JP5789461B2 - レジスト組成物、レジストパターン形成方法 - Google Patents

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本発明は、アルカリ現像液で現像することによりネガ型レジストパターンを形成するレジストパターン形成方法に関する。
基板の上に微細なパターンを形成し、これをマスクとしてエッチングを行うことによって該パターンの下層を加工する技術(パターン形成技術)は、半導体素子や液晶表示素子の製造において広く採用されている。微細パターンは、通常、有機材料からなり、例えばリソグラフィー法やナノインプリント法等の技術によって形成される。たとえばリソグラフィー法においては、基板等の支持体の上に、樹脂等の基材成分を含むレジスト材料を用いてレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対し、光、電子線等の放射線にて選択的露光を行い、現像処理を施すことにより、前記レジスト膜に所定形状のレジストパターンを形成する工程が行われる。そして、上記レジストパターンをマスクとして、基板をエッチングにより加工する工程を経て半導体素子等が製造される。
前記レジスト材料はポジ型とネガ型とに分けられ、露光した部分の現像液に対する溶解性が増大するレジスト材料をポジ型、露光した部分の現像液に対する溶解性が低下するレジスト材料をネガ型という。
前記現像液としては、通常、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液等のアルカリ水溶液(アルカリ現像液)が用いられている。また、芳香族系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤、エーテル系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、アミド系溶剤、アルコール系溶剤等の有機溶剤を現像液として用いることも行われている(たとえば特許文献1、2参照)。
近年、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。
微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化(高エネルギー化)が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、これらエキシマレーザーより短波長(高エネルギー)のEB(電子線)、EUV(極紫外線)やX線などについても検討が行われている。
露光光源の短波長化に伴い、レジスト材料には、露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性等のリソグラフィー特性の向上が求められる。このような要求を満たすレジスト材料として化学増幅型レジストが知られている。
化学増幅型レジストとしては、一般的に、酸の作用により現像液に対する溶解性が変化する基材成分と、露光により酸を発生する酸発生剤成分とを含有する組成物が用いられている。たとえば現像液がアルカリ現像液(アルカリ現像プロセス)の場合、基材成分として、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大するものが用いられている。
従来、化学増幅型レジスト組成物の基材成分としては主に樹脂(ベース樹脂)が用いられている。現在、ArFエキシマレーザーリソグラフィー等において使用される化学増幅型レジスト組成物のベース樹脂としては、193nm付近における透明性に優れることから、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を主鎖に有する樹脂(アクリル系樹脂)が主流である。
ここで、「(メタ)アクリル酸」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸と、α位にメチル基が結合したメタクリル酸の一方あるいは両方を意味する。「(メタ)アクリル酸エステル」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸エステルと、α位にメチル基が結合したメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。「(メタ)アクリレート」とは、α位に水素原子が結合したアクリレートと、α位にメチル基が結合したメタクリレートの一方あるいは両方を意味する。
該ベース樹脂は、一般的に、リソグラフィー特性等の向上のために、複数の構成単位を含有している。たとえば、酸発生剤から発生した酸の作用により分解してアルカリ可溶性基を生じる酸分解性基を有する構成単位とともに、ラクトン構造を有する構成単位、水酸基等の極性基を有する構成単位等が用いられている(たとえば特許文献3参照)。ベース樹脂がアクリル系樹脂である場合、前記酸分解性基としては、一般的に、(メタ)アクリル酸等におけるカルボキシ基を第三級アルキル基、アセタール基等の酸解離性基で保護したものが用いられている。
解像性の更なる向上のための手法の1つとして、露光機の対物レンズと試料との間に、空気よりも高屈折率の液体(液浸媒体)を介在させて露光(浸漬露光)を行うリソグラフィー法、所謂、液浸リソグラフィー(Liquid Immersion Lithography。以下「液浸露光」ということがある。)が知られている(たとえば非特許文献1参照)。
液浸露光によれば、同じ露光波長の光源を用いても、より短波長の光源を用いた場合や高NAレンズを用いた場合と同様の高解像性を達成でき、しかも焦点深度幅の低下もないといわれている。また、液浸露光は、既存の露光装置を応用して行うことができる。そのため、液浸露光は、低コストで、高解像性で、かつ焦点深度幅にも優れるレジストパターンの形成を実現できると予想され、多額な設備投資を必要とする半導体素子の製造において、コスト的にも、解像度等のリソグラフィー特性的にも、半導体産業に多大な効果を与えるものとして大変注目されている。
液浸露光は、あらゆるパターン形状の形成において有効であり、更に、現在検討されている位相シフト法、変形照明法などの超解像技術と組み合わせることも可能であるとされている。現在、液浸露光技術としては、主に、ArFエキシマレーザーを光源とする技術が活発に研究されている。また、現在、液浸媒体としては、主に水が検討されている。
最近提案されているリソグラフィー技術の1つとして、パターニングを2回以上行ってレジストパターンを形成するダブルパターニングプロセスがある(たとえば非特許文献2、3参照)。ダブルパターニングプロセスにはいくつかの方法があり、たとえば、(1)リソグラフィー工程(レジスト組成物の塗布から露光、現像まで)およびエッチング工程を2回以上繰り返してパターンを形成する方法、(2)リソグラフィー工程を続けて2回以上繰り返す方法等がある。ダブルパターニングプロセスによれば、同じ露光波長の光源を用いても、また、同じレジスト組成物を用いても、1回のリソグラフィー工程で形成する場合(シングルパターニング)よりも高解像性のレジストパターンを形成することが可能である。また、ダブルパターニングプロセスは、既存の露光装置を用いて行うことができる。
また、レジスト膜を形成後、該レジスト膜に対して露光を2回以上行い、現像してレジストパターンを形成する二重露光法も提案されている(たとえば特許文献4参照)。この二重露光法によれば、上述したダブルパターニングプロセスと同様、高解像性のレジストパターンを形成することが可能であり、また、ダブルパターニングに比べて工程数が少ないという利点がある。
ポジ型の化学増幅型レジスト組成物、つまり露光によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する化学増幅型レジスト組成物とアルカリ現像液とを組み合わせたポジ型現像プロセスでは、上記のように、レジスト膜の露光部がアルカリ現像液により溶解、除去されてレジストパターンが形成される。ポジ型の化学増幅型レジスト組成物とアルカリ現像液とを組み合わせたポジ型現像プロセスは、ネガ型の化学増幅型レジスト組成物とアルカリ現像液とを組み合わせたネガ型現像プロセスに比べて、フォトマスクの構造を単純にできる、像形成のために充分なコントラストが得やすい、形成されるパターンの特性が優れる等の利点がある。そのため、現在、微細なレジストパターンの形成には、ポジ型の化学増幅型レジスト組成物とアルカリ現像液とを組み合わせたポジ型現像プロセスが主に用いられている。
特開平06−194847号公報 特開2009−025723号公報 特開2003−241385号公報 特開2010−040849号公報
プロシーディングスオブエスピーアイイ(Proceedings of SPIE),第5754巻,第119−128頁(2005年). プロシーディングスオブエスピーアイイ(Proceedings of SPIE),第5256巻,第985〜994頁(2003年). プロシーディングスオブエスピーアイイ(Proceedings of SPIE),第6153巻,第615301−1〜19頁(2006年).
リソグラフィー技術のさらなる進歩、応用分野の拡大等が進むなか、ポジ型の化学増幅型レジスト組成物とアルカリ現像液とを組み合わせたポジ型現像プロセスにも、種々のリソグラフィー特性の改善がよりいっそう求められる。しかし、該ポジ型現像プロセスで孤立トレンチパターンや微細かつ密集したコンタクトホールパターン等を形成する場合、特に膜厚方向で光学強度の弱い領域が生じてレジストパターンの解像性が低下しやすく、パターンの高解像化が難しい。
そのため、上記のようなパターンの形成には、光学強度の弱い領域が選択的に溶解除去されて形成するレジストパターン(ネガ型パターン)形成方法が有用である。主流であるポジ型現像プロセスで用いられる化学増幅型レジスト組成物を用いてネガ型パターンを形成する方法としては、有機溶剤を含有する現像液(有機系現像液)と組み合わせたネガ型現像プロセスが知られている。しかし、当該有機系現像液を用いたネガ型現像プロセスは、環境面、装置・コスト面で、アルカリ現像液と組み合わせたポジ型現像プロセスに比べて劣るため、ネガ型パターンを形成することができる新規なパターン形成方法が求められている。
このような要求に対し、本発明者らは、アルカリ現像により高解像のネガ型パターンを形成できる方法として、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分を含有するレジスト組成物により形成されたレジスト膜の、未露光部がアルカリ現像液で溶解除去し、露光部を残膜させてネガ型パターンを形成する方法を発明し、特許出願している(特願2011−106577)。該ネガ型パターン形成方法においては、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分と、露光により塩基を発生する光塩基発生剤成分とを含有するレジスト組成物を支持体上に塗布してレジスト膜を形成し、前記レジスト膜を露光し、ベーク(ポストエクスポージャーベーク(PEB))を行う。このとき、前記レジスト膜の露光部では、前記レジスト膜に予め供給された酸が、前記露光により前記光塩基発生剤成分から発生した塩基と反応して中和され、一方、前記レジスト膜の未露光部では、前記酸の作用により、基材成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。そのため、PEB後のレジスト膜をアルカリ現像すると、前記レジスト膜の未露光部が溶解除去され、ネガ型パターンが形成される。
しかし、該方法では、感度が劣化することがある。感度の劣化は、スループットの低下等を招くため、その改善が求められる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、アルカリ現像プロセスで高解像かつ高感度にネガ型レジストパターンを形成できるレジストパターン形成方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、以下の知見を得た。
ポジ型の化学増幅型レジスト組成物とアルカリ現像液とを組み合わせてポジ型パターンを形成する通常のポジ型現像プロセスでは、PEBは、基材成分のアルカリ現像液に対する溶解性を酸により充分に増大させるために行われ、PEBが不充分であると解像性や感度が劣化するとされている。しかし上記ネガ型パターン形成方法においては、通常とは異なり、PEB温度が100℃を超えると急激に感度が劣化してしまう。
本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分と、露光により塩基を発生する光塩基発生剤成分と、酸性化合物成分および加熱により酸を発生する熱酸発生剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸供給成分とを含有するレジスト組成物を、支持体上に塗布してレジスト膜を形成する工程(1)と、
前記レジスト膜を露光する工程(2)と、
前記工程(2)の後にベークを行い、前記レジスト膜の露光部において、前記露光により前記光塩基発生剤成分から発生した塩基と、前記レジスト膜に予め供給された酸とを中和させ、前記レジスト膜の未露光部において、前記レジスト膜に予め供給された酸の作用により、前記基材成分のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させる工程(3)と、
前記レジスト膜をアルカリ現像し、前記レジスト膜の未露光部が溶解除去されたネガ型レジストパターンを形成する工程(4)と
を含むレジストパターン形成方法であって、
前記工程(3)における前記ベークを100℃以下で行うことを特徴とするレジストパターン形成方法である。
本明細書および本特許請求の範囲において、「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、「ハロゲン化アルキレン基」は、アルキレン基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「ヒドロキシアルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部または全部が水酸基で置換された基である。
「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
本発明によれば、アルカリ現像プロセスで高解像かつ高感度にネガ型レジストパターンを形成できるレジストパターン形成方法を提供できる。
本発明のレジストパターン形成方法の実施形態例を説明する概略工程図である。 本発明のレジストパターン形成方法の実施形態例を説明する概略工程図である。
≪レジストパターン形成方法≫
本発明のレジストパターン形成方法は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分と、露光により塩基を発生する光塩基発生剤成分とを含有するレジスト組成物を、支持体上に塗布してレジスト膜を形成する工程(1)と、
前記レジスト膜を露光する工程(2)と、
前記工程(2)の後にベークを行い、前記レジスト膜の露光部において、前記露光により前記光塩基発生剤成分から発生した塩基と、前記レジスト膜に予め供給された酸とを中和させ、前記レジスト膜の未露光部において、前記レジスト膜に予め供給された酸の作用により、前記基材成分のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させる工程(3)と、
前記レジスト膜をアルカリ現像し、前記レジスト膜の未露光部が溶解除去されたネガ型レジストパターンを形成する工程(4)と、
を含む。
「ネガ型レジストパターン」は、レジスト膜の未露光部がアルカリ現像液により溶解除去されて、露光部がパターンとして残るレジストパターンである。
「レジスト膜に予め供給された酸」とは、当該レジスト膜を形成するレジスト組成物に予め配合された酸供給成分に由来する酸、及び工程(3)でのベーク前に当該レジスト膜に接触させた酸供給成分に由来する酸を包含する。
酸供給成分としては、酸性化合物成分、酸発生剤成分等が挙げられる。
酸性化合物は、その成分自体が酸性を有する化合物、すなわちプロトン供与体として作用する化合物を意味する。
酸発生剤としては、加熱により酸を発生する熱酸発生剤、露光により酸を発生する光酸発生剤等が挙げられる。
酸供給成分としては、いずれか1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。たとえば酸性化合物と酸発生剤とを併用してもよく、熱酸発生剤と光酸発生剤とを併用してもよい。
酸供給成分の具体例については後で詳しく説明する。
以下、本発明のレジストパターン形成方法について、図面を参照しながら実施形態を示して説明する。但し、本発明はこれに限定されるものではない。
<第一の実施形態>
図1は、本発明のレジストパターン形成方法の一実施形態例を示す。この実施形態では、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分と、露光により塩基を発生する光塩基発生剤成分と、酸性化合物成分と、を含有するレジスト組成物が用いられている。
まず、図1(a)に示すように、当該レジスト組成物を、支持体1上に塗布してレジスト膜2を形成する(工程(1);図1(a))。
次に、前記で形成されたレジスト膜2を、図1(b)に示すように、所定のパターンが形成されたフォトマスク3を介して露光する。これにより、レジスト膜2のうち、露光された領域(露光部)で、光塩基発生剤成分から塩基が発生する(工程(2);図1(b))。
次に、露光後ベーク(ポストエクスポージャーベーク(PEB))を100℃以下で行う。PEBにより、レジスト膜2のうち、未露光部2bでは、レジスト膜中の酸性化合物成分の作用により、基材成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。一方、露光部2aでは、露光により光塩基発生剤成分から発生した塩基と、レジスト膜中の酸性化合物成分との中和反応が進行するため、基材成分のアルカリ現像液に対する溶解性は変化しないか、変化してもその変化量がわずかである。これにより、露光部2aと未露光部2bとの間にアルカリ現像液に対する溶解速度の差(溶解コントラスト)が生じる(工程(3);図1(c))。
その後、アルカリ現像液による現像を行う。これにより、レジスト膜2の露光部2aが残留し、未露光部2bがアルカリ現像液に溶解除去され、その結果、図1(d)に示すように、支持体1上に、露光部2aから構成されるレジストパターンが形成される(工程(4);図1(d))。
以下、各工程についてより詳細に説明する。
[工程(1)]
本実施形態では、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分と、露光により塩基を発生する光塩基発生剤成分と、酸性化合物成分と、を含有するレジスト組成物を、支持体1上に塗布してレジスト膜2を形成する。
該レジスト組成物は、酸供給成分として、酸性化合物に加えて、酸発生剤成分(光酸発生剤、熱酸発生剤)を含有してもよい。熱酸発生剤、光酸発生剤は、いずれか一方を用いても両方を併用してもよい。
該レジスト組成物の具体例については後で詳しく説明する。
支持体1としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等を例示することができる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
また、支持体1としては、上述のような基板上に、無機系および/または有機系の膜が設けられたものであってもよく、有機系の膜が設けられたものが好ましい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)や多層レジスト法における下層膜が挙げられる。特に、有機膜が設けられていると、基板上に、高アスペクト比のパターンを容易に形成でき、半導体の製造等において有用である。
ここで、多層レジスト法とは、基板上に、少なくとも一層の有機膜(下層膜)と、少なくとも一層のレジスト膜とを設け、上層のレジスト膜に形成したレジストパターンをマスクとして下層のパターニングを行う方法であり、高アスペクト比のパターンを形成できるとされている。多層レジスト法には、基本的に、上層のレジスト膜と下層膜との二層構造とする方法と、これらのレジスト膜と下層膜との間に一層以上の中間層(金属薄膜等)を設けた三層以上の多層構造とする方法と、に分けられる。多層レジスト法によれば、下層膜により所要の厚みを確保することにより、レジスト膜を薄膜化し、高アスペクト比の微細パターン形成が可能となる。
無機系の膜は、たとえばシリコン系材料などの無機系の反射防止膜組成物を基板上に塗工し、焼成等することにより形成できる。
有機系の膜は、たとえば、当該膜を構成する樹脂成分等を有機溶剤に溶解した有機膜形成用材料を、基板上にスピンナー等で塗布し、好ましくは200〜300℃、好ましくは30〜300秒間、より好ましくは60〜180秒間の加熱条件でベーク処理することにより形成できる。このとき用いられる有機膜形成用材料は、レジスト膜のような、光や電子線に対する感受性を必ずしも必要とするものではなく、該感受性を有するものであってもよく、有さないものであってもよい。具体的には、半導体素子や液晶表示素子の製造において一般的に用いられているレジストや樹脂を用いることができる。
また、レジストパターンを用いて有機膜をエッチングすることにより、レジストパターンを有機膜へ転写し、有機膜パターンを形成できるように、有機膜形成用材料は、エッチング、特にドライエッチング可能な有機膜を形成できる材料であることが好ましい。中でも、酸素プラズマエッチング等のエッチングが可能な有機膜を形成できる材料であることが好ましい。このような有機膜形成用材料としては、従来、有機BARCなどの有機膜を形成するために用いられている材料であってよい。例えば、ブリューワーサイエンス社製のARCシリーズ、ロームアンドハース社製のARシリーズ、東京応化工業社製のSWKシリーズなどが挙げられる。
レジスト組成物を、支持体1上に塗布してレジスト膜2を形成する方法としては、特に限定されず、従来公知の方法により形成できる。
たとえば支持体1上に、スピンコーターを用いたスピンコート法、バーコーターを用いたバーコート法等の従来公知の方法を用いてレジスト組成物を塗布して塗膜を形成し、乾燥させることにより、レジスト膜2を形成できる。
塗膜の乾燥方法としては、塗膜に含まれる有機溶剤(レジスト溶剤)を揮発させることができればよく、たとえばプレベーク(PAB)する方法、クーリングプレート上等で常温で乾燥させる方法、等が挙げられる。
本発明において、「プレベーク」とは、レジスト組成物を支持体上に塗布した後、露光するまでの間に行う、ホットプレート等による70℃以上の加熱処理をいう。
プレベーク温度は、80〜150℃が好ましい。
プレベーク時間は、40〜120秒間が好ましく、60〜90秒間がより好ましい。
上記のうち、プレベークを行うと、レジスト膜厚が厚膜に設定される場合でも有機溶剤を揮発させやすい。他方、レジスト組成物の乾燥を常温で行い、プレベークを行わないことにより、レジストパターン形成の工程数を削減することができ、且つ、得られるレジストパターンの解像性を高めることができる。
プレベークの有無については、用いるレジスト組成物の材料や、形成するパターンのターゲットから、上記利点等を鑑みて、適宜決定することができる。
工程(1)で形成するレジスト膜2の厚さは、好ましくは50〜500nm、より好ましくは50〜450nmである。この範囲内とすることにより、レジストパターンを高解像度で形成できる、エッチングに対する充分な耐性が得られる等の効果がある。
また、プレベークを行わない場合であれば、工程(1)で形成されるレジスト膜2の膜厚は、300nm以下であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましく、50〜150nm以下であることが特に好ましい。レジスト膜2の膜厚が300nm以下であれば、プレベークを行わなくても、常温下でスピンコート等による塗布方法によって、有機溶剤が残存しにくく乾燥しやすくなり、レジスト膜2の支持体1面内均一性が高まる。
[工程(2)]
本実施形態では、前記工程(1)で形成されたレジスト膜2を、フォトマスク3を介して選択的に露光する。
これにより、露光部2aでは、露光により光塩基発生剤成分から塩基が発生する。
また、レジスト組成物が、酸供給成分として、酸性化合物成分に加えて、光酸発生剤成分を含有する場合であれば、露光部2aで、該光酸発生剤成分から酸が発生する。
露光量は、露光部2aに存在する酸を中和するのに必要な量の塩基を光塩基発生剤成分から発生し得る程度であればよい。
露光に用いる波長は、特に限定されず、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線などの放射線を用いて行うことができる。微細なレジストパターンを形成しやすいことから、ArFエキシマレーザー、EUV、又はEBが好ましく、ArFエキシマレーザーが特に好ましい。
フォトマスク3としては、特に限定されず、公知のものを利用でき、たとえば、遮光部の透過率が0%のバイナリーマスク(Binary−Mask)や、遮光部の透過率が6%のハーフトーン型位相シフトマスク(HT−Mask)を用いることができる。なお、ハーフトーン型位相シフトマスクにより選択的に未露光部を形成してもよい。
バイナリーマスクは、一般的には石英ガラス基板上に、遮光部としてクロム膜、酸化クロム膜等が形成されたものが用いられる。
位相シフトマスクは、光の位相を変化させる部分(シフタ)が設けられたフォトマスクである。そのため、位相シフトマスクを用いることにより、未露光部への光の入射を抑制でき、未露光部と露光部との間の対アルカリ現像液溶解コントラストが向上する。位相シフトマスクとしては、ハーフトーン型位相シフトマスクの他に、レベンソン型位相シフトマスク等も挙げられる。これらの位相シフトマスクはそれぞれ市販のものが利用できる。ハーフトーン型位相シフトマスクとして、具体的には、一般的には石英ガラス基板上に、透過率が数〜10%程度(一般的には6%)の遮光部(シフタ膜)としてMoSi(モリブデン・シリサイド)膜、クロム膜、酸化クロム膜、酸窒化シリコン膜等が形成されたものが挙げられる。
なお、本実施形態では、フォトマスク3を介して露光を行っているが、本発明はこれに限定されず、フォトマスクを介さない露光、たとえばEB等の描画により選択的露光を行ってもよい。
レジスト膜2の露光は、空気や窒素等の不活性ガス中で行う通常の露光(ドライ露光)により行ってもよく、液浸媒体を介しての露光(液浸露光)により行ってもよい。
液浸露光では、上述したように、露光時に、従来は空気や窒素等の不活性ガスで満たされているレンズと支持体1上のレジスト膜2との間の部分を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たした状態で露光を行う。
より具体的には、液浸露光は、上記のようにして得られたレジスト膜2と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で、所望のフォトマスク3を介して露光(浸漬露光)することによって実施できる。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ、当該浸漬露光によって露光されるレジスト膜2の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつ、レジスト膜2の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、CHCl、COCH、COC、C等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体を、簡便な方法で除去できることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフロオロアルキル化合物が好ましい。パーフロオロアルキル化合物として具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
本工程(2)では、レジスト膜2に対し、フォトマスク3を介した第一の露光を行い、第一のラインアンドスペースパターンの潜像を形成した後、フォトマスク3を介した第二の露光を行い、前記第一のラインアンドスペースパターンの潜像と交差するように、第二のラインアンドスペースパターンの潜像を形成する操作(二重露光法)を行ってもよい。
「潜像」とは、レジスト膜の、フォトマスクの透過部を透過した放射線が照射された領域(露光部)を意味する。
上記のような操作を行うと、レジスト膜2に、第一のラインアンドスペースパターンのライン状の潜像と第二のラインアンドスペースパターンのライン状の潜像とが交差した格子状の潜像が形成される。このレジスト膜2に対し、後述の工程(3)、工程(4)の操作を行うと、潜像が形成されていない領域(未露光部)が溶解除去される一方、露光部は除去されずに残膜し、その結果、微細かつ密集したホールパターンが形成される。
[工程(3)]
本工程では、前記工程(2)で露光したレジスト膜に対し、露光後ベーク(PEB)を100℃以下で行う。
PEBを行うと、未露光部2bでは、酸性化合物成分の作用によって、基材成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。一方、露光部2aでは、露光により光塩基発生剤成分から発生した塩基と、酸性化合物成分やとの中和反応が進行するため、基材成分に作用し得る酸が減少することで、基材成分のアルカリ現像液に対する溶解性が変化しないか、変化してもその変化量がわずかとなる。これにより、露光部2aと未露光部2bとのアルカリ現像液に対する溶解速度に差(溶解コントラスト)が生じる。
レジスト組成物が、酸供給成分として、酸性化合物成分に加えて、熱酸発生剤成分を含有する場合は、本工程でのPEBにより該熱酸発生剤成分から、レジスト膜2全体に、酸が発生する。この酸は、露光部では、前記と同様、光塩基発生剤成分から発生した塩基により中和されるか、変化してもその変化量がわずかとなる。これにより、露光部2aと未露光部2bとのアルカリ現像液に対する溶解速度に差(溶解コントラスト)が生じる。
このように溶解コントラストが生じることで、後の工程(4)でアルカリ現像した際に、高解像のネガ型レジストパターンが形成される。
そして、本発明においては、上記PEBを100℃以下で行うことにより、PEB温度が100℃を超える場合に比べて、感度が向上する。また、解像性も向上する。解像性の向上は、レジスト膜中での酸の拡散を適度な範囲に抑制できるためと考えられる。
PEB温度は、60〜100℃が好ましく、70〜100℃がより好ましい。PEBを60℃以上で行うと、十分な脱保護によりパターンラフネスが特に良好となる。
PEB時間は、特に限定されないが、10〜300秒間が好ましく、40〜120秒間がより好ましく、60〜90秒間がさらに好ましい。
なお、本工程(3)におけるベークは、必ずしも、前記中和反応の開始を制御するものではない。
[工程(4)]
本実施形態では、前記工程(3)の後、アルカリ現像を行うことにより、レジスト膜2の未露光部2bが溶解除去され、露光部2aが残膜してネガ型レジストパターンが形成される。
アルカリ現像液として具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水等の無機アルカリ類;エチルアミン、n−プロピルアミン等の第一級アミン類;ジエチルアミン、ジ−n−ブチルアミン等の第二級アミン類;トリエチルアミン、メチルジエチルアミン等の第三級アミン類;ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルコールアミン類;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩;ピロール、ピヘリジン等の環状アミン類などのアルカリ性水溶液を使用することができる。
なかでも、アルカリ現像液としては、第一級アミン類、第二級アミン類、第三級アミン類および第四級アンモニウム塩から成る群より選ばれる少なくとも1種類を含むアルカリ性水溶液が好ましく、これらの中でもテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)の水溶液を用いることが特に好ましい。
さらに、上記アルカリ性水溶液にアルコール類、界面活性剤を適当量添加したものを使用することもできる。
アルカリ現像液のアルカリ濃度(現像液中の無機アルカリ、第四級アンモニウム塩又はアミン化合物の濃度、現像液の全質量を基準として)は、通常0.01〜20質量%である。
アルカリ現像処理は、公知の方法により実施できる。
上記アルカリ現像の後、純水等によるリンス処理を行ってもよい。
また、上記アルカリ現像の後、さらに、ベーク(ポストベーク)を行ってもよい。ポストベークは(アルカリ現像やリンス処理後の水分を除去する目的で行われるため)通常100℃程度の条件で行われ、ベーク時間は、好ましくは30〜90秒間である。
<第二の実施形態>
図2は、本発明のレジストパターン形成方法の他の実施形態例を示す。この実施形態では、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分と、露光により塩基を発生する光塩基発生剤成分とを含有するレジスト組成物、および酸性化合物成分を含有する有機膜形成用組成物が用いられている。
まず、図2(a)に示すように、支持体1上に、当該レジスト組成物を塗布してレジスト膜2’を形成する(工程(1);図2(a))。
次に、レジスト膜2’を、図2(b)に示すように、所定のパターンが形成されたフォトマスク3を介して露光する。これにより、レジスト膜2’のうち、露光された領域(露光部)では、露光により光塩基発生剤成分から塩基が発生する(工程(2);図2(b))。
露光の後、レジスト膜2’上に、前記有機膜形成用組成物を塗布する(工程(5);図2(c))。
次いで、ベーク(PEB)を100℃以下で行う。これにより、有機膜4が形成されると共に、有機膜4に含まれている酸性化合物が有機膜4からレジスト膜2’へ拡散することにより、レジスト膜2’に酸が供給される。そして、レジスト膜2’のうち、露光部2’cでは、露光により光塩基発生剤成分から発生した塩基と、有機膜4から供給された酸とが中和する。このため、基材成分のアルカリ現像液に対する溶解性は変化しないか、変化してもその変化量がわずかである。一方、未露光部2’dでは、有機膜4から供給された酸の作用により、基材成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。これにより、露光部2’cと未露光部2’dとの間にアルカリ現像液に対する溶解速度の差(溶解コントラスト)が生じる(工程(3);図2(d))。
その後、アルカリ現像液による現像を行う。これにより、レジスト膜2’の露光部2’cが残留し、未露光部2’dがアルカリ現像液に溶解除去され、その結果、図2(e)に示すように、支持体1上に、離間配置された複数のレジストパターン2cから構成されるレジストパターンが形成される(工程(4);図2(e))。
[工程(1)、工程(2)]
本実施形態における工程(1)、工程(2)は、上述した第一の実施形態における工程(1)、工程(2)とそれぞれ同様の操作を行うことにより実施できる。ただし、本実施形態において用いられるレジスト組成物は、酸性化合物成分を含有していなくてもよい。
[工程(5)]
本実施形態では、工程(2)の後で、レジスト膜2’上に、スピンナーを用いる等の従来公知の方法を用いて、酸供給成分を含有する有機膜形成用組成物を塗布する。このように、後述の工程(3)よりも前段側で、レジスト膜2’に有機膜形成用組成物を塗布し、酸供給成分を接触させておくことにより、工程(3)でのベークによってレジスト膜2’に酸を供給することができる。
なお、本実施形態においては酸性化合物成分を含有する有機膜形成用組成物が用いられているが、酸性化合物成分の代わりに、又は酸性化合物成分と共に、酸発生剤成分を含有する有機膜形成用組成物を用いてもよい。ただし、酸発生剤成分として光酸発生剤成分を用いる場合は、工程(5)を、工程(1)と工程(2)との間に行う。これにより、工程(2)の露光時に、光酸発生剤成分から酸が発生し、該酸が工程(3)でのベークによってレジスト膜2’に供給される。
該有機膜形成用組成物は、酸供給成分として、酸性化合物に加えて、酸発生剤成分(光酸発生剤、熱酸発生剤)を含有してもよい。熱酸発生剤、光酸発生剤は、いずれか一方を用いても両方を併用してもよい。
該有機膜形成用組成物の具体例については後で詳しく説明する。
有機膜形成用組成物の塗布条件は、形成しようとする有機膜4の厚さ(膜厚)に応じて設定される。
有機膜4の厚さは、有機膜形成用組成物に配合される酸供給成分の種類、または液浸露光等のプロセス条件等によって適宜設定すればよく、好ましくは10〜300nm、より好ましくは20〜200nm、さらに好ましくは30〜150nmである。この範囲内とすることにより、充分な量の酸をレジスト膜2’へ供給でき、高解像性のレジスパターンが形成されやすくなる。
[工程(3)]
本実施形態では、前記工程(5)の後に、ベーク(ポストエクスポージャーベーク(PEB))を100℃以下で行う。
本実施形態における工程(3)は、上述した第一の実施形態における工程(3)と同様の操作を行うことにより実施できる。
PEBを行うと、レジスト膜2’上に有機膜4が形成されると共に、有機膜4に含まれる酸性化合物成分が有機膜4からレジスト膜2’へ拡散することにより、レジスト膜2’に酸が供給される。そして、レジスト膜2’のうち、未露光部2’dでは、有機膜4から供給された酸の作用により、基材成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。一方、露光部2’cでは、露光により光塩基発生剤成分から発生した塩基と、有機膜4から供給された酸との中和反応が進行し、基材成分に作用し得る酸が減少することで、基材成分のアルカリ現像液に対する溶解性が変化しないか、変化してもその変化量がわずかとなる。これにより、露光部2’cと未露光部2’dとの間にアルカリ現像液に対する溶解速度の差(溶解コントラスト)が生じる。
有機膜形成用組成物が、酸供給成分として、酸性化合物成分に加えて、光酸発生剤成分を含有し、工程(2)の前に工程(5)を行った場合は、工程(2)での露光により該光酸発生剤成分から酸が発生する。この酸は、前記酸性化合物成分と同様、工程(3)でレジスト膜2’に供給され、露光部では、光塩基発生剤成分から発生した塩基により中和されるか、またはPEBにより露光部2aから未露光部2bまで拡散して基材成分に作用し、該基材成分のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させる。
レジスト組成物が、酸供給成分として、酸性化合物成分に加えて、熱酸発生剤成分を含有する場合は、本工程でのPEBにより該熱酸発生剤成分から酸が発生する。この酸は、前記酸性化合物成分と同様、工程(3)でレジスト膜2’に供給され、露光部では、光塩基発生剤成分から発生した塩基により中和されるか、またはPEBにより露光部2aから未露光部2bまで拡散して基材成分に作用し、該基材成分のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させる。
このように溶解コントラストが生じることで、後の工程(4)でアルカリ現像した際に、高解像のネガ型レジストパターンが形成される。
なお、本工程(3)におけるベークは、必ずしも、前記中和反応の開始を制御するものではない。
[工程(4)]
本実施形態では、前記工程(3)の後、アルカリ現像を行うことにより、レジスト膜2’の未露光部2’dが溶解除去され、露光部2’cが残膜してネガ型レジストパターンが形成される。
アルカリ現像液は、上述したものと同様のものを用いることができる。
アルカリ現像は、好適には例えば濃度0.1〜10質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を用いて、公知の方法により実施できる。
上記アルカリ現像の後、純水等によるリンス処理を行ってもよい。
また、上記アルカリ現像の後、さらに、ベーク(ポストベーク)を行ってもよい。ポストベークは(アルカリ現像やリンス処理後の水分を除去する目的で行われるため)通常100℃程度の条件で行われ、ベーク時間は、好ましくは30〜90秒間である。
なお、レジスト膜2’上に形成された有機膜4は、有機膜4を形成する材料(アルカリ可溶性樹脂など)を選択して、工程(4)でのアルカリ現像処理により溶解除去することが好ましい。これ以外に、工程(3)と工程(4)との間で、有機膜4の除去を公知の方法により行うこともできる。
以上、実施形態を示して本発明のレジストパターン形成方法を示したが本発明はこれに限定されるものではない。
たとえば上述した第一の実施形態〜第二の実施形態においては、酸供給成分として酸性化合物を含有するレジスト組成物または有機膜形成用組成物を用いた例を示したが、酸性化合物の代わりに、または酸性化合物と共に、酸発生剤(熱酸発生剤、光酸発生剤)を用いてもよい。また、上記PEB等のベーク処理を行ったときの酸の濃度が高まることから、酸性化合物および/または酸発生剤と共に、酸増殖剤成分を併用してもよい。
酸発生剤成分として熱酸発生剤を含有するレジスト組成物を用いた場合、上記工程(3)でのベーク(PEB)により、レジスト膜2全体で、熱酸発生剤から酸が発生する。そして、レジスト膜2の未露光部2bでは、このベーク(PEB)により熱酸発生剤から発生した酸の作用によって基材成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。一方、レジスト膜2の露光部2aでは、このベーク(PEB)により熱酸発生剤から発生した酸と、上記工程(2)での露光により光塩基発生剤成分から発生した塩基との中和反応が進行し、基材成分のアルカリ現像液に対する溶解性が変化しないか、変化してもその変化量がわずかとなる。これにより、露光部2aと未露光部2bとのアルカリ現像液に対する溶解速度に差(溶解コントラスト)が生じる。
そのため、酸性化合物の代わりに熱酸発生剤を使用した場合でも、プレベークを行わないことで、塗布後、露光するまでの間に熱酸発生剤に由来する酸を基材成分に作用させず、レジスト膜2の露光部2aと、未露光部2bとの、コントラストを向上させ、解像性の高いネガ型パターンを形成できる。
また、フォトマスク、基材成分、光塩基発生剤成分等の種類を適宜選択することにより、酸性化合物の代わりに光酸発生剤を用いることもできる。
たとえば、相対的に拡散長の長い光酸発生剤と、相対的に拡散長の短い光塩基発生剤とを含有するレジスト組成物を用い、フォトマスクとして、透過性を有するフォトマスク(ハーフトーン型位相シフトマスク等)を用いた実施形態が挙げられる。酸や塩基の拡散長は、酸については光酸発生剤におけるアニオン部の骨格や極性等で、塩基については、光塩基発生剤における光分解後の塩基の分子量や骨格等で調整できる。
かかる実施形態では、上記工程(2)での露光により、露光部2aでは、光塩基発生剤成分から塩基と、光酸発生剤から酸とが発生する。そして、未露光部2bでは、上記工程(3)でのベークにより、露光部2aで発生して未露光部2bまで拡散した酸の作用によって基材成分の保護基が解離(脱保護反応が進行)して基材成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。一方、露光部2aでは、工程(2)で発生した塩基と酸との中和反応が進行し、基材成分のアルカリ現像液に対する溶解性が変化しないか、変化してもその変化量がわずかとなる。これにより、露光部2aと未露光部2bとのアルカリ現像液に対する溶解速度に差(溶解コントラスト)が生じ、解像性の高いネガ型パターンを形成できる。
上述した第一の実施形態の変形例として、上記の工程(2)と工程(3)との間に、酸供給成分を含有する有機膜形成用組成物を、レジスト膜上に塗布して有機膜を形成する工程(5)を含む方法が挙げられる。露光の後、レジスト膜上に前記有機膜形成用組成物を塗布し、次いで、ベーク(PEB)を行うことにより、レジスト膜上に有機膜が形成されると共に、該有機膜に含まれる酸供給成分に由来する酸が、該有機膜からレジスト膜へ拡散し、該レジスト膜に酸がさらに供給される。
工程(5)については第二の実施形態で説明したとおりである。
酸供給成分として光酸発生剤を用いる場合は、工程(5)を、工程(1)と工程(2)との間に設ける。
上述した第二の実施形態や、第一の実施形態の変形例においては、レジスト膜2’に酸を供給するため、レジスト膜2’上に有機膜形成用組成物を塗布して有機膜4が形成されているが、この代わりに、酸性の活性リンスをレジスト膜2’に塗布する操作を行うだけの実施形態でもよい。酸性の活性リンスとしては、たとえば後述する(G2)成分を含む水溶液等を用いればよい。
本発明のレジストパターン形成方法においては、上記のようにしてネガ型レジストパターンを形成した後、さらに、該ネガ型レジストパターンをマスクとして用いて支持体1のエッチングを行ってもよい。該エッチングにより支持体1にレジストパターンを転写することで、半導体デバイス等を製造することができる。
エッチングには公知の方法が利用できる。たとえば支持体1が基板上に有機膜を有するものである場合、該有機膜のエッチングは、ドライエッチングが好ましい。特に、生産効率等の点から、酸素プラズマエッチング、またはCFガスもしくはCHFガスを用いたエッチングが好ましく、中でも酸素プラズマエッチングがより好ましい。
基板のエッチングは、ハロゲンガスを用いたエッチングが好ましく、フッ化炭素系ガスを用いたエッチングがより好ましく、CFガス又はCHFガスを用いたエッチングが特に好ましい。
上記本発明のレジストパターン形成方法によれば、これまでポジ型とされる化学増幅型レジスト組成物とアルカリ現像液とを組み合わせた現像プロセスによって、高解像性のネガ型レジストパターンを形成できる。
そのため、本発明のレジストパターン形成方法によれば、膜厚方向で光学強度の弱い領域が生じやすいレジストパターン(孤立トレンチパターン、微細かつ密集したコンタクトホールパターン等)を高い解像性で形成できる。
また、本発明のレジストパターン形成方法によれば、該レジストパターンの高密度化も可能であり、たとえばホール間の距離が30〜50nm程度であるような、個々のホールが近接したコンタクトホールパターンを良好な形状で形成できる。
また、本発明のレジストパターン形成方法は、既存の露光装置や既存の化学増幅型レジスト組成物を用いて実施できる。
さらに、本発明のレジストパターン形成方法では、工程(3)におけるベーク(PEB)温度を100℃以下とすることで、高感度化も可能となる。
≪レジスト組成物≫
本発明のレジストパターン形成方法においては、少なくとも、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(以下「(A)成分」ともいう。)と、露光により塩基を発生する光塩基発生剤成分(以下「(C)成分」ともいう。)と、を含有するレジスト組成物が用いられる。
上記の第一の実施形態で用いられるレジスト組成物は、(A)成分および(C)成分に加えて、さらに、酸供給成分(以下「(Z)成分」ともいう。)を含有する。上記の第二の実施形態で用いられるレジスト組成物は、(Z)成分を含有してもしなくてもよい。
(Z)成分としては、酸性化合物成分(以下「(G)成分」ともいう。)、酸発生剤成分(以下「(B)成分」ともいう。)等が挙げられる。また、(G)成分および/または(B)成分と、酸増殖剤成分(以下「(H)成分」ともいう。)と、が併用されていてもよい。
以下、各成分について説明する。
<基材成分;(A)成分>
(A)成分は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分である。
「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物であり、好ましくは分子量が500以上の有機化合物が用いられる。該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、また、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすい。
基材成分として用いられる有機化合物は、非重合体と重合体とに大別される。
非重合体としては、通常、分子量が500以上4000未満のものが用いられる。以下、「低分子化合物」という場合は、分子量が500以上4000未満の非重合体を示す。
重合体としては、通常、分子量が1000以上のものが用いられる。本明細書および特許請求の範囲において「樹脂」という場合、分子量が1000以上の重合体を示す。
重合体の分子量としては、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。
(A)成分としては、好ましくは、酸の作用により極性が増大する基材成分(以下「(A0)成分」ともいう。)が用いられる。
本発明において(A0)成分を用いた場合、(A0)成分は工程(3)でのベーク前後で未露光部の極性が変化するため、アルカリ現像により、良好な現像コントラストを得ることができる。
該(A0)成分は、酸の作用により極性が増大する樹脂成分であってもよく、酸の作用により極性が増大する低分子化合物成分であってもよく、又はこれらの混合物であってもよい。
(A0)成分としては、酸の作用により極性が増大する樹脂成分であることが好ましく、特に、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位(a1)を有する高分子化合物(A1)(以下「(A1)成分」という。)を含有するものが好ましい。
(A1)成分は、前記構成単位(a1)に加えて、さらに、−SO−含有環式基を含む構成単位(a0)およびラクトン含有環式基を含む構成単位(a2)からなる群から選択される少なくとも一種の構成単位を有するものが好ましい。
また、(A1)成分は、前記構成単位(a1)に加えて、又は、前記構成単位(a0)および構成単位(a2)からなる群から選択される少なくとも一種の構成単位と前記構成単位(a1)とに加えて、さらに、極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位(a3)を有するものが好ましい。
[構成単位(a1)]
構成単位(a1)は、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位である。
「酸分解性基」は、酸の作用により、当該酸分解性基の構造中の少なくとも一部の結合が開裂し得る酸分解性を有する基である。
酸の作用により極性が増大する酸分解性基としては、たとえば、酸の作用により分解して極性基を生じる基が挙げられる。
極性基としては、たとえばカルボキシ基、水酸基、アミノ基、スルホ基(−SOH)等が挙げられる。これらのなかでも、構造中に−OHを含有する極性基(以下「OH含有極性基」ということがある。)が好ましく、カルボキシ基または水酸基が好ましく、カルボキシ基が特に好ましい。
酸分解性基としてより具体的には、前記極性基を酸解離性基で保護した基(たとえばOH含有極性基の水素原子を酸解離性基で保護した基)が挙げられる。
「酸解離性基」は、酸の作用により、少なくとも、当該酸解離性基と該酸解離性基に隣接する原子との間の結合が開裂し得る酸解離性を有する基である。酸分解性基を構成する酸解離性基は、当該酸解離性基の解離により生成する極性基よりも極性の低い基であることが必要で、これにより、酸の作用により該酸解離性基が解離した際に、該酸解離性基よりも極性の高い極性基が生じて極性が増大する。その結果、(A1)成分全体の極性が増大する。極性が増大することにより、相対的に、現像液に対する溶解性が変化し、現像液がアルカリ現像液の場合には溶解性が増大する。
酸解離性基としては、特に限定されず、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性基として提案されているものを使用することができる。一般的には、(メタ)アクリル酸等におけるカルボキシ基と環状又は鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基;アルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性基などが広く知られている。
ここで、「第3級アルキルエステル」とは、カルボキシ基の水素原子が、鎖状又は環状のアルキル基で置換されることによりエステルを形成しており、そのカルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)の末端の酸素原子に、前記鎖状又は環状のアルキル基の第3級炭素原子が結合している構造を示す。この第3級アルキルエステルにおいては、酸が作用すると、酸素原子と第3級炭素原子との間で結合が切断され、カルボキシ基が形成される。
前記鎖状又は環状のアルキル基は、置換基を有していてもよい。
以下、カルボキシ基と第3級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第3級アルキルエステル型酸解離性基」という。
第3級アルキルエステル型酸解離性基としては、脂肪族分岐鎖状酸解離性基、脂肪族環式基を含有する酸解離性基が挙げられる。
ここで、「脂肪族分岐鎖状」とは、芳香族性を持たない分岐鎖状の構造を有することを示す。「脂肪族分岐鎖状酸解離性基」の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族分岐鎖状酸解離性基としては、たとえば、−C(R71)(R72)(R73)で表される基が挙げられる。式中、R71〜R73は、それぞれ独立に、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基である。−C(R71)(R72)(R73)で表される基は、炭素数が4〜8であることが好ましく、具体的にはtert−ブチル基、2−メチル−2−ブチル基、2−メチル−2−ペンチル基、3−メチル−3−ペンチル基などが挙げられる。特にtert−ブチル基が好ましい。
「脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基又は多環式基であることを示す。
「脂肪族環式基を含有する酸解離性基」における脂肪族環式基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
該脂肪族環式基の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。また、該炭化水素基は、飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族環式基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。
脂肪族環式基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などの脂環式炭化水素基が挙げられる。また、これらの脂環式炭化水素基の環を構成する炭素原子の一部がエーテル基(−O−)で置換されたものであってもよい。
脂肪族環式基を含有する酸解離性基としては、たとえば、
(i)1価の脂肪族環式基の環骨格上、当該酸解離性基に隣接する原子(たとえば−C(=O)−O−における−O−)と結合する炭素原子に置換基(水素原子以外の原子または基)が結合して第3級炭素原子が形成されている基;
(ii)1価の脂肪族環式基と、これに結合する第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレンとを有する基などが挙げられる。
前記(i)の基において、脂肪族環式基の環骨格上、当該酸解離性基に隣接する原子と結合する炭素原子に結合する置換基としては、たとえばアルキル基が挙げられる。該アルキル基としては、たとえば後述する式(1−1)〜(1−9)中のR14と同様のものが挙げられる。
前記(i)の基の具体例としては、たとえば下記一般式(1−1)〜(1−9)で表される基等が挙げられる。
前記(ii)の基の具体例としては、たとえば下記一般式(2−1)〜(2−6)で表される基等が挙げられる。
Figure 0005789461
[式中、R14はアルキル基であり、gは0〜8の整数である。]
Figure 0005789461
[式中、R15およびR16は、それぞれ独立してアルキル基である。]
式(1−1)〜(1−9)中、R14のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、直鎖状または分岐鎖状が好ましい。
該直鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜5であることが好ましく、1〜4がより好ましく、1または2がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基またはn−ブチル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
該分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、3〜5がより好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられ、イソプロピル基であることが最も好ましい。
gは0〜3の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましい。
式(2−1)〜(2−6)中、R15〜R16のアルキル基としては、前記R14のアルキル基と同様のものが挙げられる。
上記式(1−1)〜(1−9)、(2−1)〜(2−6)中、環を構成する炭素原子の一部がエーテル性酸素原子(−O−)で置換されていてもよい。
また、式(1−1)〜(1−9)、(2−1)〜(2−6)中、環を構成する炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素化アルキル基が挙げられる。
「アセタール型酸解離性基」は、一般的に、カルボキシ基、水酸基等のOH含有極性基末端の水素原子と置換して酸素原子と結合している。そして、酸が作用して、アセタール型酸解離性基と、当該アセタール型酸解離性基が結合した酸素原子との間で結合が切断され、カルボキシ基、水酸基等のOH含有極性基が形成される。
アセタール型酸解離性基としては、たとえば、下記一般式(p1)で表される基が挙げられる。
Figure 0005789461
[式中、R’,R’はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、nは0〜3の整数を表し、Yは炭素数1〜5のアルキル基または脂肪族環式基を表す。]
式(p1)中、nは、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、0が最も好ましい。
’,R’のアルキル基としては、上記α置換アクリル酸エステルについての説明で、α位の炭素原子に結合してもよい置換基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
本発明においては、R’,R’のうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。すなわち、酸解離性基(p1)が、下記一般式(p1−1)で表される基であることが好ましい。
Figure 0005789461
[式中、R’、n、Yは上記と同じである。]
Yのアルキル基としては、上記α置換アクリル酸エステルについての説明で、α位の炭素原子に結合してもよい置換基として挙げたアルキル基と同様のものが挙げられる。
Yの脂肪族環式基としては、従来ArFレジスト等において多数提案されている単環又は多環式の脂肪族環式基の中から適宜選択して用いることができ、たとえば上記「脂肪族環式基を含有する酸解離性基」で挙げた脂肪族環式基と同様のものが例示できる。
アセタール型酸解離性基としては、下記一般式(p2)で示される基も挙げられる。
Figure 0005789461
[式中、R17、R18はそれぞれ独立して直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基または水素原子であり;R19は直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基である。または、R17およびR19がそれぞれ独立に直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基であって、R17の末端とR19の末端とが結合して環を形成していてもよい。]
17、R18において、アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
特にR17、R18の一方が水素原子で、他方がメチル基であることが好ましい。
19は直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基であり、炭素数は好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
19が直鎖状、分岐鎖状の場合は炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、エチル基が最も好ましい。
19が環状の場合は炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
また、上記式(p2)においては、R17及びR19がそれぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基)であって、R19の末端とR17の末端とが結合していてもよい。
この場合、R17と、R19と、R19が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR17が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
構成単位(a1)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって、酸の作用により極性が増大する酸分解性基を含む構成単位;ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位の水酸基における水素原子の少なくとも一部が前記酸分解性基を含む置換基により保護された構成単位;ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体から誘導される構成単位の−C(=O)−OHにおける水素原子の少なくとも一部が前記酸分解性基を含む置換基により保護された構成単位等が挙げられる。
酸分解性基を含む置換基としては、上記で説明した第3級アルキルエステル型酸解離性基、アセタール型酸解離性基が好ましいものとして挙げられる。
ここで、本明細書および本特許請求の範囲において、「アクリル酸エステルから誘導される構成単位」とは、アクリル酸エステルのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「アクリル酸エステル」は、アクリル酸(CH=CH−COOH)のカルボキシ基末端の水素原子が有機基で置換された化合物である。
アクリル酸エステルは、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該α位の炭素原子に結合した水素原子を置換する置換基は、水素原子以外の原子又は基であり、たとえば炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基等が挙げられる。なお、アクリル酸エステルのα位の炭素原子とは、特に断りがない限り、カルボニル基が結合している炭素原子のことである。
以下、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されたアクリル酸エステルをα置換アクリル酸エステルということがある。また、アクリル酸エステルとα置換アクリル酸エステルとを包括して「(α置換)アクリル酸エステル」ということがある。
α置換アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基としてのアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
また、α位の置換基としてのハロゲン化アルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
また、α位の置換基としてのヒドロキシアルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、水酸基で置換した基が挙げられる。該ヒドロキシアルキル基における水酸基の数は、1〜5が好ましく、1が最も好ましい。
α置換アクリル酸エステルのα位に結合しているのは、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基が好ましく、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基がより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
「ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位」とは、ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ヒドロキシスチレン誘導体」とは、ヒドロキシスチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいヒドロキシスチレンの水酸基の水素原子を有機基で置換したもの、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいヒドロキシスチレンのベンゼン環に、水酸基以外の置換基が結合したもの、等が挙げられる。なお、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
ヒドロキシスチレンのα位の水素原子を置換する置換基としては、前記α置換アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。それらのなかでも、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基が好ましく、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基がより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいヒドロキシスチレンのベンゼン環に結合してもよい、水酸基以外の置換基としては、たとえば、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、−COOX(Xは水素原子または有機基である。)等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が特に好ましい。
「ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体から誘導される構成単位」とは、ビニル安息香酸若しくはビニル安息香酸誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ビニル安息香酸誘導体」とは、ビニル安息香酸のα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいビニル安息香酸のカルボキシ基の水素原子を有機基で置換したもの、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいビニル安息香酸のベンゼン環に、水酸基およびカルボキシ基以外の置換基が結合したもの、等が挙げられる。なお、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
ビニル安息香酸のα位の水素原子を置換する置換基としては、前記α置換アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。それらのなかでも、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基が好ましく、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基がより好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいビニル安息香酸のベンゼン環に結合してもよい、水酸基およびカルボキシ基以外の置換基としては、たとえば、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が特に好ましい。
構成単位(a1)としては、上記のなかでも、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位が好ましい。
構成単位(a1)として、より具体的には、下記一般式(a1−0−1)で表される構成単位、下記一般式(a1−0−2)で表される構成単位等が挙げられる。
Figure 0005789461
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;Xは酸解離性基であり;Yは2価の連結基であり;Xは酸解離性基である。]
一般式(a1−0−1)において、Rのアルキル基、ハロゲン化アルキル基は、それぞれ、上記α置換アクリル酸エステルについての説明で、α位の炭素原子に結合してもよい置換基として挙げたアルキル基、ハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
は、酸解離性基であれば特に限定されることはなく、たとえば上述した第3級アルキルエステル型酸解離性基、アセタール型酸解離性基などを挙げることができ、第3級アルキルエステル型酸解離性基が好ましい。
一般式(a1−0−2)において、Rは上記と同様である。
は、式(a1−0−1)中のXと同様である。
の2価の連結基としては、特に限定されないが、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が好適なものとして挙げられる。
炭化水素基が「置換基を有する」とは、該炭化水素基における水素原子の一部または全部が置換基(水素原子以外の基または原子)で置換されていることを意味する。
該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。
前記Yにおける2価の炭化水素基としての脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
該脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜6がより好ましく、1〜4がさらに好ましく、1〜3が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、脂環式炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子を2個除いた基)、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、脂環式炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。前記直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては前記と同様のものが挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
前記脂環式炭化水素基は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては炭素数3〜6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては炭素数7〜12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
前記脂環式炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。
前記Yにおける2価の炭化水素基としての芳香族炭化水素基は、炭素数が3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜10が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基が有する芳香環として具体的には、ベンゼン、ビフェニル、フルオレン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環;等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
該芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環から水素原子を2つ除いた基(アリーレン基);前記芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いた基(アリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(たとえば、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基);等が挙げられる。前記アルキレン基(アリールアルキル基中のアルキル鎖)の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
前記芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基が有する芳香族炭化水素環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
前記Yの「ヘテロ原子を含む2価の連結基」におけるヘテロ原子とは、炭素原子および水素原子以外の原子であり、たとえば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む2価の連結基としては、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−、−NH−C(=O)−、=N−、一般式−Y21−O−Y22−、−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−または−Y21−O−C(=O)−Y22−で表される基[式中、Y21およびY22はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、m’は0〜3の整数である。]等が挙げられる。
が−NH−の場合、そのHはアルキル基、アリール基(芳香族基)等の置換基で置換されていてもよい。該置換基(アルキル基、アリール基等)は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
式−Y21−O−Y22−、−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−または−Y21−O−C(=O)−Y22−中、Y21およびY22は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。該2価の炭化水素基としては、前記でYにおける「置換基を有していてもよい2価の炭化水素基」として挙げたものと同様のものが挙げられる。
21としては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基またはエチレン基が特に好ましい。
22としては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基またはアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
式−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−で表される基において、m’は0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が特に好ましい。つまり、式−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−で表される基としては、式−Y21−C(=O)−O−Y22−で表される基が特に好ましい。なかでも、式−(CHa’−C(=O)−O−(CHb’−で表される基が好ましい。該式中、a’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。b’は、1〜10の整数であり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましく、1が最も好ましい。
ヘテロ原子を含む2価の連結基としては、ヘテロ原子として酸素原子を有する直鎖状の基、例えばエーテル結合またはエステル結合を含む基、が好ましく、前記式−Y21−O−Y22−、−[Y21−C(=O)−O]m’−Y22−または−Y21−O−C(=O)−Y22−で表される基がより好ましい。
上記のなかでも、Yの2価の連結基としては、特に、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、2価の脂環式炭化水素基、又はヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましい。これらの中でも、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、又はヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましい。
構成単位(a1)として、より具体的には、下記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 0005789461
[式中、R、R’、R’、n、YおよびYはそれぞれ前記と同じであり、X’は第3級アルキルエステル型酸解離性基を表す。]
式中、X’は、前記第3級アルキルエステル型酸解離性基と同様のものが挙げられる。
’、R’、n、Yとしては、それぞれ、上述の「アセタール型酸解離性基」の説明において挙げた一般式(p1)におけるR’、R’、n、Yと同様のものが挙げられる。
としては、上述の一般式(a1−0−2)におけるYと同様のものが挙げられる。
以下に、上記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位の具体例を示す。
以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
Figure 0005789461
Figure 0005789461
Figure 0005789461
Figure 0005789461
Figure 0005789461
Figure 0005789461
Figure 0005789461
Figure 0005789461
本発明においては、構成単位(a1)として、下記一般式(a1−0−11)で表される構成単位、下記一般式(a1−0−12)で表される構成単位、下記一般式(a1−0−13)で表される構成単位、下記一般式(a1−0−14)で表される構成単位、下記一般式(a1−0−15)で表される構成単位、および下記一般式(a1−0−2)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種を有することが好ましい。
なかでも、下記一般式(a1−0−11)で表される構成単位、下記一般式(a1−0−12)で表される構成単位、下記一般式(a1−0−13)で表される構成単位、下記一般式(a1−0−14)で表される構成単位、および下記一般式(a1−0−15)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種を有することがより好ましい。
Figure 0005789461
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、R21はアルキル基であり;R22は、当該R22が結合した炭素原子と共に脂肪族単環式基を形成する基であり;R23は分岐鎖状のアルキル基であり;R24は、当該R24が結合した炭素原子と共に脂肪族多環式基を形成する基であり;R25は炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基である。R15およびR16は、それぞれ独立してアルキル基である。Yは2価の連結基であり、Xは酸解離性基である。]
各式中、R、Y、Xについての説明は前記と同じである。
式(a1−0−11)中、R21のアルキル基としては、前記式(1−1)〜(1−9)中のR14のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基、エチル基またはイソプロピル基が好ましい。
22が、当該R22が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族単環式基としては、前記第3級アルキルエステル型酸解離性基において挙げた脂肪族環式基のうち、単環式基であるものと同様のものが挙げられる。具体的には、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。該モノシクロアルカンは、3〜11員環であることが好ましく、3〜8員環であることがより好ましく、4〜6員環がさらに好ましく、5または6員環が特に好ましい。
該モノシクロアルカンは、環を構成する炭素原子の一部がエーテル基(−O−)で置換されていてもよいし、されていなくてもよい。
また、該モノシクロアルカンは、置換基として、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基を有していてもよい。
かかる脂肪族単環式基を構成するR22としては、たとえば、炭素原子間にエーテル基(−O−)が介在してもよい直鎖状のアルキレン基が挙げられる。
式(a1−0−11)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−1−16)〜(a1−1−23)、(a1−1−27)、(a1−1−31)で表される構成単位が挙げられる。これらの中でも、式(a1−1−16)〜(a1−1−17)、(a1−1−20)〜(a1−1−23)、(a1−1−27)、(a1−1−31)、(a1−1−32)、(a1−1−33)で表される構成単位を包括する下記(a1−1−02)で表される構成単位が好ましい。また、下記(a1−1−02’)で表される構成単位も好ましい。
各式中、hは、1〜4の整数であり、1または2が好ましい。
Figure 0005789461
[式中、R、R21はそれぞれ前記と同じであり、hは1〜4の整数である。]
式(a1−0−12)中、R23の分岐鎖状のアルキル基としては、前記式(1−1)〜(1−9)中のR14のアルキル基で挙げた分岐鎖状のアルキル基と同様のものが挙げられ、イソプロピル基が最も好ましい。
24が、当該R24が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族多環式基としては、前記第3級アルキルエステル型酸解離性基において挙げた脂肪族環式基のうち、多環式基であるものと同様のものが挙げられる。
式(a1−0−12)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−1−26)、(a1−1−28)〜(a1−1−30)で表される構成単位が挙げられる。
式(a1−0−12)で表される構成単位としては、R24が、当該R24が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族多環式基が2−アダマンチル基であるものが好ましく、特に、前記式(a1−1−26)で表される構成単位が好ましい。
式(a1−0−13)中、RおよびR24はそれぞれ前記と同様である。
25の直鎖状のアルキル基としては、前記式(1−1)〜(1−9)中のR14のアルキル基で挙げた直鎖状のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が最も好ましい。
式(a1−0−13)で表される構成単位として具体的には、前記一般式(a1−1)の具体例として例示した、式(a1−1−1)〜(a1−1−2)、(a1−1−7)〜(a1−1−15)で表される構成単位が挙げられる。
式(a1−0−13)で表される構成単位としては、R24が、当該R24が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族多環式基が2−アダマンチル基であるものが好ましく、特に、前記式(a1−1−1)または(a1−1−2)で表される構成単位が好ましい。
式(a1−0−14)中、RおよびR22はそれぞれ前記と同様である。R15およびR16は、それぞれ前記一般式(2−1)〜(2−6)におけるR15およびR16と同様である。
式(a1−0−14)で表される構成単位として具体的には、前記一般式(a1−1)の具体例として例示した、式(a1−1−35)、(a1−1−36)で表される構成単位が挙げられる。
式(a1−0−15)中、RおよびR24はそれぞれ前記と同様である。R15およびR16は、それぞれ前記一般式(2−1)〜(2−6)におけるR15およびR16と同様である。
式(a1−0−15)で表される構成単位として具体的には、前記一般式(a1−1)の具体例として例示した、式(a1−1−4)〜(a1−1−6)、(a1−1−34)で表される構成単位が挙げられる。
式(a1−0−2)で表される構成単位としては、前記式(a1−3)または(a1−4)で表される構成単位が挙げられ、特に式(a1−3)で表される構成単位が好ましい。
式(a1−0−2)で表される構成単位としては、特に、式中のYが前記−Y21−O−Y22−または−Y21−C(=O)−O−Y22−で表される基であるものが好ましい。
かかる構成単位として、好ましいものとしては、下記一般式(a1−3−01)で表される構成単位;下記一般式(a1−3−02)で表される構成単位;下記一般式(a1−3−03)で表される構成単位などが挙げられる。
Figure 0005789461
[式中、Rは前記と同じであり、R13は水素原子またはメチル基であり、R14はアルキル基であり、eは1〜10の整数であり、n’は0〜3の整数である。]
Figure 0005789461
[式中、Rは前記と同じであり、Y’およびY”はそれぞれ独立して2価の連結基であり、X’は酸解離性基であり、wは0〜3の整数である。]
式(a1−3−01)〜(a1−3−02)中、R13は、水素原子が好ましい。
14は、前記式(1−1)〜(1−9)中のR14と同様である。
eは、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2が最も好ましい。
n’は、1または2が好ましく、2が最も好ましい。
式(a1−3−01)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−3−25)〜(a1−3−26)で表される構成単位等が挙げられる。
式(a1−3−02)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−3−27)〜(a1−3−28)で表される構成単位等が挙げられる。
式(a1−3−03)中、Y’、Y” における2価の連結基としては、前記一般式(a1−3)におけるYと同様のものが挙げられる。
’としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、直鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。中でも、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基が最も好ましい。
”としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、直鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。中でも、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基が最も好ましい。
X’における酸解離性基は、前記と同様のものが挙げられ、第3級アルキルエステル型酸解離性基であることが好ましく、上述した(i)1価の脂肪族環式基の環骨格上、当該酸解離性基に隣接する原子と結合する炭素原子に置換基が結合して第3級炭素原子が形成されている基がより好ましく、中でも、前記一般式(1−1)で表される基が好ましい。
wは0〜3の整数であり、wは、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が最も好ましい。
式(a1−3−03)で表される構成単位としては、下記一般式(a1−3−03−1)または(a1−3−03−2)で表される構成単位が好ましく、中でも、式(a1−3−03−1)で表される構成単位が好ましい。
Figure 0005789461
[式中、RおよびR14はそれぞれ前記と同じであり、a’は1〜10の整数であり、b’は1〜10の整数であり、tは0〜3の整数である。]
式(a1−3−03−1)〜(a1−3−03−2)中、a’は前記と同じであり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2が特に好ましい。
b’は前記と同じであり、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数が好ましく、1または2が特に好ましい。
tは1〜3の整数が好ましく、1または2が特に好ましい。
式(a1−3−03−1)または(a1−3−03−2)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−3−29)〜(a1−3−32)で表される構成単位が挙げられる。
(A1)成分が含有する構成単位(a1)は1種であってもよく2種以上であってもよい。
(A1)成分中、構成単位(a1)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位に対し、15〜70モル%が好ましく、15〜60モル%がより好ましく、20〜55モル%がさらに好ましい。
構成単位(a1)の割合を下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際に容易にパターンを得ることができ、感度、解像性、LWR等のリソグラフィー特性も向上する。また、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとりやすくなる。
[構成単位(a0)]
構成単位(a0)は、−SO−含有環式基を含む構成単位である。
構成単位(a0)は、−SO−含有環式基を含むことにより、(A1)成分を含有するレジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜の基板への密着性を高める。また、感度、解像性、露光余裕度(ELマージン)、LWR(ラインワイズラフネス)、LER(ラインエッジラフネス)、マスク再現性等のリソグラフィー特性の向上に寄与する。
ここで「−SO−含有環式基」とは、その環骨格中に−SO−を含む環を含有する環式基を示し、具体的には、−SO−における硫黄原子(S)が環式基の環骨格の一部を形成する環式基である。
−SO−含有環式基においては、その環骨格中に−SO−を含む環をひとつ目の環として数え、該環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
−SO−含有環式基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。
−SO−含有環式基は、特に、その環骨格中に−O−SO−を含む環式基、すなわち−O−SO−中の−O−S−が環式基の環骨格の一部を形成するスルトン(sultone)環であることが好ましい。
−SO−含有環式基は、炭素数が3〜30であることが好ましく、4〜20であることが好ましく、4〜15であることがより好ましく、4〜12であることが特に好ましい。ただし、該炭素数は環骨格を構成する炭素原子の数であり、置換基における炭素数を含まないものとする。
−SO−含有環式基は、−SO−含有脂肪族環式基であってもよく、−SO−含有芳香族環式基であってもよい。好ましくは−SO−含有脂肪族環式基である。
−SO−含有脂肪族環式基としては、その環骨格を構成する炭素原子の一部が−SO−または−O−SO−で置換された脂肪族炭化水素環から水素原子を少なくとも1つ除いた基が挙げられる。より具体的には、その環骨格を構成する−CH−が−SO−で置換された脂肪族炭化水素環から水素原子を少なくとも1つ除いた基、その環を構成する−CH−CH−が−O−SO−で置換された脂肪族炭化水素環から水素原子を少なくとも1つ除いた基等が挙げられる。
該脂環式炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
該脂環式炭化水素基は、多環式であってもよく、単環式であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。多環式の脂環式炭化水素基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
−SO−含有環式基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、たとえばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、−COOR”、−OC(=O)R”(R”は水素原子又はアルキル基である。)、ヒドロキシアルキル基、シアノ基等が挙げられる。
該置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。該アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
該置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。該アルコキシ基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基に酸素原子(−O−)に結合した基が挙げられる。
該置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
該置換基のハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
該置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルキル基としてはフッ素化アルキル基が好ましく、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。
前記−COOR”、−OC(=O)R”におけるR”は、いずれも、水素原子または炭素数1〜15の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基であることが好ましい。
R”が直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基の場合は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましく、メチル基またはエチル基であることが特に好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は、炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
該置換基としてのヒドロキシアルキル基としては、炭素数が1〜6であるものが好ましく、具体的には、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された基が挙げられる。
−SO−含有環式基として、より具体的には、下記一般式(3−1)〜(3−4)で表される基が挙げられる。
Figure 0005789461
[式中、A’は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり、zは0〜2の整数であり、Rはアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり、R”は水素原子またはアルキル基である。]
前記一般式(3−1)〜(3−4)中、A’は、酸素原子(−O−)もしくは硫黄原子(−S−)を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子である。
A’における炭素数1〜5のアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。
該アルキレン基が酸素原子または硫黄原子を含む場合、その具体例としては、前記アルキレン基の末端または炭素原子間に−O−または−S−が介在する基が挙げられ、たとえば−O−CH−、−CH−O−CH−、−S−CH−、−CH−S−CH−等が挙げられる。
A’としては、炭素数1〜5のアルキレン基または−O−が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
zは0〜2のいずれであってもよく、0が最も好ましい。
zが2である場合、複数のRはそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
におけるアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基としては、それぞれ、前記で−SO−含有環式基が有していてもよい置換基として挙げたアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基と同様のものが挙げられる。
以下に、前記一般式(3−1)〜(3−4)で表される具体的な環式基を例示する。なお、式中の「Ac」はアセチル基を示す。
Figure 0005789461
Figure 0005789461
Figure 0005789461
−SO−含有環式基としては、上記の中でも、前記一般式(3−1)で表される基が好ましく、前記化学式(3−1−1)、(3−1−18)、(3−3−1)および(3−4−1)のいずれかで表される基からなる群から選択される少なくとも一種を用いることがより好ましく、前記化学式(3−1−1)で表される基が最も好ましい。
構成単位(a0)としては、−SO−含有環式基を含むものであれば特に限定されることなく任意のものが使用可能である。
構成単位(a0)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって−SO−含有環式基を含む構成単位が好ましい。
構成単位(a0)の例として、より具体的には、下記一般式(a0−0)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 0005789461
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、R39は−O−又は−NH−であり、R30は−SO−含有環式基であり、R29’は単結合または2価の連結基である。]
式(a0−0)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。
Rにおける炭素数1〜5のアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
Rにおけるハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子又はメチル基が最も好ましい。
前記式(a0−0)中、R39は、−O−、又は、−NH−である。
前記式(a0−0)中、R30は、前記で挙げた−SO−含有環式基と同様である。
前記式(a0−0)中、R29’は、単結合又は2価の連結基のいずれであってもよい。本発明の効果に優れることから、2価の連結基であることが好ましい。
29’における2価の連結基としては、上述した構成単位(a1)の説明の中で挙げた一般式(a1−0−2)中のYにおける2価の連結基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
29’の2価の連結基としては、アルキレン基、2価の脂環式炭化水素基またはヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましい。これらの中でも、アルキレン基、エステル結合(−C(=O)−O−)を含むものが好ましい。
該アルキレン基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましい。具体的には、前記Yにおける脂肪族炭化水素基として挙げた直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
エステル結合を含む2価の連結基としては、特に、一般式:−R20−C(=O)−O−[式中、R20は2価の連結基である。]で表される基が好ましい。すなわち、構成単位(a0)は、下記一般式(a0−0−1)で表される構成単位であることが好ましい。
Figure 0005789461
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、R39は−O−又は−NH−であり、R20は2価の連結基であり、R30は−SO−含有環式基である。]
20としては、特に限定されず、たとえば上記一般式(a0−0)中のR29’における2価の連結基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
20の2価の連結基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、2価の脂環式炭化水素基、またはヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましい。
該直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、2価の脂環式炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基としては、それぞれ、前記のR29’で好ましいものとして挙げた直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、2価の脂環式炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基と同様のものが挙げられる。
上記の中でも、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、またはヘテロ原子として酸素原子を含む2価の連結基が好ましい。
直鎖状のアルキレン基としては、メチレン基またはエチレン基が好ましく、メチレン基が特に好ましい。
分岐鎖状のアルキレン基としては、アルキルメチレン基またはアルキルエチレン基が好ましく、−CH(CH)−、−C(CH−または−C(CHCH−が特に好ましい。
酸素原子を含む2価の連結基としては、エーテル結合またはエステル結合を含む2価の連結基が好ましく、前記の式−Y21−O−Y22−、式−[Y21−C(=O)−O]m’− Y22−または式−Y21−O−C(=O)−Y22−で表される基がより好ましい。Y21、Y22、m’は、それぞれ前記と同じである。
なかでも、式−Y21−O−C(=O)−Y22−で表される基が好ましく、式−(CH−O−C(=O)−(CH−で表される基が特に好ましい。cは1〜5の整数であり、1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。dは1〜5の整数であり、1〜3の整数が好ましく、1または2がより好ましい。
構成単位(a0)としては、特に、下記一般式(a0−0−11)または(a0−0−12)で表される構成単位が好ましく、式(a0−0−12)で表される構成単位がより好ましい。
Figure 0005789461
[式中、R、A’、R、z、R39およびR20はそれぞれ前記と同じである。]
式(a0−0−11)中、A’はメチレン基、エチレン基、酸素原子(−O−)または硫黄原子(−S−)であることが好ましい。
式(a0−0−12)中、R20としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、または酸素原子を含む2価の連結基が好ましい。R20における直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、酸素原子を含む2価の連結基としては、それぞれ、前記で挙げた直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基、酸素原子を含む2価の連結基と同様のものが挙げられる。
式(a0−0−12)で表される構成単位としては、特に、下記一般式(a0−0−12a)または(a0−0−12b)で表される構成単位が好ましい。
Figure 0005789461
[式中、R、R39およびA’はそれぞれ前記と同じであり、c及びdはそれぞれ前記と同じであり、fは1〜5の整数(好ましくは1〜3の整数)である。]
(A1)成分が含有する構成単位(a0)は1種であってもよく2種以上であってもよい。
(A1)成分中の構成単位(a0)の割合は、当該(A1)成分を含有するレジスト組成物を用いて形成されるレジストパターン形状が良好となり、ELマージン、LWR、マスク再現性等のリソグラフィー特性にも優れることから、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜60モル%であることが好ましく、5〜55モル%がより好ましく、10〜50モル%がさらに好ましく、15〜45モル%が最も好ましい。
[構成単位(a2)]
構成単位(a2)は、ラクトン含有環式基を含む構成単位である。
ここで、ラクトン含有環式基とは、−O−C(=O)−構造を含むひとつの環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつ目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
構成単位(a2)のラクトン環式基は、(A1)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めたり、水を含有する現像液(特にアルカリ現像プロセスの場合)との親和性を高めたりする上で有効なものである。
ラクトン環式基としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。
具体的には、ラクトン含有単環式基としては、4〜6員環ラクトンから水素原子を1つ除いた基、たとえばβ−プロピオノラクトンから水素原子を1つ除いた基、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基、δ−バレロラクトンから水素原子を1つ除いた基が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。
構成単位(a2)としては、ラクトン含有環式基を含むものであれば特に限定されることなく任意のものが使用可能である。
構成単位(a2)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であってラクトン含有環式基を含む構成単位が好ましい。
構成単位(a2)の例として、より具体的には、下記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 0005789461
[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;R’はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基またはシアノ基であり、R”は水素原子またはアルキル基であり;R29は単結合または2価の連結基であり、s”は0または1〜2の整数であり;A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり;mは0または1の整数である。]
一般式(a2−1)〜(a2−5)におけるRは、前記構成単位(a1)におけるRと同様である。
R’のアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基としては、それぞれ、−SO−含有環式基が有していてもよい置換基として挙げたアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”(R”は前記同様)と同様のものが挙げられる。
A”としては、炭素数1〜5のアルキレン基または−O−が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
29は単結合または2価の連結基である。2価の連結基としては、前記一般式(a1−0−2)中のYで説明した2価の連結基と同様であり、それらの中でも、アルキレン基、エステル結合(−C(=O)−O−)、もしくはそれらの組み合わせであることが好ましい。R29における2価の連結基としてのアルキレン基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基がより好ましい。具体的には、前記Yにおける脂肪族炭化水素基で挙げた直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
s”は1〜2の整数が好ましい。
以下に、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位の具体例をそれぞれ例示する。
以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
Figure 0005789461
Figure 0005789461
Figure 0005789461
Figure 0005789461
Figure 0005789461
(A1)成分が含有する構成単位(a2)は1種であってもよく2種以上であってもよい。
構成単位(a2)としては、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、一般式(a2−1)〜(a2−3)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましい。なかでも、化学式(a2−1−1)、(a2−1−2)、(a2−2−1)、(a2−2−7)、(a2−3−1)および(a2−3−5)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。
(A1)成分中の構成単位(a2)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して、5〜60モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、10〜45モル%がさらに好ましい。
構成単位(a2)の割合を下限値以上とすることにより、構成単位(a2)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとりやすくなる。
[構成単位(a3)]
構成単位(a3)は、極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位(ただし、上述した構成単位(a1)、(a0)、(a2)に該当するものを除く)である。
(A1)成分が構成単位(a3)を有することにより、(A)成分の親水性が高まり、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、環状の脂肪族炭化水素基(環式基)が挙げられる。該環式基としては、単環式基でも多環式基でもよく、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該環式基としては多環式基であることが好ましく、炭素数は7〜30であることがより好ましい。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むものであれば特に限定されることなく任意のものが使用可能である。
構成単位(a3)としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって極性基含有脂肪族炭化水素基を含む構成単位が好ましい。
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基における炭化水素基が炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基のときは、アクリル酸のヒドロキシエチルエステルから誘導される構成単位が好ましく、該炭化水素基が多環式基のときは、下記の式(a3−1)で表される構成単位、式(a3−2)で表される構成単位、式(a3−3)で表される構成単位が好ましいものとして挙げられる。
Figure 0005789461
(式中、Rは前記と同じであり、jは1〜3の整数であり、kは1〜3の整数であり、t’は1〜3の整数であり、lは1〜5の整数であり、sは1〜3の整数である。)
式(a3−1)中、jは1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。jが2の場合、水酸基が、アダマンチル基の3位と5位に結合しているものが好ましい。jが1の場合、水酸基が、アダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
jは1であることが好ましく、特に、水酸基が、アダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
式(a3−2)中、kは1であることが好ましい。シアノ基は、ノルボルニル基の5位または6位に結合していることが好ましい。
式(a3−3)中、t’は1であることが好ましい。lは1であることが好ましい。sは1であることが好ましい。これらは、アクリル酸のカルボキシ基の末端に、2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールは、ノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
(A1)成分が含有する構成単位(a3)は1種であってもよく2種以上であってもよい。
(A1)成分中、構成単位(a3)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、5〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。
構成単位(a3)の割合を下限値以上とすることにより、構成単位(a3)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとりやすくなる。
[その他の構成単位]
(A1)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記の構成単位(a1)、構成単位(a0)、構成単位(a2)及び構成単位(a3)以外のその他の構成単位を有してもよい。
かかるその他の構成単位は、上述の構成単位に分類されない構成単位であれば特に限定されるものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
かかるその他の構成単位としては、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって酸非解離性の脂肪族多環式基を含む構成単位(a4)、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいヒドロキシスチレンから誘導される構成単位(a5)、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいスチレンから誘導される構成単位(a6)等が挙げられる。
(構成単位(a4))
構成単位(a4)は、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって酸非解離性の脂肪族多環式基を含む構成単位である。
構成単位(a4)において、該多環式基は、たとえば、前記の構成単位(a1)の場合に例示した多環式基と同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特に、トリシクロデシル基、アダマンチル基、テトラシクロドデシル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−5)で表される構造のものを例示することができる。
Figure 0005789461
(式中、Rは前記と同じである。)
かかる構成単位(a4)を(A1)成分に含有させる際には、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して、構成単位(a4)を1〜30モル%含有させることが好ましく、10〜20モル%含有させることがより好ましい。
(構成単位(a5))
構成単位(a5)は、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいヒドロキシスチレンから誘導される構成単位である。
「ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位」とは、ヒドロキシスチレンのエチレン性二重結合が開裂して形成される構成単位を意味する。
ヒドロキシスチレンのα位の水素原子を置換してもよい置換基としては、前記構成単位(a1)の説明で、「ヒドロキシスチレン若しくはヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位」にてヒドロキシスチレンのα位の水素原子を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。具体的には、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基等が挙げられ、それらの中でも、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。
ヒドロキシスチレンのベンゼン環には、水酸基以外の置換基が結合していてもよい。該置換基としては、たとえば、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が特に好ましい。該置換基としては、それらの中でも、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。
構成単位(a5)としては、有機溶剤に対する溶解性が良好で、また、アルカリ現像液に対して溶解性を有するようになり、かつ、エッチング耐性に優れることから、下記一般式(a5−1)で表される構成単位が好適に例示できる。
Figure 0005789461
[式中、R60は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり;R61は炭素数1〜5のアルキル基であり;pは1〜3の整数であり;qは0〜2の整数である。]
前記式(a5−1)中、R60における炭素数1〜5のアルキル基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などの直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が挙げられる。R60としては、水素原子またはメチル基が特に好ましい。
pは1〜3の整数であり、好ましくは1である。
水酸基の結合位置は、フェニル基のo−位、m−位、p−位のいずれでもよい。pが1である場合は、容易に入手可能で低価格であることからp−位が好ましい。pが2または3の場合は、任意の置換位置を組み合わせることができる。
qは0〜2の整数である。これらのうち、qは0または1であることが好ましく、特に工業上、0であることが好ましい。
61のアルキル基としては、R60のアルキル基と同様のものが挙げられる。
61の置換位置は、qが1である場合はo−位、m−位、p−位のいずれでもよい。qが2である場合は、任意の置換位置を組み合わせることができる。このとき、複数のR61は、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
かかる構成単位(a5)を(A1)成分に含有させる際には、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して、構成単位(a5)を50〜90モル%含有させることが好ましく、55〜85モル%含有させることがより好ましく、60〜80モル%含有させることがさらに好ましい。
(構成単位(a6))
構成単位(a6)は、α位の炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよいスチレンから誘導される構成単位である。
「スチレンから誘導される構成単位」とは、スチレンのエチレン性二重結合が開裂して形成される構成単位を意味する。
スチレンのα位の水素原子を置換してもよい置換基としては、前記構成単位(a5)の説明で、ヒドロキシスチレンのα位の水素原子を置換してもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。それらの中でも、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。
スチレンのベンゼン環には、置換基が結合していてもよい。該置換基としては、前記構成単位(a5)の説明で、ヒドロキシスチレンのベンゼン環に結合してもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。それらの中でも、炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。
構成単位(a6)としては、アルカリ現像液に対する溶解性を調整することができ、また、耐熱性やドライエッチング耐性が向上することから、下記一般式(a6−1)で表される構成単位が好適に例示できる。
Figure 0005789461
[式中、R60は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であり;R62は炭素数1〜5のアルキル基であり;xは0〜3の整数である。]
前記一般式(a6−1)中、R60は、上記一般式(a5−1)におけるR60と同様である。
前記式(a6−1)中、R62のアルキル基は、上記一般式(a5−1)におけるR61のアルキル基と同様のものが挙げられる。
xは0〜3の整数であり、0または1であることが好ましく、工業上、0であることが特に好ましい。
xが1である場合、R62の置換位置は、フェニル基のo−位、m−位、p−位のいずれでもよい。xが2または3である場合には、任意の置換位置を組み合わせることができる。このとき、複数のR62は、それぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
かかる構成単位(a6)を(A1)成分に含有させる際には、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して、構成単位(a6)を10〜50モル%含有させることが好ましく、15〜45モル%含有させることがより好ましく、20〜40モル%含有させることがさらに好ましい。
(A1)成分は、構成単位(a1)を有する重合体であることが好ましく、構成単位(a1)と、構成単位(a0)および(a2)からなるから選択される少なくとも一種の構成単位と、を有する共重合体であることがより好ましい。
(A1)成分として具体的には、構成単位(a1)及び構成単位(a2)の繰返し構造からなる共重合体;構成単位(a1)及び構成単位(a0)の繰返し構造からなる共重合体;構成単位(a1)、構成単位(a2)及び構成単位(a3)の繰返し構造からなる共重合体;構成単位(a1)、構成単位(a0)及び構成単位(a3)の繰返し構造からなる共重合体;構成単位(a1)、構成単位(a0)、構成単位(a2)及び構成単位(a3)の繰返し構造からなる共重合体等が例示できる。
(A1)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、1000〜50000が好ましく、1500〜30000がより好ましく、2000〜20000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.0〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
(A1)成分は、各構成単位を誘導するモノマーを、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
また、(A1)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH−CH−CH−C(CF−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
各構成単位を誘導するモノマーは、市販のものを用いてもよく、公知の方法を利用して合成してもよい。
(A1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分中の(A1)成分の割合は、(A)成分の総質量に対し、25質量%以上が好ましく、50質量%がより好ましく、75質量%がさらに好ましく、100質量%であってもよい。該割合が25質量%以上であると、MEF、真円性(Circularity)、ラフネス低減等のリソグラフィー特性がより向上する。
(A)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、(A1)成分以外の、酸の作用により極性が増大する基材成分(以下「(A2)成分」という。)を含有してもよい。
(A2)成分としては、分子量が500以上4000未満であって、上述の(A1)成分の説明で例示したような酸解離性基と、親水性基とを有する低分子化合物などが挙げられる。具体的には、複数のフェノール骨格を有する化合物の水酸基の水素原子の一部または全部が上記酸解離性基で置換されたものが挙げられる。
該低分子化合物としては、たとえば、非化学増幅型のg線やi線レジストにおける増感剤や、耐熱性向上剤として知られている低分子量フェノール化合物の水酸基の水素原子の一部を上記酸解離性基で置換したものが好ましく、そのようなものから任意に用いることができる。
該低分子量フェノール化合物としては、たとえば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)メタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(2,3,4−トリヒドロキシフェニル)−2−(2’,3’,4’−トリヒドロキシフェニル)プロパン、トリス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−2−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−2,5−ジメチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−4−ヒドロキシフェニルメタン、ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシ−6−メチルフェニル)−3,4−ジヒドロキシフェニルメタン、1−[1−(4−ヒドロキシフェニル)イソプロピル]−4−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]ベンゼン、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾールまたはキシレノールなどのフェノール類のホルマリン縮合物の2〜6核体などが挙げられる。勿論これらに限定されるものではない。特には、トリフェニルメタン骨格を2〜6個有するフェノール化合物が、解像性、ラインエッジラフネス(LWR)に優れることから好ましい。該酸解離性基も特に限定されず、上記したものが挙げられる。
本発明に用いるレジスト組成物中、(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚等に応じて調整すればよい。
<光塩基発生剤成分;(C)成分>
本発明のレジストパターン形成方法においては、(C)成分が工程(2)での露光エネルギーにより分解して塩基を発生することで、良好な溶解コントラストを得ることができる。
(C)成分は、放射線の照射により分解して塩基を発生し得るものであればよく、カルバメート基(ウレタン結合)含有のもの、アシルオキシイミノ基含有のもの、イオン系のもの(アニオン−カチオン複合体)、カルバモイルオキシイミノ基含有のもの等が挙げられ、カルバメート基(ウレタン結合)含有のもの、アシルオキシイミノ基含有のもの、イオン系のもの(アニオン−カチオン複合体)が好ましい。
また、分子内に環構造を有しているものが好ましく、当該環構造としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、キサントン、チオキサントン、アントラキノン、フルオレン等の環骨格を有するものが挙げられる。
なかでも、(C)成分としては、光分解性の点から、下記一般式(C1)で表される化合物(以下「(C1)成分」という)が特に好ましい。かかる化合物に対して放射線を照射すると、少なくとも、該式(C1)中の窒素原子と、該窒素原子に隣接するカルボニル基の炭素原子との間の結合が切断されてアミンまたはアンモニアと、二酸化炭素とが生成する。分解の後、−N(R)(R)を有する生成物の沸点が高いことが好ましい。また、−N(R)(R)を有する生成物の分子量が大きいこと、又は嵩高い骨格を有することが、PEB時の拡散制御の点で好ましい。
Figure 0005789461
[式中、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子またはヘテロ原子を含んでいてもよい1価の炭化水素基であり、RおよびRが相互に結合して隣接する窒素原子とともに環式基を形成してもよく;Rは1価の光官能基である。]
式(C1)中、R、Rにおける炭化水素基が有していてもよいヘテロ原子は、炭素原子および水素原子以外の原子であり、たとえば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
該炭化水素基は、芳香族炭化水素基でも脂肪族炭化水素基でもよく、脂肪族炭化水素基であることが好ましい。
式(C1)中、R、Rにおける芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。
、Rにおける芳香族炭化水素基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
該芳香族炭化水素基として、具体的には、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いたアリール基;ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基;などが挙げられる。前記アリールアルキル基中のアルキル鎖の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
該芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基が有する芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、当該芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。
また、該芳香族炭化水素基が、芳香環に結合した脂肪族炭化水素基を有する場合、該脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む2価の連結基で置換されていてもよく、当該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部が置換基で置換されていてもよい。該脂肪族炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基としては、それぞれ、この後に示す、R、Rにおける脂肪族炭化水素基の説明で挙げる脂肪族炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基と同様のものが挙げられる。
前記芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族炭化水素基の例としては、前記アリール基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基、前記アリールアルキル基中の芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部が前記ヘテロ原子で置換されたヘテロアリールアルキル基等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基の芳香環に結合した水素原子を置換する置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、ヒドロキシアルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、−COOR”、−OC(=O)R”、シアノ基、ニトロ基、−NR”、−R’−N(R10’)−C(=O)−O−R’、含窒素複素環式基等が挙げられる。
該置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。該アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
該置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。該アルコキシ基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基に酸素原子(−O−)に結合した基が挙げられる。
該置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
該置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルキル基としてはフッ素化アルキル基が好ましく、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。
該置換基としてのヒドロキシアルキル基としては、炭素数が1〜6であるものが好ましく、具体的には、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された基が挙げられる。
前記−COOR”、−OC(=O)R”、−NR”におけるR”は、いずれも、水素原子または炭素数1〜15の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基である。
R”が直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基の場合は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましく、メチル基またはエチル基であることが特に好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は、炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
−NR”における2つのR”は、同じであっても異なっていてもよい。
−R’−N(R10’)−C(=O)−O−R’中、R’はヘテロ原子を含んでいてもよい2価の炭化水素基であり、R10’は水素原子またはヘテロ原子を含んでいてもよい1価の炭化水素基であり、R’は脂肪族環または芳香族環を有する1価の有機基である。
’における炭化水素基としては、たとえば、式(C1)中のRにおける炭化水素基から水素原子を1個除いた基が挙げられる。
10’、R’はそれぞれ、式(C1)中のR、Rと同様のものが挙げられる。
−R’−N(R10’)−C(=O)−O−R’中、R10’は、R’に結合して環を形成していてもよい。
式(C1)中のRおよびRのうち、たとえばRが置換基として−R’−N(R10’)−C(=O)−O−R’を有する場合、該式中のR10’が、式(C1)中のRに結合して環を形成していてもよい。
式(C1)中のRおよびRのうち、Rが置換基として−R’−N(R10’)−C(=O)−O−R’を有する場合、式(C1)で表される化合物としては、次の一般式:R’−O−C(=O)−N(R10’)−R−N(R)−C(=O)−O−R[式中、R〜R、R10’、R’はそれぞれ前記と同じであり、Rは2価の脂肪族炭化水素基である。]で表される化合物が好ましい。
の2価の脂肪族炭化水素基としては、たとえばこの後に示す、R、Rにおける脂肪族炭化水素基から水素原子を1個除いた基が挙げられる。
前記置換基としての「含窒素複素環式基」は、環骨格に窒素原子を含む含窒素複素環式化合物から1つ以上の水素原子を除いた基である。含窒素複素環式化合物は、その環骨格に、炭素原子および窒素原子以外のヘテロ原子(たとえば酸素原子、硫黄原子等)を有していてもよい。
含窒素複素環式化合物は、芳香族であってもよく、脂肪族であってもよい。また、脂肪族である場合、飽和であってもよく、不飽和であってもよい。また、含窒素複素環式化合物は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。
含窒素複素環式化合物の炭素数は、3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましい。
単環式の含窒素複素環式化合物の具体例としては、ピロール、ピリジン、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、ピリミジン、ピラジン、1,3,5−トリアジン、テトラゾール、ピペリジン、ピペラジン、ピロリジン、モルホリン等が挙げられる。
多環式の含窒素複素環式化合物の具体例としては、キノリン、イソキノリン、インドール、ピロロ[2,3−b]ピリジン、インダゾール、ベンゾイミダゾール(ベンズイミダゾール)、ベンゾトリアゾール、カルバゾール、アクリジン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
該含窒素複素環式基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、たとえば、前記芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
式(C1)中、R、Rにおける脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。
、Rにおける脂肪族炭化水素基は、飽和(アルキル基)であってもよく、不飽和であってもよい。通常は飽和であることが好ましい。また、該脂肪族炭化水素基は、それぞれ、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、それらの組み合わせであってもよい。該組み合わせとして、たとえば、環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基、などが挙げられる。
直鎖状または分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10がさらに好ましい。
直鎖状のアルキル基として具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状のアルキル基として具体的には、例えば、1−メチルエチル基(iso−プロピル基)、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、tert−ブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
環状のアルキル基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。その炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。具体的には、たとえば、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基として、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、ポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基として、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。
該脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部が、ヘテロ原子を含む2価の連結基で置換されていてもよく、当該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部が置換基で置換されていてもよい。
ヘテロ原子を含む2価の連結基において、ヘテロ原子としては、前記芳香族炭化水素基が有する芳香環を構成する炭素原子の一部を置換するヘテロ原子として挙げたものと同様のものが挙げられる。ヘテロ原子を含む2価の連結基としては、たとえば、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−、−NH−、−NR04−(R04はアルキル基、アシル基等の置換基である。)、−NH−C(=O)−、=N−等の、ヘテロ原子を含む2価の非炭化水素基が挙げられる。また、これらの「ヘテロ原子を含む2価の非炭化水素基」と2価の脂肪族炭化水素基との組み合わせ等が挙げられる。2価の脂肪族炭化水素基としては、上述した脂肪族炭化水素基から水素原子を1個除いた基が挙げられ、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましい。
後者の例における脂肪族炭化水素基の置換基としては、たとえば、前記芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記一般式(C1)中、RおよびRが相互に結合して隣接する窒素原子とともに環式基を形成してもよい。
該環式基は、芳香族環式基であってもよく、脂肪族環式基であってもよい。脂肪族環式基である場合、飽和であってもよく、不飽和であってもよい。通常、飽和であることが好ましい。
該環式基は、その環骨格に、RおよびRが結合した窒素原子以外の窒素原子を有していてもよい。また、環骨格に、炭素原子および窒素原子以外のヘテロ原子(たとえば酸素原子、硫黄原子等)を有していてもよい。
該環式基は、単環式であってもよく、多環式であってもよい。
単環式である場合、該環式基の骨格を構成する原子の数は、4〜7が好ましく、5〜6がより好ましい。すなわち、該環式基は、4〜7員環が好ましく、5〜6員環がより好ましい。単環式の環式基の具体例としては、ピペリジン、ピロリジン、モルホリン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、テトラゾール、ピペラジン等の、環構造中に−NH−を有する複素単環式化合物の該−NH−から水素原子を除いた基が挙げられる。
多環式である場合、該環式基は、二環式、三環式または四環式であることが好ましく、また、該環式基の骨格を構成する原子の数は、7〜12が好ましく、7〜10がより好ましい。多環式の含窒素複素環式基の具体例としては、インドール、イソインドール、カルバゾール、ベンゾイミダゾール、インダゾール、ベンゾトリアゾール等の、環構造中に−NH−を有する複素多環式化合物の該−NH−から水素原子を除いた基が挙げられる。
該環式基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、たとえば、前記芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
およびRが相互に結合して隣接する窒素原子とともに形成する環式基としては、特に、下記一般式(II)で表される基が好ましい。
Figure 0005789461
[式中、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基であり;Rは、炭素原子が酸素原子または窒素原子で置換されていてもよく、水素原子が置換基で置換されていてもよい炭素数1〜3の直鎖状のアルキレン基である。]
式(II)中、R、Rにおけるアルキル基としては、前記R、Rにおける脂肪族炭化水素基の説明で挙げたアルキル基と同様のものが挙げられ、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
において、炭素原子が酸素原子または窒素原子で置換されていてもよいアルキレン基としては、たとえば、−CH−、−CH−O−、−CH−NH−、−CH−CH−、−CH−O−CH−、−CH−NH−CH−、−CH−CH−CH−、−CH−CH−O−CH−、−CH−CH−NH−CH−等が挙げられる。
該アルキレン基の水素原子を置換する置換基としては、前記芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。該置換基で置換される水素原子は、炭素原子に結合した水素原子であってもよく、窒素原子に結合した水素原子であってもよい。
式(C1)中、Rは1価の光官能基である。
ここでいう「光官能基」とは、工程(2)で行う露光の露光エネルギーを吸収する基のことをいう。
当該光官能基としては、環含有基が好ましく、炭化水素環であってもよく複素環であってもよく、好ましくは上記RおよびRについて説明した環構造を有する基、その他芳香族環を有する基が挙げられる。環含有基の環骨格として具体的には、ベンゼン、ビフェニル、インデン、ナフタレン、フルオレン、アントラセン、フェナントレン、キサントン、チオキサントン、アントラキノン等が好ましいものとして挙げられる。
また、これらの環骨格は置換基を有していてもよく、置換基としては、塩基発生効率の点から、ニトロ基が特に好ましい。
(C1)成分としては、特に、下記一般式(C1−11)又は(C1−12)のいずれかで表される化合物から選ばれるものが好ましい。
Figure 0005789461
[式中、R4a〜R4bはそれぞれ独立に置換基を有していてもよいベンゼン、ビフェニル、インデン、ナフタレン、フルオレン、アントラセン、フェナントレン、キサントン、チオキサントンおよびアントラキノンから選ばれる環骨格であり、R1aおよびR2aはそれぞれ独立に炭素数1〜15のアルキル基またはシクロアルキル基であり、R11aは炭素数1〜5のアルキル基であり、m”は0または1であり、n”は0〜3であり、p”はそれぞれ0〜3である。]
式(C1−11)、(C1−12)中、R4a〜R4bは、置換基としてニトロ基を有することが塩基発生効率の点で好ましく、オルト位に置換されていることが特に好ましい。
1a、R2aとしては、それぞれ、炭素数5〜10のシクロアルキル基であることが、発生する塩基の拡散長制御の点で好ましい。
m”は1が好ましい。n”は0〜2が好ましい。p”は0または1が好ましい。
以下に、(C1)成分の具体例を示す。
Figure 0005789461
Figure 0005789461
また、(C)成分のなかで好適なものとして、下記一般式(C2)で表される化合物(以下「(C2)成分」という)も挙げられる。
(C2)成分は、工程(2)での露光により露光エネルギーを吸収した後、(−CH=CH−C(=O)−)部分がシス体へと異性化し、さらに加熱によって環化し、塩基(NHR)を生成する。
(C2)成分は、塩基の発生とともに、工程(4)でアルカリ現像液に対する難溶化効果が得られやすいことから好ましい。
Figure 0005789461
[式(C2)中、R及びRは、上記式(C1)中のR及びRと同様であり、R’はオルト位に水酸基を有する芳香族環式基である。]
前記式(C2)中、R及びRは、相互に結合して隣接する窒素原子とともに前記式(II)で表される環式基を形成していることが好ましい。または、R及びRは、好ましくは、前記式(C1−12)におけるR1a及びR2aと同様のものが挙げられる。
’における芳香族環式基は、上記式(C1)におけるRで例示した芳香族環を有する基と同様のものが挙げられ、その環骨格としてはベンゼン、ビフェニル、インデン、ナフタレン、フルオレン、アントラセン、フェナントレンが好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
’の芳香族環式基は、オルト位の水酸基以外にも置換基を有していてもよく、該置換基としてはハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シリル基、シラノール基、ニトロ基、ニトロソ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、アミノ基、アンモニオ基、その他アルキル基等の1価の有機基が挙げられる。
以下に、(C2)成分の具体例を示す。
Figure 0005789461
また、(C)成分のなかで好適なものとして、下記一般式(C3)で表される化合物(以下「(C3)成分」という)も挙げられる。
(C3)成分は、工程(2)での露光により露光エネルギーを吸収した後、脱炭酸し、その後、水と反応してアミン(塩基)を生じるものである。
Figure 0005789461
[式中、RおよびRは、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基であり(ただし、RおよびRがともに置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基である場合は、互いに結合して環を形成するものとし);Rは置換基を有していてもよいアリール基または脂肪族環式基である。]
前記式(C3)中、Rは、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基である。
の置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。
芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基として、具体的には、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いたアリール基、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等が挙げられる。前記アリールアルキル基中のアルキル鎖の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜3であることがより好ましく、1〜2であることが特に好ましい。
該芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基が有する芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、当該芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。
前者の例としては、前記アリール基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基、前記アリールアルキル基中の芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部が前記ヘテロ原子で置換されたヘテロアリールアルキル基等が挙げられる。
後者の例における芳香族炭化水素基の置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
前記式(C3)中のRにおける脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。また、脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
前記式(C3)中のRにおいて、脂肪族炭化水素基は、当該脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよく、当該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよい。
前記式(C3)中のRにおける「ヘテロ原子」としては、炭素原子および水素原子以外の原子であれば特に限定されず、たとえばハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む置換基は、前記ヘテロ原子のみからなるものであってもよく、前記ヘテロ原子以外の基または原子を含む基であってもよい。
炭素原子の一部を置換する置換基として、具体的には、たとえば−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hがアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−等が挙げられる。脂肪族炭化水素基が環状である場合、これらの置換基を環構造中に含んでいてもよい。
水素原子の一部または全部を置換する置換基として、具体的には、たとえばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、シアノ基等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記ハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
脂肪族炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状の飽和炭化水素基、直鎖状もしくは分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基、または環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族環式基)が好ましい。
直鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜5が好ましく、2〜4が好ましく、3が特に好ましい。直鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、上記の中でも、特にプロペニル基が好ましい。
前記式(C3)中のRにおける、環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族環式基)は置換基を有していてもよい炭素数3〜30の脂肪族環式基である。
前記式(C3)中のRにおいて、脂肪族環式基は、当該脂肪族環式基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよく、当該脂肪族環式基を構成する水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよい。
前記式(C3)中のRにおける「ヘテロ原子」としては、炭素原子および水素原子以外の原子であれば特に限定されず、たとえばハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む置換基は、前記ヘテロ原子のみからなるものであってもよく、前記ヘテロ原子以外の基または原子を含む基であってもよい。
炭素原子の一部を置換する置換基として具体的には、たとえば−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hがアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−等が挙げられる。これらの置換基は、環構造中に含まれていてもよい。
水素原子の一部または全部を置換する置換基として具体的には、たとえばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、シアノ基等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記ハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
脂肪族環式基としては、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。その炭素数は3〜30であり、5〜30であることが好ましく、5〜20がより好ましく、6〜15がさらに好ましく、6〜12が特に好ましい。
具体的には、たとえば、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含まない場合は、脂肪族環式基としては、多環式基が好ましく、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が最も好ましい。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含むものである場合、該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−が好ましい。かかる脂肪族環式基の具体例としては、たとえば下記式(L1)〜(L6)、(S1)〜(S4)で表される基等が挙げられる。
Figure 0005789461
[式中、Q”は炭素数1〜5のアルキレン基、−O−、−S−、−O−R94−または−S−R95−であり、R94およびR95はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基であり、mは0または1の整数である。]
前記式中、Q”、R94およびR95におけるアルキレン基としては、それぞれ、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基の炭素数は1〜5であり、1〜3であることが好ましい。
該アルキレン基として具体的には、たとえば、メチレン基[−CH−];−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CHCH−];−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−CH(CHCH)CH−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CHCHCH−];−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CHCHCHCH−];−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CHCHCHCHCH−]等が挙げられる。
これらの脂肪族環式基は、その環構造を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが特に好ましい。
前記アルコキシ基、ハロゲン原子はそれぞれ前記水素原子の一部または全部を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記式(C3)中のRの、置換基を有していてもよい脂肪族環式基としては、置換基を有していてもよい多環式の脂肪族環式基が好ましい。該多環式の脂肪族環式基としては、前記ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、前記(L2)〜(L6)、(S3)〜(S4)で表される基等が好ましい。
前記式(C3)中のRが置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基である場合、隣接する炭素原子と環を形成していてもよい。形成される環としては、単環でも多環でもよい。炭素数は(結合した炭素原子を含めて)5〜30が好ましく、5〜20がより好ましい。
具体的には、(結合した炭素原子も環の一部と見なして)上述したRにおける環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族環式基)のうち、炭素数5〜30の脂肪族環式基が挙げられる。
前記式(C3)中のRは、水素原子または置換基を有していてもよい環式基であることが好ましい。該環式基は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であってもよい。
置換基を有していてもよい脂肪族環式基としては、置換基を有していてもよい多環式の脂肪族環式基が好ましい。該多環式の脂肪族環式基としては、前記ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、前記(L2)〜(L6)、(S3)〜(S4)で表される基等が好ましい。
置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基としては、置換基を有していてもよいナフチル基、または置換基を有していてもよいフェニル基がより好ましい。
前記式(C3)中のRにおける、アリール基としては、前記式(C3)中のRにおける芳香族炭化水素基として挙げたものから、アリールアルキル基を除いたものが挙げられる。Rにおけるアリール基として、より好ましくはフェニル基である。
前記式(C3)中のRにおける、脂肪族環式基としては、前記式(C3)中のRにおける、脂肪族環式基と同様である。Rにおける脂肪族環式基として、好ましくは脂肪族多環式基であり、より好ましくはポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基であり、特に好ましくはアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基である。
の芳香族炭化水素基や脂肪族環式基が有していてもよい置換基としては、前記式(C3)中のRにおいて挙げた置換基と同様のものが挙げられる。
前記式(C3)中のRとしては、前記式(C3)におけるRと同様のものが挙げられる。
前記式(C3)中のRは、置換基を有していてもよい環式基であることが好ましい。該環式基は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であってもよく、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であることが好ましい。
置換基を有していてもよい脂肪族環式基としては、置換基を有していてもよい多環式の脂肪族環式基が好ましい。該多環式の脂肪族環式基としては、前記ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、前記(L2)〜(L6)、(S3)〜(S4)で表される基等が好ましい。
前記式(C3)中のRは、置換基を有していてもよいナフチル基または置換基を有していてもよいフェニル基がより好ましく、置換基を有していてもよいフェニル基が最も好ましい。
前記式(C3)中のRおよびRがともに置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基である場合は、互いに結合して環を形成する。形成される環としては、単環でも多環でもよい。炭素数は、前記式(C3)中でRおよびRが結合した炭素原子も含めて、5〜30が好ましく、5〜20がより好ましい。
具体的には、前記式(C3)中でRおよびRが結合した炭素原子も当該形成された環の一部であると見なして、上述したRにおける環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族環式基)のうち、炭素数5〜30の脂肪族環式基が挙げられる。
以下に、(C3)成分の具体例を示す。
Figure 0005789461
Figure 0005789461
また、(C)成分のなかで好適なものとして、アシルオキシイミノ基を含有する光塩基発生剤成分(以下「(C4)成分」という。)も挙げられる。(C4)成分としては、たとえば、以下に示す一般式(C4−1)で表される化合物、(C4−2)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0005789461
[式中、R11、R12、R43、R44はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基を表し、n7〜n10はそれぞれ独立に0〜3である。]
また、(C)成分は、上記で例示したもの以外のものとして、これまで化学増幅型レジスト用の光塩基発生剤として提案されているものを使用することができる。
このような光塩基発生剤としては、イオン系のもの(アニオン−カチオン複合体)、トリフェニルスルホニウム化合物、トリフェニルメタノール;ベンジルカルバメートおよびベンゾインカルバメート等の光活性なカルバメート;o−カルバモイルヒドロキシルアミド、o−カルバモイルオキシム、アロマティックスルホンアミド、アルファーラクタムおよびN−(2−アリルエチニル)アミド等のアミド;オキシムエステル、α−アミノアセトフェノン、コバルト錯体など;特開2007−279493号公報に記載されているもの等が挙げられる。
(C)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記のなかでも、(C)成分としては、(C1)成分がより好ましく、前記の一般式(C1−11)又は(C1−12)のいずれかで表される化合物から選ばれる1種以上がさらに好ましい。
レジスト組成物中、(C)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.05〜50質量部が好ましく、1〜30質量部がより好ましく、5〜20質量部が特に好ましい。(C)成分の含有量が下限値以上であることにより、レジスト膜の露光部の残膜性がより良好となり、本発明の効果がより向上する。他方、(C)成分の含有量が上限値以下であることにより、レジスト膜の透明性を維持することができる。
<酸供給成分;(Z)成分>
本発明において、「酸供給成分」とは、その成分自体が酸性を有するもの、すなわちプロトン供与体として作用するもの(以下「酸性化合物成分」又は(G)成分という);熱又は光などにより分解し、酸として機能するもの(以下「酸発生剤成分」又は(B)成分という)を包含する。
・・酸性化合物成分;(G)成分
本発明において、(G)成分としては、
基材成分(A)のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させ得る酸強度を有する、酸性の塩(以下「(G1)成分」という)、又は、
酸性の塩以外の酸(塩を形成していないもの、イオン性でないもの;以下「(G2)成分」という)を用いることができる。
「基材成分(A)のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させ得る酸強度を有するもの」とは、たとえば前記構成単位(a1)を有する高分子化合物(A1)を用いた場合、前記工程(3)でベーク(PEB)を施すことにより、構成単位(a1)中の酸分解性基の構造中の少なくとも一部の結合を開裂させることができる酸を包含する。
[(G1)成分]
(G1)成分は、含窒素カチオンと対アニオンとからなるイオン性化合物(塩化合物)が挙げられる。(G1)成分は、塩を形成した状態であっても(G1)成分自体が酸性を有し、プロトン供与体として作用する。
以下、(G1)成分のカチオン部とアニオン部とをそれぞれ説明する。
((G1)成分のカチオン部)
(G1)成分のカチオン部は、窒素原子を含有するものであれば特に限定されず、例えば下記一般式(G1c−1)で表されるカチオンが好適に挙げられる。
Figure 0005789461
[式中、R101d、R101e、R101f、R101gはそれぞれ水素原子、炭素数1〜12の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基もしくはオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基若しくはアリールアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基、又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子、アルコキシ基、又は硫黄原子によって置換されていてもよい。R101dとR101e、又は、R101dとR101eとR101fは、これらが結合して式中の窒素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合には、R101dとR101e、又は、R101dとR101eとR101fは、それぞれ炭素数3〜10のアルキレン基であるか、又は式中の窒素原子を環の中に有する複素芳香族環を形成する。]
式(G1c−1)中、R101d、R101e、R101f、R101gは、それぞれ、水素原子、炭素数1〜12の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基もしくはオキソアルケニル基、炭素数6〜20のアリール基若しくはアリールアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基、又はアリールオキソアルキル基である。
101d〜R101gのアルキル基としては、上述したR、Rのアルキル基と同様のものが挙げられ、その炭素数は1〜10であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基が特に好ましい。
101d〜R101gのアルケニル基としては、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜5がより好ましく、2〜4がさらに好ましい。具体的には、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
101d〜R101gのオキソアルキル基としては、炭素数が2〜10であることが好ましく、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基等が挙げられる。
101d〜R101gのオキソアルケニル基としては、オキソ−4−シクロヘキセニル基、2−オキソ−4−プロペニル基等が挙げられる。
101d〜R101gのアリール基としては、上述したR、Rの芳香族炭化水素基におけるアリール基と同様のものが挙げられ、フェニル基又はナフチル基であることが好ましい。アリールアルキル基としては、該アリール基中の水素原子の1つ以上がアルキル基(好ましくは炭素数1〜5のアルキル基)で置換されたもの等が挙げられる。
101d〜R101gのアラルキル基、アリールオキソアルキル基としては、それぞれ、ベンジル基、フェニルエチル基、フェネチル基等、2−フェニル−2−オキソエチル基、2−(1−ナフチル)−2−オキソエチル基、2−(2−ナフチル)−2−オキソエチル基等が挙げられる。
101d〜R101gのアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基、オキソアルケニル基、アリール基、アリールアルキル基、アラルキル基、アリールオキソアルキル基中の水素原子は、フッ素原子等のハロゲン原子、アルコキシ基、または硫黄原子で置換されていても置換されていなくてもよい。
101d〜R101gがアルキル基及び水素原子との組み合わせのみで構成される場合、該アルキル基の水素原子の少なくとも一部が、フッ素原子等のハロゲン原子、アルコキシ基、硫黄原子で置換されていることが保存安定性、リソグラフィー特性の点で好ましい。
また、R101dとR101e、又は、R101dとR101eとR101fは、これらが結合して式中の窒素原子と共に環を形成してもよい。形成する環としては、ピペリジン環、ヘキサメチレンイミン環、アゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、アゼピン環、ピラジン環、キノリン環、ベンゾキノリン環等が挙げられる。
また、該環骨格中に酸素原子を含んでもよく、具体的には、オキサゾール環、イソオキサゾール環が好適に挙げられる。
なかでも、上記式(G1c−1)で表されるカチオン部としては、pKaが7以下の含窒素カチオンが好ましい。
本発明におけるpKaは、酸解離定数であって、対象物質の酸強度を示す指標として一般的に用いられているものをいう。(G1)成分のカチオンのpKa値は常法により測定して求めることができる。また、「ACD/Labs」(商品名、Advanced Chemistry Development社製)等の公知のソフトウェアを用いた計算により推定することもできる。
(G1)成分のpKaは、7以下であるものが好ましく、対アニオンに対して相対的に弱塩基となるように、対アニオンの種類やpKaに応じて適宜決定することができ、具体的にはpKa−2〜7であることが好ましく、−1〜6.5であることがより好ましく、0〜6であることがさらに好ましい。pKaを前記範囲の上限値以下とすることにより、カチオンの塩基性を充分に弱いものとすることができ、(G1)成分自体を酸性化合物とすることができる。また、pKaを前記範囲の下限値以上とすることにより、対アニオンとより塩を形成しやすく、(G1)成分の酸性度を適度なものとすることができ、(G1)成分が過度に酸性であることによる保存安定性の劣化を防ぐことができる。
上記pKaを充足するカチオンとしては、下記一般式(G1c−11)〜(G1c−13)のいずれかで表されるカチオンが特に好ましい。
Figure 0005789461
[式中、Rfg1は炭素数1〜12のフッ素化アルキル基である。Rng1、Rg2はそれぞれ独立に水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であり、Rng1とRg2とは互いに環を形成していてもよい。Q〜Qはそれぞれ独立に炭素原子又は窒素原子であり、Rng3は水素原子またはメチル基である。Rng4、Rng5はそれぞれ独立に芳香族炭化水素基または炭素数1〜5のアルキル基である。Rg1、Rg2はそれぞれ独立に炭化水素基である。n15、n16はそれぞれ0〜4の整数である。n15、n16が2以上の場合、隣接する炭素原子の水素原子を置換する複数のRg1、Rg2は結合して環を形成していてもよい。]
式(G1c−11)中、Rfg1は、炭素数1〜12のフッ素化アルキル基であり、アルキル基の水素原子の50%以上がフッ素化された、炭素数1〜5のフッ素化アルキル基であることが好ましい。
式(G1c−11)中、Rng1、Rng2は、それぞれ独立に水素原子または炭素数1〜5のアルキル基であって、該アルキル基としては上記(G1c−1)中で説明したアルキル基のうち、炭素数1〜5のものと同様である。また、Rng1、Rng2の双方がアルキル基である場合、Rng1、Rng2のアルキル基が互いに結合して、式中のNHと共に環を形成していてもよい。
式(G1c−13)中、Rng4、Rng5は、それぞれ独立に芳香族炭化水素基または炭素数1〜5のアルキル基である。芳香族炭化水素基、アルキル基としては、それぞれ、上記(G1c−1)におけるR101d、R101e、R101f、R101gについての説明で例示したアリール基、炭素数1〜5のアルキル基と同様のものが挙げられる。
式(G1c−12)〜(G1c−13)中、n15、n16は0〜4の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0であることがより好ましい。
式(G1c−12)〜(G1c−13)中、Rg1、Rg2は、それぞれ独立に炭化水素基であり、炭素数1〜12のアルキル基又はアルケニル基が好ましい。アルキル基、アルケニル基としては、上記式(G1c−1)中で説明したものと同様である。
n15、n16が2以上の場合、複数のRg1、Rg2はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。また、n15、n16が2以上の場合、隣接する炭素原子の水素原子を置換する複数のRg1、Rg2は、結合して環を形成していてもよい。形成する環としては、ベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。即ち、式(G1c−12)〜(G1c−13)のいずれかで表される化合物は、2以上の環が縮合して形成された縮合環化合物であってもよい。
以下に、上記式(G1c−11)〜(G1c−13)のいずれかで表される化合物の具体例を示す。
Figure 0005789461
Figure 0005789461
Figure 0005789461
((G1)成分のアニオン部)
(G1)成分のアニオン部は、特に限定されるものではなく、通常、レジスト組成物に用いられる塩のアニオン部の中から適宜選択して使用することができる。
なかでも(G1)成分のアニオン部としては、上述した(G1)成分のカチオン部と塩を形成して(G1)成分となった際、該(G1)成分が上記(A)成分のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させ得るものであることが好ましい。
ここで「(A)成分のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させ得る」とは、たとえば前記構成単位(a1)を有する(A1)成分を用いた場合、前記工程(3)でベークを施すことにより、構成単位(a1)中の酸分解性基の構造中の少なくとも一部の結合を開裂させることができるものをいう。
即ち、(G1)のアニオン部は、強酸性であることが好ましい。具体的には、アニオン部のpKaが0以下であることがより好ましく、pKa−15〜−1であることがさらに好ましく、−13〜−3であることが特に好ましい。アニオン部のpKaが0以下であることにより、pKa7以下のカチオンに対してアニオンの酸性度を充分に強いものとすることができ、(G1)成分自体を酸性化合物とすることができる。一方、アニオン部のpKaを−15以上とすることにより、(G1)成分が過度に酸性であることによる保存安定性の劣化を防ぐことができる。
(G1)成分のアニオン部としては、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、及びトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンからなる群より選択される少なくとも一種のアニオン基を有するものが好ましい。
具体的には、たとえば、一般式「R”SO (R”は、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、又はアルケニル基を表す。)」で表されるアニオンが挙げられる。
前記一般式「R”SO 」において、R”は、置換基を有していてもよい直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、又はアルケニル基を表す。
前記R”としての直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
前記R”としての環状のアルキル基は、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
”がアルキル基の場合の「R”SO 」としては、例えば、メタンスルホネート、n−プロパンスルホネート、n−ブタンスルホネート、n−オクタンスルホネート、1−アダマンタンスルホネート、2−ノルボルナンスルホネート、d−カンファー−10−スルホネート等のアルキルスルホネートが挙げられる。
前記R”としてのハロゲン化アルキル基は、アルキル基中の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換されたものであり、該アルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、なかでも直鎖状または分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、又はイソペンチル基であることがさらに好ましい。そして、水素原子が置換されるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基において、アルキル基(ハロゲン化前のアルキル基)の水素原子の全個数の50〜100%がハロゲン原子で置換されていることが好ましく、水素原子の全てがハロゲン原子で置換されていることがより好ましい。
ここで、該ハロゲン化アルキル基としては、フッ素化アルキル基が好ましい。フッ素化アルキル基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましい。
また、該フッ素化アルキル基のフッ素化率は、好ましくは10〜100%、さらに好ましくは50〜100%であり、特に水素原子をすべてフッ素原子で置換したものが、酸の強度が強くなるため好ましい。
このような好ましいフッ素化アルキル基として、具体的には、トリフルオロメチル基、ヘプタフルオロ−n−プロピル基、ノナフルオロ−n−ブチル基が挙げられる。
前記R”としてのアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましい。
前記R”としてのアルケニル基は、炭素数2〜10のアルケニル基であることが好ましい。
前記R”において、「置換基を有していてもよい」とは、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、又はアルケニル基における水素原子の一部又は全部が置換基(水素原子以外の他の原子又は基)で置換されていてもよいことを意味する。
”における置換基の数は、1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
前記置換基としては、たとえば、ハロゲン原子、ヘテロ原子、アルキル基、式:X−Q’−[式中、Q’は酸素原子を含む2価の連結基であり、Xは置換基を有していてもよい炭素数3〜30の炭化水素基である。]で表される基等が挙げられる。
前記ハロゲン原子、アルキル基としては、R”において、ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子、アルキル基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。
−Q’−で表される基において、Q’は酸素原子を含む2価の連結基である。
Q’は、酸素原子以外の原子を含有してもよい。酸素原子以外の原子としては、たとえば炭素原子、水素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、たとえば、酸素原子(エーテル結合:−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、アミド結合(−C(=O)−NH−)、カルボニル基(−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。当該組み合わせに、さらにスルホニル基(−SO−)が連結されていてもよい。
該組み合わせとしては、たとえば、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−、−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−、−SO−O−R94−O−C(=O)−、−R95−SO−O−R94−O−C(=O)−(式中、R91〜R95はそれぞれ独立にアルキレン基である。)等が挙げられる。
91〜R95におけるアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
該アルキレン基として、具体的には、たとえばメチレン基[−CH−];−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CHCH−];−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CHCHCH−];−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CHCHCHCH−];−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CHCHCHCHCH−]等が挙げられる。
Q’としては、エステル結合またはエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、なかでも、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−または−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−が好ましい。
−Q’−で表される基において、Xの炭化水素基としては、上記式(C3)中のRの炭素数1〜30の炭化水素基と同様のものが挙げられる。
なかでも、Xは、置換基を有していてもよい直鎖状のアルキル基、又は、置換基を有していてもよい環式基であることが好ましい。該環式基は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であることが好ましい。
前記芳香族炭化水素基としては、置換基を有していてもよいナフチル基、または置換基を有していてもよいフェニル基が好ましい。
置換基を有していてもよい脂肪族環式基としては、置換基を有していてもよい多環式の脂肪族環式基が好ましい。該多環式の脂肪族環式基としては、前記ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、前記式(L2)〜(L6)、(S3)〜(S4)のいずれかで表される基などが好ましい。
上記の中でも、前記R”としては、ハロゲン化アルキル基、または置換基としてX−Q’−を有することが好ましい。
置換基としてX−Q’−を有する場合、R”としては、X−Q’−Y−[式中、Q’およびXは前記と同じであり、Yは置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基または置換基を有していてもよい炭素数1〜4のフッ素化アルキレン基である。]で表される基が好ましい。
−Q’−Y−で表される基において、Yのアルキレン基としては、前記Q’で挙げたアルキレン基のうち炭素数1〜4のものと同様のものが挙げられる。
フッ素化アルキレン基としては、該アルキレン基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
として、具体的には、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、−CF(CF)CF−、−CF(CFCF)−、−C(CF−、−CFCFCFCF−、−CF(CF)CFCF−、−CFCF(CF)CF−、−CF(CF)CF(CF)−、−C(CFCF−、−CF(CFCF)CF−、−CF(CFCFCF)−、−C(CF)(CFCF)−;−CHF−、−CHCF−、−CHCHCF−、−CHCFCF−、−CH(CF)CH−、−CH(CFCF)−、−C(CH)(CF)−、−CHCHCHCF−、−CHCHCFCF−、−CH(CF)CHCH−、−CHCH(CF)CH−、−CH(CF)CH(CF)−、−C(CFCH−;−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−CH(CH)CH−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−CHCHCHCH−、−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−CH(CHCHCH)−、−C(CH)(CHCH)−等が挙げられる。
としては、フッ素化アルキレン基が好ましく、特に、隣接する硫黄原子に結合する炭素原子がフッ素化されているフッ素化アルキレン基が好ましい。このようなフッ素化アルキレン基としては、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、−CF(CF)CF−、−CFCFCFCF−、−CF(CF)CFCF−、−CFCF(CF)CF−、−CF(CF)CF(CF)−、−C(CFCF−、−CF(CFCF)CF−;−CHCF−、−CHCHCF−、−CHCFCF−;−CHCHCHCF−、−CHCHCFCF−、−CHCFCFCF−等を挙げることができる。
これらの中でも、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、又はCHCFCF−が好ましく、−CF−、−CFCF−又は−CFCFCF−がより好ましく、−CF−が特に好ましい。
前記アルキレン基またはフッ素化アルキレン基は、置換基を有していてもよい。アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が「置換基を有する」とは、当該アルキレン基またはフッ素化アルキレン基における水素原子またはフッ素原子の一部または全部が、水素原子およびフッ素原子以外の原子または基で置換されていることを意味する。
アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基等が挙げられる。
”がX−Q’−Y−で表される基であるR”SO の具体例としては、たとえば下記式(b1)〜(b9)のいずれかで表されるアニオンが挙げられる。
Figure 0005789461
Figure 0005789461
[式中、q1〜q2はそれぞれ独立に1〜5の整数であり、q3は1〜12の整数であり、t3は1〜3の整数であり、r1〜r2はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、gは1〜20の整数であり、Rは置換基であり、n1〜n6はそれぞれ独立に0または1であり、v0〜v6はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、w1〜w6はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、Q”は前記と同じである。]
の置換基としては、前記式(C3)中のRにおいて、脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基、芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
に付された符号(r1〜r2、w1〜w6)が2以上の整数である場合、当該化合物中の複数のRはそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
また、(G1)成分のアニオン部としては、たとえば下記一般式(G1a−3)で表されるアニオン、下記一般式(G1a−4)で表されるアニオンも好ましいものとして挙げられる。
Figure 0005789461
[式中、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基を表す。]
式(G1a−3)において、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であり、該アルキレン基の炭素数は、好ましくは2〜6であり、より好ましくは炭素数3〜5、最も好ましくは炭素数3である。
式(G1a−4)において、Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜10であり、より好ましくは炭素数1〜7、最も好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数又はY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基又はY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。
該アルキレン基又はアルキル基のフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基又はパーフルオロアルキル基である。
(G1)成分のアニオン部としては、上記式「R”SO 」で表されるアニオン(特に、R”が 「X−Q’−Y−」で表される基である上記式(b1)〜(b9)のいずれかで表されるアニオン)、又は、上記式(G1a−3)で表されるアニオンが特に好ましい。
(G1)成分としては、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
レジスト組成物において、(G)成分中の(G1)成分の含有割合は、40質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、100質量%でもよい。(G1)成分の含有割合が前記範囲の下限値以上であることにより、保存安定性、及びリソグラフィー特性に優れる。
また、レジスト組成物中の(G1)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜30質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましく、2〜15質量部がさらに好ましい。(G1)成分の含有量が上記範囲であることにより、リソグラフィー特性に優れる。
[(G2)成分]
(G2)成分は、上記(G1)成分に該当せず、該(G2)成分自体が酸性を有し、プロトン供与体として作用するものである。このような(G2)成分としては、塩を形成していない非イオン性の酸が挙げられる。
(G2)成分としては、基材成分(A)のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させ得る酸強度を有する酸であれば特に限定されるものではないが、(G2)成分のなかで好適なものとしては、たとえば基材成分の酸解離性基との反応性や、レジスト膜のアルカリ現像液に対する溶解性が増大しやすいことから、イミン系の酸またはスルホン酸系の化合物が好ましく、スルホニルイミド、ビス(アルキルスルホニル)イミド、トリス(アルキルスルホニル)メチド、又はこれらのフッ素原子を有するもの等が挙げられる。
特に、下記一般式(G2−1)〜(G2−3)のいずれかで表される化合物(中でも一般式(G2−2)で表される化合物が好ましい)、前述の一般式(b1)〜(b9)のいずれかで表されるアニオンの「−SO 」が「−SOH」になった化合物、前述の一般式(G1a−3)または(G1a−4)で表されるアニオンの「N」が「NH」になった化合物、カンファースルホン酸等が好ましい。その他、フッ素化アルキル基含有カルボン酸、高級脂肪酸、高級アルキルスルホン酸、高級アルキルアリールスルホン酸等の酸成分が挙げられる。
Figure 0005789461
[式(G2−1)中、w’は1〜5の整数である。式(G2−2)中、Rは水素原子又はアルキル基(ただし、当該アルキル基中の水素原子の一部若しくは全部がフッ素原子、水酸基、アルコキシ基、カルボキシ基又はアミノ基のいずれかにより置換されていてもよい)を示し、y’は2〜3の整数である。式(G2−3)中、Rは前記と同じであり、z’は2〜3の整数である。]
前記式(G2−1)で表される化合物としては、たとえば(CSONH、(CSONHが挙げられる。
前記式(G2−2)中、Rにおけるアルキル基の炭素数は、1〜2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
当該アルキル基中の水素原子が置換されていてもよいアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
前記式(G2−2)で表される化合物としては、たとえば下記化学式(G2−21)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005789461
前記式(G2−3)中、Rは、前記式(G2−2)におけるRと同様である。
前記式(G2−3)で表される化合物としては、たとえば下記化学式(G2−31)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005789461
フッ素化アルキル基含有カルボン酸としては、たとえばC1021COOH等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、炭素数8〜20のアルキル基を有する高級脂肪酸が挙げられ、具体的には、ドデカン酸、テトラデカン酸、ステアリン酸等が挙げられる。
上記炭素数8〜20のアルキル基は、直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよく、その鎖中にフェニレン基又は酸素原子等が介在していてもよいし、アルキル基中の水素原子の一部が水酸基やカルボキシ基で置換されていてもよい。
高級アルキルスルホン酸としては、平均炭素数が好ましくは9〜21、より好ましくは12〜18のアルキル基を有するスルホン酸が挙げられ、具体的には、デカンスルホン酸、ドデカンスルホン酸、テトラデカンスルホン酸、ペンタデカンスルホン酸、ステアリン酸スルホン酸等が挙げられる。
高級アルキルアリールスルホン酸としては、平均炭素数が好ましくは6〜18、より好ましくは9〜15のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸、アルキルナフタレンスルホン酸等が挙げられ、具体的には、ドデシルベンゼンスルホン酸、デシルナフタレンスルホン酸が挙げられる。
その他の酸成分としては、平均炭素数が好ましくは6〜18、より好ましくは9〜15のアルキル基を有するアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸が挙げられ、具体的には、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸等が挙げられる。
また、上記以外の(G2)成分として、有機カルボン酸、ならびに、リンのオキソ酸およびその誘導体も挙げられる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、当該炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸エステルなどが挙げられる。
(G)成分が(G2)成分を含有する場合、(G2)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記のなかでも、(G2)成分としては、スルホニルイミド、ビス(アルキルスルホニル)イミド、トリス(アルキルスルホニル)メチド及びこれらのフッ素原子を有するものからなる群より選択される1種以上を用いることがより好ましく、これらのフッ素原子を有するもの1種以上を用いることが特に好ましい。
また、レジスト組成物が(G2)成分を含有する場合、レジスト組成物中の(G2)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜20質量部が好ましく、1〜15質量部がより好ましく、1〜10質量部がさらに好ましい。(G2)成分の含有量が下限値以上であることにより、レジスト膜のアルカリ現像液に対する溶解性が増大しやすくなる。他方、(G2)成分の含有量が上限値以下であることにより、良好な感度が得られやすくなる。
・・酸発生剤成分;(B)成分
本発明において、酸供給成分(Z)としては、熱又は光などにより分解し、酸として機能する酸発生剤成分(以下「(B)成分」ともいう)も用いることができる。
(B)成分は、上記(G)成分とは異なり、工程(2)での露光や、工程(3)でのベーク(PEB)の後に酸を発生するものである。(B)成分は、そのもの自体が酸性を有している必要はない。
(B)成分は、特に限定されず、これまで化学増幅型レジスト用の酸発生剤として提案されているものを用いることができる。
このような酸発生剤としては、加熱により酸を発生する熱酸発生剤、露光により酸を発生する光酸発生剤などが挙げられ、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
これらの酸発生剤成分は、一般的に光酸発生剤(PAG)として知られているが、熱酸発生剤(TAG)としても機能する。したがって、本発明において使用可能な酸発生剤成分としては、従来、化学増幅型レジスト組成物用の酸発生剤として公知のものの中から任意のものを利用することができる。
「加熱により酸を発生する熱酸発生剤」とは、好ましくは工程(3)におけるPEB温度以下、具体的には100℃以下の加熱により酸を発生する成分を意味する。加熱温度がPEB温度以下のものを選択することで、操作が容易となる。また、熱酸発生剤からの酸の発生と基材成分の脱保護反応のそれぞれを異なる温度で制御しやすくなる。より好ましくは50〜100℃の加熱により酸を発生するものを選択することで、レジスト組成物中での安定性が良好となる。
(B)成分のオニウム塩系酸発生剤としてはアニオン部に、スルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン、ビス(アルキルスルホニル)イミドアニオン、及びトリス(アルキルスルホニル)メチドアニオンからなる群より選択される少なくとも一種のアニオン基を有するものが好ましい。さらに具体的には上記(G1)で挙げたものと同様のアニオンが挙げられる。
また、カチオン部には、下記の一般式(b−c1)又は一般式(b−c2)で表されるものが挙げられる。
Figure 0005789461
[式中、R”〜R”,R”〜R”はそれぞれ独立に置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基又はアルケニル基を表す。式(b−c1)におけるR”〜R”のうち、いずれか二つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。]
式(b−c1)中、R”〜R”は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基又はアルケニル基を表す。R”〜R”のうち、いずれか二つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。
”〜R”のアリール基としては、炭素数6〜20の無置換のアリール基;該無置換のアリール基の水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、オキソ基(=O)、アリール基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、−C(=O)−O−R’、−O−C(=O)−R’、−O−R’等で置換された置換アリール基等が挙げられる。R’、R’、R’は、それぞれ、炭素数1〜25の直鎖状、分岐鎖状若しくは炭素数3〜20の環状の飽和炭化水素基、又は、炭素数2〜5の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基である。
”〜R”において、無置換のアリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
”〜R”の置換アリール基における置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
置換アリール基における置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基であることが最も好ましい。
置換アリール基における置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
置換アリール基における置換基としてのアリール基としては、前記R”〜R”のアリール基と同様のものが挙げられる。
置換アリール基におけるアルコキシアルキルオキシ基としては、たとえば、
一般式:−O−C(R47)(R48)−O−R49
[式中、R47、R48はそれぞれ独立して水素原子または直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基であり、R49はアルキル基である。]で表される基が挙げられる。
47、R48において、アルキル基の炭素数は好ましくは1〜5であり、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
47、R48は、少なくとも一方が水素原子であることが好ましい。特に、一方が水素原子であり、他方が水素原子またはメチル基であることがより好ましい。
49のアルキル基としては、好ましくは炭素数が1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
49における直鎖状、分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜5であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。
49における環状のアルキル基としては、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。モノシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
置換アリール基におけるアルコキシカルボニルアルキルオキシ基としては、たとえば、
一般式:−O−R50−C(=O)−O−R56
[式中、R50は直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基であり、R56は第3級アルキル基である。]で表される基が挙げられる。
50における直鎖状、分岐鎖状のアルキレン基としては、炭素数が1〜5であることが好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1,1−ジメチルエチレン基などが挙げられる。
56における第3級アルキル基としては、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、1−メチル−1−シクロペンチル基、1−エチル−1−シクロペンチル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基、1−エチル−1−シクロヘキシル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルプロピル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルブチル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルペンチル基;1−(1−シクロペンチル)−1−メチルエチル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルプロピル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルブチル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルペンチル基;1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルエチル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルプロピル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルブチル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルペンチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、tert−ヘキシル基などが挙げられる。
さらに、前記一般式:−O−R50−C(=O)−O−R56におけるR56を、R56’で置き換えた基も挙げられる。R56’は、水素原子、アルキル基、フッ素化アルキル基、又はヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族環式基である。
56’におけるアルキル基は、前記R49のアルキル基と同様のものが挙げられる。
56’におけるフッ素化アルキル基は、前記R49のアルキル基中の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
56’における、ヘテロ原子を含んでいてもよい脂肪族環式基としては、ヘテロ原子を含まない脂肪族環式基、環構造中にヘテロ原子を含む脂肪族環式基、脂肪族環式基中の水素原子がヘテロ原子に置換されたもの等が挙げられる。
56’について、ヘテロ原子を含まない脂肪族環式基としては、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。モノシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
56’について、環構造中にヘテロ原子を含む脂肪族環式基として具体的には、前述の式(L1)〜(L6)、(S1)〜(S4)で表される基等が挙げられる。
56’について、脂肪族環式基中の水素原子がヘテロ原子に置換されたものとして具体的には、脂肪族環式基中の水素原子が酸素原子(=O)に置換されたもの等が挙げられる。
−C(=O)−O−R’、−O−C(=O)−R’、−O−R’におけるR’、R’、R’は、それぞれ、炭素数1〜25の直鎖状、分岐鎖状若しくは炭素数3〜20の環状の飽和炭化水素基、又は、炭素数2〜5の直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基である。
直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和炭化水素基は、炭素数1〜25であり、炭素数1〜15であることが好ましく、4〜10であることがより好ましい。
直鎖状の飽和炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などが挙げられる。
分岐鎖状の飽和炭化水素基としては、第3級アルキル基を除き、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、たとえばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、シアノ基、カルボキシ基等が挙げられる。
前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基の置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基の置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記直鎖状または分岐鎖状の飽和炭化水素基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
’、R’、R’における炭素数3〜20の環状の飽和炭化水素基としては、多環式基、単環式基のいずれでもよく、例えば、モノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基などが挙げられる。
該環状の飽和炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該環状のアルキル基が有する環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、当該環状のアルキル基が有する環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。
前者の例としては、前記モノシクロアルカンまたはポリシクロアルカンの環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換された複素シクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が挙げられる。また、前記環の構造中にエステル結合(−C(=O)−O−)を有していてもよい。具体的には、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基等のラクトン含有単環式基や、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基等のラクトン含有多環式基等が挙げられる。
後者の例における置換基としては、上述した直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が有してもよい置換基として挙げたものと同様のもの、低級アルキル基等が挙げられる。
また、R’、R’、R’は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基と、環状アルキル基との組み合わせであってもよい。
直鎖状または分岐鎖状のアルキル基と環状アルキル基との組合せとしては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基に置換基として環状のアルキル基が結合した基、環状のアルキル基に置換基として直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が結合した基等が挙げられる。
’、R’、R’における直鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。
’、R’、R’における分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
該直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族不飽和炭化水素基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、前記直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
’、R’においては、上記のなかでも、リソグラフィー特性、レジストパターン形状が良好であることから、炭素数1〜15の直鎖状若しくは分岐鎖状の飽和炭化水素基、又は炭素数3〜20の環状の飽和炭化水素基が好ましい。
”〜R”のアルキル基としては、たとえば、炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。なかでも、解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デシル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
”〜R”のアルケニル基としては、たとえば、炭素数2〜10であることが好ましく、2〜5がより好ましく、2〜4がさらに好ましい。具体的には、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
”〜R”のうち、いずれか二つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、イオウ原子を含めて3〜10員環を形成していることが好ましく、5〜7員環を形成していることが特に好ましい。
前記式(b−c1)で表される化合物におけるカチオン部のなかで好適なものとして、具体的には以下に示すものが挙げられる。
Figure 0005789461
Figure 0005789461
Figure 0005789461
Figure 0005789461
Figure 0005789461
Figure 0005789461
[式中、g1は繰返し数を示し、1〜5の整数である。]
Figure 0005789461
Figure 0005789461
[式中、g2、g3は繰返し数を示し、g2は0〜20の整数であり、g3は0〜20の整数である。]
Figure 0005789461
Figure 0005789461
Figure 0005789461
Figure 0005789461
Figure 0005789461
式(b−1−42)中、Rは置換基である。該置換基としては、上記置換アリール基についての説明のなかで例示した置換基(アルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基、オキソ基(=O)、アリール基、−C(=O)−O−R”、−O−C(=O)−R”、−O−R”)が挙げられる。
前記式(b−c2)中、R”〜R”は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基、アルキル基又はアルケニル基を表す。
”〜R”のアリール基としては、R”〜R”のアリール基と同様のものが挙げられる。
”〜R”のアルキル基としては、R”〜R”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
”〜R”のアルケニル基としては、R”〜R”のアルケニル基と同様のものが挙げられる。
前記式(b−c2)で表される化合物におけるカチオン部の具体例としては、ジフェニルヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム等が挙げられる。
本明細書において、オキシムスルホネート系酸発生剤とは、下記一般式(B−1)で表される基を少なくとも1つ有する化合物であって、放射線の照射(露光)によって酸を発生する特性を有するものである。この様なオキシムスルホネート系酸発生剤は、化学増幅型レジスト組成物用として多用されているので、任意に選択して用いることができる。
Figure 0005789461
(式(B−1)中、R31、R32はそれぞれ独立に有機基を表す。)
31、R32の有機基は、炭素原子を含む基であり、炭素原子以外の原子(たとえば水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)等)を有していてもよい。
31の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部若しくは全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
32の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、アリール基またはシアノ基が好ましい。R32のアルキル基、アリール基としては、前記R31で挙げたアルキル基、アリール基と同様のものが挙げられる。
32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
オキシムスルホネート系酸発生剤として、さらに好ましいものとしては、下記一般式(B−2)または(B−3)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0005789461
[式(B−2)中、R33は、シアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R34はアリール基である。R35は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。]
Figure 0005789461
[式(B−3)中、R36はシアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R37は2または3価の芳香族炭化水素基である。R38は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。p”は2または3である。]
前記一般式(B−2)において、R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが特に好ましい。
34のアリール基としては、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素の環から水素原子を1つ除いた基、およびこれらの基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基等が挙げられる。これらのなかでも、フルオレニル基が好ましい。
34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため特に好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
前記一般式(B−3)において、R36の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p”は、好ましくは2である。
オキシムスルホネート系酸発生剤の具体例としては、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロ−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−クロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−チエン−2−イルアセトニトリル、α−(4−ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−[(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−[(ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−(トシルオキシイミノ)−4−チエニルシアニド、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘプテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロオクテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−エチルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−プロピルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロペンチルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−p−メチルフェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−ブロモフェニルアセトニトリルなどが挙げられる。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、国際公開第04/074242号(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
Figure 0005789461
ジアゾメタン系酸発生剤のうち、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類の具体例としては、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
(B)成分は、上述した酸発生剤を1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
レジスト組成物が(B)成分を含有する場合、レジスト組成物中の(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対して、(B)成分が熱酸発生剤の場合は、0.5〜30質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましい。(B)成分が光酸発生剤の場合は、0.5〜30質量部が好ましく、1〜20質量部がより好ましい。上記範囲とすることでパターン形成が充分に行われる。また、(B)成分の含有量が下限値以上であると、レジスト膜のアルカリ現像液に対する溶解性が増大しやすくなり、解像性がより向上する。他方、上限値以下であると、感度が良好となるため好ましい。また、光酸発生剤の場合は、上限値以下とすることでレジスト膜の透明性が良好となる。
レジスト組成物が(B)成分を含有する場合、(G)成分と(B)成分との合計に対する(B)成分の含有割合は、50質量%以下であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましい。
<その他の成分>
本発明のレジストパターン形成方法に用いるレジスト組成物には、前述した成分以外の成分、たとえば酸増殖剤成分、フッ素添加剤、アミン等を配合してもよい。
・・酸増殖剤成分;(H)成分
本発明のレジストパターン形成方法において、(H)成分は酸によって分解されて遊離酸が生成し、この遊離酸によって(H)成分はさらに分解されて遊離酸を生成する。このようにして、酸の作用により、(H)成分は連鎖的に分解し、多数の遊離酸分子を生成する。
(H)成分としては、酸の作用により分解し、新たに酸を自ら発生させて自己触媒的に酸を増殖するものであればよく、たとえば架橋炭素環骨格構造を有する化合物が好適なものとして挙げられる。
ここで、「架橋炭素環骨格構造を有する化合物」とは、その分子内に複数の炭素環同士の橋かけ結合による構造(以下単に「架橋炭素環」ということがある。)を有する化合物を示す。
該架橋炭素環骨格構造を有する化合物は、橋かけ結合を有していることにより、分子が剛直化され、該化合物の熱安定性が向上する。
炭素環の個数としては、2〜6個が好ましく、より好ましくは2〜3個である。
架橋炭素環は、その水素原子の一部又は全部が、アルキル基、アルコキシ基等で置換されていてもよい。当該アルキル基としては、炭素数1〜6が好ましく、1〜3がより好ましく、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基等が挙げられる。当該アルコキシ基としては、炭素数1〜6が好ましく、1〜3がより好ましく、具体的にはメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる。また、架橋炭素環は、二重結合等の不飽和結合を有していてもよい。
本発明において、架橋炭素環は、その環上に、水酸基と、該水酸基が結合している炭素原子の隣接位の炭素原子に下記一般式(Hs)で表されるスルホナート基とを有するものが特に好ましい。
Figure 0005789461
[式中、Rは脂肪族基、芳香族基又は複素環式基を示す。]
前記式(Hs)中、Rは、脂肪族基、芳香族基又は複素環式基を示す。
において、脂肪族基としては、たとえば鎖状もしくは環状のアルキル基またはアルケニル基が挙げられ、炭素数は1〜12が好ましく、より好ましくは1〜10である。
芳香族基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよく、具体的には、たとえばアリール基等が挙げられる。
複素環式基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよく、従来公知の各種の複素環式化合物から誘導されるものが挙げられる。
上記の脂肪族基、芳香族基及び複素環式基は、置換基を有していてもよく、該置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、置換アミノ基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記脂肪族基及び前記芳香族基として具体的には、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、アシル基、ヘキシル基、ビニル基、プロピレン基、アリル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、ビシクロ炭化水素基、トリシクロ炭化水素基、フェニル基、トリル基、ベンジル基、フェネチル基、ナフチル基、ナフチルメチル基又はそれらの置換体等が挙げられる。
前記複素環式基としては、各種の複素環式化合物、たとえばフラン、チオフェン、ピロール、ベンゾフラン、チオナフテン、インドール、カルバゾール等の1つのヘテロ原子を含む五員環化合物又はその縮合環化合物;オキサゾール、チアゾール、ピラゾール等の2つのヘテロ原子を含む五員環化合物又はその縮合環化合物;ピラン、ピロン、クマリン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、アクリジン等の1つのヘテロ原子を含む六員環化合物又はその縮合環化合物;ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、フタルジン等の2つのヘテロ原子を含む六員環化合物又はその縮合環化合物等から誘導された各種のものが挙げられる。
本発明において、(H)成分が、その架橋炭素環上に、水酸基と、前記一般式(Hs)で表されるスルホナート基とを有する場合、かかる(H)成分は、酸の作用により分解して、新たに酸(RSOH)を発生させる。
このように、一回の反応で1つの酸が増えて、そして、反応の進行に伴って加速的に反応が進み、(H)成分は連鎖的に分解する。
かかる場合において、発生する酸の強度は、酸解離定数(pKa)として3以下であることが好ましく、2以下であることが特に好ましい。pKaが3以下であれば、発生した酸自体が自己分解をより誘起しやすくなる。逆に、これより弱い酸であると、自己分解を引き起こしにくくなる。
上記反応によって遊離される酸(RSOH)としては、たとえばメタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、ヘキサンスルホン酸、ヘプタンスルホン酸、オクタンスルホン酸、シクロヘキサンスルホン酸、カンファースルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、2,2,2−トリフルオロエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−ブロモベンゼンスルホン酸、p−ニトロベンゼンスルホン酸、2−チオフェンスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。
(H)成分として、より具体的には、下記一般式(H1)〜(H4)で表される化合物(以下、それぞれの一般式に対応する化合物を、化合物(H1)〜(H4)という。)が挙げられる。
Figure 0005789461
[式中、R51は水素原子、脂肪族基又は芳香族基を示し;R52は脂肪族基、芳香族基又は複素環式基を示す。]
前記一般式(H1)〜(H3)中、R51は、水素原子、脂肪族基又は芳香族基を示す。R51において、脂肪族基および芳香族基は、上記Rの脂肪族基、芳香族基とそれぞれ同様のものが挙げられる。R51は、なかでも脂肪族基又は芳香族基が好ましく、脂肪族基がより好ましく、なかでも低級アルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。
前記一般式(H1)〜(H4)中、R52は、脂肪族基、芳香族基又は複素環式基を示し、上記Rと同様のものが挙げられる。R52は、なかでも脂肪族基又は芳香族基が好ましく、脂肪族基がより好ましい。
化合物(H1)〜(H4)において、化合物(H1)はビシクロ化合物の1,3位に架橋結合を有し、化合物(H2)および化合物(H3)はビシクロ化合物の1,4位に架橋結合を有し、化合物(H4)はビシクロ化合物(デカリン)の1,6位に架橋結合をそれぞれ有する。
したがって、化合物(H1)〜(H4)において、そのシクロヘキサン環のコンホーメーション変化は高度に抑制され、その環構造は剛直性を示す。
かかる(H)成分において、たとえば化合物(H1)〜(H4)等の、架橋炭素環上に、水酸基と、該水酸基が結合している炭素原子の隣接位の炭素原子に前記一般式(Hs)で表されるスルホナート基とを有する化合物は、ジオール化合物に、スルホン酸のハロゲン化物を作用させることによって容易に合成される。このジオール化合物には、シス、トランス2つの異性体が存在するが、シス異性体の方が熱的により安定であり、好適に用いられる。また、当該化合物は、酸が共存しない限り安定に保存することができる。
(H)成分の好適な具体例を以下に挙げる。
Figure 0005789461
Figure 0005789461
Figure 0005789461
(H)成分としては、上記のなかでも、本発明の効果が良好なことから、化合物(H1)又は化合物(H2)が好ましく、化合物(H1)がより好ましい。具体的には、化学式(H1−1)〜(H1−9)で表される化合物から選択される少なくとも1種を用いることが好ましく、なかでも化学式(H1−9)で表される化合物が最も好ましい。
(H)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
レジスト組成物中、(H)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.1〜30質量部であることが好ましく、1〜20質量部であることがより好ましい。(H)成分の含有量が下限値以上であることにより、解像性がより向上する。他方、(H)成分の含有量が上限値以下であることにより、感度がより良好となる。
(H)成分と(G)成分とを併用する場合、(H)成分と(G)成分との混合割合は、モル比で9:1〜1:9であることが好ましく、9:1〜5:5であることがより好ましく、9:1〜6:4であることが特に好ましい。(H)成分の割合が前記範囲の下限値以上であると、解像性がより向上する。一方、(H)成分の割合が前記範囲の上限値以下であると、感度がより良好となる。
また、(H)成分と(B)成分とを併用する場合、(H)成分と(B)成分との混合割合は、モル比で9:1〜1:9であることが好ましく、9:1〜5:5であることがより好ましく、9:1〜6:4であることが特に好ましい。(H)成分の割合が前記範囲の下限値以上であると、解像性がより向上する。一方、(H)成分の割合が前記範囲の上限値以下であると、感度がより良好となる。
・・フッ素添加剤;(F)成分
本発明のレジストパターン形成方法においては、レジスト組成物に、レジスト膜に撥水性を付与するため、フッ素添加剤(以下「(F)成分」という。)を配合できる。
(F)成分としては、例えば、特開2010−002870号公報に記載の含フッ素高分子化合物を用いることができる。
(F)成分としてより具体的には、下記式(f1−1)で表される構成単位(f1)を有する重合体が挙げられる。かかる重合体としては、構成単位(f1)のみからなる重合体(ホモポリマー);下記式(f1)で表される構成単位と、前記構成単位(a1)との共重合体;下記式(f1)で表される構成単位と、アクリル酸又はメタクリル酸から誘導される構成単位と、前記構成単位(a1)との共重合体、であることが好ましい。ここで、下記式(f1)で表される構成単位と共重合される前記構成単位(a1)としては、前記式(a1−0−11)で表される構成単位が好ましく、前記式(a1−1−32)で表される構成単位が特に好ましい。
Figure 0005789461
[式中、Rは前記同様であり、R45およびR46はそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜5のアルキル基、又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基を表し、複数のR45またはR46は同じであっても異なっていてもよい。a1は1〜5の整数であり、R”はフッ素原子を含む有機基である。]
式(f1−1)中、Rは前記同様である。Rとしては、水素原子またはメチル基が好ましい。
式(f1−1)中、R45、R46のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。R45、R46の炭素数1〜5のアルキル基としては、上記Rの炭素数1〜5のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましい。R45、R46の炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基として、具体的には、上記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部が、ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。なかでもR45、R46としては、水素原子、フッ素原子、又は炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、水素原子、フッ素原子、メチル基、またはエチル基が好ましい。
式(f1−1)中、a1は1〜5の整数であって、1〜3の整数が好ましく、1又は2であることがより好ましい。
式(f1−1)中、R”はフッ素原子を含む有機基であって、フッ素原子を含む炭化水素基であることが好ましい。
フッ素原子を含む炭化水素基としては、直鎖状、分岐鎖状または環状のいずれであってもよく、炭素数は1〜20であることが好ましく、炭素数1〜15であることがより好ましく、炭素数1〜10が特に好ましい。
また、フッ素原子を含む炭化水素基は、当該炭化水素基における水素原子の25%以上がフッ素化されていることが好ましく、50%以上がフッ素化されていることがより好ましく、60%以上がフッ素化されていることが、浸漬露光時のレジスト膜の疎水性が高まることから、特に好ましい。
なかでも、R”としては、炭素数1〜5のフッ素化炭化水素基が特に好ましく、メチル基、−CH−CF、−CH−CF−CF、−CH(CF、−CH−CH−CF、−CH−CH−CF−CF−CF−CFが最も好ましい。
(F)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、1000〜50000が好ましく、5000〜40000がより好ましく、10000〜30000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
(F)成分の分散度(Mw/Mn)は、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。
(F)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(F)成分は、(A)成分100質量部に対して、0.5〜10質量部の割合で用いられる。
・・アミン;(D)成分
本発明のレジストパターン形成方法においては、レジスト組成物に、含窒素有機化合物成分(D)(以下「(D)成分」という。)を配合できる。
レジスト組成物が、酸供給成分として(G)成分を含有する場合、レジスト組成物の液中で、該(G)成分等によって(A)成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増加してしまうおそれがある。この現象の発生は(G)成分等の酸性度を適度なものに調整することにより抑制することも可能であるが、(D)成分を添加し、レジスト組成物液中の(G)成分の酸性度を低下させることによっても抑制することが可能となる。(D)成分を用いる場合であれば、(G)成分等の材料選択の自由度が高まり、好ましい。
加えて、レジスト組成物の保存中に、(D)成分が存在することにより、レジスト組成物液調製後の保存安定性が高まる。また、工程(3)における中和前にレジスト膜から(D)成分が除去されることにより、工程(3)における(C)成分から発生した塩基と(Z)成分由来の酸との中和を、(D)成分が妨げることがないため、特に良好なリソグラフィー特性やパターン形状を得ることができる。
(D)成分としては、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いればよい。なかでも、(D)成分としては、そのpKaが上述した(G1)成分のカチオンのpKaと同等又はそれ以下であるものが好ましい。即ち、(D)成分のpKaは、7以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましい。
(G1)成分を含有する場合は、(G1)成分のカチオンと(D)成分とが塩交換を起さないようにするため、(G1)成分のカチオンのpKaと同等又はそれ以下であることがさらに好ましい。
(G2)成分を含有する場合は、(G2)成分の酸性度を極端に低下させないよう、(D)成分の塩基性が低い方が好ましく、そのpKaは7以下であることが好ましく、6以下であることがより好ましい。
上記pKaを充足する(D)成分としては、上記(G1)成分についての説明で例示した式(G1c−1)において、窒素原子(N)に結合した「H」を1つ除いたアミンが挙げられる。具体的には、上記の式(G1c−11)及び(G1c−13)で挙げた具体例において末端の「NH 」が「NH」となった化合物;上記の式(G1c−12)で挙げた具体例において環中の「NH」が「N」となった化合物が好ましい。
加えて、(D)成分は、比較的低い沸点を有するアミンであることが好ましい。比較的低い沸点を有するアミンを用いることにより、工程(1)で支持体上にレジスト膜を形成する際、(D)成分をレジスト膜中から除去することが容易となる。
かかる沸点を充足する(D)成分としては、沸点が130℃以下のアミンが好ましく、100℃以下のアミンがより好ましく、90℃以下のアミンが特に好ましい。
上記のpKaおよび沸点を充足する(D)成分の特に好適な具体例として、
トリフルオロエチルアミン(2,2,2−トリフルオロエチルアミン)、ペンタフルオロプロピルアミン(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピルアミン)、ヘプタフルオロブチルアミン(1H,1H−ヘプタフルオロブチルアミン)、ノナフルオロペンチルアミン(1H,1H−ノナフルオロペンチルアミン)、ウンデカフルオロヘキシルアミン(1H,1H−ウンデカフルオロヘキシルアミン)、ビス(2,2,2−トリフルオロエチル)アミン、ビス(2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル)アミン、1−(2,2,2−トリフルオロエチル)ピロリジン等の、フッ素化アルキル基を有する脂肪族アミン化合物;
ピリジン、ペンタフルオロピリジン等のピリジン系化合物;
オキサゾール、イソオキサゾール等のオキサゾール系化合物;
等が挙げられる。
(D)成分は、一種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のレジスト組成物が(D)成分を含有する場合、(D)成分の割合は、(A)成分100質量部に対して、0.01〜20.0質量部であることが好ましく、1〜15質量部がより好ましく、2〜10質量部が特に好ましい。上記範囲とすることにより、保存安定性を向上させることができ、得られるリソグラフィー特性やレジストパターン形状も向上する。
本発明に用いるレジスト組成物には、さらに、所望により、混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料、増感剤、塩基増殖剤などを適宜、添加含有させることができる。
増感剤として具体的には、ベンゾフェノン、p,p’−テトラメチルジアミノベンゾフェノン等のベンゾベンゾフェノン系増感剤;カルバゾール系増感剤、アセトフェン系増感剤、ナフタレン系増感剤、フェノール系増感剤、9−エトキシアントラセン等のアントラセン系増感剤、ビアセチル、エオシン、ローズベンガル、ピレン、フェノチアジン、アントロン等の公知の増感剤を用いることができる。レジスト組成物中の増感剤の含有量は、(A)成分100質量部に対して、0.5〜20質量部であることが好ましい。
塩基増殖剤は、塩基の作用により連鎖反応的に分解し、少量の塩基により多量の塩基を発生するものである。このため、塩基増殖剤の配合により、レジスト組成物の感度を向上させることができる。塩基増殖剤としては、たとえば特開2000−330270号公報や、特開2008−174515号公報に記載されるものを用いることができる。
<有機溶剤>
本発明に用いるレジスト組成物は、材料を有機溶剤(以下「(S)成分」ともいう)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、シクロヘキサノン、ELが好ましい。
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。たとえば極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。また、極性溶剤としてPGMEおよびシクロヘキサノンを配合する場合は、PGMEA:(PGME+シクロヘキサノン)の質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA、EL、または前記PGMEAと極性溶剤との混合溶媒と、γ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
(S)成分の使用量は、特に限定されず、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
<有機膜形成用組成物>
本発明のレジストパターン形成方法においては、前記第二の実施形態に示すように、レジスト膜に酸を供給するために、酸供給成分を含有する有機膜形成用組成物を用いることができる。
有機膜形成用組成物には、酸供給成分に加えて、他の成分、たとえば樹脂、有機溶剤などを含有させることができる。
有機膜形成用組成物における酸供給成分としては、前記レジスト組成物の説明で挙げた(Z)成分と同様のものが挙げられる。
酸供給成分としては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機膜形成用組成物が酸供給成分と樹脂と有機溶剤とを含有する場合、酸供給成分の含有量は、樹脂100質量部に対して0.1〜60質量部であることが好ましい。酸供給成分が酸性化合物成分である場合は、樹脂100質量部に対して0.1〜50質量部がより好ましく、1〜20質量部がさらに好ましい。酸供給成分が酸発生剤成分である場合は、樹脂100質量部に対して1〜60質量部がより好ましく、1〜50質量部がさらに好ましい。酸供給成分の含有量が下限値以上であると、レジスト膜に充分な量の酸が供給され、未露光部にてアルカリ現像液に対する溶解性が増大しやすくなり、解像性がより向上する。他方、酸供給成分の含有量が上限値以下であることにより、感度が良好となる。また各成分を有機溶剤に溶解した際、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となる。
[樹脂]
樹脂は、有機膜を形成し得るものであれば特に限定されず、公知の樹脂が利用できる。なかでも工程(4)において、アルカリ現像によりレジストパターン形成と同時に、形成された有機膜の除去が可能となることから、アルカリ可溶性樹脂を用いることが好ましい。
アルカリ可溶性樹脂としては、アルカリ可溶性基を有する樹脂であればよく、従来公知のノボラック樹脂、ヒドロキシスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリシクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。
アルカリ可溶性基として具体的には、フェノール性水酸基、カルボキシ基、フッ素化アルコール基、スルホン酸基、スルホンアミド基、スルホニルイミド基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)メチレン基、(アルキルスルホニル)(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルカルボニル)メチレン基、ビス(アルキルカルボニル)イミド基、ビス(アルキルスルホニル)メチレン基、ビス(アルキルスルホニル)イミド基、トリス(アルキルカルボニル)メチレン基、トリス(アルキルスルホニル)メチレン基、又はこれらのいずれかの基を有する基等が例示される。
アルカリ可溶性樹脂の一例として、ポリシクロオレフィンから誘導される構成単位(以下この構成単位を「構成単位(a’1)」という。)を有する重合体(A’)を用いることが好ましい。
構成単位(a’1)としては、下記一般式(a’1−0)で表される基本骨格を有する構成単位が好ましい。
Figure 0005789461
[式中、a’は0又は1である。]
式(a’1−0)中、a’は、0又は1であり、工業上入手が容易であることを考慮すると、0であることが好ましい。
なお、本明細書において、「一般式(a’1−0)で表される基本骨格を有する構成単位」は、一般式(a’1−0)で表される構成単位(すなわちビシクロ[2.2.1]−2−ヘプテン(ノルボルネン)から誘導される構成単位、又はテトラシクロ[4.4.0.12.5.1.7.10]−3−ドデセンから誘導される構成単位)であってもよく、また、その環骨格上に置換基を有するものであってもよい。すなわち、「一般式(a’1−0)で表される基本骨格を有する構成単位」には、その環骨格(ビシクロ[2.2.1]−2−ヘプタンまたはテトラシクロ[4.4.0.12.5.1.7.10]−3−ドデカン)を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部または全部が、水素原子以外の原子または置換基で置換された構成単位も含まれるものとする。
構成単位(a’1)としては、特に、下記の一般式(a’1−1)で表される構成単位が例示できる。
Figure 0005789461
式(a’1−1)中、a’は、いずれも上記式(a’1−0)におけるa’と同じである。
cは1〜5の整数であり、1〜3の整数が好ましく、1が最も好ましい。
bは1〜5の整数であり、1〜3の整数が好ましく、1が最も好ましい。
構成単位(a’1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合体(A’)中の構成単位(a’1)の割合は、重合体(A’)を構成する全構成単位の合計に対して1モル%以上が好ましく、1〜50モル%が好ましく、1〜45モル%がより好ましく、5〜35モル%がさらに好ましい。構成単位(a’1)の割合が前記範囲であると、所定のアルカリ溶解性がより得られやすくなる。
構成単位(a’1)を誘導するモノマーは、たとえば、米国特許第6420503号公報に開示されている手法により合成できる。
また、重合体(A’)は、構成単位(a’1)に加えて、置換基としてフッ素化アルキル基を有するポリシクロオレフィンから誘導される構成単位(以下この構成単位を「構成単位(a’2)」という。)、具体的には、下記一般式(a’2−1)で表される構成単位を有していてもよい。
Figure 0005789461
[式中、R27はフッ素化アルキル基であり;aは0又は1である。]
前記式(a’2−1)中、aは、0又は1であり、工業上入手が容易であることを考慮すると、0であることが好ましい。
前記式(a’2−1)中、R27はフッ素化アルキル基であり、直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基である。
直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がさらに好ましい。かかるアルキル基としては、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられ、プロピル基が特に好ましい。
前記環状のアルキル基としては、炭素数4〜12であることが好ましく、炭素数5〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
上記のなかでも、R27のフッ素化アルキル基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基の水素原子の1つが、パーフルオロアルキル基で置換された基(パーフルオロアルキル基にアルキレン基が結合した基)が好ましく挙げられ、−(CH−CF、−(CH−C[f=1〜3]がより好ましく、−CH−CF、−CH−Cが特に好ましい。
フッ素化アルキル基としては、特に、フッ素化率(フッ素化アルキル基中の、水素原子とフッ素原子との合計の数に対するフッ素原子の数の割合(%))が、30〜90%のものが好ましく、50〜80%がより好ましい。フッ素化率が30%以上であると、液浸露光条件での有機膜表面の疎水性向上効果に優れる。また、フッ素化率が90%以下であると、現像特性が向上する。
なお、前記式(a’2−1)で表される構成単位においては、主鎖を構成する環構造の環上に置換基を有していてもよい。該置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、又はフッ素化アルキル基が挙げられる。
前記構成単位(a’2)を重合体(A’)に含有させる際には、重合体(A’)を構成する全構成単位の合計に対して、構成単位(a’2)を5〜75モル%含有させることが好ましく、10〜70モル%含有させることがより好ましく、15〜60モル%含有させることがさらに好ましい。上記範囲とすることで、有機膜表面の疎水性が向上し、アルカリ現像液に対する溶解速度の制御性に優れる。
前記式(a’2−1)で表される構成単位を誘導するモノマーは、たとえば、特開2000−235263号公報に開示されている手法[(メタ)アクリル酸のフッ素化アルキルエステルと、シクロペンタジエンまたはジシクロペンタジエンとを、公知の反応であるDiels−Alder反応により反応させる方法]により合成できる。
重合体(A’)は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
本発明において、重合体(A’)としては、特に下記の様な構成単位の組み合わせを有するものが好ましい。
Figure 0005789461
[式中、b、cは、それぞれ上記と同様である。R27’は炭素数1〜5のフッ素化アルキル基である。]
cは1〜3の整数が好ましく、1が最も好ましい。
bは1〜3の整数が好ましく、1が最も好ましい。
27’は、−CH−CF、−CH−Cであることが特に好ましい。
重合体(A’)の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、1000〜50000が好ましく、1500〜30000がより好ましく、2000〜20000が最も好ましい。この範囲内であると、有機膜を形成する樹脂成分として用いるのに充分な有機溶剤への溶解性があり、アルカリ現像特性が良好であるとともに、成膜性も良好である。
また、重合体(A’)の分散度(Mw/Mn)は、特に限定されず、1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.0〜2.5が最も好ましい。
重合体(A’)は、たとえば、各構成単位を誘導するモノマーを、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
また、主鎖環状型構成単位を有する場合、重合体(A’)は、たとえば特開2006−291177号公報に記載の方法により合成できる。
[有機溶剤]
有機膜形成用組成物に配合される有機溶剤としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよい。たとえば従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。かかる有機溶剤としては、たとえば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
有機膜形成用組成物に配合される有機溶剤として、アルコール系有機溶剤、フッ素系有機溶剤、水酸基を有さないエーテル系有機溶剤なども用いることができる。これらの有機溶剤は、上述したレジスト組成物により形成されたレジスト膜を溶解しにくいため、有機膜形成用組成物の有機溶剤として好ましく用いられる。
以下にあげる有機溶剤は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。塗布性、樹脂成分などの材料の溶解性の点から、アルコール系有機溶剤が好ましい。
ここで、「アルコール系有機溶剤」とは、脂肪族炭化水素の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された化合物であって、常温、常圧下で液体である化合物である。前記脂肪族炭化水素を構成する主鎖の構造は、鎖状構造であってもよく、環状構造であってもよく、該鎖状構造中に環状構造を有していてもよく、また、該鎖状構造中にエーテル結合を含むものであってもよい。
「フッ素系有機溶剤」とは、フッ素原子を含む化合物であって、常温、常圧下で液体である化合物である。
「水酸基を有さないエーテル系有機溶剤」とは、その構造中にエーテル結合(C−O−C)を有し、水酸基を有さず、かつ常温常圧下で液体である化合物である。該水酸基を有さないエーテル系有機溶剤は、さらに、水酸基に加えてカルボニル基も有さないことが好ましい。
アルコール系有機溶剤としては、1価アルコール、2価アルコール、2価アルコールの誘導体等が好ましい。
1価アルコールとしては、炭素数にもよるが、1級または2級の1価アルコールが好ましく、中でも1級の1価アルコールが最も好ましい。
ここで1価アルコールとは、炭素および水素のみから構成される炭化水素化合物の水素原子の1つが水酸基で置換された化合物を意味し、2価以上の多価アルコールの誘導体は含まれない。該炭化水素化合物は、鎖状構造のものであってもよく、環状構造を有するものであってもよい。
2価アルコールとは、前記炭化水素化合物の水素原子の2つが水酸基で置換された化合物を意味し、3価以上の多価アルコールの誘導体は含まれない。
2価アルコールの誘導体としては、2価アルコールの水酸基の1つが置換基(アルコキシ基、アルコキシアルキルオキシ基等)で置換された化合物が挙げられる。
アルコール系有機溶剤の沸点は80〜160℃であることが好ましく、90〜150℃であることがさらに好ましく、100〜135℃であることが塗布性、保存時の組成の安定性、および加熱温度の観点から最も好ましい。
かかるアルコール系有機溶剤として具体的には、鎖状構造のものとして、プロピレングリコール(PG);1−ブトキシ−2−プロパノール(BP)、n−ヘキサノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、1−ヘプタノール、5−メチル−1−ヘキサノール、6−メチル−2−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、3−オクタノール、4−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、n−ペンチルアルコール、s−ペンチルアルコール、t−ペンチルアルコール、イソペンチルアルコール、イソブタノール(イソブチルアルコール又は2−メチル−1−プロパノールとも称する。)、イソプロピルアルコール、2−エチルブタノール、ネオペンチルアルコール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、4−メチル−2−ペンタノール等が挙げられる。
また、環状構造を有するものとして、シクロペンタンメタノール、1−シクロペンチルエタノール、シクロヘキサノール、シクロヘキサンメタノール(CM)、シクロヘキサンエタノール、1,2,3,6−テトラヒドロベンジルアルコール、exo−ノルボルネオール、2−メチルシクロヘキサノール、シクロヘプタノール、3,5−ジメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
アルコール系有機溶剤のなかでは、鎖状構造の1価アルコールまたは2価アルコールの誘導体が好ましく、1−ブトキシ−2−プロパノール(BP);イソブタノール(2−メチル−1−プロパノール)、4−メチル−2−ペンタノール、n−ブタノールがより好ましく、イソブタノール(2−メチル−1−プロパノール)、1−ブトキシ−2−プロパノール(BP)が特に好ましい。
フッ素系有機溶剤としては、パーフルオロ−2−ブチルテトラヒドロフラン等が挙げられる。
水酸基を有さないエーテル系有機溶剤としては、下記一般式(s−1)で表される化合物が好適なものとして挙げられる。
40−O−R41 …(s−1)[式中、R40、R41はそれぞれ独立して1価の炭化水素基であり、R40とR41とが結合して環を形成していてもよい。−O−はエーテル結合を示す。]
前記式中、R40、R41の炭化水素基としては、たとえばアルキル基、アリール基等が挙げられ、アルキル基が好ましい。なかでも、R40、R41のいずれもアルキル基であることが好ましく、R40とR41とが同じアルキル基であることがより好ましい。
40、R41の各アルキル基としては、特に制限はなく、たとえば炭素数1〜20の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。該アルキル基は、その水素原子の一部または全部がハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。
該アルキル基としては、レジスト膜上への塗布性が良好なこと等から、炭素数1〜15であることが好ましく、炭素数1〜10であることがより好ましい。具体的には、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基等が挙げられ、n−ブチル基、イソペンチル基が特に好ましい。
前記アルキル基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
40、R41の各アリール基としては、特に制限はなく、たとえば炭素数6〜12のアリール基であって、該アリール基は、その水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよく、されていなくてもよい。
該アリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ベンジル基、ナフチル基等が挙げられる。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることがより好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。
前記アリール基の水素原子が置換されていてもよいハロゲン原子としては、フッ素原子であることが好ましい。
また、上記式においては、R40とR41とが結合して環を形成していてもよい。
40およびR41は、それぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基)であって、R40の末端と、R41の末端とが結合して環を形成する。また、アルキレン基の炭素原子は、酸素原子で置換されていてもよい。
かかるエーテル系有機溶剤の具体例としては、たとえば1,8−シネオール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。
水酸基を有さないエーテル系有機溶剤の沸点(常圧下)は、30〜300℃であることが好ましく、100〜200℃であることがより好ましく、140〜180℃であることがさらに好ましい。該温度範囲の下限値以上であることにより、塗布時のスピンコート中、蒸発しにくくなって塗布ムラが抑制され、塗布性が向上する。一方、上限値以下であることにより、ベークによって当該有機溶剤が有機膜中から充分に除かれ、有機膜の形成性が向上する。また、該温度範囲であると、保存時の組成の安定性がより向上する。また、加熱温度の観点からも好ましい。
水酸基を有さないエーテル系有機溶剤の具体例としては、たとえば1,8−シネオール(沸点176℃)、ジブチルエーテル(沸点142℃)、ジイソペンチルエーテル(沸点171℃)、ジオキサン(沸点101℃)、アニソール(沸点155℃)、エチルベンジルエーテル(沸点189℃)、ジフェニルエーテル(沸点259℃)、ジベンジルエーテル(沸点297℃)、フェネトール(沸点170℃)、ブチルフェニルエーテル、テトラヒドロフラン(沸点66℃)、エチルプロピルエーテル(沸点63℃)、ジイソプロピルエーテル(沸点69℃)、ジヘキシルエーテル(沸点226℃)、ジプロピルエーテル(沸点91℃)等が挙げられる。
水酸基を有さないエーテル系有機溶剤としては、環状または鎖状のエーテル系有機溶剤であることが好ましく、なかでも1,8−シネオール、ジブチルエーテルおよびジイソペンチルエーテルからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
有機膜形成用組成物に配合される有機溶剤の使用量は、特に限定されず、レジスト膜上に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定すればよい。たとえば酸又は酸発生剤成分と、樹脂と、有機溶剤とを含有する有機膜形成用組成物を用いる場合、有機溶剤の含有量は、樹脂濃度が0.2〜10質量%となる量であることが好ましく、1〜5質量%となる量であることがより好ましい。
有機膜形成用組成物には、さらに、所望により、界面活性剤、増感剤、架橋剤、ハレーション防止剤、保存安定化剤、着色剤、可塑剤、消泡剤等を適宜配合することができる。
界面活性剤としては、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、含フッ素界面活性剤等が挙げられる。界面活性剤を用いる場合、その含有量は、樹脂100質量部に対して0.01〜0.5質量部であることが好ましく、より好ましくは0.02〜0.1質量部である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
[製造例1〜5]
表1に示す各成分を混合して溶解することにより、レジスト組成物A〜Eを調製した。
Figure 0005789461
表1中、[ ]内の数値は配合量(質量部)であり、各略号はそれぞれ以下の意味を有する。
(A)−1:下記化学式(A)−1で表される共重合体[Mw=7000、Mw/Mn=1.57。l/m/n=35/45/20(共重合組成比(モル比))。]
(A)−2:下記化学式(A)−2で表される共重合体[Mw=7000、Mw/Mn=1.56。l/m/n/o/p=35/25/20/15/5(共重合組成比(モル比))。]
(A)−3:下記化学式(A)−3で表される共重合体[Mw=10000、Mw/Mn=1.61。l/m/n=40/40/20(共重合組成比(モル比))。]
(A)−4:下記化学式(A)−4で表される共重合体[Mw=7000、Mw/Mn=1.87。l/m/n=40/40/20(共重合組成比(モル比))。]
(C)−1〜(C)−2:下記化学式(C)−1〜(C)−2で表される化合物。
(G)−1:下記化学式(G)−1で表される化合物(pKa=−11.55)。
(G)−2:下記化学式(G)−2で表される化合物(カチオンpKa=5.7、アニオンpKa=−3.36)。
(G)−3:下記化学式(G)−3で表される化合物(カチオンpKa=5.7、アニオンpKa=−11.55)
(D)−1:ヘプタフルオロブチルアミン(CFCFCFCHNH、沸点=69℃、pKa=5.6)。
(F)−1:下記化学式(F)−1で表される化合物[Mw=24000、Mw/Mn=1.38。l=100(重合組成比(モル比))。]
(S)−1:PGMEA/PGME=6/4(質量比)の混合溶剤。
(S)−2:PGMEA/PGME/シクロヘキサノン=45/30/25(質量比)。
Figure 0005789461
Figure 0005789461
Figure 0005789461
Figure 0005789461
[実施例1〜9、比較例1〜10]
<レジストパターンの形成>
(工程(1))
有機系反射防止膜組成物「ARC29」(商品名、ブリューワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて8インチのシリコンウェーハ上に塗布し、ホットプレート上で、205℃で60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚79nmの有機系反射防止膜を形成した。
次に、前記で調製したレジスト組成物A〜Eをそれぞれ、スピンナーを用いて塗布し、表2に示す温度で60秒間のプレベーク(PAB)を行い、乾燥することにより、膜厚100nmのレジスト膜を形成した。なお、PAB温度が23℃とは、クーリングプレート上で60秒間静置したのみであって、実質的にベークを行っていないことを意味する。
(工程(2))
次に、該レジスト膜に対し、ArF露光装置NSR−S302(ニコン社製;NA(開口数)=0.60、2/3Annular)により、スペース幅140nm、ピッチ280nmのスペースアンドライン(SL)パターンをターゲットとするフォトマスク(ハーフトーン)を介して、ArFエキシマレーザー(193nm)を照射した。
(工程(3))
次に、表2に示す温度で60秒間の露光後加熱(PEB)処理を行った。
(工程(4))
次に、23℃にて、2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液「NMD−3」(商品名、東京応化工業社製)で30秒間のアルカリ現像を行った。
その結果、実施例1〜9、比較例1〜5では、前記レジスト膜に、スペース幅140nm、ピッチ280nmのSLパターンが形成された。一方、比較例6〜10では、SLパターンが解像しなかった。
<感度評価>
前記スペース幅140nm、ピッチ280nmのSLパターンが形成される最適露光量Eop(mJ/cm)を求めた。結果を「感度」として表2に示す。
<解像性評価>
前記Eopにて形成されるSLパターンの限界解像度(nm)を、走査型電子顕微鏡S−9380(日立ハイテクノロジー社製)を用いて求めた。結果を「解像性」として表2に示す。
Figure 0005789461
上記結果に示すとおり、PEB温度が100℃以下の実施例1〜9においては、高解像のネガ型パターンを形成でき、しかも該ネガ型パターンを形成する際の感度も、50mJ/cm以下と優れていた。一方、PEB温度が110℃の比較例1〜5は、実施例1〜9に比べて感度が低く、PEB温度が120℃の比較例6〜10は、ネガ型パターンが解像しなかった。

Claims (2)

  1. 酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分と、露光により塩基を発生する光塩基発生剤成分と、酸性化合物成分および加熱により酸を発生する熱酸発生剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の酸供給成分とを含有するレジスト組成物を、支持体上に塗布してレジスト膜を形成する工程(1)と、
    前記レジスト膜を露光する工程(2)と、
    前記工程(2)の後にベークを行い、前記レジスト膜の露光部において、前記露光により前記光塩基発生剤成分から発生した塩基と、前記レジスト膜に予め供給された酸とを中和させ、前記レジスト膜の未露光部において、前記レジスト膜に予め供給された酸の作用により、前記基材成分のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させる工程(3)と、
    前記レジスト膜をアルカリ現像し、前記レジスト膜の未露光部が溶解除去されたネガ型レジストパターンを形成する工程(4)と
    を含むレジストパターン形成方法であって、
    前記工程(3)における前記ベークを100℃以下で行うことを特徴とするレジストパターン形成方法。
  2. 前記工程(3)における前記ベークを60〜100℃で行う請求項1に記載のレジストパターン形成方法。
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