腕部54Aにおいて、胴体部54Bよりも右側に張り出している部分の下面前寄りに係止されている。
さらにまた他方の引張ばね57の他端は、テンションプーリ55の他方の支持軸55Bにおいて、プーリ支持部54の右側のプーリガイド長孔54BZを介して胴体部54Bの右側面から突出している部分に係止されている。
一対の引張ばね56、57は、自然長やバネ定数等が適宜選定され、上述の圧縮コイルばね42、43の弾性力よりも十分に小さい所定の弾性力を有するように同様に形成されている。
これにより一対の引張ばね56、57は、テンションプーリ55に下方向へ移動させるような外力が何ら加えられない状態では元の形状に復元しようと縮むことで、プーリ支持部54のプーリ移動溝54BX内でテンションプーリ55を上方向に移動させる。
ただし、一対の引張ばね56、57は、例えば、元の形状に復元しようと縮んでも、自然長に戻りきる前に、テンションプーリ55をプーリ上限位置に停止させ得るようになされている。
また一対の引張ばね56、57は、プーリ支持部54のプーリ移動溝54BX内でテンションプーリ55が、外力が加えられて下方向に移動すると、これに応じて伸びる。
ただし、一対の引張ばね56、57は、プーリ支持部54のプーリ移動溝54BX内でテンションプーリ55が下方向に移動してプーリ下限位置に停止した状態では、降伏しない程度に伸びていることで、テンションプーリ55を上方向に移動させる(すなわち、上方向に戻す)ように付勢する。
このようにして一対の引張ばね56、57は、プーリ支持部54のプーリ移動溝54BX内(すなわち、ステージ移動可能距離の1/2以下の長さの移動範囲内)でテンションプーリ55が上方向及び下方向の何れに移動しても、常に上方向に移動させるように付勢している。
そして紙幣収納部26(図3及び図6)には、紙幣集積庫30内でステージ40Aを上昇及び降下させるためのワイヤ58が設けられている。
ここで、ステージ40Aは、上述のように下面40AYに2つの圧縮コイルばね42、43の一端がそれぞれ当該ステージ40Aを上方向に移動させるように所定の押圧力で押し付けられている。
よってワイヤ58は、一端が、ステージ40Aにかかる2つの圧縮コイルばね42、43の押圧力を、当該ステージ40Aを水平にするように釣り合わせるような下面40AYの中央部の所定位置(以下、これをワイヤ係止位置とも呼ぶ)に係止されている。
例えば、図8に示すように、ステージ40Aの下面40AYには、一方の圧縮コイルばね42の一端が、当該圧縮コイルばね42の中心線を下面40AYの左半分の中心位置(以下、これを左側中心位置とも呼ぶ)P1に直交させるように位置決めされた状態で係止されている。
またステージ40Aの下面40AYには、他方の圧縮コイルばね43の一端が、当該圧縮コイルばね43の中心線を下面40AYの右半分の中心位置(以下、これを右側中心位置とも呼ぶ)P2に直交させるように位置決めされた状態で係止されている。
よってワイヤ58の一端は、係る構成の場合、ステージ40Aの下面40AYにおいて左側中心位置P1と右側中心位置P2との中間位置(すなわち、左側中心位置P1及び右側中心位置P2の何れからも同一の距離L1だけ離れた位置)をワイヤ係止位置P3として係止されている。
そして、上述のステージ側支持部45(図3及び図6)は、紙幣集積庫30の底面30AXにおいて、ステージ40Aの下面40AYのコイル係止位置P3のほぼ真下に配置され、ステージ側プーリ45を支持している。
このためワイヤ58(図3及び図6)は、他端側がステージ40Aの真下の部分を下方向と平行にした状態でステージ側プーリ45に架けられて、そのステージ側プーリ45から、さらに前方向に引き回されている。
またワイヤ58は、ステージ側プーリ45の前に引き出された他端側が、さらにモータ側プーリ48に架けられて上方向に引き回されてテンションプーリ55に架けられた後、下方向に引き回されて、他端がリール50に係止されている。
そして紙幣収納部26では、上述のモータ49として、2つの圧縮コイルばね42、43の弾性力よりも大きいトルクを発生させるものが設けられている。
よって紙幣収納部26は、モータ49が駆動され出力軸49Aと共にリール50が一回転方向に回転した場合、当該リール50にワイヤ58を巻き取る。
これにより紙幣収納部26は、紙幣集積庫30内でステージ40Aをワイヤ58によって下方向に引っ張る(引き下げる)ようにして2つの圧縮コイルばね42、43を上方向への付勢に抗して縮めることで、当該ステージ40Aを降下(下方向へ移動)させることができる。
また紙幣収納部26は、モータ49が駆動され出力軸49Aと共にリール50が他回転方向に回転した場合、当該リール50から、これに巻き取っていたワイヤ58を繰り出す。
これにより紙幣収納部26は、紙幣集積庫30内でワイヤ58によるステージ40Aの下方向への引っ張りを緩めるようにして2つの圧縮コイルばね42、43を、その弾性力に従って伸ばすことで、当該ステージ40Aを2つの圧縮コイルばね42、43で押し上げるようにして上昇(上方向へ移動)させることができる。
ところで、オートテンショナ53は、上述のようにワイヤ58が架けられているテンションプーリ55を一対の引張ばね56、57によって常に上方向に移動させるように付勢している。
これによりオートテンショナ53は、一対の引張ばね56、57の付勢によりテンションプーリ55を適宜上方向に移動させてワイヤ58を引っ張ることで、当該ワイヤ58に常にテンションをかけて弛まないようにしている。
そしてワイヤ58は、例えば、リール50から全体が繰り出された際、弛んだ状態でステージ40Aをステージ上限位置まで上昇させるような長さを有するものの、その弛みをオートテンショナ53によるテンションプーリ55のプーリ下限位置よりも上で、最大でもプーリ上限位置となる所定位置への変位で解消可能な所定長さに選定されている。
また紙幣集積庫30は、例えば、前壁30Cの下端部の前の上寄りに光センサの発光素子60が光軸を後方向に対し斜め上に傾けて配置されると共に、その光軸上で紙幣ガイド30Eの後端部の上側に当該光センサの受光素子61が配置されている。
さらに紙幣集積庫30は、前壁30Cの下端部の上寄りに発光素子60の光軸に対応する孔が穿設されると共に、紙幣ガイド30Eの後端部にも当該光軸に対応する孔が穿設されている。
これにより光センサは、紙幣集積庫30内で最上位紙幣Bが光軸よりも下側に下がっている(すなわち、紙幣収納空間の上寄りの部分が空いている)と、発光素子60により発射した光ビームを紙幣収納空間の上前側を斜め上に向けて横切らせて受光素子61で受光することができる。
また光センサは、紙幣集積庫30内で最上位紙幣Bや、その下の紙幣B、またステージ40Aが光ビームの光軸にかかると、発光素子60により発射した光ビームが、その最上位紙幣Bや他の紙幣B、またステージ40Aにより遮られて受光素子61では受光し得なくなる。
このようにして光センサは、受光素子61による光ビームの受光の有無を検出し、その検出結果を紙幣処理制御部20に通知している。
これにより紙幣処理制御部20は、光センサからの通知に基づき最上位紙幣Bが、その上面に新たに紙幣Bを積層可能な(すなわち、一対の繰出ローラ36の周側面と最上位紙幣Bの上面との間に新たに紙幣Bを取込可能な空間を形成する)紙幣取込位置に到達したか否かを判別し得るようになされている。
そして紙幣処理制御部20は、紙幣収納時や紙幣繰出時、係る判別結果を、紙幣集積庫30内でのステージ40Aの位置決めに利用して、実際に紙幣集積庫30内へ紙幣Bを収納し、また紙幣集積庫30内から紙幣Bを繰り出している。
ここで、紙幣収納部26による紙幣集積庫30内への紙幣Bの収納と、当該紙幣集積庫30内からの紙幣Bの繰り出しとについて順に説明する。
ただし、以下に説明する紙幣集積庫30内への紙幣Bの収納については、紙幣集積庫30内からの紙幣Bの繰り出し後に行われる(すなわち、紙幣集積庫30内で紙幣Bの繰り出しのためにステージ40Aを上昇させていた状態から行われる)場合を例にしている。
このため、紙幣集積庫30内への紙幣Bの収納については、後の紙幣Bの繰り出しの説明において詳述するが、ステージ40Aを上昇させるためにリール50から繰り出していたワイヤ58に、オートテンショナ53においてテンションプーリ55を上方向にある程度移動させてテンションをかけていた状態から行われるものとする。
また、以下の説明において、紙幣集積庫30内からの紙幣Bの繰り出しについては、紙幣集積庫30内への紙幣Bの収納の後に行われる(すなわち、紙幣集積庫30内で紙幣Bの収納のためにステージ40Aを下降させていた状態から行われる)場合を例にしている。
図9に示すように、紙幣処理制御部20は、紙幣収納時、紙幣収納部26においてワイヤ58に、テンションプーリ55を上方向にある程度移動させてテンションをかけていた状態でモータ49を駆動し始めてリール50を一回転方向へ回転させる。
これにより紙幣収納部26では、リール50にワイヤ58を巻き取り始めると共に、この際、当該ワイヤ58のリール50側への引っ張りに応じてオートテンショナ53においてテンションプーリ55を上方向に付勢したまま(すなわち、ワイヤ58にテンションをかけたまま)プーリ下限位置まで下げる。
そのうえで紙幣収納部26では、リール50にワイヤ58をさらに巻き取ることで、当該ワイヤ58の一端側をリール50側に引っ張る。
よって紙幣収納部26では、紙幣集積庫30内でステージ40Aをワイヤ58によって真下に引っ張るようにして2つの圧縮コイルばね42、43を強制的に縮めて、当該ステージ40Aを下降(下方向へ移動)させる。
そして紙幣処理制御部20は、最上位紙幣Bの前側の端部(すなわち、一方の長辺)が光ビームの遮光位置よりも下がり、それまで光ビームを受光していないことを通知していた光センサから当該光ビームを受光し得たことが通知されると、その時点で最上位紙幣Bが紙幣取込位置に到達したと判断してモータ49の駆動を停止する。
よって紙幣収納部26では、このときリール50へのワイヤ58の巻き取りを停止することで、紙幣集積庫30内でのステージ40Aの下降(下方向へ移動)を停止させる。
この際、紙幣収納部26では、リール50への巻き取りを停止したワイヤ58に、2つの圧縮コイルばね42、43によってステージ40Aと共に上方向へ引っ張るような力がかかり、これによりワイヤ58が弛みなく張った状態になっている。
この状態で紙幣処理制御部20は、取込繰出用モータを駆動して複数の取込繰出ローラ32を他回転方向に回転させると共に、分離用モータを駆動して複数の分離モータ34を一回転方向へ回転させる。そして紙幣処理制御部20は、搬送路27を介して紙幣Bを紙幣収納部26へ搬送する。
よって紙幣収納部26では、搬送路27を介して搬送された紙幣Bを、紙幣集積庫30において紙幣取込繰出口から、互いに逆回転している複数の取込繰出モータ32及び複数の分離モータ34の間を通して紙幣収納空間に取り込む。
これにより紙幣収納部26では、紙幣集積庫30において紙幣収納空間に取り込んだ紙幣Bを、ステージ40A上の最上位紙幣Bの上面に載せる。
このようにして紙幣収納部26は、搬送路27を介して紙幣Bが順次搬送される毎に、当該紙幣Bを同様にして紙幣集積庫30内に取り込んでステージ40Aの上面40AXに順に積層するようにして収納する。
ただし、紙幣処理制御部20は、この際、モータ49を適宜駆動してリール50を一回転方向へ回転させている。すなわち、紙幣収納部26では、リール50にワイヤ58を、テンションをかけた状態で徐々に巻き取る。
よって紙幣収納部26では、紙幣集積庫30内に新たに紙幣Bを取り込む毎に、ステージ40Aをワイヤ58で下方向に一定距離だけ引っ張るようにして2つの圧縮コイルばね42、43を縮めて下降(下方向へ移動)させる。
これにより紙幣収納部26では、紙幣集積庫30において、ステージ40A上の新たな最上位紙幣B(すなわち、このとき取り込んだ紙幣B)を紙幣取込位置に位置させる。
このようにして紙幣収納部26では、紙幣集積庫30内に、一対の繰出ローラ36の周側面の下側と最上位紙幣Bの上面とを、常に紙幣Bの所定枚数分の厚みに相当する距離だけ離隔させた状態で紙幣Bを取り込む。
従って紙幣収納部26では、紙幣集積庫30内に順次新たに紙幣Bを、紙幣取込繰出口内や、一対の繰出ローラ36の周側面の下側と最上位紙幣Bの上面との間等で詰まらせることなく取り込んでステージ40A上に集積することができる。
また紙幣収納部26では、紙幣集積庫30内に順次新たに紙幣Bを、例えば、後壁30Bとステージ40Aとの隙間に入り込ませたり、最上位紙幣B上で立たせたりすることもなく、ステージ40A上に的確に集積することができる。
因みに、紙幣処理制御部20は、紙幣収納時、紙幣集積庫30においてステージ40の上面40AXに紙幣Bが1枚も載っていない場合は、上述と同様にステージ40Aを下降させるものの、光センサを介して当該ステージ40の上面40AXが紙幣取込位置に到達したことを検出して、モータ49の駆動を停止する。
そして紙幣処理制御部20は、この後、上述と同様に処理することで、紙幣収納部26において紙幣集積庫30内に同様に紙幣Bを取り込んで集積することができる。
一方、図10に示すように、紙幣処理制御部20は、紙幣繰出時、紙幣収納部26においてワイヤ58に、2つの圧縮コイルばね42、43によってステージ40Aと共に上方向へ引っ張るような力がかかっている状態でモータ49を駆動し初めてリール50を他回転方向へ回転させる。
これにより紙幣収納部26では、リール50からワイヤ58を繰り出して紙幣集積庫30内に送り出すことで、これに応じて2つの圧縮コイルばね42、43を徐々に伸ばしてステージ40Aを押し上げるようにして上昇(上方向へ移動)させる。
ただし、紙幣収納部26では、上述のように一対の引張ばね56、57の弾性力が、2つの圧縮コイルばね42、43の弾性力よりも十分に小さい値に選定されている。
このため紙幣収納部26では、この際、リール50から繰り出したワイヤ58を、オートテンショナ53においてプーリ下限位置まで下がっているテンションプーリ55を介して紙幣集積庫30内に送り出している。
そして紙幣処理制御部20は、最上位紙幣Bが光ビームの遮光位置に到達し、それまで光ビームを受光していたことを通知していた光センサから当該光ビームを受光し得ないことが通知されると、その時点からモータ49をさらに一定の間、駆動した後、その駆動を停止する。
よって紙幣収納部26では、リール50からワイヤ58をさらに繰り出すことで、紙幣集積庫30内でワイヤ58によるステージ40Aの下方向への引っ張りを緩める。
これにより紙幣収納部26では、紙幣集積庫30内で2つの圧縮コイルばね42、43をさらに伸ばしてステージ40Aを押し上げるようにして上昇(上方向へ移動)させ、最終的に最上位紙幣Bの上面を一対の繰出ローラ36の周側面の下側に所定の押圧力で押し付ける。
因みに、紙幣集積庫30内でステージ40Aを、最上位紙幣Bの上面を一対の繰出ローラ36の周側面の下側に所定の押圧力で押し付けるまで上昇させたときの位置は、当該紙幣集積庫30内から紙幣Bを繰り出すための位置であり、以下、この位置を紙幣繰出位置とも呼ぶ。
ところで、紙幣収納部26では、この際、紙幣処理制御部20による上述の一定の間のモータ49の駆動に応じて、紙幣集積庫30内でステージ40Aを紙幣繰出位置まで上昇させた後も、リール50からワイヤ58をある程度の長さだけ繰り出している。
これにより紙幣収納部26では、紙幣集積庫30内でステージ40Aと共に当該ステージ40A上の複数の紙幣Bをモータ49のトルクの影響を何ら受けずに、2つの圧縮コイルばね42、43のみで上方向に付勢して、最上位紙幣Bの上面を一対の繰出ローラ36の周側面の下側に所定の押圧力で押し付けることができる。
ただし、紙幣収納部26では、ステージ40Aの紙幣繰出位置までの上昇後もリール50から繰り出したワイヤ58の繰出部分については、その時点では当該ステージ40Aの上昇には何ら寄与しない余剰分になる。
そして紙幣収納部26では、ワイヤ58の余剰分を単にリール50から繰り出しただけでは弛みになるものの、リール50からワイヤ58の余剰分を繰り出し始めた時点から、その弛みを自動的にとるようにオートテンショナ53を機能させる。
すなわち、紙幣収納部26では、リール50からワイヤ58の余剰分を繰り出し始めると、その時点から当該ワイヤ58が弛み始めようとするものの、これに応じてテンションプーリ55をプーリ下限位置から一対の引張ばね56、57による上方向への付勢に従って上方向へ移動させ始める。
そして紙幣収納部26では、リール50からワイヤ58の余剰分が繰り出されている間は、テンションプーリ55を一対の引張ばね56、57による上方向への付勢に従って上方向へ移動させて、その余剰分を吸収して当該ワイヤ58に弛まないようにテンションをかける。
すなわち、紙幣収納部26では、この際、ワイヤ58の余剰分を紙幣集積庫30側へは送り出さないように、オートテンショナ53によりリール50側に引っ張ってテンションをかけている。
これにより紙幣収納部26では、この際、リール50からワイヤ58を、ステージ40Aを紙幣繰出位置まで上昇させるのに必要な長さ以上に繰り出しているものの、当該ワイヤ58が弛んでステージ側プーリ46やモータ側プーリ48等から外れることを回避している。
そして紙幣処理制御部20は、紙幣集積庫30内でステージ40Aを紙幣繰出位置まで上昇させると、取込繰出用モータを駆動して複数の取込繰出ローラ32を一回転方向に回転させると共に、分離用モータを駆動して複数の分離モータ34も一回転方向へ回転させる。この状態で紙幣処理制御部20は、繰出用モータを駆動して一対の繰出ローラ36を一回転方向に回転させる。
これにより紙幣収納部26では、一対の繰出ローラ36により、紙幣集積庫30においてステージ40A上に集積されている複数の紙幣Bを上から順に複数の取込繰出ローラ32及び複数の分離ローラ34の間に繰り出す。
ただし、紙幣収納部26は、一対の繰出ローラ36により、ステージ40A上から一度に数枚の紙幣Bが複数の取込繰出ローラ32及び複数の分離ローラ34側に繰り出されても、最上位紙幣Bよりも下側の紙幣Bについては複数の分離モータ34の回転によりステージ40A上に押し戻す。
これにより紙幣収納部26は、一対の繰出ローラ36、複数の取込繰出ローラ32及び複数の分離ローラ34により、ステージ40A上に集積されている複数の紙幣Bを上から順に1枚ずつ分離し紙幣取込繰出口を介して繰り出して搬送路27に受け渡す。
ところで、紙幣収納部26では、この際、上述のようにリール50からワイヤ58を、ステージ40Aを紙幣繰出位置まで上昇させるのに必要な長さよりも長く繰り出している。
このため、紙幣収納部26では、紙幣集積庫30内から紙幣Bを1枚ずつ分離して繰り出す毎に、2つの圧縮コイルばね42、43によりオートテンショナ53からワイヤ58の余剰分を、テンショナプーリ55を下方向に移動させて1枚の紙幣Bの厚み分の長さだけ引き出すようにして、ステージ40Aを徐々に上昇(上方向に移動)させている。
これにより紙幣収納部26では、紙幣集積庫30内から紙幣Bを順次繰り出しても、その間、ステージ40Aと共に当該ステージ40A上の複数の紙幣Bをモータ49のトルクの影響を何ら受けずに、2つの圧縮コイルばね42、43のみで上方向に付勢して、最上位紙幣Bの上面を一対の繰出ローラ36の周側面の下側に所定の押圧力で押し付けることができる。
そして紙幣収納部26では、上述のようにオートテンショナ53において、ステージ移動可能距離の1/2以下の長さのプーリガイド長孔54BY、54BZを介してテンショナプーリ55を上方向及び下方向に移動可能に支持している。
言い換えると、オートテンショナ53は、テンショナプーリ55のプーリ下限位置からの上方向への移動により、ワイヤ58について最大でステージ移動可能距離と同等の長さの余剰分を吸収し得るようにしている。
よって紙幣収納部26では、オートテンショナ53によりステージ移動可能距離と同等の長さの余剰分を吸収していれば、紙幣繰出時、リール50からワイヤ58を追加で繰り出すことなく、その余剰分を有効に利用して紙幣集積庫30内からの紙幣Bの繰り出しを完了させることができる。
ただし、紙幣収納部26では、仮にワイヤ58の余剰分の長さが比較的短いために、紙幣集積庫30内からの紙幣Bの繰り出しが完了する前に、ステージ40Aの上昇に当該ワイヤ58の余剰分を使い切り、オートテンショナ53においてテンショナプーリ55がプーリ下限位置まで下がると、その時点でステージ40Aを上昇させ得なくなる。
このため、紙幣処理制御部20は、このようにリール50から繰り出したワイヤ58の余剰分が比較的短い場合、モータ49を適宜駆動してリール50を他回転方向へ回転させている。
これにより紙幣収納部26では、リール50からワイヤ58を適宜繰り出して当該ワイヤ58の余剰分を補充することで、紙幣集積庫30内でステージ40Aを、ワイヤ58による下方向への引張力を何ら与えることなく、2つの圧縮コイルばね42、43の弾性力のみで継続して徐々に上昇させる。
このようにして紙幣収納部26では、紙幣集積庫30において2つの圧縮コイルばね42、43のみにより一対の繰出ローラ36の周側面の下側に最上位紙幣Bの上面を常に同一の押圧力で押し付けた状態で、当該最上位紙幣Bを繰り出させることができる。
なお、以上、1つの紙幣収納部26の構成について説明したが、他の2つの紙幣収納部24、25は、上述のように当該1つの紙幣収納部26とは逆向きに配置されており、基本的には同様に構成されている。
ただし、2つの紙幣収納部24、25は、例えば、収納する紙幣の取扱量に応じて、紙幣集積庫の高さと共に2つの圧縮コイルばねの長さ及びステージの上下の移動範囲等が適宜選定されている。
(1−4)第1の実施の形態の動作及び効果
以上の構成において、自動釣銭機1の紙幣収納部24乃至26では、紙幣集積庫30にステージ40Aを上方向及び下方向に移動可能に支持すると共に、当該ステージ40Aと底面30AXとの間に、そのステージ40Aを押し上げる(上方向に移動させる)ように付勢する2つの圧縮コイルばね42、43を介在させる。
また自動釣銭機1の紙幣収納部24乃至26では、ステージ40Aの下面40AYの中央部にワイヤ58の一端を係止する。
さらに自動釣銭機1の紙幣収納部24乃至26では、ワイヤ58の他端側をステージ40Aを真下に引っ張るように引き回した状態で、当該ワイヤ58の他端を、モータ49に取り付けられたリール50に係止する。
そして自動釣銭機1の紙幣収納部24乃至26では、紙幣収納時、モータ49の駆動に応じてリール50にワイヤ58を巻き取ることで、紙幣集積庫30内でステージ40Aを、ワイヤ58によって真下に引っ張るようにして2つの圧縮コイルばね42、43を縮めて下降させる。
従って自動釣銭機1の紙幣収納部24乃至26は、従来に比して簡易な構成で、紙幣集積庫30内でステージ40Aをほぼ水平にしたまま左側壁30Dや右側壁30F等に引っ掛けることなく下降させることができる。
よって自動釣銭機1の紙幣収納部24乃至26は、紙幣集積庫30内で一対の繰出ローラ36の周側面の下側と最上位紙幣Bの上面との間に、新たに紙幣Bを取り込むための十分なスペースを確保することができる。
以上の構成によれば、自動釣銭機1の紙幣収納部24乃至26は、紙幣集積庫30にステージ40Aを上方向及び下方向に移動可能に支持して、当該ステージ40Aと底面30AXとの間に、そのステージ40Aの下面40AYに所定の押圧力で押し付けるようにして2つの圧縮コイルばね42、43を介在させ、当該ステージ40Aの下面40AYの中央部にワイヤ58の一端を係止すると共に、そのワイヤ58を、ステージ40Aを真下に引っ張るように引き回した状態で当該ワイヤ58の他端を、モータ49に取り付けられたリール50に係止し、紙幣収納時、モータ49の駆動に応じてリール50にワイヤ58を巻き取ることで、紙幣集積庫30内でステージ40Aを、ワイヤ58によって真下に引っ張るようにして2つの圧縮コイルばね42、43を縮めて下降させるようにした。
これにより自動釣銭機1の紙幣収納部24乃至26は、従来に比して簡易な構成で、紙幣集積庫30内でステージ40Aをほぼ水平にしたまま引っ掛かりなく下降させて、一対の繰出ローラ36の周側面の下側と最上位紙幣Bの上面との間に、新たに紙幣Bを取り込むための十分なスペースを確保することができる。よって自動釣銭機1の紙幣収納部24乃至26は、紙幣集積庫30内に紙幣Bを的確に取り込んで収納することができる。
また自動釣銭機1の紙幣収納部24乃至26は、ワイヤ58の一端を、ステージ40Aにかかる2つの圧縮コイルばね42、43の押圧力を、当該ステージ40Aを水平にするように釣り合わせるような下面40AYの中央部のワイヤ係止位置P3に係止するようにした。
従って自動釣銭機1の紙幣収納部24乃至26は、紙幣収納時、紙幣集積庫30内でステージ40Aを、より確実に引っ掛かりなく下降させて、新たに紙幣Bを取り込むための十分なスペースを的確に確保することができる。
さらに自動釣銭機1の紙幣収納部24乃至26は、紙幣繰出時、モータ49の駆動に応じてリール50からワイヤ58を繰り出すことで、紙幣集積庫30内でワイヤ58によるステージ40Aの下方向への引っ張りを緩めて2つの圧縮コイルばね42、43を伸ばして当該ステージ40Aを押し上げるようにして紙幣繰出位置まで上昇させる。
そして自動釣銭機1の紙幣収納部24乃至26は、この際、リール50からワイヤ58を、紙幣集積庫30内でステージ40Aを紙幣繰出位置まで上昇させるのに必要な長さよりも長く繰り出すようにした。
従って、自動釣銭機1の紙幣収納部24乃至26は、紙幣集積庫30内でステージ40Aと共に当該ステージ40A上の複数の紙幣Bをモータ49のトルクの影響を何ら受けずに、2つの圧縮コイルばね42、43の比較的大きな弾性力のみで上方向に付勢して、最上位紙幣Bの上面を一対の繰出ローラ36の周側面の下側に所定の押圧力で押し付けることができる。
すなわち、自動釣銭機1の紙幣収納部24乃至26は、ステージ40A上の複数の紙幣Bの状態に何ら依存せずに、リール50からワイヤ58を、紙幣集積庫30内でステージ40Aを紙幣繰出位置まで上昇させるのに必要な長さよりも長く繰り出すだけの簡易な制御で、2つの圧縮コイルばね42、43により最上位紙幣Bの上面を一対の繰出ローラ36の周側面の下側に一定の圧力で押し付けることができる。
そして自動釣銭機1の紙幣収納部24乃至26は、ワイヤ58の引回途中に、当該ワイヤ58にテンションをかけるオートテンショナ53を設けるようにした。
従って自動釣銭機1の紙幣収納部24乃至26は、紙幣繰出時にリール50からワイヤ58を、ステージ40Aを紙幣繰出位置まで上昇させるのに必要な長さよりも長く繰り出しても、当該ワイヤ58が弛んでステージ側プーリ46やモータ側プーリ48等から外れることを回避することができる。
よって自動釣銭機1の紙幣収納部24乃至26は、このように紙幣繰出時にリール50からワイヤ58を必要以上に繰り出すようにしても、何ら不具合を生じることなく、その後も紙幣Bの繰り出しや収納用に動作し続けることができる。
さらに自動釣銭機1の紙幣収納部24乃至26は、紙幣集積庫30内でステージ40Aを上昇及び下降させるための駆動部を1つのモータ49及び1本のワイヤ58をもとに構成するようにした。
よって自動釣銭機1の紙幣収納部24乃至26は、係る駆動部の構成を簡易化及び小型することができ、その結果、駆動部の配置レイアウトの自由度を格段的に向上させることができる。
(2)第2の実施の形態
(2−1)自動釣銭機の構成
図1及び図2との対応部分に同一符号を付して示す図11及び図12は、第2の実施の形態による自動釣銭機70を示し、紙幣処理部71内の紙幣収納部72乃至74の一部構成を除いて上述した第1の実施の形態による自動釣銭機1と同様に構成されている。
(2−2)紙幣収納部の構成
この場合、紙幣収納部72及び73と紙幣収納部74とでは、図12からも明らかなように配置の向きが逆であるものの、基本的には同様に構成されている。
このため、以下には、1つの紙幣収納部74の構成について具体的に説明し、他の紙幣収納部72及び73の具体的な構成については説明を省略する。
図3との対応部分に同一符号を付した図13に示すように、紙幣収納部74は、モータ側支持部47、モータ側プーリ48及びオートテンショ53の換わりにテンショナ一体型リール76が設けられた構成を除いて上述した第1の実施の形態による紙幣収納部26と同様に構成されている。
図14(A)及び(B)に示すように、テンショナ一体型リール76は、平歯車でなる駆動ギヤ77と、リール78と、トーションばね79と、リール軸80とを有している。
駆動ギヤ77は、一面77Aにおいて中心にリール軸80に対応する軸孔77AXが穿設されると共に、当該軸孔77AXの近傍の所定位置にトーションばね79の一端を挿入するためのばね孔77AYが穿設されている。
また駆動ギヤ77は、一面77Aにおいて複数の歯が形成された周側面寄りの所定位置に円柱状の突起部77AZが植設されている。
一方、リール78は、一面78Aにおいて中心部にトーションばね79のコイル部79Aに対応する所定の深さ及び所定の直径を有する図示しない穴が形成されている。
またリール78は、穴の底の中心にリール軸80に対応する軸孔78AXが穿設されると共に、当該穴の底において軸孔78AXの近傍の所定位置にトーションばね79の他端を挿入するための図示しないばね孔も穿設されている。
さらにリール78は、一面78Aの外周寄りに、その外周に沿った円弧状の突起移動溝78AYが形成されている。
リール78の突起移動溝78AYは、その幅が、駆動ギヤ77の突起部77AZの直径とほぼ等しく選定されると共に、その長さが、例えば、紙幣集積庫30内でのステージ40Aのステージ移動可能距離以下の長さに選定されている。
さらにトーションばね79は、コイル部79Aの巻き数やバネ定数等が適宜選定され、上述の圧縮コイルばね42、43の弾性力よりも十分に小さい所定の弾性力を有するように形成されている。
そしてリール78は、ばね孔にトーションばね79の他端が挿入された状態で、穴に当該トーションばね79のコイル部79Aが挿入されている。
また駆動ギヤ77は、トーションばね79をある程度縮めた状態で、ばね孔に当該トーションばね79の一端が挿入されると共に、突起部77AZがリール78の突起移動溝78AYに挿入されている。
このようにしてテンショナ一体型リール76では、駆動ギヤ77とリール78とが、当該リール78の穴にトーションばね79を挿入した状態で互いの一面77A、78Aを対向させるようにして組み合わせられている。
そのうえでテンショナ一体型リール76は、リール軸80の一端部が、駆動ギヤ77の他面側から軸孔77AXに挿入された後、トーションばね79のコイル部79A及びリール78の軸孔78AXに順に挿入されている。
そしてテンショナ一体型リール76は、リール軸80に対し、駆動ギヤ77が固定されると共に、リール78が当該リール軸80を中心にして一回転方向及び他回転方向へ回動可能に支持されている。
ただし、テンショナ一体型リール76は、リール78の突起移動溝78AYに駆動ギヤ77の突起部77AZが挿入されている。
よってテンショナ一体型リール76は、駆動ギヤ77に対しリール78を、突起部77AZに突起移動溝78AYの一端を突き当てる位置から当該突起移動溝78AYの他端を突き当てる位置までの回転範囲で回動する。
またテンショナ一体型リール76は、トーションばね79により、駆動ギヤ77に対しリール78を一回転方向に回転させるように付勢している。
そして紙幣収納部74は、紙幣集積庫30の前壁30Cの下端中央部の前に、図示しないリール支持部が配置され、当該リール支持部にテンショナ一体型リール76がリール軸80を左方向と平行にして一回転方向及び他回転方向に回動可能に支持されている。
また紙幣収納部74は、モータ49の出力軸49Aが、図示しない複数の駆動伝達ギヤを介してテンショナ一体型リール76の駆動ギヤ77に連結されている。
そして紙幣収納部74は、テンショナ一体型リール76のリール78に、ステージ40の下面40AYからステージ側プーリ46を介して前方向に引き回されたワイヤ58の他端が係止されている。
ここで、紙幣収納部74による紙幣集積庫30内への紙幣Bの収納と、当該紙幣集積庫30内からの紙幣Bの繰り出しとについて順に説明する。
ただし、以下に説明する紙幣集積庫30内への紙幣Bの収納についても、上述した第1の実施の形態と同様に、紙幣集積庫30内からの紙幣Bの繰り出し後に行われる(すなわち、紙幣集積庫30内で紙幣Bの繰り出しのためにステージ40Aを上昇させていた状態から行われる)場合を例にしている。
このため、紙幣集積庫30内への紙幣Bの収納については、後の紙幣Bの繰り出しの説明において詳述するが、紙幣Bの繰出用にステージ40Aを上昇させた際、テンショナ一体型リール76のリール78を駆動ギヤ77よりも一回転方向へ回転させてワイヤ58を弛まない程度にのみ巻き取っていた状態から行われるものとする。
また、以下の説明において、紙幣集積庫30内からの紙幣Bの繰り出しについては、紙幣集積庫30内への紙幣Bの収納の後に行われる(すなわち、紙幣集積庫30内で紙幣Bの収納のためにステージ40Aを下降させていた状態から行われる)場合を例にしている。
図15に示すように、紙幣処理制御部20は、紙幣収納時、紙幣収納部74においてテンショナ一体型リール76のリール78を駆動ギヤ77よりも一回転方向へ回転させてワイヤ58を弛まない程度にのみ巻き取っていた状態で、モータ49を駆動し始めて当該駆動ギヤ77を一回転方向へ回転させる。
この際、紙幣収納部74では、上述のようにテンショナ一体型リール76においてトーションばね79が駆動ギヤ77に対しリール78を一回転方向に回転させるように付勢してワイヤ58に弛まない程度にテンションをかけている。
ただし、紙幣収納部74では、トーションばね79の弾性力が比較的小さいため、テンショナ一体型リール76においてリール78が一回転方向へはほとんど回転せずに駆動ギヤ77が一回転方向に回転する。
このため図16に示すように、紙幣収納部74では、テンショナ一体型リール76において駆動ギヤ77が、トーションばね79を縮めてワイヤ58にかかるテンションを徐々に強めながら、突起部77AZをリール78の突起移動溝78AYの一端に突き当てるまで回転する。
そのうえで図17に示すように、紙幣収納部74では、テンショナ一体型リール76において駆動ギヤ77が、突起部77AZをリール78の突起移動溝78AYの一端に突き当てたまま、さらに一回転方向に回転することで、その回転に連動させて当該駆動ギヤ77と共にリール78も一回転方向に回転させる。
これにより紙幣収納部74は、テンショナ一体型リール76のリール78にワイヤ58を巻き取って、当該ワイヤ58をテンショナ一体型リール76側に引っ張る。
よって紙幣収納部74では、紙幣集積庫30内でステージ40Aをワイヤ58によって真下に引っ張るようにして2つの圧縮コイルばね42、43を強制的に縮めて、当該ステージ40Aを下降(下方向へ移動)させる。
このようにして紙幣処理制御部20は、紙幣集積庫30内でステージ40Aを下降させ、この後は紙幣処理制御部20の制御のもと、上述した第1の実施の形態の場合と同様に動作することで、当該紙幣集積庫30内に紙幣Bを取り込んでステージ40A上に集積するようにして収納する。
ところで、紙幣処理制御部20は、紙幣集積庫30内に紙幣Bを収納し始めると、モータ49を適宜駆動してテンショナ一体型リール76の駆動ギヤ77を一回転方向へ回転させる。
このため紙幣収納部74では、テンショナ一体型リール76において駆動ギヤ77と共にリール78を一回転方向に回転させて、当該リール78にワイヤ58を、テンションをかけた状態で徐々に巻き取る。
よって紙幣収納部74では、上述した第1の実施の形態の場合と同様に紙幣集積庫30内に新たに紙幣Bを取り込む毎に、ステージ40Aをワイヤ58で下方向に一定距離だけ引っ張るようにして2つの圧縮コイルばね42、43を縮めて下降(下方向へ移動)させる。
これにより紙幣収納部74では、紙幣集積庫30において一対の繰出ローラ36の周側面の下側と最上位紙幣Bの上面とを、常に紙幣Bの所定枚数分の厚みに相当する距離だけ離隔させた状態で紙幣Bを取り込む。
一方、図18に示すように、紙幣処理制御部20は、紙幣繰出時、紙幣収納部74において上述のようにテンショナ一体型リール76の駆動ギヤ77をリール78と共に一回転方向に回転させていたため、ワイヤ58に2つの圧縮コイルばね42、43によってステージ40Aと共に上方向へ引っ張るような力がかかっている状態で、モータ49を駆動し始めて駆動ギヤ77を他回転方向へ回転させる。
よって紙幣収納部74では、駆動ギヤ77の他回転方向への回転に応じて突起部77AZが他回転方向に変位すると、2つの圧縮コイルばね42、43によるワイヤ58の引っ張りに応じて、その駆動ギヤ77と共にリール78も突起移動溝78AYの一端を突起部77AZに突き当てたまま他回転方向に回転させる。
これにより紙幣収納部74では、テンショナ一体型リール76のリール78からワイヤ58を、テンションをかけたまま繰り出して紙幣集積庫30に送り出すことで、これに応じて2つの圧縮コイルばね42、43を徐々に伸ばしてステージ40Aを押し上げるようにして上昇(上方向へ移動)させる。
そして紙幣処理制御部20は、上述した第1の実施の形態の場合と同様に光センサを介して、最上位紙幣Bが光ビームの遮光位置に到達したことを検出すると、その時点からモータ49をさらに一定の間、駆動した後、その駆動を停止する。
よって紙幣収納部74では、テンショナ一体型リール76において駆動ギヤ77共にリール78を共に他回転方向に回転させて、当該リール78からワイヤ58をさらに繰り出すことで、紙幣集積庫30内でワイヤ58によるステージ40Aの下方向への引っ張りを緩める。
これにより紙幣収納部74では、紙幣集積庫30内で2つの圧縮コイルばね42、43をさらに伸ばしてステージ40Aを紙幣繰出位置まで上昇(上方向へ移動)させて、最上位紙幣Bの上面を一対の繰出ローラ36の周側面の下側に所定の押圧力で押し付ける。
ところで、紙幣収納部74では、この際、紙幣処理制御部20による上述の一定の間のモータ49の駆動に応じて、紙幣集積庫30内でステージ40Aを紙幣繰出位置まで上昇させた後も、テンショナ一体型リール76の駆動ギヤ77を他回転方向へある程度回転させる。
ただし、紙幣収納部74では、紙幣集積庫30内でステージ40Aが紙幣繰出位置まで上昇した時点に、2つの圧縮コイルばね42、43がワイヤ58を引っ張らなくなる(すなわち、ワイヤ58にステージ40Aと共に上方向へ引っ張るような力がかからなくなる)。
このため紙幣収納部74では、ステージ40Aが紙幣繰出位置まで上昇した時点に、テンショナ一体型リール76においてリール78だけは他回転方向への回転を自動的に停止させる。
そして紙幣収納部74では、テンショナ一体型リール76においてトーションばね79がリール78を一回転方向へ回転させるように付勢している。
従って紙幣収納部74では、このようにしてリール78の回転を停止させても、当該リール78にワイヤ58を弛まない程度に巻き取っているような状態(すなわち、ワイヤ58にリール78側に引っ張って弛まない程度にテンションをかけている状態)にすることができる。
よって図19に示すように、紙幣収納部74では、この際、テンショナ一体型リール76において駆動ギヤ77の突起部77AZをリール78の突起移動溝78AY内で一端から離して他端側へ移動させるようにして、リール78の回転は停止させたまま、駆動ギヤ77のみを他回転方向へある程度回転させる。
これにより紙幣収納部74では、紙幣集積庫30内でステージ40Aと共に当該ステージ40A上の複数の紙幣Bをモータ49のトルクの影響を何ら受けずに、2つの圧縮コイルばね42、43のみで上方向に付勢して、最上位紙幣Bの上面を一対の繰出ローラ36の周側面の下側に所定の押圧力で押し付けることができる。
そして紙幣収納部74では、紙幣集積庫30内でステージ40Aを紙幣繰出位置まで上昇させた際、当該ステージ40Aと共に複数の紙幣Bを2つの圧縮コイルばね42、43のみで上方向に付勢しているものの、リール78にワイヤ58を弛まない程度に巻き取っていることにより、当該ワイヤ58がステージ側プーリ46から外れることを回避している。
このようにして紙幣収納部74では、ステージ40Aを紙幣繰出位置まで上昇させると、この後は紙幣処理制御部20の制御のもと、上述した第1の実施の形態の場合と同様に動作することで、当該紙幣集積庫30内から1枚の紙幣Bを繰り出して搬送路27に受け渡す。
ところで、紙幣収納部74では、この際、上述のようにテンショナ一体型リール76においてリール78の回転は停止させたまま、駆動ギヤ77の突起部77AZをリール78の突起移動溝78AY内で一端から離すようにして当該駆動ギヤ77のみを他回転方向へある程度回転させている。
そして紙幣収納部74では、リール78にワイヤ58を弛まない程度に巻き取っているような状態(すなわち、ワイヤ58に弛まない程度にテンションをかけている状態)で、当該ワイヤ58の回転を停止させている。
このため、紙幣収納部74では、紙幣集積庫30内から紙幣Bを1枚ずつ分離して繰り出す毎に、2つの圧縮コイルばね42、43によりリール78からワイヤ58を、当該リール78を他回転方向に回転させて1枚の紙幣Bの厚み分の長さだけ引き出すようにして、ステージ40Aを徐々に上昇(上方向に移動)させている。
これにより紙幣収納部74では、紙幣集積庫30内から紙幣Bを順次繰り出しても、その間、ステージ40Aと共に当該ステージ40A上の複数の紙幣Bをモータ49のトルクの影響を何ら受けずに、2つの圧縮コイルばね42、43のみで上方向に付勢して、最上位紙幣Bの上面を一対の繰出ローラ36の周側面の下側に所定の押圧力で押し付けることができる。
そして紙幣収納部74では、上述のようにリール78にステージ移動可能距離以下の長さの突起移動溝78AYが形成されている。
言い換えると、紙幣収納部74では、この際、例えば、リール78に対し駆動ギヤ77が、突起部77AZをステージ移動可能距離と等しい長さの突起移動溝78AYの他端に突き当てるまで回転していると、2つの圧縮コイルばね42、43によりリール78からワイヤ58を、ステージ移動可能距離と同等の長さだけ引き出すことができる。
よって紙幣収納部74では、例えば、リール78に対し駆動ギヤ77が、突起部77AZを突起移動溝78AYの他端に突き当てるまで回転していれば、紙幣繰出時、駆動ギヤ77を他回転方向に追加で回転させることなく(すなわち、回転を停止させたまま)、リール78からワイヤ58を徐々に引き出すようにして、紙幣集積庫30内からの紙幣Bの繰り出しを完了させることができる。
ただし、紙幣収納部74では、仮にリール78に対し駆動ギヤ77が、突起部77AZを突起移動溝78AYの一端と他端との間に位置させるように回転していたために、紙幣集積庫30内からの紙幣Bの繰り出しが完了する前に、駆動ギヤ77の突起部77AZにリール78の突起移動溝78AYの一端が突き当たると、その時点で2つの圧縮コイルばね42、43によってはリール78からワイヤ58を引き出せなくなる。
このため、紙幣処理制御部20は、このような場合、モータ49を適宜駆動して駆動ギヤ77を他回転方向へ回転させ、当該駆動ギヤ77の突起部77AZを突起移動溝78AYの他端側に変位させる。
これにより紙幣収納部74では、2つの圧縮コイルばね42、43によりリール78からワイヤ58を引き出すことが可能な長さを増加させ、かくして紙幣集積庫30内でステージ40Aを、ワイヤ58による下方向への引張力を何ら与えることなく、2つの圧縮コイルばね42、43の弾性力のみで継続して徐々に上昇させる。
このようにして紙幣収納部74では、紙幣集積庫30において2つの圧縮コイルばね42、43のみにより一対の繰出ローラ36の周側面の下側に最上位紙幣Bの上面を常に同一の押圧力で押し付けた状態で、当該最上位紙幣Bを繰り出させることができる。
なお、以上、1つの紙幣収納部74の構成について説明したが、他の2つの紙幣収納部72、73は、上述のように当該1つの紙幣収納部74とは逆向きに配置されており、基本的には同様に構成されている。
ただし、2つの紙幣収納部72、73は、例えば、収納する紙幣の取扱量に応じて、紙幣集積庫の高さと共に2つの圧縮コイルばねの長さ及び昇降台の上下の移動範囲等が適宜選定されている。
(2−3)第2の実施の形態の動作及び効果
以上の構成において、自動釣銭機70の紙幣収納部72乃至74では、紙幣集積庫30の前に、上述の第1の実施の形態によるオートテンショナ53(図3)とリール50(図3)とを一体化させたような1つのテンショナ一体型リール76を設ける。
そして自動釣銭機70の紙幣収納部72乃至74では、紙幣収納時、モータ49の駆動に応じてテンショナ一体型リール76のリール78にワイヤ58を巻き取ることで、紙幣集積庫30内でステージ40Aを、ワイヤ58によって真下に引っ張るようにして2つの圧縮コイルばね42、43を縮めて下降させる。
従って自動釣銭機70の紙幣収納部72乃至74は、上述した第1の実施の形態に比して格段的に簡易な構成で、ステージ40Aを紙幣集積庫30の左側壁30Dや右側壁30F等に引っ掛けることなく下降させて、当該紙幣集積庫30内で一対の繰出ローラ36の周側面の下側と最上位紙幣Bの上面との間に、新たに紙幣Bを取り込むための十分なスペースを確保することができる。
以上の構成によれば、自動釣銭機70の紙幣収納部72乃至74は、1つのテンショナ一体型リール76を設け、紙幣収納時、モータ49の駆動に応じてテンショナ一体型リール76のリール78にワイヤ58を巻き取ることで、紙幣集積庫30内でステージ40Aを、ワイヤ58によって真下に引っ張るようにして2つの圧縮コイルばね42、43を縮めて下降させるようにした。
これにより自動釣銭機70の紙幣収納部72乃至74は、上述した第1の実施の形態によって得られる効果と同じ効果を得ることができると共に、これに加えて、上述した第1の実施の形態に比して構成を格段的に簡易化することができる。
(3)他の実施の形態
(3−1)他の実施の形態1
なお上述した第1及び第2の実施の形態においては、紙幣集積庫30内にステージ40Aを上方向に押し上げるように付勢する2つの圧縮コイルばね42、43を設けるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明は、これに限らず、紙幣集積庫30内にステージ40Aを上方向に押し上げるように付勢する1つの圧縮コイルばねや、3つ以上の圧縮コイルばねを設けるようにしても良い。
すなわち、本発明は、紙幣集積庫30内でステージ40Aをほぼ水平にしたまま1本のワイヤ58により下降させ、また1又は複数の圧縮コイルばねにより上昇させることができれば、種々の個数の圧縮コイルばねを種々の配置位置に配置することができる。
(3−2)他の実施の形態2
また上述した第2の実施の形態においては、紙幣収納部72乃至74に、周側面に一周に亘って、駆動伝達ギヤと歯合可能な複数の歯が形成された駆動ギヤ77を有するテンショナ一体型リール76を設けるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明は、これに限らず、図15との対応部分に同一符号を付した図20に示すように、周側面の一部にのみ、駆動伝達ギヤと歯合可能な複数の歯が形成された駆動ギヤ83を有するテンショナ一体型リール84を設けるようにしても良い。
すなわち、本発明は、例えば、図15との対応部分に同一符号を付した図21に示すように、仮にテンショナ一体型リール76において駆動ギヤ77と共にリール78を他回転方向に必要以上に回転させると、当該リール78から繰り出したワイヤ58が弛んでステージ側プーリ46から外れることが考えられる。
しかしながら、本発明は、テンショナ一体型リール84を図20に示すように構成することで、駆動ギヤ83の他回転方向に対する回転角度を規制して、これに応じてリール78の他回転方向に対する回転角度も規制することができる。
よって本発明は、係る構成によれば、テンショナ一体型リール84において駆動ギヤ83と共にリール78を他回転方向に必要以上に回転させることを回避することができる。
従って本発明は、係る構成により、リール78から繰り出したワイヤ58が弛んでステージ側プーリ46から外れることも回避することができる。
また本発明は、上述した第1の実施の形態においてモータ49の出力軸49Aとリール50とを1又は複数の駆動伝達ギヤを介して連結して、その駆動伝達ギヤの少なくとも1つとして、周側面の一部にのみ複数の歯が形成された部分ギヤを用いるようにしても良い。
本発明は、係る構成によれば、上述した第1の実施の形態のようにモータ49を駆動してリール50を直接回転させる場合でも、当該リール50の回転角度を規制することができる。
よって本発明は、係る構成によれば、リール50からワイヤ58を、オートテンショナ53でテンションをかけることが可能な長さに限定して繰り出すことができ、当該ワイヤ58が弛んでステージ側プーリ46やモータ側プーリ48等から外れることをほぼ確実に回避することができる。
(3−3)他の実施の形態3
さらに上述した第2の実施の形態においては、紙幣収納部72乃至74にそれぞれテンショナ一体型リール76を駆動するモータ49を設けるようにした場合について述べた。
しかしながら本発明は、これに限らず、図22に示すように、例えば、互いに同一方向を向けて前後に配置された2つの紙幣収納部72、73各々のテンショナ一体型リール85、86を1本のリール軸87にまとめて取り付ける。
また本発明は、その1本のリール軸86に取り付けた2つのテンショナ一体型リール85、86を、前側に配置された紙幣収納部72の紙幣集積庫88の前に一回転方向及び他回転方向に回動可能に支持する。
さらに本発明は、2つのテンショナ一体型リール85、86のリール90、91と、2つの紙幣集積庫88、89のステージ92、93とをそれぞれワイヤ94、95によって接続する。
そして本発明は、2つのテンショナ一体型リール85、86の駆動ギヤ96、97の両方に、一回転方向及び他回転方向に回動可能に支持された1本の長尺なギヤ98を歯合させた上で、当該ギヤ98をモータ99の出力軸99Aに1又は複数の駆動伝達ギヤを介して連結する。
本発明は、係る構成により、1つのモータ49を駆動して2つのテンショナ一体型リール85、86の駆動ギヤ96、97や、リール90、91を一括して回転させることができ、上述した第2の実施の形態に比して紙幣収納部の構成を簡易化することができる。
そして本発明は、係る構成を、他の実施の形態2で上述した構成と組み合わせることもできる。よって本発明は、係る構成の組み合わせによれば、紙幣収納部の構成を簡易化し得ることに加えて、リール90、91から繰り出したワイヤ94、95が弛んでステージ側プーリ46から外れることも回避することができる。
(3−4)他の実施の形態4
さらに上述した第2の実施の形態においては、テンショナ一体型リール76において駆動ギヤ77に突起部77AZを設け、リール78に突起移動溝78AYを形成するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明は、これに限らず、テンショナ一体型リール76において駆動ギヤ77に突起移動溝を形成し、リール78に突起部を設けるようにしても良い。
また本発明は、テンショナ一体型リール76においてリール78にトーションばね79を収納せずに、駆動ギヤ77に穴を形成してトーションばね79を収納するようにしても良い。
さらに本発明は、例えば、テンショナ一体型リールの構成部品として、一面において中央部にトーションばねを収納する穴が形成されと共に、周側面の近傍に当該周側面に沿って突起移動溝が形成され、かつ他面において周側面の近傍の所定位置に突起部が植設された円板状の1又は複数の中間回転板と共に、その中間回転板の穴にそれぞれ収納するための1又は複数のトーションばねを用意する。
そして本発明は、テンショナ一体型リールを、駆動ギヤとリールとの間に、これらを上述した第2の実施の形態のように直接組み合わせる場合と同様に、1又は複数の中間回転板及び1又は複数のトーションばねとを介在させるようにして組み立てて用いるようにしても良い。
本発明は、係る構成のテンショナ一体型リールを用いる場合、リール(又は駆動ギヤ)の突起移動溝と、1又は複数の中間回転板の突起移動溝との全体の長さを、例えば、ステージ移動可能距離以下の長さのように、リールに対し駆動ギヤを相対的に所望の回転角度まで回転可能なように選定する。
これにより本発明は、係る構成のテンショナ一体型リールを用いる場合、当該テンショナ一体型リールにおいて駆動ギヤ、リール、1又は複数の中間回転板の直径を、上述した第2の実施の形態によるテンショナ一体型リール76の駆動ギヤ及びリールの直径より小さくしながらも、上述した第2の実施の形態の場合と同様にリールに対しワイヤ58を巻き取り又は繰り出すことができる。
そして本発明は、係る構成によれば、テンショナ一体型リールの直径(駆動ギヤ、リール、1又は複数の中間回転板の直径)が小さいため、例えば、個々の紙幣収納部を互いに近づけて配置して、紙幣収納部全体を小型化することができる。
(3−5)他の実施の形態5
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、本発明の紙葉類収納装置を、図1乃至図22について上述した自動釣銭機1、70の紙幣処理部18、71に設けられた紙幣収納部24乃至26、72乃至74に適用するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明は、これに限らず、現金自動預払機(ATM:Automatic Teller Machine)、現金自動支払機(CD:Cash Dispenser)、両替機、飲料やタバコ等の自動販売機、電車の切符や観劇のチケット等を販売する券売機、精算機、遊戯機(パチンコ台やスロット台等)等のような紙葉類としての紙幣を取り扱う紙幣取扱装置に設けられる紙幣収納部に広く適用することができる。
また本発明は、紙葉類収納装置を、コピー機、プリンタ、写真現像機等のように紙葉類としてコピー用紙や印画紙等の印刷紙を扱う印刷機等に設けられる印刷紙収納部等のように、この他種々の紙葉類収納装置にも広く適用することができる。
(3−6)他の実施の形態6
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、本発明の紙葉類取扱装置を、図1乃至図22について上述した自動釣銭機1に適用するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明は、これに限らず、現金自動預払機、現金自動支払機、両替機、自動販売機、券売機、精算機、遊戯機等の紙幣取扱装置や、コピー機、プリンタ、写真現像機等の印刷機等のように、この他種々の紙葉類取扱装置に広く適用することができる。
(3−7)他の実施の形態7
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、上方向及び下方向に移動可能に支持されたステージの上面に集積される紙葉類として、図1乃至図22について上述した紙幣Bを適用するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明は、これに限らず、コピー用紙や印画紙等のように、この他種々の紙葉類を広く適用することができる。
(3−8)他の実施の形態8
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、上方向及び下方向に移動可能に支持され、上面に紙葉類を集積するためのステージとして、図1乃至図22について上述した、紙幣Bの大きさとほぼ等しい大きさの長方形の平板状のステージ40Aを適用するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明は、これに限らず、集積対象の紙葉類の種類に応じて正方形や楕円形、円形等のように、この他種々のステージを広く適用することができる。
(3−9)他の実施の形態9
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、ステージの下面に所定の押圧力で押し付けられて配置され、当該ステージを上方向に押し上げるように付勢する付勢部として、図1乃至図22について上述した2つの圧縮コイルばね42、43を適用するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明は、これに限らず、1つの圧縮コイルばねや、3つ以上の圧縮コイルばね、1又は複数の板ばね等のように、この他種々の付勢部を広く適用することができる。
(3−10)他の実施の形態10
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、リールとして、図1乃至図22について上述したリール50と、テンショナ一体形リール76、84、85、86のリール78、90、91とを適用するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明は、これに限らず、テンショナ一体型リールにおいて突起移動溝に換えて突起部が設けられたリールのように、この他種々の構成のリールを広く適用することができる。
(3−11)他の実施の形態11
さらに上述した第1及び第2の実施の形態においては、ワイヤが弛まないように、当該ワイヤにリール側に引っ張るようなテンションをかけるテンショナとして、図1乃至図22について上述したオートテンショナ53と、テンショナ一体形リール76、84、85、86とを適用するようにした場合について述べた。
しかしながら本発明は、これに限らず、ワイヤが弛まないように、当該ワイヤにリール側に引っ張るようなテンションをかけることができれば、この他種々の構成のテンショナを広く適用することができる。